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「営業代行」に関する裁判例(6)平成30年 3月28日 東京地裁 平27(ワ)20186号 損害賠償請求事件

「営業代行」に関する裁判例(6)平成30年 3月28日 東京地裁 平27(ワ)20186号 損害賠償請求事件

要旨
◆原告X1ないし原告X3が、住宅設備に表面処理(コーティング)を施す事業をフランチャイズの本部として展開している被告会社との間でそれぞれ加盟店契約を締結した際、同社は、情報提供義務に反して契約締結の適否を的確に判断することができる情報を提供せず、かえって虚偽の事実を告げて原告らを欺罔したとして、被告会社に対し、不法行為に基づく損害賠償又は加盟店契約の詐欺取消しに基づく不当利得の返還を求めた事案において、被告会社は、契約締結に当たり事業内容に関し客観的かつ正確な情報を提供すべき義務に違反して、事実と異なる見出しによって申込みを誘引し、本件事業が高単価、高収益な事業であると誤認させた上、不正確な収支情報を提供し、実際には店舗数の拡大を図りながら少数精鋭を謳って、原告らに各契約を締結させたなどとして、被告会社の不法行為責任を認め、原告らの各損害を認定した上で、被告会社の情報提供義務違反が積極的に欺罔又は誤信させる意図の下行われた悪質なものであることに鑑みて損害の公平な分担の見地から過失相殺を否定し、請求を一部認容した事例

参照条文
民法96条
民法703条
民法704条
民法709条
民法722条2項

裁判年月日  平成30年 3月28日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平27(ワ)20186号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  一部認容  文献番号  2018WLJPCA03288007

東京都三鷹市〈以下省略〉
原告 X1
東京都江戸川区〈以下省略〉
原告 X2
横浜市〈以下省略〉
原告 X3
上記3名訴訟代理人弁護士 齋藤貴弘
同訴訟復代理人弁護士 伊藤弘好
同 小山雄輝
東京都港区〈以下省略〉
旧商号 長谷川興産株式会社
被告 HITOWAライフパートナー株式会社
同代表者代表取締役 A
同訴訟代理人弁護士 秦悟志
同 佐藤穂貴

 

 

主文

1  被告は,原告X1に対し,489万2827円及びこれに対する平成27年8月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2  被告は,原告X2に対し,436万6725円及びこれに対する平成27年8月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3  被告は,原告X3に対し,517万4796円及びこれに対する平成27年8月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
4  原告X1及び原告X2のその余の請求をいずれも棄却する。
5  訴訟費用は,原告X1と被告との間に生じた費用は,これを10分しその1を原告X1の負担としその余は被告の負担とし,原告X2と被告との間に生じた費用は,これを4分しその1を原告X2の負担としその余は被告の負担とし,原告X3と被告との間に生じた費用については,全部被告の負担とする。
6  この判決は,第1項ないし第3項に限り,仮に執行することができる。

 

事実及び理由

第1  請求
1  被告は,原告X1に対し,595万3036円及びこれに対する平成27年8月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2  被告は,原告X2に対し,570万7068円及びこれに対する平成27年8月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3  被告は,原告X3に対し,517万4796円及びこれに対する平成27年8月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(略称)以下において,原告X1を「原告X1」,原告X2を「原告X2」,原告X3を「原告X3」と略称する。
第2  事案の概要
原告らは,住宅設備に表面処理(コーティング)を施す事業をフランチャイズの本部として展開している被告との間で,フランチャイズ契約(以下「加盟店契約」という。)を締結した際,被告が情報提供義務に反して,契約締結の適否を的確に判断することができる情報を提供せず,かえって,虚偽の事実を告げて原告らを欺罔して加盟店契約を締結させたとして,被告に対し,情報提供義務違反の不法行為に基づき,損害(加盟店契約に伴い支出した費用等相当額)及びこれに対する不法行為の日の後日(訴状送達の日の翌日)である平成27年8月9日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求め,さらに,選択的に,詐欺を理由に加盟店契約を取り消したとして,不当利得返還請求権に基づき,損失(加盟店契約に伴い支出した費用等相当額)及びこれに対する費用等を受領した日の後日(訴状送達の日の翌日)である平成27年8月9日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による同法704条前段の利息の支払を求めている。
1  前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)
(1)  当事者等
ア 被告は,「マイスターコーティング・フランチャイズ」と称する住宅設備に表面処理(コーティング)を施す事業(以下「本件事業」という。)のフランチャイズの本部として展開している。被告は,本件事業のほかに主力事業である住宅清掃を業務とするおそうじ本舗,靴専科などの5つのフランチャイズ事業を行っている。なお,被告は,平成29年11月1日に商号を長谷川興産株式会社から,現在の商号に変更した。(乙57,弁論の全趣旨)
イ 原告らは,本件事業について,被告との間で加盟店契約を締結した加盟店オーナーだった者である。
(2)  本件事業内容等
ア 本件事業は,被告が独自に開発した表面処理(コーティング)技術であるマイスターコーティングを,フローリング,窓,水回りなどの住宅設備に施すことで,表面処理(コーティング)剤による皮膜を作り傷や汚れから素材を守り美観と耐久性を向上させることなどを業務内容とするフランチャイズ事業である。(甲1,2,3,乙23,24)
イ 被告では,加盟店を募集するために,ウェブサイトや雑誌の広告に加えて,被告本社での説明会のほかに,外部での起業者向けの説明会等を開催している。そして,本件事業に興味を持ち被告の説明会に予約申込みをした者を対象として,被告本社で説明会を随時開催しており,通常,被告担当者が,参加者に対し,1対1で1時間半程度の枠をとって説明を行っている。(乙57,証人B・1,2頁)
ウ 被告が提携している起業者向けのウェブサイトでは,本件事業について,専門性が高く,粗利率90%も可能な高単価・高収益のビジネスであることが謳われている(甲1)。
また,被告自身が開設しているウェブサイト(甲2,3)においても,同様に高単価・高収益のビジネスであることが謳われ,さらに「年商2000万円超えの加盟店オーナー続々誕生!」「驚異の利益率!なんと粗利は90%」の見出し(以下「本件見出し」という。)が掲示されている。同ウェブサイトでは,本件見出しとともに,本件事業の売上トップの加盟店オーナーとしてマイスターコーティングあきる野店のCオーナーのインタビューが公開されていた(枝番を含む甲23)。
なお,被告は,平成27年7月11日時点においても,ウェブサイト上に本件見出しを掲示し,加盟店希望者の誘引を行っていた。(甲24)
(3)  本件各契約
ア 原告X1は,平成25年9月7日,当時池袋のaビルにあった被告本社(以下同じ。)において,被告担当者のB(以下「B」という。)から本件事業の説明を受け,同年10月11日,被告との間で,マイスターコーティング・フランチャイズ契約と称する加盟店契約(以下「X1契約」という。)を締結した。(乙3,32)
イ 原告X2は,平成25年8月10日,被告本社において被告担当者のBから本件事業の説明を受け,同年8月20日,被告との間で,マイスターコーティング・フランチャイズ契約と称する加盟店契約(以下「X2契約」という。)を締結した。(乙16,33)
ウ 原告X3は,平成26年12月14日及び同月28日,被告本社において被告担当者のBから本件事業の説明を受け,平成27年1月18日,被告との間で,マイスターコーティング・フランチャイズ契約と称する加盟店契約(以下,「X3契約」といい,X1契約,X2契約及びX3契約を併せて「本件各契約」という。)を締結した。(乙22,34)
(4)  本件各契約の解消
ア 原告X1は,被告の研修を経て,平成26年1月1日からマイスターコーティングb店として本件事業を開始したが,同年12月4日付け内容証明郵便により,X1契約を解除する旨の意思表示をした。(甲20,枝番を含む乙42)
イ 原告X2は,被告での研修を経て,平成25年10月16日からマイスターコーティングc店として本件事業を開始したが,平成26年7月30日に本件事業を廃業した。(甲21,枝番を含む乙44)
ウ 原告X3は,平成27年2月9日から被告での研修を受け,マイスターコーティングd店として開業することとなっていたが,他の加盟店の手伝いをしたのみで,一度も開業することなく平成27年3月17日までに廃業した。(甲22,枝番を含む乙46)
(5)  原告らは,平成27年8月8日送達の本件訴状をもって,本件各契約を詐欺を理由に取り消す旨の意思表示をした。
2  争点
(1)  情報提供義務違反
(2)  詐欺の成否
(3)  損害及び相当因果関係
(4)  相殺の可否
3  争点に関する当事者の主張
(1)  争点(1)(情報提供義務違反)について
(原告らの主張)
ア 開業後の売上に関し不正確な情報を提供したこと
加盟店の売上は本件事業の収支予測を検討する上で重要な情報であるところ,被告は,原告らに対し,開業後の売上に関する事情について,年商2000万円を超える加盟店オーナーが存在しないにもかかわらず,「年商2000万円超えの加盟店オーナー続々誕生!」と被告の加盟店が年間売上2000万円を達成しているとの客観的な事実に反する虚偽の説明をしていた。また,被告は,原告らに対して,加盟店の平均売上額及び平均売上額以下の加盟店の存在などの事情について一切説明をしていない。
