【営業代行から学ぶ判例】crps 裁判例 lgbt 裁判例 nda 裁判例 nhk 裁判例 nhk 受信料 裁判例 pl法 裁判例 pta 裁判例 ptsd 裁判例 アメリカ 裁判例 検索 オーバーローン 財産分与 裁判例 クレーマー 裁判例 クレプトマニア 裁判例 サブリース 裁判例 ストーカー 裁判例 セクシャルハラスメント 裁判例 せクハラ 裁判例 タイムカード 裁判例 タイムスタンプ 裁判例 ドライブレコーダー 裁判例 ノンオペレーションチャージ 裁判例 ハーグ条約 裁判例 バイトテロ 裁判例 パタハラ 裁判例 パブリシティ権 裁判例 ハラスメント 裁判例 パワーハラスメント 裁判例 パワハラ 裁判例 ファクタリング 裁判例 プライバシー 裁判例 プライバシーの侵害 裁判例 プライバシー権 裁判例 ブラックバイト 裁判例 ベネッセ 裁判例 ベルシステム24 裁判例 マタニティハラスメント 裁判例 マタハラ 裁判例 マンション 騒音 裁判例 メンタルヘルス 裁判例 モラハラ 裁判例 モラルハラスメント 裁判例 リストラ 裁判例 リツイート 名誉毀損 裁判例 リフォーム 裁判例 遺言 解釈 裁判例 遺言 裁判例 遺言書 裁判例 遺言能力 裁判例 引き抜き 裁判例 営業秘密 裁判例 応召義務 裁判例 応用美術 裁判例 横浜地裁 裁判例 過失割合 裁判例 過労死 裁判例 介護事故 裁判例 会社法 裁判例 解雇 裁判例 外国人労働者 裁判例 学校 裁判例 学校教育法施行規則第48条 裁判例 学校事故 裁判例 環境権 裁判例 管理監督者 裁判例 器物損壊 裁判例 基本的人権 裁判例 寄与分 裁判例 偽装請負 裁判例 逆パワハラ 裁判例 休業損害 裁判例 休憩時間 裁判例 競業避止義務 裁判例 教育を受ける権利 裁判例 脅迫 裁判例 業務上横領 裁判例 近隣トラブル 裁判例 契約締結上の過失 裁判例 原状回復 裁判例 固定残業代 裁判例 雇い止め 裁判例 雇止め 裁判例 交通事故 過失割合 裁判例 交通事故 裁判例 交通事故 裁判例 検索 公共の福祉 裁判例 公序良俗違反 裁判例 公図 裁判例 厚生労働省 パワハラ 裁判例 行政訴訟 裁判例 行政法 裁判例 降格 裁判例 合併 裁判例 婚約破棄 裁判例 裁判員制度 裁判例 裁判所 知的財産 裁判例 裁判例 データ 裁判例 データベース 裁判例 データベース 無料 裁判例 とは 裁判例 とは 判例 裁判例 ニュース 裁判例 レポート 裁判例 安全配慮義務 裁判例 意味 裁判例 引用 裁判例 引用の仕方 裁判例 引用方法 裁判例 英語 裁判例 英語で 裁判例 英訳 裁判例 閲覧 裁判例 学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例 共有物分割 裁判例 刑事事件 裁判例 刑法 裁判例 憲法 裁判例 検査 裁判例 検索 裁判例 検索方法 裁判例 公開 裁判例 公知の事実 裁判例 広島 裁判例 国際私法 裁判例 最高裁 裁判例 最高裁判所 裁判例 最新 裁判例 裁判所 裁判例 雑誌 裁判例 事件番号 裁判例 射程 裁判例 書き方 裁判例 書籍 裁判例 商標 裁判例 消費税 裁判例 証拠説明書 裁判例 証拠提出 裁判例 情報 裁判例 全文 裁判例 速報 裁判例 探し方 裁判例 知財 裁判例 調べ方 裁判例 調査 裁判例 定義 裁判例 東京地裁 裁判例 同一労働同一賃金 裁判例 特許 裁判例 読み方 裁判例 入手方法 裁判例 判決 違い 裁判例 判決文 裁判例 判例 裁判例 判例 違い 裁判例 百選 裁判例 表記 裁判例 別紙 裁判例 本 裁判例 面白い 裁判例 労働 裁判例・学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例・審判例からみた 特別受益・寄与分 裁判例からみる消費税法 裁判例とは 裁量労働制 裁判例 財産分与 裁判例 産業医 裁判例 残業代未払い 裁判例 試用期間 解雇 裁判例 持ち帰り残業 裁判例 自己決定権 裁判例 自転車事故 裁判例 自由権 裁判例 手待ち時間 裁判例 受動喫煙 裁判例 重過失 裁判例 商法512条 裁判例 証拠説明書 記載例 裁判例 証拠説明書 裁判例 引用 情報公開 裁判例 職員会議 裁判例 振り込め詐欺 裁判例 身元保証 裁判例 人権侵害 裁判例 人種差別撤廃条約 裁判例 整理解雇 裁判例 生活保護 裁判例 生存権 裁判例 生命保険 裁判例 盛岡地裁 裁判例 製造物責任 裁判例 製造物責任法 裁判例 請負 裁判例 税務大学校 裁判例 接見交通権 裁判例 先使用権 裁判例 租税 裁判例 租税法 裁判例 相続 裁判例 相続税 裁判例 相続放棄 裁判例 騒音 裁判例 尊厳死 裁判例 損害賠償請求 裁判例 体罰 裁判例 退職勧奨 違法 裁判例 退職勧奨 裁判例 退職強要 裁判例 退職金 裁判例 大阪高裁 裁判例 大阪地裁 裁判例 大阪地方裁判所 裁判例 大麻 裁判例 第一法規 裁判例 男女差別 裁判例 男女差别 裁判例 知財高裁 裁判例 知的財産 裁判例 知的財産権 裁判例 中絶 慰謝料 裁判例 著作権 裁判例 長時間労働 裁判例 追突 裁判例 通勤災害 裁判例 通信の秘密 裁判例 貞操権 慰謝料 裁判例 転勤 裁判例 転籍 裁判例 電子契約 裁判例 電子署名 裁判例 同性婚 裁判例 独占禁止法 裁判例 内縁 裁判例 内定取り消し 裁判例 内定取消 裁判例 内部統制システム 裁判例 二次創作 裁判例 日本郵便 裁判例 熱中症 裁判例 能力不足 解雇 裁判例 脳死 裁判例 脳脊髄液減少症 裁判例 派遣 裁判例 判決 裁判例 違い 判決 判例 裁判例 判例 と 裁判例 判例 裁判例 とは 判例 裁判例 違い 秘密保持契約 裁判例 秘密録音 裁判例 非接触事故 裁判例 美容整形 裁判例 表現の自由 裁判例 表明保証 裁判例 評価損 裁判例 不正競争防止法 営業秘密 裁判例 不正競争防止法 裁判例 不貞 慰謝料 裁判例 不貞行為 慰謝料 裁判例 不貞行為 裁判例 不当解雇 裁判例 不動産 裁判例 浮気 慰謝料 裁判例 副業 裁判例 副業禁止 裁判例 分掌変更 裁判例 文書提出命令 裁判例 平和的生存権 裁判例 別居期間 裁判例 変形労働時間制 裁判例 弁護士会照会 裁判例 法の下の平等 裁判例 法人格否認の法理 裁判例 法務省 裁判例 忘れられる権利 裁判例 枕営業 裁判例 未払い残業代 裁判例 民事事件 裁判例 民事信託 裁判例 民事訴訟 裁判例 民泊 裁判例 民法 裁判例 無期転換 裁判例 無断欠勤 解雇 裁判例 名ばかり管理職 裁判例 名義株 裁判例 名古屋高裁 裁判例 名誉棄損 裁判例 名誉毀損 裁判例 免責不許可 裁判例 面会交流 裁判例 約款 裁判例 有給休暇 裁判例 有責配偶者 裁判例 予防接種 裁判例 離婚 裁判例 立ち退き料 裁判例 立退料 裁判例 類推解釈 裁判例 類推解釈の禁止 裁判例 礼金 裁判例 労災 裁判例 労災事故 裁判例 労働基準法 裁判例 労働基準法違反 裁判例 労働契約法20条 裁判例 労働裁判 裁判例 労働時間 裁判例 労働者性 裁判例 労働法 裁判例 和解 裁判例

