【営業代行から学ぶ判例】crps 裁判例 lgbt 裁判例 nda 裁判例 nhk 裁判例 nhk 受信料 裁判例 pl法 裁判例 pta 裁判例 ptsd 裁判例 アメリカ 裁判例 検索 オーバーローン 財産分与 裁判例 クレーマー 裁判例 クレプトマニア 裁判例 サブリース 裁判例 ストーカー 裁判例 セクシャルハラスメント 裁判例 せクハラ 裁判例 タイムカード 裁判例 タイムスタンプ 裁判例 ドライブレコーダー 裁判例 ノンオペレーションチャージ 裁判例 ハーグ条約 裁判例 バイトテロ 裁判例 パタハラ 裁判例 パブリシティ権 裁判例 ハラスメント 裁判例 パワーハラスメント 裁判例 パワハラ 裁判例 ファクタリング 裁判例 プライバシー 裁判例 プライバシーの侵害 裁判例 プライバシー権 裁判例 ブラックバイト 裁判例 ベネッセ 裁判例 ベルシステム24 裁判例 マタニティハラスメント 裁判例 マタハラ 裁判例 マンション 騒音 裁判例 メンタルヘルス 裁判例 モラハラ 裁判例 モラルハラスメント 裁判例 リストラ 裁判例 リツイート 名誉毀損 裁判例 リフォーム 裁判例 遺言 解釈 裁判例 遺言 裁判例 遺言書 裁判例 遺言能力 裁判例 引き抜き 裁判例 営業秘密 裁判例 応召義務 裁判例 応用美術 裁判例 横浜地裁 裁判例 過失割合 裁判例 過労死 裁判例 介護事故 裁判例 会社法 裁判例 解雇 裁判例 外国人労働者 裁判例 学校 裁判例 学校教育法施行規則第48条 裁判例 学校事故 裁判例 環境権 裁判例 管理監督者 裁判例 器物損壊 裁判例 基本的人権 裁判例 寄与分 裁判例 偽装請負 裁判例 逆パワハラ 裁判例 休業損害 裁判例 休憩時間 裁判例 競業避止義務 裁判例 教育を受ける権利 裁判例 脅迫 裁判例 業務上横領 裁判例 近隣トラブル 裁判例 契約締結上の過失 裁判例 原状回復 裁判例 固定残業代 裁判例 雇い止め 裁判例 雇止め 裁判例 交通事故 過失割合 裁判例 交通事故 裁判例 交通事故 裁判例 検索 公共の福祉 裁判例 公序良俗違反 裁判例 公図 裁判例 厚生労働省 パワハラ 裁判例 行政訴訟 裁判例 行政法 裁判例 降格 裁判例 合併 裁判例 婚約破棄 裁判例 裁判員制度 裁判例 裁判所 知的財産 裁判例 裁判例 データ 裁判例 データベース 裁判例 データベース 無料 裁判例 とは 裁判例 とは 判例 裁判例 ニュース 裁判例 レポート 裁判例 安全配慮義務 裁判例 意味 裁判例 引用 裁判例 引用の仕方 裁判例 引用方法 裁判例 英語 裁判例 英語で 裁判例 英訳 裁判例 閲覧 裁判例 学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例 共有物分割 裁判例 刑事事件 裁判例 刑法 裁判例 憲法 裁判例 検査 裁判例 検索 裁判例 検索方法 裁判例 公開 裁判例 公知の事実 裁判例 広島 裁判例 国際私法 裁判例 最高裁 裁判例 最高裁判所 裁判例 最新 裁判例 裁判所 裁判例 雑誌 裁判例 事件番号 裁判例 射程 裁判例 書き方 裁判例 書籍 裁判例 商標 裁判例 消費税 裁判例 証拠説明書 裁判例 証拠提出 裁判例 情報 裁判例 全文 裁判例 速報 裁判例 探し方 裁判例 知財 裁判例 調べ方 裁判例 調査 裁判例 定義 裁判例 東京地裁 裁判例 同一労働同一賃金 裁判例 特許 裁判例 読み方 裁判例 入手方法 裁判例 判決 違い 裁判例 判決文 裁判例 判例 裁判例 判例 違い 裁判例 百選 裁判例 表記 裁判例 別紙 裁判例 本 裁判例 面白い 裁判例 労働 裁判例・学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例・審判例からみた 特別受益・寄与分 裁判例からみる消費税法 裁判例とは 裁量労働制 裁判例 財産分与 裁判例 産業医 裁判例 残業代未払い 裁判例 試用期間 解雇 裁判例 持ち帰り残業 裁判例 自己決定権 裁判例 自転車事故 裁判例 自由権 裁判例 手待ち時間 裁判例 受動喫煙 裁判例 重過失 裁判例 商法512条 裁判例 証拠説明書 記載例 裁判例 証拠説明書 裁判例 引用 情報公開 裁判例 職員会議 裁判例 振り込め詐欺 裁判例 身元保証 裁判例 人権侵害 裁判例 人種差別撤廃条約 裁判例 整理解雇 裁判例 生活保護 裁判例 生存権 裁判例 生命保険 裁判例 盛岡地裁 裁判例 製造物責任 裁判例 製造物責任法 裁判例 請負 裁判例 税務大学校 裁判例 接見交通権 裁判例 先使用権 裁判例 租税 裁判例 租税法 裁判例 相続 裁判例 相続税 裁判例 相続放棄 裁判例 騒音 裁判例 尊厳死 裁判例 損害賠償請求 裁判例 体罰 裁判例 退職勧奨 違法 裁判例 退職勧奨 裁判例 退職強要 裁判例 退職金 裁判例 大阪高裁 裁判例 大阪地裁 裁判例 大阪地方裁判所 裁判例 大麻 裁判例 第一法規 裁判例 男女差別 裁判例 男女差别 裁判例 知財高裁 裁判例 知的財産 裁判例 知的財産権 裁判例 中絶 慰謝料 裁判例 著作権 裁判例 長時間労働 裁判例 追突 裁判例 通勤災害 裁判例 通信の秘密 裁判例 貞操権 慰謝料 裁判例 転勤 裁判例 転籍 裁判例 電子契約 裁判例 電子署名 裁判例 同性婚 裁判例 独占禁止法 裁判例 内縁 裁判例 内定取り消し 裁判例 内定取消 裁判例 内部統制システム 裁判例 二次創作 裁判例 日本郵便 裁判例 熱中症 裁判例 能力不足 解雇 裁判例 脳死 裁判例 脳脊髄液減少症 裁判例 派遣 裁判例 判決 裁判例 違い 判決 判例 裁判例 判例 と 裁判例 判例 裁判例 とは 判例 裁判例 違い 秘密保持契約 裁判例 秘密録音 裁判例 非接触事故 裁判例 美容整形 裁判例 表現の自由 裁判例 表明保証 裁判例 評価損 裁判例 不正競争防止法 営業秘密 裁判例 不正競争防止法 裁判例 不貞 慰謝料 裁判例 不貞行為 慰謝料 裁判例 不貞行為 裁判例 不当解雇 裁判例 不動産 裁判例 浮気 慰謝料 裁判例 副業 裁判例 副業禁止 裁判例 分掌変更 裁判例 文書提出命令 裁判例 平和的生存権 裁判例 別居期間 裁判例 変形労働時間制 裁判例 弁護士会照会 裁判例 法の下の平等 裁判例 法人格否認の法理 裁判例 法務省 裁判例 忘れられる権利 裁判例 枕営業 裁判例 未払い残業代 裁判例 民事事件 裁判例 民事信託 裁判例 民事訴訟 裁判例 民泊 裁判例 民法 裁判例 無期転換 裁判例 無断欠勤 解雇 裁判例 名ばかり管理職 裁判例 名義株 裁判例 名古屋高裁 裁判例 名誉棄損 裁判例 名誉毀損 裁判例 免責不許可 裁判例 面会交流 裁判例 約款 裁判例 有給休暇 裁判例 有責配偶者 裁判例 予防接種 裁判例 離婚 裁判例 立ち退き料 裁判例 立退料 裁判例 類推解釈 裁判例 類推解釈の禁止 裁判例 礼金 裁判例 労災 裁判例 労災事故 裁判例 労働基準法 裁判例 労働基準法違反 裁判例 労働契約法20条 裁判例 労働裁判 裁判例 労働時間 裁判例 労働者性 裁判例 労働法 裁判例 和解 裁判例

