【営業代行から学ぶ判例】crps 裁判例 lgbt 裁判例 nda 裁判例 nhk 裁判例 nhk 受信料 裁判例 pl法 裁判例 pta 裁判例 ptsd 裁判例 アメリカ 裁判例 検索 オーバーローン 財産分与 裁判例 クレーマー 裁判例 クレプトマニア 裁判例 サブリース 裁判例 ストーカー 裁判例 セクシャルハラスメント 裁判例 せクハラ 裁判例 タイムカード 裁判例 タイムスタンプ 裁判例 ドライブレコーダー 裁判例 ノンオペレーションチャージ 裁判例 ハーグ条約 裁判例 バイトテロ 裁判例 パタハラ 裁判例 パブリシティ権 裁判例 ハラスメント 裁判例 パワーハラスメント 裁判例 パワハラ 裁判例 ファクタリング 裁判例 プライバシー 裁判例 プライバシーの侵害 裁判例 プライバシー権 裁判例 ブラックバイト 裁判例 ベネッセ 裁判例 ベルシステム24 裁判例 マタニティハラスメント 裁判例 マタハラ 裁判例 マンション 騒音 裁判例 メンタルヘルス 裁判例 モラハラ 裁判例 モラルハラスメント 裁判例 リストラ 裁判例 リツイート 名誉毀損 裁判例 リフォーム 裁判例 遺言 解釈 裁判例 遺言 裁判例 遺言書 裁判例 遺言能力 裁判例 引き抜き 裁判例 営業秘密 裁判例 応召義務 裁判例 応用美術 裁判例 横浜地裁 裁判例 過失割合 裁判例 過労死 裁判例 介護事故 裁判例 会社法 裁判例 解雇 裁判例 外国人労働者 裁判例 学校 裁判例 学校教育法施行規則第48条 裁判例 学校事故 裁判例 環境権 裁判例 管理監督者 裁判例 器物損壊 裁判例 基本的人権 裁判例 寄与分 裁判例 偽装請負 裁判例 逆パワハラ 裁判例 休業損害 裁判例 休憩時間 裁判例 競業避止義務 裁判例 教育を受ける権利 裁判例 脅迫 裁判例 業務上横領 裁判例 近隣トラブル 裁判例 契約締結上の過失 裁判例 原状回復 裁判例 固定残業代 裁判例 雇い止め 裁判例 雇止め 裁判例 交通事故 過失割合 裁判例 交通事故 裁判例 交通事故 裁判例 検索 公共の福祉 裁判例 公序良俗違反 裁判例 公図 裁判例 厚生労働省 パワハラ 裁判例 行政訴訟 裁判例 行政法 裁判例 降格 裁判例 合併 裁判例 婚約破棄 裁判例 裁判員制度 裁判例 裁判所 知的財産 裁判例 裁判例 データ 裁判例 データベース 裁判例 データベース 無料 裁判例 とは 裁判例 とは 判例 裁判例 ニュース 裁判例 レポート 裁判例 安全配慮義務 裁判例 意味 裁判例 引用 裁判例 引用の仕方 裁判例 引用方法 裁判例 英語 裁判例 英語で 裁判例 英訳 裁判例 閲覧 裁判例 学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例 共有物分割 裁判例 刑事事件 裁判例 刑法 裁判例 憲法 裁判例 検査 裁判例 検索 裁判例 検索方法 裁判例 公開 裁判例 公知の事実 裁判例 広島 裁判例 国際私法 裁判例 最高裁 裁判例 最高裁判所 裁判例 最新 裁判例 裁判所 裁判例 雑誌 裁判例 事件番号 裁判例 射程 裁判例 書き方 裁判例 書籍 裁判例 商標 裁判例 消費税 裁判例 証拠説明書 裁判例 証拠提出 裁判例 情報 裁判例 全文 裁判例 速報 裁判例 探し方 裁判例 知財 裁判例 調べ方 裁判例 調査 裁判例 定義 裁判例 東京地裁 裁判例 同一労働同一賃金 裁判例 特許 裁判例 読み方 裁判例 入手方法 裁判例 判決 違い 裁判例 判決文 裁判例 判例 裁判例 判例 違い 裁判例 百選 裁判例 表記 裁判例 別紙 裁判例 本 裁判例 面白い 裁判例 労働 裁判例・学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例・審判例からみた 特別受益・寄与分 裁判例からみる消費税法 裁判例とは 裁量労働制 裁判例 財産分与 裁判例 産業医 裁判例 残業代未払い 裁判例 試用期間 解雇 裁判例 持ち帰り残業 裁判例 自己決定権 裁判例 自転車事故 裁判例 自由権 裁判例 手待ち時間 裁判例 受動喫煙 裁判例 重過失 裁判例 商法512条 裁判例 証拠説明書 記載例 裁判例 証拠説明書 裁判例 引用 情報公開 裁判例 職員会議 裁判例 振り込め詐欺 裁判例 身元保証 裁判例 人権侵害 裁判例 人種差別撤廃条約 裁判例 整理解雇 裁判例 生活保護 裁判例 生存権 裁判例 生命保険 裁判例 盛岡地裁 裁判例 製造物責任 裁判例 製造物責任法 裁判例 請負 裁判例 税務大学校 裁判例 接見交通権 裁判例 先使用権 裁判例 租税 裁判例 租税法 裁判例 相続 裁判例 相続税 裁判例 相続放棄 裁判例 騒音 裁判例 尊厳死 裁判例 損害賠償請求 裁判例 体罰 裁判例 退職勧奨 違法 裁判例 退職勧奨 裁判例 退職強要 裁判例 退職金 裁判例 大阪高裁 裁判例 大阪地裁 裁判例 大阪地方裁判所 裁判例 大麻 裁判例 第一法規 裁判例 男女差別 裁判例 男女差别 裁判例 知財高裁 裁判例 知的財産 裁判例 知的財産権 裁判例 中絶 慰謝料 裁判例 著作権 裁判例 長時間労働 裁判例 追突 裁判例 通勤災害 裁判例 通信の秘密 裁判例 貞操権 慰謝料 裁判例 転勤 裁判例 転籍 裁判例 電子契約 裁判例 電子署名 裁判例 同性婚 裁判例 独占禁止法 裁判例 内縁 裁判例 内定取り消し 裁判例 内定取消 裁判例 内部統制システム 裁判例 二次創作 裁判例 日本郵便 裁判例 熱中症 裁判例 能力不足 解雇 裁判例 脳死 裁判例 脳脊髄液減少症 裁判例 派遣 裁判例 判決 裁判例 違い 判決 判例 裁判例 判例 と 裁判例 判例 裁判例 とは 判例 裁判例 違い 秘密保持契約 裁判例 秘密録音 裁判例 非接触事故 裁判例 美容整形 裁判例 表現の自由 裁判例 表明保証 裁判例 評価損 裁判例 不正競争防止法 営業秘密 裁判例 不正競争防止法 裁判例 不貞 慰謝料 裁判例 不貞行為 慰謝料 裁判例 不貞行為 裁判例 不当解雇 裁判例 不動産 裁判例 浮気 慰謝料 裁判例 副業 裁判例 副業禁止 裁判例 分掌変更 裁判例 文書提出命令 裁判例 平和的生存権 裁判例 別居期間 裁判例 変形労働時間制 裁判例 弁護士会照会 裁判例 法の下の平等 裁判例 法人格否認の法理 裁判例 法務省 裁判例 忘れられる権利 裁判例 枕営業 裁判例 未払い残業代 裁判例 民事事件 裁判例 民事信託 裁判例 民事訴訟 裁判例 民泊 裁判例 民法 裁判例 無期転換 裁判例 無断欠勤 解雇 裁判例 名ばかり管理職 裁判例 名義株 裁判例 名古屋高裁 裁判例 名誉棄損 裁判例 名誉毀損 裁判例 免責不許可 裁判例 面会交流 裁判例 約款 裁判例 有給休暇 裁判例 有責配偶者 裁判例 予防接種 裁判例 離婚 裁判例 立ち退き料 裁判例 立退料 裁判例 類推解釈 裁判例 類推解釈の禁止 裁判例 礼金 裁判例 労災 裁判例 労災事故 裁判例 労働基準法 裁判例 労働基準法違反 裁判例 労働契約法20条 裁判例 労働裁判 裁判例 労働時間 裁判例 労働者性 裁判例 労働法 裁判例 和解 裁判例

「営業会社 成功報酬」に関する裁判例(8)平成30年10月25日 東京地裁 平27(ワ)12289号 損害賠償請求事件

「営業会社 成功報酬」に関する裁判例(8)平成30年10月25日 東京地裁 平27(ワ)12289号 損害賠償請求事件

裁判年月日  平成30年10月25日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平27(ワ)12289号
事件名  損害賠償請求事件
文献番号  2018WLJPCA10258011

