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「営業アウトソーシング」に関する裁判例(57)平成25年 2月28日 福岡高裁 平24(行コ)18号 雇用保険の被保険者になったことの確認請求却下処分取消請求控訴事件

「営業アウトソーシング」に関する裁判例(57)平成25年 2月28日 福岡高裁 平24(行コ)18号 雇用保険の被保険者になったことの確認請求却下処分取消請求控訴事件

裁判年月日  平成25年 2月28日  裁判所名  福岡高裁  裁判区分  判決
事件番号  平24(行コ)18号
事件名  雇用保険の被保険者になったことの確認請求却下処分取消請求控訴事件
裁判結果  取消・自判  上訴等  確定  文献番号  2013WLJPCA02287002

要旨
◆生命保険契約に関わる確認業務に従事していた専門職スタッフについて,雇用保険法4条1項所定の「労働者」に当たるとして,雇用保険の被保険者になったことの確認請求を却下した処分を取り消した事例

新判例体系
公法編 > 労働法 > 雇用保険法〔昭和四九… > 第一章 総則 > 第四条 > ○定義 > (一)本条第一項にいう「雇用される労働者」
◆生命保険等の契約成立又は保険金の支払に関する確認・報告等の業務に従事していた専門職スタッフは、使用者である会社との間に雇用関係と同視できる従属関係があり、契約に従った労務を会社に提供したことの対価によって生計を維持するものであるから、雇用保険法上の労働者に当たる。

 

裁判経過
第一審 平成24年 3月28日 福岡地裁 判決 平21(行ウ)11号

出典
判タ 1395号123頁
判時 2214号111頁
賃金と社会保障 1608号32頁

評釈
中益陽子・ジュリ 1480号123頁
大内伸哉・判評 670号30頁(判時2235号168頁)
桑村裕美子・ジュリ別冊 227号144頁
林健太郎・賃金と社会保障 1608号24頁
丸谷浩介・経済論集(佐賀大学) 47巻2号1頁
石井保雄・労働法律旬報 1836号50頁

参照条文
雇用保険法4条1項

裁判年月日  平成25年 2月28日  裁判所名  福岡高裁  裁判区分  判決
事件番号  平24(行コ)18号
事件名  雇用保険の被保険者になったことの確認請求却下処分取消請求控訴事件
裁判結果  取消・自判  上訴等  確定  文献番号  2013WLJPCA02287002

控訴人 甲野花子
外2名
上記3名訴訟代理人弁護士 名和田茂生
佐川民
秀島美穂
被控訴人 国
同代表者法務大臣 谷垣禎一
処分行政庁 大阪西公共職業安定所長
同指定代理人 上島大輔
外4名
被控訴人補助参加人 Zサービス株式会社
同代表者代表取締役 乙川太郎
同訴訟代理人弁護士 高坂敬三

 

 

主文

1  原判決を取り消す。
2  大阪西公共職業安定所長が,控訴人らに対して平成18年5月19日付けでした雇用保険の被保険者となったことの確認請求を却下する処分を取り消す。
3  訴訟費用(補助参加により生じた費用を含む。)は,1,2審とも被控訴人の負担とする。
 

