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「営業代行」に関する裁判例(32)平成20年12月17日 東京地裁 平18(ワ)9304号 損害賠償等請求事件

「営業代行」に関する裁判例(32)平成20年12月17日 東京地裁 平18(ワ)9304号 損害賠償等請求事件

要旨
◆出張オイル交換業等を営む訴外甲社との間で加盟店契約等をした原告10名が、甲社には業務委託をする意思がなく加盟店において十分な利益を上げることができないにもかかわらず、高額な加盟金等を徴収する目的で不当な勧誘を行い原告らに加盟店契約をさせて加盟金等の支払いをさせたことが詐欺又は説明義務違反による不法行為に当たると主張して、被告乙(甲社の代表取締役)に対して民法709条、同法719条及び旧商法266条の3に基づき、被告丙(甲社の取締役)に対して被告乙の業務執行に対する監視業務の懈怠及び不当な勧誘行為を理由に旧商法266条の3に基づき、被告丁(甲社の取締役)に対して旧商法266条の3に基づき、加盟金相当額の損害賠償を求めた事案において、甲社が具体的な数字を示して一定の収入金額や業務委託件数を保証するという趣旨の説明がされたと認めることはできず、甲社が実質上加盟店への業務委託を行う意思がないとまで認めることもできないなどとして、甲社が内容虚偽の説明をするなど不当な勧誘を組織的に行ったとか、違法な説明義務違反があったとは言えないとして、その余の点について判断するまでもなくいずれも理由がないとして請求を棄却した事例

参照条文
民法709条

裁判年月日  平成20年12月17日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平18(ワ)9304号
事件名  損害賠償等請求事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2008WLJPCA12178017

東京都江戸川区〈以下省略〉
原告 X1
茨城県北相馬郡〈以下省略〉
原告 X2
茨城県下妻市〈以下省略〉
原告 X3
埼玉県越谷市〈以下省略〉
原告 X4
神奈川県座間市〈以下省略〉
原告 X5
神奈川県平塚市〈以下省略〉
原告 X6
東京都世田谷区〈以下省略〉
原告 X7
東京都大田区〈以下省略〉
原告 X8
東京都荒川区〈以下省略〉
原告 X9
東京都渋谷区〈以下省略〉
原告 X10
原告ら訴訟代理人弁護士 中野和子
同 洞澤美佳
同 飯島康央
東京都江戸川区〈以下省略〉
被告 Y1
同所
被告 Y2
上記両名訴訟代理人弁護士 吉永英男
同 堂野達之
同 関政幸
大阪市〈以下省略〉
被告 Y3

 

 

主文

1  原告らの請求をいずれも棄却する。
2  訴訟費用は原告らの負担とする。

 

 

