【営業代行から学ぶ判例】crps 裁判例 lgbt 裁判例 nda 裁判例 nhk 裁判例 nhk 受信料 裁判例 pl法 裁判例 pta 裁判例 ptsd 裁判例 アメリカ 裁判例 検索 オーバーローン 財産分与 裁判例 クレーマー 裁判例 クレプトマニア 裁判例 サブリース 裁判例 ストーカー 裁判例 セクシャルハラスメント 裁判例 せクハラ 裁判例 タイムカード 裁判例 タイムスタンプ 裁判例 ドライブレコーダー 裁判例 ノンオペレーションチャージ 裁判例 ハーグ条約 裁判例 バイトテロ 裁判例 パタハラ 裁判例 パブリシティ権 裁判例 ハラスメント 裁判例 パワーハラスメント 裁判例 パワハラ 裁判例 ファクタリング 裁判例 プライバシー 裁判例 プライバシーの侵害 裁判例 プライバシー権 裁判例 ブラックバイト 裁判例 ベネッセ 裁判例 ベルシステム24 裁判例 マタニティハラスメント 裁判例 マタハラ 裁判例 マンション 騒音 裁判例 メンタルヘルス 裁判例 モラハラ 裁判例 モラルハラスメント 裁判例 リストラ 裁判例 リツイート 名誉毀損 裁判例 リフォーム 裁判例 遺言 解釈 裁判例 遺言 裁判例 遺言書 裁判例 遺言能力 裁判例 引き抜き 裁判例 営業秘密 裁判例 応召義務 裁判例 応用美術 裁判例 横浜地裁 裁判例 過失割合 裁判例 過労死 裁判例 介護事故 裁判例 会社法 裁判例 解雇 裁判例 外国人労働者 裁判例 学校 裁判例 学校教育法施行規則第48条 裁判例 学校事故 裁判例 環境権 裁判例 管理監督者 裁判例 器物損壊 裁判例 基本的人権 裁判例 寄与分 裁判例 偽装請負 裁判例 逆パワハラ 裁判例 休業損害 裁判例 休憩時間 裁判例 競業避止義務 裁判例 教育を受ける権利 裁判例 脅迫 裁判例 業務上横領 裁判例 近隣トラブル 裁判例 契約締結上の過失 裁判例 原状回復 裁判例 固定残業代 裁判例 雇い止め 裁判例 雇止め 裁判例 交通事故 過失割合 裁判例 交通事故 裁判例 交通事故 裁判例 検索 公共の福祉 裁判例 公序良俗違反 裁判例 公図 裁判例 厚生労働省 パワハラ 裁判例 行政訴訟 裁判例 行政法 裁判例 降格 裁判例 合併 裁判例 婚約破棄 裁判例 裁判員制度 裁判例 裁判所 知的財産 裁判例 裁判例 データ 裁判例 データベース 裁判例 データベース 無料 裁判例 とは 裁判例 とは 判例 裁判例 ニュース 裁判例 レポート 裁判例 安全配慮義務 裁判例 意味 裁判例 引用 裁判例 引用の仕方 裁判例 引用方法 裁判例 英語 裁判例 英語で 裁判例 英訳 裁判例 閲覧 裁判例 学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例 共有物分割 裁判例 刑事事件 裁判例 刑法 裁判例 憲法 裁判例 検査 裁判例 検索 裁判例 検索方法 裁判例 公開 裁判例 公知の事実 裁判例 広島 裁判例 国際私法 裁判例 最高裁 裁判例 最高裁判所 裁判例 最新 裁判例 裁判所 裁判例 雑誌 裁判例 事件番号 裁判例 射程 裁判例 書き方 裁判例 書籍 裁判例 商標 裁判例 消費税 裁判例 証拠説明書 裁判例 証拠提出 裁判例 情報 裁判例 全文 裁判例 速報 裁判例 探し方 裁判例 知財 裁判例 調べ方 裁判例 調査 裁判例 定義 裁判例 東京地裁 裁判例 同一労働同一賃金 裁判例 特許 裁判例 読み方 裁判例 入手方法 裁判例 判決 違い 裁判例 判決文 裁判例 判例 裁判例 判例 違い 裁判例 百選 