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判例リスト「完全成功報酬|完全成果報酬 営業代行会社」(271)平成21年 8月31日 東京地裁 平19(ワ)7714号 損害賠償請求事件

判例リスト「完全成功報酬|完全成果報酬 営業代行会社」(271)平成21年 8月31日 東京地裁 平19(ワ)7714号 損害賠償請求事件

裁判年月日  平成21年 8月31日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平19(ワ)7714号・平20(ワ)17179号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  第1事件一部認容、第2事件請求棄却  文献番号  2009WLJPCA08318013

要旨
◆原告が、被告Y1が原告が支払っていた経費名目の金員のほとんどを横領したと主張して、損害賠償を求め(第1事件)、被告Y1が経営していた被告会社に対し、債務不履行があるとして損害賠償を求め、また、被告Y1が不法行為をしたとして損害賠償を求めた(第2事件)事案において、被告Y1による横領事実を認定して、第1事件の原告の請求の一部を認容する一方、原告と被告会社との間の契約は、契約書の文言から、原告主張の仕事完成義務がある請負契約であったと認定することはできず、本件契約が請負契約であるとの前提に立つ原告の請求は認めることができないとして、また、被告Y1の行為が不法行為を構成する強要行為として特定して認定することはできないとして、第2事件の請求を棄却した事例

参照条文
民法415条
民法709条

裁判年月日  平成21年 8月31日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平19(ワ)7714号・平20(ワ)17179号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  第1事件一部認容、第2事件請求棄却  文献番号  2009WLJPCA08318013

平成19年(ワ)第7714号 損害賠償請求事件(第1事件)
平成20年(ワ)第17179号 損害賠償請求事件(第2事件)

東京都新宿区〈以下省略〉
第1事件・第2事件原告 株式会社ワイルドサン
(以下,単に「原告」という。)
同代表者代表取締役 A
同訴訟代理人弁護士 藤本勝也
第1事件同訴訟復代理人・第2事件訴訟代理人弁護士 平山真理
東京都世田谷区〈以下省略〉
第1事件・第2事件被告 Y1
(以下,単に「被告」という。)
東京都世田谷区〈以下省略〉
第2事件被告 株式会社マーキス
(以下,単に「被告」という。)
同代表者代表取締役 Y1
上記2名訴訟代理人弁護士 竹川忠芳
小倉保志
上記竹川忠芳訴訟復代理人弁護士 木元聖子

 

 

主文

1  被告Y1は,原告に対し,293万0851円及びこれに対する平成19年4月7日から支払済まで年5分の割合による金員を支払え。
2  原告のその余の請求を棄却する。
3  訴訟費用はこれを9分し,その1を被告Y1の,その余を原告の各負担とする。
4  この判決の第1項は仮に執行することができる。

 

