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「営業代行」に関する裁判例(17)平成27年 5月28日 東京地裁 平23(ワ)16744号 損害賠償請求事件

「営業代行」に関する裁判例(17)平成27年 5月28日 東京地裁 平23(ワ)16744号 損害賠償請求事件

裁判年月日  平成27年 5月28日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平23(ワ)16744号・平25(ワ)16973号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  甲事件請求棄却、乙事件請求棄却  文献番号  2015WLJPCA05288014

要旨
◆原告会社及びその完全親会社である原告親会社が、原告会社の従業員が集団で退職し、競合他社に就職して取引先を奪取する造反行為をしたことに関し、原告会社に吸収合併された本件会社の代表取締役かつ原告親会社の取締役であった被告Y1及び本件会社の取締役かつ原告会社の従業員であった被告Y2に対し、損害賠償を求め(甲事件)、また、原告親会社が、被告Y1は本件会社の代表取締役としてマージンを得ずに本件業務受託・再委託取引を行い、原告会社及び本件会社は損害を被ったとして、同被告に対し、損害賠償を求めた(乙事件)事案において、被告Y1が本件会社の元従業員らと共に本件造反行為を企てた事実は認められないとし、また、被告らには原告会社ら主張に係る善管注意義務違反も認められないなどと判断するとともに、被告Y1が不合理かつ不当な本件業務受託・再委託取引をしたということもできないと判断して、甲事件及び乙事件に係る各請求を棄却した事例

評釈
酒巻俊之・Monthly Report 83号12頁

参照条文
会社法423条1項
会社法429条1項
民法709条

裁判年月日  平成27年 5月28日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平23(ワ)16744号・平25(ワ)16973号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  甲事件請求棄却、乙事件請求棄却  文献番号  2015WLJPCA05288014

平成23年(ワ)第16744号 損害賠償請求事件(甲事件)
平成25年(ワ)第16973号 損害賠償請求事件(乙事件)

東京都千代田区〈以下省略〉
甲事件及び乙事件原告 株式会社X1(以下「原告X1社」という。)
同代表者代表取締役(被告Y2との関係) A1
同代表者監査役(被告Y1との関係) A2
東京都千代田区〈以下省略〉
株式会社X2訴訟承継人兼本人
甲事件原告 株式会社X3(以下「原告X3社」という。)
同代表者代表取締役 A3
上記2名訴訟代理人弁護士 加戸茂樹
同 角田大憲
同訴訟復代理人弁護士 小山雄輝
東京都東大和市〈以下省略〉
甲事件及び乙事件被告 Y1(以下「被告Y1」という。)
千葉県松戸市〈以下省略〉
甲事件被告 Y2(以下「被告Y2」という。)
上記2名訴訟代理人弁護士 村中徹
同 柳原克哉
同 家近知直
同 木村啓
同 井上卓士

 

 

主文

1  原告らの請求をいずれも棄却する。
2  訴訟費用は原告らの負担とする。

 