事実及び理由

第1  請求
1  被告らは,別紙請求額一覧表「原告」欄記載の各原告に対し,各自,同表「請求額」欄記載の各金員及びこれらに対する被告Y1(以下「被告Y1」という。)については平成18年5月25日から,被告Y2(以下「被告Y2」という。)については同月15日から,被告Y3(以下「被告Y3」という。)については同月13日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2  訴訟費用は被告らの負担とする。
3  仮執行宣言
第2  事案の概要
1  本件は,出張オイル交換業等を営むオートプロジャパン株式会社(以下「オートプロ」という。)との間で加盟店契約等を締結した原告らが,オートプロには業務委託をする意思がなく,加盟店において十分な利益を上げることができないにもかかわらず,高額な加盟金や架装備品代を徴収する目的で,オートプロからの業務委託により高収入を上げることができるなどと実態と乖離した不当な勧誘を行い,原告らに加盟店契約等を締結させた上で加盟金等の支払をさせたことが詐欺又は説明義務違反による不法行為に当たると主張して,オートプロの代表取締役であった被告Y1に対しては,不当な勧誘行為による組織的な詐欺の実行を理由に民法709条,同法719条及び旧商法266条の3に基づき,オートプロの取締役であった被告Y3に対しては,被告Y1の業務執行に対する監視義務の懈怠及び不当な勧誘行為を理由に旧商法266条の3に基づき,オートプロの取締役であった被告Y2に対しては,被告Y1らの業務執行に対する監視義務の懈怠を理由に旧商法266条の3(ただし,取締役就任前にオートプロと加盟店契約等を締結した原告らとの関係では事実上の取締役として同条の類推適用)に基づき,加盟金等相当額の損害賠償を求めた事案である。
2  本件における前提事実(当事者間に争いがないか,後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められるもの)は次のとおりである。
(1)  当事者等
ア 原告らは,後記(2)のとおり,いずれもオートプロとの間で加盟店契約等を締結してその加盟店となった者である。
イ オートプロは,昭和39年1月に設立された株式会社であり,平成12年2月に「オートプロジャパン株式会社」に商号を変更した。その主たる事業内容は,出張オイル交換業務及びこれに伴う車両整備並びに同業務を行う加盟店の募集とその指導である。このうち,オートプロの従業員又は加盟店が,出張料及び作業工賃無料で,顧客の自動車の所在場所まで出向き,エンジンオイルの交換とともに自動車につき8項目の点検を行うというものである。
ウ 被告Y1は,平成12年4月30日にオートプロの代表取締役に就任した者,被告Y3は,同日にオートプロの取締役に就任した者,被告Y2は,平成15年3月20日にオートプロの取締役に就任した者である。なお,被告Y2については,平成14年3月12日にオートプロの取締役に就任したとして同年4月3日にその旨登記されたものの,同年5月8日に辞任登記がされている。(乙ハ1)。
(2)  オートプロとの加盟店契約等の締結
原告X1(以下「原告X1」という。)は平成15年1月25日,原告X2(以下「原告X2」という。)は平成14年9月7日,原告X3(以下「原告X3」という。)は同年2月14日,原告X4(以下「原告X4」という。)は平成15年2月25日,原告X5(以下「原告X5」という。)は同年2月10日,原告X6(以下「原告X6」という。)は平成16年2月26日,原告X7(以下「原告X7」という。)は平成15年3月10日,原告X8(以下「原告X8」という。)は平成16年5月18日,原告X9(以下「原告X9」という。)は平成14年10月19日,それぞれオートプロとの間で,同原告らがオートプロの加盟店として出張オイル交換業務を行うなどの内容の加盟店契約(以下「本件加盟店契約」という。)を締結した。(甲イ1,甲ロ1,甲ハ1,甲ニ1,甲ホ1,甲ヘ1,甲ト1,甲チ4,甲リ1)
また,原告X10(以下「原告X10」という。)は,平成15年9月11日,オートプロとの間で,同原告が出張オイル交換業務の初級技術指導を受講するなどの内容の初級技術指導研修契約(以下「本件研修契約」という。)を締結した。(甲ヌ1)
さらに,原告X1は平成15年5月上旬ころ,原告X3は平成15年9月4日,原告X6は平成16年12月8日,原告X10は平成15年12月2日,それぞれオートプロとの間で,オートプロが加盟店に対して出張オイル交換業務を委託するなどの内容の業務委託基本契約(以下「本件業務委託契約」という。)を締結した。原告X2,原告X4,原告X5及び原告X7も,オートプロの研修終了後に,オートプロとの間で本件業務委託契約を締結した。(甲イ8,甲ハ2,甲ニ11,甲ホ2,7,甲ヘ2,甲ト1,甲ヌ2,原告X2,弁論の全趣旨)
(3)  オートプロ及び被告Y1の破産等
オートプロは,平成18年7月5日に営業を廃止した後,被告Y1とともに,東京地方裁判所に破産手続開始の申立てをし(同裁判所平成18年(フ)第12823号,第12824号),同月14日,両者につき破産手続開始決定がされた。両者の破産手続は,いずれも平成19年1月30日に破産手続廃止決定がされたことにより終了した。その後,被告Y1については免責許可の決定がされて確定している。(甲4,5,18)
3  本件の争点とこれに関する当事者双方の主張の大要は次のとおりである。
(1)  オートプロの勧誘行為と詐欺の成否ないし説明義務違反の有無
【原告らの主張】
ア オートプロは,新聞の折り込み広告や起業情報誌等を通じて,原告らを含む加盟店希望者に対し,オートプロからの業務委託等によって出張オイル交換業務で高収入を得ることが可能であると期待させる表示をしており,オートプロの面接担当者である被告Y3ないし従業員のA(以下「A」という。)は,加盟店契約締結前に行われた面接において,原告らを含む加盟店希望者に対し,「当社は,顧客が多すぎるため,現在加盟店を増やしている。開業後はたくさん顧客を紹介するので問題はない。」,「月収50~60万円は間違いない。」,「軌道に乗れば売上げは120万円程度も可能である。」などの説明を行って,加盟店契約締結の勧誘をした。
このほか,原告らの一部が加盟金を支払うために国民生活金融公庫に融資を申し込むことになったところ,オートプロは,その提出資料作成のための参考として,上記説明に沿った形で月収等が記載された「開業計画書」と題する書面を提示するなどした。
イ オートプロの研修期間は,標準的には一,二か月であると説明されていたにもかかわらず,研修が週に一,二回程度しか行われなかったために長期化し,研修の修了までに,原告X1は約3か月,原告X2は約7か月,原告X4は約4か月,原告X5は約6か月,原告X6は約9か月,原告X7は約1年間かかり,原告X8及び原告X9は研修を修了することすらできなかった。そして,無収入状態の研修期間の長期化により生活を維持することができない者は,加盟店契約締結時に支払った金額を回収することすらできないまま,開業を断念せざるを得ない状況に追い込まれた。
また,オートプロの研修は,自動車教習所で与えられるようなテキストに基づいて行われる非常に簡単なレベルのものであり,オートプロ独自のノウハウや特に目新しい内容は盛り込まれておらず,技術指導というよりは,むしろ,大声を出して顧客に挨拶する練習等にすぎないものであった。その上,指導の在り方が,講師によって異なっていたり,その都度内容が違っていたりするなど一貫しておらず,研修修了試験の合格基準も客観的に明らかではなく,合格の成否は個人の能力や努力よりも講師の裁量によるところが大きかった。
ウ オートプロの業務委託の方法は,各地域の地区長又は地区リーダーの指示によって各加盟店に業務委託される担当顧客車両が決定され,加盟店が地区長又は地区リーダーから業務委託車両のデータを受け取るというものであり,地区長又は地区リーダーの裁量によって仕事が振り分けられるため,収益に直結しやすい仕事は地区長や地区リーダー又はその周辺の加盟店に集中しがちであり,それ以外の加盟店には単価の安い顧客や遠隔地の顧客が割り振られることが多かった。
エ オートプロの加盟店が行う業務については,①研修の初級修了者の場合,小型車両しか扱えず売上単価が低いので収益を上げることが困難であること,②出張先の作業現場にあらかじめオイル交換が必要な車両を調べてもらうことができず,出張してもオイル交換ができない場合があるなど一日にこなせる台数に限界があること,③加盟店が使用するオートプロ指定の軽自動車ではオイルの積載量に限界があること,④加盟店は,オートプロから業務委託を受けた顧客に対し,オートプロが顧客獲得のために低く設定した価格でオイル交換をしなければならず,薄利であったこと,⑤加盟店は,出張先の作業現場でオイル交換業務が行えなくても,対象車両があれば無料点検サービスを行わなければならなかったこと,⑥上記のとおり売上げを上げることが困難であるにもかかわらず,オートプロから提供される仕入品の価格が通常よりも高く設定されていたり,ロイヤリティの負担も大きいなど,加盟店が高額な経費負担を余儀なくされていたことからすれば,オートプロは,原告らを含む加盟店に対して実質的には業務の委託を行っていないに等しい状態であった。
オ オートプロの指定する架装備品は,何ら特殊な装備ではなく,市場に出回っている商品によって同程度の装備を低価格で備えることが十分に可能であったにもかかわらず,その代金が150万円と異常に高額に設定されていた上,オイル交換業務を行うに際して必要となる基本的かつ重要な工具が欠如していたため,それらのみでは出張オイル交換業務を行うことができなかった。
カ オートプロの加盟店になることによってオートプロから提供される技術ないしノウハウはガソリンスタンドにおいて行われているものと同程度のものにすぎないにもかかわらず,加盟店契約に係る加盟金は100万円と高額であった。オートプロの売上げは高額の加盟金収入に依存しており,オートプロが破産した原因は加盟金収入が減少したことによるものであった。
キ 以上のとおり,オートプロは,加盟店契約締結により支払われる高額な加盟金や価値に見合わない高額な架装備品代を徴収する目的で,無給で長期にわたる研修が終わっても実質的な業務の委託は行われず,業務を委託されたとしても加盟店は収益を上げにくい構造となっていたにもかかわらず,実現が不可能ないし著しく困難な収益予測を提示するなどして実態と大きく乖離した不当な勧誘を行っていたのであり,このようなオートプロの勧誘は違法な詐欺行為というべきである。仮にそうでないとしても,オートプロは,原告らに対し,業務委託や研修の実態,収益構造の実情等につき何ら説明することなく,実現不可能な高収入が得られる旨の説明をして加盟店契約締結の勧誘をしているのであるから,説明義務違反が認められる。
【被告らの主張】
ア オートプロは,原告ら加盟希望者に対して業務委託をする旨説明していたものの,これにより加盟店が一定の収益を確保可能となるよう保証するなどしたことはない。
イ オートプロは,研修期間につき早くて2か月,通常三,四か月はかかると説明していた。そして,オートプロの研修は週4日,1日に朝,昼,夜の3回(1単位2時間)行われており,どの曜日,時間帯の研修を選択するかは加盟店の自由であり,完全予約制ではあるものの,オートプロが加盟店の予約を断ることはほとんどなかった。
そのため,加盟店は,自由に選んで研修を受けることができたし,研修中の兼業も禁止されていなかったから,研修期間の長期化によって生活が維持できなくなるということはない。
