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「営業代行」に関する裁判例(19)平成26年12月 2日 東京地裁 平23(ワ)15546号 損害賠償請求事件

「営業代行」に関する裁判例(19)平成26年12月 2日 東京地裁 平23(ワ)15546号 損害賠償請求事件

要旨
◆原告らが、購入した海外リゾート施設の利用権について、その販売方法が詐欺的で、広告が虚偽である等により違法であるとして、当該利用権を販売した2社の代表取締役、取締役、監査役のいずれかの地位にあった被告らに対し、連帯での損害賠償を求めた事案において、被告らには、原告ら主張に係る、民法709条、同法719条1項、同条2項、会社法429条1項の各責任がいずれも認められないとして、原告らの請求を棄却した事例

参照条文
民法709条
民法719条1項
民法719条2項
会社法429条1項

裁判年月日  平成26年12月 2日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平23(ワ)15546号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2014WLJPCA12028013

当事者の表示は別紙当事者目録記載のとおり

 

 

主文

1  原告らの請求をいずれも棄却する。
2  訴訟費用は原告らの負担とする。

 

事実及び理由

第1  請求
1  被告Y1,同Y2,同Y3,同Y4,同Y5,同Y6,同Y7は,原告X2に対し,連帯して,924万円及びこれに対する同Y1及び同Y2については平成23年9月18日から,同Y3については同年7月6日から,同Y4については同年9月30日から,同Y5については同年6月3日から,同Y6については同年12月24日から,同Y7については同年5月22日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2  被告Y1,同Y2,同Y3,同Y4,同Y5,同Y6,同Y7は,原告X1に対し,連帯して,577万5000円及びこれに対する同Y1及び同Y2については平成23年9月18日から,同Y3については同年7月6日から,同Y4については同年9月30日から,同Y5については同年6月3日から,同Y6については同年12月24日から,同Y7については同年5月22日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3  被告Y1,同Y8,同Y2,同Y7は,原告X2に対し,連帯して,429万円及びこれに対する同Y1及び同Y2については平成23年9月18日から,同Y8及び同Y7については平成23年5月22日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
本件は,原告らが,購入した海外リゾート施設の利用権について,その販売方法が詐欺的で,広告が虚偽である等により違法であるとして,上記利用権を販売した2社の代表取締役,取締役,監査役のいずれかの地位にあった被告ら(内訳は後記かっこ内の①②記載のとおり)に対し,ⅰ)被告Y1,同Y2については,民法709条,同法719条1項,2項,会社法429条1項に基づき,ⅱ)被告Y5,同Y6については,民法719条1項,会社法429条1項に基づき,ⅲ)被告Y3,同Y4については,民法719条2項,会社法429条1項に基づき,ⅳ)被告Y7については民法719条2項,会社法429条1項に基づき,ⅴ)被告Y8については民法709条,同法719条1項,2項,会社法429条1項に基づき,連帯して,損害賠償金(①被告Y1,同Y2,同Y3,同Y4,同Y5,同Y6,同Y7に対し,1)原告X2につき,購入利用権相当額840万円及び弁護士費用84万円の合計924万円,2)原告X1につき購入利用権相当額525万円及び弁護士費用52万5000円の合計577万5000円,②被告Y1,同Y8,同Y2,同Y7に対し,原告X2につき購入利用権相当額390万円及び弁護士費用39万円の合計429万円)及びこれに対する各被告に対する訴状送達の日の翌日から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
第3  前提となる事実(次の事実は,当事者間に争いがないか,各事実の末尾に記載の証拠若しくは弁論の全趣旨により認めることができる。)
1  当事者等
(1)  被告Y1は,平成21年当時,リタイヤメントリゾートデベロップメント株式会社(以下「RRD社」という。)及び株式会社ヘリテージ(以下「ヘリテージ社」という。)の各代表取締役の地位にあった。(争いがない)
(2)  被告Y2は,平成21年当時,RRD社の代表取締役の地位にあり,ヘリテージ社の取締役の地位にあった。(争いがない)
(3)  被告Y3,被告Y4,被告Y5,被告Y6は,平成21年当時,いずれもRRD社の取締役の地位にあった。(争いがない)
(4)  被告Y8は,平成21年当時,ヘリテージ社の代表取締役の地位にあった。(争いがない)
(5)  被告Y7は,平成21年当時,RRD社及びヘリテージ社の各監査役の地位にあった。RRD社及びヘリテージ社の監査役の監査の範囲は,いずれも会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律53条により,会計に関するものに限定される。(争いがない)
(6)  RRD社は,平成15年3月6日に設立され,平成20年6月10日,現在の商号に商号変更したが,変更前の商号はビオス株式会社(以下「ビオス社」という。)であった。(概ね争いがなく,詳細は甲2,16)
(7)  ヘリテージ社は,平成9年10月23日に設立され,平成21年3月25日,現在の商号に変更したが,変更前の商号は株式会社クラフトワークス(以下「クラフトワークス社」という。)であった。(概ね争いがなく,詳細は甲4,14)
2  RRD社,ヘリテージ社の販売委託
(1)  RRD社は,平成20年10月31日,株式会社A&G(以下「A&G社」という。)に対し,自社の海外リゾート施設利用権「bリゾートタイムシェア利用権」(以下「本件利用権1」という。)の販売を委託した(以下「本件販売委託契約1」という。)。(概ね争いがなく,詳細は甲3)
(2)  ヘリテージ社は,平成21年6月1日,A&G社に対し,自社の海外リゾート施設利用権「cリゾート」リビングステイ利用権(以下「本件利用権2」という。)の販売を委託した(以下「本件販売委託契約2」という。)。(概ね争いがなく,詳細は甲5)
3  原告らの本件利用権1,本件利用権2の購入
(1)  原告X2は,A&G社の勧誘を受けて,RRD社から,本件利用権1を合計8口購入し,平成21年6月1日に105万円(1口分),同月8日に315万円,同月9日に105万円(以上4口分),同月24日に105万円,同月26日に105万円(以上2口分),同年7月29日に105万円(1口分)の合計840万円を支払った(以下「本件取引1の1」という。)。(原告らと被告Y1,同Y2,同Y7との間で争いがなく,原告らと被告Y3,同Y4,同Y5,同Y6,同Y8との間では甲8の1ないし8)
(2)  原告X1は,A&G社の勧誘を受けて,RRD社から,本件利用権1を合計5口購入し,平成21年6月16日に210万円(2口分),同月19日に315万円(3口分)の合計525万円を支払った(以下「本件取引1の2」といい,本件取引1の1と併せて「本件取引1」という。)。(原告らと被告Y1,同Y2,同Y7との間で争いがなく,原告らと被告Y3,同Y4,同Y5,同Y6,同Y8との間では甲9の1ないし5,17,18)
(3)  原告X2は,A&G社の勧誘を受けて,ヘリテージ社から,本件利用権2を2口購入し,平成21年7月3日に195万円(1口分),同年8月28日に49万円,同月31日に146万円(併せて1口分),合計390万円を支払った(以下「本件取引2」という。)。(原告X2と被告Y1,同Y2,同Y8,同Y7との間では争いがなく,その余の者の間では甲10の1・2,20ないし23)
4  A&G社に関連する逮捕等
(1)  A&G社は,平成21年3月6日までに,未公開株の販売を巡り,脱税容疑で,東京国税局から告発された。(甲45の1)
(2)  株式会社イー・マーケティング(以下「イー・マーケティング社」という。)の社長ら6名は,平成21年6月10日,未公開株の販売に関し,詐欺容疑で逮捕された。(甲45の2ないし5)
(3)  A&G社の代表取締役C(以下「C」という。)は,平成21年7月22日,イー・マーケティング社の社長らによる未公開株式の販売業務に関し,詐欺の容疑で逮捕された。(甲7)
5  クーリングオフ等
原告らは,RRD社及びヘリテージ社を被告として,本件取引1につき特定商取引に関する法律(平成20年5月2日号外法律第29号による改正前のもの)に基づくクーリングオフ,本件取引2につき公序良俗違反による無効を主張して,代金相当額の返還を求めて訴訟を提起し,平成22年11月30日,原告らの主張をすべて認める旨の判決が言い渡された(東京地方裁判所平成21年(ワ)第46968号購入代金返還請求事件)。(甲58)
第4  争点及び争点に関する当事者の主張
1  本件取引1についての被告Y1及び同Y2の責任(民法709条,719条1項,2項,会社法429条1項)の有無(争点1)
【原告らの主張】
(1) A&G社の不法行為
ア 販売態様
A&G社は,原告X2に対し,①後記ウのとおり虚偽内容の本件利用権1のパンフレット(甲1。以下「本件パンフレット1」という。)を送付し,RRD社の資産状況につき虚偽の事実を告げ,②後記イのとおり本件利用権1は商品価値がないのに,高額で転売できると虚偽の事実を告げ,RRD社の資力と本件利用権1の転売可能性を誤信した原告らは,本件利用権1を購入した。原告X2に,RRD社の資力と転売可能性を告げた人物は,会員権ブローカーを名乗っていたが,原告X2は,当時,同種の劇場型詐欺被害に遭っており,高額転売の可能性がないのに,次々と仲介の電話が相次いだので,カモリストが作成されていると考えられ,無関係な第三者によるものとはいえない。虚偽の本件パンフレット1の記載やA&G社によるRRD社の資産状況の説明は,説明義務違反による取引的不法行為であり,高額で転売できると誤信させて本件利用権1を購入させることは詐欺的不法行為である。
イ 本件利用権1の商品価値
本件利用権1は,1年あたり約10万円のホテルの宿泊料を10年分前払いするもので,登録料・セッティングフィー各1万円を別途負担する必要があり,利用できるホテルの宿泊価格は1万円を下回り,使用しなくてもポイントが低減していくものであった。また,RRD社は,売上の4割をA&G社に手数料として支払い,残りの6割を被告Y1に貸し付け,旅行業の営業のために留保しなかったから,実際に,旅行の手配やホテル利用を前提としていなかった。したがって,本件利用権1は,商品価値がなく,転売できる客観的見込みもなかった。
ウ 虚偽広告
A&G社は,原告X2に対し,RRD社が,多数の不動産を所有する,今後は不動産をどんどん取得していく優良企業であると説明し,本件パンフレット1には,「高級リゾート施設を複数で共有」,「リゾート施設はさらに増えます」,「自社リゾートの△△も含めて,これからもリゾートは増えていきます。」と記載され,RRD社は,平成20年12月当時,タイのカンチャナブリの3636坪の土地を購入済みで,平成21年4月に第一期工事着工,平成22年秋には同所のリゾート施設の利用可能と広告していたが,RRD社は,当時カンチャナブリの土地を購入しておらず,工事施工の見積書や設計図面等もなく,上記記載は虚偽であった。
(2) 被告Y1,同Y2の責任
ア 被告Y1,同Y2は,RRD社の代表取締役として,高齢者である原告らに対し,実体のないリゾート施設利用権について,すぐに使える,将来値上がりするなどと述べて,A&G社の従業員にRRD社の従業員と称させて販売させたので,企画実行担当者として民法709条の責任を負う。
イ 被告Y1及び同Y2の共同不法行為の内容は,別紙の平成26年9月3日付け原告準備書面17の第1章の第4の1(1)及び同2(1)記載のとおりであり,被告Y1及び同Y2は,A&G社と共同して,あるいは未必の故意により幇助したので,民法719条1項,2項の共同不法行為責任を負う。
