【営業代行から学ぶ判例】crps 裁判例 lgbt 裁判例 nda 裁判例 nhk 裁判例 nhk 受信料 裁判例 pl法 裁判例 pta 裁判例 ptsd 裁判例 アメリカ 裁判例 検索 オーバーローン 財産分与 裁判例 クレーマー 裁判例 クレプトマニア 裁判例 サブリース 裁判例 ストーカー 裁判例 セクシャルハラスメント 裁判例 せクハラ 裁判例 タイムカード 裁判例 タイムスタンプ 裁判例 ドライブレコーダー 裁判例 ノンオペレーションチャージ 裁判例 ハーグ条約 裁判例 バイトテロ 裁判例 パタハラ 裁判例 パブリシティ権 裁判例 ハラスメント 裁判例 パワーハラスメント 裁判例 パワハラ 裁判例 ファクタリング 裁判例 プライバシー 裁判例 プライバシーの侵害 裁判例 プライバシー権 裁判例 ブラックバイト 裁判例 ベネッセ 裁判例 ベルシステム24 裁判例 マタニティハラスメント 裁判例 マタハラ 裁判例 マンション 騒音 裁判例 メンタルヘルス 裁判例 モラハラ 裁判例 モラルハラスメント 裁判例 リストラ 裁判例 リツイート 名誉毀損 裁判例 リフォーム 裁判例 遺言 解釈 裁判例 遺言 裁判例 遺言書 裁判例 遺言能力 裁判例 引き抜き 裁判例 営業秘密 裁判例 応召義務 裁判例 応用美術 裁判例 横浜地裁 裁判例 過失割合 裁判例 過労死 裁判例 介護事故 裁判例 会社法 裁判例 解雇 裁判例 外国人労働者 裁判例 学校 裁判例 学校教育法施行規則第48条 裁判例 学校事故 裁判例 環境権 裁判例 管理監督者 裁判例 器物損壊 裁判例 基本的人権 裁判例 寄与分 裁判例 偽装請負 裁判例 逆パワハラ 裁判例 休業損害 裁判例 休憩時間 裁判例 競業避止義務 裁判例 教育を受ける権利 裁判例 脅迫 裁判例 業務上横領 裁判例 近隣トラブル 裁判例 契約締結上の過失 裁判例 原状回復 裁判例 固定残業代 裁判例 雇い止め 裁判例 雇止め 裁判例 交通事故 過失割合 裁判例 交通事故 裁判例 交通事故 裁判例 検索 公共の福祉 裁判例 公序良俗違反 裁判例 公図 裁判例 厚生労働省 パワハラ 裁判例 行政訴訟 裁判例 行政法 裁判例 降格 裁判例 合併 裁判例 婚約破棄 裁判例 裁判員制度 裁判例 裁判所 知的財産 裁判例 裁判例 データ 裁判例 データベース 裁判例 データベース 無料 裁判例 とは 裁判例 とは 判例 裁判例 ニュース 裁判例 レポート 裁判例 安全配慮義務 裁判例 意味 裁判例 引用 裁判例 引用の仕方 裁判例 引用方法 裁判例 英語 裁判例 英語で 裁判例 英訳 裁判例 閲覧 裁判例 学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例 共有物分割 裁判例 刑事事件 裁判例 刑法 裁判例 憲法 裁判例 検査 裁判例 検索 裁判例 検索方法 裁判例 公開 裁判例 公知の事実 裁判例 広島 裁判例 国際私法 裁判例 最高裁 裁判例 最高裁判所 裁判例 最新 裁判例 裁判所 裁判例 雑誌 裁判例 事件番号 裁判例 射程 裁判例 書き方 裁判例 書籍 裁判例 商標 裁判例 消費税 裁判例 証拠説明書 裁判例 証拠提出 裁判例 情報 裁判例 全文 裁判例 速報 裁判例 探し方 裁判例 知財 裁判例 調べ方 裁判例 調査 裁判例 定義 裁判例 東京地裁 裁判例 同一労働同一賃金 裁判例 特許 裁判例 読み方 裁判例 入手方法 裁判例 判決 違い 裁判例 判決文 裁判例 判例 裁判例 判例 違い 裁判例 百選 