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「営業代行」に関する裁判例(35)平成20年 4月 3日 新潟地裁 平20(モ)1016号

「営業代行」に関する裁判例(35)平成20年 4月 3日 新潟地裁 平20(モ)1016号

要旨
◆株主無償割当てにより発行された新株予約権に基づく新株発行を差し止める旨の仮処分命令の申立てがなされた事案において、先行する新株予約権発行手続に会社法247条の差止事由がある場合には、それに引き続いて行われる新株発行手続にも同法210条の差止め事由があるというべきであり、また、新株予約権無償割当てであっても差別的取得条項が付されているため株主の地位に実質的変動をもたらすものである場合には同法247条が類推適用されるとしたうえで、本件新株予約権無償割当ては、現経営陣の経営支配権を維持するためのものであり、株主平等原則に違反するものであるから、著しく不公正な方法によるものであるとして、本件新株発行の差し止める旨の仮処分が認められた事例

裁判経過
抗告審 平成20年 5月12日 東京高裁 決定 平20(ラ)646号 新株発行差止等仮処分決定認可決定に対する保全抗告事件 〔ピコイ新株発行差止事件・保全抗告審〕
仮処分決定 平成20年 3月27日 新潟地裁 決定 平20(ヨ)18号

出典
金商 1298号56頁

参照条文
会社法109条1項
会社法210条
会社法247条

裁判年月日  平成20年 4月 3日  裁判所名  新潟地裁  裁判区分  決定
事件番号  平20(モ)1016号
事件名
上訴等  抗告  文献番号  2008WLJPCA04036001

主文

1  債権者と債務者間の新潟地方裁判所平成20年(ヨ)第18号新株発行差止等仮処分命令申立事件について、当裁判所が平成20年3月27日にした仮処分決定を認可する。
2  異議申立費用は債務者の負担とする。

 

 

