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判例リスト「営業代行会社 完全成功報酬|完全成果報酬」(468)昭和58年12月15日 秋田地裁横手支部 昭56(ワ)47号 解雇無効確認等請求事件 〔並木精密宝石秋田工場事件〕

判例リスト「営業代行会社 完全成功報酬|完全成果報酬」(468)昭和58年12月15日 秋田地裁横手支部 昭56(ワ)47号 解雇無効確認等請求事件 〔並木精密宝石秋田工場事件〕

裁判年月日  昭和58年12月15日  裁判所名  秋田地裁横手支部  裁判区分  判決
事件番号  昭56(ワ)47号
事件名  解雇無効確認等請求事件 〔並木精密宝石秋田工場事件〕
裁判結果  一部認容  文献番号  1983WLJPCA12156001

要旨
◆パートタイマー全員に対し一二月および七月に支払われていた金員が会社の「寸志」ではなく、賃金の一部たる賞与であるとして遡及払賃金に算入した事例。
◆パートタイマーの組合活動を理由とする雇止が不法行為に当るとして、雇傭契約上の権利を擁護するための弁護士費用をもつて右不法行為と相当因果関係に立つ損害と認めた事例。
◆期間一ケ月、労働時間一日八時間のパートタイマー契約を二八回に亘つて機械的に反覆更新してきたパートタイマーに対し、一日当り労働時間を五時間四五分に短縮する契約書を作成しないことを理由にした傭止が無効であり、短縮前の期間および労働時間の雇用契約上の権利を認めた事例。〔*〕

出典
労判 431号126頁

裁判年月日  昭和58年12月15日  裁判所名  秋田地裁横手支部  裁判区分  判決
事件番号  昭56(ワ)47号
事件名  解雇無効確認等請求事件 〔並木精密宝石秋田工場事件〕
裁判結果  一部認容  文献番号  1983WLJPCA12156001

原告 高橋千代
右訴訟代理人弁護士 荘司昊
被告 並木精密宝石株式会社
右代表者代表取締役 並木一
右訴訟代理人弁護士 柴田久雄

 

 

主文

一  原告が被告に対し一日の労働時間を八時間とする雇傭契約上の権利を有する地位にあることを確認する。
二  被告は原告に対し、金一八一万二二四〇円、並びに昭和五七年一二月以降毎月二〇日限り左記1の金員を、昭和五八年一月以降毎月五日限り左記2の金員を各支払え。

1  金三一九二円に当月一日以降一五日までの間の日数より当該期間における被告の休日数を控除した残日数を乗じて得られる額の金員
2  金三一九二円に前月一六日以降末日までの間の日数より当該期間における被告の休日数を控除した残日数を乗じて得られる額の金員
三  被告は原告に対し、金三〇万円及び内金一五万円に対する昭和五五年一一月一五日から右支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
四  原告のその余の請求を棄却する。
五  訴訟費用は被告の負担とする。
六  この判決は、第二、第三項に限り、仮りに執行することができる。

 

 