裁判例 表記 裁判例 別紙 裁判例 本 裁判例 面白い 裁判例 労働 裁判例・学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例・審判例からみた 特別受益・寄与分 裁判例からみる消費税法 裁判例とは 裁量労働制 裁判例 財産分与 裁判例 産業医 裁判例 残業代未払い 裁判例 試用期間 解雇 裁判例 持ち帰り残業 裁判例 自己決定権 裁判例 自転車事故 裁判例 自由権 裁判例 手待ち時間 裁判例 受動喫煙 裁判例 重過失 裁判例 商法512条 裁判例 証拠説明書 記載例 裁判例 証拠説明書 裁判例 引用 情報公開 裁判例 職員会議 裁判例 振り込め詐欺 裁判例 身元保証 裁判例 人権侵害 裁判例 人種差別撤廃条約 裁判例 整理解雇 裁判例 生活保護 裁判例 生存権 裁判例 生命保険 裁判例 盛岡地裁 裁判例 製造物責任 裁判例 製造物責任法 裁判例 請負 裁判例 税務大学校 裁判例 接見交通権 裁判例 先使用権 裁判例 租税 裁判例 租税法 裁判例 相続 裁判例 相続税 裁判例 相続放棄 裁判例 騒音 裁判例 尊厳死 裁判例 損害賠償請求 裁判例 体罰 裁判例 退職勧奨 違法 裁判例 退職勧奨 裁判例 退職強要 裁判例 退職金 裁判例 大阪高裁 裁判例 大阪地裁 裁判例 大阪地方裁判所 裁判例 大麻 裁判例 第一法規 裁判例 男女差別 裁判例 男女差别 裁判例 知財高裁 裁判例 知的財産 裁判例 知的財産権 裁判例 中絶 慰謝料 裁判例 著作権 裁判例 長時間労働 裁判例 追突 裁判例 通勤災害 裁判例 通信の秘密 裁判例 貞操権 慰謝料 裁判例 転勤 裁判例 転籍 裁判例 電子契約 裁判例 電子署名 裁判例 同性婚 裁判例 独占禁止法 裁判例 内縁 裁判例 内定取り消し 裁判例 内定取消 裁判例 内部統制システム 裁判例 二次創作 裁判例 日本郵便 裁判例 熱中症 裁判例 能力不足 解雇 裁判例 脳死 裁判例 脳脊髄液減少症 裁判例 派遣 裁判例 判決 裁判例 違い 判決 判例 裁判例 判例 と 裁判例 判例 裁判例 とは 判例 裁判例 違い 秘密保持契約 裁判例 秘密録音 裁判例 非接触事故 裁判例 美容整形 裁判例 表現の自由 裁判例 表明保証 裁判例 評価損 裁判例 不正競争防止法 営業秘密 裁判例 不正競争防止法 裁判例 不貞 慰謝料 裁判例 不貞行為 慰謝料 裁判例 不貞行為 裁判例 不当解雇 裁判例 不動産 裁判例 浮気 慰謝料 裁判例 副業 裁判例 副業禁止 裁判例 分掌変更 裁判例 文書提出命令 裁判例 平和的生存権 裁判例 別居期間 裁判例 変形労働時間制 裁判例 弁護士会照会 裁判例 法の下の平等 裁判例 法人格否認の法理 裁判例 法務省 裁判例 忘れられる権利 裁判例 枕営業 裁判例 未払い残業代 裁判例 民事事件 裁判例 民事信託 裁判例 民事訴訟 裁判例 民泊 裁判例 民法 裁判例 無期転換 裁判例 無断欠勤 解雇 裁判例 名ばかり管理職 裁判例 名義株 裁判例 名古屋高裁 裁判例 名誉棄損 裁判例 名誉毀損 裁判例 免責不許可 裁判例 面会交流 裁判例 約款 裁判例 有給休暇 裁判例 有責配偶者 裁判例 予防接種 裁判例 離婚 裁判例 立ち退き料 裁判例 立退料 裁判例 類推解釈 裁判例 類推解釈の禁止 裁判例 礼金 裁判例 労災 裁判例 労災事故 裁判例 労働基準法 裁判例 労働基準法違反 裁判例 労働契約法20条 裁判例 労働裁判 裁判例 労働時間 裁判例 労働者性 裁判例 労働法 裁判例 和解 裁判例

