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「営業支援」に関する裁判例(69)平成25年 2月22日 東京地裁 平23(ワ)638号 損害賠償請求事件

「営業支援」に関する裁判例(69)平成25年 2月22日 東京地裁 平23(ワ)638号 損害賠償請求事件

裁判年月日  平成25年 2月22日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平23(ワ)638号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  一部認容、一部棄却  上訴等  控訴  文献番号  2013WLJPCA02228004

要旨
◆破産会社の株式購入後、同社が有価証券報告書等に架空売上を計上するなどの虚偽記載をしていたことが発覚し同株式の価値が大幅に下落したと主張する原告が、被告破産管財人Y1に対しては破産債権として損害賠償債権を有することの確定を求め、破産会社の役員であったその余の被告らに対しては損害賠償を求めた事案において、被告Y5は財務に直接携わっていなかったこと、同人以外の被告役員らが被告Y5に気付かれないよう秘密裏に虚偽記載等を進めていたことなどによれば、被告Y5は金商法21条2項1号の免責要件を満たすとして被告Y5の損害賠償責任を否定する一方、その余の被告らの損害賠償責任を認めるなどして、請求を一部認容した事例

新判例体系
公法編 > 産業経済法 > 金融商品取引法〔昭和… > 第二章 企業内容等の… > 第二一条 > ○虚偽届出書提出会社… > (二)第二項第一号該当性
◆株式会社の取締役は、有価証券報告書等の虚偽記載につき、金融商品取引法第二一条第二項第一号の「相当な注意」を尽くしていた。

 

評釈
岩田合同法律事務所・新商事判例便覧 3074号(旬刊商事法務2010号)
藤林大地・金商 1479号2頁
黒沼悦郎・リマークス 52号78頁
寺前慎太郎・同志社法学 67巻1号303頁
石毛和夫・銀行法務21 782号69頁
石毛和夫・銀行法務21 798号107頁
陳宇・法学研究(慶應義塾大学) 90巻11号79頁

参照条文
金融商品取引法21条1項1号
金融商品取引法21条2項1号
金融商品取引法22条1項
金融商品取引法24条の4
証券取引法18条(平18法65改正前)
民法709条
民法719条1項
会社法350条
会社法429条

裁判年月日  平成25年 2月22日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平23(ワ)638号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  一部認容、一部棄却  上訴等  控訴  文献番号  2013WLJPCA02228004

川崎市〈以下省略〉
原告 X
同訴訟代理人弁護士 島津守
同 梅津有紀
同 栗田祐太郞
同 福田恵太
東京都新宿区〈以下省略〉
被告 破産者株式会社シニアコミュニケーション破産管財人 Y1
同訴訟代理人弁護士 綱島正人
同 小田切豪
同 市川浩行
同 安隆之
神奈川県横須賀市〈以下省略〉
被告 Y2
同訴訟代理人弁護士 山中雅雄
東京都渋谷区〈以下省略〉
被告 Y3
同訴訟代理人弁護士 表宏機
同 楠谷望
川崎市〈以下省略〉
被告 Y4
同訴訟代理人弁護士 藤原靖夫
同 秋山太一
東京都千代田区〈以下省略〉
被告 Y5
同訴訟代理人弁護士 吉原朋成
同 大櫛健一
同訴訟復代理人弁護士 大浦貴史

 

 

主文

1  原告が破産者株式会社シニアコミュニケーションに対し東京地方裁判所平成24年(フ)第1679号事件につき259万6239円の破産債権を有することを確定する。
2  被告Y2,被告Y3及び被告Y4は,原告に対し,連帯して,243万5796円及びこれに対する平成22年10月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3  原告の被告破産者株式会社シニアコミュニケーション破産管財人Y1,被告Y2,被告Y3及び被告Y4に対するその余の請求並びに被告Y5に対する請求をいずれも棄却する。
4  訴訟費用は,原告に生じた費用の30分の1と被告破産者株式会社シニアコミュニケーション破産管財人Y1に生じた費用の7分の1とを同被告の,原告に生じた費用の30分の1と被告Y2に生じた費用の7分の1とを同被告の,原告に生じた費用の30分の1と被告Y3に生じた費用の7分の1とを同被告の,原告に生じた費用の30分の1と被告Y4に生じた費用の7分の1とを同被告の各負担とし,原告及び上記被告4名に生じたその余の費用並びに被告Y5に生じた費用を原告の負担とする。
5  この判決は,第2項に限り,仮に執行することができる。

 