裁判年月日  平成30年10月25日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平27(ワ)12289号
事件名  損害賠償請求事件
文献番号  2018WLJPCA10258011

埼玉県比企郡〈以下省略〉
原告 X1
同所
原告 X2
神奈川県足柄下郡〈以下省略〉
原告 X3
埼玉県三郷市〈以下省略〉
原告 X4
上記4名訴訟代理人弁護士 長田淳
石川智士
東京都千代田区〈以下省略〉
被告 株式会社オートテック
同代表者代表取締役 Y1
千葉県鎌ヶ谷市〈以下省略〉
被告 Y1
上記2名訴訟代理人弁護士 櫻井義之
名古屋市〈以下省略〉
被告 Y2
同訴訟代理人弁護士 古賀照平
東京都港区〈以下省略〉
被告 有限責任事業組合ひまわり
同代表者組合員 Y3
Y4
Y5
Y6
東京都練馬区〈以下省略〉
被告 Y3
長野県佐久市〈以下省略〉
被告 Y4
東京都中野区〈以下省略〉
被告 Y5
東京都八王子市〈以下省略〉
被告 Y6
上記5名訴訟代理人弁護士 安部明
東京都墨田区〈以下省略〉
被告 Y7
東京都北区〈以下省略〉
被告 Y8
上記2名訴訟代理人弁護士 本間由也
東京都葛飾区〈以下省略〉
被告 Y9

 

 

主文

1  原告らの請求をいずれも棄却する。
2  訴訟費用は,原告らの負担とする。

 

