【営業代行から学ぶ判例】crps 裁判例 lgbt 裁判例 nda 裁判例 nhk 裁判例 nhk 受信料 裁判例 pl法 裁判例 pta 裁判例 ptsd 裁判例 アメリカ 裁判例 検索 オーバーローン 財産分与 裁判例 クレーマー 裁判例 クレプトマニア 裁判例 サブリース 裁判例 ストーカー 裁判例 セクシャルハラスメント 裁判例 せクハラ 裁判例 タイムカード 裁判例 タイムスタンプ 裁判例 ドライブレコーダー 裁判例 ノンオペレーションチャージ 裁判例 ハーグ条約 裁判例 バイトテロ 裁判例 パタハラ 裁判例 パブリシティ権 裁判例 ハラスメント 裁判例 パワーハラスメント 裁判例 パワハラ 裁判例 ファクタリング 裁判例 プライバシー 裁判例 プライバシーの侵害 裁判例 プライバシー権 裁判例 ブラックバイト 裁判例 ベネッセ 裁判例 ベルシステム24 裁判例 マタニティハラスメント 裁判例 マタハラ 裁判例 マンション 騒音 裁判例 メンタルヘルス 裁判例 モラハラ 裁判例 モラルハラスメント 裁判例 リストラ 裁判例 リツイート 名誉毀損 裁判例 リフォーム 裁判例 遺言 解釈 裁判例 遺言 裁判例 遺言書 裁判例 遺言能力 裁判例 引き抜き 裁判例 営業秘密 裁判例 応召義務 裁判例 応用美術 裁判例 横浜地裁 裁判例 過失割合 裁判例 過労死 裁判例 介護事故 裁判例 会社法 裁判例 解雇 裁判例 外国人労働者 裁判例 学校 裁判例 学校教育法施行規則第48条 裁判例 学校事故 裁判例 環境権 裁判例 管理監督者 裁判例 器物損壊 裁判例 基本的人権 裁判例 寄与分 裁判例 偽装請負 裁判例 逆パワハラ 裁判例 休業損害 裁判例 休憩時間 裁判例 競業避止義務 裁判例 教育を受ける権利 裁判例 脅迫 裁判例 業務上横領 裁判例 近隣トラブル 裁判例 契約締結上の過失 裁判例 原状回復 裁判例 固定残業代 裁判例 雇い止め 裁判例 雇止め 裁判例 交通事故 過失割合 裁判例 交通事故 裁判例 交通事故 裁判例 検索 公共の福祉 裁判例 公序良俗違反 裁判例 公図 裁判例 厚生労働省 パワハラ 裁判例 行政訴訟 裁判例 行政法 裁判例 降格 裁判例 合併 裁判例 婚約破棄 裁判例 裁判員制度 裁判例 裁判所 知的財産 裁判例 裁判例 データ 裁判例 データベース 裁判例 データベース 無料 裁判例 とは 裁判例 とは 判例 裁判例 ニュース 裁判例 レポート 裁判例 安全配慮義務 裁判例 意味 裁判例 引用 裁判例 引用の仕方 裁判例 引用方法 裁判例 英語 裁判例 英語で 裁判例 英訳 裁判例 閲覧 裁判例 学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例 共有物分割 裁判例 刑事事件 裁判例 刑法 裁判例 憲法 裁判例 検査 裁判例 検索 裁判例 検索方法 裁判例 公開 裁判例 公知の事実 裁判例 広島 裁判例 国際私法 裁判例 最高裁 裁判例 最高裁判所 裁判例 最新 裁判例 裁判所 裁判例 雑誌 裁判例 事件番号 裁判例 射程 裁判例 書き方 裁判例 書籍 裁判例 商標 裁判例 消費税 裁判例 証拠説明書 裁判例 証拠提出 裁判例 情報 裁判例 全文 裁判例 速報 裁判例 探し方 裁判例 知財 裁判例 調べ方 裁判例 調査 裁判例 定義 裁判例 東京地裁 裁判例 同一労働同一賃金 裁判例 特許 裁判例 読み方 裁判例 入手方法 裁判例 判決 違い 裁判例 判決文 裁判例 判例 裁判例 判例 違い 裁判例 百選 裁判例 表記 裁判例 別紙 裁判例 本 裁判例 面白い 裁判例 労働 裁判例・学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例・審判例からみた 特別受益・寄与分 裁判例からみる消費税法 裁判例とは 裁量労働制 裁判例 財産分与 裁判例 産業医 裁判例 残業代未払い 裁判例 試用期間 解雇 裁判例 持ち帰り残業 裁判例 自己決定権 裁判例 自転車事故 裁判例 自由権 