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判例リスト「完全成果報酬|完全成功報酬 営業代行会社」(157)平成25年12月16日 東京地裁 平22(ワ)46278号 管理費等請求事件

判例リスト「完全成果報酬|完全成功報酬 営業代行会社」(157)平成25年12月16日 東京地裁 平22(ワ)46278号 管理費等請求事件

裁判年月日  平成25年12月16日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平22(ワ)46278号
事件名  管理費等請求事件
裁判結果  一部認容、一部棄却  文献番号  2013WLJPCA12168006

要旨
◆マンション管理組合である原告が、組合員である被告に対し、主位的に、4年半分の管理料につき旧管理規約所定の管理費及び修繕積立金と被告の既払額との差額支払を、予備的に、区分所有法19条に基づく共用部分の負担としての管理費等と既払額との差額支払を求め、2年10か月分の管理料につき現管理規約所定の管理費等と既払額との差額支払を、また、現規約所定の弁護士費用相当損害金の支払を求めた事案において、旧規約の無効及び区分所有法19条による請求をいう原告の主張並びに現規約の無効をいう被告の主張を退けた上で、本件では、被告の不当利得債権を理由とする相殺主張は理由がない一方、現規約は管理費等の訴求に要する弁護士費用を請求できるとは定めていないとして弁護士費用請求を棄却し、差額請求のみ一部認容した事例

参照条文
建物の区分所有等に関する法律19条
建物の区分所有等に関する法律30条
建物の区分所有等に関する法律31条1項
民法90条
民法91条
民法419条1項
民法505条1項
民法703条

裁判年月日  平成25年12月16日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平22(ワ)46278号
事件名  管理費等請求事件
裁判結果  一部認容、一部棄却  文献番号  2013WLJPCA12168006

東京都葛飾区〈以下省略〉
原告 Xマンション管理組合
同代表者理事長 A
同訴訟代理人弁護士 佐原專二
東京都港区〈以下省略〉
被告 関東ハイツ株式会社
同代表者代表取締役 B
同訴訟代理人弁護士 湯 一衛
同 綾部薫平

 

 

主文

1  被告は,原告に対し,559万3251円及び別紙未払管理費等一覧表の各差額欄記載の額に対する各認定支払期限欄記載の日の翌日から支払済みに至るまでそれぞれ年18.25%の割合による金員を支払え。
2  原告のその余の請求を棄却する。
3  訴訟費用は,これを3分し,うち1を被告の,その余を原告の負担とする。
4  この判決は,主文1項に限り仮に執行することができる。

 