事実及び理由

第1  請求
1  原告が破産者株式会社シニアコミュニケーションに対し東京地方裁判所平成24年(フ)第1679号事件につき1876万5413円の破産債権を有することを確定する。
2  被告Y2,被告Y3,被告Y4及び被告Y5は,原告に対し,連帯して,1760万3446円及びこれに対する平成22年10月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
本件は,原告が,取引所市場に上場されていた株式会社シニアコミュニケーション(以下「破産会社」という。)の株式を購入したところ,破産会社が有価証券報告書等に架空の売上を計上するなどの虚偽記載をしていたことが発覚して同株式の価値が大幅に下落し,損失を被ったとして,被告破産会社破産管財人Y1(以下「被告管財人」という。)に対しては,原告が破産会社に対し,破産債権として,金融商品取引法(以下「金商法」という。)21条の2(平成18年法律第65条による改正前は,証券取引法(以下「証取法」という。)18条),民法709条,719条又は会社法350条に基づき1876万5413円の損害賠償債権を有することの確定を求め,破産会社の役員であったその余の被告らに対しては,金商法24条の4,21条1項1号,22条1項(上記改正前は,証取法24条の4,21条1項1号,22条1項),民法709条,719条又は会社法429条に基づき,損害金1760万3446円及びこれに対する催告後の日である平成22年10月28日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求めた事案である。
1  争いのない事実等(認定事実は末尾の括弧内に証拠を掲記する。)
(1)  当事者
ア 破産会社は,平成12年5月17日に設立されたシニアマーケットに特化したコンサルティング業務を目的とする株式会社(平成23年3月24日までの資本金額14億1987万2130円,発行済み株式総数5万2831株)であったが,平成24年2月22日には東京地方裁判所において破産手続開始決定を受け(同庁平成24年(フ)第1679号),被告管財人が破産管財人に就任した。(甲2の2,弁論の全趣旨)
イ 被告Y2,被告Y3及び被告Y4は,破産会社の設立当初から平成22年6月4日まで,被告Y5は平成18年6月29日から平成21年6月26日まで破産会社の取締役であった者(以下,上記被告4名を併せて「被告役員ら」という。)である。
(2)  破産会社による有価証券報告書等の虚偽記載
破産会社は,平成16年4月1日から平成17年3月31日までの平成17年3月期の売上について,約2億5700万円の架空の売上を計上した内容虚偽の有価証券報告書等を作成するなどして,約6億4300万円と公表し,同年12月9日,東京証券取引所マザーズ市場(以下「東証マザーズ」という。)に株式を上場し(以下「本件上場」という。),その後も,【別紙】1記載のとおり,平成17年4月1日から平成20年12月31日までの売上,損益,純資産の額等について虚偽の内容が記載され,又は重要な事項の記載が欠けている有価証券報告書,四半期報告書,有価証券届出書,内部統制報告書,半期報告書(以下,これらを併せて「本件有価証券報告書等」といい,これらに記載された売上等の虚偽記載及び重要な事項の記載の欠落を「本件虚偽記載等」という。)を作成して財務局に提出し,本件有価証券報告書等は,順次公衆の縦覧に供された(甲2の1及び2,甲6の1,弁論の全趣旨)
(3)  原告による破産会社の株式購入
原告は,破産会社の株式について,【別紙】2の「買付日(約定日)」欄記載の日に,それに対応する「株数」欄記載の数の株式を一株当たり「価格(1株)/円」欄記載の価格で,「諸経費合計」欄記載の額の手数料及び消費税相当額(以下「手数料等」という。)を負担して購入し,同「売却日(約定日)」欄記載の日に,それに対応する「株数」欄記載の数の株式を一株当たり「価格(1株)/円」欄記載の価格で,「諸経費合計」欄記載の額の手数料等を負担して売却したところ,これらの取引により,合計213株を購入して代金1745万2890円と手数料等6万9556円を支払い,合計15株を売却して代金151万9000円を受領し,手数料等2000円を支払った(以下「本件売買」という。)。(甲1の1ないし3,弁論の全趣旨)
(4)  本件虚偽記載等の公表と破産会社の株式の上場廃止
破産会社は,平成22年4月13日,「調査委員会の設置に関するお知らせ」を公表し,一部の会計処理の修正を要する可能性のある事象に関する調査を目的として,弁護士及び公認会計士から成る外部調査委員会を設置することを決定して公表し,同年6月4日,外部調査委員会の調査の結果,破産会社が平成16年3月期から平成22年3月期までの間粉飾決算を前提にした虚偽の内容が記載された有価証券報告書等を継続して提出していたことが外部調査委員会の調査によって判明したとの事実を公表し,破産会社の株式は,同年9月25日付けで上場が廃止された。(乙イ9)
(5)  原告による破産債権の届出と被告管財人による異議
原告は,本件虚偽記載等により破産会社の株式を購入して損害を被ったなどとして,前記破産事件において,金商法21条の2第,民法709条又は会社法350条に基づく損害賠償金1760万3446円及びこれに対する催告後の日である平成22年10月28日から破産開始決定日の前日である平成24年2月21日までの遅延損害金の合計額として1876万5413円の破産債権を有する旨を被告管財人に届け出たところ,被告管財人は,平成24年7月9日,212万6396円の限度でのみ原告の破産債権の存在を認め,残額について異議を述べた。