これに加えて,被告は,原告らに対し,法人を設立して複数人(4人)で本件事業を運営した場合(以下「法人モデル」という。)に,一月当たりの売上が525万円である加盟店は存在しないにもかかわらず,実際に存在する加盟店が上記売上を達成しているかのような客観的な事実に反する虚偽の内容を説明した。また,法人モデルで運営した場合の一月あたりの売上が525万円であるというケースは,加盟店ではなく被告の直営事業店舗であったのに,被告は原告らに対しこの点について一切説明しなかった。
イ 加盟店の廃業店舗数について虚偽の説明をしたこと
加盟店の廃業店舗数は本件事業の収支予測を検討する上で重要な情報であるところ,被告の主張でも廃業店舗数は,原告X2が説明会に参加した平成25年7月の時点で12店舗,原告X1が説明会に参加した平成25年9月の時点で17店舗,原告X3が説明会に参加した平成26年12月の時点で46店舗であったにもかかわらず,被告は,廃業店舗数について上記の通り説明せず,原告X1には数店舗と説明し,原告X2には0店舗と説明し,原告X3には2店舗と説明したが,被告は,原告らに対し,実際の廃業店舗数とは異なる虚偽の説明をした。
ウ 本件事業の粗利率について不正確な情報を提供したこと
被告のウェブサイト上では,加盟店の粗利率が90%以上であると説明されており,被告も原告らに対して,本件各契約締結時に粗利率が90%以上であると説明したが,本件各契約は,契約締結時にコーティングに必要な洗剤及び器材一式を購入しなければならず,実際には,これらの開業前に購入する初期セットに含まれる洗剤・器材の費用は含まれていなかった。
原告らは,初期セット費用も仕入代に算入した上で,一事業年度あたり90%以上の粗利がでるものと理解していていた。被告は,原告らに対し,開業前に購入する初期セットに含まれる洗剤・器材は,粗利率の計算に含まれていないことや,上記粗利率が月単位のものであることについて十分な説明をしなかった。
エ 開業後の加盟店支援について虚偽の情報を提供したこと
被告は,原告らに対し,本件各契約締結前は,営業活動をしなくても,被告からの紹介によって一定の売上を確保することができるかのような説明をしていた。しかし,被告は,本件各契約締結後に加盟店に配布される資料において,一月あたり300社という異常なほどの営業活動を要求するなど契約締結の前後で営業活動に関し全く異なる説明をしていた。また,被告は,原告らに対し,開業後も営業活動への同行や現場作業のサポートなど充実した支援を行う旨説明していたが,実際にはこれらの支援はほとんど行われなかった。
オ このように,被告は,原告らに対し,原告らが本件各契約を締結するか否かを検討するのに十分な情報を提供し,的確な判断ができるように客観的かつ正確な情報提供をする義務があるのに,これに違反したものであり,不法行為責任を負う。
(被告の主張)
原告らの主張は争う。
ア 開業後の売上に関する情報について
原告らが主張するとおり,本件各契約締結当時,本件事業について年商2000万円を超える加盟店オーナーが存在しなかったことは認めるが,1か月の売上が200万円を超えた加盟店は実在し,そこから推計すれば売上が2000万円を超えるため,加盟希望者を募るためのキャッチフレーズとして「年商2000万円」という文言を用いたに過ぎない。被告は,その後,加盟店希望者に対しては,説明会等を通じて事業内容を具体的に説明しているが,その際には,上記文言ではなく売上の実例にもとづくモデルを示して説明をしており,加盟店希望者は,契約締結までの間に現実的な売上目標を知ることができ「年商2000万円」を挙げる加盟店が実在していると信じたまま契約に至ることはない。
また,被告が原告らに対し,全加盟店の平均売上を開示していないことは認めるが,各加盟店には自身に起因する諸般の事情を抱え売上が伸びない店舗が一定数存在しており,これらの事情は,今からフランチャイズ事業に関わろうとする者にとって,実質的な意味をなさないから開示していないだけである。
また,原告らが指摘する法人モデルの売上は,法人加盟店が少ない時期に作成されたものであり,直営事業を参考値として示したものに過ぎない。被告担当者が,上記モデルを示して説明する際には,直営事業の売上である旨説明しているし,そもそも,原告らはいずれも個人事業者として加盟した者であって,上記の法人モデルの売上が,原告らが本件各契約を締結する際の判断を左右したとは考えられない。
イ 廃業率に関する説明について
廃業店舗等に関しては,被告担当者は,原告らに対し,約20%という廃業率を示して説明した。また,同担当者は,原告X1,原告X2には,本件各契約締結時までに交付する情報開示書面によって,契約の中途終了件数を開示したものであり,原告らは,被告が公表している加盟店総数と廃業率を合わせ読めば,およその廃業店舗数は容易に知ることができた。
ウ 粗利率について
被告担当者は,加盟希望者に対して,1か月あたりの収入と支出が記載された売上と収益モデルを示しつつ,本事業では月々の粗利率が90%を超えることを説明した。他方で,被告担当者は,初期セットを含めた開業費用については別途説明しており,原告らが,契約締結時において,被告による粗利率の説明が月単位ではなく年単位のものであり,これに初期セット費用が含まれていると勘違いすることはありえない。
エ 加盟後の開業支援について
被告担当者は,原告らと本件各契約締結に至る説明の中で,加盟店自身の営業努力がなければ売上が伸びず事業の成功はないことを繰り返し伝えており,本件各契約締結時にも,加盟申込書の事前確認事項において,「本事業は,当社がお客様を紹介したり,当社の社員が営業活動を代行したりすることは原則としてありません。自ら営業活動を行う必要性をご理解いただいていますか」等と最終確認している。
また,開業後の支援内容について,原告らは被告から充実した支援を受けていないと主張するが,実際には原告らが被告から提供された機会を断り,自ら活かさなかっただけである。
オ したがって,被告は,原告らに対し,本件各契約の締結に際し,加盟店希望者が加盟の是非を判断するに足りる必要十分な情報を提供しており,情報提供義務に違反していない。
(2)  争点(2)(詐欺の成否)について
(原告らの主張)
被告は,本部による人的サポート及び仕事の紹介といった加盟店の売上をサポートする体制が充実したものといえず,加盟店の廃業率もわずかではないことを認識しながら,原告らに対し虚偽の事実を告げ,その旨誤信させて本件各契約を締結させたものである。原告らは,被告に対し,平成27年8月8日到達の本訴状をもって,詐欺を理由に本件各契約を取り消す旨の意思表示をした。
(被告の主張)
いずれも否認する。
被告が原告らとの本件各契約の締結にあたり行った説明には,何ら違法又は不当な点はない。したがって,原告らが主張する詐欺に該当する事実はいずれも存在しない。
(3)  争点(3)(損害及び相当因果関係)について
(原告らの主張)
原告らは,被告による違法な勧誘により本件各契約を締結し,以下の費用等を負担し同額の損害を被った。また,原告らは,被告の詐欺により本件各契約を締結し,その後これを取り消したものであるから,被告に対し,本件各契約に伴い支出した以下の費用等を不当利得として返還を求める。
また,被告が主張する過失相殺については,公平の見地からこれを行うべきではなく,損益相殺についても否認し争う。
ア 原告X1
(ア) 加盟金
原告X1は,被告に対し,契約締結日の平成25年10月11日,加盟金136万5000円を支払った。
(イ) 保証金及び研修費
原告X1は,被告に対し,X1契約に基づき保証金30万円及び研修費52万5000円を支払った。
(ウ) 機材等の売買代金
① 原告X1は,平成25年10月11日,被告から,本件事業に基づくサービスを顧客に提供するのに不可欠なものとして,コーティング施工器具・機材及び販売促進用資料セットを購入し,代金167万4750円を支払った。
② 原告X1は,平成25年11月,後記する業務に用いるための軽自動車を購入するとともに,被告から営業に使用するための車両カッティングシートを10万5000円で購入した。
③ 原告X1は,上記機材の配送料4095円を負担し,サンプリング用チラシ2万枚の費用として4万2000円,リフォーム新聞購入費として2180円を支出した。
(エ) 既払ロイヤリティ
原告X1は,被告に対し,X1契約に基づき平成26年1月から同年11月分のロイヤリティとして,合計61万2600円を支払った。
(オ) 業務用自動車購入費用,駐車場代及び保険料
原告X1は,本件事業の業務のために軽自動車を100万円で購入した。その後,原告X1は,本件事業を廃業しこれに伴い同車両を57万円で売却し,その差額である43万円の損害を被った。原告X1は,上記軽自動車の駐車場代として合計25万3250円を支払うとともに,同車両の自動車保険料として5万7900円を支払った。
(カ) 事業用携帯電話料金
原告X1は,本件事業のために携帯電話を購入し,そのための費用として4万0076円を支出した。
(キ) 弁護士費用
原告X1は,被告の不法行為によって,本件訴訟の提起等を原告ら代理人弁護士に委任することを余儀なくされたものであるから,本訴請求額の1割に相当する54万1185円の弁護士費用は,被告の不法行為と相当因果関係ある損害である。
(ク) したがって,原告X1がX1契約により支出した費用は合計で595万3036円となるから,原告X1は,被告に対し,同額の賠償又は返還を求める。
イ 原告X2
(ア) 加盟金
原告X2は,被告に対し,契約締結日の平成25年8月20日,加盟金合計136万5000円を支払った。
(イ) 保証金及び研修費
原告X2は,被告に対し,平成28年8月下旬から9月頃にかけて,X2各契約に基づき保証金30万円及び研修費52万5000円を支払った。
(ウ) 機材等の売買代金
原告X2は,平成28年8月下旬から9月頃にかけて,X2契約に伴う機材等の売買代金として合計177万9750円を支出した。
① 原告X2は,平成25年10月11日,被告から,本件事業に基づくサービスを顧客に提供するのに不可欠なものとして,コーティング施工器具・機材及び販売促進用資料セットを購入し,代金141万7500円,省エネガラスコーティングセット12万0750円,フローリング補修研修・機材費13万6500円の合計167万4750円を支払った。
② 原告X2は,後記する業務に用いるための軽自動車を購入するとともに,被告から同自動車に貼付する営業に使用するための車両カッティングシートを10万5000円で購入した。
(エ) 既払ロイヤリティ
原告X2は,被告に対し,X2契約に基づき平成25年8月から平成26年2月分のロイヤリティとして,合計50万円を支払った。
(オ) 業務用自動車購入費用,駐車場代及びガソリン代
原告X2は,本件事業の業務のために軽自動車を29万円で購入した。また,原告X2は,上記軽自動車の駐車場代及びガソリン代として合計32万3494円を支払った。
(カ) 弁護士費用
原告X2は,被告の不法行為によって,本件訴訟の提起等を原告ら代理人弁護士に委任することを余儀なくされたものであるから,本訴請求額の1割に相当する50万8324円の弁護士費用は,被告の不法行為と相当因果関係ある損害である。