裁判例 手待ち時間 裁判例 受動喫煙 裁判例 重過失 裁判例 商法512条 裁判例 証拠説明書 記載例 裁判例 証拠説明書 裁判例 引用 情報公開 裁判例 職員会議 裁判例 振り込め詐欺 裁判例 身元保証 裁判例 人権侵害 裁判例 人種差別撤廃条約 裁判例 整理解雇 裁判例 生活保護 裁判例 生存権 裁判例 生命保険 裁判例 盛岡地裁 裁判例 製造物責任 裁判例 製造物責任法 裁判例 請負 裁判例 税務大学校 裁判例 接見交通権 裁判例 先使用権 裁判例 租税 裁判例 租税法 裁判例 相続 裁判例 相続税 裁判例 相続放棄 裁判例 騒音 裁判例 尊厳死 裁判例 損害賠償請求 裁判例 体罰 裁判例 退職勧奨 違法 裁判例 退職勧奨 裁判例 退職強要 裁判例 退職金 裁判例 大阪高裁 裁判例 大阪地裁 裁判例 大阪地方裁判所 裁判例 大麻 裁判例 第一法規 裁判例 男女差別 裁判例 男女差别 裁判例 知財高裁 裁判例 知的財産 裁判例 知的財産権 裁判例 中絶 慰謝料 裁判例 著作権 裁判例 長時間労働 裁判例 追突 裁判例 通勤災害 裁判例 通信の秘密 裁判例 貞操権 慰謝料 裁判例 転勤 裁判例 転籍 裁判例 電子契約 裁判例 電子署名 裁判例 同性婚 裁判例 独占禁止法 裁判例 内縁 裁判例 内定取り消し 裁判例 内定取消 裁判例 内部統制システム 裁判例 二次創作 裁判例 日本郵便 裁判例 熱中症 裁判例 能力不足 解雇 裁判例 脳死 裁判例 脳脊髄液減少症 裁判例 派遣 裁判例 判決 裁判例 違い 判決 判例 裁判例 判例 と 裁判例 判例 裁判例 とは 判例 裁判例 違い 秘密保持契約 裁判例 秘密録音 裁判例 非接触事故 裁判例 美容整形 裁判例 表現の自由 裁判例 表明保証 裁判例 評価損 裁判例 不正競争防止法 営業秘密 裁判例 不正競争防止法 裁判例 不貞 慰謝料 裁判例 不貞行為 慰謝料 裁判例 不貞行為 裁判例 不当解雇 裁判例 不動産 裁判例 浮気 慰謝料 裁判例 副業 裁判例 副業禁止 裁判例 分掌変更 裁判例 文書提出命令 裁判例 平和的生存権 裁判例 別居期間 裁判例 変形労働時間制 裁判例 弁護士会照会 裁判例 法の下の平等 裁判例 法人格否認の法理 裁判例 法務省 裁判例 忘れられる権利 裁判例 枕営業 裁判例 未払い残業代 裁判例 民事事件 裁判例 民事信託 裁判例 民事訴訟 裁判例 民泊 裁判例 民法 裁判例 無期転換 裁判例 無断欠勤 解雇 裁判例 名ばかり管理職 裁判例 名義株 裁判例 名古屋高裁 裁判例 名誉棄損 裁判例 名誉毀損 裁判例 免責不許可 裁判例 面会交流 裁判例 約款 裁判例 有給休暇 裁判例 有責配偶者 裁判例 予防接種 裁判例 離婚 裁判例 立ち退き料 裁判例 立退料 裁判例 類推解釈 裁判例 類推解釈の禁止 裁判例 礼金 裁判例 労災 裁判例 労災事故 裁判例 労働基準法 裁判例 労働基準法違反 裁判例 労働契約法20条 裁判例 労働裁判 裁判例 労働時間 裁判例 労働者性 裁判例 労働法 裁判例 和解 裁判例

判例リスト「営業代行会社 完全成功報酬|完全成果報酬」(464)昭和60年 2月 6日 神戸地裁 昭49(ワ)50号 損害賠償請求事件

判例リスト「営業代行会社 完全成功報酬|完全成果報酬」(464)昭和60年 2月 6日 神戸地裁 昭49(ワ)50号 損害賠償請求事件

裁判年月日  昭和60年 2月 6日  裁判所名  神戸地裁  裁判区分  判決
事件番号  昭49(ワ)50号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  一部認容  文献番号  1985WLJPCA02061004

要旨
◆無罪が確定した民事紛争にからむ私文書偽造、同行使被告事件の公訴の提起が違法であるとして国家賠償請求が認められた事例
◆会社と株主間の紛争をめぐり株主を私文書偽造、同行使罪で起訴した検察官の行為に過失があつたと認定した事例

裁判経過
差戻後控訴審 平成11年 7月28日 大阪高裁 判決 平5(ネ)3249号 損害賠償請求控訴、同附帯控訴事件