2  争点及び争点に関する当事者の主張
(1)  被告Y3及び被告Y5は,本件虚偽記載等を知らず,かつ,相当な注意を用いたにもかかわらず知ることができなかったか(争点(1))。
【被告Y3の主張】
被告Y3は,財務書類の作成を担当する役員ではなかったため,有価証券報告書等の作成に直接関与していなかったから,本件虚偽記載等を知らず,かつ,相当な注意を用いても知ることができなかった。
したがって,被告Y3は,金商法24条の4,21条1項1号,22条1項又は証取法24条の4,21条1項1号,22条1項による損害賠償責任を負わない。
【被告Y5の主張】
破産会社では,会社業務全般については被告Y2が代表取締役として,財務については被告Y4が管理部門統括取締役として,営業については被告Y3が営業部門統括取締役としてそれぞれ担当しており,これら創業者である3名の取締役(以下「創業者被告ら」という。)に統括権が集中していた。他方で,被告Y5の担当業務は,コンサルティング業務,企画書や提案書の作成などの営業支援業務及びコミュニティWEBサイト運営業務といった現場業務であり,本件虚偽記載等は被告Y5以外の取締役及びその直属の部下によって内密かつ監査法人による監査でも見抜けないほど巧妙に実行され,被告Y5及びその監督下にあった従業員は,これに全く関与せず,気付くこともできなかった。
被告Y5は,取締役会において配布された報告資料等の内容をその都度検討しても不審な点がないこと,監査法人から発せられる監査証明書において無限定適正意見が付されていること,自身又は部下が担当した営業案件についての発注書等の管理が財務部門において厳格に行われていること,入金管理が財務部門において厳格に行われていることを確認していたのであり,相当な注意を用いたにもかかわらず本件虚偽記載等を知ることができなかった。
したがって,被告Y5は,金商法24条の4,21条1項1号,22条1項又は証引法24条の4,21条1項1号,22条1項による損害賠償責任を負わない。
【原告の主張】
被告Y3及び被告Y5の主張は否認し,争う。
被告Y3は,被告Y4及び被告Y2と共謀の上で発注書,検収書等の会計証憑を偽装し,不正な会計処理に基づく不足金を補填するなどしていたから,財務書類作成を担当していなかったからといって,本件虚偽記載等を知らず,かつ,相当な注意を用いたにもかかわらず知ることができなかったとはいえない。
被告Y5は,破産会社の常勤取締役であり,取締役会はもとより,経営会議にも参加しており,現場営業職としての職責を任され,破産会社全体の売上金額や財務状況を把握することができる立場にあったのであり,本件虚偽記載等のような巨額の売上金に係る粉飾に気付くことが可能な立場にあったといえるから,被告Y5が相当な注意を用いても本件虚偽記載等を知ることができなかったとはいえない。
したがって,被告Y3及び被告Y5は,金商法24条の4,21条1項1号,22条1項又は証取法24条の4,21条1項1号,22条1項に基づき,他の被告らと連帯して,原告に生じた損害を賠償する責任がある。
(2)  被告役員らは,故意又は過失によって,本件虚偽記載等を行ったか(争点(2))。
【原告の主張】
上場会社の売上等の財務情報は投資家が投資の適否を判断する上で最も重要な情報であり,当該会社の役員は,投資家に対し,重要な財務情報について虚偽記載がないようにすべき注意義務を負っているところ,被告役員らは,共謀の上,故意(被告Y5は故意又は過失)によってこの義務を怠り,本件虚偽記載等を行った。
したがって,被告役員らは民法709条,719条に基づき,破産会社は会社法350条に基づき,連帯して,原告に生じた損害を賠償する責任がある。
【被告らの主張】
原告の主張は否認する。
(3)  本件虚偽記載等がされたことについて,被告役員らには,悪意又は重大な過失による職務の懈怠があったか(争点(3))。
【原告の主張】
被告役員らは,故意に本件虚偽記載等を行ったのであるから,取締役として負うべき善管注意義務(会社法330条,民法644条)に違反しており,本件虚偽記載等がされたことについて,悪意又は重大な過失による職務の懈怠があった。
したがって,被告役員らは,会社法429条に基づき,連帯して,原告に生じた損害を賠償する責任がある。
【被告役員らの主張】
原告の主張は否認する。
(4)  原告が本件虚偽記載等によって被った損害の額はいくらか(争点(4))。
【原告の主張】
破産会社は,平成16年3月期以降継続して赤字を計上しており,本件虚偽記載等がなければ,本件上場はなく,原告が破産会社の株式を購入することもなかったのであるから,被告会社の株式を取得したことが原告の損害に当たるといえる。そして,現時点において破産会社の株式に価値はないから,破産会社の株式の購入代金である1745万2890円と売却代金の151万9000円の差額1593万3890円及び購入に当たって要した手数料等6万9556円が損害に当たる(被告らは,積極的に本件虚偽記載等の原因を是正・解消しようとせず,粉飾決算を隠し通そうとしたこと,本件虚偽記載等における虚偽事実の内容は,企業価値そのものに関する事項であり,破産会社の株式は原告が購入した当時から無価値同然であったこと,原告によるその購入自体に重大な瑕疵があったことから,すると,本件虚偽記載等に起因しない市場価格の下落分は存在せず,これを上記損害額から控除すべきではない。)。
