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判例リスト「完全成果報酬|完全成功報酬 営業代行会社」(154)平成25年12月25日 東京地裁 平23(ワ)40186号 貸金返還等請求事件、損害賠償請求事件

判例リスト「完全成果報酬|完全成功報酬 営業代行会社」(154)平成25年12月25日 東京地裁 平23(ワ)40186号 貸金返還等請求事件、損害賠償請求事件

裁判年月日  平成25年12月25日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平23(ワ)40186号・平25(ワ)12458号
事件名  貸金返還等請求事件、損害賠償請求事件
裁判結果  第1事件一部認容、第2事件請求棄却  文献番号  2013WLJPCA12258031

要旨
◆原告X1社が、被告Y1社に対し、金銭消費貸借契約及び差額決済の合意に基づき、差額決済で合意した金額から原告X1社が受領した金額を控除した金額の支払を求め、被告Y1社の代表者を務める傍ら、被告Y5社に籍を置く被告Y2に対し、連帯保証契約及び不法行為に基づき同額の支払を求め、また、被告Y5社に対し、同被告の不法行為責任、使用者責任に基づき、損害賠償を求め(第1事件)、原告X2社が、被告Y2、被告Y3社及び被告Y5社に対し、不法行為責任及び使用者責任に基づき損害賠償を求めた(第2事件)事案において、本件金銭消費貸借契約及び本件連帯保証契約の成立を認めたが、被告らに原告ら主張に係る不法行為は認められないとし、第1事件に係る請求を一部認容する一方、第2事件に係る請求を棄却した事例

参照条文
民法415条
民法709条

裁判年月日  平成25年12月25日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平23(ワ)40186号・平25(ワ)12458号
事件名  貸金返還等請求事件、損害賠償請求事件
裁判結果  第1事件一部認容、第2事件請求棄却  文献番号  2013WLJPCA12258031

平成23年(ワ)第40186号 貸金返還等請求事件(第1事件)
平成25年(ワ)第12458号 損害賠償請求事件(第2事件)

東京都港区〈以下省略〉
第1事件原告 株式会社X1
代表者代表取締役 A
東京都目黒区〈以下省略〉
第2事件原告 株式会社X2
代表者代表取締役 B
原告ら訴訟代理人弁護士 宮家俊治
同 瀬戸祐典
東京都港区〈以下省略〉
第1事件被告 Y1株式会社
代表者代表取締役 Y2
東京都渋谷区〈以下省略〉
第1・第2事件被告 Y2
東京都中央区〈以下省略〉
第2事件被告 合同会社Y3
代表者代表社員 Y1株式会社
職務執行者 Y2
上記3名訴訟代理人弁護士 笠原静夫
東京都港区〈以下省略〉
第1事件被告Y4株式会社訴訟承継人・ 株式会社Y5
第2事件被告
代表者代表取締役 C
訴訟代理人弁護士 鈴木真
同 佐藤彰男
同 田中さわ
同 三谷和久
同 和田健

 

 

主文

1  第1事件被告Y1株式会社,第1事件被告Y2は,連帯して,第1事件原告に対し,4046万0929円及びうち金4000万円に対する平成23年11月30日から支払済みまで年6%の割合による金員を支払え。
2  第1事件原告のその余の請求をいずれも棄却する。
3  第2事件原告の請求をいずれも棄却する。
4  訴訟費用は,第1事件について,第1事件原告に生じた費用の6分の1と第1事件被告Y1株式会社に生じた費用は第1事件被告Y1株式会社の負担とし,第1事件原告に生じた費用の6分の1と第1事件被告Y2に生じた費用を第1事件被告Y2の負担とし,第1事件原告に生じたその余の費用と第1事件被告株式会社Y5との間に生じた費用は第1事件原告の負担とし,第2事件については,第2事件原告の負担とする。
5  この判決の第1項は,仮に執行することができる。

 

