【営業代行から学ぶ判例】crps 裁判例 lgbt 裁判例 nda 裁判例 nhk 裁判例 nhk 受信料 裁判例 pl法 裁判例 pta 裁判例 ptsd 裁判例 アメリカ 裁判例 検索 オーバーローン 財産分与 裁判例 クレーマー 裁判例 クレプトマニア 裁判例 サブリース 裁判例 ストーカー 裁判例 セクシャルハラスメント 裁判例 せクハラ 裁判例 タイムカード 裁判例 タイムスタンプ 裁判例 ドライブレコーダー 裁判例 ノンオペレーションチャージ 裁判例 ハーグ条約 裁判例 バイトテロ 裁判例 パタハラ 裁判例 パブリシティ権 裁判例 ハラスメント 裁判例 パワーハラスメント 裁判例 パワハラ 裁判例 ファクタリング 裁判例 プライバシー 裁判例 プライバシーの侵害 裁判例 プライバシー権 裁判例 ブラックバイト 裁判例 ベネッセ 裁判例 ベルシステム24 裁判例 マタニティハラスメント 裁判例 マタハラ 裁判例 マンション 騒音 裁判例 メンタルヘルス 裁判例 モラハラ 裁判例 モラルハラスメント 裁判例 リストラ 裁判例 リツイート 名誉毀損 裁判例 リフォーム 裁判例 遺言 解釈 裁判例 遺言 裁判例 遺言書 裁判例 遺言能力 裁判例 引き抜き 裁判例 営業秘密 裁判例 応召義務 裁判例 応用美術 裁判例 横浜地裁 裁判例 過失割合 裁判例 過労死 裁判例 介護事故 裁判例 会社法 裁判例 解雇 裁判例 外国人労働者 裁判例 学校 裁判例 学校教育法施行規則第48条 裁判例 学校事故 裁判例 環境権 裁判例 管理監督者 裁判例 器物損壊 裁判例 基本的人権 裁判例 寄与分 裁判例 偽装請負 裁判例 逆パワハラ 裁判例 休業損害 裁判例 休憩時間 裁判例 競業避止義務 裁判例 教育を受ける権利 裁判例 脅迫 裁判例 業務上横領 裁判例 近隣トラブル 裁判例 契約締結上の過失 裁判例 原状回復 裁判例 固定残業代 裁判例 雇い止め 裁判例 雇止め 裁判例 交通事故 過失割合 裁判例 交通事故 裁判例 交通事故 裁判例 検索 公共の福祉 裁判例 公序良俗違反 裁判例 公図 裁判例 厚生労働省 パワハラ 裁判例 行政訴訟 裁判例 行政法 裁判例 降格 裁判例 合併 裁判例 婚約破棄 裁判例 裁判員制度 裁判例 裁判所 知的財産 裁判例 裁判例 データ 裁判例 データベース 裁判例 データベース 無料 裁判例 とは 裁判例 とは 判例 裁判例 ニュース 裁判例 レポート 裁判例 安全配慮義務 裁判例 意味 裁判例 引用 裁判例 引用の仕方 裁判例 引用方法 裁判例 英語 裁判例 英語で 裁判例 英訳 裁判例 閲覧 裁判例 学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例 共有物分割 裁判例 刑事事件 裁判例 刑法 裁判例 憲法 裁判例 検査 裁判例 検索 裁判例 検索方法 裁判例 公開 裁判例 公知の事実 裁判例 広島 裁判例 国際私法 裁判例 最高裁 裁判例 最高裁判所 裁判例 最新 裁判例 裁判所 裁判例 雑誌 裁判例 事件番号 裁判例 射程 裁判例 書き方 裁判例 書籍 裁判例 商標 裁判例 消費税 裁判例 証拠説明書 裁判例 証拠提出 裁判例 情報 裁判例 全文 裁判例 速報 裁判例 探し方 裁判例 知財 裁判例 調べ方 裁判例 調査 裁判例 定義 裁判例 東京地裁 裁判例 同一労働同一賃金 裁判例 特許 裁判例 読み方 裁判例 入手方法 裁判例 判決 違い 裁判例 判決文 裁判例 判例 裁判例 判例 違い 裁判例 百選 