判例リスト「完全成果報酬|完全成功報酬 営業代行会社」(174)平成25年 4月18日 東京地裁 平23(ワ)20051号 コンサルティング報酬請求事件

判例リスト「完全成果報酬|完全成功報酬 営業代行会社」(174)平成25年 4月18日 東京地裁 平23(ワ)20051号 コンサルティング報酬請求事件

裁判年月日  平成25年 4月18日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平23(ワ)20051号
事件名  コンサルティング報酬請求事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2013WLJPCA04188015

要旨
◆被告会社らに対してコンサルティング業務を行ったと主張する原告が、主位的に、成功報酬支払合意に基づく報酬の支払を、予備的第1次的に被告会社に対する同業務に関し、予備的第2次的に吸収合併により被告会社が権利義務を承継する訴外R社に対する同業務に関し、それぞれ商法512条に基づく報酬の支払を求め、被告会社の代表取締役である被告Y1に対し本件報酬支払義務を放置したとして損害賠償を求めた事案において、本件で成功報酬支払合意の成立は認められず、また、原告による本件業務はいまだ被告会社のために行われたとは評価できず、R社のための同業務については既に相当報酬額が支払われている上、被告会社が報酬支払債務を負わないのであるからY1も損害賠償債務を負わないとして、各請求を棄却した事例

参照条文
民法656条
民法709条
商法512条
会社法429条

裁判年月日  平成25年 4月18日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平23(ワ)20051号
事件名  コンサルティング報酬請求事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2013WLJPCA04188015

当事者の表示 別紙当事者目録記載のとおり

 

 

主文

原告の請求をいずれも棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。

 