(キ) したがって,原告X2がX2契約により支出した費用は合計で559万1568円となるから,原告X2は,被告に対し,同額の賠償又は返還を求める。
ウ 原告X3
(ア) 加盟金
原告X3は,被告に対し,契約締結前の平成27年1月16日,加盟金140万4000円を支払った。
(イ) 保証金及び研修費
原告X3は,被告に対し,平成27年1月21日,X3契約に基づき保証金30万円及び研修費54万円を支払った。
(ウ) 機材等の売買代金
① 原告X3は,同日,被告から,本件事業に基づくサービスを顧客に提供するのに不可欠なものとして,エコ窓コート機材費12万4200円,機材費145万8000円,フローリングリペアキット14万0400円を支払った。
② 原告X3は,平成25年11月,後記する業務に用いるための軽自動車を購入するとともに,被告から営業に使用するための車両カッティングシートを10万8000円で購入した。
③ 原告X3は,上記機材の配送料5832円を負担した。
(エ) 既払ロイヤリティ
原告X3は,被告に対し,X3契約に基づき平成27年1月分のロイヤリティとして,合計5万1400円を支払った。
(オ) 業務用自動車購入費用
原告X3は,本件事業の業務のために軽自動車を128万7528円で購入した。その後,原告X3は,本件事業を廃業しこれに伴い同車両を75万円で売却し,その差額である53万7528円の損害を被った。
(カ) 損害保険料
原告X3は,本件事業のために損害保険に加入し,そのための保険料として3万5000円を支出した。
(キ) 弁護士費用
原告X3は,被告の不法行為によって,本件訴訟の提起等を原告ら代理人弁護士に委任することを余儀なくされたものであるから,本訴請求額の1割に相当する47万0436円の弁護士費用は,被告の不法行為と相当因果関係ある損害である。
(ク) したがって,原告X3がX3契約により支出した費用は合計で517万4796円となるから,原告X3は,被告に対し,同額の賠償又は返還を求める。
(被告の主張)
ア 原告らが主張する損害と被告の不法行為との間に相当因果関係があることは争う。
原告X1及び原告X3は,売上月額50~60万円程度を,原告X2は売上月額100万円程度を目指して本件各契約を締結したものであり,原告らが問題視している被告の宣伝のためのキャッチフレーズである年商売上2000万円を目指していたものではない。したがって,被告に何らかの情報提供義務違反があるとしても,原告らが本件各契約を締結したことに何ら影響を及ぼしておらず,原告らが本件各契約に際し支出した費用と被告の情報提供義務違反との間には相当因果関係がない。
イ 仮に,被告について何らかの不法行為が認められるとしても,原告らには,本件各契約の締結に関し,下記のとおり過失があるから,過失相殺がされるべきである。すなわち,本件においては,原告らが本件各契約に際し提出した加盟申込書の事前確認事項欄において自ら営業活動を行う必要があることを確認して契約したこと,原告らは本件事業の説明を受けてから実際に契約するまでに疑問があれば被告担当者に質問する機会が十分あったこと,廃業店舗数についても本件各契約締結前に見た情報開示書面により知ることができたことなど,原告らには本件各契約を締結したことについて過失が存在するから,これらを斟酌して過失相殺がされるべきである。
ウ また,原告らが本件各契約を締結したことにより一定の損害を被ったとしても,原告らは,本件事業に参加したことにより,売上を上げたものであるから,これを本件損害から控除すべきである。
さらに,原告らは,被告が主催する研修に参加し研修費に相当する技術や営業ノウハウ等を習得するとともに,本件事業に必要な機材や車両のカッティングシートを取得したものであるから,これらの費用も控除されるべきである。
これに加えて,原告らは,本件事業に対するロイヤリティを支払っているが,その結果,被告から本件事業に関する指導,支援を得るとともに商標の使用を許諾されて営業を行ったものであり,これに相当する利得を得たものであるから,ロイヤリティについても控除されるべきである。
なお,原告らは,本件事業のために自動車を購入したと主張するが,代金相当額の自動車を取得しているのであるから,そもそも損害自体発生してない。
(4)  争点(4)(相殺の可否)について
(被告の主張)
被告は,原告X2に対し,消耗品,器具等の代金及び紹介料として7万9296円,保険免責の立替金として10万円の債権を有しているから,これと原告X2の被告に対する不当利得返還請求権を対当額において相殺する。
また,被告は,原告X3に対し,消耗品,器具等の代金として1万9446円の債権を有しているから,これと原告X3の被告に対する不当利得返還請求権を対当額において相殺する。
(原告らの主張)
否認し争う。
原告らは,被告に対し,被告が虚偽の事実を告げて詐欺を行ったことを理由に本件各契約を取り消したものであり,実質的には情報提供義務違反の不法行為と同一の内容である。そのため,この場合にも受働債権を不法行為債権とする相殺を禁じた民法509条の趣旨が妥当するから,被告の相殺の主張は認められず失当である。
第3  当裁判所の判断
1  認定事実
前提事実,証拠(後掲証拠のほか甲20~22,原告X1本人,原告X2本人,原告X3本人)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実を認めることができる。
なお,この認定に反する証拠は,その限度で採用することができない。
(1)  被告の原告X1に対する勧誘等
ア 原告X1は,昭和42年○月○日生まれの男性であり,平成25年4月に以前勤めていた会社を退職し,インターネットで新たな就職先を探すなどしていた。なお,原告X1は,本件事業を始める前は,携帯電話ショップでのサービス業に10年間,映像機器の販売営業に8年間程度従事した経験を有していた。(甲20,乙1)
イ 原告X1は,平成25年8月頃,ウェブサイトで被告のフランチャイズ事業の一つであるおそうじ本舗のことを知り,詳しい説明を聞くために,同サイトから同年9月7日の被告の説明会への参加を申し込んだ。
ウ 同日,原告X1は,千葉から来た夫婦と一緒に,被告本社で開催された説明会に参加したが,原告X1としてはおそうじ本舗の説明会に申し込んだと認識していた。説明会では本件事業内容を説明するビデオが上映された後,被告担当者であるBが,本件事業について,パンフレット(乙23,24。以下「本件パンフレット」という。)に基づき説明を始めたところ,そこで初めて,原告X1は,上記説明会がおそうじ本舗のものではなく,本件事業の説明会であることを認識した。
原告X1が,Bに対し,上記説明会がおそうじ本舗の説明会ではない理由を尋ねたところ,Bは,原告X1に対し,おそうじ本舗より本件事業の方が単価が高く将来性があると説明し,その一例として,おそうじ本舗で一番需要があるエアコンクリーニングは,2時間で1万円という単価であり,1日3台やっても6時間で3万円にしかならないが,本件事業の場合には,時間単価が5万円から6万円になると説明した。(乙24)
また,Bは,原告X1に対し,本件事業はおそうじ本舗のように加盟店をたくさん募集せず,店舗を限定して少数精鋭にすることとし,それによって,被告本部から各加盟店に対し充実したサポートを行うことができると説明した。具体的には,一定の営業活動は必要であるものの,電話での営業は本部が代行するため加盟店自身が行うことはほとんどないこと,営業活動についても被告本部の担当者が同行しサポートすること,実際の作業現場にも被告本部の担当者が同行しサポートすることなどを説明した。
エ また,Bは,原告X1に対し,本件事業の売上モデルに関して,「マイスターコーティングの収益性」と題する資料(以下「本件収益表」という。乙24・16頁)を示して,同資料の「千葉県A店(1人・開業1年) 売上¥1,294,857」が市川店,「北関東B店(1人・開業1年3ヶ月) 売上¥1,037,400」が栃木店,「法人(4人体制) 売上¥5,250,000」があきる野店であると実在する店舗名を示して説明した。
また,Bは,これとは別に,原告X1に対し,本件事業の収支シミュレーション結果を記載した資料を示し,①新宿店の売上が月額60万円でそのうち被告本部からの紹介の売上が50万円,②渋谷店の売上が月額50万円でそのうち被告本部からの紹介の売上が40万円,③船橋店の売上が月額40万円でそのうち被告本部からの紹介の売上が30万円,④市川店の売上が月額70万円でそのうち被告本部からの紹介の売上が60万円であるという説明をし,新たに開業した店舗に対し被告本部から集中して現場を紹介するので,売上は50万円に上がるとの説明をした。なお,上記資料については,説明会終了後,Bが原告X1から回収した。(乙48,原告X1本人・5頁)。
オ 説明会後,原告X1は,本件事業について調べるため,被告のウェブサイトをみたところ,「年収2000万円超えの加盟店オーナー続々誕生!」,「驚異の利益率!なんと90%」などと本件見出しが掲載され,加盟店になると高収入を得ることができるとのBの説明と同趣旨の記載がされており,またフランチャイズ事業を紹介する他のウェブサイトの記事にもBの上記説明と同趣旨の記載がされていた。(甲2,甲23の2,原告X1本人・6,27頁)
カ 本件事業に興味をもった原告X1は,被告から案内された同年9月29日開催の「オーナー座談会」に参加し,実際に本件事業の加盟店として開業しているオーナーから話を聞くこととした。同座談会には,原告X1とBのほかに城北店のオーナーが参加し,同店のオーナーは,原告X1に対し,Bの説明を裏付けるように本件事業の利益率が高いことや開業直後に被告本部のサポートで売上を上げたという経験を話した。その際,売上目標を尋ねられた原告X1が,月額50万円程度である旨答えたところ,城北店のオーナーからは「そんなの床のコーティング3件で楽勝だよ。」と言われ,Bからも50万円程度なら営業活動をする必要はないかのような発言をされた。
また,原告X1が,Bに対し,廃業した店舗数を尋ねたところ,同人から数店舗程度であるという説明を受け,城北店のオーナーからも,廃業した店舗は仕事をしなかったから廃業したという趣旨の話を聞いた。
原告X1が,Bに対し,本件事業の開業費用が高額であることからフランチャイズ契約の締結を迷っていると話したところ,Bは,原告X1に対し,本件事業は全国で100店舗しか募集していないため,早くしないと募集枠がなくなる可能性があり,既に85店舗が加盟し残りの加盟枠は15店舗しかないとの説明をした。このため,原告X1は,Bに対し,本件事業への加盟を申し込むこととし,Bに言われたとおり加盟申込書のチェックボックス欄に「はい」とチェックを記入し,後日郵送で被告に提出した。(甲8,9,10,乙1,原告X1本人・9頁)
