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「営業アウトソーシング」に関する裁判例(38)平成26年12月22日 東京地裁 平25(ワ)13796号 委託運営費等請求事件

「営業アウトソーシング」に関する裁判例(38)平成26年12月22日 東京地裁 平25(ワ)13796号 委託運営費等請求事件

裁判年月日  平成26年12月22日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平25(ワ)13796号
事件名  委託運営費等請求事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2014WLJPCA12228004

要旨
◆被告から被告のメール室運営管理に係る業務委託契約を解除された原告が、主位的に契約解除は無効であるとして同契約に基づき、予備的に、仮に解除を有効としても同契約には原告の満60歳まで継続するとの継続合意があったとして民法651条2項に基づき、委託運営費の支払又は損害賠償を求めたほか、未払通勤費の支払を求めた事案において、本件業務委託契約は委任者である被告の利益のために締結された契約であるから民法651条1項の適用があるほか、原被告間には本件継続合意は認められないから本件解除は有効であり、業務提供場所がなくなることに伴う同解除にはやむを得ない事由があったとした上、本件通勤費は報酬月額増価のためのものであるから、原被告間の通勤費支払合意前に要した通勤費につき被告の支払義務はないとして、各請求を棄却した事例

参照条文
民法651条
民法656条

裁判年月日  平成26年12月22日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平25(ワ)13796号
事件名  委託運営費等請求事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2014WLJPCA12228004

神奈川県相模原市〈以下省略〉
原告 X
同訴訟代理人弁護士 藤田正人
東京都港区〈以下省略〉
被告 Y株式会社
同代表者代表取締役 A
同訴訟代理人弁護士 太田祐美子
林田麻里

 

 

主文

1  原告の請求をいずれも棄却する。
2  訴訟費用は原告の負担とする。

 