事実及び理由

第1  請求
1  第1事件
被告Y1は,原告に対し,294万6701円及びこれに対する平成19年4月7日(第1事件訴状送達の日の翌日)から支払済まで年5分の割合による金員を支払え。
2  第2事件
被告らは,原告に対し,各自2343万円及びこれに対する平成20年8月14日(第2事件訴状送達の日の翌日)から支払済まで年5分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
本件は,原告が,被告Y1に対し,毎月50万円を支払っていた経費名目の金員のほとんどを横領したと主張して,損害賠償を求めた(第1事件)のに対し,被告Y1が,原告主張の月額50万円の支払を否認して争い,また,原告が,被告Y1が経営していた被告マーキスに対し,債務不履行があるとして損害賠償を求め,また,被告Y1が不法行為をしたとして損害賠償を求めた(第2事件)事案である。
1  前提事実
(1)原告は,平成17年12月2日,設立された会社であり,平成19年3月28日,商号を「株式会社マックスメディエーション」から「株式会社ワイルドサン」に変更し,同年4月4日,その旨の登記をした。
(2)原告の設立当初の代表取締役は,Bであったが,平成18年10月1日からはCであり,平成19年3月28日からはAである。
(3)原告は,被告マーキスに対し,平成17年10月150万円,平成17年11月から平成18年7月まで月額180万円,平成18年8月150万円の「顧問料」を支払い,平成18年8月分残金30万円と同年9月分180万円の合計210万円につき相殺処理により,合計2130万円を支払ったが,平成18年9月までの間には,原告に不動産取引の成約による収入はなかった。
2  第1事件請求原因
(1)126万6850円の請求の原因
被告Y1は,原告から,平成17年10月から平成18年3月の間,毎月50万円,合計300万円を「経費」として受領したが,そのうち175万1000円については甲第2号各証の領収証が存在する(甲第1号証は,集計表である。)が,その余(300万円から175万1000円を控除すると残額124万9000円となる。)については領収証も存在せず,被告Y1が不法に取得している。
(2)167万9851円の請求の原因
被告Y1が,平成19年9月11日原告の税務会計を担当していたスバル合同会計のDに提出した甲第2号各証の領収書中,事務用品代以外(甲第1号証に「×」印を付したもの)は,正当な「経費」と認められないものであり,その合計は,168万1851円となる。
3  第2事件請求原因
(1)被告マーキスの債務不履行
被告マーキスは,原告から,「顧問料」名下に合計2130万円の報酬を受領しているが,被告マーキスには,次の債務不履行があるから,上記2130万円は,被告マーキスによる債務不履行により原告が被った損害というべきである。
① 被告マーキスが原告との間で締結した本件コンサルティング契約は,請負契約と解すべきものであり,被告マーキスは,原告に対し,月額180万円の顧問料に見合うだけの売上を上げる仕事完成債務を負っていたのに,これを履行しなかった。
② 仮に,被告マーキスに売上を上げる仕事完成債務までは認められないとしても,本件コンサルティング契約は,準委任契約と解されるから,被告マーキスには,善良な管理者として事務を処理すべき注意義務があったのに,これを怠った債務不履行がある。
a 被告マーキスが負っていた善管注意義務の内容は,次のものと解すべきである。
(a)社員に対し,適切な営業指導をすること
(b)経験に基づくノウハウや人脈を活かし,自ら売上を上げるべく適切な営業をすること
(c)不動産を売買するシステム作りを適切に行うこと
(d)以上の業務について報告すること
b 被告マーキスは,上記債務を履行しなかった。
(a)入社した新人に対し,1時間程度の大まかな説明をし,名簿屋で購入した名簿を見て電話をかけるよう指導した以外,具体的な営業指導をしなかった。
(b)被告Y1自身が営業をすることは殆どなかった。
(c)宅建免許を取得し,宅地建物取引主任者を確保し,営業保証金の供託又は保証協会に加入しなければならないのに,これらをしなかった。
(d)Cは,被告Y1に対し,業務としてどのようなことを行っているのか,どのような成果が出ているのか,今後の見通しはどうかを尋ねたが,被告Y1は,説明しなかった。
(2)被告Y1の不法行為
