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判例リスト「完全成果報酬|完全成功報酬 営業代行会社」(82)平成28年 6月15日 東京地裁 平27(ワ)10476号 損害賠償請求事件

判例リスト「完全成果報酬|完全成功報酬 営業代行会社」(82)平成28年 6月15日 東京地裁 平27(ワ)10476号 損害賠償請求事件

裁判年月日  平成28年 6月15日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平27(ワ)10476号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2016WLJPCA06158010

要旨
◆被告Y2、被告Y3及び被告Y4(被告3名)並びに訴外Bによってミャンマーに進出する会社へのコンサルティング業等を目的として設立された合同会社である原告が、被告3名は、原告の事業から一斉に離脱した上、被告Y1社を設立し、原告の事業を実質的に乗っ取ったなどと主張して、被告らに対し、連帯して、不法行為に基づく損害賠償を求めた事案において、被告3名が原告を退職するに至った経緯、被告らによる競業行為等の態様等に照らすと、被告3名が単なる従業員にとどまらず、原告の経営判断等について一定の意見を述べるような立場にあったことや、被告Y1社のホームページの体裁や記載に不適切な面があったことを考慮しても、被告らの行為が社会通念上自由競争の範囲を逸脱した違法な態様であったということはできないとして、被告らの不法行為を否定し、請求を棄却した事例

参照条文
民法709条

裁判年月日  平成28年 6月15日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平27(ワ)10476号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  請求棄却  文献番号  2016WLJPCA06158010

川崎市〈以下省略〉
原告 X合同会社
同代表者代表社員 A
同訴訟代理人弁護士 石井邦尚
東京都港区〈以下省略〉
被告 Y1合同会社(以下「被告会社」という。)
同代表者代表社員 Y4
横浜市〈以下省略〉
被告 Y2(以下「被告Y2」という。)
東京都江東区〈以下省略〉
被告 Y3(以下「被告Y3」という。)
東京都世田谷区〈以下省略〉
被告 Y4(以下「被告Y4」という。)
被告4名訴訟代理人弁護士 齋藤理英

 

 

主文

1  原告の請求をいずれも棄却する。
2  訴訟費用は原告の負担とする。

 

