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「営業会社 成功報酬」に関する裁判例(7)平成30年10月26日 東京地裁 平29(ワ)41791号 売掛金請求事件

「営業会社 成功報酬」に関する裁判例(7)平成30年10月26日 東京地裁 平29(ワ)41791号 売掛金請求事件

裁判年月日  平成30年10月26日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平29(ワ)41791号
事件名  売掛金請求事件
文献番号  2018WLJPCA10268012

裁判年月日  平成30年10月26日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平29(ワ)41791号
事件名  売掛金請求事件
文献番号  2018WLJPCA10268012

東京都中央区〈以下省略〉
原告 デジタルデータソリューション株式会社
同代表者代表取締役 A
同訴訟代理人弁護士 成田騎信
東京都渋谷区〈以下省略〉
被告 株式会社ヒューストンコーポレーション
同代表者代表取締役 B
同訴訟代理人弁護士 菊池不佐男

 

 

主文

1  被告は,原告に対し,194万4000円及びこれに対する平成28年3月1日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
2  訴訟費用は被告の負担とする。
3  この判決は,仮に執行することができる。

 

事実及び理由

第1  請求
主文同旨
第2  事案の概要
1  本件は,原告が,被告との間でサーバーのデータ復旧契約を締結し,データ復旧作業を完了してサーバーを納品したのに,代金が支払われないと主張して,被告に対し,同契約に基づく代金請求として,194万4000円及びこれに対する約定の支払期限の翌日以後である平成28年3月1日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
2  前提事実(当事者間に争いがないか,後掲の証拠及び弁論の全趣旨によって容易に認められる事実)
(1)  当事者
ア 原告(前商号:OGID(オージッド)株式会社)は,データの復旧を業とする株式会社である。
イ 被告は,宣伝代理業務等を業とする株式会社である。
(2)  本件契約
原告は,平成27年12月28日,被告からサーバー(以下,同サーバー本体及びこれに保存されたデータを含めて,「本件サーバー」という。)のデータ復旧作業(以下「本件作業」という。)の依頼を受けて,「御見積書」(甲1。以下「本件見積書」という。)を提示した。
被告の担当者であったC(以下「C」という。)は,本件見積書の下部の「発注書」欄に署名した(以下,この契約を「本件契約」というが,その成否については,後記のとおり争いがある。)。
(3)  本件作業の完了及び本件契約の代金の未払
原告は,平成27年12月29日,本件作業を完了し,被告に対し,本件契約の代金が194万4000円になること等を説明したところ,被告から,一括で支払うことができず,2回の分割払いにして欲しいとの申出を受けたため,被告に対し,平成28年1月29日と同年2月29日にそれぞれ97万2000円の支払を求める旨の「御請求書」2通(甲2の1・2。以下「本件各請求書」という。)と「支払い予定日に関する証明書」2通(甲3の1・2。「以下「本件各証明書」という。)を送付した。
Cは,同年1月15日,本件各証明書に署名押印し,これらを原告に送付した。
原告は,被告に対し,本件サーバーを納品したが,被告から,本件契約の代金は支払われなかった。
3  争点及びこれに関する当事者の主張
(1)  本件契約の成否(争点1)
ア 原告の主張
原告は,Cに対し,本件サーバーの診断の内容並びに本件作業及び本件見積書の内容(①高度解析作業費,②磁気情報修復作業費,③データ転送作業費,④安全復旧希望データ復旧成功費)を説明し,被告から了解を得た上で,本件見積書に署名してもらって,本件作業を行い,その後,本件各証明書に署名押印してもらった。また,原告は,本件見積書で,上記④の費用を0円から50万円としており,被告が復旧を希望するデータが,本件作業完了時にどの程度復旧したかによって,最終的に請求する金額を上限50万円の範囲で変動させているのであり,被告にとってメリットのある内容である。