ウ オートプロと加盟店との間の加盟店契約においては,オートプロからの業務委託によるだけでなく,加盟店自身がオートプロから提供される技術指導や架装備品等を活用して自ら顧客を開拓することにより売上げの増加を図ることが前提とされており,オートプロは,その前提の下で,適切に出張オイル交換業務を遂行する加盟店に対して業務委託を行っていた。
エ オートプロの加盟店が行う業務について,加盟店による顧客の自己開拓とオートプロからの業務委託によって収益を上げることは十分可能であり,実際に収益を上げている加盟店も多数存在していた。また,オートプロは,業務委託以外にも,加盟店会議,マネージャー会議及び加盟店連絡書の配付などによって業務委託を受けた加盟店のサービスの質が向上するよう努めていた。
オ オートプロが指定した架装備品は,普通自動車・大型自動車のオイル交換業務等を行う上で必要な基本設備一式であり,自動車のメーカー等によって特殊な工具が必要となる場合には,加盟店が選択して自ら購入することを当然の前提としている。
カ 以上のとおり,オートプロは加盟店に対して高収入の実現ないしそのための業務委託を保証するといった形での勧誘はしておらず,加盟店がオートプロからの業務委託及び自助努力による顧客獲得を通じて収益を上げることが可能な仕組みになっており,オートプロが加盟店に対して業務委託を行っていたのは明らかであるから,オートプロの勧誘に詐欺ないし説明義務違反は認められない。
(2)  被告Y1の損害賠償責任
【原告らの主張】
被告Y1は,争点(1)で主張したとおり,オートプロの代表取締役として,実際には業務委託をしないに等しいため加盟店に損害を与えることを知り,又は容易に知りうる立場にありながら,他の取締役や従業員が業務委託の実態と乖離した虚偽の説明を行って加盟店契約締結の勧誘をしているのをやめさせることなく,原告らに本件加盟店契約を締結させて加盟金等の金員を交付させたものであって,詐欺的勧誘を組織的に行ってきたといえるから,民法709条,同法719条及び旧商法266条の3に基づき,原告らに対して損害賠償責任を負う。
なお,被告Y1は免責許可決定を受けているけれども,原告らの被告Y1に対する損害賠償請求権は,破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権であるから,非免責債権である。
【被告Y1の主張】
争点(1)で主張したとおり,オートプロの勧誘に詐欺ないし説明義務違反が認められないことは明らかであるから,被告Y1は,原告らに対して民法709条,同法719条及び旧商法266条の3に基づく損害賠償責任を負わない。
(3)  被告Y3の損害賠償責任
【原告らの主張】
前記争点(2)で主張したとおり,被告Y1には損害賠償責任が認められるところ,被告Y3は,オートプロの取締役として代表取締役である被告Y1の業務執行を監視する義務があるにもかかわらず,これを怠ったものである。
また,被告Y3は,オートプロの取締役として,加盟店の募集に際して,加盟店希望者に対して正確な情報を提供する義務があるにもかかわらず,実際には業務委託をしないに等しいため加盟店に損害を与えることを知り,又は容易に知りうる立場にありながら,原告らに対して業務委託の実態と乖離した説明をするなどして本件加盟店契約を締結させたものである。
以上のとおり,被告Y3にはその職務を行うにつき故意又は重大な過失があったといえるから,原告らに対して旧商法266条の3に基づく損害賠償責任を負う。
【被告Y3の主張】
争う。
(4)  被告Y2の損害賠償責任
【原告らの主張】
ア 被告Y2は,平成15年3月20日にオートプロの取締役に就任しており,同日以降オートプロの業務執行を監視し,被告Y1や被告Y3の違法行為を抑止する義務があるにもかかわらず,実際には業務委託をしないに等しいため加盟店に損害を与えることを知り,又は容易に知りうる立場にありながら,上記監視義務を怠ったものである。
したがって,被告Y2は,同日以降にオートプロとの間で本件加盟店契約を締結した原告X10,原告X6及び原告X8に対して旧商法266条の3に基づく損害賠償責任を負う。
イ 株式会社エーピージェイコーポレーション(以下「APJ」という。)はオートプロの企画調査・広告部門であり,APJの代表取締役である被告Y2はオートプロの業務にも関与していたこと,被告Y2がいったん平成14年3月12日にオートプロの取締役に就任したとして登記されていること,被告Y2が平成15年3月20日にオートプロの取締役に就任する前後で被告Y2の関与していたオートプロの業務内容に変化がないこと,オートプロにおいて被告Y2が「副社長」の肩書きを用いていることからすれば,平成15年3月20日以前においても,被告Y2は,実質的にはオートプロの取締役としての地位にあったものというべきである。
したがって,被告Y2は,上記3名以外の原告らに対しても事実上の取締役として旧商法266条の3の類推適用により損害賠償責任を負う。
【被告Y2の主張】
被告Y2がオートプロの取締役に就任したのは平成15年3月20日であり,それ以前においては事実上の取締役に該当しないものであるところ,原告X6,原告X8,原告X10の3名以外の原告らは,被告Y2の取締役就任以前に本件加盟店契約を締結しているから,上記3名以外の原告らの被告Y2に対する請求はいずれも失当である。
また,上記3名の原告らとの関係においても,争点(1)で主張したとおり,オートプロの勧誘にはそもそも違法性がない上に,被告Y2は,オートプロの営業部長として法人顧客獲得のための営業を担当しており,原告らとの間の本件加盟店契約締結には一切関わっていなかったから,被告Y2は損害賠償責任を負わない。
(5)  損害
【原告らの主張】
原告らは,被告らの行為により,加盟金,商材費,技術研修費等の支出を余儀なくされたものであって,これらの支出額と同額の損害を被ったものであるところ,原告ら各自の損害額の詳細は,別紙損害一覧表記載のとおりである。なお,弁護士費用としては上記損害額の1割が相当である。
【被告らの主張】
争う。
第3  争点に対する判断
1  事実認定
前記前提事実並びに証拠(甲イ8,甲ロ3,甲ニ11,甲ホ7,甲ヘ5,甲ト1,甲チ4,甲リ6,甲ヌ10,乙ハ11~13,原告X2本人,原告X5本人,被告Y1本人,被告Y2本人,後掲の各証拠)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
(1)  オートプロの事業展開等
オートプロは,平成12年6月ころから約半年間大阪府内で出張オイル交換業務を試験的に行ったところ,これまでにない新たな形態の業務で,顧客の反応もよく,売上げが好調であったため,今後広く需要が見込まれる事業であると判断し,東京を中心にして新しく加盟店募集を行って事業を拡大することとした。その結果,オートプロは,自社の従業員自らあるいは加盟店に委託して出張オイル交換業務を行うとともに,加盟店を募集して加盟店契約等を締結した際に支払われる加盟金等,各加盟店に対する研修指導料金,各加盟店に対するオイル等の販売代金を主な収入源とするようになった。ちなみに,加盟店契約締結に伴ってオートプロに支払われる金員は,加盟金50万円(後に100万円に増額),技術研修指導費30万円,エンジンオイル等の商材費20万円及び車両に対する架装設備費150万円(加盟店の所有する車両で出張オイル交換業務を行う場合に限る。)の合計250万円(後に300万円)であった。
オートプロは,平成13年には東京及び大阪のほかに名古屋にも事業所を設け,その後大手取引先の増加に伴ってその需要を充たすために各地で加盟店募集の必要性が生じ,平成16年ころ以降全国に多数の事業所を設置するとともに,大手取引先から受注したオイル交換業務を各事業所の加盟店に委託して受注代金と業務委託手数料の差額を売上げとして取得するようになり,引き続き積極的な事業展開を図ったものの,事業所設置や広告に係る費用の増加と新規加盟店の減少による売上減から借入金が増大するなどしたため経営困難に陥り,平成18年7月5日に営業を廃止して自己破産の申立てに至ったものである。(甲18)
(2)  オートプロの加盟店募集の広告
ア 平成15年1月ころに発行された折り込み求人紙ユメックスに掲載されたオートプロの広告には,「収入は出来高制」,「あなたのやる気次第で高収入! あなたの努力次第で実現! 月収120万円以上可能」,「取引先多数紹介致します。 ※開業に関わる諸費用の負担が必要です。」,「あなたの努力次第で実現! 日収2~4万円以上可能」などの宣伝文言が記載されていた。(甲1,甲ニ2)
イ 加盟店等の募集を中心とした求人広告雑誌であるアントレの平成15年2月号に掲載されたオートプロの広告には,「出張型の車両管理メンテナンスサービス。オイル交換をはじめ,バッテリー液や,ウインドウウォッシャー液,クーラント(LLC)など消耗品の管理メンテナンスの請負い。」との事業内容の紹介,「市場規模は首都圏だけでも400万台以上特別な知識・資格は不要 APJ特殊車両のリースも可能 収益性の高さを重要視したシステムでサポートします」,「約一ヶ月の研修有」などの宣伝文言のほか,モデル月収として,「72万3873円」,その内容につき,「APJ紹介による収入47万3873円,自己開拓による収入25万円」,「APJ紹介分月間156台・自己開拓分月間50台(1日8台~13台程度)のメンテナンスをした場合。ロイヤリティは弊社からの紹介による仕事の場合のみ10%いただきます。(上記金額はロイヤリティを差し引いた金額になっています)」などと記載されていた。(甲7)
アントレの同年5月号に掲載されたオートプロの広告には,上記同誌2月号に掲載された広告におけると同様の事業内容及びモデル月収(ただし,「72万3837万円」と記載されているのは「72万3878円」の誤りである。)の紹介,「店舗不要で低リスク!! 成長性の高いビジネスです。」,「このマーケットは未開拓で,競合もほとんどなし。事業のスタート以来,取引先は飛躍的に拡大。」,「オイルは利益率が高く,一度お取り引きいただけば継続的な収益を上げることができます。50歳からスタートして,着実に業績を伸ばしている加盟店オーナーもいらっしゃいます。」などの宣伝文言のほか,オートプロによる開業支援内容として,「開業までの期間/1~2ヵ月(未経験の場合)」「開業可能なエリア/首都圏を中心に全国」「当社ならではのバックアップ/本部が受注したお客様は地域別にご紹介いたします。独自の顧客管理システムによるフォローが可能です。廃油やフィルター処理はすべて本部で引き取ります。」と記載されていた。(甲6)
アントレの平成16年3月号に掲載された原告X10の記事には,「開業/2003年12月 初期費用/160万円(加盟金,商材費,研修費含む) 売上高/月商約30万円(2003年12月見込み)」という原告X10のプロフィールのほか,研修について,「すべてマンツーマンで行われ,オイル交換や安全点検など,軽自動車からトラックまですべての車に対応できる技術と,開業ノウハウを学ぶ。なかには半年以上かけて研修を受ける人もいるが,X10さん(原告X10)は驚異的な集中力を発揮して,最短の2カ月で修了。」などと,開業支援態勢について,「同社(オートプロ)では本部のサポートに加えて,各ブロックの地区長を筆頭に加盟店が互いに助け合う,地区長制度を採用している。仕事を融通し合ったり,後輩を指導したり,その結束力は非常に強い。」などと記載されていた。(甲ヌ9の1)