事実及び理由

第1  請求の趣旨
1  被告は,原告に対し,1487万6388円及び別紙未払管理費等一覧表の各発生月に対応する小計欄記載の各金額に対する各支払期限欄記載の日の翌日から支払済みに至るまで,それぞれ年18.25%の割合による金員を支払え。
2  被告は,原告に対し,176万4000円及びこれに対する平成23年1月7日(訴状送達の日の翌日)から支払済みに至るまで,年5%の割合による金員を支払え。
3  被告は,原告に対し,85万7850円及びこれに対する平成25年4月5日(平成25年4月4日付け訴え変更申立書送達の日の翌日)から支払済みに至るまで,年5%の割合による金員を支払え。
4  訴訟費用は被告の負担とする。
5  仮執行宣言
第2  事案の概要等
1  本件は,マンション管理組合である原告が,組合員である被告に対し,①主位的に平成18年1月分から平成22年6月分までの間の管理料について,昭和61年10月25日施行の管理規約(以下「旧規約」という。)により定められた管理費及び修繕積立金と被告の既払額との差額の支払を,予備的に建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」という。)19条に基づき共用部分の負担としての管理費及び修繕積立金と被告の既払金との差額の支払を,②平成22年7月分から平成25年4月分までの間の管理料について,平成21年12月26日開催の総会決議又は平成21年12月27日制定の管理規約(以下「現規約」という。)により定められた管理費及び修繕積立金と被告の既払額との差額の支払いを,③現管理規約所定の弁護士費用相当損害金の支払をそれぞれ求めた事案である。
2  前提事実
当事者間に争いのない事実,かっこ内に摘示した証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が容易に認められる。
(1)  原告(甲1)
東京都葛飾区〈以下省略〉所在の区分所有の対象となる建物「Xマンション」の区分所有者全員で組織する管理組合である。
(2)  被告(甲44,原告代表者本人)
不動産の売買,賃貸,管理等を目的とする株式会社である。
Xマンション内に別紙物件目録記載1ないし3の建物を有する原告の組合員である。
昭和57年ころから平成14年ころまで,Xマンションの管理会社であった。
(3)  被告の建物取得(甲2ないし甲4,乙34)
被告は,昭和54年4月20日,別紙物件目録記載1ないし3の各建物をいずれも売買により取得した。
このうち,別紙物件目録記載1及び2の各建物は,いずれも店舗であり,被告は,合計11区画に仕切り,貸店舗として利用している(以下,まとめて「本件各店舗」という。)。
別紙物件目録記載3の建物は,駐車場であり,被告は貸駐車場として利用している(以下「本件駐車場」といい,本件各店舗と合わせて「本件店舗等」という。)。
(4)  旧規約の概要(甲5,甲29)
昭和61年10月25日制定施行の旧規約には,大要,以下の定めがあった。
11条(共有持分)
1項 各区分所有者の共有持分は,その所有する専有部分の床面積の割合による。
2項 前項の床面積の計算は,壁心計算(界壁の中心線で囲まれた部分の面積を算出する方法をいう。)によるものとする。
26条(修繕の種類)
1項 対象物件の共用部分の修繕を次のごとく区分する。
1号 普通修繕
偶発的な損傷か所を各区分所有者又は管理者の申出により行う修繕である。
2号 計画修繕
一定年数の経過ごとに,周期的に計画的に行う修繕である。
3号 特別修繕
不測の事故その他の事由による修繕と,故障又は事故を未然に防止するために行う修繕である。
2項 前項のうち計画修繕及び特別修繕については,管理組合の総会の決議により行う。
29条(管理費等)
1項 区分所有者は,敷地及び共用部分等の管理に要する経費に充てるため,次の費用(以下「管理費等」という。)を管理組合に納入しなければならない。
1号 管理費
2号 修繕積立金
2項 管理費の額については,11条の共有持分に応じて算出するものとする。但し,1階店舗,駐車場については住戸部分と共用する部分についての管理費用にて算出するものとする。
3項 修繕積立金の負担割合は昭和54年4月1日時の販売価格の比によって算出する。但し1階店舗,駐車場については住戸部分の修繕積立金総額に対し全体共用部分一部共用部分及び1階の資産価値のそれぞれの比を勘案し算出するものとする。
4項 前項の管理費,修繕積立金の額は管理組合の総会の決議により決定する。
31条(管理費)
管理費は,次の各号に掲げる通常の管理に要する経費に充当する。
1号 公租公課
2号 火災保険その他損害保険料
3号 エレベーター設備,その他の機械の定期点検,保守費
4号 清掃,消毒及びごみ処理費
5号 エレベーター設備,その他機械の動力費
6号 廊下灯,外灯,その他共用部分にかかわる電気料金
7号 共用部分にかかわる水道料金
8号 8条に掲げる附属施設設備の維持運営費
9号 26条に定める普通修繕費
10号 管理業者等への委託料
11号 管理組合の運営費
12号 上記各号に関する事務費,渉外費
13号 町内会費
14号 その他管理組合の目的達成に要する費用
32条(修繕積立金)
1項 管理組合は,26条に定める計画修繕,特別修繕等を行うため修繕積立金として積み立てるものとする。
2項以下 略
51条(議決権)
1項 組合員は,その区分所有する専有部分1戸につき1個の議決権を有する。
住戸部分の議決権は89個1階部分の議決権は11個とする。
2項以下 略
52条(総会の会議及び議事)
1項 総会の会議は,前条1項に定める議決権総数の半数以上を有する組合員が出席しなければならない。
2項 総会の議事は,出席組合員の議決権の過半数で決し,可否同数の場合においては議長の決するところによる。
3項 次の各号に掲げる事項に関する総会の議事は,前項にかかわらず,組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決する。
1号 規約の制定又は変更又は廃止
2号 敷地及び共用部分等の変更または処分,及び計画修繕並びに特別修繕(改良を目的とし,かつ,著しく多額の費用を要しないものを除く。)
3号以下 略
4項及び5項 略
6項 3項1号において,規約の変更が一部の組合員の権利に特別の影響を及ぼすべきときは,承諾を得なければならない。この場合において,その組合員は正当な理由がなければこれを拒否してはならない。