事実及び理由

第1  当事者の求めた裁判
1  控訴の趣旨
主文と同旨
2  控訴の趣旨に対する答弁
(1)本件控訴を棄却する。
(2)控訴費用は控訴人らの負担とする。
第2  事案の概要
1  本件は,補助参加人福岡支社の専門職スタッフとして,生命保険等の契約成立又は保険金・給付金等の支払に係る確認業務に従事していた控訴人らが,大阪西公共職業安定所長(以下「本件所長」という。)に対し,雇用保険法8条に基づき,雇用保険の被保険者となったことの確認請求をしたところ,本件所長から,平成18年5月19日付けで,控訴人らの上記確認請求をいずれも却下する旨の処分(以下「本件処分」という。)を受けたため,被控訴人に対し,その取消しを求めたものである。
原判決が控訴人らの請求をいずれも棄却したため,控訴人らが控訴を提起した。
2  前提事実,争点及びこれに対する当事者の主張は,3ないし5のとおり当審における主張を付加するほかは,原判決の「第2 事案の概要」欄の「1 前提事実」欄及び「2 争点及びこれに対する当事者の主張」欄に記載(2頁16行目から19頁9行目まで)のとおりであるから,これを引用する。
3  控訴人らの主張
(1)雇用保険法4条1項の「労働者」の意義及び判断基準について
雇用保険法と労基法は,いずれも個別的労働関係法に属し,労働者の保護を共通の目的にするとはいっても,それぞれの法律が着目する保護の必要性は異なる。すなわち,労基法においては,労働時間・休憩・休日などに関する労働条件保障が中心的な目的であるから,労基法上の労働者性の判断に当たって,指揮命令関係の存否を重要な判断要素とすることに一定の根拠があるといえる。他方,雇用保険法は,失業した者の生活保障を中心的な目的とするものであり(同法1条),他の社会保険法とともに,社会保障法の重要な一分野を構成する。そのため,雇用保険法においては,賃金に依存して生活しているかどうかが重要な判断基準とされるべきであって,指揮監督関係の存否は必ずしも重要な意味を持たないはずである。
したがって,雇用保険法上の労働者は,生産手段を所有せず,基本的には他人に雇用され賃金を得ることによってその生活を維持せざるを得ない労働者という社会経済的状況=地位におかれ,とりわけ雇用を確保することがその生活維持の必須の条件となるという特性を有することからすれば,雇用保険法上の労働者概念は労基法上の労働者よりも広義に捉えられるべきであり,その判断基準も労基法と同様の判断基準によるべきではない。
失業した者の生活保障を中心的な目的とする雇用保険法においては,本来は賃金に依存しているかどうか,すなわち,労務提供者が使用者の業務遂行に不可欠の労働力として使用者の組織に組み込まれているか(組織的従属性),労務提供者の事業者性の有無や専属性の程度(経済的従属性)が重要な判断基準とされるべきであって,指揮監督関係の存否は必ずしも重要な意味を持たない。原判決の判断基準によれば,使用者との経済的ないし組織的な関係において労働者と類似の地位にあり,労働者と同様の保護を必要とする者についても,指揮命令関係が稀薄であればそれだけの理由で,それを労働者でないものと扱うことになってしまう。これでは,いわゆる非正規化やアウトソーシングが進み,自前の従業員で遂行することが可能な業務を従業員の身分を外した者に行わせ,契約形式を業務委託契約とすることによって,本来使用者が負うべき民事的負担や労働関係諸法に基づく種々の負担を不当に回避しようとする傾向を助長することになり,妥当でない。
むしろ,雇用保険法上の労働者は賃金によって生活している者とされ,それは,「職業の種類を問わず,事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で,賃金を支払われる者」とする労基法9条の労働者概念よりは,「職業の種類を問わず,賃金,給料その他これに準ずる収入によって生活する者」とする労組法3条の労働者概念に近い。
また,労組法は,憲法28条による団結権保障を具体化したものであるから,労組法上の労働者性を判断するに当たって最も重要なのは交渉上の地位の非対等性(経済的従属性)となるところ,雇用保険法は,失業した者の生活保障を中心的な目的とする社会保障法であり,雇用保険法上の労働者性を判断するに当たっては,賃金に依存して生活しているかどうか,すなわち,経済的従属性が重要な要素となる。そのため,労組法上の労働者概念における適正,妥当な判断手法(総合考慮すべき判断要素)と同一の判断手法をもって雇用保険法上の労働者概念を決することが相当であり,特段の事情がなく,異なる判断手法を用いる理由はない。
したがって,本件において,控訴人らの労働者性を判断するに当たっては,労組法上の労働者性が問題となったINAXメンテナンス事件及び新国立劇場運営財団事件の最高裁判決と同様に組織的従属性及び経済的従属性にかかわる要素を考慮して判断すべきである。
(2)控訴人らが雇用保険法上の労働者に該当するかについて
ア 仕事の依頼,業務従事の指示等に対する諾否の自由について
諾否の自由が労働者性を判断するに当たって重要な要素とされるのは,労務を提供する者に諾否の自由が全く存在しないか,少なくとも仕事を断ることが事実上相当に困難である場合には,労務の提供者と受ける者の間に強い「指揮命令関係」が存在することが明らかであり,さらに,労務提供者がこうした立場に置かれていることは,交渉上も相手方に対して不利な地位にあることを意味し,さらにそれは労務提供者が相手方の事業組織に組み込まれていることを強く推認させるからである。とすれば,諾否の自由があると判断するためには,労務提供者に正当な事由なくして仕事を自由に断ることができ,これにより何ら不利益を受けることがないことが認められる必要がある。これは,正当な事由があれば,一般の労働契約関係においても,欠勤が認められることからしても明らかである。しかし,原判決が認定した控訴人らが依頼を断った事案は,いずれも正当な事由があるものであり,これらの事実によって控訴人らに諾否の自由があったと判断することはできない。むしろ,補助参加人は個別の確認業務を控訴人ら専門職スタッフに依頼するに当たって,応じられるか否かを確認することがなかったこと,依頼を断る場合に補助参加人と相談の上辞退していたことからすれば,補助参加人と控訴人ら専門職スタッフとの契約実態として,仕事の依頼に対する諾否の自由はなかったことは明らかである。
イ 業務遂行上の指揮命令の有無について
控訴人ら専門職スタッフは,確認先と面談する日時や面談の順番についてだけ裁量が認められていたのみで,具体的な認識業務の遂行方法等に関する裁量は全くなかったこと,確認の手引きどおりに業務を行うことができない場合には,補助参加人に報告し,指示を受けなければならなかったこと,確認の手引きに違反した場合には,報酬が減額されたり,提出した確認業務報告書が突き返され,報酬が発生しないこともあることからすれば,確認の手引き等を通じて補助参加人から業務上の指揮命令を受けていたことは明らかであり,補助参加人の指示が一般的かつ抽象的なものにとどまるものではない。そして,控訴人ら専門職スタッフは,補助参加人から支給された身分証明書と補助参加人の社名が記載された名刺を携行し,確認後は確認報告書を補助参加人に提出しているところ,同種事案であるINAXメンテナンス事件の最高裁判決では,「被上告人の制服を着用し,その名刺を携行しており,業務終了時には業務内容等に関する所定の様式のサービス報告書を被上告人に送付するものとされていたほか,(中略)各種のマニュアルの配布を受け,これに基づく業務の遂行を求められていた」という事実により指揮監督下に労務の提供を行っていたと判断している。このことからしても原判決の判断には最高裁の判断に反する明らかな誤りがあり,控訴人ら専門職スタッフが業務遂行上の指揮命令を受けていたことは優に認められる。
ウ 場所的・時間的拘束性について
時間労働規制が適用されない管理監督者や,裁量労働対象者なども雇用保険法上の労働者であることは疑いないのであるから,そもそも,労働者性を判断するに当たって,時間的拘束性の要素は重要性を持たない。そればかりか,場所的拘束を受けないか,拘束の程度が低い外勤労働者や在宅勤務者も増加しつつあることからすれば,場所的拘束という要素も重視されるべきではない。
控訴人らが出社義務を負っていないことも,補助参加人から就業日や就業時間の指定をされていないことも,控訴人らが従事している確認業務という業務内容から導かれるものである。控訴人らは,外部の者に対して確認調査を行っており,日々確認先の都合に合わせた時間に,確認先が指定する場所に出向いた上で聞き取り調査をしなければならないところ,このような確認業務を円滑に遂行するためには,控訴人らに仕事の時間について一定の裁量を認めることが不可欠であり,出社義務を負わせることも困難であるからである。
なお,原判決は,「訪問日時等は自らの都合を考慮して決することができ」と判示しているが,実際には,確認先の都合に合わせて決定していたのであり,控訴人らの都合のみを優先して決定することはない。
そして,控訴人らは補助参加人が定める担当エリアにおいて確認業務を行っていたこと,確認場所や確認時間の大半は確認先の都合によって定まることからすれば,控訴人らは,業務遂行の必要から補助参加人に管理されていると評価すべきである。しかも,勤務場所,勤務時間についての拘束の程度は,控訴人ら専門職スタッフと全く同様の業務を遂行している「労働者」である業務職員と何ら変わるところはない。
控訴人ら専門職スタッフは,確認先との面談のメモについてさえ,細かく指示されている(甲28の1・2)。また,控訴人ら専門職スタッフは,確認先の都合によっては,面談せずに電話や文書で確認せざるを得ない場合もあるが,補助参加人は面談以外の方法で確認する場合には訪問を固辞されたという事情等がなければ「確認先」と判定せず,部分確認であると判断し,ポイントを低く評価する(甲29の1ないし3)。このように,補助参加人は,確認方法についても指示し,ポイント評価に直結させることによりこれを遵守することを要求している。さらに,補助参加人は,専門職スタッフ確認交通費請求記録票は確認業務にかかった交通費の精算を目的とする事務帳票であり,ガソリン実費請求の根拠資料にすぎないと主張しているが,実際にはこれを業務職員と同じ活動日報として取り扱っており,10日毎の提出を求めている(甲30の1・2)。すなわち,補助参加人は,専門職スタッフ確認交通費請求記録票により専門職スタッフの日々の活動を把握しているのである。
エ 報酬の性格について
控訴人らの報酬のうち支給金は,確認業務の種類及び内容並びに作成された確認報告書の品質等に応じて業務ポイント及びその評価基準が定められており,控訴人らが提出した確認報告書ごとに業務ポイントとして評価し,これにポイント単価を乗じて算出した額となっているが,このことは,控訴人ら専門職スタッフの報酬が出来高払い制となっていることを示すにすぎない。報酬が出来高払い制であることが労働者であることと何ら矛盾しないことは,労基法27条が出来高払い制を同法上の賃金であることを前提に保障給について定めていることからも明らかである。そして,専門職スタッフ規定の定める業務ポイントは,確認業務内容の軽重に応じてポイントが加算されているから,確認業務に提供される労務量を基礎にして報酬を算出しているのであり,労務対償性が認められる。これは,INAXメンテナンス事件の最高裁判決において,業務委託手数料が,顧客又はINAXにCE(同事件の被上告人と業務委託契約を締結して住宅設備機器の修理業務等の業務に従事する者)がそれぞれ請求する金額(商品や修理内容に従って会社があらかじめ全国一律で決定していた。)にランキング制度において当該CEの属する級ごとに定められた一定率を乗ずる方法で支払われていたところ,これを労務の対価としての性質を有すると判断していることにも合致する。
