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判例リスト「完全成果報酬|完全成功報酬 営業代行会社」(56)平成29年 2月14日 東京地裁 平26(ワ)15241号 損害賠償請求事件

判例リスト「完全成果報酬|完全成功報酬 営業代行会社」(56)平成29年 2月14日 東京地裁 平26(ワ)15241号 損害賠償請求事件

裁判年月日  平成29年 2月14日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平26(ワ)15241号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  一部認容  文献番号  2017WLJPCA02148017

要旨
◆被告S社が組成し運営する本件ファンドへの出資の勧誘を受け、同ファンドに出資をした原告が、主位的に、勧誘に際して虚偽の事実の告知、説明義務違反があったなどとして、被告S社、同社の代表社員である被告Y1、本件ファンドの出資先とされた被告G社、同社の取締役等である被告Y2ないし被告Y6に対し、不法行為ないし会社法597条、会社法429条1項に基づき、連帯での損害賠償を求め、予備的に、被告G社に対し、被告S社に対する不法行為に基づく損害賠償請求権を被保全権利として、被告S社に代位し、同社が被告G社に対して有する出資金返還請求権に基づく支払を求めた事案において、被告S社の従業員による本件ファンドへの投資勧誘は、虚偽の事実を告げるものであり、適合性原則及び説明義務に違反する違法な勧誘であるとし、被告S社及び被告Y1の法的責任を認めて同被告らに対する請求を認容する一方、その余の被告は同勧誘行為につき不法行為責任を負わず、また、被告G社に対する債権者代位を否定して、その余の被告に対する請求を棄却した事例

参照条文
民法423条
民法709条
会社法429条1項
会社法597条

裁判年月日  平成29年 2月14日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平26(ワ)15241号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  一部認容  文献番号  2017WLJPCA02148017

埼玉県川越市〈以下省略〉
原告 X
同訴訟代理人弁護士 荒井哲朗
同 浅井淳子
同 太田賢志
同 五反章裕
同 見次友浩
同 磯雄太郎
神奈川県横浜市〈以下省略〉
被告 合同会社Strategic Financial Capital
同代表者代表社員 Y1
神奈川県川崎市〈以下省略〉
被告 Y1
東京都中央区〈以下省略〉
被告 株式会社Global Arena Capital
同代表者代表取締役 Y2
東京都世田谷区〈以下省略〉
被告 Y2
東京都中央区〈以下省略〉
被告 Y3
上記3名訴訟代理人弁護士 久保潤弥
同訴訟復代理人弁護士 望月一史
東京都新宿区〈以下省略〉
被告 Y4
住居所不明
最後の住所 東京都港区〈以下省略〉
被告 Y5
埼玉県狭山市〈以下省略〉
被告 Y6

 

 

主文

1  被告合同会社Strategic Financial Capitalは,原告に対し,451万7816円及びこれに対する平成26年7月3日から支払済みまで年5分の割合による金員(ただし451万7816円及びこれに対する平成26年7月13日から支払済みまで年5分の割合による金員の限度で被告Y1と連帯して)を支払え。
2  被告Y1は,原告に対し,被告合同会社Strategic Financial Capitalと連帯して,451万7816円及びこれに対する平成26年7月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3  原告のその余の請求をいずれも棄却する。
4  訴訟費用はこれを2分し,その1を原告の負担とし,その余は被告合同会社Strategic Financial Capital及び被告Y1の負担とする。
5  この判決は,第1項及び第2項に限り,仮に執行することができる。

 