事実及び理由

第1  請求
1  被告は,原告に対し,1631万5000円及びうち別紙遅延損害金一覧表の遅延損害金欄記載の各金額に対する同表の対応する起算日欄記載の日から各支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
2  被告は,原告に対し,平成25年5月から本判決確定の日まで,毎月末日限り62万7500円を支払え。
3  被告は,原告に対し,318万0780円及びこれに対する平成25年6月19日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
本件は,被告との間で被告のメール室の運営・管理について締結していた業務委託契約を解除された原告が,主位的に,被告による契約解除は無効であると主張し,予備的に,仮に解除が有効であるとしても,上記契約は原告が満60歳に達するまで継続するとの合意に基づくものであるから,原告には同日までの委託運営費相当額の損害が生じていると主張するとともに,123か月分の通勤費が未払になっていると主張し,主位的に,業務委託契約基づき,予備的に,民法651条2項による損害賠償請求権に基づき,委託運営費又は同額の損害賠償として,平成23年3月分から平成25年4月分までの1631万5000円(月額62万7500円の)及び各月分の委託運営費の支払日である各月末の翌日から各支払済みまで(なお,後に認定するとおり,平成23年3月分の報酬支払義務が遅滞に陥るのは翌月末の経過であるから,本来の起算日は平成25年5月1日からである。)商事法定利率年6分の割合による遅延損害金,平成25年5月分から本判決確定の日まで毎月62万7500円の委託運営費又は同相当額の損害賠償金,並びに,業務委託契約に基づき,未払通勤費合計額318万0780円(月額2万5860円の123か月分)及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成25年6月19日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の各支払を求める事案である。
1  前提となる事実(証拠等を掲記しない事実は当事者間に争いがない。)
(1)  原告と被告は,平成10年10月12日,原告が「aオフィス」との屋号で,被告の恵比寿本社におけるメール室業務行うこと(編注:原文ママ 「メール室業務を行うこと」と思われる。)を内容とする業務委託契約(以下「本件業務委託契約」という。)を締結した(乙2)。
本件業務委託契約においては,業務委託料と契約期間について次のとおり合意されていた。
業務委託料 月額30万円を当月末締めとし,翌月末日限り「aオフィス」名義の銀行口座に振り込む方法により支払う。
契約期間 平成10年10月21日から1年間とし,契約内容に変更がなく,原告及び被告のいずれかから申し出がない場合は自動更新とし,契約を更新しない場合は更新日の60日前に書面で申し出ることとする。
(2)  本件業務委託契約は,平成11年10月14日,原告及び被告の合意により契約期間満了前に更新され,委託運営費(業務委託料)が月額40万円に変更されたほか,契約期間の定めにおいて,契約を更新しない場合の書面による申し出の定めが削除された(乙3)。
(3)  本件業務委託契約は,平成12年10月3日,原告及び被告の合意により契約期間満了前に更新され,委託運営費が月額42万円に変更された(乙12)。
(4)  本件業務委託契約は,平成13年7月25日,原告及び被告の合意により契約期間満了前に更新され,委託運営費が月額47万円に変更された(乙13)。
(5)  本件業務委託契約は,平成14年7月24日の経過時点において自動更新されたが,同年9月20日,原告及び被告の合意により自動更新後の契約期間満了前に更新され,委託運営費が月額50万円に変更された(乙14)。
(6)  本件業務委託契約は,平成14年12月1日,原告及び被告の合意により契約期間満了前に更新され,委託運営費が月額55万円に変更された(乙15)。
(7)  本件業務委託契約は,平成15年11月19日,原告及び被告の合意により契約期間満了前に更新され,委託運営費が月額57万7500円に変更されたほか,早朝割増費として月額5万円が支払われることとなり,被告の原告に対する支払額は月額合計62万7500円となった(乙4)。
(8)  本件業務委託契約は,平成16年から平成22年まで,毎年11月18日の経過時点において同一条件で自動更新された。
この間の平成21年1月から,被告は,原告に対し,通勤費として月額2万5860円を支払うようになった。
(9)  被告は,平成23年2月28日に本社を渋谷区恵比寿から港区南青山に移転した(乙1)。
2  争点と当事者の主張
(1)  本件業務委託契約の解除が有効といえるかどうか。