裁判例 表記 裁判例 別紙 裁判例 本 裁判例 面白い 裁判例 労働 裁判例・学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例・審判例からみた 特別受益・寄与分 裁判例からみる消費税法 裁判例とは 裁量労働制 裁判例 財産分与 裁判例 産業医 裁判例 残業代未払い 裁判例 試用期間 解雇 裁判例 持ち帰り残業 裁判例 自己決定権 裁判例 自転車事故 裁判例 自由権 裁判例 手待ち時間 裁判例 受動喫煙 裁判例 重過失 裁判例 商法512条 裁判例 証拠説明書 記載例 裁判例 証拠説明書 裁判例 引用 情報公開 裁判例 職員会議 裁判例 振り込め詐欺 裁判例 身元保証 裁判例 人権侵害 裁判例 人種差別撤廃条約 裁判例 整理解雇 裁判例 生活保護 裁判例 生存権 裁判例 生命保険 裁判例 盛岡地裁 裁判例 製造物責任 裁判例 製造物責任法 裁判例 請負 裁判例 税務大学校 裁判例 接見交通権 裁判例 先使用権 裁判例 租税 裁判例 租税法 裁判例 相続 裁判例 相続税 裁判例 相続放棄 裁判例 騒音 裁判例 尊厳死 裁判例 損害賠償請求 裁判例 体罰 裁判例 退職勧奨 違法 裁判例 退職勧奨 裁判例 退職強要 裁判例 退職金 裁判例 大阪高裁 裁判例 大阪地裁 裁判例 大阪地方裁判所 裁判例 大麻 裁判例 第一法規 裁判例 男女差別 裁判例 男女差别 裁判例 知財高裁 裁判例 知的財産 裁判例 知的財産権 裁判例 中絶 慰謝料 裁判例 著作権 裁判例 長時間労働 裁判例 追突 裁判例 通勤災害 裁判例 通信の秘密 裁判例 貞操権 慰謝料 裁判例 転勤 裁判例 転籍 裁判例 電子契約 裁判例 電子署名 裁判例 同性婚 裁判例 独占禁止法 裁判例 内縁 裁判例 内定取り消し 裁判例 内定取消 裁判例 内部統制システム 裁判例 二次創作 裁判例 日本郵便 裁判例 熱中症 裁判例 能力不足 解雇 裁判例 脳死 裁判例 脳脊髄液減少症 裁判例 派遣 裁判例 判決 裁判例 違い 判決 判例 裁判例 判例 と 裁判例 判例 裁判例 とは 判例 裁判例 違い 秘密保持契約 裁判例 秘密録音 裁判例 非接触事故 裁判例 美容整形 裁判例 表現の自由 裁判例 表明保証 裁判例 評価損 裁判例 不正競争防止法 営業秘密 裁判例 不正競争防止法 裁判例 不貞 慰謝料 裁判例 不貞行為 慰謝料 裁判例 不貞行為 裁判例 不当解雇 裁判例 不動産 裁判例 浮気 慰謝料 裁判例 副業 裁判例 副業禁止 裁判例 分掌変更 裁判例 文書提出命令 裁判例 平和的生存権 裁判例 別居期間 裁判例 変形労働時間制 裁判例 弁護士会照会 裁判例 法の下の平等 裁判例 法人格否認の法理 裁判例 法務省 裁判例 忘れられる権利 裁判例 枕営業 裁判例 未払い残業代 裁判例 民事事件 裁判例 民事信託 裁判例 民事訴訟 裁判例 民泊 裁判例 民法 裁判例 無期転換 裁判例 無断欠勤 解雇 裁判例 名ばかり管理職 裁判例 名義株 裁判例 名古屋高裁 裁判例 名誉棄損 裁判例 名誉毀損 裁判例 免責不許可 裁判例 面会交流 裁判例 約款 裁判例 有給休暇 裁判例 有責配偶者 裁判例 予防接種 裁判例 離婚 裁判例 立ち退き料 裁判例 立退料 裁判例 類推解釈 裁判例 類推解釈の禁止 裁判例 礼金 裁判例 労災 裁判例 労災事故 裁判例 労働基準法 裁判例 労働基準法違反 裁判例 労働契約法20条 裁判例 労働裁判 裁判例 労働時間 裁判例 労働者性 裁判例 労働法 裁判例 和解 裁判例

