
「テレアポ 営業」に関する裁判例(2)平成31年 3月14日 東京地裁 平29(刑わ)1665号 詐欺被告事件
「テレアポ 営業」に関する裁判例(2)平成31年 3月14日 東京地裁 平29(刑わ)1665号 詐欺被告事件
裁判年月日 平成31年 3月14日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平29(刑わ)1665号・平29(刑わ)1899号・平29(刑わ)2035号・平29(刑わ)2407号・平29(刑わ)2644号
事件名 詐欺被告事件
文献番号 2019WLJPCA03146015
裁判年月日 平成31年 3月14日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平29(刑わ)1665号・平29(刑わ)1899号・平29(刑わ)2035号・平29(刑わ)2407号・平29(刑わ)2644号
事件名 詐欺被告事件
文献番号 2019WLJPCA03146015
主文
被告人を懲役3年6月に処する。
未決勾留日数中240日をその刑に算入する。
理由
【罪となるべき事実】
被告人は,「○○2017」及び「大阪○○2017」(以下,「○○」という。)と称するイベントの出店料等の名目で飲食店経営者から金銭をだまし取ろうと考えていたA及びBとの間で意思を相通じて,別表1ないし5記載のとおり,C1ことCらに,平成28年11月上旬頃から平成29年1月中旬頃までの間,那覇市〈以下省略〉等から,大阪市〈以下省略〉「a」店舗内等にいたDらに電話をかけさせるなどし,前記Dらに対し,真実は,○○を開催する意思も能力もなかったにもかかわらず,これがあるように装い,○○を開催する旨のうそを言わせて,○○への出店を勧誘し,前記Dらに○○が開催されるものと誤信させ,よって,別表1ないし5記載のとおり,平成28年11月14日から平成29年1月18日までの間,前記Dらに,○○の出店料及びそれに対する消費税の名目で,被告人らが管理する東京都中央区〈以下省略〉所在の株式会社b銀行c支店に開設されたd株式会社名義の普通預金口座に現金合計1167万0692円を振込入金させ,もって人を欺いて財物を交付させた。
【証拠の標目】括弧内の符号は証拠等関係カードの検察官請求証拠の番号を示す。また,掲げた証拠は,証拠価値に実質的な差がないと認めるので,特に断りのない限り,原本,謄本又は写しの区別をせずに記載する。
判示事実全部について
・ 被告人の当公判廷における供述
・ 証人E,同Cの当公判廷における供述
・ 被告人の警察官調書(乙2ないし8,19,20,22)及び検察官調書(乙9ないし18,23,24)
・ Aの検察官調書(甲143ないし148)及び警察官調書(甲134,136ないし142)
・ Bの検察官調書(甲158ないし167)及び警察官調書(甲149ないし157)
・ Eの検察官調書(甲170ないし185-甲182の不同意部分を除く)及び警察官調書(甲168,169)
・ Fの検察官調書(甲190ないし199)及び警察官調書(甲186ないし189)
・ C(甲127-不同意部分を除く),G(甲128,129),U1(甲131),U2(甲132),U3(甲215),U4(甲216),U5(甲217),U6(甲218),U7(甲219),U8(甲220),U9(甲221)の検察官調書
・ U10(甲5,6),U11(甲8),U12(甲42,43),U13(甲44ないし46),U14(甲52),U15(甲53,54),U16(甲57),U17(甲66,67),U18(甲72,73),U19(甲82),U20(甲83),U21(甲86),U22(甲105),U23(甲106),U24(甲108),U25(甲112)の警察官調書
・ 履歴事項全部証明書(甲1),所在確認結果報告書(甲2,3,9,41),聴取結果報告書(甲4,63,69,75,84),資料入手結果報告書(甲7,10,55,96,103,121,122,126),電話聴取結果報告書(甲11),証拠品複写報告書(甲47,133),資料入手報告書(甲48,68,74,87,107),電話聴取報告書(甲56),訂正報告書(甲58,135),資料作成報告書(甲85,123ないし125),企業検索結果報告書(甲104),供述調書訂正経緯報告書(甲109),印刷結果報告書(甲119),捜査報告書(甲120,130),資料作成結果報告書(甲321,323)
・ 捜査関係事項照会書(甲39,49,59,61,64,70,76,78,80,88,90,92,94,97,99,101,110,113,115,117,324,326,328,330),同回答書(甲40,50,51,60,62,65,71,77,79,81,89,91,93,95,98,100,102,111,114,116,118,325,327,329,331)
別表1番号1の事実について
・ Dの警察官調書(甲12)