事実及び理由

第1  請求
1  甲事件
被告らは,原告ら各自に対し,連帯して1億円及びこれに対する平成22年6月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2  乙事件
被告Y1は,原告X1社に対し,4301万6960円及びこれに対する平成21年7月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
1  甲事件は,原告らが,原告X3社西日本統括支店の従業員らが平成21年5月から同年6月にかけて集団で退職し,株式会社a(以下「a社」という。)に就職した上,同支店の取引先7社を奪取したところ,その当時,株式会社X2(平成25年3月31日に原告X3社に吸収合併された。以下「X2社」というが,平成19年5月1日の原告X3社との経営統合前のX2社を「旧X2社」ということがある。)の代表取締役かつ原告X1社の取締役であった被告Y1及びX2社の取締役かつ原告X3社の従業員であった被告Y2は,上記の集団での転職及び取引先の奪取に加担し,又はこれを予見し防止すべき義務を負っていたにもかかわらずこれを怠った結果,原告らが1億円を下らない損害を被ったなどと主張して,原告X3社は,被告らに対し,会社法429条1項若しくは民法709条又はX2社の地位を承継したことによる会社法423条1項に基づき,原告X1社は,被告Y1に対して会社法423条1項又は民法709条に,被告Y2に対して会社法429条1項又は民法709条にそれぞれ基づき,連帯して,上記1億円及びこれに対する履行請求日(平成22年6月3日)の翌日の後又は不法行為日の後である平成22年6月25日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事件である。
乙事件は,原告X1社が,X2社の代表取締役であった被告Y1は,同社をして,イー・モバイル株式会社(以下「イー・モバイル」という。)から家電量販店における通信機器等の販売促進業務を受託させ(以下「本件業務受託」という。),これを何らのマージン・口銭を得ないままa社に再委託させた(以下「本件再委託」といい,イー・モバイルとX2社(原告X3社に引き継がれた後のものを含む。)との間及びX2社とa社との間の取引を併せて「本件業務受託・再委託取引」という。)ため,原告X3社及びX2社は合計4301万6960円の損害を被ったなどと主張して,被告Y1に対し,会社法423条1項に基づき,上記4301万6960円及びこれに対する本件業務受託・再委託取引の日の後である平成21年7月1日から支払済みまで上記と同様の遅延損害金の支払を求める事件である。
2  前提事実(証拠等によって認定した事実は,末尾に証拠等を掲げた。その余は当事者間に争いがない。)
(1)  当事者等
ア 原告X3社は,労働者派遣事業等を目的として,平成7年2月22日,当時の代表取締役であったA1(以下「A1社長」という。)及びその妻A3により設立された株式会社である。
X2社は,電話通信回線利用加入者の募集及びその利用権販売促進に関する代理業等を目的として,平成9年11月11日,被告Y1により設立された株式会社であるが,平成25年3月31日,原告X3社に吸収合併された。
原告X1社は,労働者派遣事業等を営む会社の株式を所有することにより当該会社の事業活動を支配・管理することを目的として,平成19年5月1日に設立された株式会社である。原告X1社は,原告X3社の完全親会社であり,上記合併前はX2社の完全親会社でもあった。
イ 被告Y1は,X2社の設立時~平成21年6月30日同社の代表取締役であり,平成19年5月1日~平成21年6月30日原告X1社の取締役であった者である。(甲38,39の1・2)
被告Y2は,平成10年3月X2社の従業員となり,平成14年7月31日~平成21年6月30日(ただし,一時期を除く。)X2社の取締役兼従業員であった者であり,同年4月1日転籍により原告X3社の従業員となり,原告X1社に出向していた者である。
ウ a社は,労働者派遣事業等を目的として,平成18年11月21日に設立された株式会社である。A4(以下「A4社長」という。)は,同社の創業者であり,同社の設立時以降代表取締役を務めている者である。
イー・モバイルは,家電量販店等において通信機器等に係る販売促進業務等を行う株式会社であり,原告X3社やX2社(旧X2社を含む。)等に対し,当該業務を委託していた。なお,イー・モバイルは,平成17年1月イー・アクセス株式会社の子会社として設立された会社であり,業務委託契約の締結主体には,イー・アクセス株式会社がなる場合とイー・モバイルがなる場合とがあった(以下,いずれが契約を締結する場合も,締結主体は「イー・モバイル」と呼称するものとする。)。(甲399)
(2)  原告X3社等とX2社等との経営統合等
ア 原告X3社並びにそのグループ会社である株式会社b,株式会社c(以下「c社」という。)及び株式会社dは,X2社並びにそのグループ会社であるe株式会社(以下「e社」という。)及び株式会社fとともに,平成19年5月1日,共同して株式移転を行い(以下「本件株式移転」という。),株式移転設立完全親会社として原告X1社を設立した。被告Y1は,同日当時,X2社の全株式を保有していたが,本件株式移転に伴い,原告X1社の株式415株(当時の発行済み株式総数1980株の約21%)を取得した。(甲1,2,38,乙48)
イ X2社は,家電量販店におけるセールスサポート業務(取引先が行う通信機器等に係る販売業務・販売促進業務について,スタッフを派遣し,又は取引先からこれらの業務を請け負って同業務にスタッフを従事させる業務。以下「本件SS業務」という。)を行っていたが,平成19年7月10日付けで,原告X3社との間で,同年9月1日を効力発生日として,本件SS業務等に係る営業部門の事業に関して有する権利義務を,分割後原告X3社に承継させる内容の吸収分割契約を締結した(以下「本件吸収分割契約」という。)。(甲48)
ウ X2社は,本件株式移転の後,その情報システム部門において,原告X1社及びその子会社(以下,これらの会社を「原告グループ会社」という。)全体の情報システムを管理していたが,平成21年3月27日に開催された原告X1社の取締役会において,X2社の情報システム部門が担当していた情報システム機能を原告X1社の情報システム部に移管し(以下「本件移管」という。),今後は同部において原告グループ会社全体の情報システムを一括管理することが決定され,同年4月1日付けで本件移管が実行された(ただし,移管された業務の具体的内容や実際に移管された時期については当事者間に争いがある。)。(甲6)
被告Y2は,平成21年3月までは,X2社において情報システム部門の責任者を務めていたが,本件移管に伴い,同年4月1日転籍により原告X3社の従業員となり,原告X1社に出向し,同社において引き続き情報システム部の統括業務に従事していた。
(3)  本件業務受託・再委託取引
被告Y1は,旧X2社の代表取締役として,イー・モバイルの家電量販店における通信機器等の販売促進業務を受託した。そして,本件業務受託・再委託取引は,少なくとも平成19年5月1日~同年8月31日継続し,同年9月1日以降,原告X3社が同取引を引き継いだ。
(4)  原告X3社西日本統括支店の組織,業務内容及び当該業務の終了等(ただし,被告らが,当時,次のア及びイ(ア)~(キ)の各事実関係を認識していたか否かについては,当事者間に争いがある。)
ア 原告X3社西日本統括支店は,平成21年5月当時,支店長及びA5(以下「A5」という。)を含む2名の支店長代理の下,従業員が,オフィスワークグループ(OWG),ワークスグループ(WSG)及びセールスサポートグループ(SSG)の3グループに分けて組織されており,セールスサポートグループの中の家電量販店SSGが本件SS業務を担当していた。家電量販店SSGには,19名の従業員が所属していた。
イ 原告X3社西日本統括支店が本件SS業務を提供する取引先には,平成21年5月当時,兼松コミュニケーションズ株式会社(以下「兼松コミュニケーションズ」という。),株式会社新通エスピー(以下「新通SP」という。),日本エイサー株式会社(以下「日本エイサー」という。),株式会社第一エージェンシー(以下「第一エージェンシー」という。),株式会社エヌ・ティ・ティ・アド(以下「NTTアド」という。),KDDI株式会社(以下「KDDI」という。),イー・モバイルがあり(以下,これらの会社を併せて「本件各取引先」という。),原告X3社と本件各取引先との間の取引内容は,概ね次のとおりであった。
(ア) 兼松コミュニケーションズ
原告X3社は,兼松コミュニケーションズとの間で,平成21年3月1日付けで「労働者派遣基本契約書」を取り交わした上,これに基づく個別契約を締結し,兼松コミュニケーションズが家電量販店において行う携帯電話販売業務等に従事させるため,原告X3社に登録された派遣スタッフを派遣していた。個別契約を締結する期間の終期は,同年6月末日であった。(甲18)
(イ) 新通SP
原告X3社は,新通SPとの間で,平成19年12月1日付けで「労働者派遣に関する基本契約書」を取り交わした上,これに基づく個別契約を締結し,新通SPが家電量販店において行う店頭販売支援業務等に従事させるため,原告X3社に登録された派遣スタッフを派遣していた。個別契約を締結する期間の終期は,平成21年5月末日であった。(甲19)
(ウ) 日本エイサーとの取引内容
原告X3社は,日本エイサーとの間で,平成20年9月30日付けで「業務委託基本契約書」を取り交わした上,これに基づく個別契約を締結し,家電量販店におけるパソコン販売業務等を請け負い,同業務を実施していた。個別契約を締結する期間の終期は,平成21年6月末日であった。(甲20)
(エ) 第一エージェンシーとの取引内容
原告X3社は,第一エージェンシーとの間で,「労働者派遣基本契約書」を取り交わした上,これに基づく個別契約を締結し,第一エージェンシーが家電量販店において行う販売業務等に従事させるため,原告X3社に登録された派遣スタッフを派遣していた。個別契約を締結する期間の終期は,平成21年6月末日であった。(甲21の1~5)
(オ) NTTアドとの取引内容
a 原告X3社は,NTTアドとの間で,業務委託契約を締結して家電量販店における販売促進業務等を請け負い,同業務を実施していた。最終の契約期間の終期は,平成21年6月末日であった。(甲22の1)
b e社は,NTTアドとの間で,平成21年3月31日付けで「フレッツ販売ブース運営ならびに販売促進業務に関わる基本契約」を取り交わした上,これに基づく個別契約を締結し,家電量販店における販売ブース運営及び販売促進業務を請け負ってこれを実施しており,原告X3社は,e社との間で,労働者派遣契約を締結し,e社が行う上記業務に従事させるため,原告X3社に登録された派遣スタッフを派遣していた。e社とNTTアドとの間で個別契約を締結する期間の終期は,同年6月末日であった。(甲22の2・3)
(カ) KDDIとの取引内容
原告X3社は,KDDIとの間で,平成14年2月1日付けで「労働者派遣基本契約書」を取り交わした上,これに基づく個別契約を締結し,KDDIが家電量販店において行う販売支援業務等に従事させるため,原告X3社に登録された派遣スタッフを派遣していた。個別契約を締結する期間の終期は,平成21年6月末日であった。(甲23)
(キ) イー・モバイルとの取引内容
原告X3社は,イー・モバイルとの間で,平成21年4月1日付け業務委託契約を締結し,家電量販店における販売支援業務等を請け負ってこれを実施していた。契約期間の終期は,もともと同年6月末日であったが,同契約に基づき,3か月間の自動延長及び解約がされた結果,同年8月末日となった。(甲24)
(5)  原告X3社西日本統括支店の従業員らの転職等(ただし,被告らが当時,次のイ及びウの各事実を認識していたか否かについては,当事者間に争いがある。)
ア A5は,X2社の取締役兼従業員であったが,平成20年8月転籍により原告X3社の従業員となり,一旦は西日本支店統括大阪支社長として勤務していたが,平成21年4月,西日本統括支店支店長代理に降格され,セールスサポートグループの担当者として本件SS業務に従事していた。