7項 3項2号における敷地及び共用部分等の変更又は処分等が,専有部分又は専用使用部分の使用に特別の影響を及ぼすときは,その専有部分を所有する組合員又はその専用使用部分の専用使用を認められている組合員の承諾を得なければならない。この場合においてその組合員は正当な理由がなければこれを拒否してはならない。
8項 略
9項 総会においては,48条1項により予め通知した事項についてのみ決議することができる。
10項 略
53条(議決事項)
次の各号に掲げる事項については,総会の決議を経なければならない。
1号及び2号 略
3号 管理費等及び専用使用料の額並びに賦課徴収方法,33条の修繕費の追加徴収に関する件
4号以下 略
64条(管理費等の徴収)
1項 管理組合は,29条に定める管理費等及び34条に定める使用料について,組合員が各自開設する預金口座から自動振替の方法により66条に定める口座に受け入れることとし,当月分は前月の25日までに一括して徴収する。(以下略)
2項 組合員が前項の期日までに納付すべき金額を納付しない場合において,管理組合は,その未払金額について年利18.25%の遅延損害金を加算して,その組合員に対して請求する。
3項 略
4項 組合員は,納付した管理費等及び専用使用料について,その返還請求又は分割請求をすることができない。
5項以下 略
別表の記載
店舗部分
管理費(月額) 3万2554円
修繕積立金(月額) 7885円
敷地全体共用部分議決権 11
住居部分(一部共用部分)議決権 0
店舗部分(一部共用部分)議決権 11
(5)  平成元年4月28日開催の第10期定時総会における修繕積立金額の増額(甲6,甲7)
原告の平成元年4月28日開催の第10期定時総会において,平成元年5月分以降の修繕積立金を以下のとおり,20%増額する旨議決された(以下「第1決議」という。)。
1階の修繕積立金 月額1万3624円
(6)  平成2年4月21日開催の第11期定時総会における修繕積立金の増額(甲8,甲9)
原告の平成2年4月21日開催の第11期定時総会において,平成2年5月分以降の修繕積立金を以下のとおり,20%増額する旨議決された(以下「第2決議」という。)
1階の修繕積立金 月額1万6348円
(7)  平成7年5月20日開催の第16期定時総会における管理費の増額(甲10,甲11)
原告の平成7年5月20日開催の第16期定時総会において,管理費を以下のとおり,10%増額する旨議決された(以下「第3決議」という。)。
1階の管理費 月額3万5809円
(8)  平成21年12月26日開催の第31期臨時総会における管理費及び修繕積立金の増額(甲18,甲19)
原告の平成21年12月26日開催の第31期臨時総会において,平成22年1月分以降の管理費及び修繕積立金を以下のとおり増額する旨議決された(以下「第4決議」という。)。
1階の管理費 月額11万3892円
1階の修繕積立金 月額8万1656円
合計 月額19万5548円
(9)  現規約の概要(甲1,原告代表者本人)
原告の平成22年5月29日開催の第32期の総会で現規約が議決された。これには,大要,以下の定めがあったほか,旧規約では①本件店舗等の一部共用部分であった1階店舗・駐車場を除く外壁,2階花壇,駐車場から公道に至る敷地,②住居部分の一部共用部分であった全体パイプスペース,雨樋,ごみ置き場等の部分を全体共用部分に変更した。これは,同月30日から発効した。
61条(管理費等の徴収)
1項 管理組合は,26条に定める管理費等及び30条に定める使用料について,組合員が各自開設する預金口座から自動振替の方法により63条に定める口座に受け入れることとし,当月分は当月27日までに徴収する。(以下略)
2項 組合員が前項の期日までに納付すべき金額を納付しない場合には,管理組合は,その未払金額について,年利18.25%(中略)の遅延損害金と,違約金としての弁護士費用並びに督促及び徴収の諸費用を加算して,その組合員に対して請求することができる。
3項以下 略
68条(理事長の勧告及び指示等)
1項及び2項 略
3項 区分所有者等が本規約若しくは使用細則等に違反したとき,又は区分所有者等若しくは区分所有者等以外の第三者が敷地及び共用部分等において不法行為を行ったときは,理事長は,理事会の決議を経て,次の措置を講ずることができる。
1号 行為の差止,排除又は原状回復のための必要な措置の請求に関し,管理組合を代表して,訴訟その他法的措置を追行すること
2号 敷地及び共用部分等について生じた損害賠償金又は不当利得による返還金の請求又は受領に関し,区分所有者のために,訴訟において原告又は被告となること,その他法的措置をとること
4項 前項の訴えを提起する場合,理事長は,請求の相手方に対し,違約金としての弁護士費用及び差止等の諸費用を請求することができる。
別表第4の記載
本件店舗等
管理費 月額11万3892円
修繕積立金 月額8万1656円
支払方法
毎月27日までに当月分を支払う。
(10)  原告の弁護士費用の支出(甲21,甲58)
原告は,平成22年12月13日,原告訴訟代理人との間で,以下のとおり弁護士費用を支払う旨の約束をした。
着手金
経済的利益の額940万円の5%と9万円の合計額に消費税を加算 58万8000円
成功報酬
経済的利益の額の10%と18万円の合計に消費税を加算 117万6000円
合計 176万4000円
原告は,平成25年4月2日,原告訴訟代理人との間で,以下のとおり弁護士費用を支払う旨の約束をした。
着手金
経済的利益の額547万円の5%(1万円未満切捨)に消費税を加算 28万3500円
成功報酬
経済的利益の額の10%に消費税を加算 57万4350円
合計 85万7850円
(11)  被告の支払状況
被告は,管理費及び修繕積立金を以下のとおり支払った。
平成18年1月分から平成21年12月分まで
管理費 月額3万5809円
修繕積立金 月額1万6348円
合計 月額5万2157円
平成22年1月分から平成25年3月分まで
管理費 支払なし
修繕積立金 支払なし
(12)  被告の供託(乙1の1ないし乙1の11,乙33の1ないし乙33の28)
被告は,別紙未払管理費等一覧表の供託日記載の各日に,各発生月の管理費債務及び修繕積立金債務について,同表供託額欄記載の金額を供託した。なお,被告は,本件口頭弁論終結日までの供託も続けている(乙38の1ないし乙38の6)。
