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「営業支援」に関する裁判例(58)平成26年 8月 6日 東京地裁 平25(ワ)3631号 損害賠償等請求事件、同反訴請求事件

「営業支援」に関する裁判例(58)平成26年 8月 6日 東京地裁 平25(ワ)3631号 損害賠償等請求事件、同反訴請求事件

裁判年月日  平成26年 8月 6日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平25(ワ)3631号・平25(ワ)24669号
事件名  損害賠償等請求事件、同反訴請求事件
裁判結果  本訴請求棄却、反訴認容  文献番号  2014WLJPCA08068010

要旨
◆被告会社との間で業務委託契約を締結した原告会社が、被告会社に対し、債務不履行に基づく損害賠償を求めるとともに、原告会社と被告会社との間の機密保持契約に基づき、本件プログラムの廃棄等を求め、また、被告会社の業務執行社員であった被告Y1に対し、会社法597条に基づき、被告会社と連帯での損害賠償を求めた(本訴)ところ、被告会社が、原告会社に対し、原告会社と被告会社との間の合意により定めた最低補償金の支払がされていないとして、未払最低補償金等の支払を求めた(反訴)事案において、被告会社に債務不履行があった事実及び被告Y1が悪意で原告会社に損害を与えた事実は認められず、また、本件プログラムは被告らがアクセス可能な記録媒体からはすべて消去されたと推認できるなどとして、本訴請求を棄却する一方、本件補償合意について、原告会社は当面の受注案件がない場合であっても最低補償金を支払うことにしたものと推認できるなどとして、反訴請求を全部認容した事例

参照条文
民法415条
民法540条
会社法597条

裁判年月日  平成26年 8月 6日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平25(ワ)3631号・平25(ワ)24669号
事件名  損害賠償等請求事件、同反訴請求事件
裁判結果  本訴請求棄却、反訴認容  文献番号  2014WLJPCA08068010

平成25年(ワ)第3631号 損害賠償等請求事件
平成25年(ワ)第24669号 同反訴請求事件

東京都渋谷区〈以下省略〉
原告(反訴被告) 株式会社アリエル
同代表者代表取締役 A
同訴訟代理人弁護士 上杉雅央
同 桑原勇太
同 田川瞳
同訴訟復代理人弁護士 千葉剛志
大阪市〈以下省略〉
被告(反訴原告) コンピュニエンス合同会社
同代表者代表社員 Y1
同所
被告 Y1

 

 

主文

1  原告(反訴被告)は,被告(反訴原告)コンピュニエンス合同会社に対し,153万円及びこれに対する平成25年9月21日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
2  原告(反訴被告)の本訴請求をいずれも棄却する。
3  訴訟費用は,本訴・反訴を通じ,原告(反訴被告)の負担とする。
4  この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。

 