被告Y1は,Cに対し,「俺がいれば月10本はいくよ。」,「俺がいなければ事業は無理だよ。」と豪語し,Cを信用させ,コンサルティング仮契約を締結させ,顧問料を毎月180万円とする本件コンサルティング契約書(乙第3号証)を作成し,顧問料を引き下げたコンサルティング契約をしようと考えていたCをして,追認を強要した。その後,1年間にわたって売上がなかったため,Cが契約を解除しようとすると,「直ぐに売上が上がるようになる。」,「顧問料を支払わなければ契約不履行で訴える。」と述べ,契約の継続を強要した。被告Y1の上記行為は不法行為というべきであり,原告は,同不法行為により,顧問料合計2130万円,本件弁護士費用213万円の損害を被った。
4  第1事件請求原因に対する認否・反論
(1)被告Y1は,経費として月額50万円を受領したことはない。
(2)甲第2号証は,Cが不動産事業に関する精算を申し出たので,被告Y1が自己負担していた経費の領収証として提出したものであり,被告Y1が原告から受領していた金員の支払先を示すために提出したものではない。したがって,甲第2号各証は,第1事件請求の根拠となるものではない。
5  第2事件請求原因に対する認否・反論
(1)被告マーキスが原告との間で締結した本件コンサルティング契約は,会社の立ち上げと不動産売買をスムーズにできるシステム作りの協力であり,具体的には,会社の設立登記手続,不動産業者の紹介,業者とのパイプ役となること,社員指導である。被告マーキスは,これらを履行した。
すなわち,被告Y1は,会社設立に必要な行政書士を紹介し,登記手続をした。Cには刺青もあってイメージが悪いので,Bを代表取締役として紹介し,Eを取締役として紹介した。入社した社員に対し,マニュアル(乙第4ないし第7号証)や社訓(乙第8号証)を渡し,講義をして社員研修をした。その後,仕事に必要な税金や保険などの話や心構えの講義などを行い,業務報告書の書式を作って,社員に毎日の業務内容を記載するよう指導していた(乙第9号証の1,2)。毎週月曜日と毎月1日には朝礼を行い,月初めには,1か月間の業務報告と抱負を述べさせていた(乙第11号証の1,2)。社員が顧客のアポイントをとって商談に行ったときは,報告を受けて適切な指導をし,社員の相談に乗り,2回目以降の商談には被告Y1が同行するようにしており,同行できない場合にも事後に報告を受け,指示を与えてサポートしていた。その他,会社の備品を購入し,社員を募集し,社員の社宅を斡旋したりもした。原告は,被告マーキスに対し,定期に顧問料を支払ってきたものであり,未払顧問料についても平成18年10月10日に精算する合意をしており(甲第23,第24号証),本件訴訟まで,返還を求めたりしたことはなかった。原告が被告マーキスの債務が履行されていないと認識していたのであれば,顧問料の支払をやめることができたのに,その支払を継続していたことは,被告らに債務不履行がなかったことを物語っている。
(2)被告Y1が宅建免許取得等を約束したことはない。これらは,経営者であるCがすることであり,売上が上がらなかったのも,経営者であるCの責任である。被告Y1は,平成17年秋には,原告のコンサルティングをすることに時間を取られ,被告マーキスでの営業をする余力がなくなり,被告マーキスで雇っていた社員全員にやめてもらっている。被告マーキスのコンサルティングにより,一応の成果は出てきていたが,成約に至ったものがなかったにすぎない。
第3  当裁判所の判断
1  事実認定について
本件各証拠,弁論の全趣旨によれば,次の限度で事実を認定することができるが,括弧内書で示すとおり,それ以上の事実を認定することができない。
(1)Cは,平成17年春ころ,友人であるF(甲第35号証が陳述書である。)に対し,ペットショップを開業しようと考えていることを話した。Fは,不動産会社に勤めて不動産賃貸の仕事をしたことがあり,当時,退職していたため,Cが開業したいとしているペットショップと併せて不動産賃貸の仕事をしたいと申し出,Cも了解した。Fは,かつて勤務していた不動産会社の同僚であったGに対し,起業への参加を勧誘し,3名でペットショップと不動産賃貸業の会社を興すことを計画した。
(2)平成17年夏,Gは,C,Fに対し,前に勤務していた不動産会社で,不動産販売部を統括する部長職にあった実力者として被告Y1を紹介し,3名で被告Y1に会い,被告Y1の話を聞いて,3名は,被告Y1を起業に際して迎え入れたいと思うようになった。
