【営業代行から学ぶ判例】crps 裁判例 lgbt 裁判例 nda 裁判例 nhk 裁判例 nhk 受信料 裁判例 pl法 裁判例 pta 裁判例 ptsd 裁判例 アメリカ 裁判例 検索 オーバーローン 財産分与 裁判例 クレーマー 裁判例 クレプトマニア 裁判例 サブリース 裁判例 ストーカー 裁判例 セクシャルハラスメント 裁判例 せクハラ 裁判例 タイムカード 裁判例 タイムスタンプ 裁判例 ドライブレコーダー 裁判例 ノンオペレーションチャージ 裁判例 ハーグ条約 裁判例 バイトテロ 裁判例 パタハラ 裁判例 パブリシティ権 裁判例 ハラスメント 裁判例 パワーハラスメント 裁判例 パワハラ 裁判例 ファクタリング 裁判例 プライバシー 裁判例 プライバシーの侵害 裁判例 プライバシー権 裁判例 ブラックバイト 裁判例 ベネッセ 裁判例 ベルシステム24 裁判例 マタニティハラスメント 裁判例 マタハラ 裁判例 マンション 騒音 裁判例 メンタルヘルス 裁判例 モラハラ 裁判例 モラルハラスメント 裁判例 リストラ 裁判例 リツイート 名誉毀損 裁判例 リフォーム 裁判例 遺言 解釈 裁判例 遺言 裁判例 遺言書 裁判例 遺言能力 裁判例 引き抜き 裁判例 営業秘密 裁判例 応召義務 裁判例 応用美術 裁判例 横浜地裁 裁判例 過失割合 裁判例 過労死 裁判例 介護事故 裁判例 会社法 裁判例 解雇 裁判例 外国人労働者 裁判例 学校 裁判例 学校教育法施行規則第48条 裁判例 学校事故 裁判例 環境権 裁判例 管理監督者 裁判例 器物損壊 裁判例 基本的人権 裁判例 寄与分 裁判例 偽装請負 裁判例 逆パワハラ 裁判例 休業損害 裁判例 休憩時間 裁判例 競業避止義務 裁判例 教育を受ける権利 裁判例 脅迫 裁判例 業務上横領 裁判例 近隣トラブル 裁判例 契約締結上の過失 裁判例 原状回復 裁判例 固定残業代 裁判例 雇い止め 裁判例 雇止め 裁判例 交通事故 過失割合 裁判例 交通事故 裁判例 交通事故 裁判例 検索 公共の福祉 裁判例 公序良俗違反 裁判例 公図 裁判例 厚生労働省 パワハラ 裁判例 行政訴訟 裁判例 行政法 裁判例 降格 裁判例 合併 裁判例 婚約破棄 裁判例 裁判員制度 裁判例 裁判所 知的財産 裁判例 裁判例 データ 裁判例 データベース 裁判例 データベース 無料 裁判例 とは 裁判例 とは 判例 裁判例 ニュース 裁判例 レポート 裁判例 安全配慮義務 裁判例 意味 裁判例 引用 裁判例 引用の仕方 裁判例 引用方法 裁判例 英語 裁判例 英語で 裁判例 英訳 裁判例 閲覧 裁判例 学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例 共有物分割 裁判例 刑事事件 裁判例 刑法 裁判例 憲法 裁判例 検査 裁判例 検索 裁判例 検索方法 裁判例 公開 裁判例 公知の事実 裁判例 広島 裁判例 国際私法 裁判例 最高裁 裁判例 最高裁判所 裁判例 最新 裁判例 裁判所 裁判例 雑誌 裁判例 事件番号 裁判例 射程 裁判例 書き方 裁判例 書籍 裁判例 商標 裁判例 消費税 裁判例 証拠説明書 裁判例 証拠提出 裁判例 情報 裁判例 全文 裁判例 速報 裁判例 探し方 裁判例 知財 裁判例 調べ方 裁判例 調査 裁判例 定義 裁判例 東京地裁 裁判例 同一労働同一賃金 裁判例 特許 裁判例 読み方 裁判例 入手方法 裁判例 判決 違い 裁判例 判決文 裁判例 判例 裁判例 判例 違い 裁判例 百選 裁判例 表記 裁判例 別紙 裁判例 本 裁判例 面白い 裁判例 労働 裁判例・学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例・審判例からみた 特別受益・寄与分 裁判例からみる消費税法 裁判例とは 裁量労働制 裁判例 財産分与 裁判例 産業医 裁判例 残業代未払い 裁判例 試用期間 解雇 裁判例 持ち帰り残業 裁判例 自己決定権 裁判例 自転車事故 裁判例 自由権 裁判例 手待ち時間 裁判例 受動喫煙 裁判例 重過失 裁判例 商法512条 裁判例 証拠説明書 記載例 裁判例 証拠説明書 裁判例 引用 情報公開 裁判例 職員会議 裁判例 振り込め詐欺 裁判例 身元保証 裁判例 人権侵害 裁判例 人種差別撤廃条約 裁判例 整理解雇 裁判例 生活保護 裁判例 生存権 裁判例 生命保険 裁判例 盛岡地裁 裁判例 製造物責任 裁判例 製造物責任法 裁判例 請負 裁判例 税務大学校 裁判例 接見交通権 裁判例 先使用権 裁判例 租税 裁判例 租税法 裁判例 相続 裁判例 相続税 裁判例 相続放棄 裁判例 騒音 裁判例 尊厳死 裁判例 損害賠償請求 裁判例 体罰 裁判例 退職勧奨 違法 裁判例 退職勧奨 裁判例 退職強要 裁判例 退職金 裁判例 大阪高裁 裁判例 大阪地裁 裁判例 大阪地方裁判所 裁判例 大麻 裁判例 第一法規 裁判例 男女差別 裁判例 男女差别 裁判例 知財高裁 裁判例 知的財産 裁判例 知的財産権 裁判例 中絶 慰謝料 裁判例 著作権 裁判例 長時間労働 裁判例 追突 裁判例 通勤災害 裁判例 通信の秘密 裁判例 貞操権 慰謝料 裁判例 転勤 裁判例 転籍 裁判例 電子契約 裁判例 電子署名 裁判例 同性婚 裁判例 独占禁止法 裁判例 内縁 裁判例 内定取り消し 裁判例 内定取消 裁判例 内部統制システム 裁判例 二次創作 裁判例 日本郵便 裁判例 熱中症 裁判例 能力不足 解雇 裁判例 脳死 裁判例 脳脊髄液減少症 裁判例 派遣 裁判例 判決 裁判例 違い 判決 判例 裁判例 判例 と 裁判例 判例 裁判例 とは 判例 裁判例 違い 秘密保持契約 裁判例 秘密録音 裁判例 非接触事故 裁判例 美容整形 裁判例 表現の自由 裁判例 表明保証 裁判例 評価損 裁判例 不正競争防止法 営業秘密 裁判例 不正競争防止法 裁判例 不貞 慰謝料 裁判例 不貞行為 慰謝料 裁判例 不貞行為 裁判例 不当解雇 裁判例 不動産 裁判例 浮気 慰謝料 裁判例 副業 裁判例 副業禁止 裁判例 分掌変更 裁判例 文書提出命令 裁判例 平和的生存権 裁判例 別居期間 裁判例 変形労働時間制 裁判例 弁護士会照会 裁判例 法の下の平等 裁判例 法人格否認の法理 裁判例 法務省 裁判例 忘れられる権利 裁判例 枕営業 裁判例 未払い残業代 裁判例 民事事件 裁判例 民事信託 裁判例 民事訴訟 裁判例 民泊 裁判例 民法 裁判例 無期転換 裁判例 無断欠勤 解雇 裁判例 名ばかり管理職 裁判例 名義株 裁判例 名古屋高裁 裁判例 名誉棄損 裁判例 名誉毀損 裁判例 免責不許可 裁判例 面会交流 裁判例 約款 裁判例 有給休暇 裁判例 有責配偶者 裁判例 予防接種 裁判例 離婚 裁判例 立ち退き料 裁判例 立退料 裁判例 類推解釈 裁判例 類推解釈の禁止 裁判例 礼金 裁判例 労災 裁判例 労災事故 裁判例 労働基準法 裁判例 労働基準法違反 裁判例 労働契約法20条 裁判例 労働裁判 裁判例 労働時間 裁判例 労働者性 裁判例 労働法 裁判例 和解 裁判例

「営業アウトソーシング」に関する裁判例(8)平成30年 4月16日 熊本地裁 平26(ワ)890号 司法修習生給費等請求事件

「営業アウトソーシング」に関する裁判例(8)平成30年 4月16日 熊本地裁 平26(ワ)890号 司法修習生給費等請求事件

裁判年月日  平成30年 4月16日  裁判所名  熊本地裁  裁判区分  判決
事件番号  平26(ワ)890号・平27(ワ)192号・平29(ワ)42号
事件名  司法修習生給費等請求事件
文献番号  2018WLJPCA04166002

評釈
篠原永明・ジュリ臨増 1531号12頁(平30重判解)
中川律・法セ増(新判例解説Watch) 23号31頁

裁判年月日  平成30年 4月16日  裁判所名  熊本地裁  裁判区分  判決
事件番号  平26(ワ)890号・平27(ワ)192号・平29(ワ)42号
事件名  司法修習生給費等請求事件
文献番号  2018WLJPCA04166002

当事者の表示 別紙「当事者目録」記載のとおり

 

 

主文

1  原告らの請求をいずれも棄却する。
2  訴訟費用は,原告らの負担とする。

 