また,原告は,上記損害の賠償を求めるために弁護士である原告訴訟代理人に委任して本件訴訟を提起することを余儀なくされたところ,その弁護士費用のうち160万円の支出が本件虚偽記載等と相当因果関係のある損害である。
【被告管財人及び被告Y3の主張】
原告の主張は否認する。
本件虚偽記載等がなければ本件上場がなかったとはいえないし,原告は,本件虚偽記載等が公表された後にも破産会社の株式を買い増していたのであるから,本件虚偽記載等と原告による破産会社の株式の購入との因果関係も認められない。
仮に上記因果関係が認められるとしても,原告の破産会社の株式の購入と相当因果関係のある損害の額は,取得価格から本件虚偽記載等の公表直前の市場価格までの下落額を差し引き,これと処分価格又は保有株式の評価額との差額(以下「本件差額」という。)になる。本件虚偽記載等の公表日は,外部調査委員会が破産会社の有価証券報告書及び四半期報告書における売上計上について修正する必要がある旨を開示した平成22年6月4日とすべきところ,原告は,その取得した破産会社の株式のうち15株については,同日の前に売却しているから,その取得による損害は,本件虚偽記載等との間に因果関係がない。また,同日の株価は1万1320円であり,原告の保有株式の評価額は,破産会社の株式の上場廃止日である平成22年9月25日における東証マザーズの終値である一株当たり300円とすべきであり,原告がその後も破産会社の株式を保有し続け,破産会社の破産によりこれが無価値になったことによる損害は,本件虚偽記載等に起因するとはいえない。さらに,原告は,破産会社の株式を取得したことにより,合計9万8500円の配当金を受領しているから,同額を損害から控除すべきである。
【被告Y2の主張】
原告の主張は否認する。
本件虚偽記載等によって原告が被った損害の額は,原告が破産会社の株式を取得した際の取得価格と本件虚偽記載等がなく当初から真実の情報が市場に反映されていたと仮定した場合における想定価格との差額になる。
その他の点については,被告Y2の主張に反しない限り,他の被告らの主張を援用する。
【被告Y4の主張】
原告の主張は否認する。
本件虚偽記載等によって原告が被った損害の額は,本件差額とすべきであるが,本件虚偽記載等の公表日は破産会社に係る外部調査委員会が設置された平成22年4月13日とすべきである。
その他の点については,被告Y4の主張に反しない限り,他の被告らの主張を援用する。
【被告Y5の主張】
被告管財人の主張を援用する。仮に被告Y5に責任があるとしても,同被告が取締役就任後初めて有価証券報告書等が提出されるまでに原告が取得した破産会社の株式(平成17年12月12日及び平成18年2月21日に購入したもの)に係る損害は,被告Y5の責任との間に因果関係がない。
第3  争点に対する判断
1  争点(1)(被告Y3及び被告Y5は,本件虚偽記載等を知らず,かつ,相当な注意を用いたにもかかわらず知ることができなかったか。)について
(1)  認定事実
前記争いのない事実等,証拠(認定事実の末尾に掲記する。)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。
ア 破産会社は,平成12年5月17日,中学,高校の同級生であった創業者被告らによって設立され,被告Y2が会社運営全般,被告Y3が営業,被告Y4が財務を担当し,創業者被告らは,平成15年ころから破産会社の上場の準備を開始した。(甲2の2)
イ 破産会社は,平成16年3月期から監査法人による監査を受けるようになったが,監査法人との協議を経て,売上計上基準として進行基準(決算期末にプロジェクトの進行程度を見積もり,適正なプロジェクト収益率によってプロジェクト収益の一部を当期の損益計算書に計上する売上計上基準)を導入した。(甲2の2)
ウ 破産会社は,平成16年6月,上場準備のためにHS証券と主幹事契約を締結したが,上場準備業務を主に担当した被告Y4は,被告Y2や被告Y3とも相談の上,上場準備のため,平成17年3月期の期初から前倒しでの売上計上や架空の売上計上をするようになったほか,その期中には,契約金額が減額されたり,契約が頓挫したりして,実際に入金が見込めない案件が生じ,本来であれば,既に売上計上したものの取消処理や業績予測の下方修正をすべき事態が生じたにもかかわらず,平成17年3月期の中間監査が終了していたことなどから,上場等の目的のために不正会計処理を継続することとし,本来不良債権化(個別貸倒引当金の計上や売上の取消し)すべき債権についても正常債権を装い,不良債権化を先延ばしにする手立てを講じ,監査法人の監査に対応するため,発注書等を売上計上時期に合わせて作り変えるとともに,事実と異なるタイムシートや進行基準表を作成するなど,監査法人に対する会計証憑を自ら偽造するようになった。(甲2の2)
エ 被告Y2や被告Y3は,売上を前倒しで計上したものの入金の見込のない案件を「不稼働」と呼び,創業者被告らのみが参加する経営会議において,被告Y4から報告を受けて上記のような会計処理方針を決定し,監査法人から売掛金について事情聴取された際には被告Y4の指示するとおりに説明をしたり,被告Y4の要請を受けて取引先担当者や破産会社の従業員の名義の書類の偽造に協力したりすることもあった。(甲2の2)