(3)その後,Gが被告Y1と打ち合わせた上で,再度,3名で被告Y1と会い,被告Y1から,被告マーキスに対する顧問料180万円,経費月額50万円などとするコンサルタント契約の原案を示された。その後,3名で協議し,FやCも,上記申出を受けることとし,起業資金を用意するCと被告Y1との間で,概要の合意がされた(これをCは,「仮契約」としているが,書面は本件証拠中に存在しない。また,証人Cは,「仮契約」について,反対したが締結させられたと述べるが,当時,Cが反対したのであれば,契約が締結されるはずはないのであり,結果的に,事業について費用ばかりがかかって収益が上がらなかったことから,そのように述べているにすぎないものと解される。)。
(4)平成17年9月14日付で,Cは,被告Y1の求めに応じて,別紙1の「依頼書」(乙第1号証)を作成した。
(5)そして,平成17年9月27日付で,別紙2の「業務委託契約書」(乙第2号証)が作成された(本件コンサルティング契約)。
(6)原告が設立されたのは,平成17年12月2日である。
この間,平成17年9月,設立前の原告の事務所が決まり,FやCも同事務所に出勤するようになったが,被告Y1は,Cは不動産業について素人なので社員の手前出勤しない方がよいとか,知人の女性を代表取締役にするとか言い出したため,FやCが反対したが,被告Y1から,自分が中心になって売上を上げるのであるから,口を出すなと言われてしまい,Fは,同年10月には辞めてしまった。
原告の代表取締役は,当初,Bが就任したが,同女は,被告Y1から頼まれて,名前を貸しただけであり,平成18年10月1日には辞任している(甲第34号証)。
(7)原告設立後の平成17年12月28日付で,被告マーキスと原告との名義の「業務委託契約書」(乙第3号証)が作成された。内容は,前記平成17年9月27日付「業務委託契約書」(乙第2号証)と同旨であり,前記契約書と同じく被告Y1から提示した文案によるものである(被告Y1本人は,同契約書,前記契約書の文面について,Gと相談してC側で作成して提示されたものであり,被告Y1の側から提示したものではないと述べるが,証人Cの証言に照らし,被告Y1本人の上記供述は採用することができない。)。
(8)Gは,原告資金の使い込みや被告Y1からの暴行等があり,平成18年2月ころには原告に出社しなくなった。
(9)原告設立後,社員を雇用して,個人に電話をかけて不動産投資を勧める勧誘がされていたが,原告として行っていた業務の具体的詳細は不明である(なお,被告らは,業務について各社員に「報告書」を書かせていたとして,乙第9号証の1,2,第11号証の1,2,第15ないし第17号証を提出し,Hの陳述書〔乙第12号証〕には,業務報告をしていた旨の記載がある。これに対し,Iの陳述書〔甲第33号証〕には,業務の報告書など書いたことはない旨の記載がある。しかし,乙第15ないし第17号証は,甲第33号証の署名と対比すると,Iが自ら記載したものと認められるところであり,甲第33号証中のIの上記陳述記載はにわかに採用することができない。)。
(10)原告は,不動産投資の勧誘をしていたが,Cが当初予定していた資本は2000万円程度のものにすきず,宅建免許もなく,取引主任者もおらず,自社保有物件もなかった(そうすると,上記勧誘が成功したとき,どのような取引をするのかが問題になるが,被告Y1の供述によると,顧客が付いた後に,自分の知り合い等を通じて適当な物件を探す予定だったというのであり,証人Cは,そのような内容については,全く頭になかったと供述し,全てを被告Y1に任せたかのように述べる。しかし,不動産業について素人であるといっても,自らが出資,出捐して事業を興す者として,当該事業の内容について全く把握していないとする同証人の説明は,余りにも無見識であって,実態を全て説明しているものとは到底解し難い。前掲甲第35号証によると,被告Y1にはワンマンとの話があったため,Fが被告Y1の参加を求めるのに消極的であったところ,Gが自分が中心になるから,大丈夫だと述べたので,被告Y1の参加を求めることとなったというのであって,Gには不動産会社に勤務した経験があり,最初の起業メンバーがFを含めた3名であったことに照らして考えると,3名間では,Gの役割分担の比重が大きかったことが優に窺われる。Cとしては,友人であるFには不動産賃貸業の経験があり,その知人として紹介されたGには,不動産販売の経験もあることから,これに実績のある被告Y1をコンサルタントとして加えることで事業がうまくいくと思っていたものとも解し得るところであって,当初から,全面的に被告Y1に委ねて事業を遂行する意思であったと解することは困難である。)。
(11)原告は,平成18年10月には,IT事業を行うことになり,一旦,被告らとの提携関係を解消したものの,同年12月ころまでは,原告事務所の一部を被告Y1の側で使用して不動産業も行っていた。この間には売上も上がっている。