「営業アウトソーシング」に関する裁判例(7)平成30年 8月 9日 東京地裁 平29(ワ)8230号 損害賠償請求事件

「営業アウトソーシング」に関する裁判例(7)平成30年 8月 9日 東京地裁 平29(ワ)8230号 損害賠償請求事件

裁判年月日  平成30年 8月 9日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平29(ワ)8230号・平29(ワ)13693号
事件名  損害賠償請求事件
文献番号  2018WLJPCA08098006

裁判年月日  平成30年 8月 9日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平29(ワ)8230号・平29(ワ)13693号
事件名  損害賠償請求事件
文献番号  2018WLJPCA08098006

平成29年(ワ)第8230号 損害賠償請求事件(以下「第1事件」という。)
平成29年(ワ)第13693号 損害賠償請求事件(以下「第2事件」という。)

東京都港区〈以下省略〉
第1事件原告・第2事件被告 Y1株式会社(以下「被告会社」という。)
同代表者代表取締役 A
東京都港区〈以下省略〉
第2事件被告 Y2(以下「被告Y2」という。)
上記両名訴訟代理人弁護士 大熊裕司
神奈川県大和市〈以下省略〉
第1事件被告・第2事件原告 X(以下「原告X」という。)
同訴訟代理人弁護士 寒河江孝允

 

 

主文

1  被告会社の第1事件請求を棄却する。
2  原告Xの第2事件請求をいずれも棄却する。
3  訴訟費用は,第1事件及び第2事件を通じ,原告X及び被告会社に生じた費用の各5分の3は,被告会社の負担とし,原告X及び被告会社に生じたその余の費用及び被告Y2に生じた費用は,原告Xの負担とする。

 

事実及び理由

第1  請求
1  第1事件
原告Xは,被告会社に対し,307万8920円及びこれに対する訴状送達日の翌日(平成29年4月6日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2  第2事件
被告会社及び被告Y2(以下,両名を一括して「被告ら」という。)は,原告Xに対し,連帯して200万円及びこれに対する訴状送達日の翌日(被告会社につき平成29年5月10日,被告Y2につき同月12日)から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
第1事件は,被告会社において,公認会計士及び税理士である被告Y2の経営する事務所が顧客から受任した税務,会計等の事務処理を同事務所から委託されて行っていたところ,被告会社の従業員であった原告Xが退職するに当たり,同時期に同事務所を退職して独立する予定であった税理士の指示により,顧客の税務申告に係る書類の送付を行うなどして,当該税理士の不当な顧客勧誘行為に加担したと主張して,原告Xに対し,労働契約上の債務不履行に基づき,損害金307万8920円及びこれに対する前記第1の1記載の訴状送達日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
第2事件は,原告Xにおいて,被告Y2が被告会社の代表取締役として原告Xに対して第1事件に係る訴えを提起したのは,訴権を濫用した違法な提訴であると主張して,被告らに対し,不法行為(ただし,被告Y2については会社法429条1項の責任を含む。)に基づき,損害金200万円及びこれに対する前記第1の2記載の訴状送達日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
1  前提事実
本件の前提として,当事者間に争いのない事実又は後掲各証拠により認められる事実は,次のとおりである。
(1)ア  被告Y2は,公認会計士及び税理士であり,その個人事務所であるa会計事務所を経営しているものである。被告会社は,会計,税務,経理及び人事に関する事務のアウトソーシング業等を目的とする株式会社であり,a会計事務所が顧客から受任した税務,会計等に係る事務処理を同事務所から委託されて行っていたものである。被告Y2とその妻であるA(以下「訴外A」という。)は,被告会社の共同代表取締役の地位にあるものである。
イ  原告Xは,平成26年4月1日から同年9月末日までの6か間,被告会社から臨時職員として雇用されていたものである。
(2)  被告会社及びa会計事務所(以下,両者を一括して「被告会社・事務所」という。)に勤務していた税理士であるB(以下「B税理士」という。)は,平成26年9月末日をもって被告会社・事務所を退職するに当たり,同じく同日をもって被告会社を退職する予定であった原告Xに対し,同月16日午後6時48分,下記ア記載の電子メール(以下「本件電子メール1」という。)を送信して,同事務所の顧客であるb合同会社(以下「b社」という。)の従業員(元従業員も含む。以下同じ。)であるC及びDの税務申告に係る書類(以下「本件書類」という。)を宅急便で同人らに送付するよう依頼した。その際,原告Xは,B税理士に対し,翌17日午前9時51分,下記イ記載の電子メール(以下「本件電子メール2」という。)を送信して,上記指示を了解した旨を回答するとともに,事務所内のプリンターに残っていた上記C宛ての送付状の取扱いについて質問したところ,同日午前10時8分,B税理士から,下記ウ記載の電子メール(以下「本件電子メール3」という。)が送信されて,当該送付状は,事務所のバインダーに残しておくためのものであるとの回答を受け,その後,B税理士に対し,同日午前10時46分,下記エ記載の電子メール(以下「本件電子メール4」という。また,本件電子メール1ないし4を一括して「本件各電子メール」という。)を送信し,上記指示を了解した旨回答するとともに,同月30日に原告X及B税理士を含む3ないし4名で実施することを予定していた送別会を楽しみにしている旨伝えた。その上で,原告Xは,B税理士の上記指示のとおり本件書類の送付事務を行った。(甲A5,乙A6,8,証人B税理士,原告X)