事実及び理由

第1  請求
1  被告カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(以下「被告会社」という。)に対する請求
(1)  主位的請求・第1次予備的請求
被告会社は,原告に対し,23億6228万7300円及びうち6億6612万5000円に対する平成19年6月1日から,うち16億9616万2300円に対する平成20年5月1日から各支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
(2)  第2次予備的請求
被告会社は,原告に対し,16億9616万2300円及びこれに対する平成20年5月1日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
2  被告Y1(以下「被告Y1」という。)に対する請求
被告Y1は,原告に対し,23億6228万7300円及びうち6億6612万5000円に対する平成19年6月1日から,うち16億9616万2300円に対する平成20年5月1日から,各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
本件は,被告会社のグループ会社である株式会社MPD(以下「MPD」という。),株式会社ツタヤオンライン(以下「ツタヤオンライン」という。)及び株式会社レントラックジャパン(以下「レントラック」という。)に対してコンサルティング業務を行ったと主張する原告が,①被告会社に対し,〈ア〉主位的請求として,コンサルティング契約上の成功報酬支払合意に基づき,コンサルティング報酬として23億6228万7300円及びうちMPD及びツタヤオンラインに係る業務分6億6612万5000円に対する遅くともこれらの業務が完了したとする平成19年5月31日の翌日である同年6月1日から,うちレントラックの合理化に係る業務分16億9616万2300円に対する遅くとも同業務が完了したとする平成20年4月30日の翌日である同年5月1日から各支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求め,〈イ〉予備的請求として,第1次的に被告会社に対するコンサルティング業務に関して商法512条に基づく相当額の報酬として上記同旨の金員(23億6228万7300円及びこれに対する遅延損害金)の支払を求め,第2次的にその後の吸収合併により被告会社がその権利義務を承継しているレントラックに対するコンサルティング業務に関して商法512条に基づく相当額の報酬として16億9616万2300円及びこれに対する上記平成20年5月1日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに,②被告会社の代表取締役である被告Y1に対し,被告Y1が被告会社の原告に対する上記報酬支払義務を漫然放置したことによる会社法429条又は民法709条に基づく損害賠償として,上記主張に係る23億6228万7300円及びうち6億6612万5000円に対する平成19年6月1日から,うち16億9616万2300円に対する平成20年5月1日から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
1  前提となる事実(証拠を付記したもの以外は,当事者間に争いがない。)
(1)  当事者等
ア 原告(平成22年12月24日に商号変更。旧商号は原田&パートナーズコンサルティング株式会社)は,物流システム・商流システム改善に関するコンサルティング業務等を目的として,平成18年12月15日に設立された株式会社である。
原告の代表取締役は,Aであるが,実際の経営は,専ら同人の夫であり取締役であるB(以下「B」という。)が行っていた。
イ 被告会社は,音楽・映像ソフト(CD,DVD)及び書籍のレンタル・販売,ゲームソフトの買取り・販売等を目的として昭和55年1月31日に設立(ただし,株式額面変更のための逆さ合併を行ったため,同日設立となったものであって,実質上の設立日は昭和60年9月である。)された株式会社である(甲20,21)。
被告Y1は,被告会社の創業者であり,被告会社の代表取締役社長兼最高経営責任者を務めている。
ウ 被告会社のグループ会社
被告会社のグループ会社として,以下の会社が存在し,又は存在した。
(ア) 株式会社TSUTAYA(以下「TSUTAYA」という。)は,平成18年3月1日に被告会社から会社分割によって設立されたフランチャイズチェーンシステムによる書籍,雑誌,文房具,事務用品,玩具,コンピュータ及び同附属装置,コンパクトディスク,ビデオテープ,デジタルビデオディスク,ゲームソフト,その他の音響,映像媒体商品及びその再生機器の販売並びに賃貸についてのコンサルタント事業等を行う株式会社であり,平成21年4月1日にレントラックやツタヤオンライン等を吸収合併して株式会社CCCに商号変更した後(以下,同社の商号変更の前後を通じ「TSUTAYA」という。),同年10月1日に被告会社に吸収合併された(甲20,69,乙8)。
(イ) MPDは,日本出版販売株式会社(以下「日本出版販売」という。)が51%,TSUTAYAが49%の株主構成で,平成18年4月3日に設立されたTSUTAYAに属する店舗を始めとするエンターテイメント複合店に対するレンタル・販売用CD・DVD,ゲーム,雑誌・書籍の物流を担う商物流会社である(甲31,乙6,9)。
(ウ) ツタヤオンラインは,ユーザーからのオンライン注文により,DVDをユーザーに販売する事業を行う株式会社であり,上記(ア)のとおり,平成21年4月1日にTSUTAYAに吸収合併された。
(エ) レントラックは,昭和52年に設立された映像,音楽,ゲーム等の記録媒体の賃貸及び販売に関する業務等を目的とする会社であり,平成16年,被告会社の子会社となり,主にビデオレンタル店向けにPPTシステム(出来高払制の収益分配システム)を使った映像ソフト(VHS・DVDソフト)の貸与・課金サービス事業を行っていたが,上記(ア)のとおり,平成21年4月1日にTSUTAYAに吸収合併された(甲68)。
(2)  覚書の作成等
ア Bは,平成18年7月から8月にかけて,被告Y1に対し,被告会社及びその傘下のグループ会社(以下,これらの会社を総称して「被告会社グループ」という。)合理化のためのコンサルティング案を提示した(なお,原告と被告らとの間で,当初,原告と被告らのいずれの側から依頼又は提案があったかについては争いがある。)。
イ その後,Bは,被告会社の当時の代表取締役C(平成20年6月20日に代表取締役を退任。以下「C」という。)との間で,上記コンサルティング案を実施するに当たっての条件面等に関する協議を行った。
その上で,BとCとは,平成18年10月17日,以下の内容を含む「役務契約に関する覚書」と題する書面(甲28。以下「本件覚書」という。)を作成した(なお,本件覚書につき,Cがどのような立場で本件覚書の作成に関与したかについては,原告と被告らとの間で争いがある。)。
(ア) コンサルティング会社の設立(1条)
役務契約を請け負うコンサルティング会社として,被告会社グループとB等が共同出資して,原告を設立する。役員は,被告会社から選出した1名とBの合計2人とする。
(イ) 改善プロジェクト(3条)
設立されたコンサルティング会社によって,MPDの物流とツタヤオンラインの合理化プロジェクトを行い,その想定コストダウンは,年間20億円ないし40億円(5年間で100億円ないし200億円)とする。成功報酬は,合理化が完了した時点で,年間合理化額の5箇年分相当を合理化金額とみなし,その10%相当をインセンティブとして支払う。ただし,不可抗力と認められる事態が発生した場合は,両者良識をもって協議するものとする。
(3)  コンサルティング契約の締結
原告とTSUTAYAとは,以下の内容を含む平成18年12月20日付けのコンサルティング契約(以下「本件コンサルティング契約」という。)を締結した(甲29)。
ア 原告が行うコンサルティング業務(1条,2条)
TSUTAYAは,原告に対し,ツタヤオンライン及びMPDが各々の物流業務及び流通業務の合理化企画を立案し,同企画を実現することを目的として,同企画に係る以下のコンサルティング業務を委託し,原告はこれを受託する。
(ア) MPD及びツタヤオンラインの倉庫業務委託先の見直し
(イ) MPD及びツタヤオンラインにおける物流費用削減
(ウ) MPD及びツタヤオンラインの在庫リスク低減
イ 業務委託料(5条)
月額500万円(税別)
ウ 期間(4条)
本件コンサルティング契約の有効期間は締結日から5年間とする(1項)。
ただし,本件コンサルティング契約締結日から2年経過後は,月額委託料の有効期間の残存期間分相当額を原告に支払うことにより,TSUTAYAは事前の通知なくいつでも本件コンサルティング契約を解除することができる(2項)。
エ 確認事項(12条)
原告は,本契約締結日以降,MPD及びツタヤオンラインそれぞれと平成19年1月31日までに本件コンサルティング契約に係るコンサルティング業務に関して,成功報酬の支払について定める契約を締結することを目指して,MPD及びツタヤオンラインと協議を行うものとする。
(4)  本件コンサルティング契約の解除
TSUTAYAは,原告に対し,平成21年4月30日,本件コンサルティング契約4条2項の規定に基づき,本件コンサルティング契約を解除する旨の意思表示をした(甲30)。
2  争点
(1)  MPD及びツタヤオンラインに対するコンサルティング業務についての報酬支払合意の存否及びその報酬額(争点1)
ア 原告と被告会社間の報酬支払合意の存否(争点1(1))
イ 原告による業務完了の有無及び報酬額(争点1(2))
(2)  レントラックに対するコンサルティング業務についての報酬支払合意の存否及びその報酬額(争点2)