裁判例 表記 裁判例 別紙 裁判例 本 裁判例 面白い 裁判例 労働 裁判例・学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例・審判例からみた 特別受益・寄与分 裁判例からみる消費税法 裁判例とは 裁量労働制 裁判例 財産分与 裁判例 産業医 裁判例 残業代未払い 裁判例 試用期間 解雇 裁判例 持ち帰り残業 裁判例 自己決定権 裁判例 自転車事故 裁判例 自由権 裁判例 手待ち時間 裁判例 受動喫煙 裁判例 重過失 裁判例 商法512条 裁判例 証拠説明書 記載例 裁判例 証拠説明書 裁判例 引用 情報公開 裁判例 職員会議 裁判例 振り込め詐欺 裁判例 身元保証 裁判例 人権侵害 裁判例 人種差別撤廃条約 裁判例 整理解雇 裁判例 生活保護 裁判例 生存権 裁判例 生命保険 裁判例 盛岡地裁 裁判例 製造物責任 裁判例 製造物責任法 裁判例 請負 裁判例 税務大学校 裁判例 接見交通権 裁判例 先使用権 裁判例 租税 裁判例 租税法 裁判例 相続 裁判例 相続税 裁判例 相続放棄 裁判例 騒音 裁判例 尊厳死 裁判例 損害賠償請求 裁判例 体罰 裁判例 退職勧奨 違法 裁判例 退職勧奨 裁判例 退職強要 裁判例 退職金 裁判例 大阪高裁 裁判例 大阪地裁 裁判例 大阪地方裁判所 裁判例 大麻 裁判例 第一法規 裁判例 男女差別 裁判例 男女差别 裁判例 知財高裁 裁判例 知的財産 裁判例 知的財産権 裁判例 中絶 慰謝料 裁判例 著作権 裁判例 長時間労働 裁判例 追突 裁判例 通勤災害 裁判例 通信の秘密 裁判例 貞操権 慰謝料 裁判例 転勤 裁判例 転籍 裁判例 電子契約 裁判例 電子署名 裁判例 同性婚 裁判例 独占禁止法 裁判例 内縁 裁判例 内定取り消し 裁判例 内定取消 裁判例 内部統制システム 裁判例 二次創作 裁判例 日本郵便 裁判例 熱中症 裁判例 能力不足 解雇 裁判例 脳死 裁判例 脳脊髄液減少症 裁判例 派遣 裁判例 判決 裁判例 違い 判決 判例 裁判例 判例 と 裁判例 判例 裁判例 とは 判例 裁判例 違い 秘密保持契約 裁判例 秘密録音 裁判例 非接触事故 裁判例 美容整形 裁判例 表現の自由 裁判例 表明保証 裁判例 評価損 裁判例 不正競争防止法 営業秘密 裁判例 不正競争防止法 裁判例 不貞 慰謝料 裁判例 不貞行為 慰謝料 裁判例 不貞行為 裁判例 不当解雇 裁判例 不動産 裁判例 浮気 慰謝料 裁判例 副業 裁判例 副業禁止 裁判例 分掌変更 裁判例 文書提出命令 裁判例 平和的生存権 裁判例 別居期間 裁判例 変形労働時間制 裁判例 弁護士会照会 裁判例 法の下の平等 裁判例 法人格否認の法理 裁判例 法務省 裁判例 忘れられる権利 裁判例 枕営業 裁判例 未払い残業代 裁判例 民事事件 裁判例 民事信託 裁判例 民事訴訟 裁判例 民泊 裁判例 民法 裁判例 無期転換 裁判例 無断欠勤 解雇 裁判例 名ばかり管理職 裁判例 名義株 裁判例 名古屋高裁 裁判例 名誉棄損 裁判例 名誉毀損 裁判例 免責不許可 裁判例 面会交流 裁判例 約款 裁判例 有給休暇 裁判例 有責配偶者 裁判例 予防接種 裁判例 離婚 裁判例 立ち退き料 裁判例 立退料 裁判例 類推解釈 裁判例 類推解釈の禁止 裁判例 礼金 裁判例 労災 裁判例 労災事故 裁判例 労働基準法 裁判例 労働基準法違反 裁判例 労働契約法20条 裁判例 労働裁判 裁判例 労働時間 裁判例 労働者性 裁判例 労働法 裁判例 和解 裁判例