オ 破産会社は,平成17年1月,主幹事会社をHS証券からみずほインベスターズ証券に変更したが,引き続き,被告Y4がその直属の部下職員2名に指示して,売上の前倒し計上(進行基準表の作成),中途で頓挫し,代金額が減額された案件や売上計上後入金されない案件の入金補填処理,監査法人への説明用会計証憑(発注書,検収書等)の偽造,監査法人から取引先に送付された残高確認状の回収及び回答書の偽造等の不正会計処理を行った上,創業者被告らは,有価証券届出書等に虚偽記載があることを認識しながら,平成17年12月9日,本件上場を果たした。(甲2の2)
カ 被告Y4は,平成18年2月頃,前記のような不良債権化の先延ばしでは対応できない状況になったため,自らの手持ち資金を破産会社に入金して不正な会計処理による資金不足の補填に充てるようになり,それでも足りなくなると順次被告Y3,被告Y2に資金提供を求め,被告Y3及び被告Y2は,資金不足の穴埋めに充てられることを認識しながら,被告Y4に本件上場で得た破産会社の株式の売却益などを原資とする資金提供を行い,平成18年2月から同年12月までの補填額は,創業者被告らの合計で約1億9400万円に上った。(甲2の2)
キ また,被告Y4は,平成19年6月,株式売却益だけでは資金不足の穴埋めをすることができなくなったことから,被告Y2及び被告Y3の了承を得て,株式担保融資により約2億5000万円の融資を受け,これを入金未了の売掛金の振込みのように装って,破産会社に入金した。(甲2の2)
ク さらに,被告Y4は,手持ち資金が枯渇すると,被告Y2及び被告Y3の了承を得て,取引先の請求書を偽造するなどして既に退職した従業員の給与や高額のソフトウェアの購入費用等の架空の経費を計上して資金を破産会社から流出させ,これを架空の売掛金の支払として破産会社に環流させるなどした。(甲2の2)
ケ 破産会社について,平成22年3月16日,監督官庁の任意調査を契機として,過去において不適切な会計処理が行われていた疑いがあることが判明した。(甲2の2)
コ 被告Y5は,コンサルティング会社でマーケティング業務を担当していた経験を買われて平成14年1月に破産会社に従業員として就職し,コンサルティング業務,企画書や提案書の作成業務,破産会社が運営する中高年・高齢者向けもコミュニティウェブサイトの運営業務などを担当していたところ,創業者被告らにその働きを認められたため,平成18年6月29日に破産会社の取締役に就任したが,その後も,担当業務は変わらず,現場の責任者として業務に当たっており,財務に関する事項は,被告Y4及び被告Y2が共に銀行出身者であり,豊富な経験を有していたことから,専らこれらの被告に委ねられていた。(乙ホ5,被告Y5)
サ 破産会社の取締役会では事業報告の際に会計に係る報告資料が添付されており,被告Y5は,取締役会にほぼ毎回出席して,これらの資料に目を通していたが,不正をうかがわせる記載はなく,また,配布されていた監査証明書には,監査法人による無限定適正意見が付されていた。(乙ホ5,被告Y5)
シ 創業者被告らは,破産会社の不正な会計処理について相談する際には,被告Y5が同席しないようにするなどして,同処理が被告Y5に発覚しないように務め,被告Y5は,家事代行サービス業等を目的とする会社を設立するために,平成21年6月26日に破産会社の取締役を辞任して同社を退職するまで,同処理について認識しなかった。(甲2の2,乙ホ1,3ないし5,被告Y5,弁論の全趣旨)
(2)  被告Y3の免責の主張について
(1)で認定したとおり,被告Y3は,破産会社の取締役として財務担当の被告Y4から相談を受け,被告Y2と共に不正な会計処理について方針を決定し,会計証憑の偽造をし,不正な会計処理に伴う資金不足の穴埋めのために自己資金を拠出するなどしたのであるから,本件虚偽記載等を認識していたことは明らかである。
よって,被告Y3の争点(1)についての主張には理由がない。
(3)  被告Y5の免責の主張について
ア (1)で認定したとおり,破産会社では各取締役の間で職務の分担がされており,財務に関する事項は,専らこれに関する専門的な知識,経験を有する被告Y2や被告Y4にゆだねられていたこと,被告Y5は,現場の実務を担当して財務に直接携わっていなかったこと,被告Y5は,ほぼ毎回取締役会に出席し,取締役会に提出される会計に係る報告書類に目を通していたが,これらの書類は,いずれも創業者被告らにより証憑を偽造するなどして巧妙に虚偽記載が含まれることを判別できないようにされていた上,監査法人の無限定適正意見の付されたものであったこと,創業者被告らは,不正な会計処理をするに当たり被告Y5を謀議から排除し,被告Y5がこれに気が付かないように秘密裏に事を進めていたことに照らすと,被告Y5は,本件虚偽記載等について知らず,かつ,相当な注意を用いたにもかかわらず知ることができなかったものと認めるのが相当である。
イ 原告は,この点につき,被告Y5が破産会社の常任取締役であり,破産会社が粉飾決算によっても黒字を計上できなかった平成21年3月期の決算が公表される直前である平成21年6月26日に破産会社を退職したことを根拠に,被告Y5が不正な会計処理を認識しており,株主からの追及をおそれて辞任したと主張する。