ア 原告と被告会社間の報酬支払合意の存否(争点2(1))
イ 原告による業務完了の有無及び報酬額(争点2(2))
(3)  商法512条に基づく報酬支払請求権の有無及びその報酬額(争点3)
ア 被告会社のためのコンサルティング業務としての報酬請求権発生の有無及び報酬額(争点3(1))
イ レントラックのためのコンサルティング業務としての報酬請求権発生の有無及び報酬額(争点3(2))
ウ 相当報酬額支払の有無(争点3(3))
(4)  被告Y1に対する損害賠償請求の可否(争点4)
第3  当事者の主張
1  争点1(MPD及びツタヤオンラインに対するコンサルティング業務についての報酬支払合意の存否及びその報酬額)について
(原告の主張)
(1) 原告と被告会社間の報酬支払合意の存否(争点1(1))について
Bは,平成18年10月17日,被告会社の代表取締役であったCとの間で本件覚書を作成した。これにより,Bと被告会社との間で,設立予定の原告を第三者として,原告がMPD及びツタヤオンラインに係る業務の合理化を行い,これが完成した時点で年間合理化金額の5箇年分相当を合理化金額とみなし,その10%を成功報酬として被告会社又はそのグループ会社が原告に支払う旨の第三者のためにする契約が締結された。
(2) 原告による業務完了の有無及び報酬額(争点1(2))について
ア 原告による業務完了
下記イのとおり,原告は,被告会社グループに対するコンサルティング業務を提供することによって,被告会社に対して受益の意思表示をし,被告会社のグループ会社であるMPDやツタヤオンラインは,遅くとも平成19年5月末日までには原告のコンサルティング業務に基づく施策を実施して,業務の合理化が完了したことから,原告は,被告会社に対し,コンサルティング業務の報酬請求権を取得した。
なお,本件覚書を締結した当時,コンサルティング報酬を被告会社のグループ会社のうちいずれが支払うのかは,被告会社の経営方針にも関わる問題であるため未定であったが,本件コンサルティング契約(作成日付は平成18年12月20日であるが,調印は平成19年1月20日頃であった。)によって,TSUTAYAがコンサルティング報酬の支払義務を併存的に引き受けた上で,さらに,MPDやツタヤオンラインとの間で,コンサルティング報酬の支払についての協議を行い決定することが合意された。
このように,本件コンサルティング契約は,本件覚書に基づくコンサルティング報酬の支払義務の履行方法を定めたにすぎないのであるから,本件コンサルティング契約が新たに締結されたことによって,本件覚書に基づき被告会社が負担しているコンサルティング報酬の支払義務が消滅することはないというべきである。
イ 報酬額
(ア) 被告会社グループにおいては,従来,DVDメーカーから,メーカー物流倉庫の取扱商品を一旦犬山物流センターに受け入れて,荷寄せの後に,MPDがDVD1枚当たり52円の費用負担にてTSUTAYAの各フランチャイズ店舗に配送していた。しかるところ,原告によるコンサルティング業務によって,従来の犬山物流センター経由の物流が廃止され,メーカー物流倉庫の取扱商品をDVDメーカーの1社である日本レコードセンター株式会社(以下「NRC」という。)に一旦集荷し,荷寄せの後に,MPDがDVD1枚当たり35円の費用負担にてTSUTAYAの各フランチャイズ店舗に配送されることとなり,DVD1枚当たりの物流費に関して23.05円のコストダウンが実現することが見込まれたので,原告と被告会社とは,平成19年11月頃,上記数額を成功報酬算定の基礎となる合理化金額とすることに合意した。
そして,TSUTAYA各店舗での1年間当たりのDVD販売枚数は4117万枚であることから,MPDにおける5年間の合理化金額は約47億4500万円(≒23.05円×4117万枚×5年間)となる。
(イ) 原告は,ツタヤオンラインに対するコンサルティング業務として,NRCに物流を統合すること等により,商品の物流費用に関してDVD1枚当たり10円のコストダウンを実現するとともに,不稼働在庫率を3%削減した。
そして,ツタヤオンラインでの1年間当たりのDVD販売枚数は525万枚であること及びツタヤオンラインにおけるDVDの仕入値は1枚当たり2100円であることからすると,物流費の削減は5年間で2億6250万円(=10円×525万枚×5年間)となり,不稼働在庫の軽減による費用削減額は5年間で16億5375万円(=DVD1枚当たり仕入値2100円×525万枚×3%×5年間)となるので,ツタヤオンラインにおける5年間の合理化金額は,合計19億1625万円となる。
(ウ) 以上によると,MPD及びツタヤオンラインに対するコンサルティング業務についての成功報酬額は,上記の各合理化金額の合計額の10%であるから,6億6612万5000円となる。
(被告らの主張)
(1) 原告と被告会社間の報酬支払合意の存否(争点1(1))について
ア 本件覚書は,その署名欄にBとCの個人名での署名しかなく,被告会社等における肩書の記載がないことはもとより,押印すらもないのであって,B及びCが将来のビジネスについて協議した内容を備忘のために署名した書面にすぎず,会社間において何らかの法的効力を生じさせる趣旨の書面ではない。
イ 仮に,本件覚書によって原告が主張するような法的効力が発生するとしても,原告は,平成18年12月20日付けで被告会社との間で本件コンサルティング契約を締結している。そして,本件コンサルティング契約では,その内容において,本件覚書に記載されている事項の大部分がカバーされている。そうである以上,本件コンサルティング契約の締結によって,本件覚書によって生じた法的効力は消滅した。
(2) 原告による業務完了の有無及び報酬額(争点1(2))について
争う。
原告が主張するようなコストダウンは全く実現していない。
2  争点2(レントラックに対するコンサルティング業務についての報酬支払合意の存否及びその報酬額)について
(原告の主張)
(1) 原告と被告会社間の報酬支払合意の存否(争点2(1))について
Bは,被告会社の意向により,平成19年12月14日,埼玉県和光市所在のMPDの和光メディアセンター内にあるレントラックのDVD加工施設を視察し,同月16日,被告会社に対しレントラックの合理化について提案を行い(甲33),原告は被告会社からレントラックの合理化に関するコンサルティング業務を受託した。その後,原告は,レントラックに対するコンサルティング業務の実施と並行して,被告会社との間で,レントラックに対するコンサルティング業務の成功報酬に関して継続的に協議を行った。
平成20年10月28日,Bから被告会社の代表取締役であったCに対して送信した電子メール(甲34)により,原告と被告会社間において,原告のレントラックに対するコンサルティング業務についての成功報酬に関しても,年間合理化金額の5箇年分相当を合理化金額とみなし,その10%を成功報酬とする旨の合意が成立した。
(2) 原告による業務完了の有無及び報酬額(争点2(2))について
ア 原告による業務完了
従来,レントラックは,DVDメーカーから納品された販売用DVD商品からディスク及び背表紙を外し,ディスクケースを廃棄して,レンタル用ケースに差し替える作業(以下「アッセンブリー作業」という。)に関して,DVD1枚当たり40.38円のコストを負担していた。原告は,レントラックに対するコンサルティング業務として,ソニーピーシーエル株式会社やメモリーテック株式会社(以下「メモリーテック」という。)等のディスク製造会社に対し,レントラック指定のSクイックケース(レンタル専用ケース)への組替えをこれらの会社の製造ライン上で行うように依頼すること等により,アッセンブリー作業に要するコストをDVD1枚当たり5円とすることに成功し,35.38円のコストダウンを実現した。
また,レントラックは,従来,DVDケースの仕入れに1枚当たり46.61円を負担していたところ,原告は,Sクイックケースの仕入代金のコストダウンを図るため,上記ケースのメーカーである株式会社ジャストコーポレーション(以下「ジャスト社」という。)との間で,同じくケースメーカーであるアルテック株式会社(以下「アルテック社」という。)から見積りを取るなどして交渉を行い,最終的にジャスト社との間でSクイックケースの仕入れに要するレントラックの負担を1枚当たり19円とすることに成功し,27.61円のコストダウンを実現した。
さらに,従来,レントラックは,固定費及び送料でDVD1枚当たり合計32.9円を負担していたところ,原告は,アッセンブリー作業後の物流をNRCに統合すること等により,DVD1枚当たりの負担を26円とすることに成功し,6.9円のコストダウンを実現した。
以上より,レンタルDVD1枚当たりの制作費・物流費につき,69.88円のコストダウンに成功し,これら業務の合理化は,遅くとも平成20年4月末日までには完了した。
イ 報酬額
DVDレンタル商品の年間制作及び物流枚数は3800万枚であることから,レントラックにおけるレンタルDVDの制作費及び物流費の削減額は,5年間の単純合計で132億7720万円(=69.88円×3800万枚×5年間)となるところ,TSUTAYA店舗数の増大数を勘案すると,5年間の合理化金額は上記数額の少なくとも127.75%となるので,169億6162万3000円となる。
以上によると,レントラックに対するコンサルティング業務についての成功報酬額は,上記5年間の合理化金額の10%である16億9616万2300円となる。
(被告らの主張)
(1) 原告と被告会社間の報酬支払合意の存否(争点2(1))について
BがCに対して平成20年10月28日に送信した電子メール(甲34)は,飽くまで,BがCに対して一方的に送信した内容である。正式な契約書の作成もなく,かつ,その他の詳細な条件の記載もない上記電子メールのやり取りで企業間の正式な報酬支払合意が成立することはない。