事実及び理由

第1  請求
被告は,原告らに対し,各1万円を支払え。
第2  事案の概要等
1  本件は,平成16年法律第163号による裁判所法の改正によって,同改正前裁判所法67条2項に規定されていた司法修習生がその修習期間中,国庫から一定額の給与を受ける制度(以下「給費制」といい,同制度に基づく給与を「給費」という。)が廃止されたところ,66期司法修習生であった原告らが,被告に対し,①憲法上保障された給費を受ける権利を侵害し,憲法27条,22条1項及び14条1項に反する同改正は違憲無効であると主張し,同改正前裁判所法67条2項本文の規定に基づいて,給費の一部として各5000円(未払である給費233万5920円の一部)の支払を求め,②また,内閣総理大臣による給費制廃止政策の策定・遂行行為及び国会議員による上記立法措置並びにその後に給費制を復活させなかった立法不作為が違法な公権力の行使であるとして,国家賠償法1条1項に基づいて,損害の一部として各5000円(受給できなかった給費相当額233万5920円及び慰謝料100万円の一部)の賠償を求める事案である。
2  前提事実(争いのない事実,後掲各証拠及び弁論の全趣旨により認められる事実)
(1)  司法修習制度について(甲A1,乙1,争いなし)
ア 昭和22年までの法曹養成制度は,判・検事の養成を目的とする司法官試補の制度と弁護士の養成を目的とする弁護士試補の制度に分かれていたが,昭和22年4月16日公布,同年5月3日施行の裁判所法(昭和22年法律第59号。以下「昭和22年裁判所法」という。)は新たな司法修習生の制度(給費制を含む。)を定め,司法試験(施行当時は高等試験司法科)に合格して裁判官,検察官,弁護士のいずれかになるべき者は全て最高裁判所により採用された司法修習生として司法修習を行うという,統一的な法曹養成制度(以下「統一司法修習」という。)が開始された。給費制はこのときから平成16年法律第163号による改正(以下「本件改正」という。)で廃止されるまで継続された。
イ 司法修習の目的は,「高い識見と円満な常識を養い,法律に関する理論と実務を身につけ,裁判官,検察官,又は弁護士にふさわしい品位と能力を備える」ことにある(司法修習生に関する規則(昭和23年8月18日最高裁判所規則第15号)4条)。
(2)  原告ら(弁論の全趣旨)
原告らはいずれも,裁判所法66条1項に基づいて最高裁判所に司法修習生を命ぜられ,平成24年11月27日から平成25年12月まで司法修習をした66期司法修習生である。
(3)  司法修習内容(乙40,争いなし)
66期司法修習生は,まず,各自定められた実務修習地において分野別実務修習(民事裁判修習,刑事裁判修習,検察修習,弁護修習を各2か月間)を行った後,選択型実務修習及び司法研修所における集合修習を各2か月間行い,合わせて約1年間の司法修習を行った。
(4)  本件改正(争いなし)
平成16年法律第163号による改正前の裁判所法67条2項本文には,制定時から本件改正まで「司法修習生は,その修習期間中,国庫から一定額の給与を受ける。」と規定されていたが,本件改正により,「司法修習生は,その修習期間中,最高裁判所の定めるところにより,その修習に専念しなければならない。」と改められ,本件改正は後述のとおり平成23年11月1日から適用が開始された。
(5)  給費制等(争いなし)
昭和22年裁判所法施行後から,本件改正適用開始前に採用された現行65期司法修習生(平成14年法律第138号による改正前の司法試験の合格者として司法修習生となった65期の司法修習生)まで,司法修習生には昭和22年裁判所法67条2項に基づく給与が支給され,現行65期司法修習生の給与額は平成24年3月31日までは月額20万4200円,同年4月1日以降は月額19万4460円であった。
上記司法修習生には,給与に加え,一般職の国家公務員の例により,扶養手当,地域手当,住居手当,通勤手当,期末手当及び勤勉手当が支給され,裁判所共済組合への加入も認められていた。
(6)  貸与制(乙3,争いなし)
ア 平成16年法律第163号の施行日は,法律案提出時は平成18年11月1日とされていたが,国会審議により平成22年11月1日に修正された。さらに,同法施行後の平成22年11月26日,平成23年11月1日までに採用された司法修習生に対しても従前の司法修習生と同様に給与を支給することを内容とする裁判所法の改正法(平成22年法律第64号。以下「平成22年改正」という。)が成立し,給費制の廃止の適用は,平成23年11月1日まで繰り下げられる結果となった。
平成23年11月1日をもって,給費制は廃止されると同時に,いわゆる貸与制が導入されることとなった。
イ 貸与制は,最高裁判所が,申請した司法修習生に対し,司法修習中,修習資金を貸与する制度であり,概要は以下のとおりである。
(ア) 資力要件なし
(イ) 利息なし
(ウ) 貸与額 月額23万円(基本額)
扶養親族がある場合又は住居を賃借している場合 25万5000円
扶養親族があり,かつ住居を賃借している場合 28万円
基本額未満の額の貸与を希望する場合 18万円
(エ) 保証人 自然人2人又は指定金融機関の連帯保証
(オ) 返還方法 返還開始は修習期間終了の5年後,その後10年以内の分割返済(繰上げ返済も可能)
(カ) 返還の猶予 災害,傷病その他やむを得ない理由により返還することが困難となった場合
(キ) 返還の免除 貸与を受けた者の死亡又は精神的若しくは身体の障害により返還することができなくなったとき
(7)  平成29年の法改正
平成29年4月26日,司法修習生に対し,修習のために通常必要な期間として最高裁判所の定める期間,修習給付金を支給することを内容とする裁判所法改正法(平成29年法律第23号。以下「平成29年改正」という。)が成立し,同年11月1日に施行された。これにより,同日以後に採用された71期司法修習生には,修習給付金が支給されることとなった。
71期司法修習生に給付される修習給付金のうち,基本給付金(後記第3の1(4)ウ(ウ))として最高裁判所が定めた額は,原則として月額13万5000円である。
3  争点及び争点に対する当事者の主張
(1)  争点
ア 平成16年法律第163号による裁判所法の改正(本件改正,本件改正法)が違憲無効か(争点①)
イ 本件改正法の立法行為又は平成16年以降給費制を復活しなかった立法不作為が国家賠償法上違法か(争点②)
ウ 原告らの損害(争点③)
(2)  争点①(本件改正法が違憲無効か)について
(原告らの主張)
ア 憲法上の要請としての司法修習生の給費制
統一司法修習及び給費制は,戦前の司法制度及び法曹養成制度において司法が行政の下におかれ,国による国民の人権弾圧を防ぐことができなかった歴史的経緯を踏まえ,国民の人権擁護を根幹とし,司法権に違憲審査権を付与して三権分立を確立し,弁護士を含めた司法権を担う法曹三者を憲法上明記した日本国憲法と同時に施行された裁判所法により実施されたものである。このような憲法上の法曹の地位及び統一司法修習の成立経緯に照らせば,法曹としての職責を果たし得る人材を確保することは被告の当然の義務であり,司法権の担い手としての法曹の養成をするシステムである統一司法修習は憲法上の要請である。そして,法曹養成のための必須の課程である司法修習の本質からすれば,司法修習生の修習専念義務が当然に導かれるところ,有為かつ多様な人材の確保をするためには,個々の司法修習生の経済的事情によって,司法修習を断念したり,司法修習に専念できないという事態が生じることは許されないから,給費制は不可欠であって,給費制と修習専念義務とは表裏一体の関係にあるというべきである。
したがって,司法修習及び給費制は,憲法が要請する制度であり,司法修習生の給費を受ける権利は司法権の本質及び司法修習生の地位等に基づくものであって,昭和22年裁判所法は憲法附属法典の一つとして給費制を定めたものであるから,安易な改廃は許されず,これを廃止する本件改正法は違憲無効である。
イ 本件改正と憲法の個別の条項との関係
以下のとおり,給費制を廃止する本件改正は,憲法の個別の条項にも反しており,本件改正法は違憲無効である。
(ア) 本件改正の憲法27条違反
司法修習生は,①最高裁判所から委託を受けた高等裁判所長官,地方裁判所長,検事長,検事正,弁護士会長,司法研修所長などが作成するカリキュラムに従って修習することが義務付けられていること,②修習時間中は指導担当者の指揮監督を受けていること,③配属地という場所的拘束に加えて,所定の時間に修習を行うという時間的拘束も受けていること,④実務法曹を養成する目的で実施される修習に業務代替性がないこと,⑤給費制時代の司法修習生が受けていた給費は,労務の対価である賃金として扱われていたことからすると,司法修習生には使用従属性が認められるから,司法研修所長等の指揮命令に従って司法修習に専念すること自体が労務の提供であり,司法修習生は憲法27条1項及び2項の「勤労」をする者といえる。このことは,司法修習生について公務員に準じた取扱いがされ,被告自身,司法修習生が給費を受けることが当然であると考えていたこと,司法修習生が国家公務員災害補償法の適用を受けることからも裏付けられる。したがって,被告は,原告らに対し,この労務の提供に対する対価を支払う義務を負っており,対価の支払いのための法律を制定する義務を負うというべきであるから(憲法27条2項),被告による給費制の廃止は,これらの義務に反する。
(イ) 本件改正の憲法22条1項違反
a 法曹三者になるためには司法修習を終了しなくてはならないという要件を課すことは,職業選択の自由を制約する消極的規制であるから,厳格な合理性の基準により審査する必要があるところ,司法修習制度自体は合憲であるとしても,給費制の廃止という修習の条件の変更は,一定の資産のある者しか法曹になれなくなるという条件を課すことに等しく,職業選択の自由に対する制約にあたるから,個別的にその適否を厳格な合理性の基準により判断すべきである。
そして,60年以上にわたって存続してきた給費制を廃止するについては,その立法事実の存否について厳格に判断されなければならないところ,給費制の廃止は,司法修習生が増加する中,給費制を維持すれば財政負担が大きくなり,国民の理解が得られないことを根拠とするものであるが,そのような立法事実はない。また,給費制が憲法上の要請であることや,その廃止が質の高い法曹により司法の機能を全うさせるという目的に反するものであることからすれば,本件改正が重要な公共の利益のために必要かつ合理的な措置であるということはできない。
b また,原告らは,給費制が廃止されたことにより,司法修習中の生活費約300万円を捻出するために自らの蓄えを失い,あるいは,親族等への返済義務を負うに至り,そのために,人権問題等弁護士としてやるべき仕事や,やりたいと感じている仕事に従事ことができず,営業の自由も侵害されている。
(ウ) 本件改正の憲法14条1項違反
原告ら66期司法修習生と,現行65期以前や新71期の司法修習生とは,修習の内容についてほぼ同一であり,また,その他の給費の支給にかかわる点を除き,身分上の地位の取り扱い,修習専念義務に基づく権利制約及び実務修習地の指定に伴う居住・移転の自由の制約等についても全く同一であるところ,財政上の事情や国民の理解が得られないといった給費制廃止の理由はその具体的な根拠を欠くものであって,給費制をほぼ全面的に廃止した本件改正には合理的な理由がなく,何らの事情変更がないにもかかわらず,給費制を廃止し,その後,修習給付金制度を導入したことは,いずれも不合理な差別に当たる。