事実及び理由

第1  請求
1  主位的請求
(1)  被告合同会社Strategic Financial Capital,被告Y1,被告株式会社Global Arena Capital,被告Y2,被告Y4,被告Y3及び被告Y5は,原告に対し,連帯して451万7816円及びこれに対する訴状送達の日の翌日(被告合同会社Strategic Financial Capital,被告株式会社Global Arena Capital,被告Y4,被告Y3については平成26年7月3日,被告Y1・被告Y2については同月13日,被告Y5については同月24日)から支払済みまで年5分の割合による金員(うち339万7816円及びこれに対する平成26年7月4日から支払済みまで年5分の割合による金員の限度で被告Y6と連帯して)を支払え。
(2)  被告Y6は,原告に対し,被告合同会社Strategic Financial Capital,被告Y1,被告株式会社Global Arena Capital,被告Y2,被告Y4,被告Y3及び被告Y5と連帯して,339万7816円及びこれに対する平成26年7月4日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2  予備的請求
被告株式会社Global Arena Capitalは,原告に対し,451万7816円及びこれに対する平成26年7月3日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要等
1  事案の概要
本件は,被告合同会社Strategic Financial Capital(以下「被告SFC」という。)が組成し運営する「SFC1号ファンド(aファンド)」(以下「本件ファンド」という。)への出資の勧誘を受け,同ファンドに出資をした原告が,①主位的には,本件ファンドは適正な金融商品が備えるべき条件を欠いており,また,勧誘に際して虚偽の事実の告知,説明義務違反があったなどとして,被告SFC,被告SFCの代表社員である被告Y1(以下「被告Y1」という。),被告株式会社Global Arena Capital(以下「被告GAC」という。),被告GACの代表取締役である被告Y2(以下「被告Y2」),被告GACの取締役である被告Y4(以下「被告Y4」という。),被告Y3(以下「被告Y3」という。)及び被告Y5(以下「被告Y5」という。)並びに被告GACの取締役であった被告Y6(以下「被告Y6」という。)に対し,不法行為ないし会社法597条,429条1項による損害賠償請求権に基づき,連帯して451万7816円及びこれに対する遅延損害金(ただし,被告Y6については一部連帯)の支払を,②予備的には,被告GACに対し,被告SFCに対する不法行為に基づく損害賠償請求権を被保全権利として,被告SFCに代位し,同社が被告GACに対して有する出資金返還請求権に基づき451万7816円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める事案である。
2  前提となる事実(争いのない事実,証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)
(1)ア  被告SFCは,投資ファンドの組成及び運営等を目的とする合同会社であり,本件ファンドへの出資の勧誘,販売を行った会社であり,被告Y1は,被告SFCの業務執行社員かつ代表社員である。
訴外A(以下「訴外A」という。)は,被告SFCの従業員として,原告に対し,本件ファンドへの出資の勧誘をした者である(争いなし)。
イ  被告GACは,投資事業組合及び投資事業有限責任組合財産の運用及び管理を目的とする株式会社であり,本件ファンドの運用先(出資先)とされた会社である。平成25年8月から,被告Y2は,被告GACの代表取締役の地位に,被告Y4,被告Y3及び被告Y5は,被告GACの取締役の地位にそれぞれある者であり,被告Y6は,平成17年8月30日から平成25年9月27日までの間,被告GACの取締役の地位にあった者である(弁論の全趣旨)。
(2)  原告と被告SFCは,平成25年8月30日,被告SFCを営業者として,本件ファンドに係る概要以下の内容の匿名組合契約(以下「本件匿名組合契約」という。)を締結した(甲10)。
ア 本事業(2条)
営業者は,契約に従い,①匿名組合名で集められた出資金の70パーセントから80パーセントを元本確保型投資に出資し,残りの20パーセントから30パーセントを積極型投資に出資する。②これにより得られた利益のうち,あらかじめ定めた管理費用・成功報酬を営業者が受け取り,組合員に対して分配金を算定した額を支払うこととする。
イ 匿名組合契約(3条)