事実及び理由

第1  請求
被告らは、原告に対し、連帯して、847万4196円及びこれに対する平成27年1月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
1  本件は、原告が、B(原告の設立当時の代表社員・以下「B」という。)、被告Y2、被告Y3及び被告Y4(以下、これらの被告を「被告3名」という。また、Bと被告3名を併せて「本件4名」ということがある。)は、ミャンマーに進出する会社へのコンサルティング業等を目的とする原告を設立し、事業活動を行ってきたが、被告3名が、原告の事業から一斉に離脱した上、被告会社を設立し、原告の事業を実質的に乗っ取ったところ、被告らの行為は、自由競争の範囲を超え、原告の営業利益を違法に侵害し、不法行為を構成すると主張して、被告らに対し、連帯して、不法行為に基づく損害賠償請求権に基づき、損害金847万4196円及びこれに対する平成27年1月1日(不法行為日以降の日)から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。
2  前提事実
以下の事実は、当事者間に争いがないか、末尾記載の証拠等により容易に認められる。なお、書証番号には枝番を含む(以下同)。
(1)  原告は、経営・財務・会計・税務に関するコンサルティング業等を目的として平成25年8月23日に設立された合同会社であり、ミャンマーに進出しようとする日本企業へのコンサルティング等を行っている。
原告の設立時の代表社員はBであったが、平成27年1月30日以降、A(以下「A」という。)が同代表社員を務めている。
被告会社は、企業の経営・財務・会計・内部統制に関するコンサルティング業等を目的として平成26年11月18日に設立された合同会社である。被告3名は、被告会社の業務執行社員であり、被告Y4は代表社員である。(以上、争いのない事実)
(2)  本件4名はいずれも公認会計士・税理士である。被告Y2及び被告Y4は、税理士法人a会計(以下「a会計」という。)の代表社員を務めている。(争いのない事実)
(3)  本件4名は、ミャンマーに進出する日本企業へのコンサルティング業等を実施することを検討していたところ、平成25年4月1日、本件4名を組合員とする「b組合」(以下「本件LLP」という。)を設立した。(甲1)
本件LLPは、その頃、ミャンマーの会計事務所であるc事務所(以下「c事務所」という。)との間で、パートナー契約(業務提携契約)を締結した。(争いのない事実、乙12)
(4)  原告は、同年8月23日、設立され、同設立後、原告の補助元帳上、ミャンマー人のC(C・以下「C」という。)及び被告3名の給料が計上された。(争いのない事実、乙9の1、2)
(5)  本件4名は、Bの知人であり、英語が堪能なD(以下「D」という。)に対し、平成25年7月から(ただし、報酬支払は同年9月から)、ミャンマー関係の仕事につき、業務を委託した。同業務の内容は、週二日程度、ミャンマー関係の仕事をし、ミャンマー訪問にも同行するというものであった。Dへの業務委託は、平成26年8月末に終了した。(争いのない事実)
(6)  株式会社d(以下「d社」という。)は、化粧品の製造販売等を行う株式会社である。Bは、以前からの知人であるAに対し、d社の新たな海外進出の案件につき、話を持ちかけた。当初は、Aが副社長を務めるe株式会社(以下「e社」という。)の関与が検討されたが、その後、Aが代表取締役を務める株式会社f(以下「f社」という。)が、現地に実質的な子会社(g・以下「g社」という。)を作って、d社の案件に対応することとなった。
(甲23、弁論の全趣旨)
(7)  被告3名は、平成26年11月初め頃、原告を退職した。(弁論の全趣旨)
(8)  原告及び本件4名は、平成26年11月4日付けの合意書(甲4・以下「本件合意書」という。)を作成した。本件合意書には、「①原告は、平成26年11月4日現在、被告3名が原告に対して債権を有していることを確認し、Bは、原告の代表社員として、同様の内容を確認する。②前記債権(上記同日現在)は、被告Y2につき624万0296円、被告Y3につき68万円、被告Y4につき57万7409円であり、金額に修正があれば同月15日までに行う。③原告は、被告3名に対する前記債務を平成26年12月31日までに返済するものとする。④Bは、原告の被告3名に対する前記債務について、原告と連帯して保証するものとする。」旨が記載されていた。(甲4)
3  争点
(1)  被告3名が、原告の事業から離脱し、被告会社を設立するなどしたことは、自由競争の範囲を超え、原告の営業利益を違法に侵害し、不法行為を構成するか(争点1)
(2)  損害(争点2)
4  争点についての当事者の主張
(1)  被告3名が、原告の事業から離脱し、被告会社を設立するなどしたことは、自由競争の範囲を超え、原告の営業利益を違法に侵害し、不法行為を構成するか(争点1)
(原告の主張)
