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「業務委託 代理店 営業」に関する裁判例(12)平成30年 5月23日 東京地裁 平28(ワ)8393号 損害賠償請求事件(本訴)、(反訴)

「業務委託 代理店 営業」に関する裁判例(12)平成30年 5月23日 東京地裁 平28(ワ)8393号 損害賠償請求事件(本訴)、(反訴)

裁判年月日  平成30年 5月23日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平28(ワ)8393号・平28(ワ)13353号
事件名  損害賠償請求事件(本訴)、(反訴)
文献番号  2018WLJPCA05238002

裁判年月日  平成30年 5月23日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平28(ワ)8393号・平28(ワ)13353号
事件名  損害賠償請求事件(本訴)、(反訴)
文献番号  2018WLJPCA05238002

平成28年(ワ)第8393号(本訴),
同第13353号(反訴)損害賠償請求事件

東京都新宿区〈以下省略〉
本訴原告・反訴被告 株式会社X(以下「原告」という。)
同代表者代表取締役 A
同訴訟代理人弁護士 藤沢浩一
同 小椋優
東京都八王子市〈以下省略〉
本訴被告・反訴原告 Y1(以下「被告Y1」という。)
東京都千代田区〈以下省略〉
本訴被告 Y2株式会社(以下「被告会社」という。)
同代表者代表清算人 Y1
上記2名訴訟代理人弁護士 清田知孝
同 遠藤和宏
同 北谷祐輔

 

 

主文

1  被告らは,原告に対し,各自,1190万7529円及びこれに対する被告Y1につき平成28年3月20日から,被告会社につき同月25日から,各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2  被告Y1の反訴請求を棄却する。
3  訴訟費用は,本訴反訴を通じ,被告らの負担とする。
4  この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。

 