営業者及び出資者は,営業者の営む本事業のために契約に従って出資をなし,営業者が本事業から生じる利益を契約に従って出資者に分配することに合意する。
ウ ファンドの運用期間(6条)
平成24年9月1日から平成27年8月31日までの期間
エ 営業者の義務(7条)
営業者は,善良な管理者の注意義務をもって誠実かつ忠実に本事業を遂行し,出資金を本事業の遂行目的にのみ使用するものとする。
オ 金銭の分配(12条)
営業者は,あらかじめ決められた日に,分配金として出資者の出資比率に応じて,出資者に対して支払うものとする。
カ ディスクロージャー(13条)
営業者は,本事業に関するすべての取引に関する正確な会計帳簿及び取引記録を他の事業と分別して作成し,保管するものとする。出資者は,その費用負担により,通常の営業時間内に上記会計帳簿及び取引記録を自ら閲覧し,またはその委任する弁護士又は公認会計士をして閲覧させることができ,また必要に応じてこれらの写しの提供を求めることができる。
営業者は,平成24年12月20日以降3か月ごとに定められた分配金算定日の属する期間に分配金明細書を作成する。
出資者は,その費用負担により,通常の営業時間内に,営業者が作成した本件ファンドに関する事業年度ごとの貸借対照表,損益計算書及び付属明細書を自ら閲覧し,またはその委任する弁護士又は公認会計士をして閲覧させることができ,また必要に応じてこれらの写しの提供を求めることができる。
(3)  原告は,本件ファンドに出資するため,平成25年9月2日,200万円を被告SFCに送金し,同月25日,202万円を訴外Aに交付し,同年10月7日,被告SFCに101万円を送金(以下,送金及び交付された合計503万円を「本件出資金」という。)した(甲3,4,弁論の全趣旨)。
(4)  原告は,被告SFCに対し,平成26年2月2日,本件ファンドの解約を申請したが,本件出資金が返金されることはなかった(争いなし)。
(5)  被告SFCは,本件ファンドについて,以下のとおり紹介している(甲9)。
ア 運用方針
(ア) 出資金の70ないし80パーセントを貿易原理に関わる保全型取引(石油ファンド等)で運用することで,年利10ないし15パーセントの安定収入を目指す。
(イ) 3年間クローズドにすることで,出資金の70ないし80パーセントの運用をしている安定的収入の配当で100パーセントの元本を確保できるように運用する。
(ウ) 残りの20ないし30パーセントの出資金で,レバレッジをかけて外国為替証拠金取引(以下「FX取引」という。)での運用により更なる収益を追求する(FX取引の利回りは月2ないし10パーセントを目標とする。)。ただし,基本的にはFX取引による運用になるが,市場環境に合わせて株式,差金決済取引等で一部運用する可能性もある。
(エ) 仮に残り20ないし30パーセントの出資金を全額損金で失ったとしても,前記(ア)の運用をしていることによる配当収入があるので,結果的に顧客に対しては,トータルで元本近くの出資金を返還することができる。
イ 特徴
(ア) 元本確保型のファンドである。
(イ) 3か月に1度配当を行う。
(ウ) 元本確保を目指しつつ,年上限20パーセントの利回りを目標とする。
(エ) 安定した運用に出資金の70パーセント以上を傾けることで,残りの出資金で最大限の利益を目指す。
3  争点及び当事者の主張
(1)  原告に対する本件ファンドへの出資の勧誘行為の違法性(争点①)
(原告の主張)
ア 本件ファンドでは,貿易原理に関わる保全型取引で出資金を運用するとされていた。しかしながら,運用先とされた被告GACは,出資金を石油関連事業と無関係の株式等に投資したり,運転資金の一部として流用したり,そのまま顧客への配当金に充てるなどして行政処分を受けており,実際には上記保全型取引が行われていなかったことは明かである。
イ また,被告SFCは,出資者からの集金額,そのうちの投資金額及び損益に係る通帳,振込票及び取引履歴等の開示請求に対して,これらの資料を一切提出せず,本件ファンドの運用実態を明らかにしていない。そして,被告SFCによる本件ファンドに関する説明によれば,出資金の2割に当たる利益を毎年出し続けなければならないことになるが,恒常的にそのような利益を出すことは経済常識に照らして不可能であり,本件ファンドは破綻必至であったことは明かである。これらの事情に照らすと,本件ファンドは,投資の損益を適切に出資者に帰属させる実態を備えていない「金融商品まがい商品」といわざるを得ない。
ウ さらに,訴外Aは,本件ファンドが金融商品として備えるべき条件を満たしていないにもかかわらず,元本の償還や高利率の配当を強調し,虚偽の事実を告げて原告を勧誘した。そもそも,高齢で投機的取引の経験もない原告は,本件ファンドのような金融商品を理解することができず,本件ファンドの適合性はなかったし,被告らは,本件ファンドのリスク等について十分説明すべき義務を怠った。