(2) 原告による業務完了の有無及び報酬額(争点2(2))について
争う。
レントラックの合理化は,レントラック自身の自助努力によるものであった。
3  争点3(商法512条に基づく報酬支払請求権の有無及びその報酬額)について
(原告の主張)
(1) 被告会社のためのコンサルティング業務としての報酬請求権発生の有無及び報酬額(争点3(1))について
ア MPD及びツタヤオンラインに対するコンサルティング業務
原告は,被告会社のために,その営業の範囲内で,MPD及びツタヤオンラインの合理化に関してコンサルティング業務を実施していることから,原告は被告会社に対して,商法512条に基づく相当の報酬請求権を取得した(第1次予備的請求)。
相当報酬額は上記1「原告の主張」(2)イ記載のとおりである。
イ レントラックに対するコンサルティング業務
原告は,被告会社のために,その営業の範囲内で,レントラックに対するコンサルティング業務を実施したことから,原告は被告会社に対して,商法512条に基づく相当の報酬請求権を取得した(第1次予備的請求)。
相当報酬額は上記2「原告の主張」(2)イ記載のとおりである。
(2) レントラックのためのコンサルティング業務としての報酬請求権発生の有無及び報酬額(争点3(2))について
仮に原告の行ったコンサルティング業務が被告会社のためにされたと認められないとしても,レントラックに係る業務については,レントラックのためにその営業の範囲内でされたものであることが明らかである。
レントラックは,平成21年4月1日にTSUTAYAに吸収合併され,同社は同年10月1日に被告会社に吸収合併されたから,被告会社は,レントラックの原告に対する商法512条に基づく相当の報酬支払債務を承継した(第2次予備的請求)。
相当報酬額は上記2「原告の主張」(2)イ記載のとおりである。
(3) 相当報酬額支払の有無(争点3(3))について
後記「被告らの主張」(3)のとおり,被告らは,本件コンサルティング契約の中途解約金を含めて原告が3億円の支払を受けていることをもって,相当報酬額の支払義務がないと主張する。
しかしながら,上記支払は,本件コンサルティング契約に基づく委託料であって,MPD及びツタヤオンラインの業務の合理化企画の報酬とは別のものである。
また,上記委託料は,MPD及びツタヤオンラインの業務の合理化のみを対象として算定されたものであって,本件コンサルティング契約締結後に提案がされたレントラックの業務合理化については上記委託料の支払とは別ものである。原告は,レントラックに係る業務について,名目のいかんに関わらず何ら報酬を得ておらず,商法512条に基づく報酬請求権を有する。
(被告らの主張)
(1) 被告会社のためのコンサルティング業務としての報酬請求権発生の有無及び報酬額(争点3(1))について
ア MPD及びツタヤオンラインに対するコンサルティング業務
原告によるコンサルティング業務の対象は,MPDであって被告会社ではなく,さらに,MPDは現在においても被告会社とは別法人として存在することから,原告のMPDに対するコンサルティング業務に関して,被告会社に商法512条が適用されることはない。
また,仮に被告会社に対して商法512条の適用の余地があるとしても,本件コンサルティング契約(12条3項)において,TSUTAYAは,原告との間で,MPD及びツタヤオンラインに対するコンサルティング業務に関して成功報酬を支払わない旨の合意をしている以上,TSUTAYAの権利義務を承継した被告会社は,原告に対し,MPD及びツタヤオンラインに対するコンサルティング業務に関して,商法512条に基づく報酬支払義務を負うことはない。
さらに,ツタヤオンラインに対するコンサルティング業務については,原告はコスト削減を全く実現していないことから,被告会社は,原告のツタヤオンラインに対するコンサルティング業務に関して,商法512条に基づく報酬支払義務を負わない。
仮に商法512条に基づく報酬支払義務を負うとしても,報酬額について争う。
イ レントラックに対するコンサルティング業務
報酬額について争う。原告のアイディアによって,レントラックにもたらされた合理化金額は,原告が主張する額とは全くかい離しており,しかも,実際には,レントラックの合理化については,レントラック自身の自助努力の寄与するところが大きかった。
(2) レントラックのためのコンサルティング業務としての報酬請求権発生の有無及び報酬額(争点3(2))について
上記(1)イのとおりであって,原告のレントラックに対する合理化施策は原告主張のような合理化効果を生んでいない。
(3) 相当報酬額支払の有無(争点3(3))について
被告会社が,MPD,ツタヤオンライン及びレントラックに対するコンサルティング業務につき商法512条に基づく報酬支払義務を負うとしても,原告は,本件コンサルティング契約締結時から同契約の中途解約時まで,本件コンサルティング契約に基づき,中途解約金を含めて3億円の支払を受けている。
原告が行ったコンサルティング業務についての相当報酬額は3億円を上回ることはないから,被告会社の報酬支払義務は履行済みである。
4  争点4(被告Y1に対する損害賠償請求の可否)について
(原告の主張)
被告Y1は,自ら主体的に,原告に対し上記各コンサルティング業務を委託し,既にこれらのコンサルティング業務に係る合理化が完了し,上記コンサルティング業務についての成功報酬支払義務が発生していることを熟知しているにもかかわらず,漫然とこれを放置し,既に合理化完了から長期間経過しているにも関わらず,現在に至るまで一向に被告会社をして上記コンサルティング報酬を支払わせなかった。
したがって,被告会社の債務不履行につき,被告Y1は,会社法429条又は民法709条に基づき,被告会社が原告に対して負う成功報酬支払義務と同額の損害賠償義務を負う。
(被告Y1の主張)
争う。
第4  争点に対する判断
1  事実認定
証拠(甲19~21,28~35,46~71(枝番を含む。以下,特に枝番を挙示しない限り同じ。),乙1~14,証人B)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる(前記第2の1の前提となる事実を含む)。
(1)  Bは,平成13年10月から平成18年11月まで,米国の映画配給会社が出資した日本国内販売DVDソフトの企画,制作,販売等を行うワーナーホームビデオ(以下「ワーナー」という。)の日本代表の地位にあった。
Bは,ワーナーの日本代表となった頃から,被告Y1との間で,ワーナー等のDVDソフト制作会社側から見た被告会社グループの問題点を報告することを趣旨とする意見交換会を定期的に開催していた。
(2)  平成18年8月1日,Bは,被告Y1に対し,被告会社の物流コスト削減のためのコンサルティング案を契約条件とともに提示したところ,被告Y1は,Bに対し,以後はCとの間で契約条件等の細部を調整していくように述べた。
(3)  Bは,Cとの間で,上記コンサルティング案を実施するに当たっての契約条件等に関して協議を行い,その上で,BとCとは,平成18年10月17日,本件覚書(甲28)を作成した。
本件覚書には,BとCの個人名での署名があるが,押印はなく,会社名や会社における肩書等の記載もない。
本件覚書には,MPDの物流とツタヤオンラインの改善プロジェクト等を行うコンサルティング会社として,資本金1000万円,被告会社グループが14%,B及びそのパートナーが86%の出資比率,役員構成を被告会社1人,B側1人とする法人名「Harada & Partners Consulting」を設立し,また,成功報酬として,合理化が完了した時点で,年間合理化金額の5箇年分相当を合理化金額とみなし,その10%相当をインセンティブとして支払うことなどの記載がされていた。
本件覚書添付の提案書(以下「本件覚書提案書」という。)には,MPDの物流の合理化として,MPDが取り扱うTSUTAYAの各フランチャイズ店舗へのセルDVD配送に関する物流業務につき,MPDが当時行っていた犬山物流センター経由の流通経路を見直し,NRCに物流を統合する内容の物流費削減案(以下「NRC統合案」という。)が中核的なものとして記載されていたほか,ツタヤオンラインの合理化施策として,NRCに物流業務を統合することにより,商品の物流費用及び不稼働在庫を削減すること等の提案が記載されていた。
(4)  MPDでは,平成18年10月18日の取締役会において,Bの提案したNRC統合案が検討された。なお,MPDでは,同年8月25日の取締役会において,物流コスト削減案として,埼玉県蓮田市に新たな物流センターを立ち上げ,MPDの物流拠点を従来の犬山物流センターから蓮田に移管する計画(以下「蓮田計画」という。)を本格検討することが確認され,同年9月19日の取締役会において蓮田計画が正式承認されていた(乙4)。しかしながら,B提案に係るNRC統合案は,蓮田計画と両立しないものであったことから,同年10月18日の前記取締役会では,蓮田計画との比較においてNRC統合案の検討が行われた(乙10)。
(5)  Bは,平成18年11月,ワーナーの日本代表の地位から退任し,同年12月15日,原告を設立した。原告は,本件覚書において設立が予定されていたコンサルティング会社として設立されたものであったが,原告はBが全ての株式を有し,また,原告の役員はBとその妻のみであって被告会社からの役員の選出は行われないなど,原告の株主構成や役員構成等に係る内容は,本件覚書において予定されていたコンサルティング会社の内容から修正されたものであった。
原告において,コンサルティングのアイディアを出すなどの実際のコンサルティング業務に従事していたのはBだけであった。
