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「営業代行」に関する裁判例(2)平成30年10月17日 東京地裁 平28(ワ)22650号 取立訴訟事件

「営業代行」に関する裁判例(2)平成30年10月17日 東京地裁 平28(ワ)22650号 取立訴訟事件

裁判年月日  平成30年10月17日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平28(ワ)22650号
事件名  取立訴訟事件
文献番号  2018WLJPCA10178005

東京都足立区〈以下省略〉
原告 株式会社atos商會
同代表者代表取締役 A
岐阜市〈以下省略〉
被告 サムス株式会社
同代表者代表取締役 B
同訴訟代理人弁護士 入谷正章
西垣誠
熊田憲一郎
同訴訟復代理人弁護士 前澤啓介
東京都新宿区〈以下省略〉
被告補助参加人 アズ株式会社
同代表者代表取締役 C
同訴訟代理人弁護士 六川浩明

 

 

主文

1  原告の請求をいずれも棄却する。
2  訴訟費用は原告の負担とする。

 

事実及び理由

第1  請求
1  主位的請求
被告は,原告に対し,1億6431万4310円及びこれに対する平成26年8月2日から支払済みまで年6分の割合による金員を,原告のアレス合同会社(以下「アレス社」という。)に対する1530万3553円及びこれに対する平成26年3月1日から支払済みまで年14.6パーセントの割合(年365日の日割計算)による金員の限度で支払え。
2  予備的請求
被告は,原告に対し,2000万円を支払え。
第2  事案の概要
本件は,アレス社が,株式会社サンフランシスコ・エンタープライズ(以下「SFE社」という。)ほか1社からファッションブランドに係る販売事業の譲渡を受けた上で,同事業を被告に譲渡したものであるが,当該事業に関して,SFE社ほか1社に対して売掛金債権を有していた原告が,その債務について免責的債務引受をしたアレス社に対して,当該売掛金1530万3553円及びこれに対する平成26年3月1日から支払済みまで約定の年14.6パーセントの割合による遅延損害金の支払請求権を有しているものであり,アレス社を債務者として,その支払を命ずる確定判決に基づき,アレス社の被告に対する上記事業譲渡に係る代金債権を差し押さえたものであるところ,この代金のうち1億4550万円が未払であるほか,アレス社が上記事業譲渡前に受領すべき店舗の売上金のうち合計1881万4310円を被告が取得したのは不当利得に当たるなどと主張して,被告に対し,①主位的に,債権者代位権に基づき,アレス社に代位して,上記事業譲渡に係る代金及び上記売上金に係る不当利得の合計1億6431万4310円及びこれらに対する上記事業譲渡日の翌日である平成26年8月2日から支払済みまで商事法定利率である年6分の割合による利息又は遅延損害金を,原告のアレス社に対する上記売掛金債権の限度で支払うよう求め,②予備的に,差押債権者の取立権に基づき,アレス社の被告に対する上記事業譲渡に係る代金債権のうち差押えに係る2000万円を支払うよう求める事案である。
1  前提事実
本件の前提として,当事者間に争いのない事実又は後掲各証拠(枝番のある書証でその記載のないものは各枝番を含む。以下同じ。)及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実は,次のとおりである。
(1)ア  原告は,衣料品の製造,卸売業等を営む株式会社である。原告は,従前,SFE社及びその子会社である株式会社LNY(以下「LNY社」という。また,SFE社と併せて「SFE社ら」という。)が行っていた「○○」というファッションブランドに係る販売事業(以下「本件事業」という。)について,SFE社らから委託を受けて,その商品の製造を行っていた。(甲54,丙1,2)
イ  被告は,既製服の製造販売並びに輸出入業務等を営む株式会社であり,サンラリー株式会社(以下「サンラリー社」という。)を中心とする企業グループ(以下「サンラリーグループ」という。)に属するものである。サンラリーグループにおいては,各事業が一定規模以上になると当該事業部門を分社化する方針をとっており,分社化された各社がそれぞれ事業を行い,サンラリー社がそのグループ全体の管理業務を行っている。(乙1,2,25)
ウ  被告補助参加人は,営業代行業等を営む株式会社であり,アズホールディングス株式会社(その前身は「アズグループホールディングス株式会社」。以下「アズHD社」という。)を中心とする企業グループ(以下「アズグループ」という。)に属しており,その支配株主は,アズHD社の代表取締役であるD(以下「D」という。)である。(甲32,乙18,19,被告補助参加人代表者)