事実及び理由

第1  請求
1  本訴請求の趣旨
(1)  被告(反訴原告)コンピュニエンス合同会社は,原告(反訴被告)に対し,302万8000円及びこれに対する平成24年3月11日から支払済みまで年6分の割合による金員(ただし,302万8000円及びこれに対する同日から支払済みまで年5分の割合による金員の限度で被告Y1と連帯)を支払え。
(2)  被告Y1は,原告(反訴被告)に対し,被告(反訴原告)コンピュニエンス合同会社と連帯して,302万8000円及びこれに対する平成24年3月11日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(3)  被告(反訴原告)コンピュニエンス合同会社は,社員Y1が所有するパーソナルコンピュータ及びスマートフォン内にインストールされた別紙プログラム目録記載のプログラムを廃棄せよ。
(4)  被告(反訴原告)コンピュニエンス合同会社は,社員Bが所有するパーソナルコンピュータ及びスマートフォン内にインストールされた別紙プログラム目録記載のプログラムを廃棄せよ。
(5)  被告(反訴原告)コンピュニエンス合同会社は,社員Y1及び社員Bがグーグル・クラウド上に複製した別紙プログラム目録記載のプログラムについて,グーグル・クラウドの運営者であるグーグル株式会社に削除要請をせよ。
2  反訴請求の趣旨
主文第1項と同旨
第2  事案の概要
本訴は,原告(反訴被告。以下単に「原告」という。)が被告(反訴原告)コンピュニエンス合同会社(以下「被告会社」という。)に対し,原告と被告会社間の業務委託契約の債務不履行に基づく損害賠償金302万8000円及びこれに対する解除日の翌日である平成24年3月11日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金(302万8000円及びこれに対する同日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の限度で被告Y1(以下「被告Y1」という。)と連帯)の支払を求めるとともに,原告と被告会社間の機密保持契約に基づき,別紙プログラム目録記載のプログラム等の返還又は廃棄を求め,被告会社の業務執行社員であった被告Y1に対しては,被告Y1がその職務を行うについて悪意であったことにより原告に損害を与えたとして,会社法第597条に基づき,被告会社と連帯して被告会社に対するものと同額の損害賠償金(ただし,遅延損害金については年5分)の支払を請求している事案である。
反訴は,被告会社が原告に対し,原告と被告会社との間で合意により定めた最低補償金の支払がされていないとして,当該合意に基づき,未払最低補償金153万円及びこれに対する反訴状送達日の翌日である平成25年9月21日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求めている事案である。
1  本訴請求原因
(被告会社に対する損害賠償請求)
(1) 原告は,情報通信システムの企画,設計,開発等の業務を目的とする会社である。
(2) 原告は,被告会社との間で,平成23年9月30日,期間を1年間とする次の内容の業務委託基本契約(以下「本件基本契約」という。)を締結した。
ア 原告が被告会社に対し,企業診断,業務改善,システムコンサルティング,システムの設計・開発,システムの運用等に関する業務を委託し,被告会社は,これを受託する。
イ 原告が被告会社に対して委託する業務内容の詳細については,個別契約により定める。
ウ 被告会社は,原告との間で個別契約を締結するにあたり,原告が他社からシステムの設定等の業務を受注するために不可欠な要件定義検討会議への立会い,及び決定した要件定義内容にあわせた工期及び費用を試算する。
(3) 原告は,平成23年11月当時,株式会社ミューオン(以下「ミューオン」という。),株式会社ランドフューチャー(以下「ランドフューチャー」という。)及び株式会社BMK(以下「BMK」という。)の3社と取引関係にあり,これら3社との交渉により,被告会社が見積及び工期を算出して原告に報告すれば,原告がこれに基づいて具体的な金額や工期を顧客に提案し,システム作成の受注をすることができる状態になっていた。
(4) しかし,被告会社は,次のとおり,本件基本契約上の債務の履行を怠った。
ア ミューオンとの取引
被告会社は,ミューオンとの取引について工期及び費用の試算を行わなかったため,原告はミューオンに対し金額及び工期を提示することができず,ミューオンから業務を受注することができなかった。
イ ランドフューチャーとの取引
