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判例リスト「営業代行会社 完全成果報酬|完全成功報酬」(307)平成19年11月21日 東京地裁 平19(ワ)18175号 損害賠償請求事件

判例リスト「営業代行会社 完全成果報酬|完全成功報酬」(307)平成19年11月21日 東京地裁 平19(ワ)18175号 損害賠償請求事件

裁判年月日  平成19年11月21日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平19(ワ)18175号
事件名  損害賠償請求事件
文献番号  2007WLJPCA11218006

事案の概要
◇訴外みずほ信託銀行株式会社(以下「みずほ信託」という。)の株主である原告が,みずほ信託が訴外株式会社プロパスト(以下「プロパスト」という。)から訴外日新製糖株式会社(以下「日新製糖」という。)が入札方式により売却することとした別紙物件目録1及び2記載の不動産(以下「本件土地建物」という。)の取得に関する業務を受託したのに,担当行員が入札手続を怠ったため,プロパストは本件土地建物を取得することができず,みずほ信託は報酬額相当額の損害を被ったものであり,当時のみずほ信託の取締役であった被告らには,担当行員の業務遂行に対する監督を怠った善管義務・忠実義務違反があると主張して,被告らに対し,連帯して2億6730万円の損害賠償及びこれに対する被告らに対する訴状送達の日の翌日である平成19年8月9日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金をみずほ信託に支払うよう求めた株主代表訴訟の事案

出典
ウエストロー・ジャパン

裁判年月日  平成19年11月21日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平19(ワ)18175号
事件名  損害賠償請求事件
文献番号  2007WLJPCA11218006

東京都中央区〈以下省略〉
原告 アルファホームズ株式会社
同代表者代表取締役 A
同訴訟代理人弁護士 寺井勇人
横浜市〈以下省略〉
被告 Y1
千葉県松戸市〈以下省略〉
被告 Y2
東京都世田谷区〈以下省略〉
被告 Y3
東京都千代田区〈以下省略〉
被告 Y4
横浜市〈以下省略〉
被告 Y5
上記5名訴訟代理人弁護士 松山遙
同 川井信之
同 西本強

 

 

主文

1  原告の請求をいずれも棄却する。
2  訴訟費用は,原告の負担とする。

 

 