・ 所在確認報告書(甲13),証拠品写真撮影報告書(甲16),複写報告書(甲17)
・ 捜査関係事項照会書(甲14),同回答書(甲15)
別表1番号2の事実について
・ U26の警察官調書(甲18)
・ 訂正報告書(甲19),被害場所確認結果報告書(甲20),資料入手報告書(甲21),証拠品写真撮影報告書(甲22),証拠品複写報告書(甲23)
別表1番号3の事実について
・ U27の警察官調書(甲24)
・ 訂正報告書(甲25),被害場所写真撮影報告書(甲26),証拠品写真撮影報告書(甲29),証拠品複写報告書(甲30),資料入手報告書(甲31)
・ 捜査関係事項照会書(甲27),同回答書(甲28)
別表1番号4の事実について
・ U28の警察官調書(甲32)
・ 訂正報告書(甲33),所在確認報告書(甲34),証拠品写真撮影報告書(甲37),複写報告書(甲38)
・ 捜査関係事項照会書(甲35),同回答書(甲36)
別表2番号1の事実について
・ U29の警察官調書(甲200)
・ 電話聴取結果報告書(甲201),被害場所確認結果報告書(甲202),証拠品写真撮影報告書(甲203),証拠品複写報告書(甲204)
・ 捜査関係事項照会書(甲205),同回答書(甲206)
別表2番号2の事実について
・ U30の警察官調書(甲207)
・ 電話聴取結果報告書(甲208),被害場所確認結果報告書(甲209),証拠品写真撮影報告書(甲210),証拠品複写報告書(甲211),資料入手報告書(甲212)
・ 捜査関係事項照会書(甲213),同回答書(甲214)
別表3番号1の事実について
・ U31の警察官調書(甲223)
・ 写真撮影報告書(甲224),証拠品写真撮影報告書(甲225),証拠品複写報告書(甲226)
・ 捜査関係事項照会書(甲227),同回答書(甲228)
別表3番号2の事実について
・ U32の警察官調書(甲229)
・ 所在確認結果報告書(甲230),証拠品写真撮影報告書(甲231,233),証拠品複写報告書(甲232,234),訂正報告書(甲236)
・ 捜査関係事項照会書(甲235),同回答書(甲237)
別表3番号3の事実について
・ U33の警察官調書(甲238)
・ 電話聴取結果報告書(甲239),所在確認報告書(甲240)
・ 捜査関係事項照会書(甲241),同回答書(甲242)
別表3番号4の事実について
・ U34の警察官調書(甲243)
・ 欺罔場所確認結果報告書(甲245),資料入手報告書(甲248)
・ 捜査関係事項照会書(甲246),同回答書(甲247)
別表3番号5の事実について
・ U35の警察官調書(甲249)
・ 被害場所確認結果報告書(甲250,251),資料入手報告書(甲252)
・ 捜査関係事項照会書(甲253),同回答書(甲254)
別表4番号1の事実について
・ U36の警察官調書(甲255)
別表4番号2の事実について
・ 答申書(甲256)
別表4番号3の事実について
・ 答申書(甲257)
・ 電話聴取報告書(甲258)
別表4番号4の事実について
・ 答申書(甲259)
・ 電話聴取報告書(甲260)
別表4番号5の事実について
・ 答申書(甲261)
・ 電話聴取報告書(甲262)
別表4番号6の事実について
・ 答申書(甲263)
・ 電話聴取報告書(甲264)
別表4番号7の事実について
・ 答申書(甲265)
・ 電話聴取報告書(甲266)
別表5番号1の事実について
・ 答申書(甲267)
・ 電話聴取報告書(甲268)
別表5番号2の事実について
・ 答申書(甲269)
別表5番号3の事実について
・ 答申書(甲270)
・ 電話聴取報告書(甲271)
別表5番号4の事実について
・ 答申書(甲272)
別表5番号5の事実について
・ 答申書(甲273)
・ 電話聴取報告書(甲274)
別表5番号6の事実について
・ 答申書(甲275)
・ 電話聴取報告書(甲276)
別表5番号7の事実について
・ 答申書(甲277)
・ 電話聴取報告書(甲278)
別表5番号8の事実について
・ 答申書(甲279)
・ 電話聴取報告書(甲280)
別表5番号9の事実について
・ 答申書(甲281)
別表5番号10の事実について
・ 答申書(甲282)
別表5番号11の事実について
・ 答申書(甲283)
・ 電話聴取報告書(甲284)
別表5番号12の事実について
・ 答申書(甲285)
・ 電話聴取報告書(甲286)
別表5番号13の事実について
・ 答申書(甲287)
・ 電話聴取報告書(甲288)
別表5番号14の事実について
・ 答申書(甲289)
・ 電話聴取報告書(甲290),電話聴取結果報告書(甲291)
別表5番号15の事実について
・ 答申書(甲292)
・ 電話聴取報告書(甲293)
別表5番号16の事実について
・ 答申書(甲294)
別表5番号17の事実について
・ 答申書(甲295)