イ A6,A7,A8,A9,A10,A11,A12,A13,A14,A15,A16,A17,A18,A19及びA20(以下,これら15名を併せて「X2社元従業員ら」といい,A6を「A6」という。)は,もともとX2社の従業員であったが,経営統合に伴って原告X3社の従業員となった。平成21年5月当時,A6はセールスサポートグループ長であり,A20はe社に出向しており,その余のX2社元従業員らは家電量販店SSGに所属していたが,いずれも原告X3社西日本統括支店において,本件SS業務に従事していた。
ウ A6は,平成21年5月31日,原告X3社を退職し,同年6月1日,a社に就職して,同社大阪支店の支店長となった。
また,X2社元従業員らのうちA6以外の14名は,平成21年6月頃原告X3社を退職し,そのうちA14及びA19を除く12名は,その頃a社に就職した(以下「本件集団転職」という。)。
(6)  被告Y2による本件SS業務の管理のためのシステムの売却等
ア X2社は,もともと被告Y1が製作したシステム(以下「本件派遣管理システム」という。)を用いて,本件SS業務等に係る派遣売上の計上,取引先への請求,派遣スタッフの給与計算・シフト管理・出退勤管理等,本件SS業務の管理を行っており,本件移管の前までは本件派遣管理システム自体の管理業務も行っていたが,本件移管後は,原告X1社の情報システム部が同管理業務を行うこととなった。
イ 被告Y2は,a社に対し,次の(ア)ないし(カ)の行為(以下「本件派遣管理システムの売却等」という。)を行った。
(ア) X2社は,平成21年3月1日付けでa社に対し,本件派遣管理システムを代金112万5000円(税別)売却する(具体的には,有償で,本件派遣管理システムに係るプログラムをサーバーにインストールし,同サーバーの占有をa社に移転する。)等の内容の契約を締結するとともに,情報システム部門に所属する部下の従業員をして,本件派遣管理システムを使用するための機器の手配や設定作業を行わせた(ただし,①納入されたシステムに具体的にいかなるカスタマイズがされていたか,②本件派遣管理システムと納入されたシステムとは同一のシステムといえるかについては,当事者間に争いがある。)。(甲7)
(イ) 被告Y2は,平成21年5月頃,KDDI株式会社に対し,a社大阪支店で使用するシステム関連機器である構内交換機(PBX)の見積りを依頼した。(甲8,9)
(ウ) 被告Y2は,平成21年6月12日及び同月13日,a社大阪支店のA6支店長の依頼を受け,自ら同支店に赴き,同支店のネットワーク設定作業を行った。(甲10)
(エ) 被告Y2は,平成21年6月頃,a社東京本社に納入するビジネス電話機30台を発注した。(甲11)
(オ) 被告Y2は,平成21年6月頃,a社福岡支店に納入するネットワーク関連機器の手配及び同支店のネットワークの設定を行った。(甲12,13)
(カ) 被告Y2は,平成21年5月29日及び同年6月22日,ターボソリューションズ株式会社に対し,ネットワーク機器2台を発注し,KDIソリューション株式会社を経由して,同機器をa社に提供した。(甲14~16)
3  争点
[甲事件関係]
(1) 被告Y1の責任原因(争点1)
(2) 被告Y2の責任原因(争点2)
(3) 損害(争点3)
[乙事件関係]
(4) 本件業務受託・再委託取引に係る被告Y1の責任原因(争点4)
(5) 本件業務受託・再委託取引に係る損害(争点5)
4  当事者の主張
[甲事件関係]
(1) 争点1(被告Y1の責任原因)について
(原告らの主張)
ア 主位的主張
(ア) X2社元従業員らは,平成21年5月頃から同年6月頃にかけて,本件各取引先に対し,原告X3社との取引をやめてa社と取引をするよう働き掛け,その結果,本件各取引先は,同年5月末日,同年6月末日又は同年8月末日限りで原告X3社との取引を終了させた上,a社との間で,同様の取引を開始した(以下「本件取引移転」という。)。
(イ) 本件集団転職及び本件取引移転(以下,両者を併せて「本件造反行為」という。)は,A5及びX2社元従業員らが,共同で計画的に行ったものである。
(ウ) 被告Y1は,A5及びX2社元従業員らと共に,本件造反行為を企てた。
(エ) 上記(ウ)の被告Y1の行為は,故意に原告らに損害を与える行為であり,原告らに対する不法行為に該当するとともに,X2社及び原告X1社の取締役としての善管注意義務に違反する。
イ 予備的主張1
(ア) 上記ア(ア)及び(イ)と同じ
(イ) 被告Y1は,A5及びX2社元従業員らが本件造反行為を計画していることを知っていたにもかかわらず,被告Y2に対し本件派遣管理システムの売却等を指示し,又は被告Y2が本件派遣管理システムの売却等を行うことを知りながらこれを阻止しなかった。
(ウ) 本件派遣管理システムの売却等は,本件造反行為を実務上円滑に実行するために必要な行為であるところ,上記(イ)の被告Y1の行為は,故意に原告らに損害を与える行為であるといえるから,原告らに対する不法行為に該当するとともに,X2社及び原告X1社の取締役としての善管注意義務に違反する。
ウ 予備的主張2
(ア) 上記ア(ア)及び(イ)と同じ
(イ) 被告Y1は,被告Y2に対し本件派遣管理システムの売却等を指示し,又は被告Y2が同行為を行うことを知りながら阻止しなかった。
(ウ) 本件派遣管理システムの売却等は,本件造反行為を実務上円滑に実行するために必要な行為であるから,被告Y1は,被告Y2が本件派遣管理システムの売却等を行った時点で,A5及びX2社元従業員らが本件造反行為を行うことを予見すべきであり,かつ,同行為を阻止するために必要な措置をとるべき義務を負っていたにもかかわらず,これを怠り,その結果,本件造反行為が行われたものであるから,被告Y1の上記不作為は,原告らに対する不法行為に該当するとともに,X2社及び原告X1社の取締役としての善管注意義務に違反する。
エ 予備的主張3
(ア) 被告Y1は,被告Y2に対し本件派遣管理システムの売却等を指示し,又は被告Y2が同行為を行うことを知りながら阻止しなかった。
(イ) 被告Y2がa社に対し行った本件派遣管理システムの売却等は,費用の面でX2社の損失においてa社を利する行為であるところ,被告Y1が,被告Y2に対し本件派遣管理システムの売却等を指示し,又は被告Y2が本件派遣管理システムの売却等を行うことを知りながらこれを阻止しなかったことは,それ自体が原告ら又はX2社に対する不法行為に該当するとともに,X2社及び原告X1社の取締役としての善管注意義務に違反する。
(被告らの認否)
ア 原告らの主張ア(主位的主張)(ア)ないし同(ウ)は否認し,同(エ)は争う。
イ(ア) 原告らの主張イ(予備的主張1)(ア)は否認する。
(イ) 同(イ)のうち,被告Y1が,被告Y2が本件派遣管理システムの売却等のうち前記2(6)イ(ア),(エ)及び(カ)の行為をしていることを知っていたことは認め(ただし,被告Y1は,被告Y2のこれらの行為について,X2社における少額の通常取引であるとの認識を有していたにすぎない。),その余は否認する。
(ウ) 同(ウ)は争う。
ウ(ア) 原告らの主張ウ(予備的主張2)(ア)は否認する。
(イ) 同(イ)のうち,被告Y1が,被告Y2が本件派遣管理システムの売却等のうち前記2(6)イ(ア),(エ)及び(カ)の行為をしていることを知っていたことは認め(ただし,被告Y1は,被告Y2のこれらの行為について,X2社における少額の通常取引であるとの認識を有していたにすぎない。),その余は否認する。
(ウ) 同(ウ)は争う。
エ(ア) 原告らの主張エ(予備的主張3)(ア)のうち,被告Y1が,被告Y2が本件派遣管理システムの売却等のうち前記2(6)イ(ア),(エ)及び(カ)の行為をしていることを知っていたことは認め(ただし,被告Y1は,被告Y2のこれらの行為について,X2社における少額の通常取引であるとの認識を有していたにすぎない。),その余は否認する。
(イ) 同(イ)は争う。
(2) 争点2(被告Y2の責任原因)について
(原告らの主張)
ア 主位的主張
(ア) 上記(1)(原告らの主張)ア(ア)及び同(イ)と同じ。
(イ) 被告Y2は,A5及びX2社元従業員らが本件造反行為を計画していることを知りながら,a社に対し,本件派遣管理システムの売却等を行った。
(ウ) 本件派遣管理システムの売却等は,本件造反行為を実務上円滑に実行するために必要な行為であるところ,上記(イ)の被告Y2の行為は,故意に原告らに損害を与える行為であるといえ,原告らに対する不法行為に該当するとともに,X2社の取締役として善管注意義務に違反する。
イ 予備的主張1
(ア) 上記ア(ア)と同じ。
(イ) 本件派遣管理システムの売却等は,本件造反行為を実務上円滑に実行するために必要な行為であるから,被告Y2は,本件派遣管理システムの売却等を行った時点で,A5及びX2社元従業員らが本件造反行為を行うことを予見すべきであり,かつ,同行為を阻止するために必要な措置をとるべき義務を負っていたにもかかわらず,これを怠り,その結果,本件造反行為が行われたのであるから,被告Y2の上記不作為は,原告らに対する不法行為に該当するとともに,X2社の取締役としての善管注意義務に違反する。
ウ 予備的主張2
被告Y2がa社に対し行った本件派遣管理システムの売却等は,費用の面でX2社の損失においてa社を利する行為であり,それ自体が原告ら又はX2社に対する不法行為に該当するとともに,X2社の取締役としての善管注意義務に違反する。
(被告らの認否)
ア 原告らの主張ア(主位的主張)(ア)及び同(イ)は否認し,同(ウ)は争う。
イ 原告らの主張イ(予備的主張1)(ア)は否認し,同(イ)は争う。
ウ 原告らの主張ウ(予備的主張2)は争う。
(3) 争点3(損害)について
(原告らの主張)
ア 主位的主張
(ア)a 被告らの前記不法行為・任務懈怠行為により,本件造反行為が実行されたため,原告X3社は,兼松コミュニケーションズ,新通SP,日本エイサー,第一エージェンシー,NTTアド及びKDDIとの間で,次の期間,取引をすることができなかった。
(a) 兼松コミュニケーションズとの取引:平成21年6月~平成23年1月(20か月間。ただし,平成21年9月30日までのもの(4か月間),同年12月31日までのもの(7か月間)及び平成22年4月15日までのもの(10.5か月間)もある。)
(b) 新通SPとの取引:平成21年6月~平成25年11月(54か月間)
(c) 日本エイサーとの取引:平成21年7月~平成22年1月(7か月間)
(d) 第一エージェンシーとの取引:平成21年6月~平成25年11月(54か月間)
(e) NTTアドとの取引(e社を介した間接取引も同じ。):平成21年7月~平成25年11月(53か月間)
(f) KDDIとの取引:平成21年7月~平成23年3月(21か月間)
b そして,原告X3社が上記aの各取引により得ることができた月平均利益額相当額は,原告X3社と兼松コミュニケーションズ,新通SP,日本エイサー,第一エージェンシー,NTTアド(e社を介した間接取引を含む。)及びKDDIとの間における平成21年1月から同年6月までの間の各取引(ただし,兼松コミュニケーションズ,新通SP及び第一エージェンシーとの各取引については同年1月から同年5月までの間)に係る原告X3社の売上高に,15%の粗利率を乗じた額の平均であって,具体的には次のとおりである。
(a) 兼松コミュニケーションズとの取引:月額27万2687円
(b) 新通SPとの取引:月額35万2339円
(c) 日本エイサーとの取引:月額29万6503円
(d) 第一エージェンシーとの取引:月額28万9811円
(e) NTTアドとの取引((f)を除く。):月額181万1433円
(f) e社を介したNTTアドとの取引:月額157万2713円
(g) KDDIとの取引:月額55万9406円
c 原告X3社は,本件造反行為により上記aの各取引をすることができなかったため,次のとおり,各取引における得べかりし利益相当額の合計2億3068万8013円の損害を被った。
(a) 兼松コミュニケーションズとの取引:282万9128円(1円未満を四捨五入)〔月額27万2687円×(4か月間+7か月間+10.5か月間+20か月間)÷4〕(4か月間,7か月間,10.5か月間及び20か月間の各取引期間の損害額の4分の1ずつを合算したもの)