ア 「Xさん Dさんの資料を宅急便で送って頂けないですか? 怪しまれるといけないので,お願いしております。宜しくお願い致します。 あと,C様も送って頂けないでしょうか? 宜しくお願いします。B」
イ 「Bさん おはようございます。下記の件かしこまりました。念の為の確認ですが,C様の送付状がカラープリンターに残っていたのですが,こちらはすでに封入済でしょうか?(添付ファイルご確認下さい)X」
ウ 「Xさん ありがとうございます。プリンターに残っている分はC様のバインダーに残しておく分です。C様に送る分は,書類に入れました。よろしくお願い致します。B」
エ 「わかりました。ではその分はC様のバインダーにお入れしておきますね。私もここは今月末で卒業すると思うので,一緒に卒業しましょうw Bさんが辞められる前に,お手伝いが必要な作業があればいつでも言って下さいね。あと30日楽しみにしてますね。X」
(3)  B税理士は,平成26年9月30日に被告会社・事務所を退職し,同年10月1日から税理士法人cを経営しているが,その後B税理士がa会計事務所に在職中担当していた顧客であるb社において,a会計事務所との顧問契約を解消した上で,B税理士の経営する上記事務所との間で顧問契約を締結した。(乙A8,証人B税理士,被告Y2)
(4)  被告会社は,平成29年3月10日,第1事件に係る訴えを提起した。これに対し,原告Xは,同年4月25日,第2事件に係る訴えを提起した。
2  争点及び当事者の主張
本件の主たる争点は,第1事件につき,原告Xが本件書類の送付事務を行ったことについて労働契約上の債務不履行が成立するか否か(労働契約上の債務不履行の成否),第2事件につき,被告会社が第1事件に係る訴えを提起したことが不法行為に当たるか否か(訴訟提起に係る不法行為の成否)である。これらの争点に関する当事者の主張の要旨は次のとおりである。
(1)  労働契約上の債務不履行の成否
(被告会社の主張)
B税理士は,被告会社・事務所を退職するに当たり,顧客に対して「a会計事務所には自分以外に仕事の分かる人間がいない。」,「Y2会計士は,自分に事務所を継がせると言ったので平成23年に再入所したのに,話が全く違って,自分(被告Y2)のことばかり考えて自分(B税理士)を利用したに過ぎない。とんだ回り道をした。」などと吹聴して同事務所に対する不信感を植え付け,不当な顧客勧誘を行っていたところ,B税理士は,その退職後,自己の経営する事務所において,a会計事務所の顧客であったb社との間で顧問契約を締結し,違法な顧客奪取に及んだのである。この点,本件書類は,a会計事務所に保管されていたものであり,勝手に持ち出すことができない書類であったが,B税理士においては,退職後にb社との顧問契約の切り替えを容易に実現するためには,本件書類を持ち出す必要があったものの,退職直前に,自ら本件書類の送付を行うと,こうした不正な顧客奪取の事実が被告会社・事務所に発覚するおそれがあったことから,原告Xに対し,本件書類の送付を依頼したものである。
原告Xは,B税理士から,本件電子メール1のとおり,「怪しまれるといけないので,お願いしております」などとしてb社の従業員らに対する本件書類の送付を依頼されたことから,B税理士においてb社を自己の顧客として奪取しようとしていることを認識していたものであり,かつ本件電子メール2,3の内容からも,B税理士において被告会社に知られないように,本件書類を送付しようとしていたことも認識していたことが明らかであるところ,原告Xにおいて,使用者である被告会社に対し,これを報告し,その指示を仰ぐこともなく,本件電子メール4のとおり,B税理士からいわれるがまま,本件書類の送付事務を行ったことは,B税理士と共謀し,こうした不正な顧客奪取に加担したものというほかない。
これらによると,原告Xにおける本件書類の送付行為は,労働契約上の誠実義務として,使用者である被告会社の利益に著しく反する行為を差し控える義務に違反するものであったところ,被告会社は,これにより,a会計事務所の顧客であるb社をB税理士の経営する事務所に奪われた結果,b社から得られる報酬を失い,その得べかりし利益に相当する307万8920円相当の損害を被ったのであるから,原告Xは,被告会社に対し,労働契約上の債務不履行に基づき,上記損害を賠償すべき責任を負う。
(原告Xの主張)
本件書類は,b社の従業員らの税務申告に係る書類であるから,B税理士が原告Xに対して本件書類を当該従業員らに送付するよう指示したこと自体は,何ら不正な顧客奪取に当たるものではない。
