【営業代行から学ぶ判例】crps 裁判例 lgbt 裁判例 nda 裁判例 nhk 裁判例 nhk 受信料 裁判例 pl法 裁判例 pta 裁判例 ptsd 裁判例 アメリカ 裁判例 検索 オーバーローン 財産分与 裁判例 クレーマー 裁判例 クレプトマニア 裁判例 サブリース 裁判例 ストーカー 裁判例 セクシャルハラスメント 裁判例 せクハラ 裁判例 タイムカード 裁判例 タイムスタンプ 裁判例 ドライブレコーダー 裁判例 ノンオペレーションチャージ 裁判例 ハーグ条約 裁判例 バイトテロ 裁判例 パタハラ 裁判例 パブリシティ権 裁判例 ハラスメント 裁判例 パワーハラスメント 裁判例 パワハラ 裁判例 ファクタリング 裁判例 プライバシー 裁判例 プライバシーの侵害 裁判例 プライバシー権 裁判例 ブラックバイト 裁判例 ベネッセ 裁判例 ベルシステム24 裁判例 マタニティハラスメント 裁判例 マタハラ 裁判例 マンション 騒音 裁判例 メンタルヘルス 裁判例 モラハラ 裁判例 モラルハラスメント 裁判例 リストラ 裁判例 リツイート 名誉毀損 裁判例 リフォーム 裁判例 遺言 解釈 裁判例 遺言 裁判例 遺言書 裁判例 遺言能力 裁判例 引き抜き 裁判例 営業秘密 裁判例 応召義務 裁判例 応用美術 裁判例 横浜地裁 裁判例 過失割合 裁判例 過労死 裁判例 介護事故 裁判例 会社法 裁判例 解雇 裁判例 外国人労働者 裁判例 学校 裁判例 学校教育法施行規則第48条 裁判例 学校事故 裁判例 環境権 裁判例 管理監督者 裁判例 器物損壊 裁判例 基本的人権 裁判例 寄与分 裁判例 偽装請負 裁判例 逆パワハラ 裁判例 休業損害 裁判例 休憩時間 裁判例 競業避止義務 裁判例 教育を受ける権利 裁判例 脅迫 裁判例 業務上横領 裁判例 近隣トラブル 裁判例 契約締結上の過失 裁判例 原状回復 裁判例 固定残業代 裁判例 雇い止め 裁判例 雇止め 裁判例 交通事故 過失割合 裁判例 交通事故 裁判例 交通事故 裁判例 検索 公共の福祉 裁判例 公序良俗違反 裁判例 公図 裁判例 厚生労働省 パワハラ 裁判例 行政訴訟 裁判例 行政法 裁判例 降格 裁判例 合併 裁判例 婚約破棄 裁判例 裁判員制度 裁判例 裁判所 知的財産 裁判例 裁判例 データ 裁判例 データベース 裁判例 データベース 無料 裁判例 とは 裁判例 とは 判例 裁判例 ニュース 裁判例 レポート 裁判例 安全配慮義務 裁判例 意味 裁判例 引用 裁判例 引用の仕方 裁判例 引用方法 裁判例 英語 裁判例 英語で 裁判例 英訳 裁判例 閲覧 裁判例 学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例 共有物分割 裁判例 刑事事件 裁判例 刑法 裁判例 憲法 裁判例 検査 裁判例 検索 裁判例 検索方法 裁判例 公開 裁判例 公知の事実 裁判例 広島 裁判例 国際私法 裁判例 最高裁 裁判例 最高裁判所 裁判例 最新 裁判例 裁判所 裁判例 雑誌 裁判例 事件番号 裁判例 射程 裁判例 書き方 裁判例 書籍 裁判例 商標 裁判例 消費税 裁判例 証拠説明書 裁判例 証拠提出 裁判例 情報 裁判例 全文 裁判例 速報 裁判例 探し方 裁判例 知財 裁判例 調べ方 裁判例 調査 裁判例 定義 裁判例 東京地裁 裁判例 同一労働同一賃金 裁判例 特許 裁判例 読み方 裁判例 入手方法 裁判例 判決 違い 裁判例 判決文 裁判例 判例 裁判例 判例 違い 裁判例 百選 裁判例 表記 裁判例 別紙 裁判例 本 裁判例 面白い 裁判例 労働 裁判例・学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例・審判例からみた 特別受益・寄与分 裁判例からみる消費税法 裁判例とは 裁量労働制 裁判例 財産分与 裁判例 産業医 裁判例 残業代未払い 裁判例 試用期間 解雇 裁判例 持ち帰り残業 裁判例 自己決定権 裁判例 自転車事故 裁判例 自由権 裁判例 手待ち時間 裁判例 受動喫煙 裁判例 重過失 裁判例 商法512条 裁判例 証拠説明書 記載例 裁判例 証拠説明書 裁判例 引用 情報公開 裁判例 職員会議 裁判例 振り込め詐欺 裁判例 身元保証 裁判例 人権侵害 裁判例 人種差別撤廃条約 裁判例 整理解雇 裁判例 生活保護 裁判例 生存権 裁判例 生命保険 裁判例 盛岡地裁 裁判例 製造物責任 裁判例 製造物責任法 裁判例 請負 裁判例 税務大学校 裁判例 接見交通権 裁判例 先使用権 裁判例 租税 裁判例 租税法 裁判例 相続 裁判例 相続税 裁判例 相続放棄 裁判例 騒音 裁判例 尊厳死 裁判例 損害賠償請求 裁判例 体罰 裁判例 退職勧奨 違法 裁判例 退職勧奨 裁判例 退職強要 裁判例 退職金 裁判例 大阪高裁 裁判例 大阪地裁 裁判例 大阪地方裁判所 裁判例 大麻 裁判例 第一法規 裁判例 男女差別 裁判例 男女差别 裁判例 知財高裁 裁判例 知的財産 裁判例 知的財産権 裁判例 中絶 慰謝料 裁判例 著作権 裁判例 長時間労働 裁判例 追突 裁判例 通勤災害 裁判例 通信の秘密 裁判例 貞操権 慰謝料 裁判例 転勤 裁判例 転籍 裁判例 電子契約 裁判例 電子署名 裁判例 同性婚 裁判例 独占禁止法 裁判例 内縁 裁判例 内定取り消し 裁判例 内定取消 裁判例 内部統制システム 裁判例 二次創作 裁判例 日本郵便 裁判例 熱中症 裁判例 能力不足 解雇 裁判例 脳死 裁判例 脳脊髄液減少症 裁判例 派遣 裁判例 判決 裁判例 違い 判決 判例 裁判例 判例 と 裁判例 判例 裁判例 とは 判例 裁判例 違い 秘密保持契約 裁判例 秘密録音 裁判例 非接触事故 裁判例 美容整形 裁判例 表現の自由 裁判例 表明保証 裁判例 評価損 裁判例 不正競争防止法 営業秘密 裁判例 不正競争防止法 裁判例 不貞 慰謝料 裁判例 不貞行為 慰謝料 裁判例 不貞行為 裁判例 不当解雇 裁判例 不動産 裁判例 浮気 慰謝料 裁判例 副業 裁判例 副業禁止 裁判例 分掌変更 裁判例 文書提出命令 裁判例 平和的生存権 裁判例 別居期間 裁判例 変形労働時間制 裁判例 弁護士会照会 裁判例 法の下の平等 裁判例 法人格否認の法理 裁判例 法務省 裁判例 忘れられる権利 裁判例 枕営業 裁判例 未払い残業代 裁判例 民事事件 裁判例 民事信託 裁判例 民事訴訟 裁判例 民泊 裁判例 民法 裁判例 無期転換 裁判例 無断欠勤 解雇 裁判例 名ばかり管理職 裁判例 名義株 裁判例 名古屋高裁 裁判例 名誉棄損 裁判例 名誉毀損 裁判例 免責不許可 裁判例 面会交流 裁判例 約款 裁判例 有給休暇 裁判例 有責配偶者 裁判例 予防接種 裁判例 離婚 裁判例 立ち退き料 裁判例 立退料 裁判例 類推解釈 裁判例 類推解釈の禁止 裁判例 礼金 裁判例 労災 裁判例 労災事故 裁判例 労働基準法 裁判例 労働基準法違反 裁判例 労働契約法20条 裁判例 労働裁判 裁判例 労働時間 裁判例 労働者性 裁判例 労働法 裁判例 和解 裁判例

判例リスト「完全成果報酬|完全成功報酬 営業代行会社」(119)平成27年 2月 4日 東京地裁 平23(ワ)35097号 損害賠償請求事件

判例リスト「完全成果報酬|完全成功報酬 営業代行会社」(119)平成27年 2月 4日 東京地裁 平23(ワ)35097号 損害賠償請求事件

裁判年月日  平成27年 2月 4日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平23(ワ)35097号・平24(ワ)30410号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  甲事件一部認容、乙事件一部認容  文献番号  2015WLJPCA02048005

要旨
◆被告P社又は被告I社を営業者とするベトナム未公開株ファンド(本件ファンド)への出資について、両社の代表取締役である被告Y1を中心として募集・勧誘を受けた原告X1ないし原告X3が、出資すれば確実に利益を得ることができる旨誤信し、本件ファンドに出資して損害を被ったところ、被告らの募集した本件ファンドはそれ自体が金融商品まがい取引ないし詐欺的未公開株商法に該当するため違法であり、あるいは、本件ファンドへの出資の募集・勧誘行為が適合性原則違反、説明義務違反及び断定的判断の提供により違法である等と主張して、被告らに対し、損害賠償を求めた事案において、本件ファンド自体の違法性は否定する一方、被告らの勧誘行為には説明義務違反及び断定的判断の提供の違法があったとして、被告らの共同不法行為責任を認定した上で、原告X1及び原告X2につき4割、原告X3につき6割の過失相殺を認めるなどして、各請求を一部認容した事例

評釈
小林和子・現代消費者法 40号82頁
五反章裕・消費者法ニュース 114号104頁

参照条文
会社法350条
会社法429条
民法709条
民法719条
民法722条2項

裁判年月日  平成27年 2月 4日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平23(ワ)35097号・平24(ワ)30410号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  甲事件一部認容、乙事件一部認容  文献番号  2015WLJPCA02048005

平成23年(ワ)第35097号 損害賠償請求事件(以下「甲事件」という。)
平成24年(ワ)第30410号 損害賠償請求事件(以下「乙事件」という。)

広島県三原市〈以下省略〉
甲事件原告 X1
同所
甲事件原告 X2
東京都豊島区〈以下省略〉
乙事件原告 X3
甲・乙事件原告ら訴訟代理人弁護士 荒井哲朗
同 浅井淳子
同 太田賢志
同 佐藤顕子
同 五反章裕
同訴訟復代理人弁護士 見次友浩
東京都港区〈以下省略〉
甲・乙事件被告 Y1
東京都中央区〈以下省略〉
甲・乙事件被告 株式会社ストラテジックパートナーズ
同代表者代表取締役 Y1
同所
甲・乙事件被告 株式会社ストラテジックパートナーズ・インベストメント
同代表者代表取締役 Y1

 

 

主文

1  甲事件被告らは,甲事件原告X1に対し,連帯して,4413万2001円並びにこれに対する甲事件被告Y1については平成23年11月19日から,甲事件被告株式会社ストラテジックパートナーズ及び甲事件被告株式会社ストラテジックパートナーズ・インベストメントについては同月17日から,各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2  甲事件被告らは,甲事件原告X2に対し,連帯して,306万4470円並びにこれに対する甲事件被告Y1については平成23年11月19日から,甲事件被告株式会社ストラテジックパートナーズ及び甲事件被告株式会社ストラテジックパートナーズ・インベストメントについては同月17日から,各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3  乙事件被告らは,乙事件原告に対し,連帯して,314万3529円並びにこれに対する乙事件被告Y1については平成24年11月18日から,乙事件被告株式会社ストラテジックパートナーズ及び乙事件被告株式会社ストラテジックパートナーズ・インベストメントについては同年12月3日から,各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
4  甲事件原告ら及び乙事件原告のその余の請求をいずれも棄却する。
5  訴訟費用は,甲事件原告らと甲事件被告らの間においてはこれを5分し,その2を甲事件原告らの,その余を甲事件被告らの負担とし,乙事件原告と乙事件被告らの間においてはこれを5分し,その3を乙事件原告の,その余を乙事件被告らの負担とする。
6  この判決は,第1項,第2項及び第3項に限り,仮に執行することができる。