(6)  原告とTSUTAYAとは,平成19年1月20日頃,本件コンサルティング契約を締結した(なお,本件コンサルティング契約に係る書面(甲29)の作成日付は平成18年12月20日とされた。)。
本件コンサルティング契約においては,①TSUTAYAが,本件覚書で記載されたとおり,コンサルティング業務を行う会社として設立された原告に対し,MPD及びツタヤオンラインの倉庫業務委託先の見直し,物流費用削減等の物流業務等の合理化に係るコンサルティング業務を行うこと,②同業務を行う期間を5年間とすること,③TSUTAYAが原告に対して委託料を月額500万円(税別)ずつを支払うこと,④本件コンサルティング契約締結日から2年経過後は月額委託料の5年のうちの残存期間分相当額を支払うことにより,TSUTAYAは本件コンサルティング契約を解除することができること,⑤原告は,MPD及びツタヤオンラインとそれぞれ平成19年1月31日までに,MPD及びツタヤオンラインの物流業務等の合理化に係るコンサルティング業務に関する成功報酬の支払について定める契約を締結することを目指して,MPD及びツタヤオンラインと協議を行うこと,⑥MPD及びツタヤオンラインから原告に支払われる対価である成功報酬額は,5年間の費用削減効果額の10%相当額とすること,⑦上記⑥の合意は,原告とMPD及びツタヤオンラインの協議の方針を原告とTSUTAYAが確認するためのものであって,TSUTAYAに対して何らの法的拘束力を有するものではないことなどが合意され,別紙として,コスト低減,合理化案等について記載された「物流合理化及び新会社設立についての提案書」が添付された。
TSUTAYAは,原告に対し,本件コンサルティング契約締結以後,平成21年4月30日に本件コンサルティング契約を中途解約するまで,本件コンサルティング契約に基づく月額委託料500万円を毎月支払った。
原告は,平成19年6月までMPDに対するコンサルティング業務を提案し,同月から同年12月まで,原告が提案したコンサルティング業務が実施されるまでのモニタリングを行うなどした。
(7)  原告は,MPDに対するコンサルティング業務を実施することと並行し,被告会社との間で,上記コンサルティング業務の成功報酬算定に関する契約書の調印に向けて具体的な協議を開始した。
平成19年5月24日,Bは,Cに対し,「個人的なお願い」と題する電子メール(甲47)を送信し,MPD及びツタヤオンラインのコンサルティング業務について,現実的にはTSUTAYA及び加盟店の利益最大化のためのものであるので,MPDと成功報酬契約を結ぶことはふさわしくなく,できればTSUTAYAとの関係において成功報酬契約を締結したい等と依頼した。
平成20年1月16日,被告会社執行役員であるDは,Bに対し,電子メール(乙2)を送信し,コンサルティング契約追加合意契約書案を提示した。そして,平成20年4月1日,被告会社は,Bに対し,上記コンサルティング契約追加合意契約書案に修正を加えたコンサルティング契約追加変更合意書案(甲46)を提示した。上記コンサルティング契約追加変更合意書案は,MPD及びツタヤオンラインに対するコンサルティング業務の成功報酬に関して,合理化金額を3箇月ごとに算定した実績値を基準として算定することを内容とするものであったため,Bは,成功報酬の算定方法が本件覚書記載の内容ではないことを理由に,上記コンサルティング契約追加変更合意契約書案には合意しなかった(甲35)。
(8)  Bは,平成19年12月14日,埼玉県和光市所在のMPD和光工場内にあるレントラックのDVD加工施設を視察した。その後,Bは,本件覚書に記載されたMPD及びツタヤオンラインに対する合理化プロジェクトに続く被告会社関連プロジェクトとして,「RENTRAK合理化プラン」と題する書面(甲33)を作成し,同月16日,C及びレントラックの当時の代表取締役であるE(以下「E」という。)に対し,レントラックにおけるアッセンブリー作業を合理化することを内容としたコンサルティング案を提示した。
平成20年2月頃から,原告と被告会社及びレントラックとの間で,レントラックの合理化検討会議が毎週開催されることとなった。他方,この頃以降,MPDの合理化に向けた定例会は中止となった(以降,MPDに係るコンサルティングは行われていない。)。
(9)  Bは,レントラックの業務合理化のために,上記(8)のほか,以下のアないしカのとおりの業務を行った。
ア Bは,平成20年1月頃から,レントラックの出荷DVD枚数について検証を開始した。その結果,平成20年3月17日,レントラックから,レントラックの来期年間予測出荷枚数が3500万枚であることの提示がされた(甲55)。
イ Bは,平成20年2月頃から,レントラックの合理化施策に関するDVDメーカー宛ての提出文書の起案を開始し,同年2月23日,C及びEに対し,レントラック傘下の組立工場で行われていたレンタル用のクイックケースの組立業務を,今後はディスク製造会社の製造ライン上で行う計画であること等を説明するDVDメーカー宛ての提出文書の草案を電子メールで送信した(甲59)。
ウ レントラックは,従来,ジャスト社から販売用DVDのケースを仕入れていたところ,Bは,ケースコスト削減案を提案し,平成20年6月8日,レントラックのEに対し,ケースの仕入先をジャスト社からアルテック社に変更すべきである旨の提案をした(甲61)。しかしながら,レントラックは,原告が提案したアルテック社のケースが使用に耐えるものではないと判断したことから,結局,アルテック社からの仕入れを行わず,従来からのジャスト社からのSクイックケースの仕入れを継続することとした上で,レントラックにおいて,独自にジャスト社と同ケースの値下げ交渉を行った。
なお,Bが,ジャスト社との間でSクイックケースの値下げ交渉を直接行うことはなかった。
エ Bは,レンタル用DVD1枚当たりの制作費及び物流費に関して検証を開始し,平成20年6月25日,レントラックから,レントラックにおけるレンタル用DVD1枚当たりの制作費及び物流費に関する内訳金額を提示された(甲56,57)。
オ Bは,ディスク製造会社であるメモリーテックとの間で,レントラック合理化施策に沿ったレントラック指定のSクイックケースへの組込みを当初の製造ラインで行うことについて交渉を行い,平成20年8月11日,メモリーテックから,レントラック向けレンタルDVD作業費の見積りの提出を受けた(甲58)。もっとも,メモリーテックからの上記見積りにおいては,外ケースの組立機をレントラックが無償貸与すること,外ケースと内ケースは別梱包で支給することというレントラックとしては直ちに応じることができない条件が前提となっていたため,レントラックは,Bが交渉した結果の上記見積内容ではメモリーテックにDVD作業の委託を行うことができなかった。
レントラックは,同年11月27日頃,メーカー各社に対して,レントラックのレンタル用のSクイックケースの組立業務を,今後はメーカー指定のディスク製造会社のDVD製造工場,DVD組立工場にて行うこと等を依頼するとともに,上記レンタル用のSクイックケースによる納品をしないならば,メーカー負担金を支払って完パケ納品(小売用にパッケージの状態で納品する形態)又は部材納品(バルク納品。DVDディスク及びジャケットをまとめて納品する形態)とするように説明し,いずれかの納品形態を選択するようにプレゼンテーションを行うなどし(甲60),コスト削減のための交渉を自ら行ったが,これらより,メーカー各社から最終的に提示された作業の見積額は,当初,原告が関与していた際の見積額よりも高額なものであった。
なお,Bは,上記プレゼンテーションの場に参加することはなかった。
また,原告によるアッセンブリー費用の削減に関する施策は,レントラックに対するメーカーからの納品形態のうち,レンタル用のケースで納品される場合について実現できたが,完パケ納品や部材納品については実現することができなかった。原告は,レントラックに対し,完パケ納品や部材納品による場合には,映像メーカーから負担金を徴収すべきと提案していたが,同負担金の徴収は,強制力を伴うものではないため,その後,レントラックは,負担金の徴収について,映像メーカーと独自に交渉したが,必ずしも企図するとおりの結果が得られなかった。
カ Bは,平成20年9月5日頃,NRCに対し,NRCがレントラックとの間でパートナーシップを結ぶことによる物流業務の合理化施策を提案した(甲62)。
その後,レントラックは,平成21年1月20日,NRCとの間で,レントラック取扱商品の受品,検品,整品,加工等に係る業務をNRCに委託することを内容とする業務委託契約を締結した(乙11,12)。
なお,レントラックがNRCに上記委託をすることができたのは,レンタル用ケースの形態により納品され,バーコードを自動貼り機でレンタル用ケースに貼付し,更に宅配業者の配送順路に従った配送方式によるルート便が採用された場合であって,その他の納品形態,処理方法及び配送方法が採用された場合は,別途,レントラックからNRCに対して作業費,運賃等の支払義務が発生した(乙11,12)。
また,原告が行ったNRCとのパートナーシップによる物流業務の合理化施策に関する上記提案は,NRCに物流を移管して統合することにより,固定費及び送料の削減を図るというものであったが,完パケ納品や部材納品については,従前どおり,MPD和光工場やレントラック東大阪工場の加工施設を利用せざるを得ず,上記NRCへの委託が実現した後も,従前どおり,MPD和光工場やレントラック東大阪工場の加工施設を利用する取扱分が相当程度存在せざるを得なかった。
(10)  原告は,レントラックに対するコンサルティング業務の実施と並行して,被告会社との間で,MPD及びレントラックに対するコンサルティング業務に関する成功報酬について協議を継続的に行っていた。
