
「テレアポ 営業」に関する裁判例(20)平成18年 1月24日 東京地裁 平17(ワ)16684号 発信者情報開示請求事件
「テレアポ 営業」に関する裁判例(20)平成18年 1月24日 東京地裁 平17(ワ)16684号 発信者情報開示請求事件
裁判年月日 平成18年 1月24日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平17(ワ)16684号
事件名 発信者情報開示請求事件
裁判結果 一部認容 文献番号 2006WLJPCA01240006
要旨
◆家庭教師の派遣及び教材販売業を営む原告がインターネット上のウェブサイトを運用しているサーバーコンピューターを管理するプロバイダである被告に対して、いわゆるプロバイダ責任制限法に基づき、原告の社会的評価を低下させる記事を書き込んだ発信者その他ウェブサイト運営者に関する情報開示請求が、本件書き込み記事の一部により原告の権利が侵害されていることを認定判示して一部認容された事例
出典
新日本法規提供
参照条文
特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律4条1項
裁判年月日 平成18年 1月24日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平17(ワ)16684号
事件名 発信者情報開示請求事件
裁判結果 一部認容 文献番号 2006WLJPCA01240006
原告 株式会社x社
同代表者代表取締役 X
同訴訟代理人弁護士 伊藤孝浩
被告 株式会社y社
同代表者代表取締役 Y
同訴訟代理人弁護士 山崎龍一
主 文
1 被告は、原告に対し、別紙発信者情報目録〈2〉記載の情報を開示せよ。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用はこれを3分し、その1を原告の、その余を被告の負担とする。
事実及び理由
第1 請求
被告は、原告に対し、別紙発信者情報目録〈1〉記載の情報を開示せよ。
第2 事案の概要等
1 事案の概要
本件は、インターネット上のウェブサイトに書き込まれた情報が名誉毀損及び営業妨害に当たるとする原告が、上記ウェブサイトを運用しているサーバコンピューターを管理している、いわゆるアプリケーションサービスプロバイダである被告が特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「プロバイダ責任制限法」という。)4項1項にいう開示関係役務提供者に当たるとして、被告に対し、同条項に基づき、上記書込みの発信者その他上記ウェブサイトを運営していた者に関する情報開示を求めた事案である。
2 前提事実(当事者間に争いのない事実の他、括弧内掲記の証拠及び弁論の全趣旨により認められる。)
(1) 原告は、家庭教師の派遣及び教材販売等を業とする株式会社である。
(2) 被告は、いわゆるアプリケーションサービスプロバイダであり、ユーザはウェブブラウザを使って、被告の保有するサーバにインストールされたアプリケーションソフトを利用することになっている。
(3) インターネット上に存在する「家庭教師業者情報掲示板」という名称のウェブサイト(URL http://fine.ap.teacup.com/tutor/。以下「本件ウェブサイト」という。)上に、別紙メッセージ目録1ないし3記載の侵害情報(以下「本件侵害情報〈1〉」等という。)が書き込まれた。
本件ウェブサイトは、インターネット上に存在する別の「掲示板」に過去に書き込まれた内容を編集して、改めてインターネット上に掲載したもので、本件ウェブサイト自体は、不特定多数の者が新たに書き込めるような構造にはなっていない。
(4) 被告は、アプリケーションソフトとして「掲示板」と「ブログ」を用意しているところ、本件ウェブサイトは、「ブログ」を利用して、作成されたものである(乙1、弁論の全趣旨)。