被告会社の業務執行社員である被告Y1は,平成23年11月12日に大阪に戻ったまま,東京における業務を放棄した。また,被告会社の社員B(以下「B」という。)も同月14日以降は連絡がつかなくなった。このため,原告は,ランドフューチャーと要件定義等を行い,工期及び費用の見積を試算することができなかった。これにより,原告は,ランドフューチャーに対し見積を含めた提案をすることができず,契約締結に至らなかった(甲2)。
ウ BMKとの取引
原告が被告会社に対してBMKとの取引の話があることを伝えたところ,被告会社はミューオンやランドフューチャーと並行しての受注ではなく,両社の仕事がないことが確定してから受注するか否かを判断したいと回答し(甲3の1),要件定義検討への立会や工期・試算の見積を行わなかった。この取引については,両社の仕事の有無を判断してから受注するか否かを決めるという時間的猶予がなかったので,原告はBMKとの契約の締結を断念した。
(5) 被告会社は,本件基本契約により,原告が見つけてきた顧客から受注するのに必要な工期・費用の試算などを行う債務を負っていた。しかし,上記のとおり,被告会社は,本件基本契約の債務不履行をした。そこで,原告は,被告会社に対し,平成23年11月14日,メールにより,債務不履行に基づき本件基本契約を解除することを伝えた。仮に,そうでないとしても,原告は,被告会社に対し,平成24年3月10日,改めて本件基本契約を解除する旨の意思表示をした。
(6) 被告会社の債務不履行により,原告に生じた損害は,別紙原告主張損害一覧表のとおり,302万8000円である。
(被告Y1に対する損害賠償請求)
(7) 被告Y1は,被告会社の唯一の業務執行社員であるところ,本件基本契約の履行期間中である平成23年11月頃に大阪に戻り,東京における業務を放棄して,被告会社の本件基本契約上の義務である見積の算出等を行わなかった。したがって,被告Y1は,職務執行に当たり悪意があり,会社法第597条に基づき原告に生じた損害につき,被告会社と連帯して賠償する責任がある。
(被告会社に対するプログラム廃棄等請求)
(8) 原告は,被告会社との間で,平成23年10月3日,委託業務に際し,原告と被告会社との間で提供される機密情報についての機密保持契約(以下「本件機密保持契約」という。)を締結した(甲10)。
(9) 原告は,被告会社に対し,本件基本契約に基づく業務提携を円滑に行うため,別紙プログラム目録記載のプログラム(○○及び△△。以下「本件プログラム」という。)を貸与した。本件プログラムは,原告が独自の技術を使用して作成したもので機密情報に該当する。
(10) 本件機密保持契約第6条第3項によれば,被告会社は,原告から要請を受けたときは,その時点において開示された又は取得した機密情報に係る書類及び記録媒体その他一切のものを返還するか,又は再利用することができないよう物理的な破棄を行う義務がある。
(11) 被告Y1及びBは,各自のパーソナルコンピュータ(以下「パソコン」という。)及びスマートフォンに本件プログラムをインストールしたほか,グーグル・クラウド上に本件プログラムを複製した。
(12) 本件基本契約は,上記のとおり,遅くとも平成24年3月10日,解除され,その後,原告は,被告会社に対し,本件機密保持契約第6条第3項に基づき,本件プログラムに係る書類及び記録媒体並びに被告Y1らが所有するパソコンのハードディスク,記録媒体,クラウド等のサーバー上に保存した機密情報の一切を消去し,その旨を記載した完了報告書を送付するよう請求した(甲5の1及び2)。しかし,被告会社が本件プログラム及びこれに関連する資料を返還し,又は廃棄した旨の通知は一切されていない。
(まとめ)
(13) よって,原告は,①被告会社に対し,債務不履行に基づく損害賠償として302万8000円及びこれに対する解除日の翌日である平成24年3月11日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金(302万8000円及びこれに対する同日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の限度で被告Y1と連帯して)の支払,②被告Y1に対し,被告会社と連帯して,会社法第597条に基づく損害賠償として302万8000円及びこれに対する同日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払,③被告会社に対し,本件機密保持契約に基づき,上記本訴請求の趣旨(3)から(4)までのとおり,本件プログラムの廃棄等を各求める。
2  本訴請求原因に対する認否(被告Y1及び被告会社共通)
(1)  本訴請求原因(1)は認める。