上告審 平成 5年11月25日 最高裁第一小法廷 判決 昭63(オ)1237号 損害賠償請求上告事件
控訴審 昭和63年 5月31日 大阪高裁 判決 昭60(ネ)404号・昭61(ネ)2091号 損害賠償請求控訴、同附帯控訴事件

出典
判タ 554号276頁
判時 1161号166頁

参照条文
国家賠償法1条

裁判年月日  昭和60年 2月 6日  裁判所名  神戸地裁  裁判区分  判決
事件番号  昭49(ワ)50号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  一部認容  文献番号  1985WLJPCA02061004

原告 番所五平吉
右訴訟代理人 西村忠行
川西譲
足立昌昭
垣添誠雄
上原邦彦
小牧英夫
原田豊
前田修
宮崎定邦
浜田耕一
小沢秀造
藤本哲也
樋渡俊一
被告 国
右代表者法務大臣 嶋崎均
右指定代理人 浦野正幸
外二名
被告 淡路交通株式会社
右代表取締役 加藤友保
右訴訟代理人 勝山内匠
東朝彦

 

主文
被告国は原告に対し、金四〇〇万円及びこれに対する昭和四八年一一月一五日から完済まで年五分の割合による金員を支払え。
原告の被告国に対するその余の請求及び被告淡路交通株式会社に対する請求をいずれも棄却する。
訴訟費用は、原告と被告国との間で生じたものはこれを五分し、その一を被告国の、その余は原告の各負担とし、原告と被告淡路交通株式会社との間で生じたものは原告の負担とする。

事実
第一  申立
一  原告
1  被告らは原告に対し、各自金二、〇〇〇万円及びこれに対する昭和四八年一一月一五日から完済まで年五分の割合による金員を支払え。
2  訴訟費用は被告らの負担とする。
3  仮執行宣言
二  被告国
1  原告の請求を棄却する。
2  訴訟費用は原告の負担とする。
3  仮執行免脱宣言
三  被告淡路交通株式会社
1  原告の請求を棄却する。
2  訴訟費用は原告の負担とする。
第二  主張
一  請求原因
1  原告らの帳簿閲覧の仮処分申請
原告は、被告淡路交通株式会社(以下「被告会社」という。)の株主であるが、昭和四一年一一月頃、当時被告会社の経理が乱脈を極めているとの風評が流れていたところから、会社運営の健全化を期する目的で株主の有志らとはかつて株友会を結成した上、その活動の一環として翌四二年一一月二一日、右会員ら約七〇名とともに神戸地方裁判所州本支部に対し、被告会社の帳簿閲覧を求める仮処分申請(以下「本件仮処分申請」という。)をした。
2  被告会社の告訴
被告会社は同月二四日、原告が右仮処分申請にあたり、申請人山田桝夫外二八名の弁護士に対する訴訟委任状を偽造し、前記裁判所をしてその旨の仮処分決定をなさしめたことは、偽計による業務妨害、私文書偽造及び同行使の各罪に該当するとして、原告を洲本警察署に告訴した(以下「本件告訴」という。)。
3  検察官の起訴
右告訴に基づき洲本警察署は捜査を開始して、これを神戸地方検察庁洲本支部に送検し、同検察庁の検察官山内茂(以下「担当検察官」という。)は昭和四三年一二月二七日、原告を別紙公訴事実(私文書偽造、同行使罪)により前記裁判所洲本支部に起訴した(以下「本件起訴」という。)。
4  無罪判決の確定
原告に対する右私文書偽造、同行使被告事件の審理は、昭和四四年四月二三日に第一回公判期日が開かれて、以来昭和四八年三月一九日の第三三回公判期日で結審し、同月二九日、前記公訴事実については犯罪の証明がないとして、原告に無罪の判決が言渡され、右判決は検察官において控訴されることもなく同年四月一三日、そのまま確定した。
5  本件起訴及び告訴の各違法性
(一) 本件起訴について