アントレの同月号に掲載されたオートプロの広告には,上記同誌2月号に掲載された広告におけると同様の事業内容及びモデル月収の紹介,「大手企業との取引が中心です! リピートが多く,立地に左右されないビジネス。首都圏を中心に全国各地での営業が可能です。本部の広報活動によって受注したお客様は,地域別にご紹介します。見込み客は,本部が同行営業するので安心です。自ら営業して受注した場合の手数料は不要。顧客管理は,本部の管理システムでフォロー。廃油やオイルフィルターは本部で引き取るので環境への配慮も問題なし。」という宣伝文言のほか,事業のポイントとして「特別な知識,経験は不要。必要なのは,プロ意識だけ!」との項目の下に,「取引先は大手をはじめ,法人がほとんどです。そのため,基本的なビジネスマナーと,正確でキビキビとした作業姿勢によって顧客の信頼を得ることがもっとも重要となります。作業手順や基本的なビジネスマナーは身につくまで研修で指導しますので知識や経験がなくとも問題ありませんが,プロ意識をもって取り組まないと成功は望めません。」,「基本的に顧客は本部が紹介しますし,GSや量販店とは主な顧客層が異なるため開拓もしやすいのが特長です。目標意識と強い信念をもって行えば特別な素質がなくても誰もが成功するビジネスだと自負しています。」,「本部の広報活動によって受注したお客様は地域別にご紹介します。」,「自ら営業して受注した場合の手数料は不要。」などと記載されていた。(甲ヌ9の2)
なお,アントレの広告に記載されていたオートプロ加盟店のモデル月収は,その当時における地区長や地区リーダーらの収入を参考にしたものであった。
ウ 平成16年2月15日発行の新聞折り込み求人広告クリエイトに掲載されたオートプロの広告には,「あなたの努力次第で実現! 月商120万円以上可能」,「未経験でも研修が有るので安心です。店舗不要。特装車が有ればOK。取引先は法人がほとんど! だからリピート率がバツグン!!」などと記載されていた。(甲ヘ3)
エ ビジネス雑誌「THE BUISINESS SUPPORT」2002年11月号に掲載されたオートプロとその出張オイル交換業務に関する紹介記事には,「社員だけでは手が回らないほど受注が増えたことから,二年前から加盟店の募集を始めた。」との被告Y1の発言等が記載されていた。(甲8)
(3)  加盟店契約締結に至る経緯等
ア 前記(2)で認定した各種広告等を契機としてオートプロないし出張オイル交換業務に興味を抱いた者からの問い合わせがあると,オートプロでは,出張オイル交換業務及びオートプロの事業システムにつき理解してもらうために,事業内容の説明等を記載した資料を送付していたほか,全国に最大で13箇所あった各地域の事業所における面談の際に,出張オイル交換業務の具体的な仕事の流れ等を紹介するビデオを上映したり,前記(3)エのビジネス雑誌の記事を手渡したりするとともに,面談担当社員によるマンツーマンでの事業内容に関する説明を行っていた。加盟店希望者との面談においては,出張オイル交換業務は,特別な知識や経験等がなくても,やる気と覚悟のある人なら誰でもできる仕事であること,オートプロの加盟店として出張オイル交換業務に従事するについては,オートプロによる開業ないし自立支援として加盟店に対する顧客の紹介(業務委託)を行っており,これに加えて,加盟店が自己開拓で新たな顧客を獲得していくことにより,多くの収入を得ることも可能であることなどの説明がされていたものの,加盟店の収入金額やオートプロからの業務委託の件数につき具体的な数字を出して,一定の収入金額や業務委託件数を保証するという趣旨の説明はされていなかった。
イ 加盟店希望者に対しては,上記面談から契約締結までに一定の検討期間を設けており,その間に,加盟店希望者の要望に応じて,実際に稼働している加盟店の仕事を見てもらうこともあった。
そして,加盟店希望者とオートプロが本件加盟店契約等を締結するに際しては,上記ビデオや面談において受けた説明内容につき改めて確認した上で,加盟店希望者に契約締結確認書への署名押印をしてもらい,これをファックス等により被告Y1のところへ送付することになっていた。この契約締結確認書には,その冒頭で,オートプロにあてて,「私は貴社との加盟店契約の締結にあたり,契約時に下記の事項を確認し,了承致しました。」との文言が記載されており,これに引き続く合計11の確認事項の最初の項目中には,「ビデオの事業説明の中で,収益計算はあくまでシミュレーションであることを理解致しました。目標台数においても顧客確保の日々の積み重ねによる台数であることを理解致しました。事業開業時から研修中は,すぐに収益が得られないことも理解致しました。」と記載されていた。また,こうして締結された本件加盟店契約については,契約締結日から20日間のクーリングオフ期間が設けられていた。(乙ハ8)
なお,本件加盟店契約の具体的内容の概要は,後記(5)のとおりである。
ウ 加盟店希望者の中で契約締結に伴うオートプロへの加盟金等の支払能力が十分でないため国民生活金融公庫等からの融資を受ける必要がある者については,その要請を受けたオートプロにおいて,上記加盟店希望者が金融機関等に対して提出する資料を作成するための参考として,被告Y1が作成した開業計画書(甲13の2)を提供していたところ,上記開業計画書は,国民生活金融公庫への融資申込みに際して必要とされる創業計画書の記入例(乙ハ3の2)を参照して作成されたものである。上記開業計画書には,出張オイル交換業務による1か月間の売上高は開業当初が73万3750円で軌道に乗った後が146万7500円であること,オイル平均単価が550円,1台あたりの平均オイル量が9リットル,1日稼働台数が5台(エレメント交換2台含む。),月間稼働日数が25日,売上原価率が35パーセントであることなどといった記載がされていたが,リース料やロイヤリティに関する記載はされていなかった。(甲13の1~3,乙ハ3の1~3)
(4)  オートプロと原告らとの本件加盟店契約締結等
ア 原告X1は,勤務していた大明株式会社を退社した後,平成15年1月25日,オートプロとの間で本件加盟店契約を締結し,オートプロに対して加盟金100万円,自己車両で出張オイル交換業務を営むための車両特殊架装工事費等150万円,商材費20万円,技術研修指導費30万円及びこれらに対する消費税15万円の合計315万円を支払うことになり,同日,上記加盟金等の一部100万円を支払い,同年2月12日に残金215万円を支払った。また,原告X1は,株式会社損害保険ジャパン(以下「損保ジャパン」という。)との間で,自動車総合保険契約を締結し,その保険料として合計4万6080円を支払った。(甲12,17,甲イ1~3)
イ 原告X2は,昭和59年3月から山陽紙工株式会社(以下「山陽紙工」という。)に勤務していたが,平成14年9月7日,オートプロとの間で本件加盟店契約を締結し,原告X1と同様,オートプロに対して加盟金等合計315万円を支払うことになり,同日,加盟金等の一部100万円を支払い,同年10月12日に残金215万円を支払った。(甲12,17,甲ロ1,2の1・2)
ウ 原告X3は,平成14年2月14日,オートプロとの間で本件加盟店契約を締結し,原告X1と同様,オートプロに対して加盟金等合計315万円を支払うことになり,同日,加盟金等の一部100万円を支払い,残金215万円については,オートプロからの借入れによった上で,同年7月28日までに分割弁済した。その後,原告X3は,平成15年9月4日,オートプロとの間で本件業務委託契約を締結した。(甲12,17,甲ハ1~3の10)
エ 原告X4は,昭和58年4月に丸真鉄工株式会社に入社して平成12年8月には同社の代表取締役に就任したが,平成14年12月に営業譲渡をして平成15年4月に廃業した。
原告X4は,同年2月15日,オートプロとの間で本件加盟店契約を締結し,オートプロに対して加盟金100万円,商材費20万円,技術研修指導費30万円及びこれらに対する消費税7万5000円の合計157万5000円を支払うこととなり,同日,加盟金として100万円を支払い,同月19日に残金57万5000円を含む65万5140円を支払った。(甲ニ1,3の1・2)
また,原告X4は,自己の車両ではなくリース車両を用いてオートプロの加盟店として出張オイル交換業務を行うこととし,同年3月18日,大和工商リース株式会社(以下「大和工商」という。)との間で,ダイハッ「ハイゼットカーゴ」を1か月6万2000円でリースするという内容の自動車リース契約(以下「本件リース契約」という)を締結した。(甲ニ4の1・2)
オ 原告X5は,平成8年から株式会社オオゼキ(以下「オオゼキ」という。)に勤務して青果物販売の仕事を行っていたが,平成15年2月10日,オートプロとの間で本件加盟店契約を締結し,原告X4と同様,オートプロに対して加盟金等合計157万5000円を支払うこととなった。(甲ホ1)
原告X5も,リース車両を用いて出張オイル交換業務を行うこととし,同年3月18日,大和工商との間で本件リース契約を締結した。(甲ホ3の1・2)
カ 原告X6は,平成16年2月26日,オートプロとの間で本件加盟店契約を締結し,原告X4と同様,オートプロに対して加盟金等合計157万5000円を支払うこととなった。また,原告X6は,同年12月8日,オートプロとの間で本件業務委託契約を締結した。(甲ヘ1,2)
原告X6も,リース車両を用いて出張オイル交換業務を行うこととし,同年3月8日,大和工商との間で本件リース契約を締結した。(甲ヘ4)
キ 原告X7は,平成15年3月10日,オートプロとの間で本件加盟店契約を締結し,原告X4と同様,オートプロに対して加盟金等合計157万5000円を支払うこととなった。(甲ト1)
ク 原告X8は,平成16年5月18日,オートプロとの間で本件加盟店契約を締結し,原告X4と同様,オートプロに対して加盟金等合計157万5000円を支払うこととなり,同日,加盟金等の一部30万円を支払い,同月28日に残金127万5000円を支払った。(甲チ1の1・2,甲チ4)
原告X8も,リース車両を用いて出張オイル交換業務を行うこととし,同年6月24日,大和工商との間で本件リース契約を締結した。(甲チ3の1・2)
また,原告X8は,損保ジャパンとの間で,自動車総合保険契約を締結し,その保険料として合計15万5190円を支払った。(甲チ2の1~3)
ケ 原告X9は,平成14年10月19日,オートプロとの間で本件加盟店契約を締結し,原告X4と同様,オートプロに対して加盟金等合計157万5000円を支払うこととなり,同日,上記加盟金等の一部100万円を支払い,同月28日に残金57万5000円を含む66万5140円を支払った。(甲リ1,2の1・2)
また,原告X9は,三井住友海上火災保険株式会社との間で,自動車保険契約及び賠償責任保険契約を締結し,それらの保険料として,合計23万6120円を支払った。(甲リ4の1・2,5の1~3)
コ 原告X10は,平成15年9月11日,オートプロとの間で,本件研修契約を締結し,オートプロに対して初級技術指導研究費用30万円を支払うこととなり,同日,上記費用の一部2万円を支払い,同月22日に残金28万円を支払った。また,原告X10は,平成15年12月2日,オートプロとの間で本件業務委託契約を締結した。(甲ヌ1~3の2)
原告X10は,オートプロからリースした車両を用いて出張オイル交換業務を行うこととし,同年11月27日,オートプロとの間で出張オイル交換業務用の車両のリース契約を締結し,オートプロに対し,上記リース契約に基づくリース代金として,同日に8万1585円,平成16年1月8日に8万円を支払った。(甲ヌ4,5の1・2)
(5)  本件加盟店契約等の内容
ア 基本業務内容
本件加盟店契約及び本件業務委託契約に記載されているオートプロの加盟店が行う基本業務内容は下記のとおりである。