したがって,本件契約の内容や代金は明確であり,本件契約が成立したことは明らかである。
イ 被告の主張
本件契約の対象となる本件作業の具体的な内容は,本件見積書や本件各請求書によっても全く特定されていない。
また,本件契約の代金も,本件見積書では,④安全復旧希望データ復旧成功費が0円から50万円とされ,「成功定義データ」の取り決めもされていないなど,全く特定されていない。
したがって,本件契約は成立していない。
(2)  本件契約が暴利行為として無効になるか(争点2)
ア 被告の主張
原告は,平成27年12月28日,Cから本件作業の依頼を受けた際,被告の無思慮と年末年始という時期が切迫していたことに乗じて,本件作業の対価として不当に高額な代金を提示し,被告代表者から電話で指示を受けて帰ろうとしたCに対し,本件見積書に署名しないと帰さないなどと迫り,本件見積書に署名させた。
そして,原告は,翌29日,被告代表者から,本件作業は不要であるため,本件サーバーを返還して欲しいと言われたのに,本件契約の代金を支払わなければ,本件サーバーを返還しないと言い,本件サーバーがなければ事業に支障が出る被告の窮状に乗じて,194万4000円を2回に分けて支払うことを約束させた。
なお,本件サーバーの障害(中度)の修理費用は,一般的に20万円から34万円程度であり,本件契約の代金194万4000円が不当に高額であることは明らかである。
したがって,本件契約は,暴利行為として無効になる。
イ 原告の主張
原告は,Cに対し,本件見積書を提示し,本件契約の代金について説明し,被告の了解を得た上で,被告の依頼を最優先して緊急対応し,極めて短期間で本件作業を完了したもので,本件見積書に署名しないと帰さないなどと迫ったことはない。
なお,本件サーバーはRAID構築された繊細で複雑なサーバーであり,障害レベルが重度である場合は,データ復旧作業に高度な知識や経験を要するから,本件契約の代金が不当に高額であるとはいえない。被告は,本件契約の代金が高額であると考えたのであれば,原告以外の他社に発注すればよかっただけである。
したがって,本件契約が暴利行為として無効になることはない。
第3  当裁判所の判断
1  認定事実
前提事実に加え,証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。
(1)  被告は,平成27年12月28日頃,本件サーバーにエラーが発生して立ち上がらなくなったところ,年末であったため営業している修理業者が限られており,インターネット検索により原告を発見した。
(2)ア  被告の担当者であったCは,平成27年12月28日,原告に電話で修理を依頼し,本件サーバーを持参した。
イ  原告の担当者は,本件サーバーはハードディスク(HDD)4本組のRAID構築されたサーバーであるところ,HDDのうち1台(DISK1)はHDDの磁気ヘッドに何らかの障害(物理的な障害)が発生し,残りの3台はシステム又はRAIDを構成する情報に何らかの障害(論理的な障害)が発生していると診断した(甲5)。
なお,RAIDとは,複数台のディスクディバイスを用いたシステムで,大容量のデータを保存・共有することができ,データの安全性の面でも非常に優れた装置であるとされているが,その構造は繊細で複雑なものになっていて,データ復旧の際には,不良と思われるHDDのみならず,システムを構築していた全てのHDDを一度に修復させる必要があり,最も高度な技術が必要となるとされている(甲6)。
ウ  原告の担当者は,Cに対し,「復旧作業としては,壊れたHDDをクリーンルーム内で分解交換し,専用設備にてHDDのクローンを作成し,別の設備上でRAIDの情報を分析してRAIDを再構築してから見えたデータをバックアップする。」などと説明した(甲5)。
エ  原告の担当者は,Cに対し,本件見積書を提示し,これに記載された①高度解析作業費,②磁気情報修復作業費,③データ転送作業費,④安全復旧希望データ復旧成功費等について説明した。なお,本件見積書によれば,本件契約の代金は,①が55万円,②が75万円,③が0円,④が0円から50万円で,最大で合計194万4000円(税込)とされており,「成功報酬制」について,「成功定義データ」を決定し,それがどの程度復旧できたかによって最終的な請求金額を調整することとし,「成功定義データ」が1つも復旧できなかった場合には,一切の費用が無料になるとされ,本件作業の完了予定日は平成28年1月3日とされていた。(甲1)