事実及び理由

第1  請求
1  被告らは,原告X1に対し,連帯して,660万8085円及びこれに対する平成24年8月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2  被告らは,原告X2に対し,連帯して,990万8085円及びこれに対する平成25年1月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3  被告らは,原告X3に対し,連帯して,4400万8085円及びこれに対する平成24年6月15日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
4  被告らは,原告X4に対し,連帯して,2211万8085円及びこれに対する平成24年9月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
1  本件は,原告らが,①被告株式会社オートテック(以下「被告会社」という。)及び被告有限責任事業組合ひまわり(以下「被告組合」という。)は,〈ア〉被告Y1(以下「被告Y1」という。)が開発した障害物感知システム及び障害物感知方法は,日本,韓国及び米国において特許を取得しており,これを組み込んだセンサー(以下「本件商品」という。)を自動車に搭載すれば,自動車の窓やドアに指等を挟む事故を防ぐことができる,〈イ〉韓国のSpecial Purpose Acquisition Company(買収目的会社。以下「SPAC」という。)制度を利用して韓国の企業を買収し,本件商品を韓国で販売することにより莫大な利益が上がる,〈ウ〉被告組合に投資した資金によって韓国の企業を買収するから,被告組合に投資すれば,多額の配当が確実であり,元本も保証されるという投資スキーム(以下「本件スキーム」という。)が実在するかのように仮装し,実際には,〈エ〉被告組合に投資された資金は韓国の企業の買収には充てられず,被告会社や被告組合の事業経費として使用されることになっていたにもかかわらず,そのことを秘し,詐術を用いて本件スキームへの投資を勧誘することにした,②原告らは,被告Y7(以下「被告Y7」という。),被告Y8(以下「被告Y8」という。)又は被告Y1から,本件スキームを前提として被告組合への投資を勧誘され,被告Y7,被告Y8又は被告Y1の言を信じて,被告組合に対し,それぞれ金員を支払った,③被告Y1,被告Y7及び被告Y8は,他の被告らと共謀して,原告らに対し,本件スキームが実態を伴うものであるとして虚偽の説明をして本件スキームへの投資を勧誘して出資させた,④被告Y1は,他の被告らと共謀して,原告らに対し,被告会社の代表者として,自ら上記③の勧誘をし,又は他の被告らをして上記③の勧誘,出資をさせた,⑤被告会社の代表取締役であった被告Y2(以下「被告Y2」という。)は,他の被告らと共謀して,原告らに対し,他の被告らをして上記③の勧誘,出資をさせた,⑥被告組合は,他の被告らと共謀して,原告らに対し,他の被告らをして上記③の勧誘,出資をさせた,⑦被告組合の組合員又は元組合員であった被告Y3(以下「被告Y3」という。),被告Y4(以下「被告Y4」という。),被告Y5(以下「被告Y5」という。),被告Y6(以下「被告Y6」といい,被告Y3,被告Y4及び被告Y5と合わせて「被告Y3ほか」という。)及び被告Y9(以下「被告Y9」という。)は,他の被告らと共謀して,原告らに対し,他の被告らをして上記③の勧誘,出資をさせたなどと主張して,民法719条等に基づき,連帯して,原告X1(以下「原告X1」という。)が損害の合計660万8085円及びこれに対する平成24年8月28日(不法行為の日)から,原告X2(以下「原告X2」という。)が損害の合計990万8085円及びこれに対する平成25年1月21日(最後の不法行為の日)から,原告X3(以下「原告X3」という。)が損害の合計4400万8085円及びこれに対する平成24年6月15日(最後の不法行為の日)から,原告X4(以下「原告X4」という。)が損害の合計2211万8085円及びこれに対する同年9月13日(最後の不法行為の日)から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。
2  前提事実(当事者間に争いのない事実のほか,証拠及び弁論の全趣旨によって容易に認定することができる事実。認定根拠は末尾に付記する。)
(1)  被告会社は,自動車用電装部品等の開発,設計及び製造販売,それらの輸出入業及びコンサルタント業等を目的として平成19年8月28日に設立された株式会社である。(争いのない事実,弁論の全趣旨)
(2)  被告Y1は,被告会社の設立時から被告会社の監査役を務めていたが,平成25年3月20日,これを辞任して被告会社の代表取締役に就任した。(争いのない事実,乙B28,弁論の全趣旨)
(3)  被告Y2は,被告会社の設立時から被告会社の代表取締役を務めていたが,平成25年3月20日に代表取締役を辞任する旨の登記,同年4月5日に取締役を解任する旨の登記がされた。(争いのない事実,乙C1,弁論の全趣旨)
(4)  被告組合は,自動車用電装部品等の開発,設計及び製造販売,それらの輸出入業及びコンサルタント業等を目的として平成21年11月18日に設立された有限責任事業組合である。(争いのない事実,弁論の全趣旨)
(5)  被告Y3,被告Y4及び被告Y5は,被告組合の設立時から被告組合の組合員であり,被告Y6は,平成25年9月2日に被告組合の組合員となった。被告Y9は,平成22年10月20日に被告組合の組合員となった。平成23年6月6日に被告Y9が被告組合を脱退した旨の登記がされた。(争いのない事実,乙E2,弁論の全趣旨)
3  争点
(1)  本件スキームへの投資の勧誘が欺もう行為に当たるか。
ア 原告らの主張
被告会社及び被告組合は,〈ア〉被告Y1が開発した障害物感知システム及び障害物感知方法は,日本,韓国及び米国において特許を取得した,〈イ〉韓国のSPAC制度を利用して韓国の企業を買収し,上記〈ア〉の技術を組み込んだ本件商品を韓国で販売することにより莫大な利益が上がる,〈ウ〉被告組合に投資した資金によって韓国の企業を買収するから,被告組合に投資すれば,多額の配当が確実であり,元本も保証されるという投資スキーム(本件スキーム)が実在するかのように仮装したが,〈エ〉実際には,〈a〉被告らの説明とは異なり,原告が被告組合に振り込んだ金員は全て韓国に送金されず,一部が被告会社や被告組合の事業経費として使用されていた,〈b〉被告らの説明とは異なり,被告会社に送金された資金は,SPACの設立や投資に利用されなかった,〈c〉したがって,原告らが被告組合に振り込んだ資金については,元本の保証はなく,投資リスクがゼロとはいえず,短期のうちに株式を提供することは不可能であったという点において虚偽であったにもかかわらず,そのことを秘し,詐術を用いて原告らが投資した金員が本件スキームに充てられるものと原告らを誤信させて,本件スキームへの投資を勧誘することにした。
仮に,被告会社及び被告Y1の主張のとおり,SPACとしてスマートメリットシージーアイ第2号企業引受目的株式会社(以下「本件SPAC」という。)が設立されていたとしても,本件SPACによる仕組みと原告らが説明していた本件スキームとは,全く別物で同一性が認められないから,本件SPACが存在することをもって,本件スキームが架空の投資スキームであることは否定されない。
したがって,本件スキームへの投資の勧誘は,欺もう行為に当たる。
イ 被告会社及び被告Y1の主張
本件商品に組み込まれた障害物感知システム及び障害物感知方法は,被告会社が開発したもので,その特許が登録されたのは,韓国では平成22年3月8日,米国では同年12月17日,日本では平成23年3月11日であった。本件商品を量産するため,パルス電子が平成20年6月に韓国国内に設立された。その後,パルス電子は,販路を拡大するために,ドイツ企業プレトルの韓国法人プレトルコリアを買収することになった。プレトルコリアの買収資金は,当初,Mirae Asset証券のグループ企業であるMirae Assetベンチャーキャピタルが組成するファンドの資金を充てることが計画され,〈ア〉パルス電子は,韓国で合計1億円を集め,被告組合は,日本で集めた資金をパルス電子に送金する,〈イ〉Mirae Assetベンチャーキャピタルの理事であったAが同社を退社して,プレトルコリアを買収するために株式会社CGI Korea(以下「CGIコリア」という。)を設立し,パルス電子が1億円,AのTeamが5億円+αの資金を用意し,M&Aの資金として6億円のファンドを組成する,〈ウ〉その後,みなとみらいキャピタル株式会社(以下「みなとみらいキャピタル」という。)が5億円+αをファンドに投資し,合計11億円+αの資金を準備するというスキーム(以下「旧スキーム」という。)を立てた。被告組合は,平成21年9月頃から旧スキームに基づいて資金を集め,被告会社は,平成20年6月18日にパルス電子の設立資金250万円を送金したほか,平成21年12月28日から平成23年6月10日までの間に9回にわたり,被告組合が集めた資金から合計1億5000万円をパルス電子に送金した。ところが,メリッツ総合金融証券株式会社(以下「メリッツ証券」という。)及びパルス電子は,同年3月頃に,韓国で非上場企業を買収するのなら,ファンドよりも,投資家のリスクが低くなるSPAC(買収目的会社)制度を利用した方が資金は集まりやすいと提案し,みなとみらいキャピタル,CGIコリア及びメリッツ証券は,同年4月5日,SPAC設立のための業務協約書(乙B2)を取り交わした。また,みなとみらいキャピタル,CGIコリア,メリッツ証券,インジコントロルス株式会社(以下「インジコントロルス」という。)及び被告会社は,同年8月初旬,設立したSPACを株主の募集後に韓国取引所コスダック市場に上場していた他の法人と合併させるのを唯一の事業目的とする投資家間契約書(乙B3)を作成した。同月16日に設立された本件SPACは,同年11月頃から株式の募集を開始し,被告会社は,本件SPACに対し,本件SPACの転換社債を引き受けるための資金として,同年12月14日に12億ウォン(当時のレートで8500万円)を送金し,被告会社の韓国内の預金口座に対し,本件SPAC第三者割当増資引受準備金として,平成24年1月11日に1000万円,平成25年1月10日に1000万円を送金した。しかし,その後,みなとみらいキャピタルが5億円の投資をしなかったため,プレトルコリアの買収に失敗し,本件SPACは,同年4月23日,解散し,上記8500万円が供託された。被告会社とパルス電子との間で,韓国において,上記供託金に係る還付請求権をめぐって裁判になったが,第一審では被告会社が勝訴しており,これが確定すれば,これを投資者に返還することが可能である。