事実及び理由

第1  請求
1  第1事件
(1)  第1事件被告らは,第1事件原告に対し,連帯して,金4000万円を支払え。
(2)  第1事件被告Y1株式会社及び第1事件被告Y2は,第1事件原告に対し,連帯して,金46万0929円及び金4000万円に対する平成23年11月30日から支払済みに至るまで年6%の割合による金員を支払え。
(3)  第1事件被告株式会社Y5は,第1事件原告に対し,金4000万円に対する平成24年2月2日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。
2  第2事件
第2事件被告らは,第2事件原告に対し,連帯して,金4000万円及びこれに対する平成22年9月30日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
1  第1事件は,第1事件原告(以下「原告X1社」という。)が第1事件被告Y1株式会社(以下「被告Y1社」という。)に対し,金銭消費貸借契約及び差額決済の合意に基づき,差額決済で合意した金5000万円から平成23年12月7日までに原告X1社が受領した金1000万円を控除した金4000万円と確定遅延損害金46万0929円及び金4000万円に対する平成23年11月30日から支払済みまで商事法定利率年6%の割合による遅延損害金の支払を求め,第1事件被告Y2(以下「被告Y2」という。)に対し,連帯保証契約及び不法行為に基づき,差額決済で合意した金5000万円から平成23年12月7日までに原告X1社が受領した金1000万円を控除した金4000万円と確定遅延損害金46万0929円及び金4000万円に対する平成23年11月30日から支払済みまで商事法定利率年6%の割合による遅延損害金の支払を求め,第1事件被告株式会社Y5(以下第2事件被告株式会社Y5を含め「被告Y5社」という。)に対し,同被告の不法行為責任,使用者責任に基づき,原告X1社に生じた損害4000万円及びこれに対する平成24年2月2日(訴状送達日の翌日)から支払済みまで民法所定年5%の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
第2事件は,第2事件原告(以下「原告X2社」という。)が,第2事件被告らに対し,不法行為責任及び使用者責任に基づき,原告X2社に生じた損害4000万円及びこれに対する平成22年9月30日から支払済みまで民法所定年5%の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
2  前提事実(当事者間に争いがないか証拠によって容易に認めることのできる事実)
(1)  当事者
ア 原告X1社
原告X1社は,主に薬局の経営及び管理を行う株式会社であり,医療法人社団a会(以下「a会」という。)傘下の診療所の直近で調剤薬局チェーンを営んでいた。a会は,D1ことD(以下「D」という。)が理事長を務める医療法人社団であり,東京都内各地でいくつかの診療所を開設している(甲18,乙イ21)。
平成22年9月29日の時点で被告Y2は原告X1社の代表者であったが,翌日には辞任し,原告X1社の株式については,第2事件被告合同会社Y3(以下「被告合同会社」という。)から原告X2社へ譲渡され,同月30日,代表者もA(以下「A」という。)に変更になった。
イ 原告X2社
原告X2社は,原告X1社の株式を被告合同会社から購入した会社で,B(以下「B」という。)が平成22年8月5日に設立した。
ウ 被告Y1社
被告Y1社は,平成13年6月21日設立され,被告Y2が代表取締役を務めていた。被告Y1社は,被告合同会社を設立してその業務執行社員及び代表社員となり,被告Y2は,被告合同会社の職務執行者である。
エ 被告Y2
被告Y2は,被告Y1社の代表取締役,被告合同会社の職務執行者であり,被告Y5社のプライベートエクイティグループのグループリーダーで,シニアヴァイスプレジデントの肩書を持っていた(甲2,乙イ21)。
オ 被告合同会社
被告合同会社は,原告X1社の株式を平成22年9月当時,100%保有していた合同会社で,被告合同会社の業務執行社員及び代表社員は被告Y1社であり,職務執行者は被告Y2である。
カ 被告Y5社
被告Y5社は,主に不動産を投資対象とする各種ファンドの運用を通じ,国内外の顧客に対し,日本の不動産を対象とするアセットマネジメント業務を行うことを主たる事業とする株式会社であり,被告Y2の使用者である。
(2)  被告Y1社は,ファンドとしてa会グループと原告X1社のM&Aのために被告合同会社を設立した。被告Y1社と被告合同会社は,a会グループ及び原告X1社を併せて買収し,被告Y1社は,原告X1社において他の調剤薬局チェーンを買収して将来的には株式市場への上場を果たし,巨額の上場益を獲得することを目的としていた。
被告合同会社は,被告Y5社と業務委託契約を締結し,被告Y5社は,被告合同会社に対する投資家の管理,投資家の募集などの作業を行っていた(被告Y2・10頁)。
a会及び原告X1社のM&Aに当たり,被告Y1社は,原告X1社と業務委託契約を締結して業務委託報酬,広告宣伝費報酬等を得ることとし,被告Y1社は,原告X1社から1億5000万円を受領した。
原告X1社は,決算期前,1億5000万円や広告宣伝費等の報酬を被告Y1社に対する仮払金として処理していた。上記M&Aに当たり,Dは,a会の理事長にとどまること,給与は同水準,売上連動のインセンティブがほしいなどと希望した。
その後,Dは,a会と原告X1社の買戻しを希望し,被告合同会社及び被告Y1社は,原告X2社に対し,a会及び原告X1社を売却することとした。
