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判例リスト「営業代行会社 完全成果報酬|完全成功報酬」(390)平成13年 6月27日 東京地裁 平13(ワ)2912号 請求異議事件

判例リスト「営業代行会社 完全成果報酬|完全成功報酬」(390)平成13年 6月27日 東京地裁 平13(ワ)2912号 請求異議事件

裁判年月日  平成13年 6月27日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平13(ワ)2912号
事件名  請求異議事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2001WLJPCA06270005

要旨
◆前件訴訟に勝訴した者が控訴審において変更されることを知りながら仮執行宣言付判決を債務名義として過大な債権差押えをしたとする不当執行による不法行為の主張が認められなかった事例

参照条文
民法709条

裁判年月日  平成13年 6月27日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平13(ワ)2912号
事件名  請求異議事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2001WLJPCA06270005

原告 スヤマエステート株式会社
同代表者代表取締役 須山たま
同訴訟代理人弁護士 小室貴司
被告 鈴木和郎
同訴訟代理人弁護士 志澤徹

 

主  文

原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。

 

事実及び理由

第1  請求
被告は、原告に対し、242万5468円を支払え。
第2  事案の概要
原告は、被告は原・被告間の前件訴訟の第一審判決が控訴審において変更されることを知りながら、あえて第一審判決に基づいて過大差押えをしたので、それによって損害を被ったとして、被告に対し、不法行為による損害賠償を請求するものである。
1  請求原因
(1)  被告は、原告に対し、平成12年8月24日、被告を原告とし、原告を被告とする、両者間の東京地方裁判所平成10年(ワ)第20846号建物賃料改定等請求事件(以下「前訴一審」という。)の判決に基づき、請求金額金1191万9527円でもって、原告と与信取引のある株式会社富士銀行(以下「富士銀行」という。)を第三債務者として、預金等について債権差押命令を得た(東京地方裁判所平成12年(ル)第7831号債権差押命令申立事件、以下「本件差押え」という。)。
(2)  前訴一審判決に対しては、既に、前訴一審事件の被告たる本件原告が控訴しており、控訴審(東京高等裁判所平成12年(ネ)第1162号建物賃料改定等請求控訴事件、以下「前訴控訴審」という。)において、次のような一部変更判決がされた。
原判決を次のとおり変更する。
控訴人は、被控訴人に対し、313万3544円及び内金231万3870円に対する平成13年12月12日から完済まで年1割の割合による金員を支払え。
(3)  そして、控訴人たる原告は、控訴審判決に従い、支払うべきとされた金員を、平成12年1月26日、被告に対し、送金支払をした。
(4)  被告の不法行為責任
本件差押えについては、次のとおり、アの差押時点においては、差押手続をすべきではないのに差押えを申し立てた点に、また、その後のイ、ウの各時点においても、申立てを取下げすべきことが明らかになったのであるが、取下げをしない点に被告の責任がある。
ア 本件差押え当時、既に、前訴控訴審において、前訴一審判決及びそれが依拠する前訴一審鑑定が「誤りである」ことを前提に、前訴控訴審裁判所の主導による和解が進められていた。この和解案の額は、大略、前訴控訴審で判断した金額である。したがって、本件差押えの時点においては、既に、前訴一審判決が大幅に変更されることを明らかに予想し得る状況であった。
イ その後、平成12年10月30日、前訴控訴審における鑑定が提出された。その鑑定金額は、鑑定前の前訴控訴審裁判所の主導でなされた和解金額と、大略同様の金額であった。前訴控訴審裁判所も、和解が出来なければ、少なくとも上記控訴審での鑑定金額に従って判決することを明言していた。したがって、前訴控訴審鑑定が提出された時点において、本件差押えの根拠たる債務名義が変更されることは明白になったので、被告としては、この過大な差押命令の申立てを取り下げなければならない立場にあった。