また,委託報酬保障額は,求人広告において「月額15万円最低保障」と記載し,補助参加人自身が委託報酬保障額を生活保障のための制度として取り扱っていること,個人差はあるものの,年に複数回(控訴人丁木については,多いときには年8回)委託報酬保障額が支払われていたことからすれば,その目的が生活保障にあることは明らかである。
オ 事業者性の有無について
控訴人らは,確認業務に必要なパソコン(使途を確認業務に限定されている。)やデジタルカメラ,プリンター,印刷するためのインクと用紙についても補助参加人から支給されており,確認業務のための移動において,公共交通機関を利用した場合の交通費も補助参加人が負担している。そして,移動の際に個人所有の自動車等を使用する場合には,事前に補助参加人に届け出て承認を受け,自動車損害賠償責任保険と任意保険に加入することが義務付けられているのであるから,任意保険の保険料を控訴人らが負担していたからといって,控訴人らが独立の事業者であったと判断することはできない。また,控訴人らは自ら確定申告をしているが,これは労働者であることに争いがない業務職員も同様に確定申告をしている。
むしろ,控訴人らは,同業他社の業務に従事することが禁止されており,しかも,従事していた確認業務は,確認先が多岐にわたり,調査時間も確認先の都合に合わせなければならないことから,長時間確認業務に従事しなければならず,他の業務を兼務することは事実上困難であった。控訴人らは,1週間の労働時間は平均46時間を超え,保給確認(保険金・給付金の支払にかかる確認)1件当たりの所要時間も平均24時間を要する(なお,専門職スタッフの中に兼業していた者が数名いたものの,それは家族で農業を営んでいる場合等の特殊な場合に限られていた。)。したがって,控訴人らには兼業の自由はない。また,補助参加人と専門職スタッフの関係が委任関係であるならば,専門職スタッフは法人であるか個人事業主であるかを問われないところ,法人の専門職スタッフはいないこと,契約の内容は補助参加人が一方的に決定しているものであることからすれば,控訴人ら専門職スタッフに事業者性がないことは明らかである。
カ 業務職員と控訴人ら専門職スタッフの異同
雇用保険法上の労働者であることに争いのない業務職員と控訴人ら専門職スタッフの異同は,就業規則の有無に尽きる。補助参加人は,現在は支給金明細表と名称を替えているが,賃金台帳も作成して控訴人ら専門職スタッフの報酬を管理していた。
キ 控訴人らに労働者性が認められること
現代の多様な働き方がある状況において労働者性を判断するには,労務提供者が企業の組織に不可欠の構成要素として組み込まれているかどうか(いわゆる組織的従属性),相手方に対して交渉上劣位にあるかどうか(いわゆる経済的従属性)を重視すべきである。このことは,前掲の2つの最高裁判決が,企業組織への組み入れの有無や契約内容の一方的決定の有無を労働者性を判断する重要な要素としていることからも明らかである。そして,労基法などのいわゆる労働者保護法が憲法27条2項の付託に基づいて労働条件に関する最低基準を法定するのが,契約当事者の間に大きな力関係の差が存するので労働条件の決定を当事者の自主的な交渉に委ねることが極めて不適切だとの認識に基づいていることからすれば,とりわけ交渉上の地位の問題,すなわち,契約当事者が現実に対等の立場で条件を決定し得る状況にあったのか,それとも契約内容が使用者側の定める定型に従って一方的に決定されたのかどうかが労働者性の判断に当たって重要な要素となる。
本件において,補助参加人は,専門職スタッフを新聞の募集広告で募集し,選考試験等に呼び出し,補助参加人が実施する選考試験等で合格した者に,通常の労働契約の場合と同じく,報酬その他の待遇について一方的に説明をしている。また,補助参加人は毎年のように専門職スタッフ規定を変更したが,専門職スタッフとの間で協議はなく,補助参加人によって一方的に決定している。控訴人ら専門職スタッフと補助参加人との契約内容である専門職スタッフ規定,委任契約書等は,控訴人ら専門職スタッフ側に交渉等の余地無く補助参加人が一方的に決定したものであり,契約内容決定における対等性は全くない。
そして,控訴人ら専門職スタッフが主体業務である確認業務を担当していること,控訴人らは毎月10件前後の案件について確認業務を行っており,そのためには1か月間のすべてを確認業務に費やさなければならないこと,平成19年1月1日現在,同主体業務に従事する業務職員,専門職スタッフの構成は,専門職スタッフ149名に対し,業務職員は119名であること,補助参加人は平成13年ころからは業務職員の採用をやめて専門職スタッフを採用して前記主体業務を遂行していることからすれば,控訴人ら専門職スタッフ,補助参加人の業務の遂行に不可欠の労働力としてその恒常的な確保のために補助参加人の組織に組み入れられている。
これらの事実を総合考慮すれば,他に控訴人らの労働者性を弱める要素があったとしても,控訴人ら専門職スタッフの労働者性は優に認められる。
4  被控訴人の主張
(1)雇用保険法4条1項の「労働者」の意義及び判断基準について
控訴人らは,組織的従属性や経済的従属性を重視すべきである旨を主張するが,従来の判例実務においても,指揮監督関係の有無や報酬の労働対償性の有無など,使用従属性の有無が重要な判断要素とされており,控訴人らの主張は一方的かつ独自の見解にすぎない。
(2)控訴人らが雇用保険法上の労働者に該当するかについて
原判決は,個別の判断要素についても詳細かつ適正に事実認定を行った結果,控訴人らが雇用保険法上の労働者に当たらないと判断したもので,その判断は正当である。
控訴人らは,労働者性を認めた2つの最高裁判決の事案とほとんど同じ事実関係である旨を主張するが,両判決は,労働者性の判断について一般的な基準を示したものではないし,控訴人らが指摘する事実関係を特に労働者性の判断において重視すべきとの見解を明示したものでもない。
しかも,控訴人らは,INAXメンテナンス事件の事実関係において,事業主たる被上告人が,同事件で労働者性の有無が争われたCEと調整しつつその業務日及び休日を指定していたこと(甲13・7頁),CEが原則として業務日の午前8時半から午後7時までは被上告人から発注連絡を受けることになっていたこと(甲13・8頁),CEが業務日ごとに行動の予定,経過,結果等を被上告人に報告することになっていたこと(甲13・5頁)など,本件に比して使用従属性を強める要素となり得る事情が多々摘示されていることを一方的に捨象し,自己に都合の良い事実関係のみを選び出しているのであって,この意味においても控訴人らの主張は失当である。
5  補助参加人の主張
(1)雇用保険法4条1項の「労働者」の意義及び判断基準について
控訴人らは,失業した者の生活保障を中心的な目的とする雇用保険法においては,本来は賃金に依存して生活しているかどうかが重要な判断基準となるべきであって,指揮監督関係の存否は必ずしも重要な意味を持たないと主張する。しかし,「賃金に依存して生活しているかどうか」は,「指揮監督下での労務提供に対する対価である賃金に依存して生活しているかどうか」ということにほかならず,指揮監督関係の存在が大前提となるはずである。
雇用保険法上の労働者概念が労基法9条の労働者概念より労組法3条の労働者概念に近いという控訴人らの主張は独自の見解である。
新国立劇場運営財団事件の最高裁判決では,合唱団員の契約メンバーについて,労組法上の労働者に当たると判断した一方で,労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求める請求については棄却していることから,最高裁判決が両者を峻別して判断していることは明らかである。
(2)控訴人らが雇用保険法上の労働者に該当するかについて
ア 仕事の依頼,業務従事の指示等に対する諾否の自由について
控訴人らは,諾否の自由があると判断するためには,労務提供者に正当な事由なくして仕事を自由に,不利益なく断ることができることが必要であり,一般の労働契約関係においても欠勤が認められるなどと主張する。しかし,一般の労働契約において,正当な事由に基づく欠勤であっても欠勤控除等のペナルティがあるのが当然であり,欠勤事由が正当であろうがなかろうが,仕事を自由に拒否することなどできるわけはない。
なお,補助参加人は,確認先と確認担当者との個人的な関係に配慮し,また,確認の公正さを確保する意味から,業務職員であっても,例外的に案件の返却を認めている。
イ 業務遂行上の指揮命令の有無について
確認の手引きは,確認活動の成果物である確認報告書の品質を保持する必要性から,最低限充足すべき質・内容やその作成手順等を示したものであり,専門職スタッフの個々の業務遂行に関する裁量を奪うものではない。この点,控訴人らは,専門職スタッフは確認先と面談する日時や面談の順番についてだけ裁量が認められていた,また,補助参加人は控訴人らの求めなく遂行方法等に関する個別具体的な指示をする必要がなかったと自認しており,補助参加人から指揮監督を受けていないことは明らかである。
なお,控訴人らは,確認後に確認報告書を補助参加人に提出しているところ,INAXメンテナンス事件における業務終了後のサービス報告書の提出になぞらえて,専門職スタッフが業務遂行上の指揮命令を受けていると主張しているが,都合のいい点だけを殊更に取り上げた偏頗な主張である。INAXメンテナンス事件においては,「原則として業務日の午前8時半から午後7時までは被上告人より発注連絡を受けることになっていた」,「業務日ごとに行動の予定,経過,結果等を被上告人に報告することになっていた」のであって,専門職スタッフにはこのような拘束はない。さらに,確認活動の成果物である確認報告書と,日々の業務内容等に関するサービス報告書は全く性質の異なるものであり,これをあたかも同じ位置づけで評価するのも誤りである。
また,補助参加人は,控訴人ら専門職スタッフの日々の活動を把握する必要はなく,その日常の活動を全く把握していない。これに対し,業務職員は,活動した日の行動について所定の活動日報で報告しなければならず,報告書作成や活動準備等自宅での業務のみに従事した日にも,その旨を報告することとされ,休日に労働する場合には,補助参加人に休日就業の事前申請を行うとともに,休日の労働時間の報告も義務付けられている。
ウ 場所的・時間的拘束性について