事実

第一  当事者の求めた裁判
一  請求の趣旨
1  主文第一、第二、第五項と同旨
2  被告は原告に対し、金五〇万円及び内金一五万円に対する昭和五五年一一月一五日から右支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
3  主文第二項及び前項につき仮執行の宣言
二  請求の趣旨に対する答弁
1  原告の請求を棄却する。
2  訴訟費用は原告の負担とする。
第二  当事者の主張
一  請求原因
1  被告は東京都足立区内に本店及び東京工場を設置し、秋田県湯沢市に秋田工場を有し、時計部品の製造、販売等を営む会社であり、原告は、昭和五三年六月二六日、被告との間で、一日の労働時間を八時間とする、いわゆるパートタイマーとしての雇傭契約を締結し、爾来秋田工場における時計部品の製造作業に従事してきた。
2  しかるに、被告は、昭和五五年一一月一日以降原告の雇傭契約上の地位を争い、原告の就労並びに賃金の支払を絶拒している。
3  原告の賃金等は左のとおりである。
(一) 原告の昭和五五年一〇月三一日当時の賃金は一時間当り金三六〇円であり、被告における賃金の支払方法は毎月一日から一五日までの分をその月の二〇日に、毎月一六日から月末までの分を翌月五日に支払う定めである。
(二) ところで、被告の事業は、秋田県内の事業場及び労働者に適用される産業別最低賃金の分類上、機械・金属製品等製造業に属するが、その最低賃金額は昭和五六年一月九日以降一時間当り金三七五円、昭和五七年二月八日以降一時間当り金三九九円と相次いで改訂されたため、原告の前記(一)の約定賃金は右各最低賃金額に達しない結果となり、最低賃金法五条二項によって昭和五六年一月九日以降は一時間当り金三七五円(八時間勤務の場合一日当り金三〇〇〇円)と、昭和五七年二月八日以降は一時間当り金三九九円(八時間勤務の場合一日当り金三一九二円)とそれぞれ定めたものと看做される。
(三) また、被告では原告と同様のパートタイマーらに対し、昭和五五年一二月、昭和五六年七月、同年一二月、昭和五七年七月の四回にわたり賞与が支給され、その支給額は最低額でも一回当り金一万五〇〇〇円であったから、原告も少なくとも右と同額の賞与を受給できる権利がある。
(四) そこで、昭和五五年一一月一日から昭和五七年一一月三〇日までの間の原告が受領できる権利を有する賃金、賞与の総額を算出すると、被告における労働日数は昭和五五年一一月一日以降昭和五六年一月八日まで五〇日、同月九日以降昭和五七年二月七日まで三〇二日、同月八日以降同年一一月三〇日まで二二〇日であり、したがって金一八一万二二四〇円(2,880×50+3,000×302+3,192×220+15,000×4=1,812,240)となる。
4  前記2の行為について、被告は、以下述べるとおり原告に対して不法行為責任を免れない。
(一) 被告は、原告との間に、昭和五五年一一月一日以降においても雇傭契約が存続していることを秋田県労政課の指導等によって熟知しながら、突出した組合活動家である原告を、職場から遮二無二放逐する目的の下に前記2の暴挙に出、原告の雇傭契約上の権利を侵害したものであって、被告の右行為は故意による不法行為と評されるべきである。
(二) 原告は、被告の右行為のため、地位保全、賃金仮払の仮処分申請、並びに、その本案たる本件訴訟の提起を余儀なくされ、右訴訟等の追行を原告代理人に委任し、同代理人に対し、昭和五五年一一月一四日着手金一五万円を支払い、かつ、成功報酬として金三五万円の支払いを約した。
(三) 右の弁護士費用金五〇万円は、右不法行為と相当因果関係に立つ損害というべきであるから、被告は、原告に対し、同額の損害賠償責任があるといわなければならない。
よって、原告は被告に対し、一日の労働時間を八時間とする雇傭契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めると共に、昭和五五年一一月一日から昭和五七年一一月三〇日までの間の賃金及び賞与の合計金一八一万二二四〇円及び同年一二月以降毎月二〇日限り主文第二項1記載の賃金、昭和五八年一月以降毎月五日限り主文第二項2記載の賃金、並びに不法行為に基づく損害賠償として原告の負担した弁護士費用五〇万円及びこのうち原告が既に支払った金一五万円に対し、支払った日の翌日である昭和五五年一一月一五日から完済まで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の各支払いを求める。
二  請求原因に対する認否
1  請求原因1、2の各事実は認める。
2  同3の事実について
(一) (一)、(二)の各事実は認める。但し、(二)の一日当りの最低賃金額については否認する。
(二) (三)の事実中、被告からパートタイマーに支給された金員が賞与であることは否認し、その余の事実は認め、原告が右金員を受給する権利があることは争う。右金員は寸志として支給されたものである。
(三) 同(四)の事実のうち、計算自体は認めるが、その余は争う。
3  同4の事実について
(一) (一)の事実は否認する。
(二) (二)の事実中、原告が原告代理人に仮処分及び本案訴訟の追行を委任したことは認め、その余の事実は知らない。
(三) (三)の事実は否認する。
三  抗弁