理由

第1  異議申立ての趣旨
1  主文第1項記載の仮処分決定を取り消す。
2  債権者の上記仮処分命令の申立てを却下する。
3  申立費用は債権者の負担とする。
第2  事案の概要(なお、以下、原決定において用いられている略称等については、本決定においてもそのまま用いるものとする。)
本件は、フリージアトレーディング株式会社(FT)から債務者の株式の信託譲渡を受けて、債務者の株主となっている債権者が、平成20年3月15日に債務者の取締役会決議に基づいてFT(債権者)及びその関係者に対する取得条項が付された新株予約権(以下「本件新株予約権」という。)の株主無償割当てによる発行が行われたことにつき、本件新株予約権の発行が株主平等原則に反し著しく不公正な発行に当たることを理由として、本件新株予約権に基づく新株の発行を仮に差し止めることを求めた事案である。
当裁判所は、平成20年3月27日、債権者の仮処分命令申立てを認容する旨の決定(以下「原決定」という。)をしたところ、債務者はこれに対して保全異議を申し立て、原決定の取消しと仮処分命令申立ての却下を求めている。
本件の前提事実は、原決定の「事実及び理由」中の「第2 事案の概要及び当事者の主張」の「2 前提事実」に記載のとおりであるからこれを引用する(ただし、原決定4頁13行目の「乙は」を「FTは」に改める。なお、以下、「2 前提事実」の(3)記載の平成19年1月26日締結の「業務提携及び資本提携に関する基本契約書」に基づく契約を「本件基本契約」と、同(4)記載の管理信託契約を「本件管理信託契約」という。)。
債務者の異議申立ての理由は、別紙1記載のとおりであり、これに対する債権者の反論は別紙2記載のとおりである。
第3  当裁判所の判断
1  当裁判所は、本件仮処分命令申立てには、被保全権利及び保全の必要性が存するから、これを認容した原決定は正当であると判断する。その理由は、後記2ないし4において異議申立て理由に対する判断を付加するほかは、原決定の「事実及び理由」中の「第3 当裁判所の判断」に記載のとおりであるからこれを引用する(ただし、原決定12頁12行目の「前掲フルドック」を「前掲ブルドック」に改める。)。
2  一件記録並びに審尋の結果及びその全趣旨によれば、前提事実に加え、以下の事実が一応認められる。
(1)  フリージアグループについて
ア FT、FH及びFMは、平成19年3月31日時点において、FTがFHの発行済み株式総数の98.83%を所有し、FHがFMの発行済み株式総数の68.18%を所有している関係にあった。また、FMは、光栄工業株式会社(以下「光栄工業」という。)の株式を100%保有している。なお、FTの株式は、FMの代表取締役会長であるA(以下「A」という。)が発行済み株式総数の60%を、FT及びFMの代表取締役社長でAの弟であるB(以下「B」という。)が20%を、FHの代表取締役であるCが20%をそれぞれ所有している。(甲6、甲26、甲27、乙8の2)
FM、FH、FT及び光栄工業は、連結親子会社の関係にあり、企業活動のグループを形成しており、フリージアグループと名乗り企業活動を行っている。(甲26、甲55)
イ FH
FHは、フリージアグループの中で、製造・供給事業を担うものと位置づけられ、ログハウス、高級スウェーデンハウスの設計・施工・販売、家具の製作・販売を主に行っている。(甲26、甲55)
ウ FM
FMは、フリージアグループの中で、製造・供給事業を担うものと位置づけられ、プラスチック押出機の製造販売、土木試験機の製造・仕入れ・販売を主に行っている。(甲26、甲55)
なお、FMは、Aが創業した会社ではなく、平成2年に当時の社長であったDが所有していた株式をAに売却し、平成3年2月にAがFMの代表取締役社長に就任したものである。(甲26、甲48)
エ 光栄工業
光栄工業は、フリージアグループの中で、製造・供給事業を行うものと位置づけられ、金融端末機器及び情報通信機器の筐体の製造・販売を行っている。(甲26、甲55)
オ FT
FTは、フリージアグループの中で、流通事業を担うものと位置づけられ、パソコン、周辺機器、部品、ソフトその他の仕入れ、輸入、販売、パソコン店の直営、漫画喫茶店の直営を主に行っている。(甲26、甲55)
カ Aの技研興業株式会社(以下「技研興業」という。)に対する働きかけについて
FMは、平成5年ころ、技研興業の株主総会にあたって、委任状を集めるために勧誘書とともに郵便為替の送付を行ったことがあり、これにはAが関与していた。(甲59、乙21、審尋の結果)
(2)  本件管理信託契約締結の経緯について
ア Aは、平成18年11月ころ、債権者代表社員であるE弁護士(以下「E」という。)に対し、FTがそれまでに取得した債務者の株式と債務者からさらに第三者割当てを受ける株式を、債権者に信託譲渡したい旨の相談をし、債権者の東京分室の債権者社員弁護士F(以下「F」という。)とFTのBが担当となり、FT・債務者・債権者間の株式管理信託契約の検討を進めることとなった。(甲42)
イ 債務者代理人G(以下「G」という。)は、平成19年1月22日、債務者のH取締役(以下「H」という。)に対し、「株式管理信託契約書(案1)」と題するファイルを電子メールに添付し、送付した。
同案においては、前提事実(4)のウの条項(以下「本件条項」という。)のうち、債権者がFTの指図を得て議決権を行使するものとされる事項は、本件条項の(ア)ないし(ウ)及び(オ)のほかは、「代表取締役の変更、第三者からの役員選任、多額の出資を伴う新規事業や定款所定事業以外への投資、業務提携、業態変更」とされていた。(乙15の1)
ウ 同月26日、本件基本契約が締結され、債務者の取締役会は、FTに対し、割当日を同年2月28日として、第三者割当てにより新株94株を発行することを決議した。(甲19)
エ Hは、同年2月2日、Gに対し、「株式管理信託契約書(案2)」と題するファイルを電子メールに添付し、送付した。
同案においても、本件条項のうち、債権者がFTの指図を得て議決権を行使するものとされる事項は、本件条項の(ア)ないし(ウ)、(オ)及び(ク)のほかは、従前の案どおりとされていた。(乙15の2)
オ Gは、同年2月2日、Hに対し、「株式管理信託契約書(案3・ピコイ修正)」と題するファイルをH宛の電子メールに添付し、送付した。
同案においては、FTの指図を得て議決権を行使するものとされる事項は、本件条項の(ア)ないし(ウ)、(オ)及び(ク)のほかは((ク)につき、文言を修正し、本件条項(ク)と同じ文言となった。)、従前の案どおりとされていた。(乙15の3)
カ Hは、同年2月15日、Bに対し、電子メールを送付した。
同電子メールにおいては、本件条項のうち、上記の「代表取締役の変更、第三者からの役員選任、多額の出資を伴う新規事業や定款所定事業以外への投資、業務提携、業態変更」との事項につき、Bから「役員の変更に関する事項」に変更したいとの希望があったことを前提に、「元の具体的な記述に戻して、第4条⑥へ移行させましたが如何でしょうか?」「「役員の変更に関する事項」とすると、社内の役員登用人事にも御社の同意が必要となってしまうからとの理屈からです。」と記載されていた。(乙16、審尋の全趣旨)
キ Bは、同年2月16日、Hに対し、前記カの電子メールの返信の形式で電子メールを送付した(以下「本件メール」という。)。
本件メールにおいては、「⑥については、役員の選任、解任も必要です。」と冒頭に記載され、さらに下記のような記載があった。(乙16)