判例リスト「完全成功報酬|完全成果報酬 営業代行会社」(258)平成22年 2月23日 東京地裁 平20(ワ)9082号 報酬金請求事件

判例リスト「完全成功報酬|完全成果報酬 営業代行会社」(258)平成22年 2月23日 東京地裁 平20(ワ)9082号 報酬金請求事件

裁判年月日  平成22年 2月23日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平20(ワ)9082号
事件名  報酬金請求事件
裁判結果  一部認容  上訴等  控訴(後、控訴棄却)  文献番号  2010WLJPCA02238018

要旨
◆原告会社が、訴外A社の創業者であった亡Y1との間で、A社株式の譲渡仲介契約を締結し、譲渡の成功により報酬請求権を取得したと主張して、Y1の相続人である被告らに対し、主位的には同契約に、予備的には商法512条等に基づき、報酬の支払を求めた事案において、本件の当事者は商法504条により原告会社の代表取締役個人ではなく原告会社であるとした上で、交わされた確約書により直ちに報酬請求権が発生するわけではないが、商法512条その他関係法令あるいは信義則等に照らして相当額の報酬は認められるとされた事例
◆いわゆる二段の推定について、反証が認められなかった事例

裁判経過
上告審 平成22年12月16日 最高裁 決定
控訴審 平成22年 8月25日 東京高裁 判決

参照条文
民法1条2項
民法130条
民法643条
民法648条
商法504条
商法512条
民事訴訟法228条4項

裁判年月日  平成22年 2月23日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平20(ワ)9082号
事件名  報酬金請求事件
裁判結果  一部認容  上訴等  控訴(後、控訴棄却)  文献番号  2010WLJPCA02238018