1  原告と被告との間の雇傭契約は期間を一か月と定める有期の契約であり、以後、一か月ごとに期間を一か月と定ある有期の新しい雇傭契約を締結してきたもので、昭和五四年三月からは、毎月五日ころ、期間を当月一日から当月末日とする雇傭契約書を作成しており、原告と被告との雇傭契約は昭和五五年一〇月三一日に期間が満了した。
2  被告は、昭和五五年一一月一日から、パートタイマーの労働時間を六時間以上の場合には、五時間四五分と短縮することとし、同年一〇月三一日、パートタイマーとの間で、同年一一月一日から同月三〇日までを期間とし、労働時間を五時間四五分とする新しい雇傭契約を締結したが、原告は右雇傭契約を締結すべき時と場所を熟知していながらこれに応じず、同日午後、被告社員が原告宅に電話したり、訪れて母親に所在を尋ねたが不明の返答があり原告は新しい雇傭契約を締結する意思がなく、放棄した。
3  傭止め
(一) 被告は、昭和五八年一月二一日付準備書面副本をもって、同年二月二八日を限り原告につき傭止めする旨の意思を表示し、同書面は、同年一月二二日、原告訴訟代理人に到達した。
(二) 右傭止めをするに至った事情は次のとおりである。
即ち、被告秋田工場では、昭和五六年前半までは概ね事業も順調に進展してきたが、その後半から景気にかげりが見え、特に昭和五七年においてはその生産量が昭和五六年に比し約三〇パーセント減と極端に落ち込み、景気の回復は早急に望めず先行きの見通しが全くつかない状態となり、経営の維持上パートタイマーの人員削減の必要に迫られるに至った。
そこで、被告は、昭和五七年四月二〇日、秋田工場に勤務するパートタイマー全員に対し、工場の窮境を説明して希望退職者を募集し、その結果パートタイマーのうち四二名は希望退職に応じたが、それでも人員整理の目標である五〇名ないし五五名には遠く及ばず、やむなくパートタイマーである訴外渡部和子、加藤幹子の両名を同年四月三〇日をもって傭止めにしたが、秋田工場は今なお右のような窮状にあるので、原告に対しても傭止めした次第である。
四  抗弁に対する認否
1  抗弁1の事実のうち、被告主張の雇傭契約書を作成してきたことは認めるが、その余は否認する。
2  同2の事実のうち、原告を除くパートタイマーが、昭和五五年一〇月三一日、被告との間で、労働時間を五時間四五分とする新しい雇傭契約書を作成したことは認めるが、その余は否認し、争う。
3  同3の(一)の事実及び(二)の事実のうち、被告主張に近い人数のパートタイマーが退職し、被告主張の二名の者が解雇されたことは認めるが、その余は否認する。
五  原告の主張及び再抗弁
1  原告と被告との雇傭契約の期間の定めについて
(一) 原告と被告との雇傭契約は、当初から、期間の定めのない契約である。被告の秋田工場の従業員には形式上も期間の定めのない社員、形式上は期間を二か月と定めた雇傭契約を締結する臨時社員及び形式上は期間を一か月と定めた雇傭契約を締結したパートタイマーの三種類が存していたが、パートタイマー制度創設以来、パートタイマーが契約の更新を望んだ場合には例外なく雇傭契約の更新がなされ、被告にも労働力の過剰状態を生じない限りは契約の継続を望む意思が形成されており、右三種類の従業員の間には従事する職種、労働時間で区別がなく、原告が被告の求人に応募した際も求人チラシには雇傭期間の記載がなく、採用面接でも雇傭期間の説明がなされなかったもので、期間を一か月とする雇傭契約を作成、提出するについても、更新の意思を確認することなく、毎月五日ころ、当月の契約書を作成、提出しており、形式を整えるだけの形がい化したもので、契約書の雇傭期間の記載は契約当事者の実質的合意の内容をなしているものではなく、原告と被告との雇傭契約は当初から期間の定めない契約である。
(二) 仮りに被告が主張するように原告と被告との雇傭契約が期間を一か月とするものであったとしても、労働者の身分を不安定にする右契約が有効であるとするには、短期雇傭期間の定めをおくことの合理的な理由が存しなければならないところ、原告を含むパートタイマーの従事していた業務は一時的業務ではなく、労働の新陳代謝を要する業務でもないばかりでなく右期間の定めは被告が労働者保護法規を脱法する意図でなされたもので、公序良俗に反し無効である。
(三) 右各主張が認められないとしても、原告と被告とは当初から二〇数回に亘って契約の更新が連続的に反覆継続してきており、他のパートタイマーについても、大多数の労働者に同様の更新手続が反覆継続しており、前記(一)で述べたように、原告に雇傭契約を継続することについて期待権があり遅くても昭和五五年一〇月までには期間の定めのない契約に転化した。
(四) 被告は、昭和五五年一一月五日、原告に対し、契約の更新拒絶の意思表示をなしたが、原告と被告との雇傭契約が期間の定めのないものである以上、右意思表示は解雇の意思表示と認められるが、これには合理的な理由がないばかりか、被告秋田工場において劣悪な労働条件に苦しんでいたパートタイマーが団結して昭和五五年三月二三日に並木宝石労働組合を結成し原告は結成当初から同組合に参加し、執行委員をつとめ、同年一〇月末まで、積極的に活動をしていたが、被告は原告を嫌悪して解雇したもので、正当理由がなく、解雇権の濫用として無効である。