 

事実及び理由

以下,甲事件原告X1を「原告X1」,同事件原告X2を「原告X2」,乙事件原告を「原告X3」,甲・乙事件被告Y1を「被告Y1」,同事件被告株式会社ストラテジックパートナーズを「被告パートナーズ」,同事件被告株式会社ストラテジックパートナーズ・インベストメントを「被告インベストメント」という。
第1  請求
1  甲事件
(1)  被告らは,原告X1に対し,連帯して,7581万2001円並びにこれに対する被告Y1については平成23年11月19日から,被告パートナーズ及び被告インベストメントについては同月17日から,各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(2)  被告らは,原告X2に対し,連帯して,526万4470円並びにこれに対する被告Y1については平成23年11月19日から,被告株式会社パートナーズ及び被告インベストメントについては同月17日から,各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2  乙事件
被告らは,原告X3に対し,連帯して,842万3529円並びにこれに対する被告Y1については平成24年11月18日から,被告パートナーズ及び被告インベストメントについては同年12月3日から,各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要等
本件は,原告らが,被告パートナーズ又は被告インベストメントを営業者とするベトナム未公開株ファンドへの出資について,両被告の代表取締役である被告Y1を中心として募集・勧誘を受け,ベトナム未公開株ファンドに出資すれば確実に利益を得ることができる旨誤信し,同ファンドに出資して損害を被ったところ,被告らの募集したファンドはそれ自体が金融商品まがい取引ないし詐欺的未公開株商法に該当するため違法であり,あるいは,被告Y1を中心とする上記ベトナム未公開株ファンドへの出資の募集・勧誘行為が適合性原則違反,説明義務違反及び断定的判断の提供により違法である等と主張して,被告Y1に対しては,不法行為責任(民法709条,719条)又は役員等の第三者に対する損害賠償責任(会社法429条1項)に基づき,被告パートナーズ及び被告インベストメントに対しては,会社法上の損害賠償責任(350条)又は不法行為責任(民法709条,719条)に基づき,原告らが被った損害の賠償及び訴状送達の日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
1  前提事実(当事者間に争いがないか,掲記証拠及び弁論の全趣旨により容易に認定することができる事実)
(1)  当事者等
ア 原告X1(昭和29年○月○日生)は,工業高等専門学校建築学科を卒業した後,複数の建設会社で建築業務に従事し,本件当時は,独立して建築関係の仕事に従事していた。
被告パートナーズの募集するベトナム未公開株ファンドに出資した当時,原告X1は,月50万円程度の給与を得ており,預貯金約5000万円,現物株式約5000万円程度を有していた。原告X1は,過去に現物株式を購入したことはあるが,そのほか本件ファンド購入までに投機的取引の経験はなかった(甲25,原告X1)。
イ 原告X2(昭和33年○月○日生)は,商業高校卒業後,事務職に従事したが,原告X1と結婚して専業主婦となり,原告X1が独立した後は,その会社の事務職に従事していた。
被告インベストメントの募集するベトナム未公開株ファンドに出資した当時,原告X2の収入は,月15万円程度の給与であり,預貯金は約700万円であった。原告X2は,勤務先会社の株を購入したことはあるが,そのほかに投機的取引の経験はなかった(甲26,原告X2)。
ウ 原告X3(昭和41年○月○日生)は,大学中退後,複数の不動産会社に務め,営業職に従事している。
原告X3は,被告らの募集するベトナム未公開株ファンドに出資した当時,月45万円程度の給与収入があり,預貯金は約3000万円有していた。また,原告X3は,現物株式や投資信託の投資経験があり,安愚楽牧場への出資を約15年間行っていた。さらに,原告X3は,次の(ア)ないし(エ)のとおり,ベトナム株式を含むファンド等への投資経験を有し,本件の出資後にはJDC信託株式会社と被告パートナーズが関与するベトナム未公開株ファンドにも出資した(甲27,35,被告X3)。
(ア) 藍澤證券における取引(甲31の1・2)
商品名:フェイム―アイザワトラスト ベトナムファンド
平成19年1月25日に139万2603円で購入し,同年5月22日,償還前に136万6728円で売却した。
(イ) ユナイテッドワールド証券における取引(甲32の1・2)
① 商品名:ベトナム民営化ファンド5
平成19年4月4日207万3500円で購入し,平成24年3月31日に償還され,45万7480円で売却した。
② 商品名:タイ王国ファンド
平成19年3月27日に20万6300円で購入し,平成24年1月31日に償還され,8万2952円で売却した。
③ 商品名:UWマカオ・プロジェクト5
平成19年5月18日に206万3000円で購入し,平成25年2月28日に償還され,96万1700円で売却した。
(ウ) キャピタル・パートナーズ証券における取引(甲33の1・2)
商品名:VIETNAM DRAGON FUND LIMITED
平成19年1月26日に3万2234米ドルで購入し,現在も保有中である。なお,購入日の為替レートで換算すると購入価格は393万4482円(1米ドル当たり122.06円)である。
(エ) グローバルリンクインベストメント等における取引(甲34の1・2)
① 商品名:ベトナム株ノーロードファンド
平成18年12月18日に650万円で購入し,現在も保有中である。
② 商品名:ベトナム株ノーロードファンド2
平成19年6月7日に50万円で購入し,現在も保有中である。
エ 被告パートナーズは,平成14年4月18日に設立された,投資顧問業,国内外の有価証券の投資,売買,保有及び運用並びにその他の投資事業等を目的とする株式会社である。
被告パートナーズは,原告らに対し,「ベトナム未公開株ファンド匿名組合」(以下,同匿名組合に係るファンドを「本件ファンド1号」という。)の営業者及び「ベトナム未公開株ファンドⅡ匿名組合」(以下,同匿名組合に係るファンドを「本件ファンド2号」という。)の販売者として,本件ファンド1号及び2号(以下,併せて「本件ファンド」という。)への出資の勧誘,販売を行った。
オ 被告インベストメントは,被告Y1が平成17年12月14日に設立した,国内及び海外の金融資産に関する投資顧問業務等を目的とする株式会社であり,本件ファンド2号の営業者である(乙イ21,弁論の全趣旨)。
カ 被告Y1は,平成19年4月25日に被告パートナーズの取締役(同年5月21日には同被告の代表取締役)に就任し,同年6月30日に被告インベストメントの取締役及び代表取締役に就任した者であり,同年5月,6月に東京等で被告パートナーズが開催したベトナム未公開株を題材とする説明会に登壇し,本件ファンドの説明を行った。
被告Y1は,大学卒業後,都市銀行の勤務を経て,昭和56年以降,複数の証券会社において企業分析のアナリスト業務に従事し,平成13年以降3年連続で日本経済新聞の人気アナリストランキングに上位入賞し,平成17年にはモーニングスター社により「ファンドオブザイヤー優秀賞」を受賞した(甲21の2,乙イ21)。
キ 分離前甲事件被告A(以下「A」という。)は,被告パートナーズの設立時から平成19年5月21日まで同社の代表取締役に,同年6月13日まで同社の取締役に就任しており,被告Y1と共に上記説明会に登壇し,講演を行った。
Aは,大学卒業後,輸出関係の業務に携わった後,住友信託銀行株式会社においてインベストメントバンキング・国際業務に従事し,香港支店・台湾現地法人等で勤務したほか,フィリピンアダムソン大学,メキシコユカタン州立大学に留学し,早稲田大学ビジネススクール講師等を務めた(乙ロ4)。また,Aはコラムサイト「○○」(以下「○○」という。)において,遅くとも平成18年11月頃から「△△」と題するコラム(甲2,21の1。以下「Aコラム」という。)の連載を担当した。
(2)  原告らの本件ファンドに係る出資
ア 原告X1について
原告X1は,平成19年7月11日,被告パートナーズが運営するホームページを通じて本件ファンド1号について72口(1口当たり100万円)の出資を申し込み,同被告名義の銀行口座に7200万円を送金した(甲7の1,25,原告X1)。
イ 原告X2について
原告X2は,平成19年8月2日,被告パートナーズのホームページを通じて本件ファンド2号について5口の出資を申し込み,被告インベストメント名義の預金口座に500万円を送金した(甲7の2,26,原告X2)。
ウ 原告X3について
原告X3は,平成19年7月17日,被告パートナーズのホームページを通じて,被告パートナーズに対し,本件ファンド1号について7口の出資を申し込み,同被告の預金口座に700万円を送金した(甲23の1,甲27,原告X3)。また,原告X3は,同年8月3日,被告パートナーズのホームページを通じて,被告パートナーズに対し,本件ファンド2号について1口の出資を申し込み,同社名義の預金口座に100万円を送金した(甲23の2,甲27,原告X3)。
(3)  原告らの出資後の本件ファンドをめぐる事情
ア 被告パートナーズは,本件ファンド1号について,平成20年4月30日,同年10月28日,平成21年4月28日,同年10月29日,平成22年5月1日,同年10月29日,平成23年10月29日付けで,同ファンドの出資者に対する各期(事業年度は,毎年8月1日から翌年1月31日までと2月1日から7月31日までの各期間)の事業報告を行った。また,被告インベストメントは,本件ファンド2号について,平成20年4月30日,同年10月28日,平成21年4月28日,同年11月24日,平成22年5月1日,同年10月29日,平成23年11月26日付けで,同ファンドの出資者に対する各期(事業年度は,毎年9月1日から翌年2月末日までと3月1日から8月31日までの各期間)の事業報告を行った(甲8の1・2,15ないし18[枝番を含む。],乙イ5,6)。
イ 本件ファンドでは,出資者への配当は一度も実施されず,被告パートナーズは,本件ファンド1号の出資者に対し,本件ファンド1号に関して,平成22年5月1日付けで「ファンド期間延長のお知らせ」と題し,本件ファンド1号に係る匿名組合契約書に基づき「ファンド満期を2012(平成24)年7月31日まで延長させていただくこととになりました」,「ベトナム株式市場はインフレ高進に伴う急激な金融引き締め,リーマンショックに端を発した世界的な株価暴落に見舞われ波乱の展開となり,当ファンドの投資先企業も株式上場が当初の予定よりも大幅に遅れることを余儀なくされました」,しかし,「ベトナム経済は回復基調が鮮明になり」,「株式市況も活況を呈してくるものと予想しております」,「運用期間を2年延長することが投資家様の利益を最大化するものと考えております」などと記載した書面を送付した(甲10)。
ウ 被告パートナーズ及び被告インベストメントは,原告らを含む出資者に対し,本件ファンド1号及び2号に関して,平成23年5月29日付けで「ファンド期間延長における管理報酬放棄のお知らせ」と題し,2008(平成20)年の原油価格の投機的な上昇に端を発したインフレ高進,さらにはリーマンブラザーズ破綻に伴う世界的な経済危機など当初想定し得なかった事態に見舞われ,ファンド延長期間を2年間延長することを余儀なくされたことから,管理報酬(延長期間の2年間に係るもの)を放棄する旨を記載した書面を送付した(甲11の1・2)。
エ 原告X1及び原告X2は,平成23年8月8日,被告パートナーズに対し,本件ファンドに係る匿名組合契約を解除し,損害賠償請求をする旨を通知した(弁論の全趣旨)。
また,原告X3は,平成26年10月27日の本件第4回口頭弁論期日において,被告パートナーズ及び被告インベストメントに対し,本件ファンドに係る匿名組合契約を解除する旨の意思表示をした(顕著な事実)。