エ 以上によれば,訴外Aによる本件ファンドの勧誘行為は,架空取引,「金融商品まがい商品」の勧誘であり,虚偽事実の告知,適合性原則違反及び説明義務違反の違法性が認められる。
(被告らの主張)
ア 原告の主張は否認ないし争う。
イ 被告SFCは,顧客からの出資金を被告AGCが業務執行組合員である石油ファンドに出資しており,架空取引など行っていない。本件ファンドも当該石油ファンドも運用実態があり,原告の主張するような「金融商品まがい商品」ではない。訴外Aは,原告の勧誘に際して虚偽事実の告知はしておらず,説明義務違反もないし,適合性原則違反もない。
(2)  被告SFC及び被告Y1の法的責任(争点②)
(原告の主張)
ア 訴外Aの原告に対する本件ファンドの勧誘行為は違法であり,不法行為が成立する。そして,訴外Aの上記勧誘行為は,被告SFCによる組織的詐欺商法の一発現であり,被告SFCは使用者としての責任(民法715条1項)及び法人として固有の不法行為責任(民法709条)を負う。
イ 被告Y1は,被告SFCの業務執行社員であり,被告SFCの営業が適法なものとなるように業務執行すべきであったのに,あえてこれをせず,違法勧誘を行わせたのであるから,その業務執行につき任務懈怠があり,会社法597条に基づく損害賠償責任を負う。
(被告SFC及び被告Y1の主張)
原告の主張は否認ないし争う。
被告SFCは,詐欺的商法などしていないのであり,使用者責任及び不法行為責任を負わない。被告Y1は,違法勧誘を行わせていないし,業務執行について任務懈怠もない。
(3)  被告GAC,被告Y2,被告Y4,被告Y6,被告Y5及び被告Y3の法的責任(争点③)
(原告の主張)
ア 本件ファンドの根幹である被告GACが運営していた石油ファンドは,損益を顧客に適切に帰属させる仕組みを欠いていたのであるから,結局は,被告GACが架空取引,「金融商品まがい商品」の取引を行ったといえる。したがって,被告GACは,本件ファンドに出捐した原告に対して不法行為責任を負う。なお,原告が出捐した本件出資金が被告SFCから被告GACに送金されていないとしても,本件出資金出捐時点で,被告SFCと被告GAC間の石油ファンドに係る契約は有効であった以上,被告GACが運営する石油ファンドが本件ファンドの根幹であったことに変わりはなく,被告GACの上記不法行為責任の成否には影響しない。
イ 被告Y2,被告Y4,被告Y6,被告Y5及び被告Y3は,本件ファンドの根幹であり,被告GACの業として行われていた石油ファンドの運営を被告GACの構成員として支えていたのであるから,共同不法行為責任を負う。
そして,被告Y2は,被告GACの代表取締役であり,被告GACの営業が適法なものとなるよう業務執行すべきであったのに,あえてこれをせず,「金融商品まがい商品」たる石油ファンドの運営をはじめとした違法な業務執行を行い,もしくはこれを放置したのであるから,業務執行につき任務懈怠があるというべきであり,会社法429条1項に基づく責任を負う。また,被告Y4,被告Y6,被告Y5及び被告Y3は,被告GACの取締役であり,善良な管理者の注意をもって代表取締役の業務執行を監督し,是正すべき義務があったのにこれを怠り,違法な業務執行を放置したのであるから,会社法429条1項に基づく責任を負う。
(被告GAC,被告Y2及び被告Y3の主張)
原告の主張は否認ないし争う。
被告SFCと被告GACは別個の法人であり,本件において原告が出資したのは被告SFCに対してであって,被告SFCは,顧客から出資された資金を被告GACが運営していた石油ファンドに出資したにすぎない。本件ファンドと被告GACが運営していた石油ファンドは別個のファンドであり,被告GACは,あくまで被告SFCから出資を受けたものであって,本件ファンドの内容とは全く無関係である。加えて,被告SFCから被告GACへの入金は,平成25年6月11日が最後であり,本件出資金は被告GACに入金されていない。以上によれば,原告と被告GACとの間には直接の契約関係はなく,被告GACが原告から出資を受けたわけでもない以上,被告GACが原告に対して何らかの法的義務ないし法的責任を負うものではない。
また,被告GACが原告に対して責任を負わない以上,被告Y2及び被告Y3も責任を負わない。
(被告Y6の主張)
原告の主張は否認ないし争う。
被告Y6は,平成24年11月29日付けで被告Y2宛に被告GACの取締役の辞任届を送付し,同辞任届を受理されている。登記変更がされなかったのは,被告Y2から少し待ってほしいとの要請があったからである。被告Y6は,被告GACの運営していた石油ファンドの業務に関与していない。
