【営業代行から学ぶ判例】crps 裁判例 lgbt 裁判例 nda 裁判例 nhk 裁判例 nhk 受信料 裁判例 pl法 裁判例 pta 裁判例 ptsd 裁判例 アメリカ 裁判例 検索 オーバーローン 財産分与 裁判例 クレーマー 裁判例 クレプトマニア 裁判例 サブリース 裁判例 ストーカー 裁判例 セクシャルハラスメント 裁判例 せクハラ 裁判例 タイムカード 裁判例 タイムスタンプ 裁判例 ドライブレコーダー 裁判例 ノンオペレーションチャージ 裁判例 ハーグ条約 裁判例 バイトテロ 裁判例 パタハラ 裁判例 パブリシティ権 裁判例 ハラスメント 裁判例 パワーハラスメント 裁判例 パワハラ 裁判例 ファクタリング 裁判例 プライバシー 裁判例 プライバシーの侵害 裁判例 プライバシー権 裁判例 ブラックバイト 裁判例 ベネッセ 裁判例 ベルシステム24 裁判例 マタニティハラスメント 裁判例 マタハラ 裁判例 マンション 騒音 裁判例 メンタルヘルス 裁判例 モラハラ 裁判例 モラルハラスメント 裁判例 リストラ 裁判例 リツイート 名誉毀損 裁判例 リフォーム 裁判例 遺言 解釈 裁判例 遺言 裁判例 遺言書 裁判例 遺言能力 裁判例 引き抜き 裁判例 営業秘密 裁判例 応召義務 裁判例 応用美術 裁判例 横浜地裁 裁判例 過失割合 裁判例 過労死 裁判例 介護事故 裁判例 会社法 裁判例 解雇 裁判例 外国人労働者 裁判例 学校 裁判例 学校教育法施行規則第48条 裁判例 学校事故 裁判例 環境権 裁判例 管理監督者 裁判例 器物損壊 裁判例 基本的人権 裁判例 寄与分 裁判例 偽装請負 裁判例 逆パワハラ 裁判例 休業損害 裁判例 休憩時間 裁判例 競業避止義務 裁判例 教育を受ける権利 裁判例 脅迫 裁判例 業務上横領 裁判例 近隣トラブル 裁判例 契約締結上の過失 裁判例 原状回復 裁判例 固定残業代 裁判例 雇い止め 裁判例 雇止め 裁判例 交通事故 過失割合 裁判例 交通事故 裁判例 交通事故 裁判例 検索 公共の福祉 裁判例 公序良俗違反 裁判例 公図 裁判例 厚生労働省 パワハラ 裁判例 行政訴訟 裁判例 行政法 裁判例 降格 裁判例 合併 裁判例 婚約破棄 裁判例 裁判員制度 裁判例 裁判所 知的財産 裁判例 裁判例 データ 裁判例 データベース 裁判例 データベース 無料 裁判例 とは 裁判例 とは 判例 裁判例 ニュース 裁判例 レポート 裁判例 安全配慮義務 裁判例 意味 裁判例 引用 裁判例 引用の仕方 裁判例 引用方法 裁判例 英語 裁判例 英語で 裁判例 英訳 裁判例 閲覧 裁判例 学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例 共有物分割 裁判例 刑事事件 裁判例 刑法 裁判例 憲法 裁判例 検査 裁判例 検索 裁判例 検索方法 裁判例 公開 裁判例 公知の事実 裁判例 広島 裁判例 国際私法 裁判例 最高裁 裁判例 最高裁判所 裁判例 最新 裁判例 裁判所 裁判例 雑誌 裁判例 事件番号 裁判例 射程 裁判例 書き方 裁判例 書籍 裁判例 商標 裁判例 消費税 裁判例 証拠説明書 裁判例 証拠提出 裁判例 情報 裁判例 全文 裁判例 速報 裁判例 探し方 裁判例 知財 裁判例 調べ方 裁判例 調査 裁判例 定義 裁判例 東京地裁 裁判例 同一労働同一賃金 裁判例 特許 裁判例 読み方 裁判例 入手方法 裁判例 判決 違い 裁判例 判決文 裁判例 判例 裁判例 判例 違い 裁判例 百選 裁判例 表記 裁判例 別紙 裁判例 本 裁判例 面白い 裁判例 労働 裁判例・学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例・審判例からみた 特別受益・寄与分 裁判例からみる消費税法 裁判例とは 裁量労働制 裁判例 財産分与 裁判例 産業医 裁判例 残業代未払い 裁判例 試用期間 解雇 裁判例 持ち帰り残業 裁判例 自己決定権 裁判例 自転車事故 裁判例 自由権 裁判例 手待ち時間 裁判例 受動喫煙 裁判例 重過失 裁判例 商法512条 裁判例 証拠説明書 記載例 裁判例 証拠説明書 裁判例 引用 情報公開 裁判例 職員会議 裁判例 振り込め詐欺 裁判例 身元保証 裁判例 人権侵害 裁判例 人種差別撤廃条約 裁判例 整理解雇 裁判例 生活保護 裁判例 生存権 裁判例 生命保険 裁判例 盛岡地裁 裁判例 製造物責任 裁判例 製造物責任法 裁判例 請負 裁判例 税務大学校 裁判例 接見交通権 裁判例 先使用権 裁判例 租税 裁判例 租税法 裁判例 相続 裁判例 相続税 裁判例 相続放棄 裁判例 騒音 裁判例 尊厳死 裁判例 損害賠償請求 裁判例 体罰 裁判例 退職勧奨 違法 裁判例 退職勧奨 裁判例 退職強要 裁判例 退職金 裁判例 大阪高裁 裁判例 大阪地裁 裁判例 大阪地方裁判所 裁判例 大麻 裁判例 第一法規 裁判例 男女差別 裁判例 男女差别 裁判例 知財高裁 裁判例 知的財産 裁判例 知的財産権 裁判例 中絶 慰謝料 裁判例 著作権 裁判例 長時間労働 裁判例 追突 裁判例 通勤災害 裁判例 通信の秘密 裁判例 貞操権 慰謝料 裁判例 転勤 裁判例 転籍 裁判例 電子契約 裁判例 電子署名 裁判例 同性婚 裁判例 独占禁止法 裁判例 内縁 裁判例 内定取り消し 裁判例 内定取消 裁判例 内部統制システム 裁判例 二次創作 裁判例 日本郵便 裁判例 熱中症 裁判例 能力不足 解雇 裁判例 脳死 裁判例 脳脊髄液減少症 裁判例 派遣 裁判例 判決 裁判例 違い 判決 判例 裁判例 判例 と 裁判例 判例 裁判例 とは 判例 裁判例 違い 秘密保持契約 裁判例 秘密録音 裁判例 非接触事故 裁判例 美容整形 裁判例 表現の自由 裁判例 表明保証 裁判例 評価損 裁判例 不正競争防止法 営業秘密 裁判例 不正競争防止法 裁判例 不貞 慰謝料 裁判例 不貞行為 慰謝料 裁判例 不貞行為 裁判例 不当解雇 裁判例 