ウ その後、前訴控訴審における和解は不調となった。そして、前訴控訴審裁判所において判決をするにあたって、被控訴人である被告は、過払い分の金額及び平成12年12月31日までの借地法による年1割の割合による損害金の計算と、その「表」の作成をなし、それを裁判所に提出した。前訴控訴審判決は、その表に基づいて言い渡されている。したがって、この表を裁判所に提出した時点において、被告は本件差押えの根拠たる債務名義が変更され、過大な請求の、本件差押えは維持することは出来なくなったことを知っているのであるから、直ちに、本件差押えの申立てを取り下げなければならない立場にあったのである。
エ しかし、被告は本件差押えの申立てを取り下げず、本件訴訟提起後も放置していた。
(5)  原告の損害
原告は、(4) 記載の被告の不法行為により、次のとおり、合計242万5468円の損害を被った。
ア 原告は、本件差押えに基づく不当な取立を阻止するために、強制執行停止の申立てをせざるを得なくなり(東京高等裁判所平成12年(ウ)第1557号)、保証金600万円を工面して納付し、執行停止の決定を得ることになった。さらに、本件差押えが依然として放置されているので、これを失効させるため、請求異議の訴えを提起せざるを得なくなった。原告が原告訴訟代理人に対して支払う上記強制執行停止申立事件及び請求異議事件(本件訴訟)の着手金・報酬は、原告訴訟代理人が所属する東京弁護士会の報酬規定によると、強制執行停止申立てのための着手金は22万8658円、報酬金は34万2988円、請求異議事件(本件訴訟)の訴えのための着手金は68万5976円、報酬金は137万1952円である。そこで、原告は、この報酬規定を参考として、原告訴訟代理人に対し、強制執行停止申立てのための着手金として20万円、報酬金として10万円を支払った。また、請求異議事件(本件訴訟)については、着手金として50万円を支払い、成功報酬を70万円とした。
これらの弁護士費用の出損合計150万円は、不当な本件差押えによる原告の損害となる。
イ(ア) 原告は、強制執行停止のために600万円の金員を工面して、供託し、現在に至っている。
(イ) 原告は、本件差押えを受けた結果、第三債務者である富士銀行から、銀行取引約定書に規定する特約条項により、期限の利益を失い、与信取引の解消に基づく弁済を求められ、直ちに、残債務約1500万円を弁済しなければならない状況に追い込まれた。
(ウ) また、本件差押えによって、本件差押え当時原告が富士銀行に預金していた1191万9527円は凍結されて、予定していた使用が出来なくなった。
(エ) これらの工面を強いられた、または、凍結されている金員に対しては、少なくとも、年5分の割合による損害を生じさせたものというべきである。
a まず、(ア)の600万円に対する供託日である平成12年8月30日から平成13年2月15日まで(170日)年5分の割合による13万9726円
b 次に、凍結された(ウ)の1191万9527円に対する差押日である平成12年8月25日から平成13年2月15日まで(175日)年5分の割合による28万5742円
c 本来ならば(イ)の1500万円の債務の弁済のため、調達した金員についても、何らかの損害賠償を請求し得るはずである。
d 結局、a及びbの合計額42万5468円が不当な本件差押えによる原告の損害となる。
ウ 原告は、本件差押えによって、取引銀行である富士銀行との銀行取引約定により、富士銀行から与信取引の解消を求められる苦境に陥った。この事実は、昭和58年より18年間続いた同銀行をメインバンクとする与信取引の途が塞がれたことであり、殊に、現在の金融難のおりは、原告が受けた不利益は大きい。また、原告の信用状況を示す一資料となったことなど、営業上、信用上の損害を被った。その金額は50万円に相当する。
2  請求原因に対する認否及び被告の主張
(1)  請求原因(1) から(3) までは認める。ただし、本件差押えは、富士銀行が原告に対し、債権を有しているため、奏功しなかった。
(2)  同(4) 、(5) は争う。