ア 被告3名は、原告の共同経営者的な立場にあったところ、共謀して、新会社を設立して、原告と競業する業務を開始することを企てて、原告の経営から一斉に離脱し、実際的に原告を乗っ取ったかのごとき態様で、原告と競業する業務を開始するなどした。その一連の行為は、社会通念上、自由競争の範囲を著しく逸脱しており、原告の営業利益を違法に侵害するものであって、不法行為を構成する。
本件においては、特に、原告における被告3名の立場、被告3名の一斉離脱の原告にとっての意味、競業行為の実行とその態様が、考慮されるべきである。
イ 被告3名が共同経営者的な立場にあったこと
被告3名は原告の従業員や社員ではなかったが、もともと本件4名で設立した本件LLPが発展するような形で原告が設立されたという経緯等もあり、被告3名は、実質的に、共同経営者的立場で、原告の経営に関与していた。
そもそも、ミャンマー関連の事業を開始することになったのは、被告Y2からの呼びかけがきっかけであり、当初は、本件4名が対等の立場の本件LLPを設立した。その後、創業補助金(以下「補助金」という。)の申請がきっかけで、Bが原告の代表社員となったが、Bが手続を進めていた川崎信用金庫が経営革新等認定支援機関(以下「支援機関」という。)となったからに過ぎず、被告Y2が手続を行っていた横浜銀行が支援機関となっていれば、被告Y2が代表社員になっていたはずである。
従業員への給料は補助金の対象となるが、役員報酬は補助金の対象にはならないことから、被告3名に従業員への給料名目の支払をしたことにして、その分の補助金を受け取るために、形式上はB1名を社員にすることとした。しかしながら、原告の川崎信用金庫から借入れにつき、Bが連帯保証したことを除けば、Bに代表社員の実態はなく、4人が対等というのを基本としつつ、被告Y2が主導的な立場にあるという関係が続いた。
原告の経営業務に関する判断は、本件4名で話し合って決めており、DやCと本件4名は明らかに立場が異なっていた。
原告の利益については、原告ないしBが独占するようなものではなかった。被告3名の離脱が、Aらにその段階で報酬を請求できなかったことが契機となっていることも、被告3名が単なる従業員とは異なることを示している。
ウ 被告3名の一斉離脱
本件4名の誰にも海外関連ビジネスの経験はなく、原告は、いわば先行投資の段階にあった。知識や経験、人脈等の先行投資は、目に見える形で原告に残るものではなく、いわば本件4名の中に蓄積するものであり、こうした中で、被告3名が原告を一斉に離脱するということは、原告にとってそれまでの先行投資の成果の多くを失うことになり、マンパワーの点でも、原告の事業の継続が困難となることは目に見えていた。4名のうち3名もが一斉に離脱したことにより、原告は、いわば中身を骨抜きにされ、しかも、川崎信用金庫からの借入金債務も含め、被告3名は、それまでの事業の負担のみを原告とBに押し付け、その一方で、何ら負担なく、知識・経験・人脈等を利用してミャンマー事業を行おうというものであった。
エ 競業行為の態様
(ア) 以下のとおり、被告らは、実質的に原告を乗っ取ったかのごとき態様で原告と競業する業務を開始した。
原告は、その資源の多くを失いながら、負担のみを押し付けられ、マイナスからの再スタートを強いられているのに対し、被告会社は、負担なしで、被告3名の知識、経験、人脈等を有するというプラスからのスタートである。その上で、被告会社は、実質的に、原告が商号変更しただけのような態様で業務を開始しているのであり、原告と被告会社との実質的な自由競争など望むべくもない。
(イ) 被告会社は、原告が使っていたドメイン名(○○.jp)を奪い、原告が開設していたホームページの社名を変更し、Bの写真や名前を削除したことなどを除けば、まったく同一の内容のまま、同一のURLで、被告会社のホームページにした。被告会社は、原告のこれまでの実績(ビザ申請サービスの開始、ヤンゴンオフィス開設、セミナー開催、タウン誌掲載、公認会計士「協同組合ニュース」への記事掲載など)を、ホームページに掲載し、自らの実績にした。
(ウ) ヤンゴンオフィスも、結局、被告会社のものとなっている。被告会社の本店所在地も、それまでの事務所所在地(a会計の住所地)と全く同じ場所であり、電話番号も原告が使っていた電話番号と同一であり、原告が雇っていたCも被告会社に雇用されている。
(エ) 被告3名の競業行為に対し、Bが同意したことはない。被告3名がミャンマー関連のビジネスを行うことも、Bは一方的に聞かされただけで、そもそも承諾を求められてもいない。Bが被告3名から一方的に聞かされたことについて、その場で異議を述べなかったり、被告会社のホームページに気付いてすぐに異議を述べなかったりしたのは、Bが連帯保証までするという本件合意書に強引に署名押印させられ、被告3名からその支払を求められるという状況の中で、言うことができなかったために過ぎない。
オ 被告3名の離脱に合理的な理由はないことについて
被告らは、Bが、d社の案件につき、報酬を請求しなかったことなどを根拠に、被告3名の原告からの離脱に合理的な理由があったと主張する。しかしながら、d社の案件は、「投資」をしてもらうというものであり、コンサルティングを提供するというものではなかった。そして、平成26年10月頃、暫定的に、ミャンマーの会社が化粧品販売を開始したが、この段階では、化粧品ビジネスのスキームは未完成であり、安定したものではなかった。なお、f社とミャンマー人の会社との契約は、最終的には締結されないまま、ビジネススキーム自体が終わってしまった。原告が提供することとなっていたサービスは、投資に足るスキームを作ることと、匿名組合の業務管理等を行い、ビジネスをサポートすることでスタートしており、その考え方は、その後も変わっていない。