判例リスト「完全成果報酬|完全成功報酬 営業代行会社」(159)平成25年11月26日 東京地裁 平24(ワ)4237号 損害賠償請求事件(本訴)、敷金返還請求事件(反訴)

判例リスト「完全成果報酬|完全成功報酬 営業代行会社」(159)平成25年11月26日 東京地裁 平24(ワ)4237号 損害賠償請求事件(本訴)、敷金返還請求事件(反訴)

裁判年月日  平成25年11月26日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平24(ワ)4237号・平24(ワ)11149号
事件名  損害賠償請求事件(本訴)、敷金返還請求事件(反訴)
文献番号  2013WLJPCA11268021

裁判年月日  平成25年11月26日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平24(ワ)4237号・平24(ワ)11149号
事件名  損害賠償請求事件(本訴)、敷金返還請求事件(反訴)
文献番号  2013WLJPCA11268021

平成24年(ワ)第4237号 損害賠償請求事件(本訴)
平成24年(ワ)第11149号 敷金返還請求事件(反訴)

東京都板橋区〈以下省略〉
本訴原告・反訴被告 X
同訴訟代理人弁護士 亀井英樹
同 松木信行
同 尋木浩司
同 林幸平
同 塚本智康
神戸市〈以下省略〉
旧商号 株式会社サンセブン
本訴被告・反訴原告 株式会社G-7スーパーマート
同代表者代表取締役 A
同訴訟代理人弁護士 友廣隆宣
同 堀内雄樹
同 小越芳保
同 滝澤功治
同 向山大輔
同 杉原努
同 小田祐資

 

 

主文

1 本訴原告・反訴被告の請求を棄却する。
2 本訴原告・反訴被告は、本訴被告・反訴原告に対し、560万円及びこれに対する平成23年12月25日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
3 訴訟費用は、本訴・反訴を通じ、本訴原告・反訴被告の負担とする。
4 この判決は、第2項に限り、仮に執行することができる。

 