事実及び理由

第1  請求
1  本訴
主文同旨
2  反訴
原告は,被告Y1に対し,1108万3338円及びこれに対する平成28年4月27日(反訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
本件本訴は,原告が,その取引会社から被告会社等に紹介手数料等の名目で割戻金(リベート)が支払われ,原告から取引会社に支払うべき料金が減額されなかったことにより損害を被ったと主張し,原告の取締役であった被告Y1に対して会社法423条1項,被告Y1が代表取締役を務める被告会社に対して同法350条に基づき,上記割戻金(リベート)の額に相当する1190万7529円及びこれに対する各訴状送達の日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
本件反訴は,平成28年1月4日に原告の取締役を解任された被告Y1が,原告に対し,会社法339条2項に基づき,平成27年12月分から平成28年6月分に係る報酬相当額である1108万3338円及びこれに対する反訴状送達の日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
1  前提事実(後掲各証拠及び弁論の全趣旨により認められる事実のほかは当事者間に争いがない。)
(1)  原告は,不動産の売買,賃貸借,仲介等を主な業として平成24年3月14日に設立された株式会社であり,同年10月4日,株式会社a(以下「a社」という。)から不動産賃貸事業の移管を受けた(甲1,11)。
(2)  被告Y1は,平成23年9月にa社に入社し,同年12月1日に同社の不動産賃貸業に係る部署(以下「本件賃貸部」という。)のマネージャーに就任し,その後,平成24年6月25日に原告の取締役に就任し,平成27年6月26日から原告の代表取締役であった者である(甲1,21~26〈枝番を含む。〉)。
被告会社は,不動産業に関するフランチャイズ事業の運営等を目的として平成11年10月18日に設立された会社であり,その代表取締役は被告Y1であったが,平成27年1月20日に休眠会社としてみなし解散となった(甲2)。
(3)  被告Y1は,本件賃貸部が管理する物件の賃借人を対象とする保険及び修繕手配等に関する有料サービスとして,X社友の会という制度(以下「本件友の会」という。)を開始することを企画し,平成24年4月1日,a社が,コールセンターの運営等を業とする株式会社b(以下「b社」という。)との間で,本件友の会におけるサービス提供に係る業務提携契約(以下「b社業務提携契約」という。)を締結した。同契約に基づいてb社に支払う修繕手配等の業務対価は,月末時点での本件友の会の会員数に380円(税抜,消費税を含めた金額は399円)を乗じた金額と定められた。また,同年5月8日,本件友の会の会員数に30円を乗じた金額をb社が被告会社に委託手数料名目で支払う旨の紹介代理店業務委託契約(以下「b社紹介契約」という。)が両社間で締結された(甲4,13の1・2,乙2)。
(4)  b社は,b社業務提携契約に基づき,a社から平成24年5月分から同年12月分まで,原告から平成25年1月分から平成27年7月分までの対価を受領した(甲12の1~29)。また,b社は,b社紹介契約に基づき,被告会社に対し,平成24年7月分から平成27年7月分までの委託手数料の名目で,合計684万6617円(以下「本件金員1」という。)を支払った(甲14の1~34)。
(5)  原告は,平成27年5月頃,ビルメンテナンス等を業とする株式会社c(以下「c社」という。)との間で,b社業務提携契約と同様の業務を内容とする業務委託契約(以下「c社業務委託契約」という。)を締結し,同契約に基づく修繕手配等の業務の対価を本件友の会の会員数に350円(税抜)を乗じた金額と定めた(甲5,6)。
また,c社は,平成27年5月頃,路上における事故車等の救援等を業とする株式会社d(以下「d社」という。)との間で,同業務委託契約に基づいて受領する金員350円(税抜)につき90円を同社に支払う旨の営業支援業務契約(以下「c社営業支援契約」という。)を締結した(甲8の1・2)。さらに,同社の従業員を代表取締役として平成27年4月16日に住宅機器等の製作及び販売等を目的に設立された株式会社e(以下「e社」という。)が,被告会社に対して,本件友の会の会員数に50円を乗じた金額を紹介手数料名目で支払う旨の契約(以下e社契約)という。)が両社間で締結された(甲10,17の1~3,乙3)。
(6)  c社は,c社業務委託契約に基づき,原告から平成27年8月分から同年12月分までの業務委託料を受領し,そのうち506万0912円(以下「本件金員2」という。)を,c社営業支援契約に基づき,d社に支払った(甲15の1~5,16の1~5)。
(7)  被告Y1は,その取締役としての任期が平成28年6月までであったところ,同年1月4日に原告の取締役を解任され(以下「本件解任」という。),その旨の登記が同月8日にされ,少なくとも同年1月以降,原告の取締役報酬を受領していない(甲1,弁論の全趣旨)。
2  争点及びこれに関する当事者の主張
(1)  本件金員1に関する被告Y1の任務懈怠等の有無について
ア 原告の主張