不動産 裁判例 浮気 慰謝料 裁判例 副業 裁判例 副業禁止 裁判例 分掌変更 裁判例 文書提出命令 裁判例 平和的生存権 裁判例 別居期間 裁判例 変形労働時間制 裁判例 弁護士会照会 裁判例 法の下の平等 裁判例 法人格否認の法理 裁判例 法務省 裁判例 忘れられる権利 裁判例 枕営業 裁判例 未払い残業代 裁判例 民事事件 裁判例 民事信託 裁判例 民事訴訟 裁判例 民泊 裁判例 民法 裁判例 無期転換 裁判例 無断欠勤 解雇 裁判例 名ばかり管理職 裁判例 名義株 裁判例 名古屋高裁 裁判例 名誉棄損 裁判例 名誉毀損 裁判例 免責不許可 裁判例 面会交流 裁判例 約款 裁判例 有給休暇 裁判例 有責配偶者 裁判例 予防接種 裁判例 離婚 裁判例 立ち退き料 裁判例 立退料 裁判例 類推解釈 裁判例 類推解釈の禁止 裁判例 礼金 裁判例 労災 裁判例 労災事故 裁判例 労働基準法 裁判例 労働基準法違反 裁判例 労働契約法20条 裁判例 労働裁判 裁判例 労働時間 裁判例 労働者性 裁判例 労働法 裁判例 和解 裁判例

判例リスト「営業代行会社 完全成果報酬|完全成功報酬」(370)平成15年10月29日 東京地裁 平15(ワ)6950号 不当利得返還請求事件

判例リスト「営業代行会社 完全成果報酬|完全成功報酬」(370)平成15年10月29日 東京地裁 平15(ワ)6950号 不当利得返還請求事件

裁判年月日  平成15年10月29日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平15(ワ)6950号
事件名  不当利得返還請求事件
裁判結果  一部認容  文献番号  2003WLJPCA10299011

要旨
◆原告が、被告との受託契約に関連して、被告新商品のデザイン等を創作・制作したところ、被告が、契約の範囲を超えてこれら成果物の無断利用や意匠権登録を行い、さらに登録料不納付によって当該意匠権を消滅させたとして、利用行為についての不当利得返還および意匠登録について登録料を納付せずに抹消登録させた被告の行為についての不法行為に基づく損害賠償を請求した事案において、原告が被告のために創作した本件デザイン等について原告の排他的権利が成立しているものではないとしても、その役務の提供は、本件契約を契機として、被告のためにされていることが明らかであるから、被告の得た利得の限度で、法律上の原因に基づかない利得であると解するのが相当であるとして、被告による商品へのデザイン使用行為、本件デザインの意匠登録を受けた行為、及び本件ネームを使用した行為については未だ時効消滅していない利得を返還すべきであるとした事例

裁判経過
控訴審 平成16年 5月18日 東京高裁 判決 平15(ネ)5942号 不当利得返還等請求控訴事件

出典
裁判所ウェブサイト

参照条文
意匠法42条1項
意匠法44条4項
民法167条1項
民法703条

裁判年月日  平成15年10月29日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平15(ワ)6950号
事件名  不当利得返還請求事件
裁判結果  一部認容  文献番号  2003WLJPCA10299011

原告 株式会社友森鋭二郎デザイン研究所
訴訟代理人弁護士 長谷一雄
同 西浄聖子
被告 ニチハマテックス株式会社
訴訟代理人弁護士 石原金三
同 花村淑郁
同 杦田勝彦
同 石原真二
同 清水綾子
同 鈴木隆臣
同 春馬学

 

主文

1  被告は,原告に対し,170万円及びこれに対する平成15年4月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2  原告のその余の請求をいずれも棄却する。
3  訴訟費用は,これを10分し,その9を原告の負担とし,その余は被告の負担とする。
4  この判決は,第1項及び第3項に限り,仮に執行することができる。

事実及び理由

第1  請求
被告は,原告に対し,金5億円及び内金1億円に対しては平成15年4月9日から,内金4億円に対しては平成15年5月1日から各支払済みまで各年6分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
原告は,被告との間で,窯業系外壁材の新商品開発に関する業務を受託することを内容とする契約を締結し,同契約に関連して,被告の外壁材の新商品のデザインやネームを創作し,上記新商品のカタログ等を製作した。被告は,上記デザインやネームを被告の上記新商品に使用したり,上記デザインについて意匠登録を受けたりした(後に,登録料を納付しなかったため,登録抹消された。)。原告は,被告に対して,①これら成果物に関する被告の利用行為は,前記契約の範囲を超えた利用形態であり,不当利得を構成すると主張して,被告の得た利得の返還(16億3300万円),②上記意匠登録について登録料を納付せずに抹消登録させた被告の行為は,不法行為を構成すると主張して,上記意匠権の価格に相当する損害の賠償(3490万円),をそれぞれ求めた(合計16億6790万円の内5億円)。
1  前提となる事実(争いのない事実の他,弁論の全趣旨及び証拠によって認定した事実を含む。認定の根拠となる証拠を当該認定事実の末尾に摘示した。)
(1)  当事者
ア 原告は,商品デザイン開発,マーケティングシステム開発,経営戦略の開発等を目的とする株式会社である。
イ 被告は,木質繊維混入強化セメント板,硬質繊維板の製造及び販売その他の事業を目的とする株式会社である。
被告は,平成13年10月1日に,「三井木材工業株式会社」から現在の商号に変更した。
(2)  原,被告間の契約の締結
被告は,建物外装材である「センチュリーボードAⅡシリーズ」(以下「被告商品」という。)を製造販売する計画を立て,昭和63年7月末ころ,原告との間で,被告商品の開発に関する商品企画及びデザイン製作,サンプルピース製作,販売促進戦略(カタログ,サンプル製作及び各種イベント等)の提案,指導及び助言,並びにその他被告が依頼する事項についての業務委託契約(以下「本件契約」という。)を締結した。