① 加盟店の基本業務内容は,加盟店が,自ら開拓した顧客(原告X3及び原告X2の本件加盟店契約書には,オートプロから紹介を受ける顧客又は加盟店が独自に開拓した顧客とされている。)のもとに出張して自動車等のエンジンオイルの交換業務をオートプロの指示に従って実施するというものである。
② 加盟店は,オートプロの指導に従い,出張料及び作業工賃無料でエンジンオイルの交換業務を行うとともに,自動車につき8項目の無料点検を行い,点検の際には,オートプロの指導する点検方法による指差し・声出し点検を実施する。
③ オートプロは,加盟店が顧客を開拓するための営業につき応援要請をすれば,これに同行して協力をする。
④ オートプロは,加盟店の新規顧客の車両のデータをコンピューターで管理し,加盟店が望む場合は定期的に顧客管理データリストを提供する。また,オートプロは,加盟店が行う出張オイル交換業務に必要と思われる商材を定期的に供給する。
⑤ 加盟店は,オートプロが行う定期的な加盟店会議に積極的に参加し,新しいサービスメニューのための技術研修を受けることを約束する。
⑥ 加盟店は,交通規則を遵守し,走行中は交通マナーに従って安全運転を行う。
⑦ 加盟店は,出張オイル交換業務の現場にオイルをこぼしてはならない。こぼした場合は加盟店の責任で原状復帰する。また,現場での工具や廃品の置き忘れ等に十分注意する。
イ 研修内容及び期間
本件加盟店契約及び本件研修契約に記載されている加盟店の研修内容及び期間は下記のとおりである。