(原告の主張)
原告と被告は,本件業務委託契約締結時において,契約書の記載に関わらず,同契約は原告が満60歳に達するまで継続することを合意(以下「本件継続合意」という。)していたものであり,この合意に反する契約の解除は無効である。
また,当事者双方の利益のためになされた委任は民法651条1項によっては解除できない。仮に委任者が解除権自体を放棄したものとは解されない事情があるときは,委任者は委任契約を解除することができるが,これによる受任者の不利益について損害を賠償する必要がある。
(被告の主張)
本件業務委託契約は,契約書に記載されたとおり,契約期間を1年間とするものである。また,被告は,原告がいつ満60歳に達するのかさえ知らされておらず,本件継続合意など存在しない。
また,準委任契約である本件業務委託契約は,民法651条1項によりいつでも解除できるのであり,これが制限されるのは委任契約が受任者の利益のためにもされたものである場合であるところ,本件業務委託契約は委任者の利益のために締結され,受任者である原告は報酬を受けるだけであるから,解除が制限される理由はないし,損害賠償義務も発生しない。
(2)  本件業務委託契約の解除が有効である場合,原告に不利な時期の解除といえるかどうか。
(原告の主張)
原告は,本件継続合意に基づき,これを信頼して12年以上にわたり被告と契約関係を継続してきたのであり,原告は自らの生活を被告から支払われる委託運営費等に依存してきたのであるから,原告が満60歳に達する前にされた本件業務委託契約の解除は,原告に不利な時期の解除である。
(被告の主張)
本件業務委託契約の解除によって原告が喪失するのは報酬を受ける権利だけであり,そもそも民法651条2項は適用されないから,原告の主張は失当である。
(3)  本件業務委託契約の解除が有効であり,これが原告に不利な時期の解除といえる場合,本件業務委託契約の解除にやむを得ない事由があったといえるかどうか。
(被告の主張)
本件業務委託契約の解除は,被告の本社移転によって対象業務が消滅したことによるものであり,やむを得ない事由が認められる。
(原告の主張)
被告の主張を争う。
(4)  本件業務委託契約の解除が有効であり,これが原告に不利な時期の解除であって,やむを得ない事由があったとはいえない場合の原告の損害
(原告の主張)
原告は本件継続合意を信頼していたのであり,原告の損害は原告が満60歳に達するまで契約が継続した場合に取得できる報酬(委託運営費及び早朝割増費)相当額である。
(被告の主張)
原告の主張を争う。
上記(1)のとおり,本件継続合意など存在しない。
(5)  被告が原告に対して平成20年12月分までの通勤費の支払義務があるかどうか。
(原告の主張)
被告は平成21年1月分から通勤費として月額2万5860円を支払うようになったが,通勤費は本件業務委託契約に係る業務を遂行するための必要経費であり,被告が負担すべきものであるから,被告には通勤費の支払義務がある。
(被告の主張)
本件業務委託契約においては,通勤費等の必要経費は委託運営費に含まれていたが,平成20年に原告が被告に対して委託運営費の値上げを求めてきたことを受けて,新たな合意に基づいて平成21年以降通勤費を支払うことになったものであるから,被告にはそれ以前の通勤費の支払義務はない。
(6)  被告が原告に対して平成20年12月分までの通勤費の支払義務がある場合,原告の平成20年5月分以前の通勤費支払請求権が時効により消滅しているかどうか。
(被告の主張)
本訴の提起は平成25年5月28日であり,平成20年5月分以前の通勤費支払請求権は5年間の時効期間の満了により消滅しており,被告は消滅時効を援用する。
(原告の主張)
被告による消滅時効の援用は援用権の濫用である。
第3  当裁判所の判断
1  前記第2の1(以下,同部分に記載した事実を「前提となる事実」という。)並びに証拠(甲2,乙1,16,原告本人,証人B)及び弁論の全趣旨によると,以下の事実を認定することができる。
(1)  原告は,平成10年秋まで,株式会社b(以下「b社」という。)に従業員として勤務し,b社が被告から請け負っていたメール室業務を担当していたが,被告はそのころ,b社との間のメール室業務の委託契約を打ち切った(甲2,原告本人)。
(2)  原告は,b社を退職して新たな就職先を決めていたが,被告から個人的にメール室業務を請け負うことを打診され,交渉の結果,原告と被告は,平成10年10月12日,本件業務委託契約の締結に至った。
その後,平成15年までの間,年1又は2回にわたって委託運営費が実質的に増額され,平成15年11月19日の更新契約においては,委託運営費57万7500円に早朝割増費5万円を加えた62万7500円が実質的な報酬となり,当初契約時(30万円)の倍額以上となった。