判決

事実及び理由

第1  請求の趣旨
1 本訴
本訴被告・反訴原告は、本訴原告・反訴被告に対し、2752万4000円及びこれに対する平成24年2月25日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
2 反訴
主文第2項と同旨
第2  事案の概要
本件は、本訴原告・反訴被告(以下「原告」という。)と本訴被告・反訴原告(以下「被告」という。)との間で締結された別紙物件目録記載の建物(以下「本件建物」という。)の賃貸借契約(以下「本件賃貸借契約」という。)に関し、賃貸人である原告が、賃借人である被告がした契約解除の通知は本件賃貸借契約の約定に違反するものであると主張して、被告に対し、債務不履行に基づく損害賠償金及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求め(本訴)、これに対し、被告が、上記契約解除の通知は本件賃貸借契約所定の解除条項に基づくものであると主張して、原告の本訴請求を争うとともに、反訴として、原告に対し、本件賃貸借契約に基づき被告が差し入れた敷金の返還及びこれに対する契約解除の日の翌日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
1 前提事実(証拠等を掲げていない事実は、当事者間に争いがない。)
(1) 被告は、食料品、日用雑貨品等の販売などを目的とする株式会社である。
(2) 原告の関係会社である株式会社aは、平成23年8月5日、担保不動産競売による売却により本件建物の所有権を取得し、原告は、同月31日、同社から本件建物を買い受けた(甲1、弁論の全趣旨)。
(3) 本件建物は、登記簿上、鉄骨・木造亜鉛メッキ鋼板葺2階建、床面積1階332.19m2、2階330.71m2とされているが、現況は、鉄骨・木造亜鉛メッキ鋼板葺3階建、床面積1階約353m2、2階約308m2、3階約22m2である(甲1、乙4)。
本件建物の所在地は、都市計画上、南東側の道路境界線から20m以内の部分が防火地域に、その余の部分が準防火地域に指定されており、本件建物は、両地域にまたがって建てられている(乙4、11ないし14)。
(4) 原告と被告は、平成23年11月25日、被告が本件建物をスーパーマーケットの店舗として使用する目的で、次の約定により借り受ける旨の本件賃貸借契約を締結した(以下、本件賃貸借契約に係る契約書を単に「契約書」という。)。
ア 期間 平成23年11月25日から平成33年11月24日までの10年間(契約書2条1項)
イ 物件引渡日 平成23年12月20日(契約書3条)
ウ 賃料 月額140万円(消費税別途)とし、毎月末日までに翌月分を支払う(契約書5条1項)。
エ 賃料発生日 店舗営業開始日とし、被告は、工事工程表を原告に提出する(契約書5条2項)。
オ 敷金 560万円(契約書8条1項)
カ 契約解除 被告が本件賃貸借契約の各条項に関し重大な違反行為をしたときは、原告は、何ら催告を要せず、本件賃貸借契約を解除することができる(契約書19条5号)。
キ 責めに帰すべからざる事由による契約解除 近隣住民並びに各種団体等の反対運動、行政官庁の指導等、原告及び被告の責めに帰すべからざる事由により、被告の営業開始に必要な諸条件が満たされない場合は、被告は、直ちに本件賃貸借契約を解除することができる(契約書23条1項。以下、この条項を「本件解除条項」という。)。この場合、原告は、被告に対し損害賠償の請求を一切行わず、また、被告から預かった敷金の全額を直ちに返還するものとする(同条2項)。
(5) 被告は、平成23年12月24日、原告に対し、所轄消防署から本件建物は耐火建築物ではないので消防法上の検査が通らないとの指摘を受けたことなどが本件解除条項に該当するとして、本件賃貸借契約を解除する旨の意思表示をした(以下、この契約解除の意思表示を「被告解除通知」という。)。
(6) 原告は、平成24年1月28日、被告に対し、被告解除通知は、契約書5条2項に規定する営業開始日の決定を被告自らの意思により拒絶する旨の通知であり、同項に関する重大な違反行為であるとして、契約書19条5号に基づき、本件賃貸借契約を解除する旨の意思表示をした。
(7) 本訴事件の訴状は、平成24年2月24日、被告に送達された(記録上明らかな事実)。
2 争点及び争点に関する当事者の主張
本件の争点は、①被告解除通知による解除が本件解除条項の要件を満たしているか否か(争点1)、②上記の点が認められず、被告解除通知が被告の債務不履行に当たる場合に、これにより原告が被った損害額(争点2)である。これらの争点に関する当事者の主張は、次のとおりである。
(1) 争点1(被告解除通知による解除が本件解除条項の要件を満たしているか否か)について
