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「営業支援」に関する裁判例(21)平成29年 9月28日 東京地裁 平27(ワ)32291号 貸金等請求事件(基本事件)、譲受債権請求事件(併合事件)

「営業支援」に関する裁判例(21)平成29年 9月28日 東京地裁 平27(ワ)32291号 貸金等請求事件(基本事件)、譲受債権請求事件(併合事件)

裁判年月日  平成29年 9月28日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平27(ワ)32291号・平27(ワ)32926号
事件名  貸金等請求事件(基本事件)、譲受債権請求事件(併合事件)
裁判結果  請求棄却(基本事件)、請求棄却(併合事件)  文献番号  2017WLJPCA09288031

要旨
◆自動車に搭載するETC等の電気通信機器の製造、販売等を目的とする各会社の代表取締役である原告X1が、電気通信事業法に基づく第二種電気通信事業等を目的とする本件会社の代表取締役であった被告に対し、1億3000万円を貸し渡したとして、本件消費貸借契約に基づき、1億円等の支払を求め(基本事件)、原告X2が、被告に対し、原告X1は本件消費貸借契約に基づく返還請求権のうち3000万円を原告X2に譲り渡したとして、本件消費貸借契約に基づき、3000万円等の支払を求めた(併合事件)事案において、原告ら主張に係る弁済期の合意は認められず、訴外会社から本件会社への本件売渡代金の支払がないことが確定したときには、被告の弁済義務が消滅すると解することが衡平に適うことから、訴外会社が本件会社に本件売渡代金を支払うことは弁済の条件であったと認定し、同条件が成就したと認めるに足りないなどとして、いずれの事件に係る請求も棄却した事例

参照条文
民法1条2項
民法1条3項
民法90条
民法96条
民法126条
民法127条
民法135条
民法587条
民法708条
民法724条

裁判年月日  平成29年 9月28日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平27(ワ)32291号・平27(ワ)32926号
事件名  貸金等請求事件(基本事件)、譲受債権請求事件(併合事件)
裁判結果  請求棄却(基本事件)、請求棄却(併合事件)  文献番号  2017WLJPCA09288031

平成27年(ワ)第32291号 貸金等請求事件(基本事件)
平成27年(ワ)第32926号 譲受債権請求事件(併合事件)

東京都国分寺市〈以下省略〉
基本事件原告 X1(以下「原告X1」という。)
同訴訟代理人弁護士 髙木肇
同上 佐藤克也
東京都板橋区〈以下省略〉
併合事件原告 X2
(以下「原告X2」といい,原告X1と併せて「原告ら」という。)
同訴訟代理人弁護士 岩本康一郎
東京都世田谷区〈以下省略〉
両事件被告 Y(以下「被告」という。)
同訴訟代理人弁護士 小倉秀夫

 

 

主文

1  原告らの請求をいずれも棄却する。
2  訴訟費用は,基本事件及び併合事件を通じて,その13分の10を原告X1の,その余を原告X2の負担とする。

 