(2)  本訴請求原因(2)のうち,原告と被告会社が本件基本契約を締結したこと,本件基本契約の内容に同(2)ア及びイが含まれることは認めるが,その余は否認する。被告会社が委託された業務は,技術的な業務(システム分析,システム設計,システム開発,システム運用等)であり,客先を訪問する営業は含まれない。被告会社は,受注のための工期・費用の試算をする義務は負っていない。
(3)  本訴請求原因(3)から(6)までのうち,原告が被告会社に対し解除の意思表示をしたことは認めるが,その余は否認し,解除の効力は争う。
(4)  本訴請求原因(7)は否認する。
(5)  本訴請求原因(8)から(12)までのうち,本件機密保持契約が締結されたこと,被告Y1所有のパソコンに別紙プログラム目録記載1のプログラムの一部(ソース)がインストールされていたこと,B所有のパソコンにも本件プログラムがインストールされていたこと,グーグル・クラウド上に本件プログラムを複製したことは認めるが,その余は否認する。
3  本訴請求に対する抗弁
被告会社は,原告から貸与を受けたすべての関係ファイル及びデータは消去した。
4  抗弁に対する認否
否認する。
5  反訴請求原因
(1)  原告と被告会社は,いずれも会社であり,平成23年9月30日,本件基本契約を締結し,原告は,被告会社に対し,企業診断,業務改善,システムコンサルティング,システムの設計・開発,システムの運用等に関する業務を委託し,被告会社は,これを受託した。
(2)  原告と被告会社は,原告が被告会社に対し,次のとおり,東京での業務がない場合の最低補償金及び補償期間を認める旨の合意(以下「本件補償合意」という。)をした。
ア 補償期間 平成23年10月1日から平成24年1月31日まで
イ 補償内容
(ア) 平成23年10月
被告Y1及び従業員1名の合計2名分の補償合計66万円(被告Y1分についての補償費は,業務支援代金)及び経費合計27万円
(イ) 平成23年11月
従業員1名分の補償30万円
(ウ) 平成23年12月
従業員1名分の補償30万円
(3)  被告会社は,平成23年10月3日から,原告の渋谷オフィスにおいて,業務を開始した。しかし,事前に提示されていた案件はなく,ミューオンの短期案件のみであり,この案件の納品は平成23年11月14日に完了した。被告会社は,原告に対し,同年10月分,11月分及び12月分について,最低補償金及び経費を請求したが,原告は支払わなかった。
(4)  よって,被告会社は,原告に対し,本件補償合意に基づき,153万円及びこれに対する反訴状送達日の翌日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める。
6  反訴請求原因に対する認否
(1)  反訴請求原因(1)は認める。
(2)  反訴請求原因(2)のうち,被告会社と原告との間で補償金額及び補償期間について被告会社が主張するような取決めをしたことは認めるが,「東京での業務がない場合」との条件については否認する。本件補償合意は,被告会社の稼働を条件としたものであり,東京での業務がない場合の補償を定めたものではない。本件基本契約は,原告と被告会社双方の営業活動を含めた努力により,顧客を開拓し,事業を拡大することを目標として締結されたものであるところ,本件基本契約が締結された当初は,被告会社が新たに受注先を探して受注することができるようになるまでに多少の時間がかかることが予想された。原告代表者は,その間,被告会社の社員らの収入がゼロになる可能性があると考え,被告会社が営業業務を行う限り,個別案件による売上が一定水準に達しない場合であっても,被告会社の社員の収入が確保することができるようにするため,本件補償合意をしたものである。したがって,本件補償合意は,被告会社が本件基本契約上負っていた個別案件受注前の費用の試算や要件定義を含む営業業務を行う場合にのみ,補償金等を支払うことを定めたものである。
(3)  反訴請求原因(3)のうち,被告会社が平成23年10月3日から原告の渋谷オフィスで業務を開始したこと,原告が被告会社に対しミューオンの案件を委託したこと,被告会社が原告に対し,平成23年10月から12月までの最低補償金額及び経費の合計額153万円を請求したが,原告が支払わなかったことは認めるが,その余は否認する。そもそも,被告会社と原告との契約は,原告と取引のある営業先に対し,営業を行って案件を開拓,受注していくというものであり,原告が被告会社に対し,本件基本契約締結前に案件を提示した事実はない。また,被告会社はミューオンの案件を完了した事実はない。
7  反訴請求に対する抗弁