オ 被告パートナーズ及び被告インベストメントは,原告らに対し,平成24年6月15日付けで,「ファンド再延長をご検討をいただければ幸いに存じます。」と記載した書面を送付した(甲24の1・2)。
2  争点
(1)  本件ファンド自体の違法性
(2)  本件ファンドへの出資の募集・勧誘行為の違法性
(3)  被告らの責任原因
(4)  原告らの損害額
3  争点に関する当事者の主張
(1)  争点(1)(本件ファンド自体の違法性)について
(原告らの主張)
ア 金融商品まがい取引としての違法性
本件ファンドは,当初から,取引により生じ又は生じ得る利益を出資者に適切に帰属させるに足りる実質を備えていなかった。すなわち,被告パートナーズは,本件ファンドのリスクを正解せず,極めて杜撰なリスク調査及び検討の下,原告ら出資者に対し,元本の全欠損になる可能性の極めて高い商品を販売したのであり,このような商品を販売する行為は,もはや正常な金融商品取引とは異質の金融商品まがい取引であると言うほかなく,そのようなファンドへの出資を勧誘する行為自体に違法性が認められる。
イ 未公開株商法としての違法性
未公開株商法は,上場が確実である等告げて,本来の価値に比して著しく高額であるにもかかわらず,あたかも適正な評価に基づく販売価格であるかのような言辞を弄して販売,媒介をするという,未公開株の価値を偽る行為に違法性の中心がある。
日本国内の未公開株商法の違法性について認めた裁判例(東京地判平成19年11月30日・判時1999号142頁(甲20))は,①法制度上,経営状態に関する適切な情報開示のない会社は証券取引業の対象とすべきではないこと,②未公開株は正当な価格に関する情報を得にくいこと,③売買対象とされた株式のうち一社を除いては上場されず,当該会社も原告の買受価格を大幅に下回る価格で推移しており,当該取引における投下資本の大半が回収不能となっていること等の事情の下では,当該未公開株の販売価格が正当なものであったことを積極的に立証しない限り,未公開株商法は,本来の価値を偽る詐欺的なものであったことが推認されるとしている。
本件ファンドは,ベトナムにおける上場見込みの株式を取得し,これを転売して得た利益を出資者に分配するというものであり,ベトナム未公開株を購入するのと同様のリスクを負うファンドである。そうすると,本件ファンドは海外版の未公開株商法であるということになり,本件ファンドについても,法制度上,経営状態に関する適切な情報開示の制度がなく(①),正当な価格に関する情報を得にくいこと(②),売買対象とされた株式のうち数社を除いては上場されず,上場した会社の株価も原告らの購入価格を大幅に下回る価格で推移しており,本件取引における原告の投下資金の大半は回収不能となっていること(③)等,日本国内における未公開株商法の違法性について判断した上記裁判例の規範がそのまま当てはまる。それどころか,ベトナム未公開株ファンドは,海外版の未公開株商法であるから,国内版の未公開株商法に比べ,上記①ないし③の趣旨はより強く妥当し,違法性も強いというべきである。
(被告らの主張)
本件ファンドは,以下のとおり,原告らが主張するような金融商品まがい取引や詐欺的未公開株商法とは異なる正常な投資である。
ア 本件ファンドのスキームについて,運用者を英国領バージン諸島に所在するRising Sun Co., Limited(以下「ライジングサン」という。)としたのは,被告パートナーズが投資助言の免許を有するのみで投資一任の免許を有していなかったことから,募集者である被告パートナーズがライジングサンに助言を行い,ライジングサンのファンドマネージャーがベトナム未公開株の売買取引を行うという建付けを採る必要があったためである。このようなスキームは,本件ファンド組成当時,多くのヘッジファンドが用いていた。また,被告Y1は,このようなスキームを採ることが証券取引法や当時未施行であった金融商品取引法等の法規制に違反しないか否かについて,弁護士に確認した上,回答を得ている。
イ 投資対象企業の決定について,投資対象が未公開株式であるという性質上,公開情報は限定されているものの,被告Y1は,本件ファンドの投資対象を決定するに際し,対象会社の有価証券報告書等の決算関係書類,事業計画書等を精査し,さらに経営者に対し複数回面談して,直接,投資対象会社の情報を収集し,投資対象として将来性があるかどうかを判断した。また,株式の取得価格についても,OTC(証券取引所外での相対取引を意味し,日本におけるグリーンシートに相当するものである。)価格と比較して相当性を判断している。ベトナムでは当時,未公開株の売買が非常に活発であり,未公開株を売買する際には,各証券会社,情報提供会社が開示するOTC価格によるのが一般的であった。さらに,銘柄の入替えを行う際にも,対象候補の会社役員等に面談して情報を仕入れ,また現地を確認して,今後業績の成長が期待できるものを選定し,財務諸表の提供を受けて検討した。
本件ファンドの当初の投資対象会社5社のうち3社は上場しており,残り2社が上場できなかったのは,国際商品市場が高騰し,ベトナム経済に大きく影響して,株式市場が暴落したことや,平成20年9月のいわゆるリーマンショックなどの金融危機の深刻な影響がベトナム株式市場の暴落に拍車をかけたことに起因するものであるから,本件ファンド固有の問題ではない。
ウ 出資金の流れについて,本件ファンドの出資者が被告パートナーズ又は被告インベストメント名義の銀行口座に送金した投資資金は,各社がライジングサン名義の銀行口座に送金し,被告Y1の個人口座を経て,最終的にはライジングサンによるベトナム未公開株の購入に充てられており,この間の資金移動に問題はない。
なお,ライジングサンが未公開株取得やブローカー手数料の支払に当たり,被告Y1のベトナム投資開発銀行(BIDV)における個人口座を介在させたのは次の理由による。すなわち,ベトナムの法律上,外国人が証券投資を行うには,CCA口座(Capital Contribution Account)という特別の銀行口座を開設する必要があり,この規制に反してベトナム未公開株を購入しても,売却金を国外に送金することができないところ,法人であるライジングサンが口座を開設するためには1ヶ月以上かかるため,より短期間で開設が可能な被告Y1のCCA口座を開設し,便宜的に用いたものである。株式の取得価格は,ベトナム投資開発銀行の預金記録(乙イ26)を見れば明らかである。
(2)  争点(2)(本件ファンドの募集・勧誘行為の違法性)について
(原告らの主張)
ア ベトナム未公開株ファンドの商品特性
本件ファンドは,英国領バージン諸島に設立された組織を利用して,ベトナム国内の未公開株を取得させ,対象未公開株が上場後に,手数料,費用,関係者への報酬等の諸経費を超えて値上がりする場合に利益が出るファンドであり,その意味では,本件ファンドへの出資者は,海外の未公開株を購入する場合と同様のリスクを負うことになる。
そして,本件では,対象未公開株の配当等は皆無であるから,インカムゲインでは出資者の利益を生み出せず,対象未公開株を転売することによる利益であるキャピタルゲインをもってしか出資者に利益を生み出すことができないファンドであるといえ,結局,本件ファンドは,対象株式の値上がりにのみ賭けるに等しいファンドであるといえる。
一般的な傾向としてベトナムのような新興国は,先進国と比べ,政策,政情及び経済等が不安定であり,その影響で経済状況,例えば為替や企業の株価の大きな変動が頻繁に起こることは公知の事実である(カントリーリスク)。本件ファンドは高いキャピタルゲインを得て,出資者に利益を出す可能性がある一方で,株式の価値が値下がりするときは,元本の大幅欠損の可能性が非常に高いハイリスクの商品であったといえる(元本の大幅欠損の可能性)。
また,未公開株には,結果として上場しないという大きなリスクがあり,ベトナムのような政情及び経済等が不安定で,得られる情報も限られる国においてはなおさらであり,この点は,通常の株式ファンドとは決定的に違う(未上場のリスク)。本件でも未上場株があり,同リスクが顕在化している。
そして,ベトナムは,その社会体制から株式の自由市場が整備されているかも疑問があり,対象未公開株を売却したいとき,当初の売却想定価格で売却できるかについては,日本国内の株式に比べ不確実な面が多いといえ,特に中途解約が原則として許されない本件ファンドにおいては,原告ら出資者は資金拘束の負担を負っている(流動性リスク)。
出資者が得られるリターンは,ファンド運営者により転売益から費用や報酬が抜かれた残額が分配されるにすぎないから,その負っているリスクに見合っていない(リスクとリターンの非対称)。
さらに,本件ファンドに投資するか否かを決定する情報としては,ベトナムの公開株式の市況,現況のみならず,同国の未公開株式の市況,対象未公開株の現況,当該国内の政策,政情,経済の状況等が最低限必要であるが,それらの情報は,いずれも公開されるものも皆無に等しく,原告ら一般投資家にとってアクセスする機会が極端に少ないものであり,そもそも法制度上,ベトナムの会社の経営状態に関する適切な情報開示の制度を欠くものであるから,正当な価格に関する情報を得にくいものであるといえ,投資判断の非常に難しい商品である(情報リスク)。
また,海外の未公開株ファンドとして,為替リスクも負っており,特にキャピタルゲインが本件ファンドに利益をもたらすほぼ唯一の要因である場合,そのリスクはさらに大きいものとなる(為替リスク)。実際に本件ファンドは多くの為替差損を出している。
さらに,本件ファンドの組成,販売,運用にかかわっているのは,被告パートナーズ,被告インベストメント,ライジングサンなる英国領バージン諸島に設立された組織,ベターハウスなる香港の組織であって,いずれも資金の分別管理も行っているとは考えられない。仮に上記会社及び組織が支払を停止した場合,原告ら出資者の資金を保全する手段は何ら講じられておらず,原告ら出資者は相当の信用リスクを負っていることになる(信用リスク)。
イ 適合性原則違反
ベトナム未公開株ファンドは,上記アのとおり,カントリーリスク,元本大幅欠損の可能性,流動性リスク,情報リスク,為替リスク,信用リスク等,未公開株ファンドとしてのリスク要因を多く含み,その程度も極めて高いファンドである。このような商品は原則としてベトナムに関する情報や同国の未公開株の市況に精通しているといった極めて特殊な者(プロの投資家等)以外に適合性を有する者はいないファンドであったといえるところ,原告らは,そのような情報に精通しないばかりか,ベトナム語も分からず,ベトナムに行ったこともないのであるから,そのような適合性を有しないことは明らかである。
ウ 説明義務違反
上記アのとおり,ベトナム未公開株ファンドには多数のリスクが存在し,その程度も極めて高い。しかし,本件パンフレットにはベトナムの経済成長やベトナムの未公開株が有望であることが多く記載され,本件ファンドの説明会でも同様の内容が講演・説明されるなど,ベトナム未公開株の希少性を殊更強調した勧誘が行われた反面,被告らからの上記リスクに対する説明は,A及び被告Y1が,説明会の最後に質問に答える形で,カントリーリスクや為替リスク等の一般的なリスクについてわずかに説明しただけで,本件ファンドが負うリスク,特に未公開株に特有のリスクである価格算定の困難性,流動性リスク,予想に反した場合のシナリオ等についての説明はほとんどされなかった。そのため,原告らは,ベトナム未公開株投資のリターンのみに意識が向くこととなり,ベトナム国内にある未公開株の価格が必ず値上がりし,確実に利益が上げられるファンドだと誤信して,ベトナム未公開株ファンドの上記リスクに思いを至らせないまま投資を行うことになった。
以上の事情からすれば,被告らには,原告らの誤解を解き,原告らにおいて本件ファンドのリスク(具体的には,カントリーリスク,元本の大幅欠損の可能性,未上場のリスク,流動性リスク,情報リスク,為替リスク,信用リスク等の諸リスク)の内容及び程度を理解できるよう説明すべき信義則上の説明義務があった。しかるに,被告らは,ファンドのリスクについてはほとんど説明せず,リターンばかり強調する説明を行った。