以上のとおり,被告会社及び被告Y1は,詐欺行為を行っていない。
ウ 被告Y2の主張
否認する。
エ 被告Y3ほか及び被告組合(以下,被告Y3ほかと合わせて「被告組合ほか」という。)の主張
否認する。
オ 被告Y7及び被告Y8の主張
否認する。
カ 被告Y9
知らない。
(2)  被告らによる本件スキームへの投資の勧誘等の有無
ア 原告らの主張
(ア) 被告Y7は,原告X1及び原告X2に対し,平成24年8月頃,数回にわたり本件スキームを説明し,被告組合への投資を勧誘した。原告X1は,本件スキームが実在し,投資により確実に利益が上がるものと誤信して,被告組合に対し,同月28日,600万7350円(うち入会手数料7350円)を支払った。
(イ) 原告X2は,上記(ア)の説明によって,本件スキームが実在し,投資により確実に利益が上がるものと誤信して,被告組合に対し,平成24年8月28日,600万7350円(うち入会手数料7350円)を支払った。原告X2は,被告Y7から誘われて,原告X1と共に,同年11月13日頃,集会に参加して,初めて会った被告Y1から,この投資の話はめったにない話だ,元本は必ず保証される旨の説明を受けた。原告X2は,被告組合に対し,同月22日,200万円を支払った。原告X2は,同年12月,被告Y1,被告Y2,被告Y7及び被告Y8らが企画した集会に参加し,被告Y2からもう少しで上場しますのでお待ち下さいとの発言があり,被告Y1から平成25年2月から10月までに上場するとの発言があり,同被告らから被告組合への投資を勧誘された。原告X2は,同年1月21日,100万円を支払った。
(ウ) 被告Y7及び被告Y8は,原告X3に対し,平成23年3月12日頃及び同月14日頃,被告組合に投資すれば,韓国でのビジネスのために資金が使われ,必ず何倍ももうかる,元本は必ず保証される,韓国では1年に1社のみ特別に選ばれる会社があり,そこに投資すれば必ず元本が保証される,今回の投資もこの仕組みを使う,知り合いの被告Y1という社長が商品開発した関係で,人生のうちで一度あるかないかのすごいもうかる投資話があるなどと言って,本件スキームを前提として被告組合への投資を勧誘した。原告X3は,被告Y7及び被告Y8の言を信じて,被告組合に対し,同月23日,1000万7350円(うち入会手数料7350円)を支払った。被告Y7は,原告X3に対し,同月末頃,被告Y1の集会に参加するよう勧誘し,被告Y1は,原告X3に対し,同月29日頃,被告Y7及び被告Y8の同席の下,本件スキームを説明し,被告Y7は,集会後に被告組合への投資を勧誘した。原告X3は,被告Y7及び被告Y8から聞いていた投資話が実在するものであるとの誤信を更に強め,被告組合に対し,同月30日,500万円を支払った。被告Y1は,原告X3に対し,同年4月14日頃,集会において本件スキームを説明した。その後も,被告Y7及び被告Y8は,原告X3に対し,被告組合への投資を勧誘した。原告X3は,被告組合に対し,同年7月28日,200万円,同年8月23日,300万円,同年9月28日,100万円を支払った。被告Y7は,原告に対し,韓国への視察旅行への参加を勧誘し,原告X3は,同年10月28日から同年11月1日頃まで,被告Y1らが主催する韓国への視察旅行に参加した。原告X3は,同年12月6日頃,被告Y1,被告Y7及び被告Y8が企画した集会に参加し,同被告らから被告組合に対する投資を勧誘された。原告X3は,同月8日,300万円,同月12日,500万円,同月13日,30万円,同月20日,70万円を支払った。原告X3は,平成24年5月18日頃,被告Y7から執ように被告組合に対する投資を勧誘され,被告組合に対し,同日,700万円を支払った。原告X3は,同月20日から韓国への視察旅行に参加し,同年6月頃,被告Y7から執ように被告組合に対する投資を勧誘され,被告組合に対し,同月14日,200万円,同月15日,100万円を支払った。
(エ) 被告Y7は,原告X4に対し,平成23年3月頃,知り合いの家族のお父さんが社長をやっている会社で長年開発していた自動車関係の商品がようやく認められ,韓国やアメリカで特許をとった,そのお父さんの会社のビジネスに投資したらそれが最低3倍のもうけになる,元本は保証される,絶対に損しない,会社が上場したら投資したお金の3倍から5倍になって返ってくるなどと言って,本件スキームを前提として被告組合への投資を勧誘した。被告Y7及び被告Y8は,同年4月4日頃,韓国でSPACという年に1社だけ選ばれる会社があり,その会社を使った投資をすれば,元本が必ず保証される,今回もこの仕組みを使うなどと言って,被告組合への投資を勧誘した。原告X4は,被告Y7及び被告Y8の言を信じて,被告組合に対し,同月11日,300万円を支払い,同月12日,入会手数料として7350円を支払った。被告Y1は,同月14日頃,被告Y7と共に,原告X4に対し,本件スキームを説明し,被告組合に振り込んだ資金が韓国のSPAC制度を利用した企業買収のために用いられると説明した。原告X4は,被告Y7から聞いていた投資話が実在するものであるとの誤信を更に強めた。被告Y7は,原告X4に対し,同月16日頃深夜から同月17日未明にかけて,被告組合への投資を勧誘した。原告X4は,被告組合に対し,同月18日,1050万円,同月28日,300万円を支払った。原告X4は,被告Y7から韓国への視察旅行を勧められ,同年5月20日頃から同月22日頃まで,韓国への視察旅行に参加し,同年5月31日,225万円,同年8月25日,75万円,同年12月31日,30万円,平成24年4月27日,15万円,同年9月13日,15万円を支払った。
(オ) 被告組合の主張に係る被告会社への送金のうち,別紙番号9,21,27,30及び32は,証拠がなく,番号2ないし8及び10ないし12は,被告組合ほかの提出に係る証拠が信用性に欠け,番号33は,被告組合ほかの提出に係る証拠では被告会社への送金が認められない。
イ 被告会社及び被告Y1の主張
被告Y1が平成24年11月13日頃に初めて原告X1及び原告X2に会い,同年12月にも会ったことは認め,被告Y1が同原告らの主張に係る説明や発言をしたことは否認する。同年11月13日頃の集まりは食事会にすぎず,同年12月の集まりはカラオケパーティーにすぎない。被告Y1は,訪韓していたので,平成23年4月14日頃に原告X3及び原告X4に説明することはできない。その余の勧誘行為は知らない。原告X3及び原告X4の主張に係る韓国への視察旅行は,単なる観光旅行にすぎない。本件スキームによる勧誘を開始したのは,同年11月頃であるから,原告らの投資時期からすると,原告らの投資の大部分は,本件スキームではなく,旧スキームに基づいて投資したものと考えられる。
ウ 被告Y2の主張
被告Y2が平成24年5月20日からの韓国旅行に参加したこと,被告Y2が同年12月に開催されたカラオケパーティーに参加したことは認め,被告Y2がその際に原告X2の主張に係る発言をしたことは否認する。他の被告らが行っていたことは知らない。
エ 被告組合ほかの主張
被告組合ほかは,原告らに対し,原告らの主張に係る説明をしたことはないし,他の被告らが行っていた説明に関与したこともない。他の被告らが行っていたことは知らない。被告組合が集めた資金のうち平成21年12月28日から平成23年12月27日までの間に被告会社に送金した分は,別紙のとおりである。
オ 被告Y9の主張
被告Y9は,本件スキームへの投資の勧誘には関わっていない。
カ 被告Y7及び被告Y8の主張
被告Y1が複数回集会を開催したこと,原告X3及び原告X4が韓国への視察旅行に参加したことは認め,本件スキームの実態は知らない。被告Y7及び被告Y8は,原告らと同様に出資者であり,原告らに対し勧誘したことはない。被告Y7及び被告Y8は,その性格や被告Y1をもともと知っていたという立場から,質問されることが多く,その都度,善意で,被告Y1が説明していたことを出資者間で確認しあったことがあるが,これは,勧誘には当たらない。被告Y7は,投資スキームを良く理解していなかったため,同じく出資者であるBが原告らに説明し,その後被告Y1が集会において詳細な説明をしていた。被告Y7及び被告Y8は,原告らの投資とは無関係である。
(3)  被告らの責任
ア 原告らの主張
(ア)a 被告Y1,被告Y7及び被告Y8は,他の被告らと共謀して,原告らに対し,本件スキームが実態を伴うものであるとして虚偽の説明をして本件スキームへの投資を勧誘して出資させたから,民法719条による損害賠償責任を負う。
b 仮に,被告らの一部に共謀が認められないとしても,被告Y1,被告Y7及び被告Y8は,原告らに対し,民法719条による損害賠償責任を負う。
(イ)a 被告Y1は,他の被告らと共謀して,原告らに対し,被告会社の代表者として,自ら上記(ア)aの勧誘をし,又は他の被告らをして上記(ア)aの勧誘,出資をさせたから,被告会社は,民法719条による損害賠償責任を負う。また,被告会社の行為は,勧誘をした他の被告らの行為と客観的関連共同性があるから,被告会社は,民法719条による損害賠償責任を負う。
b 被告会社は,被告Y1の使用者として,原告らに対し,民法715条による損害賠償責任を負う。