しかし,被告Y5は,常任取締役といっても,他の被告役員らとは異なり,創業者ではなく,一従業員から取締役に就任したものであって,その後もその担当業務に変更はなく,破産会社の財務に関する事項を担当していなかったのであり,また,被告Y5が破産会社を退職したのは,家事代行サービス業等を目的とする会社を設立するためであり,現に被告Y5は,退職直後に同業務を目的とする会社を設立している(乙ホ4)のであるから,原告の上記主張は採用することができない。
また,原告は,被告Y5が担当していた業務に係る売上は,破産会社全体の2割から5割程度を占めていたところ,破産会社で行われていた粉飾は売上の3分の1に及ぶから,被告Y5は取締役会で提出される決算書類を確認することで,粉飾に気が付くことができたと主張する。
しかし,そもそも粉飾が被告Y5の担当する業務の売上について行われていたことについても,被告Y5の担当する業務の売上が他の業務の売上と判別できる決算書類が作成されていたことについても,これを認めるに足りる証拠はなく,前記認定のとおり,創業者被告らは粉飾決算が被告Y5に露見しないように注意を払っていたことからすると,原告の指摘する事情により被告Y5が粉飾に気が付くことができたと認めることはできない。
そして,他に,アの認定を左右するに足りる証拠はない。
ウ そうすると,被告Y5の争点(1)についての主張には理由がある。
(4)  以上によれば,被告Y3は,金商法24条の4,22条1項又は証取法24条の4,22条1項に基づき,破産会社並びに被告Y2及び被告Y4と連帯して,原告に生じた損害を賠償する責任があるが,被告Y5にはその責任はないというべきである。
2  争点(2)(被告役員らは,故意又は過失によって,本件虚偽記載等を行ったか。)及び争点(3)(本件虚偽記載等がされたことについて,被告役員らには,悪意又は重大な過失による職務の懈怠があったか。)について
(1)  争点(1)についての判断で説示したところによれば,被告Y5は,本件虚偽記載等を知らず,かつ,相当な注意を用いたにもかかわらず知ることができなかったのであるから,故意又は過失によって本件虚偽記載等を行ったとか,本件虚偽記載等がされたことについて,悪意又は重大な過失による職務の懈怠があったということはできない。
したがって,被告Y5は,本件虚偽記載等がされたことについて,民法709条,719条又は会社法429条に基づいて原告に対して損害賠償責任を負うこともない。
(2)  本件虚偽記載等がされたことについて,破産会社に民法709条,715条又は会社法350条に基づく責任が生じるとしても,それに基づく損害賠償額は,金商法21条の2第1項又は証取法18条に基づく損害賠償額を上回るものではない。
(3)  本件虚偽記載等がされたことについて,創業者被告らに民法709条,715条又は会社法429条に基づく責任が生じるとしても,それに基づく損害賠償額は,金商法24条の4,22条1項又は証取法24条の4,22条1項に基づく損害賠償額を上回るものではない。
3  争点(4)(本件虚偽記載等によって原告が被った損害の額はいくらか。)について
(1)  認定事実
前記争いのない事実等,証拠(認定事実の末尾に証拠を掲記する。)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
ア 破産会社の株価は,【別紙】3記載のとおり,本件上場後の平成17年12月12日の取引開始時に36万3333円の値を付け,同月28日に59万9994円の値を付けたものの,その後は徐々に値を下げていき,平成19年には10万円を,平成20年には5万円を割り込み,一時的な上昇と下落を繰り返しながらも,平成21年以降は概ね1万円と2万円の間の値で推移し,同年11月以降は,1万1000円前後から1万2000円前後の間の値を付け,1日の出来高もおおむね数株から数十株にとどまり,安定的に推移していた。(乙イ1,3)
イ 破産会社が平成22年3月11日に子会社を設立することを発表したところ(以下「3月11日発表」という。),破産会社の株価は,急上昇し,10日余の間に2万円の値を付け,いったん1万6000円台まで下落したが,同年4月7日以降再び2万円台を回復し,同月8日には2万1850円に達した。(乙イ1,3)
ウ ところが,破産会社は,平成22年4月13日,「調査委員会の設置に関するお知らせ」を公表し,「今般,社内調査にて,過去の決算において修正を要する可能性のある事象が判明いたしました。当社としましては,早急に事実関係の詳細及び業績に与える影響の有無を調査する必要があること,第三者の立場で全容の解明を行っていただくため,社外の弁護士及び公認会計士による調査委員会を設置いたします。」,「当該事象による影響額及び範囲等について,現在のところ明らかになっておりませんが,早急に事実関係の調査及び確認を進め,1ヶ月程度を目処に完了する予定です。事実関係が判明次第,適時に開示を行って参ります。」との発表を行い,過去の決算の修正の可能性があることを開示し,同時に破産会社の過去の決算に係る外部調査委員会を設置するとの発表(以下「4月13日発表」という。)をしたところ,同日に2万0550円の値を付けていた破産会社の株価は翌日には1万7800円に下落し,その後も続落した。(甲イ9)