(3)  原告X1社と被告Y1社は,平成22年9月29日,支払期日を平成23年9月30日として,被告Y1社が原告X1社に対して,1億5000万円を返還するという(準)金銭消費貸借契約を締結した(以下「本件金銭消費貸借契約」という。)。
本件金銭消費貸借契約書(甲1)には,原告X1社が被告Y1社に対する平成22年6月30日現在仮払金残高金1億5000万円について残高を確認し,合意のもと契約を締結する,最終返済日は平成23年9月末日とするなどの記載がある。
被告合同会社が保有していた原告X1社の株式は,原告X2社が購入した。原告X2社は,被告Y1社が本件金銭消費貸借契約を履行することを条件として,被告合同会社に株式買取代金として金1億円を支払うことを約した。
(4)  被告Y1社は,本件金銭消費貸借契約で定めた1億5000万円の支払について,支払期日である平成23年9月30日を経過しても支払わず,被告Y2は,遅滞の理由について原告X1社に何度か説明を行った。
被告Y2は,同年10月28日,「Y4株式会社シニアヴァイスプレジデント」の肩書で,原告X1社に宛て,被告Y1社は,同月31日に原告X1社に対して5000万円を支払うこととし,同月28日に原告X1社に預託した金500万円を控除して実際には金4500万円を支払う予定であること,当該支払についてはY4株式会社の社内決済(稟議)をとっており,本日既に支払手続に入っていること,同月31日には指定口座に振り込むが,原告X1社に預託した金500万円は,金5000万円の一部に充当してほしい,支払がなされなかった場合には被告Y2が連帯して支払うことなどを記載した「Y1株式会社から株式会社X1に対する支払について」の書面を作成した(甲2)。
同日までに被告Y1社は,原告X1社に対し,500万円を支払い,その余の支払をすることができなかった。
被告Y1社又は被告Y2は,原告X1社に対し,上記500万円のほか,同年11月17日,200万円,同月25日,100万円,同月30日,200万円の合計1000万円を支払ったが,その余の支払をしていない。
上記支払によって,被告Y1社又は被告Y2が原告X1社に対して同年9月30日に支払うことになっていた5000万円に対する遅延損害金は,次のとおり,合計46万0929円である。
平成23年10月1日から同月27日まで(27日間)
5000万円×6%×27日÷365日=22万1917円
同月28日から同年11月16日まで(20日間)
4500万円×6%×20日÷365日=14万7945円
同月17日から同月24日まで(8日間)
4300万円×6%×8日÷365日=5万6547円
同月25日から同月29日まで(5日間)
4200万円×6%×5日÷365日=3万4520円
3  争点及び争点に対する当事者の主張
(1)  本件金銭消費貸借契約と差額決済の合意
ア 原告X1社の主張
被告Y1社は,本件金銭消費貸借契約に基づき原告X1社に対し1億5000万円の返還義務を負っていたが,平成23年10月20日ころ,原告X1社との間で,原告X2社が被告合同会社に対し,原告X1社の株式買取代金として支払う1億円との差額5000万円を支払うとの差額決済を合意し,同月28日,被告Y2は,被告Y1社が原告X1社に支払う5000万円について連帯保証した。
被告Y1社又は被告Y2は,上記2(4)記載のとおり,合計1000万円を支払ったので,被告Y1社及び被告Y2は,原告X1社に対し,上記差額決済合意に基づく残金4000万円,平成23年10月1日から同年11月29日までの確定遅延損害金46万0929円及び4000万円に対する同月30日から支払済みまで商事法定利率年6%の割合による遅延損害金の支払義務がある。また,被告Y5社は,本件金銭消費貸借契約の債務者の名義によらず,実質的当事者として債務不履行責任を負う。
イ 被告Y1社及び被告Y2の主張
① 強迫による取消し
a会は,多額の借入金と経営陣の野放図な設備投資で資金繰りに窮し,経営難に陥っていたが,被告Y1社及び被告Y2は,被告合同会社をファンドとするM&Aを実施するに当たり,原告X1社が高い収益を上げていたことから,a会と原告X1社を抱き合わせで買収し,被告合同会社が原告X1社の株式をすべて取得し,被告Y1社らが原告X1社と業務提携等を行い,業務委託報酬等を得て新たな収益源とすることを目的としていた。
被告Y1社及び被告Y2の経営努力により,a会グループの経営は好転・健全化し,原告X1社の業績も向上したことから,Dは,a会グループや原告X1社などの買戻しを強く希望するようになった。医療機関の門前調剤薬局に対する影響力は絶大であるため,被告Y2は,Dの申入れを拒めず,被告合同会社は,原告X2社にa会グループ及び原告X1社の株式を売却することとなった。売却が決定した時点で原告X1社の仮払金総額は2億1785万円であり,原告X1社の売買代金を決定する際,D,A,Bは,被告Y1社及び被告Y2に対し,原告X1社が被告Y1社に対する業務委託報酬として仮払金処理をしていた1億5000万円の精算を要求し,1億5000万円を支払わなければa会グループ及び原告X1社の買収代金を支払わず,原告X1社の営業に対する協力を拒否すると通告した。これは,a会グループの医療機関が患者に対し,原告X1社以外の調剤薬局を利用するよう指示・指導し,原告X1社の調剤薬局の利用をさせないようにするというもので,医師から不利用先として指示された調剤薬局は倒産に至ることが必至であるから,Dらの上記要求と通告は,被告Y1社に対する強迫に他ならない。
本件金銭消費貸借契約は,原告X1社の事実上の代表取締役兼a会事務長のA,原告X2社の代表取締役であるB,a会理事長のDの強迫によって被告Y1社が締結したということができるから,被告Y1社は,平成24年11月21日の本件第7回口頭弁論期日で陳述した同日付準備書面で,本件金銭消費貸借契約を取り消す。