(b) 新通SPとの取引:1902万6306円〔月額35万2339円×54か月間〕
(c) 日本エイサーとの取引:207万5521円〔月額29万6503円×7か月間〕
(d) 第一エージェンシーとの取引:1564万9794円〔月額28万9811円×54か月間〕
(e) NTTアドとの取引((f)を除く。):9600万5949円〔月額181万1433円×53か月間〕
(f) e社を介したNTTアドとの取引:8335万3789円〔月額157万2713円×53か月間〕
(g) KDDIとの取引:1174万7526円〔月額55万9406円×21か月間〕
d 原告X3社は,平成21年8月11日,a社に対し,本件造反行為に基づく損害賠償請求権を自働債権とし,業務委託料の支払債務1946万8170円を受働債権として,対当額で相殺するとの意思表示をした。また,a社は,平成25年9月11日,原告X3社に対し,本件造反行為に基づく損害賠償債務のうち6009万4874円及びこれに対する遅延損害金を支払った。
e したがって,原告X3社が本件造反行為により被った損害の残額は,上記cの合計額2億3068万8013円から7964万6250円(上記dの1946万8170円及びこれに対する平成21年8月1日から同月26日までの商事法定利率年6分の遅延損害金8万3206円並びに上記dの6009万4874円の合計額)を控除した1億5104万1763円である。
(イ) 被告らの行為により直接損害を被ったのは,本件各取引先との間の取引の終了を余儀なくされた原告X3社であるが,原告X1社は,原告X3社の完全親会社であるから,本件造反行為により原告X3社に生じた損害に相当する資産が減少し,これと同額の損害を被ったものである。
イ 予備的主張
仮に,本件派遣管理システムの売却等と本件造反行為との間に相当因果関係が認められないとしても,原告ら又はX2社は,①本件派遣管理システムの売却等により競業他社であるa社を利し,原告らが失うことになった得べかりし利益に相当する1億5104万1763円の損害を被り,又は②本件派遣管理システムの売却等に係る適正価格4905万6000円とa社が実際に支払った価格118万1250円との差額に相当する4787万4750円の損害を被った。
(被告らの認否)
原告らの主張は否認又は争う。
[乙事件関係]
(4) 争点4(本件業務受託・再委託取引に係る被告Y1の責任原因)について
(原告X1社の主張)
ア 被告Y1は,原告X1社の取締役であり,同社を犠牲にして自己又は第三者の利益を図ってはならない善管注意義務・忠実義務又は同社の子会社であるX2社及び原告X3社に損失が生じるような取引をしないよう注意すべき善管注意義務・忠実義務を負っていた(会社法355条,330条,民法644条)。
イ しかるに,次のとおり,被告Y1は,X2社の代表取締役として,遅くとも平成19年4月までに,X2社をしてイー・モバイルの家電量販店における通信機器等の販売促進業務を受託させ(本件業務受託),これを何らのマージン・口銭を得ないままa社に再委託させた(本件再委託)ものであり,この本件業務受託・再委託取引は,本件吸収分割契約が効力を生じた後も,イー・モバイル,原告X3社及びa社の間で継続された。
(ア) 本件業務受託・再委託取引は,経営統合後の平成19年5月から本件吸収分割契約が効力を生じる前である同年8月まではX2社を介入させて行われたところ,この間の各月ごとのX2社のイー・モバイルに対する請求額は別表の取引番号1~4に対応する「イーモバイルに対する請求」欄中の「請求額」欄に,X2社のa社に対する支払額は同表の同番号に対応する「a社に対する支払い」欄中の「支払額」欄に,X2社の収支は同表の同番号に対応する「差し引き」欄にそれぞれ記載のとおりである。X2社のイー・モバイルに対する請求単価と,X2社のa社に対する支払単価とは全く同額であって(端数切上げの関係で,ごく僅かな誤差は生じている。),X2社に利益が生じていないばかりか,立替金名目での精算処理の都合等により,毎月,X2社のイー・モバイルからの業務受託料額よりもX2社のa社に対する再委託料額の方が多くなっており,累計では,同表の「1~4合計」に対応する「差し引き」欄に記載のとおり,44万3814円の損失となっていた。
(イ) 本件業務受託・再委託取引は,本件吸収分割契約が効力を生じた平成19年9月から同取引を終了した平成21年6月までは原告X3社を介入させて行われたところ,この間の各月ごとの原告X3社のイー・モバイルに対する請求額は別表の取引番号5~26に対応する「イーモバイルに対する請求」欄中の「請求額」欄に,原告X3社のa社に対する支払額は同表の同番号に対応する「a社に対する支払い」欄中の「支払額」欄に,原告X3社の収支は同表の同番号に対応する「差し引き」欄にそれぞれ記載のとおりである。原告X3社のイー・モバイルに対する請求単価と,原告X3社のa社に対する支払単価とは全く同額であって,端数切上げの関係により僅かに黒字となっている月もあるが,立替金名目での精算処理の都合等により,原告X3社のイー・モバイルからの業務受託料額よりも原告X3社のa社に対する再委託料額の方が多くなっている月もあり,累計では,同表の「5~26合計」に対応する「差し引き」欄に記載のとおり,27万1859円の損失となっていた。
ウ しかし,本件業務受託・再委託取引において,イー・モバイルから委託を受けたX2社又は原告X3社(以下「X2社ら」という。)は,a社から発行される請求書その他の帳票を受領し,その内容を検討及び確認して,イー・モバイルに対する請求書の発行やa社に対する支払手続等の事務作業を行っていた。また,X2社らのa社に対する支払及びイー・モバイルのX2社らに対する支払は,いずれも当月末締めの翌月末払の約定であったから,X2社らからイー・モバイルへの請求が,a社からX2社らへの請求の翌月になる可能性があり,その場合には,X2社らのa社に対する支払がイー・モバイルのX2社らに対する支払よりも1か月早くなるため,X2社らは1か月間の資金負担を余儀なくされる可能性があった(ただし,実際には,そのような資金負担はX2社らに生じなかった。)。さらに,X2社らは,本件再委託先であるa社に債務不履行等があった場合,本件業務受託の委託元であるイー・モバイルに対して法的責任を負うおそれがあった。このように,本件業務受託・再委託取引は,不合理かつ不当な取引であった。
エ また,人材を派遣する会社は,受託した業務を再委託する場合,委託者から受領した委託料から10%以上の金額を控除して再委託料を決定し,当該金額は自己の取り分とするのが通常であるところ,本件業務受託・再委託取引はそのような契約内容となっていない(同取引は,a社がイー・モバイルと直接取引をすることができなかったためにX2社らが中間に介在して行われたものであって,もともとa社の便宜を図るためのものであったから,X2社らがa社に自己の取り分を要求すれば,a社がこれに応じたことは明らかである。)。
オ さらに,被告Y1は,本件業務受託・再委託取引に係る業務が本件吸収分割契約により原告X3社に移管された後も,同業務についての事実上の最終決定者であったにもかかわらず,原告グループ会社関係者に対し,同取引の無償性につき何らの告知をせずにこれを秘し,同取引を継続させた。
カ したがって,本件業務受託・再委託取引は,X2社らの損失及び犠牲において,第三者であるa社の利益を図り,X2社らに損失を生じさせるものであるから,被告Y1は,原告X1社の取締役としての善管注意義務・忠実義務に違反する。
(被告Y1の主張)
ア 原告X1社の主張のうち,被告Y1が,X2社の代表取締役であった当時,X2社をしてイー・モバイルの家電量販店における通信機器等の販売促進業務を受託させ(本件業務受託),これをa社に再委託させた(本件再委託)こと,本件業務受託・再委託取引は平成19年5月1日~同年8月31日継続したこと,X2社が受託した販売促進業務は,同年9月1日本件吸収分割契約により原告X3社に移管されたことは認めるが,その余は否認又は争う。
イ 平成19年5月~同年8月の本件業務受託・再委託取引の当否については,X2社が,イー・モバイルとの取引全体からどのように利益を取得していたかという観点から検討すべきであって,X2社がイー・モバイルから受託した業務のうちa社に再委託した一部の業務のみを抜き出し,当該業務部分について利益が出ていないと主張することは,極めて一面的であって,主張自体失当である。
ウ 仮にそうでないとしても,X2社は,平成18年10月31日付けでイー・モバイルと業務委託契約を締結したところ,イー・モバイルが平成19年3月頃新たなサービスを開始することに伴い,イー・モバイルから委託を受ける業務の量が増加することが見込まれ,X2社のスタッフのみでは当該業務を履行できないおそれがあり,さらには,X2社が当該業務を履行するのに必要なスタッフを確保できなければ,イー・モバイルからの業務委託を打ち切られるおそれがあったため,イー・モバイルとの契約における元請業者としての地位を確保する目的で,同月以降,受託業務の一部をa社に再委託する(本件再委託)こととしたものであって,その判断は合理的な経営判断である。
エ また,本件業務受託・再委託取引においては,販売促進業務に従事する1~50人のスタッフ数(業務数)に応じて,事務局運営費として1~5業務分の業務委託費を支払うこととされていたところ,事務局運営業務に専従するスタッフ等は存在せず,事務局運営費は,事実上,本件業務受託・再委託取引におけるX2社の利益となるものであった。
a社は,X2社から本件再委託を受けるに当たり,同社に対し,同社がイー・モバイルに対し請求しているのと同様の事務局運営費を請求することとしたい旨を申し出た。そこで,X2社は,本件再委託をするに当たり,イー・モバイルに請求する事務局運営費の計算方法を変更することとし,同社との間で,同社からの受託業務のため必要なスタッフ数(業務数)にかかわらず,原則として2業務分の事務局運営費を追加して請求することができることを合意した上,これをX2社とa社とで1業務分ずつ配分して取得するととした(ただし,実際に,イー・モバイルに対し請求する事務局運営費が2業務分追加されたのは,a社と再委託契約が開始された翌月の平成19年4月分からである。)。
オ 平成19年9月以降の本件業務受託・再委託取引について,X2社の受託していた通信機器等の販売促進業務等は,同月1日以降原告X3社に移管され,これに伴い,被告Y1は,同日以降,原告X3社が行う販売促進業務等の担当から外れることとなり,原告X3社における業務遂行に関して何らの権限をも有しないこととなった。
カ 原告X1社は,被告Y1が,原告グループ会社関係者に対し,本件業務受託・再委託取引の無償性を告知せずにこれを秘し,同取引を継続させたなどと主張する。
しかし,原告X1社の主張においては,そもそも被告Y1が原告に対し,いかなる根拠に基づき,いかなる事実を告知すべき義務を負うのかが判然としていないから,同主張は失当である。また,前記のとおり,X2社が平成19年8月31日まで行っていた本件業務受託・再委託取引は利益が出ない取引ではなかったから,被告Y1が原告X1社に対し,何らかの告知義務を負うことはない。
(5) 争点5(本件業務受託・再委託取引に係る損害)について
(原告X1社の主張)
ア X2社がした無償取引
(ア) 本件業務受託・再委託取引のうちX2社が介入した平成19年5月~同年8月の取引による損失は,前記のとおり,44万3814円である。
(イ) X2社は,本件業務受託・再委託取引が通常の取引であれば,イー・モバイルから受領する委託料の少なくとも10%以上のマージン等を得ていたから,本件業務受託・再委託取引の実施により,逸失利益として,少なくとも上記委託料3238万0812円(別表の「1~4合計」に対応する「イーモバイルに対する請求」欄中の「委託料」欄参照)の10%相当額である323万8080円の損害を被った(同表の「1~4合計」に対応する「管理費10%と想定した場合の当社粗利」欄参照)。
(ウ) したがって,X2社は,本件業務受託・再委託取引の実施により,368万1894円(X2社の累計損失44万3814円+逸失利益323万8080円。同表の「1~4合計」に対応する「訴外X2社らの逸失利益」欄参照)の損害を被った。