本件補償合意は,本件基本契約に付随する契約であり,本件基本契約が解除されたときは,当然に本件補償合意も解除される関係にある。原告は,被告会社に対し,上記のとおり,平成23年11月14日,本件基本契約を解除する旨の意思表示をしたから,本件補償合意に基づく補償金支払義務も消滅した。したがって,原告には,被告会社が請求する153万円を支払う義務はない。
8  抗弁に対する認否
争う。業務支援には営業業務は含まれておらず,被告会社は,工数見積,面談,開発作業をすべて行ったから,本件基本契約の解除理由はない。
第3  当裁判所の判断
1  本訴について
(1)  本訴請求原因(1)の事実は争いがない。
(2)  本訴請求原因(2)のうち,原告と被告会社が本件基本契約を締結したこと及び本件基本契約の内容には本訴請求原因(2)ア及びイが含まれることについては争いがない。原告は,さらに,本訴請求原因(3)ウも本件基本契約の内容になっていた旨主張し,原告代表A(以下「A」という。)の陳述書(甲2,甲14)及び尋問結果中には,これに沿う陳述及び供述部分がある。
ア そこで検討するに,後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。
(ア) Aは,平成23年当時,原告において業務を受注するために営業活動を行う際,顧客の要求を確定し,その要求に応えるために必要な技術,費用,工数等を見積もることができるような人材が不足していたことから,システムエンジニアを募集しようと考え,同年7月ころ,大阪のハローワークの求人票を通じて,システムエンジニアの募集を行った。(甲14,乙9)
(イ) 他方,被告Y1は,コンピュータによるシステム開発や携帯端末のソフトウェアのプログラム作成等の開発請負等の仕事をしていたが,原告の求人票をみて,平成23年9月ころ,原告に対し,経歴書を送付し,求人に応募した。被告Y1は,原告に所属する従業員として稼働するのではなく,被告会社と原告との間で契約書を作成し,被告会社として業務を行う方式によることを希望した。(乙5,被告Y1本人)
(ウ) Aと被告Y1とは,平成23年9月中,メールや電話で契約条件についてやりとりをし,面談も行った後,被告会社が原告から業務の委託を受けるという方法を採用すること及び受注したシステム開発の金額のうち80%を被告会社が取得し,残りを原告が取得することで合意した。また,その間,Aは,被告Y1に対し,同月26日に送付したメールにおいて,「基本方針」として,「当初の1か月間は,業務稼働の受注活動が必要となる関係で,双方の危険を分散する」「代表者であるY1氏においては,業務拡張を視野にいれた対応をお願いする」旨記載し,業務継続の保証期間として,初回は平成23年10月1日から平成24年1月31日までとし,平成23年10月分として,被告Y1につき36万円,被告会社の従業員Bにつき30万(いずれも宿泊旅費は別)の合計66万円を,同年11月以降はBの未稼働月につき月額30万円を,それぞれ原告が支払う旨の提案をした。被告Y1はこれを了承した(甲3の3,乙1)。そして,原告と被告会社とは,平成23年10月3日,原告が用意した契約書(甲1。以下「本件契約書」という。)に基づいて,本件基本契約を締結した。(甲1,甲3の3,甲14,乙1,乙5,乙9,原告代表者本人,被告Y1本人)
(エ) 本件契約書の前文には,原告と被告会社とは,「企業診断,業務改善,システムコンサルティング,システムの設計・開発,システムの運用等に関する業務」と「その業務に関する営業支援にかかる原告から被告会社への業務委託」に関して,本件基本契約を締結する旨記載されており,本件契約書第1条第1項には,原告が被告会社に対し委託する業務の内容は,「企業診断,業務改善,システムコンサルティング,システムの設計・開発,システムの運用等に関する業務」であることが明記され,同第2条においては,本件基本契約が適用される具体的な業務の内容は,別途個別契約により定めるものとされている。本件契約書中には,被告会社が,原告が受注活動を行う際,要件定義検討会議へ立ち会ったり,要件定義内容にあわせた工期及び費用を試算する義務があることを明確に定めた条項は存在しない。(甲1)
(オ) 被告Y1は,本件基本契約により,被告会社は,受注した仕事の開発の管理,工程管理等の技術的な仕事の委託を受けたものと理解しており,受注のための営業活動を行うことの委託を受けたものとは考えていなかった。(被告Y1本人)
イ 以上の認定事実を前提とすると,Aにおいて,システムエンジニアの求人募集をしたのは,顧客の要求を確定し,その要求に応えるために必要な技術,費用,工数等を見積もることができるような人材を従業員として確保するという動機に基づくものであったことは認められるが,被告Y1との交渉の結果,原告は,被告会社との間で業務委託に関する本件基本契約を取り交わすことになったのであるから,原告と被告会社との契約上の権利義務関係は,本件契約書によって定められるべきものである。