(被告の主張)
ア 前訴一審判決の要旨は、次のような内容であった。
(ア) 原告と被告との間で締結された別紙物件目録(省略)記載の建物部分を目的とする賃貸借契約の賃料は、平成10年4月1日以降1か月金131万0400円であることを確認する。
(イ) 被告は、原告に対し、別紙差額賃料一覧表(省略)の差額2欄記載のとおり、平成10年3月以降毎月末日限り金51万3390円及びこれに対する別紙差額賃料一覧表記載の年月日欄記載の各期日から各支払済みまで、年1割の割合による金員を支払え。
イ 原告は、前訴一審判決に対し、控訴を申し立てたが、このとき、原告は、前訴一審の仮執行宣言付判決に対して執行停止の措置を取っておかなかった。被告は、前訴一審判決に基づく強制執行を望んだが、被告訴訟代理人は、原告と被告との間では継続的な関係でもあり、また、控訴審において、裁判所から和解を勧められたので、被告に対し、和解の席についているうちは、強制執行をせずに円満に話し合いを続けようと説得し、和解の席についた。
ウ 前訴控訴審裁判所は、月額150万円の和解勧告を行なったが、前訴一審判決があるため、被告側をなかなか説得することができず、何度も和解期日を重ねるとともに前訴一審鑑定については、確かに鑑定の時期について鑑定時としており、減額の意思表示を行った時期とは異なること、減額の意思表示を行なった時期に比較して鑑定時の賃料は確かに下がっていることから、何度も裁判所の和解案を説明し、被告にその理解を求め、ようやく月額150万円ということで、被告を説得した。
原告としては、被告が裁判所の和解案を承諾するとは、考えておらず、被告訴訟代理人が裁判所の和解案を承諾するという通知を出し、過払い賃料についての清算の書面を裁判所と原告側に送付し、裁判所と原告側の意見を求め、原告側から何ら意見の回答もなかったので、和解が成立することを前提として和解に臨んだその日になって、原告は、被告に対し、月額150万円の賃料に消費税を附加しろと申し述べてきた。
裁判所としても、確かに今まで消費税の話は出ていなかったが、トータルで150万円という裁判所和解案を提示してきたはずであり、何で今更消費税の附加を申し述べてくるのかと困惑した様子であった。被告側としては、事前に過払い賃料の清算の書面を送っているにもかかわらず、その時には何ら申し述べることなく、ようやく合意に達したと考えて当日和解が成立することを前提として期日に消費税の話をされたので、被告訴訟代理人はもう一度被告本人と話し合いをしなければならず、その後原告の方では、そもそも和解をすること自体に対して消極的であることが判明したため、結局和解に至らず、通常手続に戻り、平成10年4月1日現在の賃料ということで再鑑定をすることになった。
エ このように、和解が不調に終わった以上、前訴一審の仮執行宣言付判決により履行を確保する必要が生じたので、被告は、前訴一審判決に基づき、本件差押えを行った。
オ 平成12年10月30日付けで、控訴審における不動産鑑定評価書が提出された。前訴控訴審裁判所は、この鑑定書の鑑定評価での和解を勧告した。前回消費税のことで和解ができなかった経緯に鑑み、被告訴訟代理人は、事前に消費税について裁判所に問い合わせをし、消費税抜きの金額であることを確認のうえ、被告の説得にあたり、被告は、裁判所に対し、前訴控訴審鑑定金額プラス消費税(前訴控訴審判決と同金額)で和解する旨答えた。
さらに、和解案として、被告側の方で、控訴審裁判所の和解案に沿って、今までの過払い賃料の清算及び金利として年10パーセントを各計算した清算書を起案し、和解に臨んだ。前訴控訴審判決貼付の計算書は、被告側作成の計算書である。
このように、被告としては、前訴控訴審判決どおりの和解の勧告に応じて和解案(清算金額)を作成し、裁判所に提出したが、原告側で判決がほしい旨申し述べ、和解に応じなかった。和解に応じない理由は不可解であったが、銀行に対する関係で判決が欲しいということであった。
カ 前訴控訴審判決をみると、過払い差額賃料の支払とその利息については、「それぞれの支払時期の翌日から年10パーセント」との記載ではなく、確定金額である。これは、次の理由による。