エ  アレス社は,経営コンサルティング業務等を目的とし,エービーアイ株式会社(以下「エービーアイ社」という。)の代表取締役の地位にあったE(以下「E」という。)を代表社員として平成26年1月6日に設立された合同会社である。(甲35,乙17)
(2)  SFE社らは,平成26年2月12日,アレス社との間で,SFE社らが本件事業をアレス社に譲渡し,アレス社はこれを譲り受けること,その対価としてアレス社からSFE社に支払われる額を3000万円(消費税を含まない。)とすることなどを内容とする事業譲渡契約(以下「本件第1事業譲渡契約」という。)を締結した。また,その際,本件事業に係る商標権を有していた株式会社システム・オブ・エンポリウム(以下「SOE社」という。なお,その当時のSFE社ら及びSOE社の代表取締役は,いずれもF(以下「F」という。)であった。)は,アレス社との間で,当該商標権を2000万円の対価でアレス社に譲渡する旨の商標権譲渡契約(以下「本件商標権譲渡契約」という。)を締結した。(甲5,42,56,丙1)
(3)  その上で,アレス社は,SFE社ら及びSOE社との間で,SFE社らが本件事業に関して取引先4社に対して負っている買掛金等の債務について,アレス社が債務引受をして,本件第1事業譲渡契約及び本件商標権譲渡契約に係る残代金合計3000万円をこれらの債務の支払に充てることを合意したものであり,その中には,原告がSFE社らに対して有していた本件事業に係る売掛金1530万3553円及びこれに対する平成26年3月1日から支払済みまで年14.6パーセントの割合による遅延損害金の支払請求権(以下「本件売掛金債権」という。)が含まれていたところ,アレス社とSFE社ら及びSOE社は,同年2月24日頃,原告を含む上記取引先4社との間でも,アレス社が債務引受をしたことにより,SFE社らが当該債務を免れることなどを内容とする免責的債務引受に係る合意書を取り交わした。(甲10,54,56)
(4)  その後,アレス社は,平成26年8月1日,被告との間で,アレス社が本件事業を被告に譲渡し,被告はこれを譲り受けること,その対価として被告からアレス社に支払われる額は1億7000万円(消費税を含まない。)及び譲渡の対象に含まれる在庫商品の譲渡日現在の0.7~0.85を乗じた金額の合計額とすることなどを内容とする事業譲渡契約(以下「本件第2事業譲渡契約」という。)を締結した。(甲3の1)
(5)  他方,被告は,これに先立つ平成26年1月24日,サンラリー社の口座から,アズHD社に対し,2000万円を支払うとともに(以下,この金員を「本件金員①」という。),同年2月14日,サンラリー社の口座から,被告補助参加人に対し,1億7850万円を支払った(以下,この金員を「本件金員②」という。また,本件金員①と併せて「本件各金員」という。)。その上で,本件金員②については,被告補助参加人により,このうち4400万円が同日G弁護士(以下「G弁護士」という。)に送金されたほか,3740万6250円が同日株式会社CRIコンサルタンツ(以下「CRI社」という。)に送金されていた。(乙6,9,丙8,16)
(6)  原告は,平成26年,LNY社に対して本件売掛金債権の一部の履行を求める支払督促を申し立て,訴訟に移行したところ(東京地方裁判所同年(ワ)第2714号),その訴訟において上記免責的債務引受に係る合意の成否が争われたが,その審理の結果,平成27年12月22日,同裁判所において上記合意の成立が認められて原告のLNY社に対する請求を棄却する判決がされた。そこで,原告は,平成28年2月,アレス社に対し,本件売掛金債権の履行を求める訴訟を提起したところ(東京地方裁判所同年(ワ)第6516号),アレス社は応訴することなく,同年4月21日,同裁判所において原告の請求を認容する判決がされた。その上で,原告は,その確定判決に基づき,アレス社に対して有する本件売掛金債権を請求債権として,アレス社の被告に対する本件事業譲渡に係る代金債権のうち2000万円等を差し押さえる旨の債権差押命令を申し立て(東京地方裁判所平成28年(ル)第3936号),同年6月2日,同裁判所において,その旨の差押命令がされ,同差押命令は,同月6日,第三債務者である被告に送達された。これに対し,被告から,本件売掛金債権は存在しない旨の陳述書が送付された。(甲1,2,18の1,甲19)。