東京都港区〈以下省略〉
原告 ウィンドマーク投資顧問株式会社
同代表者代表取締役 A
同訴訟代理人弁護士 野村弘
東京都渋谷区〈以下省略〉
亡Y1訴訟承継人
被告 Y2
同訴訟代理人弁護士 古畑恒雄
同 小山田辰男
東京都港区〈以下省略〉
亡Y1訴訟承継人
被告 Y3
同訴訟代理人弁護士 古畑恒雄
同 大友良浩

 

 

主文

1  原告の主位的請求を棄却する。
2  原告の予備的請求に基づき,被告らは,各自,原告に対し,9277万9200円及びこれに対する平成20年4月18日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
3  原告のその余の予備的請求を棄却する。
4  訴訟費用はこれを4分し,その1を原告の,その余を被告らの負担とする。
5  この判決は,第2項に限り,仮に執行することができる。

 

事実及び理由

第1  請求
1  主位的請求
被告らは,連帯して,原告に対し,2億5514万2800円及びこれに対する平成20年4月18日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
2  予備的請求
被告らは,各自,原告に対し,1億2757万1400円及びこれに対する平成20年4月18日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
1  本件は,原告が,株式会社ダイアナ(以下,「ダイアナ社」という。)の創業者であった亡Y1(以下「Y1」という。)との間で,ダイアナ社株式の譲渡仲介契約を締結し,譲渡の成功により報酬請求権を取得したと主張して,Y1の相続人である被告らに対し,上記契約又は商法512条等に基づき,報酬の支払を求めている事案である。
2  前提事実(証拠等の記載のない事実は,当事者間に争いがないか,明らかに争わない事実である。)
(1)  Y1は,昭和61年に設立されたダイアナ社の創業者であり,平成16年9月30日に代表取締役を退いて名誉会長となったが,その後も同社の発行済み株式総数2万2000株の約58.5%に当たる1万2886株の株式(以下「本件株式」ともいう。)を保有していた(甲12の13)。
(2)  原告は,野村證券株式会社の新宿野村ビル支店長,常務取締役等を歴任したA(以下「A」という。)が平成10年に設立した,投資顧問業,企業の事業譲渡,資産売買,合併等に関する斡旋仲介等を目的とする株式会社である(甲11,弁論の全趣旨)。
(3)  平成17年2月1日,Y1は,Aに対し,「Y1・Y3保有の(株)ダイアナ株式の移動に関する交渉の全権を,平成17年2月1日から平成17年7月31日まで,A氏に委託致します。なお,最終決定はY1が行なうものとします。」と記載された「(株)ダイアナ株の株式移動に関する件」と題する書面(甲1。以下「本件委託書」という。)を交付した。
(4)  Aは,株式会社アドバンテッジパートナーズ(以下「AP社」という。)代表取締役B(以下「B社長」という。)に株式譲渡の話を持ち掛け,同社の手順に従い覚書(甲2。以下「本件覚書」という。)を作成してもらい,平成17年2月23日,これにY1の署名捺印を得るとともに,Y1がAP社を買主候補として持株の譲渡を検討することになったので,AP社のデュー・ディリジェンス(以下「デューデリ」と略する。)に協力を依頼する旨の,同日付のダイアナ社代表取締役C(以下「C社長」という。)宛依頼書(甲3)を得た。
(5)  同年3月3日,Y1,AP社及びダイアナ社は,①本件株式の買取りの検討に関して,Y1の依頼に基づきAP社が求めるダイアナ社に関する一切の情報及び資料を,ダイアナ社が速やかにAP社に開示すること,②AP社はダイアナ社が秘密である旨を明示して提供した情報を守秘すること等を内容とする秘密保持契約を締結した(甲4)。
(6)  同月26日,Y1とAP社は,①Y1がAP社に対し,デューデリ終了後に両当事者間で協議の上締結する予定の株式譲渡契約に基づき,本件株式の全部又はAP社が別途指定する一部を譲渡すること,②譲渡実行日は,同日から平成18年3月31日までの間で別途AP社が指定する日とすること,③1株当たりの譲渡価格は,43万円から53万円の範囲をめどとして,デューデリ終了後にY1とAP社が協議の上決定する金額とすること等を内容とする基本契約(甲6。以下「本件基本契約」という。)を締結した。
(7)  Aと被告Y3(以下「被告Y3」という。)は,平成17年5月ころ,Aの連絡によって会い,原告がダイアナ社株式の譲渡に関する助言,譲受人の紹介斡旋と交渉の補助を行うこと,株式譲渡代金の支払が完了した段階で,被告Y3が原告に対し,譲受人からの受取金額の3%を成功報酬として支払うこと等を内容とするコンサルタント業務委託契約書(甲23)を取り交わした。
(8)  Y1は,同月30日,株式会社ファースト・パートナーズ・グループとの間で秘密保持契約を締結し,同年6月23日,D弁護士に対し,AP社との契約の撤回交渉を依頼した(甲12の12~15)。