・ 電話聴取報告書(甲296)
別表5番号18の事実について
・ 答申書(甲297)
・ 電話聴取報告書(甲298)
別表5番号19の事実について
・ U37の警察官調書(甲299)
別表5番号20の事実について
・ 答申書(甲300)
・ 電話聴取報告書(甲301),電話聴取結果報告書(甲302)
別表5番号21の事実について
・ 答申書(甲303)
別表5番号22の事実について
・ 答申書(甲304)
・ 電話聴取報告書(甲305)
別表5番号23の事実について
・ 答申書(甲306)
・ 電話聴取報告書(甲307)
別表5番号24の事実について
・ 答申書(甲308)
・ 電話聴取報告書(甲309)
別表5番号25の事実について
・ 答申書(甲310)
・ 電話聴取報告書(甲311)
別表5番号26の事実について
・ 答申書(甲312)
・ 電話聴取報告書(甲313),電話聴取結果報告書(甲314)
別表5番号27の事実について
・ 答申書(甲315)
・ 電話聴取報告書(甲316)
別表5番号28の事実について
・ 答申書(甲317)
・ 電話聴取報告書(甲318)
別表5番号29の事実について
・ 答申書(甲319)
・ 電話聴取報告書(甲320)
【事実認定の補足説明】
第1 争点
本件における争点は詐欺の故意及び共謀の成否であり,被告人は,○○を開催しないで出店料等(以下,消費税も含めて単に「出店料」ともいう。)をだまし取ろうと考えたことはなく,共謀したこともない旨述べ,弁護人もこれを前提として無罪の主張をしている。
第2 前提事実
関係各証拠によれば,以下の事実が認められる(特に断りのない限り,以下の日付は平成28年のものである。)。
1 被告人らの関係等
B(以下「B」という。)は,イベントの企画運営等の業務を行う株式会社e(以下「e社」という。)を設立し,その代表取締役を務めていた。
被告人は,A(以下「A」という。)及びBと中学校の同級生であり,その頃から交友関係があったが,イベントの企画運営等に関与したことはなかった。
2 ○○の計画状況等
(1) A及びBは,「○○」と称するフードイベントに対する出店希望者を募ることを計画した(この計画の実現可能性やこれに関する被告人らの認識については争いがあるが,この点に関する判断は下記第3で示すこととし,以下,単に「○○」と呼称することにする。)。
そこで,Aは,4月上旬頃,○○用のホームページの作成を知人に依頼し,さらに,6月頃,その主催会社とするためにd株式会社(以下「d社」という。)を別の知人から代金100万円で取得した。被告人は,この頃,Aから「俺は保証協会のブラックリストに載っているから,やれない」などと説明を受けてその代表取締役に就任するよう誘われ,これを承諾した。
なお,d社は,いわゆる休眠会社であり,何ら資産を有しておらず,定款や決算書類等もなく,その名義では携帯電話機や事務所賃貸借の契約すらできない状態であった。
(2) Aは,7月頃,E(以下「E」という。)に対し,○○の出店希望者向けの開催概要を記載したパンフレット(出店者概要)の作成を依頼し,Eはこれを引き受けた。このパンフレットは,東京会場の「○○2017」及び大阪会場の「大阪○○2017」についてそれぞれ作成され,上記ホームページにも掲載されたが,その内容は以下のとおりである(下記アの開催会場・期間を除き,両会場ともその内容は概ね共通である。)。
ア 開催会場・期間
・東京会場 f施設内のg広場・h広場
前期:平成29年2月13日~2月17日
後期:平成29年2月20日~2月24日
・大阪会場 i施設内のj広場
前期:平成29年2月17日~2月19日
後期:平成29年2月20日~2月24日
イ 出店料金等
・一般募集枠:70店舗~100店舗
出店料金が1期間当たり40万円(税別)
・特別募集枠:先着50店舗限定
下記①の出店料金を含め,4つの優待特典付き
①出店料金が1期間当たり20万円(税別)
②期間内の売上が75万円を下回った場合には出店料金の全額返金
③出店に必要な機材等の無償提供
④1店舗当たり3人の学生ボランティアスタッフの用意等のサービス
3 飲食店経営者に対する出店勧誘状況等
(1) A及びBは,H(以下「H」という。)ら知人をテレアポスタッフ(飲食店経営者に○○への出店勧誘を行う従業員の総称)に勧誘し,東京都豊島区△△及び沖縄県那覇市に事務所を構えた上(以下,それぞれ「△△事務所」及び「沖縄事務所」という。),7月頃から△△事務所においては数名で,8月頃から沖縄事務所においても約20名の態勢で飲食店経営者に対する出店勧誘を開始した。
なお,Bはe社における代表取締役を務める傍ら,△△事務所にほぼ常勤していた。Aは沖縄事務所に常勤してテレアポスタッフを統括しており,その人件費を含め同事務所の経費等の支払も行っていた。