(五) 仮りに原告と被告との雇傭契約が一か月の期間の定めのあるものであるとしても、前記(一)の事情からして、右契約は期間の満了により当然に終了するものではなく、被告が期間の満了により契約を終了させることをやむを得ないものとする合理的な事情に基づいて傭止めの意思表示をすることにより契約が終了し、これがない以上、契約は更新するものであるところ被告が原告に対してなした意思表示には右合理的な事情がないばかりでなく、前記(四)で述べたように原告を嫌悪してなされたもので無効である。
2  契約締結の意思の放棄について
原告は、従来の慣例に従い、昭和五五年一一月五日、被告秋田工場に赴き更新の申込をしているのであって、被告がパートタイマーに対し、従来の慣行を破って、同年一〇月三一日に更新手続を行う旨を通告したのは、同日夕刻の社内放送によってなされたのみであり、当日ハンガーストライキを実施していた原告には右通告が到達しておらず、しかも従来の更新手続は被告の申込とパートタイマーの承諾でなされていたものであるから、原告が更新の申込をしないことで契約締結の意思を放棄したとすることは従前の慣行からしても認めることはできない。
3  昭和五八年一月二二日の傭止めの意思表示について
(一) 被告の右主張は時期に遅れた攻撃防禦方法として民事訴訟法一三九条により却下されるべきであり、仮に、然らずとするも訴訟法上の信義則に著しく反するものとして許されるべきではない。
本件については、昭和五六年一月の提訴以来二年数か月にわたって、多数の書証、証人等の取調べを経てようやく判決に熟する状態に至ったもので、その間、被告は一貫して「期間満了」以外の雇傭契約終了原因を主張せず、審理の争点は本件雇傭契約に存する期間の性質をめぐって進められ双方とも右争点について自らに有利な判決を導き出すべく攻防を尽くしてきた。被告の右主張はかかる審理の状態で原告が最終準備書面にあたる準備書面を提出した後、原告の主張に対する反論の準備書面(昭和五八年一月二一日付)の中ではじめて提出されたものである。ところで、被告の主張によれば被告のいう傭止めの必要な事態は少なくとも昭和五七年四月二〇日以前に発生していたと解されるべきことはその主張上明白であり被告はその時点で速やかに原告に対する傭止めの意思表示をなし、これを攻撃防禦方法として遅滞なく法廷に提出することができるのであって、これを慢然と留保しつつ、訴訟の終結段階になって突如として主張するが如きは民事訴訟法一三九条一項の許さないところであり、また、右主張を許すにおいては、これについて更に証拠調を経た後、判決に熟する状態になった後、被告が自らに勝訴判決の見込みなしと判断すれば、その時点で再び「昭和五七年四月二〇日の時点より更に経営状態が悪化し、傭止めの必要が生じた」と主張しさえすれば、又新たな証拠調手続がはじまることになりこれを繰り返えしてさえいれば被告は自らの恣意によって永久に敗訴判決を避け得る理であり、民事訴訟法に内在する信義則にもとる結果となる。
(二) 原告訴訟代理人は原告に対する傭止めの意思表示を受領する権限を有していないばかりでなく、被告は経営悪化によるやむを得ざる傭止めを主張するが、被告秋田工場において昭和五八年一月一一日、検査組立工一〇名を募集する求人票を湯沢公共職業安定所に提出し、更に、同年二月二四日新聞の折込広告によりパートタイマー三〇名を大々的に募集し、更に、これと並行して昭和五七年四月の希望退職者、被解雇者に対し、再雇傭に応ずるか否かの意向を打診するなど積極的な求人活動を展開している。
加えて、昭和五七年四月の人員整理の対象となったパートタイマーの中には、原告に同調して社会保険関係の資格の確認請求をした者、労働組合員であったもののほとんど全員が含まれており、かかる点からしても右傭止めは、原告の加入する労働組合の活動に対する報復的色彩が濃厚であって、その人選に客観性、合理性がないといわなければならない。
六  原告の主張及び再抗弁に対する被告の認否
1(一)  (一)の事実のうち、被告の秋田工場の従業員には、原告が主張するように、三種類が存在していたこと、求人チラシに雇傭期間の記載がなかったこと、被告がパートタイマーとの間で、毎月五日前に、一日に遡って当月分の雇傭契約書を取り交わして来たことは認めるが、その余は否認し、争う。原告は採用面接の際にも雇傭期間が一か月である旨説明され、パートタイマーという身分上、雇傭期間が極めて短期間であることは社会通念上当然であり、原告は、昭和五四年三月以降、期間一か月と明記されたパートタイマー雇傭契約書に署名押印して、右雇傭期間を熟知しており、期間の定めのない契約ではないことは明白である。
(二)  (二)の事実は否認し、争う。
(三)  (三)の事実のうち、被告が原告との間で二八回に亘って雇傭期間一か月の契約を反覆更新してきたこと、他のパートタイマーについても一か月毎に契約を更新してきたことは認めるが、その余は否認し、争う。当事者双方に新たな合意がない以上、期間の定めのない契約となるものではない。
(四)  (四)及び(五)の各事実はいずれも否認し、争う。
2  2の事実のうち、原告が、昭和五五年一一月五日、被告に対して雇傭契約締結の申し込みをしたことは認めるが、その余は否認する。原告は、同月一日から四日までの間、被告に対してなんらその月分の雇傭契約に応じる意思を表示せず、出勤稼働もしていないから、同年一〇月三一日をもって雇傭契約上の地位を失ったものといわなければならない。
第三  証拠(略)