(5) 東京都は、平成16年12月21日、不適正な取引行為により、「家庭教師」及び「補修用教材」を勧誘・契約させていた事業者であるとして、原告に対し、以下のとおり、不適正な取引行為の例を挙げ、特定商取引に関する法律(以下「特定商取引法」という。)46条に基づく指示及び東京都消費生活条例(以下「条例」という。)48条に基づく勧告を行った(乙2。以下「本件行政指導」という。)。
ア 不適正な取引行為の例
(ア) 営業員は、学習指導依頼契約書及びクレジット契約書を交付したが、特定商取引法に基づく概要書面を交付せず、契約書面には記載すべき事項が欠落していた。
(イ) 消費者がクレジットの内容を聞いたところ、営業員は、「当センターの人件費、教育費、ファックス、電話代、管理費他であり、教材ではない」と不実を告げた。
(ウ) 消費者が解約を申し出ると、営業員は、「クーリング・オフはとうに過ぎているので法的にも解約できない」と言った。消費者が何も答えずにいたら、営業員の態度が変わり、「あんた、謝りもしないで振り回すだけ振り回してそれで済むと思っているのか」と強い口調で言い、消費者を威迫し困惑させた。
(エ) 営業員は、「この教材に則って教えます。ちょっと高いのですが教師の指導や研究費にお金が掛かっています。いいシステムだから勉強できるようになります。」と説明したが、カリキュラムの内容や内訳については一切説明しなかった。消費者が、料金の内容が分かるものを求めたら、コピーを郵送すると約束したが送らなかった。
(オ) 営業員は午後8時ころに来訪し、11時過ぎに帰った。営業員には、契約するまで帰らないぞという雰囲気があり、説明や勧誘に長時間かかり、消費者は迷惑を感じた。
(カ) 消費者が契約解除を通知すると、担当営業員等3名が来訪し、思い留まるよう説得した。その夜、担当営業員が消費者に電話し、「契約を継続していただけるなら、5教科分を値引きし、3教科の値段でよいですから。」等と再度説得した。
(キ) 営業員は、「お子さんの勉強のことで困っていませんか。その子に応じたカリキュラムにより勉強を進めていきます。お伺いして説明します。」等と言い、消費者宅への訪問を承諾させたが、教材の販売については一言も触れなかった。
(ク) 営業員は、「特別にサービスします。資料代が必要ですがコピーを使用するなどして無料にします。2人の勉強をみてあげますが1人分の料金で結構です。受験については自分が全責任を持って希望通りにします。」と言った。
イ 特定商取引法46条に基づく指示
(ア) 契約に当たっては、特定商取引法に基づく記載事項を正しく記載した「概要書面」及び「契約書面」を交付すること
(イ) 売買契約の締結等について、不実なことを告げる行為や故意に事実を告げない行為をしないこと
(ウ) 売買契約の締結等について、人を威迫して困惑させる行為をしないこと
(エ) 迷惑を覚えさせる仕方で勧誘したり、契約の解除を妨害する行為をしないこと
ウ 条例48条に基づく勧告
(ア) 商品やサービスの販売の意図を隠したり、販売以外のことを主要な目的と告げて契約を勧誘しないこと
(イ) 取引条件が実際より著しく優良・有利と誤信させるような表現を用いて契約を勧誘しないこと
(ウ) 法律及び条例の遵守について、内部教育等により従業員に徹底すること
(6) 原告は、被告を相手方として、当庁に、発信者情報消去禁止仮処分命令申立事件を申し立て(当庁平成17年(ヨ)第2722号事件)、平成17年9月6日、別紙発信者情報記載の情報については本件の本案判決確定まで被告が保存する旨の和解が成立した(乙3)。
3 争点及び当事者の主張
本件の争点は、権利侵害の明白性及び正当理由の有無である。
(原告の主張)