控訴人らは,時間労働規制が適用されない管理監督者や裁量労働対象者なども雇用保険法上の労働者であることは疑いないのであるから,労働者性を判断するに当たって,時間的拘束性の要素は重要性を持たない,そればかりか,拘束の程度が低い外勤労働者や在宅勤務者も増加しつつあることからすれば,場所的拘束という要素も重視されるべきではないと主張する。控訴人らは,一方で,確認場所や確認時間の大半は確認先の都合によって定まることからすれば,業務遂行の必要から,補助参加人から管理されていると評価すべきであるとし,場所的にも時間的にも拘束を受けていたことを重視すべきであるかのような主張をしつつ,他方では,控訴人らが出社義務を負っていないことや,補助参加人から就業日や就業時間の指定をされていないことは,控訴人らが従事している確認業務という業務内容から導かれるものとして,時間的・場所的拘束性がないことを自認している。このように,控訴人らは,時間的・場所的拘束性を軽視するかと思えば,重視すべきと言い,補助参加人から時間的・場所的に拘束されていると主張するかと思えば,確認業務の内容からは時間的・場所的に拘束されることはないと主張しており,支離滅裂な主張をしている。
控訴人ら専門職スタッフは,支社への出社義務はなく,就業日・就業時間の定めもなく,確認先への訪問日時についても,確認先の都合と自身の都合とを調整して決定しているのであるから,時間的・場所的拘束性がないことはいうまでもない。このことは,控訴人らが第1審におけるすべての裁判期日に出廷し(補助参加人には何の断りもない。),傍聴している事実に照らしても明らかである。
専門職スタッフが支社へ来社するのは,年に3,4回程度の研修の時だけであり,日常的には専ら自宅を起点として確認活動を行っている。これに対し,業務職員については,就業規則により所定労働時間,就業日,休日等が定められており,また,活動日報の提出や,休暇を取得する際の補助参加人への届出や休日に就業する際の補助参加人への申請が義務付けられている。
エ 報酬の性格について
INAXメンテナンス事件におけるCEの業務委託手数料については,能力,実績,経験等をもとに級を毎年定めるCEライセンス制度のもと,被上告人が毎年決定する級によって差異が生じ,加えて,時間外手当等に相当する金額を加算する方法で支払われていたことから,労務の対償性が認められたのである。
これに対し,専門職スタッフの支給金については,確認案件の種別ごとに業務ポイントを設定し,ポイント単価を乗じて算出した額を支給金として支払っており,同一種別の確認案件であっても,難易度や確認箇所数等は当然に異なっているものの,すべて一律のポイント評価としており,専門職スタッフ間で単価が異なることはなく,労務提供にかかる時間的要素や能力給,休日及び時間外手当といった要素は一切ない。
また,控訴人ら専門職スタッフには委託報酬保障規定があり,これは補助参加人が事務処理を委託する標準的な件数をもとに,補助参加人の都合でそれ以下の件数しか回せない場合には,その分を保障しようというものであるが,その目的は,優秀な人材の確保のためには一定限度の収入の保障を要することからであって,専門職スタッフの生活維持のための保障給などではない。このことは,委託報酬保障額がゼロの者もいること,専ら本人の事情による件数未達の場合には,最低保障を適用していないことからも明らかである。
なお,控訴人らは,労基法27条が出来高払い制が労基法上の賃金であることを前提に保障給を定めているから,報酬が出来高払い制であることは,控訴人らが労働者であることと矛盾しない旨を主張するが,労基法上の労働者に該当する者の賃金が出来高払い制である場合の保障給を定めているのであって,前提が異なる。
これに対し,業務職員の労働の対価は賃金であり,固定給と比例給からなる。固定給である本俸や資格手当には,年功給的要素・能力給的要素があり,毎年度人事考課を行った上で,昇給・昇給等に反映している。また,欠勤時には欠勤控除があり,時間外労働や休日労働に対して割増賃金を支払っており,臨時給与については,本俸及び資格手当に一定の割合を乗じた金額を支払っている等,業務職員の賃金には労務対償性がある。
専門職スタッフには,生計の維持を目的とする者だけでなく,委託報酬保障を設定せず税法上の扶養控除の範囲内の収入だけを得ようとする者や兼業の傍ら時間を有効活用しようとする者等がおり,多用な就労ニーズ・実態を背景に,年間報酬額(平成23年度)も,最少で約67万円,最大で約660万円と非常に大きな幅がある。
組合費についても,専門職スタッフについては,支給金が賃金たる性格を有しないことから,賃金控除に関する協定を締結したことはなく,チェックオフも行っていない。
オ 事業者性の有無について
控訴人らは,パソコン等の貸与を受けていること,業務職員と同様に確定申告をしていること,兼業の自由はなかったこと等を理由に,控訴人らに事業者性はないと主張している。
しかし,控訴人らが事業者であることは原判決が判示しているとおりである。パソコン等の貸与については,確認業界においては,個人情報保護への対応が極めて重要な取組である中,補助参加人が他者との競争優位を確保するための取組の一環として貸与しているにすぎず,業務職員が確定申告をしているのは,業務職員の賃金のうち事業所得分についての申告であり,また,専門職スタッフ規定には,他の同業確認会社の業務に従事する場合を除いて,兼業は制限されていない。これらのことからすれば,控訴人らの事業者性は明らかである。
また,専門職スタッフに事業者性があることについては,専門職スタッフが受け取る支給金には消費税が含まれていること,また,事業所得として所得税の源泉控除を行っており,専門職スタッフは自ら青色申告を行っていること,業務に使用する自動車は控訴人ら各自が所有するものであり,その任意保険の保険料は控訴人らが負担していることからも明らかである。
カ 代替性の有無について
補助参加人は確認業務を第三者に再委託することは認めていないが,それは,確認業務は病歴や家族構成といった保険契約者及び被保険者に関する個人情報を取り扱うという業務の特性を有しており,ひとたび個人情報の紛失や漏洩等が発生すれば,確認会社としての信用を失墜し,社会的にも極めて重大な影響を受けることから,こうした個人情報の漏洩リスクを回避する観点からのことである。
キ 専属性の程度について
兼業の自由については,専門職スタッフには,そもそも就業日・就業時間の概念はなく,まして職務専念義務もなく,いかなる時間にいかなる所で事務処理作業に従事しようと全く本人の自由である。したがって,競業避止の観点から他の同業確認会社の業務に従事することを禁止していることを除いて,専門職スタッフの業務と両立できる限り,兼業することは全く問題がない。これに対し,業務職員は,「在籍のまま,他の業務に従事する場合は,会社の許可を受けなければならない。」と定められており(就業規則第12条),職務専念義務があり,原則として兼業は認められていない。
ク 業務職員と控訴人ら専門職スタッフの異同について
両者の異同については,随所において指摘してきたところであるが,本件の争点は控訴人らが労基法上の労働者であるか否かに尽きるので,労基法の規定に沿って両者の異同を述べると次のとおりである。
(ア)始業及び終業の時刻,休憩時間等の労働時間の定めについて
業務職員は,「就業時間の配置」(就業規則第6条)において,始業時刻,終業時刻,休憩について定められており,また,日常の確認活動については,通常の労働時間就業したものとみなすとされ,みなし労働時間制が適用される。これに対し,専門職スタッフには労働時間という概念はなく,いつ確認業務を行おうと各自の裁量に委ねられているのであって,職務専念義務ももちろん無い。
(イ)休日,休暇について
業務職員には労基法の定めに従って休日が与えられており,さらに,原則として土曜日に特別休日を与えられており(就業規則第7条,第8条),休日,特別休日に就労した場合は,時間外労働手当,休日労働手当か振替休日が与えられる。いわゆる有給休暇である普通休暇(同第19条)も与えられ,休暇を取得する際には,事前に所定の休暇願によって届け出ることが義務付けられている。さらに,育児・介護休業法に基づき,育児休業(同第21条)及び介護休業(同第22条)が付与される。
これに対し,専門職スタッフには休日休暇の概念がなく,平日に活動しようが,日曜に活動しようが,自由であり,日曜・祝日に働いたからといって報酬に割り増しがつくこともない。育児休業や介護休業といった概念の入る余地もない。
(ウ)賃金について
業務職員の賃金は,業務職員賃金規定で定められ(就業規則第30条),本俸,資格手当,活動手当,業務手当,指導手当,特別確認手当,保障手当等が定められている。そのうち固定給は,本俸,資格手当,移行調整手当の合計額である(同賃金規定第2条3項)。なお,毎年4月に昇給,昇格が実施される。また,傷病欠勤及び事故欠勤があった場合には,固定給の一定割合が控除される。もちろん,賃金であるから,直接払い,全額払いの原則が適用される。
一方,専門職スタッフに支給されるのは,賃金ではなく「支給金」であり,業務ポイント及び内容評価ポイントに対し,それぞれ1ポイント単価を乗じて算出して支給すると定められており,いわゆる出来高払い制である。固定給的な要素はない。労働時間や就労日という概念がないから,欠勤減額ということも起こり得ないし,時間外割増,深夜割増,休日労働割増といった概念はない。
なお,業務職員については,労基法の定めに従って賃金台帳を調整し,必要事項の記載を行っているが,専門職スタッフには賃金台帳はない。
(エ)退職及び退職手当について
業務職員が退職する場合として,「依願退職」,「定年退職」,「解雇」(就業規則第45条,46条,49条)が定められており,3年以上勤続すれば退職手当の受給資格を得ることができる(退職金規定第3条)。これに対し,専門職スタッフは,補助参加人と委任契約関係があるにすぎないから,委任契約の更新時や解除時に,退職手当に類する給付が支払われることはない。
(オ)臨時の給与について
業務職員には,補助参加人が必要と認めた場合は臨時の給与を支給することがあると定められている。例えば,平成24年度についていえば,支給対象期間を,上期は平成23年10月から平成24年3月まで,下期は平成24年4月から同年9月までとし,対象者を,支給日現在,業務職員として在籍しているものとしている。支給の内訳としては,臨時給与と実績賞与とがあるが,臨時給与については,本俸の5.5か月分(臨時給与A)と資格手当の3.6か月分(臨時給与B)を合計した額から,支給対象期間中に不就業期間があれば,期間に応じた控除額を差し引いて支給する体系となっている。
これに対し,専門職スタッフは,臨時支給金(専門職スタッフ規定第8条)において,①活動ポイントの累計╳30円,②保給確認の件数╳2000円,③保給確認の実期限内報告件数╳1000円,④成果特別加算件数╳5000円が支給されると定められている。しかしながら,これら臨時支給金の算定基礎となる活動ポイント,保給確認の件数及び実期限内報告件数,成果特別加算件数は,いずれも確認報告の成果であり,対象期間中の出来高に応じて変動するものであって,業務職員の臨時給与とは全く性格が異なり,労務対償性はない。
(カ)懲戒について
業務職員の賞罰(就業規則第67条)については,業務職員賞罰規定で定めるとされており,同規定には,懲戒として,注意(同第7条),戒告(同第8条),譴責(同第9条),昇給停止(同第10条),停職
(同第11条),懲戒解雇(同第12条)が定められており,現に懲戒処分が行われている。懲戒処分が行われた場合には,昇給額の削減や人事考課点の減点,臨時給与の削減等の経済的な影響がある。これに対し,専門職スタッフは,懲戒に関する規定は定められておらず,懲戒処分を行った事例はない。経済的影響を伴う付加措置を科したこともない。