本件金銭消費貸借契約が取り消された以上,主たる債務は存在せず,被告Y2に対する請求も理由がない。
② 被告Y2の連帯保証について
被告Y2は,原告X1社の金融機関に対する債務等につき連帯保証債務を負っていた。平成22年9月に原告X1社の株式を譲渡した際,被告Y2のこれら連帯保証債務を外すことが約されていたが,連帯保証債務はすべては外されていない。原告X1社は,被告Y1社及び被告Y2の債務の履行に先んじて原告X1社を主債務者とする被告Y2の連帯保証債務を解除すべき先履行義務を負っている。
ウ 原告X1社の反論
① 強迫について
否認し争う。a会は,被告合同会社にM&Aによって買収されており,医療法人社団として,社員の過半数は被告Y1社ら側の人物であった。Dは,a会の雇われ理事長に過ぎず,被告Y1社らによって社員総会の決議でいつでも馘首される立場であり,被告Y2を強迫できるような立場にはない。
原告X1社の原告X2社による買収は,主導権が被告Y2側にあった。原告ら側が被告Y2を強迫したような事実は一切ない。
被告Y2が「連帯して支払う」との文書(甲2)も被告Y2が原告ら代理人の面前で自署したものであり,強迫されたとの主張は,平成24年11月21日の被告Y1社らの準備書面(3)で初めてされた。
② 被告Y2の連帯保証について
先履行義務を負っているとの主張を争う。原告X1社の株式を被告合同会社から原告X2社が譲り受ける際,原告X1社の代表者も被告Y2からAに変更することとなり,被告Y2が個人で連帯保証している債務の取扱いを協議したが,債権者によっては連帯保証の解除に応じない者がいることは想定され,被告Y2も認識していた。本件金銭消費貸借契約書等に先履行を記載した文言はない。原告らは,被告Y2に誓約した内容は履行している。
(2)  被告Y2,被告Y1社,被告合同会社の不法行為責任及び被告Y5社の不法行為責任と使用者責任
ア 原告らの主張
① 被告Y2,被告Y1社及び被告合同会社の不法行為
a会グループは,被告Y2が接近してくるまで,自由診療の業務改善が課題ではあったが,毎年黒字を計上し,原告X1社を含めて財務状況に問題はなかった。被告Y2は,自由診療は得意分野であるとの触れ込みで原告X1社を含むa会グループに接近し,本件スキーム(被告Y1社の下にファンドである被告合同会社をつくる,被告合同会社には被告Y5社が資金を供出する,被告合同会社は,原告X1社の株式を買い取り,また,a会の社員権,診療報酬債権を担保に融資を行い原告X1社とa会のガバナンスを掌握する,a会傘下で自由診療を行うbクリニック,cクリニックの業績の大幅な改善を図る,a会及び原告X1社が被告Y1社に業務委託料を支払う。)を企画,立案,実行したにもかかわらず,本件スキームが破綻し,原告X1社を含むa会グループに多額の損害が発生した。
被告Y2には,本件スキームのリスクの説明義務,当初の説明どおりの結果を出すべき各種施策の企画,立案実行義務,原告X1社を含むa会グループと信頼関係を構築する信頼関係構築義務という行為義務があったのにこれを怠った。すなわち,被告Y2は,本件スキームのリスクを説明せず,各種施策は立案当初から実行が不可能又は経済的合理性を欠くものであり,原告X1社を含むa会グループとの間の信頼関係を破壊した。
自由診療部門は平成19年3月期に約1億3065万円,平成20年3月期約2億0895万円,平成21年3月期2億8461万円,平成22年3月期3億0506万円の赤字を計上した。本件スキーム終了時に原告X2社が被告合同会社の契約上の地位(原告X1社の株式を含む)を譲り受け,被告Y1社が原告X1社に1億5000万円を返還することとして,本件金銭消費貸借契約が締結され,平成22年12月17日には,原告X2社と被告合同会社との間で,契約上の地位の譲渡について,対価が3億円で,うち2億円が支払済みであること,残1億円については本件消費貸借契約の決済がされた後に支払うことが確認された。
原告X1社が被った損害は,上記合意による差額の5000万円である。
本件スキームを解消するに当たり,被告Y2は,原告X2社の代表者であるBに対し,1年後に1億5000万円(差額決済の場合は5000万円)の支払を前提に原告X1社の資産査定をさせ,原告X1社から受領した仮払金1億5000万円を他に流用したかリスクの高い投資案件に投資し,原告X2社にリスクを隠して,被告Y5社の信用を背景に,被告Y1社の返済原資及び信用について虚偽を述べ,1年後には1億5000万円(差額決済の場合は5000万円)の支払が確実であると誤信させた上で,平成22年9月29日,原告X2社に2億2000万円を支払わせ,本件金銭消費貸借契約書を作成させた。
原告X2社は,原告X1社の被告Y1社に対する本件金銭消費貸借契約に基づく貸金債権1億5000万円の価値があることを前提に原告X1社の株式を購入しており,同金額が支払われないことによって原告X1社の株式の価値がその分下落した。他方,原告X2社は,被告Y1社が1億5000万円を原告X1社に支払わない場合は,原告X1社の購入代金の残額である1億円を支払わなくてもよくなるので,原告X2社の被った損害は5000万円となり,被告Y2が原告X1社に1000万円を支払っているから4000万円が原告X2社の損害となる。被告Y2及び被告合同会社は,故意に原告X2社に4000万円の損害を与えた。
② 被告Y5社の不法行為責任
被告Y2の上記①の不法行為は,被告Y5社の業務として行ったのであるから,被告Y5社の侵害行為の存在も明らかである。