エ もっとも,破産会社の株式の1日の取引の出来高は,4月13日発表の翌日にこそ1351株に及んだものの,次第に減少して同年6月初めには数十株にまで減少し,株価も,同年5月19日に1万1210円の値を付けた後は,再び1万1000円前後で上下し,比較的安定的に推移したが,同年6月4日に外部調査委員会の調査により破産会社で多額の粉飾決算が行われており,決算を修正する必要があること,及び破産会社の株式が監理銘柄に指定されたことが公表(以下「6月4日発表」という。)されると,同日1万1320円の終値を付けていた破産会社の株価は,翌日8320円に急落し,同月20日には,1日の出来高が2万2538株に及び,その後も1日の出来高が1万株を超える日が続いた。(甲2の1及び2,乙イ1,3)
オ 破産会社の株価は,同月14日に2851円の値を付けた後,同年8月6日には7040円まで持ち直したが,同月24日に上場廃止の方針が決定されると,同日の終値4850円から大幅に下落し,同年9月25日に上場が廃止された時点では300円にまで下落していた。(甲3の1,乙イ1,3)
カ 日経平均株価(終値)は,破産会社の株式が東証マザーズに上場された前日の平成17年12月8日には1万5183円36銭であったが,外部調査委員会の報告書が公表された平成22年6月4日には9901円19銭まで下落し,東証マザーズのマザーズ指数(市場全体の時価総額を示す指標であって,普通株式全銘柄を構成銘柄として時価総額加重平均型株価指数の形で算出されたもの)は,平成7年12月,約2050ポイントから約2500ポイントの間で推移し,破産会社の株式が上場された翌月の平成18年1月16日には,2799.6ポイントまで上昇したが,平成22年6月4日には424.86ポイントまで下落した(乙イ5ないし8)。
(2)  1で認定したとおり,創業者被告らは,破産会社を上場させるために粉飾決算を行うようになり,その額も平成17年3月期において公表売上額約6億4300万円のうち約2億5700万円にも上っていたことに照らせば,東証マザーズでは利益の額が上場のための形式基準とされていなかったこと(乙イ2)を考慮しても,粉飾決算に基づく有価証券報告書等が提出されなければ破産会社は本件上場をしていなかったと推認することができる。
そして,破産会社は,本件上場後も多額の粉飾をした売上を計上して有価証券報告書等に虚偽の記載を続け,仮にこれが発覚すれば上場が廃止されていたと認めることができる(現に,本件虚偽記載等発覚後間もなくして破産会社の株式は上場が廃止されている。)のであるから,本件虚偽記載等がなければ,原告が市場で破産会社の株式を取得することはなかったと認められる。
さらに,原告が投資目的で破産会社の株式を市場で購入してきたこと(甲16,弁論の全趣旨)に照らせば,原告が本件虚偽記載等の公表後に2株購入したことを考慮しても,原告は,破産会社の株式が上場されて市場で購入する機会がなければ,同株式を取得することはなかったといえる。
そうすると,本件虚偽記載等と本件売買との間には因果関係があると認めることができる。
(3)  そこで,これを前提として,原告が被った損害について検討すると,有価証券報告書等に虚偽の記載がされている上場株式を取引所市場において取得した投資家が,当該虚偽記載がなければこれを取得することはなかったとみるべき場合,当該虚偽記載により上記投資者に生じた損害の額,すなわち当該虚偽記載と相当因果関係のある損害の額は,上記投資者が当該虚偽記載の公表後,上記株式を取引所市場において処分したときはその取得価額と処分価額との差額を,また,上記株式を保有し続けているときはその取得価格と事実審口頭弁論終結時の上記株式の市場価格(上場が廃止された場合にはその非上場株式としての評価額。以下同じ。)との差額をそれぞれ基礎とし,経済情勢,市場動向,当該会社の業績等(以下「経済情勢等」という。),当該虚偽記載に起因しない市場価額の下落分を上記差額から控除して,これを算定すべきである(最高裁平成21年(受)第1177号同23年9月13日第三小法廷判決・民集65巻6号2511頁参照)。
(4)ア  そこでまず,原告が本件虚偽記載等発覚前に売却した株式について検討するに,最後の売却がされた平成19年10月30日までの間に原告が株式を購入した当時公表されていた虚偽の売上額が少なくともそれによって株価が下落する程度にまで下方修正されたことはうかがわれないから,これらの株式については購入時から売却時までの値下がり分はいずれも経済情勢等の変動に係る本件虚偽記載等に起因しない市場価格の下落分であると認められ,原告に本件虚偽記載等と相当因果関係のある損害は生じていないといえる。
イ(ア)  次に,原告が現在まで保有している株式について検討するに,4月13日発表がされるまでは,原告が株式を購入した当時公表されていた虚偽の売上額が少なくともそれによって株価が下落する程度にまで下方修正されたことはうかがわれないことは従前と同様であるところ,破産会社の株価は,4月13日発表直後に急落しており,この下落は,4月13日発表において,破産会社の過去の決算の修正の可能性があるとされたことによるものとみる余地もないではない。
しかし,前記認定のとおり,破産会社の株価は,日経平均株価やマザーズ指数が平成17年12月以降長期的に下落する株式市況の中で,一時的な上昇と下落を繰り返しながらも,平成17年12月の本件上場後間もない時期から,長期間にわたって下落傾向にあり,平成21年以降は,概ね1万円と2万円の間の値で推移し,特に,同年11月以降は,1万1000円前後から1万2000円前後の間の値を付け,1日の出来高もおおむね数株から数十株にとどまり,安定的に推移していたこと,破産会社の株価は,4月13日発表後に下落していったとはいえ,1日の出来高は,数百株の範囲で比較的安定し,同年5月17日以降,3月11日発表前と同水準の1万1000円前後で推移するようになり,取引の出来高も数十株の範囲に減少していったこと,4月13日発表の内容は,過去の決算の修正を要する可能性のある事象が判明したとするにとどまり,当該事象の具体的な内容やそれによる影響額,範囲等については,不明であるとしていたことなどからすると,4月13日発表後の株価の下落は,3月11日発表を受けて一時的に急上昇した株価が経済情勢等によって下落した局面であると解することが可能であるから,これが4月13日発表によるものと直ちに認めることはできない。