Bは,Cに対し,平成20年10月28日,「10月28日会議MINUTES(再送)」と題する電子メール(甲34)を送信した。上記電子メールには,「今日はお時間を頂きありがとうございました。お話しさせて頂きましたように,1 セル物流合理化,RENTRAK合理化についてはインセンティブ10%,2 その他のMPDプロジェクトも10%」等について合意できたことを確認する旨の記載がある。
その後も,原告は,同年12月7日付けの「インセンティブに関する提案書」と題する書類を作成し,MPD及びツタヤオンラインに対するコンサルティング業務とレントラックに対するコンサルティング業務の成功報酬に関して,それぞれ合理化が完了した時点で,年間合理化金額の5箇年分相当を合理化金額とみなし,その10%相当を成功報酬として支払うこと等を求めたが(乙3),成功報酬の算定基準に関して,原告の上記みなし値に基づく算定の主張と被告会社の実績値に基づく算定の主張とが平行線をたどり,協議は進展しなかった。
(11)  TSUTAYAは,原告に対し,平成21年4月30日,本件コンサルティング契約4条2項に基づき,原告との間の同契約を解除する旨を通知し(甲30),本件コンサルティング契約は解除された。
その後,TSUTAYAは,原告に対し,本件コンサルティング契約に基づき,中途解約金として残存期間相当分額を支払い,これにより,原告は,本件コンサルティング契約締結以後の中途解約金1億6000万円を含めて,本件コンサルティング契約に定められた月額500万円の報酬の5年分に当たる3億円の支払を受けた。
2  争点1(MPD及びツタヤオンラインに対するコンサルティング業務についての報酬支払合意の存否及びその報酬額)について
(1)  原告と被告会社間の報酬支払合意の存否(争点1(1))
ア 原告は,本件覚書の作成によって,Bと被告会社との間で,原告を第三者として,被告会社が原告に成功報酬を支払う旨の第三者のためにする契約が締結されたと主張する。
しかしながら,前記1の認定のとおり,本件覚書作成時点で,本件覚書提案書によってされた提案の中核を占めるNRC統合案は,被告会社の当時の代表取締役であるCとの間で実施に向けた協議が進められていたものであって,MPD内の取締役会では検討されていなかったものであったが,MPD内においては,本件覚書作成以前から,被告会社グループの物流システムの改善案として,蓮田計画の導入が検討され,平成18年9月18日にはMPD内の取締役会において,同計画の導入が正式承認されていたところ,同計画とNRC統合案とは両立しない計画であった。
このように本件覚書に係る合理化事業は,原告が想定するとおりの効果が生ずるならば巨額の経費削減を生むものである一方,合理化見込額5年分の1割に相当する多額の金額を報酬として原告に支払うという内容であり,かつ,既にMPDが会社組織として意思決定をしていた蓮田計画と両立しない内容でありながら,本件覚書締結時までに,MPDのほか,被告会社やツタヤオンラインの取締役会に諮られた形跡がなく(少なくとも,これを認めるに足りる証拠は存在しない。),本件覚書がCの肩書なしの個人名での署名がされ,押印もされないままに作成されていることにも照らすと,たとえ被告Y1の指示に基づき,BがCと協議をしたという経緯があったとしても,本件覚書は,BとCとの間で,今後進める予定の協議内容の方向性を確認したというべきものであって,被告会社,MPD及びツタヤオンラインの会社組織としての最終的な合意事項を定めたものと認めることはできない。
さらに,本件覚書の記載を全体としてみても,成功報酬を支払うべき主体が明らかでなく,本件覚書の記載内容はいまだ一般的抽象的かつ宣言的なものにとどまっており,特定の相手方に対して具体的かつ特定した法的義務を負担させる内容となっていない。そして,本件覚書の作成後,原告とTSUTAYAとの間で,本件覚書の内容について,修正された点もあるものの,業務の内容や契約条件等をより具体化した部分がある本件コンサルティング契約が締結され,原告が実施すべきコンサルティング業務がこの時点で契約の内容として定まったことからすると,履行されるべきコンサルティング業務の内容が契約内容として定まっていない本件覚書作成の時点において,本件覚書によって,第三者のためにする契約が締結され,報酬支払合意が成立したと認めることはできない。
そして,このことは,本件覚書締結当時,本件覚書の主要な内容となっているコンサルティング業務を担うべき原告がいまだ設立されておらず,本件覚書の当事者となっていないことにも照らすと,本件覚書は,BとCとが,将来,原告及び被告会社又はそのグループ会社との間で,本件覚書に沿う内容の契約を締結できるよう努力や準備を行うことを合意した書面と認めるのが相当であり,被告会社に対してコンサルティング報酬の支払義務を負担させるだけの法的効力を本件覚書に認めることはできないというべきである。
イ ところで,原告の主張は,MPD及びツタヤオンラインに対するコンサルティング業務の実施に向けた協議の中で本件覚書が作成され,その後に上記コンサルティング業務の実施を内容とする本件コンサルティング契約が締結されたことから,本件覚書に記載された成功報酬の定めが,本件コンサルティング契約の内容となったとの主張と解する余地もある。
すなわち,前記1の認定事実のとおり,Bは,本件覚書の作成以前から,被告Y1に対して被告会社グループの合理化に関する提案を行っていたこと,本件覚書は,Bと被告会社の当時の代表取締役であるCとの間で作成されたものであること,Bは本件覚書で設立が予定されていたコンサルティング会社として原告を設立したこと,本件コンサルティング契約に基づくコンサルティング業務は,本件覚書提案書記載のコンサルティング案を実施するものであること等からすると,Bとしては,本件覚書の作成から一連の経緯として本件コンサルティング契約が締結されたことによって,本件コンサルティング契約に係る平成18年12月20日付け契約書には記載がないものの,本件覚書記載の成功報酬の定めも契約の内容となったと認識していた可能性がある。
しかしながら,前記1の認定事実のとおり,本件コンサルティング契約において,成功報酬に関し,MPD及びツタヤオンラインとの間で成功報酬の支払に関する契約を締結することを目指す旨の確認がされていること,現に,本件コンサルティング契約の締結以後,Bは被告会社との間で成功報酬に関する協議を継続的に行っていたこと,しかしながら,上記成功報酬に関する協議は最終的にはまとまらなかったこと等からすると,原告と被告会社との間において,本件コンサルティング契約でTSUTAYAが原告に対して支払うものとされた月額500万円の委託料名目の金員の支払とは別に,本件覚書に記載された成功報酬に関する定めが,本件コンサルティング契約の締結によって,具体化されて契約の内容となったと認めることができるものではない。
ウ 以上によると,本件覚書によって法的拘束力のある成功報酬支払合意が成立したことを前提とする原告の主張はいずれも理由がない。
(2)  小括
したがって,原告による業務完了の有無及び報酬額(争点1(2))について判断するまでもなく,MPD及びツタヤオンラインに対するコンサルティング業務についての報酬支払合意に基づく原告の請求は理由がないことになる。
3  争点2(レントラックに対するコンサルティング業務についての報酬支払合意の存否及びその報酬額)について
(1)  原告と被告会社間の報酬支払合意の存否(争点2(1))
ア 原告は,平成20年10月28日,BからCに対して送信した電子メール(甲34)により,原告と被告会社との間で,原告のレントラックに対するコンサルティング業務についての成功報酬を年間合理化金額の5箇年分相当の10%とする旨の成功報酬支払合意が成立したと主張する。
イ しかしながら,前記1の認定事実のとおり,MPD及びツタヤオンラインに対するコンサルティング業務についての成功報酬に関しては,平成20年当時,原告と被告会社との間で,変更追加契約書等の形で契約書案の作成が進められていたこと,レントラックに対するコンサルティング業務に関しては,原告と被告会社との間にも,原告とレントラックとの間にも,契約書が作成されていないこと,上記電子メールは,Bが同日に行われた会議の内容をCに対して確認するために,上記会議の内容をBなりに簡単にメモした内容のものであること等からすると,レントラックに対するコンサルティング業務についての契約書が作成されていない段階で,上記業務についての成功報酬支払合意が,BからCへの個人的な電子メールの送信によって成立したと認めることはできず,その他本件全証拠によっても,この時点において,原告と被告会社間において,そのような成功報酬支払合意が成立していたと認めることもできない。
ウ 以上によると,原告と被告会社との間でレントラックに対するコンサルティング業務についての成功報酬支払合意が成立したとは認められない。
(2)  小括
したがって,原告による業務完了の有無及び報酬額(争点2(2))について判断するまでもなく,レントラックに対するコンサルティング業務についての報酬支払合意に基づく原告の請求は理由がないことになる。
4  争点3(商法512条に基づく報酬支払請求権の有無及びその報酬額)について
(1)  被告会社のためのコンサルティング業務としての報酬請求権発生の有無及び報酬額(争点3(1))
ア 原告は,被告会社のためにMPDに対するコンサルティング業務を行ったと主張する。しかしながら,前記第2の1の前提となる事実及び前記1の認定事実のとおり,原告が行った業務は,被告会社グループに属するが,TSUTAYAが49%,日本出版販売が51%の株主構成であるMPDに関して,その物流過程を見直し,MPDの物流コストの削減を図るというものであって,被告会社の業務との関連性は飽くまで間接的なものであったこと,また,同業務は,TSUTAYAとの間で締結した本件コンサルティング契約において規定されているものであり,同契約上,下記イのツタヤオンラインに係る業務等と併せて,TSUTAYAが原告に対して月額500万円の定額の委託料名目の金員を支払うものであったが,これとは別に,成功報酬についてはMPDと協議の上で契約する旨が合意されていたことなどからすると,原告が行ったとするMPDに係る業務のうち上記の委託料名目の金員の支払を超える部分については,いまだ被告会社のために行われたものと認めることができないというべきである。