(2) テレアポスタッフは,案内スタッフマニュアルに基づき,一般募集枠ではなく,「先着50店舗限定」の特別募集枠のみによる勧誘を指示されており,特別募集枠の特典としてパンフレットに記載されていたもの以外にも,出店者の各店舗からの保冷車による食材運搬,宿泊施設の無償提供等の約束もすることなどが指示されていた。このような出店勧誘の後,飲食店経営者に対して上記パンフレット等が送付された。出店を決めた飲食店経営者は,送付を受けた出店申込用紙に所定事項を記入して申込みをするとともに,判示d社名義の普通預金口座(以下「本件口座」という。)に出店料を振り込んでいた。
その結果,平成29年1月頃には,特別募集枠での出店申込みは,東京会場分が297店舗,大阪会場分が199店舗に上り,振り込まれた出店料も合計約1億3500万円に達した(なお,10月末時点―検察官が被告人について詐欺罪の成立を主張する時点である11月上旬頃の直前に当たる時期―においても,東京会場分が140店舗,大阪会場分が25店舗と,合計して165店舗を超える店舗数となっていた。)。
なお,A及びBは,出店勧誘に際して,テレアポスタッフに出店者数の上限等については特に指示するなどしていなかった。
(3) テレアポスタッフに対しては,1名当たり1000円以上の時給に加えて,出店申込み1件当たり概ね数千円から数万円の成功報酬が支払われていた。この成功報酬の額は,A及びBが決定していた。
そして,○○の開催延期を発表した頃までに,各事務所における賃料や人件費等として,沖縄事務所において約3400万円,△△事務所において約3900万円の支出がなされた。
(4) 被告人は,△△事務所において,当初は「I」の偽名を用いて出店勧誘を行っていた。被告人は,Aから,出店申込み1件当たり20万円の成功報酬を提示されたが,これに対して採算が取れないのではないかとの懸念を示したところ,「お前は友達だからいいんだ。」などと説明された。
8月頃以降,被告人は本件口座の管理を任されるようになり,A及びBに対して通帳の残高総額を確認できる写真等を送信することによって,三者間でこれに関する情報を共有していた。これに伴い,被告人は,出店勧誘業務から離れたが,収入を確保するため,Bが勧誘してきたG(以下「G」という。)に出店勧誘業務を引き継ぎ,Gの勧誘による出店申込みに係る成功報酬については,1件当たり被告人に15万円,Gに4万円をそれぞれ支払う扱いとされた(被告人は,受領した合計金額が約540万円である旨述べる。)。
4 ○○の開催準備状況等
フードイベントの開催に際しては,具体的な企画書や運営実施マニュアル等を作成した上で,これを基に,開催会場となる施設担当者や機材リース・会場設営会社等との打合せ,会場を管轄する関係機関(保健所,警察,消防)への許可申請ないし届出等が必要となるところ,東京会場の「○○2017」及び大阪会場の「大阪○○2017」に関する開催準備の状況等は以下のとおりであった。これらの開催準備は,主にBの判断と指示に基づき,Eが外注先業者や関係機関との窓口となって進められていた。被告人は,その詳細まで知る立場にはなかったものの,△△事務所に勤務する中で,○○の準備がほとんど進んでいないことを危惧するようになっていた。
(1) 「○○2017」における準備状況等
ア 開催会場の確保
○○のパンフレットやホームページ上においては,東京会場として,東京都調布市所在のf1施設(通称「f施設」)のg広場及びh広場が予定されていた。
A,B及び被告人らは,f施設側に会場の空き状況等を照会し,7月頃に下見をした。その後の11月上旬頃,d社によりg広場及びh広場の仮予約がされたが,結局,前期日程分のg広場使用料のみの支払がされ,h広場の仮予約は解除された。
イ 機材リース・会場設営会社との打合せ
Eは,k株式会社の担当者と打合せをしており,11月下旬頃,同社から特別募集枠に係る機材の一部のリース費用として1店舗当たり約9万円(税別)の見積書が示された。これに対して,d社側から見積額等に関する交渉の申入れがされることはなかった。
ウ 関係機関に対する許可・届出申請等
B及びEは,11月以降,多摩府中保健所担当者から,営業許可が必要になる旨の指導を受け,方向性が決まったら連絡するようにも言われていたが,特にこれに対応することもないまま,○○の開催延期発表に至った。
このほか,d社から,調布市観光協会に入会手続・登録がされたが,後援を受けるために必要とされる書類の提出はされず,また,東京消防庁調布消防署にも11月上旬頃に電話相談がされたのみでそれ以降の連絡はされなかった。
(2) 「大阪○○2017」における準備状況等
ア 開催会場の確保,機材リース・会場設営会社との打合せ
○○のパンフレットやホームページ上においては,大阪会場として,大阪市所在のi施設「j広場」が予定されていた。
B及びEは同会場の下見に赴いており,d社によって同会場の仮予約がされていた。Eと同会場担当者との間で12月15日に打合せを実施することが取り決められたが,この際,Eは,具体的な企画書や運営実施マニュアル等を打合せに持参するよう求められた。