b社は,被告会社からも被告Y1からも何らのサービス提供を受けていないのであり,b社から被告会社への本件金員1の支払がなくなれば,その分だけ原告からb社への支払が減少するという関係にあったことは明らかであるところ,被告Y1は,被告会社をしてb社から委託手数料名目で本件金員1を受領し続けたのであるから,忠実義務に違反し,任務懈怠責任(会社法423条1項)がある。
イ 被告らの主張
b社は,営業拡販の武器になり需要があることを確信し被告Y1との協力関係を維持したいと思い将来的な販売スキームの策定協力・顧客紹介等を依頼したいという意向の下で,b社が提供するサービスの提供先を紹介してもらったことに対する対価を定めて,b社紹介契約を締結することになり,被告Y1に報酬の算定方法も含めて提案をしたものであり,被告らが主体となって上記契約を締結したものではない。また,b社紹介契約において被告会社が受領する金員は本件友の会に限定した対価ではないから,本件金員の性質は,パッケージの商品提案及び拡販についての委託手数料であり,リベート(割戻金)ではない。
b社が提供する修繕手配等のサービスの月額定価は380円(税抜)であり,被告会社に対して手数料を支払う必要がなかったとしても,定価380円(税抜)に影響することはない。
(2)  本件金員2に関する被告Y1の任務懈怠等の有無について
ア 原告の主張
c社は,d社及びe社から何らのサービスの提供も受けていないのであり,また,e社は被告会社から何らのサービスの提供を受けていないのであり,紹介手数料という名目の金員を支払わなくても,これによって営業上の支障が生じるようなことは全くなかった。したがって,e社から被告会社への支払がなくなれば,原告からc社への支払が会員1件当たり90円減少するという関係にあったことは明らかである。したがって,被告Y1が被告会社をしてe社から紹介手数料名目の金員を収受し続けた行為は,忠実義務違反であることは明らかであり,被告Y1が任務懈怠責任(会社法423条1項)の責任を負うことは明らかである。
イ 被告らの主張
被告会社のe社に対する役務の提供について,e社契約が締結されており,被告会社がe社から受領した金員は,同契約に基づくアドバイス業務に対する対価である。また,c社とd社との間における契約関係を被告Y1は認識しておらず,本件金員2が結果としてリベート(割戻金)として被告会社に支払われているという関係にはない。
(3)  被告会社の責任について
ア 原告の主張
本件金員1及び本件金員2に係る被告Y1の任務懈怠行為は不法行為でもあることから,被告会社も会社法350条に基づき,原告に対し損害賠償義務を負う。
イ 被告らの主張
争う。
(4)  本件解任の正当事由の有無
ア 原告の主張
被告Y1は自ら,取締役としての職務の執行に関し不正な行為を行うことを認める発言をしていたのであって,弁明の機会を与えられていたにもかかわらず,さしたる理由もなく出社を拒否し,何らの説明すらしなかったのであるから,原告としては,被告Y1が横領あるいは背任という不正行為を行っていたと判断するだけの十分に客観的・合理的な理由があったといえ,被告Y1に原告の職務の執行を委ねることができないと判断したのは当然である。また,その後,前記(1)ア及び(2)アに主張のとおり,より詳細な事実関係が判明したものであるが,これらの事情からしても,当時の判断が正当であったことが裏付けられる。
イ 被告らの主張
被告Y1が取締役としての任務懈怠行為も違法行為もないにもかかわらず解任されたことについては何ら正当な理由もない。また,本件紛争においてリベート(割戻金)に関してどのような判断がされるかは別として,少なくとも訴訟提起(平成28年3月14日)に至るまでは原告の内部において具体的な調査も完了しておらず,根拠もない中で被告Y1の取締役解任手続に踏み切ったことを考慮すると,本件解任に正当な理由がないものであったといえる。
第3  当裁判所の判断
1  認定事実
前記前提事実に証拠(甲18,20,乙1,5,6,後掲の各証拠,証人B,証人C,証人D,証人E,被告Y1本人)及び弁論の全趣旨を総合すると,以下の事実が認められる。
(1)  被告Y1は,大手仲介会社の統括責任者であった経歴があったところ,平成23年9月1日にa社に入社し,3か月の試用期間を経た後,同年12月1日に同社の本件賃貸部のマネージャーに就いた(甲21~26〈枝番を含む〉)。被告Y1は,本件賃貸部で管理する物件の管理料を受領するだけではなく,同物件の入居者を会員として修繕手配等のサービスを提供する本件友の会を設立することを企画し,知人の紹介によりb社の取締役営業本部長であったB(以下「B部長」という。)と知り合い,平成23年12月頃から,本件友の会に関するサービス提供業務を委託する契約を締結するための協議を開始した。
(2)  b社は,従前から,不動産管理会社等に対してコールセンターによる修繕手配等のサービスを提供する商品を有しており,その定価は賃貸物件1件につき380円(税抜)であったが,同商品を導入する会社を紹介した者に対して,紹介料として10円から50円程度を支払うことがあったほか,賃貸物件が多数である場合などには,交渉により料金を定価から割り引くこともあった。