この点を措いても,原告Xは,従業員数名程度の被告会社において,職責が限られた一般事務に従事する臨時職員として,B税理士のみならずa会計事務所に属する公認会計士や税理士から,その都度指示を受けるなどして郵便物の発送等の事務を行う立場にあったのであって,B税理士の直属の部下でもないのに,B税理士が同事務所の顧客とどのような関係にあるかなど知る立場にはなく,実際にB税理士においてb社を自己の顧客として奪取しようとしていたなどという事実は,原告Xにとって全く預かり知らないことであった。被告会社は,原告XがB税理士との間でやりとりをしていた本件各電子メールの記載のみを根拠として原告Xの責任を追及するものであるが,このうちB税理士から送信された本件電子メール1における「怪しまれるといけないので」という表現は,B税理士が原告Xに対して本件書類の送付を指示した際の文言にすぎず,特段の意味はないのであり,また,本件電子メール2,3も,原告XがB税理士の指示内容について確認したのに対し,B税理士がこれに回答したものにすぎず,本件電子メール4も原告Xの退職日がB税理士の退職日と重なるため,互いにそれまでの労をねぎらう趣旨の表現をしたものであって,いずれもごくありふれた上司と部下の間のやりとりにすぎず,これ自体が,原告Xにおいて,B税理士による不正な顧客奪取を認識し,又は容易に認識し得たことの根拠となるものではないのであり,この点に関する被告会社の主張は,極めて偏狭的ともいえる独自の見解によるものである。以上のとおり,原告Xが上司の立場にあるB税理士の指示に従って郵便物の配送業務として本件書類を送付したことは,就業規則上適法であることは当然である。
これらによれば,原告Xにおける本件書類の送付行為が労働契約上の義務違反に当たる余地はないのであり,この点について債務不履行が成立しないことは明らかである。
(2)  訴訟提起に係る不法行為の成否
(原告Xの主張)
原告Xは,前記のとおり,その職責が限定された一般事務に従事する職員として,B税理士の指示に従って,本件書類の送付事務を行ったにすぎず,かつ,被告会社が,本件訴訟に先立ち,B税理士を被告として,不正な顧客奪取を理由とする損害賠償請求訴訟を提起したものの,結局B税理士の責任がないことが確定したにもかかわらず,被告Y2は,被告会社の代表取締役として,何らの客観的な根拠もなく,単なる憶測や偏見による独自の判断に基づき,原告XがB税理士の不当な顧客奪取に加担したなどと主張して,原告Xに対して第1事件に係る訴えを提起したものであり,訴権を濫用した違法な提訴に当たり,不法行為が成立する。
原告Xは,かかる違法な訴訟の提起を受け,その応訴のために依頼した弁護士に対して50万円の報酬を支払うことを約したほか,これにより多大な精神的苦痛を被ったものであり,その精神的苦痛に係る慰謝料は150万円を下回ることはなく,合計200万円の損害を被ったのである。
したがって,被告らは,原告Xに対し,不法行為(ただし,被告Y2については会社法429条1項の責任も含む。)に基づき,上記損害を賠償すべき責任を負う。
(被告らの主張)
原告XがB税理士による不当な顧客奪取に加担したものであることは前記主張のとおりであるから,被告会社がこれを理由として第1事件に係る訴えを提起したことは,何ら不当なものではなく,不法行為に当たらないことは明らかである。
第3  当裁判所の判断
1  事実関係
前記第2の1の前提事実に加え,後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。
(1)  原告Xは,被告会社において,その労働契約上,公認会計士及び税理士の補助業務に従事することが定められていたものであり,実際に,一般事務職員として,特定の上司に属することなく,a会計事務所に在籍する公認会計士及び税理士(平成26年当時は,それぞれ3名程度であった。)の指示を受けるなどして,郵便物の発送や書類の複写,電話対応等の庶務的な事務に従事していた。(甲A2,乙A6,原告X,被告Y2)