事実及び理由

第1  請求
被告らは,訴外みずほ信託銀行株式会社に対し,連帯して2億6730万円及びこれに対する平成19年8月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
1  本件は,訴外みずほ信託銀行株式会社(以下「みずほ信託」という。)の株主である原告が,みずほ信託が訴外株式会社プロパスト(以下「プロパスト」という。)から訴外日新製糖株式会社(以下「日新製糖」という。)が入札方式により売却することとした別紙物件目録1及び2記載の不動産(以下「本件土地建物」という。)の取得に関する業務を受託したのに,担当行員が入札手続を怠ったため,プロパストは本件土地建物を取得することができず,みずほ信託は報酬額相当額の損害を被ったものであり,当時のみずほ信託の取締役であった被告らには,担当行員の業務遂行に対する監督を怠った善管義務・忠実義務違反があると主張して,被告らに対し,連帯して2億6730万円の損害賠償及びこれに対する被告らに対する訴状送達の日の翌日である平成19年8月9日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金をみずほ信託に支払うよう求めた株主代表訴訟の事案である。
2  前提となる事実(証拠を掲記した外は,争いがない。)
(1)  みずほ信託は,信託業務等を行う資本金2472億3191万3374円の株式会社である。
(2)  日新製糖は,同社が所有する別紙物件目録1及び2の不動産(以下「本件土地建物」を入札方式により売却することとし(以下「本件入札」という。),その入札締切日を平成18年1月17日(以下「本件入札期限」という。)と定めた。
(3)  プロパストは,本件土地建物を購入することを希望しており,同月16日,原告との間で,本件土地建物の取得完了まで,原告が,プロパストに対し,本件土地建物の取得に係る情報提供及びコンサルタントその他プロパストが求める本件土地建物取得に係る業務全般に対する協力を行うとの内容の業務委託契約を締結し,契約書を作成した(以下「原告受託契約」という。乙3)。
(4)  同月17日付けで,プロパストは,本件土地建物を81億円で購入するとの購入申込書(以下「本件申込書」という。甲6)を作成したが,同申込書は日新製糖に到達しなかった。
(5)  本件土地建物は,本件入札により,訴外株式会社明豊エンタープライズ(以下「訴外明豊」という。)が,62億1000万円で落札した(乙4)。
(6)  被告らは,本件入札期限当時,みずほ信託の取締役に就任していた。
(7)  同年12月11日,原告は,みずほ信託及び同社の不動産営業第一部長Bを被告として,損害賠償請求訴訟を提起した(以下「別件訴訟」という。)。
同訴訟における原告の主張は,みずほ信託が日新製糖に対しプロパストの本件申込書を提出していれば,原告は原告受託契約に基づく成功報酬として取得額の1.5%を取得することができたのに,みずほ信託の本件土地建物売買の担当者であったBがその提出を怠ったため成功報酬を得られなかったとして,Bに対し不法行為に基づく損害賠償を,みずほ信託に対し使用者責任に基づく損害賠償を求め,併せて,プロパストのみずほ信託に対する損害賠償請求権を代位行使するというものであったが,平成19年6月29日,原告の請求棄却の判決が言い渡され,原告は控訴せずに確定した(乙1)。
(8)  原告は,同年4月6日付けの内容証明郵便により,みずほ信託に対し,本件入札期限当時の取締役らに対する提訴請求を行ったが,これに対し,みずほ信託は,事実関係を確認した結果,当時の取締役らには損害賠償責任はないので訴訟提起はしない旨を原告に通知した。
(9)  原告は,上記提訴請求の6か月前から現在まで引き続きみずほ信託の株式1000株を保有している。
第3  争点
本件争点は,本件訴訟提起が訴権の濫用に当たるか及びみずほ信託がプロパストとの間で,本件土地建物の取得に関する業務を受託することを合意した事実が存在するかである。
1  原告の主張
(1)  訴権の濫用について
本件訴訟は株主代表訴訟であり,これによって原告は何らの経済的利益を得ることはないのであり,原告は,本件入札についての一連のみずほ信託の対応に疑義を感じ,みずほ信託の運営をただそうと考えて本件訴訟を提起したものであって,訴権の濫用には当たらない。
(2)  みずほ信託とプロパスト間の契約について
① みずほ信託は,プロパストから,本件土地建物の取得に関する業務委託の依頼を受け,報酬額を本件土地建物の取得価額の3%として,担当者間で口頭により業務受託の合意をした(以下「本件受託契約」という。)。
日新製糖が本件入札を実施するについては,取引先金融機関である住友信託銀行株式会社,三井住友銀行及びみずほ信託の3行に購入希望者への「呼びかけ」を依頼したことからも,この3行が買主を紹介し,買主のために報酬を得て仲介をすることは当然の前提となっていたものである。
また,みずほ信託は不動産の仲介を主な業務としており,無償のサービスで業務の依頼を受けることはあり得ない。
② 本件受託契約に基づき,プロパストは,みずほ信託に対し,本件土地建物を81億円で購入するとの購入申込みを行うよう依頼し,本件申込書を作成して渡したが,みずほ信託の本件土地建物売買の担当者であったBは,日新製糖に対する購入申込みを怠った。