 

 

理由

一  原告の雇傭契約上の地位の存否について
1  請求原因1及び2の各事実はいずれも当事者間に争いがない。
2  そこで抗弁1について、原告は否認するので、判断する。
(一)  原告が、昭和五四年三月以降、毎月五日ころ、期間を当月一日から末日までの一か月とする雇傭契約書を作成し、右契約書を一か月ごとに更新、継続してきたこと、被告の秋田工場の従業員には、原告の主張するように、三種類が存在していること、被告の求人チラシに雇傭期間の記載がなかったことはいずれも当事者間に争いがない。
(二)  前記争いのない各事実に(証拠略)によれば次の事実を認めることができる。
(1) 被告は昭和二八年に設立され、時計部品の製造販売を営業目的とする会社で、当初は東京都足立区の本社工場だけであったが、業績の拡充に伴い昭和四三年二月、秋田県湯沢市に秋田工場を建設し、操業を始め、更に昭和五七年二月、青森県黒石市に黒石工場を建設したもので、秋田工場が主力工場として売上げの七〇パーセントを占めている。
(2) 被告の秋田工場の従業員には、正社員、臨時社員、パートタイマーの三種類が存在しているが、操業当初はパートタイマーはなく、正社員と臨時社員だけであり、正社員は被告と期間の定めのない雇傭契約を結ぶ者で、採用方法は新規学卒者については作文を書かせたうえ、面接テストをしてその結果を本社に送り、本社の役員部長会で採否を決定していたが、中途採用者については、願書と共に戸籍謄本、成績証書面、履歴書などの提出を求めたが、面接テストで採否を決定していたものであり、また臨時社員(就業規則上では臨時雇傭者)は全て女性で、正社員が結婚して退職し、その後も引続き勤務を希望する場合や、高令者を採用した場合で、雇傭期間も二か月として、更新していた。その後、昭和四九年、被告の業績が発展してきたため、人手不足となり、かつ需要増大の期間の見通しがつかないことから、その調整を行う趣旨もあってパートタイマーを採用することになり、採用方法も秋田工場の勤労課長がパートタイマーの応募者と面接し、入社願書を提出させて採否を、即時に決定しており、パートタイマーに適用される就業規則も作成されていない状況であった。秋田工場の勤労課長はパートタイマーの応募者と面接した際、上司の命令によって、賃金などの雇傭条件の説明をするときに、雇傭期間は一か月であるが、特別の事情のない限り新契約になる旨説明し、その後は、昭和五四年二月までは特に契約書も作成することなく、パートタイマーの雇傭を継続していたが、同年三月パートタイマーについて雇傭期間を一か月とする「パートタイマー雇傭契約書」に署名押印させる方法を採り、以後、毎月、同じ内容の契約書を作成するようにしたもので、パートタイマーに右契約書を提出させる時期は、毎月五日(休日のときは翌日)に前月一六日から月末までの賃金を支払っていたことから、毎月三日ころにパートタイマーに当月一日付の契約書を渡し、毎月五日、パートタイマーが、賃金を受け取る際に、署名押印した右契約書を提出するようにしており、右提出の期限が厳守されていたわけではなく、文書の上では雇傭期間を遡らせていたもので、被告もパートタイマーも右契約書の作成を機械的に行なっていた状況であった。またパートタイマーの労働時間は、当初、午前・午後の半日勤務、隔日勤務であったが、昭和五二年以降人手不足やパートタイマー自身の要望から八時間勤務するパートタイマーも採用され、次第にパートタイマーの多くの者が八時間勤務するようになった。
(3) 被告の秋田工場では、パートタイマー制度を採用して以来、昭和五一年、オイルショックによる不況のため、パートタイマー七七名全員に退職してもらったことがあったが、昭和五二年にパートタイマーの採用を再開して以来、パートタイマーが就労を希望した場合には、昭和五五年一〇月までは、長期欠勤者や高令者、疾病者を除いて、一か月の期間満了で退職を求めたことはなく雇傭を継続していたもので、業績の発展に伴いパートタイマーの採用も増加し、昭和五五年一〇月三一日現在のパートタイマーの総数は一五〇名であり、内八時間勤務の者が一〇六名に達し、その在籍年数も一年未満の者が九名、一年以上二年未満の者が四八名、二年以上三年未満の者が三三名、三年以上の者が一六名に達しており、しかもその作業内容は正社員や臨時社員と異なることなく、同一作業現場で同じ作業に従事していた。
(4) 被告は、昭和五三年六月当時は、業績の発展に伴って、常時、パートタイマーの募集を行なっており、時折、新聞の折込広告でパートタイマーの募集をしていたところ、原告は、昭和五三年六月一〇日、右広告を見て、パートタイマーに応募することとし、被告の秋田工場に赴き、同工場の勤労課長である訴外真田幸三と面接し、雇傭条件などの説明を受けたうえ、労働時間を八時間とするパートタイマーとして働くことにしたが、その際、真田課長は雇傭期間は一か月ごとに区切っていく旨述べたものの、当時秋田工場では人員が不足していることもあって、原告に対し、長期間勤めて欲しい旨述べ、原告もこれに応じ、即日、作業現場に赴き、その後一〇日間は、研磨作業、洗滌作業なども経験したうえ、主として研磨作業に従事するようになり、原告の作業現場は約四〇人いたが、正社員とパートタイマーの比率は半々程度であった。前記(2)のとおり、原告は昭和五四年二月までは契約書を作成せず、勤務を継続していたが、同年三月以降、毎月五日、当月分の「パートタイマー契約書」を作成するようになり、以後、昭和五五年一〇月まで、同様の手続をして勤務を継続していた。