(1) 本件侵害情報〈1〉のうち、「あの会社は本当にやめた方がいいと思います。会員になるのも家庭教師をやるのもです!」「社員が胡散臭い」「とにかく家庭教師まで騙すこんな会社とは関わらないでください。」という部分は、単純な評価やアドバイスの域を超え、直接原告の営業活動を妨害する記載内容であるし、「「指導マニュアル」を送ると言いながら、半年経っても届きません、」という部分については、家庭教師として生徒の家庭に派遣される者に対して杜撰な研修しか行っていないなどという指摘であるが、原告は、家庭教師の派遣を行う際には、一度事業所に当該家庭教師候補者を呼んで研修を行い、その際、家庭教師心構えから指導に当たっての注意点を網羅した「家庭教師の先生方へ」という小冊子(甲3)を配布して適切な指導を行うように指示するのであり、そもそも郵送等で家庭教師候補者にマニュアルを送るということはなく、虚偽である。さらに、「生徒さんの紹介の際にもたくさん嘘をつかれます。」「教える教科についても嘘をつかれます。」という部分についても、原告が虚偽の事実を述べることなどなく、同侵害情報は原告の社会的評価を相当下落させている。
なお、同侵害情報は、原告の提供する家庭教師に関するものであるのに対し、当該行政指導の対象となった事実は、原告の営業活動に関するものであって、両者には何ら関連性はない。
(2) 本件侵害情報〈2〉のうち、「x社の仕組みは最近摘発された振り込め詐欺グループみたいなものです。」「家庭教師って話は勧誘に付け入る第一歩そして甘くて嘘の罠にすぎません。」「年々巧妙になっていますが、法律を逆手にとった大きな詐欺です。」との部分は、端的に原告を刑事犯罪者と同視させるものであるが、全くの事実無根であるし、「売りに来るセールスマンはたいした高校を卒業してないとか、高校中退者などです。」との部分は、原告の従業員の学歴を不当に低く評価し、ひいては原告の名誉を傷つけるものであるし、「電話での商品の話など150%ろくなものではないです。すべて嘘と思って受け答えするか、詐欺はいらんからときつく伝えて切った方がいいですよ。」との部分は、端的に原告の営業活動を妨害するものである。
(3) 本件侵害情報〈3〉のうち、「もう、ここまできたら、不実告知以前の問題ですね。そういう行為は詐欺ですから。」との部分は、学生アルバイトをしてテレホンアポインターをさせていることが民事上も刑事上も「詐欺」になど当たらないことは明白であり、端的に原告の名誉を毀損している。
(4) 原告は、非上場の一中小企業でしかなく、その事業活動を指摘することは公共の利害に関する事実には当たらない。また、インターネットという匿名性の中で虚偽の事実を用いた書込みにどこまで公益目的が認められるのか疑問であるし、本件ウェブサイトは、「掲示板」と称するものの、実際には一般の利用者が投稿できるものではなく、全て本件発信者が作成したものであることからすれば、本件ウェブサイトが公益目的を有しないことは明らかである。
さらに、原告が本件で提出した証拠からすれば、本件侵害情報が虚偽であることは明白である。
(5) そして、原告は、本件侵害情報による名誉毀損及び営業妨害に基づき、本件発信者に対して、送信防止措置、謝罪広告掲載及び損害賠償等の請求権を行使するために、被告に対し、被告が保有する別紙発信者情報目録記載の情報の開示を求めるものであり、原告には開示を受けるべき正当な理由がある。
(被告の主張)
(1) 原告は、本件ウェブサイト上の、本件侵害情報〈1〉に続く、投稿者新米家庭教師の記載や投稿者悪徳業者撲滅の記載を問題としていないことから、本件侵害情報〈1〉の内容につき、原告の社会的評価を相当下落させることを目的に虚偽の事実を捏造していると直ちに判断できるものではない。
(2) 本件侵害情報〈2〉は、前記投稿者悪徳業者撲滅の記載内容を原告が問題視していないことから、原告と消費者との間で家庭教師及び教材販売に関するトラブルがあり、原告が当該訴訟で敗訴したことは事実であると思われ、その関係者が他の一般消費者がトラブルに巻き込まれないように警告すること自体に何ら問題はない。また、学歴の問題は原告の指摘のとおりであると思われるが、投稿内容の全体的意味を強調するための文章であるとも解釈できる。
したがって、本件侵害情報〈2〉が端的に原告の営業活動を妨害するものであるとは被告は俄に判断できない。
(3) 本件侵害情報〈3〉につき、原告が指摘する部分は、内容的に意味不明であると同時に原告を誹謗中傷する点があると考えられる。しかし、原告が本件行政指導を受けていることからすると、同侵害情報は、当該訪問約束について消費者との間でトラブルがあったこと、及び今後もトラブルになる可能性が強いことを秘して、訪問約束電話の担い手たる高校生に虚偽や罪の意識を全く抱かせないようにして、これを道具として訪問約束電話をさせているという意味になり、被告は、この投稿内容の意味に関して、その虚実を判断する材料を有していない。