(被告の主張)
本件解除条項は、双方の責めに帰すべからざる事由により店舗として本件建物の利用ができない場合の解除に関する規定であり、行政官庁等から具体的な使用禁止措置が執られることまでをも要件とするものではない。
被告側で依頼した日商工業株式会社(以下「日商工業」という。)の担当者は、平成23年12月13日、本件建物において設置する必要のある消防設備について事前協議を行うため金町消防署を訪れたところ、本件建物が違法建築物である可能性を指摘され、また、同消防署において本件建物の正確な構造を把握できなかったため、消防法上の検査どころか、検査の前提として行う消防署との事前協議にさえ応じてもらうことができなかった。同じく被告側で依頼した有限会社さいたま建設(以下「さいたま建設」という。)の担当者は、日商工業の担当者と共に、同月16日、葛飾区役所を訪れたが、同区役所においても、本件建物の建築確認済証等は保存されておらず、本件建物の建築時及び増築時において建築確認申請が行われているかどうかすら確認できなかったことから、本件建物が違法建築物である可能性が高まり、消防法上の検査を了することは不可能となった。
被告が金町消防署及び葛飾区役所から受けた指導は、本件解除条項に規定された行政官庁の指導に該当し、かかる指導により本件建物において店舗の営業を開始するのに必要な諸条件が満たされなくなったのであるから、被告解除通知による解除は本件解除条項の要件を満たしている。
(原告の主張)
被告解除通知による解除は、以下のとおり、当事者の責めに帰すべからざる事由がなく、また、被告の営業開始に必要な諸条件が満たされない場合でもないことから、本件解除条項が規定する要件を満たしていない。
ア 当事者の責めに帰すべからざる事由の不存在
被告は、本件賃貸借契約締結前の平成23年10月21日に本件建物の現地調査を実施し、登記簿上の記載とは異なる本件建物の現況を確認しており、この時点で建築基準法違反の可能性のあることを認識している。また、被告は、これに先立ち、仲介業者の担当者から、本件建物の用途地域が商業地域と第一種住居地域にまたがっていることを通知され、その時点で消防等の関係を含めて、被告において調査すべきことを告げられていることから、本件建物が消防法上も問題となる可能性のあることを十分に予見可能な状況にあった。
被告は、本件建物の使用目的と同種の業務用スーパーマーケットを多数展開しており、本件建物と同種の商業地域における消防法上の規制及び建築基準法上の規制は熟知しているから、契約締結前に所轄行政庁に照会するなどしてわずかな調査を行えば、本件建物での営業の可否の判断は可能であった。
したがって、仮に本件建物に建築基準法及び消防法上の不備があるとしても(ただし、後記のとおり、本件建物にはそこでの営業を不可能とするような瑕疵は存しない。)、そのことは被告において十分に予見可能であったのであり、被告には悪意と同視すべき重大な過失が存在するから、被告解除通知による解除は、当事者の責めに帰すべからざる事由が存在するとの本件解除条項所定の要件を満たさない。
イ 営業開始に必要な諸条件の充足
被告は、本件建物にはそこでの店舗の営業を不可能とする建築基準法及び消防法上の不備がある旨主張するが、本件建物の1階部分においては、平成24年9月7日からドラッグストアが営業を開始しており、その営業が所轄行政庁によって差し止められた事実や将来差し止めるような注意を受けた事実は一切ない。さらに、本件建物の2階部分においても、平成25年7月から、所轄行政庁の指導の下、店舗の営業を開始している。
このように、仮に本件建物に建築基準法及び消防法上の瑕疵が存在するとしても、その瑕疵は軽微なものであるから、被告解除通知による解除は、被告の営業開始に必要な諸条件が満たされない場合であるとの本件解除条項所定の要件を満たさない。
(2) 争点2(被告の債務不履行により原告が被った損害額)について
(原告の主張)
原告は、被告解除通知による被告の債務不履行を理由として本件賃貸借契約を解除しているところ、以下のとおり、かかる被告の債務不履行により合計3312万4000円の損害を被っており、被告が差し入れた敷金560万円を充当しても、原告にはまだ2752万4000円の損害が残っている。
ア 原状回復工事費 1575万円
被告は、本件賃貸借契約の解除により原状回復義務を負うところ、原状回復工事に必要な費用合計1575万円は、被告の債務不履行により原告が被った損害となる。
イ 被告負担工事立替え分 575万4000円
原告は、本件賃貸借契約締結後、被告の特別の指示により、被告の負担となる独自の仕様の店舗工事を行い、その工事費用575万4000円を立て替えて負担している。この被告負担工事立替え分は、被告の債務不履行により原告が被った損害となる。
ウ 広告費用 280万円