オ  Cは,本件見積書の下部の「発注書」欄に署名した。なお,同欄には,「復旧失敗の際は送料着払いにてご返却いたします。」,「お客様の症状に合わせて部品や技術員を手配しますので,作業依頼後のキャンセルはお受けできません。」,「復旧後のデータ納品方法については,復旧作業完了後に希望データの復旧成否を御確認いただき,お支払い完了後に御納品となります。」等と記載されていた。(甲1)
(3)  原告は,平成27年12月29日,下記の内容の本件作業を完了し,本件サーバーのデータを復旧させた(甲5)。
ア 物理復旧
原告が,本件サーバーのDISK1を開封し,磁気ヘッドとプラッタの状態を確認したところ,プラッタ表面にスクラッチと呼ばれる傷が発生していることを確認したため,独自の技術を使用して,ファームウェア情報の調整,磁気ヘッド交換を実施し,専用設備で動作を確認したが,データが全く読み取れない状態であったため,ファームウェア情報が欠損して認識させることはできず,復旧不可であると判断した。
イ 論理復旧
原告は,残りのHDD3台からバイナリデータ上でRAID情報を分析し,過去の復旧事例等を参考にして,従前のRAID環境の特定に成功し,その情報に基づいてRAIDを再構築し,その環境下でデータが見えたことを確認した後,データを納品用のHDDへ移行して作業を完了した。
(4)  原告は,被告に対し,本件契約の代金が194万4000円になること等を説明したところ,被告から,一括で支払うことができず,2回の分割払いにして欲しいとの申出を受けたため,被告に対し,平成28年1月29日と同年2月29日にそれぞれ97万2000円の支払を求める旨の本件各請求書と本件各証明書を送付した。
(5)  Cは,平成28年1月15日,本件各証明書に署名押印し,これらを原告に送付した。
原告は,被告に対し,本件サーバーを納品したが,被告から,本件契約の代金は支払われなかった。
(6)  被告は,第一東京弁護士会会長を通じて,株式会社バッファローDSS事業部データ復旧課(以下「バッファロー」という。)及び株式会社アイ・オー・データ機器データ復旧サービスセンター(以下「アイ・オー・データ機器」という。)に対し,原告作成の「診断結果及び作業報告書」(甲5)を添付した上,本件サーバーのデータ復旧作業に要する標準的な日数及び費用について,弁護士法23条の2に基づく照会をした。
ア バッファローは,上記照会に対し,外付け・内蔵ハードディスク/NAS(4ドライブ)のデータ復旧作業の実作業日数は3日から5日程度で,費用は24万円から34万円程度であると回答した。なお,費用の説明として,本件サーバーのDISK1は中度の物理障害に,残りのHDD3台は中度の論理障害に当たると考えられるが,結果的にHDD3台のみでデータ復旧が可能であったことから,24万円を請求することになるが,HDD3台でデータ復旧ができるか不明の状況の場合等は,DISK1も含めて復旧することが必要になる可能性もあり,34万円を請求することになると回答した(乙2,4)。
イ アイ・オー・データ機器は,上記照会に対し,NAS(4ドライブ)のデータ復旧作業の価格目安は,中度障害で20万円,重度障害で30万円(その他症状により別途見積を提示することもある。),納期は,受付から見積まで5日から10日,見積の着手回答から復旧作業まで3日から5日程度(障害状況及び容量等により前後することがある。顧客に対して復旧可能なフォルダ名やファイル名を事前に案内して着手の有無を確認し,金額について納得が得られない場合や必要なデータがない場合は,顧客からの指示に従って現状のまま返却する。)であると回答した(乙5の1~3)。
2  争点1について
(1)  原告は,前記第2・3(1)アのとおり,本件契約の内容や代金は明確であり,本件契約が成立していると主張する。
(2)  そこで,前記1の認定事実を踏まえて検討するに,被告の担当者であったCは,原告に本件サーバーの修理を依頼し,本件作業や本件見積書の内容について説明を受けた上,本件見積書に署名して,原告に本件作業を行わせた上,後日,本件契約の代金194万4000円を2回に分割して支払う旨の本件各証明書に署名押印し,本件サーバーの納品を受けている。