(被告Y4及び被告Y5の主張)
原告の主張は否認ないし争う。
(4)  原告の被った損害(争点④)
(原告の主張)
ア 未返還交付金員相当損害金
(ア) 被告Y6以外の被告との関係 410万7816円
(イ) 被告Y6との関係 309万7816円
イ 弁護士費用相当損害金
(ア) 被告Y6以外の被告との関係 41万円
(イ) 被告Y6との関係 30万円
(被告らの主張)
原告の主張は否認ないし争う。
(5)  被告GACに対する債権者代位の成否(争点⑤)
(原告の主張)
原告は,上記のとおり,被告SFCに対し,不法行為に基づく損害賠償請求権として,451万7816円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の請求権を有している。
また,被告SFCは,被告GACとの間で,平成24年9月3日,石油ファンドに係る匿名組合契約を締結し,合計4420万円を同石油ファンドに出資した。その後,上記匿名組合契約は,平成26年6月下旬から7月上旬頃までに終了したのであるから,被告SFCは,被告GACに対し,少なくとも4420万円の出資金返還請求権を有している。
そして,被告SFCは,多額の出資金返還債務を負っている状態にある一方で,被告SFCには他に見るべき財産がないことからすると,被告SFCが無資力であることは明らかである。
以上によれば,原告は,被告GACに対し,被告SFCに代位して,被告SFCが被告GACに対して有する出資金返還請求権に基づき,451万7816円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金を請求することができる。
(被告GACの主張)
原告の主張は否認ないし争う。
第3  当裁判所の判断
1  前記前提となる事実,証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められ,これを覆すに足りる証拠はない。
(1)  被告SFCは,本件ファンドの運用先として,被告GACとの間で,平成24年9月3日,被告GACを業務執行組合員とする概要以下の内容の石油関連商品取引ファンド投資事業組合契約(以下,同契約を「本件石油ファンド契約」といい,同契約に基づき組成するファンドを「本件石油ファンド」という。)を締結した(甲5,6,乙ハ1)。
ア 投資事業組合契約の成立(2条)
業務執行組合員と一般組合員(業務執行組合員以外の組合員)は,契約に定める条件に従い,組合員が対象となる事業のために業務執行組合員に対して出資を行い,業務執行組合員が組合員に対して同事業から生じる利益の分配をなすことを約する。
イ 対象となる業務(3条)
契約の対象として事業者が行う本営業は,石油の販売輸出入及び関連金融並びにこれに付帯関連する一切の事業とする。
ウ 本営業の遂行(5条)
業務執行組合員は,自己の単独の裁量に基づき,本営業その他の本営業の目的を達成するために必要と判断する行為を行うものとする。
エ 組合財産の帰属及び管理(10条)
組合財産は,総組合員の共有に属するものとするが,組合の業務の執行は業務執行組合員に委任されるものとし,各組合員はその出資の価額に応じた持分を有するものとする。
オ 利益分配(14条)
営業者(事業執行組合員及び事業者)は,各計算期間(毎月1日から末日まで)から生じた利益又は損失を,当該計算期間の末日における出資比率に応じて,組合員に分配し,組合員はこれを享受する。
カ 契約の終了(18条)
組合の目的である事業の成功又は本営業の継続が不可能もしくは著しく困難になったものと営業者が判断し,それを理由として本営業を終了させる旨を営業者が組合員に通知した場合等に終了する。
キ 残余財産の分配(19条)
契約が期間満了,解除,18条1項各号の終了事由,その他の理由により終了した場合,営業者の裁量により,営業者が合理的と判断する方法で必要に応じて金銭以外の組合財産を処分し,契約終了時又は直近営業年度末のいずれか適切と判断する時点の貸借対照表に記載された組合財産から本営業に関する全ての債務及び損失を差し引いて残った財産を組合員に対してその出資比率に応じて分配することにより,清算を行うものとする。
ク 契約期間
平成24年9月3日から平成26年8月31日まで
(2)  被告SFCは,被告GACに対し,本件石油ファンド契約に基づき,平成24年8月31日に1070万円,同年9月18日に1110万円,同年10月22日に410万円,同年12月19日に210万円,平成25年4月16日に100万円,同月19日に100万円,同年5月29日に70万円,同年6月11日に50万円をそれぞれ出資した。もっとも,その後,被告SFCから被告GACへの出資がなされたことを裏付ける証拠はない(乙ハ2の1ないし2の4,3の1ないし3の3)。