事実及び理由

第1  請求
(基本事件)
被告は,原告X1に対し,1億円及びこれに対する平成17年9月11日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(併合事件)
被告は,原告X2に対し,金3000万円及びこれに対する平成17年9月11日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2  基本事件の当事者の主張
1  請求原因
(1)  原告X1は,平成17年8月31日,被告に対し,1億3000万円を,弁済期を同年9月7日と定めて貸し渡した(以下「原告ら主張消費貸借契約」という。)。
ア このことは,甲イ10により明らかである。なお,原告X1は,被告の申出によって,同日頃,弁済期を同月10日まで猶予し,甲イ1を原告と取り交わしたものである。
イ また,金員の交付は,原告X1が依頼した,原告X1が代表取締役を務める株式会社a(以下「a社」という。)の従業員Dに依頼し,a社の金員を被告に送金することによってした。なお,原告X1は,後に,a社に対し,その立替金債権を返済した。
(2)  よって,原告X1は,被告に対し,消費貸借契約に基づき,1億円及びこれに対する弁済期の翌日以降である平成17年9月11日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。
2  請求原因に対する認否
(1)  請求原因(1)頭文は否認する。
ア 1億3000万円を支出し,交付したのは,原告X1が代表取締役を務めるa社であり,原告X1ではない。
イ 1億3000万円の交付を受けたのは,被告が経営する株式会社b(以下「b社」という。)であって,被告ではない。
被告は,原告X1の依頼を受け,既に決まっていた株式会社エイチツークリエイト(以下「H2」という。)の株式会社パスコ(以下「パスコ」という。)に対するETC車載器売買契約に介在した(甲イ1記載の「平成17年8月31日支払・株式会社パスコ買約証番号003726-0756-01分」(以下「パスコへの本件売渡買約証番号003726-0756-01分」という。)を含む。)が,そこでは,b社が先にH2に売買代金を支払い,その後,パスコから少し利益をのせた売買代金の支払を受けることとされていた。b社は,H2に支払うべき売買代金の大部分を株式会社三井住友銀行(以下「三井住友銀行」という。)から融資を受けたが,1億3000万円足りず,a社から融資を受けたものである。
ウ 弁済期を9月7日や10日と定めたことはない。
甲イ1記載のとおり,弁済期は定められておらず,下記3(1)記載のとおり停止条件が定められたのみである。
(2)  請求原因(2)は,争う。
3  抗弁
(1)  停止条件
仮に,原告X1が被告に対し,平成17年8月31日,1億3000万円を貸し渡したとしても,その際,原告X1と被告は,パスコがb社に本件パスコ売渡買約番号003726-0756-01分代金を支払ったことを停止条件として,被告に弁済義務が発生する旨の合意をした。
このような合意をしたのは,真実は,本件売買は,形式的にはETCをパスコがH2に,H2がb社に,b社がパスコに売る形式を採るものの,現実にはETC車載器の納入をしない循環取引の一部であって,パスコから原告に代金が支払われない可能性があったのに,原告X1はこれを知りながら,これを秘し,b社の代表取締役であった被告に,H2とパスコの間に与信のため介在して欲しいと依頼したので,被告はそれを信じ,その依頼をした原告X1に,三井住友銀行からの借入金によっては賄いきれない本件売買代金のうち一部の貸付けを依頼したものであるからである。
(2)  公序良俗違反,信義則違反又は権利濫用
原告X1が被告に対し,平成17年8月31日,1億3000万円を貸し渡したとしても,上記(1)第2段落記載の事実からすると,その消費貸借契約は公序良俗に反するので無効である,又は,その消費貸借契約に基づく貸金返還請求は信義則違反若しくは権利濫用となり許されない。
なお,原告ら主張の消費貸借契約が上記の事情によって無効であるから,交付された金員は不法原因給付であり,返還を要しない。
(3)  詐欺取消
原告X1が被告に対し,平成17年8月31日,1億3000万円を貸し渡したとしても,上記(1)第2段落記載の事実からすると,その消費貸借契約は,原告X1が,被告を欺罔したことによってなしたものである。
被告は,平成29年7月10日,本件口頭弁論期日において,上記詐欺を原因として,原告ら主張消費貸借契約を取り消す旨の意思表示をした。