判例リスト「完全成果報酬|完全成功報酬 営業代行会社」(55)平成29年 2月14日 東京地裁 平27(ワ)20755号 仲介手数料請求事件

判例リスト「完全成果報酬|完全成功報酬 営業代行会社」(55)平成29年 2月14日 東京地裁 平27(ワ)20755号 仲介手数料請求事件

裁判年月日  平成29年 2月14日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平27(ワ)20755号
事件名  仲介手数料請求事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2017WLJPCA02148012

要旨
◆原告が、被告代表者Bの依頼により被告と財務アドバイザリー契約(本件契約)を締結した、又は、原告とR社との間で成立した本件契約の契約上の地位を被告が承継したことを前提にJ社を売却先として被告による売却・買収手続の仲介をしたとして本件契約に基づく仲介手数料の支払を求めた事案において、被告は、本件当事者には当事者適格がないと主張するものの、原告は、本件契約に基づく手数料請求権の対象が被告であると主張して本訴を提起しているから原被告には当事者適格があるとして被告の主張を退けた上で、原告とB間で本件契約につき口頭で合意したとする原告の主張事実を認めるに足りる的確な証拠はなく、原告の主張に合致する内容の財務アドバイザリー契約書が原被告間で作成された事実もなく、契約当事者の地位が被告代表者から被告に移転したともいえないから、原告が主張する口頭合意の事実は認められないとして、請求を棄却した事例

参照条文
民法414条

裁判年月日  平成29年 2月14日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平27(ワ)20755号
事件名  仲介手数料請求事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2017WLJPCA02148012

千葉県柏市〈以下省略〉
原告 株式会社ティー・エス・アソシエイツ
同代表者代表取締役 A
同訴訟代理人弁護士 佐藤隆男
東京都渋谷区〈以下省略〉
被告 サンブライトキャピタル株式会社
同代表者代表取締役 B
同訴訟代理人弁護士 應本健

 

 

主文

1  原告の請求を棄却する。
2  訴訟費用は原告の負担とする。

 

