判例リスト「営業代行会社 完全成果報酬|完全成功報酬」(366)平成16年 2月27日 東京地裁 平14(ワ)8891号 利息金等請求本訴、損害賠償請求反訴事件
判例リスト「営業代行会社 完全成果報酬|完全成功報酬」(366)平成16年 2月27日 東京地裁 平14(ワ)8891号 利息金等請求本訴、損害賠償請求反訴事件
裁判年月日 平成16年 2月27日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平14(ワ)8891号・平13(ワ)19209号
事件名 利息金等請求本訴、損害賠償請求反訴事件
裁判結果 本訴認容、反訴請求棄却 文献番号 2004WLJPCA02270010
要旨
◆基本協定を締結してリゾート開発事業を遂行するために土木建築業、住宅建物の建築販売等を主たる業務とする原告会社とレジャー施設の建設、経営管理を主たる業務とする被告会社の間でなされた原告会社から被告会社に対する貸付金の利息金の支払いについて、開発事業が経済状況の変動により凍結された下で原被告間で一定の支払いに対する交渉がなされた経緯はあるとしても工事着工等を条件とする合意があったとは認められないなどとして、原告会社の被告会社に対する利息金支払請求を認容した事例
◆被告会社の以前の代表者(現代表者がその長男である)が代表者を務める不動産の取引、土地造成、建築、室内装飾の請負業等を主たる業務とする被告関連会社に被告会社が金銭を貸し付けたことを前提に同社所有の不動産について被告関連会社との間で代物弁済予約を行い所有権移転請求権仮登記手続を行った行為は、原告会社との関係で詐害行為に当たるとして、当該代物弁済予約の取消及び仮登記の抹消登記手続請求を認容した事例
◆リゾート開発事業遂行のための基本協定を前提とした被告会社から原告会社への土地の売却代金として営業補償名下で合意した原告会社が被告会社へ支払う金員についての反訴請求を、その後の交渉経緯から基本協定が当事者間で合意解約されたものと認定して棄却した事例
参照条文
民法424条
裁判年月日 平成16年 2月27日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平14(ワ)8891号・平13(ワ)19209号
事件名 利息金等請求本訴、損害賠償請求反訴事件
裁判結果 本訴認容、反訴請求棄却 文献番号 2004WLJPCA02270010
本訴原告・反訴被告(以下、原告という) 日特建設株式会社
上記代表者代表取締役 A
上記訴訟代理人弁護士 永田晴夫
本訴被告・反訴原告(以下、被告富洋興産という) 富洋興産株式会社
上記代表者代表取締役 B
本訴被告(以下、被告富士恒産という) 富士恒産株式会社
上記代表者代表取締役 C
上記2名訴訟代理人弁護士 渡辺春己
同 山田勝彦
主 文
1 被告富洋興産は、原告に対し、金1億8573万9835円を支払え。
2 被告富洋興産と被告富士恒産との間の別紙物件目録1番号1ないし16及び同目録2番号17ないし47記載の各不動産に係る平成12年11月29日付代物弁済予約は、これを取り消す。
3 被告富士恒産は、別紙物件目録1番号1ないし16及び同目録2番号17ないし47記載の各不動産について存する甲府地方法務局吉田出張所平成13年5月2日受付第4416号所有権移転請求権仮登記の各抹消登記手続をせよ。
4 被告富洋興産の反訴請求を棄却する。
5 訴訟費用は、本訴反訴を通じ、被告らの負担とする。
6 この判決は、第1項に限り仮に執行することができる。
事実及び理由
第1 請求
1 本訴
主文第1項ないし第3項と同旨
2 反訴
原告は、被告富洋興産に対し、金2億2946万9000円及びこれに対する平成14年5月10日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
本訴は、原告が〈1〉被告富洋興産に対し、平成2年3月29日に5億8000万円を利息年8.3パーセント(平成4年4月1日からは年6パーセント、平成5年10月1日からは年4.8パーセント)で貸し付けたとして、利息金1億8573万9835円(平成2年3月29日から平成7年1月31日までの利息金の請求であり〔同年2月1日以降の利息は支払わないとの約定があり、元金については清算済み〕、平成9年10月3日には、被告富洋興産が平成12年12月末日までに同金員を支払う旨約していると主張している。)の支払いを請求し、〈2〉被告富士恒産に対し、同被告が被告富洋興産から別紙物件目録1番号1ないし16及び同目録2番号17ないし47記載の各不動産(以下、本件不動産という)についての代物弁済予約を受けたところ、これが詐害行為にあたるとして、同代物弁済予約の取消とこれに基づく各所有権移転請求権仮登記の(詐害行為を原因とする)各抹消登記手続を求めたものである。これに対し、被告らは、利息金の支払いについては、反訴で請求している代金が支払われた後に支払うべき約定になっていたが、その支払いが行われていないので被告富洋興産がこれを支払う義務はなく、被告富洋興産から被告富士恒産に対する代物弁済予約も現実の債務についての代物弁済予約であって詐害行為にはあたらない等と主張している事案である。
また、反訴は、被告富洋興産が原告に対し、両者の間で従前結ばれていたリゾート開発事業遂行のための基本協定を前提として、平成6年10月31日に、原告への土地の売却代金として、原告から土地代金名下で5億8507万円及び営業補償費等名下で2億2946万9000円の支払いを受けるとの提案が出されていたが、営業補償費等名下での支払いについてのみ合意したとして(土地代金名下の代金額については一部については合意に至らず、その後の交渉により増額して合意し、支払いが行われたと主張する。)、営業補償費等の名下で合意した2億2946万9000円(及び反訴状送達の日の翌日である平成14年5月10日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金)の支払いを求めたものである。これに対し、原告は、平成6年10月31日の時点では合意に至っておらず、その後、基本協定の解約とともに清算が行われたと主張している事案である。
1 前提となる事実(証拠等の記載のあるもの以外は争いのない事実)
(1) 原告は、土木建築業、住宅建物の建築販売等を主たる業務とする会社である。被告富洋興産は、レジャー施設の建設及び経営管理を主たる業務とする会社であり、被告富士恒産は、不動産の取引、土地造成及び建築、室内装飾の請負業等を主たる業務とする会社である。被告富洋興産の現代表者(B、以下、Bという)は、被告富士恒産の現代表者(C、以下、Cという)の長男である。Cは、従前被告富洋興産の代表者であった。(弁論の全趣旨)
(2) 平成2年3月15日、原告と被告富洋興産は、リゾート開発事業を遂行するための基本協定を締結した(以下、基本協定という)。協定書には、〈1〉被告富洋興産が所有等する別紙物件目録3(1)記載の土地について、原告の交付する設計図書により、造成工事を行って同目録3(2)記載の建物を建築したうえで(造成工事及び建築工事の概要は同目録3(4)に記載のとおり)一括して原告に売却する旨を基本的に合意すること、〈2〉同目録3(3)記載の土地については別に売買契約を締結すること、〈3〉原告が開発事業に必要な開発許認可等を取得して被告富洋興産がこれに協力すること、〈4〉原告と被告富洋興産はこれらの物件の売買について国土利用計画法に基づく届出を行うが、予定価格を16億8000万円とすること(売買契約締結時に売買代金の40パーセント、物件引渡時に売買代金の60パーセント)、〈5〉原告は本協定締結時に被告富洋興産に5億8000万円を融資し、売買契約が締結されなかったとき等は貸付金及び利息を一括して返済すること等が記載されている。(甲11、乙1)
(3) 平成2年3月27日、被告富洋興産は、原告に対し、別紙物件目録3(3)記載の各土地を7005万3984円で売却する旨の売買契約を締結した(乙2)。
(4) 平成2年3月29日、原告は、被告富洋興産に対し、5億8000万円を弁済期を平成4年3月31日(その後弁済期は何度か変更され、平成7年1月31日に、弁済期を同年9月30日と約定)、利息を年8.3パーセント(平成4年4月1日からは年6パーセント、平成5年10月1日からは年4.8パーセント、平成7年2月1日以降は支払わないと変更)の約定で貸し付けた(以下、本件消費貸借契約という)(甲1、2の1及び2、3)。