(3)  契約書(覚書)の記載
原告と被告は,本件契約締結の際,本件契約の内容を定めるものとして「覚書」(以下「本件覚書」という。)を作成した。本件覚書には,次のとおりの記載がある(甲1)。
第1条 甲(被告を指す。)は乙(原告を指す。)に次の業務を委託する。
(イ) 窯業系外壁材の新商品開発に関する商品企画及びデザイン製作,サンプルピース製作
(ロ) 販売促進戦略(カタログ,サンプル製作及び各種イベント等)の提案,指導,助言
(ハ) その他甲が依頼する事項
第2条(イ) 甲は乙に第1条に係る報酬として50万円を毎月末に乙の指定口座に振り込むものとする。但し第1条(イ)項の業務のうちデザイン製作及びサンプルピース製作に伴う実技費用は都度見積の上別途精算する。
(ロ) 甲の要請により乙が東京都下以外に出張する場合の宿泊費,交通費は実費をもって甲が乙に支払う。但し宿泊場所は甲指定とする。
第3条 乙は本契約により知り得た甲の業務内容を第三者に漏洩してはならない。乙の漏洩により甲が損害を蒙った場合は甲が算出した金額に基づいて,乙はこれを賠償するものとする。
第4条 本契約の期間は昭和63年8月1日~昭和64年7月31日までとする。
第5条 本契約に規定のない事項が生じた場合は,甲,乙誠意をもって協議し解決するものとする。
(4)  原告の実施した業務内容,成果物に関する被告の利用態様
原告は,本件契約を締結した後,被告のために,以下のとおりの業務を行った。そして,被告は,原告の実施した業務の提供を受けて,以下のとおりの態様で,その成果を利用した。
ア デザインの創作,デザインのサンプルピースの提出
(ア) 原告の業務内容
原告は,窯業系外壁材のデザインを創作し,そのサンプルピース(石膏でデザインを具象化したもの)を製作して,これを被告に引き渡した。
(イ) 被告の利用態様
被告は,被告商品のシリーズのうちの一つである「マーキス」(以下「被告商品マーキス」という。)に,原告から提供されたデザインを使用することとした。
また,被告は,平成元年2月23日,原告から提出されたデザインを基に作成された別紙の図のとおりのデザイン(以下「本件デザイン」又は「本件意匠」という。)について意匠登録出願し,平成9年2月10日,別紙のとおりの意匠権(以下「本件意匠権」という。)の設定登録を受けた(以下「本件意匠登録」という。)。
イ 被告商品のネーム等の提案
(ア) 原告の業務内容
原告は,被告商品のネーム,ロゴマーク,エンブレム等を創作し,これを被告に提案した(甲11)。
(イ) 被告の利用態様
被告は,原告から提案された上記ネーム案の中から被告商品のネームとして,「デューク」,「マーキス」,「カウンテス」,「メヌエット」,「フーガ」,「バロン」,「コラール」,「バラード」を採用した(被告が採用した上記ネームを以下「本件ネーム」という。)。
ウ カタログの作製(ロゴマーク,オーナメント,エンブレムの創作も含む。),本件販売促進ツールの作成(甲7,32,33の1ないし5)
(ア) 原告の業務内容
原告は,被告商品の商品カタログ(以下「本件カタログ」という。)を作成し,これを被告に提供した。被告は,被告商品の販売に当たって,本件カタログを多数頒布した。本件カタログは,表紙及び裏表紙を除いて16ページで構成されている。本件カタログの表紙には,被告商品マーキス及び外国人の女性の写真が掲載され,また,被告商品の名称である「センチュリーボードAⅡ」や被告商品を構成する各商品である「デューク」や「マーキス」等の名称のロゴマーク,「光と影のコラージュ。」等のフレーズ,エンブレム,オーナメントが記載されている。本件カタログの各ページには,被告商品の特徴等を的確に表現したキャッチコピーが,写真及び絵とともに掲載されている。
また,原告は,被告商品の販売促進ツール(以下「本件販売促進ツール」という。)を作成し,これを被告に提供した。本件販売促進ツールには,8類型の建物の図等が記載されている。
また,原告は,外壁材の付属商品についてのカタログを作成し,これを被告に提供した。
(イ) 被告の利用態様
被告は,本件カタログ及び外壁材の付属商品についてのカタログを被告商品の販売に際して頒布した。
エ 各種実地調査結果,各種提案
(ア) 原告の業務内容
原告は,「御社新商品開発にかかわる基本的考察」と題するレポート(甲10)を作成し,これを被告に提出した。同レポートは,被告商品のコンセプト等について提案したもので,項目としては,「A はじめに」,「B 窯業系サイディング市場の現状分析」,「C 新商品開発(市場参入)における必須課題」があり,項目のCには,さらに,「1 新商品の格差,独自性を明確に訴求すること」,「2 新商品にふさわしい販売・販促システムをすみやかに構築する」,「3 発想を新たにした視点から,デザインプランを決定すること」,「4 価格競争から脱却した収益改善策をもくろむこと」,「5 新需要分野の開拓を目指したマーケティングを展開すること」の小項目がある。
また,原告は,ユーザーのトレンドを探求し,被告のポジショニングを決定し,外壁材のパターン,レリーフ,テクスチャーのバリエーションを検討した資料(甲12)を被告に提出した。
(イ) 被告の利用態様
被告は,原告の実施した各種実地調査,各種提案を受けて,これを被告商品の開発,製造,販売等に利用した。
(5)  その他
ア 被告は,平成元年4月から被告商品の製造,販売を開始した。被告は,原告に対して,本件契約の報酬を全額(600万円)支払った。
イ 本件意匠登録は,登録料不納付を原因として,平成14年10月30日付けで,抹消登録された(甲35)。
2  争点
(1)  不当利得返還請求権の成否等
ア 法律上の原因の有無
イ 消滅時効の成否
ウ 被告の受益及び原告の損失の額