(キ)福利厚生その他について
業務職員には,福利厚生制度の適用があり,慶弔見舞金(就業規則第33条)や,勤労者財産形成給付金(同第35条),不就業補償給付社内共済制度(同第36条)等が定められている。これに対し,控訴人ら専門職スタッフには,こうした福利厚生制度はない。
ケ 労働者性について
控訴人らは,専門職スタッフには,いわゆる組織的従属性,経済的従属性が顕著に認められ,これらの事実を総合考慮すれば,他に控訴人らの労働者性を弱める要素があったとしても,控訴人らの専門職スタッフの労働者性は優に認められると主張する。
しかしながら,上記で指摘したとおり,労働者性を基礎付ける多くの要素が認められるとの控訴人らの主張は,事実を歪曲したり,牽強付会の論を述べているにすぎない。
第3  当裁判所の判断
1  認定事実
前提事実に証拠(甲7ないし9,乙22,23,丙1,2,証人戊沢一郎,控訴人ら),掲記した証拠,弁論の全趣旨を総合すれば,以下の事実が認められる。
(1)控訴人らと補助参加人との間の契約締結等
ア 補助参加人は,新聞に募集広告を掲載するなどして募集し,控訴人らはこれに応じたものであり,平成13年12月30日に大分県内で掲載された募集広告(乙17の1─1─24)には,以下の記載がある。
(ア)表題 日本生命直系 エリアスタッフ募集
(イ)仕事 自宅拠点の外勤・生保契約の成立及び支払いに関する確認業務。懇切指導致します。
(ウ)担当地区 大分県内,出社の必要はありません。
(エ)資格 高卒以上,40歳から55歳位迄,パソコンワードで報告書作成できる方
(オ)待遇
(月例支給金)確認処理件数での完全出来高払制,月額15万円最低保障
(臨時支給金)本社規定年2回支給
(社会保険)健康・厚生年金保険完備
イ 補助参加人は,控訴人らに対し,一次選考として書類審査を,二次選考として筆記試験,面接,健康診断を行い,採用を決定し,控訴人甲野花子(以下「控訴人甲野」という。)及び控訴人丙山葉子(以下「控訴人丙山」という。)との間で,平成14年2月1日付けのエリア・スタッフ委任契約を,次いで同年6月1日付けで専門職スタッフ委任契約を締結し,控訴人丁木桜子(以下「控訴人丁木」という。)との間で,同年10月1日付けで専門職スタッフ委任契約を締結した。
ウ 補助参加人は,控訴人らとの間で,それぞれ専門職スタッフ委任契約書を取り交わしたが,各契約書には,「委任契約を締結する。」との文言があり,期間を1年間とする定めのほか,以下の記載がある(乙5から16まで,丙4の1・2)。
(ア)乙(控訴人ら)は,契約期間中,専門職スタッフとして甲(補助参加人)の定める諸規則を守り,常に業務の能率を高め,委託内容を誠実に遂行し,職場の秩序保持に協力する。(1項)
(イ)乙に委任する業務は,次のとおりとする。(2項)
生命保険・損害保険に関する確認業務及びこれに付随する業務
(ウ)乙の就業に関する本契約に定めるもの以外については,専門職スタッフ規定並びに付属規定の定めるところによる。(3項)
(エ)乙の支給金については,専門職スタッフの支給金に関する規定の定めるところによる。また,乙の委託報酬保障額は,月額15万円とする。(4項)
(オ)乙は,甲との契約期間中はもとより解嘱後においても,①甲の機密事項,②甲から貸与された諸手引きや指導連絡により知り得た情報,③確認資料から知り得たことや確認活動により知り得た情報等を他に漏らしたり,その他甲の不利益になることは行わない。(5項)
(2)確認業務について
ア 補助参加人における確認業務には,生命保険等の契約成立に係る確認業務(以下「決定前確認」という。)及び保険金・給付金の支払に係る確認業務である保給確認があり,これが確認業務の大半を占めている。
控訴人らは,主として保給確認を行っており,保険事故の内容等,故意や重過失によるものではないか,告知義務違反がないか等について,遺族,病院,事故現場,勤務先等を訪問して確認し,確認資料を受領後2週間以内(目途)を期限に報告をするものとされていた(甲6の3)。もっとも,保給確認報告につき,平成18年3月28日付けで報告期限が手配日を含め11営業日とする旨変更された(乙17の2─1)。
イ 補助参加人において,確認業務を担当する者は専門職スタッフと業務職員である。
専門職スタッフは,補助参加人との間で専門職スタッフ委任契約を締結した者であり,専門職スタッフ規定(専門職スタッフの支給金に関する規定等の付属規定を含む。以下同じ。)が適用される。
他方,業務職員は,補助参加人との間で雇用契約を締結した者であり,業務職員就業規則(業務職員賃金規定等の付属規定を含む。以下同じ。)が適用され,雇用保険を含むすべての社会保険の被保険者とされている。
(3)控訴人らの待遇等
ア 契約期間及びその更新等
(ア)専門職スタッフ委任契約の契約期間は,契約日から1年間であるが,これが満了しても,活動実態が良好と認められる場合は,合意により,1年ごとに更新され,①業務遂行実績が所定の水準を下回った場合,②契約締結後1年以内に「専門職認定試験」に合格しなかった場合,③3年ごとに実施する「(保有)技能認定確認テスト」に合格しなかった場合及び④契約期間満了前に満69歳を超えている場合には,契約は更新されない。もっとも,運用上,上記④以外の理由により活動実態が良好と認められる者につき更新がされなかった事例はない。
(イ)控訴人ら又は補助参加人は,少なくとも30日前に予告すれば,任意に専門職スタッフ委任契約を解除できる。
また,控訴人らが同業他社の業務に従事した場合には,補助参加人は,上記予告期間を設けずに,直ちに同契約を解除することができる。(甲6の3,乙17の1─1─12)
イ 研修(甲6の2,16ないし18,乙17の1─1─12)
(ア)控訴人らは,確認業務に関する知識・技能の習得に努め,会社の定める以下の教育・研修を受講しなければならないとされていた(専門職スタッフ規定8条)。a専門職スタッフ委任契約締結直後の委嘱時研修b毎月1回程度の支社等に出社しての研修cその他,会社の指定する研修
(イ)補助参加人は,委嘱後6か月を重点研修期間とし,遅くとも1年内に「専門職認定試験」に合格しなければならないとしていた。
(ウ)補助参加人は,上記各研修に際して,控訴人らに対し,当該研修が予定されている日時に業務の予定を入れること及び研修に欠席又は遅刻することを許さない旨の連絡をしていた。
(エ)毎月1回程度の頻度で補助参加人の支社等において開催される研修の内容は,実際の事案で作成された確認報告書を題材に,より質の高い確認報告書の作成方法や確認のポイントを掴むために皆で検討するなど確認業務を遂行する際の技術等の向上を図るためのものであった。
ウ 報酬(乙17の1─1─12,17の1─2─4)
(ア)補助参加人から控訴人らに支払われる報酬には,支給金,確認交通費,特別確認手当,研修手当・出社研修交通費,通信費補助及び臨時支給金がある。その内容は,以下のとおりである。a支給金
確認業務の種類及び内容並びに作成された確認報告書の品質等に応じて業務ポイント及びその評価基準が定められており,1か月間に遂行した確認業務について,上記基準に従って,1件ごとに業務ポイントとして評価し,その合計である当該月の業務ポイントにポイント単価(1ポイント1500円)を乗じて算出するもの。b確認交通費
①当該月の確認業務に要したガソリン代の実費と公共交通機関の利用料とを合計した額,又は,②当該月の業務ポイントに,そのポイント数に応じて定められた単価を乗じて算出される額のいずれか高い方で,毎月3回提出する確認交通費請求記録票(乙17の1─1─20)に基づいて支給される。c特別確認手当
控訴人らの各担当する地域の中心(通常は自宅)から片道3時間以上を要する地区等へ確認に行った場合に,日帰りの場合は1日4000円,宿泊の場合は1日5000円が支給される。併せて,交通費として,利用した公共交通機関の実費が,宿泊費として1泊につき8500円が,それぞれ支給される。d研修手当・出社研修交通費
補助参加人の指定した出社を要する研修を受講した場合,1日につき研修手当5000円が支給される。併せて,出社研修交通費として,公共交通機関を利用した場合の最低料金相当額が支給される。e通信費補助
当該月の業務ポイントに1ポイント当たり20円又は25円を乗じて算出した額が,3400円を上限として支給される。
f 臨時支給金
対象期間内における,業務ポイント,業務の内容・品質などを評価した活動ポイント,保給確認の件数等に基づいて算出した額が,毎年7月及び12月の年2回支給される。
(イ)なおィ,業務職員の賃金は,業務職員就業規則に定められており,固定給として,本棒(原則として人事考課を反映して毎年1回昇給する。)と資格手当等が,出来高給として,活動手当(3か月の月平均活動ポイントに応じて算定)と業務手当(当該月の業務ポイントにポイント単価600円を乗じた額)等がある。上記固定給部分とそれ以外の比率はおおむね4対6であり,各種ポイントの評価基準は,基本的に専門職スタッフと同じである。また,補助参加人からの手配件数が少ないことにより賃金が保障額に満たない場合には保給手当が支給されるが,これは,専門職スタッフにおける下記委託報酬保障と同趣旨のものである。
(乙17の1─4─7)
(ウ)委託報酬保障
補助参加人の都合により業務量が不足し,支給金,特別確認手当及び研修手当の合計額が,①保給確認業務を月5件以上行うことが想定される専門職スタッフについては月15万円,②同業務を月3件以上行うことが想定される専門職スタッフについては月10万円,③同業務を月2件程度行うことが想定される専門職スタッフは月5万円,の各委託報酬保障額を下回った場合には,上記合計額と委託報酬保障額の差額分(以下「委託報酬保障金」という。)が支給される。
(エ)控訴人らへの支給実績
控訴人らは,月平均10件程度の報告をしており,現に支給された報酬(臨時支給金を含む。)は,控訴人甲野については,平成21年6月分から同年11月分まで及び平成24年3月分から同年6月分までの平均で月額23万4787円,控訴人丙山については,平成14年8月分から平成24年3月分まで(平成16年3月分,平成21年7月分,平成22年6月分,平成23年11月分及び平成24年2月分を除く。)の平均で月額23万6524円,控訴人丁木については,平成18年1月分から平成24年6月分までの平均で月額21万3346円となる。本件処分の行われた平成18年5月分までについては,控訴人丙山は月額22万6067円,控訴人丁木は月額23万4802円である。控訴人甲野は明らかでないが,同控訴人の平成21年6月分以降の上記支給実績及び他の控訴人らの支給実績から,月額20万円以上と推認できる。
エ 設備等の負担関係
(ア)補助参加人は控訴人らに確認業務用のパソコンを貸与し,控訴人らは自宅に設置し,これを用いて,確認業務に関する補助参加人からの連絡等を受け取り,確認報告書を作成するなどしている。また,補助参加人は,控訴人らに対し,確認業務に使用するためにプリンターとデジタルカメラも貸与している。確認報告書等を印刷するためのインクと用紙も,補助参加人から支給されている。なお,上記パソコンの使途は確認業務に限定されている。