71期司法修習生との関係においては,平成29年法改正によって憲法14条1項に違反する状態が作出されたものであるが,その状態が作出された根源は本件改正により給費制が廃止されたことにあるから,本件改正法のうち,給費制を廃止した部分が憲法14条1項に違反することになる。
(被告の主張)
ア 憲法上の要請としての司法修習生の給費制について
憲法は,法曹養成に関していかなる制度を採用するかについては何ら定めていないことからして,司法修習の実施は憲法上の要請に基づくものではないし,給費制も憲法上の要請とはいえない。法曹養成に関していかなる制度を採用するか,その具体的内容をどのようなものにするかは,法律事項として立法府の政策的な判断に委ねられており,統一司法修習及び給費制が憲法上保障されているとはいえないから,給費制の廃止は憲法に違反しない。
イ 本件改正と憲法の個別の条項の関係について
(ア) 本件改正と憲法27条の関係
司法修習は,法曹に必要な能力を養成するために,実際の法律実務活動の中で行われる臨床教育課程であって,司法修習生が司法修習の課程で法律実務家として国の事務に関して職務を遂行することは予定されていないし,司法修習生にそのような権限は与えられていない。具体的な修習内容に照らしても,司法修習生は,裁判官,検察官又は弁護士の職務その他の国の事務に従事するものではない。
また,司法修習生は,国家公務員とは異なり一定の職務を行う権限を有しておらず,国の事務を行うことも予定されていないから,司法修習生は国家公務員として勤務の対価である「給与」を受ける前提を欠く。司法修習は,専ら司法修習生に対する教育を目的として行われるものであって,国に対する勤務又は給付の性質を有するものではなく,司法修習生は,司法修習の対価を受ける立場にもないから,「労務の提供」に該当せず,憲法27条1項所定の「勤労」には当たらない。
したがって,司法修習生の給費を受ける権利は憲法27条で保障されておらず,給費制の廃止は同条に反しない。
(イ) 本件改正と憲法22条1項の関係
原告らは,給費制が廃止された後に法曹三者を職業とすることを選択し,66期司法修習生として司法修習を終え,法曹三者のいずれかに就く資格を有するに至ったのであるから,職業選択の自由が侵害されたとはいえない。
また,司法修習生が修習に専念することを確保するための制度は給費制のみに限定されるものではないから,原告らの主張は前提を欠くし,司法修習制度の本質から,修習専念義務が認められるのであるから,修習専念義務によって経済的負担が生じるとしても,自らの意思で司法修習生になることを選択したことに伴う制約にすぎず,憲法22条1項に反するものではない。
そして,給費制は司法修習生を司法修習に専念させるための配慮として設けられていた制度であるところ,その廃止は職業選択の自由に対する新たな制約を課すものではないし,代替措置として導入された貸与制により,司法修習生に対する生活基盤は確保されているのであるから,給費制の廃止は職業選択の自由を侵害しているとは到底いえない。
(ウ) 本件改正と憲法14条1項の関係
a 現行65期以前の司法修習生
法曹養成制度の具体的内容をどのようなものにするかといった事項は,経済的・社会的条件,一般的な国民生活の状況,国の財政事情,他の政策等を踏まえて検討される必要があり,国の政策的な判断に委ねられるべきものである。したがって,新65期司法修習生とそれ以前の司法修習生との間の区別に事柄の性質に即応した合理的な根拠があるかどうかについては,国に広い裁量があることを前提に,給費制から貸与制への移行という立法府の判断に合理性があるか否かの問題に帰着する。
本件改正法による給費制から貸与制への移行は,法曹の質・量の充実,法曹人口の増加等も含め,新たな財政負担を伴う司法制度改革を推進する中で,限りある財政資金をより効率的に活用し,司法制度改革全体について国民の理解が得られる合理的な国民負担(財政負担)を図る必要があること,給費制創設当初と比較して司法修習生が大幅に増加しており,新たな法曹養成制度の整備に当たり,その増加に実効的に対応できる制度とする必要があること,公務に従事しない者に国が「給与」を支給するのは異例の制度であることなどを踏まえ,司法修習生の「給与」を国民が負担することについて国民の理解を得られるか否かといった観点などから行われたものであり,合理的な政策判断に基づくものである。本件改正法により,給費制に代わる経済的支援措置として導入された貸与制の内容を見ても,司法修習期間中の生活の基盤を確保するのに十分合理的なものとなっている。
したがって,本件改正による給費制から貸与制への移行という立法府の判断には合理性が認められ,66期司法修習生である原告らと現行65期司法修習生との間の区別には,事柄の性質に即応した合理的な根拠があり,憲法14条1項に反するものではない。
b 71期司法修習生
平成29年改正法は,近年、法曹志望者が大幅に減少している中,法曹人材確保の充実・強化の推進等を図るため,修習給付金制度を創設するとともに,貸与制については貸与額等を見直した上でこれを併存することとしたものであり,かかる制度設計は,本件改正法における給費制から貸与制への移行期と同様,司法制度全体に関して合理的な財政負担を図る必要があること,公務に従事しない者に「給与」を支給することが異例であることといった事情をも考慮してなされたものである。上記修習給付金制度の対象に貸与制下の司法修習生は含まれていないが,改正の趣旨や貸与制下での貸与を受けていない者等の取扱いをどうするかといった制度設計上の問題に加えて,既に修習を終えている者に対する事後的救済措置について国民的な理解を得ることの困難性を踏まえた合理的な政策的判断であることを考慮すると,71期以降の司法修習生と原告ら66期司法修習生の取扱上の差異は,事柄の性質に即応した合理的な根拠に基づく区別であり,本件改正法の合憲性の判断に影響するものではない。
(3)  争点②(本件改正法の立法行為又は平成16年以降給費制を復活しなかった立法不作為が国家賠償法上違法か)について
(原告らの主張)
ア 争点①について述べたとおり,司法修習生の給費を受ける権利は憲法上保障されているところ,内閣総理大臣は,憲法上要請される給費制について,これを廃止することが許されないことを明確に認識しながら,給費制の廃止を内容とする本件改正法案を策定し,国会に提出した。また,国会議員も憲法上要請される給費制について,これを廃止することが,国民に憲法上保障されている権利を侵害するものであることが明白であるにもかかわらず,本件改正法を可決,成立させた。
給費制の廃止は,行政権,立法権による司法権そのものへの侵害であるから,原則として国家賠償法上の違法性及び過失が認められ,例外的に違法性や過失を阻却する事情が認められない限り,国家賠償法上違法な行為と認められるべきである。
被告の給費制廃止に係る立法行為には,違法性を阻却すべき事情は一切なく,廃止してはならない法律上の規定を廃止した違法行為であり,少なくとも上記義務違反について過失があった。
イ 国会議員は,平成23年10月31日の経過により,平成22年改正に基づく給費制延長措置が終了した後,廃止すべきでない給費制を復活させず,貸与制を導入したにとどまった。
また,これは行政権,立法権による司法権そのものへの侵害であるから,原則として国家賠償法上の違法性及び過失が認められ,例外的に違法性や過失を阻却する事情が認められない限り,国家賠償法上違法な行為と認められるべきである。
国会議員の給費制を復活しなかった行為には,違法性を阻却すべき事情は一切なく,国会議員は,廃止してはならない法律上の規定を廃止後,違憲の状態を解消する義務(憲法99条)があったにもかかわらず,これを怠り,立法行為等をせずに漫然と放置した違法があり,不作為に過失があった。
ウ このように,本件改正法の立法行為又は立法不作為は国家賠償法上違法であり,これにより,原告らは,無給のまま司法修習に専念することを余儀なくされ,本件改正前の給費相当額の損害を被ったほか,精神的苦痛を被った。
(被告の主張)
国会議員の立法行為又は立法不作為が国家賠償法1条1項の適用上違法となるかどうかは,国会議員の立法過程における行動が個別の国民に対して負う職務上の法的義務に違背したかどうかの問題であって,立法の内容又は立法不作為が国民に憲法上保障されている権利を違法に侵害するものであることが明白な場合や,国民に憲法上保障されている権利行使の機会を確保するために所要の立法措置をとることが必要不可欠であり,それが明白であるにもかかわらず,国会が正当な理由なく長期にわたってこれを怠る場合などに,例外的に国会議員の立法行為又は立法不作為は,国家賠償法1条1項の規定の適用上,違法の評価を受ける。
これを本件についてみると,これまで述べてきたとおり,本件改正法により給費制を廃して貸与制とした立法行為は憲法に違反しないから,本件改正法の立法行為又は立法不作為は,国家賠償法1条1項の適用上違法と評価される余地はない。内閣総理大臣の行為についても,給費制を廃止して貸与制としたことは憲法に違反するものではないから国賠法上何ら違法ではない。
(4)  争点③(原告らの損害)について
(原告らの主張)
原告らは,本件改正による給費制の廃止により,得べかりし給与額(237万2480円)相当の損害を負った。また,給費制の廃止による原告らの経済的負担(書籍購入費,健康管理に関する費用,交際費を必要以上に節約する等)や将来の経済不安等を考慮すれば,慰謝料は100万円を下らないというべきである。
(被告の主張)
否認ないし争う。
第3  当裁判所の判断
1  認定事実
前記前提事実並びに,後掲の証拠及び弁論の前趣旨により,以下の事実が認められる。
(1)  法曹養成制度及び給費に関する経緯
ア 戦前(甲A1,A14,A22ないしA24,A25の3)
(ア) 大日本帝国憲法下において,判・検事は,裁判所構成法(明治23年法律第6号)及び判・検事登用試験規則に基づき,判・検事登用試験の第一回試験(大正12年以降は高等試験令による高等試験司法科試験)に合格した者が,司法官試補として3年間(明治41年以降は1年6か月)裁判所及び検事局で実務修習を受け,第二回試験に合格したのち,判・検事として登用されていた。司法官試補は,修習の一環として,検事代理,官選弁護人等を務めることができ,さらに,奏任官としての待遇を与えられ,相当額の給与を受領していた。
(イ) これに対し,弁護士は当初,弁護士試験合格者(大正12年以後は,判・検事と同じ高等試験司法科試験に合格した者)が,修習を経ずに弁護士として登録していた。
昭和11年,弁護士にも弁護士試補の制度が設けられ,弁護士会での1年6か月の修習を要することとなったが,弁護士試補と司法官試補の修習は別に行われ,司法官試補は弁護士会での修習を行わず,弁護士試補は裁判所及び検事局での修習を行わなかった。また,国庫から,修習費用(指導弁護士に対する指導手当)の補助金は支出されていたものの,弁護士試補に対しては,1年6か月の修習期間中,給与が支給されず,兼職及び営業が制限されており,官選弁護人等を務めることはできなかった。そのため,一般に,弁護士試補の生活は非常に苦しく,途中で辞退する者が続出したといわれる旨記載した文献もある。
(ウ) 大日本帝国憲法下,司法大臣が裁判所に対する司法行政監督権を有するなど司法権が行政権から完全には独立しておらず,また,司法大臣(昭和11年以前は検事正)が弁護士会に対する監督権を有し,その請求によって裁判所が弁護士の懲戒を行う制度であった。そのため,法曹による十分な人権擁護が困難な状況であったとの見解もある。