(5) 平成6年10月31日ころ、原告のD部長(以下、D部長という)は、被告富洋興産の当時の代表者Cに対し、原告から被告富洋興産への支払い及び被告富洋興産から原告への支払いに関する書面(乙5)を提示した。乙5によれば、被告富洋興産への支払計画として、〈1〉本体土地売買3億6107万円(平成7年1月支払い)、〈2〉ショートコース造成工事費8400万円(平成7年1月支払い)、〈3〉ショートコース営業損失補償費1億4000万円(平成7年1月支払い)、〈4〉水路下土地売買5206万9000円(平成7年1月2036万6000円支払い、同年10月2978万6000円支払い、平成8年ないし10年の各10月63万9000円支払い)、〈5〉打ちっ放し営業補償費1億2000万円(平成7年ないし10年の各10月3000万円支払い)、〈6〉練習場預託金4000万円(平成10年10月支払い)、〈7〉練習場の駐車場保証金1740万円(平成7年10月1635万円支払い、平成8年ないし平成10年の各10月35万円支払い)との内容が記載されていた。また、被告富洋興産から原告への支払計画として、元金5億8000万円を平成7年1月、利息1億8614万5000円のうち8614万5000円を平成10年10月に支払う旨の内容が記載されていた。(なお、乙5に基づいて原告と被告富洋興産との間で何らかの支払合意がされたか否かは争いがある。)(乙5、証人D、代表者C)
(6) 平成6年12月8日、原告及び伊藤忠商事株式会社(以下、伊藤忠商事という)が山梨県知事に対して申請していた富士吉田市〈以下省略〉外の区域(予定建築物の用途は研修センター)にかかる開発行為が許可された(甲23、乙4)。
(7) 平成7年1月31日、原告と被告富洋興産は、本件消費貸借契約の弁済期を平成7年9月30日に変更し、利息を同年2月1日以降支払わないことを合意した(甲3)。
(8) 平成7年3月20日、原告のD部長は、被告富洋興産のCに対し、確認事項と題する書面(乙6、以下、確認書という)を交付した。確認書には、研修センターの管理運営への被告富洋興産の参加について合意すること、被告富洋興産と原告との土地売買の方法について、乙5のとおり行うこと(ただし実施時期については別途協議)、貸付金の金利の返済残金1億円の返済スケジュールは期限を定めない貸し付けとすること等が記載されていた。(乙6、証人D)
(9) 平成7年4月、原告のD部長が転勤となり、本件について、被告富洋興産関係の原告における担当者は、同月からE次長(以下、E次長という)となり、さらに平成7年12月から、E次長の下でF課長(以下、F課長という)も担当するようになった(甲36)。
(10) 平成9年2月ころから9月ころにかけて、原告と被告富洋興産の間で、10回以上にわたる話し合いがもたれた(その内容が基本協定を解約して清算を行うことについての話し合いであったか否かは争いがある。)(甲26及び27〔いずれも枝番を含む〕)。
(11) 平成9年10月3日付けで、被告富洋興産(Cの印影がある)から原告に対するお願い書(借入利息の支払遅延について)と題する書面(甲6、以下、お願い書という)が存する。お願い書の内容は、今般被告富洋興産が原告に対して富士吉田市〈以下省略〉外29筆を8億7030万円で売却することに合意したこと、現在被告富洋興産の原告に対する債務として本件消費貸借契約に基づく元金5億8000万円及び利息1億8573万9835円が存すること、利息については今回の土地売買契約の代金債権と相殺せずに3年間の支払猶予をお願いしたいこと、したがって利息の弁済期日を平成12年12月末日とすること等が記載されていた。(甲6)
(12) 平成9年10月31日、被告富洋興産は、原告に対し、富士吉田市〈以下省略〉外5筆(5171平方メートル)を1億5920万5000円(なお売買契約書には売買代金の内訳として本件土地代1億3820万5000円、構造物代2100万円との記載がある)で売却する旨の売買契約を締結した(甲4の1)。
(13) 平成10年1月28日、被告富洋興産は、原告に対し、富士吉田市〈以下省略〉外23筆(1万6530平方メートル)を7億1109万5000円(なお売買契約書には売買代金の内訳として本件土地代4億4179万5000円、構造物代6930万円、営業損失補償2億円との記載がある)で売却する旨の売買契約を締結した(甲4の2)。
(14) 平成13年4月17日、原告は、被告富洋興産に対し、本件消費貸借契約に基づく利息金の支払請求を行った(甲8の1及び2)。
(15) 本件不動産について、平成13年5月2日受付(甲府地方法務局吉田出張所第4416号)で、被告富洋興産から被告富士恒産に対する平成12年11月29日付代物弁済予約を原因とする所有権移転請求権仮登記手続が存する(以下、本件仮登記という)。
2 争点
(1) 原告が被告富洋興産へ営業補償費等名下で2億2946万9000円を支払うとの合意があったか等(反訴関係)
【被告富洋興産の主張(要旨)】
ア 原告と被告富洋興産は、平成6年10月31日、原告が被告富洋興産に対して基本協定に関する土地代金のうち、水路下土地売買名下(5206万9000円)、打ちっ放し営業補償費名下(1億2000万円)、練習場預託金名下(4000万円)、練習場の駐車場保証金名下(1740万円)の合計2億2946万9000円(以下、これらをあわせて本件反訴請求代金という)について、他の項目とは独立して(本体土地売買名下の3億6107万円についてはこの時点で合意に至っていない。ショートコース造成工事費名下の8400万円、ショートコース営業損失補償費名下の1億4000万円については、この時点で合意したが支払済みである。)、基本協定に基づく工事着工後の平成7年10月から平成10年10月までに分割して支払うことを合意した(乙5)。
その後、原告は、平成10年8月25日付けで山梨県知事宛てに工事着工届を提出し、同年11月3日に一方的に工事着工届の取下げを行っているところ、原告が自ら条件(工事着工)成就を妨げたものとして、条件が成就したとみなすことができるのであるから、被告富洋興産は、原告に対し、遅くとも平成12年12月末日までに、前記金員の支払いを求めることができる。
イ 平成6年10月31日の前記合意は、基本協定の内容の実現として行われたものであり、土地売買と建築工事等を約束する基本協定の内容とそこで合意された金額から考えても、前記合意が行われたことは明らかというべきである。この点について、原告は基本協定が合意解約されたと主張する。
しかし、基本協定が解約されたということはなく、次のとおり、基本協定にかかる事業は継続されている。
(ア) 本件の経緯は次のとおりである。
平成2年3月に基本協定が締結され、同年12月に原告が被告富洋興産に開発許可に関する業務委託を行い、その後、伊藤忠商事も事業主体として加えることとなり、平成5年6月に開発許可申請が行われ、平成6年12月に山梨県知事から同申請が許可された。この間、原告と被告富洋興産は、基本協定に基づいて開発事業である土地の取得についての交渉を行っていた。その結果、平成6年10月31日、原告のD部長は、被告富洋興産に対し、土地代金として、本件土地代金名下の他、節税対策のための各種名下で合計を8億1453万9000円とする提案(乙5)をした。被告富洋興産は、当時でも土地の価値が16億3269万円と評価されていたことから、本件土地売買名下の3億6107万円(前提となる事実(5)〈1〉)についてのみ不満として合意しなかったが、それ以外の項目(前提となる事実(5)〈2〉ないし〈7〉)については合意した(反訴請求では未払いである前提となる事実(5)〈4〉ないし〈7〉を請求している。)。
その後、基本協定にかかる事業の具体的作業は進まず、原告は富士吉田市から事業を行うか否かの催促を受けていた。平成9年になり、原告と被告富洋興産との間で交渉が行われ、同年10月31日までに、まず、前提となる事実(5)〈1〉ないし〈3〉名目の代金額に相当する土地売買を行うことで合意し、平成9年10月31日及び平成10年1月28日に各土地の売買契約が締結された。したがって、基本協定が解約されたことはないし、本件反訴請求代金が未払いであることも明らかである。