そして,本件業務委託契約に係る契約書は,これらの契約条件の変更の機会に書き換えられ,契約期間については,契約書上は書換え時から1年間となっていた。平成16年から平成20年までは契約条件に変化はなく,契約書の書換えが行われなくなった結果,年末に「来年もよろしく」という程度の挨拶が交わされるだけで自動更新されていった。
平成21年1月からは通勤費名目で2万5860円が支払われるようになり,実質的な報酬総額は65万3360円となったが,契約書は書き換えられなかった。
(前提となる事実,甲2,原告本人,証人B)
(3)  被告においては,平成19年ころから,売上不振による大規模な経営合理化に着手し,平成20年には受付業務の廃止,各種業務のアウトソーシング,採用抑制,ゼロ昇級等の経費削減策を実施した。
その結果,デザイン機能及び生産機能を縮小して海外に移転したため,海外からのサンプル品の種類と量が減少し,メール室業務の量はピーク時の約3分の1程度になった。
また,平成19年から早期希望退職を募り,同年には14名,平成20年には38名,平成21年には14名,平成22年には10名の従業員が応募し,退職した。このほか,平成20年と平成22年には従業員に対する一部退職勧奨も並行して実施し,平成20年には29名,平成22には23名が合意退職した。
被告は,このような大規模な経営合理化策の一環として,コスト高となっている恵比寿ガーデンプレイス所在の850坪の本店オフィスを引き払い,南青山のビルの350坪のオフィスに移転することを検討していたところ,これが決定した後である平成22年12月初旬に被告従業員に対して本店移転を告知した。
(乙16,証人B)
(4)  被告の人事マネージャーであったB(以下「B」という。)は,従業員に対して本店移転を告知した後である平成22年12月13日に原告に対して面談を申し入れ,翌14日にBがメール室に赴いて面談が行われた。その席において,Bは,被告に対して本店移転を告知するとともに,移転先の本店オフィスの図面を示して移転先に独立したメール室がないことを説明し,本件業務委託契約に基づくメール室業務がなくなるため,同契約を解除する必要があること,移転先におけるメール運営業務について新たな契約を締結する希望がある場合は業務委託費の見積書を同月27日までに提出してもらう必要があることを伝えた。
その際,Bは,被告が各種業務を委託している富士ゼロックス株式会社が1人工当たり45万円で被告と契約していたため,金額の目安として,40万円を大幅に上回る金額であると難しいというニュアンスを伝えた。
(乙16,17,19,原告本人,証人B)
(5)  上記(4)のとおりBから本件業務委託契約の解除を告知され,新契約の締結を打診された原告は,これらに対して即答しなかったが,見積書の提出期限である平成22年12月27日までに見積書を提出しなかった。
Bは,原告に対し,平成23年1月6日,「新オフィスでのご契約の件」と題するメールを送信して原告の意思を確認しようとしたところ,原告から「お伺い・確認事項が数点,お伝えする事が数点ございます。」とのメールが返信され,翌7日にBがメール室に赴いて再度の面談が行われた。
原告は,Bから打診された40万円程度の金額では新たな契約を締結する意思がなかったため,この面談の際,Bに対し,見積書を提出しないこと,本店移転前の金曜日である平成23年2月25日まで業務を行うこと,それ以上については難しいことなので代理人から回答することを伝えた。
(乙16,18,原告本人,証人B)
(6)  被告は,平成23年1月21日開催の取締役会において本店所在地の変更を含む定款一部変更を株主総会に付議することを決議し,同年2月24日開催の株主総会の議決を受けて本店を移転した(乙1,弁論の全趣旨)。
原告は,被告に対し,被告の本店移転の後である平成23年3月10日付けの「違約損害金ならびに未精算通勤費の請求について」と題する書面を送付し,契約解除を迫られたことやその他の不法行為による損害賠償及び未払通勤費の支払を求めた(乙5)。
これに対しては,被告代理人から原告に対し,被告に支払義務がないこと,円満解決のために面談に応じる用意があることを記載した同年4月8日付け通知書が送付された(乙11)。
2  争点(1)ないし(3)についての判断
上記1で認定したところによると,本件業務委託契約は,委任者である被告の利益のために締結された契約であり,受任者である原告に報酬を受けること以外の利益があることを前提として締結されたものとは認められない。
ただし,原告と被告が,平成10年から平成23年までの長期にわたって契約の更新を重ねて関係を継続させてきたことも考慮し,本件の事実経過に照らして順次検討する。