イ 戦後(甲A2の1,A29(枝番を含む),A30(枝番を含む。),A32,A33,乙44)
(ア) 昭和20年8月のポツダム宣言受諾以降,法曹による十分な人権擁護が行えなかったという戦前の司法制度の反省を踏まえ,司法の民主化を含む司法制度改革が進められ,内閣に設置された憲法問題調査委員会の討議では,現行の日本国憲法改正草案要綱発表以前の段階から,①大審院に法令審査権を付与すべきこと,②行政裁判所を廃止して,通常裁判所に行政訴訟を所管させること,③検事局を裁判所から分離すること,④いわゆる法曹一元を実行するための準備をすることといった司法制度改革の内容が挙げられていた。昭和21年3月6日の憲法改正草案要綱が発表されて以降,司法省内には,司法省各局,在京各裁判所・検事局,行政裁判所,在京各弁護士会に所属する者の一部で構成される臨時司法制度改正準備協議会が設置され,その中で試補の制度を司法官と弁護士を区別せず設け,国がその養成に当たることが提案された。その後設置された司法法制審議会の議論では,〔第3次〕裁判所法案要綱(案)(昭和21年8月7日。甲A30の1)の「司法官試補及び弁護士試補の別を廃して,司法修習生(仮称)とする。」との定めに特段の異論はなかった。
(イ) 昭和22年裁判所法の立法過程においては,数次にわたり裁判所法案が起草されたが,〔第1次〕裁判所法案(甲A30の2)の「共通規定」(第5編)の第3案(昭和21年9月17日)で司法修習生の規定が起草されてから一貫して,司法修習生が修習期間中一定額の給与を受ける旨の規定が置かれている。他方で,同案においては,①司法修習生を二級官吏としてみなす旨,②修習を担当する判事,検事又は弁護士の命により裁判所,検察庁又は弁護士の事務を取り扱うことができる旨,③各裁判所の長官はその裁判所で修習中の司法修習生に裁判所書記官(同案での呼称は司録官)の事務を臨時に取り扱わせることができる旨の規定が置かれていたが,「共通規定」の第4案(昭和21年10月1日)では,①や②の規定はなくなり,〔第3次〕裁判所法案(昭和21年11月11日)では③の規定もなくなった。また,〔第2次〕裁判所法案(昭和21年10月21日)では司法修習生の規定は「裁判所の職員」(第5編)内の1章として置かれていたが,〔第4次〕裁判所法案(昭和21年11月19日。甲A30の5)以降は,裁判所職員の章とは別の章に規定されるようになった。昭和22年裁判所法は,このような裁判所法案の改訂を反映し,司法修習生による事務の取扱いや公務員としての地位に関する規定は存在しない。なお,〔第2次〕裁判所法案までは法制局の審議に付されておらず,〔第3次〕裁判所法案は,民事局の局議を経たものの,司法省の省議を得るに至っていないものであった。
(ウ) 裁判所法案については,第92回帝国議会貴族院裁判所法案特別委員会が,昭和22年3月20日に開催され,同委員会において,当時の司法大臣であったBは,要旨,日本国憲法は最高裁判所に関する事項をはじめその他司法権に関する事項について重要な規定を設けており,大日本帝国憲法下での裁判制度も,改正の必要が生じたと説明した。
さらに,第92回帝国議会衆議院裁判所法案委員会(昭和22年3月17日)において,委員から,「本法案は新憲法のもと,立法,行政と並んで完全な獨立を確保する裁判所の構成に関する根本法であり,憲法附属法典の一つをなすものであります。」との発言があった。
その後,昭和22年裁判所法は成立し,同年5月3日に施行された。同法67条2項では,同法の制定時から平成16年改正までの間,その本文において「司法修習生は,その修習期間中,国庫から一定額の給与を受ける。」と規定され,司法修習生には,その修習期間中,国庫から一定額の給与が支給されていた(給費制)。もっとも,平成10年の改正により,同項ただし書として「ただし,修習のため通常必要な期間として最高裁判所が定める期間を超える部分については,この限りでない。」が加えられた(その結果,考試に合格しなかった場合,司法修習生の身分を直ちに失わず,修習期間が続くことになるにもかかわらず,給与を受けないこととなった。)。
(2)  本件改正(貸与制の創設)の経緯
ア 司法制度改革審議会における議論(甲A6,A45,乙4ないし7)
(ア) 司法制度改革審議会設置法(平成11年6月9日法律第68号。乙5)に基づき,平成11年7月,21世紀の我が国社会において司法が果たすべき役割を明らかにし,国民がより利用しやすい司法制度の実現,国民の司法制度への関与,法曹の在り方とその機能の充実強化その他の司法制度の改革と基盤の整備に関し必要な基本的施策について調査審議する会として,内閣に司法制度改革審議会(以下「審議会」という。)が設置された。審議会では,まず,司法の機能の充実・強化のためには,質・量ともに豊かな法曹を得ていくことが不可欠であるとの認識に立ち,法曹の圧倒的多数を占める弁護士を含め司法の人的体制の充実の必要性や法曹養成制度の在り方等の人的基盤に関する問題の解決について調査検討がされた。具体的に,改革の3つの柱とされたのは,人的基盤の拡充,制度的基盤の整備(国民に分かりやすく利用しやすい司法制度の構築),国民的基盤の確立(国民の確かな基盤の上に立たしめること)であった。
(イ) 審議会は,平成12年11月20日,その中間報告において,司法制度改革の3つの柱の1つである人的基盤の拡充に関し,今後,国民生活の様々な場面で法曹に対する量的需要の増大,質的需要の多様化,高度化が予想され,日本の法曹人口は先進諸国と比べて極めて少ないことから,国民と司法とをつなぐ法曹の質と量の拡充・強化を図るため,計画的にできるだけ早期に,年間3000人程度の新規法曹の確保を目指す必要があるとした。また,同報告では,法曹人口の大幅増員にふさわしい法曹養成制度の整備が不可欠であり,法科大学院を基幹的な高等専門教育機関として,法学教育,司法試験,司法修習を有機的に連携させたプロセスとしての法曹養成制度を新たに整備すべきであることが指摘された。
(ウ) その後,中間報告について,各界から意見が出され,審議会においては,それらをも踏まえた上,更に議論を重ねるなどし,平成13年6月12日,審議会意見書(甲A45,乙7)が取りまとめられた。審議会意見書では,給費制の在り方について,「修習生に対する給与の支給(給費制)については,将来的には貸与制への切替えや廃止をすべきではないかとの指摘もあり,新たな法曹養成制度全体の中での司法修習の位置付けを考慮しつつ,その在り方を検討すべきである。」とされた。
イ 司法制度改革に関する方針等の決定(乙8)
(ア) 平成13年11月16日,国の規制の撤廃又は緩和の一層の進展その他の内外の社会経済情勢の変化に伴い,司法の果たすべき役割がより重要になることにかんがみ,審議会の意見の趣旨にのっとって行われる司法制度の改革と基盤の整備について,その基本的な理念及び方針,国の責務その他の基本となる事項を定めるとともに,司法制度改革推進本部を設置すること等により,司法制度改革を総合的かつ集中的に推進することを目的とする司法制度改革推進法(平成13年法律第119号。乙8)が公布され,その基本理念としては,国民が容易に利用できるとともに,公正かつ適正な手続の下,より迅速,適切かつ実効的にその使命を果たすことができる司法制度を構築し,高度の専門的な法律知識,幅広い教養,豊かな人間性及び職業倫理を備えた多数の法曹の養成及び確保その他の司法制度を支える体制の充実強化を図り,並びに国民の司法制度への関与の拡充等を通じて司法に対する国民の理解の増進及び信頼の向上を目指し,もってより自由かつ公正な社会の形成に資することを基本として行われるものとされた。
また,同法5条2号では,司法制度を支える体制を充実強化させるため,法曹人口の大幅な増加,裁判所,検察庁等の人的体制の充実,法曹養成のための教育を行う大学院に関する制度の整備その他の法曹養成のための制度の見直し,裁判官,検察官及び弁護士の能力及び資質の一層の向上のための制度の整備等を図ることが基本方針の1つとされた。
(イ) 平成13年12月1日,同法8条に基づいて,司法制度改革推進本部(内閣総理大臣が本部長,内閣官房長官及び法務大臣が副本部長,その他国務大臣が本部員を務める。)が,内閣に設置された。平成14年3月19日に閣議決定された司法制度改革推進計画では,現在の法曹人口が日本社会の法的需要に十分に対応できていない状況にあること,今後も法的需要が増大すると予想されることから,法曹人口の大幅な増加が急務となっていることを踏まえ,新たな法曹養成制度の整備の状況等を見定めながら,平成22年頃には司法試験の合格者数を年間3000人程度とすることを目指すとされた。
また,同計画において,法曹養成について,司法を担う法曹に必要な素質として,豊かな人間性や感受性,幅広い教養と専門的な法律知識,柔軟な思考力,説得・交渉の能力等に加えて,社会や人間関係に対する洞察力,人権感覚,先端的法分野や外国法の知見,国際的視野と語学力,職業倫理等が広く求められることを踏まえ,法曹養成に特化した教育を行う法科大学院を中核とし,法学教育,司法試験,司法修習を有機的に連携させた新たな法曹養成制度を整備すること,司法修習生の増加に実効的に対応する司法修習が実施されるよう,司法修習の内容等について検討を加え,併せて司法修習生の給費制の在り方について検討を行うこととされた。
ウ 法曹養成検討会における議論(乙10ないし22)
(ア) 司法制度改革推進本部における司法修習並びに給費制及び貸与制の検討は,推進本部の下に置かれた法曹養成検討会(以下「検討会」という。)で行われた。検討会の委員11名は,大学教授,法曹実務家を中心とする構成であったが,これら以外の者も含まれていた。検討会は,平成14年1月11日から平成16年9月1日までの約2年8か月間にわたり,全24回開催され,給費制及び貸与制については,第7回検討会(平成14年5月10日)以降,検討の対象となった。
(イ) 第8回検討会(平成14年6月4日)では,給費制の予算面の制約や,国民感情,他の高等専門教育プロセスとのバランスからすると給費制をそのまま維持することは難しいと思われるが,そもそも大きな司法を目指すということであれば,抜本的に国家的大プロジェクトをする以上,大胆な資金投入をするという国家的決意でスタートしていると思われるところもあり,従来の予算から何%というような発想によるべきではないのではないかといった意見が出される一方,法科大学院から司法修習という長期間にわたる経済的な負担の観点から法曹になる者の社会階級が限定されないようにするべきではないかといった意見も出されたが,第18回検討会(平成15年7月14日)においては,法科大学院生に対する財政支援や司法制度改革によって導入される被疑者段階の公的弁護制度,司法ネットの整備,裁判員制度等への財政措置も併せて検討しなければならないという状況からして給費制の維持は困難であり,法科大学院から司法修習までのプロセスにおいて,全体として負担をいかに軽減するかという議論をすべきという意見が出ており,以降,反対意見はありつつも,給費制の維持は困難であり,貸与制を中心とした制度設計(返還免除や修習専念義務との兼ね合い等)について議論がされた。
(ウ) そして,第23回検討会(平成16年6月15日)において,下記のとおり「意見の整理」がされ,第24回検討会(平成16年9月1日)において,上記「意見の整理」に沿って事務局が検討した貸与制の具体的な制度内容が説明され,立案作業を進めることが確認された。