(2)  不法行為に基づく損害賠償請求権の成否等(意匠登録の抹消につき)
3  争点に対する当事者の主張
(1)  不当利得返還請求権の成否-法律上の原因の有無(争点(1)ア)
(原告の主張)
原告は,被告に対して,前記前提となる事実(4)に記載したとおりの業務を提供した他に,外壁材のデザインパターンとして30数点を考案し,これらを被告に提供したり(被告は,そのうち7点を採用した。),外壁材の色指定作業を行ったりした。ところで,本件契約において原告が委託を受けた業務は,「商品計画」,「商品企画」,「デザイン制作」,「サンプルピース制作」,「販売促進戦略の提案,指導,助言」のみであり,本件契約は,被告が,原告の業務を通して考案した成果物を利用したり,意匠に係る権利について譲渡を受けることを内容としていない。本件覚書に規定されている月額50万円の報酬は,原告が受託業務を遂行する際に発生する人件費等の固定経費の対価を意味し,実質報酬を含んでいなかった。上記の業務の報酬やロイヤルティーの支払は,本件覚書5条で規定するとおり,将来の合意にゆだねられた。したがって,原告が,被告に対し上記各業務を提供し,被告がこれを利用したことについて,法律上の原因はないというべきである。
このように解すべき理由は,以下のとおりである。
ア 本件契約締結に至る経緯
原告代表者は,被告から新商品開発などの業務委託の申入れを受けた際,通常商品開発には数千万円の報酬の支払が必要である旨述べた。これに対して,被告の担当者であるAらは,十分な予算が獲得されていないから,数千万円規模の報酬の約束は現時点ではできないが,是非,原告に商品開発を行って欲しいと申し入れた。そこで,原告代表者は,月額50万円程度の固定費の支払と,商品化の際に別途販売実績に応じて一定の金額の報酬とロイヤルティーの支払を約束してくれれば,業務を受託する旨提案したところ,Aらは,本件覚書を原告に提示して,業務の委託を申し出た。原告代表者が,本件覚書には,商品化の際の成功報酬やロイヤルティーの支払についての記載がない旨指摘すると,Aは,「現時点で新商品がどれだけ売れるか分からないので,はっきり書けない。覚書の5条の双方が誠実に協議する条項があるので,将来協議できる。三井という看板を掲げているので大丈夫。信用してください。」と述べて,本件契約締結に至った。
イ 本件覚書の記載
本件覚書に記載されている委託業務の範囲は,特定が不十分で,極めて広範囲にわたる。このような広範な業務内容が委託の対象とされる場合,原告が投入する人件費,その他のコスト等は予測できないから,商品化の際の成功報酬,又は販売高に応じたロイヤルティーは,契約の内容とされていないと解するのが合理的である。月額50万円の定額報酬は,このような無限定,無定量の委託業務と対比すると著しくバランスを失する。
また,業務委託契約の遂行と契約の遂行の結果得られる成果物の利用及び帰属とは区別されているのが通常であり,本件契約においても,被告が委託契約の成果物を自己に帰属させたり,何らかの実施権を取得するという内容であるならば,本件覚書中に別途対価を支払う規定がある筈であるところ,本件覚書にはそのような条項はない。
ウ 原告の業務実施後の事情
被告は,原告から被告商品に関するアイデア等を提案を受けた後,原告に無断で本件デザインの意匠登録をする権利を譲り受けたとの虚偽の事実を前提に,平成元年2月23日,本件デザインの意匠登録出願をし,また,平成元年4月から被告商品の製造,販売を開始した。
被告は,本件契約の締結の際は,被告商品の販売高に応じて何らかの報酬を支払う旨明言しながら,本件デザインを冒認出願し,本件デザインを利用し,また,原告から提供を受けた前記アイデア等を利用し,それによる利益を独占しようとした。
原告は,平成2年2月末及び平成4年3月10日に報酬の決定について協議を申し入れたところ,被告は,意匠登録が完了したら支払うとして,協議の解決を先延ばしにし,意匠登録の事実も秘匿し続けた。他方,原告は,本件契約により,原告が提供したデザイン,アイデア等について守秘義務を課されている。
このように,被告は,原告に膨大な労力とコストをかけさせて,本件デザインやアイデア等を創作させ,これらにつき,原告に対する利用の機会を奪いながら,対価についての協議を避けてきた。
(被告の反論)
本件契約は,原告が新商品のデザイン製作や新商品の販売促進戦略の提案・指導・助言をすることにより,被告が新商品を企画し,販売促進することを目的とするものであるから,原告が本件契約の履行として,被告の商品企画及び販売促進戦略の用に供される目的で,被告に開示し,引き渡したデザイン,アイデア,ノウハウ等は,改めて原告の許諾を受けなくとも被告が当然に利用することができると解すべきである。実際にも,原告は,被告が原告から提供を受けた上記デザイン,アイデア等を使用したこと,本件意匠登録をしたことに対して,何らの異議を述べなかった。
被告は,本件契約の履行として,原告から本件デザインの提供を受け,本件デザインに係る意匠登録をする権利を譲り受け,本件デザインを被告商品マーキスのデザインとして採用し,本件意匠登録を受けた(なお,被告商品のうち被告商品マーキス以外のデザインは,被告の従業員ないし他のデザイナーの創作に係るものである。)。
被告は,本件契約の履行として,原告から,「御社新商品開発にかかわる基本的考察」と題するレポート及びネーム案の提出を受けた。
被告は,原告との本件契約とは別の契約により,本件カタログ及び本件販売促進ツールの製作を委託し,同契約に基づき,原告から本件カタログ及び本件販売促進ツールの提供を受け,これに対する報酬を全額支払った。そして,原告が主張するロゴマーク,エンブレム及びコピーは本件カタログに掲載されている。
したがって,被告が本件意匠登録出願をして,その登録を受けたこと,本件デザイン,本件ネーム等を使用したこと,本件カタログ及び本件販売促進ツールの提供を受け,これを使用したことは,本件契約又は別途の委託契約に基づくものであり,その報酬もすべて支払済みであるから,被告の上記行為は,法律上の原因がある。