平成12年2月分から、被告側では、前訴一審判決どおりの金額を支払っていたこと。そして、この点につき、前訴控訴審裁判所から、和解にあたっては、減額した金額しか支払っておらず、年10パーセントの金利を一方的に取得するのは問題であるので、借地借家法の規定上からは明らかではないが、平成12年2月以降に支払っている金額と前訴控訴審での和解案との差額分については、年10パーセントの金利をつけるように言われており、その点は和解の席で納得していたので、前訴控訴審判決にあたっても、被告側の過少支払い分について10パーセント金利をつけて、確定金額とするようにしたこと。そのためには、被告側としては、判決が下される前の平成12年12月分から、判決で下されるはずの金額を予定し、すでに支払うことにしていたこと。このような操作をした結果、確定金額の支払の債務名義になったのである。
そして、金額的には、前訴控訴審判決で確定した金額(被告側で作成した、判決貼付の計算書)で異議が無い旨調書に記載し、弁論を終結したために、判決記載の金額が確定金額の支払ということになった。
キ 以上の次第であるから、強制執行関係についても、被告訴訟代理人は、原告訴訟代理人に対し、和解にあたっては、強制執行停止の担保取消しにも同意する旨述べていた。さらに、和解が不調に終わり、判決を受けることになった平成12年12月11日の口頭弁論終結後において、その帰り際に、判決が出たら、指定の口座に支払う旨の原告訴訟代理人からの発言があったので、そうであれは、仮に判決となっても同意による担保の取消しでかまいませんと申し述べている。
ク その後、原告訴訟代理人から被告訴訟代理人に対し、ファックスで振込口座の問い合わせがあったので、被告訴訟代理人の管理口座を案内したところ、その口座に前訴控訴審判決で判断された金額の振込みがあった。その直後、前訴控訴審裁判所の書記官から、被告訴訟代理人に対して、強制執行停止の担保取消しについての権利催告の通知を出すことについての問い合わせがあったので、被告訴訟代理人は、書記官に対し、同意の書面をお送りいただければ担保取消しに同意すると何度も原告訴訟代理人に申し述べているので、同意で行なうことは一向に構わない旨述べたところ、その点について、再度書記官が、原告側に確認をし、原告側は、権利催告で行ないたい意向であることを被告訴訟代理人に告げてきた。そこで、被告訴訟代理人は、被告に対し、裁判所から通知が来るが、それに応える必要はない旨連絡しておいた。
ケ 以上が、本件のあらましである。被告としては、担保取消しについても、強制執行(本件差押え)の申立ての取下げについても、その旨の話し合いがあれば、その話し合いの席で当然同意していたものである。その証左として、前訴控訴審判決どおりの金額を、前訴控訴審の口頭弁論終結時(平成12年12月11日)の前の、平成12年11月支払分(前家賃)から支払っている。そして、そのことを口頭弁論の終結時に原告側で確認したからこそ、前訴控訴審口頭弁論調書にその旨を記載し、確定金額での判決となったのである。
コ 原告は、被告が行なった強制執行(本件差押え)は違法であると主張するが、そもそも、原告に何らの債務が認められないのであれば格別、前訴控訴審判決においても、被告が原告に対して債務名義を有していたことは明確な事実である。被告側でも和解による解決を求めていたところ、和解が不調になったから強制執行をしたに過ぎず、この強制執行が違法であるというのが不可解である。原告は被告に対して債務を有していたからこそ、その債務を任意に弁済したものである。原告は、自ら和解に応じず、判決を求めたが、そのようなかたくなな態度であるにもかかわらず、原告が任意の支払に応じたのは、被告が強制執行(本件差押え)を被告が行なったからである。仮に被告が強制執行手続をとらず、原告が執行停止手続をとって執行停止のための担保の提供をしていなければ、このように迅速に被告の権利が実現されなかったはずである。
したがって、被告の強制執行(本件差押え)手続は何ら違法性を有せず、逆に、本訴において被告の行為を不法行為として損害賠償を請求すること自体違法であるといわざるを得ない。
強制執行(本件差押え)については、原告は被告の同意に基づく担保取消しを承諾していたのであるから、その手続上、当然に強制執行申立て取下げの書類も裁判所に提出していたはずである。それを原告の方から拒否して、原告があえて裁判手続を取ること自体不可解といわざるを得ない。なお、被告は、争点を不法行為に絞る意味において、平成13年4月19日付けで強制執行申立ての取下げをした。