(12)  相殺の意思表示
被告は,平成23年10月18日に原告に到達した同月20日付け準備書面(3)により,原告が本件で訴求する債権のうち以下のアの債権と,被告が原告に対して有する以下のイの債権とを対当額で相殺する旨の意思表示を行った。
ア 受働債権
(ア) 管理費債権及び修繕積立金債権
平成22年1月分以降の管理費債権のうち月額11万3892円円及び修繕積立金債権のうち月額8万1656円合計19万5548円並びにこれらに対する別紙未払管理費等一覧表の各発生月に対応する支払期限欄記載の日の翌日から支払済みに至るまで年18.25%の割合による金員
(イ) 弁護士費用相当損害金債権
上記(ア)の管理費債権及び修繕積立金債権の訴求に要する弁護士費用相当損害金176万4000円
イ 自働債権
被告は以下の負担,すなわち①被告所有の本件店舗等の専有部分の空間を通過する住戸部分の排水管からの水漏れの負担,②集合桝及びそこから下水道本管に至る排水管からの溢水等の危険の負担,③住戸部分の通信回線通過の負担,④点検等のための管理員の立入を受忍する負担を負っており,これについて月額14万3391円を下らない損失を被っている一方,原告は,共用部分の管理に関し,同額の負担を免れる利得を得ており,被告は原告に対し,同額の不当利得返還請求権を有する。
第3  争点
1  本件の争点は,①旧規約の下での本件店舗等の管理費及び修繕積立金の額,②第1決議の有効性,③第2決議の有効性,④第3決議の有効性,⑤第4決議の有効性,⑥現規約の管理費及び修繕積立金の額の定めの有効性,⑦被告の不当利得債権の存否,⑧弁護士費用請求の根拠である。
2  旧規約の下での本件店舗等の管理費及び修繕積立金の額
(1)  原告の主張
ア 管理費用
管理費用は,旧規約29条2項によれば,原則として管理費用に要した費用を11条所定の共有持分割合に基づき算出するが,本件店舗等については,住戸部分と共用する部分についての管理費用に基づいて算出されることとされている。
平成17年度から平成21年度までの間の実際に要した管理費用は,別紙管理費用表記載のとおりで,5か年で平均した値は,年平均欄記載のとおりである。
当時の11条所定の共有持分割合は,別紙専有面積等表記載のとおりである。
これによれば,全体共用部分の管理費月平均額50万2488円に専有面積比15.354%を乗じた額に本件店舗等の一部共用部分の管理費月平均3224円を加算した額は,月額8万0376円となる。
もっとも,住宅部分の区分所有者が実際に支払っているのは,上記平成17年度から平成21年度までの間の実際に要した管理費用の1.5122倍であることからすると,本件店舗等の区分所有者も同様に上記8万0376円の1.5122倍である月額12万1547円を支払うべきである。
旧規約の別表の記載は,旧規約29条2項の算定基準を無視して定められたものであり,合理的説明もないまま不公平な額が総会で決議されたもので,無効である。
イ 修繕積立金
修繕積立金は,旧規約29条3項によれば,以下のとおりと計算される。
Xマンションが建築されてから平成19年度に至までの29年間の修繕履歴実績と各部分の比率(小数点第4位以下四捨五入)は以下のとおりである。
部分 額 比率
全体共用部分 1億5382万5918円 0.636
住戸一部共用部分 8801万0041円 0.364
総額 2億4183万3000円 1
本件店舗等の昭和54年4月1日時の販売価格の比は不明であるが,1階部分は最も不動産評価額が高く,少なくとも10階部分と同額以上の価値があると見ることができ,10階の1m2当たりの修繕積立金単価と同水準の修繕積立金を要すると解するべきである。
平成21年1月当時の10階の修繕積立金の月額4万6658円を専有面積287.70m2で除した1m2当たりの修繕積立金単価は,162.1759円(小数点第5位以下四捨五入)である。
これに本件店舗等の専有面積822.06m2を乗ずると,本件店舗等の全体共用部分の修繕積立金は,月額8万4790円となる。
もっとも,実際の修繕積立金額の年額803万1132円と修繕履歴実績額の年平均額833万9069円との比率は,0.963であるから,上記月額8万4790円にこれを乗ずると,月額8万1652円となる。
旧規約の別表の記載は,旧規約29条3項の算定基準を無視して定めたもので,合理的説明もないまま不公平な額が総会で決議されたもので,無効である。
(2)  被告の主張
ア 管理費
実際に要した管理費の額については不知。その余は否認ないし争う。
管理費は,旧規約29条2項ただし書,4項に基づき作成された別表が適用される。本件店舗等については,平成18年1月以降現在に至るまで,第3決議で変更された月額3万5809円となる。
イ 修繕積立金
平成19年度までの修繕履歴実績の額については不知。その余は否認ないし争う。
修繕積立金については,旧規約29条3項ただし書,4項に基づき作成された別表が適用される。本件店舗については,平成18年1月以降現在に至るまで,第2決議で変更された月額1万6348円となる。
3  第1決議の有効性
(1)  被告の主張
仮に旧規定の別表が無効であるとしても,第1決議により,本件店舗等の修繕積立金は,月額1万3624円と定められた。
(2)  原告の主張
第1決議は無効である。
旧規約29条3項の算定基準に反しているし,旧規約の別表記載の額を基準に割増した額であるに過ぎない。
4  第2決議の有効性
(1)  被告の主張
仮に旧規定の別表が無効であるとしても,第2決議により,本件店舗等の修繕積立金は,月額1万6348円と定められた。
(2)  原告の主張
第2決議は無効である。
旧規約29条3項の算定基準に反しているし,旧規約の別表記載の額を基準に割増した第1決議所定の額を基準に割増した額に過ぎない。
5  第3決議の有効性
(1)  被告の主張
仮に旧規定の別表が無効であるとしても,第3決議により,本件店舗等の管理費は,月額3万5809円と定められた。
(2)  原告の主張
第3決議は無効である。
旧規約29条2項の算定基準に反しているし,旧規約の別表記載の額を基準に割増した額であるに過ぎない。
6  第4決議の有効性
(1)  原告の主張
第4決議は,旧規約29条2項,3項各所定の算定基準に基づいて定められた適正有効なものである。
何ら被告に過大な負担を課すものでもない。
(2)  被告の主張