(イ)控訴人らが個人的に所有する自動車等を確認業務のために使用するには,事前にその旨を補助参加人に届け出て,承認を受けることとされている。また,この場合,控訴人らは,自動車損害賠償責任保険に加え,任意保険に加入する必要があるが,任意保険の保険料は控訴人らが負担している。
(乙17の1─1─12,17の1─2─4)
オ 健康保険,厚生年金保険及び労働者災害補償保険について
(ア)補助参加人は,健康保険,厚生年金保険については控訴人らと各専門職スタッフ委任契約を締結した当初から,労働者災害補償保険(以下「労災保険」という。)については,平成15年6月1日から,控訴人らを各保険の被保険者として取り扱っていた(甲5)。なお,雇用保険については,控訴人らには適用されないものとして取り扱っていた。
(イ)平成17年6月,専門職スタッフも加入する労働組合である建交労福岡合同支部NIS九州分会は結成されたが,専門職スタッフに雇用保険を付保することが組合の重要な要求項目にあげられて,団体交渉が持たれ,同年9月16日には,控訴人甲野から福岡中央公共職業安定所に適用確認の申請がされた(乙17の1─2─12)。補助参加人は,大阪西公共職業安定所から健康保険,厚生年金保険及び労災保険の適用経緯等について質問され,専門職スタッフにこれらの保険を適用することは無理ではないかとの指摘を受け,社会保険事務所や労働局に相談した上,これをはずすことに決定した。
(ウ)補助参加人は,平成18年5月ころ,控訴人ら専門職スタッフについて労災保険が適用されないことを前提として,平成17年度の保険料の精算処理及び平成15年度及び平成16年度分の保険料の還付手続を行った。そして,補助参加人は,専門職スタッフに労災保険が適用されないことの代替措置として,専門職スタッフが就業中に被災した場合の見舞金及び被災を原因とする不就業の場合に一定の補償金を支給する制度を設けた。
(エ)また,補助参加人は,健康保険及び厚生年金保険についても,これが適用されないことを前提とした処理をすることとし,その代替措置として,支給金の単価を引き上げるなどして補助参加人が負担していた健康保険料及び厚生年金保険料相当額を補償するなどとしたが,専門職スタッフからの強い反発があったため,実際に上記措置が取られたのは,平成21年1月以降に到来する各専門職スタッフの契約更新時からであった。
なお,業務職員には,健康保険,労災保険及び雇用保険が,いずれも適用されている。
(甲10,乙17の1─2─10ないし12,乙21の1ないし4,丙3)
カ 税務上の取扱いについて
補助参加人は,控訴人らに支払う報酬について,消費税を付して支払った上,事業所得として所得税の源泉控除を行っている。また,控訴人らは,その所得について,事業所得として確定申告を行っている。なお,補助参加人は,業務職員について,給与所得又は事業所得として源泉控除を行っている。
(4)控訴人らの業務の内容
ア 就業場所及び担当エリア
控訴人らは,自宅を拠点として,補助参加人が定める担当エリアを中心に活動することとされ,また,研修を受ける場合を除き,支社等に出社する必要はなかった(甲22)。
イ 就業日及び就業時間
専門職スタッフ規定に,専門職スタッフの就業日及び就業時間に関する規定はない。また,補助参加人は,控訴人らが土日に確認業務に従事した場合や平日に同業務に従事しない場合などについて,控訴人らに対し報告等を求めることはなかった。なお,業務職員については,業務職員就業規則において,就業時間,休日及び休暇等が定められ,就業時間に関し,いわゆる事業場外のみなし労働時間制が適用されている(乙17─1─2─6)。
ウ 確認業務の内容
(ア)補助参加人の控訴人らに対する確認業務の依頼方法
補助参加人は,委託会社(補助参加人のグループ会社である保険会社)から委託を受けた案件について,専門職スタッフ又は業務職員の中から担当者を選定した上,当該担当者に対して,事前に応じられるか否かを確認することなく,決定前確認については電子メールにより,保給確認については宅配便等により,当該案件の確認業務に必要な資料(以下「確認資料」という。)等を送付する方法で,業務の依頼を行っている。もっとも,壱岐,対馬等の離島における確認業務については,地域担当者を固定しておらず,比較的近い地域の確認担当者に対し,事前に諾否を確認した上で手配をしている。
なお,補助参加人は,依頼する確認業務の内容等によって,専門職スタッフに依頼するものと業務職員に依頼するものとに分けることはしておらず,担当エリアや各確認担当者の手持ちの件数等を考慮して,業務を分配している。
(イ)控訴人らによる確認業務の依頼の拒否等
専門職スタッフ規定には,補助参加人からの確認業務の依頼を受けるか否かについて専門職スタッフが自由に決められる旨を定めた規定はない。しかし,補助参加人は,確認先が知り合いであることや担当エリア外の業務であることなどの理由で,控訴人らから当該業務を担当できない旨の申出がされた場合には,これを認めていた。また,補助参加人は,私的な旅行により自宅を不在にする間,自己に対する確認業務の依頼を停止するように求める控訴人甲野からの申出に応じ,控訴人甲野に対する確認業務の依頼を一時停止したこともあった。(乙17の1─1─3,乙22)
(ウ)控訴人らによる確認先の訪問及び聴き取り
控訴人らは,確認資料に記載された,確認種類,概括的な確認先及び確認事項,報告期限,中間報告提出日,参照すべき確認の手引き等を確認した上で,確認業務に着手する。確認先を訪問する日時について,補助参加人からの指示はなく,自らの都合と確認先の都合の合う日時を調整できる。ただし,委託会社から日時が指定される場合や,急を要する案件について,補助参加人から他の案件に優先して着手するように指示される場合もある。
控訴人らは,確認先を訪問し,当該案件に応じ,保険加入の事実,加入の意思の有無,診療状況,事故状況など,確認の手引きに記載されている確認事項についての聴き取りを行う。なお,控訴人らは,確認先を訪問する際,いずれも補助参加人から支給された,保険会社から委託され確認業務のために訪問する者であることを証明する旨及び補助参加人の専門職スタッフである旨が記載された身分証明書(甲11の1ないし3)と,補助参加人の社名及び連絡先並びに控訴人らの氏名が記載された名刺(甲12の1ないし4)を携行し,必要に応じこれを確認先に提示又は交付していた。控訴人らは,判断に迷う事象が生じた場合などには,福岡支社に連絡し,その指示に従って処理していた。また,案件によっては,業務の進捗状況について,補助参加人の方から,控訴人らに対して問い合わせることもあった。確認先から上記訪問又は聴き取りを拒否された場合,控訴人らは,その旨を補助参加人に連絡してその指示を求めるとともに,直接,委託会社に電話をして,その協力を求めることとされている。なお,訪問又は聴き取りの拒否により確認業務を完了できなかった場合,確認先との面談が一度でも行われていれば業務ポイント及び活動ポイントが付与されるが,そうでなければ付与されない。さらに,確認先を省略するか否かの判断を控訴人らが行うことはできず,これを行う場合には,補助参加人に事情を説明しなければならない。控訴人らの判断で確認先を省略した場合は,ポイントが低く評価される。(乙17の1─1─17,乙17の2─2ないし4)
(エ)中間報告書の提出
保給確認では,確認の完了までの途中で,確認報告書の納付が遅延する旨及び業務の進捗状況などについて記載した保給確認進捗状況中間報告書兼遅延見込み事情書を提出する(乙17の1─1─18)。
(オ)確認報告書の提出
控訴人らは,確認先からの聴き取りを終えたら,確認報告書を作成し,決定前確認では電子メールにより,保給確認では郵送により,これを補助参加人に提出する。決定前確認においては,依頼を受けた日から7営業日が確認報告書の提出期限とされている。また,保給確認においては,6営業日以内に保給確認進捗状況中間報告書兼遅延見込み事情書を,11営業日以内に確認報告書を提出することとされている。
(カ)確認報告書の評価及びポイントの付与
補助参加人は,控訴人らから提出された確認報告書について評価し,ポイントを付与する。なお,当該確認報告書が必要事項の不備等により納品基準を満たしていない場合,補助参加人は,その不備の程度に応じ,控訴人らに対し,再度確認先から聞き取るなどしてこれを補充するように求めたり,補助参加人からの照会に対する回答を求めたりするが,これらの補充等がされたとしても,当初の確認報告書について付与されたポイントが変更されることはない。
エ 補助参加人と控訴人らの間の連絡等
(ア)補助参加人から控訴人らへの連絡等は,通常,電子メールにより行われるが,緊急を要するときは,電話により行われることがある。
(イ)補助参加人は,控訴人らに対し,最低1日2回,朝と夕方に電子メールの着信の有無を確認するように求めている。そして,電子メールが2日間未開封となっている場合には,補助参加人から控訴人らに対しその開封を促す連絡が,通常の連絡とは別の系統の電子メール又は電話により行われる。(甲17,18)
(ウ)控訴人らは,前記ウ(ウ)のとおり,確認先から訪問又は聴き取りを拒否された場合などの連絡又は問い合わせ等のために補助参加人に架電することがあるが,その場合,補助参加人の支社の誰宛てに行うかなどは,専門職スタッフ規定等に定められていない。また,控訴人ら専門職スタッフが,確認報告書の提出等以外に,その活動状況を補助参加人に報告しなければならない旨の定めもない。
(エ)活動報告書
補助参加人は,新人の教育研修の一環として,契約後6か月から1年の間,新規に契約した専門職スタッフに対し,活動報告書の提出を求めている。これは,当該専門職スタッフが従事した業務の内容について,訪問先,確認業務の種類,訪問内容,その日の活動を終えての感想,自宅での活動内容などを記載するものである。
控訴人らから活動報告書の提出を受けた補助参加人が,特段の応答等をすることはなかったが,確認業務の遂行に難渋・苦労した旨の記載があったときなどに,補助参加人の支社長が,控訴人らに対し,電話で慰労の言葉を伝えることがあった。
(オ)専門職スタッフ確認交通費請求記録票
前記(3)ウ(ア)bのとおり,控訴人らは,確認業務に要した交通費を請求するため,補助参加人に対し,専門職スタッフ確認交通費請求記録票(乙17─1─1─20)を提出することとされていた。同記録票は,日々の確認業務について,確認先ごとに,確認業務の種別,被保険者名,済否,利用交通機関,出発地(発駅),目的地(着駅),料金額等を記載する様式となっており,これにより,補助参加人は,移動の目的,行き先,移動キロ数を事後的に把握することができる。
(5)業務職員と控訴人ら専門職スタッフの異同等 ア 業務職員と専門職スタッフの在籍推移
補助参加人は,設立以来,確認業務に従事する者はすべて委任契約による嘱託によっていたが,大阪西労働基準監督所長は,昭和50年6月17日,労働組合が独自に選んだ10名の調査員について,報酬及び労働の実態等からして,労基法9条にいう労働者でないとして取り扱うことは妥当でないと認められると指導した。