被告3名は、Aらに無理な請求をしようとして拒まれると、あたかもBに非があるかのよう責め、難癖をつけて、自分たちが原告を一斉に離脱し、負担は原告とBに押し付けて、それまでの原告と実質的に同じといって良いような態様で被告会社を設立して、ミャンマー業務を開始しており、被告3名の一斉離脱に合理的な理由はない。
(被告らの主張)
ア 被告3名が、原告の事業から離脱し、被告会社を設立するなどしたことは、自由競争の範囲を超え、原告の営業利益を違法に侵害し、不法行為を構成するとの原告の主張は、否認し、又は、争う。
原告は、①共同経営者的な立場にあった被告3名が、②先行投資の段階で原告を一斉に辞め、③本件4名からBが抜けただけの態様で、競業行為を行ったと主張する。しかし、前記①は事実に反し、また、仮に前記①ないし③が認められるとしても、原告の請求が成り立つことはない。
イ 被告3名が共同経営者的立場になかったこと
登記上も明らかなとおり、原告は、Bのみを出資者として設立され、実質的にもBが代表者の地位にある。ミャンマーをターゲットにすることを提案したのはBであり、その後のミャンマービジネスに関する事業を主導的に進めたのもBである。Bが、主導的人物であることは、被告3名がBと袂を分かった時に、Bが退社せず、被告3名が原告を退職したことからも明らかである。
原告は、被告3名に従業員への給料名目の支払をしたことにして、その分の補助金を受け取るために、形式上はB1名を社員にすることとしたなどと主張するが、原告が、補助金を受給するために架空経費を計上したことはない。
原告が報酬を得た、又は、報酬を得る前提で業務を行っていたすべての案件について、Bが自ら仕事を獲得しているなど、Bが原告の活動の中心的人物であり、活動の実質を見ても、原告はBが経営する会社であることは明らかである。
ウ 仮に被告3名が共同経営者的な立場にあったとしても、違法性がないこと
(ア) 仮に、被告3名が共同経営者的な立場にあったとしても、Bとの意見衝突が生じて共同事業の継続ができないと判断し、共同経営関係を解消することそれ自体に違法性があるはずがない。また、仮に、共同事業を解消しようとする理由が必ずしも合理的なもとはいえないと仮定しても、被告3名が、自らの意思に反して、Bとの共同事業を法により強制されることはあり得ない。
(イ) 被告3名が原告を退職したのは、Bが原告の利益よりAらの利益を優先するような行動に出たことが看過し難く、信頼関係を維持することが不可能であると判断したということに過ぎない。
原告を退職するときに、Bと話合いを持った際に、Bは、被告3名がミャンマービジネスを改めて行うことについて、了解した。
B自身も、被告3名が原告を辞めることについて、特段異議を述べていないことは認めており、むしろ、平成26年6月頃になされた、Dの処遇に関する意見相違の頃から、被告3名と意見が食い違う場面が多くなったなどと述べ(甲23)、被告3名が離脱することに理由があることを認めている。
エ 被告3名が先行投資の段階で一斉に辞めた、退職後に競業行為を行ったなどの主張について
(ア) 原告の対外的実績など、原告自身認めるとおり、さしたるものはなく、被告らにそれを利用する意図はない。
被告3名が離脱した時点においては、未だ収益を得られる具体的な見通しがないことや、方針があわないまま事業を続けることにより、さらに投資損失が膨らむ可能性があることを考えると、この時期に被告3名が離脱することが違法であるはずがない。
(イ) 被告3名が原告を退職する際に、新たにミャンマーに関する事業を3人で行うことをBに伝え、少なくとも異議が述べられていないことは、B自身が認めている。
(ウ)a 原告のホームページについては、ドメインの権利を有しているのは、アプレシア株式会社(以下「アプレシア社」という。)であり、原告や被告会社ではない。平成26年11月4日の本件4名の会談時に、被告3名は、Bにホームページの爾後の取扱いを相談したところ、Bは、被告3名の自由にしていいと述べたので、被告会社設立後、最低限の手を加えることにより、被告会社のホームページに転用した。Bや原告は、被告3名の退社後、アプレシアに対する支払を一切しておらず、未払分も含め、被告会社が支払っている。ホームページについては、無用の紛争を避けるため、現在は、公開を中止している。
Bは、被告Y2が、平成26年11月下旬頃、被告会社がホームページを修正して使用することをBに伝え、Bがこれに対し何ら異議を述べていないことを認めており、仮に、Bの主張どおり、ホームページの使用について了解まではしていなかったと仮定しても、黙認はしていると評価すべきである。