しかるところ,本件契約書には,「その業務に関する営業支援にかかる原告から被告会社への業務委託」という文言が前文に記載されているものの,当該文言自体の趣旨は必ずしも明らかではなく,「営業支援」が何を指すのかも不明であるから,同文言により,被告会社が原告の主張するような営業支援業務の委託を受けたと認めることはできない。
他方,本件契約書の本文によれば,被告会社が受託する業務の内容は,「企業診断,業務改善,システムコンサルティング,システムの設計・開発,システムの運用等に関する業務」であり,業務委託に関する具体的な内容は,別途個別契約により定められるものとされている。そうすると,本件基本契約が適用される個別契約としてどのような個別契約が締結されるのかは,原告が顧客から受注した案件の内容によることになるから,個別契約の締結前の段階において,本件基本契約が適用されるような具体的な委託業務が発生することは,少なくとも,本件契約書上は予定されていないというほかはない。本件契約書の本文中には,被告会社において,原告の行う営業活動を支援する義務を負うことは何ら記載されておらず,被告Y1本人尋問の結果によれば,被告Y1においても,本件基本契約の締結の際,被告会社がそのような義務を負担するという認識があったとは認められない。そうすると,原告代表者本人の上記陳述及び供述部分は,本件基本契約の内容として,本訴請求原因(2)ウの業務が含まれていたことを認めるに足りず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。
(3)  本訴請求原因(3)から(7)までのうち,原告が被告会社に対し解除の意思表示をしたことについては争いがない。
ア そこで,被告会社に債務不履行の事実が認められるか否かについて検討するに,まず,被告会社において,本件基本契約上,原告の受注のための営業活動について,本訴請求原因(2)ウのような業務を行う義務を負担していた事実が認められないことは上記のとおりであるから,被告会社が当該義務に違反したことを前提とする原告の主張は,その余の点について判断するまでもなく理由がない(なお,原告は,被告会社が見積及び工期を算出して原告に報告すれば,原告がミューオンら三社から受注することができるような状態になっていた旨主張するが,受注が確実であったことを示すような具体的事実の主張立証はないから,同主張はにわかに採用することができない。)。
イ 次に,原告は,被告会社が東京における義務を放棄した旨主張するので検討するに,後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。
(ア) 本件基本契約の締結後,原告は,ミューオンから受注した案件(平成23年11月1日から14日までの間のラジオ局のシステムの修正作業)について,被告会社に業務委託し,被告会社は,委託された作業を開始した。このほか,被告会社は,原告からの依頼により,テレビ会議システムの改修作業を行ったが,他には主だった仕事はなかった。Aは,本件基本契約の締結後,被告Y1とともに,数社を訪問して,営業活動を行ったが,受注に至ったものはなかった。(甲2,原告代表者,被告Y1本人)
(イ) Aは,被告Y1に対し,平成23年11月10日午後3時4分,メール(乙3)を送信し,同日にソフトバンク関係のランドフューチャーの案件の連絡が入る予定であり,ミューオンについても同月15日以降の見込みを収集中であり,これらの話がいずれもなかった場合には,「BMKから別途アンドロイドの話」があるとした上で,「あくまでも今は営業段階なので確定では有りませんが,この件,話を進めるかご辞退かを現時点でのご見解をお聞かせ願います。」旨照会した。これに対し,被告Y1は,同月10日午後6時58分,ランドフューチャーの案件がなかった場合には,アンドロイド関連案件(ミューオン)の案件を紹介してもらえれば対応したいので,同月14日をめどに連絡を欲しい旨回答するとともに,週末に大阪に戻ること,ここ2日ほど体調を崩しているがBとは密に連絡をとっているので心配は無用である旨のメールを返信した。(乙3)
(ウ) さらに,被告Y1は,Aに対し,平成23年11月10日午後9時28分,現時点でBMKの案件について分かっていることがあれば,教えて欲しい旨伝えた。その後,被告Y1は,Aに対し,同日午後10時3分ころ,BMKの案件は,ランドフューチャーの案件がないと確定した場合において,ミューオンから受注した作業が終了確定した後に判断したいので,その後に返事する旨伝えた。これに対し,Aは,同日午後10時11分,原告としては結果を待つだけの猶予期間もないので,BMKの案件は別人員にて対応する旨回答した。(甲12,甲13,乙3,原告代表者)