(7)  そこで,原告は,平成28年7月8日に本件訴訟を提起したところ,当初の請求は,被告に対し,差押債権者の取立権に基づき,アレス社の被告に対する本件事業譲渡に係る代金債権のうち上記差押えに係る2000万円の支払を求めるものであったが,その後,原告は,平成28年11月,アレス社の代理人弁護士から,アレス社の債務について任意整理を開始するとの通知がされたのを受け,同月27日,アレス社の無資力を理由に,債権者代位権に基づき,本件事業に係る店舗のうち,株式会社丸井(以下「丸井」という。)の運営するa店について,アレス社が被告に対して本件事業を譲渡する前に受領すべき売上金の一部を被告が取得したのは不当利得に当たるなどと主張して,本件売掛金債権の限度で,本件事業譲渡に係る残代金の支払と共に上記不当利得の返還を求める請求を追加した上で,同請求を主位的請求とし,従前の上記請求を予備的請求とする旨の訴えの変更を申し立てた。(甲39)
2  争点に関する当事者の主張
本件の主たる争点に関する当事者の主張の要旨は,次のとおりである。
(1)  本件事業譲渡に係る代金の弁済の有無
(被告の主張)
ア サンラリーグループは,その経営コンサルタントであったCRI社のH(以下「H」という。)から,SFE社らが行っていた本件事業の買収の案件が持ち込まれ,Hを通じてSFE社らの窓口となっていたアズHD社との間で,その買収交渉を行っていたが,サンラリーグループにおいては,本件事業に係る債務の承継を避けるため,その間に別会社を介在させて当該会社に本件事業に関する債務を処理させた上で,本件事業を買い受けることとなり,そのためにアズグループと取引関係のあったEを代表者として設立されたアレス社が介在することになった。
そこで,SFE社らからアレス社への事業譲渡とアレス社から被告への事業譲渡の準備が同時並行で行われたところ,被告は,本件事業の買収が完了する前に,その買収に要する資金を支払う必要があったことから,本件各金員を支払ったものであるが,いずれも本件事業譲渡に係る契約締結に至った段階でその代金に充当することになっていたのである。
イ その後,被告は,平成26年8月4日,原告に対し,426万6966円を支払ったところ,これは,当時アレス社が原告に対して負担していた買掛金債務について,被告が立替払をしたものであったが,このうち150万円は,既にアレス社から原告に支払済みであったことから,翌5日に被告に返金されたものであり,結局,被告において,その差額の276万6966円に相当する買掛金債務の立替払をしたことになり,これにより被告はアレス社に対して同額の求償権を取得した。
他方,設立後間もないアレス社は,信用力が乏しかったため,SFE社らから本件事業の譲渡を受けた後も,a店について丸井と直接取引を行うことができなかったことから,被告に本件事業の譲渡がされるまでの間も,サンラリーグループに属するアスプリ株式会社(以下「アスプリ社」という。)が,丸井との間で既に取引関係にあったという事情で,アレス社に帰属する売上金を代理受領することになったところ,このようにアスプリ社において丸井から受領した同年7月分の売上金264万9831円について,その帰属先であるアレス社に対して返還債務を負うことになった。
ウ そして,本件第2事業譲渡契約に係る代金のうち,在庫商品に応じた部分の額については,被告とアレス社の間で,その総額を1862万9417円(消費税を含まない。)とすることが合意された。その結果,別表のとおり,上記代金合計2億0371万9770円(消費税を含む。)から本件各金員を充当した後の残代金に上記代理受領に係る売上金を加算した上で相殺処理により上記求償権を控除した後の残金は,510万2635円となるところ,被告は,平成26年8月29日,アレス社に対して同額を支払い,もって本件事業譲渡に係る代金債務の履行は完了したのであり,これについて未払債務は存在しない。
(被告補助参加人の主張)
被告補助参加人の主張は,被告の主張アと同旨である。なお,本件金員②について,本件事業譲渡の譲渡人は,アレス社であることから,サンラリーグループは,その代金を本来ならばアレス社に支払うことになるものの,その当時,アレス社は設立後間もない会社で信頼性が乏しかったことから,サンラリーグループから資金の送金先はアレス社ではなく,被告補助参加人としてほしいと要請されたため,被告補助参加人は,アレス社との合意に基づき,本件金員②を代理受領した。したがって,本件金員②は,本件事業譲渡の代金に充当されたものである。
(原告の主張)
ア 本件各金員は,サンラリーグループがアズグループに対し,SFE社らから本件事業を買収するための資金及びSFE社らが原告を含む取引先に対して負担する債務を引き受けて弁済するための資金として預けていたものにすぎず,アレス社に対する本件事業譲渡に係る代金として支払われたものではない。