第3  判断
1  請求原因(1) から(3) までの事実は当事者間に争いがない。
2  1の争いのない事実、甲1号証から3号証まで、4号証の1、2、5号証から7号証まで、乙1、2号証及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。
ア  前訴一審判決は、平成12年1月21日に言い渡されたが、前訴一審判決には仮執行宣言が付されていた。
イ  原告は、前訴一審判決に対して控訴するにあたり、強制執行停止の申立てをしなかった。
ウ  前訴控訴審において和解が勧告され、何度か和解交渉が行われたが、和解が成立しないため、再度鑑定が実施されることになった(前訴一審でも鑑定が実施されており、前訴一審判決は、前訴一審鑑定に基づくものであった。)。
エ  被告は、前訴控訴審で和解が成立せず、再度鑑定が実施されることになったため、平成12年8月、前訴一審判決に基づいて本件差押えの申立てをし、同月24日、本件差押えを命ずる差押命令が発せられ、翌25日、この差押命令は第三債務者である富士銀行に送達された。
オ  富士銀行は、本件差押えに対し、差押えの対象となった預金につき、「被差押留保口」に留保するという対応をした。
カ  そこで、原告は、強制執行の停止を申し立て、同月30日、停止決定を得た。
キ  同年10月30日、前訴控訴審鑑定書が提出され、この鑑定書に従った和解をする方向で和解交渉が行われたが、原告は判決を求め、平成13年1月24日、前訴控訴審鑑定書に基づく前訴控訴審判決が言い渡された。
ク  原告は、同月26日、被告に対し、前訴控訴審判決で認められた金員を全額支払った。
ケ  被告訴訟代理人は、原告が前訴控訴審判決に従った支払をするのであれば、前記強制執行停止手続において原告が供託した600万円の担保取消しについては、これに同意する旨原告訴訟代理人に話していたが、原告訴訟代理人は、権利行使の催告をする方法による担保取消しを選択した。
コ  そして、原告は、同年2月16日、本件訴訟を提起し、弁済を理由として本件差押えの排除を求める(請求異議)とともに、被告に対し、本件差押えが違法であることを理由とする損害賠償を求めた。
サ  被告は、同年4月19日、本件差押えの申立てを取り下げ、原告も本件訴訟のうち、請求異議の訴えを取り下げた。
3  2の事実によれば、被告の本件差押えの申立ては、法律で認められた当然の権利行使をしたにすぎず、何ら違法性を認めることはできない。前訴一審の仮執行宣言付き判決が債務名義として成立している以上、前訴控訴審の訴訟の経過や和解の際の前訴控訴審裁判所の意見によって被告が前訴一審判決を債務名義として強制執行の申立てをする権利が妨げられることはない。具体的な権利行使の状況から考えても、本件差押えは、前訴控訴審での和解の成立が困難になったために、履行確保の必要があるとして申し立てられたもので、被告の権利行使として正当なものであったというべきである。また、前訴控訴審鑑定によって、債務名義が変更になる可能性が生じたとしても、判決も出ていない時点で被告に本件差押えの申立ての一部(変更になる可能性のある部分)を取り下げる義務が生じたと解することもできない。原告が前訴一審判決による強制執行を免れたいと考えたのであれば、早期に強制執行停止の申立てをすべきであったというほかない。
さらに、一般に、弁済を受けたからといって、当然に強制執行申立ての取下げ義務が発生すると解することはできないし、2の事実によれば、原告が弁済後に被告に本件差押えの申立ての取下げを求めれば、被告もこれに応じたものと考えられるのに、原告は、そのような交渉をすることなく請求異議の訴えによって本件差押えの排除を図ろうとしたのであるから、被告が平成13年4月19日まで本件差押えの申立てを取り下げなかったことをもって違法と評価することもできない。
したがって、原告が主張する被告の違法行為はいずれもこれを認めることができないから、原告の本件請求は、その余の点について判断するまでもなく理由がない。
4  よって、本件請求を棄却することとし、主文のとおり判決する。
(裁判官 福田剛久)

 

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