(イ) 基本協定は土地の売買だけではなく、土地の造成及び建物の建築についても約定しており、これを解約するのであれば被告富洋興産に極めて重大な影響がある。殊に、平成元年当時の開発許可地域の土地の評価は、原告の評価でも12億8169万円(一部の土地)、基本協定での予定届出価格が16億8000万円、国土法に基づく届出価格も13億5193万5000円(一部の土地)であり、被告富洋興産は、土地の造成、建物の建築、研修所が建設された場合の運営への参加約束等があったから、土地代金として16億円にこだわらなかったところ、基本協定が解約されるのであれば、得べかりし利益等について、原告との間で激しく対立したと考えられるが、そのような議論はされていない。
(ウ) 乙5(平成6年10月31日)では、前提となる事実(5)〈4〉ないし〈7〉の支払いについて、平成7年10月以降の工事着工後に支払うことになっているところ、これは土地代金についての節税対策のための支払いではあるが、工事着工後でなければ、売買対象の土地以外の場所にある施設への補償費等の名下と矛盾するため、工事着工後と合意されたものである。平成9年10月31日及び平成10年1月28日の売買契約の対象となった土地は、乙5による補償費の対象となる打ちっ放し練習場とは別の土地であるから、これらの売買契約が締結されたからといって、前提となる事実(5)〈4〉ないし〈7〉の支払いについて清算されたとは考えられない。
(エ) F課長の証言によれば、乙5(平成6年10月31日)の前提となる事実(5)〈3〉、〈5〉、〈6〉、〈7〉の合計3億1740万円の項目について、その後の交渉により、甲15(平成9年10月9日)の営業損失補償2億円の項目に含むことで合意したとの趣旨を述べている。しかし、この2億円には被告富士恒産に業務委託費として本来支払われる6000万円が付け替えられており、実質的には1億4000万円にしかならないところ、乙5の時点で3億1740万円であったものが1億4000万円で減額合意に至ったということになるが、不自然である。
(オ) 基本協定を合意解約する旨の書面はないこと、そもそも甲15は被告富洋興産には示されていないこと、平成9年10月31日及び平成10年1月28日の売買契約の対象となった土地には、進入道路部分の土地が含まれておらず、同土地を売買契約の対象とせずに基本協定を合意解約することは不自然であること(富士吉田市へ移管するとの話が出ていなかったことは乙37により明らかである。)、原告は合意解約が行われたとする平成10年1月28日以降も富士吉田市との話し合いに出席して事業継続を前提として話をしていること、原告が被告富洋興産から取得した土地等について第三者に売却することに関する売渡し承諾書(甲30の1)に押印してはいないこと等からも、基本協定が合意解約されていないことは明らかである。
【原告の主張(要旨)】
ア 平成6年10月31日に、原告が被告富洋興産へ営業補償費等名下で2億2946万9000円を支払う旨の合意があったとの被告らの主張を否認する。実質的には8億1453万9000円の全部が土地代金であるのに、単に名目を付けたにすぎない本件土地売買名下3億6107万円の部分についてのみ合意が成立せず、他の部分について合意が成立したというのは不自然である。また、被告らは、前記内容を証する証拠として原告が作成したとする乙12を提出するが、その記載内容によれば、原告が作成したものではない。
イ 被告富洋興産の主張は、原告が平成6年10月31日の時点で、基本協定に基づく工事着工後に本件反訴請求代金を支払うことを合意したという内容であるが、仮に何らかの合意があったとしても、基本協定は合意解約されており、この点からも被告らの主張は理由がない。すなわち、基本協定については、次のとおり、平成9年10月9日付けの事業精算書(甲15)に基づく合意、平成9年10月31日付けの土地売買(甲4の1)及び平成10年1月28日付けの土地売買(甲4の2)により、合意解約されている。
(ア) 平成9年2月ころ、原告と被告富洋興産は、開発許可取得から2年を経過し、なお土地売買取引を行わないまま本件消費貸借契約を継続することはできないとの双方の了解のもとで、基本協定の解約と本件消費貸借契約の清算のための交渉を開始した。
そして、平成9年10月9日ころまでに、原告と被告富洋興産は、実質的な土地代金について、土地代名下で5億8000万円、構造物代名下で9030万円、営業損失補償名下で2億円の合計8億7030万円を支払うこと、その方法として平成9年10月取引で1億5920万5000円(土地代名下1億3820万5000円、構造物代名下2100万円)、平成10年取引で7億1109万5000円(土地代名下4億4179万5000円、構造物代名下6930万円、営業損失補償名下2億円)とすること、平成9年10月取引では全額を現金で支払うが、平成10年1月取引では5億8000万円を本件消費貸借契約の元本に充当して1億3109万5000円を支払うことを合意した(甲15に記載された金額)。そして、これに基づいて平成9年10月31日と平成10年1月28日の土地売買契約が締結されている。
なお、原告の被告富士恒産に対する業務委託費は、当初の6200万円からその後3億9593万2000円に増加している。
(イ) 原告と被告富洋興産は、平成9年2月から同年9月の間に、10回以上にわたって、基本協定の解約と本件消費貸借契約の清算についての話し合いを行った。その中で被告富洋興産に発生したとされる直接間接の損害填補が全て考慮され、乙5で提案された金額より増額した甲15記載の金額で清算について合意された。
(ウ) 被告らは、平成元年当時の土地価格が16億円以上であることから、前記金額で清算が行われるのは不自然であると主張するが、基本協定(合計16億8000万円)においても、土地代5億8000万円、土地造成代5億円、建物代6億円と明記されているのだから、この金額に照らせば、前記金額で清算が行われることが不自然であるとはいえない。
(エ) 原告は、被告富洋興産との基本協定を解約し、事業全体を第三者に譲渡しようと考えていたものであり、被告富洋興産も、売渡し承諾書を作成しており(甲30の1)、この点について認識していたというべきである。したがって、被告富洋興産が、基本協定の解約、清算を前提に行動していたことは明らかである。
(オ) 被告らは、土地売買契約には進入道路部分の土地が含まれていないから、基本協定が継続している旨を主張するが、これが含まれていないことが、基本協定の解約がされていないことの理由とはならない。また、原告が基本協定の解約後も富士吉田市との間で事業の継続を前提とした申し入れをしているのは不自然であると主張するが、事業全体の譲渡を考えていたのであるから不自然ではない。
(2) 利息金の支払いについて工事着工等を条件とする合意があったか等
(本訴関係)
【原告の主張(要旨)】
ア 原告は、平成2年3月29日、被告富洋興産に対し、5億8000万円を弁済期を平成4年3月31日(弁済期は延期され、元金は平成10年1月28日までに相殺により消滅)、利息年8.3パーセント(平成4年4月1日からは年6パーセント、平成5年10月1日からは年4.8パーセント、平成7年2月1日からは支払わない約定に変更)で貸し付けた(本件消費貸借契約)。したがって、原告は、被告富洋興産に対し、平成2年3月29日から平成7年1月31日までの利息1億8573万9835円の支払いを求める。
イ 被告富洋興産が、平成9年10月3日、原告に対し、前記利息の弁済期日を平成12年12月末日とすること等を記載したお願い書(甲6)を提出していることからも、被告富洋興産が前記利息金の支払いを認めていたことは明らかである。
仮に、お願い書提出以前の時点で、利息金の支払いについて何らかの猶予がされていたとしても、これが提出された時点において、被告富洋興産は、利息金の支払いを平成12年12月末日と約したものであり、この点については、(1)原告の主張イに記載したとおり、基本協定が合意解約されていることからも明らかというべきである。
【被告らの主張(要旨)】
ア 原告の主張アのうち、本件消費貸借契約の成立については認める。