ウ 被告Y1及び同Y2の会社法429条1項の責任を負う根拠は,別紙の平成26年9月3日付け原告準備書面17の第1章の第3,同第4の1(2)及び同2(2)記載のとおりであり,被告Y1及び同Y2は,A&G社が欺罔行為又は不実の説明をして,違法な販売をしていることを容易に認識できたにもかかわらず,RRD社の代表取締役として,何らなすことなく,A&G社の販売手法について確認・指導をしないまま,漫然とその違法行為を放置したので,監視義務違反の任務懈怠があり,悪意又は重過失があるので,会社法429条1項の責任を負う。
【被告Y1,同Y2の主張】
(1) A&G社の不法行為について
ア A&G社の販売態様は不知。
イ 本件利用権1は,確実に高額で販売できるものではないことは認めるが,経済的価値がなかったことは否認する。当時は,タイの混乱は予想されておらず,リゾート施設利用料の値上がりも見込まれ,定額で10年間の利用権を確保するメリットはあったし,RRD社は現地に旅行代理店があったので,現地における送迎その他のサービスも提供し,高齢者が安心してロングステイできるメリットもあった。
本件利用権1は,1口1500ポイントの権利があり,年間300ポイントの使用が可能である。RRD社の実質的子会社であるタイ現地法AAAトラベル(正式名称はカリテプリ・インターナショナル。以下「AAAトラベル社」という。)が本件パンフレット1記載のリゾート施設とシーズンごとの価格契約を締結しており,本件利用権1の購入者は,AAAトラベル社を通じて1泊あたり10ないし15ポイントで施設利用できるので,本件利用権1は,契約どおりの利用が可能な実体のある商品である。
ウ RRD社は,本件パンフレット1を作成した平成20年8月時点において,カンチャナブリの建設予定地の土地を既に確保していた。タイの法律では,外国人,外国法人(BOIの許可を得た場合は除く)は土地を所有できないので,RRD社の役員Dの所有名義とし,RRD社は同地にリゾート施設を建設する予定で,RRD社の100パーセント子会社である現地法人ジャパン・ウエルネス・ホーム株式会社(以下「ウェルネスホーム」という。)が,BOIの許可取得後,Dから所有権を移転することを合意済みであった。よって,本件パンフレット1の記載に虚偽はなく,ただ,その後,諸般の事情から,RRD社は,開発予定地をカンチャナブリからアユタヤに変更し,アユタヤにおいて開発に着手した。
原告らは,RRD社が不動産をどんどん取得していく会社である旨のパンフレットを作成し,これを使用して勧誘することを許容したことを問題とするが,本件パンフレット1には,△△についての言及はあるが,「不動産をどんどん取得していく」といった記載はない。
(2) 被告Y1,同Y2の責任について
ア 仮に,本件取引1に際し,不動産をどんどん取得していく会社であると欺罔したとしても,A&G社の従業員が行ったものであり,そもそもRRD社の不法行為とはならないし,前記のとおり,本件パンフレット1には不実の記載はない。
イ RRD社が本件利用権1の販売を委託した平成20年10月31日時点において,A&G社は,新興企業ながら急成長を続け,資本金9000万円,従業員数150人に達し,同年末の年商は30億円,取引先も大手通信関連企業や大手リース会社をはじめとする約100社とされ,新聞にも取り上げられ,違法行為を行う会社とは判断されていなかったので,委託自体が違法となることはない。
ウ A&G社は,RRD社に対して定期的に販売結果の報告をしていたが,本件利用権1は,勤務先を定年退職した世代に適した海外の保養地の開発を目的とし,その一環として海外リゾートでのロングステイ体験を提供するものであるから,高齢者が本件利用権1を購入することは何ら不自然ではないし,1口の年間利用ポイントが限られていることから,長期滞在を予定する購入者は複数口購入することも珍しくないので,原告らの年齢や購入口数から,A&G社の販売方法に特段疑問を生じるものではない。よって,被告Y1,同Y2が,A&G社に販売を継続させたことに過失はない。
エ クーリングオフは,販売方法が訪問販売や電話勧誘販売であれば付きものであるし,販売金額からすればクーリングオフはごく一部であることから,クーリングオフがあることのみをもって,A&G社の販売方法が詐欺的であると認識することはできない。
オ 平成21年3月6日の報道は,A&G社の脱税報道で,A&G社のような販売業者が,カモリストや劇場型の手法を用いているらしいという推測記事にすぎず,A&G社が実際に違法な販売方法を行っているという事実の報道ではないので,同報道のみを根拠に,A&G社の販売方法が,転売で利益を得られるという勧誘方法であったと認識できるということはできない。一般的に未公開株は上場されれば転売で利益を得ることができるが,本件利用権1は,毎年ポイントが償却されて価値が目減りし,その旨がパンフレットや契約書にも記載されているので,販売により利益が得られると考えにくく,未公開株と同様の販売方法がとられていると直ちに推測できない。
仮に,被告Y2らが,A&G社の販売方法に疑問を覚えたとしても,RRD社とA&G社は,業務委託契約を締結しており,一方的に契約を解消すれば,損害賠償請求を受けるおそれもあり,解消を正当化できる事実を把握しないで,疑問を覚えただけで契約解消することはできない。
上記の時点で朝日新聞以外に,脱税のみならず未公開株式まで言及した報道はなく,被告Y2は,朝日新聞以外の報道に接して脱税の問題と認識したが,A&G社に出かけて説明を受け,通常の活動状況に納得し,問題はないと判断し,被告Y1に報告し,被告Y1は,同Y2の報告を信頼したが,他の取締役の報告内容について特段疑義を認めるものではない以上,これを信頼することは許されるべきであり,独自調査義務はない。
2  本件取引1についての被告Y3,同Y4,同Y5,同Y6の責任(民法719条1項又は2項,会社法429条1項)の有無(争点2)
【原告らの主張】
(1) 被告Y5,同Y6は,同Y1,同Y2の企てを認識しつつ,その分け前にあずかるべくRRD社の取締役となり,企画立案や販売計画策定等を担当したものであるから,民法719条1項の共同不法行為責任を負う。
被告Y3,同Y4は,RRD社の経営権が被告Y1に掌握される前からの取締役であったが,被告Y1らの計画を聞き,その分け前にあずかるべくRRD社の取締役として残り,RRD社の詐欺的手口を容易ならしめたので,民法719条2項の共同不法行為責任を負う。
(2) 被告Y3,同Y4,同Y5,同Y6の会社法429条1項の責任を負う根拠は,別紙の平成26年9月3日付け原告準備書面17の第1章の第4の3,同4記載のとおりであり,RRD社の取締役として,取締役として何らなすことなく,漫然とA&G社の違法行為を放置したので,監視義務違反の任務懈怠があり,その任務懈怠に悪意重過失があるので,会社法429条1項の責任を負う。
被告Y3,同Y4,同Y6は,名目的取締役にすぎなかったと主張するが,名目的に就任した取締役についても会社の業務執行を監督するために会社の業務執行を知るべきであって,これを知らないことは違法又は不当な業務執行の監督についての取締役の注意義務を免れるものではない。
【被告Y3,同Y4,同Y5,同Y6の主張】
(1) ビオス社は,サプリメントの通信販売等を業とする会社で,被告Y3,同Y4はその取締役であったが,被告Y1は,ビオス社の経営権を取得して商号変更等して本件利用権1の販売を開始した。被告Y3,同Y4は,被告Y1の経営権取得後は,会社経営に関与しない名目的取締役であり,RRD社の本件利用権1の販売の事実は知っているが,その具体的状況は不知。
被告Y5は,RRD社の取締役であるが,その実質はコンサルタント的なもので,本件利用権1の企画立案にはある程度関与していたが,販売実績やRRD社の経営状況についての詳細な報告は受けていない。
被告Y6は,RRD社の取締役であるが,会社経営に関与しない名目的取締役であり,RRD社の本件利用権1の販売の事実は知っているが,その具体的状況は不知。
(2) 被告Y1が中心となって,被告Y2と共にRRD社の経営を行い,他の取締役はRRD社の経営に一切関与せず,被告Y1は,他の取締役に対して何らの報告もしないので,他の取締役は,RRD社の経営状況につき情報を得ることができず,仮に,被告Y1に対し,積極的に経営状況の報告を求めても,被告Y1は,経営状況の情報を与える意思はなく,他の取締役は経営状況を知るすべはなく,監視義務の履行は不可能であったから,監視義務違背はない。
3  本件取引1についての被告Y7の責任(民法719条2項,会社法429条1項)の有無(争点3)
【原告らの主張】
(1) 被告Y7は,ビオス社の監査役であったが,同社の取締役であった被告Y3,同Y4と同様,被告Y1の儲け話に乗って分け前にあずかることとしてRRD社の監査役に残り,被告Y1らの不法行為を容易にならしめたので,民法719条2項の共同不法行為責任を負う。
(2) 被告Y7の会社法429条1項の責任を負う根拠は,別紙の平成26年9月3日付け原告準備書面17の第1章の第4の5記載のとおりであり,被告Y7は,任務懈怠があり悪意重過失があるので,会社法429条1項の責任を負う。
【被告Y7の主張】
共同不法行為は否認ないし争う。被告Y7のRRD社の監査役としての権限は会計監査に限定されるところ,原告らの主張は,RRD社の会計に関するものではなく,業務の違法不当に関するものである。原告らは,会計監査とは,財務諸表が会社の財政状態及び経営成績を適正に表示しているかをチェックするものであると主張するが,原告らは,「適正に表示」という部分に業務内容の監査まで求めており,会計監査と業務監査を混同している。
原告らは,数値の異常性として,売上高や販売手数料の多寡を問題とし,被告Y7がパンフレットのチェックや販売内容についても把握する必要がある,クーリングオフ返金分の返金妥当性を検討すべきと主張するが,会計監査は,真実売上があったか,販売手数料の支払があったかを監査するものであって,その売上を生じる販売方法の適否や販売手数料の金額の相当性まで監査するものではなく,これらの事項は業務監査の対象である。原告らは,被告Y7に監査役として損害賠償責任があると主張するのであれば,被告Y7に重過失が存したと一応でも推定される具体的事実,会計監査の不当性等を一応でも推測させるものを主張立証すべきである。
4  本件取引2についての被告Y1,同Y8,同Y2の責任(民法709条,719条1項,2項,会社法429条1項)の有無(争点4)
【原告X2の主張】
(1) A&G社の不法行為
ア 販売態様
A&G社は,原告X2に対し,①後記ウのとおり虚偽内容の本件利用権2の購入を勧誘するパンフレット(甲11。以下「本件パンフレット2」という。)を送付し,本件利用権1と同様,ヘリテージ社の資産状況につき虚偽の事実を告げ,②後記2のとおり本件利用権2は商品価値がないのに,高額で転売できると虚偽の事実を告げ,その旨誤信した原告X2は,本件利用権2を購入した。原告X2に,ヘリテージ社の資力と転売可能性を告げた人物は,会員権ブローカーを名乗っていたが,前記1【原告らの主張】(1)ア記載のとおり,無関係な第三者によるものとはいえない。虚偽の本件パンフレット2の記載やA&G社によるヘリテージ社の資産状況の説明は,説明義務違反による取引的不法行為であり,高額で転売できると誤信させて本件利用権2を購入させることは詐欺的不法行為である。
イ 本件利用権2の商品価値
本件利用権2は,本件利用権1の売上の課税回避のため便宜上用いられたものであり,本件利用権1の違法な販売行為によるものであるから,商品価値はない。本件利用権2の売上は,被告Y1への貸付等として支出し,利用権行使は不可能なので,その意味でも商品価値はない。また,30年間のホテル代約300万円を前払いするもので,経済的価値はなく,転売できる客観的見込みもなかった。
ウ 虚偽広告
A&G社従業員は,原告X2に対し,ヘリテージ社が,多数の不動産を所有する,今度も不動産をどんどん取得していく会社であると説明し,本件パンフレット2には,「オーナーシップ制度」,「自分で利用しない場合一般貸出により還元あり」と記載されているが,ヘリテージ社は,何ら不動産を取得しておらず,上記記載は虚偽であった。
(2) 被告Y1,同Y8,同Y2の責任
ア 被告Y8は,ヘリテージ社の経営権が被告Y1に掌握される前からの同社の代表取締役であったが,被告Y1からRRD社での儲け話の実情を聞いて,この分け前にあずかることとして,平成21年3月,商号変更のうえ,A&G社に販売委託をして詐欺的投資勧誘を行ったので,民法709条の不法行為責任を負う。