およそ、検察官として公訴を提起するにあたつては、捜査資料を検討するのはいうに及ぼす、被疑者の弁解も十分聴取した上で、犯罪の嫌疑があり、有罪判決を得る合理的な見込みのあることが必要とされているところ、担当検察官は、本件が被告会社の経理疑惑をめぐる会社幹部と有志株主の利害対立を背景とした帳簿閲覧請求権行使の可否とそれについての訴訟委任状作成権限の有無が争われている微妙な民事紛争事案であり、捜査資料中にも、「株友会会員各位」と題する文書(甲第三三号証)のように右授権を推認させる証拠が含まれており、原告自身も当初から警察の取調官に対し、その作成権限を与えられていた趣旨の供述をし、検察庁で取調においても右授権を裏付ける各種書類を持参したにもかかわらず、担当検察官は右書類を一顧もせず、原告に供述書を提出させただけで、弁解の機会を全く与えないまま本件起訴に及んだため、犯罪の証明がないとして無罪判決がなされるに至つたのであるから、本件起訴はこの点において違法である。
(二) 本件告訴について
告訴は国家機関の強制捜査の発動を促し、場合によつては被告訴人の人権を侵害する虞れがあるから、告訴をするに当つては犯罪の有無につき慎重に調査確認をすべき注意義務があるところ、被告会社は、本件告訴より以前(昭和四二年一〇月二一日)にも、原告らが被告会社の専務取締役であつた加藤友保(現代表取締役)に対する虚偽の不起訴裁定書を利用して業務妨害をしているとして告訴し、同月二七日、原告方の捜索差押により押収された右裁定書が真正なものであることが判明したにもかかわらず、その直後、原告らの本件仮処分申請に基づく帳簿閲覧の仮処分決定がなされるや、会社の経理内容が明らかになるのを虞れ、原告をして刑事処分を受けさせて、株友会からの追及を免れようとして、その事情を知らない右仮処分の申請人である前記山田ら二六名に対し、予め用意した「私は仮処分申請につき弁護士に訴訟委任をしたことはない。」旨の定型的な抗議文書を配付して、これに署名、捺印させ、右抗議文のみを証拠として、他に何ら調査確認することなく一方的に本件告訴に及んだものであるから、この点に故意または過失がある。
6  責任原因
以上のとおりで、被告国は国家賠償法一条、被告会社は民法七〇九条に基づき、それぞれ原告の被つた後記損害を賠償すべき責任がある。
7  原告の損害
原告は、有限会社番所商会、同淡路自動車教習所の各代表者役員を務めているほか、洲本警察署管内の交通安全協会顧問等の公職にもあつたもので(地元では有数の著名人)、前記の如き違法、不当な本件告訴ないし起訴により、無罪判決を受けるまで約七年間も訴訟追行を余儀なくされ、その間の精神的、肉体的苦痛は筆舌に尽し難いものがあつた。したがつて、その慰謝料は金一、五〇〇万円が相当であり、また右刑事事件の訴訟追行費用として金五〇〇万円を出捐している。
8  よつて、原告は被告らに対し、各自右損害賠償合計金二、〇〇〇万円とこれに対する訴状送達の翌日である昭和四八年一一月一五日から完済まで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。
二  請求原因に対する認否
1  被告国
請求原因1ないし4は認めるが、同5の(一)、6及び7のうち損害の点はいずれも否認し、その余は不知。
2  被告会社
請求原因1ないし3は認めるが、同4は不知・同5の(二)、6及び7はいずれも否認する。
三  被告らの主張
1  被告国
本件起訴については、被疑者である原告自身の捜査段階での供述は曖昧であつたが、被害者側の山田外二六名がいずれも本件仮処分申請の訴訟委任状を偽造された旨明確に供述しており、原告から依頼を受けてその作成に直接関与した関係者らの供述ないし偽造印鑑の存在などの関係証拠からすれば、起訴時において犯罪の嫌疑は十分で有罪判決を得る合理的根拠があつたものである。
無罪判決がなされるにいたつたのは、当該刑事事件の公判期日おいて突然株友会に関する規約(甲第一一 一二号証、以下「株友会規約」という。)が新たに提出されたことによるものであるが、原告自身は取調時に右規約の存在について全く言及しておらず、しかも、原告方を捜索差押した際(昭和四二年一〇月二七日)にも押収されなかつたもので、山田ら被害者側においてもその存在を知つていなかつたのであるから、担当検察官が捜査段階でこれを知りえなかつたとしても、なすべき捜査を怠つたとはいえず、この点に故意、過失はない。