(2)  B税理士は,大学卒業後,a会計事務所に勤務しながら,税理士の資格を取得し,その後,約10年間,米国で留学してから同国の会計事務所に勤務していたところ,被告Y2から将来a会計事務所を引き継ぐ話を持ちかけられたため,平成23年8月から,再び同事務所において勤務し,平成25年4月には被告会社の代表取締役(被告Y2との共同代表)に就任したが,平成26年4月に被告Y2の妻である訴外Aが上記地位に就任したのに伴い退任し,結局,被告Y2から同事務所を引き継ぐ話を否定されたことから,同年7月2日付けで退職願を提出し,同年9月末日をもって被告会社・事務所を退職することとなった。(甲A1,4,24,乙A1,証人B税理士)
(3)  B税理士は,その当時,a会計事務所の顧客であるb社関係の税務申告等を担当していたが,b社の従業員2名の前年度確定申告に係る申告書控え及び申告資料である本件書類が,本来その申告後に当該従業員らに返却されるべきところ,被告会社に保管されたままとなっていた。しかし,B税理士は,a会計事務所を退職して独立するに当たり,同事務所の顧客が奪取されることを疑った被告Y2により,その勤務中,監視の職員を付けられるなど,監視された状態に置かれていたため,自ら本件書類の送付を行うのは,被告Y2に怪しまれるおそれがあると思い,本件各電子メールのとおり,事務職員である原告Xに対し,本件書類を当該従業員らに送付するよう依頼し,原告Xにおいて,かかる指示に従って,その送付事務を行った。(甲A24,乙A6,8,証人B税理士,原告X,被告Y2)
(4)  その後,被告会社・事務所を退職したB税理士は,平成26年10月から独立して会計事務所の経営を始めたところ,それから間もなくしてa会計事務所の顧客であるb社ほか1社が同事務所との顧問契約を解消し,B税理士の経営する上記事務所との間で顧問契約を締結した。他方,被告Y2は,原告Xの退職後の平成27年1月頃,そのパソコンから,B税理士との間で本件各電子メールのやり取りがされていたのを発見し,弁護士に依頼して,原告Xからその送受信の事実を確認した上で,同年10月,B税理士を被告として,B税理士がa会計事務所の退職前に,原告Xに対し,本件書類の送付を依頼してこれらを持ち出したことが不当な顧客誘因行為に当たり,労働契約上の義務に違反することなどを理由として,B税理士に対し,債務不履行に基づき,b社ほか1社との顧問契約が解消されたことによる逸失利益に相当する566万4000円の損害賠償を求める訴訟(以下「別件訴訟」という。)を当庁に提起した(なお,その訴状には,原告Xの上記送付行為自体,就業規則違反ということができるとしながら,原告XはB税理士の依頼で行ったものであり,当該訴訟ではあえて責任を問わないなどという記載がある。)。これに対し,B税理士は,b社の従業員らの確定申告に係る本件書類は,その職務として当然に当該従業員らに送付すべきものであったが,当時,被告Y2により監視された状態で勤務していたため,無用な誤解を避けるため,原告Xにその送付を依頼したにすぎないなどと主張してこれを争うとともに,被告Y2に対し,賞与の未払分116万5659円及び退職金の未払分173万4000円の支払を求める反訴を提起した。その後,別件訴訟において,証人及び当事者本人の尋問が実施される前の平成28年5月25日の弁論準備期日で,被告Y2がB税理士に対して退職金として64万1580円を支払うことのほか,被告Y2においては本訴請求を,B税理士においてはその余の反訴請求をそれぞれ放棄することなどを内容とする裁判上の和解が成立した。(甲A24,25,乙A1ないし3,8,9,証人B税理士,被告Y2)
2  争点(1)(労働契約上の債務不履行の成否)について
(1)  被告会社は,B税理士が被告会社・事務所を退職するに当たり,その独立後にa会計事務所の顧客を奪取するため,不当な顧客勧誘を行っていたところ,その顧客であるb社との顧問契約の切り替えを容易にするためには,本件書類を持ち出す必要があったものの,退職直前に,自らこれらの送付を行うと,不正な顧客奪取の事実が被告会社に発覚するおそれがあったことから,原告Xに対し,本件書類の送付を依頼したものであり,原告Xにおいては,B税理士から,本件電子メール1のとおり,「怪しまれるといけないので,お願いしております」などとして本件書類の送付を依頼されたのであるから,B税理士がb社を自己の顧客として奪取しようとしていることを認識していたのであり,かつ本件電子メール2,3の内容からも,B税理士が被告会社に知られないように本件書類を送付しようとしていたことも認識していたことが明らかであるが,その際,原告Xにおいては,使用者である被告会社にこれを報告し,その指示を仰ぐことなく,本件電子メール4のとおり,B税理士にいわれるがまま本件書類の送付事務を行ったのは,労働契約上の誠実義務として,使用者である被告会社の利益に著しく反する行為を差し控える義務に違反するものであり,債務不履行が成立するなどと主張する。