B及びEは,10月中旬頃,l株式会社(機材リース・会場設営会社であり,以下「l社」という。)の担当者と打合せを行い,10月18日には,同担当者から,特別募集枠に係る機材リース費用として1店舗当たり約15万円(税込約16万円)の見積書が示された。その後,d社側から,この見積額に関する交渉等の申入れはされなかった。
Eは,Bの指示により12月15日の打合せ(l社担当者も出席した。)に一人で出向いたが,持参を求められていた具体的な企画書等を作成・持参していなかったため,i施設担当者から次回の打合せまでに必ず作成するよう求められた。また,Eが,会場設営等の準備期間を開催前日の1日のみとする意向を伝えたところ,両担当者から,準備期間として短すぎるとして反発を受けた。結局,その後の12月20日頃,l社担当者は,Eに対し,正式に○○の会場設営等への協力を断った。
イ 関係機関に対する許可・届出申請等
d社関係者から,10月中旬頃以降,大阪市保健所に対して営業許可の申請方法等に関する問合せ,大阪府此花警察署に対して事前相談がされたが,いずれもその後の連絡はされなかった。
5 開催延期発表に至るまでの経緯
(1) 被告人は,7月ないし8月頃,A及びBから「代表取締役は,そのうちHになってもらう予定で,Hにも話している。」などと言われてd社の代表取締役から退任することを促された。その後の10月中旬ないし下旬頃,被告人は,Aから新しい代表取締役の候補者を紹介されたこともあったが実現せず,また,AとBにおいてHに代表取締役への就任を持ちかけもしたがこれも断られた。そのような中,被告人は,11月上旬頃,Bから「イベントが失敗したら破産になるから絶対代わった方が良い」などと言われ,代表取締役の交代を改めて勧められた。
そのため,被告人は,11月中旬頃ないし下旬頃,F(9月頃から,△△事務所において「F1」の偽名を用いて出店勧誘を行っていた。以下「F」という。)に対し,「イベントが失敗したらF君も破産することになるかもしれないけど,F君は既にキャッシングの審査も通らないと言っていたし,破産しても影響はないんじゃない」などと話した上で,100万円を支払うことを条件にd社の代表取締役に就任するよう依頼したところ,Fはこれに応じた。その後,被告人は,Fに対して,本件口座から引き出した100万円を数回に分けて支払った。
(2) 被告人は,Aから,本件口座からまとまった現金を引き出すよう指示を受け,さらに,Bからも,二,三百万円を残して本件口座から現金を引き出すよう指示を受けた。
そこで,被告人は,11月15日に1000万円,同29日に1000万円,12月15日に1000万円,同29日に2000万円,平成29年1月13日に2000万円(合計7000万円)を本件口座から引き出した。
被告人は,この現金の大部分を自宅金庫に保管していたが,○○開催延期発表前の平成29年1月上旬頃から中旬頃にかけて,Aに3500万円,Bに1500万円をそれぞれ交付した。その結果,平成29年1月17日の開催延期発表時点における本件口座の預金残高はわずか約9000円のみとなっていた。
他方,Aは,11月から12月にかけて,休眠会社であった株式会社m(変更前の商号は株式会社m1)を譲り受けて沖縄事務所のテレアポスタッフを代表取締役に就任させるとともに,被告人に対し,本件口座から990万円を引き出してm社名義の預金口座に入金するよう指示した。被告人は,その頃,この指示に従った出金・入金を行ったが,平成29年1月中旬頃,m社名義の預金口座に残っていた500万円を自らの取り分としようと考え,Bにその旨を確認した。
(3) 被告人は,12月初旬頃,△△事務所において,テレアポスタッフがいる中,「(○○は)やらない」旨の発言をした。その場に居合わせたFがこれをBに伝えると,Bは,「必ずやるから大丈夫」などと言ってテレアポスタッフをなだめた。
(4) 被告人は,A及びBの指示に従い,12月頃から平成29年1月上旬頃にかけて,△△事務所及び沖縄事務所の賃貸借契約についてそれぞれ解約通知を行い,両事務所の閉鎖の準備を進め,平成29年1月中に各事務所は引き払われた。また,B及び被告人の指示で,△△事務所のスタッフらによって出店申込用紙や通帳等が処分された。
d社は,平成29年1月17日付けで,ホームページを通じて○○の開催延期を発表した。この頃,A及びBの指示によって,関係者間で連絡用に使用していたLINEメッセージが消去するなどされた。
第3 詐欺の故意及び共謀に関する判断
1 弁護人は,Bの供述に基づく○○の客観的収支予想を前提に,そもそも○○が開催不可能な企画ではない旨を主張しているから,まず,この点を検討しておくが,主催会社のd社の実績・資産等,○○の計画内容,その実現に見込まれる収支状況等を前提として常識的に考えれば,以下のとおり,その開催を実現することは不可能あるいは著しく困難であったと評価することができる。