キ もっとも,原告X1が開業費用が高額であることや契約を締結すると失業保険の受給を打ち切られる可能性があったことから,座談会当日に契約を締結しなかった。そこで,Bは,原告X1に対し,度々加盟枠がなくなる旨の連絡をし契約締結をせかせた。このため,原告X1は,平成25年10月11日に被告本社を訪れ,被告との間で,X1契約を締結した。(原告X1本人・8頁)
X1契約を締結する際,原告X1は,Bから指示されるままに契約書等に必要事項を記載し署名押印等をした(乙2~3)。また,Bは,原告X1に対し,契約書に署名後,被告本部から紹介した案件は,売上が折半となる旨を伝えた。
なお,原告X1は,X1契約を締結するまでに,被告から情報開示書面(乙2)を受領したが,それが契約前に送付されたものか,契約当日に交付されたものか明らかではなく,また同書面には平成23年度に廃業した加盟店が4店舗,平成24年度に廃業した加盟店が6店舗ある旨記載されている。(乙57)
ク また,原告X1は,被告に対し,X1契約に基づき,加盟時の費用として加盟金136万5000円,保証金30万円,研修費52万5000円を支払った。これに加えて,原告X1は,被告に対し,本件事業に基づくサービスを顧客に提供するのに不可欠なものとして,コーティング施工器具・機材,及び販売促進用資料セットを購入し,代金167万4750円を支払い,上記機材等の配送料4095円を負担した。(乙3,争いのない事実)
(2)  原告X1の売上状況と被告の支援等
ア 原告X1は,平成25年12月から15日間の被告によるコーティング技術及び営業等に関する研修を受けた。(乙25)。研修を担当したD(以下「D」という。)は,原告X1ら参加者に対し,Bの説明と異なり,営業活動を1日8時間,これを1月に25時間やらないと売上が伸びないと述べた(乙58,証人D)。
被告が原告X1に配布した研修資料(甲13)には,事業運営にあたって,「マイスターコーティング基本3ヵ条」として「1日10時間,月25日以上稼働すること」「1日20件,月300社の訪問活動」,「整理整頓・美化」が謳われており,これらを徹底することが大切であると記載されていた。
イ 研修終了後,原告X1は,平成26年1月1日からマイスターコーティングb店として開業したが,同月中に被告本部から原告X1に紹介された案件は1件もなかった。また,同月中に,被告本部による電話営業代行サービスは15件程度,被告本部の担当者による営業の同行が1回あったが,そこから売上につながることはなかった。結局,原告X1の平成26年1月の売上は,0円であった。(乙57)
ウ 原告X1が,被告主催の定期総会に参加したところ,配布された資料に「アポ訪問3社/日,計画的飛び込み訪問7社/日,飛び込み訪問10社/日」,「営業活動15日で300社/月」と記載されており(甲12),開業後売上がなかった原告X1は,参加した他の加盟店オーナーに話を聞いてみたところ,営業活動をしなければ売上が上がらず,被告本部の紹介案件だけで50万円もの売上が上がることはなく,被告本部からの紹介案件で50万円も売上があるのは,加盟店の中でいわゆる「モデル店」と言われている特定の店舗だけであることを聞いた。
この話を聞いて驚いた原告X1は,営業活動に力を入れチラシを作成し配布するなどしたが売上は上がらなかった。なお,同チラシの作成に関し,原告X1は,平成26年9月1日,被告担当者であるEからデザイン等についてアドバイスを受けた(乙4の3)。
エ 被告からの原告X1に対する営業活動の支援は,原告X1の営業活動に被告本部の担当者が同行したのが3回,現場への同行も10か月で3回あったところ,そのうち1件については営業同行の結果成約となったことがあり,施工に際し,原告X1が被告担当者からアドバイスを受けるなどしたことがあったほか,被告本部からは技術補修への勧誘や施工技術についての合同研修が実施された。(枝番を含む乙5,7~9,乙58)
なお,原告X1は,このほかに被告本部から,平成26年10月頃埼玉県内の案件の紹介を受けたが,採算がとれないことを理由にこれを断り,また同年12月頃チラシの配布の依頼を受けたがこれもエリアが違うとして断った。(枝番を含む乙5,乙13)
オ 原告X1の本件事業に関する売上は,平成26年1月が0円,平成26年2月が7万円,同年3月が15万0880円,同年4月が9万2778円,同年5月が0円,同年6月が2万7778円,同年7月が20万0726円,同年8月が17万8778円,同年9月が9万5097円,同年10月が7万5778円,同年11月が19万3778円,同年12月が0円で合計108万5593円にとどまり,そのうち被告本部からは12か月で4件の案件が紹介され売上合計9万円にとどまった。(甲20,乙38)
カ 原告X1は,本件事業を続けても売上が上がる見込みが立たなかったので廃業することを決意し,被告に対し,平成26年12月4日付け内容証明郵便によりX1契約を取り消す旨の意思表示をし,既払ロイヤリティ等の返還を求めた(乙42の1)。
被告が原告X1の請求は一切受け入れられないと回答したため(乙42の2),原告X1は,被告を相手方として,東京簡易裁判所に対し調停を申し立てたが,結局,同調停は不成立となり終了した(弁論の全趣旨)。
(3)  被告の原告X2に対する勧誘等
ア 原告X2は,昭和53年○月○日生まれの男性であり,株式会社eの代表取締役として印刷業やコンサルタント業を行っていたが同社の売上が伸びなかったため,平成25年7月頃,新規事業をインターネットで探していた。(甲21,乙14)
イ 原告X2は,ウェブサイトを検索した結果,本件事業の加盟店で,年商2000万円を超える店舗が続々誕生している,加盟店の4割以上が1000万円以上の売上を上げている,仕事の単価は1件あたり10万円以上で,粗利が90%もある,財閥系デベロッパーや大手不動産との連携による販売経路を多数確保しており,そこからの依頼は,各加盟店に発注を行うため紹介案件が多いという記事を読み,被告の説明会への参加を申し込んだ。(甲14,原告X2本人・2頁)
ウ 原告X2は,平成25年8月10日,被告本社で行われた説明会に参加し,事業説明のビデオをみた後,被告担当者のEから配布された本件パンフレットに基づき,本件事業について一通りの説明を受けた。
原告X2は,事業経営の難しさを知っていたことや結婚が控えていたこともあって本件事業の売上について関心をもっており,Bに対し,売上を含めたウェブサイトに書いてあった本件事業の情報に間違いがないか確認したところ,Bが「もちろんそのとおりです。こんな大きな会社が嘘なんてつくわけないじゃないですか。」と述べたため信用した。
また,Bは,原告X2に対し,本件事業の売上モデルに関して本件収益表を示して,同資料の「千葉県A店(1人・開業1年) 売上¥1,294,857」が市川店,「北関東B店(1人・開業1年3ヶ月) 売上¥1,037,400」が栃木店,「法人(4人体制) 売上¥5,250,000」があきる野店であると実在する店舗名を示して説明し,予測で市川店については年商が2000万円を超えると述べた。
さらに,原告X2が,Bに対し,開業後の売上について尋ねたところ,Bは,加盟店のうち東京,千葉,埼玉の加盟店を抜粋して,それぞれの店舗の過去2か月間の売上表を見せた。同売上表には,開業から2か月しか経っていない江東店以外は,どの店舗も月額100万円から200万円以上の売上があるかのような記載になっており,併せて,Bからは,新規に開業した店舗には被告本部が現場を優先的に紹介するので,100万円以上の売上を約束できるとは言わないが,それに近い売上を確実に作ることができるとの説明を受けた。また,Bは,原告X2に対し,本件事業を廃業した店舗数は0であると答えた。(乙33,原告X2本人・4~6,19頁)
エ そして,Bは,原告X2に対し,本件事業については,被告本部から充実したサポートをするために少数精鋭の体制をとっており,東京都内であと2店舗しか募集していないと告げ,被告本部からの具体的なサポート内容として,電話での営業活動は被告本部が代行し加盟店自身はする必要がないこと,加盟店が営業活動をする場合には被告本部の担当者が同行すること,実際の現場作業にも被告本部の担当者が同行することを説明した。
オ 原告X2は,被告に対し,同月11日,本件事業への加盟を申し込むこととし加盟申込書を被告宛に郵送し(乙57,14),被告による審査を経て,同年8月20日,被告との間でX2契約を締結した。
X2契約の締結に際し,原告X2は,Bに指示されるままに契約書類の必要事項に記載をし署名・押印したが(乙16),営業場所の記載については,原告X2が希望する江戸川区では既存店舗と重複するので中央区と記載するように求められた。これについて原告X2がBに疑問を呈したところ,Bが契約書の記載は形式的なものに過ぎず実際には江戸川区で営業することを許容するかのような発言をしたため,原告X2も納得し,Bの指示するとおり営業場所を中央区と記載した。
なお,原告X2は,X2契約を締結するまでに,被告から情報開示書面(乙15)を受領したが,それが契約前に送付されたものか,契約当日に交付されたものか明らかではなく,また同書面には平成23年度に廃業した加盟店が4店舗,平成24年度に廃業した加盟店が6店舗ある旨記載されている。(乙57)
カ また,原告X2は,被告に対し,平成25年8月20日,X2契約に基づき,加盟時の費用として加盟金136万5000円のうち130万円を支払い,その後同月下旬から同年9月頃にかけて,加盟金残金6万5000円,保証金30万円,研修費52万5000円を支払った。
これに加えて,原告X2は,被告に対し,本件事業に基づくサービスを顧客に提供するのに不可欠なものとして,コーティング施工器具・機材を141万7500円,省エネ窓ガラスコーティングセットを12万7500円,フローリング補修研修・機材費として13万6500円の合計167万4750円を支払った。(乙16,争いのない事実)
(4)  原告X2の売上状況と被告の支援等
ア 原告X2は,契約後,被告による15日間のコーティング技術・営業等に関する研修を受け,平成25年10月16日にマイスターコーティングc店として開業した。(乙25)
イ 同月中に,被告本部による電話営業代行サービスは15件程度の紹介があったが,売上につながることはなく,同年11月以降は,ほとんど紹介されることがなかった。
また,被告本部からの営業活動の同行は2回,現場への同行は一度もなかったが,被告担当者のDは,原告X2に対し,同年3月4日にエリアミーティングを開催することを案内し,さらに同年4月22日,原告X2の要望を受けて顧客候補の会社の総会に出席し,本件事業が行っているコーティングについて説明するなどした。(枝番を含む乙17,18)
ウ 原告X2は,平成26年7月5日,本部から紹介を受けた現場で作業中,突然気を失って救急車で病院に搬送された。医師による診断の結果,原告X2は,熱中症と有機溶剤急性中毒症と診断された。(甲32)。