事実及び理由

第1  請求
被告は,原告に対し,1億1340万円及びこれに対する平成27年6月12日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
本件は,原告が,被告代表者から被告の売却を依頼されて被告と財務アドバイザリー契約(以下「本件契約」という。)を締結した,あるいは被告が本件契約の契約上の地位を承継したことを前提に,訴外J-STAR株式会社(以下「J-STAR」という。)を売却先として被告の売却・買収の手続の仲介をしたとして,被告に対し,本件契約に基づき,仲介手数料及び遅延損害金の支払を求める事案である。
第3  前提事実(末尾掲記の証拠等によるもの以外は争いがない)
1  原告は,企業の買収・売却・営業譲渡又は資本・業務提携に係わる企画立案並びに斡旋・助言の業務等を目的とする会社である(弁論の全趣旨)。
被告は,主として生命保険代理店業務及び損害保険代理店業務を目的とする会社である。被告の旧商号は,日本保険サービス株式会社である(甲1,2)。
J-STARは,プライベート・エクイティ・ファンド(未公開株式を取得して,株式公開や第三者に売却することで,キャピタルゲインを獲得することを目的としたファンド)の運営管理等を目的とする会社である(甲7)。
訴外株式会社RMパートナーズ(以下「RMパートナーズ」という。)は,被告代表者が全株式を保有し,同人が代表取締役を務める会社である。
2  原告は,平成26年7月9日,被告代表者に対し,J-STARが押印したRMパートナーズ宛の「秘密保持に関する覚書」を交付した。
3  原告代表者,被告代表者,J-STAR関係者であるC(以下「C」という。)及びD(以下「D」という。)は,同月30日,面談をした。
4  被告代表者は,同年8月,J-STAR関係者に対し,資料提供を行った。また,その頃,被告代表者は,J-STAR関係者との打合せの際,原告代表者の同席を拒むことがあった。
5  原告代表者は,同月21日,被告代表者に対し,原告とRMパートナーズとの間の「秘密保持契約書」(甲15)及び「財務アドバイザリー契約書」(甲16)を交付した。
6  原告代表者は,同月22日,被告代表者に対し,上記各契約書の契約者をRMパートナーズから被告代表者個人に変更したものを提示した。
原告代表者は,同月24日,被告代表者に対し,秘密保持契約書(甲17)及び財務アドバイザリー契約書(甲19)並びに秘密保持契約書(甲15)を添付したメールを送信した(甲21)。
これに対し,被告代表者は,同月27日,原告代表者に対し,上記メールに対する返信として,上記メール添付の財務アドバイザリー契約書につき,①第4条(被告代表者は1年間対象企業に関して原告以外の第三者に対してアドバイザリー業務を委託しないこと)につき1年間の専任期間は無理であること,②第6条(原告の報酬)につきJ-STARからの着金がないと支払が困難であること及び中間金の支払に関する「基本合意契約書の締結等契約条件が整いつつある場合には」との定義があいまいであること等,③第8条1項(契約期間)につき1年間は長いので,今回のJ-STARの案件に限定するか同年9月末までにすることができないか,といった点を指摘し,原告代表者に対し検討を依頼した(甲22)。
7  原告代表者,被告代表者,C及びDは,同年8月28日及び同年9月3日,面談した。
8  その後,被告代表者は,J-STARから,「Project Sunbrightに関する意向表明書」と題する書面(甲14)を受領した。
9  原告代表者は,同月20日以降,被告代表者とJ-STAR関係者との間の会議には出席していない。
また,被告代表者は,同月26日,原告代表者に対し,これ以降原告が関与しないよう要請した。
10  原告は,被告に対し,平成27年6月22日到達の書面で,仲介手数料1億1340万円を請求したが,被告代表者は同請求に対し何ら返答しなかった。
第4  争点及びこれに関する当事者の主張
1  本件の当事者に当事者適格があるか(本案前の答弁)
(被告の主張)
本件訴えは,原告が被告に対して契約上の義務の履行を求めるものであるが,被告が原告との間で財務アドバイザリー契約を締結した事実はなく,当事者適格を欠く訴えであるから,却下を免れない。
(原告の主張)
本件では,原告と被告間の財務アドバイザリー契約に基づく仲介手数料請求権又は民法130条に基づく仲介手数料請求権が訴訟物であり,この訴訟物についての本案判決をして紛争解決をするためには被告を当事者とすることが適切であることは当然のことであり,他の者を被告としても紛争解決にならないことは明らかである。
2  原告と被告の間で本件契約が成立したか(争点1)
(原告の主張)
(1) 原告は,平成26年7月1日,RMパートナーズの代表者でありかつ被告代表者でもあるBとの間で,被告の企業売却に関し,口頭により本件契約を締結した。原告は,被告代表者から事情聴取し,売却希望条件は最低20億円以上で30億円程度,25億円であれば即決するとのことであった。また,被告代表者及び当時の役員の継続的な経営関与,従業員の継続的雇用の保証も条件であった。