イ 本件消費貸借契約に基づく利息金の支払いは、平成6年10月31日(あるいはその後、平成9年10月3日付けでお願い書が作成されたころまでの間に)、基本協定に基づく工事着工後、本件反訴請求代金(水路下土地売買名下の5206万9000円、打ちっ放し営業補償費名下の1億2000万円、練習場預託金名下の4000万円、練習場の駐車場保証金名下の1740万円)の支払いがあった後に支払う旨の合意があったところ、未だ工事着工も前記金員の支払いもされていないから、被告富洋興産がこれを支払うべき義務はない。また、利息金のうち1億円については、平成7年3月20日、確認書(乙6)により自然債務とすることが合意された。
ウ お願い書(甲6)については、F課長がこれを持参し、これは社内的なもので形式だからと言われ、被告富洋興産のCが押印したものである。被告富洋興産は、利息金について、基本協定に基づく工事着工後、本件反訴請求代金が支払われた後に支払うべきものであることを前提に押印したものである。また、基本協定は、(1)被告らの主張イに記載したとおり継続していることが明らかである。
(3) 詐害行為取消請求の可否(本訴関係)
【原告の主張(要旨)】
ア 原告は、被告富洋興産に対し、前記利息金債権1億8573万9835円を有している。
イ 被告富洋興産は、平成12年11月29日付けで、被告富士恒産に対し、本件不動産の代物弁済予約を行った。また、被告富洋興産は、平成13年5月2日、被告富士恒産に対し、本件不動産についての前記代物弁済予約を原因とする所有権移転請求権仮登記手続を行った(甲府地方法務局吉田出張所第4416号)。
ウ 被告富洋興産は、本件仮登記がされた本件不動産(土地が約7466万円、建物が約6359万円)以外の資産としては、ゴルフ練習場用設備器具等の動産程度しかなく、これらも中古品なので約5000万円程度の価値しかない。また、被告富洋興産は、前記利息金債権のほか金融機関からの借入金債務が約2億2200万円程度ある。被告富洋興産は、被告富士恒産への本件不動産の代物弁済予約により、前記利息金債権の満足を得る資産を有しない状態となった。
エ 被告富洋興産の代表者Bが被告富士恒産の代表者Cの長男であるうえ、原告が平成13年4月17日到達の内容証明郵便で、前記利息金の請求を行ったところ、その直後である平成13年5月2日に本件不動産の代物弁済予約の仮登記を行ったものであるから、被告らに詐害の意思があったことは明らかである。
【被告富士恒産の主張(要旨)】
ア 原告の主張アは否認する。
イ 原告の主張イは認める。被告富士恒産は、平成12年11月29日、被告富洋興産に対し、6000万円を貸し渡した。被告富洋興産は、これを担保するため、本件不動産についての代物弁済予約を行ったものである。
ウ 原告の主張ウは争う。被告富洋興産は、新設のゴルフ練習場を所有しており、その価値は2億6145万円である。債務については、これを新設するために要した被告富士恒産からの借入金6000万円及び谷村信用組合からの借入金4303万5687円の合計1億0303万5687円である。したがって、被告富洋興産は無資力ではない。また、原告は、前記利息金債権について、被告富士恒産所有の不動産に十分な価値を有する抵当権を設定している。
エ 原告の主張エは否認する。正当な代物弁済予約であり、被告らに詐害の意思はない。
第3 当裁判所の判断
1 前提となる事実、証拠(各項に記載した証拠、甲17、28、38、43ないし45、乙17、18、証人F〔第1、2回〕、証人D、証人G〔以下、Gという〕、代表者C)及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。
(1) 原告は、平成元年ころ、被告富洋興産が所有する土地を買収して研修センター(当初はリゾートマンション)を建築する開発事業を計画し、被告富洋興産と交渉を始めた。平成元年9月1日、被告富洋興産及びCの要請により、原告は、Cに対し、3億円(弁済期平成2年1月31日)を貸し付けた。(甲10)
(2) 原告と被告富洋興産は、その後も交渉を続けていたが、開発事業の対象となる土地について、直ちに売買契約を行うと高率の課税を受けることになるため、事実上平成4年6月までは売買契約を行うことができない状態であった。
そのため、原告と被告富洋興産は、開発事業の対象となる土地(ただし別紙物件目録3(1)記載の土地)について、造成工事を行って屋内スポーツ施設を建築したうえで一括して被告富洋興産から原告に売却すること、予定価格を16億8000万円とすること(ただし造成工事代金が5億円、建築工事代金が6億円〔したがって土地代金が5億8000万円〕)、重課税の対象とはならない土地(別紙物件目録3(3)記載の土地)については先行して売却すること(現実には平成2年3月27日に7005万3984円で売却)、本体の土地売買契約自体は時期が先になるため5億8000万円について、基本協定締結時に原告から被告富洋興産に貸し付けをすること等を合意し、平成2年3月15日に基本協定(前提となる事実(2)記載のとおり)を締結した。
なお、原告と被告富洋興産等は、基本協定締結にあたり、〈1〉前記土地代金6億5005万3984円(別紙物件目録3(1)記載の土地代金5億8000万円、同目録3(3)記載の土地代金7005万3984円)以外に、実質的なこれらの土地代金分として節税対策のため、原告から被告富士恒産に成功報酬名目で1億5000万円を支払うこと、〈2〉開発事業用の建物の管理業務を被告らが行うこと、〈3〉Cの原告からの借入金を返済すること等で合意した。(甲11、乙1)
(3) 基本協定に基づいて、〈1〉平成2年3月27日、被告富洋興産は、原告に対し、別紙物件目録3(3)記載の各土地を7005万3984円で売却し(前提となる事実(3)記載のとおり)、〈2〉同月29日、原告は、被告富洋興産に対し、5億8000万円を貸し付けた(本件消費貸借契約、前提となる事実(4)記載のとおり)(甲1、乙2)。
(4) 平成2年12月26日、原告は、被告富士恒産に対し、事業予定地の測量調査業務、事業予定地における開発行為の許認可設計業務、地権者の開発に関する同意書の取得業務等について、業務委託費用6200万6000円で業務委託をした(甲12、乙3)。
(5) 平成3年3月ころ、原告と伊藤忠商事は、開発事業を共同で行うことに合意した(甲18の2)。
(6) 平成3年4月3日、原告は、被告富洋興産及び被告富士恒産に対し、開発事業用の建物の管理業務を被告らが行うことができるように便宜を図ることを確約する旨の確約書を提出した(乙19)。
(7) 平成5年6月ころまでに、同時点で計画していた開発事業の具体的内容を策定して近隣住民への説明等したうえ、原告及び伊藤忠商事は、山梨県知事に開発行為許可を申請した(乙33の8の3、42ないし44、45の1)。
(8) 平成6年1月17日、富士吉田市、原告及び伊藤忠商事は、研修センター新設に伴う敷地造成工事等についての協定を締結した(乙33の6)。
(9) 平成6年10月31日、原告のD部長は、被告富洋興産の当時の代表者Cに対し、原告から被告富洋興産への支払い(総額8億1453万9000円)及び被告富洋興産から原告への支払い(元金5億8000万円、利息1億8614万5000円)についての提案を行った(その提案書面が乙5であり、その具体的内容については前提となる事実(5)記載のとおり。何らかの合意に至ったか否かについては後に検討する。)。
(10) 平成6年12月8日、原告及び伊藤忠商事は、山梨県知事から、申請していた開発行為についての許可を受けた(前提となる事実(6)記載のとおり)(甲23、乙4)。
(11) 平成6年12月22日、原告と被告富士恒産は、業務委託契約を変更して業務委託費用を総額3億9593万2000円とすることで合意した(甲13)。
(12) 平成7年1月31日、原告と被告富洋興産は、本件消費貸借契約の弁済期を平成7年9月30日に変更し、利息を同年2月1日以降支払わないことを合意した(前提となる事実(7)記載のとおり)。なお、原告と被告富洋興産は、この点についての合意書面である甲3の別紙として、覚書(乙13、25)を交わした。覚書には、急激な経済環境の変化に伴い販売先が不透明になり事業を一旦凍結し、貸付金の精算を当分の間延期する旨の記載がある(被告らは覚書が平成7年6月ころに作成されたものであると主張するが、甲3には利息の変更の欄に、別紙の理由により利息を変更する旨の記載があるところ、覚書は「利息の変更」の表題の下に理由が記載されていること、乙13に記載された作成年月日等によると、甲3と同時に作成されたものであると認められる。)。(甲3、乙13、25)