エ 原告X2は,東京都のホテル協同組合の指定業者になるなどしたが,本件事業による売上は,平成25年10月が0円,同年11月が16万2094円,同年12月が22万1999円,平成26年1月が0円,同年2月が2万4762円,同年3月が86万9713円,同年4月が17万7000円,同年5月が36万4000円,同年6月が0円,同年7月が0円で合計181万9568円にとどまり,そのうち被告本部からは10か月間で10件の案件が紹介され売上合計73万7665円にとどまった。(乙39,原告X2本人・30頁)
オ 原告X2は,前記のとおり有機溶剤急性中毒にとなったところ,血液検査の結果,著しく腎機能が低下し化学物質過敏症になったことから,本件事業を廃業することとした。原告X2は,被告を相手方として,平成26年7月30日付けで,東京簡易裁判所に対し,X2契約の取消しと既払金等の返還を求める調停を申し立てたが,同調停は不成立となり終了した。(甲32,枝番を含む乙44,弁論の全趣旨)。
(5)  被告の原告X3に対する勧誘等
ア 原告X3は,昭和35年○月○日生まれの男性であり,約30年間新聞社で新聞紙面の編集作成等の業務に従事していた。(甲22,乙20)
イ 原告X3は,かねてより自営業に興味をもっていたところ,新聞の広告に掲載されていた平成26年2月のフランチャイズEXPOが目にとまり,これに参加した。そこではじめて,原告X3は,被告が行っている本件事業の存在を知った。
原告X3は,平成26年10月頃,勤めていた新聞社が早期希望退職者の募集を開始することを知り,これを機に,約30年間勤めていた新聞社を翌年1月末で退職し,自分で起業することとした。
ウ 退職後,原告X3は,起業する事業をインターネットで探していたところ,被告が資料を提供したフランチャイズ事業に関するウェブサイト(甲1~3)を閲覧した。
原告X3が閲覧したサイトには,本件事業について「年商2000万円超えのオーナー続々誕生!」などの本件見出しのほかに,「月間売上148万円」,「粗利率90%も可能!」,「月間に実働10日間ほどで売上140万円以上(粗利率90%近く)上げることも可能に」,「ハウスクリーニング未経験の方が95%以上を占めています。それでもオーナー様のほとんどが安定した経営を成功させることができています。」と掲載されおり,原告X3が一番心配していた営業活動についても,「本部からの顧客紹介が多く,面倒な営業活動は少なく済みます。」などと記載されていたことから,原告X3は,本件事業に興味を持ち,被告の説明会に参加することとした。(原告X3本人・1,2頁)
エ 原告X3は,平成26年12月14日,被告本社において行われた訪問マッサージ事業と本件事業の説明会に参加し,事業説明のビデオをみた後,被告担当者のBから,配布された資料(乙24)に基づき本件事業について一通りの説明を受けた。(乙34)
その際,Bは,本件事業が行っているコーティングは,掃除でもなく,リフォームでもなく家を安く再生する仕事だと説明し,さらに掃除では本件事業よりきれいにならず,リフォームでは100万円単位のお金がかかるが,それに比べて,コーティングは,リフォームの10分の1の価格でできるし,競合企業も少ないので市場は無限大であるという趣旨の発言をした。
そして,Bは,原告X3に対し,本件事業の売上モデルに関して本件収益表を示して,同資料の「千葉県A店(1人・開業1年) 売上¥1,294,857」が市川店,「北関東B店(1人・開業1年3ヶ月) 売上¥1,037,400」が栃木店,「法人(4人体制) 売上¥5,250,000」があきる野店であると実在する店舗名を示して説明した。
その際,開業後の売上目標を尋ねられた原告X3が,月額50ないし60万円程度であると述べたところ,Bは,原告X3に対し,「せっかくなら,ほかの店舗みたく100万円以上を目指しましょうよ。マイスターコーティングで開業した方はどの店舗もその位稼いでますよ。」と述べた。
このほか,Bは,原告X3に対し,被告の加盟店になることのメリットとして,開業後は,電話での営業活動は被告本部が代行するので事業者自身でしなくていいということ,営業活動についても被告本部の担当者が同行すること,実際の現場作業についても本部の担当者が同行することなどの説明をした。原告X3が,Bに対し,30年以上内勤で働いていたため営業活動をした経験がないことを伝えたところ,Bは,原告X3に対し,月額100万円以上の売上を上げるには営業活動も必要となってくるが,月額60万円程度であれば,被告本部からの紹介案件で稼ぐことができることなどを説明した。また,原告X3が,Bに対し,本件事業で廃業した店舗があるか尋ねたところ,Bからは,親の介護のために廃業したものと研修中に飲み歩き研修不合格となったものの2店舗だけであるとの説明を受けた。(乙57)
説明会終了後,原告X3が,帰ろうとしたところ,Bから,本件事業について加盟店舗に直接電話して確認することは迷惑になるのでしないようにとの注意を受け,これに違反した場合には,フランチャイズ契約の加盟審査が通らなくなると伝えられた。
オ 原告X3は,本件事業を開業するか妻に相談し,妻と共に平成26年12月28日,被告本社での説明会に参加することにした。原告X3は,前回受けた説明と当日の説明が同じ内容であったことや,ウェブサイトでみた本件事業についての記事と説明内容が同じであったことから安心し,Bから本件事業については全国であと5店舗程度しか募集しておらず,募集が終わってしまうと言われたこともあって,本件事業を始めることにした。
カ 原告X3は,平成27年1月5日,加盟店審査のために加盟申込書に必要事項を記載し,被告宛に送付した(乙20,57)。
その後,Bは,原告X3に対し,平成27年1月16日,同年2月に研修し同年3月に開業すること,営業場所については原告X3が希望する神奈川県大和市ではなく横浜市神奈川区とすること,契約のために同年1月末日までに加盟金を振り込まないと募集枠がなくなることなどを連絡した。原告X3は,Bの指示に基づき,同年1月16日,被告の銀行口座に宛てて加盟金140万4000円を送金し,その後,Bから送られた情報開示書(乙21)を電子データで受領した。(乙40,原告X3本人・12頁)
キ 被告の審査を経て,原告X3は,平成27年1月18日,被告との間でX3契約を締結した。X3契約の締結に際し,原告X3は,Bに指示されるままに契約書類を記載したが,内容については特段の説明を受けることはなかった。(乙22,34,40)
また,原告X3は,被告に対し,平成27年1月21日,保証金30万円,研修費54万円を支払い,これに加えて,本件事業に基づくサービスを顧客に提供するのに不可欠なものとして,エコ窓コート機材費12万4200円,機材費145万8000円,フローリングリペアキット14万0400円の合計172万2600円を支払った。このほか,原告X3は,本件事業に関し,同月6日に機材輸送費5832円を負担し,同月25日に損害保険契約を締結し保険料3万5000円を支出した。(争いのない事実)
(6)  原告X3の売上状況と被告の支援等
ア 原告X3は,平成27年2月9日から15日間,被告による技術・営業の研修を受けたが,営業活動について,被告担当者Dから,研修のはじめに「1日10時間,月25日以上稼働すること」,「1日20件,月300社の訪問活動を徹底すること」と記載してある資料(甲13)を渡され,そうしないと売上がらないとの説明を受けた。これを聞いた原告X3は,営業活動についてBから聞いた前記説明と全く話が違っていることに驚いた。
また,本件事業を廃業した店舗数についても,Bの前記説明と異なり,被告担当者のEからは,同人が知っているだけでも30~40人に上ることを聞き,原告X3は,これから加盟店としてやっていけるのか不安になった。
イ 原告X3は,技術面等に不安があったことから,同年3月3日からマイスターコーティング町田店の業務の手伝いをしていたところ,被告担当者のEから自分で営業することを求める電話があったが,営業活動について格別支援はなかった。(乙46の1,乙58)
ウ また,原告X3は,同月14日,マイスターコーティング川崎駅前店の手伝いに行った。その際,原告X3が,川崎駅前店のオーナーに対し,開業して2週間が経つのに被告本部から現場の紹介がないことを相談したところ,同オーナーは,原告X3に対し,被告本部からの紹介案件などほとんどなく,それでもロイヤリティを支払わなければならないので開業してからずっと生活が苦しいと述べた。
エ これを聞いた原告X3は,開業することなく本件事業を辞めることを決意し,同月17日,被告を相手方として,東京簡易裁判所に対し調停を申し立てた。しかし,被告が,原告X3に対し,一切返金に応じないと述べたので,同調停は不成立となり終了した(枝番を含む乙46,弁論の全趣旨)。
2  争点(1)(情報提供義務違反)について
(1)  原告X1について
ア 新規に契約を募集するフランチャイザーは,フランチャイジーとなろうとする者に,契約の締結にあたり的確な判断ができるように事業内容について客観的かつ正確な情報を提供すべき信義則上の義務があると解されるところ,フランチャイズ事業の収益に関する情報は,売上の予測が契約締結の判断において重要な動機となるものであることからすると,特に客観的かつ正確なものを提供することが求められているというべきである。
イ そこで検討するに,原告X1は,意図せずに参加した本件事業の説明会において,被告担当者のBから本件パンフレットを示されて,本件事業が高単価,高収益な事業モデルであるとの説明を受け,さらにいずれも月額100万円を超える店舗の収支を記載した本件収益表を示されて,これが実在する店舗の売上であるとの説明を受けたことは前記認定のとおりである。
しかしながら,証拠(甲11,証人B)によれば,被告担当者のBが示した本件収益表に記載された売上が実在の店舗のものであるとしても,これらは平成25年当時の全加盟店平均売上である50万1214円を大幅に上回るものであり本件事業の収支モデルを的確に反映したものであるとは言い難い上に,被告は原告らに対し全加盟店の平均売上を不要であるとして開示していないのであって,被告担当者のBの説明は,原告X1が本件事業の収支を予測する上で不十分又は不正確なものであったというべきある。
また,原告X1は,説明会後に被告のウェブサイトをみたところ,「年商2000万円超えのオーナー続々誕生!」,「驚異の利益率!なんと90%」などの本件見出し等が掲載されおり,加盟店になると高収入を得ることができるとのBの説明と同趣旨の記載がされていたことから,その内容を信じたものであるが,本件見出しの内容と異なり原告X1がX1契約を締結した当時,年商2000万円を超える加盟店は存在していなかった。また被告がいう粗利率についても,通常の用法と異なり事業年度単位のものではなく月単位のものであり,しかもこれには開業時に購入した資材購入費が含まれていないものであった。それにもかかわらず,Bは,原告X1に対し,これら本件見出しに関する正確な情報について,何らの説明もしていなかったと認められる。