2  被告会社
告訴は被告訴人に対する犯罪の嫌疑が相当な根拠理由に基づいてなされていれば足りるところ、被告会社は、原告らが裁判所に提出した問題の訴訟委任状を写真撮影の上、これをもとに各申請人ごとに個別に委任の有無及び委任状作成に関する授権の有無等について調査した結果、いずれもその事実がなく、却つて、原告において関係株主ら各本人の承諾を得ることなく無断で委任状を作成し、有合印を押捺していたことが明らかになつたので、本件告訴に及んだものである。しかも、その後の捜査でも右事実関係が裏付けられており、刑事判決においても授権がないと認定され、無罪の有力な証拠となつた規約については関係者の供述でも何ら触れられておらず、その提出経緯などからみて、もつぱら公判対策のため事後的に作成された疑いが強いものである。
したがつて、被告会社のした本件告訴は相当であつて、何ら違法性はない。
第三  証拠〈省略〉

理由
一  請求原因1(原告らの本件仮処分申請)、同2(被告会社の本件告訴)及び同3(検察官の本件起訴)の各事実は全当事者間に争いがなく、同4(無罪判決の確定)の事実については、原告と被告国との間では争いがなく、被告会社との間では弁論の全趣旨によりこれを認めることができる。
二  〈証拠〉によれば、右無罪判決の理由の要旨は、被告人である原告が本件仮処分申請に当り、公訴事実のとおり山田外二六名作成名義の弁護士に対する訴訟委任状を作成名義人の授権を受けずに作成したことは認められるが、右所為は被告会社の経理上の疑惑追及のため結成された株主有志の集りである株友会の活動の一環としてなされたもので、右山田外二六名がいずれも株友会と何らかの関係をもつものであり、株友会の規約上からも原告にこれを授権する旨が規定されていたことなどから、原告において訴訟委任状の作成権限の授権を受けたものとの錯誤(事実の錯誤)によりなされたものであるから、結局犯意(故意)がない、というにあることが認められる。
三  そこで、被告らの責任の有無について、以下検討する。
1  〈証拠〉を総合すれば、次の事実が認められる。
(一)  被告会社は、大正三年四月に設立され、洲本市に本社を置き、昭和四一年九月末までは洲本・福良間の電車路線営業を、以後は右路線の廃止によりバス等の自動車運送業を主目的とし、昭和三八年当時の増資による資本金は二億円、発行済株式総数は四〇〇万株であり、その関連会社(子会社)としては淡路観光、大阪淡路交通(昭和三〇年七月設立)、京都淡路交通(昭和三五年一一月設立)、名古屋淡路交通(昭和四〇年七月設立)等の各株式会社があり、右関連会社の代表取締役には設立当初(大阪淡路交通については昭和三四年一一月)からいずれも被告会社の現代表取締役である加藤友保(以下「加藤」という。)が就任していた。
一方、原告は、有限会社番所商会(洲本市所在)を経営しているものであるが、戦前からの古い被告会社の株主でもあり、昭和四一年当時一万八、二〇〇株を有していた。
(二)  被告会社は、従前から株主等に対して優待乗車券を発行していたが、昭和四〇年九月開催の取締役会において、当時専務取締役で大株主(一〇〇万株)でもあつた加藤の強い提唱によりこれを整理することとなり、その結果、原告が終戦直後に被告会社のためガソリン調達の労をとつたことにより交付されていた全線優待乗車券(七枚)についても整理の対象とされたことから、原告は右措置に不満を抱き、かねてから噂のあつた加藤に対する被告会社及び関連会社の経理上の疑惑を追及しようとして、昭和四一年七月頃開催された臨時株主総会で右疑惑について質したところ、当時の代表取締役であつた土屋恒治(以下「土屋社長」という。)から加藤は潔白であると一蹴されたため、同年一一月頃、株主の有志ら数名とともに右経理監査の必要から会社帳簿の閲覧を目的とした「株友会」を結成して、その疑惑追及にのりだした。