(2)  しかし,前記認定のとおり,B税理士は,被告会社・事務所に在職中,顧客であるb社の担当税理士として,その税務事務を行っていたのであり,被告Y2の供述によっても,b社自身が引き続きB税理士に担当させることを望んでいたとみられるから,B税理士において,独立後b社の依頼により同事務を行うため,顧問契約を締結したとしても,そのことから直ちに被告会社・事務所の在職中に不当な顧客勧誘行為を行っていたものと推認することはできない。この点,被告Y2は,その陳述書(甲A25)及び本人尋問で,B税理士がその在職中にa会計事務所に対する不満を顧客に吹聴するなどしていたと述べるが,これを裏付ける確たる証拠はない上,当該行為自体は直ちに不当な顧客勧誘行為と評価できるものではなく,他に,B税理士において,その在職中からa会計事務所の顧客に対して不当な勧誘行為を行っていたことを認めるに足りる証拠はない。
(3)  この点,前記認定事実によれば,B税理士が原告Xに対して送付を依頼した本件書類は,b社の従業員2名の前年度確定申告に係る申告書控え及び税務申告書類であり,それ自体は,本来確定申告後,当該従業員らに返却すべきものであったところ,被告会社に保管されたままとなっていたことから,b社関係の税務事務を担当するB税理士において,その職務として当該従業員らに対して送付したにとどまり,こうした行為自体は,客観的にみても,顧客の不当な奪取に向けられたものでないことは明らかである。その際,B税理士は,自ら本件書類の送付事務を行わず,事務職員の原告Xに依頼してこれを行ったものであるが,その理由は,当時,B税理士が退職後独立するに当たり,a会計事務所の顧客が奪取されることを疑っていた被告Y2により,その勤務中,監視の職員を付けられなどして,監視された状態に置かれていたため,自ら本件書類の送付を行うのは,被告Y2にあらぬ疑いをかけられるおそれを慮ったことによるものであり,本件電子メール1のとおり,「怪しまれるといけないので,お願いしております」などと送信して,その事務を依頼したのは,こうした趣旨のものとみるのが相当である。B税理士において,もともと本件書類を送付したことを隠蔽する意思がなかったことは,本件電子メール2,3のとおり,原告Xに対し,その送付状の控えを事務所内に残しておくことを告げていたことからも明らかである。これらによると,B税理士において原告Xに対して本件書類の送付を依頼したこと自体が主観的にも客観的にも顧客奪取行為に当たるということができない。
(4)  この点を措いても,前記認定のとおり,被告会社の一般事務職員としてa会計事務所に在籍する税理士や公認会計士の補助業務を行っていた原告Xが,その一人であるB税理士から,本件書類の送付を依頼されたところ,その際送信された電子メールに「怪しまれるといけないので」などという記載があったものの,B税理士が監視下に置かれている状況の中で本来顧客側に返送すべき書類についてその送付依頼がされたにすぎないことを踏まえると,その依頼の趣旨が上記のようなものと理解して,これを送付したとしても特に不自然ということはできず,これをもって,直ちに原告XがB税理士において顧客奪取の意図があることを認識し,又は容易に認識し得たにもかかわらず,当該行為に加担したものとは認め難い。
(5)  以上によれば,原告XにおいてB税理士の指示により本件書類の送付事務を行ったことが労働契約上の義務違反に当たると認める余地はなく,この点につき債務不履行が成立しないことは明らかであり,被告会社の上記主張は失当というほかない。
3  争点(2)(訴訟提起に係る不法行為の成否)について
(1)  原告Xは,一般事務職員としてB税理士の指示に従って,本件書類の送付事務を行ったにすぎず,かつ,被告Y2がB税理士を被告として不正な顧客奪取を理由として提起した別件訴訟においてもB税理士の責任がないことが確定したにもかかわらず,被告Y2が被告会社の代表取締役として,何ら客観的根拠もなく,単なる憶測や偏見による独自の判断に基づき,原告XがB税理士の不当な顧客奪取に加担したなどとして,原告Xに対して第1事件に係る訴えを提起したのは,訴権を濫用した違法な提訴に当たり,不法行為が成立すると主張する。