イ 被告Y1,同Y8,同Y2の共同不法行為の内容は,別紙の平成26年9月3日付け原告準備書面17の第2章の第4の1(1),同2(1),同4(2)記載のとおりであり,被告Y1及び同Y2は,A&G社の不法行為について,共謀ないし幇助した者として,民法719条1項,2項の共同不法行為責任を負い,被告Y8は,被告Y1に対し,クラフトワークス社の債務が被告Y1に譲渡されることで解消するという利益を得るべく,クラフトワークス社の株式を被告Y1に譲渡し,自らはヘリテージ社の代表取締役に残ったので,ヘリテージ社の原告X2に対する不法行為について共同不法行為責任を負う。
ウ 被告Y1,同Y8,同Y2の会社法429条1項の責任を負う根拠は,別紙の平成26年9月3日付け原告準備書面17の第2章の第3,同第4の1(2),同2(2),同4(1)記載のとおりであり,被告Y1,同Y8,同Y2は,A&G社が,不実の説明による違法な販売をしていることを容易に認識できたにもかかわらず,ヘリテージ社の代表取締役又は取締役として,何らなすことなく,A&G社の販売手法について確認・指導をしないまま,漫然とその違法行為を放置したので,監視義務違反の任務懈怠があり,悪意又は重過失があるので,会社法429条1項の責任を負う。
【被告Y1,同Y2の主張】
(1) A&G社の不法行為について
ア A&G社の販売態様は不知。
イ 本件利用権2が確実に高額で転売できるものではないことは認めるが,経済的価値がなかったことは否認する。本件利用権2は,特定の施設を30年にわたって年間14日使用できる権利であり,本件利用権2の対象物件は,ヘリテージ社が使用権(タイでは,外資系企業は土地所有が認められていないので所有権はなかった。)を有するアユタヤ,バンコク,ホアヒンの3物件で,本件利用権2の購入者は,約定どおりの使用が可能だった。
本件利用権1と本件利用権2は,商品としての施設・利用内容等が異なる別の商品であり,別の種類の商品を1つの会社で販売するか,別会社で販売するかは,営業政策上の判断である。本件利用権1と本件利用権2は,RRD社とヘリテージ社が共同開発したリゾート施設をそれぞれ異なる方法で提供するものであるが,投資効率を考慮して共同投資としたものである。
ウ 本件パンフレット2には,対象となる3物件についての言及はあるが,それ以外に「不動産をどんどん取得していく」といった記載はない。「オーナーシップ制度」は,特定の施設を30年にわたり年間14日使用できることを表現したにすぎない。
(2) 被告Y1,同Y2の責任
A&G社は,ヘリテージ社に対して定期的に販売結果の報告をしていたが,本件利用権2は,勤務先を定年退職した世代に適した海外の保養地の開発を目的の一環として海外リゾートでのロングステイ体験を提供するもので,高齢者の購入は何ら不自然ではないし,原告X2の年齢や購入口数が2口であることは,A&G社の販売方法に特段疑問を生じるものではない。ヘリテージ社は,平成21年6月にA&G社に販売代行を依頼し,A&G社は,同年9月末をもって営業を停止しているので,販売代行の委託期間は4か月程度にすぎない。
【被告Y8の主張】
被告Y8は,被告Y1との間で,ヘリテージ社の株式譲渡の際,クラフトワークス社の債権者との関係上,在任期間1年の限定で登記上は代表取締役として残り,経営に関与しない旨を合意し,ヘリテージ社の経営には一切関与していない。仮に,被告Y8が,被告Y1に,会社の経営状況の報告を求めても,被告Y1が応じることはなく,監視義務の履行は不可能であった。
被告Y8は,ヘリテージ社は既にあるリゾート施設を管理するための会社であると理解し,実際に対象施設も見学していたので,ヘリテージ社が販売活動で問題を生じるおそれのある会社という認識はなく,1年限りであれば,被告Y1に全面的に会社経営を委ねても問題ないと判断した。
したがって,被告Y8は,ヘリテージ社の経営に関与していないので,不法行為責任,共同不法行為責任を負わないし,会社法429条1項の責任についても,上記の被告Y8の認識からすれば,上記の被告Y8の判断に取締役としての重大な過失があったとまではいえない。
5  本件取引2についての被告Y7の責任(民法719条2項,会社法429条1項)の有無(争点5)
【原告X2の主張】
(1) 被告Y7は,被告Y1が,被告Y8と共謀して,ヘリテージ社名義で,RRD社と同様の事業を展開するについて,協力してその分け前にあずかることとして,平成21年3月,ヘリテージ社の監査役に就任したので,被告Y1らの不法行為を容易ならしめた者として,民法719条2項の共同不法行為責任を負う。
(2) 被告Y7の会社法429条1項の責任を負う根拠は,別紙の平成26年9月3日付け原告準備書面17の第2章の第4の3記載のとおりであり,被告Y7は,任務懈怠があり悪意重過失があるので,会社法429条1項の責任を負う。
【被告Y7の主張】
共同不法行為は否認ないし争う。被告Y7のヘリテージ社の監査役としての権限は会計監査に限定されるところ,原告らの主張は,ヘリテージ社の会計に関するものではなく,業務の違法不当に関するものである。その他の主張については,前記3【被告Y7の主張】で述べたところと同じである。
第5  当裁判所の判断
1  証拠(各事実の末尾に記載),前記第3の前提となる事実及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。
(1)  RRD社,ヘリテージ社の役員等
ア 被告Y1は,本件利用権1の販売のため,健康食品の販売等をしていたビオス社の経営権を取得し,平成20年6月10日,RRD社に商号変更して代表取締役に就任し,被告Y5及び同Y6は,同日,取締役にそれぞれ就任し,被告Y2は,同年8月15日,代表取締役に就任した。被告Y3,同Y4,同Y7は,ビオス社の取締役ないし監査役であったが,その登記はそのまま残された。(甲2,16,乙39,43,被告Y5・6)
イ 被告Y5は,ビオス社の株主であり,知人であった被告Y1に頼まれてRRD社の取締役に就任し,立ち上げ当初のビジネスモデルの検討に参加したこともあったが,その後,経営から離れ,被告Y1から経営状況の説明を受けることも,役員報酬の支給もなかった。(乙44,被告Y5・1,2,4,8,11ないし13)
ウ 被告Y6は,被告Y1から要請され,RRD社の取締役への就任を承諾し,営業開始当初,数回会議に出席したが,事業の方向性が想定とは異なっていたので,以降は,RRD社の経営には参加せず,被告Y1から経営状況の説明を受けることも,報酬の支給もなかった。(乙46)
エ 被告Y3は,ビオス社の取締役であり,面識のあった被告Y1から取締役として残って欲しいと要請されて了承し,営業開始当初,数回会議に出席し,会員権販売の話は聞いたが,その詳細は知らず,被告Y1から経営状況の説明を受けることも,報酬の支給もなかった。(乙45)
オ 被告Y4は,ビオス社の取締役でシステムエンジニアであったが,ビオス社の経営悪化のころから経営に関与しておらず,被告Y1から,システムが必要となるようなことがあれば頼むといわれた。(乙43)
カ 被告Y1は,本件利用権1はポイント消費型の旅行プラン,本件利用権2は資産としての利用方法で別商品であり,1社で2種類の利用権販売は避けた方がよいと判断し,本件利用権2の販売のため,衣料品の販売等を業とするクラフトワークス社を買い取ることとした。被告Y1は,代表取締役兼株主であった被告Y8から,クラフトワークス社の株式全部を譲り受け,平成21年3月25日,ヘリテージ社に商号変更して代表取締役に就任し,被告Y2は取締役に,被告Y7は監査役にそれぞれ就任した。(甲4,14,55の3,乙38,40,被告Y1・7,8,被告Y8・1)
キ 被告Y8は,株式譲渡により取締役を辞任するつもりだったが,被告Y1から,クラフトワークス社の残務処理のため,ヘリテージ社の経営には関知せず,1年の限定で,被告Y8の代表取締役の登記を残したいと言われて了承したが,ヘリテージ社の代表者印,通帳,カード類も所持せず,取締役会の招集を受けたこともなく,本件利用権2の販売の事実も知らなかった。被告Y1は,被告Y8に対して,株式譲渡代金の支払の代わりに,ヘリテージ社の銀行借入約1000万円を弁済するとしたが,実際には1割弱しか返済できず,被告Y8の代表取締役の登記も放置している。(乙38,40,被告Y1・7ないし10,被告Y8・1ないし3,12,15ないし17)
ク RRD社とヘリテージ社の経営は,被告Y1と被告Y2が中心となって行い,被告Y5がA&G社への説明を担当した以外に,他の役員は経営に関与せず,被告Y1は,他の取締役から報告や報酬を求められた場合は辞めてもらうつもりだった。被告Y7は,ビオス社の監査役であったところ,被告Y1に頼まれて,引き続きRRD社の監査役を,加えてヘリテージ社の監査役を引き受けた。(乙38,被告Y1・7,53,54)
ケ 被告Y1は,リゾート系の仕事をしたいと考え,フィリピンの「情報センター」のビジネスモデルに見習うこととし,タイムシェア利用権を販売委託により販売して資金を集め,その資金を元にリゾート開発を行い,規模拡大する計画をした。情報センターの外部委託先もA&G社であった。(乙39,被告Y1・1ないし3,37)
(2)  本件パンフレット1,本件パンフレット2の内容
ア 本件パンフレット1は,平成20年12月に作成されたもので,概ね次の記載がある。(甲1)
(ア) bリゾートは,タイ国内の多数のリゾート施設と提携し,魅力的なタイでの体験型ロングステイを提供する会員制クラブです。一般ツアーサービスだけではなく,エアーチケットの手配から現地でのガイドや日本語対応のサービスもおこなっております。また弊社は,カンチャナブリに終身利用型リゾート施設「△△」を開発中です。タイでのロングステイを存分に堪能し,さらにリタイヤメントステイで,弊社の施設もご利用ください。
(イ) ポイント・タイムシェアリゾート会員権とは,高級リゾート施設を複数で共有し,合理的に安く利用しようと世界中に定着し始めているシェア方式のリゾート会員権です。あらかじめ毎年の利用期間を決めて宿泊する一般的なタイムシェアと違い,年間利用ポイントを定めて,お好きな時期にさまざまな施設を効率的に利用できるようにしたのが当社独自のポイント・タイムシェア方式です。…また,当社ではタイの複数のリゾート施設と提携し,退屈しない様々なご利用をしていただけます。
(ウ) リゾート施設はさらに増えます。自社リゾートの△△も含めて,これからもリゾートは増えていきます。△△は,第一期でセンターハウス34室,個建ヴィラ25棟の建設を予定し,…。また,他のリゾート施設との提携など,さらに利用できるリゾートは年々増えていきます。
(エ) △△概要(カンチャナブリ,タイ) 施設規模:センターハウス34室,個建ヴィラ25棟(予定)。2010年秋入居開始(第一期分用地3636坪買収完了) 屋内施設はレストラン,コンビニエンスストア,ミニシアター等。2009年4月第一期工事着工,拡張予定,2010年9月第二期工事着工,2011年5月第三期工事着工。
(オ) 施設利用に必要なポイント数(平成20年11月現在)は,バンコクアーバンリゾートないしパタヤリゾートのグランドメルキュールフォーチュンバンコク外6のホテルにつき1泊あたり10ないし20ポイント,現在はバンコク/パタヤ地域で運用,今後(第2期販売より)チェンマイ,プーケットの施設が利用可能となる。
イ 本件パンフレット2には,概ね次の記載がある。(甲11)
(ア) 本サービスを物件所有と比較した場合,自分で利用しない場合,本サービスは一般貸出により還元あり,物件所有は何もしなければ空家。
(イ) サービスのご案内として,満足の長期間オーナーシップ制度,1口につき年間14日間利用できる権利が30年間続くリゾート会員権であり,3つのリゾート物件の年364日,計1092日分を78人で14日ずつシェアするもので,購入費以外は,年間の管理費3万1500円と利用時のセッティングフィー1万0500円のみである。
(ウ) サービスのご案内として,効率的な利用と還元(未活用時の貸出サービス),お客様が利用されない時は,一般の方へ貸出させていただきます。全く使わない時や利用日数が残ってしまう時も,無駄にせず効率的なご利用が可能です。
(エ) リゾート施設の利用方法と収益還元として,各年末時に収支の締めをおこない,次年度2月末に一般利用分の収益還元を行い,利用されなかった残日数の割合に応じて,会員の方に売上の70%を還元いたします。