また,このうち本件金員①については,被告とアレス社との間の本件第2事業譲渡契約で,その代金に充当すると定められていたとしても,本件金員②については,同契約にその旨の規定もないのであり,また,アレス社と被告補助参加人との間の上記代理受領に係る合意についても,被告補助参加人はアレス社の代理人を兼ねていたことから,双方代理に当たり有効性に欠けるものであり,本件事業譲渡に係る代金の支払に当たるものではない。この点,被告補助参加人が被告から受領した本件金員②の使途について,このうち,G弁護士に対する4400万円の送金は,同弁護士がサンラリーグループ及びアズグループの代理人として関わっていたものであることからすると,サンラリーグループへ返金したものにすぎず,本件事業譲渡に係る代金の支払に当たるものではないのであり,CRI社に対する3740万6250円の送金も,CRI社がサンラリーグループの経営コンサルタントであることからすると,サンラリーグループが被告補助参加人を通じてCRI社に対してコンサルティング料を支払ったもの又は単に被告補助参加人からサンラリーグループに対して返金されたものであり,いずれにしても本件事業譲渡に係る代金の支払に当たるものではない。この点,G弁護士に送金された4400万円のうち,3300万円は,G弁護士を通じ,アレス社に代位してSFE社らに対する代金の支払又は原告を含む取引先に対する買掛金債務の弁済に充てられたとしても,本件金員②のその余の1億4550万円については,サンラリーグループにおいて,アレス社に支払わずに自ら利得したものである。すなわち,サンラリーグループは,アズグループと共同で,本件事業の買収を実現するためにアレス社を介在させて,本件事業に係る取引先の債務をアレス社に引き受けさせながら,アレス社を無資力にした上で,本件事業を譲り受けたものであり,その実態は詐害的な事業譲渡であったことは明らかである。
イ アレス社が原告に対して負担する買掛金債務を,被告が支払ったことがあったとしても,それ自体は,被告が本件事業の買収に伴い,本件事業に係る当該債務について債務引受をしたことによるものであるから,これについて被告がアレス社に対して求償権を取得することにはならない。
ウ 以上のとおりであるところ,少なくとも,上記アのとおり本件金員②のうち1億4550万円は本件事業譲渡に係る代金として支払われたものではないから,被告はアレス社に対して依然としてこれに相当する代金の支払債務を負っている。
(2)  a店の売上金に係る不当利得の成否
(原告の主張)
ア a店について,SFE社の破産管財人の回答(甲53)によると,その売上がアレス社に帰属する平成26年3月1日から同年7月31日までの間,SFE社がアレス社に代わって受領した売上金は,合計2767万6207円(3月分486万5879円,4月分715万6379円,5月分548万8400円,6月分740万2427円及び7月分276万3122円)であるところ,SFE社は,このうち上記4月分について,同年5月12日,アレスに対する立替金250万円を控除した465万6379円をアレス社に支払った結果,SFE社がアレス社に返還すべき売掛金の残金は2051万9828円となった。しかし,サンラリーグループは,SFE社及び丸井との合意により,上記5月分(受領日同年6月10日)からは,サンラリーグループに属するアスプリ社においてアレス社に代わりその売上金を代理受領する権利を取得し,それ以降の売掛金に係る返還請求権もアレス社からアスプリ社に移転されたものであり,その額は,上記5月分から7月分までの合計1565万3949円となるところ,被告は,これに相当する額をアレス社に返還せず,不当に利得している。
イ また,被告は,a店について,平成26年9月10日に同年8月分(7月16日から8月15日まで)の売上金として521万9017円の支払を受けたものであるが,このうちアレス社が被告に対して本件事業を譲渡する前の7月16日から同月31日までの売上金は,アレス社に帰属するところ,その額は,被告の主張のとおり316万0361円となる。しかし,被告は,この売上金をアレス社に返還せず,不当に利得している。
ウ したがって,被告は,アレス社に対し,a店に係る上記売上金合計に相当する1881万4310円を返還すべき義務を負っている。
(被告の主張)
ア a店について,その売上がアレス社に帰属する間の売上金をSFE社が受領したことにより,アレス社がSFE社に対してその返還請求権を取得したとしても,上記代理受領の合意は,このように既に発生している債権関係の移転を生じさせるものではないから,これについて被告の不当利得が発生しているという原告の主張は,前提を欠くものである。