(2)  この点,訴えの提起が相手方に対する違法な行為といえるのは,当該訴訟において提訴者の主張した権利又は法律関係が事実的,法律的根拠を欠くものである上,提訴者がそのことを知りながら,又は通常人であれば容易にそのことを知り得たといえるのに,あえて訴えを提起したなど,訴えの提起が裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くと認められるときに限られるものと解するのが相当である(最高裁昭和63年1月26日第三小法廷判決・民集42巻1号1頁,最高裁平成22年7月9日第二小法廷判決・裁判集民事234号207頁参照)。
(3)  これを本件についてみると,原告XにおいてB税理士の不当な顧客奪取に加担したなどという被告会社の主張が客観的には事実的,法的根拠を欠くものであることは前記説示のとおりである。しかし,前記認定事実によれば,被告Y2においては,B税理士がa会計事務所を退職する前から,その独立に当たり,同事務所の顧客を不当に勧誘するなどして顧客奪取行為に及ぶ可能性があることを疑い,B税理士に監視の職員を付けるなど監視状態に置いていたところ,その後,実際に,B税理士の退職,独立から間もなくa会計事務所の顧客が同事務所との顧問契約を解消するとともに新たにB税理士の経営する事務所との間で顧問契約を締結するに至ったのであり,こうした状況の下で,本件各電子メールの存在を発見した被告Y2としては,その内容が単に当該顧客の従業員らの確定申告に係る書類の送付を依頼するものにすぎないものの,「怪しまれるといけない」などという文言から,これに関連して在職中から当該顧客の奪取に向けた行為を行っており,同時期に退職した原告Xにおいても,その事情を知りながらB税理士の当該行為に協力していた可能性があるという疑いを持ったとしても,その立場からすると,無理からぬ面もあるといわざるを得ない。
(4)  この点,前記認定のとおり,被告Y2は,第1事件に係る提訴に先立ち,B税理士に対し顧客奪取行為を理由として損害賠償を求める別件訴訟を提起したが,結局,同訴訟において,当該請求部分については敗訴的和解に応じたものであり,その際に,担当裁判官又は自己の依頼した弁護士から勝訴の可能性が低いという見解を示された上でかかる和解に応じたものと容易に推測される(この点,被告Y2は,その内容について理解しないまま和解に応じたと供述するが,直ちに採用し難い。)。しかし,上記和解は,別件訴訟の第一審において証人及び当事者本人尋問が実施される前の段階でされたものであり,被告Y2において,その時点でこうした内容の和解に応じたとしても,自己の関知しないところでB税理士が不当な顧客奪取行為に及んだとの疑いが払拭せず,改めてかかる真相を明らかにするために,これに関与したと疑う原告Xを被告として訴訟を提起したこと自体が直ちに不当な紛争の蒸し返しに当たるものとまではいえない。これについて,被告Y2においては,別件訴訟提起時の段階で,原告Xの関与を疑っていたものの,その時点ではB税理士の依頼によることを理由に当該訴訟においては責任追及を見合わせていたとみられるところ,上記の経過から,別件訴訟の終了後に原告Xに対して別途責任追及に及んだものであるが,この点について,被告会社の共同代表取締役である被告Y2及び訴外A作成の陳述書(甲25)には,原告Xに関して偏狭的というべき記載があるものの,更に進んで当該訴訟の提起自体が専ら原告Xに対する意趣返しなどの不当な意図をもってしたというべき事情までは見当たらない。
(5)  これらによると,第1事件に係る訴えは,その提起者である被告会社において,事実的又は法的根拠を欠くものであることを知りながら,又は通常人であれば容易にそのことを知り得たといえるのに,あえて提起したなど,当該訴訟の提起が裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くとまで認めることはできないから,これについて不法行為は成立しないと解するのが相当であり,原告Xの上記主張は直ちに採用することができない。
4  結論
よって,被告会社の第1事件請求及び原告Xの第2事件請求は,いずれも理由がないから,これらを棄却することとし,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第12部
(裁判官 井出弘隆)

 

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