ウ そして,前記認定したとおり,原告X1は,Bから,本件事業は加盟店数を限定して少数精鋭にすることで被告本部から各加盟店に対し充実したサポートを行うことができるとの説明をうけたものである。具体的には,原告X1は,Bから,一定の営業が必要であるとしても,電話での営業は被告本部が代行するため加盟店自身が行うことはほとんどないこと,営業活動についても被告本部の担当者が同行しサポートすることなどの説明を受け,さらに都内の4店舗について売上を示され,その大半が被告本部からの紹介でまかなわれており,新たに開業する店舗には被告本部から集中的に現場を紹介するので,開業すれば売上は月額50万円に上ることなどの説明を受けたと認められるところ,被告はこれを否認し争っている。
しかしながら,原告X1は上記認定に沿う供述をし,その内容も具体的なものであるところ,これを裏付けるように,被告は,本件事業について少数精鋭にすることにより,被告本部による①電話営業代行サービス,②顧客紹介制度,③営業同行,④現場同行などの充実したサポートを受けることができると謳い(甲7,10,乙23),各都道府県で原則として1店舗の出店とし全国でも100店舗程度までの出店とする旨ウェブサイト上に掲示していたものであるし(甲9),被告が資料を提供しその内容を確認したウェブサイトには「本部からの顧客紹介が多く,面倒な営業活動は少なく済む」などと記載された記事が掲載されていたものである(甲1)。そして,被告担当者のDは,契約前の説明でも本件事業については,1日10時間,月25日以上,1日20件,月300社の訪問活動が必要であるとの説明がされており,このことが被告において社内の共通認識となっていると証言するのに対し(証人D・16頁),説明を担当したBは,営業活動が必要であるという程度の抽象的な説明しかしていないことを証言している(証人B・17頁)。このことからすると,Bが原告X1に対する説明において,営業活動の要否について甘言を弄していたことがうかがわれるのであって,このとは原告X1が供述するBの説明内容を裏付けるものということができる。
そして,被告担当者のBの説明内容と異なり,被告は平成25年当時の加盟店数が113店舗であったにもかかわらず,さらに拡大する方針をとっていたものであるし(甲9,乙28,29。なお,被告は,上記の全国で加盟店数を100店舗に限定する旨の記載は,拡大方針に転換した後も削除することを失念していたものであると主張するがにわかに採用しがたい。),前記認定したとおり被告本部から原告X1が紹介された案件はあったものの,その件数は4件にとどまり売上額も合計50万円に満たないものであったことからすると,Bの上記説明内容は不正確かつ不十分なものであったというべきである。
エ これらの事情からすれば,被告は,前記義務に違反して,年商2000万円を越える加盟店が存在しないにもかかわらず本件見出しによって申し込みを誘引するとともに,その説明において本件事業が高単価,高収益な事業であると誤認させた上で,被告本部からの紹介で十分な売上を上げられるかのような不正確な収支情報を提供し原告X1をしてその旨誤信させて,実際には店舗数の拡大を図りながら少数精鋭を謳って契約の締結を煽り,X1契約を締結させたというべきである。
このような被告の行為は,情報提供義務に違反するものであり,被告は,原告X1に対し,不法行為に基づく損害賠償責任を負う。
(2)  原告X2について
ア 前記認定説示を踏まえて検討するに,原告X2は,被告の説明会に参加した際,Bから本件収支表を示され,これらが実在の店舗売上モデルであるとの説明をうけ,このうち「千葉県A店(1人・開業1年) 売上 ¥1,294,857」が市川店であり予測で年商が2,000万円を超えるとの説明を受けたことが認められる。
しかしながら,前記認定説示したとおり,被告担当者のBが示した本件収益表に記載された売上は,平成25年当時の全店平均売上を大幅に上回るものであり本件事業の収支モデルを的確に反映したものではなく,原告X2がBから真実であると確認した本件見出しと異なり,実際は年商2000万円を超える加盟店が存在しなかった上に,Bは,原告X2に対し,本件収支表に記載された千葉県A店が実在する市川店であり,予測では年商2000万円を超えるなどと,加盟店の売上について過剰な説明をしていたものである。
イ また,原告X2は,Bから加盟店のうち東京,千葉,埼玉の加盟店を抜粋して過去2か月分の売上を示されたものであり,同売上表には1店舗を除き各店舗も月額100万円から200万円以上の売上があるかのような記載になっていたところ,その際,Bからは,新規に開業した店舗には被告本部が優先的に現場を紹介するので,100万円以上の売上を約束できるわけではないが,それに近い金額を確実に作ることができる旨の説明を受けたことが認められるが,被告はかかる事実を否認しこれを争っている。
しかしながら,原告X2は上記認定に沿う供述をし,その内容も具体的なものであるところ,同人は,経営していた会社の売上が伸びなかったため,新規事業をインターネットで探しており,本件見出しを含む本件事業に関する記事を読んで関心をもち,被告の説明会に参加したものであるから,本件事業の売上について,経営経験者として相当の関心を持っていたということができる。そして,原告X2は,Bから本件事業について一通りの説明を受けた上で,同人に対し,ウェブサイトに記載された本件見出しの売上が本当かどうか確認したところ,Bから「こんなに大きな会社が嘘なんてつくわけないじゃないですか」という回答がされたという印象的なやり取りを経た上で,上記のとおりBから説明を受けた旨供述しているものである。
そして,原告X2の供述を裏付けるように,被告が資料を提供しその内容を確認したウェブサイトには「本部からの顧客紹介が多く,面倒な営業活動は少なく済む」などと記載された記事が掲載されていた(甲1)ものである。また,被告担当者のDは,契約前の説明でも本件事業については,1日10時間,月25日以上,1日20件,月300社の訪問活動が必要であるとの説明がされており,このことが被告において社内の共通認識となっていると証言するのに対し(証人D・16頁),説明を担当したBは,営業活動が必要であるという程度の抽象的な説明しかしていないことを証言している(証人B・17頁)。このことからするとBが,原告X2に対する説明において,営業活動の要否について甘言を弄していたことがうかがわれるのであって,このことは原告X2が供述するBの説明内容を裏付けるものということができる。
そして,被告担当者のBの説明内容と異なり,原告X2が紹介を受けた現場は10件にとどまり,売上も合計73万7665円程度であり,実際の売上についてもBがほぼ確実であると説明した100万円に近い金額には満たないものであって,Bの上記説明内容は不正確かつ不十分なものであったというべきである。
ウ また,原告X2は,本件事業は加盟店への充実したバックアップをするため少数精鋭にしており,東京ではあと2店舗しか募集しておらず,募集枠が埋まり次第,募集を打ち切る旨の説明を受けたものである。
しかしながら,前記認定説示したとおり,被告は,ウェブサイト上では,本件事業の店舗数を100店舗に限定しているかのような記載をしながら,実際には平成25年当時加盟店を拡大する方針をとっていたものであり,Bの上記説明は,不正確かつ不十分なものであったというべきである。
エ これらの事情からすれば,被告は,前記義務に違反して,事実と異なる本件見出しによって,本件事業が高単価,高収益な事業であると誤認させた上で,被告本部からの紹介で100万円に近い売上を確実に上げられるかのような不正確な説明をして原告X2をしてその旨誤信させて,実際には店舗数の拡大を図りながら少数精鋭を謳って契約の締結を煽り,X2契約を締結させたというべきである。
このような被告の行為は,情報提供義務に違反するものであり,被告は,原告X2に対し,不法行為に基づく損害賠償責任を負う。
(3)  原告X3について
ア 前記認定事実を踏まえて検討するに,原告X3は,被告が資料を提供したウェブサイトに,本件事業について「年収2000万円超えのオーナー続々誕生!」などの本件見出しが掲載されていたことに加えて,一番心配していた営業活動についても「本部からの顧客紹介が多く,面倒な営業活動は少なく済みます。」と記載されていたことから,本件事業に興味をもち被告の説明会に参加したものであるところ,説明会において,原告X3は,被告担当者のBから,本件収益表を示されこれが実在する店舗の売上モデルであるとの説明を受けたことが認められる。
しかしながら,前記認定説示したとおり,被告担当者のBが示した本件収益表に記載された売上は,平成25年当時の全店平均売上を大幅に上回るものであり本件事業の収支モデルを的確に反映したものではなく,本件見出しと異なり実際には年商2000万円を超える加盟店が存在せず,被告がいう粗利率についても,通常の用法と異なり事業年度単位のものではなく月単位のものであり,しかもこれには開業時に購入した資材購入費が含まれていないものであったところ,Bは,原告X3に対し,これら本件見出しに関する正確な情報について,何らの説明もしていなかったと認められる。
イ また,原告X3は,営業活動の経験がないことをBに伝えたところ,Bから月額100万円以上の売上を上げるには営業活動も必要となってくるが,月額60万円程度であれば,被告本部からの紹介案件で稼ぐことができる旨の説明を受けたと認められるところ,被告はかかる事実を否認し争っている。
しかしながら,原告X3は,上記認定に沿う供述をしその内容も具体的なものであるところ,これを裏付けるように,被告は,本件事業について少数精鋭にすることにより,被告本部による①電話営業代行サービス,②顧客紹介制度,③営業同行,④現場同行など充実したサポートを受けることができると謳い(甲7,10,乙23),各都道府県で原則として1店舗の出店とし全国でも100店舗程度までの出店とする旨ウェブサイト上に掲示していたものであるし(甲9),被告が資料を提供しその内容を確認したウェブサイトには「本部からの顧客紹介が多く,面倒な営業活動は少なく済む」などと記載された記事が掲載されていたものである(甲1)。
そして,被告担当者のDは,契約前の説明でも本件事業については,1日10時間,月25日以上,1日20件,月300社の訪問活動が必要であるとの説明がされており,このことが被告において社内の共通認識となっていると証言するのに対し(証人D・16頁),説明を担当したBは,営業活動が必要であるという程度の抽象的な説明しかしていないことを証言しているものである(証人B・17頁)。このことからすると,Bが原告X3に対する説明において,営業活動の要否について甘言を弄していたことがうかがわれる。これに加えて,原告X3自身が,研修中に被告担当者のDから「1日10時間,月25日以上稼働すること」,「1日20件,月300社の訪問活動」をスローガンとして掲げ徹底した営業活動を行わなければ売上が上がらないなどとBの上記説明内容と全く異なる指導を受けて驚愕し,約500万円もの開業資金を投じながら開業することなく,本件事業をやめたことによっても裏付けられているというべきである。