(3)ア  原告は,昭和11年○月○日生まれの女性であり,本件ファンドへの投資をするまでは,投資的取引の経験はなかった(甲14)。
イ  原告は,平成25年8月30日,甥の勧めで訴外Aから本件ファンドの話を聞くこととなった。訴外Aは,原告に対し,本件ファンドについて「8割を貿易原理に関わる保全型取引で運用し,年利10パーセントから15パーセントの安定収入を狙います。3年間でクローズとし,100パーセント元本を返還できるようにします。残りの20パーセントは,レバレッジをかけてFX等で運用します。このようにファンドを運用し,年間20パーセントの配当金を支払います。」などと説明する一方で,本件ファンドのリスクについては十分な説明もしないまま,本件ファンドへの出資を勧誘した(甲14,弁論の全趣旨)。
ウ  訴外Aの説明を聞いた原告は,年間20パーセントの配当を受け取れ,元本が確保されているのであれば,貯金するよりもはるかによい投資であり,リスクも少ないと考え,将来の生活資金として保有していた金員を本件ファンドに出資することとし,平成25年8月30日,被告SFCとの間で,本件匿名組合契約を締結するとともに,同年9月2日から同年10月7日までの間,合計503万円(本件出資金)を本件ファンドに出資した(甲14,前記前提となる事実(2)及び(3))。
(4)  関東財務局は,被告GACに対し,被告GACが石油関連事業への投資を目的とする本件石油ファンドの業務執行組合員として行っていた集団投資スキーム持分の私募及び自己運用につき,以下の法令違反行為があったことを理由に,平成25年12月17日付けで①登録取消し及び②業務改善命令(以下「本件業務改善命令」という。)の行政処分を行った(甲13の1)。
ア 集団投資スキーム持分の取得勧誘に関して,顧客に虚偽のことを告げる行為(本件石油ファンドにつき,石油関連事業のみに投資する旨を説明していたが,実際には,当該事業と何ら関係のない会社の株式及び土地にも投資していたこと並びに石油関連事業への投資で得た利益に基づいて毎月固定利率による配当金を支払う旨を説明していたが,実際には,配当のほとんどに同ファンド組合の顧客の出資金がそのまま充当されていたことなど)
イ 顧客出資金の目的外運用及び流用(本件石油ファンドの契約書等において,対象となる事業は「石油の販売輸出入業,関連金融及びこれに附帯関連する一切の事業」と記載されているが,実際には,顧客の出資金を被告GAC又は第三者のために,当該事業とは関係のない会社の株式及び土地にも投資し,また,同ファンド組合への出資金から約8600万円を被告GACの運転資金の一部として流用していたこと)
(5)ア  原告は,平成25年9月から同年12月までの間,被告SFCからほとんど配当を受けることができなかったことなどから,被告SFCに対し,平成26年2月,本件ファンドの解約申請をしたものの,出資金が返還されることはなかった。その後,原告は,弁護士を通じて,被告SFCに対し,同年4月10日付けの通知書で,被告SFCの不法行為及び被告Y1の会社法429条1項に基づく損害賠償責任を理由に出資金相当額503万円の損害賠償を請求した。
当該請求を受けて,被告SFCは,原告に対し,92万2184円を支払った(甲8,14,弁論の全趣旨)。
イ  被告SFCは,平成26年5月19日付けの回答書で,本件ファンドの「貿易原理に関わる保全取引」として,被告GACが運営する本件石油ファンドに出資していたこと,本件ファンドの総募集金額5520万円のうち4420万円程度を本件石油ファンドに出資していたこと,被告GACに対し,出資金全額の返還請求を行っていることなどを回答した(甲7)。
(6)ア  被告GACは,本件石油ファンドの組合員に対し,平成26年5月,本件業務改善命令を受けて,第三者による調査委員会のファンド資産査定が終了するまで配当の支払が停止されていたこと,同査定終了により,償還に足りる資産が確認されたこと,同年6月下旬から同年7月中旬頃までには,本件石油ファンドを解散して償還ができる見込みであることなどを通知した(甲12の1)。
イ  被告GACは,本件石油ファンドの組合員に対し,平成26年8月,石油ファンド組合を同月末日で解散すること,同月31日までの金利分と元本を同年9月25日までに支払うことなどを通知した(甲12の2)。
ウ  被告GACは,本件石油ファンドの組合員に対し,平成26年9月,元利金の償還に足りる資産の確保ができておらず,同月25日には間に合わないことなどを通知した(甲12の3)。
エ  被告GACは,本件石油ファンドの組合員に対し,平成26年10月23日付けで,元利金の償還に足りる資産の確保ができ,現金化の目途が立ったこと,同年8月末までの配当に加え,償還日までの配当も付けて返還することなどを通知した(甲12の4)。