なお,原告らがホームページにおいて公開していた重要事項説明書やリスク確認書には,リスクについての抽象的な記載があるのみで(甲9の1・2),これを読んで本件ファンドが未公開株ファンドであるが故のリスク要因を認識することはできない。また,被告らは,原告ら出資予定者が本件ファンドのリスクやその程度を十分に理解しているかどうかを確認できるようなシステムは設けておらず,実際に確認もしていなかった。
したがって,被告らの勧誘行為には説明義務違反の違法がある。
エ 断定的判断の提供
金融商品の勧誘においては,将来における変動が不確実な事実について虚偽の情報又は断定的判断等を提供するなどして,被勧誘者が当該取引に伴う危険性について正しい認識を形成することを妨げる勧誘は行ってはならず,かかる断定的判断を提供する勧誘行為は不法行為を構成する。
ベトナム国内の未公開株の上場予定や,仮に上場した場合の株価等は,およそ将来における変動が予測困難で不確実な事実であるにもかかわらず,被告らは,被告らの公開するブログや説明会等で「ベトナム未公開株が上場されて一般投資家や外国人投資家が飛びつき,大きく吹いた場面で利食いします。このアービトレージ(さや取り)はどう考えてもリスクのないただ飯です。食わなければ一生の不覚だと思います」,「今一番,世界で注目されている高いリターンを得る投資だというふうに思っております」等とベトナム未公開株ファンドが確実に利益を生み出す投資であるとの勧誘を繰り返しており,被告らのかかる断定的判断の提供を伴った勧誘行為は違法である。
(被告らの主張)
本件ファンドは,出資者が,営業者との間に商法上の匿名組合契約を結び投資を行う,いわゆる集団投資スキームに該当するものである。この投資スキームは,現在では金融商品取引法の適用を受けるのは当然であるが,本件ファンドの組成時,同法は未施行であり,その規制を受けるものではなかった。
本件ファンドの申込みは,被告パートナーズのサイトから行うもののみであるところ,同サイトからダウンロードできる重要事項証明書には,投資リスクが詳細に記載されている。出資希望者は本件ファンドの申込みを行う過程で,本件ファンドのリスクを確認した上で,自らの意思で本件ファンドへの申込みを行ったのであるから,説明義務違反や適合性原則違反は問題とならない。このようなインターネット取引における説明義務については,金融商品取引業者監督指針において,金融商品取引法の行為規制を受ける場合でも「画面上に表示される説明事項を読み,その内容を理解した上で画面上のボタンをクリックする等の方法で,顧客が理解したことを確認すること」で説明義務の履行と認められている。
また,勧誘の方法について,被告パートナーズは,本件ファンドの投資説明会を複数回開催してはいるものの,被告らは,ベトナム経済及びそこでの株式投資の有望性に関して述べているだけで,本件ファンドの勧誘は一切行っていない。この説明会で詳説されたベトナム経済の有望性等の内容は,当時マスメディアにおいて取り上げられていたものと同様であり,殊更誇大な内容を告げて投資者を煽動するようなものではなかった。被告らは説明会参加者個人に対し営業活動も行っていないのであるから,上記説明会は,大手証券会社等が行う株式投資の有望性を説明する一般的資産運用のセミナーの域をでないものである。なお,被告らのブログやAコラム等には,ベトナム経済等に関して言及があるものの,本件ファンドの募集を直接勧誘するものではない。
結局,原告らは適正に提供された資料をもとに自己の判断によって本件ファンドに投資したのであるから,被告らに不法行為責任及び会社法上の責任は生じない。
(3)  争点(3)(被告らの責任原因)について
(原告らの主張)
ア 被告Y1によるブログ,説明会(その内容を録画したDVDの配布を含む。),パンフレットなどを用いた勧誘行為は,上記1及び2のとおり違法性を有するため,被告Y1は不法行為責任を負う(民法709条)。
イ 被告Y1は,被告パートナーズ及び被告インベストメントの代表取締役であるところ,被告Y1による違法な勧誘行為は,同人が被告パートナーズ及び被告インベストメントの職務を行うにつき行ったことが明らかであるから,被告パートナーズ及び被告インベストメントは,上記違法な勧誘行為による損害を賠償する責任を負う(会社法350条)。
ウ また,本件ファンドに係る取引は,その経過・態様に照らせば,被告パートナーズ及び被告インベストメントの通常の取引受託業務とは異質な偶発的なものと考えることはできず,むしろ,両社の営業方針・営業姿勢に由来する構造的現象とも言うべきものであるから,被告パートナーズ及び被告インベストメントは,固有の不法行為責任を負う(民法709条)。
エ さらに,上記違法行為が,顧客への対応,資料等の送付,ブログや説明会において具体的な勧誘文言を申し向けるなどといった役割をそれぞれ担って行われていることからすれば,各々が共謀の上行われていたことが明らかであり,被告らは共同不法行為責任を負う(民法719条1項,同709条)。
オ また,被告Y1は,被告パートナーズ及び被告インベストメントの代表取締役として,両社の事業が適法なものとなるよう業務執行を行うべきであったのにあえてこれをせず,違法な商法を行ったものであり,職務を行うについて故意又は重過失があったといえ,これにより原告らに生じた損害につき,損害賠償責任を負う(会社法429条1項)。
(被告らの主張)
原告らの主張は争う。
(4)  争点(4)(原告らの損害額)について
(原告らの主張)
原告らが,被告らの不法行為等により被った損害の金額は,以下のとおりである。
ア 原告X1
(ア) 未返還交付金員相当損害金 7200万円
(イ) 弁護士費用 720万円
(ウ) 合計 7920万円
イ 原告X2
(ア) 未返還交付金相当損害金 500万円
(イ) 弁護士費用 50万円
(ウ) 合計 550万円
ウ 原告X3
(ア) 未返還交付金相当損害金 800万円
(イ) 弁護士費用 80万円
(ウ) 合計 880万円
エ 原告らとAとの和解に基づく金員の充当
原告らとAは,本件に関し,平成26年2月21日に和解し,Aは原告らに対し,同年3月20日合計400万円を支払った。原告らは,上記400万円を概ね原告3名の被害額で案分し,原告X1については338万7999円を,原告X2については23万5530円を,原告X3については37万6471円をそれぞれ元本に充当したので,原告らの損害額は,原告X1につき7581万2001円,原告X2につき526万4470円,原告X3につき842万3529円となる。
(被告らの主張)
原告らの主張は争う。
第3  当裁判所の判断
1  認定事実
上記前提事実に加え,証拠(各項中に掲記したもののほか,甲25ないし27,乙イ21,乙ロ4,原告X1,原告X2,原告X3,被告Y1,A(ただし,乙イ21,乙ロ4,被告Y1及びAの供述については,下記認定事実に反する部分を除く。))及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
(1)  本件ファンド組成の経緯
ア 本件ファンドは,平成18年12月末頃,被告Y1とAほか2名が中心となって投資のスキーム作りを始めたものである(乙イ21,被告Y1)。
イ 被告Y1は,証券会社に二十数年勤めた経験に照らし,今後株式投資によって最も大きいリターンを得られる投資先は,いわゆるネクストチャイナの一国であるベトナムであると考えた。ファンド組成当時のベトナム経済は,実質経済成長率が8パーセント,インフレ率6パーセントと好調であり,その発展性・有望性は,メディアにおいてもしばしば取り上げられていた(乙イ11ないし14,21)。被告Y1は,ベトナムの経済事情を分析した上で,ベトナムの上場株は当時既に割高でありバブル化していると判断し,主な投資対象を上場予定のベトナム未公開株に絞り,成長可能性の高い未公開株の転売益を得ることを目的とするベトナム未公開株ファンドの準備・組成を行うこととした(甲3,22,乙イ11,21,被告Y1)。
ウ 被告Y1は,平成19年2月頃から投資対象となる未公開企業の調査を始め,同年5月頃からは投資対象企業を決定すべく,自らベトナムに赴き現地での調査を開始した。被告Y1は,対象企業決定に至るまでの調査として,Aの知人であるハノイ在住のベトナム人から有力な会社の紹介を受け,ベトナム国内のアナリスト・有識者からのヒアリングを行ったほか,投資対象候補の企業の過去3年分の決算書を基礎とした財務分析,企業側から提出された将来の事業計画・マニュアルレポート等を踏まえての社長からのヒアリング(会社設立の経緯,当該会社の強み,今後の事業展開等の聞き取り)等を行った。(乙イ7ないし10[枝番があるものは枝番を含む。],15,21,被告Y1)
エ 被告Y1は,上記ウの調査を経て投資対象企業を絞り込み,さらに,当該企業の過去の成長,今後の事業計画等を自己の経験に基づいて分析して,その結果算出された対象企業の価値と当時のOTC(オーバーザカウンター(Over The Counter)のことであり,相対取引を意味する。)における評価額が概ね一致しているか否かを確認した。このような調査・検討を経て,平成19年7月下旬,本件ファンドの投資対象企業をアルファナム,ダオジャファット,サイゴンツーリスト・トランスポート,MOMOTA(アルファナム建設投資),CMCソフト(CMCグループ)の5社に確定した(乙イ15,乙イ21,被告Y1)。
オ Aは,インターネットを用いた出資ファンド申込みのシステムを考案し,Y1や他の被告社員と話し合い,構想がまとまった後,ホームページの作成を他社に依頼するなどした(乙ロ4,A)。
(2)  本件ファンドの概要
ア 本件ファンドは,「ベトナムの経済並びに有価証券市場の発展により値上がりが期待される未公開株式,上場予定(OTC市場銘柄)の株式等へ投資し,中長期的な値上がり益を享受すること」を目的とし(甲9,15ないし18[枝番があるものは枝番を含む。]),その概要は,出資希望者(匿名組合員)と営業者がベトナム未公開株ファンド匿名組合契約を締結し,匿名組合員は営業者の営む事業のために営業者に対し1口当たり100万円の出資を行い,営業者は当該匿名組合の事業から生ずる利益及び損失を匿名組合員に分配するというものである(甲8及び9の各1・2)。
(ア) 本件ファンド1号は,被告パートナーズを営業者とし,平成19年5月21日から募集が開始され,その契約期間は,営業者が匿名組合員から出資金を受領した日から平成22年7月31日までとされた(甲8の1)。
(イ) 本件ファンド2号は,被告インベストメントを営業者とし,被告パートナーズを販売者とし,平成19年7月9日に募集が開始され,その契約期間は,営業者が匿名組合員から出資金を受領した日から平成22年8月31日までとされた(甲8の2)。
(ウ) 本件ファンドの契約期間については,いずれも営業者の裁量で2年間の延長の可能性があるとされた(甲9の1・2)。
イ 本件ファンドの投資スキーム及び出資金の流れは,以下のとおりである。
本件ファンドに出資を希望する者は,本件各ファンドの営業者との間で匿名組合契約を締結し,営業者の国内銀行口座に一口当たり100万円の出資金を送金する。営業者は,匿名組合員らからの出資金で投資先会社ライジングサンの優先株式を購入し,本件出資金はライジングサンのホンコンアンドシャンハイバンキングコーポレーション(HSBC,香港上海銀行)口座に送金される。ライジングサンは,本件ファンド各営業者の助言に従い,送金された金員を用いてベトナム未公開株式等を購入する。なお,ライジングサンによる未公開株の取得等にあたっては,本件各ファンドの営業者のほか,香港に所在する会社「ベターハウス」も調査ないし助言を行う(甲9の1・2,乙イ3,21ないし28,被告Y1)。
ウ 被告Y1は,国外の特定目的会社(いわゆるSPCであり,本件ではライジングサンがこれに相当する。)を迂回させるという上記イのスキームを設計するにあたり,成功した他社のスキームを参考にしたほか,本件ファンドのスキームが証券取引法,金融商品取引法及び有価証券に係る投資顧問業の規制などに関する法律等の法規制に違反しないか否かを,株式会社FPホールディングスジャパンからの依頼という形で,弁護士に相談し,金融庁にも確認をした(乙イ21,29,被告Y1)。
エ 本件ファンドにおいて,営業者は,出資金を次の使途に用いることとされた(甲8の1・2,被告Y1)。