ウ 本件利用権2の「物件案内」には,概ね次の記載がある。(甲19)
利用可能な物件は,アユタヤのウェルネスリゾート(平成21年11月完成予定,平成22年1月からサービス提供),バンコクのアーバンリゾート(完成済み,平成22年1月からサービス提供),ボアヒンのビーチリゾート(平成21年11月完成予定,平成22年1月からサービス提供)があり,詳細は要問合せ。アユタヤのウェルネスリゾートは,数千ものヴィラが入る広大な敷地の一画を日本人向けに開発中,本格的な医療併設型のロングステイ施設,第一期として,センター施設と17棟のビラタイプの整備・建設を進めている。
(3)  本件利用権1,本件利用権2の内容
ア 本件利用権1は,1口105万円(うち消費税5万円)で,1口購入すると,1500ポイントが付与され,年間利用上限ポイントは300ポイントで,購入者の責任において第三者に譲渡可能で,利用有効期限は,いずれも平成31年7月末までであった。会員は,年間1万円を登録管理費として支払い,施設利用に際し,予約が確定した時点でセッティングフィーとして1万円を支払う。一時募集は400口限定であった。(甲8の1ないし8,9の1ないし5,乙49,被告Y1・12)
イ 本件利用権2は,1口195万円(うち消費税9万2857円)で,1口で平成22年1月1日から30年間,1年で14日間対象物件に宿泊できる権利で,78口超えて販売されない。本件利用権2は,購入者の責任において第三者に譲渡可能であり,クーリングオフについての告知がある。(甲10の1・2)
(4)  本件販売委託契約1及び本件販売委託契約2の内容
本件販売委託契約1及び本件販売委託契約2においては,次のとおりの合意があった。(甲3,5)
ア A&G社は,原則として,本件利用権1,本件利用権2に関する顧客を自ら探索・発掘するものとし,自らの判断において,上記顧客に対し,別途定めがある場合を除き原則としてRRD社,ヘリテージ社の名前で,本件利用権1,本件利用権2の営業活動を行うものとする。
イ A&G社は,本業務の遂行にあたり,RRD社,ヘリテージ社の名で顧客に対する本業務を行うものとし,事前に書面による合意がない限り,A&G社は,RRD社,ヘリテージ社に代わって,本件利用権1,本件利用権2に関するRRD社,ヘリテージ社と顧客との間の契約の締結に関する業務を行う権限を有するものとし,A&G社は,原則として,その裁量に基づいて,本件利用権1,本件利用権2についての個別の営業活動や顧客とのネゴ,アポイントメントの取得,広告・宣伝・営業等の活動を行うことができるものとします。
ウ RRD社,ヘリテージ社は,A&G社の本業務遂行に関し,A&G社が本業務を遂行するために必要となる時期までに,契約要綱で定められた営業用資材をRRD社,ヘリテージ社の費用負担で作成したうえ,A&G社に必要部数,提供するものとします。
エ RRD社,ヘリテージ社が提供する営業要資材は,名刺,会社概要,商品パンフレット,商品価格表,仕様書とする。
オ 契約期間はRRD社につき平成20年11月4日から1年間。ヘリテージ社につき平成21年6月1日から1年間。いずれも3か月前に通知がなければ自動更新。
カ 対価計算方法は,契約成立1件あたり顧客との成立契約金額のRRD社につき40%,ヘリテージ社につき30%。
キ 営業業務内容(アプローチ方法等)は,A&G社が指定する顧客への訪問を含み,指定業種・指定地域はない。
(5)  RRD社及びヘリテージ社のタイでの活動
ア RRD社の取締役Dは,平成16年6月23日,△△の建設予定地の土地(カンチャナブリ)の所有権を取得した。被告Y1は,上記土地にリゾート施設を建築する予定で,Dと共同事業として進めることで合意していた。(甲2,乙3の1・2,5,38)
イ 被告Y1は,△△の着工準備を進めていたが,アユタヤで老人医療設備,プール,病院,レストラン等の付帯設備も完備した開発が行われていることを知り,バンコクからのアクセスも考慮して,リゾート施設建設地をカンチャナブリからアユタヤに変更し,以降に作成したパンフレットにはアユタヤを記載することとした。(乙38,39)
ウ 被告Y1は,平成21年3月,ウェルネスホームからアユタヤのウェルネスヴィラの用地としてウェルネスシティの一画の土地を購入し,リゾート建築を進めたが,その後資金不足となり,工事途中で開発は中断した。本件利用権1により集めた資金は,被告Y1に貸し付けられて,上記開発に使われた。タイでは,外国人及び外国系法人は,土地所有ができないため,被告Y1としては,ウェルネスホームがBOI許可を取得後に,土地所有権を被告Y1に移転する予定だった。(乙25の1,26,27,31ないし36,38,39,被告Y1・5,6,35)
エ 被告Y1は,平成21年4月,バンコクのバアーンシリ10コンドミニアムの建物を購入し,本件利用権1により集めた資金は,被告Y1に貸し付けられて,同購入に使われた。(乙25の2,28,被告Y1・5,6,35)
オ 被告Y1は,平成21年1月ホアヒンのザブリーズホアヒンの建物を購入した。(乙25の3,29,30)
カ 被告Y1が全額出資しているタイ法人のAAAトラベル社は,平成23年4月から同年5月にかけて,グランドメルキュールフォーチュンバンコクホテル外11のホテルとの間で,通常の宿泊代金より低価格の価格契約を締結した。(乙10ないし23,42,被告Y1・4,5,14)
キ RRD社は,本件利用権1の購入者が,ポイント利用を申し出た場合,希望のタイのリゾートホテルを選んでもらい,AAAトラベルを通じて,上記の価格契約を締結しているリゾートホテルの宿泊予約をすることとなっていた。(乙42,被告Y1・59,60)
ク ヘリテージ社が使用権限を有するコンドミニアム(ホアヒン)を一般に貸し出し,平成21年11月,平成22年1月,同年3月,5人程度が利用した。本件利用権1を利用した宿泊者は20人程度で,ゴールデンウィークに使用したいという申出が3人くらいからあったが,その前月に豚インフルエンザか何かを理由としてキャンセルとなり,その後,タイ国内の治安の問題もあり,1年くらい利用がなかった。(乙37の1ないし4,被告Y1・20,21,33,42,43)
(6)  A&G社への販売委託
ア RRD社は,経営政策上販売を外注予定だったため,平成20年10月の本件利用権1の販売開始の前に,10社程度の販売代行会社にメールを出し,3社から回答があり,3社と販売委託契約を締結したが,そのうちの1つがA&G社であった。被告Y1は,ネットでA&G社について調べたところ,新進気鋭の伸び盛りの企業で,特におかしな評判はなく,商談の際も,他の会員権の販売代行の実績を聞いて,営業能力の高い会社であると判断し,本件販売委託契約1を締結することとした。被告Y2も,インターネットで,A&G社の概要を調査したが,特に問題はないと判断した。A&G社以外の販売委託をした会社を通じても本件利用権1は販売された。(甲52,乙38,39,被告Y1・37,38,被告Y2・3,8,20)
イ 被告Y1は,A&G社から,本件利用権1の販売方法は電話勧誘が中心であると聞き,RRD社のためにチームを作ると聞いたので,被告Y5が説明役となって商品説明会を開催し,15人ないし20人くらいの出席したA&G社の従業員に対して,商品コンセプトを説明し,特定商取引法の注意事項もレジュメに加え,問題のない販売をするよう,特に,特定商取引法に違反しないよう依頼した。被告Y2及び同Y5は,商品説明会の様子から,A&G社の従業員は問題はなさそうだと感じた。被告Y1は,A&G社は,業績もよく規模も大きい会社で,違法な販売はしないでほしいと伝えてあったので,細かく監視しなくても,違法な販売はしない,そこはさすがに信頼してよいと考えていた。(甲52,乙38,39,49,被告Y1・25,40,54ないし58,被告Y2・3,8,11,12,被告Y5・3,4,11)
ウ 被告Y1は,A&G社から,RRD社が準備したパンフレットをダイレクトメールとして発送すると聞いたが,具体的な対象客層,販売戦略等については,A&G社の独自のノウハウ,企業秘密であるとして開示してもらえなかったが,契約上,販売についてはA&G社に一任することになっていたため,やむを得ないと考え,A&G社にまかせた。A&G社は,独自の顧客名簿を有しており,RRD社用にフリーダイヤルを設ける,パンフレットの郵送料金等は負担する,RRD社は顧客名簿を準備する必要はない,A&G社は,フィリピンにおけるロングステイの利用権の販売実績があるとのことで,販売代行手数料は,一般的には30%であるところ,本件販売委託契約1では,40%で契約した。RRD社が作成したパンフレットはA&G社が顧客に郵送し,契約成立時の最終的な契約書はRRD社が顧客に郵送していた。(甲52,乙38,39,被告Y1・55,56,被告Y2・23)
エ 被告Y1,同Y2は,平成21年1月の段階で,本件利用権1の売れ行きが順調であることに驚いたが,A&G社の販売能力が高いのと,タイのロングステイに対する需要が予想以上であったと判断した。被告Y2も,財団法人ロングステイ財産主催のロングステイフェアに見学にいったときも,定年を迎えた夫婦で賑わっていたので,需要はあると見込んでおり,そのような顧客層をつかまえることができれば,本件利用権1は売れると思っていた。購入口数は,夫婦や家族である程度長期間滞在するとすれば,複数口購入は多いと予測しており,A&G社からの要望により,複数口購入者に対しては優遇措置をとり,複数口購入者の増加はその相乗効果もあると考えていた。被告Y1は,ビジネスモデルとした「情報センター」から,A&G社に販売委託して,どの程度売れるか聞いており,高齢の購入者もいたが,RRD社としては,もともとリタイヤした人を対象に考えていたので違和感はなかった。本件利用権1の購入者によるポイント利用は多くなかったが,被告Y1は,同年4月ころ,豚インフルエンザが流行したことと,その後,タイ国内で政治的紛争が勃発したことから,一時的なものと考えていた。本件利用権1の問い合わせがRRD社に来ることもあり,被告Y2が対応したが,ポイントの利用方法やクーリングオフの相談が主たるものだった。(甲52,乙38,39,被告Y1・24,25,被告Y2・4,24)
オ Cは,平成21年3月6日,インターネットの「○○」の経済ニュースで,産経新聞による記事として,営業代行業者として取り上げられ,A&G社は,資本金9000万円,従業員150人,営業代行,PRサービス代行として紹介された。(乙1)
カ A&G社は,インターネットの求人情報・転職サイトで,売上高が平成18年12月期は3億円,平成19年12月期は10億円,平成20年12月期は30億円,平成21年12月期は90億円見込みとされた。(乙2)
(7)  A&G社による本件利用権1,本件利用権2の販売
A&G社の報酬請求書によれば,本件利用権1及び本件利用権2の売上は次のとおりであった。本件利用権1は,最終的には,400口ないし420口が販売された。(甲47の1ないし11,48,被告Y1・16,33,34)
ア 本件利用権1
平成20年12月後半に37件,平成21年は,半月あたり少なくて15件,多くて55件,平成21年1月後半から5月後半までで,半月あたり少なくて17件,多くて55件,同年6月前半は15件,同月後半は16件,同年7月前半は7件,同月後半は10件の売上があった。
クーリングオフは,上記期間中,平成21年2月後半で1件2口,同年3月前半で2件3口,同年4月前半で504万円分と168万円分,同年6月前半は1件3口,同月後半は1件であった。
イ 本件利用権2
平成21年7月1日前半に10件1950万円の売上があった。
(8)  Cの逮捕と報道
ア A&G社及びCは,未公開株の販売をめぐり,脱税の疑いで東京国税局から告発されたことが平成21年3月6日の朝日新聞夕刊で報道された(以下「3月脱税報道」という。)。同報道と共に,「未公開株を人海戦術で不特定多数に売りさばくのがA&Gのような業者だ。」として,「カモリスト」を用いて,複数の業者を装って買取りを持ちかけて勧誘する「劇場型」が未公開株の「販売の手口」として紹介する記事が掲載されていた(以下「本件手口記事」という。)。(甲45の1)
イ イー・マーケティング社の社長その他6人が,イー・マーケティング社の未公開株の販売に関し,上場の見込みがないのに,必ず上場し確実に値上がりすると虚偽の事実を告げて販売したという詐欺容疑で逮捕されたこと,a組系の暴力団関係者も係わっていたことが,平成21年6月10日付け朝日新聞夕刊,同月11日付け朝日新聞朝刊で報道され,同日付け,同月12日付けで,共同通信社でも報じられた(以下「6月逮捕報道」という。)。同報道には,A&G社の社名の掲載もA&G社関係者の逮捕も含まれていなかった。(甲45の2ないし5)