(4) 原告が指摘する各投稿内容は、大阪における訴訟事件に原告が敗訴したことや、原告が東京都から本件行政指導を受けていることを前提とするものであることは明らかであることから、被告は、原告の指摘する各投稿内容が、明白に原告の権利を侵害しているとは判断できない。
したがって、被告には、権利侵害の明白性が不明であるし、原告に発信者情報の開示を受けるべき正当な事由が存在することについても争うものである。
第3 当裁判所の判断
1 本件において、被告が、プロバイダ責任制限法上の「特定電気通信役務提供者」として「開示関係役務提供者」に該当することについては、当事者間に争いがない。
2(1) プロバイダ責任制限法4条1項1号は、発信者情報開示の要件として、「侵害情報の流通によって当該開示の請求をする者の権利が侵害されたことが明らかであるとき」と規定しているところ、権利侵害が「明らか」とは、開示を請求する者の権利が侵害されたことが明白であるということに加えて、不法行為等の成立を阻却する事由の存在をうかがわせるような事情が存在しないことまでを意味するものと解される。したがって、発信者情報の開示を求める場合、当該侵害情報によりその社会的評価が低下させられたことなど自己の権利の侵害を明白に根拠づける客観的事実に加え、違法性阻却事由があることをうかがわせるような事情が存在しないことについても併せて主張立証する必要がある。
そして、他人の名誉を毀損する事実を摘示する行為であっても、その行為が〈1〉公共の利害に関する事実に係り、〈2〉専ら公益を図る目的に出た場合には、〈3〉摘示された事実が真実であるときはその違法性が阻却されると解されるから、発信者情報の開示を求める場合、これらのいずれかの要件に該当することをうかがわせるような事情が存在しないことも主張立証しなければならない。
(2)ア 公共性及び目的の公益性
そこで検討するに、本件侵害情報に係る事実は、原告が消費者に対して行っている家庭教師派遣及び教材販売という業務に関する事実であり、本件ウェブサイトでは、「家庭教師センターに関する口コミ掲示板です。全国の家庭教師派遣会社の料金やサービスに関する情報を、閲覧できます。家庭教師センター選びの参考にしてください。」との記載のもと、本件侵害情報が記載されていること(甲1)からすれば、本件侵害情報に係る事実は公共の利害に関する事実であるということができ、また、専ら公益を図る目的でされたものというべきである。
イ 本件侵害情報〈1〉について
本件侵害情報〈1〉の「「指導のマニュアル」を送ると言いながら、半年経っても届きません。」との部分や「生徒さんの紹介の際にもたくさん嘘をつかれます。」「教える教科についても嘘をつかれます。」との部分は、原告が、家庭教師候補者に対し、必要な研修はもちろん、指導マニュアルを渡すこともせず、虚偽の情報を与えるとの意味に理解することができるから、本件侵害情報〈1〉は、原告の社会的評価を低下させるものと認めるのが相当である。
そして、原告の関東本部部長であるAは、陳述書(甲4)において、原告は、家庭教師の派遣を行う際には、一度事業所に当該家庭教師候補者を呼んで研修を行い、その際に家庭教師心構えから指導に当たっての注意点まで網羅した「家庭教師の先生へ」と題する小冊子(甲3)を配布して、適切な指導を行うよう指示しており、そもそも郵送等で当該家庭教師候補者にマニュアルを送るということはないことや上記研修の際に、当該家庭教師候補者に対し、生徒や家庭の身上、性格、志望校や必要教科といった指導の前提となる事項を正確に説明しており、虚偽の事実を述べることはない旨記載しているし、原告で家庭教師のアルバイトをしているBも、陳述書(甲6)において、同趣旨の記載をしているのであり、各陳述書の記載内容について、その信用性を疑うべき特段の事情は認められない。