原告は,その場で,被告代表者に対し,買収検討候補先として,J-STARを紹介し,同人から同社に対して提案することの承諾を得た。
報酬は,原告と被告代表者の間で,レーマン方式によることとされ,同人から異論が述べられたことはなく,双方で了解していた。
契約の主たる内容は以下のとおりである。
ア 目的
被告の企業売却という取引(以下,本項においては「本件取引」という。)を推進するため,RMパートナーズ,被告代表者及び被告(以下,本項においてはこれらを「委託者」という。)が原告に対し下記業務を委託し,原告は,委託者に対し下記業務に関する役務を提供することである。
イ 業務
(ア) 被告を買収する相手方を委託者に紹介する業務
(イ) 相手先に関して入手し得る情報の委託者への提供及び分析業務
(ウ) 本件取引の推進のため委託者に代わり行う相手先との交渉業務
(エ) 本件取引の実施方法,手続方法及び譲渡額見積査定における助言業務
(オ) その他,本件取引を推進するため委託者が必要とする役務の提供業務
ウ 専任契約
契約有効期間中は,対象企業に関して原告以外の第三者に対して上記ア規定のアドバイザリー業務を委託しないものとする。
エ 原告の報酬
原告の報酬については,委託者は,本件取引が成立し,本件取引に関わる主要契約書の調印に至り,最終決済も完了した場合(以下,本項においては「クロージング」という。),本件取引に関して委託者と相手方との間で合意された取引価格に対し,別表に基づいて計算された金額を成功報酬として,クロージング後10日以内に原告に支払うものとする。ただし,本成功報酬の金額はいかなる場合も1000万円を下回らないものとする。なお,計算方法は累進方式とし,消費税及び振込手数料は委託者が負担するものとする。
(別表)
取引価格10億円以下の報酬率は5%
取引価格10億円超20億円以下の報酬率は4%
取引価格20億円超50億円以下の報酬率は3%
オ 契約期間
契約の有効期間は,本契約締結日から満1年とするが,本件取引の不成立が明らかとなり,委託者と原告がそれを相互に確認した時点においては,本契約は終了する。
カ 直接取引の禁止
委託者は,原告の事前の承諾なく本件取引の推進を目的とし,直接,対象企業,相手方及びその関係者に接触し,又は交渉してはならない。
(2) 原告は,RMパートナーズ,被告代表者及び被告(以下,これらを併せて「被告側」という。)との間で本件契約が成立していると主張しているが,仮にこのように評価できなかったとしても,原告とRMパートナーズとの間で成立した本件契約につき,同社の契約当事者の地位を被告代表者が承継し,さらに,被告代表者の契約当事者の地位を被告が承継したものである。
(3) 財務アドバイザリー契約書は,実質的に被告の売却の仲介の目的を達成することが期待できた同年8月21日から同年9月9日頃,既に口頭で成立し,かつ,その後履行している本件契約を書面化するために作成した書面である。なお,契約書の作成日付を同年7月9日としたのは,その日がJ-STARの秘密保持契約に関する覚書を被告代表者に交付した日だからである。したがって,これらの書面で初めて本件契約を締結しようとしたものではない。
同年7月1日時点で,細部は別として,企業買収の仲介に関する報酬等の基本的事項については原告と被告側の間に成立していたが,遅くとも同年8月27日時点では,仲介の相手方をJ-STARに限定すること以外は合意されていた。
(被告の主張)
(1) 原告は,被告はもとより,被告代表者との間においても,本件契約に調印した事実はない。加えて,原告の提示した契約書は,その内容が双方ともに合意できない内容であって,そのような段階で契約など成立するはずもない。
したがって,被告はもとより,被告代表者との間でも本件契約は成立し得ない。
(2) 原告から提示された財務アドバイザリー契約書の当事者は,いずれも,原告が被告の株式を保有すると認識する者でしかなく,被告は含まれていないのであり,被告を当事者とする合意があったとする解釈は不可能である。当初原告が被告代表者に提示した財務アドバイザリー契約書の契約当事者はRMパートナーズとなっているが,これは,原告が単に被告の株主をRMパートナーズと一方的に思い込んで記載したものである。このように,被告の株主を誤認して契約書を提示したという事実は,当該契約書が,原告によって一方的かつ突然に,被告代表者に提示された事実を裏付けるものである。なお,当時,被告の株主は被告代表者の親族のみであり,J-STARにもその旨は伝えた上で,被告代表者が取りまとめて売却することで話が進められていたのであり,原告が被告や被告の株主のことを全く理解していないことは,被告代表者のアドバイザーですらなかったことを裏付ける。
また,契約当事者たる地位の移転には,承継する当事者の合意が必要であることは法理論上自明であるところ,被告の合意があったとの主張立証は一切なく,原告の主張が失当であることは明らかである。
3  原告が本件契約に基づく業務を行ったか(争点2)
(原告の主張)