(2)  不当利得返還請求権の成否-被告の受益及び原告の損失の額(争点(1)ウ)
(原告の主張)
ア 被告商品マーキスについての被告の利得
被告は,平成4年4月1日から平成10年3月末日まで,少なくとも,被告商品マーキスを39億6540万円売り上げたものと推測される。
原告が被告商品マーキスについて提供した知的労働の対価は,被告商品マーキスの売上総額の20パーセントが相当である。
したがって,被告商品マーキスについて,被告が原告に対価を支払わないことにより得た利益は,39億6540万円の20パーセントである7億9300万円が相当である。
イ 被告商品マーキス以外の被告商品についての被告の利得
被告は,平成4年4月1日から平成10年3月末日まで,少なくとも,被告商品マーキス以外の被告商品を84億円売り上げたものと推測される。
原告が被告商品マーキス以外の被告商品について提供した知的労働の対価は,同商品の売上総額の10パーセントが相当である。
したがって,被告商品マーキス以外の被告商品について,被告が原告に対価を支払わないことにより得た利益は,84億円の10パーセントである8億4000万円が相当である。
(被告の反論)
争う。
(3)  不当利得返還請求権の成否-消滅時効の成否(争点(1)イ)
(被告の主張)
ア 消滅時効(その1)
本件訴訟は平成15年3月31日付けで提起されているから,同日から10年を遡った平成5年3月31日以前の利得に係る請求部分については時効により消滅している。被告は,この点についての消滅時効を援用する。
イ 消滅時効(その2)
原告が被告に提供したデザイン,アイデア等の対価分の不当利得返還請求は,本来的には,契約に基づく請求の性質を有する。原告は,このような法律構成を採りさえすれば,平成元年から,約定使用許諾料支払請求権を行使できた。そして同請求権は,商行為によって生じた債権であるから,平成元年から5年経過した平成6年,遅くとも,本件訴訟が提起された平成15年3月31日から5年を遡った平成10年3月31日には,時効により消滅している。被告は,この点についての消滅時効を援用する。
(原告の反論)
ア 原告は,被告に対して,平成2年以来,一貫して定額の報酬又はロイヤルティーの支払を求め続けていたのに対して,被告は,本件デザインの意匠登録が完了したら支払うとして,解決を引き延ばし,また,本件意匠登録がされた事実を秘匿してきた。原告は,被告のこのような態度によって本件の権利行使を妨げられた。このような経緯に照らすならば,被告のした消滅時効の援用は,権利濫用として許されない。
イ 原告の本訴請求は,債務不履行に基づく請求ではなく,不当利得返還請求であるから,商事消滅時効の適用はない。
(4)  不法行為に基づく損害賠償請求権の成否等(意匠登録の抹消につき)(争点(2))
(原告の主張)
原告は,本件デザインを創作し,被告に対して,本件デザインに係る意匠登録を受ける権利を譲渡したことはないにもかかわらず,被告は,本件デザインについて意匠登録出願をし,登録を受けた。しかも,被告は,本件意匠登録についての登録料を納付しなかったため,本件意匠登録は,平成14年10月30日付けで抹消登録された。
被告の上記不作為は不法行為を構成し,原告は,これにより少なくとも3490万円の損害を蒙った。したがって,原告は,被告に対して3490万円の損害賠償請求権を有する。
(被告の反論)
争う。前記(1)で主張したように,被告は,原告から本件意匠に係る意匠登録を受ける権利を譲り受けたのであるから,原告の主張は失当である。
第3  当裁判所の判断
1  事実認定
前記前提となる事実に証拠(甲1,2及び3の各1及び2,4,7,8の1ないし5,10ないし12,13の1,21,31,32,33の1ないし5,34,35,38ないし45,55,58,65,乙5,24,27,28ないし33)及び弁論の全趣旨を総合すれば,次の各事実が認められる。
(1)  被告は,昭和60年ころから被告商品の開発を始めていたが,被告商品のデザイン面における商品開発及び販売戦略のアイデアを得るため等の目的で,昭和63年7月末ころ,原告との間で本件契約を締結した。本件契約について,本件覚書が作成されたが,その記載内容は「前提となる事実」欄(3)のとおりである。
本件契約を締結した後,原告が被告のために行った業務の内容及び被告が原告から提供を受けて利用した内容は,「前提となる事実」欄(4)アないしエに記載したとおりである(なお,その他に,原告は,被告の商品を取り扱う業者で構成されるセミナーにおいて,発売予定の被告商品の商品コンセプト,イメージ,デザインなどを紹介し,業者に対して被告商品をアピールした。)
また,本件デザインは,原告が被告に提供したデザインと同一であると認められる(この点,Aの陳述書(乙24)には,本件デザインは原告が被告に提供したデザインとは異なる旨の記載があるが,本件証拠上,同事実を裏付ける証拠は一切なく,かえって,被告は,原告を本件意匠の創作者として本件意匠の意匠登録出願をしたこと(甲4),後記のとおり,被告は,原告と本件デザインに係る権利の譲渡についての交渉をしていたことから,上記記載部分は採用できない。)。
なお,本件契約は,平成元年7月31日,期間満了により終了した。また,被告は,原告に対して,本件契約に基づく報酬はすべて支払っている。
(2)  被告は,被告商品の開発,販売のための準備を終え,平成元年4月から被告商品の製造,販売を開始した。
被告は,被告商品マーキス以外の被告商品のデザインについては,原告以外の者の創作したデザインを使用し,創作者から,デザインに係る権利を1デザインにつき各200万円で譲り受け,同デザインの意匠登録出願をし,そのうちの一部は意匠登録を受けた。