① 加盟店は,オートプロの定める課程の技術指導研修を受講し,その課程を修了する。
② オートプロは,加盟店が出張オイル交換業務の実施に支障がない能力を備えたと判断した場合に,研修課程の修了の認定を行い,加盟店はこれに異議を述べない。
③ 研修は,約1か月から2か月を標準的な期間とするが(なお,本件研修契約では約1か月から3か月とされている。),加盟店の実績経験によっては,オートプロの判断により研修期間を短縮又は延長する。この場合,技術指導研修費の減額又は増額を行わない。
ウ 業務委託及び新規顧客開拓等
本件加盟店契約及び本件業務委託契約に記載されているオートプロから加盟店への業務委託及び加盟店による新規顧客開拓の内容は以下のとおりである。

① オートプロは,加盟店が各地域の地区長又は地区リーダーから業務委託車両のデータを受け取り,地区長又は地区リーダーの指示に基づいて業務を行う顧客を決定するという方法により業務委託を行う。オートプロが加盟店に対して業務委託した顧客について,加盟店は合理的な理由がある場合以外は出張オイル交換業務を行うこととし,オートプロの指示が不合理であると考えられるときはオートプロからの業務委託を断ることができる。
② 加盟店は,オートプロの加盟店として,新規顧客の開拓に努力する。
③ オートプロが業務委託した顧客に対して加盟店が業務を行った場合の代金は,オートプロが指定する車両タイプ別の価格に従って決定する。加盟店が新規開拓した顧客に対して業務を行った場合の代金は,加盟店がその販売価格及び取引条件を決定し,加盟店はその金額及び内容をオートプロに報告する。
④ 加盟店がオートプロの業務委託により出張オイル交換業務を行った場合,加盟店は,オートプロに対して売上げの10パーセントに相当する金員を事務手数料(ロイヤリティ)として支払う(なお,事務手数料はその後売上げの15パーセントとなっている。また,原告X10との本件業務委託契約では,事務手数料は売上げの20パーセントとなっている。)。
⑤ オートプロは,加盟店に業務委託する場合,納品請求の作成,集金業務を行い,顧客の倒産又はその不払いが生じた場合でも,加盟店に対して代金から上記④のロイヤリティ及び商品仕入額を控除した額を業務委託料として,毎月末日締切で翌月末日限り,加盟店の指定する銀行口座に振り込んで支払う。
エ オイル等の購入
加盟店は,オイル等の品質を維持するため,オートプロ以外からオイル等を購入することを禁止されている。
オ 地区長制度
オートプロは,各地域の作業現場を円滑に行うため,オートプロの指名により,加盟店の中から地区長及び地区長候補を選出するという地区長制度を設け,加盟店は,上記地区長制度に了承して従うこととされている。
(6)  オートプロの研修等
ア オートプロの研修には,オートプロの本部内で行う本部内研修と実際の現場で行う現場研修があり,これらはいずれも予約制であった。
本部内研修は実技と学科に分かれており,学科研修では軽自動車から大型トラックまでの車の構造,オイルや各部品の種類及び性質,工具の種類及び用途などに関する研修が行われ,実技研修では研修用の車両を使ってオイル交換,エレメント交換及び8項目点検の仕方,作業全般の流れ等に関する研修が行われた。そして,本部内研修の最後には実技と筆記による修了試験があり,それに合格すれば現場研修を受けることができる。
現場研修は,加盟店がオートプロの社員や研修を修了した加盟店である指導官と共にオートプロの顧客のもとに赴き,指導官の指導を受けながら実際にオイル交換作業等を行うものであり,この際,加盟店は,最初は指導官の傍らで仕事の流れを見学することから始めて,少しずつ作業を手伝っていき,最後は自力で一通りの作業を行うことが予定されていた。現場研修は平均して10回程度行われていた。
イ 前記のとおり,本件加盟店契約では,約一,二か月が標準期間とされていたが,研修が修了するまでに,原告X1は約3か月,原告X2は約7か月,原告X4は約4か月,原告X5は約6か月,原告X6は約9か月,原告X7は約1年間,原告X10は2か月の期間を要し,原告X8及び原告X9は研修を修了することができなかった。もっとも,原告X2,原告X5及び原告X6は,オートプロの研修中も兼業していた(なお,原告X5は,研修中に勤務先であったオオゼキを辞めている。)。
ウ オートプロは,研修を終えて試験に合格した加盟店のうちオートプロからの業務委託を希望する者との間で本件業務委託契約を締結した上,加盟店に対して顧客を紹介し,これを受けて加盟店が実際に稼働を開始することになる。もっとも,オートプロからの顧客紹介を希望しない加盟店等もあり,本件業務委託契約を締結していた加盟店の割合は約8割であった。研修期間中はオートプロからの業務委託はされなかったが,前記のとおり,本件加盟店契約では,研修中でもオートプロの加盟店として自ら開拓した顧客を相手に仕事することが可能であり,現に原告X2は,研修中に自ら開拓した顧客を相手に出張オイル交換業務を行っていた。
エ オートプロでの当初の研修を終えた加盟店は,その段階では未だ初級修了者であって,出張オイル交換業務で扱える顧客の車両が4トン以下の車両に限られていたものの,技術及び経験を積むことにより中級,更には上級の研修を修了すれば,それに応じてより大型の車両を取り扱うことが可能であった。現に原告X2は中級修了者であった。(甲11)
(7)  出張オイル交換事業の内容等
ア オートプロの出張オイル交換業務は,オートプロの加盟店が,出張料及び作業工賃無料で,顧客の自動車の所在場所まで出向き,エンジンオイルの交換とともに,自動車につき8項目の無償点検を行うことを基本とするものであるけれども,実際に行われる業務は必ずしもそれのみにとどまるものではなく,顧客の承諾を得て,無償点検対象外の項目につき有償点検を行うとともに,無償・有償の点検によりその必要性があると判断されたエレメント(オイル濾過用フィルター)や部品(ウォッシャー液,電球等)の交換を行うことにより,交換したオイル代金に加えて,点検費用,エレメントや部品の代金もその売上げとなるものである。なお,オイルや部品等の仕入代金のほかに燃料代等の諸経費をも含めた原価率は約35パーセントであった。
また,加盟店においては,顧客に対する出張オイル交換業務を行うに際して,顧客の保有する車両の種類や走行距離等に応じて予定された一定の期間内にこれを行うべく,複数の作業現場を効率的に巡回できるように柔軟にスケジュールを組んだり,周到な事前準備に基づき作業現場でも複数の車両につき同時並行的に作業を行ったりすることにより,作業効率の上昇と売上げの増加につなげることが可能であった。
イ オートプロでは,加盟店に対する開業支援ないし自立支援として,顧客の車両の種類や走行距離等のデータを一括管理した上,加盟店に対して顧客の紹介を行っており,新たに紹介された顧客については,特段の事情がない限り,その後も当該加盟店において取引を継続していくものとされていたが,基本的には,加盟店において,オートプロから紹介された顧客を通じて新たに顧客を紹介してもらったり,新しく獲得した顧客から更に顧客を紹介してもらったりなどして,自らの営業努力で新たに顧客を獲得していき(以下「自己開拓」ということがある。),これにより売上げの増加を図るとともに,自己開拓の顧客を中心にした自立的な営業形態への移行していくことが期待されていた。なお,加盟店においては,オートプロから紹介された顧客に対する売上げについては一定のロイヤリティ(当初10パーセントであったが,後に15パーセントに増額された。)をオートプロに支払わなければならなかったが,自己開拓の顧客についてはその支払は不要であった。
当初オートプロでは,直接個々の加盟店に対して顧客を紹介するという仕組みが採られていたが,加盟店の中には,オートプロから紹介された顧客の一部に対して様々な理由から出張オイル交換業務を行わないまま放置する者が生じるなどしており,オートプロの信用の失墜やひいては受注の減少にもつながりかねないことから,紹介された顧客に対する出張オイル交換業務を正当な理由なく行わない加盟店に対しては重要な顧客の紹介を控えざるを得なくなったほか,上記のような事態を解消するために,地区長をリーダーとする加盟店の地域グループに対してオートプロから顧客を紹介し,当該地域グループの中で地区長らを中心にして各加盟店に対してオートプロから紹介された顧客を割り振っていくという仕組みに変更された。その結果,地域グループ内で,各加盟店の仕事ぶりやサービスの質等について加盟店が相互に監視する形になり,紹介された顧客の放置等の事態は大幅に改善されるに至った。その一方で,紹介された顧客に対する仕事ぶり等がいい加減であったり,当該地域グループに所属する加盟店による定例の会議に正当な理由なく欠席したりする加盟店に対しては,当該地域グループ内でのオートプロから紹介された顧客の割り振りが減らされるなどしたため,こうした地域グループ制に不満を抱き,オートプロとの業務委託契約を締結しなかったり,これを途中解約したりする加盟店も現れるようになった。
ウ 前記のとおり,オートプロでは,地域グループごとに加盟店がグループを形成して,その中でオートプロから紹介された顧客の割り振りを行い,加盟店による相互監視態勢を執るとともに,月1回の割合で地域グループごとに所属加盟店による地域会議(加盟店会議)を開催して,出張オイル交換業務におけるサービスの改善向上や顧客とのトラブル対策等につき意見及び情報の交換を行っていた。このほか,全国規模での話合いの場として年数回マネージャー会議が開催され,全国各地域のマネージャー,地域グループの地区長及びオートプロの担当者等が参加して,各地で生じたトラブルの内容及びその対策,出張オイル交換業務遂行上の工夫点等につき情報交換を行ったり,加盟店の売上げ向上のための方策やオートプロ全体の事業プラン等につき意見交換を行うなどしていた。(甲14)
また,オートプロは,加盟店に対する連絡事項を記載した文書を随時配付するなどして,車両の種類に応じた作業上の注意事項や工具の説明その他出張オイル交換業務を遂行する上で必要な情報の提供も行っていた。(乙ハ6)
(8)  原告らの売上げ
ア 原告X1の平成15年5月分のオートプロからの業務委託による顧客から売上げは合計10万2302円であり,そこからロイヤリティ(10パーセント)1万0230円及び売掛仕入合計金額2万6659円を引いた残りは6万5413円であった。(甲イ5の1,6の1,7の1)