(1) M&A仲介業者又はアドバイザーの最も重要な業務は,被告を買収するファンドを仲介することであり,原告はこれを履行している。
平成26年9月26日までに実質的な仲介行為は完了している状態であり,残るは形式的に基本契約書の作成,会計士及び弁護士の監査であるデューディリジェンスに対する資料提供等の協力等であるが,被告や被告代表者が原告のアドバイスや仲介行為を故意に排除したために原告がその後の作業に関与できなかっただけであり,原告が関与できなかったことに対して被告に責任があり,原告には責任がない。
(2) 原告は,平成26年7月1日から同年9月29日までは,M&A仲介業者又はアドバイザーとして調査及び交渉について常に関わっていた。
同月26日に,被告代表者から原告に対し,原告との面談を拒否するとの宣言を受け,また,同月29日にJ-STARからとりあえず静観していてほしいとの要請を受け,原告がその後の会議に出席しなかっただけである。このような中で,原告が業務を行っていなかったと主張するのは信義則に反する。
(3) 原告の仲介により,被告とJ-STARとの間の事業譲渡契約が成立し,平成27年6月1日に譲渡代金25億円が被告に支払われた。
(被告の主張)
(1) 原告は,あたかもM&A仲介業者又はアドバイザーとしての業務を行ったかのように主張するが,原告が被告代表者及び被告のアドバイザーとして業務を履行した事実はない。原告は,被告の負債の有無なども全く把握していないことからも明らかなように,被告代表者のアドバイザーとして,会計・法務・ビジネス等のデューディリジェンス対応,スキームの組成に関する税務面,会計面での調査及び提案,クロージングドキュメント(基本合意書,最終契約書,サイドレター等を含む。)の作成及び手交等の業務を行っていない。
(2) 原告代表者は,平成26年9月26日の打合せの際,被告代表者が,他の候補者から30億円で買い取りたいとの提案を受けている旨の話をしたところ,あたかもJ-STARからの提案の方が優れていると税務上又は財務上も明らかに虚偽の説明を行い,被告代表者に対して他の候補者からの提案を断らせようとした。そのため,被告代表者は,原告代表者に対し,以後原告が本件に関与しないように通告し,同人もこれを了承した。それ以後,原告は,アドバイザーとしての業務を履行することもなかった。仮に本件契約が成立していたとしても,原告は善管注意義務に沿った業務など全くしておらず,契約に基づく報酬など得られるはずもない。
4  被告とJ-STAR間の契約締結が本件契約に基づくといえるか(争点3)
(原告の主張)
(1) 原告が被告の売却をJ-STARに仲介することにより,被告の売却についてJ-STARとの間で調査及び交渉が行われ,その結果,意向表明,基本合意,最終合意,決済がなされ,被告は,J-STARとの間で事業譲渡契約を締結することができた。すなわち,原告の仲介なくしてはJ-STARと被告の契約が成立することはなかったのであり,原告の仲介行為と被告の事業譲渡契約には明確な因果関係がある。
(2) 被告は,違約金を支払った2週間後には,被告の売却の交渉の再開を申し入れているのであり,被告の主張する合意解約の事実だけでは,原告の被告売却に関するJ-STARへの仲介とその後のJ-STARの被告買収との因果関係を否定することはできない。
25億円という売買代金,企業買収の手続,時間的間隔からみて,別の機会の取引ではなく,特殊な事情のために,契約プロセスが長引いたにすぎない。すなわち,被告の脱税疑惑による国税庁の査察が行われたため,被告代表者保有の株式を売却するという方式の企業買収が困難となり,事業譲渡という方式に変更せざるを得なくなった結果,契約プロセスが長引いたのである。
(被告の主張)
原告が多少関与したM&Aの案件である,被告代表者とJ-STAR間の交渉は,平成26年12月2日に解消されている。
被告代表者とJ-STARとの基本合意書が解除されたのは,J-STARから基本合意書の枠組みを超える条件変更の提案があったため,被告代表者がJ-STARとの独占交渉権を早期に解消し,他社と交渉するために行われたものである。
5  被告が本件契約を解除したといえるか(争点4)
(被告の主張)
仮に,原告と被告代表者の間で本件契約が成立していたとしても,原告代表者の説明は明らかに虚偽であり,被告代表者に損害を与えるもので,善管注意義務に違反するものであり,被告代表者が原告代表者に対し,本件に関わらないよう通告したことをもって,本件契約は終了したといえる。
(原告の主張)
被告代表者が原告代表者に対し,本件に関わらないよう通告したことは認め,原告代表者の説明が虚偽であり被告代表者に損害を与えるものであるとの点は否認し,解除事由に該当するとの点は争う。
第5  当裁判所の判断
1  本案前の答弁について
被告は,本件の当事者には当事者適格がない旨主張するが,当事者適格は,訴訟物である権利関係の主体であると主張し,又は主張される者に与えられるものであるところ,原告は,本件契約の存在を前提とし,本件契約の相手方が被告である,あるいは被告が契約当事者の地位を承継したとして,本件契約に基づく手数料請求権の対象が被告であると主張して本件訴訟を提起している以上,原告及び被告に本件訴訟の当事者適格があることが認められる。したがって,被告の主張は採用できない。そこで,以下,本案について検討する。