これに対し,6月4日発表後の株価の急落は,その内容が,外部調査委員会の調査の結果破産会社で多額の粉飾決算が行われていたことが判明し,決算を修正する必要があり,破産会社の株式が監理銘柄に指定されたというものであること,同日1万1320円の値を付けていた破産会社の株価は,翌日8320円に急落し,同月20日には,1日の出来高が2万2538株に及び,その後も1日の出来高が1万株を超える日が続いたことからすると,本件虚偽記載等が明らかになったことに起因するものと認められるから,同日以降の値下がり分は,本件虚偽記載等と相当因果関係のある損害ということができる。
(イ) そして,平成23年6月4日の破産会社の株式の終値は1万1320円であり(乙イ3),口頭弁論終結時の破産会社の株価は,破産会社が破産していることから0円であると認められ,原告が同年6月4日までに購入し,現在まで原告が保有している株式は198株であるから,原告が本件虚偽記載等で被った相当因果関係のある損害は,224万1360円(=(1万1320円-0円)/株×198株)であると認められる。
(ウ) 原告は,被告らが積極的に本件虚偽記載等を是正,解消しようとしたことはなかった,破産会社の株式が原告の購入した当時無価値同然であった,原告によるその購入自体に重大な瑕疵があるなどとして,本件虚偽記載等に起因しない下落分は存在しないと主張するが,被告らが本件虚偽記載等を是正,解消しなかったからといって,破産会社の株価について,本件虚偽記載等に起因しない経済情勢等による市場価格の下落が存在しないということにはならないし,原告の購入した破産会社の株式がその当時から既に無価値であったとか,その購入が重大な瑕疵のために無効であったなどとはいえないから,原告の上記主張は採用することができない。
他方,被告管財人は,原告が破産会社の株式の上場廃止後もこれを保有し続け,破産会社の破産によりこれが無価値になったことによる損害は,本件虚偽記載等に起因するとはいえないと主張するが,破産会社の株式の上場が廃止されたとしても,直ちに破産会社の事業活動まで廃止されることにはならず,その株価が当然に下落することにもならないから,破産会社の株主がその後も株式を保有し続けることも通常あり得る事態というべきであり,その後破産会社について破産決定がされてその株式が無価値となったことによる損害も,本件虚偽記載等と因果関係があるというべきである。
(5)  続いて,原告のその余の支出等について検討すると,前記認定のとおり,原告は,破産会社の株式の購入のために6万9556円の手数料等を負担しているが,前記説示のとおり,本件虚偽記載等が公表されるまでに売却された株式15株の取得については,本件虚偽記載等と相当因果関係のある損害が生じているとはいえないから,同株式の購入に係る手数料等2万6620円(上記15株の取得に要した手数料等の額は,先入れ先出し法を前提として,原告が平成17年12月12日から平成18年11月9日までに購入した15株の取得に係る手数料等の額と認めるのが相当である。)を控除すべきであり,その差額である4万2936円が本件虚偽記載等と相当因果関係のある損害に当たる。また,原告は本件売買により配当金として9万8500円を受領しているから,同額については上記損害金から控除すべきである。
そうすると,原告は,本件虚偽記載等により218万5796円(=224万1360円+4万2936円-9万8500円)の損害を被ったと認められる。
また,本件虚偽記載等と相当因果関係のある弁護士費用相当の損害の額は,25万円が相当であると認められる。
(6)  以上によれば,争点(4)についての原告の主張は,本件虚偽記載等による損害額が243万5796円であるとする限度で理由がある。
第4  結論
そうすると,原告の請求は,被告管財人に対し,金商法21条の2又は証取法18条に基づき,損害額の元金243万5796円及び催告後の日である平成22年10月28日(甲8の2)から破産会社の破産開始決定がされた日の前日である平成24年2月21日までの民法所定の年5分の確定遅延損害金である16万0443円の合計額である259万6239円の破産債権の確定を,被告Y2,被告Y3及び被告Y4に対し,金商法24条の4,21条1項1号,22条1項又は証券取引法24条の4,21条1項1号,22条1項に基づき243万5796円及びこれに対する催告後の日である平成22年10月28日(甲8の3ないし5)から支払済みまで民法所定の年5分の遅延損害金の連帯支払をそれぞれ求める限度で理由があり,上記被告4名に対するその余の請求及び被告Y5に対する請求はいずれも理由がない。
(裁判長裁判官 矢尾渉 裁判官 前澤功 裁判官 仲田憲史)

 

〈以下省略〉

 

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