(三)  右認定事実によれば、原告と被告との雇傭契約は期間を一か月とするもので、それが順次更新されたものと認めることができる。ところで、原告は右雇傭契約は期間の定めのないものであると主張し、(人証略)及び原告本人尋問の結果中には、右主張に符合し、真田課長は、面接の際、雇傭期間が一か月である旨の説明をしなかった旨の供述部分があるが、(人証略)中には右供述部分と相反する供述があり、しかも昭和五四年三月以降は原告らパートタイマーは、毎月、期間を一か月とする「パートタイマー雇傭契約書」に署名押印して被告に提出していることからして右各供述部分は信用することができず、原告の主張は理由がなく、他に期間を一か月とする雇傭契約をなしたことを覆えすに足りる証拠はない。
また原告は期間を一か月とする雇傭契約は公序良俗に反し無効である旨主張するが、企業の目的から有期の雇傭契約を締結することは、何ら法律に反することではないばかりでなく、公序良俗に反すると言うことはできず、右主張は失当であることは明らかであり、更に、原告は、期間の定めのない契約に転化した旨主張するが、前記認定事実によれば、他に特別な法的根拠が認められず、かつ原告と被告との間で右主張を認めるに足りる新たな合意が成立したことの主張、立証がない以上、途中で期間の定めのない契約に転化することは認めることはできない。
(四)  しかしながら右(二)認定事実によれば、原告と被告との雇傭契約が一か月の期間の定めがあるとしても、右契約の当初において被告は原告に長期間勤務することを要望し、原告もこれを承諾していたこと、右契約が、昭和五五年一〇月まで二八回に亘って機械的に反覆継続されてきたこと、右契約と同様のパートタイマーについても、バートタイマー本人が希望しないかぎり、契約の更新が当然なされてきたこと、更には原告らパートタイマーの作業の内容は正社員と同一のもので差異がないことが認められ、以上からすると、右契約は期間を一か月と定められているが、当然更新されることが予定されていたと解するのが相当であり、単に期間が満了したとの理由だけでは被告は傭止めをせず、原告らパートタイマーもこれを期待かつ信頼し、このような相互関係のもとで労働契約関係が存続、維持されてきたものであり、したがって、期間満了によって労働契約を終了させるためには、傭止めの意思表示が必要であるばかりでなく、右傭止めをするについても、従来の取扱いを変更してもやむを得ない事情が必要であると解するところ、右の点につき、何らの主張、立証がない(被告が原告に傭止めの意思表示をしていないことは弁論の全趣旨から明らかである。)以上、期間満了というだけでは雇傭契約の存続を否定することはできない。
3  次に抗弁2について検討する。
(一)  原告を除くパートタイマーが、昭和五五年一〇月三一日、被告との間で、労働時間を五時間四五分とする雇傭契約書を作成したこと、原告が、同年一一月五日、被告秋田工場に赴き契約の更新の申込みをしたことは当事者間に争いがない。
(二)  右争いのない各事実に(人証略)によれば、被告の秋田工場では、昭和五五年四月ころから、パートタイマーの労働時間の時間短縮を考慮するようになり、同年一〇月二〇日ころ、本社と協議のうえ、同年一一月一日から時間短縮することとし、同年一〇月二三日及び同月二九日、パートタイマーが組合員となっていない被告秋田工場従業員組合の承諾を得たうえ、同月三一日、パートタイマーに対し、時間短縮をする旨の説明をし、その場で、期間を同年一一月一日から同月三〇日までとし、労働時間を五時間四五分とする新しい雇傭契約書を作成させたが、原告を含む三名のパートタイマーが右説明の場におらず、新契約書を作成しなかったこと、被告は、右説明後、原告宅に赴いたが原告は不在で原告の母に右説明をしたこと、原告は、同月二四日、前記従業員組合のチラシなどで時間短縮や同月三一日に新しい契約書を作成することを知り、これに反対するため、同月三〇日から同年一一月一日まで秋田工場門付近でハンガーストライキを行い、更に同月四日、更にストライキをし、同月五日、秋田工場に出勤したところ、同年一〇月三一日に契約しなかったので雇傭期間が終了した旨説明され、就労を拒否されたことが認められ、被告主張のように、原告は、同日、雇傭契約書を作成することを知りながらその場に赴かず、契約書を作成しなかったことが認められる。
(三)  しかしながら、
(1) 本件全証拠によるも、原告が、昭和五五年一一月一日から雇傭契約締結の意思を明示的に放棄したと認めることはできないし、被告もこれは争っていない。
(2) 前記2(二)の認定事実に(証拠略)によれば、