新たな法曹養成制度の整備に当たり,司法修習生に対して給与を支給する制度(給費制)に代えて,国が司法修習生に対して貸付金を貸与する制度(貸与制)を平成18年度から導入することとする。貸与制の具体的制度設計については,次の点に留意するものとする。
1 貸付額については,司法修習生が修習に専念する義務を負うことを考慮した額とすること。
2  返還は10年程度の年賦等による分割払とし,繰上返還も認めるほか,事情に応じて返還猶予を認めるものとすること。
3  返還期限が経過するまでは無利息とすること。
4  具体的な返還免除や返還猶予のあり方については,関係機関の意見をも踏まえつつ,引き続き検討すること。
5  貸付金に係る国の債権管理,事務処理などについては,アウトソーシングなどによる効率化を図ること。
6  司法修習生に対して旅費(実務修習地と司法研修所との往復など)を支給するものとすること。
(少数意見)
C委員は,「給費制は,厳しい専念義務の下での充実した修習の基盤となり,また公益的活動を支える使命感醸成の効果をもたらしているのであり,経済的事情から法曹への道を断念する志望者が出ることを防ぐためにも,なおこれを堅持すべきである。」との少数意見を述べた。
エ 内閣は,これらの議論をとりまとめて,給費制に代えて貸与制に移行する内容の裁判所法の一部を改正する法律案(本件改正法案)を閣議決定して,国会に提出した(弁論の全趣旨)。
オ 国会での審議(乙23ないし27)
(ア) 法務大臣は,第161回衆議院法務委員会で,本件改正法案について,新たな法曹養成制度の整備は,多様かつ広範な国民の要請に応えることのできる多数の優れた法曹の養成を図ることを目的とするもので,司法修習についても,司法修習生の増加に実効的に対応することができる制度であることが求められているところ,そのような状況に鑑みて,新たな法曹養成制度の整備の一環として,給費制に代えて,司法修習生が司法修習に専念することを確保するための資金を国が貸与するという貸与制の導入を目的とするものであるとの趣旨説明を行い,同委員会は平成16年11月24日及び同月26日の2日間にわたり本件改正法案の審議を行った。
同委員会では,貸与制に移行する必要性についての質問で財政上の理由が強調されすぎているとの指摘がされたのに対して,法曹人口を大幅に増やす政策を決めており,戦後まもなくの創設当初の司法試験合格者年間200人台とは状況の変化があること,裁判員制度や司法ネット等の実現に財政負担を要すること,公務に従事しない者に対する給与の支給が異例の制度であることなどを考慮すると,今後もさらに国民の負担を増やして給費制を維持することに対する国民の理解を得ることが困難と考えられるとの答弁がされた。
そのほか,同委員会においては,法科大学院等を含めた総合的な司法修習生の経済的負担に対する配慮の内容,他の国の制度との比較,返還免除の制度を設けなかった理由,修習専念義務を明文化した理由,修習専念義務及び兼職禁止の具体的内容,実務修習地の選択権の有無,貸与の要件,貸与制への移行時期,統一司法修習の維持や判検事と弁護士の間の給費・貸与の制度の統一性の当否等についての質疑応答がされ,希望しない実務修習地に配属される司法修習生にさらに経済的負担を強いることを懸念する指摘や,新たな法曹養成制度全体の議論が成熟していない中で貸与制への移行だけが急がれていることを懸念する指摘もされた。
本件改正法案については,同日,同委員会において,周知期間が短すぎるため,施行日を延期すべきであるとの理由から,施行日を平成22年11月1日とする修正案が提出され,修正部分を除く原案も含めて総員の賛成により可決された。また,本件改正法案に対し,政府並びに最高裁判所は,本法の施行に当たり,①修習資金の額については,法曹の使命の重要性や公共性にかんがみ,高度の専門的能力と職業倫理を備えた法曹を養成する見地から,引き続き,司法修習生が修習に専念することができるよう,必要かつ十分な額を確保すること,②修習資金の返還の期限については,返還の負担が法曹としての活動に影響を与えることがないよう,必要かつ十分な期間を確保するとともに,司法修習を終えてから返還を開始するまでに,一定の据置期間を置くこと,③給費制の廃止及び貸与制の導入によって,統一・公平・平等という司法修習の理念が損なわれることがないよう,また,経済的事情から法曹への道を断念する事態を招くことのないよう,法曹養成制度全体の財政支援の在り方も含め,関係機関と十分な協議を行うことについて格段の配慮をすべきであるとの附帯決議の動議が提出され,これも総員の賛成により可決された。
本件改正法案(修正後のもの。以下同じ。)は,平成16年11月30日,第161回衆議院本会議において,賛成多数で可決された。
(イ) 平成16年12月1日,第161回参議院法務委員会において,本件改正法案について,法務大臣による趣旨説明,修正案提出者による修正部分の趣旨説明,質疑応答がなされた。質疑応答の中では,給費制の廃止及び貸与制の導入が法曹養成制度の議論の中でひとつ先んじているのではないかといった指摘もなされた。本件改正法案は,同日,賛成多数で可決された。また,前記(ア)の附帯決議に,政府並びに最高裁判所が格段の配慮をすべき事項として④新司法試験については,法科大学院における教育及び司法修習との連携によるプロセスとしての新しい法曹養成制度の理念と成立の経緯を踏まえた実施を図ることを追加した内容の附帯決議の動議が提出され,賛成多数で可決された。
本件改正法案は,同月3日,第161回参議院本会議において,賛成多数で可決された。
(3) 本件改正後の経緯
ア 法曹養成制度に関する検討ワーキングチームにおける検討(乙28)
(ア) 平成16年4月から法科大学院が学生の受入れを開始し,平成18年度からは新司法試験及び新司法修習が開始され,新たな法曹養成制度が開始されたにもかかわらず,法曹志望者が年々減少し,法曹の質を維持しつつ,その大幅な増加を図るという当初の理念の実現が困難となる懸念が示され,このような法曹養成制度の悪循環への対策の必要が生じたことから,平成22年,新たな法曹養成制度の問題点等の検証,改善策の選択肢の整理のために,法務省及び文部科学省によって,両省の副大臣が主宰する法曹養成制度に関する検討ワーキングチーム(以下「ワーキングチーム」という。)が設置された。ワーキングチームでは,同年3月1日から同年6月25日までの間,全11回にわたり,給費制及び貸与制を含む法曹養成制度等について検討が行われ,同年7月6日付けで「法曹養成制度に関する検討ワーキングチームにおける検討結果(取りまとめ)」(以下「ワーキングチーム取りまとめ」という。)が公表された。
(イ) ワーキングチーム取りまとめでは,司法修習生の経済的負担について,「法科大学院入学から司法修習生になるまでに多額の経済的負担が必要となることに加えて,平成22年11月から司法修習生に対する給費制が廃止されて修習資金の貸与制が実施されると,優れた資質を備えた多様な人材が経済的な事情から法曹を志すことを断念せざるを得なくなる事態が拡大することが避けられないという問題があるとの意見があった。この立場からは,改善策として,平成22年11月以降も司法修習生に対する給費制を維持するべきではないかとの意見や,貸与制を導入するとしても返済免除制度を拡大すべきではないかとの意見があった。
これらの意見に対しては,貸与制の導入は,新たな法曹養成制度の整備に当たり,法曹人口の拡大を実現する必要があることや,限りある財政資金をより効率的に使用して,司法制度全体に関して合理的な国民負担を図る必要があることから,司法制度改革審議会以来の様々な議論を経て導入されたものであり,給費制を存続するためには国民的理解が必要ではないかとの意見や,貸与制の具体的な内容を見ても,無利子である上,修習終了後5年間の据置期間を設けて,10年間の分割返済としており,返済猶予・返済免除の制度も設けられていることから,返済の負担が過大とはいえないのではないかとの意見があった。」旨記載されている。
イ 平成22年改正(乙29ないし32)
(ア) 平成16年改正法が平成22年11月1日施行された後,同月24日の衆議院法務委員会において,法曹志望者の厳しい経済状況にかんがみ,これらの者が経済的理由から法曹になることを断念することがないよう法曹養成制度に対する財政支援のあり方について見直しを行うことが緊要な課題となっていることから,平成23年10月31日までの間,暫定的に司法修習生がその修習に専念することを確保するための資金を国が貸与する制度を停止し,司法修習生に対し給与を支給する制度とする内容の法案(平成22年改正法案)を委員会提出法律案とすることが総員賛成で可決された。
(イ) 平成22年改正法案は,平成22年11月25日の衆議院本会議で賛成多数により可決され,同日の参議院法務委員会で質疑及び討論が行われ,討論の際,出席者の一人から,給費制を維持する実質的な理由がなく,国会での議論が十分になされていないことを理由とする反対意見が述べられたものの,賛成多数で可決され,同月26日の参議院本会議において同旨の反対意見が述べられたものの賛成多数で可決,成立し,同年12月3日に公布,施行された。
ウ 法曹の養成に関するフォーラム(乙33,34(枝番を含む。))
(ア) 平成23年5月13日,内閣官房長官,総務大臣,法務大臣,財務大臣,文部科学大臣,経済産業大臣の申合せにより,法曹の養成に関する制度の在り方について検討を行うため,法曹養成に関するフォーラム(以下「フォーラム」という。)の開催が決定された。平成23年5月25日(第1回)から同年8月31日(第5回)まで開催されたフォーラムでは給費制及び貸与制に関する検討が行われ,同日,「法曹の養成に関するフォーラム第一次取りまとめ」(以下「フォーラム第一次取りまとめ」という。)が作成された。
(イ) フォーラム第一次取りまとめには,①司法修習は,新しい法曹養成プロセスにおいて必須の課程であって,司法修習生が修習に専念できるようにするため,修習期間中の生活の基盤を確保する必要があり,司法修習生に経済的支援を行う必要があること,②経済的支援の基本的な在り方としては,貸与制を基本とした上で,個々の司法修習終了者の経済的な状況等を勘案した措置(十分な資力を有しない者に対する負担軽減措置)を講ずること,③具体的な措置として,一定の要件のもとで経済困難を理由とする最長5年間の返還猶予期間を設け,法科大学院中の修学資金であることが明確な返還義務を負っている者についてはその要件を修正することが指摘された。
なお,フォーラムの少数意見として,①審議会意見書においては,従来からの司法関連予算の枠にとらわれない措置を求められていることからも,財政負担の増大を理由に給費制が廃止されるべきでないこと,②新たな法曹養成制度の様々な問題点が指摘される中で給費制の問題が議論済みとして終わらせるべき課題ではないこと,③司法修習生は公務員でないが,公務員と同様に種々の制限を受けるなど特異な地位にあるからこれに即した経済的支援の在り方を検討する必要があること,④貸与制に移行した場合の返還可能性の議論は貸与制を前提とするもので,貸与制か給費制かを決める根拠とならないこと,⑤連帯保証人が確保できずに貸与を受けられない可能性がある以上,貸与制の存在をもってしても経済的事情により司法修習が受けられない可能性があることなどから,給費制を維持すべきとの意見が出された。