(3)  本件賃貸部とb社との契約締結のための協議は,主に,被告Y1及びその部下とB部長及びその部下との間で複数回されたところ,本件友の会のサービスについては,損害保険会社の保険サービスとb社が提供するコールセンターによる修繕手配等のサービスを組み合わせたものとすることとなり,平成24年5月1日,a社とb社との間で,本件友の会の会員1名につき月額380円(税抜)を料金とすることを内容とするb社業務提携契約(甲4)の締結に至った。また,同契約締結及び維持に係る紹介料として上記月額380円(税抜)のうち30円をb社が被告会社に支払うことが合意され,b社紹介契約(乙2)が締結された。
(4)  原告は,平成26年8月頃,b社から,コールセンターによる修繕手配等のサービスのうち初期対応の後の二次対応に係るサービス提供を行わないこととする旨の申し入れを受け,検討した結果,料金の引き下げを条件に受け入れることとなり,同年9月頃,b社の担当者から被告Y1に対して,料金(税抜き)を380円から350円に減額するが,被告会社に支払っている手数料30円を0円とする場合には,300円に減額する旨の申し入れをした(甲19,乙4)。しかし,被告Y1は,被告会社に支払っている手数料を0円とするとの申し入れを受け入れず,上記料金は350円に減額されることとなった。
(5)  原告は,平成27年,本件友の会のサービス提供の会社をb社から他社に変更することを検討し,同年5月1日,c社との間で,本件友の会の会員1名につき月額350円(税別)の料金を支払うことを内容とするc社業務提携契約(甲6)の締結に至った。また,上記月額350円のうち90円を上記契約の締結及び維持に係る報酬としてc社がd社に支払うことを内容とするc社営業支援契約(甲8の1・2)が締結されるとともに,d社の関連会社であるe社が上記90円のうち50円を被告会社に支払うことを内容とするe社契約(乙3)が締結された。
(6)  原告の実質的な経営者であるFは,平成27年12月頃,被告Y1が原告において不正行為を行っていることを疑うに至ったところ,被告Y1が聴取に応じず出社を拒否したことから,原告は,平成28年1月4日に被告Y1を取締役から解任した上,被告Y1から誘われて原告の受託開発部の部長となっていたD(以下「D部長」という。)に被告Y1の不正行為に関する調査を命じた。b社紹介契約,c社営業支援契約及びe社契約並びに本件金員1及び本件金員2の支払の事実については,それまで原告において明らかではなかったところ,D部長は,被告Y1に関係する取引業者等から事情を聴取し,b社がb社紹介契約に基づいて被告会社に本件金員1を支払っていること,c社がc社営業支援契約に基づいてd社に本件金員2を支払っており,その一部がe社契約に基づきe社から被告会社に支払われていることなどが判明した(甲13の1・2)。そこで,原告は,c社に対して,c社業務提携契約に基づく報酬の減額を求めたが,c社は,c社営業支援契約が継続していることを理由に減額に応じなかった。また,原告は,同年3月15日,本件訴訟(本訴)を提起した。
2  本件金員1に関する被告Y1の任務懈怠等の有無について
(1)  上記認定事実によれば,b社が被告会社に支払った本件金員1の性質は,b社と原告との間でb社業務委託契約が締結及び維持されることの対価であったと認めるのが相当である。
この点,B部長及び被告Y1は,b社が被告会社に支払った金員について,被告Y1が被告会社の代表者としてb社に対するコンサルティングの対価の趣旨があると供述をするが,被告Y1は,本件賃貸部のマネージャーとしてb社との業務提携契約に至る協議をしたものであり,その業務提携内容に関して被告Y1がB部長らのb社の社員に対して申し入れた内容についても,a社の従業員として行った業務の一環というべきである。また,被告らは,上記紹介代理店業務委託契約が,本件友の会に係る業務提携契約に限られるものではないと主張するが,被告会社がb社から受領した本件金員1は,本件友の会に係るb社業務提携契約によりb社が受領した金員に対応するものであり(前提事実(4)),それ以外にb社が被告会社に対してb社紹介契約に基づき金員を支払った事実も認められないのであるから,本件金員1は,本件友の会に係るb社業務提携契約の締結及び維持と強く関連するものであり,被告らからb社に対するコンサルティングの対価ということはできない。
(2)  そして,上記のとおり,b社業務提携契約の締結及び維持については,被告Y1は原告の従業員として行ったものであるから,原告の業務に対する対価というべきであり,b社紹介契約や本件金員1の支払が原告に報告されて承認されていたとも認められないのであるから,被告らが本件金員1を受領すべき正当な根拠があったということはできない。仮に,b社が,b社業務提携契約の締結及び継続の過程で,b社が他社に提供するサービスの参考にもなる情報を被告Y1から取得できたとしても,被告Y1が原告の従業員ないし取締役として行った行為の結果であり,その報酬を被告らが受領すべき正当な根拠があったということはできない。
(3)  さらに,b社の商品の定価380円(税抜)については,交渉により減額することがあったこと(認定事実(2)),実際,b社が被告会社に対する支払を無くすことにより料金を減額することを申し入れていること(認定事実(4))などに照らせば,被告会社に本件金員1を受領しなければ,原告会社がb社に支払うべき料金がその分について減額できたというべきである。