イ また,原告は,被告会社のためにツタヤオンラインに対するコンサルティング業務を行ったと主張するが,これを認めるに足りる的確な証拠がない(なお,前記1(10)のとおり,原告も,平成20年10月28日の電子メール(甲34)において,被告会社に対し,主としてMPD及びレントラックに係るコンサルティング業務の報酬の支払を求めていた。)。その上,同主張に係る業務も,TSUTAYAとの間で締結した本件コンサルティング契約において規定されているものであり,同契約上,上記アのMPDに係る業務と併せて,TSUTAYAが原告に対して月額500万円の定額の委託料名目の金員を支払うものであったが,これとは別に,成功報酬についてはツタヤオンラインと協議の上で契約する旨が合意されていたことからしても,原告が行ったとするツタヤオンラインに係る業務のうち上記の委託料名目の金員の支払を超える部分が仮にあったとしても,それは,いまだ被告会社のために行われるべきものであったと認めることもできないというべきである。
ウ 原告は,被告会社のためにレントラックに対するコンサルティング業務を行ったことによる商法512条に基づく報酬請求権の発生を主張する。しかしながら,前記1の認定事実によると,原告が行ったとする同コンサルティング業務は,レントラックのために行ったものであって,被告会社の業務との関連性は飽くまで間接的なものであるから,同業務は,いまだ被告会社のために行われたものと認めることができないというべきである。
エ したがって,原告のMPD,ツタヤオンライン及びレントラックに対するコンサルティング業務に関して,原告の被告会社に対する商法512条に基づく報酬請求は認められない。
(2)  レントラックのためのコンサルティング業務としての報酬請求権発生の有無及び報酬額(争点3(2))
ア 前記1の認定事実によると,原告のレントラックに対するコンサルティング業務は,レントラックのためにされた行為であり,会社である原告の営業行為に属するものである。そして,レントラックは平成21年4月1日にTSUTAYAに吸収合併され,TSUTAYAは平成21年10月1日に被告会社に吸収合併されたことから(前記第2の1(1)ウ),原告は,被告会社に対し,レントラックのために行った行為につき,商法512条に基づく相当額の報酬請求権を有することになる。
イ そこで,原告の受領すべき相当な報酬額について検討するに,原告は,原告のコンサルティング業務の実施によって,レントラックにおけるレンタルDVDの制作費及び物流費が,5年間で169億6162万3000円削減されることになることから,その10%が相当な報酬額であると主張する。
しかしながら,前記1の認定事実のとおり,原告が行ったコンサルティング業務は,コンサルティング案を作成して提示することが主たる内容であり,コンサルティング案の実現に向けたメーカー等との交渉のほとんどはレントラックが行っており,その発想や企画内容がレントラックの物流費等の削減に占める重要性を考えても,原告が実施したコンサルティング業務のみによって原告が主張するような合理化が実現したとは認め難いものである。
また,前記1の認定事実のとおり,レントラックの業務合理化に関する原告の提案を実施するには,取引先会社の協力等を要するものもあって,実際にも,取引先会社の任意の協力等が得られずに提案どおりに実施されなかったものもあったにもかかわらず,原告の主張は,このような取引の実情等を考慮せず,原告の提案どおりに業務の変更が行われれば多額の経費削減が行われたはずであり,これが実施されなかったとしても,それはレントラック側の問題であるとし,原告の提案どおりに業務変更が行われたならば得られたはずであると主張する経費削減額に対応する報酬額の支払を求めるというものであって,商法512条の報酬請求として到底認められるものではない。
以上のとおりであって,レントラックに係る合理化施策及びその実施につき,その発想や企画内容に原告が一定の関与をしたことをもって,商法512条に基づく相当報酬額が,当然に,合理化によって削減された,又は削減されるはずであったとする費用の10%という金額となるものでもない。
そして,前記1の認定事実に係る原告のレントラックの業務に関するコンサルティング業務の内容や期間のほか,そのコンサルティング業務の実施には,レントラック自身による交渉等が必須のものであったこと,原告が主張するような経費削減効果が生じたと認めることもできないことからすると,原告が行ったコンサルティング業務に対する商法512条に基づく相当の報酬の総額は,多くとも1億円を超えるものではないと認められる。
(3)  相当報酬額支払の有無(争点3(3))
前記1の認定事実によれば,原告は,本件コンサルティング契約締結後,同契約が中途解約された平成21年4月30日まで,TSUTAYAから同契約に基づき月額委託料名目で月額500万円の支払を受け,その後の中途解約金を含めて合計3億円の支払を受けたことが認められる。
もっとも,本件コンサルティング契約は,MPDやツタヤオンラインに対する合理化のコンサルティング業務を対象として締結されたものであって,直接的にはレントラックの合理化を対象としたものではなかったが,①前記1の認定事実のとおり,レントラックに対するコンサルティング業務が開始された平成20年2月頃以降,MPDの合理化に向けた定例会の開催は中止され,原告はMPDに対するコンサルティング業務を行わず,原告,被告会社及びレントラックとの間で,レントラックの合理化に関する会議のみが開催されていたこと,②上記(1)イのとおり,原告が,本件コンサルティング契約の存続期間を通して,ツタヤオンラインに対するこれといったコンサルティング業務を行ったとは認められないこと,③本件覚書においても,その他の被告会社関連プロジェクトは,本件覚書提案書をベースに都度事業計画を策定して取り決めるとされていたもので(甲28),Bとしても,レントラックに対するコンサルティング業務は,本件覚書に記載されたMPD及びツタヤオンラインに対する合理化プロジェクトに続くプロジェクトであり,レントラックに対するコンサルティング業務は当初の本件コンサルティング契約に組み込まれたものと考えていたこと(証人B),④レントラックに対するコンサルティング業務に関して,被告会社もレントラックも別段異議を述べておらず,前記1の認定事実のとおり,同コンサルティング業務の検討において,被告会社の関係者も加わっていたことなどを総合考慮すると,本件コンサルティング契約が,MPDやツタヤオンラインに対する合理化のコンサルティング業務を対象として締結されたものであったことをもってしても,平成20年2月頃以降の本件コンサルティング契約に基づく月額委託料の支払は,レントラックに対するコンサルティング業務への報酬支払の趣旨を含むものであったと見るのが相当である。
そして,被告会社の子会社であるTSUTAYAは,原告がレントラックに係る業務を中心的に行った同年2月頃以降の上記月額委託料及び中途解約金としても合計2億円を超える金額を支払っているものであるから,被告会社がレントラックに対するコンサルティング業務につき商法512条に基づき負う相当の報酬の支払債務は履行済みであるといえる。
(4)  小括
したがって,商法512条に基づく,原告からのレントラックのためのコンサルティング業務としての報酬請求は理由がないことになる。
5  争点4(被告Y1に対する損害賠償請求の可否)について
前記2ないし4のとおり,被告会社が原告に対して報酬支払債務を負わない以上,被告Y1が原告に対して損害賠償債務を負うこともないというべきであるから,原告の請求には理由がない。
6  結論
以上によると,原告の請求はいずれも理由がないから,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 本多知成 裁判官 秋元健一 裁判官 伊藤渉)

 

別紙
当事者目録
長野県諏訪郡〈以下省略〉
原告 原田&パートナーズ株式会社
同代表者代表取締役 A
同訴訟代理人弁護士 岩城本臣
同 安保智勇
同 中村健三
大阪市〈以下省略〉
被告 カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社
同代表者代表取締役 Y1
大阪府枚方市〈以下省略〉
被告 Y1
上記両名訴訟代理人弁護士 礒川正明
同 相内真一
同 東重彦
同 礒川剛志
同 水口良一
同 寺中良樹
同 松本史郎
同 村上智裕
同 天野雄介
同 中村美絵
同 水口哲也
同 谷岡俊英
以上

 

*******

関連記事一覧

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。


Notice: Undefined index: show_google_top in /home/users/1/lolipop.jp-2394bc826a12fc5a/web/www.bokuore.com/wp-content/themes/rumble_tcd058/footer.php on line 296

Notice: Undefined index: show_google_btm in /home/users/1/lolipop.jp-2394bc826a12fc5a/web/www.bokuore.com/wp-content/themes/rumble_tcd058/footer.php on line 296