(9)  同年11月25日,ダイアナ社取締役会に本件株式のセブンシーズホールディングス株式会社(以下「セブンシーズ社」という。)等への譲渡の承認請求がされたが,同月28日,同承認は否決された(甲12の13)。
(10)  同年12月2日,Y1は,AP社に対し,本件株式を1株当たり66万円,総額85億0476万円で売却した。また,被告Y3も,同様に自己が保有するダイアナ社の株式を売却した。
(11)  Y1は,平成20年7月12日死亡した。その相続人は被告ら(相続分各2分の1)である。
3  争点及び当事者の主張
(1)  株式譲渡仲介契約の当事者(及び具体的な報酬合意の存否)について
(原告の主張)
報酬について定めた確約書(甲5。以下「本件確約書」という。)等に照らせば,株式譲渡仲介契約の当事者が原告であることは明らかである。
被告らは,本件委託書の名義を問題とするが,原告は,社員としてはAの補助者的存在の者がいただけの,実質Aの1人会社であって,Aの行動は実質原告の行動であり,本件株式の譲渡仲介を株式譲渡仲介等を事業目的とする原告と離れて個人の立場でする必要もなければそのような外見もない。法はいちいち会社の行為であるということを明確にしなければならないとのルールを決めていない(商法504条)。
Y1にとって,原告を排除してA個人に株式譲渡の仲介を依頼する動機や必要性は全くないが,原告側にとっては,報酬が原告に入るのか個人に入るのかは税務上天と地の違いが生ずるのであり,そのため,報酬に関する書面である本件確約書では,支払先が原告であることを明確にしているのである。本件確約書と時間的に直近というべき時期に,原告と被告Y3が前記2(7)の契約を締結していることからも,被告らの主張は失当である。
(被告らの主張)
Y1が本件株式売却の依頼をしたのは,原告ではなくA個人であり,したがって,契約当事者は,Y1とA個人であって,原告との間では何らの契約も成立していない。このことは,以下の諸事情から明らかである。
ア A自らが作成した本件委託書には,「A氏に委託します。」と個人名が明確に記載され,Y1も「A様」と記載している。
イ Aは,Y1が貸金1000万円の返還を請求した平成18年6月1日付け通知書(乙1の1)に対する個人名義の同月12日付け回答書(乙2の1。以下「本件回答書」という。)において,「Y1様からの依頼により仕事として引き受けてスタートしたダイアナ株式売却に関しては,1年以上の時間と幾多の経緯,事件を挟みながら,最終的にはAP社に全株売却という事で終幕いたしました。この報酬はいまだ未請求・未払いであります。」と記載している。
ウ 原告は,本件株式売却の報酬を売上げに計上していない。
エ 被告らは本件確約書の成立を否認するが,仮に本件確約書が真正に成立したものであったとしても,この書式を作成したのはAであってY1ではなく,Y1はAが持ってきた書類に名義の確認をすることなく,報酬金額及び支払先のみを確認して押印したにすぎない。
(2)  契約の失効について
(被告らの主張)
仮に,原告とY1との間に,本件株式の売却に関する委任(仲介)契約が成立していたとしても,平成17年7月31日をもって契約は終了している。すなわち,本件委託書は,本件株式の移動に関する交渉の全権を同年2月1日から同年7月31日まで委託するとし,本件覚書も,有効期間は同年2月から6か月間とし,本件基本契約も,3条2項で「平成17年7月31日までに」としている。実際,Aは,同年5月中旬ころから同年10月ころまではY1と連絡が取れなくなっており,何らの業務も行っていなかったし,Y1は,AP社との契約撤回交渉業務をD弁護士に委託しているから,少なくともこの時点で,Y1はAに対して本件株式の売却に関する業務を委託する意思がなくなったと評価せざるを得ない。そして,原告とY1との契約について,契約期間を更新する合意もなされていない。したがって,原告とY1との間にいったんは何らかの契約が成立したとしても,その契約の効力は,平成17年7月31日をもって失効したものと解するほかない。
(原告の主張)
Y1がAP社へのとりなしを再度求めた時点で本件委託書の期限は延長されたとみるのが正しい意思解釈である。
M&Aとしての株式譲渡の交渉は,ことの性質上,長々と続けるものではなく,おおむね5~6か月で結論が出るものであり,本件委託書は,通常の交渉期間を見込んで6か月を予定したものであるが,この期間を経過すれば直ちに報酬請求権が消滅するものではなく,仲介交渉と売買成立との間に因果関係があれば報酬請求権は存続するのであり,本件においては,原告の株式譲渡交渉の結果,売買が成立したものであること(因果関係があること)は明らかである。
原告は,民法130条に基づいても報酬請求することができるし,仮に本件委託書の契約期間の定めに意味があり,期間経過後は報酬請求権がなくなることがあるとしても,そのような時間の経過を招いたのはY1が責任を負うべきことであるから,Y1側からそのような主張をすることは,クリーンハンドの原則,信義則に違反し許されない。
(3)  商法512条に基づく報酬請求について
(原告の主張)