(1)  まず,原告は,本件継続合意の存在を前提として,原告が満60歳に達するまでは本件業務委託契約の解除が認められないと主張するが,本件継続合意の存在を認めるに足りる証拠はない。被告の従業員であったCの陳述書(甲1)には本件継続合意があった旨の記載があり,原告本人もそのように供述するが,仮に組織体である被告との間においてそのような合意があったというのであれば,解除権を制約する重要な事項である本件継続合意が契約書に明記されるのが通常であるところ,本件業務委託契約の契約書にはそのような記載はないばかりか,当初契約書には「契約を更新しない場合は更新日の60日前に書面で申し出ることとする。」との記載がある。そうすると,この記載に反する本件継続合意の存在を認めることはできず,上記室橋の陳述書の記載及び原告本人の供述のうち,本件継続合意の存在に関する部分は信用できない。
(2)  つぎに,本件業務委託契約の契約書は,平成15年11月19日付けの契約書を最後に書き換えられておらず,形式的には毎年11月18日の経過と同時に更新されてきたということができる。
これを前提とすると,本件業務委託契約は更新後1か月足らず後である平成22年12月14日の時点で平成23年2月末日限り解除することが予告されたということになる。
しかし,上記1(2)で認定したところによると,原告及び被告の担当者のいずれも更新時期を明確に意識していなかったというのであるから,本件業務委託契約は,遅くとも平成22年12月14日の解除予告の時点において,期間の定めのない契約となっていたと理解できなくもない。また,本件業務委託契約の解除理由は,同契約にとって決定的な被告の本店移転という事情によるものであり,上記1(3)のとおり,この本店移転が被告による大規模な経営合理化の一環として検討・実施されたものであり,上記1(3)及び(4)のとおり,原告に対する解除予告は,本店移転を従業員に対して告知してから2週間足らずの時期に速やかに行われている。さらに,上記1(4)及び(5)のとおり,本件業務委託契約の解除の際,被告は,それまで原告との間で継続的な契約関係にあったことを考慮し,本店移転後の新オフィスにおける同種業務を原告に委託することも念頭に置いて,原告に対して見積書の提出を求め,被告(担当者)は,原告に対し,被告の業務委託契約の実情に照らして競争可能と考えられる価格の目安(40万円)を伝えているが,原告は,このような申し出を受けても交渉らしい交渉をしないまま,見積書を提出せず,新たな契約を締結する意向がないことを告げたという経過が認められる。
(3)  上記(1)によると,本件継続合意の存在は認められず,本件業務委託契約の解除は有効であるというべきであるから,原告の主位的請求(報酬請求)は理由がない。
また,上記(2)によると,本件業務委託契約は契約期間の定めがないかのごとく毎年のように更新されていた状況にあり,原告の提供する業務も日々のメール室の管理運営業務であるから,2か月余り前に予告されての解除が原告に不利な時期にされたともいうこともできないし,仮に原告に不利な時期にされた解除であるということができるとしても,この解除は被告による大規模な経営合理化の一環として検討・実施された本店移転に伴って本件業務委託契約の業務提供場所がなくなることに伴うものであり,原告との継続的な関係を考慮して本店移転後の新オフィスにおける同種業務の委託も提案されていたという経過を考慮すると,本件業務委託契約の解除にはやむを得ない事由があったというべきであるから,原告の予備的請求(民法651条2項による損害賠償請求)についても理由がないというほかない。
3  争点(4)についての判断
上記2のとおり,争点(4)について判断するまでもなく,原告には,民法651条2項の損害賠償請求権も認められない。
4  争点(5)についての判断
前提となる事実(1(2))及び前記1(2)のとおり,本件業務委託契約に関しては,平成21年1月から通勤費として月額2万5860円が支払われるようになったことが認められる。
しかし,本件業務委託契約は労働契約ではなく,通勤費のような必要経費を含めて報酬月額が定められる性質のものというべきであるから,通勤費も,早朝割増費と同様,報酬月額を増加させるための費目として便宜活用されたものということができる。
そうすると,原告と被告の合意により通勤費名目2万5860円が支払われるようになるよりも前に原告が要した通勤費について,被告が支払義務を負っているということはできない。
以上によると,その余の点について判断するまでもなく,原告による通勤費支払請求は理由がない。
5  まとめ
以上によると,原告の請求はいずれも理由がない。
第4  結論
以上の次第であるから,原告の請求をいずれも棄却することとし,主文のとおり判決する。
(裁判官 杜下弘記)

 

〈以下省略〉

 

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