なお,Bは,日新製糖に対し,電話によりプロパストの購入申込みを伝えたところ,日新製糖の担当社員Cから拒絶されたので,書面による購入申込みはしなかったと事実に反する説明をしているが,Cは,そのような事実はないと抗議している。また,Bは,購入申込みの経緯に不安を感じたプロパストの担当者から,購入申込書を直接日新製糖の代表者か取締役の誰かに持参して渡すべきであるとの指摘を受けたが,指示に従わなかった。
③ 本件入札により,本件土地建物は訴外明豊が取得したが,Bがプロパストの81億円の購入申込みをしていれば,プロパストが本件土地建物を取得したことは確実であり,これによりみずほ信託は取得価格81億円の3%である2億4300万円の成功報酬を得られたはずであるのに,Bが購入申込みを怠ったことにより同額の損害を受けたものである。
④ Bが購入申込みを怠ったことは,みずほ信託の利益を阻害する違法行為であり,このように担当者の単純な任務懈怠によって2億4300万円の成功報酬を失う事態が生じた原因は,本件入札当時,みずほ信託においてBの任務懈怠を防止する監督体制が欠如していた点にある。このような監督体制を整備する責任は,被告ら取締役にあり,本件のごとき担当者による任務懈怠は簡単に予見可能であったのであるから,監督体制を整備しなかった被告らには過失がある。
⑤ よって,原告は,被告らに対し,みずほ銀行に対し,連帯して,監督体制を整備しなかった不作為によりみずほ信託が受けた2億4300万円の損害賠償及び原告が勝訴した場合にみずほ銀行が原告に対して支払うべき請求額の10%の弁護士報酬額2430万円の合計2億6730万円並びにこれに対する被告らに対する訴状送達の日の翌日である平成19年8月9日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。
2  被告らの主張
(1)  訴権の濫用について
本件訴訟は,別件訴訟の敗訴判決言渡し後わずか18日で提起されており,その内容も同じ事実関係に基づくものであり,原告は,別件訴訟で敗訴したため,株主代表訴訟という別の方法で新たに訴えをしたにすぎず,株主代表訴訟の提訴権の濫用に当たる。
そもそも原告は,原告受託契約に基づき,自らこそが日新製糖に働きかけるなどしてプロパストが本件土地建物を取得できるよう努力する責務を負っていたのであり,そのような立場にある原告が,みずほ信託の担当者に任務懈怠があると主張するのは不可解で,真摯に役員責任を追及する意図で本件訴訟を提起したものでないことは明らかであり,本件は訴権の濫用として却下されるべきである。
(2)  本件受託契約について
みずほ信託がプロパストとの間で,本件土地建物の取得に関し本件受託契約を締結した事実はない。
もともと日新製糖は,本件入札について,仲介者その他代理人による購入申込書の持参・提出には一切応じないとしており,不動産仲介業者による仲介はできない入札であった。
ただ,みずほ信託としては,日新製糖が取引先であり,不動産仲介の実績もあったことから,日新製糖に対し,入札希望者を事実上紹介・打診することはできた。そこで,みずほ信託は,プロパストに対するサービスの一環として,プロパストに対し,物件紹介として本件入札を知らせ,プロパストから入札希望であることを聞いて日新製糖に連絡したが,Cから断られたため,その旨をプロパストに回答したにすぎず,プロパストとの間で本件受託契約を締結した事実はなく,報酬及び手数料を受け取った事実も一切ない。
したがって,みずほ信託が報酬を得られたということはなく,損害を被ったこともない。
第4  争点に対する判断
1  証拠によれば以下の各事実が認められる。
(1)  日新製糖は,本件入札に関し,購入希望者を宛先とする「入札のご案内」と題する書面を作成したが,その内容として,「入札参加者は,実際の売買において買主となる方に限定させて頂きます。仲介者その他代理人等実際の売買における買主以外の方による購入申込書の持参・提出には一切応じられませんのでご了承ください。」,「購入申込書の郵送・FAXによる受付は致しませんのでご了承ください。」と記載されていた(甲5の2頁)
また,同書面では,「4 入札の条件」として,「① 入札結果についての選考基準,入札結果,順位等の情報及び入札参加者に関する情報は一切公表致しません。尚,入札価格のみが選考基準となるわけではありませんので予めご了承ください。」,「⑨ 本件入札及びこれに基づく本件不動産の売買は,入札窓口業者・仲介者等の介在しない当事者(当社,入札参加者・買主)間の直接取引とします。従って,本件入札及びこれに基づく本件不動産の売買においては,仲介手数料・紹介料その他名目の如何を問わず当事者による報酬支払いが発生する余地はありません。」とされていた(甲5の3頁)。
(2)  本件入札期限当日の平成18年1月17日,プロパストの担当者は,本件申込書をみずほ信託に預け,みずほ信託では,日新製糖の担当者であったBが対応を行った(甲7,甲17の2頁)。
(3)  同日,Bは,日新製糖に対し,電話により,プロパストが本件土地建物を81億円で購入する旨の購入申込みをしたいと申し出ていることを伝えたが,日新製糖の担当者からプロパストの申込みは受けないと拒絶されたので,本件申込書を持参・提示及び提出することができなかった(甲7,甲17の3頁)。
(4)  プロパストの代表取締役Dは,同年2月20日付けの「報告書」と題する書面により,原告に対し,「弊社の窓口であったみずほ信託銀行に当時の経緯を確認しましたので,報告させて頂きます。」とし,プロパストが確認した内容として,みずほ信託のBがプロパストの本件申込書を届けに行くと日新製糖のCに連絡したが断られた,プロパストの81億円での購入意思は間違いなくCに伝えたということである,とした上で,原告に対し,Cの真意を確認し,日新製糖においても善処してくれるように伝えてほしいとの依頼をした(甲7)。