原告は、被告との間で本件賃貸借契約を締結した結果、賃借人募集の宣伝広告の成功報酬として、株式会社ドリームワンに対して280万円を支払った。しかし、被告の債務不履行により契約を開始することなく本件賃貸借契約を解除せざるを得なかったため、上記の広告費用は全くの無駄に終わった。したがって、上記の広告費用280万円は、被告の債務不履行により原告が被った損害となる。
エ 賃借人再募集期間の損失 882万円
原告は、被告の債務不履行により、新たに賃借人を募集せざるを得なかった。本件建物のような店舗等の事業用賃貸物件は、賃借人との間で新たな賃貸借契約が締結できるまでに少なくとも6か月を要するものであり、その間は賃料収入が発生しないこととなるため、少なくとも賃料相当額月額147万円の6か月分である882万円は、被告の債務不履行により原告が被った損害となる。
(被告の主張)
原告の損害に関する主張は、以下のとおり、いずれも失当である。
ア 原状回復工事費用及び被告工事立替え分について
被告解除通知は、被告が本件建物の引渡しを受ける前にされており、引渡し後に被告においてされる予定であった内外装工事は全く施工されていないから、原状回復の余地はない。
本件建物は、過去にスーパーマーケットの店舗として使用されていた建物が閉鎖後長期間にわたり放置されて老朽化していた物件であり、原告が本件建物内のごみや放置物を撤去した可能性はあるが、それは、賃貸人が賃借人による使用を可能にするために行うべき当然の負担であって、債務不履行による損害と評価すべきものではない。また、被告が原告に対し、独自の店舗仕様の工事を指示したことはない。
イ 広告費用について
被告は、原告が本件建物の賃借人の募集をどのような方法により行っていたか全く知らないし、宣伝広告費用を費やして賃借人を募集するか否かも賃貸人である原告の自由な判断によるものであるから、原告の広告費用と被告の債務不履行との間に相当因果関係はない。
ウ 賃借人再募集期間の損失について
本件建物について、原告が賃借人を再募集するのか、自ら使用するのか、あるいは売却するのかは、被告に知りようがないし、仮に賃借人を再募集するにしても、新たな賃貸借契約を締結するまでに少なくとも6か月を要することについては何ら根拠がない。
第3  当裁判所の判断
1 争点1(被告解除通知による解除が本件解除条項の要件を満たしているか否か)について
(1) 本件建物の状況と建築基準法の規制について
ア 前記前提事実のとおり、本件建物の所在地は、都市計画上、南東側の道路境界線から20m以内の部分が防火地域に、その余の部分が準防火地域に指定されているところ、建築基準法上、防火地域においては、階数が3以上であるか、又は延べ面積が100m2を超える建築物は耐火建築物としなければならないとされている(同法61条。なお、同法67条2項により、建築物が防火地域及び準防火地域にわたる場合においては、原則として、その全部について防火地域内の建築物に関する規定が適用される。)。ただし、同法の規定に関しては、一般的に、当該建築物が建築された時点において当時の建築基準法令に適合している場合には、その後の建築基準法令の改正により当該建築物がこれに適合しなくなったとしても、いわゆる既存不適格建築物として、同法の規定を適用しないものとされているが(同法3条2項)、当該規定の施行又は適用後に増築等が行われた場合には、適用除外の対象から除かれるため、当該規定が適用されることになる(同条3項3号。なお、同法86条の7第1項により、既存不適格建築物の増築等につき政令で定める範囲内で制限が緩和されているが、建築基準法施行令137条の10により、増築又は改築後における階数が2を超えるか、又は延べ面積が500m2を超えるものについては、この制限緩和の対象とはならない。)。
イ こうした建築基準法の規定を踏まえて、本件建物の状況について見ると、証拠(甲1、乙4、14)及び弁論の全趣旨によれば、本件建物の所在地については、都市計画上、昭和32年8月22日にその全体が準防火地域に指定され、昭和56年4月10日にそのうち南東側の道路境界線から20m以内の部分が防火地域に指定されたこと、本件建物は、登記簿上、昭和39年8月28日に新築された後、昭和40年3月31日に増築されて、鉄骨・木造亜鉛メッキ鋼板葺2階建、床面積1階332.19m2、2階330.71m2の建物となったとされていること、本件建物の現況は、鉄骨・木造亜鉛メッキ鋼板葺3階建、床面積1階約353m2、2階約308m2、3階約22m2であって、本件建物は、建築基準法上の耐火建築物には当たらないことが認められるが、上記の登記簿上の建物の状況から現況に至るまでに、いつの時点で増築が行われたのかを認めるに足りる証拠はない。