(エ) 被告Y1は,Aに対し,平成23年11月11日,原告から委託を受けているミューオンの仕事をしっかりやり遂げることが肝心であると考えており,その結果として,次案件を受注するチャンスもあると思う旨伝えるとともに,ランドフューチャーの案件について連絡を待つ旨のメールを送信した。(乙3)
(オ) Aは,被告Y1に対し,平成23年11月12日,ミューオンにおいてC++又はC言語を使った開発業務の商談案件があるとして,「ご希望される場合,見積返信下さい。」「後に貴社からの貴社流の経験・理論で話をされるようであれば,辞退されるのが賢明と考えます。」「契約を円滑に遵守する真っ当な組織であれば,11/15以降の案件が決まらない場合…渋谷・吉祥寺オフィスへ出勤すること」等の記載があるメールを送信し,同月13日には,被告Y1に対し,「請求書押印原紙」を至急届けることを求めるメールを送信した。(乙4)
(カ) 被告Y1は,Aに対し,平成23年11月13日,原告と被告会社との間で合意した最低補償金の支払を求める請求書について,Aから指示された原紙を届けたいので,送付先を指定するよう求めるメールを送信したが,Aは,これに対し返信しなかった。(乙4,乙5,原告代表者,被告Y1本人,弁論の全趣旨)
(キ) Aは,被告Y1に対し,平成23年11月14日,被告会社が契約内容にない申し出をしたことや,業務遂行を拒否したことを理由に,損害賠償請求をするとともに,契約の解除を申し出る旨のメールを送信し,原告は,被告会社に対し,同日付け「損害賠償請求書」(甲4)を送付した。(甲4,乙4,弁論の全趣旨)
ウ 以上の認定事実を前提とすると,確かに,被告会社において,原告から紹介された案件について,直ちに受注する旨表明しなかった事実は認められるが,被告Y1は,平成23年11月10日の時点で,週末にいったん大阪に戻ることを連絡するとともに,原告から紹介された新規案件についても,状況が整えば対応する旨を明らかにしており,BMKの案件についても分かっていることがあれば教えて欲しい旨伝えている。また,被告Y1は,同月11日も,ランドフューチャーの案件についての連絡を待つ旨のメールを送信し,同月13日には請求書の原紙を届けるための届け先を尋ねるメールを送信しているのであるから,同日の時点において,被告会社が業務をなお継続する意思があったものと推認するのが自然である。他方,Aにおいて,被告Y1の要請に応じて,BMKの案件の具体的内容について説明したことを窺わせる証拠はなく,むしろ,BMKの案件については,原告の方から被告会社には委託しないことを明らかにしている。これらの事実に加え,被告Y1本人尋問の結果に照らすと,被告会社において,原告が解除の意思表示をした同月14日時点で,東京における業務を放棄していたものとはにわかに認め難く,他にこれを認めるに足りる的確な証拠はない。
なお,原告は,ミューオンから受注した案件について,被告会社が平成23年11月14日の納期までに仕事を完了しなかった旨主張し,原告代表者尋問の結果中には,これに沿うような供述部分があるが,同供述部分は,被告Y1本人尋問の結果に照らし,にわかに採用することができず,他に同主張を認めるに足りる証拠はない。
(4)  以上によれば,被告会社に債務不履行があった事実は認められず,被告Y1が悪意で原告に損害を与えた事実も認められないから,その余の点について判断するまでもなく,本訴請求のうち,原告の被告会社に対する債務不履行に基づく損害賠償請求及び被告Y1に対する会社法第597条に基づく損害賠償請求は,いずれも理由がない。
(5)  本訴請求原因(8)から(9)までのうち,原告と被告会社が,委託業務に関し本件機密保持契約を締結したこと,被告Y1所有のパソコンに別紙プログラム目録記載1のプログラムの一部(ソース)がインストールされていたこと,B所有のパソコンに本件プログラムがインストールされていたことについては争いがない。また,証拠(甲5の1及び2,甲10,被告Y1本人)及び弁論の全趣旨によれば,被告会社が原告から貸与されていた本件プログラムは本件機密保持契約第1条にいう機密情報に該当すること,本件機密保持契約第6条第3項には,被告会社は,原告から要請をうけたときや,原告と被告会社との取引が終了したときは,その時点において,開示された又は取得した機密情報に係る書類及び記録媒体その他一切のものを返還するか,又は再利用することができないよう物理的な破棄を行う義務がある旨定められていること,原告が被告会社に対し,平成24年3月10日,本件機密保持契約第6条第3項に基づき,本件プログラムに係る書類及び記録媒体その他一切のものの返還を請求したことが認められ,これに反する証拠はない。