ウ イー・マーケティング社の未公開株式の販売業務に関して,A&G社が未公開株の販売業務をしていたとして,Cが逮捕されたことは,平成21年7月22日の産経新聞大阪版夕刊の社会面に掲載された(以下「7月逮捕報道」という。)。(甲7)
エ Cは,平成22年3月15日,イー・マーケティング社の代表取締役や未公開株式の販売仲介などを行っていた者と共謀して,平成19年2月9日ころから同年9月20日ころまでの間,上場の見込みのないイー・マーケティング社の未公開株式を上場見込みであると偽り,その販売代金を詐取したとして,実刑判決を受け(神戸地方裁判所平成21年(わ)第841,916,1240号詐欺,法人税法違反被告事件),控訴したが,平成23年3月4日,上告棄却決定により,有罪判決は確定した。(甲44の1ないし3)
(9)  被告Y1,同Y2のA&G社に関する調査
ア 被告Y2は,本件販売委託契約1締結後,パンフレットの供給も兼ねて,2週間に1回程度,A&G社を訪問し,A&G社の担当のEに面談するなどして,販売状況を確認し,クーリングオフやクレームがあった場合は,変な売り方をしていた場合は販売委託契約の解除も念頭に置いた上で,無理な販売方法や強引な販売方法はなかったかを問いただして確認していた。被告Y2は,顧客から,転売はできるかという質問を受けたことがあったので,A&G社に対して,転売前提での販売をしているか確認したことはあったが,A&G社からは,そのような販売方法はしていないと回答された。クーリングオフは,金銭が急に必要になったといった事情のものが多く,タイの情勢が悪くなったときはタイに行く意思をなくしたからといった事情のものもあったが,内容が虚偽のようだからといった理由のものはなく,期間を徒過したものであっても,RRD社としては,なるべく受けるようにしていた。その後,A&G社が倒産し,RRD社に対して訴訟提起されるなどした後で,A&G社が,転売できるとして販売していたことが判明した。(被告Y2・4,5,22,26ないし31)
イ 被告Y1は,平成21年3月,被告Y2を通じて,被告Y2は,テレビのニュースを見たか,駅の売店で新聞を購入して,3月脱税報道に接した。Y2は,当初は電話で,翌日か翌々日には訪問して,A&G社の担当のEに確認したところ,税務申告上の問題にすぎず,会社の業務には支障はない,急成長している会社であるため,総務部門が追いつかないため生じた問題であって,営業自体に問題はない,個人が脱税で捕まっただけなので会社には関係ないと説明され,専務を呼んでもらったところ,普段どおりにFが応対し,従業員は,従前と変わらず普通に仕事をして他の会社との商談をするなど,会社として正常に動いている様子で,特に尋常ではないといった空気はなかったため,被告Y2及び同人から報告を受けた被告Y1は,同説明に疑問を感じなかった。被告Y1も被告Y2も,本件手口記事は見たことはなかった。(甲52,乙38,被告Y1・23,24,26,31,32,41,45,47ないし49,52,58,被告Y2・5,14ないし17,25,26,33)
ウ 被告Y1,同Y2は,平成21年6月,6月逮捕報道に接し,Eに事情を確認したところ,Eは,A&G社は販売をしただけで,株式の上場予定がないとは知らなかったと回答し,被告Y1は,本件利用権1は問題のない商品であるし,第一期の販売はほぼ終了していたので,それ以上説明を求めず,被告Y2は,イー・マーケティング社の問題にすぎず,A&G社が問題を起こしたわけではないと思っていた。(甲52,乙38,被告Y1・52,53,被告Y2・31,32)
エ 被告Y1が月1回程度は連絡をとっていたA&G社のFは,平成21年8月ころ,未公開株の販売の関係で,詐欺罪で逮捕され,そのころからA&G社は,連絡がとれたり,とれなかったりという状態を経て,同月中にまったく連絡がとれなくなり,事実上営業を中止した。(被告Y1・25,49ないし52,58)
オ RRD社にも,平成21年9月ころから,直接客から苦情が届くようになり,被告Y1は,A&G社に対し,苦情があった事実の有無や販売方法等について説明を求めたが,A&G社は,担当者不在等を理由に説明がないまま事務所を閉鎖し倒産した。RRD社は,本件利用権1の第2期の販売を中止し,ヘリテージ社も,数件売れただけで販売を中止した。(甲52,乙38,39,被告Y1・16,17,49,50,54)
カ 本件利用権1は,現在も利用可能であり,本件利用権2は,バンコク,ホアヒンの2物件につき現在も利用可能である。(乙42,被告Y1・3)
2  本件取引1についての被告Y1,同Y2の責任の有無(争点1)について
(1)  民法709条の責任について
原告らは,被告Y1,同Y2の不法行為の内容として,被告Y1,同Y2が,企画実行担当者としていかなる行為をしたのか,あるいはすべき行為をしなかったのかについて,具体的な主張をせず,不法行為の内容は特定されていないので,原告らの被告Y1,同Y2に対する民法709条の請求は,いずれも理由がない。
(2)  民法719条1項,2項の責任について
ア 原告らの主張は必ずしも明らかではないが,ⅰ)A&G社は,本件利用権1を高額で転売できると告げ,RRD社の資産状況につき偽って買収も完了した事業であると告げて販売した,このような販売方法は不法行為である,ⅱ)被告Y1,同Y2は,RRD社の不動産取得状況について虚偽内容のパンフレットを作成し,A&G社に使用させた,ⅲ)被告Y1,同Y2は,本件利用権1には商品価値がないのに,その売上状況の異常性に疑問を呈さず,売上をホテル利用料として会社に留保せず,ホテル利用がないことに疑問を呈しなかったので,A&G社の販売方法を認識認容した上で協力行為に及んでおり,被告Y1,同Y2は,A&G社と共同し,あるいは未必の故意により幇助したので,共同不法行為責任を負うと主張するもののようである。
イ パンフレットの記載について
前記認定事実によれば,本件販売委託契約1では,RRD社において,商品パンフレット,商品価格表を準備する旨の合意があったことが認められるので,本件パンフレット1はRRD社において作成されたものと推認される。
本件パンフレット1の内容について検討すると,前記認定事実によれば,本件パンフレット1は平成20年12月に作成され,①RRD社は,カンチャナブリに終身利用型リゾート施設△△を開発中である,△△は平成21年4月に第一期工事着工,平成22年4月に第二期工事着工,平成23年5月に第三期工事着工,②ポイント・タイムシェアリゾート会員権の説明,③「リゾート施設はさらに増えます」という記載があることが認められる。
他方,①については,前記認定事実によれば,RRD社の取締役Dは,平成16年6月,△△の建設予定地の土地の所有権を取得し,被告Y1と同土地上にリゾート施設を建築して共同事業を進める合意をし,被告Y1は,△△の着工準備を進めていたが,アユタヤで開発が実施されていることを知り,リゾート施設建設予定地をカンチャナブリからアユタヤに変更し,以降はパンフレットにも変更後の情報を掲載したこと,アユタヤでは,平成21年3月,ウェルネスホームが開発するウェルネスシティの一画の土地を購入し,本件利用権1の売上を使用してリゾート施設の建築を進めていたが,その後資金不足により開発は中断したことが認められる。とすれば,本件パンフレット1作成時である平成20年12月の時点において,RRD社がカンチャナブリに終身型リゾート施設△△を開発中で,今後の工事着工予定があったことは虚偽ということはできず,その後,計画変更により,リゾート施設の建築は,カンチャナブリからアユタヤに変更されたのであって,本件取引1のあった平成21年6月ないし同年7月の時点では,場所がカンチャナブリからアユタヤに変更されていた点についての記載には欠けていたということができるものの,終身型リゾート施設の建設が進んでいたこと自体は虚偽ではなく,リゾート施設の建築予定地が変更された時期及び本件パンフレット1が原告X2に送付された時期はいずれも証拠上明らかではなく,その先後関係も不明であることからすれば,上記①に関する本件パンフレット1の記載は,事実に反する明らかな虚偽であったということはできない。
上記②については,原告らは,本件パンフレット1の記載は,本件利用権1がリゾート施設の共有を意味するかのような記載であると主張するようであるが,前記認定のとおり,本件パンフレット1の記載としては,「ポイント・タイムシェアリゾート会員権」についての一般論を説明した後,本件利用権1の特徴として,年間利用ポイントを定めて,その範囲内で複数のリゾート施設(提携のものも含む)を利用するものであると説明しているものであって,RRD社が,タイの複数のリゾート施設の所有権を取得し,その共有権の売買の形で本件利用権1を販売しているといった記載とは読むことはできないので,この点に関する原告らの主張は理由がない。
上記③については,前記認定のとおり,「リゾート施設はさらに増えます」という記載の後に,自社リゾート施設(△△)の説明と「他のリゾート施設との提携など,さらに利用できるリゾートは年々増えていきます。」という記載があることが認められ,「リゾート施設はさらに増える」という記載の意味としては,自社リゾート施設が建築予定中で,加えて提携の施設も今後増やす予定で,全体として利用できるリゾート施設が数年先には増えていく旨の説明をしたものと認められ,前記認定によれば,被告Y1が全額出資しているタイ法人のAAAトラベル社は,12のホテルと価格契約を締結していることが認められ,当時の時点でも,リゾートホテルの利用は可能であり,被告Y1は,平成21年1月にホアヒン,同年4月にバンコクの各建物を購入し,その後,ホアヒンのコンドミニアムは,被告Y1が代表取締役を務めるヘリテージ社が使用権を取得したことが認められるので,上記③の記載についても虚偽であるということはできない。
以上から,RRD社が,本件利用権1の販売にあたり,本件パンフレット1を作成してこれをA&G社に使用させたことについては,その内容に虚偽があると認めることはできないので,上記の点に関して,被告Y1,同Y2に何らかの共同不法行為が成立する余地はない。
ウ 販売方法について
原告らは,A&G社が,本件利用権1は高額で転売できる,RRD社は,多数の不動産を所有し,今後もどんどん不動産を取得していく優良な企業であるといった虚偽の説明をしたことに関し,被告Y1,同Y2に何らかの共同不法行為が成立するとの主張をする。
しかし,前記認定事実によれば,本件販売委託契約1では,A&G社は,自ら顧客を探索発掘し,自らの判断で営業活動を行い,その裁量に基づいて,個別の営業活動,顧客との交渉等を行うものとし,RRD社が負担するのはパンフレット等の営業資材のみであって,それ以外の点についてはA&G社の裁量に完全に委ねられ,被告Y1及び同Y2は,A&G社が本件販売委託契約1に基づいて本件利用権1の販売を開始するにあたり,商品説明会を開催して,商品の内容を説明するとともに,違法な販売方法はしないよう伝え,それ以上には販売方法には関与していないことが認められる。そして,原告らは,被告Y1及び同Y2が,本件パンフレット1の作成の他に,具体的にどのような行為を行い,そのような行為がどのようにA&G社の行為と関連性があって共同不法行為に該当し,あるいは幇助に該当するのか,主張立証しないので,仮に,A&G社が,本件取引1について何らかの違法な販売行為をしていたとしても,この点に関する原告らの主張は理由がない。
エ 商品価値について
原告らは,被告Y1及び同Y2が,本件利用権1に商品価値がないにもかかわらず売上が好調という販売状況や,売上が高額にもかかわらずホテル利用がないという状況について疑問を呈していないことから,A&G社の違法な販売行為について認識認容していたと主張する。しかし,前記認定事実によれば,本件利用権1は,1口105万円で1500ポイントが付与され,うち年間利用上限は300ポイントで,年1万円の登録管理費と予約時のセッティングフィー1万円の負担で,提携リゾートホテルの利用ができ,将来的には利用できるリゾート施設は増加する見込みであるというもので,ホテル利用に必要なポイント数の目安としては概ね10ないし15ポイントとされていることが認められ,ポイント数で計算すると,1ポイント700円として,7000円ないし1万0500円で宿泊可能ということができる。