エ 貸与制の開始
その後,平成22年改正により貸与制を適用しない期限とされた平成23年10月31日までの間に,給費制又は貸与制に関する裁判所法の改正は行われず,平成23年11月から司法修習を開始した新65期司法修習生から,貸与制が開始されることとなった。
オ 平成24年改正(乙35ないし38)
平成23年11月,フォーラム第一次取りまとめの結果を踏まえ,貸与制について,修習資金を返還することが経済的に困難である場合における返還猶予措置を講ずるための裁判所法の一部を改正する法律案(平成24年改正法案)が国会に提出され,衆議院での修正を経て,平成24年7月27日,平成24年改正法が成立した。
(4) 平成29年改正(修習給付金制度の創設)の経緯(甲A43,乙46ないし50,顕著な事実)
ア 平成27年6月30日,法曹養成制度改革推進会議が,「法科大学院全体としての司法試験合格率や,弁護士を含む法曹有資格者の活躍の場の拡がりなどが,制度創設当初に期待されていた状況と異なるものとなり,法曹志望者の減少を招来する事態に陥っている」ことから「法曹志望者数を回復させ,新たな時代に対応した質の高い法曹を多数輩出していくため,国民の理解を得ながら,」実行していく施策の中に,「司法修習生に対する経済的支援の在り方を検討する」という事項を掲げたのを機に,内閣は,国会に,平成29年以降の司法試験に合格した司法修習生に司法修習期間中,基本給付金,住居給付金及び移転給付金を内容とする修習給付金を支給する新制度の創設を盛り込んだ裁判所法の一部を改正する法律案(平成29年改正法案)を提出し,衆議院法務委員会は,平成29年3月21日から延べ4日にわたり,平成29年改正法案を審議した。法務大臣は,法曹の人材確保の充実強化の推進等を図るため,司法修習生に対し修習給付金を支給する制度を創設すること等を目的とするものであり,また貸与制については,貸与額を見直した上で新たな給付制度と併存させることとしているとの趣旨説明を行い,新65期から新70期までの現行貸与制の司法修習生の救済策について,上記の趣旨に照らせば,現行貸与制の司法修習生をも対象とする必要性に欠け,また貸与制下で貸与を受けなかった司法修習生の取扱いという制度上の困難な問題もあり,そもそも事後的な救済を行うことにつき,国民の理解が得られないのではないかと考えられることから現行貸与制下の司法修習生に対する救済制度を設けることは予定していない旨説明した。
審議の結果,同月31日,平成29年改正法案は総員賛成で原案どおり可決され,その後,衆議院本会議でも可決した。
イ 参議院法務委員会は,平成29年4月18日,平成29年改正法案を審議し,修習給付金制度の導入の理由と背景事情についての質問に対して,法曹志望者が大幅に減少しており,新たな時代に対応した質の高い法曹を多数輩出していくためにも法曹志望者の確保が喫緊の課題となっているところ,法曹人材確保の充実強化の推進等を図るためのものであるとの説明がされたほか,修習給付金が給費制下よりも減額されている根拠,新65期から新70期までの司法修習生の救済措置の有無,修習給付金の支給による法曹志望者の増加の見込みの有無,給費制廃止の理由に鑑みた修習給付金以外の制度の検討状況等について質疑応答がなされた後,同法案を全会一致で可決し,同月26日,参議院本会議の可決を経て平成29年改正法が成立した。同法の施行日は同年11月1日であったが,施行前に採用された司法修習生については,なお従前の例によることとされた。
ウ 平成29年改正法67条の2による修習給付金の定めは次のとおりである。
(ア) 司法修習生には,その修習のため通常必要な期間として最高裁判所が定める期間,修習給付金を支給する。
(イ) 修習給付金の種類は,基本給付金,住居給付金及び移転給付金とする。
(ウ) 基本給付金の額は,司法修習生がその修習期間中の生活を維持するために必要な費用であって,その修習に専念しなければならないことその他の司法修習生の置かれている状況を勘案して最高裁判所が定める額とする。
(エ) 住居給付金は,司法修習生が自ら居住するため住宅(貸間を含む。以下この項において同じ。)を借り受け,家賃(使用料を含む。以下この項において同じ。)を支払っている場合(配偶者が当該住宅を所有する場合その他の最高裁判所が定める場合を除く。)に支給することとし,その額は,家賃として通常必要な費用の範囲内において最高裁判所が定める額とする。
(オ) 移転給付金は,司法修習生がその修習に伴い住所又は居所を移転することが必要と認められる場合にその移転について支給することとし,その額は,路程に応じて最高裁判所が定める額とする。
(カ) 前各項に定めるもののほか,修習給付金の支給に関し必要な事項は,最高裁判所がこれを定める。
(5) 司法修習について
ア 司法修習の内容の大要(前提事実(3),乙40,弁論の全趣旨)
66期司法修習生は,まず,あらかじめ司法研修所長の定める実務修習地において分野別実務修習(民事裁判修習,刑事裁判修習,検察修習,弁護修習を各2か月間)を行った。分野別実務修習は,原則として平日午前9時から午後5時まで(配属庁により,15分前後の差があった。)実施された。
分野別実務修習が終わると,選択型実務修習及び司法研修所における集合修習を各2か月間行い,分野別実務修習と合わせて約1年間の修習を行った。
66期司法修習生の修習の一般的な内容は以下のとおりであり,現行65期司法修習生及び71期司法修習生の修習の内容及び構成も概ね同様である(ただし,71期司法修習生は分野別実務修習の前に導入修習が実施され,各修習の実施期間に変更が加えられている。)。
(ア) 民事裁判修習及び刑事裁判修習
各地方裁判所の民事部及び刑事部にそれぞれ配属され,裁判官が担当する訴訟事件を中心に,実際の事件を通じて裁判官から直接の指導を受ける。司法修習生は,事前に事件記録を検討した上で,民事訴訟及び刑事訴訟の各期日に立ち会うほか,裁判官との質疑応答や意見交換,法令や判例の調査・検討等を行い,事件記録に基づく判決書や和解条項等の起案の指導を受ける。
(イ) 検察修習
司法修習生は,各地方検察庁の検察官に送致された被疑事件の中から検討すべき事件を割り振られ,一件記録を検討した上で,被疑者その他の事件関係者の取調べ,供述調書の草案の作成,警察官に対する補充捜査の依頼や終局処分の検討等を行い,指導担当検察官の指導のほか,上席検察官の決裁手続による指導を受ける。供述調書は検察官名で作成されるが,電話聴取書や報告書は司法修習生名で作成することもある。
また,司法修習生は,起訴状,不起訴裁定書,冒頭陳述,論告要旨等の起案の指導を受け,証人テストへの立会い,法令・量刑の調査等を行う。
(ウ) 弁護修習
司法修習生は,弁護士会が指定した指導担当弁護士の所属する法律事務所において,当該指導担当弁護士の指導の下,民事事件に関しては,法律相談・依頼者との打ち合わせへの立会い,裁判期日への同行,法令・事実調査等を行い,依頼者への報告書・相手方への通知書・準備書面等の起案の指導を受け,刑事事件に関しては,被疑者の接見,示談交渉への同行,弁護方針の検討を行い,指導担当弁護士の所属する弁護士会の委員会等を通じた公益活動に参加する。
(エ) 選択型実務修習
配属庁会等においてそれぞれ修習プログラムが提供され,司法修習生は主体的にプログラムを選択し,分野別実務修習の成果の深化と補完を行う。司法修習生は,事前承認を得た上で自ら開拓した修習先(法曹の活動と密接な関係のある分野に限られる。)で行う自己開拓プログラムを選択することも可能である。
選択した修習プログラムにおける修習先での修習がないときは,原則として分野別実務修習の弁護修習において修習した弁護士事務所において修習を行う。
(オ) 集合修習
司法修習生は,埼玉県和光市に所在する司法研修所において,裁判官,検察官,弁護士の各実務家教員の指導の下,実務上よくみられる事案や現代社会の実相を反映した応用的な事案を用いた講義を受け,起案や模擬裁判等を行い,司法修習の総仕上げと実務家として活動するための準備にふさわしい高度な実務教育を受ける。
イ 修習専念義務及び兼職禁止
本件改正後の裁判所法が適用される司法修習生については,裁判所法67条2項が明文で修習専念義務を定め(前提事実(4)),司法修習生に関する規則2条が「司法修習生は,最高裁判所の許可を受けなければ,公務員となり,又は他の職業に就き,若しくは財産上の利益を目的とする業務を行うことができない。」として兼職禁止を定めている。
本件改正前の裁判所法が適用される司法修習生についても,兼職禁止の定めは同様であり,裁判所法上の明文規定はなかったものの修習専念義務を負っていたものと解される。
2 争点①(本件改正法が違憲無効か)について
(1) 給費制が憲法上保障された制度であるか否かについて
ア 日本国憲法は,裁判官に関する規定のみならず,77条に弁護士及び検察官に関する規定を,34条及び37条に弁護人に関する規定を設けており,憲法による法秩序における司法制度の担い手として法曹の存在を予定している。前記認定事実(1)のとおり,大日本帝国憲法下で法曹による十分な人権擁護が困難であったことへの反省から,現行憲法は,司法権,立法権,行政権の三権を分立させ,三権相互に権力を抑制し,均衡させて,国民主権及び基本的人権の尊重等の理念を実現しようとしていると解されることからすると,憲法は,かかる三権分立の趣旨を実効的なものとし,その理念を実現するために,司法制度の担い手である法曹について一定水準の専門的能力及び職業倫理の確保を憲法上の要請としているものと解される。
しかしながら,憲法には法曹養成制度に関する定めはなく,具体的な法曹養成の方法が上記要請から一義的に定まるものでもないから,法曹養成制度の設計は法律事項として立法府の合理的な判断に委ねられているものと解され,給費制を前提とした統一司法修習の採否にまで憲法上の要請が及ぶと解することはできない。
したがって,統一司法修習及び給費制が昭和22年裁判所法により定められたことは,立法府が当時の社会情勢を踏まえて法曹養成制度の設計をした結果にすぎず,その設計の早期の段階から統一司法修習及び給費制が立案され,特段の異論がなかったからといって,給費制が憲法上保障されたものであるということはできない。
イ この点,原告らは,法曹養成及び修習専念義務は当然に憲法上の本質的な要請であって,個々の司法修習生の経済的事情によって,司法修習を断念したり,修習に専念できないという事態が生じることは許されないから,給費制は修習専念義務と表裏一体の関係にあると主張する。
しかしながら,修習専念義務は,立法府が法曹養成制度の設計を行うにあたって,法曹に必要な能力を養成するために実際の法律実務活動の中で司法修習を行うことを前提に,その内容が高度に専門的であることや,中立公正な立場を維持し,利益相反活動を避ける必要があることを考慮して,あくまでも立法により創設された法曹養成制度の一内容として司法修習生に課したものと解するのが相当であり,修習専念義務を課して司法修習を実施することが憲法上の要請であるとはいえない。