(ウ)a 被告Y2は,他の被告らと共謀して,原告らに対し,他の被告らをして上記(ア)aの勧誘,出資をさせたから,民法719条による損害賠償責任を負う。
b 被告Y2は,上記(ア)aの勧誘の当時,被告会社の代表取締役として,詐欺行為が行われないよう監視監督する義務があったにもかかわらず,これを懈怠して原告らに損害を被らせたから,原告らに対し,会社法429条1項による損害賠償責任を負う。
(エ)a 被告組合は,他の被告らと共謀して,原告らに対し,他の被告らをして上記(ア)aの勧誘,出資をさせたから,民法719条による損害賠償責任を負う。また,被告組合の行為は,勧誘をした他の被告らの行為と客観的関連共同性があるから,被告組合は,民法719条による損害賠償責任を負う。
b 被告組合は,被告Y3ほか及び被告Y9の使用者として,原告らに対し,民法715条による損害賠償責任を負う。
(オ)a 被告Y3ほか及び被告Y9は,他の被告らと共謀して,原告らに対し,他の被告らをして上記(ア)aの勧誘,出資をさせたから,民法719条による損害賠償責任を負う。
b 被告Y3ほか及び被告Y9は,被告組合が上記(エ)aの違法な業務によって原告らに損害を負わせたことについて,組合員として故意又は重大な過失があるから,原告らに対し,有限責任事業組合法18条による損害賠償責任を負う。
イ 被告会社及び被告Y1の主張
被告Y1が他の被告らとの間で原告らの主張に係る共謀をしたことはない。前記(1)イのとおり,被告会社は,投資家から集めた8500万円を本件SPACに送金しており,被告会社がすべきことは全て行っている。また,韓国の裁判で被告会社が勝訴すれば,本件SPACに送金された8500万円に供託利息を加えた金員を投資家に返還することができるから,投資家に損害は発生しない。
原告らは,被告会社の代表者であった被告Y2の不法行為を主張していないから,被告会社が原告らに対し他の被告らと連帯して不法行為による賠償義務を負うことはない。
被告Y1は,平成25年3月20日まで被告会社の監査役であったが,同日,これを辞任して被告会社の取締役及び代表取締役に就任したから,被告会社が被告Y1の被用者として原告らに対し民法715条による損害賠償責任を負うことはない。
ウ 被告Y2の主張
被告Y2は,被告Y1に請われて,平成18年7月から日本ヴィトネット株式会社(以下「日本ヴィトネット」という。)の取締役を務めていたが,平成19年夏頃,同社のセンサー部門を独立させるので,その社長をやってほしいと頼まれ,これを承諾し,被告会社の代表取締役に就任した。しかし,その後も,名古屋に在住して日本ヴィトネットの取締役として同社のために販路の開拓に当たっており,被告会社の経営に関与することはなく,月1回程度東京に出向くくらいで,被告会社から報酬を受け取ったことはなかった。被告Y2は,知らないうちに平成25年4月5日付けで被告会社の取締役を解任されていた。被告Y2は,被告会社の名義上の代表取締役にすぎない。
エ 被告組合ほかの主張
被告組合は,原告らから集めた資金を被告会社に送金し,本件スキームに沿って使用していた。
オ 被告Y9の主張
被告Y9は,被告Y5から誘われて,平成22年10月20日に被告組合の役員となったが,資金集めは無理と判断して,同年12月16日には役員を辞任した。
カ 被告Y7及び被告Y8の主張
争う。
(4)  損害
ア 原告らの主張
原告X1の損害は,勧誘されて支払った600万7350円,弁護士費用60万0735円,総計660万8085円である。原告X2の損害は,勧誘されて支払った合計900万7350円,弁護士費用90万0735円,総計990万8085円である。原告X3損害の損害は,勧誘されて支払った合計4000万7350円,弁護士費用400万0735円,総計4400万8085円である。原告X4の損害は,勧誘されて支払った合計2010万7350円,弁護士費用201万0735円,総計2211万8085円である。
イ 被告らの主張
争う。
(5)  消滅時効の成否
ア 被告会社及び被告Y1の主張
原告X3が平成23年4月11日から同年12月31日までに送金した合計3000万7350円,原告X4が同年4月11日から平成24年4月27日までに送金した合計1995万7350円に係る損害賠償請求権は,本件訴訟が提起された平成27年4月30日の時点において損害及び加害者を知った時から3年を経過しているから,被告会社及び被告Y1が原告X3及び原告X4に対して平成29年8月29日本件の第3回弁論準備手続期日においてした時効を援用する旨の意思表示により消滅している。
イ 原告X3及び原告X4の主張
原告X3及び原告X4が損害及び加害者を知ったのは,同原告ら代理人に法律相談した平成27年1月31日である。
第3  当裁判所の判断
1  認定事実
前提事実のほか,後掲の証拠(ただし,証拠に次の認定に反する部分がある場合にはその部分を除く。)及び弁論の全趣旨により,次の事実を認めることができる。認定根拠は,認定事実の末尾に付記した。
(1)  被告会社が計画した事業
ア C(以下「C」という。)は,韓国において自動車用の非接触センサーを開発した。非接触センサーとは,自動車の窓やドアに指等を挟まれる事故を防ぐために窓やドアが人の指等に触れる前に窓やドアを閉めようとする動作を止めるための技術(障害物感知システム及び障害物感知方法)を組み込んだセンサーをいう。被告Y1は,上記技術が新規の発明に当たり,その発明者がC,その発明に係る特許権者が被告会社であるとして,平成19年12月17日に韓国,平成20年6月2日に日本,同年12月16日にアメリカにおいてそれぞれ特許を申請し,平成22年3月8日に韓国,同年12月17日にアメリカ,平成23年3月11日に日本においてそれぞれ上記特許が登録された。(甲26,33,36,乙A8,乙B13,26,28,被告Y1兼被告代表者(以下,証拠として摘示するときは「被告Y1」と付記することとする。))
イ 被告会社は,韓国において製造した本件商品(上記アの技術を組み込んだセンサー)を日本とアメリカで販売する計画を立て,本件商品を製造するパルス電子を韓国内で設立し,その代表者をD(以下「D」という。)とし,被告会社とDがそれぞれ250万円ずつ出資してパルス電子を設立することを決めた。被告会社は,Dに対し,平成20年5月18日,250万円を送金し,同年6月20日,パルス電子が設立され,Dが同社の代表理事,被告Y2が同社の理事にそれぞれ就任した。(乙A3,乙B1の1,13,28)
ウ 被告会社は,トヨタ自動車株式会社及び本田技研工業株式会社に対し,平成20年9月頃,本件商品のデモンストレーションを行い,平成21年5月頃,完成した本件商品の見本を提示したところ,評判が良かったことから,韓国内の自動車部品関連製品を製造している非上場の会社の株式を買収して合併した後に同社に本件商品を生産させれば,資金集めも容易で事業としても十分に成り立つと考えていた。パルス電子及びMirae Asset証券は,被告会社に対し,同年秋,パルス電子がプレトルコリアを買収することを提案し,被告会社は,これを了承し,プレトルコリアの買収に向けて資金集めを開始した。被告Y1は,長年の知り合いであった被告Y6の発案により,日本国内での資金集めは新たに設立する有限責任事業組合に行わせることを決めた。被告組合は,被告Y1から頼まれた被告Y5が中心になって,同年11月18日,設立された。(前提事実(4),甲44,乙B6,11,28,被告Y1,被告Y6,被告Y5)
エ 被告会社は,被告組合から送金された金員をプレトルコリアの買収資金として順次パルス電子に送金した。その額は,平成21年12月28日に700万円,平成22年2月2日に1500万円,同年4月2日に500万円,平成23年1月28日に300万円,同年4月7日に3000万円,同月19日に875万円,2125万円,同年5月23日に4000万円,同年6月10日に2000万円,合計1億5000万円であった。(乙B1の2ないし10,6,11)
オ 被告会社は,みなとみらいキャピタルとの間で,平成22年11月1日,プレトルコリアの買収資金を集めるためにアドバイザリー業務契約を締結した。その契約書には,契約期間が成功報酬の支払時又は平成23年4月30日までの6か月間,成功報酬がプレトルコリアの発行済株式の70%相当の買収に係る最終契約に基づくクロージング時(買収対価の支払時)より5日以内に買収対価のうちみなとみらいキャピタルが紹介した投資家の投資額の5%(消費税別)と記載されていた。みなとみらいキャピタルは,投資家向けに「ターゲットファンド組成について」と題する書面を作成して,非上場会社であるプレトルコリアの買収及びその後の早期の上場によるキャピタルゲインの獲得を目的とする出資を提案して出資を募った。同書面のⅥ.ファンド(事業投資組合)の概要-1及び2には,〈ア〉申込期間が(仮)同年11月から平成23年1月まで,〈イ〉出資金総額が5億円を上限,〈ウ〉出資金払込日が平成22年12月末日,〈エ〉投資対象がパルス電子による合併前提のプレトルコリアの株式買取(M&A)資金⇒事実上,存続会社がプレトルコリアになるため,同社の上場前株式取得となる旨の記載があるが,SPACに関する記載は見当たらない。(乙B21,23,28)
カ 「韓国Prettle買収資金フロー」と題する書面の,①現行のM&A資金フローには,〈ア〉日本及び韓国の経営陣が1億円を調達してパルス電子に送金し,〈イ〉A理事Teamが5億円+αを調達して,〈ウ〉Mirae Asset証券が上記〈ア〉及び〈イ〉の合計6億円+αの資金でM&Aファンドを組成し,〈エ〉みなとみらいキャピタルが5億円+αを調達して,これに上記〈ウ〉を加えた合計11億円+αでプレトルコリアを買収する旨の記載,②修正M&A資金フローには,〈ア〉1段階として,みなとみらいキャピタルが調達した5億円を被告会社がパルス電子に送金し,パルス電子が1か月以内に1億円未満を出資し,大手証券会社(Sponsor)の主導により1億円を投資させて,合計2億円でSPACを設立し,SPACについてIPOを申請し,1,2か月後には一般公募で11億円を募集し,パルス電子に残り4億円を一般公募時参加させ,経営陣参加の際に+αを出資し,SPACの資本金を17億円とし,1か月後にはSPACを上場させる,〈イ〉2段階として,上場したSPACとプレトルコリアを合併させ,その後にパルス電子を合併させる旨の記載がある。(甲12)