これに対し,被告は,本件契約の内容や代金が特定されていないと主張する。しかし,本件作業の詳細が,契約書や見積書に記載されている必要はない。また,本件見積書では,④安全復旧希望データ復旧成功費が0円から50万円となっているが,本件作業の結果が判明しなければ特定できないのはやむを得ないし,少なくとも上限額は明らかになっている。そして,最終的に,被告は,本件サーバーのデータが復旧したことを受けて,本件見積書に記載された上限額である194万4000円を支払う旨を合意しているのである。このように,本件契約の内容や代金は,十分に特定されていたというべきである。
なお,被告は,Cは,原告から本件見積書に署名しなければ帰さないと迫られて,本件見積書に署名させられ,本件契約の代金の支払を約束しなければ本件サーバーを返還しないと言われて,本件各証明書に署名押印したと主張する。しかし,Cが,原告から本件見積書に署名しなければ帰さないと迫られたことを認めるに足りる証拠はないし,本件見積書では代金の支払完了後に納品するとされていたのであるから,本件契約の代金の支払を約束しなければ本件サーバーを返還しないと言われたとしても当然である。このように,本件契約の成立に至る経緯にも,問題があったとはいえない。
(3)  以上の検討によれば,被告が,原告に対し,本件作業を依頼し,その成功報酬を含む対価として,代金194万4000円を支払う旨の本件契約が成立したと認めるのが相当である。
3  争点2について
(1)  被告は,前記第2・3(2)アのとおり,本件契約は,代金が不当に高額であって,暴利行為として無効であると主張する。
(2)  そこで,前記1の認定事実を踏まえて検討するに,一般論として,本件のようなサーバーのデータ復旧費用は,必ずしも一義的に決められていたり,市場相場に拘束されたりするものではなく,当事者間で,自由競争の範囲内において,具体的な事情を考慮して代金を設定することができる性質のものであると考えられる。
そして,本件において,被告は,年末頃に本件サーバーに障害が発生し,営業している修理業者が限られていたところ,インターネット検索で原告を発見して,原告に本件サーバーのデータ復旧を依頼し,原告から,本件作業及び本件見積書の内容について説明を受けた上で,本件契約を締結することとし,翌日には本件作業を完了してもらい,その後,本件サーバーの返却を受けることを条件として,代金194万4000円を分割払いすることを合意したのである。仮に,被告が,本件契約の代金が不当に高額であると考えたのであれば,原告以外の他社にデータ復旧を依頼すればよかったのであり,そうしなかったのは,時期的に原告以外に早期にデータ復旧を依頼できる業者を見つけられる見込みがなく,高額の代金を支払ってでも早期にデータ復旧を完了したいと考えたからであるとみるのが自然である。
確かに,バッファローは,本件サーバーの標準的なデータ復旧費用は,24万円から34万円程度であると回答し,アイ・オー・データ機器は,中度障害で20万円,重度障害でも30万円であると回答している。しかし,バッファロー及びアイ・オー・データ機器は,本件サーバーがNAS(基本的にLinuxというOSがベース)であることを前提としているところ,証拠(甲7,8)及び弁論の全趣旨によれば,本件サーバーは企業向けサーバー(Windows2003ServerというOSがベース)に分類され,同サーバー内に保存されているデータの復旧は,パターン化できないユニークな復旧となるため,NAS内に保存されているデータの復旧と比較して,難易度が高いことが認められる。それゆえ,本件サーバーの現物を確認していないバッファロー及びアイ・オー・データ機器が,適切なデータ復旧費用を算定できているとも限らない。
(3)  以上の検討によれば,原告と被告は,自由競争の範囲内で,具体的な事情を考慮して,本件サーバーの復旧費用を194万4000円とすることに合意したのであって,これが暴利行為として無効になるとはいえない。
4  小括
したがって,原告は,被告に対し,本件契約に基づく代金請求として,194万4000円及びこれに対する約定の支払期限の翌日以後である平成28年3月1日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求めることができる。
第4  結論
よって,原告の請求は理由があるから認容することとして,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第37部
(裁判官 西尾信員)

 

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