① ライジングサンの発行する株式の購入
② 管理報酬(出資金の5.25パーセント相当額と,本件ファンド1号では,毎年8月1日において,平成19年7月19日における純資産の額(当該組合の事業年度終了後に一般に公正妥当と認められる会計基準に従って作成した貸借対照表上の総資産の簿価から総負債の簿価を控除した額をいう。)の2.1パーセント相当額であり,本件ファンド2号では,毎年9月1日において,平成19年8月4日における純資産の額の2.1パーセント相当額をいう。)
③ 銀行手数料
④ 本件ファンドに係る各匿名組合の決算料
⑤ 弁護士,公認会計士又は税理士に対する顧問料
⑥ 本組合の組成に関する費用
⑦ 旅費交通費及び調査費
⑧ 為替差損
⑨ その他営業者が負担すべき費用(諸経費。ベトナム国内において未公開株を相対取引で購入するにあたり,ブローカーに支払う仲介料(ブローカー手数料)を含む。)
⑩ 成功報酬
オ ライジングサンは,ベトナム投資開発銀行(BIDV)に開設された被告Y1の個人口座を経由し,投資対象企業の未公開株式を購入した。本件ファンドにおけるベトナム未公開株の取得の経緯等は,別紙「株式取得等経緯表」記載のとおりである。(乙イ21ないし28,被告Y1,弁論の全趣旨)。
なお,各未公開株式の上場の有無や保有株の一部の売却,追加購入については,下記(6)イのとおりである。
(3)  本件ファンドへの出資の募集・勧誘の方法等について
ア ブログ等におけるベトナム未公開株についての記述,宣伝
(ア) Y1のブログ(甲3,22)
被告Y1は,「□□」と題するブログ(甲3,22。以下「Y1ブログ」という。)に頻繁にベトナム未公開株に関する記載をしたが,平成19年4月以降,次の内容の記載をした。
a 平成19年4月1日
現在,最も大きく化ける投資対象はベトナム未公開株であること,これからは割高になった日本株やベトナム上場株式をすべて売却し,割安株が多いベトナム未公開株にシフトさせるつもりであること
b 平成19年4月6日
ベトナム投資の勝敗は,上場可能性の高い未公開株をどれだけ割安に手に入れることができるかによること,一般の個人投資家がベトナム未公開株を手に入れることは至難の業であり,投資のプロでも入手困難であること,(ベトナム未公開株投資は)ベトナム株式市場暴落という最悪シナリオになったとしても十分すぎる投資成果となること
c 平成19年4月22日
ベトナム未公開株はまさにフリーランチ(リスクなしで利益が得られる状態)であること,上場市場は過熱気味であり,被告Y1なら上場株を売って未公開株を買うこと,どう考えてもリスクのないただ飯であり,食わなければ一生の不覚であること
d 平成19年5月3日
「生産性のきわめて低いベトナム国営企業こそ「買い」だ」との題名で,「私たち,プライベートエクイティ(未公開株)ファンドとしても力になれる場面がかなりある」こと
e 平成19年5月18日
ベトナムには上場ラッシュという大波が押し寄せており,未公開株であれば上場までたどり着く可能性が非常に大きいこと,そのため銘柄選別が非常に重要になってくること
f 平成19年5月20日
今後数年間にわたって株式上場ラッシュが続くベトナムはまさに現代のエルドラド(黄金郷)であること,誰もが億万長者になれるマーケットだと確信していること,一生に一度あるかないかの大チャンスであること
(イ) Aコラム(甲2,21の1)
Aは,Aコラムにおいて,平成19年1月以降,次の内容の記載をした。
a 第29回(平成19年1月24日付け)
「14ヶ月で3倍!驚くべきベトナム株投資のパーフォーマンス!」との題名で,「10年で10倍で十分なのですが,この分だと,10年後には40倍50倍になることも夢ではないと思っています。」との記載
b 第52回(平成19年3月23日付け)
今一番難しいベトナム未公開株の玉の確保は万全であること,証券会社のファンドが投資先を探すのに困っている中,Aは投資先確保を優先したこと,Aとベトナム有力ビジネスマン2人が成功を確信する投資モデルがいよいよ動き出しそうであること
c 第53回(平成19年3月26日付け)
「凄腕のファンドマネージャーが味方に!」との題名で,台湾での未公開株投資で株価が100倍になったこと,株価が高騰し,上場ラッシュが続いている市場では,有望な未公開企業に投資するのが最も投資リターンが期待でき,数十倍のリターンが十分期待できること,「ベトナムの民営化をキーワードとした未公開株投資」であること,「今回ベトナム民営化投資を行うに当たり,凄腕のファンドマネージャーに一肌脱いでもらうことにな」ったこと,当該ファンドマネージャーが,Aが企画する民営化投資に賛同し,現地で指揮をとってくれること
d 第73回(平成19年5月16日付け)
ベトナム株の問題点として,①株価が高すぎること,②市場制度が未熟であること,③上場企業の規模が小さく,有力企業はこれから上場されることを指摘し,今後大型の国営企業の民営化,上場が次々に控えており,今後ベトナムの証券市場が飛躍的に発展するのは間違いないこと
e 第77回(平成19年5月28日付け)
ベトナムは何をするにも,金,コネ,人脈が必要であること,国営企業の民営化に伴う未公開株の入手ルートも,一つの大きな利権と言えること
(ウ) Aのブログ(甲21の2)
Aは,「◇◇」と題する自身のブログ(甲21の2。以下「Aブログ」という。)において,平成19年4月24日付けで,「衝撃のベトナム未公開株ファンド」との題名で,「Stop the ベトナム 加熱するベトナム投資が危ない!!」と題したセミナーを,同年5月12日に開催する旨を告知する記事を掲載し,セミナーの内容として,「オフショア投資の第一人者でありベトナム投資のパイオニア・Aとカリスマ100億円ファンドマネージャーY1が人気先行の中身のないベトナム投資に疑問符を投げかける。」と記載した。
また,同年5月3日付けで,同月12日のセミナーが定員に達したため参加募集を締め切ること,同年6月2日に同内容の第2回セミナーを開催することを告知し,さらに,同年5月8日付けで,同年5月12日及び同年6月2日のセミナーが満員御礼であること,同年6月9日にも同様の内容のセミナーを定員30名で追加開催することを告知した。
イ 被告パートナーズによる本件ファンドの説明会等
(ア) 被告パートナーズは,平成19年5月,6月にベトナム未公開株セミナーとの名目で説明会を複数回開催した(甲21の2。以下,被告パートナーズがベトナム未公開株を題材として複数回開催した説明会を総称して「本件説明会」という。)。本件説明会は,第1部と第2部で構成されており,参加者には資料として「ベトナム未公開株(OTC)ファンド投資」と題するパンフレット(以下「本件パンフレット」という。)が配布された(甲4,被告Y1)。また,被告パートナーズは,希望者に対し,本件説明会の内容を撮影したDVD(甲5及び6の各1・2。以下,総称して「本件DVD」という。)を販売していた。
(イ) 本件パンフレットにおいて,Aは「台湾,香港,シンガポール等華僑に幅広い交流を持つ。国際金融,ベンチャー投資,不動産投資,不動産ファンド等広範な知識と実務経験の持ち主」と紹介され,紙上には同人の著書及びAブログのURLが掲載された。また,被告Y1についても,大学卒業から投資コンサルタントとして独立するまでの経歴,受賞歴が掲載されているほか,「年収600万円のサラリーマンのかたわら,株,不動産の長期投資を続け,昨年来のベトナム株の急騰も手伝って個人資産総額は100億円を超える」と紹介されていた(甲4)。
(ウ) 本件説明会の第1部では,Aがベトナムの現在の情勢についての講演を行い,ベトナム経済が好調であること,しかし「ストップ・ザ・ベトナム」,すなわち投資するのはよいが,ストップして考え直す必要があるとして,ベトナム株式市場は既に高騰しており,上場株への投資はあまり有益でなく,国営企業の民営化に伴う未公開株への投資が有益であること,被告Y1と相談してこの投資(本件ファンド)をやろうということなったこと等を述べた。
また,本件説明会第2部では,被告Y1及びAによって,被告が募集するファンドの概要,戦略,スキーム,手数料及び分配・成功報酬についての説明がされた。また,ベトナムで未公開株を取得することは困難であること,本件ファンドでは投資先候補となる未公開株が複数決まっており,既に未公開株を複数確保できていることの説明もされた(甲4,5及び6の各1・2)。
(エ) Aは,本件説明会において,ベトナム未公開株を取得することを「今一番ですね,世界で注目されている高いリターンを得る投資だというふうに思っております。」等と発言し,被告Y1は,ベトナム株式市場のことを「5年間で時価総額が10倍になる株式市場」であるとし,ベトナム未公開株への投資のことを「だいたい50年に一度のチャンス」,「自分が生きている間,一生に,ま,一度あるかないかのチャンス」,「これはものすごい可能性がある投資案件,投資対象」等と話した(甲5及び6の各1・2,25)。
また,Aは,本件説明会において,被告Y1が100億円の資産を築いた成功者であること等を述べた(甲6の1・2)。
(オ) 本件説明会開催当時,本件ファンドの募集はまだ開始されていなかったが,本件ファンドの申込みを被告パートナーズのホームページで受け付けることや同サイトの構成・記載内容は概ね決まっており,本件説明会では,ファンドの募集を開始する旨の予告がされ,本件パンフレットにも「ファンド募集は5月24日(木)から開始 原則全てネットでのお申込み」「ファンドへの投資にご興味のある方は,配布された『アンケート』にご記入下さい。」との記載がされていた(甲4,5の1・2,A)。
(4)  本件ファンドにおけるリスクの説明
ア 本件ファンドへの出資の申込みは,被告パートナーズのホームページを通じて公募されていた。出資希望者に対しては,契約締結前書面として,重要事項説明書(甲9の1・2,乙ロ1),リスク確認書(乙イ1の2,乙ロ2),電子交付(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法による交付)による同意書(乙イ1の1),匿名組合契約書(甲8の1・2,乙ロ3)が,決算後書面として,事業報告書(甲15ないし18[枝番を含む。])が,各々電子交付された。
イ 本件ファンドのリスクについては,重要事項説明書,リスク確認書等に記載があり,具体的には,①投資対象に関するリスク(株式等の変動リスク,市場に関するリスク,為替変動リスク,投資先の地域的集中リスク,カントリーリスク,投資判断に関わるリスク,ヘッジ手段利用のリスク,利益相反,ベトナムへの投資特有のリスク),②営業者の破綻リスク,③関係法人等に関するリスク,④匿名組合の運営に関わる関係法人等への依存リスク,⑤他の匿名組合員の破綻リスク,⑥税務上のリスク,⑦法令及び税制その他の規制変更に関するリスク,⑧流動性に関するリスクがある,として,それぞれのリスクについて説明がされていた。出資希望者は,重要事項説明書及びリスク説明書のページ画面の最下段にある「上記について同意し,次へ進む」のボタンをクリックしなければ,出資を申し込む画面に到達できないシステムになっていたため,出資希望者には本件ファンドに付随するリスクが表示された画面を確認する機会が付与され,ファンド購入の画面では,「各説明書に同意して,購入画面に進んだ場合は重要事項説明書・電子交付による同意書・リスク確認書・匿名組合契約書にご同意していただいたものとみなします」との注意喚起がされていた(乙ロ1ないし3)。
本件ファンドに係る匿名組合契約書には,免責条項として,営業者は,本契約から得られる分配損益の分配,予定利回,本事業の成功,出資金の元本の返還又は本契約におけるいかなる結果をも保証するものではなく,その損失を補填するものでもないこと,匿名組合員はこれを了解し,自らの判断と責任において本契約に基づく出資を行うものであることが規定されている(第18条(甲8の1),第19条(甲8の2))。
ウ 被告Y1とAは,本件説明会の最後に設けられた質疑応答の時間において,カントリーリスクや為替リスクといった一般的なリスクについて触れ,ベトナム未公開株ファンドにリスクが全くないというわけではないことに言及した。他方,被告Y1又はAが,出資希望者に対し,重要事項説明書やリスク確認書等を示して,本件ファンドに付随するリスクについて説明したことはなかった(甲5及び6の各1・2)。