したがって、本件侵害情報〈1〉に係る上記事実は真実ではないことが認められ、これを左右するに足りる証拠はない。
ウ 本件侵害情報〈2〉について
本件侵害情報〈2〉のうち「x社の仕組みは最近摘発された振り込め詐欺グループみたいなものです。」との部分は、原告を刑事犯罪者グループと同視させるものといわざるを得ないし、「売りに来るセールスマンはたいした高校を卒業してないとか、高校中退者などです。」との部分は、原告の従業員の学歴を低く評価するものであり、原告が家庭教師の派遣及び教材販売等を業とする株式会社であることからすれば、いずれも原告の社会的評価を低下させるものと認めるのが相当である。
そして、上記「x社の仕組みは最近摘発された振り込め詐欺グループみたいなものです。」との部分は、証拠等をもってその存否を決することが可能な他人に関する特定の事項ということはできず、意見ないし論評を述べたものというべきである。そして、特定の事実を基礎とする意見ないし論評の表明による名誉毀損については、前記〈1〉、〈2〉の要件に加え、〈4〉表明に係る内容が人身攻撃に及ぶなど意見ないし論評としての域を逸脱したものでなく、〈5〉意見等の前提としている事実の重要な部分が真実であるときは、その違法性が阻却されるものと解されるところ、上記部分は、会社組織として特別なものとはいえない原告の組織をもって、刑事犯罪者グループと同視するものであるから、意見ないし論評の域を逸脱したものと解するのが相当である。また、「売りに来るセールスマンはたいした高校を卒業してないとか、高校中退者などです。」との部分は、原告の関東本部部長であるAは、陳述書(甲4)において、原告の従業員の学歴を不当に低く評価している旨記載してこれを否定しているのであり、上記部分が真実であるとうかがわせるような事情は認められない。
したがって、本件侵害情報〈2〉に係る上記記載は、真実ではないことか、意見ないし論評の域を逸脱していることが認められ、これを左右するに足りる証拠はない。
なお、本件侵害情報〈2〉のうち「年々巧妙になっていますが、法律を逆手にとった大きな詐欺です。」との部分は、その前の記載を併せ読むと、家庭教師に関して勧誘を始めた後、教材の販売を行うことについて違法ないし脱法であるとの意見を表明している意味に解することができるところ、前提事実記載のとおり、原告は、東京都から、商品やサービスの販売の意図を隠したり、販売以外のことを主要な目的と告げて契約を勧誘しないこと等を内容とする条例による勧告を受けているのであるから、上記部分が真実であることを窺わせる事情がないとまでいうことはできず、また、当該部分が意見ないし論評の域を逸脱したものとまでいうこともできず、この点についての原告の主張は採用できない。
エ これに対し、被告は、本件侵害情報が、大阪での訴訟事件において原告が敗訴したこと、本件行政指導を前提とするものであることは明らかであるから、被告は、原告の指摘する各投稿内容につき、明白に原告の権利を侵害しているとは判断できない旨主張するが、本件の全証拠によっても、原告が、消費者との間の訴訟において、敗訴判決を受けたとの事実を認めるに足りる証拠はないし、原告は、本件行政指導を受けているが、当該行政指導の対象となった不適正な取引行為の例は、本件侵害情報に係る事実とは異なるものが多く、これをもって、前記認定を左右することはできない。
オ 本件侵害情報〈3〉について
本件侵害情報〈3〉のうち「もう、ここまできたら、不実告知以前の問題ですね。そういう行為は詐欺ですから。」との部分は、原告が高校生をテレホンアポインターとして使用していることが、それ自体詐欺行為に該当し、原告が詐欺を行っているとの意味に理解することができるから、原告の社会的評価を低下させるものと認めるのが相当である。
しかし、当該部分は、原告が高校生をテレホンアポインターとして使用していることを前提事実として、意見ないし論評を述べたものといえるが、原告は、高校生をテレホンアポインターとして使用していること自体は否定していないから、これは真実であることが認められ、また、当該部分は、人身攻撃に及ぶなど意見ないし論評の域を逸脱したものとまでいうことはできない。