原告は株式会社であり,原告の行為は商行為である。原告は,株式譲渡仲介業務である合意の調査分析と企業情報資料作成,トップ会談のセット,買収価格等の交渉等は十分に行ってきたし,本件程度の規模のM&Aの報酬が3%というのは,業界の常識からすれば控え目のものである。よって,原告は,商法512条に基づく報酬請求を予備的請求原因として主張する。
(被告らの主張)
原告が仲介を成立させたのは本件が初めてであり,営業的商行為(商法502条11号)をしたとも商人がその営業の範囲内で他人のために行為をしたともいえないから,商法512条の適用はない。
また,Aが行った業務は,AP社とY1を引き合わせた程度のものであって,デューデリはAP社が行い,43万円から53万円という価格の提示もAP社からなされ,それはもともとダイアナ社が有していた価値を基に算出されたものである。その後Y1が自ら交渉して1株66万円となったが,Aはこの価格交渉に一切関与していない。したがって,実質的な仲介業務を行ったと評価することはできず,相当額の報酬請求権も発生していない。
(4)  相殺について
(被告らの主張)
Y1は,原告の勧めに従い,株式会社ソーホーズ・ホスピタリティ・グループ(以下「ソーホーズ」という。)に対し,平成16年1月29日及び同年2月23日に各1億円の合計2億円を融資した。しかしながら,ソーホーズは,それからわずか約3か月後の同年5月31日に,東京地方裁判所に民事再生手続の申立てをし,その結果,Y1の元金2億円及び利息446万8492円は債権がカットされ,元金のうち1億8680万円,利息全額446万8492円の損害が生じた。
原告は投資の専門家であるから,Y1に対して融資を要請する場合にも,融資先の調査結果を踏まえた説明義務があったと解すべきであり,期日までに返済できるとの説明が原告からなされたからこそ融資が実行されたものであるし,わずか3~4か月後に民事再生を申し立てるような会社であったソーホーズの財務状況に関する調査不足が原告にあったことも明らかである。
よって,被告らは,原告の債務不履行による1億9126万8492円の損害賠償請求権を自働債権として,原告の報酬金債権と対当額で相殺する。
(原告の主張)
ソーホーズは,「ノブ東京」等の各種レストランチェーンを展開し,上場を目指していた有力企業であり,Y1は,「ノブ東京」を好んで公私共に利用していたもので,Aが勧めるから訳も分からず融資したのではない。Aは,ソーホーズのE社長からY1との面会のセットを頼まれ,Y1のアポイントを1回とっただけであり,Y1から融資についての意見を求められたこともなく,すべてY1の判断で融資したものである。
したがって,原告が何ら責任を負う立場でないことは明らかである。
(5)  被告らの債務の相続について
(原告の主張)
Y1の相続人は2名で相続分は等分であるが,被告Y2(以下「被告Y2」という。)はもともと固有財産があるとは考えられない上,Y1から離婚訴訟を起されていたのであり,遺言書の内容によっては遺留分を上回る債務があることになるかもしれない。他方,被告Y3は固有財産もあり,多額の相続財産の配分に与ることができるにもかかわらず,判例法理をそのまま適用すると,被相続人の債務の半分の支払を免れることができることとなり,このような結果は合理性もなく正義に反する。本件のような場合には,公平の原則及び信義則により,相続人らは連帯して債務の支払義務を負うとすべきである。
(被告らの主張)
被相続人が負っていた債務は,被相続人の死亡により法定相続分に従って相続人に分割して承継されるのが確定した判例法理であって,被告らがY1の債務を連帯して負うことにならないことは明らかである。
第3  当裁判所の判断
1  本件の事実関係について
(1)  前記第2の2の事実のほか,証拠(甲1~6,11,12の13,甲15,24,原告代表者)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。
ア AとY1は,平成2年ころ,野村証券新宿ビル支店の支店長であったAが,ダイアナ社の今後の成長を見込んで株式公開を提案するためにY1と面会したことから知り合い,Aが野村証券を退職した後も,ダイアナ社株式の公開を目指して,経営の透明化,組織の整理,株主の整理・構築,コンプライアンスの充実等,そのための準備をしていた。
イ ダイアナ社の株式公開は,当初は野村証券,次いで日興コーディアル証券を主幹事に準備が進められたが,会社業績が頭打ちとなったこと,一般に公開基準が厳しくなっていったことに加え,Y1が健康を害し社長職を退いたこと等のため,平成15年ころには断念せざるを得なくなった。
ウ Y1は,公開を断念した平成16年初めころから,Aに対し,本件株式の売却可能性について質問するようになり,Aは,うまく相手が見付かれば不可能ではないと思うなどと答えていたが,同年12月中旬ころ,Y1は,自宅にAを呼んで,本件株式を全株売却したいので尽力してほしいと申し出た。