(5)  同月17日,原告の当時の代表取締役E(以下「原告前代表者」という。)は日新製糖に赴いて担当者と面談したが,その際の原告前代表者の意見及び情報に対し,日新製糖のFから,同月28日付けの書面により,① 原告前代表者が面談の際に述べた,本件入札が公開入札でなく一般にあまり知らされていなかったとの意見に対しては,日新製糖の取引金融機関3行に購入希望者への呼びかけを依頼したほか,これまで接触のあった大手不動産開発会社等に依頼したことからオープンに募集できたと判断しており,実際にも10社程度の会社から対応があった,とし,また,② 原告前代表者からの,みずほ信託の仲介でプロパストが応札したとの情報については,日新製糖内外で調査したが,プロパストから入札を受けた事実は一切ない,との調査結果の連絡があった(甲11)。
(6)  同年3月27日付けの書面で,日新製糖は,訴外株式会社マイ・ティー・ワンのG宛てに,質問状に対する回答として,みずほ信託がプロパストの本件申込書を日新製糖に持参,提示又は提出したことは一切なく,みずほ信託のBが入札金額を示してプロパストの意向をCに伝えたことも一切ないと連絡した(甲12)。
(7)  平成19年3月19日,Cの代理人弁護士らは,別件訴訟のみずほ信託及びBの訴訟代理人弁護士らに対し,別件訴訟の答弁書でBが日新製糖に平成18年1月17日プロパストが本件土地建物を81億円で購入する旨の購入申込みをしたいと申し出ていると伝えたところ,日新製糖の担当者から購入申込みを受けないと拒絶された,と主張しているが,事実に反するとの申入れをした(甲8)。
2  判断
(1)  訴権の濫用について
被告らは,原告が,みずほ信託及びBに対する損害賠償請求をした別件訴訟で敗訴判決を受けた後に,同一の事実関係に基づいて提起した本件訴訟は訴権の濫用に該当すると主張する。
しかし,本件は,原告がみずほ信託の株主として提起した株主代表訴訟であり,別件訴訟と異なり原告の個人的な損害の賠償を求めるものではなく,また,原告が,自己の主張する権利又は法律関係が事実的,法律的根拠を欠くものであることを知り又は通常人であれば容易にそのことを知り得るのにあえて訴えを提起したというような事情を認めることはできないから,本件訴訟提起が訴権の濫用に該当するとは認められない。
(2)  本件受託契約の存在について
原告が,みずほ信託とプロパストとの間で本件土地建物の取得に関して締結されたと主張する本件受託契約については,何らの契約書面も存在しない。
この点について,原告は,本件受託契約は,みずほ信託担当者とプロパスト担当者間の口頭の合意により成立したものであると主張する。
しかし,① 前記第2の2(3)のとおり,同じ本件土地建物の取得に係る業務の受託に関するプロパストと原告間の原告受託契約については書面が作成されているのに,同契約より報酬額も高額で,受託会社であるみずほ信託の規模も大きい契約関係につき,本件土地建物購入のための不可欠の手続である入札の期限前に受託契約の当事者間で何らの書面も作成されていないのは不合理であること,また,② 前記1(4)のとおり,プロパストは落札者より高額での購入申込書を作成していたのに落札できなかったことが明らかになった後にも,みずほ信託に対しては事実経緯の確認のみを求め,債務不履行に基づく損害賠償請求も行っていないこと,これに対し,原告受託契約を締結した原告に対しては,日新製糖の担当者の真意確認を依頼していることからすれば,プロパストとしては,みずほ信託に対し,法的な対応を求めることはできないと認識していたこと等が認められる(なお,プロパストは,みずほ信託の立場について,前記1(4)のとおり,その法的地位ではなく事実上の役割にすぎないと解される「窓口」と表現している。)。
したがって,上記の事実関係に照らせば,本件全証拠によっても,みずほ信託とプロパスト間で本件受託契約が締結された事実を認めるには足りず,原告の請求は理由がないというべきである。
なお,原告は,日新製糖が前記1(5)のとおり,みずほ信託ら取引先金融機関に呼びかけを依頼していたのであるから,みずほ信託が報酬を得て買主の仲介を行うことは当然の前提となっていたとし,また,日新製糖は,みずほ信託のBがCに対しプロパストの81億円での購入希望を伝えた事実はないと主張しており,Bの説明と重要な点で齟齬があると主張する。
しかし,日新製糖が,みずほ信託らに呼びかけを依頼したとする書面は,原告前代表者からの公開入札ではなかったとする意見に対する回答にすぎず,むしろ,前記1(1)のとおり,日新製糖は,本件入札による本件土地建物の売買は当事者間の直接取引として仲介は介在しないことを条件とする旨明示していたのである。また,Bの説明と日新製糖の主張との間に齟齬があるとしても,もともと本件原告の請求は,本件受託契約の存在を前提とするものであり,前記のとおり同契約の存在を認めるに足りる証拠がない以上,上記の齟齬は本件に影響を与えるものではない。
3  以上によれば,その余の点について判断するまでもなく,原告の請求は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。
(裁判官 矢尾和子)

 

〈以下省略〉

 

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