(三)  原告は翌四二年四月下旬頃、立花一男から、同人が以前(昭和三八年九月)に加藤を大阪地検に、大阪、京都淡路交通に対する背任、横領の嫌疑で告発した際の不起訴処分理由告知書写(甲第一七号証)等を入手し、右処分が起訴猶予になつていることを知つてますます加藤への疑惑を深めるとともに「株友会」の活動を一層強化する必要を痛感し、同年六月頃までに約四〇数名の株主宅を訪問して会社帳簿閲覧の必要性を説き、白紙委任状に署名捺印を得たが、さらに、帳簿閲覧請求書やその検査役選任申請書を作成した上、同年八月中旬頃まで原告の従業員岩坪慶直らをして各株主宅を訪問させ、今後委任状が必要な場合は原告に印鑑と署名を任せて欲しい旨を申入れ、右各書面に署名捺印を受けた。
(四)  「株友会」の組織構成は、委員長が原告、委員は岡田甲斐二郎ら一二名で、原告の番所商会にその事務所を設置し、前記各書面に署名捺印した株主を「株友会」の会員として取扱い、その会員名簿等も作成した上、同年七月頃、これらの会員に対し、「過日参上した際に申し上げた加藤氏の不正について、取締役の責任を追及することに株友会役員の意見が一致しました。今後の具体的処理については、強行手続をとるほかはないものと信じます。ついては、諸手続をするのに今後相当数の記名押印を必要としますので、過日参上の節すでに御了承を得ておりますとおり、印鑑を作つて記名させて頂きますからよろしくお含み置き下さい。」との趣旨を記載した「株友会会員各位」と題する書面(甲第三三号証)を、次で同年八月頃に「去る三九年の大阪、京都の子会社における加藤氏の前記疑惑については、大阪地検で明らかに業務上横領罪に当るとの裁定があつたのに、本社の株主総会では「白」であつたと虚偽の報告をしており、また右事件以外にも同人の不正事実を感知しているので、これ以上野放にしておれば我々の財産である株を鼻拭紙同然にされる虞れが多分にある云云」とする株友会名義のビラ(甲第一九号証)を「被告会社の運営改善に関する解決までの一切の権限を原告に与える。」旨の委任状とともに順次送付した。
(五)  一方、被告会社も右のような「株友会」の活動に対抗するため、賀集進一らの取締役が中心となつて、各株主宅を訪問し、「株友会」の主張する疑惑が根拠のないことや株主に対する利益配当も従前どおり続けることなどを説明して、もつぱら防戦に努めていた。
(六)  同年一〇月一六日頃、原告ら四二名の株主が弁護士仙波安太郎ら三名に依頼して被告会社に対する帳簿閲覧請求を行うや、被告会社はこれを拒否するとともに同月二一日、前記ビラの配布は被告会社の正常な運営を阻害する目的でした業務妨害行為であるとして、原告を洲本警察署に告訴し、同月二七日、右嫌疑により原告の番所商会が捜索差押を受け、その際、「株友会」の設立に関する趣意書をはじめ、株友会名簿株友会ニュース、株友会通知書、入会申込書、葉書などの関係書類多数が押収された(しかし、問題の株友会規約は押収されていない。)。
(七)  その後原告ら三七名は同年一一月八日、前記弁護士三名に委任して被告会社の帳簿閲覧の仮処分を神戸地裁洲本支部に申請し(以下「第一次仮処分申請」という。)、同日、その旨の仮処分決定がなされたが、これに対し被告会社は、右仮処分の申請人中二名についてはすでに死亡しており、七名はこれを委任しておらず、仮に、委任していたとしても解除したから、商法二九三条の六の要件を欠くことを理由に異議及び執行停止を申立て、同月一四日、その執行停止を受けた。
(八)  そこで、原告らは右第一次仮処分申請を一たん取下げ、同月二一日、前記申請人七名の帳簿閲覧意思の撤回は被告会社が強引にこれをさせたもので、内三名についての撤回は真意でない旨の上申書を添えた上、改めて原告外六八名を申請人(前同様弁護士に委任)とする本件仮処分を申請し、同日、その旨の仮処分決定を受けた。
(九)  ところで、本件仮処分申請にあたり、後日問題とされた山田外二六名の弁護士に対する委任状は、いずれも原告においてこれを作成したものであるが、原告自身としては、右山田らも「株友会」結成の趣旨に賛同し、その目的遂行のため、これまで原告らとともに一連の活動(被告会社に対する帳簿閲覧及び第一次仮処分の各請求等)に直接参加してきた同志であり、しかも、すでに前記のような「株友会会員各位」と題する書面(甲第三三号証)等も配布しており、これに対する異議なども特に聞かされていなかつたことから、同人らもその作成を自分に一任(少くとも黙認)してくれているものと思い込んでいた。