イ a店について平成26年8月分(7月16日から8月15日まで)の売上金526万2317円のうち,アレス社に帰属する7月16日から同月31日までの分は316万0361円となるが,上記8月分の売上金から「ポイントカード立替金」及び「データ配信手数料」(以下,併せて「本件諸費用」という。)合計4万3300円を控除した521万9017円がアスプリ社に支払われたところ,上記控除に係る本件諸費用も売上に応じてアレス社と被告で負担する必要があり,このうちアレス社の負担額は,2万6004円(≒(4万3300円)×316万0361円/526万2317円)となる。そこで,アレス社に帰属する上記売上金から当該負担額を控除すると,被告がアレス社に返還すべき額は313万4357円となるところ,同額については,平成26年9月16日にアスプリ社から被告へ支払がされた。
ウ 以上によれば,被告において,a店の売上金について,アレス社に対して返還すべき利得は存在しない。
第3  当裁判所の判断
1  事実関係
前記第2の1記載の前提事実(以下「本件前提事実」という。)に加え,後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。
(1)  SFE社らの代表者であるFは,平成25年,本件事業について,アズグループの支配株主であるDから,事業提携を持ちかけられたが,話し合いの結果,双方の意向を踏まえ,事業提携ではなく,Dの支配が及ぶ会社に本件事業を譲渡する方向で交渉を進めることとなった。他方,サンラリー社は,サンラリーグループの経営コンサルタントであったCRI社のHから,本件事業の買収の案件が持ち込まれ,Hを通じて,SFE社らの窓口となっていたDとの間で,その買収に係る交渉を行い,サンラリーグループにおいて本件事業を買い受けることとなったが,本件事業に係る債務の承継を避けるため,その間にDの支配の及ぶ会社を介在させて本件事業に係る債務を処理させた上で,事業譲渡を受けることとした。その際,Dは,Fに対しては,サンラリー社から5000万円ほどの資金が支払われると説明していたほか,アズHD社自身も1000万円の資金を拠出する意向を示していたものであり,Fと話し合いの結果,その総額6000万円のうち3000万円を本件事業に係る商標権譲渡の対価として支払う一方,残金3000万円を本件事業譲渡の対価としてSFE社らの本件事業に係る買掛金等債務の返済に充てることになった。しかし,実際には上記買掛金等債務は,この額を大きく上回るため,その残債務の処理が懸案となったが,Dは,本件事業譲渡に係る代金を直接SFE社らに支払うのではなく,Dの支配する会社から支払い,各債権者と交渉して一部債務を免除してもらう前提で,これらの債務をDの支配する会社に免責的に引き受けさせることを提案し,Fはこれを受け入れた。その後,平成26年1月30日にはアズHD社とSFE社らとの間で,本件事業譲渡に関する基本合意書及び覚書が取り交わされた。(甲25,26,41,56,乙25,証人I(以下「証人I」という。)
(2)  そうした中,SFE社らにおいて早急に本件事業に関する資金を必要としていたことから,サンラリーグループは,本件事業の買収に係る契約締結前に,その買収に要する資金を先に拠出することとなった。これらのうち本件金員①については,サンラリーグループに属する被告が,平成26年1月24日,本件事業譲渡に係る預入金の名目で2000万円を,上記契約成立時にその代金に充当する前提でアズHD社に支払ったものであった。他方,SFE社らは,同月30日から同年2月3日までの間に,本件事業に係る従業員の給料等の支払のため,アズHD社から1000万円の支払を受けていた(その結果,同額が上記のとおり商標権譲渡の対価として設定されていた3000万円から差し引かれることとなった。)。その後,本件金員②についても,サンラリー社は,アズHD社から,サンラリー社に代わり,アズHD社又は同社の指定するアズグループの会社が本件事業の買収を実行するのに必要な資金(買付金)として預かる旨の書面を差し入れられ,サンラリーグループの被告において,同年2月14日,これらの資金として1億7850万円をアズHD社の指定した被告補助参加人に支払った。被告補助参加人は,本件前提事実(5)のとおり,受領した本件金員②のうち4400万円をG弁護士に送金するとともに,3740万6250円をCRI社に送金したほか,その余の金員をエービーアイ社等に送金するなどした。(甲7,41,56,乙4ないし9,25,丙16,証人I)