(1) 上記第2に認定したとおり,出店料として合計約1億3500万円が集められているが,この出店料収入は,出店申込み1件当たりの出店料金額を定め,出店申込数を見込んでおけば容易に予測することが可能であり,しかも,主催者の判断により○○の開催準備のために自由に支出できる資金となる。
他方,開催に必要とされる支出には種々の項目があるが,少なくとも△△事務所及び沖縄事務所の固定経費(賃料や人件費等)の予測は比較的容易であり,しかも,テレアポスタッフの成功報酬額等の人件費は,主催者側の判断次第でその支出を抑制することすら可能である。この支出額は,上記第2に認定したとおり,沖縄事務所分が約3400万円,△△事務所分が約3900万円の合計7300万円に上っている。このほか,既に予定されていた各会場の使用料は,東京会場分が合計540万円(前期分の270万円は支払済み),大阪会場分が約270万円であった。
結局,以上のように比較的容易に収支予測が可能なもののみからでも,○○の開催準備資金としてその差額である約5000万円余り(1億3500万円-8110万円)が残るということになるから,他の開催経費をこの範囲に収める必要があったことが明らかである(なお,経費の支払時期を○○開催後(後払い)とすることによる対応の可否については下記(3)で別途検討する。)。
(2) そこで,次に,他の開催経費の計算・予測の状況等についてみる。
○○の計画及び勧誘においては,特別募集枠の設定が特徴的であり,先着50店舗限定というのに出店者の勧誘はほとんど全て特別募集枠によって行われているので,まずこの点から検討する。この特別募集枠は一般募集枠の半額の出店料で多岐にわたる手厚い特典を出店者に付与するものであるのに,計画・出店勧誘開始の段階までにこれらの支出項目について業者に見積もりを依頼したり,あるいは,概算であっても自ら収支計算を行ったりしたという形跡が一切ない。そして,このうち特別募集枠に係る機材リース費用については後に見積書の提出を受けているが,その金額は大阪会場に関して1店舗当たり約15万円(税込約16万円)に上っており,これを出店申込数(496店舗)全てに提供すれば,約8000万円に達し,それだけでほぼ残りの開催準備資金を使い切るどころか,大幅な資金不足に陥る事態となる。しかるに,主催者側においては,このような段階に至っても,見積金額の減額について交渉をしたり,出店者に対して現実に必要となる機材について照会・確認したりするなど,支出の見込みを検討したという形跡がない。
さらに,上記の機材リース費用以外にも特別募集枠には種々の特典内容が盛り込まれている上,グルメイベント開催のための一般的な経費(本部・ステージ等の会場設営機材費,電気・水道工事費,廃棄物処理費,設営・撤去人件費,夜間警備費,運営・誘導スタッフ人件費等)として相当の費用を要することが当然に見込まれる。しかるに,○○の計画・出店勧誘開始の段階までに,主催者側において,これらも含めた支出総額を念頭に置いて収支計算・予測を検討したという様子も全くみられない。
(3) なお,Bは,○○においてはd社に出店者の売上高の10パーセントに当たるロイヤリティ等の収入が見込まれていたから,これを含めれば,収支は見合うことになる旨を供述している。
当然のことながら,ロイヤリティは○○開催後にしか得ることができないものであるから,主催者が開催準備資金として自由に支出できる出店料収入を超える部分については,機材リースや会場設営等の外注先との関係で,その支払時期を○○開催後(後払い)とすることを受け入れてもらうほかない。しかしながら,d社は資産がなく,イベント企画運営等の実績も全くない会社であり,その名義では事務所賃貸借等の契約すらできない状態であった。そのようなd社を主催会社としておきながら,唯一イベント企画運営等の経験を持つBは,わざわざ「B1」なる偽名を用い,あるいはHの名前を騙るなどして自身の関与を殊更に隠していたというのであるから,外注先業者がBの手腕に期待を寄せるということもあり得ない。しかも,そもそも上記のとおり収支計算・予測がされておらず,外注先業者を含め対外的に収支の見通しを説明することができる状態にはなかったのであるから,費用後払いの交渉がたやすく実現するとは到底考えられない。
(4) 以上によると,○○は,少ない収入の割に支出が大きい特別募集枠の仕組みを設け,特別募集枠によってほとんど全ての出店者を勧誘するという計画であったにもかかわらず,その収支計算・予測が全くといってよいほどされていない。そして,特別募集枠に係る機材リースに関する見積金額を見るだけでも,出店料収入に比して特別募集枠の特典のための支出が過大であり,これを含めた開催経費を後払いにするという対応がほぼ不可能であることは余りにも明らかといえる。結局,○○の計画は,出店料収入(開催準備資金)と見込まれる経費が見合うものではなく,計画に従って開催準備を進めていったとしても早晩破たんする性質のものであったといえ,これを開催することは不可能あるいは著しく困難であったということができる。