原告X1の同年6月分のオートプロからの業務委託による顧客からの売上げは合計5万1659円であり,そこからロイヤリティ(10パーセント)5165円及び売掛仕入合計金額1万0487円を引いた残りは3万6007円であった。(甲イ5の2,6の2,7の1)
原告X1の同年7月分のオートプロからの業務委託による顧客からの売上げは合計8937円であり,そこからロイヤリティ(10パーセント)893円及び売掛仕入合計金額955円を引いた残りは7089円であった。(甲イ5の3,6の3,7の1)
イ 原告X2は,山陽紙工に勤めながらオートプロの加盟店となって平成14年10月から研修を開始し,研修中に自ら開拓した顧客を相手に出張オイル交換業務を始めていたが,平成15年7月に研修を修了して,オートプロとの間で本件業務委託契約を締結した。
原告X2のオートプロからの紹介による顧客からの売上げは,平成16年2月が9万1458円,同年3月が6万6279円,同年4月が12万5968円,同年5月が14万3915円,同年6月が13万3079円,同年7月が17万9548円,同年8月が9万1595円であった。もっとも,原告X2は,山陽紙工に勤めていたため,同年2月から同年5月までは土日しか出張オイル交換業務を行っていなかった。(甲ロ4,5)
その後,原告X2は,約1年ほど加盟店として営業をすると,ある程度自己開拓による顧客が増えてきたことから,オートプロの業務のみで生計を立てられるのではないかと考え,平成16年3月に山陽紙工を退職して,同年4月からオートプロの業務に専念した。原告X2が山陽紙工に勤めていたときの年収はおよそ700万から800万円であった。
その後,原告X2は,平成16年10月にオートプロの加盟店を辞め,その直後から「オイルネットパル シマダ」との屋号で自ら開拓した顧客を相手にオートプロ加盟店時と同様のオイル交換業務を開始したが,顧客の開拓を続けるとともに,オイルの積載量を増加させるなどの工夫もしたことから,平成17年4月から平成18年4月の売上げはおよそ630万から640万円程度となり,平成19年夏ころから月の売上げは100万円を超えるようになった。(甲ロ3,乙ハ4,9)
ウ 原告X3の平成14年12月から平成16年6月までのオートプロからの業務委託による売上げ,それに係るロイヤリティ及び売掛仕入合計額は,別紙原告X3の売上げ等一覧表記載のとおりである。(甲ハ4の1~22,5の1~22)
エ 原告X4は,平成15年6月30日に研修を修了した。原告X4の平成15年8月分のオートプロからの業務委託による顧客からの売上げは合計4万5055円であり,そこからロイヤリティ(10パーセント)4505円及び売掛仕入合計金額2万2765円を引いた残りは1万7785円であった。(甲ニ8~10)
オ 原告X5は,オオゼキで勤めながらオートプロの加盟店となり,平成15年3月から研修を開始し,その研修中である同年5月にオオゼキを退社した。その後,原告X5は,平成15年7月31日にオートプロの研修を修了して出張オイル交換業務を始めた。もっとも,原告X5は,平成16年2月からはオートプロの加盟店の業務と併行して早朝にアルバイトも行っていた。
原告X5の平成16年11月のオートプロからの業務委託による顧客からの売上げは合計40万0607円であり,そこからロイヤリティ(15パーセント)6万0091円,仕入金額合計18万2824円,リース料等6万5100円及び繰越金額12万4843円を引くと,オートプロ本部が使用したⅤドレン金額8820円を足しても2万3431円の赤字であった。(甲ホ4の1,5の1)
原告X5の同年12月のオートプロからの業務委託による顧客からの売上げは合計42万1572円であり,そこからロイヤリティ(15パーセント)6万3236円,仕入金額合計16万6354円,リース料等6万5100円及び前月の赤字分2万3431円を引き,オートプロ本部が使用したⅤドレン金額5040円を足した残りは10万8491円であった。(甲ホ4の2,5の2)
原告X5の平成17年3月のオートプロからの業務委託による顧客からの売上げはなかった。(甲ホ4の3)
もっとも,原告X5は,オートプロからの業務委託以外にもアルバイト先など自ら開拓した顧客に対してオイル交換を行ったりしていた。
原告X5は,平成17年4月29日,オートプロの加盟店を辞め,その後は,アルバイト先の正社員となり,トラックの運転手をしている。
カ 原告X10の平成15年12月のオートプロからの紹介による顧客からの売上げは合計10万6443円であり,そこからロイヤリティ(20パーセント)2万1288円及び売掛仕入金額合計2万3295円を引いた残りは6万1860円であった。(甲ヌ6の1,7の1,8の1)
原告X10の平成16年1月のオートプロからの業務委託による顧客からの売上げは合計17万9476円であり,そこからロイヤリティ(20パーセント)3万589円及び売掛仕入金額合計5万5771円を引いた残りは8万7810円であった。(甲ヌ6の2,7の2,8の2)
原告X10の同年2月のオートプロからの業務委託による顧客からの売上げは合計6万9126円であり,そこからロイヤリティ(20パーセント)1万3825円及び売掛仕入金額合計1万2622円を引いた残りは4万2679円であった。(甲ヌ6の2,7の3,8の3)
(9)  被告Y2の役割
APJは,平成8年10月4日,株式会社リンクトップエーという商号で設立され,二度の商号変更後,平成12年8月22日,「株式会社エイピージェイコーポレーション」に商号を変更したが,平成16年11月30日,オートプロに吸収合併された。
被告Y2は,平成12年5月31日,APJの代表取締役に就任した。APJとオートプロとの間には資本関係はなかったが,APJの本店所在地は,オートプロと同一であり,同じ建物の1階及び2階がオートプロ本社で,3階がAPJの事務所であった。APJは,健康食品の販売の外,オートプロの営業代行を行っており,被告Y2のAPJでの主な業務は,オートプロの法人顧客獲得のための営業,クレーム処理,加盟店育成等であった。
被告Y2は,平成14年3月12日にオートプロの取締役に就任したとして登記されたが,同年5月8日には辞任登記がされた。その後,被告Y2は,オートプロの取締役に就任し,平成15年3月20日に取締役に就任したとして登記された。もっとも,被告Y2がオートプロの取締役に就任する前後で被告Y2が行う業務の内容は異ならなかった。(乙ハ1)
被告Y2は,オートプロの各事業所で行われるマネージャー会議及び加盟店会議に参加することがあった。平成15年2月28日に大阪事業本部で開かれたオートプロのマネージャ会議の議事録には,被告Y2につき「Y2取締役副社長」と記載されている。(甲14)
2  争点(1)について
(1)  原告らは,前記第2の3(1)のとおり,オートプロの加盟店として行う出張オイル交換業務については,加盟店の使用する車両が小型車であるため業務効率や売上単価が低く,オートプロからの仕入価格やロイヤリティが高いため利益率も小さい上,オートプロからの業務委託先の割り振りが地域グループの地区長や地区リーダーの裁量によって行われるため偏りがあることなどから,オートプロには実質上加盟店への業務委託を行う意思がないに等しく,加盟店が収益を上げることが不可能ないし著しく困難な事業構造になっているなどの実態であったにもかかわらず,オートプロが原告らに対し,加盟店においてオートプロからの業務委託により十分な仕事量と高収益を確保することができる旨の内容虚偽の説明をするなどして勧誘し,その旨誤信した原告らに加盟金等名目で多額の金員の支出を余儀なくさせたなどと主張し,原告本人らもその本人尋問や陳述書においてこれに沿う供述ないし陳述(以下「原告供述」ということがある。)をしている。
(2)  原告らは,面接担当者であった被告Y3との面談の際に,同被告から高収入と顧客の紹介を保証されていた旨主張し,原告供述中にはこれに沿う部分がある。
前記認定のとおり,オートプロでは,開業ないし自立支援として,本件業務委託契約を締結した加盟店に対する顧客の紹介を行っていたが,加盟店において,これを出発点として,自らの営業努力を通じて顧客の自己開拓を積み重ねて,より自立的な営業形態へ移行していくことが期待されていたものであり,面談担当社員と加盟店希望者との面談の際にも,オートプロの加盟店として出張オイル交換業務に従事するについては,オートプロによる開業・自立支援として加盟店に対する顧客の紹介(業務委託)を行っており,これに加えて,加盟店が自己開拓で新たな顧客を獲得していくことにより,多くの収入を得ることも可能であることなどの説明がされていたことが認められるものの,その際に,加盟店の収入金額やオートプロからの業務委託の件数につき具体的な数字を出して,一定の収入金額や業務委託件数を保証するという趣旨の説明がされていたとまでは認めることができない。この点に関して,原告X5及び原告X2各本人尋問の結果中には上記原告らの主張に沿うかの如き供述も存するけれども,同原告らの供述するところによっても,オートプロが保証するという加盟店の収入金額や業務委託の件数につき具体的な数字を出しての話ではなかったとうかがわれることに加えて,本件加盟店契約等には,加盟店において新規顧客の開拓に努力すべきことが明記されていることや,本件加盟店契約締結時に加盟店希望者からオートプロに提出される契約締結確認書でも,加盟店希望者において,ビデオの事業説明における収益計算がシミュレーションであることや月間の目標作業台数が顧客確保の努力の積み重ねの結果であることを再度確認する旨の記載が存していることなどにも照らすと,原告らの上記主張に沿う原告供述については,反対趣旨の証拠(乙ハ11,12,被告Y1本人)と対比してたやすく採用することができず,他に原告らの上記主張を認めるに足りる的確な証拠はない。
なお,加盟店募集の広告において,加盟店の努力次第で120万円以上の月商を実現することが可能である旨,加盟店に対してはオートプロから顧客が紹介される旨,モデル月収(72万円余)の内訳につき,オートプロの紹介した顧客に係る収入が約3分の2,自己開拓による顧客に係る収入が約3分の1である旨などの記載がされていたことは前記認定のとおりであるけれども,上記広告中の宣伝文言自体からしても,オートプロが加盟店において一定額以上の収入を保証し,そのために必要な顧客の紹介を確約する趣旨のものとはいえないし,オートプロから原告らの一部に提供された開業計画書(甲13の2)についても,加盟店希望者の金融機関への融資申込みに必要とされる提出資料の参考として提供されたものにすぎず,その使用目的や内容等に照らし,これをもってそこに記載された程度の売上げをオートプロが保証する趣旨のものともいえないことは明らかであって,いずれも上記認定を左右するものではない。