なお,原告ら主張消費貸借契約は,原告X1の詐欺行為の一環としてなされたものであるから,交付された金員は不法原因給付であり,返還を要しない。
(4)  相殺
ア b社は,当時,東京証券取引所に上場の申請をしていたところ,上記(1)第2段落記載の事実によって,上場ができず,倒産した。それによって,当時,時価総額100億円のb社の株式の17.5%を保有していた被告は,その株式が無価値になったことによって,約17億円の損失を被った。また,被告は,b社の役員報酬として年4000万円以上の報酬を得ていて,b社の上場により数年に亘りその報酬を得ることを期待できたのに,原告X1の詐欺行為によって,その役員報酬相当分約3億円の損害を被った。
したがって,被告は,原告X1に対し,不法行為に基づき少なくとも20億円の損害賠償請求権を有している。
イ 被告は,平成29年7月10日,本件口頭弁論期日において,上記債権をもって,原告ら本件請求債権を対当額にて相殺する。
4  抗弁に対する認否
いずれも,事実関係は否認し,その主張は争う(原告ら)。
5  再抗弁
(1)  取消権の時効消滅
被告が欺罔行為と主張する行為は,遅くとも平成17年に提起された関連事件において争点となっていたところ,その時点から5年以上経過している。
原告X1は,平成29年8月21日,本件口頭弁論期日において,被告の,詐欺による取消権について消滅時効を援用する旨の意思表示をした。
(2)  損害賠償請求権の時効消滅
被告が主張する不法行為は,平成17年に行われたものであるところ,その時点から3年以上経過している。
原告X1は,平成29年8月21日,本件口頭弁論期日において,被告の損害賠償請求権について消滅時効を援用する旨の意思表示をした。
6  再抗弁に対する認否・反論
争う。
第3  併合事件の当事者の主張
1  請求原因
(1)  第2の1(1)のとおり
(2)  原告X1は,平成27年5月27日,原告ら主張消費貸借契約に基づく返還請求権のうち3000万円分を原告X2に譲り渡した(以下,この譲渡を「本件債権譲渡」という。)。
(3)  原告X1は,平成27年6月23日,被告に対し,本件債権譲渡につき,通知した。
(4)  よって,原告X2は,被告に対し,原告ら主張消費貸借契約に基づき,3000万円及びこれに対する弁済期の翌日以降の平成17年9月11日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。
2  請求原因に対する認否
(1)  請求原因(1)に対する認否は,上記第2の2(1)のとおり。
(2)  同(2)は,知らない。
(3)  同(3)のうち,甲ロ1の1が,原告X2が主張する頃に被告のもとに届いたことは認め,その余は否認ないし争う。
(4)  同(4)は,争う。
3  抗弁及び抗弁に対する認否
第2の3,4のとおり。
第4  当裁判所の判断
1  事実認定
本件の争点は,原告ら主張消費貸借契約の成否及び被告主張の抗弁にかかる事実が認定できるか否かである。いずれの争点の判断においても,前提として,原告X1及び被告が関与したETC車載器の売買の一連の経緯が重要な関連を有するので,その点も含め,下記(1)に当裁判所の認定した事実を記載し,下記(2)以下において,その事実認定についての補足説明をする。
(1)  認定事実
甲イ14,乙12,原告X1本人,被告本人及び後掲各証拠並びに弁論の全趣旨によると,次の事実を認定することができる(なお,甲イ14,原告X1本人には,下記認定に反する部分があるが,下記(2)記載のとおり,採用できない。)。
ア 原告X1は,自動車に搭載するETC等の電気通信機器の製造,販売及び広告事業等を目的とするa社及びc株式会社(以下「c社」という。)の代表取締役である(甲イ6,7)。被告は,電気通信事業法に基づく第二種電気通信事業等を目的とするb社の代表取締役の地位にあった。