(13) 平成7年3月20日、原告のD部長は、被告富洋興産のCに対し、確認書(乙6)を交付した(前提となる事実(8)記載のとおり)。
(14) 平成7年4月ころ、伊藤忠商事は、開発事業から撤退した。
(15) 平成9年2月12日から同年9月26日までの間に12回にわたり、原告からF課長らが出席し、被告富洋興産からC、H税理士らが出席し、土地売買契約と本件消費貸借契約による貸付金をどのように処理するかについての話し合いが行われた(基本協定を解約して清算をする内容についての話し合いであるか否かについては後に検討する。)(甲26、27〔いずれも枝番を含む〕)。
(16) 原告と被告富洋興産は、平成9年7月29日ころ、(仮称)日本メディカルライフ株式会社に対し、開発事業の対象となる土地等についての売渡し承諾書を送付した(この点について、甲30の1に被告富洋興産の印影はないものの〔そもそも原本自体は相手方に送付されている〕、甲30の2及び3により、売渡し承諾書の無効通知を発送していることに鑑みれば、被告富洋興産は売渡し承諾書を発送しているものと認められる。)(甲30の1ないし3)。
(17) 平成9年10月3日付けで、被告富洋興産から原告に対するお願い書(甲6)が作成された(前提となる事実(11)記載のとおり)。
(18) 平成9年10月9日付けで、原告が作成した「富士吉田」開発事業取引(案)と題する書面(甲15)が存する。甲15には、土地代5億8000万円、構造物代9030万円、営業損失補償2億円の合計8億7030万円について、平成9年10月取引で1億5920万5000円(土地代1億3820万5000円、構造物代2100万円)、平成10年1月取引で7億1109万5000円(土地代4億4179万5000円、構造物代6930万円、営業損失補償2億円)の取引を行うこと等が記載されている。
(19) 平成9年10月31日、被告富洋興産は、原告に対し、土地を1億5920万5000円で売却した(前提となる事実(12)記載のとおり)(甲4の1)。
(20) 平成9年11月26日、原告と被告富洋興産は、富士吉田市との間で打合せを行い、富士吉田市から工事の着手がないので、許可申請自体をいったん取り下げてはどうかと言われたが、これを継続したいとの話を伝えた(甲31)。
(21) 平成10年1月28日、被告富洋興産は、原告に対し、土地を7億1109万5000円で売却した(前提となる事実(13)記載のとおり)。同日、原告と被告富士恒産は、業務委託契約を変更して業務委託費用を総額3億3600万円とすることで合意した。(甲4の2、14)
(22) 平成10年6月11日、原告及び被告富洋興産は、富士吉田市との間で打合せを行い、工事に着手をしたいこと等の話を伝えた(甲32、乙28)。
(23) 平成10年8月25日、原告は、山梨県知事に対し、工事着手届を提出し、同年11月13日に工事着手届を取り下げた(甲35の2、乙33の10の3、37)。
2 原告が被告富洋興産へ営業補償費等名下で2億2946万9000円を支払うとの合意があったか等(争点(1))について
(1) 被告富洋興産は、原告と被告富洋興産の間で、平成6年10月31日、基本協定に関する土地代金のうち、水路下土地売買名下(5206万9000円)、打ちっ放し営業補償費名下(1億2000万円)、練習場預託金名下(4000万円)、練習場の駐車場保証金名下(1740万円)の合計2億2946万9000円について、他の項目(本件土地売買名下の3億6107万円)とは独立して原告が被告富洋興産に支払うことを合意した(基本協定に関する土地代金のうち、本件土地売買名下3億6107万円の部分についてのみ合意に至らず、本件反訴請求代金を含めたその他の名下部分4億5346万9000円については合意に至った〔ただし本件反訴請求代金以外の2億2400万円については支払済み〕)と主張する。
(2) しかし、本件全証拠によってもこれを認めるに足りる証拠はないというべきであり、前提となる事実、前記1で認定した事実、証拠(甲3、13、15、17、26の1ないし10、27の1ないし3、28、38、43ないし45、乙5、6、13、17、18、25、証人F〔第1、2回〕、証人D、証人G、代表者C)及び弁論の全趣旨によれば、次のとおり認められる(認定理由は後記2(3)に記載のとおり)。
ア 平成6年10月31日、原告と被告富洋興産は、開発事業の対象となる土地(水路下土地を含む)の代金総額を8億1453万9000円とすること、ただし節税対策のため名目としては、〈1〉本体土地売買名下で3億6107万円、〈2〉ショートコース造成工事費名下で8400万円、〈3〉ショートコース営業損失補償費名下で1億4000万円、〈4〉水路下土地売買名下で5206万9000円、〈5〉打ちっ放し営業補償費名下で1億2000万円、〈6〉練習場預託金名下で4000万円、〈7〉練習場の駐車場保証金名下で1740万円とすること、原告から被告富洋興産への支払方法としては、〈1〉ないし〈3〉を平成7年1月、〈4〉ないし〈7〉を平成10年10月までに分割して支払うこと等を基本的に合意した。また、同時に、原告と被告富洋興産は、被告富洋興産から原告に対して本件消費貸借契約の元金5億8000万円を平成7年1月に支払い、利息1億8614万5000円のうち8614万5000円を平成10年10月に支払うこと(1億円については当分の間支払いを猶予すること。なお利息金の合計額については本件における請求額とは異なっている。)も基本的に合意した。この時点で、原告と被告富洋興産は、平成7年10月ころからの工事着工をこれらの合意の前提として考えていた。
イ 平成7年1月31日までには、開発事業からの伊藤忠商事の撤退の可能性が浮上し、経済環境の変化により、開発事業を当初の予定どおり進めることが難しい状況となったため、原告と被告富洋興産は、開発事業を一旦凍結することとし、そのため、本件消費貸借契約の利息も同年2月1日以降はゼロとし、貸付金の精算も当分の間延期(平成6年10月31日の時点では、前記のとおり平成7年1月に元金を支払うことで基本的に合意していたため、これをとりあえず同年9月30日までは延期)することで合意した。
ウ 平成7年3月20日、原告と被告富洋興産は、開発事業を一旦凍結するものの、開発事業の対象となる土地(水路下土地を含む)の代金総額とその名目について、平成6年10月31日に乙5の内容で合意したとおりの金額とすること(貸付金の利息のうち1億円の返済スケジュールは期限を定めない貸し付けとすること)、ただし土地売買契約の実施時期は別に協議すること、開発事業の具体化が可能となった場合には研修センターの管理運営には被告富洋興産を参加させること等を合意した。
エ その後、伊藤忠商事が開発事業から正式に撤退し、原告は、単独で開発事業を行うことが難しい状況となったため、開発事業全体を第三者に譲渡すること等を検討するとともに、平成9年2月ころには、本件消費貸借契約に基づく貸付金が発生したまま、開発事業の対象となった土地の売買契約が行われない状況が長期化していたため、被告富洋興産との間で、基本協定の解約と清算を含めた交渉に入ることになった。