イ 原告X3社がした無償取引
(ア) 本件業務受託・再委託取引のうち原告X3社が介入した平成19年9月~平成21年6月の取引による損失は,前記のとおり,27万1859円である
(イ) 原告X3社は,本件業務受託・再委託取引が通常の取引であれば,イー・モバイルから受領する委託料の少なくとも10%以上のマージン等を得ていたから,本件業務受託・再委託取引の実施により,逸失利益として,少なくとも上記委託料3億9063万2174円(別表の「5~26合計」に対応する「イーモバイルに対する請求」欄中の「委託料」欄参照)の10%相当額である3906万3207円の損害を被った(同表の「5~26合計」に対応する「管理費10%と想定した場合の当社粗利」欄参照)。
(ウ) したがって,原告X3社は,本件業務受託・再委託取引の実施により,3933万5066円(原告X3社の累計損失27万1859円+逸失利益3906万3207円。同表の「5~26合計」に対応する「訴外X2社らの逸失利益」欄参照)の損害を被った。
ウ 以上のとおり,本件業務受託・再委託取引の実施による全体の損害額は,4301万6960円(368万1894円+3933万5066円)である。
(被告Y1の主張)
ア 原告の主張アの事実は否認し,主張は争う。
イ 同イの事実は知らず,主張は争う。
ウ 同ウは,争う。
第3  当裁判所の判断
[甲事件関係]
1  甲事件に係る事実経過
(1) 前記前提事実,証拠(後記認定事実末尾記載の各証拠のほか,甲74,94,130,188,194,198,370,378,402,403,414~416,422,乙97,99,証人A21,証人A22,証人A23,被告Y2,被告Y1)及び弁論の全趣旨によれば,甲事件に係る事実経過について,次の事実が認められる。
ア 被告Y1,被告Y2,A4社長,A24の関係
被告Y2,A4社長及びA24(以下「A24」という。)は,いずれもX2社の元従業員であり,被告Y1とは面識があった。とりわけ,被告Y1は,被告Y2やA5を自己の腹心として信頼していた。(甲29)
X2社とa社との間には,X2社が運営する「○○.com」にa社が求人広告を掲載したり,X2社の受託業務をa社が下請けとして再受託したりするなど,継続的な取引関係があった。(乙8)
被告Y1は,平成21年4月,A4社長からa社の株式134株(発行済株式総数の33.5%)を代金670万円で譲り受け,他方,A4社長に対し,自己が代表取締役を務めるg株式会社の株式67株(発行済株式数の33.5%)を代金335万円で譲り渡し,株式の持合い状態となった。(甲51の1~4,52,53,377の1~3,418)
イ X2社の事業内容
X2社は,平成19年5月,本件株式移転により原告X1社の傘下に入り,同年9月には本件吸収分割契約により主力業務の一つであった本件SS業務を原告X3社に移管し,主として,原告グループ会社内部において情報システムの開発・保守等を行う情報システム部門としての役割と「○○.com」事業を担当することとなった。
ウ 役付取締役制度の廃止による被告Y1の副社長職解任
被告Y1は,経営統合後,A25(以下,「A25」又は「A25社長」ということがある。)と共に原告X1社の取締役副社長の地位にあったが,原告グループ会社の経営方針を巡ってA1社長と次第に意見を異にするようになり,平成20年11月10日,会社法370条に基づき,役付取締役制度の廃止により被告Y1及びA25の副社長職を解く旨の書面による取締役会決議がされた。(甲1,5)
エ 本件派遣管理システムの売却とこれに至る経緯等
(ア) 平成20年9月,いわゆるリーマンショックが発生し,X2社の「○○.com」事業の売上が激減したことから,X2社において法人営業を担当していたA24は,取引先であったa社との接点を増やすために,同年秋頃,同社に対してX2社が製作した派遣管理システムである「△△」及び給与前払いシステムである「□□」を売り込んだところ,a社からは,これらのシステムの使い勝手の悪さを理由に難色を示された。(甲415)
(イ) そこで,A24は,同年冬頃,a社に対し,「□□」と連動していない旧式の本件派遣管理システムを売り込んだところ,a社はこれを受け入れ,X2社がそのメンテナンスを行うことを前提として本件派遣管理システムを買い受けることとなった。(甲415)
この間,被告Y2は,被告Y1から指示を受け,平成21年1月28日見積書を作成して被告Y1に送信し,被告Y1の指示によりa社にも送信した。(甲17の1・2,436)
(ウ) X2社とa社は,平成21年3月1日付けで,本件派遣管理システムを売買代金112万5000円(税別)で売買する旨の契約を締結した。また,両社は,本件派遣管理システムの保守を目的として,月額代金を11万円,期間を同年6月1日から2年間とするシステム保守委託契約を締結しようとし,同年5月頃には,X2社作成に係る契約書案も作成されたが,後述の本件集団転職の発生等によりその締結までには至らなかった。(甲7,乙59,60)
(エ) もっとも,a社は,従前から派遣管理業務のために社内システム(株式会社マチス教育システム製作に係るもの。以下「a社旧システム」という。)を使用しており,本件派遣管理システムの売買契約締結後もa社旧システムの使用を継続し,a社が最終的に本件派遣管理システムの利用を開始したのは,平成21年9月から2か月間の並行テスト期間を経た後である同年11月であった。(甲190,乙62,63,67~69)
オ 本件派遣管理システム等の内容
(ア) 本件派遣管理システムは,もともと被告Y1がX2社のセールスサポート業務に利用するため,勤務時間外の数日間で個人的に作成したものが基礎となっており,その機能として,スタッフ情報管理,売上管理,シフト管理及び給与計算等の各機能を有するとともに,旧X2社において使用されていたグループウェア機能(交通費・経費精算,稟議承認ワークフロー,社内メール,会議室予約,出張予約,スケジュール管理,顧客台帳,社内文書管理等)をも有するものであった。本件派遣管理システムは,X2社内部におけるバージョンアップを経た後,平成19年5月1日の本件株式移転及び同年7月10日付け本件吸収分割契約により,本件SS業務を引き継いだ原告X3社において,引き続き使用されることとなった。なお,X2社において使用していた本件派遣管理システムのうちのグループウェア機能には,X2社の社外からインターネットを通じてアクセスすることができるようにするため,利用者を特定するための認証機能が備わっていたが,a社に販売したシステムにはこの認証機能は含まれていなかった。
他方,a社旧システムは,スタッフ管理機能,取引先管理機能,派遣先管理機能,スタッフ配置管理機能及び給与計算機能を備えていた。(乙58)
(イ) X2社は,本件派遣管理システムをa社に売却する以前にも,システムの外販事業の一環として,株式会社エフオープランニングに対し,本件派遣管理システムに類似するシステムを有償で供与した実績があった。もっとも,エフオープランニングに対する供与の形態は,いわゆるASPサービス(提供者であるASP事業者(Application Service Provider)が,インターネットを通じて顧客にビジネス用アプリケーションを使用させ,顧客は主にWebブラウザからASP事業者のサーバーにインストールされたアプリケーションを利用するもの)であり,システム(プログラムソース)の販売ではなかった。(甲424,乙19,20)
カ X2社の情報システム事業等の移管
平成21年3月27日に開催された原告X1社の取締役会において,同年4月1日以降,①X2社の情報システム事業(□□外販事業をはじめとして,情報システムを外販する事業を含む。)はc社に移管し,②X2社が担当していた原告グループ会社における情報システム部門としての役割は,他の間接部門と同様,原告X1社に移管し,グループ全体のシステム開発機能を強化すること,③X2社の「○○.com」事業は一旦休止し,負の部分を清算すること(ただし,既存の契約は継続することが前提となっていた。),④X2社の事業開発(中国事業の開発等)について,X2社に残すか,他社に移管するかは被告Y1に一任することが決議された。このうち,情報システム事業については,取締役会の席上,被告Y1から,システムの外販事業はどうなるのかとの質問があり,協議の結果,これをもc社に移管することとなった。(甲6)
もっとも,平成21年1月以降のX2社の情報システム事業及び「○○.com」事業の売上は,それぞれ,①同月が96万7500円,439万1600円,②同年2月が96万7500円,412万5000円,③同年3月が214万7300円,400万6000円,④同年4月が90万円,223万4000円,⑤同年5月が90万円,217万8000円,⑥同年6月が101万7500円,316万7000円,⑦同年7月が11万7500円,162万7000円であり,X2社の事業は,上記の取締役会決議の効力発生後も,「○○.com」事業を中心に継続していた。(甲410,420,乙25)
キ 被告Y2の本件派遣管理システムの売却等に係る対応
a社は,大阪市〈以下省略〉所在の面積23.10平方メートル(6.99坪)の事務所を賃借し,平成21年5月までこれを大阪支店事務所として使用していたが,同年5月19日付けで,大阪市〈以下省略〉所在の面積155.37平方メートル(約47.00坪)の事務所(座席・パソコンが約20設置され,半個室の面接ルーム3室や6人以上入ることができる研修ルームを備えたもの)を,期間同年6月1日から平成23年11月30日まで,敷金470万円,賃料月額47万円で賃借し,平成21年6月1日からこれを新事務所として使用するようになった(なお,上記旧事務所も平成22年8月31日までは使用を継続した。)。(甲275,288の3,368,369)
これに伴い,被告Y2は,a社から電話設備の敷設の話を聞き及び,平成21年5月頃,KDDIに対してa社大阪支店で使用する構内交換機(PBX)の見積りを依頼し,その結果をA4社長に報告し(結局,価格面で折り合わず,発注するに至らなかった。),同年6月4日にはパソコン10台を発注し,さらに,a社大阪支店の支店長となったA6の依頼を受け,同年6月12日及び翌13日年次休暇を取得して,自ら同支店のネットワーク設定作業を行った。(甲8~10)
ク X2社における労働問題の発生とX2社元従業員らの退職
X2社元従業員らは,本件株式移転及び本件吸収分割契約に伴い,平成20年8月原告X3社に転籍した。X2社元従業員らは,その際,X2社在籍中は支給を受けていた在籍手当が廃止になったものの,1か月25時間残業すれば給与額を維持することができる状況にあった。
原告X3社は,その後,業績悪化に伴い,平成21年1月以降は残業時間を月15時間とすること,同年3月は残業代なしとすることを目標として設定し,従業員にも周知した(ただし,サービス残業は禁止されていた。)。セールスサポートグループ長であったA6は,同月,原告X3社人事部のA26マネージャーから同部従業員の残業時間をゼロにする目標を達成するよう指示を受けたが,これを残業があったとしてもサービス残業とするように指示されたものと誤解し,西日本支店統括部大阪支社長であったA5は,セールスサポートグループの従業員の残業代の申請を全て却下したため,X2社元従業員らの多くは,サービス残業を強いられる結果となった。A5やA6は,上司に対し,セールスサポートグループの業務量からすると残業時間をゼロにすることは無理であるなどと具申していたが,A5は,同年4月1日付けで西日本統括支店支店長代理に降格となり,A6は,同年5月1日付けで名古屋に異動するよう打診を受けた(A6は,これを拒絶し,同年4月30日,同年5月31日付けで退職する旨の退職届を提出した。)。
さらに,A6を除くX2社元従業員らは,平成21年5月頃,翌6月に予定されていた昇給が取止めになった旨を告知されるに及び,原告X3社の経営状態や自らの待遇についての不安,さらにはセールスサポートグループの従業員が不当に冷遇されているとの不満を募らせるようになり,同月21日原告X3社に対し「昇給・割増賃金・人事考課改善 要求書」(甲26)を送付して,同年の実績に見合った賃金引上げ,一時金支給,時間外労働の割増賃金の支払等を要求するとともに,同月29日までに一次回答をするよう要求し,同月22日原告X3社に対し「不当労働行為の禁止要求」と題する書面(甲339)を送付して,業務命令を理由に自宅に電話を架けるなど,団体交渉を無視した嫌がらせ行為を止めるよう要求した。