b 被告会社の事務所や電話番号は、実際にそこに事務所が存在し、当該電話番号を使用しているのであるから、やむを得ない。退職時のBとの話合いの際に、被告3名がミャンマービジネスを行うことについてはBも了解しており、原告が、樫谷事務所との賃貸借契約を解除した後に、被告会社が改めて樫谷事務所から事務所を賃借したことは違法ではない。電話番号は、もともと、原告が、a会計が保有していた未使用の電話番号を使用させてもらっていたものを、被告Y2が原告を退職後、被告会社が使用しているに過ぎない。そもそも、原告は、a会計に対し、電話を使用していたことに対する対価(電話代金を含む。)をこれまで一切支払っていない。
c Cについては、原告が同人を雇用しないということなので、改めて被告Y2の関係会社が雇用したに過ぎない。
(2)  損害(争点2)
(原告の主張)
ア 原告は、以下のとおり、被告らの行為により、少なくとも847万4196円の損害を被った。
イ 原告が支出した分 1320万1901円
原告は、設立時から平成26年10月末まで、別紙1のとおり、支出した。
同金額のうち、Bのミャンマー訪問等に関する部分及びh株式会社(以下「h社」という。)に関する部分等を除いた部分が損害であり、別紙2のとおり、合計1320万1901円である。
ウ 将来の営業利益等 200万円
原告は、被告会社から、その事業を実質的に乗っ取られており、将来の営業分等として被った損害は200万円を下回ることはない。
エ 控除額 -749万7705円
原告は、借受金として、被告3名から合計749万7705円の支払を受けているので、損害賠償請求額から控除する。
オ 弁護士費用相当額 77万円
被告らの行為と相当因果関係がある弁護士費用相当分の損害額は、77万円を下回ることはない。
(被告らの主張)
ア 争う。
イ 原告は、原告が投資した金額からBに残っているもの(Bが支出したもの)を控除した金額が損害であると主張するが、現実に、事業活動を行って支出した費用それ自体が損害と評価できる特段の理由はない。
ウ 仮に、原告主張のとおり、被告3名が共同事業を行っていたと仮定すると、合意に基づく投資の未履行を主張されるのであれば格別、単純に原告が事業に投資した金額自体をもって、原告の損害と評価されることはあり得ない。
さらに、原告が損害として主張する1320万1901円の費用支出について、原告はこれを根拠に700万円の補助金を得ており、当該範囲において原告の損害を観念できない。その差額620万円についても原告が主張する、返還義務を負わない被告3名の投資額(749万7705円)の範囲に収まっており、原告の主張を前提とすると、原告には損害が生じていない。
第3  当裁判所の判断
1  認定事実
末尾記載の証拠(ただし、以下の認定に反する部分を除く。)及び弁論の全趣旨等によれば、以下の事実が認められる。
(1)  被告Y2とBは、平成21年、共通の知人の紹介により、知り合った。
Bは、被告Y2の紹介により、平成22年1月から、爽監査法人において非常勤として働くことになった。その後、Bは、監査の職務を通じて、被告Y3及び被告Y4と知り合った。(甲23、乙11の1、乙12、乙13)
被告Y2は、平成24年6月から同年7月にかけて、タイに出張した際に、日本の小規模な会計事務所も海外に展開できるのではないかなどと感じ、帰国後、会計士仲間に話をしたところ、B、被告Y3及び被告Y4が関心を示した。(乙12)
本件4名は、ミャンマーに進出する日本企業へのコンサルティング業等を実施することとしたが、ミャンマーに関連するビジネスの経験はなく、ミャンマー関連のコンサルティング等の業務に必要な知識と経験を積み上げることになった。また、営業面でも、特に見込み客等はおらず、ゼロからのスタートであった。(弁論の全趣旨)
(2)  平成25年2月、B、被告Y2及び被告Y3は、ミャンマー事業の準備のため、ミャンマーを訪問した。この際、Bの知人のコンサルタントを通じて現地の会計事務所をいくつか訪問するなどした。(甲23)
平成25年4月、本件LLPが設立された。本件LLPは、c事務所との間で、パートナー契約(業務提携契約)を締結した。(前記前提事実(3))
その頃、本件4名は、ミャンマー語の話せる人材を探していたところ、被告Y2がよく行っていたレストランのオーナーからCを紹介された。当初は、a会計がCの給料を支払い、Cはa会計の仕事も手伝っていたが、原告が設立された後は、原告がCの給料を支払った。(甲2、乙9の1、2、被告Y2)
本件4名は、平成25年9月から平成26年10月まで、複数回、ミャンマーを訪問し、現地調査、人脈開拓等を行った。(以上、甲23、弁論の全趣旨)
(3)  原告は、海外市場の獲得を念頭に置いた事業を起業する際の補助金制度を利用するためには、会社組織にすることが望ましかったことなどから、平成25年8月に設立された(前記前提事実(4)、乙12)
補助金の申請の際に、被告Y2の知り合いがいる横浜銀行に対しても支援機関となることを相談したが、結局、Bの知人が勤めていた川崎信用金庫が支援機関となることとなった。Bは、同人の名義で、補助金の申請を行い、原告の設立に伴い、申請者を原告に切り替えた。Bは、原告の代表社員となり、原告の川崎信用金庫からの借入れにつき、連帯して保証した。なお、横浜銀行が支援機関となった場合には、被告Y2が原告の代表社員となることもあり得た。(甲23、被告Y2、弁論の全趣旨)