オ 原告と被告富洋興産は、平成9年2月12日から同年9月26日までの交渉の結果、同年10月の時点において、〈1〉水路下土地を除く開発事業の対象となる土地の代金総額(今後の支払分)を合計8億7030万円とすること(名目は土地代名下で5億8000万円、構造物代名下で9030万円、営業損失補償名下で2億円。平成6年10月31日の時点で基本的に合意された代金総額8億1453万9000円の全体〔前記2(2)ア〈1〉ないし〈7〉の全体〕をこのように変更合意したもので〔ただし平成6年10月31日の基本合意は水路下土地の売買を含むものであったが、今回はこれを除いている点及び後記のとおり被告富士恒産に支払われる予定の6000万円が上乗せされている点が異なっている〕、原告が被告富洋興産に他の支払いをすることは予定しないもの)、〈2〉土地売買契約の実施時期を同年10月に1億5920万5000円、平成10年1月に7億1109万5000円とすること、〈3〉原告から被告富洋興産に対し、平成9年10月取引では全額を現金で支払うが、平成10年1月取引では5億8000万円について本件消費貸借契約の元本に充当して1億3109万5000円を支払うこと、〈4〉利息金の支払いについては平成12年12月末日とすること(この点については後記3で判断する。)等を合意した。また、原告と被告らは、業務委託費用として原告が被告富士恒産に対して支払う約束であった総額3億9593万2000円について(平成6年12月22日の合意、なお、この中の成功報酬1億5000万円については、基本協定締結の際に実質的な土地代金分として節税対策のため、原告から被告富士恒産に成功報酬名目で支払うことが約束されていたものである。)、原告から被告富士恒産に支払う業務委託費用を3億3600万円とし、差額の6000万円について、原告から被告富洋興産への支払いに上乗せして営業損失補償名下の2億円の中に含ませること(平成6年10月31日時点のショートコース営業損失補償費名下で1億4000万円であったものを増額すること)で合意した。この時点において、原告と被告富洋興産は、被告富洋興産による土地の造成及び建物の建築については、これを行わないことを当然の前提として前記合意がされており、その意味で基本協定は合意解約されたものと認められる。
カ 前記合意に基づいて、平成9年10月31日及び平成10年1月28日の土地売買契約と売買代金の決済が実行された。
(3) 以上のとおり認定できるが(したがって、前記2(2)ア〈4〉ないし〈7〉に基づく合意により、本件反訴請求代金の支払義務があるという被告富洋興産の主張は、被告富洋興産が主張する意味での合意〔被告富洋興産の主張は、前記2ア〈4〉ないし〈7〉を含めた同〈2〉ないし〈7〉の具体的な項目内容について、これに対応する代金を支払うことについての契約があったとの主張である。これに対して原告の主張は、同〈1〉ないし〈7〉の全体を一括して代金を決定する契約であり分断できる性質のものではないとの主張である。したがって、両者が主張する契約の性質は異なっていると考えられるから、被告富洋興産が主張する意味での契約が存したか否かが請求原因となる。〕を認めるに足りる証拠がないという意味でも、また、その後、これが変更されて変更後の合意にしたがって原告からの支払いが行われているという意味でも、被告富洋興産の反訴請求は理由がない。)、その理由は次のとおりである。
ア 被告富洋興産は、原告との間で、平成6年10月31日に前記2(2)ア〈2〉ないし〈7〉について、支払いを受けることを合意したと主張する。しかし、この時点で検討されていた金額は、開発事業の対象となった土地の実質的代金額の確定であり、項目分けについては節税対策のために行われていたにすぎないのであるから(被告富洋興産もこれらの項目の金額が実質的土地代金であると主張している。)、その一部についてのみ合意がされたというのは不自然というほかない。乙5の内容で基本的に了解を得たとするD部長の証言は合理的であり信用できる。また、その後、平成7年3月20日の時点で、原告から被告富洋興産に対し、乙6(確認事項という表題の書面で、乙5が別紙として添付されたもの)が示されているが、被告富洋興産がこれについて反対意思を表明していたものとも認められない。
なお、被告らは、原告から平成9年10月31日ころ、原告作成の乙12(前記2(2)ア〈4〉ないし〈7〉の支払を約した書面)を受け取ったとして、これを証拠として提出し、Cも原告から受け取った書面であると供述している。しかし、この書面には、「D部長提示書」、「富洋興産に税務上の損失を与えないための弁法の措置」、「D部長の提示書の通り支払っていく」、「日特kk」等、原告が作成して被告富洋興産に交付した書面としては(他の原告作成の書面と比較しても)、不自然な表現が存在し、原告作成書面であるとは認められない(また、これを原告から受け取ったとするCの供述は、Cの供述の全体としての信用性にもかかわる問題である。)。
イ 被告富洋興産は、原告との間で、平成9年10月の時点において、開発事業の対象となる土地の代金について、平成6年10月31日に約束された前記2(2)ア〈4〉ないし〈7〉の代金とは別に、合計8億7030万円の支払いを受けること(したがって、前記2ア〈1〉ないし〈3〉の合計5億8507万円を合計8億7030万円と変更すること〔ただし6000万円については被告富士恒産へ支払われるべきものを付け替えたもの〕)を合意したと主張する。
しかし、実質的土地代金を決定する交渉において、被告富洋興産が主張するように売買代金の一部のみを事前に合意し、残金部分のみを別に合意するということはそれ自体不自然である。そして、平成9年2月12日から同年9月26日までの交渉の内容が記載された業務報告の内容(甲26及び27〔枝番を含む〕)は、それ自体、格別不自然なものではなく、これらの交渉の結果として開発事業の対象となる土地(ただし水路下土地を除く)の代金額が合意されたと考えるのが合理的である。仮に、被告富洋興産が主張するように、合意された8億7030万円以外に、前記2(2)ア〈4〉ないし〈7〉についての合計2億2946万9000円もの支払いが前提となっていたとすれば、これをどのような方法によっていつ支払うかの具体的な話し合いが行われたと考えられるが(平成6年10月31日の合意という被告富洋興産の主張を前提としても、支払時期については、既に合意されたとする時期を経過している。)、この点についての話し合いが行われたことを窺わせる証拠はなく不自然というべきである(また、被告富洋興産は、前記2(2)ア〈4〉ないし〈7〉は、売買対象の土地以外の場所にある施設への補償等の名下であり、工事着工後の支払いでなければ矛盾するところ、平成9年10月31日及び平成10年1月28日の売買契約の対象となった土地は、前記補償費の対象となる練習場とは別の土地であるから、これらの売買契約が締結されたからといって、前記2(2)ア〈4〉ないし〈7〉の支払いについて清算されたことにはならないと主張する。しかし、交渉によって合意された代金額の内容は、結局、実質的土地代金の性質を有するものであるうえ、工事についての具体的な話し合いがされていたわけでもないから〔後記2(3)エ〕、この点についての被告富洋興産の主張は理由がない。また、被告富洋興産は、進入道路部分の土地が売買の対象となっていない点を指摘するが、将来の売買等も可能であり、この点が基本協定が継続している理由とはならない。)。
ウ 開発事業の対象となった土地の代金額(未払分)について、前記認定のとおり、平成6年10月31日の時点で8億1453万9000円と合意され、平成9年10月の時点で8億7030万円と合意されたことは不自然ではない。
この点について、被告富洋興産は、平成元年当時の基本協定での予定届出価格が16億8000万円であり、その一部についての国土法に基づく届出価格も13億5193万5000円であり、原告の評価でも12億8169万円であったのに、低額で合意することは不自然であると主張する。
しかし、基本協定において、被告富洋興産は、土地代金としては5億8000万円の予定ということで基本合意に達し(16億8000万円のうち、土地造成工事代金が5億円、建築工事代金が6億円であり、これらの代金部分については、一定の利益が上がるとしても、これらの工事には費用がかかるのであるから、利益は一定の範囲にとどまり、これらの代金を実質的土地代金と評価することはできない。)、また、これとは別に実質的土地代金の上乗部分として1億5000万円を成功報酬名下で被告富士恒産に支払うことも合意している(したがって、基本協定の時点で実質的土地代金は8億3000万円と基本合意されたと考えられる。そして、被告富洋興産においては、土地を所有していたとはいえ、平成4年6月までは高率の課税を避けるために売却することができない状態〔したがって換金することもできない状態〕であった反面、資金調達の必要性も高かったと認められること〔平成2年3月の基本協定締結前の平成元年9月に、既に被告富洋興産の代表者であったCが原告から3億円を借り入れているし、基本協定においても、実質的土地代金のうち成功報酬名下とする部分を除いた5億8000万円について、直ちに貸し付けを受けるという方法がとられていること等から、資金需要の必要性が高かったものと認められる。〕等から、基本協定でこのような実質的土地代金が定められたことが不自然なものとはいえない。)。したがって、平成6年10月31日時点の8億1453万9000円という金額は、この中から基本協定時には開発事業の予定地とは考えられていなかった水路下土地部分の価格(5206万9000円)を控除し、さらに成功報酬名下で被告富士恒産に支払われる1億5000万円を加算すると、合計9億1247万円となり、基本協定締結時に基本合意されていた金額と比較して低い金額ではない。また、平成9年10月時点の8億7030万円という金額も(水路下土地部分はもともと入っていない。)、被告富士恒産に支払われる9000万円(1億5000万円のうち6000万円は被告富洋興産に付け替えられている。)を加算すると、合計9億6030万円となり、基本協定締結時あるいは平成6年10月31日時点の金額と比較しても低い金額ではない。したがって、この点についての被告富洋興産の主張は理由がない。