(5)  原告らの出資に至る経緯
ア 原告X1について
原告X1は,従来から「○○」を閲覧しており,平成19年1月頃から,「○○」内のAコラムも読むようになった。原告X1は,Aコラムの記事を読み,ベトナム未公開株投資について興味を持つようになったことから,Aブログも読むようになり,また,Aブログにおいて,被告Y1が「凄腕のファンドマネージャー」として紹介されていたことから,Y1ブログも読むようになった。
その後,原告X1は,本件説明会に参加できなかったため,平成19年6月頃,被告パートナーズに対し,本件DVDの購入を申し込み,後日,本件DVDと本件パンフレットを受領した。
原告X1は,本件DVDを見た後,本件ファンド1号に出資することにし,被告パートナーズが運営するホームページを通じて72口(1口当たり100万円)の出資を申し込み,平成19年7月11日,同被告名義の口座に7200万円を送金した(上記第2の1(2)ア,原告X1)。
イ 原告X2について
原告X1は,平成19年7月11日頃,妻である原告X2に対して,本件DVDを見るように勧め,本件ファンド2号への出資を勧めた。
原告X2は,本件DVDを視聴し,夫である原告X1の勧めであることもあって,本件ファンド2号に出資することとし,被告パートナーズのホームページを通じて5口の出資を申し込み,同年8月2日,被告インベストメント名義の預金口座に500万円を送金した(上記第2の1(2)イ,原告X2)。
ウ 原告X3について
原告X3は,従来から「○○」を閲覧していたところ,平成19年1月頃以降,Aコラム,Aブログ及びY1ブログを読むようになった。原告X3は,同年5月12日,本件説明会に参加し,A及び被告Y1からベトナム未公開株投資に関する説明を聞いた。
その後,原告X3は,本件ファンド1号へ出資することにし,同年7月17日,被告パートナーズのホームページを通じて,被告パートナーズに対し,本件ファンド1号について7口の出資を申し込み,同社の預金口座に700万円を送金した(上記第2の1(2)ウ,原告X3)。また,原告X3は,同年8月3日,被告パートナーズのホームページを通じて,被告パートナーズに対し,本件ファンド2号について,1口の出資を申し込み,同社名義の預金口座に100万円を送金した(上記第2の1(2)ウ,原告X3)。
(6)  原告らの出資後の本件ファンドの状況
ア 本件ファンド組成後の平成20年4月,原油価格が1バーレルあたり147ドルまで上昇するなど国際商品市況が高騰したことから,ベトナム経済もその影響を受けて物価が高騰し,ベトナム国内金利も大きく引き上げられ,ベトナムの株価指数であるVNインデックスは,平成19年の最高値1170ポイントから,400ポイントまで暴落した。さらに,平成20年9月15日には,いわゆるリーマンショックにより世界的に株価が暴落し,ベトナムの株価はいっそう暴落した(乙イ21)。
イ 本件ファンドの投資対象企業のうち,アルファナムは平成19年12月,CMCグループは平成22年1月,サイゴンツーリストは平成23年7月に上場した(甲15,16,17の4,18の4,乙イ5,6)。被告Y1は,アルファナムが上場後,株価は単価6万ドン程度(取得時は単価5万ドン)と想定していたよりも伸びなかったこともあり,同社の株式の売却を見送っていたが,平成20年12月,アルファナムの保有株式の全部及びサイゴンツーリストの保有株式の一部を売却し,同日,ダオジャファットとモモタの株式の追加購入資金に充てた(甲17の4,18の4,被告Y1)。
ウ その後の本件ファンドの保有株式の状況
本件ファンドの保有株式は,価格の下落により実際には売却できないような状態が続いている(上記第2の1(3)イ・ウ・オ,被告Y1)。
2  争点(1)について
(1)  金融商品まがい取引としての違法性について
ア 原告らは,本件ファンドは,当初から取引により生ずる又は生じ得る利益を出資者に適切に帰属させるに足りる実質を備えていなかったから,このような商品を販売する行為は,金融商品まがい取引として違法であると主張する。
イ しかしながら,上記認定事実に照らせば,本件ファンドの組成に当たっては,被告Y1を中心に様々な調査・分析・検討が行われたことが認められる。
すなわち,本件ファンドは,ベトナムの経済及び有価証券市場の発展により値上がりが期待される未公開株,上場予定(OTC市場銘柄)の株式等へ投資し,中長期的な値上がり益を享受することを目的とするものであるところ(上記1(2)ア),投資対象をベトナムの株式としたことについては,当時,ベトナムの経済成長が著しく,その発展性や有望性についてしばしば他のエコノミストやストラテジストが言及していたこと(上記1(1)イ)も踏まえ,被告Y1が二十数年の証券アナリストとしての経験に照らして判断したものである。また,ベトナムの株式の中でも特に未公開株式を投資対象としたことについては,当時ベトナムの上場株が既に割高であったことから,上場予定の未公開株に絞ることでより大きいリターンを得ることを目的としたものであるところ,このような判断は,当然同時に大きなリスクも有するものではあるものの,不自然,不合理であるとまではいえない。
また,被告Y1は,投資対象となる企業を決定するために,Aの人脈を利用した現地ベトナム人による紹介を受け,ベトナム国内のアナリスト・有識者からのヒアリングを行ったほか,投資対象候補の企業の決算書等の客観的資料を基礎とした財務分析を行い,さらに企業側から提出された将来の事業計画・マニュアルレポート等を踏まえてのヒアリングを行っており(上記1(1)ウ),当該企業が上場する可能性や株価上昇の可能性について判断する基礎となる情報を得るための調査をしたことが認められる。
さらに,被告Y1は,対象企業の未公開株を相対取引で取得するに際しても,対象企業の過去の成長,今後の事業計画,当時OTCで明らかになっていた対象企業の未公開株の株価を判断材料として,当該未公開株式の価値を自ら分析し,価格の妥当性が明らかとなった株式に限って購入したというのであるから(上記1(1)ウ及びエ),転売益を主たる配当原資とする本件ファンドにおいては極めて重要となる未公開株の購入価格の決定過程においても,相当の調査・分析を行ったことが認められる。
ウ また,本件ファンドのスキームや,資金の流れに照らしても,本件ファンドが当初から取引により生ずる又は生じ得る利益を出資者に適切に帰属させる実質を欠くものと断ぜられるものではない。
(ア) すなわち,本件ファンドのスキームとして,特定目的会社(いわゆるSPC)であるライジングサンを介在させた点について,被告Y1は,被告パートナーズ及び被告インベストメントは投資一任業務を行うことができないため,同被告らが投資家から出資を受け,かつ自ら運用することはできず,出資金の帰属先と投資助言を行う主体を分ける必要があったと説明しているところ,その内容に特段不自然な点はなく,同被告はこのような問題意識の下,本件ファンドの仕組みについて,弁護士や金融庁の見解を確認していたことも認められる(上記1(2)ウ)。
なお,本件ファンドに係る募集・出資当時,金融商品取引法は未施行であり(同法の施行は平成19年9月30日),被告パートナーズ及び被告インベストメントについて,第2種金融商品取引業の登録等,同法に基づく登録ないし届出(同法2条8項,29条,63条1項)は不要であった(当事者間に争いはない。)。
(イ) また,本件ファンドの資金の流れは,投資家の出資金が本件ファンドの営業者である被告パートナーズ又は被告インベストメントの国内銀行口座に振り込まれた後,ライジングサンのホンコンアンドシャンハイバンキングコーポレーション(HSBC,香港上海銀行)口座に送金され,ライジングサンが未公開株の購入に充てるものであるところ(上記1(2)イ),確かに,ラインジングサンは出資金をベトナムの被告Y1の個人口座に送金をしていることが認められる(上記1(2)オ)。もっとも,この点についてのY1の説明(ベトナムでは外国人が証券投資を行う際にCCA口座を開設する必要があったところ,外国法人であるライジングサンの名義で同口座を開設するには1か月以上かかるため,ブローカーとの間で機動的な売買を行うには,より早期に開設できる個人口座を経由せざるを得なかったこと)は不合理とまではいえない。そして,本件ファンドにより約30億円の出資金が集まったところ,被告らは,うち約24億7000万円をライジングサンの口座に送金し,それがベトナム未公開株の取得資金となったこと,約2億9400万円がブローカーへの手数料としてベトナムのブローカーの口座へ送金されたことが認められるところ(乙イ22ないし28,被告Y1,弁論の全趣旨),残りについても,申込み手数料が5.25パーセント相当,管理手数料が2.1パーセント相当で合計約2億2000万円であるから,約30億円の出資金の流れの説明としても,概ね理解が可能である。
(ウ) そうすると,本件ファンドの仕組みや資金の流れは,不自然,不合理とまではいえず,仮にライジングサンが購入した未公開株が上場して転売益が生じた場合には,そこから種々の経費を控除した残預金を出資者に分配することができる仕組みであったということができる。
エ 以上から,本件ファンドの投資スキーム,資金の流れが金融商品として不合理なものと認めるに足りる証拠はなく,これに加えて,本件ファンドの管理報酬等も不当に高額なものとまではいえないこと(上記1(2)エ),被告パートナーズ及び被告インベストメントは,年2回,定期的に本件ファンドについて事業報告を行っていること(上記第2の1(3)ア),本件ファンドにおいて一度も配当等が行われなかったのは,本件ファンドのリスクのうち,特にカントリーリスクと流動性リスクが実現したものと考えられる旨の被告Y1の供述も不自然・不合理として排斥することができないことなどを総合すれば,本件ファンドが出資者に損益を適正に帰属させるという金融商品の実質を欠いていたとまでとは認められない。
したがって,本件ファンドへの出資を募集する行為が,金融商品まがい取引であるとはいえず,原告らの主張は採用できない。
(2)  未公開株商法としての違法性について
原告らは,未公開株商法は,上場が確実である等告げて,本来の価値に比して著しく高額であるにもかかわらず,あたかも適正な評価に基づく販売価格であるかのような言辞を弄して販売,媒介をするという,未公開株の価値を偽る行為に違法性の中心があるところ,本件ファンドがベトナム未公開株を購入するのと同様のリスクを負うファンドであることを前提として,本件当時における本件未公開株の正当価格は,実際の購入価格を大きく下回るものであり,本件ファンドは,出資者が未公開株の購入価格を正当な価格であると誤信することを前提とした詐欺的商法である旨主張をする。
そこで検討するに,本件ファンドは,原告ら出資者が直接ベトナム未公開株を購入するのではなく,出資先会社であるライジングサンに未公開株を購入させ,そのキャピタルゲインによって利益を得ることを目的とするものであるところ,本件ファンドの募集時にはいまだ未公開株の購入価格等は決定されていないから,仮に原告らの上記主張を前提にすると,被告らは,原告らに対し,原告らの出資後に正当な価格を大きく上回る価格でベトナム未公開株を購入する予定であることを秘して,正当な価格で購入するものと誤信させて,本件ファンドに出資させたということになる。しかしながら,そもそも,本件ファンドは,上記のような仕組みであり,営業者である被告パートナーズ及び被告インベストメントは申込み手数料や管理報酬等は得るものの,同被告らは21パーセントの成功報酬も得る仕組みになっていることからすれば,被告らとしても成功報酬によって利益を得るためには,より多くのキャピタルゲインを得る必要があり,そのような被告らがあらかじめ適正価格を大きく上回るような価格で未公開株を取得することを予定していたものとは考えにくい(本件は,顧客に対し未公開株を不当に高額な価格で直接売買することによって,直ちに不当な利益を得る事案とは異なるものである。)。