被告は,平成元年4月14日ころ,原告に対し,本件デザインについての意匠登録を受ける権利を被告に譲渡する旨の譲渡証書を郵送し,原告代表者の記名下に押印の上,返送するように求め,また,同年5月ころ,被告商品の販売促進等についての打合せをした際にも,原告代表者に対して,上記譲渡証書を提出するよう求めた。しかし,原告代表者は,本件契約において,本件デザインについての意匠登録を受ける権利を被告に譲渡する旨合意していないと考え,譲渡証書の作成,送付をしなかった。
(3)  原告代表者は,平成2年2月末日,被告の従業員であるAと面談し,原告が被告のために行った業務に対する報酬の支払を求めた。その際,被告は,Aに対して,本件デザインについての意匠登録を受ける権利を被告に譲渡する条件として,①3500万円を支払うこと,②被告製品の売上金額の5パーセントを支払うこと,③今後3年間にわたり,年間発注高3000万円程度を原告に対して発注することのいずれかを求める旨の書面を交付した。なお,上記書面には,「センチュリーボードAⅡDesingnNo5(但し,その他の商品開発,アイデアソースも資料提出によるもの)」,「顧問契約は通常3年以上であるが,1年間のみで継続されない為,当社提出資料は商品開発に於いて同業他社を圧する多大な貢献をしている」との記載がある。
(4)  原告と被告との間で,2年余りの間,上記の件についての交渉はされなかった。その後,原告は,平成4年3月10日,Aと面談し,同人に対して,本件デザインの意匠登録を受ける権利を譲渡する条件として,①5000万円を支払うこと,②被告製品の売上金額の10パーセントを支払うこと,③年間3000万円程度を発注することのいずれかを求める旨の書面を交付し,同書面記載の金額の支払を要求し,さらに,原告が被告に提供したパネルやサンプルピース等の資料をすべて返還するよう要求した。なお,上記書面には,「意匠登録譲渡を含め<センチュリーAⅡ商品開発全般について上記金額の清算>を要望します。」との記載がある。
(5)  原告代表者は,平成4年8月,A,被告の取締役営業本部長のB,企画課長のCらと会食をしたが,その席では,原告が被告のために行った業務に対する報酬についての話合いはされなかった。
その後,原告と被告との間で,9年余りの間,上記の件についての交渉はされなかった。原告代表者は,平成13年9月ころに,被告に上記の問題についての交渉を求めたが,被告から納得できる回答は得られなかった。
(6)  本件意匠登録は,登録料不納付を原因として,平成14年10月30日付けで,抹消登録された。
2  不当利得返還請求権の成否-法律上の原因の有無に関する判断(争点(1)ア)以上認定した事実を基礎として,判断する。
(1)  本件契約の範囲に含まれるか否かについて
まず,被告の各利用行為が,本件契約によって許諾されている範囲に含まれるか否か,すなわち,被告の報酬支払義務と対価関係に立つ権利(法的利益)の範囲に含まれるか否かについて,検討する。
ア 被告が,被告商品マーキスに本件デザインを使用した行為,本件デザインの意匠登録出願して,本件意匠登録を受けた行為,及び原告から提案された本件ネームを使用した行為
当裁判所は,被告のこれらの各行為は,本件契約によって許諾された範囲に含まれないと判断する。その理由は,以下のとおりである。
(ア) 被告は,昭和63年ころ,建物外装材である被告商品の製造,販売計画を立てたが,同計画は,決して小規模なものではなく,かなり大規模なものを想定していた。また,原告が被告から委託を受けて,実施すべき業務の内容としては,被告の上記計画に関連した「商品計画」,「商品企画」,「デザイン制作」,「サンプルピース制作」,「販売促進戦略の提案,指導,助言」など,広範な範囲にわたるものであり,そのいずれも,時間と労力を要するものと考えられる。したがって,上記のように解したとしても,被告が原告に対して支払うべき報酬額(毎月50万円)は,原告の行うべき業務の内容に照らして,決して高額であるとはいえない。
(イ) そして,このような業務委託契約を締結する場合,委託業務の実施と実施の結果得られる成果物の利用や帰属とは,区別して認識するのが一般的であって,委託者側が委託契約の成果物を実施したり自己に帰属させたりする場合には,別途,対価に関する定めをするするのが自然であるということができるが,本件においては,そのような定めがない。
(ウ) 本件契約は,契約締結時においては,原告の創作したデザイン又はネームを被告が採用するかは不確実であり,原告が創作したデザイン又はネームの使用又は譲渡の対価をあらかじめ決めることは困難であること,他方,原告は,デザイン又はネームを創作する義務を負い,相当の経費が必要となるにもかかわらず,被告が,原告から提供されたデザイン又はネームを採用しない限りは,全く対価が支払われないとすることも,原告に酷であることなどの点を考慮して,被告は,原告に対して,提出されたデザイン又はネームの採否にかかわらず,デザイン又はネームを創作させる対価として,前記のとおり一定の金額を支払うこととし,被告が,原告から提出されたデザインを採用する場合には,別途,対価を支払って,そのデザインの意匠登録を受ける権利の譲渡を受けるか,原告において当該デザインの意匠登録をした上で,同デザインの使用許諾を受けることを,また,被告が原告から提出されたネームを採用する場合には,別途対価を支払って,そのネームの使用許諾を受けることを,想定していたものと解するのが相当である。
(エ) 本件覚書には,原告の委託業務の内容として,「被告が原告に依頼する事項」と記載されているが,前記の判断に照らして,そのような記載があったからといって,原告の創作したデザインやネーム案を被告に使用させることが委託業務の内容に含まれると解するのは相当でない。
イ 本件カタログ,本件販売促進ツールの利用行為について
本件カタログ及び本件販売促進ツールを製作して,これを被告に提供することが本件契約により原告に委託された業務に含まれないことは当事者間に争いがない(被告は,本件契約とは別の契約により,本件カタログ及び本件販売促進ツールの製作を原告に委託した旨主張している。)。