エ 上記申出は,同席していた被告Y2らの反対がありその場では話が進まなかったが,Aは,Y1の従前の言動からそれが本心によるものと思い,10年来の知己であるB社長が経営するAP社を最適の買い手と考えて,同社に非公式の打診を開始し,従前の経緯から承知していたダイアナ社の事業コンセプト,事業状況,経営陣のあり方等をAP社に伝え,AP社からはY1の持株率を超える60%の株式取得が可能かと尋ねられて,Y1の分に被告Y3の分を含めれば63%となり可能だと答えるなどした。Aが,前向きに検討できる案件かどうか意向を尋ねたところ,AP社の回答は,デューデリを経ないと約束はできないが前向きに検討する,デューデリの期間は2~3か月が必要である,というものであった。
オ 平成17年2月1日,Aは,Y1から株式売却を依頼したい旨の電話連絡を受け,Y1の滞在先のホテルに呼び出されたため,Y1の委任状が必要になると考え,本件委託書をあらかじめ原告の女子従業員に作成させて持参し,Y1の署名を得た。そして,Aは,Y1に対し,①この種の案件は他人に漏れると相手が降りてしまうことが多いので,他人には秘密にすること,②ダイアナ社の1株当たりの純資産額は約45万円なので,売却価格は1株45万円+αが目安となり,買い手からすれば50~60万円くらいが上限と考えるであろうこと,③売却に向けて行動する実費と,売却実現時には売却総額の3%前後の成功報酬をいただきたいことを伝え,Y1の了承を得た。そこで,AはAP社のことをY1に詳しく説明し,同社を対象に売却交渉をすることに異議がないことを確認した。
カ その後,Aは,AP社に正式検討を依頼するとともに,C社長にY1の意向を伝えた。C社長の意向は,①株式の売却はY1が決めることである,②できれば被告Y3の分も売却してほしい,③ダイアナ社の今後の事を真剣に考えてくれる相手でないと,役員会で株式譲渡承認の同意を得られない,というものであった。
キ 同月23日,Aは,Y1に会い,AP社が用意した本件覚書に署名捺印してもらい,C社長宛のデューデリの依頼書(甲3)を得た。
ク 同年3月3日,AP社のB社長ら3名,ダイアナ社のC社長ら2名,Y1及びAが出席して,①本件株式の買取りの検討に関してY1の依頼に基づきAP社が求めるダイアナ社に関する一切の情報及び資料を,ダイアナ社は速やかにAP社に開示すること,②AP社は秘密である旨を明示して提供された情報を守秘すること等を内容とする秘密保持契約が締結され,以後1~2か月をめどに,デューデリが開始されることになった。
ケ その後,AP社からAに,基本的には買取りに前向きであるが,買取り株式数を発行済み株式総数の3分の2以上に増やせないかとの申入れがあった。Aは,平成14年に,ダイアナ社株式の公開を目指す資本政策の一環として,当時の発行済み全株式2000株を株式分割により2万株にした後,2000株の第三者割当増資を実施し,その際に損害保険会社,信託銀行等の機関投資家や上場会社オーナー等を新たな株主としたことがあったので,それらの株主に自分が話せば上記申入れに応じられると考え,Y1及び被告Y3以外の株主を個々に説得し,約1か月間かけてこれに成功した。
コ 平成17年3月20日,Y1は,滞在中のホテルにおいて,本件株式のAP社への売却が成立した場合,AP社から代金支払があった日から1か月以内に売買代金の3%を原告が指定する銀行口座への振込にて支払う旨が記載された原告宛の同日付け本件確約書(甲5)を作成した。
サ 同月26日,Aは,F副社長からその所有に係るダイアナ社株式の売却の一任を取り付けた上,AP社の担当者Gらを同道してY1を訪問し,前記第2の2(6)の本件基本契約が締結された。この際,AP社側からデューデリの進行状況の報告があり,現時点での株式取得価格の目安は1株当たり43ないし53万円で,4月末をめどにできるだけ速やかに具体的交渉に入れるよう努力する旨が表明された。
このころのY1は,基本契約書等が調印されたことで,あとは時間の流れに沿ってAP社への株式譲渡が進んでいくという気持ちであり,C社長らダイアナ社の役員も,AP社が,ダイアナ社の現状の経営方針と現取締役陣を高く評価し,今後株主となったとしても,適正な配当が実現される限り経営に大きく口出ししない方針を表明していたことから,同社への本件株式の売却を基本的に了承していた(甲12の13)。
シ Aは,ダイアナ社には財務上の隠れ負債等はないので,デューデリの最大の要点はAP社がダイアナ社の事業コンセプトを評価するのかどうかであると考え,同年4月には,創業時からのY1のパートナー的存在であったF副社長とAP社の担当者との食事会を設定するなどしていたところ,AP社から,「値段の最終交渉を行なった上で,5月末までには買取り代金の決済もしたい」との連絡を受けるに至った。
ス 4月26日,AP社からB社長以下4名,Y1,A及び立会人としてC社長が出席して,売買価格交渉のための会合が開かれた。席上,Y1が具体的な価格を挙げ,AP社が持ち返って検討する旨を述べて会は終了したが,Aは,これで売却交渉成立は間違いない,後はAP社から正式の価格が示されて契約が成立すると受け止めた。
セ ところが,同年5月上旬ころ,Y1は,被告Y2らによって自宅に連れ戻され,同月下旬ころ以降は,AもAP社も,Y1と直接のコンタクトをとることができなくなった。
ソ そして,Y1は,同月30日,株式会社ファースト・パートナーズ・グループとの間で秘密保持契約を締結し,同年6月23日,D弁護士に対し,AP社との契約の撤回交渉を依頼した(前記第2の2(8))。