そして,上記1(7)イのとおり,本件ファンドの保有株式のうち,サイゴンツーリスト株については取得時から約1年3か月後に一部が未上場のまま売却されているが,その際の売却価格は単価8万ドンで取得価格(単価9万ドン)の約9割であるから,価格が1年余で約1割下落しているとはいえ,その価格で実際に売却できていることからすれば,取得時の価格も相応の価格であったと考えられる。また,アルファナムの株式は上場時に想定していたよりも価格は伸びなかったにせよ,取得価格よりは価格が高くなっていたことも認められる(上記1(7)イ)。これらの事実からすれば,被告らが本件ファンドに係るベトナム未公開株を,著しく高額な不適正な価格で取得したものとは考え難い。
また,上記のとおり,本件ファンドでは,組成時において購入価格の決定のために相応の調査が行われたといえること(上記1(1)エ),本件ファンドにおいてはアルファナム,サイゴンツーリスト,CMCグループの3社が上場していること(上記1(6)イ)が認められ,さらに,保有株式の価格が低迷している理由についても,被告Y1は,平成20年9月のいわゆるリーマンショック以降,ベトナム企業の業績が悪化し,外国資本がベトナムから撤退する一方でベトナム国内の金融機関による融資が増加したところ,ベトナム国内金融機関の貸出金利は20パーセントを超えておりビジネスが成立しないこと,ベトナム国内でコネ融資が横行していることを挙げており,いわゆるリーマンショックを中心とする経済変動の影響を受け,本件ファンドに内在していたリスクが現実化したとしてもそれが不自然,不合理であるということはできない。また,本件ファンドの運用実績が大きくマイナスとなっていることも(乙イ5,6),ベトナムの通貨であるドンが,本件ファンドがスタートした当時から平成24年6月の時点で日本円に対して6割も下がっており,本件ファンドはベトナムにおける株式市場での下落のみならず,為替差損でも大きな影響を受けているものと認められる(甲24の1,被告Y1)。
以上を総合すると,原告らの主張するように,一般にベトナム未公開株の正当価格を出資者において把握するのが困難であることや,結果として本件ファンドの保有株式が現在では売却が困難な状況になっていることを考慮してもなお,本件ファンドが,原告らが主張するような詐欺的商法であるということはできない。
なお,原告らが引用する裁判例(甲20)は,当該事件の被告会社が,日本国内において,違法な無登録営業として国内会社の未公開株を当該事件の原告に直接販売した事案であるところ,当該未公開株に係る会社の実態自体が疑わしく,購入に係る資料も提出されないなどの事情の下で,その未公開株の販売価格が当時の1株当たりの正当な価格に比較して著しく高額であったことが推認されたものであって,本件とは投資の仕組み自体も含め事案が異なるものであり,本件についての上記認定判断に照らせば,同裁判例で示されている規準等をそのまま引用して本件に当てはめる原告らの主張は採用することができない。
3  争点(2)(本件ファンドへの出資の募集・勧誘行為の違法性)について
(1)  適合性原則違反について
原告らは,ベトナム未公開株ファンドは様々なリスク要因を多く有し,その程度も極めて高いファンドであるから,原則としてベトナムに関する情報や同国の未公開株の市況に精通したプロの投資家等を除いては適合性を有しないファンドであったとして,そのような情報に精通しない原告らは,本件ファンドに出資する適合性を有していなかったと主張する。
しかし,本件ファンドは,被告パートナーズが取得したベトナム未公開株式の転売価格等による収入の総額から,購入価格と諸経費(ブローカー手数料,販売手数料,管理手数料等)の合計額を控除した差分が利益分配の原資となるという比較的シンプルな構造の金融商品であり(上記1(2)ア及びエ),本件ファンドに内在するリスクについても,仮に適切な説明を受けていたとすれば,原告らの能力,経歴等に照らし十分に理解することができる内容である。このような商品特性に加え,原告X1と原告X3においては従前から「○○」を閲覧するなどして,投資に興味を有していたこと(上記1(5)ア及びウ),原告X2は原告X1から勧められて同原告(の言葉)を信じて出資したもので,原告X1と同様に評価してよいと考えられること,原告X3については,本件ファンドに係る出資以前に多数のファンド投資経験があること(上記第2の1(1)ウ),本件ファンドは1口当たり100万円であり出資額以上の損失を被ることはないことから原告らの財産状態(上記第2の1(1)アないしウ)に照らして不相当な商品とまではいえないこと等も総合すれば,原告らが,およそ本件ファンドへの出資を自己責任で行う適性を有していないとはいえないというべきである。
そうすると,被告らが原告らに対し,本件ファンドへの出資を勧誘・募集した行為が適合性の原則から著しく逸脱するものであったということはできず,この点について被告らの不法行為責任及び会社法上の責任を認めることはできない。
(2)  説明義務違反について
ア 原告らは,ベトナム未公開株ファンドはハイリスクの金融商品であるにもかかわらず,被告らはベトナム未公開株の有望性・希少性を殊更に強調する反面,そのリスクについてはほとんど説明をしなかったところ,被告らには,原告らの誤解を解き,原告らにおいて本件ファンドの諸リスクの内容及び程度を理解できるよう説明をすべき信義則上の説明義務があったと主張する。
イ そこで,被告らの本件ファンドの勧誘方法について検討するに,まず,本件説明会(甲5の2,6の2),同説明会の内容を収録したDVD(甲5の1,6の1),本件パンフレット(甲4)が,本件ファンドについて説明し,その募集を勧誘する目的を含んで作成されたものであることはその内容から自ずと明らかであり,また,Aブログ(甲21の2)も,本件説明会(セミナー)を紹介すること等を内容とするものであるから同様である。また,Y1ブログ(甲3,22)についても,上記認定事実(上記1(3)ア(ア)及び(イ))記載のとおり,Aコラムにおいて被告Y1が「ベトナムの民営化をキーワードとした未公開株投資」に賛同し,現地で指揮をとることになったことが窺われる記載が見られること,Y1ブログの内容はベトナム未公開株の有望性・希少性を謳うものであり,本件説明会や本件パンフレットの内容と酷似していること,ブログ記事の作成日と被告Y1が本件ファンドについて調査を行った時期が重なっていること,原告X1と原告X3がそうであるように,Y1ブログの記事が本件説明会への参加や本件DVDの購入,ひいては本件ファンドへの出資を決める際の判断材料となり得るものであり,被告Y1自身もそれを認識していた旨が窺われること(被告Y1)からすれば,本件説明会ひいては本件ファンドへの誘因として,本件ファンドの勧誘方法の一部となっていたというべきである。そして,Aコラム(甲2,21の1)についても,Y1ブログと同様,その内容等から本件ファンドへの誘因として,本件ファンドの勧誘方法の一部となっていたというべきである。被告Y1自身は,AブログやAコラムの内容を必ずしも具体的に認識していなかったとしても,Aブログ等の存在自体は知っていたことが窺われるし(被告Y1),被告Y1とAは,本件ファンド組成の準備を進め,あるいは,本件説明会でも共同して本件ファンドの勧誘を行っていたと認められるから,被告Y1及びAは,お互いにベトナム未公開株の有望性等を強調するような情報を発信していることを認識していたと推認できる。
ウ 上記認定事実(上記1(3))のとおり,Aブログ及びY1ブログには,ベトナム経済が好調であること,特にベトナム未公開株は上場時に売り抜けることで大きなリターンが期待できること,さらに,ベトナム未公開株ファンドの成果は,上場可能性の高い未公開株をどれだけ割安に手に入れることができるかによるところ,本件ファンドでは投資のプロでも困難な未公開株の確保が既にできていること,今後数年間にわたって株式上場ラッシュが続くベトナムはまさに現代のエルドラド(黄金郷)であること,「だいたい50年に一度のチャンス」,「自分が生きている間,一生に,ま,一度あるかないかのチャンス」,「どう考えてもリスクのないただ飯」「食わなければ一生の不覚」等の記載があり,本件ファンドを含むベトナム未公開株ファンドのリターンを強調した情報が繰り返し発信されていたところ,原告X1及び原告X3は,Aブログ,Y1ブログ及びAコラムの記事等により本件DVDや本件説明会の情報を得て,本件DVDを購入・視聴し,あるいは本件説明会に参加したものである(甲25,27,原告X1,原告X3)。
エ そして,本件説明会及び本件DVD(本件パンフレットの記載も含む。)では,上記1(3)イのとおり,Aや被告Y1の経歴や成功体験等が紹介された上,ベトナム経済が好調であること,未公開株への投資が有益であることなどが説明され,被告らが募集するファンドの概要,戦略,スキーム,手数料及び分配金・成功報酬等が説明された。また,ベトナム未公開株を取得することが,今一番,世界で注目されている高いリターンを得る投資,ベトナム株式市場が5年間で時価総額が10倍になる株式市場,ベトナム未公開株への投資が50年に一度のチャンス,一生に,一度あるかないかのチャンス,ものすごい可能性がある投資案件,投資対象等との話がされた。このような被告Y1とAの説明等は,両者の経歴の紹介等から一般人が感得する社会的信用の高さや,成功者としての体験も相俟って,情報の受け手となる出資希望者に相当の信憑性を伴って伝わったものと考えられ,現に,原告X1及び原告X3は,それぞれ本件DVDを視聴した後,あるいは,本件説明会に参加した後,本件ファンドの出資により,確実に利益が得られるファンドであると考え,本件ファンドへの出資を決めたものである。また,原告X2も,原告X1から勧められ,本件DVDを見た後,同様に本件ファンドへの出資を決めた(甲25ないし27,原告X1,原告X2,原告X3)。
オ 他方で,ベトナム未公開株ファンドには,重要事項説明書,リスク確認書等に記載があるように(上記1(4)),株式等の変動リスク,市場に関するリスク,為替変動リスク,投資先の地域的集中リスク,カントリーリスク等,様々なリスクが存在する。しかるに,原告らは,被告らの上記の勧誘方法により発信される種々の情報により,ベトナム未公開株のリターン面に強く意識が向いている状態になっていた反面,そのリスクについては意識が向きにくい状態になっていたことが推認される(なお,原告X2は,Y1ブログやAコラムを直接閲覧してはいないが,本件DVDを一応視聴していること,原告X1から同人が認識している内容の情報を得ていることから,原告X1と同様の状態にあったと推認される。)。
そうすると,そのような状況を作出した被告らは,原告らに対し,匿名組合契約締結に先立ち,本件ファンドに出資するか否かの適切な判断を行うのに必要となる情報を提供すべき信義則上の説明義務を負うというべきである。
カ 上記認定事実(上記1(4))によれば,Aブログ,Y1ブログ,Aコラムではそのリスク等にはほとんど触れられておらず,本件説明会においても,最後にカントリーリスクや為替リスク等のリスクの存在に若干言及はあったものの,全体からすればその時間はわずかである上,内容も具体的なものではなく(甲5及び6の各1・2),上記リスク等の内容を理解できるような説明があったものとは到底評価できない。
被告らは,出資希望者に対し,契約締結前書面として,重要事項説明書(甲9の1・2,乙ロ1),リスク確認書(乙イ1の2,乙ロ2),匿名組合契約書(甲8の1・2,乙ロ3)を電子交付し,本件ファンドへの申込み時にはこれらの書面の内容が表示された画面を確認できる状態に置いているところ,そうすると,本件ファンドに内在するリスクについては,専ら原告らが重要事項説明書等の交付書面を読んで自ら理解するほかないが,原告らは,既に本件DVDを視聴し又は本件説明会に参加して本件ファンドへの出資を決めていたし,上記のように本件ファンドのリスクに意識が向きにくい状態に陥っていたのであるから,原告らが当該リスクを自覚できる可能性は低いと言わざるを得ず,実際にも,原告らは,上記のような画面を十分に読むことなく,本件ファンドへの出資を申し込んだものである(甲25ないし28,原告X1,原告X2,原告X3)。そうすると,被告らにおいて,本件ファンドのリスクを認識し得る状態に置くのみで,実際にリスクを認識し・理解することを全て受け手に委ねる方法では,上記説明義務を果たしたということはできないというべきである。