ウ 各種実地調査結果,各種提案の利用行為
外壁材の素材,デザイン傾向,色彩傾向等についての実地調査,外壁材に関する市場分析については,被告商品の商品企画,販売促進戦略の提案等の前提となるものであり,本件契約により原告に委託された業務に含まれることは明らかである。また,被告商品のコンセプト等について提案したレポートの提出,壁材のパターン,レリーフ,テクスチャーのバリエーションを検討した資料の提出は,販売促進戦略の提案等に含まれ,本件契約により原告に委託された業務に含まれることは明らかである。
(2)  被告の得た利得と法律上の原因の有無について
次に,被告が原告の行った業務により得た利得について,法律上の原因を欠くかの点について検討する。
ア 被告が,被告商品マーキスに本件デザインを使用した行為,本件デザインの意匠登録出願して,本件意匠登録を受けた行為,及び原告から提案された本件ネームを使用した行為
前記のとおり,被告の上記各利用行為は,本件契約によって許諾されている範囲に含まれず,被告が,原告から提出されたデザインやネーム案を採用し,使用する場合には,原,被告間で別途の契約を締結し,対価を支払って,そのデザインやネームの使用許諾を受けることを想定していたものと解するのが相当である。
そうすると,原告は,被告のために特定の業務を行い,他方,被告は,原告の業務の成果を利用して,自ら支出すべき費用,労力の負担を軽減させているのであるから,このような原告の業務と被告の利用における関係は,法律上の原因によらずに生じたものと解されることになる。確かに,被告のために創作した本件デザイン(自ら意匠登録を受けたものではない。)及び本件ネームについては,原告の排他的権利が成立しているのではないので,何人も自由に使用できることとなり,したがって,被告がこれらを利用したとしても不当利得が成立しないとの見解もあり得ないわけではない。しかし,原告の本件デザイン等の創作活動の経緯をみると,その役務の提供は,本件契約を契機として,被告のためにされていることは明らかであるから,その提供された役務が性質上排他的なものでなかったとしても,被告の得た利得の限度で,法律上の原因に基づかない利得であると解するのが相当である。
イ 本件カタログ,本件販売促進ツールの利用行為
前記のとおり,原告が本件カタログ及び本件販売促進ツールを製作してこれらを被告に提供し,被告は,被告商品の販売に際して,本件カタログを頒布したが,本件契約により原告に委託された業務には本件カタログ及び本件販売促進ツールを製作することは含まれていない。
しかし,①原告は,本訴において,本件カタログ及び本件販売促進ツールの製作費の実費として,被告から2000万円以上の支払を受けたことは認めていること,②原告代表者の陳述書(甲38,41)には,原告が被告から本件カタログ及び本件販売促進ツールの外注製作プロジェクトチームの製作費の支払を受け,原告は,被告から支払われた上記製作費を全額上記外注製作プロジェクトチームへ支払ったことが記載されていること,③原告は被告に対して,本件カタログ及び本件販売促進ツールそのものを提供していること等の事実に照らすならば,原告は,被告が本件カタログ及び本件販売促進ツールを使用し,頒布することを承諾する意思があったものと認められる。
したがって,原告が本件カタログを被告商品の販売の際に頒布するなどして使用したことにより被告が何らかの利得を得たとしても,その利得は法律上の原因があるというべきである。
(なお,本件全証拠によっても,被告が原告から本件カタログ及び本件販売促進ツールを使用することの許諾を受けたことの対価を支払ったと認めることはできない。しかし,原告の被告に対する上記対価請求に関しては,契約に基づく請求権のみが発生すると解すべきであり,不当利得返還請求権が発生する余地はない。)
(3)  原告が主張するその他の業務により被告が得た利得
原告は,上記以外にも被告のために業務を行ったとして,その業務についての不当利得返還請求権を有する旨の主張する。しかし,原告が主張する上記以外の業務は,原告が実施した事実を認めることができないか,又は,本件契約により原告に委託された業務に含まれるのであるから,原告の上記主張は理由がない。
3  不当利得返還請求権の成否-消滅時効について(争点(1)イ)
本件訴えのうち,被告が本件意匠登録を受けたことについての不当利得返還請求に係る書面が裁判所に提出されたのは平成15年4月25日であり,上記以外の点についての不当利得返還請求に係る書面が裁判所に提出されたのは同年3月31日であることは当裁判所に顕著である。
したがって,被告が本件デザイン及び本件ネームを使用したことについての不当利得返還請求権は,平成5年3月31日以前に発生した部分については,消滅時効の時効期間を経過している。被告が本件意匠登録を受けたのは,平成9年2月10日であるから,本件意匠登録を受けたことについての不当利得返還請求権は,消滅時効の時効期間を経過していない。
これに対して,被告は,本訴における原告の不当利得返還請求は,本件契約又は原,被告間の合意に基づく請求の性質を有するから,当該請求権は,平成元年から5年間を経過した平成6年,又は遅くとも本件訴訟が提起された平成15年3月31日から5年を遡った平成10年3月31日までに,時効により消滅している旨主張する。しかし,本件における原告の請求は,あくまでも不当利得返還請求であるから,被告の上記主張は,その前提を欠くので主張自体失当である。
また,原告は,被告に対して,原告の業務の対価の支払を継続して請求していたにもかかわらず,被告は,本件デザインの意匠登録が完了したら支払うとして,解決を引き延ばし,本件意匠登録がされても,その事実を秘匿してきたのであり,これにより,原告は,本件の権利行使を妨げられてきたとして,被告の消滅時効の援用は,権利濫用として許されない旨主張する。しかし,本件全証拠によっても,被告が原告に対して本件デザインの意匠登録が完了したら原告の業務の対価の支払をする旨約束した事実は認められないから,原告の上記主張は理由がない。