(3)  他方,Dは,平成26年1月6日,アズグループに属するエービーアイ社の代表取締役であるE(なお,同人はDの部下であった。)を代表社員としてアレス社を設立させたところ,Fは,上記基本合意書作成後,Dの申入れにより,Dの支配する会社としてアレス社を本件事業の譲渡先とすることになり,本件前提事実(2)のとおり,平成26年2月12日,SFE社らとアレス社との間で,事業譲渡の対価(代金)を3000万円として本件第1事業譲渡契約が締結されるとともに,SOE社とアレス社との間でも,商標権譲渡の対価(代金)を2000万円として本件商標権譲渡契約が締結された。その上で,本件前提事実(3)のとおり,SFE社らとアレス社は,原告を含む取引先4社との間で,SFE社の本件事業に係る買掛金等債務(その元本の総額は約7785万円)について,免責的債務引受に係る合意書を取り交わした。そして,G弁護士は,被告補助参加人から送金を受けた4400万円について,このうち100万円と1900万円を本件商標権譲渡契約の代金としてSOE社に支払うとともに,合計1480万円を上記取引先のうち3社に対する買掛金等債務の弁済として支払った(このうち原告に対する支払額は400万円である。)ほか,合計865万3051円を本件事業に係る従業員の給与等として支払った。その後,Fは,上記取引先のうち代金の支払を受けていなかった1社からその旨の苦情を受け,Dに問い詰めたところ,Dから原告を含むその余の取引先との関係では一部債務免除について同意してもらった上で支払ったとの説明を受けていた。(甲5,7,10,29ないし31,41,56,丙9ないし13)
(4)  その後,本件前提事実(4)のとおり,アレス社と被告との間で,平成26年8月1日,事業譲渡の対価(代金)を1億7000万円(消費税を含まない。)及び譲渡の対象となる在庫品の金額に0.7ないし0.85を乗じた額の合計額として本件第2事業譲渡契約が締結された(後日,当事者間で上記在庫品に係る代金を1862万9417円(消費税を含まない。)とすることが合意された。)。そして,本件各金員のうち,2000万円(本件金員①)については,同契約において,代金に充当することが定められていた(3条1項ただし書)が,1億7850万円(本件金員②)については,同契約において特に充当の規定は設けられていなかったものの,アレス社と被告補助参加人の間で,被告補助参加人がアレス社に代わって,サンラリーグループから本件事業譲渡の代金として送金される同金員を受領するとの内容の同年2月1日付け覚書が取り交わされていた。(甲3の1,乙12,13,丙7,15,被告補助参加人代表者)
(5)  アレス社がSFE社らから本件事業を譲り受けてから被告にこれを譲渡するまでの間,本件事業に係る店舗のうちa店について,出店先の丸井が信用力の乏しいアレス社へ取引上の地位を承継させることを同意しなかったため,その売上金(毎月15日締の翌月10日支払)のうち平成26年3月分ないし同年7月分の合計2767万6207円(3月分486万5879円,4月分715万6379円,5月分548万8400円,6月分740万2427円及び7月分の一部276万3122円)を,SFE社がアレス社に代わって受領していたが,その後,アレス社は,本件事業を被告に譲渡するに当たり,サンラリーグループに属するアスプリ社が丸井と既に取引関係を有していたという事情で丸井との上記取引上の地位を承継することとなり,それ以降,アスプリ社において,同年8月11日,同年7月分の残金264万9831円から本件諸費用5万9160円が控除された259万0671円を受領するとともに,同年9月10日,同年8月分(7月16日から8月15日まで)の526万2317円(このうち被告への事業譲渡前の7月16日から同月31日までの分は316万0361円)から本件諸費用4万3300円(このうち被告への事業譲渡前の同年7月16日から同月31日までの分を上記売上に応じて按分した額は2万6004円)が控除された521万9017円を受領した。他方,被告は,同年8月4日,アレス社が原告に対して負担していた買掛金債務のうち426万6966円の立替払をしたが,翌5日,このうち150万円については既にアレス社から原告に支払済みであったことを理由に返金された結果,この立替金は276万6966円となった。(甲11,12,15,53,乙10,11,20,21,25,27,28,証人I)
(6)  そして,被告は,平成26年8月29日,別表のとおり,本件第2事業譲渡契約に係る代金合計2億0371万9770円(消費税を含む。)から本件各金員を控除した後の残代金に同年7月分の売上金の代理受領分264万9831円を加算した上で相殺処理により上記立替払に係る求償権276万6966円を控除した後の残金に相当する510万2635円をアレス社に支払った。また,被告は,同年9月17日,上記のとおりアスプリ社で受領した平成26年8月分の売上金のうち,アレス社に帰属する316万0361円から,本件諸費用のうちアレス社において負担すべき部分2万6004円を控除した額に相当する313万4357円をアレス社に支払った。(乙14ないし16,29,30)
2  争点(1)(本件事業譲渡に係る代金の弁済の有無)について