被告Y5社には,被告Y2の上記行為義務と同様の義務があるほか,本件スキームの進捗状況を管理した上で被告Y2が本件スキームを実行することができないのであれば,担当者を変更するか,被告Y2を適切にサポートする義務があった。また,被告Y5社は,被告Y2が極めて不適切な施策を企画・立案してこれらを実行し,原告X1社を含むa会グループに多額の損害が出ているのに被告Y2を更迭する等の回避策及び善後策をとらず,原告X1社から被告Y1社を通じて業務委託料という形で金銭を吸い上げているのを知りつつ,これを放置するか指示し,被告Y2がa会グループとの間の信頼関係破壊行為をしているのに,これを放置するか指示した。
原告X1社,被告Y1社,被告Y2及び被告Y5社は,原告X1社の株式等を,後に設立される原告X2社に譲渡するという解消スキームの合意をした。被告Y5社は,この解消スキームの当事者である。解消スキームは,被告Y1社及び被告Y2において実行するに至らず破綻した。被告Y5社は,本件スキームの破綻に伴い,原告X1社に賠償すべき損害を解消スキームにおいて支払うことにしたのであるから,実行が確実な解消スキームを構築する義務がある。解消スキームの策定後は,その実行当事者となる被告Y1社が,決済日である平成23年9月30日までに決済することができるようにする管理義務がある。1億5000万円を仮払いした原告X1社が被害者である。
③ 被告Y5社の使用者責任
被告Y5社に不法行為が成立しないとしても,被告Y2は,被告Y5社の幹部従業員であり,被告Y5社は自己の事業として本件スキームの立案,実行,解消を行ったのであるから,使用者としての責任を負う。
イ 被告Y2,被告Y1社及び被告合同会社の主張
否認し,争う。原告X1社が主張する原告X1社を含むa会グループや本件スキームは存在しない。被告Y2は不法行為に及んでいないし,原告X1社が被告Y2の行為によって損害を被ったということもない。
a会は,多額の借入金と経営陣の野放図な設備投資で資金繰りに窮し,経営難に陥っていた。そのため,a会は,M&Aをせざるを得なくなり,引受先を探していて,被告Y2は,a会傘下の診療所の開設に関与した医療関係コンサルタント会社d社のE社長からの紹介で,被告合同会社がa会を買収した。原告X1社は,a会傘下の診療所のいわゆる門前調剤薬局を営む者であって,医薬分業の趣旨からしてもa会グループに属するということはない。被告Y2は,a会だけの買収では投資案件として魅力に乏しいため,高い収益を上げていた原告X1社と抱き合わせることでM&A投資案件と判断し,被告Y5社のF会長に進言した。
被告Y5社が平成19年2月6日にa会に提案した「a会スキーム」は,被告合同会社がa会という医療法人の買収と原告X1社等の企業買収をセットでするものである。原告らが本件スキームとして主張するようなスキームではない。a会スキームは,Dからの支援要請によるものであり,これがM&Aであることは,Dも知悉していた。被告Y1社と被告Y5社は資本面でも業務面でも何ら関係がない。
a会スキームは,a会の経営難が契機であり,a会及び原告X1社が被告合同会社によって買収されたからといって,a会及び原告X1社の権利が侵害されたり損害が発生することはない。
a会スキームはM&A案件であるから,被告Y2に原告X1社が主張するような行為義務,説明義務はない。
cクリニックやbクリニックは,Dら医療スタッフが真摯に努力しようとしないため再建の見通しが立たず,cクリニックは閉院を余儀なくされ,bクリニックは売却した。
被告Y2は,お祓いによるお清めの支出をしたり,Dに投資の勧誘をし,Dに対するインセンティブの支払が遅延したことはあったが,被告Y5社とa会との信頼関係を破壊する事由にはなり得ず,原告X1社とは全く無関係である。
ウ 被告Y5社の主張
① 被告Y2,被告Y1社及び被告合同会社の不法行為について
原告X1社は,被告Y2の行為が被告Y5社の行為と評価される具体的な理由を明らかにしないから,原告X1社の主張は失当である。
被告Y5社と被告Y1社との間には何らの出資関係もないし,被告Y5社は,被告合同会社に何ら出資をしていない。
被告Y5社が被告合同会社との間で業務委託契約を締結し,同契約の範囲内で本件スキームに関与したことは認めるが,被告Y5社が原告X1社との間で何らかの契約を締結するなど契約当事者になったことはない。被告Y5社は本件金銭消費貸借契約には何ら関与していない。
被告Y5社は,被告Y2と原告X1社,被告Y2とDとの間の具体的なやり取りを知らない。Dらは,本件スキームの計画に際して頻繁に弁護士と打合せを行っており,原告X1社は,本件スキームの内容について十分かつ慎重にリスク判断等を行っていたはずである。
本件スキームについて,原告X1社,D,被告Y2との間では度重なる打合せが行われており,被告Y2は,原告X1社又はDに必要な説明を行っているから,説明義務違反に問われる理由はない。
当初の予定,目標が達成できないことは通常見受けられるところであり,本件スキームによる計画が達成できなかった事実をもって不法行為を主張することは強弁である。原告X1社が主張する信頼関係構築義務違反についても,原告X1社のいかなる権利が侵害されたのか具体的な主張がない。
原告らは,被告Y1社の原告X1社に対する1億5000万円の支払に関し,被告Y2が1年後の決済が確実であることを信じ込ませた上で,結局,原告X2社に2億2000万円を支払わせた行為が不法行為であると主張するが,原告らと被告Y1社との間で,いかなる合意が成立していたのか,被告Y5社は関与しておらず知らない。原告らの主張は,金銭を支払うと約束したのに,支払わなかったから不法行為に該当するという主張に他ならず,違法性についての具体的な主張がない。また,被告Y2の欺罔行為によって原告X2社をして2億2000万円を支払わせた行為が,被告Y2の原告X1社に対する不法行為に該当するのかも不明である。