そして,給費制は,修習専念義務の存在を前提として,司法修習生が司法修習に専念し,その実を上げることができるように,立法府が昭和22年裁判所法制定当時の社会情勢を踏まえて,司法修習生に対する配慮として立法政策上設けた制度であるところ,司法修習生が修習に専念できる環境を整えるための制度は給費制のみに限定されるものではないから,修習専念義務を採用したからといって給費制が必然的に導かれるものでもない。
したがって,原告らの主張する事情から,給費制が憲法上保障されていると解することはできない。
ウ 原告らは,帝国議会における裁判所法案の審議の際に,委員が裁判所法について「憲法附属法典の一つ」と発言したこと(認定事実(1)イ(ウ))を踏まえて,憲法附属法典である裁判所法が定めた給費制の安易な改廃は許されない旨主張するが,上記委員の発言は現行憲法の制定に伴う司法制度の改革のために裁判所法が制定されたことをいうにすぎないと解され,裁判所法が憲法の下位規範である法律として定められたことは裁判所法の制定過程に照らしても明らかであるから,裁判所法で定められた制度であるというだけで,憲法の個別の条項との関係にかかわらず憲法上の保障が及ぶと解することはできない。
(2) 憲法27条に基づく給費の要否について
ア 司法修習生が憲法27条の「勤労」をする者であるか否かについて
(ア) 憲法27条の「勤労」をする者とは,少なくとも,使用者の指揮監督下において労務の提供をする者であることを要するというべきである。
ここにいう労務の提供とは,使用者の事務を分担するなど少なくとも使用者のために行うことを要すると解されるから,司法修習の内容を問うことなく,原告らが主張するように,司法修習生が司法修習に専念すること自体が労務の提供であると解することはできない。
(イ) 司法修習生が国に対して労務を提供する者であるか否かを検討するに,司法修習生は,法令上,公務員としての何らの職務権限も定められておらず,司法修習生が,国の事務を分担することは予定されていない。
また,前記認定事実(5)アの司法修習の内容に照らすと,司法修習の実態としても,集合修習が労務の提供を伴わないことや,弁護修習が国に対する労務の提供を伴わないことは明らかであり,民事裁判修習及び刑事裁判修習において司法修習生が裁判所の事務に従事することが予定されているとも認められない。検察修習において,司法修習生が事件関係者の取調べその他の捜査に関する検察庁の事務に一定程度従事することが予定されているとしても,司法修習生は上記事務の職責を負担するものではなく,法曹に必要な能力の習得のために検察官の職責に基づく監督下において上記事務の体験が認められているにすぎない。
すなわち,司法修習において,司法修習生が裁判所及び検察庁の事務に関与することを認められているのは,法曹として必要な能力を養成する教育のためであって,司法修習生の作成書類等が裁判所又は検察庁の事務において利用されることがあったとしても,上記教育の付随的な結果にすぎず,司法修習生の労務の提供であると評価することはできない。
(ウ) 原告らは,司法修習について,企業や公務員の研修が使用者の指揮監督下にある労働とされることと同視すべきであると主張するが,研修が使用者のための労務の提供としてされているというためには,少なくとも,研修を受けた者が研修の終了後に研修による成果を使用者のために還元することが予定されていることを要するものと解される。既に企業の従業員や公務員になった者の研修において,研修を受けた者が研修の終了後に使用者の事務を分担することが予定されているのとは異なり,司法修習生は,司法修習の終了後に,国家公務員として司法修習の実施主体である国の事務を分担することが必ずしも予定されているわけではないから,司法修習を労務の提供としての研修と同視することはできない。
イ したがって,司法修習生は憲法27条所定の「勤労」をする者に当たらないから,原告らが労務の提供の対価として給費を受ける権利を有しているとは認められず,また,被告が上記対価としての給費に関する法律を制定する義務を負っているとも認められない。
(3) 本件改正が憲法22条1項に違反するか否かについて
ア 本件改正と法曹になる職業選択の自由の関係について
司法作用は具体的な争訟における国民の権利義務等の利益に直接かつ重大な影響を及ぼすものであり,司法制度の担い手である法曹には高度の専門的能力及び職業倫理が要求されることに鑑みると,法曹の養成において,実際の法律実務活動の中で行う臨床教育課程である司法修習を実施する必要性は非常に大きく,司法試験に合格した者が,法曹となるために,司法修習を義務づけられることは,重要な公共の利害のために必要かつ合理的な措置であって,職業選択の自由を保障する憲法22条1項に違反するものということはできない。
これまでの説示のとおり,給費を受ける権利は憲法上保障されたものではなく,給費が司法修習生の労務の提供の対価であるとも認められないから,給費制は司法修習生が司法修習に専念することを確保するために立法政策上設けられた経済的支援制度である。司法修習の具体的内容のうち,司法修習生の経済活動にいかなる制約を課し,修習期間中いかなる経済的支援制度を設けるかという制度設計については,予算措置と密接不可分であることに鑑みると,一般的な国民生活の状況,国の財政事情を踏まえたうえで,司法修習生に制約を課す必要性の程度,制約の内容,他の制度に比較して優遇的な支援措置を設ける要請の程度,関連する諸政策との関係等を検討する必要があるから,基本的には立法府の政策的,技術的判断を尊重せざるを得ず,立法府の判断がその裁量権を逸脱し著しく不合理なものでない限り,憲法22条1項に反するということはできない。
司法制度改革により司法修習生の大幅な増加が予定されている中で,限られた国家予算の効率的な配分の観点から司法修習生に対する経済的支援制度の内容を見直すことには合理性があり,本件改正では,前記前提事実(6)のとおり,修習期間中に本件改正前の給費とほぼ同様の金額を無利子で貸与することを内容とする貸与制を導入し,修習終了後の貸与金の返還についても返還時期や期間,返還猶予等の制度において相当程度の配慮を加えていることをも考慮すると,本件改正が立法府の裁量権を逸脱し著しく不合理なものとは認められないから,憲法22条1項に反するとはいえない。
イ 本件改正と弁護士としての営業の自由の関係について
本件改正は,弁護士としての営業の自由を具体的に制約するものではないから,本件改正が営業の自由を保障する憲法22条1項に違反するものとは認められない。
ウ 原告らの主張について
原告らの主張は,結局のところ,法曹となる資質を有する人材をその資力にかかわらず幅広く司法修習生に登用し,司法修習生が弁護士になった後に報酬の少ない公益的活動に積極的に関与することができる経済的環境を整備するために,給費制が必要であり,給費制の廃止には合理性が欠けるというものにほかならない。
しかしながら,司法修習生の幅広い登用や,弁護士の経済的環境の整備という目的のために,司法修習生に対する給費制を設けるか否かは,上記アで判示したように,立法府の広い裁量に委ねられていると解するのが相当であり,立法府がその裁量を逸脱し,または濫用して本件改正を行ったとは認められないから,原告らの主張は採用することができない。
(4) 本件改正が憲法14条1項に違反するか否かについて
ア 原告らは,66期司法修習生と本件改正法が適用されない現行65期以前の司法修習生との取扱いの差異を理由として,本件改正が憲法14条1項に反する旨主張する。しかしながら,憲法14条1項は,典型的には同一の時点における国民に対する取扱い上の差別に関して定められたものと解されるところ,66期司法修習生と現行65期以前の司法修習生は,その採用の時期が異なっており,本件改正法の施行によって必然的に取扱いに差異が生じたのであるから,かかる取扱いの差異が不合理な差別であるか否かは,本件改正に合理性があるか否かの判断に帰着するというべきである。
上記(3)で判示したとおり,司法修習生に対する経済的支援制度を設けるか否か及びその内容については,立法府の広い裁量に委ねられており,本件改正が立法府の裁量権を逸脱し著しく不合理なものとは認められないから,本件改正には合理性があるというべきである。
イ また,原告らは,66期司法修習生と本件改正法が適用されない71期司法修習生との取扱いの差異を理由として,本件改正が憲法14条1項に反する旨主張するが,71期司法修習生に本件改正法が適用されないのは,平成29年改正法の施行によるものであるから,原告らの主張を基礎としても本件改正が憲法14条1項に反することになるかは疑問である。
本件改正の後,平成29年改正によって修習給付金制度が導入されるに至ったのは,前記認定事実(4)ア及びイのとおり,法曹志望者が減少した事態に対して,法曹の人材強化の推進等を図るため,司法修習生に対する経済的支援制度を強化する要請が生じたという状況の変化によるものである。一般に社会情勢の将来にわたる予測は確実なものではあり得ず,前記認定事実(2)のとおり,本件改正法が司法制度改革審議会や法曹養成検討会における多様な立場からの多岐にわたる議論を経て立案され,国会における審議を経て成立したものであることに鑑みると,本件改正時の法曹志望者数の推移についての予測と異なる事態が生じたからといって,本件改正の合理性が事後的に否定されるものでもないから,平成29年改正に合理性があるとしても,本件改正の時点において本件改正の合理性がなかったものということはできない。
ウ したがって,本件改正の合理性がなかったとはいえないから,本件改正は憲法14条1項に反するものではない。
(5) 以上によれば,本件改正が憲法に違反し無効であるとは認められない。
3 争点②(本件改正及び本件改正後に給費制を復活させなかったことが国賠法上違法であるか否か)について
(1) 原告らは,本件改正及び本件改正後に給費制を復活させなかった立法不作為が,国賠法上違法であると主張する。
(2) 国会議員の立法行為又は立法不作為が国賠法1条1項の適用上違法となるのは,立法の内容又は立法不作為が国民に憲法上保障されている権利を違法に侵害するものであることが明白な場合や,国民に憲法上保障されている権利行使の機会を確保するために所要の立法措置を執ることが必要不可欠であり,それが明白であるにもかかわらず,国会が正当な理由なく長期にわたってこれを怠る場合などに限られる(最高裁平成17年9月14日大法廷判決民集59巻7号2087頁参照)。
前記のとおり,給費を受ける権利は憲法上保障された権利ではなく,本件改正が憲法に違反するものでもないから,本件改正という立法行為及び本件改正後に給費制を復活させなかった立法不作為は,国賠法上,違法であるということはできない。
また,内閣総理大臣が,本件改正法案を策定し,国会に提出した行為についても,同様である。
第4  結論
以上のとおり,その余の争点につき判断するまでもなく,原告らの請求はいずれも理由がないからこれらを棄却することとし,よって,主文のとおり判決する。
熊本地方裁判所民事第3部
(裁判長裁判官 小野寺優子 裁判官 光野哲治 裁判官 清水俊貴)