ピコイの経営についてHさん、Iさんが御健在のうちは安心ですが、その後の不安もあります。
経営者を選ぶ権利の全てを経営者が持つのは、健全なものではないでしょう?
上場会社であれば、株主の監視が効きますが、未上場の場合はお手盛りになってしまう傾向が強いのです。
Hさんの様に強い管理ができる人が居れば安心ですが。
私共は適切な人選に反対するはずがありません。
外から見てもおかしくない人事であれば、誰が反対するでしょうか?
何を心配されているのでしょうか?
代表や元会長の親族や利害関係者を役員にするとか、例えば大きな不正を行っているものを役員にする場合とかは反対せざるえないでしょう。
私共から役員の派遣は一切しない約束をしているのですから、心配することはありません。
安心してください、私共は現在のI・J・Hさんの経営体制を完全に支持し、強調していけると100%確信しています。
ク 平成19年2月26日、債権者の東京分室において、債務者側からはI、H、K弁護士が、FT側からはHが、債権者側からはE、Fが立ち会い、本件管理信託契約の契約書が調印された。(甲42)
(3)  債務者とフリージアグループとの業務提携について
ア FTの事業提携の提案
Bは、平成18年10月16日、Hに対し、「当社子会社のフリージアホーム株式会社と事業提携の内容 案」と題する書面をFAXで送信した。
同書面には、「1.フリージアログハウス等の提携事業(形態)」として、①斡旋業務②営業代行(フリージアが指導)③開拓営業代行④直接工事⑤メンテナンス事業の業務が記載され、それぞれのマージンの比率、具体的に行う業務内容が記載されていた。また、同書面の①ないし⑤の業務の記載の後には、注書きとして、当初はフリージアホームがピコイの支店を拠点として、見学会を主催し顧客獲得を支援して②の業務を行うこと、当初の6ないし8か月位は見学会の進め方や契約の仕方等を指導し、自力で債務者が行う③に移行すること、③の体制が整ったら④の事業も行い、より高い利益率を達成すること等が記載されており、「北海道は大きな市場です、御社との提携効果が最も大きいでしょう。」「北海道だけで年間30~40棟は5~7人の専属スタッフが居れば可能でしょう。」と記載されていた。(乙11)
イ FHは、平成19年11月9日から同年12月20日にかけて、北海道新聞、朝日新聞、日刊スポーツ、読売新聞、日経新聞等にFHの広告を掲載したが、同広告には供給元にFHが表示されるとともに、「現地提携先」又は「現地業務資本提携先」として、債務者の北海道フリージア事業部が併記されていた。(甲38、甲39、審尋の結果)
ウ 平成19年11月から平成20年2月にかけて、Aに対し、債務者のログ事業部の従業員から「業務日報」、「顧客管理表」及び進行中のプランの図面が送られており、Aはこれらの書面に対して指示を出すこともあった。(甲41、審尋の結果)
エ Aは、当審に提出した平成20年4月1日付け陳述書において、フリージアグループの債務者への経営参加について、①銀行が2億円の当座貸越しを断ってきて困っているのであれば2億円の即刻無条件融資の設定を行うこと、②現況の債務者の売上の範囲内であれば仕入れに関する無制限信用枠の設定をすること、③社員との事実に基づく本音の話し合いによる和解をすること、④役員の給料、経費の削減を行い、社員の昇給に当てる改善を行うこと、⑤将来さらなる改善をするための役員、社員相互間の話し合いの実施と信頼関係を醸成すること、⑥現場部門の待遇を見直すことやベトナム人研修生を現場の第一線に派遣すること等により、労務問題を解決すること、⑦ログハウス事業の育成を全面的にバックアップすること、⑧フリージアグループの木材、建材、大工道具、家電等の商材を債務者に提供すること、等を提案すると記載している。(甲59)
3  本件新株予約権の発行に際して債務者が債権者及びFTの意思を考慮しなくとも問題がないかについて
(1)  債務者は、フリージアグループの債務者の株式取得の経緯及び第三者割当増資を行った際の本件管理信託契約の締結の経緯等から、債権者又は債権者に株式を信託譲渡したFTは、衡平の原則に違反するような株式取得を行い支配株主となった者であり、法が予定する保護に値するものではないから、本件新株予約権の発行に当たり、債権者及びFTの意思を考慮しなくとも問題はない旨主張するので以下検討する。
(2)  本件において疎明された事実によれば、Bが、本件管理信託契約の条項についての交渉の経過において、本件メールを送付し、その中でBが債務者の経営体制を支持することを表明していたことが一応認められる。