2  第1事件請求について
(1)甲第14号各証には,平成17年「10月分経費預り¥500,000」から平成18年「3月分経費預り¥500,000」まで,被告Y1が自ら「経費」名目で金員を受領していたことを認める記載が明記されているのであり,原告主張の期間,被告Y1が原告から「経費」名目で月額50万円を取得していたことは明らかである。
(2)しかるに,被告Y1は,上記「経費」名目の出費が,いかなる意味で原告の業務に必要な支出であったのかを説明しない。被告Y1本人は,上記の月額50万円の金額は,実質的には,報酬の上乗せ分であったなどとも供述するが,前記業務委託契約書には,報酬と別に「経費」として月額50万円を上限とする旨の記載があるのであって,これを使途と必要性を明らかにする必要のない報酬であったと解することはできない。したがって,原告に対するコンサルティング業務を遂行するに際して,上限50万円まで認められた「経費」については,同業務を受託した者として,委託者である原告に対し,使途と必要性を明示して報告すべき義務があったことは明らかであり,同報告をしない以上,原告に対する損害賠償義務を免れない。
(3)よって,原告の第1事件請求にかかる金員中,領収証のないものはもとより,領収証のあるものについても,被告Y1には,支払義務があるものというべきである。ただし,原告は,主張を訂正したものの,請求を減縮していないが,領収証のない124万9000円,領収証があるが,原告が正当な経費と認める事務用品代を除いた168万1851円(合計293万0851円)について,原告の第1事件請求は理由がある。
3  第2事件請求について
(1)原告は,被告マーキスに債務不履行があり,被告Y1に不法行為責任があると主張するのであるが,まず,前者について検討するに,原告は,顧問料名下に被告マーキスに対して支払った金額を損害と構成し,この損害を発生させた債務不履行,その元となる債務を発生させる本件コンサルティング契約の内容について,第1に,月額180万円の顧問料に見合うだけの売上を上げる仕事完成義務のある請負契約であったと主張する。しかし,当初作成された別紙2の契約書(乙第2号証)には,Cの発展に寄与するため,Cに対し,同人の出資する不動産会社等の設立業務及びその後の運営を通じて,Cの経営全般及び企画等について,コンサルティング業務を提供すると記載されているだけであり,原告が設立された後に作成された契約書(乙第3号証)にも,原告の発展に寄与するため,原告の経営全般及び企画等について,コンサルティング業務を提供すると記載されているのみであって,契約書の文言から,原告主張の仕事完成義務がある請負契約であったと認定することはできない。
各契約書には,当月20日締当月25日払の約定とする報酬月額180万円に関し,「当月決済本数(マンション1部屋及び戸建1件の本数)2本までとする。」,「当月決済本数(マンション1部屋及び戸建1件の本数)3本以上の報酬に関しては,…(中略)…諸経費(社員等の歩合)を引いた金額の50%」を支払う旨記載されているのであって,月額180万円の報酬が当月20日までに決済が済んだ成約決済件数が2件までであることを前提とし,これを超える件数の成約決済があった場合は,成功報酬を支払うことが約されているから,当事者間で約された上記報酬が取引の成約決済による成功報酬の性質をもつこと,被告マーキスが成約に尽力することが前提となった約定であることが窺われる。そして,被告Y1が被告マーキスと原告との契約に際して,自信を示していたことは本件各証拠上明らかであるが,これらの事実だけによって,被告マーキスが一定の売上を上げることを保証したと認めることはできず,他に原告の上記主張事実を認めるに足りる的確な証拠はない。
したがって,本件コンサルティング契約が請負契約であるとの前提に立つ原告の請求は,その余の点について判断するまでもなく理由がない。
(2)第2に,原告は,(a)社員に対し,適切な営業指導をすること,(b)経験に基づくノウハウや人脈を活かし,自ら売上を上げるべく適切な営業をすること,(c)不動産を売買するシステム作りを適切に行うこと,(d)以上の業務について報告することが,被告マーキスの本件コンサルティング契約上の債務であり,その不履行(不完全履行の趣旨と解される。)があったと主張する。