2 もっとも,上記1に検討した収支見込み等については○○を計画・主導していたA及びBはともかく,被告人においてその詳細まで知り得る立場になかったことは弁護人が指摘するとおりである。そこで,上記第2に認定した被告人の行動等を前提に,○○開催の実現可能性に関する認識の内容・程度についてみる。
被告人は,イベント企画運営等の経験がないにもかかわらず,Aの誘いに応じて,主催会社の代表取締役に就任し,その際,同社が携帯電話機や事務所賃貸借の契約すらできない状態であることを知っていた。そして,飲食店経営者に対する出店勧誘を開始して間もない7月ないし8月頃の段階から,早くも,A及びBから代表取締役の交代を促されていた。また,被告人は,8月以降,△△事務所において自らもテレアポスタッフとして行っていた出店勧誘を通じて,特別募集枠の特典内容等(パンフレット記載の特典のほか,出店勧誘時に提示したものも含む)はもちろん,ほぼ全ての勧誘が特別募集枠によって行われていることを知っており,Aから提示された高額の成功報酬額(出店申込み1件当たり20万円。特別募集枠の出店料とほぼ同額である。)に対して採算が合うのか懸念していたのであるから,○○の収支見込みにも不安を抱いていたといえる。しかも,その後,被告人は,△△事務所における勤務の中で○○の準備がほとんど進んでいないことを危惧するようになっていた。
以上のとおり,被告人は,○○の計画立案や準備等に実際に関与したわけではなく,その詳細まで知る立場にはなかったものの,出店勧誘に関わり始めて以降,○○の収支見込みや準備状況等を危惧し,○○の開催に不安を抱いていたことが認められる(被告人も,公判でその旨を自認し,捜査段階においては具体的な供述(乙6,24)もしている。)。
3 そして,ここに以下の事情が加わったことを考慮すれば,少なくとも11月上旬頃の時点までには,被告人において○○が開催されない可能性が高いことを認識するに至ったこと,つまり,本件詐欺の未必の故意を認定することができる。
(1) 被告人は,○○を計画・主導していたA及びBから,10月中旬頃から11月上旬頃にかけて,被告人に代わる候補者を検討したが叶わなかったことを説明された上で改めて主催会社の代表取締役の交代を促され,11月上旬頃には,Bから,○○が失敗する可能性を告げられるとともに,改めて強く交代を勧められるに至っている。
A及びBは,○○を計画・主導して被告人を誘い入れたものであって,この両名が揃って10月中旬頃以降に主催会社の代表取締役の交代を再三促してきたこと自体,○○の先行きを強く懸念させる事情である。そして,上記2のとおり,被告人は①特別募集枠の特典内容やそれによる募集状況,自己に対する成功報酬額の過大さ等から○○の採算(収支)を懸念し,②準備もほとんど進んでいない状況を危惧していたのであるから,A及びBの上記言動は,被告人にとって唐突なものではなく,既に抱いていた上記の懸念・危惧が現実のものであること,すなわち,○○が開催されない可能性が高いことに思いを至らせるのに十分なものであったと考えられる。この点については,被告人自身も捜査段階において,(Bの話を聞いて)「頼りになるBが心配になるくらい準備が進んでいないと思い,ものすごく不安になった」(乙5),「もしかしたら○○が開催できないのではないかと思った」(乙24)などと,まさしく上記推認と同趣旨の供述をしている。
これに対し,被告人は,公判において「○○は開催されるにしても,イベント業者がいい加減な運営をして,責任を追及されることや,最低保証売上高に達しない出店者が増えて出店料の返金が膨らむことを心配していた」旨の弁解をしている。しかし,準備が進んでいないことは不開催に直結するものであるのに,イベントの開催後に生じ得る事態しか危惧していなかったという上記弁解は不合理である上,捜査段階の供述を変更した理由も明らかでないから,これを信用することはできない。
(2) そして,被告人は,主催会社の代表取締役交代の前後を通じて本件口座(上記1のとおりこの預金は,○○の出店料であり,開催準備資金となるものである。)の管理を続けていたが,以下の預金の引き出し状況等をみると,○○の開催準備資金を流用,隠匿あるいは分配したとしか考えられないものが見受けられる。これらは,上記時点までに詐欺の未必的故意が生じていたことの推認を裏付ける事情ということができる。
ア まず,被告人は,上記のとおり主催会社の代表取締役交代を促された後,Fに100万円を支払う条件を提示してこれを持ち掛けた。これは,A及びBによる代表取締役交代の勧めを深刻に受け止めた結果であるとともに,○○の開催準備に充てられるべき出店料を取り崩して他に流用する行為であったといえる。
イ 被告人は,11月15日以降,A及びBの指示によって,本件口座から合計7000万円もの預金を引き出し,その大部分を自宅金庫に保管した。これが○○開催のために必要な資金の移動・管理であるとは到底考えられないから,○○の不開催が露見した事態に備えた資金の隠匿ではないかとの疑いが生じて当然である。しかるに,被告人において,A及びBにこのような不審さを問い質したという形跡が見当たらない。