(十)  一方、被告会社は、右委任の有無について、各申請人らを個別に確認したところ、二九名が委任状に署名捺印しておらず、使用印も本人のものではなく、承諾なしに勝手に作成された旨を述べ、二名は申請時に死亡していることも判明したので、申請取下の意思を表明した八名を加え、これらの事情を理由に同月二四日、再び執行停止の決定を受けるとともに、弁護士と相談の上、これに委任して同日、原告の右行為が業務妨害、私文書偽造、同行使罪に該当するとして洲本警察署に告訴した(本件告訴)。
(十一)  洲本警察署は、被告会社の本件告訴に基づき捜査を開始し、加藤ら会社関係者をはじめ、問題の委任状を偽造されたとする山田外二八名ないしその親族等からそれぞれ事情を聴取した上、翌四三年二月五日までの間に原告本人を前後六回にわたつて取調べたが、原告は右取調に対し、終始一貫して「委任状の作成についてはこれを任されていると思つていた。」旨弁解していた。しかし、右警察は取調の結果、同年二月一五日、あえてこれを神戸地検洲本支部に送検した。
(十二)  ところが、担当検察官は、右被疑事件を同年暮頃まで約一〇か月余りもそのまま放置し、ようやく同年一二月に入つてから、すでに警察で取調済みの関係者らを再度極く簡単に取調べた上(これらに対する検察官調書はいずれも僅か二、三枚程度にすぎない。)、年の暮も押し迫つた同月二四日に、原告本人を約五分間位取調べて要約程度(数枚)の供述調書を一通作成しただけで、急遽本件起訴に及んだのである。
(十三)  原告は担当検察官から右取調を受けた際も、警察での供述と同様の弁解をしており、しかもその旨を詳細に記載した弁明の供述書(甲第一〇号証)を提出した上、これを裏付ける「株友会」関係の証拠書類まで多数持参していたが、担当検察官は、原告のする弁解は動機の錯誤で単なる情状にすぎないと考えて、これらの書類を一瞥もせずに、そのまま原告に即時持ち帰えらせた。
(十四)  神戸地裁洲本支部における本件公判は、翌四四年四月から四八年三月まで約四年間、三三回にわたる公判期日の審理を経て、結局事実の錯誤による故意の阻却を理由に無罪の判決がなされるにいたつた(なお、問題の株友会規約は、当該公判廷においてはじめて弁護人側から証拠として提出された)。
(十五)  原告は、右刑事事件のため、弁護士二名に対する着手金や成功報酬として合計金四〇〇万円を下らない金員を出捐した。
2  以上認定の事実関係から、まず被告国の責任について判断する。
ところで、検察官による公訴の提起は、裁判所に対して犯罪の成否・刑罰権の存否につき審判を求める意思表示であり、起訴時における検察官の心証は、その性質上、判決時における裁判官の心証とは必ずしも一致するものでないから、刑事事件において無罪の判決が確定したというだけで直ちに公訴の提起が違法となるものでないことはいうまでもないが、公訴提起時において、検察官が当該事案の性質により当然なすべき捜査を怠り証拠資料の収集が不十分なためあるいは収集された証拠資料の取捨選択を誤まつた結果、客観的にみて有罪判決を得られる見込が十分とはいえないにもかかわらず、あえて公訴を提起した場合には、右公訴の提起は違法というべきである。
これを本件についてみるに、本件事案は被告会社の経理疑惑をめぐる会社側と一部の有志株主間のいわゆる民事紛争に端を発した事件で、このように特殊な紛争では、会社側の関係人らに対する強い働きかけ(切り崩し工作等)が通常予想されるところであるから、これら関係者の供述・証言のみを一方的に重視して判断すべきではなく(慎重な検討、配慮が要請される。)原告に文書偽造の犯意ありとして起訴するには、相当高度な合理的(客観的)根拠が必要とされるのである。