(6)  そこで抗弁について検討するに,証拠(乙11,乙12,被告Y1本人)及び弁論の全趣旨によれば,本件プログラムのうち,被告Y1のパソコンのハードディスクには,○○のソースの1部が記録されていたこと,B所有のパソコンにも本件プログラムが記録されていたが(なお,原告は被告Y1及びBの各所有するスマートフォンにも本件プログラムが記録されていた旨主張するが,これを認めるに足りる的確な証拠はない。),被告Y1は,自己の所有するパソコンのハードディスクをフォーマットする方法によりデータを消去したこと,被告Y1は,Bのパソコンに記録されていた本件プログラムについては,Bから消去した旨の報告(乙12,被告Y1本人)を受けたこと,その他グーグルのクラウド上に複製されたものについては,被告会社の同クラウドのIDは削除済みであることが認められ,これに反する証拠はない。他方,原告が被告会社に貸与したデータ等を被告らにおいてなお利用していることや,当該データ等が第三者に漏洩したことを窺わせるような具体的な事実関係の主張立証はない。これらの事実及び証拠関係に照らすと,本件プログラムは,被告会社又はその従業員らのパソコンその他の被告らがアクセス可能な記録媒体からは,すべて消去されたことが推認され,これを覆すに足りる証拠はない。そうすると,抗弁には理由があり,原告の本訴請求のうち,本件機密保持契約に基づく本件プログラムの廃棄等の請求もまた理由がない。
(7)  以上によれば,原告の本訴請求はいずれも理由がない。
2  反訴について
(1)  反訴請求原因(1)の事実は争いがない。
(2)  反訴請求原因(2)のうち,原告と被告会社とが,反訴請求原因(2)ア及びイの内容による本件補償合意をしたことについては争いがない。しかるところ,原告は,本件補償合意は,被告会社の稼働を条件としたものであり,東京での業務がない場合の補償を定めたものではない旨主張し,原告代表者の陳述書(甲14)及び尋問結果中には,これに沿う陳述及び供述部分がある。
しかしながら,本件基本契約上,被告会社において,原告の受注のための営業活動を行う義務があったとは認められないことは上記のとおりである。また,証拠(乙1)によれば,原告は,受注した金額の80%の金額で被告会社に業務委託し,その差額により利益を得ることを想定していたことが認められる。そうすると,原告は,被告会社との業務委託関係を通じて,自らが顧客から受注可能な案件の量を拡大し,利益を上げることができるような態勢を構築しようとしていたのであるから,そのための人材を維持するための経費として,当面の受注案件がない場合であっても,最低補償金を支払うことにしたものと推認するのが自然である。したがって,原告の上記主張及びこれに沿う原告代表者の上記陳述及び供述部分はにわかに採用することができず,他に同主張を認めるに足りる的確な証拠はない。
(3)  反訴請求原因(3)のうち,被告会社が平成23年10月3日から原告の渋谷オフィスで業務を開始したこと,原告が被告会社に対しミューオンの案件を委託したこと,被告会社が原告に対し,同月から12月までの最低補償金額及び経費の合計額153万円を請求したが,原告が支払わなかったことについては争いがない。そして,上記認定したところによれば,被告会社は,上記ミューオンの案件のほか,原告から委託されたテレビ会議システムの改修作業を行っていたことが認められる。
(4)  そこで,反訴請求に対する抗弁について検討するに,原告は,被告会社の債務不履行により本件基本契約を解除した以上,本件補償合意も解消された旨主張する。
しかしながら,被告会社に債務不履行の事実が認められないことは上記のとおりであり,原告が被告会社に対し債務不履行を理由に行った平成23年11月14日付け解除の意思表示は契約解消の効果を生じないものであったというほかはない。同日以降,被告会社が原告から委託を受けて業務を受けた事実は認められないが,それは,被告会社には,なお本件基本契約に基づく役務を提供する意思があったにもかかわらず,原告が一方的に契約解消を求めた結果である。すなわち,被告会社は,原告の責に帰すべき事由により,その後の役務提供をすることができなくなったものというべきであるから,原告は,被告会社に対し,同年12月までの最低補償金について,本件補償合意の約定どおり支払う義務を免れないというべきである。
3  結論
以上によれば,原告の本訴請求はいずれも理由がないが,被告会社の反訴請求は理由がある。
よって,主文のとおり判決する。
(裁判官 清水響)

 

〈以下省略〉

 

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