この点,原告らは,RRD社がAAAトラベル社を通じて提携しているホテルの宿泊価格とほとんど変わらず,セッティングフィーを入れると割高であるから,本件利用権1は商品価値がないと主張するようであるが,証拠(甲53の1ないし6)によれば,グランドメルキュールフォーチュンバンコク外5のホテルは4000円台ないし2万1000円台(ただし多くは7000円ないし9000円の範囲)であることが認められ,他方,証拠(乙49)によれば,利用は1部屋2名又は3名ないし5名で利用し,本人以外の者でもゲストとしてポイント利用可能であり,空港への日本語ができるスタッフの送迎があることが認められ,高い客室をグループやカップルの複数の者で長期滞在し,海外の予約等の代行サービスや送迎サービスも付随するといった付加価値があることを加味すると,割安になる場合も一切想定できないとか,必ずしもまったく価値がないとまでは断言できず,人によっては価値やメリットがあるとの評価や判断のもとに本件利用権1の購入を検討する場合もあり得ると考えられる(なお,上記以外のホテルとも提携されており,これらのホテルの価格帯は証拠上明らかではない。)。
また,本件利用権1は10年間利用可能なものであり,利用ポイントも年ごとで限定されているので,購入してすぐに利用するとは言い切れない。そして,商品の販売状況が好調であることのみをもって,直ちに販売方法が違法であるということにはならないから,商品の販売状況が好調であることの認識があったからといって,販売方法が違法であり,その具体的な違法内容まで認識認容していたということはできない。
とすれば,被告Y1及び同Y2が,本件利用権1の販売状況やホテル利用がない状況を認識していたからといって,そのことのみをもってA&G社が具体的にどのような違法な販売行為をしていたかについてまで認識し,かつこれを認容していたとまで認めることはできず,仮に,A&G社が,原告らに対して本件取引1について何らかの違法な販売行為をしていたとしても,この点に関しても,被告Y1,同Y2に何らかの共同不法行為が成立するということはできない。
オ 以上より,原告らの被告Y1,同Y2に対する民法719条1項,2項に基づく請求は,いずれも理由がない。
(3)  会社法429条1項の責任について
ア 原告らは,本件利用権1が無価値であるのに,販売状況,ホテル利用がないこと,キャンセルが多数あったことにつき異常性がある,A&G社はイケイケドンドンの急成長中の若い会社で虚偽説明や過度の営業をすることは公知の事実であって,被告Y1及び同Y2は,A&G社の販売方法の違法を認識できたと主張する。
しかし,前述のとおり,販売が好調で,ホテル利用がないことから,直ちに違法な販売がされているということはできないから,販売が好調であること及びホテル利用がないことの認識があれば,仮に,A&G社が,原告らに対して本件取引1について何らかの違法な販売行為をしていたとしても,違法な販売がされているとの認識を持つことになるとはいえない。
また,前記認定事実によれば,一定数のクーリングオフがあったことは認められるものの,クーリングオフは,契約内容や意思表示の瑕疵などを必要とせず,一定期間は無条件で解除できるものであるから,一定数のクーリングオフがあったことをもって,直ちに違法な販売がされていたということはできず,仮に,A&G社が,原告らに対して本件取引1について何らかの違法な販売行為をしていたとしても,被告Y1,同Y2に,一定数のクーリングオフがあったことの認識があったからといって,販売方法が違法であったとの認識を持つことができたとはいえない。
さらに,A&G社が,急成長中の若い会社であるということから,直ちに,虚偽説明や過度の営業をしようとしていると結論づけることはできず,かえって,前記認定によれば,本件販売委託契約1の締結にあたって,被告Y1,同Y2は,インターネットでA&G社について調査した上で,特に問題のある会社ではないとの結論に至ったのであり,現に,Cは,インターネットの経済ニュースで,営業代行業者として取り上げられるなど,どちらかというと好意的評価の記事がインターネット上掲載されていたのであるから,仮に,A&G社が,原告らに対して本件取引1について何らかの違法な販売行為をしていたとしても,被告Y1,同Y2が,販売委託の相手先を選択する上で,何らかの落ち度があり任務懈怠があったということはできない。
そして,前記認定のとおり,RRD社としては,本件販売委託契約1に基づく販売開始にあたって,商品説明会を開催し,特定商取引法に反する販売方法など,法律に抵触するような販売方法は避けるように伝え,その際の説明会に出席したA&G社の従業員も,特に問題があると思われるような態度は見られなかったというのであり,被告Y2は,本件販売委託契約1締結後も,2週間に1回程度,A&G社を訪問し,担当のEに面談するなどして販売状況を確認し,クーリングオフやクレームがあった場合も無理な販売方法や強引な販売方法の有無を確認しており,その内容も顧客の個人的な事情によるものであり,A&G社からは,転売を前提とした販売はしていないと説明されていたといった経過を踏まえれば,仮に,A&G社が,原告らに対して本件取引1について何らかの違法な販売行為をしていたとして,被告Y1及び同Y2が,本件販売委託契約1に基づいてA&G社に本件利用権1の販売を任せたとしても,何らかの落ち度があり任務懈怠があったということはできない。
イ 前記認定事実によれば,被告Y1及び同Y2は,3月脱税報道に接し,被告Y2は,電話及び訪問により,A&G社に確認したところ,税務申告上の問題にすぎず営業自体に問題ないとの回答であり,A&G社の事務所の状況も通常どおり運営され,疑問を感じる状況ではなかったこと,6月逮捕報道に接し,A&G社の担当者であるEに確認したところ,株式の上場予定がなかったことは知らずに販売を担当してしまったとの回答であったこと,平成21年8月ないし9月になり,A&G社とは連絡がつかなくなり,本件利用権1も販売停止となったことが認められるのであり,以上からすれば,被告Y1及び同Y2は,A&G社に関連する報道があった都度,A&G社に確認し,本件利用権1の販売に関しては問題があるとは認識できなかったので,本件販売委託契約1に基づく販売委託を継続したと認められる。
したがって,仮に,A&G社が,原告らが主張するような高額転売を勧誘文句とした違法な販売方法をしていた場合,被告Y1及び同Y2は,単に,A&G社に問題の有無を確認するのみで,それ以上の裏付調査を行わなかったために,結果的にA&G社に上記の違法な販売をさせてしまったことについて,任務懈怠があったということになるとしても,上記認定のとおり,A&G社への確認は行い,問題となっていたのは上場予定の有無を偽って販売された未公開株という商品に固有の点で,本件利用権1の売上が好調であるといった事情を加味しても,上場予定の有無とは無関係の本件利用権1の販売方法に何らかの問題があるとの疑いを抱くことは容易であったということはできず,単に,A&G社に確認したのみで,それ以上の裏付調査をしなかったことについて,単なる過失があったといえることはあったとしても,重過失があったとまでいうことはできない。
この点,原告らは,本件手口記事により,被告Y1及び同Y2は,A&G社の違法販売を認識しえたかのような主張をするが,3月脱税報道は,未公開株式の販売をめぐり,販売代行業者A&G社及び未公開株を卸していたイー・マーケティング社が法人税法違反で告発された事実を内容とするものであると認められ,問題とされているのは法人税法違反であり,事情説明として,上場予定の有無を偽って販売した疑いがあることが読み取れるにすぎず,販売方法にそれ以外の問題があったことの記載はない。また,本件手口記事は,未公開株を人海戦術で不特定多数に売りさばく業者があることの紹介をし,A&G社もそのような業者ではないかとの見解を示しているにすぎず,「カモリスト」を利用した「劇場型詐欺」の被害が増えているといった一般論が記載されているもので,A&G社が,販売委託を受けた商品について,上記のような方法で販売しているという事実を報道したものではなく,上記記事から,直ちに,A&G社が同記事記載の違法な販売方法を行ったと判断することはできない。そして,3月脱税報道は,各種メディアで報道されたと考えられるものの,本件手口記事は,朝日新聞夕刊以外の他のメディア報道においても紹介されたと認めるに足りる証拠はないから,朝日新聞夕刊以外のメディアで3月脱税報道に接した場合は,本件手口記事の存在を知らなかったとしても,不自然ではない。したがって,仮に,A&G社が,原告らに対して本件取引1について本件手口記事記載の違法な販売行為をしていたとしても,被告Y1及び同Y2が,販売委託先であるA&G社が違法な販売をしていないかどうかを確認するという代表取締役の任務に関して,3月脱税報道に接した際に,本件手口記事に行き当たらず,仮に行き当たったとしても本件手口記事の記載から直ちにA&G社が同記事記載の違法な販売方法を行っていると判断しなかったことについて,過失があるということはありえるとしても,重過失があったとまでいうことはできない。
次に,6月逮捕報道は,前記認定のとおり,イー・マーケティング社の代表者らが,上場予定の有無を偽って未公開株を販売した疑いで逮捕されたというもので,A&G社の社名の掲載もなく,A&G社関係者の逮捕もなかったことが認められ,未公開株の上場の有無を偽った点に販売方法に問題があるとされたもので,上場の可能性という性質を有する未公開株に特有の問題であるから,6月逮捕報道に接したことから,直ちにA&G社が未公開株の違法な販売に関与し,上場の可能性という性質を有しない本件利用権1の販売方法にも違法があるとの疑いを抱くことは困難である。しかも,前記認定のとおり,被告Y2は,A&G社に確認したところ,A&G社としては上場予定がなかったとは知らなかったと告げられ,同時点で,A&G社が,未公開株の販売方法につき独自に違法な勧誘をしていたとまで疑うことは困難であった。したがって,仮に,A&G社が,原告らに対して本件取引1について何らかの違法な販売行為をしていたとしても,6月逮捕報道を前提として,A&G社が本件利用権1につき何らかの違法な勧誘をしていると疑わなかったからといって,販売委託先であるA&G社の違法販売の有無の確認を怠ったという取締役の任務懈怠につき,過失があったということはありえるとしても,重過失があったとまでいうことはできない。
そして,7月逮捕報道も,未公開株の販売業務に携わったというもので,上場の有無について偽った販売方法が問題とされていたのであり,上場の有無が問題とならない本件利用権1のような商品についての高額転売の可能性を偽ったものではないから,7月報道に接したからといって,直ちに本件利用権1について,A&G社の従業員が,何らかの虚偽を告げて販売したとの強い疑いを抱くということにはならず,これが容易であったということはできない。しかも,7月逮捕報道のA&G社の関係者の逮捕より,6月逮捕報道のイー・マーケティング社の関係者の逮捕が先行しており,他方,本件利用権1の販売元であるRRD社においては,未公開株と異なり,本件利用権1は違法な商品ではないとの認識であり,前記のとおり,本件利用権1の商品自体に何らかの違法な点があるとまで認められないので,仮に,A&G社が,原告らに対して本件取引1について何らかの違法な販売行為をしていたとして,7月逮捕報道に接したとしても,直ちに,A&G社が本件利用権1についても何らかの違法な販売方法を行っていると結論づけることはできず,このような認識に至ることは容易であるということはできないので,7月逮捕報道を前提として,A&G社が本件利用権1につき何らかの違法な勧誘をしていると疑わなかったからといって,販売委託先であるA&G社の違法販売の有無の確認を怠ったという代表取締役の任務懈怠につき,過失があったということはありえるとしても,重過失があったとまでいうことはできない。
以上のとおり,本件取引1が行われる以前に,被告Y1及び同Y2が,3月脱税報道,6月逮捕報道,7月逮捕報道に接したからといって,A&G社の本件利用権1の販売方法に違法の疑いを抱いて,A&G社にその販売方法について確認するに留まらず,本件販売委託契約1を解除するなどして,A&G社に本件利用権1の販売を中止させなかったとしても,任務懈怠につき故意又は重過失があったということはできない。
ウ よって,被告Y1,同Y2は,会社法429条1項の責任を負わない。
3  本件取引1についての被告Y3,同Y4,同Y5,同Y6の責任の有無(争点2)について