特に本件の場合、「株友会」が結成されるにいたつた経緯、その目的、趣旨及びその後における活動の実態等からすれば、被疑者である原告が終始一貫して「委任状作成についても任されていると思つた。」旨の弁解も一応無理からぬ道理であり、容易にこれを無視することはできない性質の事案であつたとみるべきである(果して、公判では、錯誤により故意を阻却する旨の判断が下されているのである。)。
しかるに、担当検察官は、原告の犯意の存否につき、このように極めて重要な決め手となるべき事件の本質的な背景、事情について何ら思いを致すことなく(株友会関係の証拠資料を十分検討した形跡は窺われない。)、単に関係者らの供述だけを一方的に過信し、原告のする弁解は単なる動機の錯誤にすぎないと即断してこれに耳を傾けず、実質的な取調は全くしないまま、慢然と本件起訴に及んだものであるから、この点に過失があるといわざるをえない(もつとも、問題の株友会規約が設立当初から存在したものかどうかは、必ずしも明らかでないが、本件の場合、たとえ、それが本件仮処分申請後に作成されたとしても、右の判断を左右するものではない。もし、当初から存在していたとすれば、錯誤の問題にとどまらず、委任状作成の権限自体が有効にあつたことになるからである。)。
3  次に、被告会社の本件告訴の当否について判断するに、告訴は捜査機関に対して犯罪を申告し、訴追を求める意思表示であり、告訴人に与えられた権利であるが、その行使いかんによつては被告訴人の人権を侵害する虞れもあるから、告訴にあたつては、犯罪の嫌疑を相当とする客観的資料が必要というべきであるが、本件の場合、被告会社は本件仮処分申請の申請人らを個別に直接確認した結果、本件告訴に及んだもので、その確認の仕方等についても、特に悪質な手段、方法を用いてこれを行つたと認められるような証拠はなく、しかも、その道の専門家である弁護士にも相談した上、これに委任して告訴に踏み切つているのであるから、この点被告会社には故意は勿論、過失もなかつたとみるのが相当である。
四  そうすると、被告国は担当検察官の過失による本件起訴により原告の被つた損害を賠償すべき義務があるところ、本件事案の態様、程度及び刑事公判で審理の経過、期間並びに原告が防禦のため出捐した費用等諸般の事情を考慮すると、慰謝料としては金三〇〇万円、刑事事件の訴訟追行費用のうち金一〇〇万円が本件起訴と相当因果関係にある損害と認めるのが相当である。
五  以上の次第で、原告の被告国に対する請求は、右損害賠償合計金四〇〇万円とこれに対する訴状送達の翌日であることが記録上明らかな昭和四八年一一月一五日から完済まで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから認容すべきであるが、その余の請求及び被告会社に対する請求はいずれも理由がないから棄却し、民訴法八九条、九二条、九三条を適用して、主文のとおり判決する。
なお、仮執行宣言申立については、これを付する必要がないと思料するので、却下することとする。
(永岡正毅 大西嘉彦 岡原剛)

公訴事実
被告人は淡路交通株式会社の株主であるが、昭和四二年八月頃より同社の経理状態に不審を懐き同社の株主の一部を以つて株友会を組織して商法の規定に基き同社に対し同社の経理帳簿閲覧の請求をしたところ、同社幹部がこれを拒絶したため、この上は裁判所に対し右帳簿閲覧の仮処分の申請をしようと企て、同年一一月二〇日頃洲本市宇山一丁目六有限会社番所商会の事務所において、弁護士川田裕幸、同仙波安太郎、同吉田朝彦の三名に対する右仮処分申請の委任状の委任者欄に擅に事情の知らない自己の使用人谷田まさ子外七名をして同社の株主である山田枡夫外二六名の氏名を記載せしめてその各氏名下に有合印を冒捺して以て右山田枡夫外二六名の右三名の弁護士に対する帳簿閲覧仮処分申請の委任状を偽造し、之を同月二一日洲本市山下町神戸地方裁判所洲本支部において同支部係官に対し、右各委任が真正に成立したかの如く装つて提出して行使したものである。
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