原告X2社の代表者Bは,医療コンサルティングの業務に7年半,医療法人のM&Aに約30件関与し,金融機関出身で金融や財務分析に詳しいと自認している。本件スキームの解消には公認会計士1名,税理士3名等の専門家による資産査定が2日間かけて行われ,求められた資料はすべて開示された。Bは,原告X1社の株式の評価を2000万円とし,平成22年12月17日付け確認書では,1億5000万円が支払期日までに支払われないときには被告Y1社が原告X1社の株式譲渡対価の残額を債権放棄する条項を定めていて,1億5000万円の仮払金未回収リスクを把握し,そのための措置も取り決めていた。原告X2社は,何ら欺罔されておらず,被告Y2に不法行為が成立する余地はない。
② 被告Y5社の使用者責任
本件においては,原告X1社と被告合同会社が業務委託契約を締結したものであり,被告Y2が被告合同会社の業務執行者及び同社の代表社員である被告Y1社の代表取締役として行動していたことは明白である。原告X1社が被告Y2の過失と主張する各施策は,原告X1社との業務委託契約によって被告合同会社が遂行したものであり,被告Y5社の業務に関連しないことが明らかである。そうであるからこそ,本件スキームの解消合意書である本件金銭消費貸借契約書は,被告合同会社の代表社員である被告Y1社が記名押印した。解消スキームに関する一連の言動についても,被告Y5社は契約当事者ではない。
被告Y2の行為は,被告Y5社の業務として行ったものではないから,被告Y5社に対する使用者責任が生じる余地はない。
③ 原告らの損害
原告X1社は,被告Y2の不法行為によって被った損害について具体的な金額を明らかにしない。原告X1社から被告合同会社に対して支払われた金銭は,業務委託契約に基づいて支払われたものである。原告X1社の損害に関する主張は失当である。
原告X2社の債権は存在したままであり,被告Y1社による債権放棄を得ているのであるから,損害は発生していない。
第3  当裁判所の判断
1  判断の前提となる事実
(1)  前提となる事実及び証拠(甲5,7,8の1ないし8の4,13,15,17,18,19の1,19の2,乙イ2,3,5の1,5の2,6,9,10,11ないし13の各1,2,15,16の1,16の2,21,原告X2社代表者B,被告Y2)によって認められる事実は,以下のとおりである。
ア 被告Y2は,被告Y1社の代表者を務める傍ら,被告Y5社に籍を置き,ファンドの組成や運営などの職務を担当していた。被告Y5社と被告Y1社との間に資本関係はない(乙イ21)。
イ 平成18年9月当時,a会は,多額の借入金を抱えて資金繰りに窮し,経営難に陥ってM&Aによる引受先を探していた。被告Y2は,同月27日,a会傘下の診療所の開設に関与した医療関係のコンサルタント会社であるd社のE社長から,a会が資金繰りに窮し,支援先を探しているとの話を聞き,薬局部門で高収益を上げている原告X1社の買取りと抱き合わせでM&Aを行えば投資案件として魅力的であるとして,被告Y5社のF会長に進言した(乙イ2,21)。
ウ 被告Y5社は,被告Y2の提案を投資案件として検討することとなり,平成18年10月24日には,被告Y2やD,担当弁護士を交えた打合せが被告Y5社本社で行われ,Dは,事業運営を継続できるのであれば執着はなく,給与は同水準でよいが,売上連動のインセンティブがほしい,従業員に分からないようにしてほしい,M&Aという話は伝わってほしくない,父の関係会社からお金が入るという形にしている,医療法人法の改正があるのでその前にお金が入るのはよろしくない,2月中旬クロージングのイメージなどとして打合せが行われた(乙イ3)。
Dや担当弁護士らは,平成18年12月ころから,被告Y5社の事務所などで,a会及び原告X1社のM&Aに関する打合せを被告Y2と何度も行い(甲5),平成19年2月6日には,被告Y5社からa会に対して,買収時の支払金額として,理事長への貸付3億1000万円,a会への貸付5億5000万円,原告X1社買収金額1億4000万円,f社買収金額1億6000万円,a会社員3名のうち,1名はD,2名は被告Y5社から派遣するなどの「a会スキーム提案書」(甲7)を交付した。平成19年4月19日には,このスキームに従い,a会の社員2名が変更され,社員2名は被告Y5社から派遣された(甲7,8の1ないし8の4)。
エ Dは,当時,原告X1社の株式200株を所有していたGから1株70万円,合計1億4000万円で株式譲渡を受け,平成19年4月15日,Dは,1億4000万円で原告X1社の株式を被告合同会社に譲渡した(乙イ5の1,5の2,6)。
同日,a会は,Dを連帯保証人として,被告合同会社から5億9000万円を借入金の弁済資金などとして借り入れ,Dは,被告合同会社から合計3億円をa会に対するDの債務の弁済資金等として借り入れた(乙イ9,10)。
原告X1社と被告合同会社は,同月25日,原告X1社が被告合同会社に一般経理業務,一般管理業務,その他資金調達等経営に関するコンサルティング業務等を初年度月額300万円,2年目年間総額4500万円,3年目から5年目は各年間総額6000万円で委託する業務委託契約を締結し(乙イ12の1,12の2),同日,原告X1社が被告合同会社に広告業務等を初年度4150万円,2年目から5年目まで各年間総額5000万円で委託する広告業務基本契約を締結し(乙イ13の1,13の2),同年5月1日には,原告X1社と被告Y1社との間で,営業戦略構築業務指導及びサポート等の業務を月額1000万円で委託する業務委託契約(乙イ14)を締結し,平成20年5月9日には,被告合同会社が原告X1社に提携候補先との資本業務提携に関するスキームの立案等の支援などを委託するアドバイザリー・サービスを提供し,原告X1社が委託手数料年度総額7200万円,成功報酬を別途支払う,対象会社買収金の支払を担保するため預託金として1億円を2分割で被告合同会社の指定する銀行口座に振り込むなどを内容とするアドバイザリー・サービス契約が締結され,平成21年1月15日には,預託金の金額が9200万円に変更された(乙イ11の1,11の2)。