4  不当利得返還請求権の額-被告の受益及び原告の損失の額(争点(1)ウ)
(1)  本件デザインの使用及び本件意匠登録をしたことについての被告の受益及び原告の損失の額
ア 被告は,平成元年4月から本件デザインを使用した被告商品マーキスの製造,販売を開始した。前記のとおり,本件契約は,契約締結時においては,原告の創作したデザインを被告が採用するかは不確実であり,原告が創作したデザインの使用又は譲渡の対価をあらかじめ決めることは困難であること,他方,原告は,デザインを創作する義務を負い,相当の経費が必要となるにもかかわらず,被告が,原告から提供されたデザインを採用しない限りは,全く対価が支払われないとすることも,原告に酷であることなどの点を考慮して,被告は,原告に対して,提出されたデザインの採否にかかわらず,デザインを創作させる対価として,前記のとおり一定の金額を支払うこととし,被告が,原告から提出されたデザインを採用する場合には,別途,対価を支払って,そのデザインの意匠登録を受ける権利の譲渡を受けるか,原告において当該デザインの意匠登録をした上で,同デザインの使用許諾を受けることを想定していたものと解するのが相当である。
イ そして,本件デザインは,原告が本件契約に基づき,被告に提出したものであること,原告代表者は,本件デザインが被告商品マーキスに使用され,同商品が製造販売されることを認識していたこと,原告代表者は,原告が被告のために行った業務に関して,本件契約に基づく報酬とは別に金銭の支払の要求をしたが,被告商品の販売自体については異議を唱えなかったこと等の事実経緯に照らすならば,原告は,被告が本件デザインを使用することを許諾する予定であったものと認められる。このような事情に,前記1で認定したとおり,被告は,被告商品のうち被告商品マーキス以外のデザインに係る権利については,1デザインにつき各200万円で譲り受けたこと,原告は当初,原告が被告のために行った業務の対価として3500万円の支払を要求していたこと,被告は,本件デザインの意匠登録出願をし,本件意匠登録を受けているが,被告は,意匠登録をした上で本件デザインを自ら実施していたにすぎず,本件意匠権を有償で第三者に譲渡したり,本件意匠権について第三者に実施許諾させて,実施料の支払を受けていたわけではないこと等の諸事情を総合考慮すると,本件デザインが使用されると想定される期間全体の本件デザインの使用による利益及び本件意匠登録による利益は200万円と認めるが相当である。
ウ 前記3で判示したとおり,被告が本件デザインを使用したことについての不当利得返還請求権は,平成5年3月31日以前に発生した部分については,時効により消滅していること,原告は,本訴において,平成10年3月末日までの使用の対価を求めていること,甲66及び弁論の全趣旨によれば,本件デザインが使用された被告商品マーキスが主に販売されたのは,販売開始から平成7年までの6年間であると認められること等の事情を総合考慮すると,本件デザインの使用による利益及び本件意匠登録による利益として認められる額は,200万円の約3分の1の70万円をもって相当と解する。
したがって,被告が本件デザインを使用したこと及び本件意匠登録をしたことについての被告の受益及び原告の損失の額は70万円である。
(2)  本件ネームの使用についての被告の受益及び原告の損失の額
被告は,本件ネームを使用した被告商品の製造販売を開始したが,本件ネームの使用による利益については,前記(1)で指摘した諸点及び商品におけるネームの重要性を併せ考慮すると,本件ネームが使用されると想定される期間全体で200万円が相当である。そして,前記3で判示したとおり,被告が本件ネームを使用したことについての不当利得返還請求権は,平成5年3月31日以前に発生した部分については,時効消滅していること,原告は,本訴において,平成10年3月末日までの使用の対価を求めていること,甲66及び弁論の全趣旨によれば,被告商品の「バロン」が被告商品の販売量の過半数を占めていること,被告商品の「バロン」,「バラード」は平成12年までは販売数に大きな減少はなかったものと推測されることを勘案すると,本件ネームの使用による利益として認められる額は,100万円が相当と解する。
したがって,被告が本件ネームを使用したことについての被告の受益及び原告の損失の額は100万円である。
5  本件意匠権の消滅についての不法行為の成否等(争点(2))
原告は,被告が登録料を納付せずに本件意匠登録を平成14年10月30日付けで抹消登録させたことは不法行為を構成するとして,同行為によって原告が被った損害である3490万円を賠償すべき旨主張する。
しかし,被告は原告に対し,本件意匠権について登録料の支払を継続する義務を負っているとは認められないので,登録料の不払いは不法行為を構成しないのみならず,本件全証拠によっても,平成14年10月30日以降,被告が被告商品マーキスを製造,販売し,若しくは将来そのような予定があること,又は,被告以外の第三者に対し本件デザインの使用を許諾し,若しくは将来そのような予定があることを認めることはできず,したがって,原告には,本件意匠登録が抹消登録されたことによる損害は発生していないというべきである。
したがって,原告の上記主張は理由がない。
6  よって,原告の請求は,不当利得返還請求として170万円及びこれに対する平成15年4月9日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度において理由があるからこれを認容し,その余は失当であるからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 飯村敏明 裁判官 榎戸道也 裁判官 佐野信)
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