2  本案について
(1)  争点1について
ア この点,原告は,前記のとおり,原告と被告代表者間で,本件契約につき平成26年7月1日に口頭で合意したと主張するが,当該事実を認めるに足りる的確な証拠はない。
イ 確かに,原告の主張に沿う証拠(原告代表者)もある。
(ア) しかし,当該供述を裏付ける客観的な証拠はない。むしろ,同日時点で上記合意に基づく書面が作成されていないことは原告も認めているところ,原告の主張するように,本件契約に従えば,25億という金額で被告の株式売却ないし事業譲渡がされるならば優に1000万円を超える報酬額(仲介手数料)となることが想定される中で,原告の主張する合意の時点で何ら書面が作成されないというのは通常考えられないことである。
(イ) また,その後,結局のところ,原告の主張に合致する内容の財務アドバイザリー契約書が原告と被告(被告代表者やRMパートナーズを含む。)との間で作成されたとの事実を認めるに足りる証拠もない。原告の主張するように,既に口頭で合意されているのであれば,合意内容のとおり書面化するだけで足りるところ,むしろ,前記前提事実のとおり,原告代表者が,平成26年8月24日,本件契約に関して被告代表者に宛てて送信したメールに対し,被告代表者が,原告の専任期間や報酬支払の時期や中間金の支払といった,本件契約の重要部分につき,疑義のある旨原告代表者に返信している(しかも,これに対し,原告が,中間金の支払について削除した形で財務アドバイザリー契約書の修正案を被告側に提示している(甲20)。)。このような事情に照らせば,それ以前に口頭で合意がなされたとはいい難い。
(ウ) さらに,契約の当事者について,財務アドバイザリー契約書作成以前に口頭の合意がなされているとすれば,その時点で契約の相手方もいったんは確定しているはずであるが,前記前提事実のとおり,平成26年8月に原告から被告代表者へ財務アドバイザリー契約書が提示されている中で,当初は契約の相手方がRMパートナーズとされていたものが被告代表者に修正されている。財務アドバイザリー契約書が作成されようとする以前に口頭で合意がなされていたのであれば,そのような修正は不要なはずである。この点につき,原告は,契約の相手方が被告であるか被告代表者であるかRMパートナーズであるかは特段問題ではないかのような主張をしているが,契約の相手方が誰であるかによって報酬を誰が支払うのかも異なってくるのであり,個人が支払うのか法人が支払うのかは,大きな差異である。被告代表者が株主であるというだけで実質的に被告代表者と被告やRMパートナーズを同一視できるものではない。したがって,誰を当事者とするのかは重要であるから,この時点でもその点が固まっていないことは,同年7月1日時点で原被告間において合意がなされたこととは相反する事情というべきである。なお,付言するに,契約当事者の地位が,被告代表者から被告に移転したことを認めるに足りる証拠もない。
(エ) これらの事情に鑑みれば,原告代表者の供述につき,信用性があるということはできない。したがって,原告の主張する口頭合意の事実を認めることはできないといわざるを得ない。なお,原告の主張するように,原告が被告の売却に関して何らかの関わりを持っていた時期があったとしても,そのことから直ちに,被告に対して何らかの報酬請求権が発生するものでないことはいうまでもない。
ウ このほか,原告は,本件契約の内容を知らなければ被告代表者が原告に企業買収の仲介を依頼しないし,被告側が原告に対し仲介手数料を支払わないのであれば原告が仲介をするわけがないとも主張するが,本件の経緯に照らせば,原告が被告の売却について関与を始めたものの,原被告間において結果的に本件契約の合意に至ることができなかったとみることができ,そうであれば,本件契約自体が成立しなかったとしても,原告が本件に関与をしようとすることや,被告側が被告の売却の手続を進めようとすることはあり得るのであって,原告の主張は採用できない。
エ なお,原告は,被告とJ-STARの事業譲渡契約の内容等,被告が証拠を提出しないことをもって原告の主張する事実が存在することが推認される旨主張するが,被告とJ-STAR間の契約内容等がどのようなものであったとしても,前記のとおり,原告と被告の間に本件契約が口頭で合意されたことを否定する事情が認められることに変わりはないから,原告の上記主張は採用できない。
3  そうすると,その余の点について検討するまでもなく,原告の請求には理由がないということになる。
第6  結論
以上のとおりであり,原告の請求には理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第24部
(裁判官 奥田大助)

 

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