タ 同年11月25日,ダイアナ社取締役会に本件株式のセブンシーズ社等への譲渡の承認請求がされたが,同月28日,同承認は否決された(前記第2の2(9))。
チ 同月ころ,Y1からAに対し,AP社との交渉を再開したい旨の連絡があり,Aは,Y1をAP社の本社に同道して関係者に引き合わせた。
ツ その後は,Aが具体的に関与することがないまま,同年12月2日,Y1は,AP社に対し,本件株式を1株66万円,総額85億0476万円で売却する契約を締結した。Aは,AP社からの連絡でこれを知り,同月20日過ぎころ,沖縄のホテルに滞在しているY1を訪問し,同月末にAP社から入金の予定であることを聞いた。
(2)  なお,前記(1)コの事実の認定に関し,被告らは本件確約書の成立を否認して同事実を争っているので,この点につき付言する。
本件確約書のY1名下の印影が同人の印章によるものであることは当事者間に争いがないから,反証のない限り,同印影はY1の意思に基づいて顕出されたものと事実上推定することができ,その結果民訴法228条4項の推定をも受け得るところ,被告らは,①Y1が植物状態となった直後の同年7月28日から同年11月14日までの間は,訴外HがY1の実印を奪って所持していた事実がある,②原告がそれまでに持ち掛けたソーホーズに対する融資等によりY1に多額の損失を与えていたことを踏まえれば,本件確約書のような報酬約束をすることは考えられない,③Y1の貸金返還請求に対して仲介報酬に言及したA個人作成名義の本件回答書でも,具体的報酬金額は明記されていない上,その後も約1年半にわたりY1に対して報酬を請求せず,Y1が意識を失い成年後見人が選任された後に初めて具体的金額を明示して請求してきたことも不自然である,④原告は本件株式売却の報酬を売上げに計上していない,などと主張する。
しかしながら,上記①については,被告ら主張事実の立証自体がされていないばかりか,Hと原告との間に何らかのつながりがあることをうかがわせる証跡も全くない。上記②ないし④についても,被告らが主張する前提自体にそのまま認め難い点がある(後記2(3)参照)上,原告と被告Y3とが本件確約書と同趣旨の業務委託契約書を取り交わしていること(前記第2の2(7)),一般にM&A仲介アドバイザーに支払う成功報酬金額の算出に用いられるレーマン方式,東京商工会議所方式(甲10)に照らしても,本件確約書の内容は格別不合理なものでないこと等の事情に照らせば,被告らの主張をもって前記推定を覆すには足りないというべきである。
よって,前記のとおり認定した次第である。
2  争点に対する判断
(1)  本件株式売却の依頼を受けた者が原告かA個人かについて
前記1(1)コ,1(2)のとおり,Y1が本件確約書を作成した事実が認められるところ,被告らは,仮にそうであっても,Y1はAが持ってきた書類に名義の確認をすることなく報酬金額及び支払先のみを確認して押印したにすぎず,本件委託書や本件回答書の記載等に照らせば,Y1が本件株式売却の依頼をしたのは原告ではなくA個人であると主張する。
しかしながら,本件確約書は,その宛先が原告となっているばかりか,成功報酬の支払方法も原告の指定する銀行口座への振込とされているのであるから,特段の事情がない限り,これを作成したY1は確約の相手方がA個人でなく原告であることを当然に認識していたものと推認できるというべきである。被告らが指摘する本件委託書や本件回答書の記載についても,原告が実態としてはAの個人事業を法人化した会社であり,Aは格別の法律知識を有するわけではないこと(原告代表者),報酬の取得者がA個人か法人たる原告かは税務上の取扱いに大きな差異が生ずるもので,一般にもそのことが個人事業を法人化する主な動機となっている上,本件でAが行った活動は原告の会社目的そのものといえること等に照らせば,当事者の合理的意思を被告ら主張のように解することはできず,むしろ,会社の取締役が会社のためにすることを示さないでした商行為についても商法504条が適用されるのであるから,本件委託書により原告とY1との間に成立した契約を受けて,本件確約書が作成されたものとみることが自然というべきである。
したがって,本件確約書に係る合意の当事者は原告であり,原告が本件株式売却の依頼を受けたものと認められる。
(2)  Y1に対する報酬請求権の存否とその額について