しかし,この間,原告X3社は,平成21年6月23日,A6を除くX2社元従業員ら(ただし,同月15日付けで退職したA15及びA19を除く。)12人を人事部付とする人事発令をした上,A27総務部長やA28人事部長が西日本統括支店に赴き,A12と強引に面談して事情聴取をしたり,同従業員らに対し,業務用携帯電話や自宅に電話を架け,同支店への出社を命じ,さらには派遣先店舗で待ち伏せしたりしたため,同従業員らは,恐怖を感じるとともにこれ以上の交渉を諦め,同月24日付けないし同月27日付けで退職届を提出した。
原告X3社は,平成21年7月13日付けで,上記12人のX2社元従業員らを懲戒解雇した。
(甲273の1~9,274の1~12,277の1~12,278,317,341~343,345,348,349,354,374,375)
ケ 被告Y1の本件集団転職への対応等
(ア) この間,被告Y1は,平成21年6月9日A4社長と面談し,翌10日A1社長に対し,その結果を電子メールで報告した。同メールにおいては,被告Y1が,上記面談の際,A4社長に対し,①下請関係である以上,仁義は通してほしい,②原告X3社従業員が退職する際の情報保全措置については,社会的責任として理解してほしい,③転籍者数が相応の規模になるのであれば,企業間で交渉したいなどと伝えたところ,A4社長から,①基本的に単純な競争関係と認識している,②情報保全措置を講じることは理解できる,③転籍について,1月頃から何件か相談があり,優秀な人材であれば当然採用するが,待遇面や環境面,特に平均年齢が30歳に満たない若い従業員が多い会社であり,簡単に受入れはできないであろうとの回答があり,企業間での交渉の申入れには興味を示さなかったと報告した上,チャンスがあれば仕事を奪いに来ることは従前の我々と同様であり,統合前のX2社に妨害行為を受けたという認識が強いようであり,好戦的な態度ではないが警戒対象であるとコメントして,注意を促した。(甲178)
(イ) 原告X3社の代表取締役であったA25は,A6を除くX2社元従業員から「昇給・割増賃金・人事考課改善 要求書」が提出されたことなどを受け,平成21年6月23日,当時中国の上海に滞在していた被告Y1に対し,原告X3社西日本統括支店の従業員の造反の動きを知らせ,取り急ぎ帰国して対応するよう要請した。これを受けて,被告Y1は,その翌日である同月24日に日本に帰国し,A25その他の関係者と電話やメールで連絡を取り合うなどして情報収集に努めていたところ,後記のとおり,同月30日の株主総会において取締役として重任されないこととなったため,それ以上の対応をとることができなくなった。(乙43~47)
なお,平成19年5月の原告X3社とX2社との経営統合以降,原告X3社西日本統括支店は被告Y1の所掌から外れたため,本件集団転職をしたX2社元従業員と被告Y1とはほとんど交流がなかった。また,被告Y1は,X2社からa社へと取引先を切り替えた新通SP,第一エージェンシー,兼松コミュニケーションズ,NTTアド,KDDI,日本エイサーの担当者とはまったく面識がなかった。
(ウ) 被告Y1は,平成21年6月30日に開催された原告X1社及びX2社の各株主総会において,原告X1社及びX2社の取締役に重任されず,原告グループ会社における取締役の地位を失った。
コ 被告Y2に対する事情聴取の状況
被告Y2は,平成21年6月下旬,同年7月2日及び同月6日原告X3社のA22経営企画室長らから事情聴取を受け,同日付けでA1社長宛ての報告書(甲421)を提出した。また,被告Y2は,同月13日同社長から,本件派遣管理システムをa社に販売した事情や被告Y2とa社との関係について質問されたが,販売の経緯はよくわからない,a社とは一切関わりはないなどと答え,さらに同社長から,被告Y2が本件造反行為に関与していることが判明した場合には懲戒解雇や刑事告訴もあり得る,今のうちに知っていることをきちんと話してもらえば原告X3社としても悪いようにはしないなどと説得されたにもかかわらず,本件造反には関わりはないなどと繰り返すのみであったため,事情聴取は長時間に及んだ。(甲421)
原告X3社は,被告Y2に対し,平成21年7月14日付けで懲戒解雇する旨を通知した。(甲50,乙6)
(2) これに対し,原告らは,被告Y1が,①被告Y2に対し,本件派遣管理システムの売却等を指示した,②被告Y2に対し,原告X3社グループの機密情報やその従業員に係る膨大な量の個人情報等を,同被告の自宅のノートパソコンに保存するよう依頼し又は指示したなどと主張する。
しかしながら,証拠(乙98,被告Y1)及び弁論の全趣旨によれば,被告Y1は,最終的に,X2社がa社に対し,本件派遣管理システムを代金112万5000円で売却したこと,a社は,これに合わせて,電話設備の入替えをすることになり,X2社の情報システム部門の担当役員であった被告Y2が,平成21年6月頃,ビジネス電話機を発注したことなど,a社大阪支店に係る取引の概要を認識していたことまでは認められるが,それ以上に,被告Y1が,被告Y2に対し,本件派遣管理システムの売却等を指示したことや,原告X3社の機密情報やその従業員の個人情報等を持ち出し自宅のノートパソコンで保存するよう依頼し又は指示したことを認めるに足りる証拠はない。
なお,証拠(甲78,91)によれば,本件取引移転の過程において,A4社長が兼松コミュニケーションズの担当者に対し,被告Y1も本件SS事業のa社への移転を知っているなどと説明したことが認められるが,当該説明は,取引先の奪取の過程で,新たに取引を担当することを切望するa社の代表者からされたものであって,当該説明のみから,被告Y1が本件取引移転を認識していたまでと認めることはできず,他に,被告Y1が,A5及びX2社元従業員らの一部による本件取引移転の事実を認識していたことを認めるに足りる証拠はない。
2  争点1(被告Y1の責任原因)について
(1) 主位的主張について
ア 原告らは,被告Y1がA5及びX2社元従業員らと共に本件造反行為を企てたことを前提として,この被告Y1の行為が,故意に原告らに損害を与える行為であり,不法行為に該当するとともに,X2社及び原告X1社の取締役としての善管注意義務に違反する旨主張する。
そして,原告らは,被告Y1が本件造反行為に関与していた根拠として,(ア)被告Y1は,①本件株式移転による経営統合後,原告X1社の持株比率に関し少数株主となり,②原告X1社において他の役員から孤立し,平成20年11月10日には副社長職を解任され,③平成21年3月27日の原告X1社の取締役会において,X2社の事実上の休眠化が決議されるなど,原告X3社グループ内における立場は厳しいものとなり,④A4社長とは旧知の仲であった(旧X2社とa社との間には以前から取引があった。)が,同年4月,A4社長からa社の株式のうち発行済株式総数の33.5%を譲り受けるとともに,A4社長に対しg社の株式のうち発行済株式数の33.5%を譲り渡し,株式の持合い状態となるなど,本件造反行為に関与する動機があったこと,(イ)被告Y1は,旧X2社を中核とするグループの創業者で,もともと旧X2社の株式全部を保有する代表取締役社長であり,被告Y2やA5は,旧X2社の従業員(被告Y2は平成14年7月31日から取締役)であり,いずれも被告Y1の腹心であったこと,(ウ)原告X3社西日本統括支店において「昇給・割増賃金・人事考課改善 要求書」を提出しその後退職した従業員14名及びA6(X2社元従業員ら)は,いずれも旧X2社の従業員であったこと,(エ)本件取引移転の過程において,取引先に対して働き掛けがされた際,被告Y1も本件SS事業のa社への移転を承知している旨の説明がされていること,(オ)実際にも,被告Y1は,①被告Y2に対し,本件派遣管理システムの売却等を指示し,②被告Y2に対し,原告X3社グループの機密情報やその従業員に係る膨大な量の個人情報等を,同被告の自宅のノートパソコンに保存するよう依頼し又は指示し,③平成21年3月頃までに中国の上海において飲食店グループを経営することを計画・実行し,④同年6月23日,原告X3社のA25社長から,西日本統括支店の従業員14名が突如「昇給・割増賃金・人事考課改善 要求書」を提出したとの連絡を受けながら,これに対する対応を拒否し,⑤乙事件において主張するとおり,本件業務受託・再委託取引において,旧X2社又は原告X3社に通常収受すべき一定の利益を得させないなどの背任的な行動をとっていることなどを挙げる。
イ 前記前提事実及び前記1の認定事実によれば,たしかに,①被告Y1は,本件株式移転による経営統合後,その原告X1社の持株比率が約21%となったばかりか,経営方針を巡って次第にA1社長と意見を異にするようになり,平成20年11月10日には副社長職を解任されるなど,原告グループ会社内における地位・役割が低下したこと,②平成21年3月27日の原告X1社の取締役会においては,X2社の事業を原告X1社やc社に移管することが決議されるなど,X2社の事業を整理する方針が決められたこと,③被告Y2やA5は,旧X2社の従業員であり,いずれも被告Y1が信頼を寄せていたこと,④本件造反行為において一定の役割を果たしたA6や,原告X3社西日本統括支店において「昇給・割増賃金・人事考課改善 要求書」に名を連ね,その提出と相前後して退職した14人のX2社元従業員らは,いずれも旧X2社の従業員であったこと,⑤被告Y1とA4社長とは旧知の関係であり,旧X2社とa社との間には取引関係もあった上,同年4月にはa社と被告Y1が代表取締役を務めるg社とが株式の持合い状態となったことが認められる。
ウ しかしながら,被告Y1が,被告Y2に対し,本件派遣管理システムの売却等を指示したことや,原告X3社グループの機密情報やその従業員に係る膨大な量の個人情報等を被告Y2の自宅のノートパソコンに保存するよう依頼し又は指示したことを認めることができないことは,前記認定・説示のとおりであり,また,被告Y1が,本件業務受託・再委託取引において,旧X2社又は原告X3社に通常収受すべき一定の利益を得させないなどの背任的な行動をとったとはいえないことは,乙事件において認定・説示するとおりである。
そして,前記前提事実及び前記1の認定事実によれば,①被告Y1は,経営統合後,少数株主とはいえ,原告X1社の発行済み株式の約21%を保有する株主であったこと,②平成21年3月27日の原告X1社の取締役会においても,X2社の既存の契約については引き続き実行されること,X2社の事業開発(中国事業の開発等)について,引き続きX2社に残すか,他社に移管するかは被告Y1に一任することが決議され,同年4月1日に同決議の効力が発生した後も,X2社の事業は「○○.com」事業を中心に継続し,一定の売上を上げていたこと,③被告Y1は,同年6月9日A4社長と面談し,A4社長が原告X3社の取引先と接触している様子であること,原告X3社の従業員の転籍についても相談があったことを察知し,翌10日にはA1社長に対し,a社は好戦的な態度ではないが警戒対象であるとのコメントを付して,その旨を電子メールで報告していること,④被告Y1は,同月23日A25社長から連絡を受け,原告X3社西日本統括支店の従業員の造反の動きを知らされたため,翌24日には日本に帰国し,A25社長その他の関係者と電話やメールで連絡を取り合うなどして情報収集に努めたが,同月30日原告X3社及びX2社の取締役として再任されず,それ以上の対応をとることができなかったことも認められる。
エ これらの事情を総合すると,被告Y1がA5及びX2社元従業員らと共に本件造反行為を企てたことを推認することはできず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。
したがって,原告らの主位的請求は理由がない。
(2) 予備的主張1について
原告らは,被告Y1が,A5及びX2社元従業員らが本件造反行為を計画していることを知りながら,被告Y2に対し本件派遣管理システムの売却等を指示し又は被告Y2が本件派遣管理システムの売却等を行うことを知りながらこれを阻止しなかったことは,故意に原告らに損害を与える不法行為に該当するとともに,X2社及び原告X1社の取締役としての善管注意義務に違反する旨主張する。