そして,前記認定したとおり,原告X3が,研修後,被告本部から紹介された案件はなく,売上を上げることなく本件事業を辞めていることからすると,Bの上記説明内容は不正確かつ不十分なものであったというべきである。
ウ さらに,原告X3は,Bから,本件事業については全国であと5店舗程度しか加盟点を募集しておらず募集が終わり次第申込みができなくなる旨の説明を受けたことが認められる。
しかしながら,前記認定説示したとおり,被告は,ウェブサイト上では,本件事業の店舗数を100店舗に限定しているかのような記載をしながら,実際には平成25年当時加盟店を拡大する方針をとっていたものであり,Bの上記説明は,不正確かつ不十分なものであったというべきである。
エ これらの事情からすれば,被告は,前記義務に違反して,事実と異なる本件見出しによって申込みを誘引し,その説明において本件事業が高単価,高収益な事業であると誤認させた上で,月額60万円程度の売上であれば,営業活動をしなくとも被告本部からの紹介で稼ぐことができるなどの不正確な情報を提供し原告X3をしてその旨誤信させて,実際には店舗数の拡大を図りながら少数精鋭を謳って契約の締結を煽り,X3契約を締結させたというべきである。
このような被告の行為は,情報提供義務に違反するものであり,被告は,原告X3に対し,不法行為に基づく損害賠償責任を負う。
(4)  被告の主張について
ア 前記のとおり,被告は,原告らに対し情報提供義務違反を理由とする不法行為責任を負うところ,被告は,本件各契約締結当時,年商2000万円を超える加盟店オーナーが存在していないことは認めるものの,本件見出しは加盟希望者を募るためのキャッチフレーズに過ぎず,月額200万円を超える売上がある加盟店が実在していたことからすればかかるキャッチフレーズは虚偽ではないし,契約締結までに,実例に基づくモデルを示して事業内容を説明し現実的な売上目標を知ることができるので,「年商2000万円」を超える加盟店が実在していると信じたまま契約に至ることはないとして,この点に十分な情報が開示されていないとしても不法行為を構成しないかのような主張する。
しかしながら,フランチャイズ事業に収益に関する情報は,売上の予測が契約締結の判断において重要な動機となるものであることからすると,特に客観的かつ正確なものの提供が求められていることは前記認定説示したとおりである。
そして,本件見出しは,「年商2000万円の加盟店オーナー続々誕生!」と年単位の売上であることが強調されており,仮に,月額200万円の売上がある加盟店が存在し,これから推計すれば年商が2000万円になる加盟店が存在するとしても,上記見出しが虚偽ではないとする被告の主張は,詭弁以外の何ものでもない。
また,被告は,原告らに対し,事実と異なる本件見出しによって,本件事業が高単価,高収益な事業であると誤認させたものであり,その後本件収益表を示して実際の店舗の売上を踏まえて本件事業の売上モデルを説明しているとしても,実際には「年商2000万円」を超える加盟店が存在しないことを説明せず,本件見出しによって本件事業が「年商2000万円」を上げることも可能な高収益な事業であると認識した原告らの誤解を解くことなく本件各契約の締結に至らせているのであり,これが情報提供義務に違反するものであることは明らかである。
したがって,被告の前記主張は採用することができない。
イ また,被告は,原告らに対し,本件各契約締結に至る説明の中で,新規開業した店舗に被告本部から優先的に現場を紹介するなどの説明はしておらず,加盟店自身の営業努力がなければ売上が伸びず事業が成功することはないと繰り返し述べており,この点につき被告が不正確な情報を提供した事実はないと主張する。
この点について,証拠(乙1,14,20)によれば,原告らは,本件事業の加盟に際し,①本件事業について被告が顧客を紹介したり,被告の従業員が営業活動を代行したりすることは原則としてなく,自ら営業活動を行う必要があること,②本件事業は独立採算制のフランチャイズ事業であり,開業当初は顧客開拓活動が中心となるため多くの売上が見込めないことなどの7項目の確認事項について確認した旨のチェックマークを記載して,加盟申込書を被告に送付した事実が認められる。
しかしながら,証拠(甲20~22,原告X1本人,原告X2本人,原告X3本人)によれば,原告らは,被告担当者のBから,これらの確認事項に加盟審査を通るための形式的なものにすぎないと説明を受けて上記のとおりチェックマークを記載したものであるし,原告らはいずれも上記7項目の確認が記載された加盟申込書を,自宅から送付したものであって,被告担当者から上記7項目について逐次説明を受けて確認したものであるか疑問がある。特に,原告X3が記入した加盟審査申込書の確認事項欄は,原告X1及び原告X2のものが項目毎に個別にチェックマークを記載するものになっていたのと異なり,上記7項目について確認したことを一括してチェックマークを記載する方式となっており,被告担当者の説明がより包括的なものであり,営業活動の内容について十分な説明をしていないことをうかがわせるものとなっている。
これに加えて,前記認定説示したとおり,被告がその内容を確認した上で掲載している本件事業に関するウェブサイトの記事は,「本部からの顧客紹介が多く,面倒な営業活動は少なく済みます。」など,上記確認事項にそぐわない内容となっており(甲1),これを信じた原告X3は,契約締結後の研修において求められた営業活動内容と,契約締結時にBから受けた説明内容とが大きく食い違っていることに驚き,結果として,一度も開業することなく廃業しているのであって,被告担当者が契約締結に当たり開業後の営業活動の内容について十分な説明をしていないことが裏付けられている。
これらの事情によれば,原告らが加盟申込書において上記7項目について確認した旨のチェックマークを記載しているとしても,直ちに信用することはできないというべきであるし,このほかに被告の主張を裏付ける的確な証拠もない。
したがって,被告の上記主張は採用することができない。
(5)  小括
以上によれば,被告は,原告らに対し,情報提供義務違反を理由とする不法行為責任を負う。
3  争点(3)被告の不法行為と原告らの損害との相当因果関係の有無及び損害額等
(1)  原告X1について
ア 契約締結に関する費用
原告X1は,被告の違法な勧誘によりX1契約を締結したものであるところ,X1契約締結に伴い原告X1が支出した契約締結に要する費用及び開業に要した費用相当額については,本件と相当因果関係ある損害に当たるというべきである。
そこで検討するに,原告X1が,被告に対し,X1契約の締結に当たり加盟金136万5000円,X1契約に基づき保証金30万円及び研修費52万5000円を支払ったことは当事者間に争いがないから,これらについては,本件と相当因果関係ある損害と認めるのが相当である。
イ 資材・器具等に関する費用
また,原告X1が,被告から,本件事業に基づくサービスを顧客に提供するのに不可欠なものとして,コーティング施工器具・機材及び販売促進用資料セットを購入し代金167万4750円を支払ったこと,原告X1が本件事業の営業に使用するために車両カッティングシートを10万5000円で購入したこと,原告X1が上記機材の配送料4095円を負担し,サンプリング用チラシ2万枚の費用として4万2000円,リフォーム新聞購入費として2180円を支出したことは当事者間に争いがない。
これらの資材等の費用については,原告X1が,被告から違法に勧誘されてX1契約を締結しなければ支出しなかった開業費用であると認められるから,これらについても本件と相当因果関係ある損害と認めるのが相当である。
ウ 自動車に関する費用
次に,証拠(甲36,37)によれば,原告X1は,平成25年11月12日に軽自動車を100万円で購入し,平成27年5月11日にこれを57万円で売却したことが認められる。そして,本件事業には営業用車両が必要であることがうかがわれところ(甲9),原告X1が上記自動車を購入し売却した時期が,概ね本件事業を開業し廃業した時期と一致していることからすると,上記自動車は,本件事業のために購入されたものと認められ,原告X1は同車両の売却差額43万円の損害を被ったと認められる。
また,証拠(枝番を含む甲42,43)によれば,原告X1は,上記軽自動車の駐車場代として合計25万3250円を支払うとともに,同車両の自動車保険料として5万7900円を支払ったことが認められるが,これらについては,原告X1が上記出捐に相当する対価を得ていたと認められることからすると,本件と相当因果関係ある損害であると認めることはできない。
エ 携帯電話に関する費用
証拠(枝番を含む甲44)によれば,原告X1は,本件事業の開業直前の平成25年10月27日に携帯電話を購入し,そのための費用としてマイスターコーティングb店X1名義の預金口座から4万0076円を支出したことが認められる。これについては,原告X1が本件事業のために購入したといえるが,原告X1が上記出捐に相当する対価を得ていたと認められることからすると,本件と相当因果関係ある損害であると認めることはできない。
オ 既払ロイヤリティについて
原告X1が,被告に対し,平成26年1月から同年11月分のロイヤリティとして合計61万2600円を支払ったことは当事者間に争いがないところ,上記ロイヤリティにいては,原告X1がX1契約を締結しなければ支払義務を負うものではないものの,原告X1が,上記期間,本件事業の加盟店として活動し,前記認定したとおり被告本部から一応の営業支援を受けて上記ロイヤリティ金額を上回る売上を得るなど対価を得ていたことからすると,本件においては上記ロイヤリティとして支払われた金額を相当因果関係ある損害であると認めることは困難である。
カ 弁護士費用
原告X1は,被告の不法行為によって,本件訴訟の提起等を原告ら代理人弁護士に委任することを余儀なくされたものであるから,上記アないしウの合計金額444万8025円の1割に相当する44万4802円を,被告の不法行為と相当因果関係ある弁護士費用の損害と認めるのが相当である。
キ 小括
したがって,原告X1は,被告の違法な勧誘によりX1契約を締結したことにより合計で489万2827円の損害を被ったと認められる。
(2)  原告X2について
ア 契約締結に関する費用
原告X2が,被告に対し,X2契約の締結に当たり加盟金136万5000円,X2契約に基づき保証金30万円及び研修費52万5000円を支払ったことは当事者間に争いがないから,これらについては,本件と相当因果関係ある損害と認めるのが相当である。