否認ないし争う。
第4決議の際の管理費の計算には,全体共用部分の費用ではない①事務管理費,②管理員費,③変電設備費が含まれており,これを除外して算定すると,適正な管理費は月額2万4440円である。
原告は,その約4.6倍の管理費を定めており,区分所有法の趣旨及び民法90条に反する無効な定めである。
第4決議の際の修繕積立金の計算には,外壁塗装費が約46%含まれているが,これは全体共用部分の修繕費と評価すべきでない。また,本件店舗等分の価値は低い。
原告は,修繕積立金について著しく不当な負担を課しており,区分所有法の趣旨及び民法90条に反する無効な定めである。
また,第4決議は,本件店舗等が負担している非金銭的負担,すなわち①被告所有の本件店舗等の専有部分の空間を通過する住戸部分の排水管からの水漏れの負担,②集合桝及びそこから下水道本管に至る排水管からの溢水等の危険の負担,③住戸部分の通信回線通過の負担,④点検等のための管理員の立入を受忍する負担を考慮しておらず,これを考慮すれば,第4決議所定の管理費及び修繕積立金は,本件店舗等のみに過大な負担を課すもので,区分所有法の趣旨及び民法90条に反する無効なものである。
7  現規約の管理費及び修繕積立金の額の定めの有効性
(1)  原告の主張
6(1)に同じ
(2)  被告の主張
6(2)の主張に加え,以下を主張する。
現規約の管理費及び修繕積立金の額を定める際,一部共用部分を全体共用部分に変更することが行われ,これに基づいて管理費及び修繕積立金が算出された。これは,被告に「特別の影響」を及ぼすので被告の承諾を要するところ(区分所有法31条1項後段),これを欠いているので,これに関する現規約を定めた総会決議は無効である。
そうすると,上記共用部分の変更を前提として算出された現規約の修繕積立金の額も本件店舗等にのみ過大な負担を課すもので,区分所有法の趣旨及び民法90条に反する無効なものである。
8  被告の不当利得債権の存否
(1)  被告の主張
被告は以下の負担,すなわち①被告所有の本件店舗等の専有部分の空間を通過する住戸部分の排水管からの水漏れの負担,②集合桝及びそこから下水道本管に至る排水管からの水漏れの危険の負担,③住戸部分の通信回線通貨の負担,④点検等のための管理員の立入を受忍する負担を負っており,これについて月額14万3391円を下らない損失を被っている一方,原告は,共用部分の管理に関し,同額の負担を免れる利得を得ており,被告は原告に対し,同額の不当利得返還請求権を有する。
(2)  原告の主張
被告は,本件店舗等を取得する際,排水管や通信回線の存在を認識し,その存在を前提として減額した買受け価格を決めているはずで,これらの存在に係る負担は購入時に織り込み済みで,損失は発生していない。
排水管や通信回線を設置したのは,Xマンションのデベロッパーである常総開発株式会社(以下「常総開発」という。)であり,被告は,同社と事実上一体ないし極めて近しい関係にあったので,構造上の責任を原告に対して主張するのは筋違いである。
原告は水漏れが発生しないよう定期点検や補修を行っており,原告が原因の水漏れは発生したことがない。
管理員が点検のために1階駐車場に立ち入るのも年に数回程度であり,これによって駐車に支障を来すこともない。
以上によれば,被告にとって金銭的に評価できるほどの損失は発生していない。
9  弁護士費用請求の根拠
(1)  原告の主張
原告は,現規約68条4項に基づき,違約金として弁護士費用相当額を被告に請求できる。
(2)  被告の主張
否認ないし争う。
現規約68条4項所定の「前項の訴え」に,管理費及び修繕積立金の支払請求訴訟は含まれていない。
第4  当裁判所の判断
1  認定事実
当事者間に争いのない事実,かっこ内に摘示した証拠及び弁論の全趣旨により認められる事実は以下のとおりである。
(1)  Xマンションの各区分所有部分の専有面積は,別紙専有面積等表記載のとおりである(甲1)。
(2)  Xマンションの1階には,店舗区画が11区画と駐車場や管理人室が設けられていたが,区分所有の対象としては,店舗が2区画,駐車場1区画であった(甲2ないし甲5)。
(3)  被告が区分所有権を有する区画には,住戸部分の排水管が通されているが,これは建築当初から設置されていた(甲30,乙5の1ないし乙5の4,乙13の1)。
(4)  Xマンション1階の駐車場には排気用ファンがあるが,この電源は,Xマンションの地下1階に設けられた自家発電機から得ていた。
Xマンションの屋上には,本件各店舗のための排気用ファンを収納している塔屋があり,同ファンはXマンションの地下1階に設けられた自家発電機から電源を得ていた(甲31ないし甲33)。
(5)  本件駐車場の壁内に住戸部分の通信回線が通過している(乙7,被告代表者本人)。
(6)  Xマンションでは,本件駐車場を通過しないと,住戸部分の排水管や通信回線の点検を行えないため,排水管については年に1回程度,通信回線については一,二年に1回程度,駐車場を通行して点検を行っている(乙8,原告代表者本人)。
(7)  Xマンションは,常総開発が売主となって新築時に分譲を行った。その際,2階から10階までは区分所有権が販売されたが,1階は貸店舗とされた。売出時の管理費及び修繕積立金は,別紙専有面積等表の売出時管理費欄及び売出時修繕積立金欄記載のとおりである(甲22,甲43)。なお,甲43に記載された10階の各室の管理費及び修繕積立金は,甲43の各室の専有面積が現規約(甲1)のそれと異なり,甲43の2室を1室にしていることがうかがわれ,甲43の記載をそのまま採用することはできない。
その後の昭和54年4月ころ,原告の原始管理規約が制定されたが,その際,本件店舗等の管理費及び修繕費について具体的に定められなかった(乙2)。
(8)  Xマンションの管理は,売出時から昭和55年3月までは個々の区分所有部分の購入者との間の契約に基づき常総開発が行っていたが,同年4月に管理組合の理事長選出した後,管理組合である原告と常総開発との間の管理委託契約に基づき行われることとなった。その際,本件店舗等の管理費及び修繕積立金は,以下のとおりとされた。もっとも,管理費については,同額を管理委託料とする旨も定められた(乙14,乙34,被告代表者本人)。
管理費 月額5万5000円
修繕積立金 月額5500円
合計 月額6万0500円
(9)  被告は,昭和56年4月1日,原告との間で管理委託契約を締結し,以後,平成14年12月まで契約を続けた(乙15,乙34)。