イ パスコの従業員A(役職名は,システム事業部ビジネス営業部第2グループ長)(以下「A」という。)は,三井物産交通システム株式会社(以下「三井物産交通システム」という。)の従業員のBやc社代表取締役原告X1と共に,パスコのために,全国異業種協同組合等にETC車載器を売り,利益を得ようと考え,平成16年12月ないし平成17年1月頃から,三菱,パナソニックなどのメーカーにETC車載器を発注した。しかし,全国異業種協同組合等へ売却や他の買主の開拓が進まず,暗礁に乗り上げた。そこで,A,原告X1及びBは,ETC車載器をメーカーから三井物産交通システム等が買い受け,それをパスコが買い受け,a社が取り付け工事をする権利とともに,X社を通して,ユーザーに売却する,c社は三井物産交通システム等の営業支援をするとのスキームを立ち上げた。そして,当初はX社の候補としてウェルネス・フロンティア・センターが上がったが,最終的に断られた。そこで,A及び原告X1は,一時的に資金を得るため,平成17年3月や4月頃,三井物産交通システム等がパスコにETC車載器を販売する間に三井リース事業株式会社を入れ(乙15の11~13),物件納入会社として三井物産交通システム等が入り,エヌ・ティ・ティ・リース株式会社がパスコにETC車載器売買代金車載器を割賦販売した(乙13の1~9)。これらの取引においてETC車載器はETC車載器売買代金サービスの八千代物流センターサービス等に保管されているとされていた。その後も,最終的な売り先が見つからず,最終的な売り先を見つけるまでのファクタリング機能を有する他社の参入も見込めなかった。そこで,A及び原告X1は,b社をこの取引に参加させ,そこから資金を得るため,既にa社が管理しているETC車載器を,パスコからH2に売った形とし,H2が所有していることとして,それをパスコが買う話を作り上げ,b社の代表取締役である被告に,最終的な売先が見つからず,最終的な売先を見つけるまでのファクタリング機能を有する他社の参入も見込めなくなったことを秘し,H2とパスコ間の売買が正規なものであると虚偽の説明をし,パスコの支払サイトがないのでファクタリングが必要であるから,b社が間に入って,H2からETC車載器を買い受け,一旦その代金を支払い,パスコからその代金に一定の利益を積んだ売買代金を受け取って欲しい(以下,この取引全体を「本件媒介取引」という。)と依頼した。被告は,パスコが東証一部上場の大企業であることを知っていたため,A及び原告X1の説明を信じ,b社を代表し,その依頼に応じることとした。(乙6,10,11)
ウ 上記イのA及び原告X1の依頼の一部として,H2は,平成17年6月20日,パスコに対し,ETC車載器3万3000台(三菱製EP-223B 1万500台,古野製7500台,デンソー製DIU-3600 1万5000台)を代金5億3720万7300円で買い受ける旨の注文書を作成し,Aが,パスコのために,同年7月1日,H2に対し,その売買代金を請求する請求書を作成した。H2は,b社に対し,同年6月22日,ETC車載器5万2000台(三菱製 EP-223B 3万5000台及びパナソニック製CY-ET800D1万7000台)を代金5億2000万円で売る旨の見積書を作成し,同年7月25日,その代金を請求する請求書を作成し,b社は,同年7月29日にH2に対し,合計5億2000万円を送金した。b社は,上記の買い受けも含め,H2から下記エ記載のETC車載器合計15万6660台を買い受け(以下,この買受を「H2からの本件買受」といい,その代金を「H2への本件買受代金」という。),b社は,その代金19億1000万円を支払った。(乙3の1~5,乙10)
エ Aは,上記のA及び原告X1のスキームのとおり,パスコのために,b社との間で,パスコがb社から,平成17年6月15日頃又は同年7月25日頃ETC車載器合計5万2000台(三菱製EP-223B 3万5000台及びパナソニック製CY-800D 1万7000台)を代金6億0060万円(消費税相当額を含む。)で,その頃ETC車載器合計9万2000台(トヨタ製08685-00120 2万台,デンソー製DIY3600 5万台,古野製J-HP101A 7000台及びパナソニック製CY-ET800D 1万5000台)を代金12億0960万円(消費税相当額を含む。)で,同年6月24日頃又は同年8月29日頃ETC車載器1万2660台(デンソー製DIU-3600)を代金2億0002万8000円(消費税相当額を含む。)(パスコへの本件売渡買約証番号003726-0756-01分,出荷日同年9月9日,代金支払条件 納入月月末締め切り,翌々月末日現金払)で,その頃ETC車載器1万7340台(デンソー製DIU-3600 1万2340台,トヨタ製08685-00120 5000台)を2億7397万2000円(消費税相当額を含む。)で買い受ける旨の売買契約書を作成した(以下,これらの売買を「パスコへの本件売渡」といい,その売買代金を「パスコからの本件売渡代金」という。乙1,4,5の1ないし3)。