(イ) 被告はパートタイマーに対し、従前の更新手続を変更して昭和五五年一一月一日からの雇傭契約を同年一〇月三一日に締結する旨の通知を事前に通知せず(〈人証略〉中には、従業員組合のチラシで通告した旨の供述があるが、右チラシが被告による適正な通知といえないことは明らかである。)、当日、パートタイマーに説明したにすぎず、検討する余裕がない状況でその場で契約書の作成を求めたこと
(ロ) 原告以外に二名のパートタイマーが、同日、新契約書を作成しなかったにもかかわらず、雇傭期間の初日である同年一一月一日に契約を締結し、パートタイマーの地位を認めていること
(ハ) それまでは毎月五日に当月分の契約書を作成していた慣行があり、それに一日位遅れても、被告は、特に、契約を認めないことはなかったこと
(ニ) 原告が同年一〇月三〇日から同年一一月一日まで及び同月四日に欠勤のうえ、時間短縮に反対するため門付近でストライキを行っていたことは、被告の真田勤労課長などは目撃しているうえ被告は原告が所属していた並木宝石労働組合からの通告がなされ、その旨のチラシなどで熟知していたもので、また一一月二日及び三日は休日で出勤日ではなかったこと
がそれぞれ認められ、右事実からすると、前記(二)認定事実では原告の契約締結の意思を放棄したと認めることはできず、また期間満了によって契約を終了させる事情にもならない。
(四)  なお、原告本人尋問の結果によれば、原告は、一一月五日、八時間の労働時間の雇傭契約を締結する意思であったもので、労働時間を五時間四五分の時間短縮した雇傭契約を締結する意思はなかったとも認められるが、(人証略)及び原告本人尋問の結果によれば、右時間短縮によって、賃金が減少し、雇傭保険、健康保険及び厚生年金の各受給資格を喪失するなど、原告らパートタイマーに大きな不利益をもたらすものである以上(被告が従業員組合を通じてパートタイマーに賃金減少分を貸し付ける方法を同年一一月一日から採ったことは認められるが、内職作業場完成までの貸付金であり、賃金でないことは明らかで、パートタイマーの不利益となることは明らかである。)、被告の一方的な意思で右時間短縮することは相当の理由が必要とされるところ、右理由としてパートタイマーらしくするため、あるいはパートタイマー制度採用当初の勤務時間に戻すためとするにすぎず(行政官庁の指導による旨の供述部分もあるが、信用することはできない)、時間短縮の合理的理由とはなりえず、原告の承諾がない以上、他のパートタイマーが承諾したとしても、労働時間を短縮することはできず、原告は八時間の労働時間を内容とする雇傭契約を締結することができ、原告に時間短縮の雇傭契約締結の意思がなかったことは、抗弁2を認める理由とはなりえない。
4  更に抗弁3について検討する。
(一)  (一)の事実は当事者間に争いがない。なお原告は原告代理人には原告に対する傭止めの意思表示を受領する権限を有しないと主張しているが、訴訟代理人は、別段の委任がない場合でも、攻撃防禦の前提として必要な実体上の権利行使をなし、又は相手方のなす意思表示を受領する権限を有するものと解すべきであるから、右意思表示は有効に到達したもので、原告の主張は理由がない。
(二)  そして、右傭止めの意思表示は、不況により被告に生じた過剰人員を整理するため原、被告間の雇傭契約を終了させる趣旨のもとになされたことはその主張自体から明らかであり、その効力の判断にあたっては、右雇傭契約の前記2の特質に照らして、通常の整理解雇に関する法理を類推することが相当であり、整理解雇が是認されるためには、少なくとも具体的な解雇対象者の員数及びその選定が客観的、合理的な基準にもとづくものであることを要するところ、この点について被告はなんら主張立証するところがない。
そうすると、被告の前記主張はその余の点を判断するまでもなく失当といわなければならない。
なお、原告は被告の傭止めに関する主張は時期に遅れた攻撃防禦方法として却下されるべきであり、また、訴訟法上の信義則に著しく反するものとして許されるべきではないと主張するので付言するに、なるほど本件の審理は原告の提訴以来二年余にわたり、専ら原、被告間の雇傭契約の特質をめぐって展開され、双方の立証が尽された段階に至って始めて抗弁3の傭止めの主張が出されたこと、右主張は昭和五七年四月当時提出しようとすれば提出できたことは原告の指摘するとおりであるが、他面、その後の審理状況に照らせば、実質的な訴訟の遅延はなく、また、被告に原告が主張するような訴訟延引等の意図があったとも断じられないから、抗弁3の主張をなすことが相当であるか否かは別として抗弁3の主張が民事訴訟法に反するとまで言うことはできず、原告の右主張は採用できない。
5  以上によれば、被告主張の各抗弁は、結局のところ、理由がなく、原告は、昭和五五年一一月一日以降も、被告との間で、労働時間を八時間とする期間一か月の雇傭契約が、毎月、更新されているものと認めることができ、被告に対し右労働時間の雇傭契約上の権利を有することが認められる。
二  賃金請求について
1  前記判断によれば、原告は、昭和五五年一一月一日以降も、被告に対し、賃金を請求することができるのは明らかである。