(10)  原告の昭和56年4月28日開催の定期総会においては,管理費及び修繕積立金をいずれも10%程度値上げする旨の議決がされた。その際,理事長であった議長が管理費が年間約80万円程度不足する,修繕積立金は現在のままでは不足が見込まれる旨説明した。
当時の副理事長は,被告及び常総開発の取締役であったCであり,現在の原告代表者も理事の一員であった(甲25)。
(11)  原告と被告は,昭和56年5月1日,本件店舗等の管理費及び修繕積立金についての覚書(乙3)を取り交わした。これによる管理費及び修繕積立金の額は以下のとおりである。これには,「甲(原告を指す。)との関連は店舗便所の汚水処理と駐車場の電灯に限定されており一般住宅部分の利用価値とは異なることを双方確認する。」,「店舗当り月額6050円の割合で算出」との記載がある。
管理費及び修繕積立金 月額6万0500円
(12)  原告の昭和59年4月27日開催の総会においては,維持管理上,修繕積立金を値上げしないと一時的に多大な出費が必要になる旨の説明が理事長である議長から説明された。当時の副理事長は,被告及び常総開発の取締役であったCであり,現在の原告代表者も同様に副理事長の地位にあった(甲28)。
(13)  原告と被告は,昭和59年5月1日,同月分以降の本件店舗等の1店舗区画当たりの管理費及び修繕積立金について,以下のとおり定める覚書(乙4)を取り交わした。これと昭和56年5月1日付け覚書(乙3)とを対照すると,本件店舗等の管理費及び修繕積立金の合計額は,月額6万6000円と定めたものであると推認される。
管理費 5500円
修繕積立金 1100円
合計 6600円
(14)  被告と常総開発は,昭和60年当時,本店所在地が同一で,取締役3名が共通し,代表取締役も同一であった(甲23,甲24)。
(15)  旧規約は,原告の昭和61年10月25日開催の臨時総会において全員賛成の下で制定されたものであるが,同総会においては,管理費及び修繕積立金の額の改定も議題にのぼっていた。その際,当時の担当理事は,20年間の修繕サイクルを設定して昭和60年12月現在の見積金額で修繕計画一覧表を作成算出したとして図表を用いて説明を行った。これに続き,理事長たる議長が,管理費及び修繕積立金の算出表を提示し,①管理費について,従来は売出価格から割り出していたが,今回は専有(用)面積割りで算出した,②修繕積立金について,従来は管理費の10%としていたが,今回は財産価値(売出価格も含んで)により算出した旨説明した。その上で,管理費及び修繕積立金を同表のとおり改定する旨の決議が成立した(甲29)。この際の議決は全員の賛成によるもので,旧規約(甲5)と,甲29を対照すると,総議決権数100のうち,本件各店舗につき11と,本件駐車場につき零として決議されたことがうかがわれる。
(16)  平成元年4月28日の第1決議に際しては,当時の副理事長が①昭和60年ころに立てた耐用年数対策案の長期修繕積立金計画の概略を説明した上,今後5年間,修繕積立金を20%値上げした計画であったこと,②現実に一定の修繕積立金が積み上がっているが,外壁補修,屋上防水工事等を実施すれば各戸の負担金が算出されることから5か年計画を実施したい等の説明を行った(甲7)。
(17)  平成2年4月21日の第2決議に際しては,当時の理事から現行修繕積立金を20%上げる旨の説明がなされた(甲9)。
(18)  原告は,平成4年,外壁,外階段等の塗装工事を行う大規模修繕を実施した。その費用は約5800万円であったが,うち約3300万円を修繕積立金として積み立てた金員から,残金約2500万円を住戸部分の区分所有者が分担して負担し,調達した。すなわち,本件店舗等の負担はなかった(乙35)。
(19)  平成7年5月20日の第3決議に際しては,当時の理事長が議長として現行管理費を10%上げる旨の説明をした(甲11)。
(20)  Xマンションの建設時から平成19年度までの修繕履歴実績は,合計2億4183万3000円である(甲17,甲35の1ないし甲37の2,甲40)。
(21)  原告は,平成15年5月31日,第24期定時総会を開催した。その際,大規模修繕に伴う一時金の徴収が議題とされ可決され,本件店舗部分については,修繕積立金月額1万6348円と他の区分所有者の修繕積立金月額との比率に基づき,全体の徴収額の2.44%に相当する82万9600円とされた。この決議の際,組合員からの「一時金一覧について1階の負担は表のとおりなのか。」との質問に対し,当時の理事長かつ議長として,「1階に関しては,マンション部分と修繕積立金対象項目が違うため,自己負担部分が多いことと,エレベーター等マンション専有部分の使用をしないこと等があり,最初の積立金改定時に決定している比率である。」と説明したことがあった(甲59,乙16,乙17)。
(22)  原告は,平成19年5月27日,日本ハウズイング株式会社との間で管理委託契約を締結しているが,同契約においては,①事務管理業務として管理組合の会計の収入及び支出の調定,出納,建物の維持又は修繕に関する企画又は実施の調整を行うほか,②管理員業務として点検業務,官公署との渉外業務,建物周囲のごみ拾い,植え込みの散水及び除草等が含まれている(甲38,甲54の1ないし甲54の12)。
(23)  被告は,平成21年7月1日,本件店舗等の管理人を選任し,年額10万円で業務委託契約を締結した(乙12)。
(24)  平成21年12月26日の第4決議に際しては,事前に「第31期臨時総会上程議案説明書」が配布されたが(甲18),これには,区分所有法30条3項の主旨に則り,旧規約29条,11条に基づき管理費及び修繕積立金の計算基準により精査したところ,1階専有部分の負担が過少であることが判明し,平成20年夏ころから協議を行ってきたが,1階区分所有者から是正に根拠がないとして協議が調わなかったので,管理費及び修繕積立金の額の定めを改定したい旨の記載があった。
第4決議において管理費及び修繕積立金が変更されたのは,本件店舗等のみであった。
(25)  平成22年3月16日,被告が区分所有する店舗部分のうちの1区画に入居する中華料理店及びラーメン店の各グリストラップ(厨房からの排水に含まれる油や残飯を一時的に貯留する装置。)を確認したところ,いずれも油が固化して機能不全の状態であった。