キ CGIコリアは,平成22年12月7日,E(以下「E」という。)を代表理事として設立された。(乙B15)
ク メリッツ証券が関与していたSPACが平成23年3月に上場されることになった。(乙B28)
ケ メリッツ証券,CGIコリア及びみなとみらいキャピタルは,平成23年4月5日,業務協約書を作成した。業務協約書には,要旨,①本協約は,メリッツ証券とCGIコリア及びみなとみらいキャピタルとが信義と誠実をもって業務提携を結ぶことによって,韓国内でのSPACの設立を推進し,これを通じた相互の発展及び収益創出のために協力することを目的とする,②本協約を通じて,〈ア〉メリッツ証券は,設立されるSPACのスポンサー及び主管会社の役割を担当することにし,〈イ〉CGIコリア及びみなとみらいキャピタルは,発起人として参加すると同時に,海外投資家の投資誘致のためのIR及びそれに関連する業務を担当する旨の記載がある。(乙B2,28)
コ メリッツ証券,CGIコリア,みなとみらいキャピタル及びパルス電子の間において,平成23年7月初旬,設立するSPACの資本政策がまとまった。みなとみらいキャピタルは,メリッツ証券に対し,投資家が一目見て分かるような内容の書面を作成するよう求め,同年8月5日,みなとみらいキャピタルの代表者Fと被告Y2は,メリッツ証券を訪ね,内容を確認して書面を完成させた。本件SPACに関する説明資料は,その完成した書面の一つであった。(乙B28,乙C1,被告Y1)
サ メリッツ証券,CGIコリア,みなとみらいキャピタル,インジコントロルス及び被告会社(以下,このサにおいて上記5社を総称して「投資家」という。)は,平成23年8月5日付けで,投資家間契約書を作成した。同契約書には,要旨,①投資家は,本契約によりSPACを設立して運営するに当たり,SPACは株券募集後,韓国取引所コスダック市場に上場している他の法人と合併するのを唯一の事業目的とする点を十分に理解し,その目的を達成するために最大限協力することにする(1条),②投資家のうち,メリッツ証券,CGIコリア,みなとみらいキャピタル及びインジコントロルス(以下,このサにおいてこれらを総称して「発起株主」という。)は,別添の定款(なお,本判決書への添付は省略)により共同でSPACを設立することとする(2条2.1),③発起株主は,SPACの設立時にSPACが発行する記名式普通株式を別紙(なお,その内容は次の(ア)のとおり)に記載されたところにより買収して,その買収代金を納入しなければならない(2条2.2),④投資家のうち,メリッツ証券及び被告会社は,SPACの設立後,最初株券募集前までSPACが発行する転換社債を別紙(なお,その内容は次の(イ)のとおり)に記載されたところにより買収して,その社債代金を納入しなければならない(2条2.3),⑤発起株主は,SPACの設立後,資本市場法により,SPACがその株券を一般に公開募集する(3条3.1),⑥投資家は,SPACを韓国取引所コスダック市場に上場してその事業目的を達成するのに協力すべきである(6条6.1)旨の記載がある。(乙B3,28,被告Y2)
(ア) メリッツ証券 出資金額0.5億ウォン
CGIコリア 出資金額0.5億ウォン
みなとみらいキャピタル 出資金額4.8億ウォン
インジコントロルス 出資金額0.2億ウォン
(イ) メリッツ証券 買収金額12億ウォン
被告会社 買収金額12億ウォン
シ 本件SPACは,平成23年8月16日,Eを代表理事,被告Y2を非常務理事として設立された。(乙A4,乙B4)
ス みなとみらいキャピタルは,平成23年8月25日付け「韓国(SPAC)への投資ご案内」と題する書面を投資家向けに作成した。同書面のI.Meritz証券SPAC資金フローには,①第1段階として,みなとみらいキャピタルが調達した5億円を被告会社がパルス電子に送金し,パルス電子が1か月以内に1億円未満を出資し,メリッツ証券(Sponsor)の主導により2000万円を投資させて,合計1.2億円でSPACを設立し,IPOを申請し,1~2か月後には一般公募で11億円を募集し,その際にパルス電子に残り4億円を一般公募参加させ,SPACの資本金を16億2000万円+αとし,1か月後にはSPACを上場させる,〈イ〉第2段階として,上場したSPACとプレトルコリアを合併させ,その後にパルス電子を合併させる旨の記載がある。(乙B22)
セ 被告会社は,本件SPACに対し,平成23年12月14日,8500万円を送金した。当時の為替レートは1ウォン≒0.07円であったから,8500万円は,12億ウォンに相当した。被告会社は,同月15日,本件SPACから12億ウォンの転換社債を購入した。(乙A12,乙B6,11,28)
ソ 被告会社は,被告会社の韓国内の預金口座に対し,本件SPACの第三者割当増資引受準備金として,平成24年1月11日に1000万円,平成25年1月10日に1000万円を送金した。(乙B17の1及び2,弁論の全趣旨)
タ 本件SPACは,平成25年2月の時点において,上場できないままであった。それは,①みなとみらいキャピタルが調達を予定していた5億円を調達できず,②被告会社がパルス電子に送金した合計1億5000万円をパルス電子が他に流用して本件SPACの上場のために使えなかったためであった。本件SPACは,同年4月23日,株主総会において解散を決議し,同年6月24日,清算が結了した。(乙B4,6,11,28)
チ 本件SPACは,被告会社が8500万円を送金して購入した転換社債の償還請求権について,債権者が被告会社であるかパルス電子であるか確定できないとして,平成25年4月2日,12億ウォンを供託した。被告会社は,パルス電子を被告として,①上記供託金の還付請求権が被告会社にあることの確認,②被告会社がプレトルコリアの株式取得のためにパルス電子に送金した1億4950万円をパルス電子が他に流用したとして,これをウォンに換算した16億4367万7750ウォンの支払を求める訴訟を水原地方法院安山支院に提起した。水原地方法院安山支院が平成26年7月17日に言い渡した判決は,①につき被告会社の請求を認めたが,②につき被告会社の請求を認めなかった。被告会社は,同判決を不服として控訴した。(乙B5ないし10,28)
(2)  被告会社と被告組合との関係
ア 被告Y3,被告Y6,被告Y4及び被告Y5は,平成21年9月頃から,被告組合として,被告会社のために日本国内での資金集めを開始し,その一環として,例えば,平成22年1月16日から同月18日まで,同年3月12日から同月16日まで及び同年5月15日から同月17日までなどの日程で,被告組合が主催して韓国を訪ねるツアーを開催して,資金集めを行っていた。(乙B29の1ないし3,30,31,被告Y1,被告Y4,被告Y6,被告Y5,被告Y9,弁論の全趣旨)
イ 被告組合は,被告組合への投資を決めた者から振り込まれた金員がある程度まとまると,順次被告会社に送金した。その額は,少なくとも,平成21年12月28日に800万円,同月29日に70万円,平成22年1月14日に185万8650円,同月25日に50万円,同月28日に700万円,同年2月1日に1000万円,同月25日に1000万円,同年3月10日に173万5320円,同年4月2日に600万円,同月9日に50万円,同月15日に30万円,同年5月9日に100万円,同月24日に200万円,同月25日に100万円,同年6月29日に100万円,同年7月2日に100万円,同月14日に100万円,同月21日に100万円,同年8月3日に100万円,同月24日に200万円,同月25日に100万円,同年9月2日に50万円,同月10日に50万円,同月26日に70万円,平成23年4月6日に3000万円,同月18日に3000万円,同年9月13日に500万円,同年12月27日に1000万円,合計1億3529万3970円であった。(乙B28,乙D1ないし8,弁論の全趣旨)
ウ 被告組合は,平成23年12月9日,4000万円を韓国の銀行宛てに送金した。(乙D8)
(3)  被告Y7及び被告Y8と被告Y1との関係
ア 被告Y7は,講師をしていたピアノ教室に通っていた被告Y1の3人の子供を教えたことから,かねてから被告Y1と面識があった。被告Y7は,平成23年1月,被告Y1から,①本件商品に組み込む技術が特許登録され,これを事業化するために被告組合を設立し,被告組合に対する出資金により韓国のプレトルコリアを買収する,②被告組合に出資すると,相当にもうかる旨の説明(以下「本件説明1」という。)その他の話を聞き,被告Y1を応援することを決めた。(甲42,乙F1,被告Y1,被告Y7)
イ 被告Y7は,知人から腰痛に効くベルトを紹介され,平成23年1月,初めてそのベルトを販売する株式会社インヴェル・ジャパン(以下「インヴェル」という。)の販売代理店を務めていた被告Y8と会った。被告Y7は,その際,被告Y8に対し,被告Y1から受けた本件説明1その他の話を話したところ,被告Y8は,本件説明1その他の話に興味を持ち,知人を集めて被告Y1から話を聞く機会を設けることを決め,被告Y7も,これに参加することにした。被告Y7及び被告Y8は,同年2月以降,集めた友人と共に,被告Y1から本件説明1その他の話を何度も聞いた。被告Y7及び被告Y8が友人を集めて被告Y1から話を聞くという集まりは,平成24年12月まで行われた。(甲23ないし25,42,乙B28,乙F1,2,被告Y1,被告Y7,被告Y8)
ウ 被告Y7は,合計750万円を被告組合に出資し,被告Y8は,合計930万円を被告組合に出資した。(乙F1,2,4の1及び2,5の1,5の3ないし13,被告Y7,被告Y8)
(4)  原告X3に対する出資の勧誘