2  争点①(原告に対する本件ファンドへの出資の勧誘行為の違法性)について
(1)  前記前提となる事実(5)のとおり,本件ファンドの紹介資料には,出資金の70ないし80パーセントを貿易原理に関わる保全型取引(石油ファンド等)で運用して年利10ないし15パーセントの安定収入を目指し,残り20ないし30パーセントをFX取引で運用して月利2ないし10パーセントの収益を目指すこと,年20パーセントの利回り及び元本確保を目指すことなどが記載されている。そして,前記認定事実(3)によれば,訴外Aは,投資的取引経験のない高齢(当時77歳)の原告に対し,本件ファンドへの出資を勧誘する際,本件ファンドへの出資金の8割を貿易原理に関わる保全型取引で,2割をFX取引等でそれぞれ運用し,年利20パーセントの配当金を支払うとともに,3年後には出資金を100パーセント返還することが可能であるかのような説明をする一方で,本件ファンドのリスクについては十分な説明を行っていない。その結果,原告は,本件ファンドに投資すれば,年利20パーセントの配当が受けられ,元本も確保されると誤信し,本件出資金を出資するに至っている。
(2)  この点,前記認定事実(1)及び(2)のとおり,被告SFCは,本件ファンドにより集めた出資金の保全型取引としての運用先として,被告GACと本件石油ファンド契約を締結し,同出資金のうちの少なくとも3120万円を本件石油ファンドに投資しており,一応,本件匿名組合契約に従って本件ファンドへの出資金の運用を試みたことがうかがわれる。
しかしながら,前記認定事実(2)のとおり,平成25年6月11日を最後に被告SFCから本件石油ファンドへの投資は存在せず,原告による本件出資金も本件石油ファンドへは投資されておらず,本件出資金については,本件匿名組合契約に従った運用がされなかったと推認される。また,前記認定事実(5)アのとおり,原告は,平成25年9月から同年12月までの4か月間,当初の説明に反して本件ファンドによる配当金をほとんど受けることができなかったところ,本件ファンドの内容(仮に出資金の2割をFX取引で運用し,損失が生じた場合,残りの8割による「貿易原理に関わる保全型取引」により同損失を補填しつつ年利20パーセントの収益を得なければならない構造となっていることなど)及び経済常識に照らすならば,本件ファンドによる運用によって3年間にわたり安定して年利20パーセントの配当を行いつつ,出資金の元本を確保することはおおよそ想定し難い。これらの事情等に鑑みれば,原告に対してなされた訴外Aの本件ファンドに関する説明は,事実に反し,また,おおよそ実現不可能なことを実現可能であるかのように誤信させる虚偽の事実を告げるものといわざるを得ない。
加えて,前記認定事実(3)のとおり,原告は投資的取引経験のない高齢の女性であり,本件ファンドの内容を理解することは困難であると推認されること,本件出資金は将来の生活資金から拠出されたものであり,原告は投資を行うための余剰資金を有してはいなかったことなどに鑑みると,原告に対する本件ファンドへの投資勧誘は,原告の実情に適合しないものというべきであるし,訴外Aは,原告に対する勧誘に際し,本件ファンドのリスクについて十分な説明を尽くしていなかったというべきである。
以上によれば,原告に対する訴外Aによる本件ファンドへの投資勧誘は,虚偽の事実を告げるものであり,適合性原則及び説明義務に違反する違法な勧誘というべきである。
3  争点②(被告SFC及び被告Y1の法的責任)について
(1)  前記2のとおり,訴外Aによる本件ファンドへの投資勧誘は違法な勧誘行為であり,不法行為が成立する。そして,訴外Aは,被告SFCの被用者であり,原告に対する本件ファンドへの投資勧誘は,その業務の執行としてなされたものであるから,被告SFCは,同違法な勧誘行為につき,原告に対して使用者責任を負うというべきである。
(2)  被告Y1は,被告SFCの業務執行社員であり,善良な管理者の注意をもって,その職務を行う義務を負うのであるから(会社法593条1項),被告SFCの業務が適正に行われるよう管理監督すべき義務があるというべきである。もっとも,前記2のとおり,被告Y1は,訴外Aをして違法な勧誘行為を行わせ,又は少なくともこれを放置していたことに照らすと,上記善管注意義務違反が認められ,同義務違反について少なくとも重過失が認められるから,訴外Aによる上記違法な勧誘行為につき,会社法597条の賠償責任を負うというべきである。
4  争点③(被告GAC,被告Y2,被告Y4,被告Y6,被告Y5及び被告Y3の法的責任)について