この点,被告Y1は,X2社がa社に対し本件派遣管理システムを代金112万5000円で売却したこと,a社はこれに合わせて電話設備の入替えをすることになり,被告Y2が平成21年6月頃,ビジネス電話機を発注したことなど,X2社とa社との間の取引の概要程度は認識していたこと,被告Y1が,A4社長との面談を通じて,A4社長が原告X3社の取引先と接触している様子であり,原告X3社の従業員の転籍についても相談を受けているようであることを察知したことは,前記前提事実及び前記1の認定事実に記載のとおりであるが,これらの事情をもって,被告Y1が,A5及びX2社元従業員らが本件造反行為を計画していることを知っていたと推認することはできず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。また,被告Y1が,A5やX2社元従業員らの一部による本件取引移転を認識していたとはいえないことは,前記認定・説示のとおりである。
さらに,被告Y1が,被告Y2に対し,本件派遣管理システムの売却等を指示したと認められないことは,前記認定・説示のとおりである。
したがって,原告らの予備的主張1は理由がない。
(3) 予備的主張2について
原告らは,本件派遣管理システムの売却等は本件造反行為を実務上円滑に実行するために必要な行為であるところ,被告Y1は,被告Y2が本件派遣管理システムの売却等を行った時点で,A5及びX2社元従業員らが本件造反行為を行うことを予見すべきであり,かつ,同行為を阻止するために必要な措置をとるべき義務を負っていたにもかかわらず,これを怠ったのであるから,被告Y1の当該不作為は,不法行為に該当するとともに,X2社及び原告X1社の取締役としての善管注意義務に違反する旨主張する。
しかしながら,前記前提事実及び上記1の認定事実によれば,A5やX2社元従業員らは,同支店における残業代不払問題,A5やA6の人事上の処遇,さらには平成21年6月21日提出した「昇給・割増賃金・人事考課改善 要求書」に対する原告X3社の対応等を見聞・経験するうちに,次第に,本件集団転職を含む本件造反行為の意思を固めていったものと推認されるところ,被告Y2がa社との間で本件派遣管理システムの売買契約を締結したのは同年3月1日付けであり,その時点では,被告Y1において,A5及びX2社従業員らが本件造反行為を行うことにつき予見可能性があったということはできない。
また,被告Y2が,平成21年5月頃,a社大阪支店で使用する構内交換機(PBX)の見積りを依頼し,同年6月12日及び同月13日同支店に赴き,同支店のネットワーク設定作業を行ったこと,被告Y1は,被告Y2によるX2社とa社との間の取引の概要程度は認識していたこと,被告Y1は,同月9日のA4社長との面談を通じて,A4社長が原告X3社の取引先と接触している様子であり,原告X3社の従業員の転籍についても相談を受けているようであることを察知したことは,前記前提事実及び前記1の認定事実記載のとおりであるが,他方で,前記前提事実及び前記1の認定事実によれば,X2社とa社とは,人材派遣業を営む点で競合するものの,「○○.com」への求人広告の掲載やX2社の受託業務の再委託等,継続的な取引関係を有し,業務の一部において協力する関係にあったこと,被告Y1は,原告X3社西日本統括支店において労働問題が発生していることを知らなかったが,平成19年5月の原告X3社とX2社との経営統合以降,同支店はその所掌事務から外れたため,X2社元従業員らとほとんど交流がなく,また,原告X3社からa社への取引先の切替えが問題となっていた新通SP,第一エージェンシー,兼松コミュニケーションズ,NTTアド,KDDI,日本エイサーの担当者ともまったく面識がなかったため,同支店における労働問題の発生を確知する端緒がなかったことが認められるところであり,これらの事情を総合すると,被告Y1が,被告Y2が本件派遣管理システムの売却等を行った時点で,A5及びX2社元従業員らが本件造反行為を行うことを予見すべきであったということはできないし,同行為を阻止するために必要な措置を講ずべきであったと断ずることもできない。
したがって,原告らの予備的主張2は理由がない。
(4) 予備的主張3について
ア 原告らは,被告Y2がa社に対し行った本件派遣管理システムの売却等が,費用の面でX2社の損失においてa社を利する行為であるところ,被告Y1が,被告Y2に対し本件派遣管理システムの売却等を指示し,又は被告Y2が本件派遣管理システムの売却等を行うことを知りながらこれを阻止しなかったことは,それ自体が原告ら又はX2社に対する不法行為に該当するとともに,X2社及び原告X1社の取締役としての善管注意義務に違反する旨主張する。
イ しかしながら,システムエンジニアであるA23作成の見積書(乙96)によれば,本件派遣管理システムの製作費用は270万円であるとされているところ,証拠(乙97,証人A23)並びに前記前提事実及び前記1の認定事実に記載した本件派遣管理システムの製作の経緯及びその機能に照らせば,上記見積書の内容に不自然,不合理な点を見い出すことはできない。
これに対し,原告らは,本件派遣管理システムは146の機能を有するところ,その1機能を製作するにつきシステムエンジニア及びプログラマーによる各0.2人月の工数を要し,1人月当たりの単価は80万円であるので,本件派遣管理システムの価格が少なくとも4672万円以上であるなどと主張し,これに沿うかの如き証拠(甲184,185)を提出する。しかしながら,証拠(97,98)及び弁論の全趣旨に徴すると,1機能の製作に各0.2人月を要するとする点,1人月当たりの単価が80万円である点において,原告らの主張する本件派遣管理システムの製作費用の算定方法には疑問があるといわざるを得ないから,原告らの上記主張を採用することはできない。
ウ そして,前記1の認定事実によれば,X2社は,本件派遣管理システムの売却にあわせ,a社との間で,本件派遣管理システムの保守を目的として,月額代金11万円,期間平成21年6月1日から2年間とするシステム保守委託契約を締結することを企図していたことが認められ,これによれば,本件派遣管理システムの販売価格及び2年間の保守費用の合計額は376万5000円(11万円×24か月+112万5000円)になるのであって,この本件派遣管理システム売買契約及びその後の保守委託契約を一体として勘案すれば,その販売価格が若干低額であったとしても,それをもって直ちに合理性のない価格であると断じることはできないから,本件派遣管理システムの売却等が費用の面でX2社の損失においてa社を利する行為であったと認めることはできない。
また,被告Y2がした,本件派遣管理システムの売却以外の行為が,費用の面でX2社の損失においてa社を利する行為であると認めるに足りる証拠はない。
エ そうすると,原告らの予備的主張3は,その前提を欠くことになるから,採用することができない。
3  争点3(被告Y2の責任原因)について
(1) 主位的主張について
ア 原告らは,本件派遣管理システムの売却等は本件造反行為を実務上円滑に実行するために必要な行為であるところ,被告Y2が,A5及びX2社元従業員らが本件造反行為を計画していることを知りながら,a社に対し,本件派遣管理システムの売却等を行ったことは,故意に原告らに損害を与える不法行為に該当するとともに,X2社の取締役としての善管注意義務にも違反する旨主張する。
イ この点,前記前提事実及び前記1の認定事実によれば,被告Y2は,X2社の取締役として,X2社と原告X3社が経営統合し,本件SS業務が原告X3社に集約されていく過程を間近で見ており,平成21年3月27日の取締役会の決議後はX2社の情報システム事業(情報システム外販事業を含む。)をc社に移管することとなったことを認識していたのであって,本件派遣管理システムの売却等がこうした方針に反することは知悉していたこと,被告Y2は,同年6月12日及び翌13日,a社大阪支店の支店長となったA6の依頼を受け,自ら大阪に赴いて同支店のネットワーク設定作業に当たったが,その際も年次休暇を取得したこと,被告Y2は,同月下旬から同年7月にかけて,原告X3社やA1社長から,a社大阪支店事務所の開設に向けて助力をした経緯等につき事情聴取を受けた際,本件派遣管理システム等を販売するに至った経緯はよくわからない,a社とは一切関わりはないなどと答え,明確な説明をしなかったことが認められ,さらに証拠(甲263)及び弁論の全趣旨によれば,被告Y2は,同支店における工事のために同支店の図面の送付を受け,同支店関係者と連絡を取り合っていたことが認められるから,これらの事情を総合すれば,被告Y2は,抽象的なレベルにとどまるにせよ,A5及びX2社元従業員らの全部又は一部が原告X3社からa社に転職することを企図し,あるいはa社においてその受入れのための準備をしていることを認識していたと認定するのが相当である。
ウ このような場合,会社の従業員の転職の可能性を認識した上でされた取締役の行為が,会社に対し,善管注意義務・忠実義務違反となるか否か,あるいは不法行為を構成するか否かについては,①取締役の行為の態様(特に,当該行為が従業員の転職をどの程度容易にするものであったかなど),②転職する従業員の人数や転職時期等,当該転職が会社の業務の遂行に与える影響の有無・程度等,③当該従業員が転職するに至る経緯,④当該取締役と従業員との関係等の事情を総合的に考慮して,これを判断すべきものと解するのが相当である。
これを本件についてみるに,前記前提事実及び前記1の認定事実によれば,たしかに,原告X3社西日本統括支店を退職したX2社元従業員の数は(本件SS業務を担当していた19人中)15人であり,原告X3社は本件集団転職の影響を受けて多数の本件各取引先を失うなど,同支店の業務の遂行に与えた影響は甚大であることが認められるが,他方,本件派遣管理システムの売買契約の締結自体は,原告X3社西日本統括支店においてX2社元従業員らの労働問題が顕在化する前である平成21年3月1日付けで締結されており,時期的に,X2社元従業員らの転職行為を容易にするものではないこと,a社は本件派遣管理システムを利用することにより,X2社元従業員らを含む従業員やスタッフの管理が容易になった面があるというべきであるものの,既にa社旧システムを利用して人事管理を行っているa社にとってその程度は限定的であり,実際にも,本件派遣管理システムを利用した人事管理が行われるようになったのは,試用テスト(並行テスト)期間を経た後である同年11月であったこと,その余の被告Y2の行為がX2社元従業員らの転職を容易にした程度は極めて限られていること,X2社元従業員らが原告X3社からの転職を決意したのは,同支店における残業代不払問題,A5やA6の人事上の処遇,さらには同年6月21日提出した「昇給・割増賃金・人事考課改善 要求書」に対する原告X3社の対応等を目の当たりにしたためであり,被告Y2の行為により直接的な影響を受けたためとはいえないこと,被告Y2とX2社元従業員らは,もともとX2社に在籍したという以上に,特別な関係があるとはいえないことが認められるから,これらの事情を考慮すると,被告Y2の行為が,取締役としての善管注意義務・忠実義務に違反するということはできず,不法行為を構成するということもできないというべきである。
エ したがって,原告らの主位的主張は理由がない。
(2) 予備的主張1について
ア 原告らは,被告Y2は,本件派遣管理システムの売却等を行った時点で,A5及びX2社元従業員らが本件造反行為を行うことを予見すべきであり,かつ,同行為を阻止するために必要な措置をとるべき義務を負っていたにもかかわらず,これを怠ったのであるから,被告Y2の当該不作為は,不法行為に該当するとともに,X2社の取締役としての善管注意義務に違反する旨主張する。