ア 原告X3は,平成23年3月頃,知り合いであった被告Y7から腰痛に効くベルトを紹介され,同月9日,被告Y7と一緒にインヴェルを訪ね,応対した被告Y8からベルトを購入した。その際,被告Y7及び被告Y8は,原告X3に対し,本件説明1その他の話をした。原告X3は,同月12日頃にJR東日本の恵比寿駅の近くで被告Y7及び被告Y8と会った際及び同月14日頃にインヴェルで商品を購入した際,同被告らから本件説明1その他の話を聞かされた。本件説明1その他の話を聞いた原告X3は,被告Y1を応援する気持ちから被告組合に1500万円を出資することを決め,同月23日,1000万円及び入会手数料7350円を被告組合に送金した。原告X3は,被告Y7から,被告Y1から話を聞く集会があると聞かされて,同月29日頃,これに参加し,改めて被告Y1から資料を示されながら本件説明1その他の話を聞いた。原告X3は,同月30日,500万円を被告組合に送金した。原告X3は,同年4月26日付けのPRETTL Korea(Pulse電子工業)株式(新規)購入申込書(口数10口,合計1500万円)を被告組合宛てに送付した。(甲3,41,乙A11,乙F1,2)
イ 原告X3は,平成23年7月28日に200万円,同年8月23日に300万円,同年9月28日に100万円を被告組合に送金した。(甲3)
ウ 原告X3は,平成23年10月28日から同年11月1日まで,被告会社が主催する韓国への視察旅行に参加した。原告X3は,同年12月6日頃,被告Y1から話を聞く集会に呼ばれ,被告Y7及び被告Y8から追加の出資を求められ,これに応じて,同月8日に300万円,同月12日に500万円,同月13日に30万円,同月20日に70万円を被告組合に送金した。(甲3,4,27,41)
エ 原告X3は,平成24年5月20日から同月22日まで,被告会社が主催する韓国への視察旅行に参加した。原告X3は,同月18日,被告Y7から追加の出資を求められ,これに応じて,同日に700万円を被告組合に送金した。(甲5,41,42)
オ 原告X3は,平成24年6月,被告Y7から追加の出資を求められ,これに応じて,同14日に200万円,同月15日に100万円を被告組合に送金した。(甲3,6,41)
(5)  原告X4に対する出資の勧誘
ア 原告X4は,平成23年3月頃,知り合いであった被告Y7から本件説明1その他の話を聞かされた。その後,原告X4は,同年4月4日頃,被告Y7及び被告Y8から資料を示されながら本件説明1その他の話を聞かされた。原告X4は,同月5日頃,被告Y7から出資口数を尋ねられて,2口出資すると答え,同月11日,300万円を被告組合に送金した。原告X4は,送金後に会った被告Y7から入会手数料7350円も送金してほしいと言われ,同月12日,7350円を被告組合に送金した。その後も,原告X4は,被告Y7から追加の出資を求められ,同月18日に1050万円,同月28日に300万円を被告組合に送金した。原告X4は,同年5月5日付けのPRETTL Korea(Pulse電子工業)株式(新規)購入申込書(口数11口,合計1650万円)を被告組合宛てに送付した。(甲7,8,10,15,42,乙A11,乙F1,2,原告X4)
なお,原告X4は,その陳述書(甲42)において,同月14日に開催された被告Y1から話を聞く集会に参加して同被告から説明を受けた旨を供述するが,同被告が同月10日から同月15日まで韓国を訪問していたことをうかがわせる航空券の予約確認書兼請求書(乙B16)ことからすると,的確な裏付けを伴わない上記供述は,それだけでは採用することができない。
イ 原告X4は,被告Y7から追加の出資を求められ,これに応じて,平成23年5月31日に225万円,同年8月25日に75万円,同年12月31日に30万円,平成24年4月27日に15万円を被告組合に送金した。(甲7,9,10,原告X4)
ウ 原告X4は,平成24年5月20日から同月22日まで,被告会社が主催する韓国への視察旅行に参加した。原告X4は,同年9月13日,15万円を被告組合に送金した。(甲10,42)
なお,原告X4は,①その陳述書(甲42)において,同年5月31日に225万円を被告組合に送金した旨を供述するが,②その本人尋問において,上記①の送金は平成23年5月31日の誤りである旨を供述しており,そうすると,上記①の供述は,採用することができない。
(6)  原告X1及び原告X2に対する出資の勧誘
ア 原告X2は,平成23年10月頃,知り合いのG(以下「G」という。)から被告会社のセンサーを韓国でマーケティングするための投資の話を聞かされて,興味を持ち,夫の原告X1と共にGから話を聞くことにした。原告X1及び原告X2は,Gから,本件説明1その他の話を聞き,原告X1が調べたところ,本件商品に組み込まれる技術に特に不審な点がなく,元本も保証されることから,出資することを決めた。同月29日頃,原告X1が250万円を,原告X2が200万円を,それぞれGに預けた。(甲39,40,乙F1,原告X1,原告X2,弁論の全趣旨)
イ 原告X1及び原告X2は,その後Gから何の話もなかったことから,Gに連絡を取ったところ,Gから韓国の会社がいまだ上場されていないと聞かされ,その経緯を説明する者として被告Y7を紹介された。原告X1及び原告X2は,平成24年8月頃,被告Y7から資料を示されながら本件説明1その他の話を聞いた。原告X1は,その後,再び被告Y7及び同人が連れてきたBから本件説明1その他の話を聞いた。原告X1及び原告X2は,その後,再び被告Y7から本件説明1その他の話を聞き,PRETTL Korea(Pulse電子工業)株式(新規)購入申込書を受け取った。原告X1及び原告X2は,出資を決め,同月28日にそれぞれ600万円及び入会手数料7350円を被告組合宛てに送金した。原告X1及び原告X2は,同日,上記申込書及び振込用紙の写しを被告組合宛てに郵送した。原告X1及び原告X2は,被告組合から,同年10月25日付け株式保管証を受領した。株式保管証には「合併後,Prettl Korea株式になることを約し,株式を保管していることを証します。」と記載されていた。(甲1,2,16,17,37,39,40,乙F1,3,原告X1,原告X2,弁論の全趣旨)
ウ 原告X1及び原告X2は,平成24年11月13日頃に開催された宴会において,初めて被告Y1に会った。原告X2は,追加の出資を決め,同月22日,200万円を被告組合に送金した。(甲2,39,40,乙B28,33,原告X1,原告X2,被告Y1)
エ 原告X1及び原告X2は,平成24年12月23日頃に開催されたカラオケ大会に参加した。その会では,被告Y7が司会を担当し,被告Y2がもう少しで上場すると言い,被告Y1も平成25年2月から同年10月の間に上場すると言った。原告X2は,終了直後,被告Y7から追加の出資を求められ,同年1月21日,100万円を被告組合に送金した。(甲2,39,40,51,乙B28,原告X1,原告X2,被告Y1,被告Y2)
オ Gは,平成26年3月10日,原告X1に250万円,原告X2に200万円をそれぞれ返還した。(甲39,40)
カ 被告Y7及び被告Y8は,その本人尋問において,原告X1と原告X2が平成24年7月30日に被告Y1から本件説明1その他の話を聞いたと供述する。しかし,原告X1及び原告X2は,その本人尋問において,被告Y1は,その本人尋問兼代表者尋問において,それぞれ原告X1と原告X2が被告Y1と初めて会ったのは同年11月13日頃であると供述している。そうすると,的確な裏付けを伴わない被告Y7及び被告Y8の供述だけでは,上記供述を採用することはできない。
(7)  被告Y2と被告会社との関係
ア 被告Y2は,平成18年7月,被告Y1が代表者を務める日本ヴィトネットの取締役に就任した。被告Y1は,平成19年8月28日,日本ヴィトネットのセンサー部門を独立させて被告会社を設立した。被告Y2は,被告会社の代表者に就任したが,その就任の前後を通じて,名古屋に在住して株式会社槌屋に対する営業のみを担当し,月に1回程度上京する程度で,被告会社の業務を行っていたのは,専ら被告Y1であった。(前提事実(1),乙C1,被告Y1,被告Y2,弁論の全趣旨)
イ 被告Y2は,被告会社が主催して平成24年5月に行われた韓国の視察旅行に参加し,同年12月23日頃に開催された集会に参加して,もう少しで上場すると発言した。(認定事実(6)エ,乙C1,被告Y2)
ウ 被告Y2は,被告Y1に無断で,被告会社の代表者として,パルス電子の代表者であるDとの間で,被告会社が本件SPACから購入した転換社債の償還請求権をパルス電子に譲渡する旨の契約書を作成した。Dは,これを本件SPACに提出した。本件SPACは,被告会社に対し,転換社債償還請求権が譲渡された旨を通知した。それを知った被告Y2は,上記契約書は無効であるから,転換社債は被告会社に償還されるべきである旨を本件SPACに通知した。このため,本件SPACは,被告会社が購入した転換社債に相当する12億ウォンを供託した。(認定事実(1)チ,乙B11,32,乙C1,被告Y2)
(8)  被告Y9と被告組合との関係
被告Y9は,被告Y5の勧めで,平成22年10月20日,被告組合の組合員となった。被告Y9は,プレトルコリアの買収資金を集めるために被告組合に対する出資を勧誘したが,結局,誰からも出資がされなかった。(前提事実(5),乙E1,2,被告Y9)
(9)  SPAC
ア SPACとは,企業買収を唯一の目的として投資家から公募方式で一定規模以上の資金を募集して設立した一種の名目会社である。SPACでは,〈ア〉経営陣が対象企業を発掘して株主が企業買収の是非を決定する構造であり,SPAC設立後に一定期間内に対象会社を買収して企業公開を通して,価値が上昇した合併企業の株式を投資家たちが株式市場で売却し,投資利益を回収することができるようにするという収益構造をとる。SPACでの投資の流れは,非上場のSPACを設立し,SPACについてIPOを申請し,上場を果たし,経営陣が発掘してきた対象企業の買収の可否を株主が決定し,買収が成功すれば,存続会社となる合併企業の株式を株式市場で売却して収益を上げることができ,買収が失敗すれば,SPACを清算し,投資資金を返還することになる。(甲11,乙B22)