 

別紙
当事者目録
1 熊本市〈以下省略〉
平成26年(ワ)第890号事件原告 X1
2 鹿児島県日置市〈以下省略〉
同 X2
3 北九州市〈以下省略〉
同 X3
4 熊本市〈以下省略〉
同 X4
5 大分県別府市〈以下省略〉
同 X5
6 福岡市〈以下省略〉
同 X6
7 佐賀市〈以下省略〉
同 X7
8 長崎市〈以下省略〉
同 X8
9 福岡県久留米市〈以下省略〉
同 X9
10 熊本市〈以下省略〉
同 X10
11 福岡市〈以下省略〉
同 X11
12 北九州市〈以下省略〉
同 X12
13 熊本市〈以下省略〉
同 X13
14 北九州市〈以下省略〉
同 X14
15 熊本市〈以下省略〉
同 X15
16 北九州市〈以下省略〉
同 X16
17 福岡市〈以下省略〉
同 X17
18 福岡県久留米市〈以下省略〉
同 X18
19 滋賀県大津市〈以下省略〉
同 X19
20 鹿児島県姶良市〈以下省略〉
同 X20
21 北九州市〈以下省略〉
同 X21
22 熊本県八代市〈以下省略〉
同 X22
23 熊本市〈以下省略〉
同 X23
24 大分市〈以下省略〉
同 X24
25 鹿児島市〈以下省略〉
同 X25
26 福岡市〈以下省略〉
同 X26
27 熊本市〈以下省略〉
同 X27
28 福岡県久留米市〈以下省略〉
同 X28
29 福岡市〈以下省略〉
同 X29
30 福岡市〈以下省略〉
同 X30
31 熊本市〈以下省略〉
同 X31
32 福岡県久留米市〈以下省略〉
同 X32
33 福岡市〈以下省略〉
同 X33
34 福岡県久留米市〈以下省略〉
同 X34
35 熊本市〈以下省略〉
同 X35
36 北九州市〈以下省略〉
同 X36
37 アメリカ合衆国 イリノイ州シカゴ、〈以下省略〉
同 X37
38 長崎県佐世保市〈以下省略〉
同 X38
39 同所
同 X39
40 北九州市〈以下省略〉
同 X40
41 佐賀市〈以下省略〉
同 X41
42 北九州市〈以下省略〉
同 X42
43 大分市〈以下省略〉
平成27年(ワ)第192号事件原告 X43
44 熊本市〈以下省略〉
同 X44
45 北九州市〈以下省略〉
同 X45
46 熊本市〈以下省略〉
同 X46
47 熊本県人吉市〈以下省略〉
平成29年(ワ)第42号事件原告 X47
48 熊本市〈以下省略〉
同 X48
49 福岡市〈以下省略〉
同 X49
50 福岡市〈以下省略〉
同 X50
上記原告ら訴訟代理人弁護士 板井俊介
同 宇都宮健児
同 渡部容子
同 加藤修
同 塚本侃
同 高崎暢
同 原和良
同 青木幸男
同 青山定聖
同 秋吉克洋
同 園田昭人
同 阿部広美
同 村山雅則
同 飯田喜親
同 藤井祥子
同 寺内大介
同 橋本和隆
同 池上雄飛
同 国宗直子
同 菅一雄
同 池田泉
同 石橋洋
同 濱田康正
同 石藤紀子
同 板井優
同 中島潤史
同 久保田紗和
同 川邊みぎわ
同 鹿瀬島正剛
同 伊藤英範
同 稲葉大和
同 村田晃一
同 井上陽介
同 吉村将
同 松本卓也
同 今村一彦
同 馬場啓
同 清田慎太郎
同 北野誠
同 岩下芳乃
同 上田祐輔
同 内川寬
同 内田光也
同 森則子
同 小山恭令
同 島田健司
同 衛藤二男
同 榎崇文
同 福岡聰一郎
同 大沼雄佑
同 大村豊
同 齋藤宙也
同 下山和也
同 岡井将洋
同 新山奈津子
同 岡部秀幸
同 荻迫光洋
同 奥博司
同 金子愛
同 藤井大慈
同 奥村高史
同 河口大輔
同 河津典和
同 古城里美
同 後藤隆信
同 小林法子
同 斉東忠男
同 坂本恭一
同 坂本秀德
同 山之内秀一
同 坂本秀道
同 福田誠也
同 宮崎定邦
同 田中芳典
同 佐々木千里
同 三藤省三
同 塩田直司
同 矢澤利典
同 清水谷洋樹
同 高野大樹
同 千場茂勝
同 髙島剛一
同 吉田孝充
同 高瀬真哉
同 高見敏之
同 髙屋藤雄
同 竹内重年
同 立山秀彦
同 田中裕司
同 田上裕輝
同 平野誠司
同 辻上友男
同 野村憲一
同 長嶋吉弘
同 中松洋樹
同 平田秀規
同 松本津紀雄
同 中村輝久
同 中山健
同 西清次郎
同 西田幸広
同 野方洋助
同 山村康一
同 原彰宏
同 山下雅裕美
同 東健一郎
同 宮川浩介
同 宮田房之
同 森枝大輔
同 袋田知花
同 藤木美才
同 藤本猪智郎
同 古田哲朗
同 益田敬二郎
同 益田陽介
同 益田博文
同 松岡智之
同 松﨑尚人
同 丸住洋平
同 三角恒
同 蓑田啓悟
同 村山光信
同 森あい
同 森髙啓喜
同 吉見仁宏
同 守田英昭
同 森德和
同 森山義文
同 矢野昌文
同 吉井秀広
同 吉田賢一
同 渡辺絵美
同 渡辺裕介
同 渡邉剛
同 皆川洋美
同 種田和敏
同 野口景子
同 小口幸人
同 相原わかば
同 石本恵
同 柏熊志薫
同 佐木さくら
同 松浦恭子
同 山崎あづさ
同 安部千春
同 東敦子
同 溝口史子
同 池上遊
同 迫田学
同 田篭亮博
同 前田憲徳
同 出雲敏夫
同 市丸健太郎
同 市丸信敏
同 稲村晴夫
同 迫田登紀子
同 田中謙二
同 上田國廣
同 高平奇恵
同 宇治野みさゑ
同 岡直幸
同 小川威亜
同 高木健康
同 椛島修
同 三宅賢和
同 椛島敏雅
同 國嶋洋伸
同 徳永由華
同 城戸美保子
同 星野圭
同 久保井摂
同 小林洋二
同 髙木士郎
同 桑原義浩
同 後藤景子
同 後藤富和
同 小宮和彦
同 島晃一
同 下東信三
同 高橋博美
同 千綿俊一郎
同 野林信行
同 畑中潤
同 羽田野節夫
同 服部倫子
同 林優
同 福地祐一
同 堀哲郎
同 松井仁
同 馬奈木昭雄
同 光永享央
同 向原栄太朗
同 武藤糾明
同 村井正昭
同 吉田純二
同 柳教日
同 和智凪子
同 稲村蓉子
同 名和田陽子
同 東島浩幸
同 吉田俊介
同 力久尚子
同 甲木美知子
同 河西龍太郎
同 富永洋一
同 前田和馬
同 安永宏
同 上村基貴
同 安部茂
同 大森克磨
同 生野誉士
同 伊藤陽子
同 内田精治
同 渡辺耕太
同 宇津木基
同 岡田壮平
同 田中朋子
同 森脇宏
同 岡村邦彦
同 岡村正淳
同 今朝丸貴
同 玉木正明
同 根岸秀世
同 古田奈々
同 古田邦夫
同 小野義美
同 中村多美子
同 亀井正照
同 佐々木淳夫
同 鈴木宗嚴
同 徳田宣子
同 德田靖之
同 野尻昌宏
同 楠本敏行
同 河野善一郎
同 森正憲
同 後藤尚三
同 城向一徹
同 田中利武
同 菅野直樹
同 松田めぐみ
同 寺﨑直史
同 鳥越徹
同 中山知康
同 松浦昭広
同 西田收
同 西畑修司
同 濱田英敏
同 深田茂人
同 松尾康利
同 松川れい奈
同 三井嘉雄
同 宮本学治
同 安東正美
同 金丸祥子
同 松田公利
同 北川貴史
同 西田隆二
同 久保山博充
同 真早流踏雄
同 松田幸子
同 後藤好成
同 小林孝志
同 塩地陽介
同 新福宏
同 田中寬
同 谷口純一
同 成見暁子
同 成見幸子
同 成見正毅
同 年森俊宏
同 外山亮
同 成合一弘
同 速水渉
同 宮田尚典
同 増田良文
同 山田秀一
同 中島多津雄
同 吉谷友和
同 豊田裕康
同 湯治克治
同 亀田徳一郎
東京都千代田区〈以下省略〉
被告 国
同代表者法務大臣 A
同指定代理人 W1
同 W2
同 W3
同 W4
同 W5
同 W6
同 W7
同 W8
同 W9
同 W10
同 W11
同 W12
同 W13
以上

 

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