上記各店を含む1階店舗部分の排水を2階以上の住居部分の排水が合流する合流排水桝は,本件駐車場内にあるが,平成22年5月8日,溢水寸前の状態であった。ただし,集合枡が油で固まっている状況は確認されていない(甲31,乙13の2,原告代表者本人)。
もっとも,平成24年1月ないし同年4月ころのグリストラップには特に問題がうかがわれなかった(乙22の1,乙22の2)。
(26)  被告は,平成22年5月に本件駐車場内のマンホールからの溢水があった際,8万9250円を負担して修補を行った(乙11の1ないし乙11の3)。
(27)  平成23年4月30日時点のXマンション近隣の物件の1階の事務所又は店舗用賃貸物件の賃料は,1坪当たり月額1万2000円から1万7000円であった。
同日時点での住居用賃貸物件の賃料は,1坪当たり月額5950円であった(甲34)。
(28)  本件駐車場には,かねてコンセントが2口設けられていたが平成23年11月ころ,これがつぶされ,配線が電話会社ないし通信会社のコントロールボックス2つに利用されるようになった(乙19)。
(29)  平成24年1月16日,本件店舗内のトイレ壁内に埋設された給水配管が漏水し,同トイレ内に漏水することがあった(乙23の1,乙23の2)。
2  旧規約の下での本件店舗等の管理費及び修繕積立金の額
旧規約の下での管理費及び修繕積立金の額は,同規約の別表のとおりであり,本件店舗等の管理費及び修繕積立金の額は以下のとおりであると認められ,原告の主張は採用できない。
管理費 月額3万2554円
修繕積立金 月額7885円
旧規約(甲5)には,原告が指摘するとおり,管理費につき専有部分の割合により原則として算出される共有持分に応じた負担とし,修繕積立金については原則として売出価格の比に応じた負担とする旨の規定がある(29条2項,3項)。
しかしながら,これらにはただし書があり,本件店舗等の管理費については全体共用部分の管理費用に応じて算出するものとされており,管理費用が全体共用部分に関する本件店舗等の利用者の利用実態や管理の実態に一定程度左右されるものであることからすると,一義的に定まるものと考えられていなかったことがうかがわれる。また,本件店舗等の修繕積立金についても資産価値の比を勘案して算出するものとされており,専有部分の割合や売出価格の比に応じて一義的に定まるようにはされていない。
また,管理費や修繕積立金の具体的額は管理組合の総会決議事項とされており(29条4項),管理費用や修繕費の実績から一義的に割り振りされるようにはなっておらず,その時々の諸事情を勘案して管理組合の総会で決定されるべき事項となっている。
以上の旧規約の体裁からすると,管理費や修繕積立金の額を旧規約29条2項,3項から一義的に導き出すことはできず,同条4項に基づき総会で決議された旧規約別表記載の額こそが管理費や修繕積立金の額と解するべきである。
原告は,旧規約の別表で定められた本件店舗等の管理費や修繕積立金の額が不公平である旨主張するが,当時,特に被告が議決権を多数有し,多数派であることを濫用して管理費や修繕積立金の額が定められたような事情はうかがわれない。
また,区分所有者である各組合員は,購入からさして間がない時期で,専有面積の大小につき共通の認識を有していたと推認され,本件各店舗の専有面積の大きさについても外観から把握できる状況であったところ,各組合員の負担すべき管理費の額を表形式で具体的に示された上で敢えて賛成の決議を行っていたことからすると,何らかの欺瞞により決議が行われたと解することも困難である。
修繕積立金の額についても,各組合員は購入からさして間がない時期で,本件店舗等の具体的価格について認識を有していなかったとしても,ある程度の想像が働かなかったとは考えにくく,何らかの欺瞞により決議が行われたと解することも困難である。
以上によれば,旧規約の別表記載の管理費及び修繕積立金の額は,組合員らが諸事情を勘案した上で自主的に制定したものというべきで,特に不公平で無効と解するべき事情は見当たらず,原告の主張は採用できない。
また,区分所有法19条は,一義的に各区分所有者の負担額を定めるものではなく,共有部分に関する区分所有者の利用実態や,各区分共有者間で面積比や所有戸数等いずれを基準とするのが公平か等の諸事情を勘案して管理組合において負担額を定めることを許容しているものと解されるところ,前記のとおり旧規約の別表記載の管理費の定めに特に不公平な点はないことからすると,区分所有法19条に基づく請求も認められる余地はない。
3  第1決議の有効性
上記2で検討したところによれば,判断を要しない。
4  第2決議の有効性
上記2で検討したところによれば,判断を要しない。
5  第3決議の有効性
上記2で検討したところによれば,判断を要しない。
6  第4決議の有効性
上記2記載のとおり,管理費及び修繕積立金の額は,旧規約の下では,29条4項により管理組合の総会で決議されれば,原則として,これを管理費及び修繕積立金の額とすべきである。
この点,被告は,管理費について,①事務管理費,②管理員費,③変電設備費用を本件店舗等の一部共用部分の費用ではないから管理費の額を定める計算に含めるべきでなく,自身の計算による適正な管理費は月額2万4440円であると主張する。
しかし,事務管理費は,管理組合である原告が管理会社に委託している原告の会計事務の補助や修繕等に関する企画等の料金であり(甲38,甲54の1ないし甲54の12),Xマンションの全体共用部分に関する費用というべきである。
また,管理員費についても,原告の配置した管理員が被告のための管理業務を行っていたことは被告代表者自身肯定しているところであり(被告代表者本人),被告が負担をしなくても足りる業務とまでいうことはできない。
変電設備費用についても,これは自家発電設備に関する費用であるところ,この自家発電設備を,被告が賃貸している本件各店舗の賃借人たる店舗が利用していることからすると,被告が負担すべきでない費用であるということはできない。
以上に加え,第4決議で定められた修繕費の額が旧規約29条2項本文の原則に沿って定められたものであることからすれば,第4決議により定められた管理費の額が不公平で無効であるとまで言うことは困難である。