そうすると、本件建物は、防火地域と準防火地域にまたがっているにもかかわらず、耐火建築物ではないという点で現行の建築基準法の規定に適合しない建築物であることは明らかであり、他方、本件建物がいわゆる既存不適格建築物に当たるか否かについては、本件建物の現況に至る増築の時期が不明である以上、本件建物がいわゆる既存不適格建築物に当たると認めることはできないから、本件建物は、同法に違反する建築物であるといわざるを得ない。
(2) 金町消防署及び葛飾区役所における指導並びに被告解除通知について
前記前提事実並びに証拠(甲3、乙1、2、4、7、8、証人B、証人C)及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。
ア 被告は、本件賃貸借契約の締結と前後して、株式会社店舗システム・イー・シー(以下「店舗システム」という。)に対し、本件建物においてスーパーマーケットを開設するための店舗の設計及び施工を依頼した。そして、店舗システムの下請業者である日商工業のD(以下「D」という。)は、本件建物における消防設備の設置等について所轄消防署との事前協議を行うため、平成23年12月13日、金町消防署を訪れ、担当者らと面談した。面談において、同担当者らは、現地は防火地域に指定されており、建物は耐火建築物でなければならないこと、同消防署で管理している台帳によると、本件建物は、地上3階建てで、1階が準耐火構造、2階及び3階が木造であり、2階以上が木造であることから是正を行うよう過去に指摘を行った履歴があるが、その後改修をしたかどうかは不明であること、これらのことから、同消防署としては、本件建物の構造をはっきりと確認しなければ、消防設備の設置等に関する協議は行えない旨述べた。
イ 店舗システムの代表者取締役であるB(以下「B」という。)は、平成23年12月13日、Dから上記の金町消防署の指導内容について報告を受けたため、本件賃貸借契約の仲介に入っていた有限会社鍛冶三和不動産(以下「鍛冶三和不動産」という。)の代表取締役であるE(以下「E」という。)に連絡して、本件建物の建築確認済証の有無を尋ねた。これに対し、Eは、本件建物は競売により取得したものであるため、原告において建築確認済証は所持していないと回答し、本件建物の構造を示す書面として、競売の際の本件建物の現況調査報告書をファクシミリでBに送信した。Bは、被告の関東運営部店舗開発マネージャーの職にあったCに対し、金町消防署から上記の指導を受けたことを伝えるとともに、Eから送られてきた現況調査報告書をファクシミリで送信した。
ウ Bは、本件建物の構造と建築確認申請の有無について何らかの手掛かりを得ようとして、Dに加え、店舗システムの下請業者であるさいたま建設のF(以下「F」という。)に対し、葛飾区役所に出向くよう依頼し、D及びFは、平成23年12月16日、同区役所建築課の担当者と面談した。面談において、同担当者は、同区役所においては、建築確認に関する記録は昭和58年以降のものしか保存しておらず、本件建物について建築確認が行われたかどうかは確認できないこと、本件建物の所有者において建築確認済証や検査済証の有無を明確にしない限り、同区役所としては本件建物の構造や用途に関して判断できないこと、防火地域の規制に関しても建築確認済証等の資料がないと判断できないことなどを述べた。
エ Bは、Fから葛飾区役所の指導内容について報告書(打合せ議事録)の送付を受け、これとDが金町消防署の指導内容について記載した報告書(打合せ記録確認書)とを併せて被告に送り、被告に対し、本件建物については、消防法及び火災予防条例上定められた検査を了することは不可能である旨報告した。
オ 被告は、Bから受けた報告内容を検討した結果、本件建物においてスーパーマーケットを開設することを断念し、平成23年12月23日、原告に対し、本件解除条項に基づき本件賃貸借契約を解除する旨を記載した内容証明郵便(被告解除通知)を発送し、同内容証明郵便は、同月24日、原告に到達した。
(3) 本件解除条項の要件の充足について
ア 前記(1)で判示したとおり、本件建物は、防火地域及び準防火地域にまたがっているにもかかわらず、耐火建築物ではないという点で建築基準法に違反する建築物である。本件建物を多数の顧客が来集することが想定されるスーパーマーケットの店舗として使用した場合には、使用禁止命令等の違反建築物に対する是正措置(同法9条1項)の対象となるのみならず、ひとたび火災が発生した場合には、人命に関わる重大な事態が発生する危険性があるものといわざるを得ない。そして、前記(2)で認定したとおり、所轄消防署からも、現地は防火地域に指定されており、建物は耐火建築物でなければならず、消防署としては、本件建物の構造をはっきりと確認しなければ、消防設備設置等に関する協議は行えないと指導を受けたことを考えれば、被告が本件建物においてスーパーマーケットを開設することを断念したことは、企業の法令遵守にも配慮しなければならない事業者の判断としてやむを得ないことということができるから、被告解除通知による解除については、「行政官庁の指導等、原告及び被告の責めに帰すべからざる事由により、被告の営業開始に必要な諸条件が満たされない場合」という本件解除条項の要件を満たしているものと認められる。