2(一)  請求原因3(一)の事実は当事者間に争いがない。
(二)  同3(二)の事実のうち、一日当りの最低賃金額を除く各事実はいずれも当事者間に争いがない。
被告に適用される最低賃金額について争いがあるが、(証拠略)によれば、右金額は昭和五六年一月九日から一時間当り金三七五円、昭和五七年二月四日から一時間当り金三九九円であることが認められ、昭和五六年一月九日から一時間当り金三三六円が適用されるのは、雇入れ後六か月未満の技能習得中の者など原告には該当しない条件に当る者に適用される金額であり、昭和五七年二月八日から時間給を定めた原告は一時間金三九九円であり、したがって一日では金三一九二円であり、一日当りの金三一八七円が原告に適用されるものではない。
(三)  同3(三)の事実のうち、被告がパートタイマーに対し昭和五五年一二月、昭和五六年七月、同年一二月、昭和五七年七月の四回にわたり、最低金一万五〇〇〇円を支給したことは当事者間に争いない。被告は右支給は寸志であると主張するが、パートタイマー全員に支給されるものである以上、その名義の如何にかかわらず、賞与とみなされるもので、賃金の一部と認めることができる。
(四)  同3(四)のうち、計算は当事者間に争いがない。したがって、原告が主張するように、被告は原告に対して、昭和五七年一一月三〇日までの賃金合計として金一八一万二二四〇円を支給する義務があり、同年一二月一日から一日当り金三一九二円を、前記認定の方法で、毎月五日及び二〇日に、賃金を支払うべきである。
三  不法行為の成否について
1  前記各認定事実に(証拠略)によれば、次の事実を認めることができ、(人証略)中、右認定に反する部分は信用することができず、他に右認定に反する証拠はない。
(一)  被告の秋田工場には昭和五五年三月以前には、被告秋田工場従業員組合が存在していたが、右従業員組合にはパートタイマーが、その組合員となっていないため、原告は、同月二三日、主として労働条件が法律違反となっているパートタイマーの権利を擁護するため、正社員五名及びパートタイマー六名と共に並木宝石労働組合を結成し、執行委員となり、一時、右労働組合の組合員はパートタイマー五五名を含めて約七〇名となり、その後減少したものの右労働組合は被告に対して、パートタイマーに対する最低賃金法違反の是正、有給休暇支給、健康診断の実施、健康保険や各種社会保険の適用を求める活動を展開し、原告はその中心的立場にあり、労働基準監督署、社会保険事務所、公共職業安定所などに右法律違反の申告や社会保険などの被保険者資格の確認請求をなし、被告は法律違反の是正勧告を受けると共に、原告の雇用保険被保険者資格取得等の確認が同年一〇月一六日に、原告ら六名のパートタイマーの健康保険、厚生年金保険の被保険者資格の確認が同月二四日にそれぞれ認められるに至った。
(二)  このような状態の中で、被告は、昭和五五年一〇月当時、経営が順調であり、時間短縮を必要とする格別の理由がなく、時間短縮によって、パートタイマーの三分の二以上の者が各種社会保険の被保険者資格を有し、あるいは取得できる状況であったのに、これが不可能になることを知りながら、前記二3認定のとおり、同月三一日、パートタイマーと時間短縮の雇傭契約を締結し、原告が雇傭契約を締結する権利を有しているにもかかわらず、これを拒否し、原告の雇傭契約上の権利を有する地位にあることを争っている。
右認定事実によれば、被告は原告が雇傭契約を締結することができることを知りながら、これを争っているもので、その理由も原告の組合活動を嫌悪するためであると推認でき、原告に対する不法行為となることは明らかである。
2  次に、原告が原告代理人に訴訟追行を委任し、地位保全、賃金仮払の仮処分申請、本訴を提起したことは当事者間に争いがなく、(証拠略)によれば、原告が昭和五五年一一月一四日原告訴訟代理人に右訴訟追行の着手金一五万円を支払い、かつ、成功報酬として三五万円の支払いを約したことが認められる。
3  そして、原告が雇傭契約上の権利を擁護するため本訴の提起等を余儀なくされこれを原告代理人に委任することが通常とみられることは弁論の全趣旨に照らして明らかであり、本事案の難易、請求額、認容程度その他諸般の事情を斟酌すると、弁護士費用として金三〇万円を前記1の不法行為と相当因果関係に立つ損害と認めるのが相当である。
四  以上によれば、原告の本訴請求のうち、雇傭契約上の権利を有する地位の確認、賃金請求、弁護士費用の内金三〇万円及び既に支払済みの内金一五万円に対する昭和五五年一一月一五日からの遅延損害金の請求を求める部分は理由があるので認容するが、その余は理由がないので棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条、九二条但書を、仮執行の宣言につき同法一九六条一項をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 小松峻 裁判官 杉山正士 裁判官 金野俊男)

 

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