上記手続を経て,被告Y2は原告X1社の代表取締役に就任し,a会及び原告X1社の経営権を取得した(乙イ21)。
オ a会傘下の病院で自由診療の美容整形クリニックであったcクリニックやbクリニックは,赤字解消ができず,平成21年6月ころには自由診療部門を売却・閉鎖することとし,cクリニックは閉院し,bクリニックは売却された(甲19の2,乙イ21)。
被告Y1社は,業務委託報酬として原告X1社から1億5000万円の業務委託報酬を得たが,これは仮払金として処理され,後に正式な経理処理がされることになった(乙イ21,被告Y2・5頁)。
原告X1社から業務委託報酬等として被告Y1社や被告合同会社に支払われる金員は毎年の利益の予測がつきにくかったので,契約上の名目に従った経理処理がされず仮払金として処理され,Dに対するインセンティブフィーなども仮払金として処理された(被告Y2・5頁)。
Dに対するインセンティブフィーは,有限会社gとDとの間の金銭消費貸借契約の形式でも支出された(乙イ16の1,16の2,被告Y2・5頁)。
カ Dは,自由診療の業績が悪化し,Dに対するインセンティブの支払なども滞るようになったことから,被告Y2らとの関係を解消するためa会グループの買戻しを希望するようになった。Dは,薬局経営に興味のあった株式会社eの代表者であったBに,被告Y2から原告X1社の株式の買取りを相談して,平成22年5月ころから,Bが被告Y2との交渉に関与するようになった(甲17,乙イ21)。
キ Bは,平成22年5月12日,被告Y2に対し,原告X1社の株式をe社に売却してほしいと話した(甲17)。
a会では,a会内部で解消スキームをまとめており,被告Y2らとの関係を解消するため,ファンドからの借入金を銀行融資で返済する方法を計画していた。原告X1社については,Bが新会社(原告X2社)を設立し,原告X1社の株式を被告合同会社から購入することにした(甲17)。
Bと被告Y2は,解消スキームの金額や方法について交渉を重ね,平成22年7月29日,Bは,被告Y5社に宛てて「買付意向表明書」(甲13)を提出した。
買付意向表明書には,原告X2社が,調剤薬局運営事業に参入する目的で,原告X1社の全株式,D個人を対象とする債権の全額の譲渡を受け,売却希望価格が5億円であること,取得するには,原告X1社の資産項目に関する被告Y5社内における方針の確定,デュー・デリジェンスの実施を条件とすることなどが記載されていた(甲13)。
Bは,被告Y5社の会議室で2日間かけ,公認会計士1名と税理士3名で原告X1社の財務デュー・デリジェンスを実施し,約2億5000万円と査定した(甲17,B・7頁)。
平成22年9月16日には,原告X2社が被告合同会社に,原告X1社の株式購入代金として3億2000万円を譲渡時2億2000万円支払い,残金1億円を1年以内に決済する,原告X1社が被告Y1社に有する仮払金1億5000万円は,原告X1社からの借入金として原告X2社と金銭消費貸借契約を締結し,1年以内に返済するなどのスキーム案(甲15)が作成された。Bは,3億2000万円のうち,Dの債権買取が3億円で,原告X1社の株式譲渡代金が2000万円であると述べている(B・27頁)。
Bは,被告Y2に対し,1億7000万円で全体の決済をすることを提案したが,被告Y2の同意は得られなかった(B・10頁)。
被告Y2が作成した仮払金内訳書(乙イ15,被告Y2・2頁)には,被告合同会社契約書のDの地位譲渡代金3億円,原告X1社株式譲渡代金1億4020万円の合計4億4020万円であり,現金支払分2億2000万円はDの地位譲渡代金に充てられ,原告X1社株式譲渡代金1億2020万円が会計譲渡分として充てられ,繰延支払分として,Dの地位譲渡代金が8000万円,原告X1社株式譲渡代金が2000万円の合計1億円と記載されている。
同月29日,原告X2社は,被告合同会社に2億2000万円を支払い(甲22),同日,原告X1社と被告Y1社との間で,本件金銭消費貸借契約が締結された(甲1)。
同年12月17日,原告X2社と被告合同会社は,「債務弁済に関する確認書」(甲3)を作成した。
上記確認書には,原告X2社,被告合同会社,D間の同年9月29日付「契約上の地位譲渡に関する契約書(原契約)」に関し,契約上の地位譲渡の対価金3億円のうち,2億円については,同日,支払済みであること,残額1億円については,本件金銭消費貸借契約に基づく1億5000万円の債務を平成23年9月末日までに全額弁済すれば,弁済日から3営業日以内に譲渡対価の残額1億円を支払うこと,同日までに1億5000万円の債務が一部のみしか弁済されなかった場合には,原告X2社は,被告合同会社に,当該弁済日から3営業日以内に弁済額の3分の2に相当する金額を,原契約に基づく譲渡対価の残額として支払うものとし,かつ,被告合同会社は,原告X2社にその不足残額の債権を当該弁済日をもって債権放棄すること,1億5000万円の債務が平成23年9月末日(甲3には平成22年とあるが平成23年の誤記と認める。)までに一切弁済されなかった場合,被告合同会社は,原契約に基づく譲渡対価の残額全額を同日をもって債権放棄することなどを内容とする記載がある。
ク 被告Y2は,平成23年9月30日までに1億5000万円の支払ができず,同年10月28日には,被告Y5社のシニアヴァイスプレジデントの肩書で,被告Y1社が,5000万円から,同月28日に預託した500万円を控除した4500万円を同月31日に支払うことは間違いないこと,被告Y2は,支払がなされなかった場合には被告Y2が連帯して保証するとの書面(甲2)を原告X1社宛てに差し入れた。