オ H2からの本件買受及びパスコへの本件売渡に際し,対象とされたETC車載器の現実の納入はなく,対象物のうち存在するものは,すべてc社八千代物流サービスセンター等に保管されたままであった。なお,上記イ記載のETC取引全体の書類上の在庫は実在庫より多く,少なくとも一部は完全な架空取引であって,他に循環取引もあった。
カ b社は,上記ウに記載したものなどのH2からの本件買受代金を支払うため,三井住友銀行から,パスコからの本件売渡代金債権5億7200万円,11億5200万円,2億0002万8000円を担保として,平成17年7月28日5億1480万円を,同年8月3日11億5200万円を,同月31日1億8000万円を借り受けた(乙1,乙15の1~8)。しかし,それらの借受金のみでは,H2への本件売渡代金等に足りなかったので,被告は,b社代表者としてか個人としてかはさておき,原告X1に,資金が足りないことを説明し,原告X1又はa社からの1億3000万円の借入れを依頼した(乙6,7)。そこで,a社は,その通帳から,平成17年8月31日,被告名義又はb社名義の口座に1億3000万円を振り込んだ(以下「本件振込」という。)(甲イ3の1・2)。被告は,同日,本件振込の前後に,原告X1から同日1億3000万円を,弁済期を同年9月7日として借り受けた旨の金銭借用書(甲イ10の原本)の自らの記名の横に,自らの実印を押印した(甲イ2,被告本人(7,21頁)が否定していない。)ものの,その際,原告X1に対し,弁済期を同年9月7日とすることはできず,パスコからの本件売渡代金のうち,支払期日が同年11月末日となるパスコへの本件売渡買約証番号003726-0756-01分の支払を受けたときとして欲しい,したがって,速やかに,その旨の金銭借用書を作成して,甲イ10の原本と差し替えて欲しいと述べた。原告X1は,それを了承した。原告X1は,その数日後,コピーを取った上,被告から甲イ10の原本の返還を受け,それと差し替えに,被告に,同年8月31日,原告X1から同日1億3000万円を借り受け,「株式会社パスコからETC事業(平成17年8月31日支払・株式会社パスコ買約証・買約証番号003726-0756-01分)で株式会社bに支払入金が入り次第,現金で返還いたします。」と記載した金銭借用書(甲イ1)に実印の押捺を受け,受け取った。
キ パスコは,b社に対し,パスコへの本件売渡買約証番号003726-0756-01分を含め,パスコからの本件売渡代金の任意の支払をしなかった。
そこで,パスコからの売渡代金債権の根債権譲渡担保権者である三井住友銀行は,平成17年中に,パスコに対し,パスコからの本件売渡代金合計20億1022万8000円及びその遅延損害金の支払を求める訴訟を提起し(当庁平成17年(ワ)第25366号),平成21年3月27日,全額の支払を認める判決を受けた。その控訴審において,三井住友銀行とパスコは,パスコが,三井住友銀行に対し,解決金として17億5000万円を支払うことなどを定めた和解をした。
(乙1,2)
ク b社は,平成19年12月,東京地方裁判所において民事再生手続が開始された後,平成22年12月28日,株主総会決議により解散した(甲イ5)。
(2)  事実認定の補足説明
ア 甲イ14及び原告X1本人には,①被告に対し,b社に本件媒介取引をさせるよう勧誘したことはない,②本件振込は本件媒介取引と全く関係なく,原告X1個人が被告個人に貸し付けたものである,③被告は,平成17年8月31日,原告X1に対し,同年9月7日に弁済する旨の約束をし,甲イ10の原本を被告側で作成し,交付した,③被告は,同月7日頃,同日の弁済はできないので弁済期を延期してほしい,パスコからb社にETC事業での代金が同月10日に入ることになっているのでそのときに支払うとして甲イ1に差し替えて欲しいといって甲イ1を作成し,持参し,原告X1に交付したので,それを原告X1が了承したとする部分がある。そこで,その信用性を検討する。
イ 原告X1のb社に対する本件介入取引への勧誘の有無
(ア) 原告X1は,乙9(原告X1の関連事件での証人尋問調書)において,早い段階からパスコが関与するETC車載器の販売に関わっていたことを認める(本件での原告本人においてもその関与を認めている(6頁)。)のみならず,それらの取引の少なくとも一部が循環取引であって,当初想定されていた最終的な買主の確保ができないまま,平成17年7月,8月の時点で,パスコが負担すべきリース代金の返済期限が迫っていて,少なくともAがその調達先を探していたこと及び当時それらの事実を原告X1が知っていたことを認めている。