(1)  原告は,被告GACの運営する本件石油ファンドが本件ファンドの根幹であること,本件出資金の出捐時点で本件石油ファンド契約は有効であったこと,本件石油ファンドは,損益を顧客に適切に帰属させる仕組みを欠いていたことなどを理由に,被告GACが原告との関係でも架空取引,「金融商品まがい商品」の取引を行っていたといえるとして,原告に対する違法勧誘行為につき不法行為責任を負うと主張する。
(2)  たしかに,前記認定事実(1)のとおり,原告が本件出資金を出資した時点で,被告SFCと被告GACとの間では,本件ファンドにおける「貿易原理に関わる保全型取引」の運用先として,本件石油ファンド契約が締結されていた。そして,前記認定事実(4)によれば,被告GACは,本件石油ファンドについて,顧客に虚偽の事実を告げて勧誘し,また,顧客からの出資金を本件石油ファンド契約の目的以外に運用したり,流用したりしたとして行政処分を受けており,本件石油ファンドへの出資金が本件石油ファンド契約に従って適切に運用されていなかったものと認められる。
もっとも,本件石油ファンド契約は,本件ファンドにおける「貿易原理に関わる保全型取引」の運用先として任意に選択され,被告SFCと被告GACとの間で締結されたものであり,被告SFCと原告との間で締結された本件匿名組合契約とは別個の契約であって,原告と被告GACとの間に直接の契約関係は存在していない。そして,本件匿名組合契約の契約書には,「貿易原理に関わる保全型取引」の運用先として,本件石油ファンドが特定されたり,同ファンドに運用先を限定したりする旨の規定はなく,その他本件ファンドと本件石油ファンドが実質的に一体であると認めるに足りる事情もうかがわれず,むしろ,被告SFCが運用先の追加変更等をすることも可能となっている。さらに,被告GACが被告SFCによる本件ファンドへの投資勧誘行為に関与したり,原告が,本件ファンドの投資先が本件石油ファンドであることを認識して本件出資金を出捐したりしたことをうかがわせる事情はなく,また,本件出資金が被告SFCを介して本件石油ファンドに出資され,被告GACがそれを運用ないし目的外利用等したことを認めるに足りる証拠もない。
以上によれば,訴外Aによる原告に対する上記違法な勧誘行為につき,被告GACとの関連性は認められず,被告GACの不法行為責任を認めることはできない。
(3)  上記のとおり,被告GACは,訴外Aによる違法な勧誘行為につき不法行為責任を負わないのであるから,被告Y2,被告Y4,被告Y6,被告Y5及び被告Y3についても共同不法行為責任を認めることはできず,また,会社法429条1項に基づく責任も認められない。
5  争点④(原告の被った損害)について
(1)  前記認定事実(3)ウ及び(5)アによれば,原告は,訴外Aの違法な勧誘行為により503万円(本件出資金)を出捐し,被告SFCから92万2184円の返還を受けている。したがって,原告の被った損害は410万7816円(503万円-92万2184円)となる。
また,弁護士費用相当損害金として,上記損害の約1割の41万円を認めるのが相当である。
(2)  以上によれば,原告の被った損害は合計451万7816円となる。
6  争点⑤(被告GACに対する債権者代位の成否)について
(1)  原告は,被告SFCに対し不法行為に基づく損害賠償請求権として451万7816円の損害賠償債権を有すること,被告SFCは無資力であること,被告SFCは,被告GACに対して4420万円の出資金返還請求権を有することを理由に,被告GACに対する債権者代位を主張する。
(2)  しかしながら,被告SFCが無資力であることを認めるに足りる証拠はなく,また,証拠(甲7)によれば,被告SFCは,本件ファンドの出資者に対し,被告GACに対して本件石油ファンドへの出資金4420万円の返還請求を行っている旨説明しているが,同説明は平成26年5月19日時点でのものである上,前記認定事実(2)のとおり,被告SFCから本件石油ファンドへの出資金は合計3120万円であることなどに照らすと,実際に,被告SFCが被告GACに対して出資金返還請求権を有しているかは必ずしも明らかではなく,これを認めるに足りる証拠もない。
以上によれば,原告の上記主張を採用することはできない。
7  結論
以上によれば,原告の請求は,被告SFC及び被告Y1に対し,451万7816円及びこれに対する訴状送達の日の翌日(被告SFCについては,平成26年7月3日,被告Y1については,平成26年7月13日)から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し,その余の請求は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第50部
(裁判官 岡本利彦)

 

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