これを受けて,補助参加人は,確認担当者を専業職員化することとなり,昭和51年7月,1200名余の嘱託員のうち247名を業務職員に雇用した。しかしながら,業務職員の確認業務の就労形態は,原則として,会社に出社することなく,自宅を起点として,自宅に送付されてくる資料を受領し,指定された確認項目に従い,自宅から確認先を訪問し,事実関係の確認を実施し,その確認作業の結果を確認報告書にまとめて,本社又は支社に郵送又はメール等でこれを送付するというものである。したがって,その業務上の特性に照らせば,そもそも労働時間を管理することになじみにくく,むしろ委任契約の方がふさわしいといえる就労形態である。
そのため,補助参加人は,このような確認業務の特性を踏まえ,平成13年度以降は業務職員の新規採用は行わず,確認担当者を配置する必要が生じた場合には,委任契約関係にあるエリアスタッフ(平成14年6月以降は,専門職スタッフ。)を委嘱することで対応してきた。この結果,平成13年度以降の業務職員及び専門職スタッフの年度当初の在籍数の推移は別表1のとおりである。補助参加人の確認業務の業務量が減少傾向にあり,組織全体が縮小しつつあるところ,その中にあって,専門職スタッフの比率は相対的に高まっている。(甲2,3,丙11,13)
イ 専門職スタッフの委嘱期間
平成24年8月時点での業務職員の勤続年数及び専門職スタッフの委嘱期間の分布については別表2のとおりである。業務職員は概ね定年(60歳)まで勤務し,あるいは定年後選任職員として期間の満了時(65歳)まで勤務して退職するのに対し,専門職スタッフは,本人都合による委任契約の終了等,業務職員に比べて相当程度,短期間で委任契約を終了する者が多い。なお,平成24年8月時点での業務職員の平均勤続年数は約21年3か月であるが,専門職スタッフは,専門職スタッフ制度を新設して以後,延べ331名を数えるところ,現在在籍している145名の専門職スタッフの平均委嘱期間は約7年3か月である。(丙12)
ウ 専門職スタッフの報酬,処理件数,更新
専門職スタッフの委託報酬保障月額別の人数は,平成24年4月時点で,全社では15万円が32名,10万円が102名,5万円が4名,なし(0円)が5名であり,福岡支社では,15万円が6名,10万円が10名である。補助参加人は,月額15万円で募集を行っていた時期もあったが,確認業界全体として,業務量が減少傾向にある中で,保給確認が月3件程度見込めることを前提に募集を行ってきたことから,月額10万円の者が多数を占めるようになったという経緯がある。
契約更新については,平成23年度中に非更新となった者は全社で10名おり,非更新者の平均委嘱期間は7年2か月である。当該期間中に福岡支社で非更新となった者はいない。非更新者の内訳は,4名は本人都合,2名は70歳到達による契約期間満了であり,会社都合による非更新者も4名いる。これは,平成23年度をもって,決定前確認業務の9割を占めていた委託会社からの決定前確認の受託が終了したため,決定前確認のみを担当していた専門職スタッフの契約を解除したものである。(丙14)
2  争点に対する判断
(1)雇用保険法は,労働者が失業した場合及び労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に必要な給付を行うこと等により,労働者の生活及び雇用の安定を図ることその他労働者の福祉の増進を図ることを目的とする(1条)。そして,同法4条1項は,同法の被保険者について,「適用事業に雇用される労働者であって,第6条各号に掲げる者以外のもの」をいうと定め,同法4条4項は,同法にいう賃金について,「賃金,給料,手当,賞与その他名称のいかんを問わず,労働の対償として事業主が労働者に支払うもの」をいうと定める。
雇用保険法は,事業主(事業者),労働者,労働者であるが同法の保護を受けない者を想定しているところ,事業主とは,事業の主体となって,自らの資本と,自ら又は他人の労働力を用いて,その計算で事業を営む者であり,事業主は,自然人であっても,その事業を廃止したからといって,雇用保険法上の保護を受けることができない。そして,同法6条の適用除外規定によれば,労働者のうち,雇用時65歳以上の者が対象から除外されるほか,短時間労働者,短期間雇用者は保護を受けないとされており,これは,事業主から受ける対価によって生計の維持をしているといえないか,家計補助的なものにすぎないことから,適用を制限されているものと考えられる。
したがって,雇用保険法は,事業主に対して自らの労務(労働力)を提供してその対価を得ることによって生計を維持する者が,労務提供の場,すなわち,職を失った場合を中心に,生活保護法と異なり,職を失った者の資力の多寡を問わず,新たな職に就くまでの生計の維持,新たな職に就くための支援等をする仕組みを設けているのであり,上記のような事業主に対してその支配下で労務を提供して(労務提供の従属性),その対価を得ることによって生計を維持する者(労務対償性)が,雇用保険法にいう労働者に該当するということができる。したがって,同法における労働者というためには,事業主に対し,労務を提供し,賃金,給料,手当,賞与その他名称のいかんを問わず,その対償の支払を受ける関係があることを必要とするということができるが,そのような関係が存するというためには,事業主と労働者の間に,民法623条による雇用契約が締結されている場合にとどまらず,仕事の依頼や業務に従事すべき旨の指示等に対する諾否の自由の有無,業務遂行上の指揮命令の有無,場所的・時間的拘束性の有無,代替性の有無,報酬の性格,当該労務提供者の事業者性の有無,専属性の程度,その他の事情をも総合考慮して,上記雇用保険法の趣旨に照らして,上記の同法上の保護を与えるに相当な関係が存すれば足りると解するのが相当である。
(2)ところで,控訴人らは補助参加人の確認業務を行う専門職スタッフであるところ,業務職員も同業務を行うものであるが,補助参加人との間で雇用契約を締結しており,業務職員が雇用保険法上の労働者であることは争いがない。
しかも,前記1(5)のとおり,補助参加人は,昭和50年,委任契約によっていた調査嘱託員について,労基署から,労基法上の労働者であると指導されたため,昭和51年にこれらを業務職員としたが,平成13年からは業務職員の採用を停止し,委任契約によるエリアスタッフ(その後は専門職スタッフ)に切り替えたものであり,調査嘱託員,業務職員,エリアスタッフ,専門職スタッフと契約形態や名称は変わっても,補助参加人にとってその業務の核心をなす確認事務の遂行のため必要な労務の提供を受けていたことに変わりがないのである。現に,補助参加人が平成16年2月ころ作成した「会社説明会」と題する書面(甲6の3)には,業務職員について,「仕事の内容,勤務形態等は専門職スタッフに同じ。」と記されている。
そして,控訴人らは,いずれも委託報酬保障月額を15万円とする専門職スタッフであり,その業務や対価の受領等を前提に,控訴人らについて,上記の労務提供の従属性,労務対償性につき,業務職員と異なる点があるかという観点も加えて検討し,控訴人らが雇用保険法上の労働者に該当するか否かを判断する。
(3)労務の従属性,労務対償性について
ア 控訴人らと補助参加人との間の契約締結等
(ア)補助参加人は,新聞に募集広告を掲載するなどして専門職スタッフを募集し,これに応募してきた控訴人らに対し,一次選考として書類審査を,二次選考として筆記試験,面接,健康診断を行った上で,控訴人らとの間で,それぞれ専門職スタッフの委任契約書を取り交わし,専門職スタッフ委任契約を締結したものであり,上記募集広告には,仕事が前記のような確認業務であり,担当地区を所属の県内とし,出社の必要がないこと,月例支給金が確認処理件数での完全出来高払制で,月額15万円の最低保障があることに加え,社会保険として健康・厚生年金保険が完備されていることが記載されていた。
補助参加人は,一貫して控訴人らに雇用保険の適用はないものとして取り扱っていたが,上記勧誘条件のとおり,控訴人らには,健康保険,厚生年金保険及び労災保険が適用されていたことが認められ,社会保険関係については,雇用保険の有無のみが業務職員との相違点であった。
(イ)控訴人らと補助参加人の間の各専門職スタッフ委任契約において,控訴人らは,上記の確認業務を上記の約定で行うことを定められたほか,契約期間中,専門職スタッフとして補助参加人の定める諸規則を守り,常に業務の能率を高め,委託内容を誠実に遂行し,職場の秩序保持に協力することを約束した。
(ウ)専門職スタッフ委任契約の契約期間は,契約日から1年間であるが,これが満了しても,活動実態が良好と認められる場合は,合意により1年ごとに更新されるものであり,控訴人らは,①業務の実績が所定の水準を下回った場合,②契約締結後1年以内に専門職認定試験に合格しなかった場合,③3年ごとに実施する技能認定確認テストに合格しなかった場合のいずれにも該当することなく,上記契約を更新しており,今後も更新を期待できる地位にある。
イ 仕事の依頼や業務に従事すべき旨の指示等に対する諾否の自由等について
(ア)前記1(4)ウ(イ)のとおり,控訴人らは,確認先が知り合いであることや担当エリア外の業務であることなどを理由に,補助参加人からの依頼を断るなどしており,また,控訴人甲野が,私的な旅行を理由に一定期間確認業務の依頼の停止を求め,補助参加人がこれに応じている事実を認めることができ,本件証拠上,これにより控訴人らが補助参加人から叱責を受けたり,不利益な取扱いを受けたりしたことはうかがわれない。他方,控訴人らは,上記のような場合以外は,依頼を断ることがなかったといえる。
(イ)補助参加人は,確認先と確認担当者との個人的な関係に配慮し,また,確認の公正さを確保するため,業務職員であっても,例外的に案件の返却を認めている旨を自認している。確認先が知り合いであることや担当エリア外の業務であることを理由に依頼を断るのは何ら不相当なことではないし,私的な旅行を理由に一定期間確認業務の依頼の停止を求めるのは,業務職員が有給休暇を利用するのと同様に考えることができる。
(ウ)控訴人らは,毎月一定額の委託報酬を保障された反面,一定数の確認業務を行うものとされており,そのような委託を拒むことは約定に反してできないことが明らかである。
(エ)前記1(4)ウ(ア)のとおり,補助参加人は,個々の確認業務を依頼する際,控訴人らに対して事前にこれを受けるか否かの確認を取らずに確認資料を送付し,確認業務の委託をしており,その事務量も委託報酬保障の制度により一定量であることが担保されているとはいえ,一方的に指図されているに等しいものである。
そうすると,委任契約であったり,上記(ア)のような事実があったからといって,控訴人らには,業務職員とは異なる諾否の自由があったとまでいうことができない。
ウ 業務遂行上の指揮命令の有無について
(ア)前記1(3)イ,(4)ウ及びエのとおり,控訴人らは,①具体的な確認方法が詳細に記載された確認の手引きを遵守するよう補助参加人から指示されており,そのための研修を受け,これに従って業務を遂行していたこと,②判断に迷う事象が生じたり,確認先から訪問又は聴き取りを拒否されたりした場合などに,補助参加人に連絡し,その指示に従って当該業務を処理していたこと,③案件によっては,補助参加人の方から控訴人らに対し業務の進捗状況について問い合わせるなどしていたこと,④確認先を訪問する日時は,控訴人らの都合と確認先の都合の合う日時を調整するが,委託会社から日時が指定される場合や,急を要する案件について,補助参加人から,他の案件に優先して着手するよう指示される場合もあること,⑤提出期限を超過したり,確認報告書に不備があったりした場合には,ポイントが低く評価されること,⑥控訴人らは,補助参加人から送信される確認業務に関するメールを毎日確認すること及び研修に出席することなどを義務付けられていたこと,⑦控訴人らは,補助参加人から,採用後1年間にわたり,毎日の活動内容等を記載した活動報告書の作成及び提出を義務付けられていたことが認められる。