イ しかしながら,前記1の認定事実によれば,X2社は従前から情報システムを販売する事業を行っていたものであり,本件派遣管理システムの売却もその事業の一環として行われたものであること,その売却先は,従前からX2社との間で継続的な取引関係にあったa社であり,その売却の目的は,本件派遣管理システムの売却代金及び保守料によって収益をあげるとともに,X2社が運営する「○○.com」事業においてa社との取引関係を維持することにあったこと,本件派遣管理システムの機能は,a社が従前使用していたa社旧システムの内容に照らしても,派遣管理に関する一般的な機能を有するにすぎないものであって,本件集団転職を含む本件造反行為を実行するのに必要不可欠なものではなかったことが認められ,これらの事情に徴すると,被告Y2がa社に対して本件派遣管理システムを売却する際,本件造反行為を阻止するために必要な措置をとるべき義務を負っていたということはできず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。
ウ したがって,原告らの予備的主張1は,採用することができない。
(3) 予備的主張2について
原告らは,被告Y2がa社に対し行った本件派遣管理システムの売却等は,費用の面でX2社の損失においてa社を利する行為であり,それ自体原告ら又はX2社に対する不法行為に該当するとともに,X2社の取締役としての善管注意義務に違反する旨主張する。
しかしながら,本件派遣管理システム売買契約及びその後の保守委託契約を一体として勘案すれば,その売買価格が若干低額であったとしても,それをもって直ちに合理性のない価格であると断じることはできず,本件派遣管理システムの売却等が費用の面でX2社の損失においてa社を利する行為であったと認めることはできないこと,また,被告Y2がした本件派遣管理システムの売却以外の行為が,費用の面でX2社の損失においてa社を利する行為であるといえないことは,前記認定・説示のとおりである。
したがって,原告らの予備的主張2も理由がない。
4  結論
以上によれば,甲事件に係る原告らの請求は,その余の点につき判断するまでもなく,いずれも理由がない。
[乙事件関係]
5 乙事件に係る事実経過
前記前提事実,証拠(後記認定事実末尾記載の各証拠のほか,甲112,315,325,337,338,402,404,405,乙98,証人A29,証人A30,証人A31,被告Y1)及び弁論の全趣旨によれば,乙事件に係る事実経過について,次の事実が認められる。
(1)  X2社は,遅くとも平成15年2月1日までにイー・モバイルとの間で,同社から家電量販店におけるセールスサポート業務の委託を受け,これを受託するとの取引を開始した。(甲406)
(2)  X2社は,平成18年10月にもイー・モバイルとの間で,セールスサポート業務(具体的には,(a)店舗ラウンダー営業業務(営業代行),(b)店頭販売業務及び(c)事務局運営業務)を受託する旨の契約したが,同契約においては,①イー・モバイルは,上記(a)及び(b)の業務の対価として,当該業務に従事した者(スタッフ)の人数分の業務委託費(1人当たり単価は,業務のクラスに応じて1人当たり45万円~65万円の中で定まる。)を支払う,②イー・モバイルは,上記(c)の業務の対価として,上記の業務に従事した者(スタッフ)の人数に応じてイー・モバイルとX2社が協議の上で定める事務局運営人員(その目安は,スタッフ1~10人が業務に従事した場合は1人,同11~20人が業務に従事した場合は2人,同21人~30人が業務に従事した場合は3人,同31人~40人が業務に従事した場合は4人,同41人~50人が業務に従事した場合は5人)分の業務委託費(事務局運営人員の1人当たり単価は45万円)を支払うものとされていた。(甲388)
なお,この業務委託料の体系は,本件業務受託・再委託取引に係る業務が原告X3社に移管された後も,基本的に同様であった(甲210の1~7)。
(3)  イー・モバイルは,平成19年3月からパソコンからの利用を含めたデータ定額制のサービス開始を予定しており,これに伴いX2社に委託する業務量も増加することが予想され,当該業務に従事するスタッフの数が不足することが見込まれたが,人材派遣業界はいわゆるリーマンショック前で人材不足の状態にあったため,X2社がイー・モバイルから依頼された員数を確保できなくなるおそれもあった。そうした状況の下,X2社の担当者であったA32取締役(以下「A32取締役」という。)は,イー・モバイルの担当者であったA29(以下「A29」という。)から,a社を再委託先として用いることを示唆されたこともあり,同月以降,上記業務の一部をa社に下請けに出すこととした。
(4)  A29,A32取締役及びa社のA4社長は,本件業務受託・再委託取引を開始するに当たり,イー・モバイルがX2社に業務を委託する条件及びX2社がa社に再委託する条件につき協議し,イー・モバイルが,家電量販店において行うセールスサポート業務のうち上記(2)(a)及び(b)の業務の対価として,当該業務に従事した者(スタッフ)の人数分の業務委託費を支払う(X2社は,a社に対して再委託した業務分については,同業務委託費をそのままa社に対して支払う。)のみならず,上記(2)(c)の事務局運営業務の対価(事務局運営費)として2業務分をX2社に支払い,そのうち1業務分はX2社が受領し,他の1業務分はa社・が受領することを合意した。イー・モバイルがそのような取引条件を承諾したのは,当時,イー・モバイルの知名度が低く,必要なスタッフの確保に困難を来すことがあったため,競業他社よりも良い条件を打ち出すことにより,イー・モバイル向けのスタッフを優先的に確保してもらうためであった。被告Y1は,A32取締役から,上記の経過及び合意内容の概要につき報告を受け,これを了承していた。
そして,X2社らは,本件業務受託・再委託取引に基づき,平成19年5月分以降,イー・モバイルに対し,事務局運営費2業務分(1業務分は45万円)を追加して請求してこれを受領するとともに,a社は,同月分以降,X2社らに対し,事務局運営費1業務分(45万円)請求してこれを受領した。(甲201,203~228(いずれも枝番を含む。),乙92)
(5)  事務局運営業務は,現場において店頭販売業務等に従事するスタッフの勤怠管理等を行う業務をいうところ,当該業務は,X2社らにおいて業務委託契約を担当する従業員が,他の業務受託先に係るスタッフの勤怠管理等と共に担当していた。事務局運営費は,契約上は,家電量販店において店頭販売業務等に従事するスタッフの人件費とは別に,主として事務局運営に従事するスタッフの人件費として支払われるものであるところ,上記のとおり,当該事務局運営に従事するスタッフはX2社らの従業員が務めており,これらの従業員はX2社らから給与を支給されていたことから,事務局運営費の中から経費として別途支出を要するものはほとんどなく,事務局運営費の大部分がX2社らの利益となっていた。
また,本件業務受託・再委託取引によりa社に再委託した取引については,a社が家電量販店において店頭販売業務等に従事するスタッフの勤怠管理等の事務を行っていたため,X2社らがこれを行うことはなかった。
6 争点4(本件業務受託・再委託取引に係る被告Y1の責任原因)について
(1)  原告X1社は,被告Y1が,原告X1社の取締役として,同社を犠牲として自己又は第三者の利益を図ってはならない善管注意義務・忠実義務及び同社の子会社であるX2社らに損失が生じるような取引をしないよう注意すべき善管注意義務・忠実義務を負っていたにもかかわらず,これを怠り,不合理かつ不当な本件業務受託・再委託取引をした旨主張する。
しかしながら,前記前提事実及び前記5の認定事実によれば,事務局運営費の大部分はX2社らの利益となっていたこと,本件業務受託・再委託取引において平成19年5月分以降に追加された事務局運営費2業務分は,a社に対する本件再委託に係るものであったこと,X2社らとa社とは,イー・モバイルから追加支給を受けた2業務分の事務局運営業務の対価をそれぞれ1業務分ずつ配分し,これを事務局運営費に充てていたこと,1業務分の事務局運営業務の対価は45万円であったこと,本件再委託によるa社との取引については,a社が店頭販売業務等に従事するスタッフの勤怠管理等の事務を行い,X2社らがこれを行うことはなかったことが認められる。そして,仮に原告X1社が主張するとおり,本件業務受託・再委託取引において,X2社らのイー・モバイルに対する請求額(別表の「イーモバイルに対する請求」欄中の「請求額」欄記載の金額)よりもX2社らのa社に対する支払額(別表の「a社に対する支払い」欄中の「支払額」欄記載の金額)の方が多かったという事情が存在していたとしても,その金額は,別表の取引番号1~26に対応する「差し引き」欄記載のとおり,平成19年5月から平成21年6月までの間で最大でもマイナス22万4215円(平成19年9月分)であり,追加された事務局運営費45万円を超えていなかったというのである。
そうすると,仮に原告X1社が主張する事情が存在していたとしても,本件業務受託・再委託取引が,X2社らに損失が生じるような取引であったとはいえず,直ちに不合理かつ不当な取引であったと断ずることはできない。
(2)  また,原告X1社は,人材を派遣する会社が受託業務を再委託する場合,委託者が支払う委託料から10%以上の金額を控除して再委託料を決定し,当該控除金額を取り分とするのが通常であるところ,本件受託業務・再委託取引はそのような内容になっていないなどと主張する。
たしかに,証拠(甲338,404,証人A31)及び弁論の全趣旨によれば,原告X3社が特定の業務を受託し,それを第三者に対して再委託する場合,契約締結や請求・支払等の事務作業に係る費用や業務に従事する要員管理に係る費用が発生し,元請企業として負うことになる様々な責任を履践するための費用も必要となるから,一般的には,委託者から受領する委託費の10%程度を管理費として差し引き,その残額を再委託取引の受託者に支払う例が少なからず見られることが認められる。
しかしながら,他方,取締役が,ある業務の委託を受けてこれを再委託する際に,当該再委託取引において得る利益をどの程度に設定するかについては,当該取引を開始するに至る経緯や,当該業務の委託元との関係及び再委託先との関係等の事情により様々であって,基本的には,会社の業務執行に当たる者が当該利益の設定につき広い裁量権を有すると解するのが相当である。これを本件についてみるに,前記のとおり,本件業務受託・再委託取引がX2社らに損失を生じさせるような取引であったとはいえないことに加え,前記5の認定事実によれば,本件において,X2社のA32取締役は,イー・モバイルから委託を受ける業務量の増加により,当該業務に従事するスタッフを確実に確保する必要性に迫られる中,イー・モバイルのA29からa社を再委託先として用いることを示唆されたこともあり,イー・モバイルから委託を受けた業務の一部に限り,a社に再委託することとしたこと,その際,X2社は,スタッフに支払うべき店頭販売業務等の対価については,イー・モバイルから受領した業務委託費をそのままa社に支払うが,それとは別に,事務局運営業務の対価として1業務分(45万円)の支払を受けることを合意し,これを利益とすることとしたこと,被告Y1は,A32取締役から以上の経過及び合意内容の概要につき報告を受け,これを了承したこと,本件吸収分割契約により本件SS業務が原告X3社に移管された後も,基本的な枠組みは変わらなかったことが認められるから,これらの事情に徴すると,被告Y1のした判断が不合理であって裁量権を逸脱したものであるということはできない。
したがって,本件において,被告Y1が,X2社らに必ず委託料の10%以上の利益を取得させるよう,本件業務受託・再委託取引の受託料や再委託料を設定する義務を負っていたと断ずることはできず,原告Y1〔編注:原文ママ 「被告Y1」と思われる。〕が不合理かつ不当な本件業務受託・再委託取引をしたということもできない。
(3)  よって,争点4に係る原告X1社の上記主張は理由がなく,乙事件に係る原告X1社の請求は,その余の点につき判断するまでもなく理由がない。
第4  結論
以上の次第で,原告らの請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 大竹昭彦 裁判官 能登謙太郎 裁判官村尾和泰は,転補につき,署名押印することができない。裁判長裁判官 大竹昭彦)

 

〈以下省略〉

 

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