しかし、上記経過は本件基本契約の締結により、FTが債務者の議決権付き株式総数の35%を取得することの合意がされ、債務者の取締役会決議でFTに対する第三者割当増資が決議された後のやりとりであること、本件メールの文面は、BにおいてFTが債務者の経営体制の支持を義務づけられることを容認していることを示す内容ではなく、むしろ役員の選任及び解任についてのFTの関与を強く求めている内容のものであること、本件メールの送信後本件管理信託契約の締結までに指図事項について債務者から以前の指図事項に戻すべきとの強い希望等があったとの事情は窺われず、債務者はFTの上記意向を認識した上でBの希望した内容で本件管理信託契約を締結したものであることからすれば、本件メールにおいてBが債務者の経営体制を支持することを表明しているとしても、本件管理信託契約において、かかる事情にFTが拘束され、FTが債務者の経営体制に反対することが社会通念上許されないとする事情があるとはいえない。
したがって、債務者が主張するような、債権者又はFTが、衡平の原則に違反するような株式取得を行い支配株主となった者であることを示す事情の疎明はない。
(3)  そして、原決定及びブルドックソース事件最高裁決定が述べるように、特定の株主による経営支配権の取得に伴い、会社の企業価値がき損され、会社の利益ひいては株主の共同の利益が害されることになるか否かについては、最終的には、会社の利益の帰属主体である株主自身により判断されるべきものであるところ、上記において述べたところからすると、本件新株予約権の発行につき、その判断主体たる株主から債権者ひいてはFTを除くべき理由はない。
したがって、本件新株予約権の発行に際しては、債権者及びFTの意思を考慮することが相当であったというべきである。
4  本件新株予約権の発行が債務者の企業価値のき損を避けるためとして許されるかについて
(1)  債務者は、本件新株予約権の発行は、フリージアグループの支配による債務者の企業価値の明白なき損を避けるためであったのであり、フリージアグループの一員であるFT及び債権者が濫用的株主に当たるから、経営支配権の維持・確保を目的とするものであったとしても許される旨主張するので以下検討する。
(2)  本件において疎明された事実によれば、FMはAが経営権を譲り受けた会社であること、フリージアグループが共同して企業活動を行っていること、フリージアグループで重要な地位にあるAが過去に申立外会社の株主総会に際して委任状を集めるために株主に利益の供与をしたことがあったことがそれぞれ認められる。
しかし、これらの事情があるとしても、本件でフリージアグループが債務者の経営に関与することにより、債務者にとって企業価値がき損されるおそれがあるような事態が直ちに生じるとはいえないし、本件において疎明された事実から、フリージアグループに業務の実体がないという事情やフリージアグループの経営者であるAに債務者の合理的な経営を目指す意思がないとの事情等を窺うこともできず、債務者の主張するフリージアグループが債務者の経営に関与することによる企業価値のき損が明白であるとの事情があるとはいえない。また、本件においては、本件基本契約に先だって、BからFHの行っているログハウスの設計・施工・販売の業務のノウハウを共有するような提案が債務者に行われ、北海道のログハウス事業の業務について債務者の従業員とAの間に意見の交換があるなど、フリージアグループと債務者との間の業務提携については、少なくとも、実体を伴わないものであったということはできず、本件において、フリージアグループが債務者の経営に関与することにより企業価値のき損が明白であるとの事情を見出すことはなおさら困難である。
なお、債務者は、フリージアグループが債務者を連結会社とした場合に、債務者の従業員を正社員として雇用維持しないために従業員のインセンティブを失わせ、企業価値をき損させる旨を主張するが、かかる事情を裏付ける確たる資料はない。
(3)  本件においては、債務者が主張するようなフリージアグループの支配による債務者の企業価値の明白なき損があるとの事情を疎明するに足りる資料はないというべきであり、上記のとおり本件新株予約権の発行に際しては債権者及びFTの意思をも考慮すべきであったことにも照らすと、本件新株予約権の株主無償割当ては、債務者の企業価値ひいては株主の共同の利益を維持するためのものとはいえず、専ら経営を担当している取締役等の経営支配権の維持のためのものというべきである。
したがって、本件新株予約権の株主無償割当ては、著しく不公正な方法によるものとして許されないというべきである。
5  以上によれば、債権者の本件仮処分命令申立てを認容した原決定は相当であるから、これを認可することとし、主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 中俣千珠 裁判官 安江一平 髙橋良徳)

 

(別紙1)債務者の異議申立ての理由〈省略〉
(別紙2)債権者の反論〈省略〉

 

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