キ 以上の事情からすれば,原告らは,被告Y1やAがブログ等によって自ら発信したベトナム未公開株に係る情報等によって,本件説明会や本件DVDの情報に接し,実際に本件説明会に参加して,あるいは本件パンフレットとともに本件DVDを見て,被告Y1及びAの説明を聞き,本件ファンドへの出資を決めたものであるから,同被告らは,本来はその説明会で出資希望者に対し,重要事項説明書やリスク確認書等を示して,本件ファンドに付随するリスクについて十分理解できるように説明すべきであった。また,本件説明会に参加しないで本件DVDを購入する者にも,個別に接触し,又は,本件DVDの視聴の際にそのようなリスクも併せて考慮できるような手段や,あるいは,出資希望者が本件ファンドのリスクを正しく認識しているか否かを本件ファンドに出資する前に被告らにおいて確認する手段を講ずべきであった。しかるに,現実には,被告らにおいて,原告らが本件ファンドに係るリスクを正解するのに十分な手段が採られていたとは認められないから,被告らの勧誘行為には説明義務違反の違法があるというべきである。
なお,一般的に,インターネットを利用した非対面取引においては,対面取引に比べて安価な手数料や顧客の利便性を重視した取引であることや,顧客としても担当者の勧誘,助言,指導等を介在させることなく,自己の情報収集,調査及び分析等に基づいて自己の責任と判断で取引を行いたいという意向を有していることが通常であると考えられることからすると,顧客に対するリスク等の説明としては,顧客が自由に閲覧できるリスク説明の書面を交付(電子交付を含む。)した上で,これについて理解したことを書面又はウェブ上の入力で確認するという手法は,一定の合理性を有するというべきである。したがって,それに加えて,個別に電話等で確認をするなどしなくとも,ただちに説明義務違反があるとはいえないと考えられる。しかしながら,本件では,上記のとおりの契約締結前の本件ファンドの募集勧誘方法によって,原告らをしてベトナム未公開株のリターン面に強く意識が向いた状態とさせた反面,そのリスクについては意識が向きにくい状態に陥いらせたまま、インターネットを利用した申込み方法に限定してファンドを販売しているので、先行する勧誘行為に基づき,被告らは,原告らに対し,本件ファンドに出資するか否かの適切な判断を行うのに必要となる情報を提供し、その理解度を確認すべき信義則上の説明義務を負っていたというべきものである。
(3)  断定的判断の提供について
原告らは,被告らが,ベトナム未公開株ファンドが確実に利益を生み出す投資であるとの勧誘を繰り返しており,断定的判断の提供を伴った勧誘行為を行ったと主張し,被告らはこれを争うところ,被告らは本件説明会において本件ファンドのリスクに言及していること,被告らが原告らに電子交付した契約締結前書面には,本件ファンドのリスクが明記されていたことは上記認定事実(上記1(4))のとおりである。
しかしながら,上記(2)ウ及びエのとおり,Aブログ,Y1ブログ等では,ベトナム経済が好調であること,特にベトナム未公開株は上場時に売り抜けることで大きなリターンが期待できることが記載され,今後数年間にわたって株式上場ラッシュが続くベトナムはまさに現代のエルドラド(黄金郷)であるとして,「だいたい50年に一度のチャンス」,「自分が生きている間,一生に,ま,一度あるかないかのチャンス」等と,本件ファンドを含むベトナム未公開株ファンドのリターンを強調した情報が繰り返し発信されていたこと,本件説明会でも,ベトナム未公開株を取得することが,今一番,世界で注目されている高いリターンを得る投資,ベトナム株式市場が5年間で時価総額が10倍になる株式市場,ベトナム未公開株への投資が50年に一度のチャンス,一生に,一度あるかないかのチャンス,ものすごい可能性がある投資案件,投資対象等との話がされ,このような被告Y1とAの説明等は,両人の社会的信用の高さや成功者としての体験も相俟って,情報の受け手となる出資希望者に相当の信憑性を伴って伝わったものと考えられることを総合すると,本件ファンドにより確実に利益が得られるであろうこと(ましてや損失を被ることはないであろうこと)が断定的に伝えられたものと評価するに妨げはないものというべきである。
そして,上記(2)で述べたとおり,被告らの勧誘によって,原告らをしてベトナム未公開株のリターン面に強く意識が向きやすくさせた反面,そのリスクについては意識が向きにくい状態に陥いらせており,したがって,本件説明会の最後に本件ファンドのリスクに言及されたことや,被告らが原告らに電子交付した契約締結前書面には,本件ファンドのリスクが明記されていたことをもっても,上記の断定的判断の提供による影響が払拭されたものとはいえないから,結局,被告らには,断定的判断を提供した違法があったというべきである。
4  争点(3)(被告らの責任原因及び原告らの損害額)について
(1)  被告らの責任原因
ア 以上からすれば,被告Y1は,本件ファンドについて上記のとおり違法な勧誘を行い,原告らに出資を行わせしめたことが認められるところ,被告Y1は自らベトナム未公開株ファンドの魅力を喧伝する一方で,当該ファンドに内在する各種リスクの内容を熟知していたものであるから,上記説明義務違反及び断定的判断の提供に該当する勧誘行為について,過失があると認められる。よって,被告Y1は,原告らに対し,民法709条に基づく不法行為責任を負う。
イ 上記のとおり,被告Y1は違法な勧誘行為を行い,原告らに出資を行わせしめたものであるところ,被告パートナーズは本件ファンド1号の営業者,本件ファンド2号の販売者であり,被告インベストメントは,本件ファンド2号の営業者であること,被告Y1は,Aと本件ファンドの組成を相談しながら本件ファンドのスキームや匿名組合契約書等を作成し,本件説明会でも登壇し説明をしたこと,本件説明会は,本件ファンド1号及び2号を合わせた本件ファンド全体の勧誘方法であること等,上記1認定の事実を総合すると,被告Y1が平成19年4月に被告パートナーズの取締役に,同年5月に同代表取締役に,同年6月に被告インベストメントの取締役・代表取締役にそれぞれ就任した前後の被告Y1の一連の行為は,まさに被告パートナーズ及び被告インベストメントの行為というべきものであり,本件ファンドでは,被告両社が上記のような営業者,販売者の役割分担をし,被告Y1と共同して,各々役割を果たしながら一体となって勧誘したものというべきであるから,被告らは,本件ファンドの一連の勧誘行為について,民法709条及び719条に基づき,原告らに対し,連帯して損害賠償責任を負うというべきである。
(2)  原告らの損害額
上記のとおり,被告Y1は原告らが本件ファンドに出資するに際し,十分な説明を怠ったものであるが,本件ファンドは,新興国であるベトナムの未公開株式に投資するものであり,種々のリスクがあると考えるのが自然であること,被告らはリスクの記載された書面を契約締結前書面として電子交付し,原告らがインターネット上で本件ファンドへの出資を申し込む際にも,本件ファンドのリスクが表示された画面を見るように設計していたことからすると,原告らは,本件ファンドへの出資を申し込む前に,電子交付された書面を読めば,本件ファンドに内在するリスクについて気付くことができたし,その内容が自らの理解を超えていれば,被告らにメール等で質問することも可能だったといえる。さらに,原告X3については,過去に証券会社で現物株式や投資信託の投資経験があり,安愚楽牧場への出資を約15年間行う等していたほか,本件ファンドに出資する以前に,複数のベトナム株式ファンドにも投資しており,投資に関する一般的なリスクはもちろん,ベトナム未公開株についての一般的な知識についても認識し得る程度の経験を有しており,それにもかかわらず被告Y1やAの説明を軽信し,本件ファンドのリスクを検討することなく出資を申し込んだものと評価せざるを得ない。そうすると,原告らが本件ファンドに出資したことにより被った損害については過失相殺をすべきであり,上記の事情を考慮すると,原告X1及び原告X2の過失割合は4割,原告X3の過失割合は6割と認めるのが相当である。
上記前提事実(上記第2の1(2))のとおり,原告X1は本件ファンド1号に7200万円を,原告X2は本件ファンド2号に500万円を,原告X3は本件ファンド1号に700万円を,本件ファンド2号に100万円を各々出資した。そうすると,原告らが本件ファンドへの出資により被った損害のうち,被告らに帰責し得るのは,原告X1については損失の6割である4320万円,原告X2については損失の6割である300万円,原告X3については損失の4割である320万円である。
また,弁護士費用については,上記損害の1割に相当する額(原告X1については432万円,原告X2については30万円,原告X3については32万円)をもって相当因果関係のある損害と認めるのが相当である。
そして,原告らはAから受領した和解に基づく金員400万円を,上記第2の3(4)エのとおり各人の被害額で概ね案分し上記未返還交付金の元金に充当したのであるから,原告らの残余損害額は,原告X1については上記損害合計額4752万円から既払金338万7999円を控除した4413万2001円,原告X2については,上記損害合計額330万円から既払金23万5530円を控除した306万4470円,原告X3については,上記損害合計額352万円から既払金37万6471円を控除した314万3529円となる。
ウ そうすると,被告らは,原告らに対し,以下のとおり,損害賠償金等を支払う義務を負う。
(ア) 被告らは,原告X1に対し,連帯して,4413万2001円並びにこれに対する被告Y1については平成23年11月19日(訴状送達の日の翌日。遅延損害金の起算日はいずれも同様である。)から,被告パートナーズ及び被告インベストメントについては同月17日から,各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を支払う義務を負う。
(イ) 被告らは,原告X2に対し,連帯して,306万4470円並びにこれに対する被告Y1については平成23年11月19日から,被告パートナーズ及び被告インベストメントについては同月17日から,各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を支払う義務を負う。
(ウ) 被告らは,原告X3に対し,連帯して,314万3529円並びにこれに対する被告Y1については平成24年11月18日から,被告パートナーズ及び被告インベストメントについては同年12月3日から,各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を支払う義務を負う。
5  結論
以上の次第で,原告らの請求は主文掲記の限度で理由があるからこれを認容し,その余の請求は理由がないからいずれも棄却することとして,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 松本利幸 裁判官 今井和桂子 裁判官 水谷遥香)

 

別紙
更正決定反映済み

〈以下省略〉

 

*******

関連記事一覧

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。


Notice: Undefined index: show_google_top in /home/users/1/lolipop.jp-2394bc826a12fc5a/web/www.bokuore.com/wp-content/themes/rumble_tcd058/footer.php on line 296

Notice: Undefined index: show_google_btm in /home/users/1/lolipop.jp-2394bc826a12fc5a/web/www.bokuore.com/wp-content/themes/rumble_tcd058/footer.php on line 296