したがって、本件侵害情報〈3〉については、原告の権利を侵害することが明白であるということはできない。
3 以上のとおり、本件侵害情報のうち〈1〉及び〈2〉は、原告の社会的評価を低下させるものであり、かつ、本件においては、真実ではないことか、意見ないし論評の域を逸脱していることが認められるから、本件侵害情報の流通により原告の名誉が侵害されたことは明らかというべきであり、権利侵害要件を充足するものと認めるのが相当である。そして、原告が、本件発信者に対し、損害賠償等の請求権を行使するためには、別紙発信者情報目録〈2〉記載の発信者情報が必要であることは明らかであり、他にこれを覆すに足りる証拠はない。
よって、原告の被告に対する請求のうち、別紙発信者情報目録〈2〉記載の発信者情報の開示を求める部分は理由があるので、これを認容するが、仮執行宣言については、性質上相当ではないから、これを付さないこととし、主文のとおり判決する。
(裁判官 篠原礼)
発信者情報目録〈1〉
「http://fine.ap.teacup.com/tutor/」というURLを用い、「家庭教師業者情報掲示板」という題名のウェブサイト(以下「本件ウェブサイト」という。)上の別紙メッセージ目録記載の侵害情報(以下「本件侵害情報」という。)の送信に係る者その他当該ウェブサイトを運営していた者(以下「本件発信者」という。)に係る、下記の情報。
記
1.本件発信者が、本件ウェブサイトの利用登録にあたり被告に提供した氏名又は名称及びメールアドレス。
2.本件発信者が、本件ウェブサイトの利用登録を行った際の接続元IPアドレス(インターネットに接続された個々の電気通信設備(電気通信事業法(昭和59年法律第86号)第2条第2号に規定する電気通信設備をいう。以下同じ。)を識別するために割り当てられる番号をいう。以下同じ。)並びに当該IPアドレスを割り当てられた電気通信設備から開示関係役務提供者の用いる特定電気通信設備に本件ウェブサイトの利用登録情報が送信された年月日及び時刻。
3.本件発信者が、本件侵害情報の各投稿を行うために被告の管理するインターネットに接続された個々の電気通信設備にアクセスした際の接続元IPアドレス並びに当該IPアドレスを割り当てられた電気通信設備から開示関係役務提供者の用いる特定電気通信設備に本件侵害情報が送信された年月日及び時刻。
4.本件発信者が、本件ウェブサイトの管理・投稿画面にアクセスした際の接続元IPアドレス並びに当該IPアドレスを割り当てられた電気通信設備から開示関係役務提供者の用いる特定電気通信設備に本件ウェブサイトの管理・投稿画面の利用情報が送信された年月日及び時刻(ただし、平成17年1月1日以降のものに限る。)。
発信者情報目録〈2〉
「http://fine.ap.teacup.com/tutor/」というURLを用い、「家庭教師業者情報掲示板」という題名のウェブサイト(以下「本件ウェブサイト」という。)上の別紙メッセージ目録記載の侵害情報(以下「本件侵害情報」という。)の送信に係る者その他当該ウェブサイトを運営していた者(以下「本件発信者」という。)に係る、下記の情報。
記
1.本件発信者が、本件ウェブサイトの利用登録にあたり被告に提供した氏名又は名称及びメールアドレス。
2.本件発信者が、本件ウェブサイトの利用登録を行った際の接続元IPアドレス(インターネットに接続された個々の電気通信設備(電気通信事業法(昭和59年法律第86号)第2条第2号に規定する電気通信設備をいう。以下同じ。)を識別するために割り当てられる番号をいう。以下同じ。)並びに当該IPアドレスを割り当てられた電気通信設備から開示関係役務提供者の用いる特定電気通信設備に本件ウェブサイトの利用登録情報が送信された年月日及び時刻。
3.本件発信者が、本件侵害情報〈1〉及び〈2〉の各投稿を行うために被告の管理するインターネットに接続された個々の電気通信設備にアクセスした際の接続元IPアドレス並びに当該IPアドレスを割り当てられた電気通信設備から開示関係役務提供者の用いる特定電気通信設備に本件侵害情報が送信された年月日及び時刻。