しかし,(a),(b),(c)についてみるに,コンサルティングとして,何が適切か,不適切かは,経営上の裁量判断にもかかわるものであって,(a)適切な営業指導,(b)適切な営業,(c)適切なシステム作りといっただけでは,債務の本旨が明らかにならないのであり,本件コンサルティング契約上の債務として原告が主張するものは,内容が特定されていると解することができない。
原告が主張する債務の内容を原告が債務不履行として具体的に主張する事実から逆に忖度してみても,「社員に対する適切な営業指導」の不履行として具体的に指摘するのは,(a)「入社した新人に対し,1時間程度の大まかな説明をし,名簿屋で購入した名簿を見て電話をかけるよう指導した以外,具体的な営業指導をしなかった」というものであり,「適切な営業」の不履行として具体的に指摘するのは,(b)「被告Y1自身が営業をすることは殆どなかった」というものであり,「不動産売買のための適切なシステム作り」の不履行として具体的に指摘するのは,(c)「宅建免許取得,宅地建物取引主任者確保,営業保証金の供託又は保証協会への加入」をしなかったというものであり,原告は,これらでは債務の本旨履行としては不十分であり,対価に見合った仕事をしていないと主張するものと理解される。
しかし,被告らは,前記第2の5(1)のとおり一定の活動をした旨主張しており,被告Y1本人はこれに副う供述をし,同所掲記の限度で裏付証拠も存在するところであって,これらの活動が営業成果という面から見て十分な効果を上げ得なかったからといって,直ちに債務の本旨に従った履行でないと断ずることは困難である。なるほど,合法的な正規の不動産事業を営むために必要な宅建免許取得,宅建取引主任者確保等がされないまま,事業が進められたことは,客観的には合法的な収益を期待し得なかった事情と認めることができるものの,もともと原告ないしCが行うことを予定していた事業内容がどのようなものであったかすら明確でないのであり,現実に行われた事業は,名簿を入手して個人に対し電話で不動産投資を勧誘し,面談して投資の意思を示された場合には,適当な物件を後から用意しようとするもので,保有不動産もないのに,また,不動産を保有するだけの資金もないのに開始されたものであって,世上一般的な不動産販売会社としての事業とは相当に異なる内容のものにすぎず,無差別電話勧誘の手法による違法な投資勧誘事業であるとも評し得えないではない。このような形態の事業が実際に行われたことが,被告Y1だけによって企画,実行されたと解することは,余りにも不自然であり,Cらも,個人に対し電話で不動産投資を勧める仕事をすることは当然に承知した上で,本件コンサルティング契約締結に至ったことが優に窺われるというべきである(前記事実認定に関して説示したとおり,証人Cは,必ずしも被告マーキスとの本件コンサルティング契約を締結した当時の意思内容等を正確に供述しているとは解し難い。)。Cないし原告としては,不動産販売会社で実績を上げたという被告Y1を顧問に迎えて上記勧誘事業を行えば,相当の収益が上がると思っていたのに,多額の顧問料を支払ったのに収益が上がらなかったことを問題とするものと解されるが,原告主張の債務なるものが本件コンサルティング契約の内容であったと認めることは困難であり,また,被告マーキスとしての被告Y1の活動が,本件コンサルティング契約上の債務の不履行であると断ずることも困難である。
したがって,その余の点について判断するまでもなく,原告の被告マーキスに対する債務不履行に基づく損害賠償請求は理由がない。
(3)さらに,原告は,被告Y1に不法行為があるとして,被告Y1に対して支払った顧問料合計2130万円,本件弁護士費用213万円の損害賠償を求める。しかし,原告が被告Y1の不法行為として主張する具体的内容も,甚だ不明確なものであり,要するに,顧問料を引き下げたコンサルティング契約をしようと考えていたCをして,本件コンサルティング契約書(乙第3号証)の追認を強要したとか,同契約の解除をしようとしたCに契約の継続を強要したとの強要行為であるというのであるが,証人Cの証言によっても,同人としては,当時から顧問料が高過ぎると思っていたのに,被告Y1の態度に押し切られて顧問料月額180万円を認めることとなったとか,収益が上がらないのであればやめたいと思っていたのにやめられなかったというにすぎないのであり,被告Y1の行為として,不法行為を構成するというべき強要行為を特定して認定することができるだけの的確な証拠はないというほかはない。
(裁判官 松本光一郎)

 

〈以下省略〉

 

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