(4)  アプレシア社の経営者が被告Y4の友人であり、安価でサービス提供をしてくれることもあり、原告は、そのホームページの維持・管理をアプレシア社に依頼した。原告のホームページのドメインの権利は、アプレシア社が保有していた。(乙13、弁論の全趣旨)。
原告は、ミャンマーへの進出を検討している日本企業を主な対象として、ホームページのほか、本件4名の人脈を通じて、営業を試みたが、具体的な案件に繋がらず、d社の案件を除くと、h社との契約(報酬額は月額5万円)を獲得できたほか、散発の案件があった程度であった。(甲23)
(5)ア  被告Y2は、顧客であったd社に対し、ミャンマーでの製品販売に興味がないかどうか、打診した。被告Y2は、d社の国際部長であるEから、原告が化粧品の販路を紹介したからといって、紹介者である原告に紹介料や手数料を支払うことは考えていないなどと言われた。(乙7)
イ  Bの紹介により、e社がd社の案件に興味を示したため、B及び被告Y2は、平成25年11月6日、e社を訪問し、F社長、A及びG(e社の相談役・以下「G」という。)と面談した。その際、Bは、Bが作成した3か年の事業計画案をe社に交付したが、同案においては、売上計上前の段階から、原告に月額10万円の業務委託費を支払うことが予定されていた。
Bは、同年12月19日、被告3名に対し、「①e社の状況について、昨日、Gと話をした旨、②説明が必要な事項(懸念点)として、現状は、原告の報酬について、管理報酬月額10万円+成功報酬(日本側利益の20パーセント)と提示していること、③Gは、『管理報酬については、Aを納得させることは問題ないと考えているが、成功報酬については、原告がどのようなことをやるからこの成功報酬になるかということを説明しづらい。』などとコメントしている。」などと記載したメールを送信した。
(以上、甲23、乙7の1、3、6、証人B)
ウ  Bは、e社側に、d社案件に係る複数のスキーム案を提示した。遅くとも、平成26年5月までには、e社ではなく、f社がd社案件を担当することとなった。(甲23)
エ  原告は、Cが中心となって、A、Gのミャンマー視察の手配等を行い、被告Y2及びDは、平成25年12月4日から同月7日まで、A及びGに同行して、ヤンゴンの視察を行った。平成26年1月以降も、原告は、Cが中心となって、c事務所と連絡をとり、Aらのためにパートナー候補を探すなどした。(乙7の1)
オ  補助金の対象となるのが平成26年8月分までの費用であったところ、同年6月頃、本件4名の間で、同年8月より後のDの処遇をどうするのかについて、議論となった。Bは、Dにミャンマーに駐在してほしいとの意見であったが、被告3名は、ミャンマー駐在は時期尚早との意見であった。最終的には、被告3名の意見により、原告は、Dへの業務委託を平成26年8月で打ち切ることとした。この頃から、Bと被告3名との意見が食い違う場面が多く出るようになった。(甲23、24)
Bは、d社の案件につき、Aらとの間の窓口となっていたところ、被告3名は、Bに対し、同案件について、f社かg社との間での業務委託契約を締結することや、報酬を受領することを主張した。Bは、Aに対し、これらの話をしたが、Aは、一般的に会計士に期待されうるコンサルティングの質に到達していないなどと述べ、報酬ないし顧問料の支払要求に応じなかった。(甲23、24)
カ  Bは、ミャンマーの化粧品販売店が開店した少し後である平成26年10月上旬頃、被告3名に対し、Aから報酬や実費につき、支払を受けられない旨を伝えた。被告Y2は、同月27日、Bの同席の下、d社の件につき、Gと面談し、報酬や実費の支払を求めたが、Gは、これらを支払えない旨や、Aも同じ考えである旨を述べた。被告Y2は、Aと電話で話をしたが、Aからも報酬等を支払えない旨を言われた。被告3名は、Aへの報酬等の請求についてBと意見が対立し、Bと一緒にビジネスを続けることはできないとの見解に至り、原告を辞めることとした。(弁論の全趣旨、乙12)
(6)  被告3名は、平成26年11月初め頃、原告を辞めた。原告と本件4名は、同月4日、本件合意書を作成した。(前記前提事実(8))
被告3名は、原告を辞める際、Bに対し、原告を辞めた後、ミャンマーに係る仕事をする旨を告げた。これに対し、Bは異議を述べなかった。
(証人B)
Bは、被告3名がc事務所との契約を引き継ぐ可能性があると認識していたが、本件合意書を作成した頃、被告3名らに対し、c事務所との契約を原告において、引き継ぐことはできない旨を伝えた。原告は、c事務所が不動産オーナーから賃借する物件を、c事務所から転借しており、平成27年1月分まで、同事務所に係る賃料を負担したが、同年2月からは、被告会社が、c事務所との間の契約を引き継いだ。(証人B、弁論の全趣旨)
平成26年11月4日当時、原告が報酬をもらうことができる案件は、h社の案件と、i社という会社から、決算の際に3万円を受領する案件のみであった。(証人B)
(7)  原告は、a会計が保有していた未使用の電話番号を、無償で使用していたが、被告3名の退職後、被告会社が同電話番号を使用した。また、原告は、日本における事務所につき、樫谷事務所との間で賃貸借契約を締結していたが、同契約を解除した。その後、被告会社は、樫谷事務所から同じ事務所を賃借した。