4.本件発信者が、本件ウェブサイトの管理・投稿画面にアクセスした際の接続元IPアドレス並びに当該IPアドレスを割り当てられた電気通信設備から開示関係役務提供者の用いる特定電気通信設備に本件ウェブサイトの管理・投稿画面の利用情報が送信された年月日及び時刻(ただし、平成17年1月1日以降のものに限る。)。
メッセージ目録
1.2005/3/3
「読んで下さい」 x社
私はいまx社で家庭教師をしていますが、あの会社は本当にやめたほうがいいと思います。会員になるのも家庭教師をやるのもです!まず、社員が胡散臭いです。そして一応テキストの使い方を教えるという名目で講習を受けなければならないのですが、はっきりいって説明になっていません!私は以前塾の講師をしていたので、自分なりに授業をしていますが、生まれて初めて家庭教師をする人は不安になると思います。しかも「指導のマニュアルを送る」と言いながら、半年経っても届きません。次に生徒さんの紹介の際にもたくさん嘘をつかれます。私は車で行ける所がよかったので「駐車場はあるんですか?」と聞くと車で行っても大丈夫だといわれました。しかし実際に行ってみると駐車場はなく、現在仕方なく25分かけて自転車で行っています。教える教科についても嘘をつかれます。私は英語と数学だけでいいといわれて引き受けたのですが、実際には全科目です。生徒さんに言われれば、保健体育だってやりますよ!あと、親御さんは先生一人につき2人の生徒まで見てもらえる、という風に言われているそうですが私は全く知りませんでした。でもせっかく引き受けた生徒さんですから、私は精一杯教えていますが…とにかく家庭教師まで騙すこんな会社とは関わらないでください。
投稿者:うさこ
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2.2005/2/7
「x社の本部は痛くもかゆくもないですよ。」 x社
x社の仕組みは最近摘発された振り込め詐欺グループみたいなものです。本部の下に枝が分かれてて、枝を取り仕切る人物がおり、各枝には枝事務所を仕切る人間がいます。枝のトップは枝事務所の売り上げから給料がきまります。だから一番上のx社本部はお金が運ばれてくるだけで、どうなろうが痛くもかゆくもなく、たとえ名前が使えなくなったり、本部を閉める羽目になっても名前を変えてまたします。家庭教師って話は勧誘に付け入る第一歩そして甘くてうその罠にすぎません。教材と家庭教師で何の問題もないとか言いますが、教えに来る家庭教師も実態を知らない人がほとんどでしょう。年々巧妙になっていますが、法律を逆手にとった大きな詐欺です。
しかも売りに来るセールスマンはたいした高校を卒業してないとか、高校中退者などです。
もし、契約したもんなら、x社の次の部署に顧客リストとして流され、重ね売りと言う新たな教材などを売りつけられます。お困りの方は大阪府堺市のC弁護士にお聞きになられると会社の詐欺の実態などもわかりますよ。いずれにせよ、電話での商品の話など150%ろくなものではないです。全て嘘と思って受け答えするか、詐欺はいらんからと、きつく伝えて切ったほうがいいですよ。
投稿者:悪徳商法撲滅2
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3.2005/2/5
「無題」 x社
《x社おそるべし。》
東京都から行政処分を受けて、求人募集が打てなくなった今現在も、まだ高校生を使ってテレアポやってますね。
もう、ここまできたら、不実告知以前の問題ですね。そういう行為は詐欺ですから。
やはり、近いうちに東京都に事務所の調査をしてもらって、x社の実態を世間に晒したほうがいいかもしれませんね。
売り上げもだいぶ落ちてきているみたいだし、そろそろ社員の皆さんも潮時ですね。
今まで散々稼いできた上層部はしっかりと責任をとられた方がいいと思います。
投稿者:D
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以上
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