(1)  前記1の認定事実によれば,本件各金員は,いずれも被告が本件事業の買収に先立ち,その譲渡人となるアレス社ではなく,アズグループに属するアズHD社又は被告補助参加人に支払ったものであるが,アレス社は,SFE社らから被告へ本件事業の譲渡が行われるに当たり,その間にDの支配するアズグループの会社を介在させるというスキームの下で,これを主導していたDにより,本件事業譲渡に係る契約締結の段階で,自身の支配する会社の中から,かかる取引に介在させる会社として指定されたものにすぎないところ,被告においては,本件事業の買収を実現するため,これに先立ち,買収に要する資金を拠出する必要があったことから,後に本件事業の買収が実現した時点でその代金に充当する前提で,上記のとおり本件各金員をアズグループの会社に送金したのであり,このうち,本件金員①については,現にアレス社と被告の間の本件第2事業譲渡契約において,その代金に充当することが定められていたほか,本件金員②についても,被告補助参加人とアレス社との間で,被告補助参加人において本件事業譲渡に係る残代金としてこれを代理受領する旨の覚書が取り交わされていたのである。
これらの事実によると,本件事業譲渡に係る契約上代金に充当することが定められていた本件金員①はもちろん,本件金員②についても,被告とアレス社の間でこれを代金に充当する旨の合意が存在したものと認められるのであり,その結果,本件事業譲渡に係る代金債務が消滅したことは,その後,任意整理に至ったアレス社において,これまで被告に対し,その未払代金の存在を主張してこれを請求していた形跡がないことからも明らかである。
また,前記1(5)の認定のとおり,被告において,アレス社が原告に対して負担していた買掛金債務のうち276万6996円を立て替えて支払ったことにより,アレス社に対し,同額の求償権を取得したものと認められる。
(2)ア  これに対し,原告は,① 本件各金員は,サンラリーグループがアズグループに対し,SFE社らから本件事業を買収するための資金及びSFE社らが原告を含む取引先に対して負担する債務を引き受けて弁済するための資金として預け入れていたものにすぎず,これ自体は,アレス社に対する本件事業譲渡に係る代金の支払に当たるものではない,② 本件金員②の使途について,このうち,G弁護士に対する4400万円の送金は,G弁護士がサンラリーグループ及びアズグループの代理人として関わっていたものであることからすると,サンラリーグループへ返金したものにすぎず,CRI社に対する3740万6250円の送金も,CRI社がサンラリーグループの経営コンサルタントであることからすると,サンラリーグループが被告補助参加人を通じてCRI社に対してコンサルティング料を支払ったもの又は単に被告補助参加人からサンラリーグループに対して返金したものであり,いずれも本件事業譲渡に係る代金の支払に当たるものではないのであり,この点,上記4400万円のうち,3300万円がG弁護士を介してアレス社に代位してSFE社らに対する代金の支払又は原告を含む取引先に対する債務の返済に充てられたとしても,本件金員②のその余の1億4550万円については,サンラリーグループにおいてアレス社に支払わず利得しているものであり,結局,本件事業譲渡は,サンラリーグループがアズグループと共同して,アレス社を介在させて取引先の債務をアレス社に承継させながらアレス社を無資力にした上で行った詐害的なものであった,③ 被告がアレス社において原告に対して負担する買掛金債務の一部を弁済したことがあったとしても,それは,被告が本件事業を買収するに当たり本件事業に係る当該債務について債務引受をしたことによるものであるから,これによりアレス社に対して求償権を取得するものではないなどと主張する。
イ  しかし,上記①の点についてみると,被告が本件事業の買収を実現するため,これに要する資金として本件各金員を支払ったものであるから,その送金が本件事業の買収に係る契約の締結に先立ちアレス社以外のアズグループの企業にされたものであるとしても,本件各金員が本件事業の買収に係る対価としての性質を有することは否定できないところ,その後の事情で本件事業譲渡が実現しなかった場合には返金されるべき金員であるという趣旨で預入金として取り扱われていたにすぎないものと認められ,このことは,本件各金員の送金の際にアズHD社から差し入れられた書面(乙4,7)の内容からも明らかであり,その後に被告とアレス社との間で本件事業譲渡に係る契約の締結に至った段階でその代金に充当する旨の合意が存在した事実を左右するものではない。