(1)  民法719条1項又は同条2項の責任について
原告らは,被告Y5,同Y6の共同不法行為の内容として,同各被告が,具体的にどのような企画立案や販売計画策定等を担当し,それがなぜ共同不法行為となるのかについて主張せず,共同不法行為の内容は特定していないので,原告らの被告Y5,同Y6に対する民法719条1項の請求は,いずれも理由がない。
原告らは,被告Y3,同Y4の不法行為の内容として,同各被告がどのような行為を行い,どのようにRRD社の詐欺手口を容易ならしめたのかについて主張せず,共同不法行為の内容は特定していないので,原告らの被告Y3,同Y4に対する民法719条2項の請求は,いずれも理由がない。
(2)  会社法429条1項の責任について
ア 原告らは,被告Y3,同Y4,同Y5,同Y6について,本件利用権1の販売状況,ホテル利用状況,キャンセル状況からその異常性を認識できたと主張するが,前記認定のとおり,被告Y3,同Y4,同Y5,同Y6は,いずれもRRD社の取締役の地位にはあったものの,RRD社の経営には参加せず,被告Y1から経営状況の説明も受けたことがないことが認められ,本件利用権1の販売状況,ホテル利用状況,キャンセル状況を知っていたと認めることはできない。また,仮に,上記被告らが,本件利用権1の販売状況等について,被告Y1や同Y2に確認していたとしても,前記のとおり,販売が好調で,ホテル利用がないこと,一定数のクーリングオフがあったことから,直ちに違法な販売がされているということはできないから,上記の点について認識があったとしても違法な販売がされていることの認識を有することにはならず,上記被告らは,この点に関し,何らかの任務懈怠があったということはできない。
イ 原告らは,3月脱税報道があったので,被告Y2に確認して調査を求めれば,A&G社が違法な販売をしていたことを認識できたと主張するが,被告Y3,同Y4,同Y5,同Y6が,RRD社は,本件利用権1を販売し,その販売をA&G社に委託していることを知っていたと認めるに足りる証拠はないし,仮に,被告Y2に調査を依頼したとしても,前記認定のとおり,A&G社に確認をした被告Y2自身,仮に,A&G社の販売に原告らが主張するような違法があったとして,そのことを確認することはできなかったのであるから,被告Y3,同Y4,同Y5,同Y6が,被告Y2に調査を依頼しなかったことについて,任務懈怠があったとしても,損害との因果関係があるということはできないし,同任務懈怠に故意又は重過失があったということもできない。
ウ よって,被告Y3,同Y4,同Y5,同Y6は,会社法429条1項の責任を負わない。
4  本件取引1についての被告Y7の責任の有無(争点3)について
(1)  民法719条2項の責任について
原告らは,被告Y7の不法行為の内容として,被告Y7がどのような行為を行って,被告Y1らのどのような不法行為をどのように容易ならしめたのかについて主張せず,共同不法行為の内容は特定していないので,原告らの被告Y7に対する民法719条2項の請求は理由がない。
(2)  会社法429条1項の責任について
原告らが,被告Y7の会計監査をする上での任務懈怠があったと指摘する点は,いずれも業務の当否に関するものであって,業務監査に該当するものであり,会計監査の範疇を超えたものであるから,被告Y7に会計監査をする上での任務懈怠があったということはできない。
原告らは,平成21年2月期決算の損益計算書の売上高に比して販売手数料が極端に多い,貸借対照表の現金預金は売上高に比して多い,したがって,RRD社の決算書と勘定科目内訳書は,RRD社の財産,損益の状況を適正に表示していないと主張するが,証拠(乙47,48)によれば,RRD社は税務署長に届出をした上で,本件利用権1の使用期間10年に分割して売上計上をする会計処理をしていることが認められ,会計監査としては,売上,手数料,現金等の有無・実際の金額とこれに対応する会計処理の有無を確認すれば足りるのであって,売上,手数料,現金の比率の多寡の当否の判断までは求められておらず,これらの判断は経営判断の問題であって,業務監査の対象になることはあったとしても会計監査の対象となることはないから,この点に関する原告らの主張は理由がない。
原告らは,「クーリングオフ返金分」の計上につき,クーリングオフにより返金すべきものかどうか調査・監査すべきであると主張するが,会計監査としては,クーリングオフと計上されている場合に,実際にクーリングオフとしての返金の有無を確認すれば足りるのであって,クーリングオフの内容の当否の判断は,経営判断の問題であって,業務監査の対象になりえても,会計監査の対象となることはないから,この点に関する原告らの主張は理由がない。
原告らは,代表者に対する貸付は,会社を私物化されるおそれがある利害相反行為であるから借用書の有無や使途を調査し,監査役はその適否を判断すべきであると主張するが,会計監査としては,貸付があった場合に,実際にこれに沿った金銭の動きの有無及び会計処理の有無を確認すれば足りるのであって,代表者の貸付の当否ないし適否の問題は,経営判断の問題であって,業務監査の対象になることはあったとしても会計監査の対象となることはないから,この点に関する原告らの主張は理由がない。
原告らは,RRD社は,平成20年中に,リゾート施設利用権の販売を行うようになった直後から,国民生活センターに多数の被害が報告されるようになり,劇場型詐欺行為を行って,多額の金員を高齢者から集める一方,販売代理をしているA&G社に対して多額の手数料として支払っているので,監査役は,会社の営業実態や財産状態が危うく,株主や会社債権者に被害を生じさせることは予見でき,RRD社の違法行為を認識できたと主張するが,国民生活センターへの被害報告については証拠はないし,会社の営業実態や財産状況が危ういかどうかはまさに経営判断であって,会計監査の問題ではないし,A&G社への手数料の支払額から,直ちにA&G社が違法な販売行為をしていると断定することはできず,原告らが主張するような予見や認識は,不可能なものである上に,到底,会計監査をする上で求められるものであるとはいえず,この点に関する原告らの主張は理由がない。
以上より,被告Y7は,会社法429条1項の責任を負わない。
5  本件取引2についての被告Y1,同Y8,同Y2の責任(争点4)について
(1)  被告Y8の民法709条の責任について
原告X2は,被告Y8の不法行為の内容として,被告Y8がいかなる行為をしたのかについて,具体的な主張はなく,不法行為の内容は特定されていないので,原告X2の被告Y8に対する民法709条の請求は理由がない。
(2)  被告Y1,同Y8,同Y2の民法719条1項,2項の責任について
ア 原告X2の主張は必ずしも明らかではないが,ⅰ)A&G社は,本件利用権2を高額で転売できると告げて販売した,ヘリテージ社の資産状況につき偽った販売方法は不法行為である,ⅱ)ヘリテージ社は自己資金で不動産を取得しておらず,本件パンフレット2の記載も虚偽である,ⅲ)本件利用権2には商品価値がないことに関連して,被告Y1,同Y2,同Y8は,A&G社の不法行為について,何らかの共同不法行為責任を負うと主張するもののようである。
イ パンフレットの記載,作成について
前記認定事実によれば,本件販売委託契約2では,ヘリテージ社において,商品パンフレット等を準備する旨の合意があったと認められ,本件パンフレット2はヘリテージ社において作成されたものと推認される。
本件パンフレット2の内容について検討すると,前記認定事実によれば,本件パンフレット2には,本件利用権2に基づくサービスとして,「オーナーシップ制度」,「シェアするもの」,一般への貸出による還元ありといった文言があることは認められるものの,本件利用権2の「物件案内」に記載された3物件については,被告Y1は,平成21年3月,ウェルネスシティの一画の土地を購入して開発を進め,同年1月及び同年4月に,バンコクのコンドミニアム及びホアヒンの各建物を購入し,現在も利用可能であり,同年11月から平成22年3月にかけて5人程度の利用者がおり,本件利用権2は,平成22年1月から3年間,1年当たり14日間,対象物件に宿泊でき,78口までしか販売されないことから,78口が完売して全口数につき14日間すべて利用があったとしても3物件あればまかなえる計算となることが認められる。
とすれば,本件パンフレット2の「オーナーシップ制度」,「シェアする」という文言は,提供予定の3物件につき,本件利用権2の購入者が1年のうち14日間入れ替わりで使用することを表現したものと理解することができ,虚偽であるとまでいうことはできないし,一般利用者への還元についても,一般利用者への提供があったことは認められ,他方,還元できる収益が必ずあるとまで記載されていないし,還元できる程度の収益があったのに還元されなかったと認めるに足りる証拠はないから,一般利用者への還元に関する記載が虚偽であるとまでいうことはできない。
また,本件利用権2により利用できる3物件のうち,ウェルネスシティの一画は,当時開発中であったし,バンコクのコンドミニアム及びホアヒンの建物は,本件取引2当時は既に被告Y1により購入され,現実に提供可能であったと認められ,本件利用権2の内容は,現実に利用可能なものであったと認められる。
原告X2は,上記3物件が,被告Y1の借入金を原資とするので,本件パンフレット2の記載が虚偽であるかのように主張するが,本件パンフレット2には,上記3物件はヘリテージ社が自己資金で購入し,ヘリテージ社名義のものであるとまでの記載はなく,ヘリテージ社の代表者である被告Y1が購入し,現実に本件利用権2の購入者に提供できる状態に供しているのであるから,原告X2が主張するような名義や資金の出所の問題をもって,本件パンフレット2の記載が虚偽であるということはできないし,本件利用権2の現実利用可能性にも影響を及ぼすものではない。
よって,本件パンフレット2の記載が虚偽であるとする点に関し,被告Y1,同Y2,同Y8に何らかの共同不法行為が成立する余地はない。
ウ 販売方法について
原告X2は,A&G社が,本件利用権2は高額で転売できる,本件利用権2を販売しているヘリテージ社は,会社資産として不動産を有しているといった虚偽の説明をしたことに関し,被告Y1,同Y2に何らかの共同不法行為が成立するとの主張をする。
しかし,前記認定事実によれば,本件販売委託契約2では,A&G社は,自ら顧客を探索発掘し,自らの判断で営業活動を行い,その裁量に基づいて,個別の営業活動,顧客との交渉・アポイントメントの取得,広告,宣伝,営業などの活動を行うものとし,ヘリテージ社が負担するのはパンフレットや価格表等の営業資材のみであって,それ以外の点についてはA&G社の裁量に完全に委ねられていたこと,被告Y1,同Y2は,A&G社が本件販売委託契約1に基づいて本件利用権1の販売を開始し,実績があったことから,これを信頼して,本件販売委託契約2を締結したのであり,それ以上には販売方法には関与していないことが認められる。
そして,原告X2は,被告Y1,同Y2,同Y8が,具体的にどのような行為を行い,そのような行為がどのようにA&G社の行為と関連性があって共同不法行為に該当するのか,主張立証しないので,仮に,A&G社が,原告X2に対して本件取引2について何らかの違法な販売行為をしていたとしても,この点に関する原告X2の主張は理由がない。
エ 商品価値について
原告X2は,本件利用権2には商品価値がないことに関連して,被告Y1,同Y2,同Y8に,A&G社の不法行為につき何らかの共同不法行為が成立すると主張する。
しかし,前記認定事実によれば,本件利用権2は,1口195万円で平成22年1月から30年間,1年あたり14日間,3物件を利用でき,前記のとおり,78口の限定販売であることから,78口が完売した場合で全口数につき14日間のフル利用があったとしても計算上は利用可能であり,証拠(甲11)によれば,2DKの物件で2ベッドルームで4名まで使用でき,本人以外に家族や友人も使用でき,管理費・セッティングフィーの負担はあるものの,清掃・管理は行われ,食器や生活用品などの什器備品は備えられ,利用時の送迎,日本語対応可能な医療機関,リハビリ施設,各種アクティビティパックなどの対応を行うものと認められるので,必ずしもまったく価値がないとまでは断言できず,人によっては価値やメリットがあるとの評価や判断のもとに本件利用権2の購入を検討する場合もあり得ると考えられる。