その後,同年11月17日,200万円,同月25日,100万円,同月30日,200万円の合計1000万円が被告Y2から原告X1社に支払われたが,その余の支払はない。
2  本件金銭消費貸借契約について
(1)  被告Y2及び被告Y1社は,本件金銭消費貸借契約が原告X1社の事実上の代表取締役であるA,原告X2社の代表取締役であるB,Dの強迫により締結したものであると主張する。被告Y2は,DやBから平成22年9月ころ,仮払金1億5000万円の精算に協力しなければ原告X1社の株式譲渡代金を支払わないと言われたことが原告X1社の倒産につながるため,これを回避するために本件金銭消費貸借契約に応じざるを得なかったなどと陳述書(乙イ21)に記載し,本人尋問においても,私どもが投資してた先が倒産する可能性を当然ちらつかせながら交渉に入られてましたので,こちらとしてはそれを脅威だと認識したなどと供述する(被告Y2・22頁)が,これらの記載や供述にあるような言動があったとしても,原告X1社株式の買収交渉における駆け引きに使用された言動であるに過ぎず,これを強迫に当たると認めることはできない。他に本件金銭消費貸借契約が強迫によって締結されたことを認めるに足りる証拠はない。
(2)  被告Y2及び被告Y1社は,乙イ1の誓約書に記載された被告Y2の負担している連帯保証契約の解除等の義務が本件金銭消費貸借契約を履行するに当たって先履行の関係にあるなどと主張するが,本件金銭消費貸借契約書にも上記誓約書にもそのような記載はなく,誓約書に記載された原告らの被告Y2に対する義務が,本件金銭消費貸借契約を履行するに当たって先に履行されるべき義務であることを認めるに足りる証拠はない。
本件金銭消費貸借契約についての被告Y2及び被告Y1社の強迫及び先履行義務の主張はいずれも採用することができない。
(3)  被告Y2は,甲2によって,被告Y1社の本件金銭消費貸借契約に基づく差額決済の合意について連帯保証しているから,原告X1社の被告Y2及び被告Y1社に対する差額決済の合意に基づく4000万円,確定遅延損害金46万0929円及び4000万円に対する平成23年11月30日から支払済みまで商事法定利率年6%の割合による遅延損害金の請求には理由がある。
(4)  原告X1社は,被告Y5社が甲2に基づく支払約束をしていると主張するが,甲2には被告Y2の肩書に被告Y5社のシニアヴァイスプレジデントとの記載があるが,甲2の表題は「被告Y1社から原告X1社に対する支払について」であり,被告Y2が手書きで連帯保証をしている部分に被告Y5社の記載はない。甲2をもって被告Y5社が支払約束をした文書であると認めることができず,原告X1社の主張には理由がない。被告Y5社が本件金銭消費貸借契約の実質的当事者であることを認めるに足りる証拠はない。
3  被告らの不法行為
(1)  原告らは,被告Y2及び被告Y5社の本件スキームにおける不法行為を主張するが,被告Y2が被告合同会社を通じてa会及び原告X1社の経営権を取得した後の具体的な行為についての立証がなく,被告らの不法行為を認めるに足りる証拠はない。
(2)  原告らは,平成22年9月29日に被告Y2が約束した平成23年9月末日の1億5000万円の決済ができなかったことについて,被告Y2が返済できないリスクを隠して決済が確実であるとBを誤信させ,先に2億2000万円を支払わせたことが被告Y2の不法行為であり,被告Y2は被告Y5社の従業員として行動していたのであるから,被告Y5社の不法行為でもあるなどと主張し,甲17にその旨記載し,B・35頁で,Bは交渉相手が被告Y5社であり,被告Y2の支払に問題はないとの発言を信じて金銭消費貸借契約を締結したなどと主張する。
Bは,金融機関の出身者で金融や財務分析についての知識があり,医療コンサルタントとして医療法人の再生案件やM&Aにもこれまで30件くらい関わっている(B・1,2頁)。Bは,被告Y2が1億5000万円の決済を原告X1社の株式譲渡代金と同時にしなかったことについて,被告Y2がすぐに換金できない他の投資案件に回しているのではないかと考えており(甲17),原告X1社のデュー・デリジェンスの実施で,仮払金が本当に戻ってくるか危惧した(B・8頁)と述べ,被告Y5社の担保や保証は被告Y2から難しいと言われた(B・41頁)とも述べている。Bは,平成22年12月17日,債務弁済に関する確認書(甲3)で,本件金銭消費貸借契約が支払期日に履行されなかった場合に,被告合同会社が原告X2社に対する譲渡対価の債権を放棄する条項を入れて,被告Y1社が本件金銭消費貸借契約を履行しなかった場合に備えている。
そうすると,原告X2社が被告合同会社から原告X1社の株式を買い取り,原告X1社の被告Y1社に対する仮払金を本件金銭消費貸借契約にして,決済を1年後にするとの合意は,Bと被告Y2との間での交渉の結果によるものであり,この交渉過程で被告Y2が1年後の決済が確実である発言したからといって,Bの経歴と上記交渉経緯からすると,被告Y2の発言をBが直ちに信用したと認めることができない。Bと被告Y2の原告X1社の経営権を巡る交渉過程が違法に行われたことを認めるに足りる証拠はなく,被告Y2に不法行為があったとは認めることができない。
他に被告らの不法行為を認めるに足りる証拠はない。
4  結論
原告らの本訴請求は,主文第1項の限度で理由があるが,その余の請求にはいずれも理由がない。
よって,主文のとおり判決する。
(裁判官 小野洋一)

 

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