イ 資材・器具等に関する費用
また,原告X2が,被告から,本件事業に基づくサービスを顧客に提供するのに不可欠なものとして,コーティング施工器具・機材及び販売促進用資料セット代金として141万7500円,省エネガラスコーティングセット代金として12万0750円,フローリング補修研修・機材費として13万6500円の合計167万4750円を支払ったこと,本件事業の営業に使用するために車両カッティングシートを10万5000円で購入したことは当事者間に争いがない。これら資材等の費用については,原告X2が,被告から違法に勧誘されてX2契約を締結しなければ支出しなかった開業費用であると認められるから,これらについても本件と相当因果関係ある損害と認めるのが相当である。
ウ 自動車に関する費用
証拠(甲38)によれば,原告X2は,本件事業の開業直前の平成25年9月1日に軽自動車(平成19年式ミニキャブ)を29万円で購入したことが認められ,本件事業には営業用車両が必要であることがうかがわれる(甲9)ことからすると,上記軽自動車については本件事業の開業に伴い購入したものであると認められる。
しかしながら,原告X2が,本件事業の廃業後にこれを処分したと認めるに足りる証拠がなく,その後も同軽自動車を継続して利用し出捐に伴う対価を得ていると推認されることからすると,本件においては,上記軽自動車代として支払われた金額を相当因果関係ある損害として認めるのは困難である。
また,原告X2は,上記軽自動車の駐車場代及びガソリン代として合計32万3494円を支払ったと主張するが,これを認めるに足りる証拠はなく,採用することができない。
エ 既払ロイヤリティ
原告X2が,被告に対し,X2契約に基づく平成25年8月から平成26年2月分のロイヤリティとして合計50万円を支払ったことについては当事者間に争いがないところ,上記ロイヤリティにいては,原告X2がX2契約を締結していなければ支払義務を負うものではない。
しかしながら,原告X2が,上記期間,本件事業の加盟店として活動し,前記認定したとおり被告本部から一応の営業支援を受けて上記ロイヤリティ金額を上回る売上を得るなど対価を得ていたことからすると,本件においては上記ロイヤリティとして支払われた金額を相当因果関係ある損害であると認めることは困難である。
オ 弁護士費用
原告X2は,被告の不法行為によって,本件訴訟の提起等を原告ら代理人弁護士に委任することを余儀なくされたものであるから,上記の合計金額396万9750円の1割に相当する39万6975円を,被告の不法行為と相当因果関係ある弁護士費用の損害と認めるのが相当である。
カ 小括
したがって,原告X2は,被告の違法な勧誘によりX2契約を締結したことにより,合計で436万6725円の損害を被ったと認められる。
(3)  原告X3について
ア 契約締結に関する費用
原告X3が,被告に対し,X3契約の締結に当たり加盟金140万4000円,X3契約に基づき保証金30万円及び研修費54万円を支払ったことは当事者間に争いがないから,これらについては,本件と相当因果関係ある損害と認めるのが相当である。
イ 資材・器具に関する費用
原告X3が,被告から,本件事業に基づくサービスを顧客に提供するのに不可欠なものとして,エコ窓コート機材費として12万4200円,機材費として145万8000円,フローリングリペアキット代金として14万0400円の合計172万2600円を支払ったこと,上記機材の配送料5832円を負担したこと,本件事業の営業に使用するための車両カッティングシートを10万8000円で購入したことについては当事者間に争いがない。これら資材等の費用については,原告X3が,被告から違法に勧誘されてX3契約を締結しなければ支出しなかった開業費用であると認められるから,これらについても本件と相当因果関係ある損害と認めるのが相当である。
ウ 自動車に関する費用
証拠(甲39,40)によれば,原告X3が,平成27年1月19日に自動車(ピクシス・バン・デラックス)を128万7528円で購入し,平成28年12月11日に上記自動車を75万円で売却したことが認められる。
そして,本件事業には営業用車両が必要であることがうかがわれところ(甲9),原告X3が上記自動車を購入した時期がX3契約を締結した時期と一致しており,本件事業を辞めた後に上記自動車を売却していることからすると,上記自動車は本件事業のために購入されたものと認められ,原告X3は,同車両の売却差額53万7528円の損害を被ったと認められる。
エ 既払ロイヤリティ
原告X3が,被告に対し,X3契約に基づく平成27年1月分のロイヤリティとして,合計5万1400円を支払ったことについては当事者間に争いがない。上記ロイヤリティについては,原告X3がX3契約を締結しなければ支払義務を負うものではなく,また原告X3が本件事業を開業することをやめており,被告から何ら対価を得ていないことからすると,本件においては,上記ロイヤリティとして支払われた金額を相当因果関係ある損害と認めるのが相当である。
オ 損害保険料
原告X3が,本件事業のために損害保険に加入し,そのための保険料として3万5000円を支出したことは当事者間に争いがなく,また原告X3が本件事業を開業することなくやめていることからすると,上記保険料については,原告X3が,被告から違法に勧誘されてX3契約を締結しなければ支出しなかった開業費用であると認められるから,これらについても本件と相当因果関係ある損害と認めるのが相当である。
カ 弁護士費用
原告X3は,被告の不法行為によって,本件訴訟の提起等を原告ら代理人弁護士に委任することを余儀なくされたものであるから,上記の合計金額470万4360円の1割に相当する47万0436円を,被告の不法行為と相当因果関係ある弁護士費用の損害と認めるのが相当である。
キ 小括
したがって,原告X3は,被告の違法な勧誘によりX3契約を締結したことにより合計で517万4796円の損害を被ったと認められる。
(4)  被告の主張について
ア 損益相殺等
(ア) 被告は,原告らが本件各契約を締結したことにより一定の損害を被ったとしても,原告らは,本件事業に参加したことにより売上を上げたものであるから,これを本件損害から控除すべきであると主張する。
しかしながら,原告らは,被告による違法な勧誘により本件各契約を締結し本件事業に従事したものであり,違法な勧誘を受けなければ,その間,上記売上を下回らない収入を得られたというべきであるから,上記売上を本件損害から控除するのは相当ではなく,被告の主張は採用することができない。
(イ) また,被告は,原告らは,被告が主催する研修に参加し研修費に相当する技術や営業ノウハウ等を習得するとともに,本件事業に必要な機材や車両のカッティングシールを取得したものであるから,これらの費用も控除されるべきであると主張する。
しかしながら,原告らは,被告の違法な勧誘を受けなければ本件各契約を締結することがなかったのであり,その結果,上記本件事業に必要な技術や営業ノウハウも身につける必要もなかったのであるから,その習得のために支出した費用等についても,本件と相当因果関係ある損害であると認めるのが相当である。
(ウ) なお,被告は,既払ロイヤリティについても損害から控除されるべきであると主張するが,開業していない原告X3については,これを損害と認めるのが相当であることは前記認定説示のとおりであるし,また,自動車にかかる費用についても,原告X1及び原告X3については,一定の範囲でこれを損害と認めるのが相当であることは前記認定説示のとおりであるから,被告の上記主張は,その限度で採用することができない
イ 過失相殺
被告は,仮に,本件において,被告に何らかの不法行為が認められるとしても,原告らには,本件各契約の締結に関し過失があるから,過失相殺がされるべきであると主張する。
しかしながら,前記認定説示したとおり,被告は,原告らに対し,契約締結に当たり事業内容に関し客観的かつ正確な情報を提供すべき義務があるところ,事実と異なる本件見出しによって申込みを誘引し,本件事業が高単価,高収益な事業であると誤認させた上で,被告本部からの紹介で十分な売上を上げられるかのような不正確な収支情報を提供し,実際には店舗数の拡大を図りながら少数精鋭を謳って,原告らをして本件各契約を締結させたものである。
その勧誘の態様も,実際には年商2000万円を超える加盟店が存在しないことを十分に認識しながら,キャッチフレーズと称して「年商2000万円超えの加盟店オーナー続々誕生!」などと殊更に虚偽の売上実績を強調して申込みを誘引した悪質なものである。そして,実際の説明においても,被告担当者は,本件事業が少数精鋭をとっており被告による充実したバックアップがあるため営業活動をほとんどする必要がないかのように喧伝し,このために加盟店舗数が限られているなどと述べて,原告らの心理に乗じて契約締結へと煽りながら,その裏では平成32年までに本件事業の加盟店を300店舗まで拡大する方針をとり,開業後には「1日10時間,月25日以上稼働すること」,「1日20件,月300社の訪問活動」をスローガンとして掲げ徹底した営業活動を行わなければ売上が上がらないなどと指導するなど不誠実なものであった。
このような事情からすると,被告による勧誘態様は,単に情報提供義務に違反するものにとどまらず,原告らを積極的に欺罔又は誤信させる意図の下行われた故意に等しい不法行為であるといわざるをえない。
そして,被告の情報提供義務違反が上記のとおり悪質なものであることに鑑みれば,本件においては,原告らにも被告指摘のような事情があるとしても,損害の公平な分担という見地からは,過失相殺を行うのは相当でない。
したがって,被告の上記主張は採用することができない。
4  小括
したがって,被告は,情報提供義務違反の不法行為による損害賠償として,原告X1に対し489万2827円,原告X2に対し436万6725円,原告X3に対し517万4796円を支払う義務がある。
なお,原告らは,不法行為に基づく損害賠償請求と選択的に,詐欺による本件各契約の取消しを前提として不当利得に基づく返還請求を併合しているが,本件全証拠に照らしても,後者による認容額が前者による認容額を上回るとは認められないことからすると,その余の点については判断する必要はない。
5  結論
以上によれば,原告らの請求は主文掲記の限度で理由があるから,その限度で認容することとし,その余は理由がないからいずれも棄却することとして,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第25部
(裁判長裁判官 本間健裕 裁判官 小西圭一 裁判官谷田部峻は,差支えにつき署名押印することができない。裁判長裁判官 本間健裕)

 

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