ウ  上記②の点についてみても,前記1(3)の認定のとおり,G弁護士は,被告補助参加人から送金を受けた4400万円のうち,3300万円以外の金員についても,本件事業の買収に係る費用に充てていたものであることは,同弁護士がFに対してその送金先について説明していた電子メール(甲7)の記載からも明らかであり,その役割からみてもアズグループの指定する弁護士として関与していたものと認められ,サンラリーグループの代理人には当たらない。また,CRI社はサンラリーグループのコンサルタントであったとしても,サンラリーグループにおいて,わざわざこのような方法でCRI社に対する報酬を支払ったり,自身の資金を環流させたりする理由があったとは認め難い。この点,前記1(2)の認定のとおり,これらの金員のほかに,被告補助参加人からアズグループに属する他の会社に多額の使途不明金が送金されているが,サンラリーグループがかかる送金に関わっていたことを疑わせる事情は証拠上見当たらない。そもそもサンラリーグループは,本件事業に係る買収を実現するため,買掛金等の債務の承継を避けていたとしても,本件各金員の送金をもって,あらかじめこれらの債務の処理をするのに十分な資金を拠出していたのであり,その後,実際にはアズグループにおいて,買収に係るこれらの費用に充てることなく不明瞭な送金がされていたとしても,サンラリーグループがこれに関わっていたとは認め難い。Dにおいてどのような意図をもって本件事業譲渡に係るスキームを主導していたかはともかく,被告の本件事業の買収自体が原告の主張するような詐害的なものであったということはできない。
エ  上記③の点についてみても,前記認定のとおり,被告において,本件事業を買収するに当たり,取引先に対する買掛金等の債務の承継を避けていたことは,SFE社らとの間に,Dの支配の及ぶ別会社としてアレス社を介在させて,あらかじめこれらの債務の処理をするのに十分な資金を拠出した上で,その買収に係る契約締結に至ったという経緯や,その際,被告においては,アレス社がこれらの債権者との間で取り交わしていたような債務引受に係る合意を取り交わしていなかったことからみても明らかである。そうすると,被告が,本件事業を買収した後に,アレス社が原告に対して負担していた買掛金債務を支払ったのは,債務引受によるものではなく,飽くまで立替払であったと認められるから,アレス社に対して求償権を取得することは上記説示のとおりである。
オ  これらによると,原告の上記主張は,いずれも採用することができず,その他原告においてるる主張する点も,独自の見解に基づくものであって,失当である。
(3)  以上によれば,前記1(6)のとおり,被告のアレス社に対する本件第2事業譲渡契約に基づく代金債務は,弁済により消滅したと認められる。
3  争点(2)(a店の売上金に係る不当利得の成否)について
(1)  前記1(5)の認定事実によれば,アレス社は,SFE社らから本件事業を譲り受けた後,被告にこれを譲渡するまでの間,本件事業に係る店舗のうちa店については,出店先の丸井が信用力の乏しいアレス社へ取引上の地位を承継させることに同意しなかったことから,サンラリーグループに属するアスプリ社が上記地位を承継することになったため,それ以降,被告に本件事業の譲渡がされるまでの間に生じた売上金も,その帰属先のアレス社に代わりアスプリ社が代理受領していたにとどまるものと認められ,さらに,それ以前に生じた売上金をSFE社が受領していたことにより,その帰属先のアレス社がSFE社に対して取得する当該売上金に係る返還請求権をアスプリに移転させることまで上記代理受領に係る合意に含まれていたとは認め難い(この点,平成26年5月13日にアスプリ社,SFE社及び丸井の間で行われた会議(乙21)でも,丸井からの売上金の支払先がアスプリ社に変更する時期について協議されていたにすぎない。)。そうすると,これについて被告の不当利得が発生しているという原告の主張は,その前提を欠き,失当である。
(2)  また,前記1(5)の認定事実によれば,アスプリ社が受領した平成26年8月分(7月16日から8月15日まで)の売上金のうち,被告への本件事業譲渡前にアレス社に帰属する分(7月16日から同月31日まで)についても,既に被告においてアレス社に対して返還したものと認められる。
(3)  これらによると,被告において,a店の売上金につきアレス社に返還すべき利得は存在していないことになる。
4  結論
以上のとおり,原告の主位的請求に係る代位債権及び予備的請求に係る差押債権はいずれも存在しない。よって,原告の本件各請求は,いずれも理由がないから,これらを棄却することとし,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第12部
(裁判官 井出弘隆)

 

〈以下省略〉

 

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