ウ さらに,被告人は,Aの指示に従って,11月頃から12月頃にかけて,本件口座から990万円を引き出してm社名義の口座に同額を入金した。これまた○○の開催準備資金の流用であるのに,被告人はAの指示に唯々諾々と従っている。
エ そして,○○開催延期発表前の平成29年1月上旬頃から中旬頃にかけて,被告人は,上記イの自宅金庫保管分の現金からAに3500万円,Bに1500万円をそれぞれ交付するとともに,その頃,m社名義の上記口座に残っていた500万円を自己の取り分とすることをBに確認するなどしており,利益の分配と考えられても仕方のない行為にさえ及んでいる。
(3) この他,被告人は,12月頃に「(○○は)やらない」などと上記推認に合致する趣旨の発言をしたこともあり,さらに,捜査段階において11月には詐欺の未必的故意があったことを認める趣旨の供述もしている(乙22)。
4 これに対し,弁護人は,被告人が①11月頃にイベントが失敗する可能性を聞いても主催会社の代表取締役の交代をしただけで,イベントから脱退する選択はしていないこと,②テレアポスタッフに○○が開催されないという不安を抱かせるだけであるのに,「(○○は)やらない」旨の発言をしていること,③○○の開催延期発表後も飲食店経営者らに出店料の返金作業を行っていたことなどを指摘した上で,これらは,A及びBが詐欺を行うつもりであることを被告人が確信していたことと相容れない行為であり,詐欺の確定的認識がないのにその共謀を認定することは許されないと主張している。
しかしながら,弁護人の上記指摘は,○○の不開催に関する確定的な認識の認定を妨げるものにとどまり,その未必的な認識があったことを前提にしても説明が可能な事情にすぎない。また,共謀者の故意が未必的故意にとどまるときにも,これにつき共謀共同正犯が成立することは最高裁判所の判例(最高裁平成19年(あ)第285号同年11月14日第3小法廷決定・刑集61巻8号757頁)に照らして明らかであるから,この点に関する弁護人の主張は採用できない。
第4 結論
以上のとおり,被告人は,A及びBから○○が失敗する可能性を告げられて代表取締役の交代を促された11月上旬頃までには,それ以前の状況等と相まって,○○が開催されない可能性が高いことの認識,つまり,詐欺の未必的故意を有するに至ったと認めることができ,その限度においてA及びBとの間で意思を通じたことも認定することができる(なお,E及びFについては,○○に関与した立場・態様等に照らして,詐欺の故意及び共謀を認定することはできない。)。
したがって,11月上旬頃以降の出店勧誘について判示のとおり詐欺罪が成立する。
【法令の適用】
罰条 判示各別表の番号ごとにそれぞれ刑法60条,246条1項
併合罪の処理 刑法45条前段,47条本文,10条(犯情の最も重い別表5番号14の罪の刑に法定の加重)
未決勾留日数の算入 刑法21条
訴訟費用の処理 刑事訴訟法181条1項ただし書(不負担)
【量刑の理由】
本件は,○○と称するフードイベントの出店料名目で,日本各地の飲食店経営者らから金銭を詐取したという組織的・職業的な犯行である。その態様は,飲食店経営者に対して魅力的な各種特典を提示して出店を勧誘するという計画的にして巧妙なものである。被告人が関与した判示事実の被害者は約40名,被害額は合計約1100万円余りにのぼっており,その結果は重い。
被告人は,本件を計画・主導した共犯者2名との関係においては,全容を知らされないまま犯行に誘い込まれ,詐欺の故意が生じて以降もその指示に従うという従属的な立場にあったといえる。もっとも,被告人は,詐取金が振り込まれる預金口座の管理を担当してその隠匿・分配に当たる行為を行うなどし,自らも約500万円を得る見込みを立てていた。このような役割や分配金額等によると,その刑事責任は相応に重い。
他方,被告人のために酌むべき事情として,本件後に破産宣告を受けた主催会社の破産手続(平成29年5月時点での届出債権額は約7800万円)の過程で1000万円を支払うことによって被害の弁償に一定の寄与をしたこと(なお,これとは別にBから2500万円の支払いがされている),詐欺の故意を否定してはいるものの,事実関係について概ね素直に供述しており,反省・謝罪の態度を示していること,その母親が上記1000万円の一部を用立てるなどして被告人の身を案じていること,被告人に前科がないことなどを指摘することができるが,この点を考慮しても,主文の刑は免れない。
(求刑;懲役6年)
(検察官廣澤英幸・萩原由衣,弁護人(私選)V 各出席)
東京地方裁判所刑事第3部
(裁判長裁判官 丹羽敏彦 裁判官 内山裕史 裁判官 上田佳子)
〈以下省略〉
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