よって,仮に,A&G社が,原告らに対して本件取引2について何らかの違法な販売行為をしていたとしても,本件利用権2に商品価値がないことに関連して,被告Y1,同Y2,同Y8に何らかの共同不法行為が成立するという原告X2の主張は理由がない。
オ 以上より,原告X2の被告Y1,同Y2,同Y8に対する民法719条1項,2項に基づく請求は,いずれも理由がない。
(3)  被告Y1,同Y2の会社法429条1項の責任について
ア 原告X2の主張は,必ずしも明確ではないが,仮に,本件利用権2についても,本件利用権1と同様,本件利用権2が無価値であるのに,販売状況,ホテル利用がないこと,キャンセルが多数あったことにつき異常性がある,A&G社は急成長中の若い会社で虚偽説明や過度の営業をすることは公知の事実であって,被告Y1及び同Y2は,A&G社の販売方法の違法を認識できたと主張するものであったとしても,前記のとおり,本件利用権2は無価値とはいえないし,原告X2が主張する事実をもって直ちにA&G社が違法な販売行為を行っており,これを認識できたということはできないことについては,前記のとおり,本件利用権1について述べたとおりである。
イ 前記認定のとおり,本件販売委託契約2は平成21年6月1日に締結され,これは3月脱税報道より後ではあったが,6月逮捕報道より前であった。仮に,A&G社が,本件利用権1について違法な販売をしていたとして,3月脱税報道に接していたとしても,A&G社の販売方法について,裏付調査をするなどして違法の有無を確認しなかったことについて,任務懈怠はあるということはできるとしても重過失があったとまでいうことはできないことは前記のとおりであり,上記の認識のもとで,被告Y1,同Y2が,本件利用権1に関するA&G社の実績を評価して,本件販売委託契約2を締結したことについても,同様に,A&G社がどのような販売活動を行う会社であるかについて新たに調査をしなかった点において,任務懈怠があるということはできるとしても,前記に認定した3月脱税報道の報道内容,被告Y2のA&G社への確認とその回答といった事実関係とこれを前提としたA&G社の販売活動の違法性の有無という点に関する認識可能性,認識の難易性に鑑みると,被告Y1,同Y2に,本件利用権2の販売委託の相手先を選択する上で重過失があったとまでいうことはできない。
次に,6月逮捕報道に接したからといって,被告Y2によるA&G社の調査を前提として,それ以上の調査をしなかったことについての任務懈怠の有無,重過失の有無については,前記の本件利用権1について述べたところと同じであって,仮に,A&G社が本件利用権2につき違法な販売活動をしていたとしても,販売委託先であるA&G社の違法販売の有無の確認を怠ったという取締役の任務懈怠につき,重過失があるということはできない。
7月逮捕報道についても,これに接したからといって,A&G社が本件利用権2につき何らかの違法な販売をしているとの疑いを抱いて,更なる調査をしなかったことについての任務懈怠の有無,重過失の有無については,前記の本件利用権1について述べたところと同じであって,仮に,A&G社が本件利用権2につき違法な販売活動をしていたとしても,販売委託先であるA&G社の違法販売の有無の確認を怠ったという取締役の任務懈怠につき,重過失があるということはできない。
前記第3の3(3)に記載のとおり,本件取引2の最終入金は平成21年8月31日であり,同月28日の入金と併せて1口であることからすれば,本件取引2の最終の勧誘は同月後半で同月28日以前であると推認される。前記認定事実によれば,被告Y1が月1回程度連絡をとっていたA&G社のFは,同月ころ未公開株販売の関係で逮捕され,そのころからA&G社は連絡がとれたり,とれなかったりという状態を経て,まもなくまったく連絡がとれなくなり,事実上営業を中止したことが認められ,Fの逮捕時期,本件利用権2の最後の1口の勧誘時期との先後関係は証拠上不明であり,被告Y1,同Y2が,Fの逮捕の情報に接し,どのような対応をとり,あるいはどのような対応をとることができたのかについては証拠上必ずしも明らかではなく,本件利用権2の勧誘前に,A&G社とまったく連絡が取れない状態になっていたとすれば,A&G社に販売停止を求めることも不可能であるし,上記のようなA&G社の状況に鑑みれば,A&G社は当然に本件利用権2の販売活動の中止を余儀なくされていると考えるのが通常であって,販売活動を継続しているとの認識を持ち販売停止の措置を取る必要があるとの認識を持つことは容易であるということはできないので,上記の段階において,A&G社に対し,販売停止の措置を取らなかったことについて任務懈怠があるということはできるとしても,重過失があったとまでいうことはできない。本件取引2の契約書(甲10の2)は,同月31日付けであり,RRD社は,そのころ,原告X2に対し,同契約書を送付したものと推認されるが,仮に,A&G社が本件利用権2を違法な方法で販売していたとしても,被告Y1,同Y2としては,同時点において,A&G社とまったく連絡がとれず,具体的に本件取引2について違法な方法で販売されたと確認することができなかった以上,原告X2の本件利用権2の購入を正当な理由の有無を確認することなく拒むことはできないから,慎重を期して,原告X2に本件利用権2の販売方法を直接確認するなどして,これを拒まなかったことについて任務懈怠はあるということはできるとしても,上記のとおり違法な販売であるとの確認や確証を持つことは容易であったということはできないから,この点に関して重過失があったとまでいうことはできない。
ウ よって,被告Y1,同Y2は,会社法429条1項の責任を負わない。
(4)  被告Y8の会社法429条1項の責任について
ア 原告X2の主張は,必ずしも明確ではないが,仮に,本件利用権2についても,本件利用権1と同様,本件利用権2が無価値であるのに,販売状況,ホテル利用がないこと,キャンセルが多数あったことにつき異常性がある,A&G社は急成長中の若い会社で虚偽説明や過度の営業をすることは公知の事実であって,被告Y8は,A&G社の販売方法の違法を認識できたと主張するものであったとしても,原告X2の主張に理由がないことについては,前記(3)アで,被告Y1,同Y2について述べたとおりである。
イ 3月脱税報道,6月逮捕報道,7月逮捕報道,その後のFの逮捕については,被告Y8が,ヘリテージ社は,本件利用権2を販売し,その販売をA&G社に委託していることを知っていたと認めるに足りる事実はないし,仮に,被告Y2に確認し,調査を依頼したとしても,前記認定のとおり,仮に,A&G社の販売に違法があったとしても,被告Y2はそのことを確認し,認識することはできなかったのであるから,被告Y8が,被告Y2に確認したり調査を依頼したりしなかったことについて,任務懈怠があったとしても,損害との因果関係があるということはできないし,同任務懈怠に故意又は重過失があったということはできない。
ウ よって,被告Y8は,会社法429条1項の責任を負わない。
6  本件取引2についての被告Y7の責任(争点5)について
(1)  民法719条2項の責任について
原告X2は,被告Y7の不法行為の内容として,被告Y7がどのような行為を行って,被告Y1らのどのような不法行為をどのように容易ならしめたのかについて主張せず,共同不法行為の内容は特定しているとはいえないので,原告X2の被告Y7に対する民法719条2項の請求は理由がない。
(2)  会社法429条1項の責任について
原告X2が,被告Y7の会計監査をする上での任務懈怠があったと指摘する点は,いずれも業務の当否に関するものであって,業務監査に該当するものであり,会計監査の範疇を超えたものであるから,被告Y7に会計監査をする上での任務懈怠があったということはできない。
原告X2は,被告Y7が,ヒヤリング,決算書・帳簿,現物実査,通帳等のチェックを行えば,当然にヘリテージ社の不動産の所有形態・開発状況,本件利用権2の販売対象者,販売状況,施設利用状況,購入者からのキャンセル要求などを把握することができ,ヘリテージ社の違法行為を認識できたと主張するが,資産所有状況の適否や扱っている商品の販売状況やキャンセル状況の当不当の問題は,業務の当否に関するものであって,会計監査の範囲ではないし,上記の確認により,具体的にどのように,ヘリテージ社のどのような違法行為を認識できたかについても主張はなく,この点に関する原告X2の主張は理由がない。
原告X2は,RRD社の役員は平成21年3月にヘリテージ社の役員に就任し,以後RRD社と同一の手口で高齢者から多額の金員を詐取し,平成21年中に国民生活センターに相談が寄せられており,同一の勧誘内容であるのに,あえて別法人格を用いて勧誘しているのは,RRD社の被害が明るみに出始めたからで,既存の被害者に新たな被害を生じさせるためのものであり,ヘリテージ社の決算書をみれば,ヘリテージ社の営業実態が強引で,その資金使途も代表者にそのまま資金を貸し渡す会社で,代表者に対する貸付の回収可能性がなく,貸倒引当金を計上するなど適切な会計処理をしなければならないような会社であることが明らかで,被告Y7は,ヘリテージ社が違法行為を行っていることは容易に認識できたと主張する。
しかし,RRD社の役員とヘリテージ社の役員が重複することから,直ちにヘリテージ社が違法行為をしていることにはならないし,ヘリテージ社に関し国民生活センターに何らかの相談が寄せられていることについては具体的な主張立証はない。前記認定によれば,本件利用権1と本件利用権2は異なる商品であることから,被告Y1は別会社で販売することとしたのであって,異なる商品を1社で販売するか,2社で販売するかは単なる経営判断の問題であって違法の問題は生じない。ヘリテージ社の決算書を見ただけで,営業実態が強引であると判断できるということに何ら根拠はないし,決算書を分析して経営の当否を判断すること,営業方法の当否や代表者への貸付の当否は,業務監査の問題となることはありえても,会計監査の問題となることはない。貸倒引当金の計上が必要であるからといって,それが本件とどのような関係があるかまったく不明である。
よって,原告X2の主張は理由がなく,被告Y7が会社法429条1項の責任を負うことはない。
7  文書提出命令の判断
(1)  原告らの文書提出命令の申立て(平成23年(モ)第4360号)は,被告Y7の監査役としての任務懈怠を立証趣旨として,RRD社及びヘリテージ社の会計書類等の提出を求めるものであるが,前記のとおり,原告らが被告Y7の任務懈怠の責任として主張するのは,いずれも会計監査の範囲を超えるものであるから,そもそも主張自体が失当なのであって,その立証のために,上記文書の提出を求めるべき必要性はない。よって,上記の文書提出命令の申立ては,必要性がないものとして,これを却下する。
(2)  原告らの文書提出命令の申立て(平成25年(モ)第3872号)は,上記と同じ趣旨で,文書の所持者をRRD社ないしヘリテージ社ではなく被告Y1とするものであるが,そもそもRRD社ないしヘリテージ社の会計書類は,同各会社が存続している以上は,同各会社が所持することはあっても,被告Y1個人が所持することはないので,その点においても失当である上に,必要性に関しては,上記に記載したところと同様である。よって,上記の文書提出命令の申立ては,必要性がないものとして,これを却下する。
8  よって,本件各請求は,いずれも理由がないのでこれを棄却することとして,主文のとおり,判決する。
(裁判官 村上誠子)

 

別紙
当事者目録
1 東京都練馬区〈以下省略〉
原告 X1(以下「原告X1」という。)
2 東京都練馬区〈以下省略〉
原告 X2(以下「原告X2」という。)
同法定代理人成年後見人 A
同 B
上記2名訴訟代理人弁護士 山口広
同 五十嵐潤
同 村上一也
1 大阪市〈以下省略〉
被告 Y1(以下「被告Y1」という。)
2 東京都足立区〈以下省略〉
被告 Y2(以下「被告Y2」という。)
3 東京都足立区〈以下省略〉
被告 Y3(以下「被告Y3」という。)
4 東京都練馬区〈以下省略〉
被告 Y4(以下「被告Y4」という。)
5 東京都大田区〈以下省略〉
被告 Y5(以下「被告Y5」という。)
6 東京都国立市〈以下省略〉
被告 Y6(以下「被告Y6」という。)
7 相模原市〈以下省略〉
被告 Y7(以下「被告Y7」という。)
8 横浜市〈以下省略〉
被告 Y8(以下「被告Y8」という。)
上記8名訴訟代理人弁護士 板垣眞一
以上

〈以下省略〉

 

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