また,乙11(H2の監査役であったC(以下「C」という。)の関連事件での証人尋問調書)によると,Aから依頼され,H2が,原告X1の保管していたETC車載器を,帳簿上の在庫の操作だけで,パスコからb社に売り渡す間に入り,その一部として上記(1)ウの取引をしたこと,その際b社は金融機関から金員を借り受けると聞いたこと,H2においては,Aの指示に従い,b社からH2に振り込まれた金員をパスコの名でリース会社に支払ったり,原告X1が経営する会社に支払ったりしたこと,Cは被告がそのような契約の実体を知っていたか否かは分からないことが認められる。
(イ) 上記イで指摘した点からすると,原告X1とAが,b社から資金供与を受けるため,パスコからH2,同社からパスコというETC車載器の循環取引のうち,H2からパスコへの売買の間にb社を介入させることとし,原告X1及びAにおいて,被告に,b社に本件介入取引をさせるよう依頼したとする,Aの報告書である乙6,7については,その多くに裏付けがあることとなるから,信用できる。したがって,甲イ14,原告X1本人のうち,これらに反する部分は採用できない。
ウ 本件貸付時の原告と被告との遣り取り
上記イのとおり,原告X1は,それが実体のない循環取引の一部であることを知りながら,被告に,b社に本件仲介取引をさせることを依頼したことものであるところ,被告又はb社が,それが実体のない循環取引の一部であることを知りながらその取引に入るメリットは想定できないことからすると,それを知らなかったとする乙12,被告本人は信用できる。
そして,甲イ1,原告X1本人(14頁で認めている。),被告本人によると,原告X1と被告は,合意に基づき,平成17年9月7日頃,甲イ10の原本と甲イ1を差し替えていること,差し替え後の甲イ1には「ETC事業(平成17年8月31日支払・買約証・買約証番号003726-0756-01分)で株式会社b社に支払入金が入り次第,」返還する旨の文言が入っていることが認められ,その事実に,本件振込がされた平成17年8月31日頃は,b社がH2にH2への本件買受代金を支払うべき頃であること,b社にH2からの本件買受をするよう勧誘したのは原告X1であって,原告X1においては,被告にパスコへの本件売渡は正常な取引であると説明していたことから,被告は約束どおりパスコからの本件売渡代金の支払を受けられると判断していたものであって,原告X1もそのことを知っていたことも総合すると,本件振込時に,被告が,原告X1に対し,本件売渡代金の支払があったときに,本件振込の対象とされた金員を被告又はb社が原告X1又はa社に返還する旨の約束をしたとする乙12,被告本人は信用でき,甲イ14,原告X1のうち,これに反する部分は採用できない。
2  原告ら主張消費貸借契約の成否及びそれに基づく判断
(1)  弁済期又は弁済の条件
上記1(1)カ記載の事実からすると,原告が主張する平成17年9月7日を弁済期とする合意は認められない。
そして,上記1(1)カ記載の事実からすると,パスコが,b社にパスコからの本件売渡買約証番号003726-0756-01分の代金を支払うことが弁済の不確定期限又は条件とされたと認められる。
そこで,そのいずれと解すべきかを検討するに,上記認定の本件振込金の使途はH2への本件買受代金の支払であって,そのような支払が必要となったのは原告X1の被告に対する本件媒介取引への勧誘によるものであること,H2に対する本件買受代金債務とパスコからの本件売渡代金債務はいずれも本件媒介取引によって生じたもので,強い関連性をもつものであること,本件においては既にH2に対する本件買受代金は全額支払われていること,原告X1においては本件媒介取引が架空の循環取引の一部であって,パスコからの本件売渡代金が支払われないリスクを十分知っていたのに,被告は,原告X1の説明を信じ,本件媒介取引が正常な取引で,パスコからの本件売渡代金の支払があると判断していたことを総合すると,その支払がないことが確定したときには,弁済義務が消滅する弁済の条件であったと解することが衡平に適う。
(2)  そして,上記条件が成就したと認めるに足りる主張や証拠はなく,特に上記1(1)キによっても,その解決金の支払が上記条件の成就であると判断すべき事実の具体的な主張,立証もない。
そうすると,借主や貸主が法人か個人かなどのその余の点を判断するまでもなく,原告X1の請求は理由がなく,同人からその債権の一部を譲り受けたとする原告X2の請求も理由がない。
3  結語
よって,主文のとおり,判決する。
東京地方裁判所民事第50部
(裁判官 水野有子)

 

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