Cは、被告Y2の関連会社に雇用されたが、ミャンマー関連の仕事がなくなったため、退職した。
(以上、被告Y2、弁論の全趣旨)
Bは、遅くとも平成26年11月下旬に、被告会社のホームページの内容を確認したが、被告らに対し、同ホームページについて、異議を申し入れなかった。(証人B)
2  争点1(被告3名が、原告の事業から離脱し、被告会社を設立するなどしたことは、自由競争の範囲を超え、原告の営業利益を違法に侵害し、不法行為を構成するか)について
(1)  原告は、被告3名は、原告の共同経営者的な立場にあったところ、共謀して、新会社を設立し、原告と競業する業務を開始することを企てて、原告の経営から一斉に離脱し、実際的に原告を乗っ取ったかごとき態様で、原告と競業する業務を開始するなどしており、被告3名の一連の行為は、社会通念上、自由競争の範囲を著しく逸脱しており、原告の営業利益を違法に侵害するものであって、不法行為を構成する旨主張する。
元従業員等の競業行為が、社会通念上自由競争の範囲を逸脱した違法な態様で元雇用者の顧客を奪取したとみられるような場合等には、その行為は元雇用者等に対する不法行為に当たると解すべきである(最判平成22年3月25日第1小法廷判決・最高裁判所民事判例集64巻2号562頁参照)本件においては、被告3名の立場等(後記(2))、被告3名が原告を退職するに至った経緯(後記(3))、被告らによる競業行為等の態様等(後記(4))を総合検討し、被告らの行為が社会通念上自由競争の範囲を逸脱した違法な態様であったかについて、判断する。
(2)  被告3名の立場等について
ア Bは、原告の代表社員であり、原告の借入れについても連帯して保証しているのに対し、被告3名はそのような地位にはないものである。
イ 他方で、①もともと被告Y2の声かけに端を発し、設立された原告の前身というべき本件LLPにおいては、本件4名が組合員であったこと(前記前提事実(3))、②補助金の受給のためもあり、Bを代表社員として原告が設立されたが、横浜銀行が支援機関となった場合は、被告Y2が原告の代表社員となることもあり得たこと(前記認定事実(3))、③原告のホームページの会社概要において、代表社員は記載されず、本件4名がメンバーとして並列的に記載されていたこと(甲2の2)、④被告3名は、Dとの業務委託契約の打切りや、Aらへの報酬等の請求につき、Bと異なる意見を有していた際に、被告3名の主張をBに伝え、Dの件については、被告3名の意見に沿った対応がなされたこと(前記認定事実(5)オ、カ、(6))、⑤被告3名は、Aへの報酬等の請求についてBと意見が対立し、Bと一緒にビジネスを続けることはできないとの見解に至り、原告を辞めるに至っていること(前記認定事実(5)オ、(6))などに照らすと、被告3名は、単なる従業員にとどまらず、原告の経営判断等について一定の意見を述べるような立場にあったことが認められる。
(3)  被告3名が原告を退職する経緯等
ア 競業避止義務等の特約等はないこと
原告と被告3名は、被告3名が原告を退職する際に、退職後の競業避止義務等に関する特約等は定めておらず、かえって、被告3名は、原告を辞める際、Bに対し、原告を辞めた後にミャンマーに係る仕事をする旨を告げ、これについて、Bは異議を述べなかったものである(前記認定事実(6))。
イ 被告3名が原告を退職するに至った経緯、理由等
(ア) 前記認定事実((5)オ、カ)のとおり、Dへの業務委託の打ち切りに関し、Bと被告3名との関係がやや悪化したが、Aらへ報酬等の請求を巡って、Bと被告3名との意見が対立し、被告3名は、平成26年11月、原告を退職するに至ったものである。
(イ) この点につき、原告は、d社の件は、「投資」をしてもらうというものであり、コンサルティングを提供するという話ではなかったものであり、被告3名の離脱に合理的な理由はない旨等を主張する。
しかしながら、①d社の案件について、当初、Bが作成した事業計画案においては、原告は、売上計上前の準備段階から、管理報酬として月額10万円を受け取ることが前提とされていたこと、②同年12月時点でも、Bは、被告3名に対し、管理報酬月額10万円及び成功報酬をGに提示し、Gから管理報酬については問題がないなどの返答を得ている旨知らせていたこと(以上、前記認定事実(5)イ)、③Aらが満足していたかは別として、原告は、d社案件につき一定の活動を行ったこと(前記認定事実(5)エ)からすると、Aらから一定の報酬を受領すべきとの被告3名の主張は、一定の合理性があったというべきである。他方で、d社の案件は、必ずしも順調に推移していなかった(甲23、弁論の全趣旨)ものであり、同請求についてのBの見解にも一定の合理性があったといえ、Bと被告3名のいずれの見解が、明白に理由を欠くものであったということはできない。