(4)  それにもかかわらず,被告Y1は,原告の取締役に就任した後も,被告会社をして本件金員1を受領させたのであるから,自己ないし第三者の利益を図るために原告の利益を犠牲にしたというべきであり,忠実義務に違反するものであり,その行為は,背任行為として不法行為を構成するというべきである。
したがって,被告Y1は,会社法423条1項に基づき,本件金員1に相当する損害を賠償する義務がある。
3  本件金員2に関する被告Y1の任務懈怠等の有無について
(1)  上記認定事実によれば,c社がd社に支払った本件金員2の性質についても,c社と原告との間のc社業務委託契約が締結及び維持されることの対価であったと認めるのが相当である。
この点,証人E及び被告Y1は,c社がd社に支払われた本件金員2は,d社ないしe社がc社に提供したサービスの対価であると供述する。しかし,c社営業支援契約に係る書面(甲8の1・2)には,その報酬がc社業務委託契約締結を成果とするものであることが明記されている上,d社,e社ないし被告らが,c社業務委託契約の締結及び維持とは無関係な業務をc社に提供したと認めるに足りる的確な証拠はない。また,c社業務委託契約の締結及び維持について,d社ないしe社が貢献したと認めることもできない。
(2)  加えて,e社から被告会社に上記90円のうち50円が支払われていること(前提事実(5),(6)),被告会社がe社にc社業務委託契約と無関係な業務を提供したと認めることはできないこと,d社がc社業務委託契約の締結及び維持の報酬を取得するc社営業支援契約を締結する理由が見当たらないこと,c社業務委託契約と概ね同内容のb社業務提携契約に関して被告Y1の関与によりb社紹介契約が締結されていることなどに鑑みれば,本件金員2については,被告Y1の指示により,c社業務委託契約の締結及び維持に自らが貢献したことの対価として,c社からd社に支払われたというべきであり,c社営業支援契約を知らなかったという被告Y1の供述を採用することはできない。
(3)  そして,c社業務委託契約の締結及び維持に被告Y1が貢献した行為は,原告の取締役の業務として行った行為というべきところ,原告の業務に対する対価というべきであり,c社営業支援契約及びe社契約や本件金員2の支払が原告に報告され承認されていたとも認められないのであるから,d社,e社ないし被告らのいずれについても,本件金員2を受領すべき正当な根拠があったということはできない。仮に,c社業務委託契約の締結及び継続の過程において,c社ないしe社において,他社に提供するサービスの参考にもなる情報を被告Y1から取得できたとしても,被告Y1が原告の取締役として行った行為の結果であり,その報酬をd社ないし被告らが受領すべき正当な根拠があったということはできない。
(4)  さらに,上記のとおり,d社がc社業務委託契約の締結及び維持の報酬を取得するc社営業支援契約を締結する理由が見当たらず,原告がc社に対して料金の減額を求めた際に,同社がd社との契約を理由として減額に応じなかった経緯(認定事実(6))などに照らせば,d社が本件金員2を受領しなければ,本件金員2に相当する金額を料金から減額できたというべきである。
(5)  それにもかかわらず,被告Y1は,d社をして本件金員2を受領させたのであるから,自己ないし第三者の利益を図るために原告の利益を犠牲にしたというべきであり,忠実義務に違反するものであり,その行為は,背任行為として不法行為を構成するというべきである。
4  被告会社の責任について
被告Y1は,被告会社の代表者として,b社との間で,b社紹介契約を締結しているのであるから(乙2),本件金員1に関する背任行為を被告会社の代表者として行っていたというべきである。
また,本件金員2については,c社からd社に対して支払われたものであり,d社に支払われた90円のうち50円が被告会社に支払われたものであるが,上記のとおり,d社がc社業務委託契約の締結及び維持の報酬を取得するc社営業支援契約を締結する理由が見当たらず,被告Y1の指示により,c社業務委託契約の締結及び維持に同人が貢献したことの対価として本件金員2が支払われたものであることに照らせば,c社をしてd社に本件金員2を支払わせる行為を含む一連の不法行為については,被告会社が金員を受領することを主な目的として,被告Y1が被告会社の代表者として行った行為と評価するのが相当である。
そうすると,被告会社は,会社法350条に基づき,本件金員1及び本件金員2に係る損害を原告に賠償する義務があるというべきである。
5  本件解任の正当事由の有無について
原告は,被告Y1に不正行為があると疑って本件解任を行ったのであり(認定事実(6)),上記2及び3に説示のとおり,被告Y1に本件金員1及び本件金員2に係る背任行為があったと認められるところ,その行為態様等に照らし,本件解任に正当事由があるというべきである。また,原告が本件解任の当時に被告Y1による背任行為の具体的な内容を把握していなかったことが,上記正当事由に関する判断を左右するものとはいえない。
第4  結論
以上によれば,原告の被告らに対する本訴請求はいずれも理由があるから認容し,被告Y1の原告に対する反訴請求は理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第8部
(裁判官 下馬場直志)

 

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