イ 被告Y1は,SPACに対する投資では元本が保証されると認識していた。(乙B28)
ウ 平成22年11月19日の日本経済新聞には,韓国が外国人マネーを呼び込む目的で平成21年6月から外国人投資家による債券投資への非課税措置を導入していたが,過度な外国人債券投資は市場の変動性を拡大し,経済全体のシステムリスクを拡散させる可能性があるとしてこれを廃止させ,課税を復活させる方針を明らかにした旨の記事があるが,その後の動向は,不明である。(甲26,32,34,弁論の全趣旨)
2  争点(1)(本件スキームへの投資の勧誘が欺もう行為に当たるか)
(1)  ①認定事実(1)ウ,オ及びカによると,被告会社は,買収したプレトルコリアに生産させた本件商品を日本やアメリカで販売するという計画を立て,その半額を出資して設立したパルス電子,買収資金を集めるために設立させた被告組合,買収資金集めへの協力を約したみなとみらいキャピタルやMirae Asset証券と共に,その計画を進めていた平成22年末頃までは,プレトルコリアの買収は,新たに組成するM&Aファンドにより行うものとされていたこと,②ところが,認定事実(1)カないしセによると,遅くとも平成23年3月には,Mirae Asset証券が外れ,代わりにSPAC上場の実績のあるメリッツ証券が加わり,同年8月には,プレトルコリアの買収は,新たに組成するSPACにより行うものとされたことが認められる。
(2)  これに対し,SPAC導入の意義,SPACの投資構造等に関する記載がある「企業引受目的會社」と題する書面(甲11)は,平成22年1月13日付けである。しかし,本件全証拠を精査しても,上記書面がプレトルコリアの買収資金を集めるために被告組合に対する出資を勧誘する際に資料として同年中に用いられていたことを認めるに足りる的確な証拠がないことに鑑みると,上記書面の日付が平成22年1月13日であることは,上記(1)の認定を左右しない。他に上記(1)の認定を左右するに足りる的確な証拠はない。
(3)  ①被告Y7は,その本人尋問において,被告Y1から,本件商品に組み込む技術が特許登録され,これを事業化するために被告組合を設立した旨の本件説明1を初めて聞いたのは,平成23年1月であったと供述していること,②被告Y7は,その本人尋問において,被告Y1が,同年2月又は3月に本件説明1をした際に,被告組合への出資では元本が保障される旨の説明(以下,「本件説明2」といい,本件説明1と合わせて「本件各説明」という。)をしたと供述していること,③被告Y7が,平成26年8月12日に原告X1と電話で話をした際に,被告組合への投資は全て元本保証であったと述べ(甲45),同年10月9日に原告X1及び原告X2と面談した際に,被告Y1が元金を絶対に保証すると皆の前で言っていたと述べている(甲46)こと,④被告Y1は,その陳述書(乙B28)において,パルス電子が韓国ではファンドよりもSPACの方が投資家のリスクが低くなるとしてプレトルコリアの買収にSPACを利用することを提案してきたのは平成23年2月頃であると供述し,その本人尋問兼代表者尋問において,提案の時期を同年3月頃と改めたほかは,同様の供述をしていること,⑤SPACに対する投資では元本が保証される(認定事実(9)ア)から,プレトルコリアの買収が新たに組成するSPACにより行われると説明をする方が被告組合への出資をさせやすくなると考えられることに鑑みると,被告Y1,被告Y7又は被告Y8は,同月以降,被告組合への投資を勧誘するに当たって,本件各説明をしていたと考えられないではない。
しかし,⑥被告Y1は,その本人尋問兼代表者尋問において,同年9月以降,本件説明1の①,すなわち,本件商品に組み込む技術が特許登録され,これを事業化するために被告組合を設立し,被告組合に対する出資金により韓国のプレトルコリアを買収する旨の話をする際に,本件SPACの話もしていたと供述していること,⑦〈ア〉プレトルコリアの買収が新たに組成するSPACにより行うことに改められたのが同年8月であること(前記(1)),〈イ〉本件SPACに関する説明資料が完成したのが同月である(認定事実(1)コ及びス)ことに鑑みると,説明資料が完成してから本件SPACの話をするようになったということが不自然,不合理であるとは認め難いこと,⑧被告Y1は,SPACに対する投資では元本が保証されると認識していた(認定事実(9)イ)から,被告Y1が本件説明1の①をする際に元本が保証されるという話もしていたとしても,不自然,不合理であるとは認め難いことも勘案すると,被告Y1は,同年9月以降に本件説明1をした際に,被告組合への投資では全て元本保証される旨の本件説明2の話をしており,被告Y7及び被告Y8も,同様に,同月以降に本件説明1をした際に,被告組合への投資では全て元本保証される旨の本件説明2の話をしていたと認めるのが相当である。証拠(甲39ないし42,乙B28,原告X1,原告X2,原告X4,被告Y1)は,この認定を左右するに足りず,他にこの認定を左右するに足りる的確な証拠はない。
(4)  原告らは,被告会社及び被告組合が,①〈ア〉被告Y1が開発した障害物感知システム及び障害物感知方法は,日本,韓国及び米国において特許を取得した,〈イ〉韓国のSPAC制度を利用して韓国の企業を買収し,上記〈ア〉の技術を組み込んだ本件商品を韓国で販売することにより莫大な利益が上がる,〈ウ〉被告組合に投資した資金によって韓国の企業を買収するから,被告組合に投資すれば,多額の配当が確実であり,元本も保証されるという本件スキームが実在するかのように仮装したが,〈エ〉実際には,〈a〉被告らの説明とは異なり,原告が被告組合に振り込んだ金員は全て韓国に送金されず,一部が被告会社や被告組合の事業経費として使用されていた,〈b〉被告らの説明とは異なり,被告会社に送金された資金は,SPACの設立や投資に利用されなかった,〈c〉したがって,原告らが被告組合に振り込んだ資金については,元本の保証はなく,投資リスクがゼロとはいえず,短期のうちに株式を提供することは不可能であったという点において虚偽であったにもかかわらず,そのことを秘し,詐術を用いて原告らが投資した金員が本件スキームに充てられるものと原告らを誤信させて,本件スキームへの投資を勧誘することにした,②仮に,本件SPACが設立されていたとしても,本件SPACによる仕組みと原告らが説明されていた本件スキームとは,全く別物で同一性が認められないから,本件SPACが存在することをもって,本件スキームが架空の投資スキームであることは否定されない旨を主張する。
しかし,認定事実(1)カないしソ,(5)ア及び(6)イによると,上記①〈ア〉ないし〈ウ〉を内容とする本件スキームは実在したものと認めるのが相当である。また,そうすると,原告らが説明を受けた本件スキームと実在するプレトルコリアの買収のための仕組みが全く別物で同一性が認められないとはいえない。
そうすると,原告らの主張①及び②は,いずれも採用することができない。
そして,原告らは,本件スキームへの投資を勧誘することが違法であることを前提に被告らの行為が違法であると主張するほかは,被告らの行為が違法であるとは主張していない。
3  争点(2)(被告らによる本件スキームへの投資の勧誘等の有無)
(1)  認定事実(4),前記2(3)で説示したことのほか,証拠(甲41)によると,原告X3が平成23年3月23日から平成24年6月15日までに被告組合に送金した金員は,原告X3が平成23年3月以降に被告Y1,被告Y7又は被告Y8から聞かされた本件説明1,原告X3が同年9月以降に被告Y1,被告Y7又は被告Y8から聞かされた本件各説明を信じて送金した金員であると認められる。
(2)  認定事実(5),前記2(3)で説示したことのほか,証拠(甲42,原告X4)によると,原告X4が平成23年4月11日から平成24年9月13日までに被告組合に送金した金員は,原告X4が平成23年3月以降に被告Y7及び被告Y8から聞かされた本件説明1,原告X4が同年9月以降に被告Y7及び被告Y8から聞かされた本件各説明を信じて送金した金員であると認められる。
(3)  認定事実(6)イ,前記2(3)で説示したことのほか,証拠(甲39,原告X1)によると,原告X1が平成24年8月28日に被告組合に送金した金員は,原告X1が被告Y7及びBから聞かされた本件各説明を信じて送金した金員であると認められる。
(4)  認定事実(6)イないしエ,前記2(3)で説示したことのほか,証拠(甲40,原告X2)によると,原告X2が平成24年8月28日及び同年11月22日に被告組合に送金した金員は,原告X2が被告Y7から聞かされた本件各説明を信じて送金した金員であり,原告X2が平成25年1月21日に被告組合に送金した金員は,原告X2が被告Y7から聞かされた本件各説明のほか,被告Y2及び被告Y1の上場する旨の話を信じて送金した金員であると認められる。
(5)  しかし,前記2(4)で説示したことによると,前記(1)ないし(4)の各勧誘が違法であると認めることはできない。
そうすると,前記(1)ないし(4)の各勧誘が違法であることを前提に被告らの行為が違法であるとの原告らの主張は,その前提を欠くから,被告Y1,被告Y7及び被告Y8を除くその余の被告らが前記(1)ないし(4)の各勧誘にどのように関与したか,同被告らが前記(1)ないし(4)の各勧誘後にどのような行為を行ったかにかかわらず,採用することができない。
4  結論
以上によると,その余の点について判断するまでもなく,原告らの請求は,いずれも理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第10部
(裁判官 鈴木正紀)

 

〈以下省略〉

 

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