エ 平成9年10月時点の原告と被告富洋興産の合意内容は、前記認定のとおり、被告富洋興産による土地造成及び建物建築を行わないこと等を当然の前提とした合意であり、被告富洋興産がこれを行うという開発事業についての基本協定を合意解約したものと認められる。すなわち、今後も被告富洋興産が土地造成及び建物建築を行うことが前提となっているのであれば、この点についての具体的な話し合いが行われたと考えられるが、これを認めるに足りる証拠はない(被告富洋興産は、原告が富士吉田市との交渉において、開発行為を続行する意思を示していた点を指摘するが、原告は、開発事業全体を第三者に売却することを考えていたのであり〔開発行為の変更自体が許可されるか否かは別の問題であるが〕、開発行為自体を取りやめることになれば、これを売却して損失を回復することも不可能になるから、富士吉田市との交渉においては、これを続行する意思を示していたものと認められる。)。
また、被告富洋興産が平成9年7月ころ、第三者に対して開発事業の対象となる土地についての売渡し承諾書を送付していることからも(前記1(16))、原告と被告富洋興産との間で、基本協定を合意解約する前提で話し合いが行われていたことが推認できる。
被告富洋興産は、基本協定が合意解約されるのであれば、土地造成工事及び建築工事で得ることのできる利益や従前から約束のあった研修センターの管理運営への被告らの参加による利益が失われるのにもかかわらず、この点についての話し合いが行われていない旨を主張する。しかし、そもそも土地造成工事や建築工事については、どの程度の利益が見込めるものであるかについて、従前から具体的な合意があったわけではないし(内容によっては利益にならない場合もあり得るし)、代金額についても前記2(3)ウで認定判断のとおり、平成6年10月31日時点の金額と比較して約5000万円程度は増額となっていること等を考慮すると、研修センターの管理運営への被告らの参加ができなくなったとしても(なお、開発事業自体の原告から第三者への売却の際に、原告が第三者に対し、被告らの参加についての何らかの働きかけをするという程度の話が出ていた可能性も否定できない。)、基本協定の合意解約(開発事業に関する債権債務の清算)に至ったことが不自然とはいえない。
(4) したがって、被告の反訴請求は、その余の点について判断するまでもなく理由がない。
3 利息金の支払いについて工事着工等を条件とする合意があったか等(争点(2))について
(1) 本件消費貸借契約が成立していることは当事者間に争いがないところ、被告らは、平成6年10月31日あるいはその後平成9年10月3日ころまでの間に、利息金の支払いについて、基本協定に基づく工事着工後、本件反訴請求代金の支払いがあった後に支払う旨の合意があったと主張するので検討する。
前記2(2)及び(3)で認定判断したとおり、原告と被告富洋興産の間の合意は、平成6年10月31日時点では、基本協定に基づく工事が行われることを前提としたうえで、利息金のうち8614万5000円について平成10年10月に支払うこと、利息金のうち1億円について当分の間はこれを猶予する旨の内容であったが(なお利息金の合計額については本件における請求額とは異なっている。)、平成7年1月31日あるいは遅くとも同年3月20日の時点では、開発事業を一旦凍結することを理由に、利息金の支払いについては当分の間猶予することを内容とするものであったと認められる(なお、乙6における期限を定めない貸し付けとの表現内容は、自然債務とする旨の合意とは認められないから、この点についての被告らの主張は理由がない。)。
(2) しかし、前記2(2)及び(3)で認定判断したとおり、平成9年10月3日付けのお願い書(甲6)を作成した時点において、原告と被告富洋興産の間で、利息金1億8573万9835円について、平成12年12月末日にこれを支払う旨の合意がされたものと認められ、この時点においては、前記利息金の支払いに関し、基本協定に基づく工事着工後あるいは本件反訴請求代金支払後に支払いを行う旨の約束は存しなかったものと認められる。
このように認定できる理由は、前記2(3)で説示したとおりであるが、加えて次の点からも明らかというべきである。すなわち、前記説示のとおり、原告と被告富洋興産との間の平成9年2月から9月にかけての交渉は、基本協定に関する債権債務を清算するために行われたものであり、したがって、本件消費貸借契約で発生した利息金の支払いについても交渉の内容となっていたことは明らかである。そして、この時点においては、被告富洋興産が土地造成や建物建築を行うことを前提としていなかったこと及び本件反訴請求代金の支払いを別に行う旨の合意がなかったことは、前記認定判断のとおりであるうえ、甲6の内容を検討しても、被告らが主張する条件についての記載は存しないから、利息金の支払いにこれらの条件が付されていなかったことは明らかというべきである。
この点について、被告らは、原告から受け取った工程表(乙11)は、平成9年9月から工事着工との記載になっており、被告富洋興産も平成9年9月から工事が着工されるものと考えていたと主張する。しかし、お願い書が作成された平成9年10月の時点においては、既に工程表(乙11)の着工時期を経過しており、工事日程について具体的な検討がされていないことは、前記2(3)エで説示したとおりであるから、工事が着工されることを前提と考えていたとのCの供述は採用できない。
(3) したがって、原告の本訴利息金請求は理由がある。
4 詐害行為取消請求の可否(争点(3))について
(1) 原告は、被告富洋興産に対し、前記利息金債権1億8573万9835円を有している(前記2で認定判断のとおり)。
(2) 被告富士恒産は、平成12年11月29日、被告富洋興産に対し、6000万円を貸し付けた(乙8、弁論の全趣旨)。被告富洋興産は、同日、被告富士恒産に対し、本件不動産の代物弁済予約を行い(以下、本件代物弁済予約という)、平成13年5月2日、被告富士恒産に対し、本件不動産についての前記代物弁済予約を原因とする所有権移転請求権仮登記手続を行った(甲府地方法務局吉田出張所第4416号)(前提となる事実(15))。
(3) 被告富洋興産は、本件仮登記がされた本件不動産以外の資産としては、ゴルフ練習場用設備器具等の動産程度しかなく、これらの価値は約5000万円である(なお、被告富士恒産は機械購入費を7350万円、備品購入費を420万円と主張しているところ、弁論の全趣旨によれば、これらの資産価値としては5000万円を超えるものとは認められない。)。また、本件不動産の価値は、弁論の全趣旨によれば(固定資産評価額等を参考に考えれば)、土地が約5230万円、建物が約6360万円の合計約1億1590万円と認められる。
被告富洋興産は、前記利息金債務及び被告富士恒産からの借入金のほか、谷村信用組合からの借入金約4300万円が存する(乙10、弁論の全趣旨)。
(4) 被告富洋興産は、本件不動産を被告富士恒産に対して代物弁済予約に供したことにより、残余財産がゴルフ練習場用設備器具等の動産類約5000万円程度しかない状態となり、債務は前記利息金債務と谷村信用組合からの借入金の合計2億2800万円を超える状態となっている。したがって、本件代物弁済予約(及び本件仮登記)が行われたことにより、債権者である原告において、債権の満足を得ることが出来ない状態になったものと認められる。