(イ)これらの事実は,確認業務の性質上,定型的な業務遂行や一定水準以上の質の確保が求められることに由来するということもできるが,控訴人らの業務に裁量性が乏しかったといえ,控訴人らと補助参加人の間に,一定の質を有する事務処理が遂行されることを目的とする指揮命令関係が存するということもでき,これらの点については業務職員と特段異なるものとは認められない。
エ 労務提供の場所的・時間的拘束性について
(ア)前記1(3)ウ,同(4)ア,イ及びウの(ウ)のとおり,専門職スタッフ規定に,控訴人ら専門職スタッフの所定労働日及び同時間に関する定めはなく,また,控訴人らの報酬は,その労働時間に応じて計算するいわゆる時給制が定められたものとはいえない上,控訴人らは,基本的に,補助参加人の支社等に出勤する必要がなく,自宅から直接確認先等を訪問して確認業務を遂行しており,その訪問日時等は自らの都合を考慮して決することができ,補助参加人は,控訴人らが土日に確認業務に従事した場合や平日に同業務に従事しない場合などに,控訴人らに対し報告等を求めていない。
(イ)加えて,専門職スタッフが出社を要する研修を欠席しても,補助参加人から直接そのことで不利益な取扱いを受けたことは,本件証拠によって認めることができないし,また,控訴人らは,補助参加人からの電子メールの確認の励行を求められ,確認が遅れることに対しては警告が発せられるものの,本件証拠上,この範囲を超えて,確認業務の依頼を受けるために,常時自宅で待機するよう補助参加人から命じられていたなどといった事情はうかがわれない。
(ウ)これらの事情からすれば,前記1(4)ウ(ウ)(エ)のとおり,控訴人らが確認業務に関し一定の報告等をすることがあったことを考慮しても,補助参加人が,控訴人らの労働日,労働時間及び業務遂行状況等を把握し,これを管理していたということはできないし,この点で業務職員とは異なることが明らかである。
しかし,この点は,確認先に出向いて確認業務を行い,その正確性は確認者に委ねられているという確認業務の性質上,場所的・時間的拘束を伴う必要性が乏しいためでもあり,このことを重くみることは相当ではない。
(エ)以上のような,控訴人らの委託業務の遂行状況に照らせば,控訴人らは,補助参加人から事業の核心をなす確認業務を毎月一定量委託され,労働日,労働時間及び業務遂行状況については,その裁量に任されているものの,一定の水準にある確認業務をするように指導,指揮を受け,補助参加人の事業組織に組み込まれ,その事務を処理しているということができる。
オ 報酬の性格について
(ア)前記1(3)ウ(ア)のとおりの控訴人ら専門職スタッフの報酬の内訳及びその算定方法からすれば,控訴人らの報酬は,確認業務に要する労働時間を考慮することなく,主として,確認業務の成果物である確認報告書の数量及び品質等をポイントとして評価し,これにポイント単価を乗じることにより算出されているといえる。したがって,控訴人らの報酬は,いわゆる出来高払い制であるということができ,固定給も含まれる業務職員とは異なるものである。
(イ)しかしながら,雇用保険法4条4項は,「この法律において「賃金」とは,賃金,給料,手当,賞与その他名称のいかんを問わず,労働の対償として事業主が労働者に支払うもの」と定めているのであって,出来高払いであることが控訴人らの報酬の性格が雇用保険法にいう賃金であることを否定することにはならない。
(ウ)他方,保給確認業務を月5件以上行うことが想定される専門職スタッフである控訴人らについて,補助参加人の都合により業務量が不足し,支給金,特別確認手当及び研修手当の合計額が月15万円の各委託報酬保障額を下回った場合には,上記合計額と委託報酬保障額の差額分である委託報酬保障金が支給される。
この制度は,優秀な人材の確保のためには一定の収入の保障が必要であるからであって,一定件数を着実に処理できる人材を確保し,このような人材には相当な月額報酬を約束したものであり,月15万円の保障は,家計補助的なものというよりは,専門職スタッフの生活維持のためのものである。
(エ)控訴人らは,前記1(3)ウ(エ)のとおり,月平均10件程度の確認業務の報告をしており,現に支給された報酬(臨時支給金を含む。)は,いずれも平均月額20万円以上に及び,家計補助的なものを超えている。
カ 事業者性の有無について
(ア)前記1(3)エのとおり,控訴人らは,確認業務に必要なパソコンやプリンター,デジタルカメラを貸与され,インクや用紙を支給され,また,確認業務に自ら所有する自動車を使用する場合には,任意保険の保険料は控訴人らが支払うとはいえ,その旨の届出及び補助参加人からの承認を受ける必要がある。
(イ)業務に必要な物品を自らが所有せず,仕事を依頼する者が提供するというのは,事業者性が乏しいということができるし,これらの点について,業務職員と異なるものとは認められない。また,控訴人らは,その業務を第三者に依頼することが許されなかったことが認められる。これも,個人情報保護に基づくものとはいえ,事業者性を弱める要素であるということができ,この点においても,業務職員と異なるものとは認められない。
(ウ)補助参加人から支払われる報酬には消費税が含まれ,控訴人らは所得につき確定申告をしていたものと認められ,これは契約形態が委任であることに基づくものであるが,控訴人らが事業者であることに沿うものである。
もっとも,上記の事情は,雇用保険法上の労働者であるか否かを検討するにあたって,控訴人らと補助参加人の契約形態が委任であること以上の意味を有するものではない。
キ 専属性の程度について
(ア)控訴人らが他社の確認業務に従事することは補助参加人により禁止されている。しかし,本件証拠上,これを超えて,控訴人らが補助参加人における確認業務以外の業務に従事することを補助参加人が禁じていることを認めるに足りる証拠はない。これに対し,業務職員については事業が禁止されていた。
したがって,控訴人らには兼業の自由がなかったとはいえず,この点は,業務職員と事情を異にするということができる。
(イ)もっとも,確認業務は確認先に出向いて必要な調査確認を行い,所定の報告をする業務であり,専門職スタッフに時間や場所を拘束することなく事務を行わせるものであり,控訴人らは,前記のとおり月平均10件程度の確認業務を処理すべき状況にあって,委託報酬保障制度において一定量の事務処理を要することにより,その限度で職務に拘束されているというべきである。
ク その他の事情について
(ア)前記のとおり,補助参加人は,確認業務に従事する者について,契約形態や名称を変更してきているが,そのことによって,確認業務の内容自体に変更が生じているとはいえない。そして,別表1のとおり,平成13年度に専門職スタッフ制度が採用されて以降,その比重が大きくなり,本件処分の行われた平成18年には,専門職スタッフの方が業務職員より多い人数を占めるに至っている。また,契約期間の定めは1年間であるが,別表2のとおり,5年以上委嘱されている者が約3分の2,10年以上委嘱されている者が約4分の1を占めるに至っており,その平均委嘱期間は約7年3か月であって,補助参加人の都合により更新されないことは例外的にしかないことが認められる。
(イ)控訴人らは平成14年度にエリア・スタッフ委任契約又は専門職スタッフ委任契約を締結しており,本件処分までに約4年が経過し,その後現在に至るまで約10年間,契約を更新し続け,月平均20万円以上の収入を現に得ているのであり,補助参加人からの報酬を生計の維持に充てているものと認められる。
(ウ)前記1(1)ウのとおり,専門職スタッフ委任契約書には,「委任契約を締結する。」と記載されている。しかしながら,会社説明会の資料(甲6の3),専門職スタッフ委任契約締結後の研修の際の資料(甲6の4,乙17の1─1─22・30)及び役職員・専門職スタッフ・スタッフ必携(以下「スタッフ必携」という。乙17の1─1─14)等に,「給与」,「入社」,「上司」などの記載があり,スタッフ必携は専門職スタッフのみならず,正社員である業務職員を含む補助参加人のすべての職員を対象に作成されたものであることがそれぞれ認められる。
(エ)また,補助参加人は,一貫して控訴人らに雇用保険の適用はないものとして取り扱っていたが,控訴人らは,契約の当初,健康保険,厚生年金保険及び労災保険が適用され,このような社会保険制度の保障があるものと信頼して契約関係に入ったことも考慮すべき事情である。
(4)以上のとおり,控訴人らと業務職員を比較すると,場所的・時間的拘束の有無を除き,雇用保険法上の労働者であるか否かを決する上で,上記各事情について意味のある相違点は認められず,控訴人らが業務職員と比較して雇用保険法上の労働者として保護すべき必要性が乏しいものと認めることはできない。補助参加人が労基法に沿って,労働時間規制や退職手当を含む賃金体系のほか,懲戒規定や福利厚生の存否等種々の相違点があることを主張するが,これらの点を考慮に入れても上記判断は左右されない。専門職スタッフの中には,その業務にかける時間や受領する報酬に照らし,補助参加人からの報酬をもって生計を維持しているとは認められない者が存することもうかがえるが,控訴人らについては,これと同様にいうことはできない。
控訴人らは,補助参加人の組織に組み込まれた状態にあって補助参加人に労務を提供し,補助参加人との間に雇用関係と同視できる従属関係があり,補助参加人から受ける対償としての報酬により生計を維持している者であり,補助参加人との上記関係が失われた場合及びその継続が困難となる事由が生じた場合等に,雇用保険法上の保護を受けることが相当であることについては,業務職員と何ら異なるところはないものと認められる。
したがって,控訴人らについては,補助参加人との間に雇用関係と同視できる従属関係にあり,契約に従った労務を補助参加人に提供したことの対価によって生計を維持するものであるから,雇用保険法上の労働者と認められる。
これと異なる判断のもと,本件所長が控訴人らの被保険者である旨の確認請求を却下した本件処分は,控訴人らが雇用保険法上の労働者であるのに,そうでないものとしてその判断を誤ったもので違法であることが明らかである。
第4  結論
以上のとおりであり,本件処分の取消しを求める控訴人らの請求は理由がある。
よって,控訴人らの請求をいずれも棄却した原判決は失当であるから,原判決を取り消して,本件処分を取り消すこととし,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 犬飼眞二 裁判官 青木亮 裁判官 石原直弥)

 

別表1  業務職員と専門職スタッフの在籍者推移〈省略〉
別表2  業務職員の勤続年数および専門職スタッフの委嘱期間〈省略〉
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