ア 以上のとおり,Aは原告代表者として(以下,この趣旨で「原告は」と記載することがある。),①Y1から本件株式を売却したいので尽力してほしいとの申出を受け,旧知のAP社を最適の買い手と考えて,自己が従前の経緯から承知していたダイアナ社の事業コンセプト,事業状況等をAP社に伝え,同社から前向きに検討する旨の回答を得て,②Y1に対し,この種の案件を進めるために注意すべき事項や売却価格の目安等を伝え,③ダイアナ社のC社長に対し,本件株式の売却の承認について事前の根回しをした上,④同社及びAP社の幹部とY1による秘密保持契約の締結に立ち会い,⑤買取り対象株式を増やせないかとのAP社の申入れに応じて,機関投資家やF副社長に対し,所有する株式の売却を説得し,⑥F副社長とAP社担当者との食事会を設定するなどしてAP社がダイアナ社の事業コンセプトを高く評価するよう図るなどの活動をし,その結果,AP社から1株当たり43ないし53万円という売買価格の目安が示され,4月下旬ころには合意の直前にまで達したが,Y1の側の一方的な事情によって交渉が断絶し,Y1においては,AP社との契約撤回交渉業務を弁護士に委託し,ダイアナ社取締役会にセブンシーズ社等への株式譲渡に係る承認請求をしたものであった。ところが,同取締役会はこの株式譲渡承認を否決し,Y1は,AP社との交渉再開を原告に要望して再び同社に引き合わせてもらったが,その後は原告が全く関与しないまま,Y1自身が交渉して,1株当たり66万円という価格での売買契約締結に至ったものであり,このように売買価格が上昇したのは,セブンシーズ社等に対する譲渡の交渉では売買価格を1株当たり66万円とする旨の提案がされていたこと(甲12の13)が大きく影響したものとうかがわれるところである。そして,本件委託書においては,委託期間は平成17年2月1日から同年7月31日までとされていたところ,この期間を延長する明確な合意はされていない上,本件株式の売却後,Y1は,自らが原告に報酬を支払おうとしていないばかりか,被告Y3に対しても,報酬を支払う必要はない旨述べていたものである(甲11,弁論の全趣旨)。
イ これらの諸事情に照らせば,平成17年11月にAP社との交渉を再開したころのY1の意思は,本件委託書に定められた委託の終期が経過していたこともあって,本件確約書や本件委託書に係る合意には拘束されないとの考えの下に,原告を介さず自己が直接にAP社と交渉して本件株式の売買契約の締結を働き掛けるというものであったと推認され,現実に成立した売買契約も,そのようなY1からの働き掛けに基づき,Y1とAP社との間で直接に成立したものと認めることが相当である。
ウ しかしながら,他方,Y1とAP社との間の本件株式の売買契約は,原告がY1にAP社を紹介したことを始めとする前記一連の原告の活動を機縁かつ基礎として成立に至ったものということができる上,前記のとおり,原告の業務活動に基づくY1とAP社との間の本件株式売却交渉は,売買価格の目安が示されて平成17年4月下旬ころには合意の直前にまで達しており,原告はもとよりY1もそのように認識していたのに,Y1側の一方的な事情によってこれが断絶させられたものであって,本件委託書に定められた委託の終期が徒過したのもそのためであったといえる。
そうすると,このような場合には,本件確約書を根拠として本件株式の現実の売買価格85億0476万円の3%たる2億5514万2800円の報酬請求権が発生したということはできないものの,報酬請求権を全面的に否定することが不当であることも明らかであり,民法130条,商法512条,民法648条3項等の趣旨あるいは信義則,当事者間の衡平に照らし,原告は,Y1に対し,相当と認められる額の報酬を請求することができるというべきである。
エ そして,原告が関与していた当時にAP社から示されていた売買価格の目安は1株当たり43ないし53万円であったことを始めとする本件における諸事情に照らせば,上記目安の中間価格である48万円に本件株式の株式数を乗じた61億8528万円の3%に当たる1億8555万8400円をもって,原告が取得すべき報酬額として相当であると認める。
(3)  相殺について(争点(4))
被告らは,原告の債務不履行による損害賠償請求権を自働債権とする相殺を主張する。
しかしながら,そもそもY1のソーホーズに対する融資に関して原告が債務不履行責任を負うべき根拠となる契約が,原告とY1との間で成立したことの的確かつ十分な主張立証はないから,上記相殺の主張は失当である。
(4)  被告らの債務の相続について(争点(5))
金銭債務が相続分の割合で相続人の間に分割されることは確立した判例法理であり,原告の主張は,独自の主張というほかない。
よって,被告らは,Y1の債務を2分の1ずつ承継したものである。
3  結論
以上の次第で,原告の主位的請求は理由がないから棄却し,予備的請求は主文第2項記載の限度で理由があるから認容し,その余は理由がないから棄却することとする。
(裁判官 上田哲)

 

*******

関連記事一覧

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。


Notice: Undefined index: show_google_top in /home/users/1/lolipop.jp-2394bc826a12fc5a/web/www.bokuore.com/wp-content/themes/rumble_tcd058/footer.php on line 296

Notice: Undefined index: show_google_btm in /home/users/1/lolipop.jp-2394bc826a12fc5a/web/www.bokuore.com/wp-content/themes/rumble_tcd058/footer.php on line 296