イ この点につき、原告は、仮に本件建物に建築基準法及び消防法上の不備があるとしても、そのことは被告において十分に予見可能であったから、被告解除通知による解除は当事者の責めに帰すべからざる事由が存在するとの本件解除条項所定の要件を満たさない旨主張する。
しかしながら、本件において、被告の営業開始に必要な諸条件が満たされないというのは、本件建物が建築基準法の防火地域の規定に違反しているという本件建物の客観的な状況に由来するものであり、そのこと自体について被告に責任がないことは明らかである。被告が上記の建築基準法違反の点について知りながらあえて本件賃貸借契約を締結したというのであれば格別(なお、本件全証拠によっても、かかる事実は認められない。)、上記の建築基準法違反の点について予見可能であったということから、被告解除通知による解除が当事者の責めに帰すべからざる事由が存在するとの本件解除条項所定の要件を満たさないということはできない。
したがって、原告の上記主張は、採用することができない。
ウ また、原告は、本件建物の1階部分において、平成24年9月7日からドラッグストアが営業を開始し、その営業が所轄行政庁によって差し止められた事実や将来差し止めるような注意を受けた事実は一切なく、さらに、本件建物の2階部分においても、平成25年7月から、所轄行政庁の指導の下、店舗の営業を開始しているとして、仮に本件建物に建築基準法及び消防法上の瑕疵が存在するとしても、その瑕疵は軽微なものであるから、被告解除通知による解除は、被告の営業開始に必要な諸条件が満たされない場合であるとの本件解除条項所定の要件を満たさない旨主張する。
しかしながら、証拠(乙6)によれば、原告の主張に係るドラッグストアについては、その店舗開設の際に、消防用設備等の設置の届出及び検査(消防法17条の3の2)、防火対象物の使用開始の届出及び検査(東京都火災予防条例56条の2)等がされていないことが認められるから、この事例の存在をもって、本件が「被告の営業開始に必要な諸条件が満たされない場合」に当たるとの前記の判断を覆すことはできない。
次に、原告の主張に係る本件建物の2階部分での店舗の営業開始に関しては、店舗の営業開始に至るまでの葛飾区役所及び所轄消防署とのやり取り等が記載された鍛冶三和不動産作成の報告書が書証(甲31)として提出されているが、同報告書においても、同区役所の対応について、「日数的(2階店舗のオープンの日)や費用面などを考慮に入れ建物の使用を禁止する指導はなされませんでした。」と記載されているように、同区役所においては、本件建物の所有者及び賃借人側の事情を考慮して使用禁止命令の発令やその趣旨の行政指導は行っていないというにすぎず、本件建物の建築基準法違反の問題が解消されたわけではない。多数の顧客が来集することが想定されるスーパーマーケットを開設しようとする事業者にとって、その店舗となる建物が建築基準法の防火地域の規制に違反しているということは、その違反が人命に関わる重大な事態の発生につながる危険性のあるものであるだけに決して軽視できないことであり、そのことを理由として当該建物においてスーパーマーケットの開設を断念することは、企業の法令遵守にも配慮しなければならない事業者の判断としてやむを得ないことである。上記報告書の記載内容を前提とすれば、上記の事例は、建築基準法違反の事実を知りながらあえて店舗を開設した事業者の事例にすぎず、かかる事例の存在をもって、本件が「被告の営業開始に必要な諸条件が満たされない場合」に当たるとの前記の判断を覆すことはできない。
したがって、原告の上記主張は、採用することができない。
2 結論
以上によれば、被告解除通知による解除は、本件解除条項に基づき有効にされたものということができるところ、前記前提事実のとおり、本件賃貸借契約においては、本件解除条項に基づき解除がされた場合には、原告は、被告に対し損害賠償請求を一切行わず、また、被告から預かった敷金を直ちに返還するものとされているのであるから、被告の債務不履行を理由として損害賠償を求める原告の本訴請求は理由がなく、他方、敷金の返還を求める被告の反訴請求は理由があるというべきである。
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 増田稔)

 

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