(3)  原告らは,オートプロの加盟店として行う出張オイル交換業務については,加盟店が収益を上げることが不可能ないし著しく困難な事業構造であったとか,オートプロには実質上加盟店への業務委託を行う意思がないに等しかったなどと主張し,原告供述中にはこれに沿う部分が存する。
ア 前記認定のとおり,オートプロの出張オイル交換業務は,加盟店が,顧客の自動車の所在場所まで出向き,エンジンオイルの交換及び自働車の無償点検を行うというものであるが,実際に行われる業務内容は必ずしもそれにとどまらず,顧客の承諾を得て,無償点検対象外の項目につき有償点検を行うとともに,これらの点検によりその必要性があると判断されたエレメントや部品の交換を行うことにより,交換したオイル代金以外にも,有償点検費用及びエレメントや部品の販売代金もその売上げに計上されることになる上,加盟店においては,顧客に対する出張オイル交換業務を行うに際して,周到な事前準備に基づき,複数の作業現場を効率的に巡回できるように柔軟にスケジュールを組んだり,作業現場で複数の車両について同時並行的に作業を行ったりすることにより,作業効率の上昇と売上げの増加を図ることも可能であったものである。また,出張オイル交換業務の経験を積んで技術水準が向上すれば,オートプロにおける中級,更には上級の研修を受けてこれを修了することにより,売上拡大を図りやすい大型車両を対象としたオイル交換業務を行うことも可能となるのであって,現に原告X2は中級の研修を修了していたものである。加盟店は,オートプロからエンジンオイルやエレメント等を仕入れた上で,オートプロから紹介された顧客に対する販売代金についてはオートプロの設定価格に従わなければならず,その売上げから所定のロイヤリティをオートプロに支払う必要があったとはいえ,オートプロからの仕入価格が通常よりも不当に高額であったと認めるに足りる的確な証拠はないこと,ロイヤリティも自己開拓した顧客に係る売上げについては負担する必要がなく,加盟店において自己開拓による顧客を拡大していくことも可能であったことなどに照らせば,上記の点が加盟店にとって過大な負担となっていたものともいえない。さらに,オートプロが倒産した当時,全国で稼働していた加盟店の数は,副業として稼働していた者も含めて約400であったところ,倒産後現在に至るまでなお出張オイル交換事業を継続している旧加盟店も相当数あることがうかがわれる上(乙ハ11及び被告Y1によれば,本業として稼働している者が100余,副業として稼働している者もそれに近い数であるという。),原告X2については,平成16年3月に年収七,八〇〇万円を得ていた山陽紙工を退職し,同年秋にはオートプロの加盟店も辞めて,独立して出張オイル交換業務を開始し,平成19年夏ころ以降は月商が100万円を超えるに至っているというのである。
こうした事情及び弁論の全趣旨にもかんがみれば,オートプロの加盟店として行う出張オイル交換業務につき,加盟店が収益を上げることが不可能ないし著しく困難な事業構造であったとする原告らの主張に沿う原告供述については,反対趣旨の証拠(乙ハ11,12,被告Y1本人)と対比してたやすく採用することができず,他に原告らの上記主張を認めるに足りる的確な証拠はない。
イ オートプロ(東京事業本部)が管理していた関東地区の顧客数は約700,そのほとんどは法人顧客であって,現場の数は約2000,作業対象となる車両も数万台に上っていたところ(甲14,乙ハ2,被告Y1,被告Y2),前記認定のとおり,オートプロから加盟店に対する業務委託は,オートプロから直接個々の加盟店に対して顧客を紹介する仕組みから,地区長をリーダーとする加盟店の地域グループに対して顧客を紹介し,当該地域グループの中で地区長らを中心にして各加盟店に対してオートプロから紹介された顧客を割り振っていくという仕組みに変更されたとはいえ,重要な顧客については,オイル交換業務の技術レベルや営業面での信頼性の高い加盟店の担当とする必要があることなどにかんがみれば,各加盟店の実情を踏まえて上記のような形で仕事の割り振りを行うという仕組み自体には一定の合理性があると考えられるのであって,高収益に直結する仕事が地区長やこれを取り巻く一部の加盟店のみに不当に偏っていたことを認めるに足りる的確な証拠はない。確かに,原告らの売上げは前記認定のとおりであって,オートプロの広告で示されていたモデル月収において掲げられていた金額よりも低いことは否めないものの,上記認定説示に加えて弁論の全趣旨にも照らせば,そのことから直ちにオートプロにおいて実質的に業務委託をする意思がないに等しいものであったとまでは認め難いといわざるを得ない。
(4)  原告らは,オートプロの研修が無意味かつ長期であるなどと主張し,原告供述中にはこれに沿う部分がある。
オートプロの研修については,前記認定のとおり,本件加盟店契約では,オートプロの研修は標準が一,二か月であるとされているところ,前記認定のように,研修が修了するまでに,原告X1は約3か月,原告X2は約7か月,原告X4は約4か月,原告X5は約6か月,原告X6は約9か月,原告X7は約1年間かかり,原告X8及び原告X9は研修を修了することができなかったなど,原告らがオートプロが標準としていた期間中に研修を修了できておらず,また,「アントレ」2004年3月号の原告X10の記事には,オートプロの研修に関して,「なかには半年以上をかけて研修を受ける人もいるが,X10さん(原告X10)は驚異的な集中力を発揮して,最短の2カ月で修了。」との記載があるなど,オートプロが標準期間としている一,二か月で研修を修了することは必ずしも容易ではないことがうかがわれる。しかし,多種多様な車両を対象としたオイル交換業務(無償及び有償での点検並びに部品交換を含む。)の円滑な進行を可能とするためには一定期間の研修を要することは当然であるし,本件加盟店契約では,研修期間について加盟店の実績経験によってオートプロの判断により延長されることも予定されており,研修修了認定は,加盟店がオイル交換業務の実施に支障がない能力を備えたとオートプロが判断した場合にされると規定されているところである。また,原告X2,原告X5及び原告X6については研修中も兼業していたことから,これが研修修了までに長期間を要することになった一因であることは否めない。こうした点からすれば,原告らがオートプロの研修を修了するまでに本件加盟店契約等が標準としている期間以上に時間がかかったからといって,オートプロが原告ら加盟店に業務委託をしないようにするために研修を無意味に長期化させていたと認めることはできない。
このほか,オートプロの研修につき,原告らは,①研修が週に一,二回程度しか行われなかったことからその期間内で研修が終わることはなく,いたずらに研修期間が長期化した,②オートプロの研修内容は簡単なレベルのものであり,独自のノウハウはなく,技術指導よりは大声で挨拶する練習等であった,③オートプロの研修における指導内容は講師によって異なり,合格基準等が客観的に明らかでなかったなどと主張するが,これに沿う原告供述は,反対趣旨の証拠(乙ハ11,被告Y1)及び弁論の全趣旨に照らしてたやすく採用することかできず,他にこれを認めるに足りる的確な証拠はないといわざるを得ない。
以上のとおり,オートプロの研修に問題があったとする原告らの主張は採用することができない。
(5)  原告らは,オートプロの指定する架装備品について,同程度の物品が市場で相当低廉に販売されているにもかかわらず,150万円と異常に高額に設定されており,しかも,基本的な業務を行う上で必要な工具が欠落していたなどと主張する。しかし,弁論の全趣旨によれば,原告らが不足していると指摘する工具の中には,特殊な車両又は特殊な用途のものであるため加盟店の実情に応じて個別に購入するなどして対応すれば足りるものが含まれているほか,不足しているとされる部品交換に必要な工具の一部については,これを加盟店において容易に調達可能であることがうかがわれるのであって,オートプロの指定する架装備品が出張オイル交換業務の遂行上必要とされる基本的な内容を欠く不完全なものであったとまではいえないし,証拠(甲17)によれば,150万円のうち55万円は車両の架装工事費であって,これを除いた架装備品代が不当に高額であったことを認めるに足りる的確な証拠もない。
(6)  以上の検討の結果に加えて,前記認定のとおり,オートプロにおいては,月1回の割合で地域グループごとに加盟店会議を開催したり,全国規模での話合いの場としてマネージャー会議を設けたりしていたほか,加盟店に対する連絡事項を記載した文書を随時配付するなどして,出張オイル交換業務を遂行する上で必要な情報の提供を行っていたことにもかんがみれば,オートプロが,加盟店の募集に当たって,原告らに対し,加盟金等の名目で原告らから金員を詐取する目的で,オートプロの事業構造,業務委託や研修の実情等につき実態と大きく乖離した内容虚偽の説明をするなどの不当な勧誘を組織的に行っていたものとは認めることができない。
また,前記認定説示したとおり,オートプロの加盟店募集における原告らを含む加盟店希望者との面談の際の説明では,加盟店に対する一定の収入や業務委託件数を保証していたとは認められないこと,加盟店においてオートプロからの紹介のみならず自己開拓により新たな顧客を獲得し,これにより売上げを伸ばしていくことが予定されていたことなどの事情にかんがみれば,仮に出張オイル交換業務に伴うリスク等に関する被告Y3らの説明に必ずしも十分でない点があったとしても,そのことをもってオートプロに直ちに違法な説明義務の違反があったとまではいえない。
3  結論
以上の次第で,原告らの請求は,その余の点について判断するまでもなく,いずれも理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 豊澤佳弘 裁判官 齊藤充洋 裁判官 柴田啓介)

 

〈以下省略〉

 

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