次に被告は,修繕積立金について,外壁塗装費が本来,全体共用部分の修繕費ではないのに計算に含められたことが不当である旨主張するが,採用できない。外壁塗装は,Xマンションの1階部分を含む駆体維持に欠かせないものである上,全体の美観を維持することにより本件店舗等の価値の維持又は向上に寄与するものであるから,これについて被告に負担を求めること自体は不当とは言えない。旧規約では,修繕積立金の額を原則として売出価格に基づき定めるとされていたところ,本件各店舗は商業物件であり,住居部分より相当に価格が高かったことが推認されることからすると(甲34),特に不公平であるとは考えにくい。
この他,被告は,第4決議が本件店舗等の負担する非金銭的負担,すなわち①被告所有の本件店舗等の専有部分の空間を通過する住戸部分の排水管からの水漏れの負担,②集合桝及びそこから下水道本管に至る排水管からの溢水等の危険の負担,③住戸部分の通信回線通過の負担,④点検等のための管理員の立入を受忍する負担を考慮していない旨主張するが,これも採用できない。排水管からの水漏れや溢水等の危険は,これら設備が通常有すべき安全性を欠いているのであれば格別,そのような安全性を欠いていることがうかがわれないので,被告が格別の危険を負担しているとは認められない。通信回線通過の負担や管理員の立入についても,第4決議を無効とするほどの負担と見ることは困難である。
以上によれば,被告の主張は採用できず,第4決議所定の管理費及び修繕積立金の額の定めは有効であると認められる。
7  現規約の管理費及び修繕積立金の額の定めの有効性
上記6を前提に判断する。
被告は,旧規約から現規約に改められる際,一部共用部分を全体共用部分に改める改正がなされ,これを前提に管理費及び修繕積立金が算出されたが,これは被告の権利に特別の影響を及ぼし,区分所有法31条1項後段所定の承諾を要するものであったのにこれを欠いていたので,現規約の管理費及び修繕積立金の額の定めは無効である旨主張する。
まず,一部共用部分を全体共用部分としたこと自体は,対象が①従前,本件店舗等の一部共用部分であった1階の外壁,2階花壇,駐車場から公道に至る敷地,②従前,住居部分の一部共用部分であった全体パイプスペース,雨樋,ごみ置き場等の部分であったことからすると,特別の影響を及ぼすようなものとまでは言えない。これらは,Xマンション全体の駆体維持や美観維持,建物全体の周辺敷地の管理といった観点からすると全体共用部分とすることにも一定の合理性があるし,ごみ置き場についても,1階全体の合理的管理のために全体共用部分とすることが不合理とまでは言えないからである。旧規約は,被告が管理会社として原告から管理業務の委託を受けていたという事情の下で制定されたもので,被告が本件店舗等の管理業務を自ら行うこともできた状況を前提としたものと解する余地もある。
また,この変更の結果,被告の管理費や修繕積立金の負担が増加する点についても,上記6で検討したとおり,第4決議による管理費及び修繕積立金の額の変更が有効であることからすると,被告に特別の影響を及ぼすような変更ということはできない。
以上によれば,現規約の管理費及び修繕積立金の定めは有効であり,被告の主張は採用できない。
8  被告の不当利得債権の存否
上記6記載のとおり,排水管からの水漏れや溢水等の危険は,これら設備が通常有すべき安全性を欠いているのであれば格別,そのような安全性を欠いていることがうかがわれないので,被告が格別の危険を負担しているとは認められない。通信回線通過の負担や管理員の立入についても,被告の本件駐車場の使用収益に影響を及ぼしていることがうかがわれない。
以上によれば,被告には損失が生じておらず,被告の相殺の抗弁は採用できない。
9  弁護士費用請求の根拠
現規約(甲1)68条4項は,一定の場合に訴訟上の請求に際し,弁護士費用を請求することを認めている。しかし,①これら同条3項の文言からすると,区分所有者又は第三者が敷地及び共有部分において所有権を侵害するような不法行為を行った場合に差止め,原状回復請求,損害賠償請求等を行うことを念頭に弁護士費用も加算して請求できることを定めたものと解されること,②旧規約(甲5)においても,現規約(甲1)においても管理費及び修繕積立金については年利18.25%とかなり高率の遅延損害金の定めが置かれていること(旧規約64条2項,現規約61条2項)からすると,管理費及び修繕積立金の訴求に要する弁護士費用についても請求できる旨の定めであると解することはできない。
そして,管理費債権や修繕積立金債権のような金銭債権の不履行の損害賠償の額は,約定利率がある場合,その率によることとなる(民法419条1項)。
10  計算関係
以上で認定したところによれば,被告は,平成21年12月26日の第4決議で定められた平成22年1月分以降平成25年3月分までの39か月分,管理費及び修繕積立金として合計月額19万5548円を支払うべきであるのに,これを支払わなかったものである。
しかし,被告は,同期間について月額5万2157円の供託を続けていたので,差額月額14万3391円の39か月分559万2249円が未払額となる。
もっとも,別紙未払管理費等一覧表の供託日欄を網掛けにした以下の日の供託については,所定の納付日(弁論の全趣旨により平成22年1月分以降については当月27日に口座振替により支払うものとされたことが認められ,27日が銀行取引日ではない土曜日及び日曜日については,民法142条により翌営業日が納付日となる。)を徒過したこととなり,同表の遅延損害金額欄記載の約定遅延損害金合計②記載の1002円の支払を要することとなる(平成22年,平成23年及び平成25年については年365日日割計算と,平成24年については,年366日日割計算とした。1円未満四捨五入。)。
平成22年7月28日
同年10月28日
平成23年6月28日
同年7月28日
同年9月28日
同年11月29日
平成24年3月28日
同年6月28日
同年7月30日
同年8月28日
同年11月28日
平成25年3月28日
これらを合計すると,被告は,原告に対し,559万3251円及び別紙未払管理費等一覧表の各差額欄記載の額に対する各認定支払期限欄記載の日の翌日から支払済みに至るまでそれぞれ年18.25%の割合による金員を支払うべきこととなる。
11  結論
以上で検討したところによれば,原告の請求は,主文1項掲記の限度で理由があるので認容し,その余は理由がないので棄却することとして主文のとおり判決する。
(裁判官 足立堅太)

 

〈以下省略〉

 

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