(5) ところで、被告富洋興産の代表者Bは被告富士恒産の代表者Cの長男であり(前提となる事実(1))、原告が平成13年4月17日到達の内容証明郵便で、前記利息金の請求を行ったところ(前提となる事実(14))、その直後の平成13年5月2日に本件不動産の代物弁済予約の仮登記が行われたものであること、前記説示のとおり代物弁済予約の前提となる債務が6000万円であるのに対し、代物弁済予約に供した本件不動産の価値は約1億1590万円と過大であること等を総合すると、本件代物弁済予約及び本件仮登記は債権者を害する行為であり、被告らはいずれもこれを認識したうえで本件代物弁済予約と本件仮登記を行ったものと認められる(なお、被告富士恒産は、原告が前記利息金債権について、被告富士恒産所有の不動産に十分な価値を有する抵当権を設定している旨を主張するが、債務者である被告富洋興産の所有する不動産についての抵当権ではないから、これを考慮すべきものではない。)。
(6) したがって、原告の被告富士恒産に対する詐害行為取消権に基づく本件代物弁済予約の取消及び本件仮登記の各抹消登記手続を求める本訴請求は理由がある。
5 以上によれば、原告の本訴請求はいずれも理由があるからこれを認容し、被告富洋興産の反訴請求は理由がないからこれを棄却することとして、主文のとおり判決する。
(裁判官 片田信宏)
(別紙)
物件目録1
番号 所 在 地 番 地 目 地 積(m2) 固定資産税評価額(円)
1 富士吉田市〈以下省略〉 〈省略〉 雑種地 422.00 54,860
2 〃 〈省略〉 〃 306.00 39,780
3 〃 〈省略〉 〃 63.00 8,190
4 〃 〈省略〉 〃 367.00 47,710
5 〃 〈省略〉 〃 196.00 25,480
6 〃 〈省略〉 〃 334.00 43,420
7 〃 〈省略〉 〃 197.00 25,610
駐車場費・調整池用地(水路下)の土地小計 1,885.00 245,050
8 富士吉田市〈以下省略〉 〈省略〉 雑種地 219.00 28,470
9 〃 〈省略〉 〃 5.03 653
10 〃 〈省略〉 〃 14.00 1,820
11 〃 〈省略〉 〃 168.00 21,840
12 〃 〈省略〉 〃 7.03 913
13 〃 〈省略〉 〃 13.00 1,690
14 〃 〈省略〉 〃 23.00 2,990
15 富士吉田市〈以下省略〉 〈省略〉 〃 103.00 13,390
16 〃 〈省略〉 〃 3.87 503
道路用地の土地小計 555.93 72,269
1小 計 2,440.93 317,319
(別紙) 物件目録2
番号 所 在 地番・家屋番号 地目・種類・構造 地積(m2) 固定資産税評価額(円)
17 富士吉田市〈以下省略〉 〈省略〉 雑種地 133.00 17,290
18 〃 〈省略〉 〃 39.00 5,070
19 〃 〈省略〉 〃 124.00 16,120
20 〃 〈省略〉 〃 1.65 214
21 〃 〈省略〉 〃 56.00 7,280
22 〃 〈省略〉 〃 8.77 1,140
23 〃 〈省略〉 〃 2.38 309
24 〃 〈省略〉 〃 290.00 37,700
25 〃 〈省略〉 〃 180.00 23,400
26 〃 〈省略〉 〃 305.00 39,650
27 〃 〈省略〉 〃 136.00 1,651,720
28 〃 〈省略〉 〃 56.00 7,280
29 〃 〈省略〉 〃 13.00 1,690
30 〃 〈省略〉 〃 142.00 18,460
31 〃 〈省略〉 〃 316.00 41,080
32 〃 〈省略〉 〃 62.00 8,060
33 〃 〈省略〉 宅地 9.91 1,288
34 〃 〈省略〉 〃 1,061.00 30,189,694
35 〃 〈省略〉 山林 206.00 2,501,870
36 〃 〈省略〉 〃 369.00 5,904
37 〃 〈省略〉 〃 61.00 976
38 〃 〈省略〉 雑種地 398.00 4,833,710
39 〃 〈省略〉 〃 1,30.00 12,509,350
40 〃 〈省略〉 〃 28.00 3,640
41 〃 〈省略〉 〃 73.00 9,490
42 〃 〈省略〉 山林 97.00 1,552
43 〃 〈省略〉 〃 371.00 5,936
44 〃 〈省略〉 〃 13.00 208
45 〃 〈省略〉 〃 103.00 1,648
46 〃 〈省略〉 〃 366.00 5,856
2小 計 6,050.71 51,947,585
1.2合 計 8,491.64 52,264,904
47 富士吉田市〈以下省略〉 〈省略〉 ゴルフ練習場
鉄骨造亜鉛メッキ鋼板葺2階建
1階 728.69
2階 737.86
63,585,650
総 合 計 11,850,554
(別紙) 物件目録3(1)
番号 物件の所在 地番 地目 地積 権利の種類
1 山梨県富士吉田市〈以下省略〉 〈省略〉 山林 1236m2 所有権
2 山梨県富士吉田市〈以下省略〉 〈省略〉 山林 333m2 所有権
3 山梨県富士吉田市〈以下省略〉 〈省略〉 山林 604m2 所有権
4 山梨県富士吉田市〈以下省略〉 〈省略〉 山林 2161m2 所有権
5 山梨県富士吉田市〈以下省略〉 〈省略〉 山林 1642m2 所有権
6 山梨県富士吉田市〈以下省略〉 〈省略〉 山林 304m2 所有権
7 山梨県富士吉田市〈以下省略〉 〈省略〉 山林 889m2 所有権
8 山梨県富士吉田市〈以下省略〉 〈省略〉 雑種地 1210m2 所有権
9 山梨県富士吉田市〈以下省略〉 〈省略〉 山林 119m2 所有権
10 山梨県富士吉田市〈以下省略〉 〈省略〉 山林 969m2 所有権
11 山梨県富士吉田市〈以下省略〉 〈省略〉 雑種地 800m2 所有権
12 山梨県富士吉田市〈以下省略〉 〈省略〉 雑種地 991m2 所有権
13 山梨県富士吉田市〈以下省略〉 〈省略〉 山林 439m2 所有権
14 山梨県富士吉田市〈以下省略〉 〈省略〉 山林 314m2 所有権
15 山梨県富士吉田市〈以下省略〉 〈省略〉 山林 1993m2 所有権
16 山梨県富士吉田市〈以下省略〉 〈省略〉 山林 369m2 所有権
17 山梨県富士吉田市〈以下省略〉 〈省略〉 山林 333m2 所有権
18 山梨県富士吉田市〈以下省略〉 〈省略〉 山林 925m2 所有権
19 山梨県富士吉田市〈以下省略〉 〈省略〉 山林 495m2 所有権
20 山梨県富士吉田市〈以下省略〉 〈省略〉 山林 495m2 所有権
21 山梨県富士吉田市〈以下省略〉 〈省略〉 山林 168m2 所有権
22 山梨県富士吉田市〈以下省略〉 〈省略〉 山林 849m2 所有権
23 山梨県富士吉田市〈以下省略〉 〈省略〉 山林 1173m2 所有権
(別紙) 物件目録3(2)
種類 事業用建物
用途 屋内スポーツ施設(テニスコート)
構造 鉄骨造り
敷地面積 2,500m2
その他 1.本件建物の概要については全て予定とする。
2.詳細については別に交付する設計図書に基づく。
以 上
(別紙) 物件目録3(3)
番号 物件の所在 地番 地目 地積
1 山梨県富士吉田市〈以下省略〉 〈省略〉 山林 836m2
2 山梨県富士吉田市〈以下省略〉 〈省略〉 山林 581m2
3 山梨県富士吉田市〈以下省略〉 〈省略〉 山林 52m2
4 山梨県富士吉田市〈以下省略〉 〈省略〉 山林 59m2
5 山梨県富士吉田市〈以下省略〉 〈省略〉 山林 224m2
6 山梨県富士吉田市〈以下省略〉 〈省略〉 山林 555m2
7 山梨県富士吉田市〈以下省略〉 〈省略〉 山林 92m2
8 山梨県富士吉田市〈以下省略〉 〈省略〉 山林 429m2
9 山梨県富士吉田市〈以下省略〉 〈省略〉 山林 961m2
10 山梨県富士吉田市〈以下省略〉 〈省略〉 山林 423m2
(別紙)
物件目録3(4)
1.造成工事
概算工事金額 金500,000,000円
予定工期 自平成3年3月 至平成4年6月
2.建築工事
概算工事金額 金600,000,000円
予定工期 自平成3年12月 至平成4年6月
以 上
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