(ウ) このような状況を前提とし、かつ、①主たる案件であったd社の案件について、いかなる方針を取るかについて、本件4名内で意見の対立がある状態で、原告が事業を継続することは、かえって原告の安定的な経営を困難とするおそれがあったというべきこと(なお、Bは、被告3名から退職を申し出られた際に、被告3名を引き留めるなどの行動をとっていないところ(甲23)、B自身、その当時、Bと被告3名との対立状態を解消することは困難であるとの認識を有していたことがうかがわれる。)、及び、②Bが原告の代表社員であったのに対し、被告3名はそのような地位にはなかったことなどに照らし、被告3名が平成26年11月に原告を退職したことには、合理的な理由があったというべきである。
(4)  被告らによる競業行為等の態様等
ア 原告は、被告らは、実質的に原告を乗っ取ったかのごとき態様で原告と競業する業務を開始した旨主張し、事務所、電話番号、Cの雇用、ホームページ等について指摘するので、以下、検討する。
イ 事務所・電話番号・Cの雇用について
①原告は、ミャンマーの事務所物件をc事務所から転借していたが、Bは、平成26年11月4日、被告3名がc事務所との契約を引き継ぐ可能性があると認識していた上で、被告Y2らに対し、c事務所との契約を引き継ぐことはできない旨を伝え、被告会社が、原告とc事務所との間の契約を引き継いだこと(前記認定事実(6))、②日本における原告の事務所や使用電話番号に係る経緯(前記認定事実(7))、③原告ないしBにおいて、被告3名の退職後にもCの雇用を継続することを希望した経緯は認められないこと(弁論の全趣旨)などによれば、事務所・電話番号・Cの雇用に係る経緯につき、被告らが違法な行為に及んだということはできない。
ウ ホームページについて
(ア) 被告会社のホームページは、原告の従前のホームページと体裁をほぼ同じくし、また、原告において行った活動があたかも被告会社の活動であるかのように記載されており(以上、甲2、3・枝番を含む。)、閲覧した者において、原告と被告会社とを混同しかねない体裁及び記載となっており、不適切な面があったというべきである。
(イ) 他方で、被告3名が原告を辞めた時期において、原告は、d社案件ほか2件のほかは、さしたる業務を担当していなかったものであり(前記認定事実(6))、本件の経緯に照らしても、原告が、そのホームページを通じて、顧客からの認知を得ていたものとは認め難い。このことは、Bが、遅くとも平成26年11月下旬頃には、被告会社のホームページの内容を確認したが、何ら異議を申し入れなかったこと(前記認定事実(7))からも裏付けられる。
なお、この点につき、原告は、Bは、本件合意書に基づく支払請求を受ける状況下で、異議を述べなかったに過ぎない旨主張する。しかしながら、仮に、そのような状況下であったとしても、被告会社のホームページが、原告の業務に支障を及ぼすものであれば、本件合意書の問題は別として、直ちに、ホームページにおける記載の削除等を申し入れて然るべきである。しかるに、Bは、そのような行動に及んでいない。
以上からすると、被告会社におけるホームページの体裁や記載により、原告に対する現実的な支障を生じせしめていたとは認め難い。
(5)ア  以上を総合検討するに、被告3名が原告を退職するに至った経緯、被告らによる競業行為等の態様等に照らすと、被告3名は、単なる従業員にとどまらず、原告の経営判断等についても一定の意見を述べる立場にあったことや、被告会社のホームページの体裁や記載に不適切な面があったことを考慮しても、被告らの行為が社会通念上自由競争の範囲を逸脱した違法な態様であったということはできない。
イ  なお、原告は、本件4名の誰にも海外関連ビジネスの経験はなく、知識や経験、人脈等の先行投資はいわば本件4名の中に蓄積するところ、被告3名が原告を一斉に離脱するということは、原告にとってそれまでの先行投資の成果の多くを失うことになり、原告はいわば中身を骨抜きにされ、しかも、川崎信用金庫からの借入金債務も含め、被告3名は、その負担のみを原告とBに押し付け、その一方で、何ら負担なく、知識・経験・人脈等を利用してミャンマー事業を行おうというものである旨主張する。
しかしながら、被告3名には、その意に反して原告における事業を継続すべき義務はなく、かつ、前記判示のとおり、主たる案件について、いかなる方針を取るかについて、本件4名内で意見の対立がある状態で、原告が事業を継続することは、かえって原告の安定的な経営を困難とするおそれがあったものである。また、原告の借入れは、原告の経営判断の下に行われ、かつ、Bは、自らの判断により、原告の代表社員に就任し、原告の債務を連帯して保証したものであって、両者にこれらに伴う負担があるからといって、被告らの不法行為を基礎付けるものということはできない。
(6)  まとめ
以上のとおり、被告らの行為が社会通念上自由競争の範囲を逸脱した違法な態様であったということはできず、不法行為に係る原告の主張は理由がない。
3  結論
以上によれば、その余の点について判断するまでもなく、本件各請求は理由がないから、これらを棄却することとして、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 千葉和則 裁判官 園部直子 裁判官 西臨太郎)

 

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