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判例リスト「営業代行会社 完全成果報酬|完全成功報酬」(318)平成19年 7月27日 大阪地裁 平16(ワ)9216号 損害賠償請求事件

判例リスト「営業代行会社 完全成果報酬|完全成功報酬」(318)平成19年 7月27日 大阪地裁 平16(ワ)9216号 損害賠償請求事件

裁判年月日  平成19年 7月27日  裁判所名  大阪地裁  裁判区分  判決
事件番号  平16(ワ)9216号
事件名  損害賠償請求事件
文献番号  2007WLJPCA07276005

出典
証券取引被害判例セレクト 30巻285頁

裁判年月日  平成19年 7月27日  裁判所名  大阪地裁  裁判区分  判決
事件番号  平16(ワ)9216号
事件名  損害賠償請求事件
文献番号  2007WLJPCA07276005

奈良県〈以下省略〉
原告 X1(以下「原告X1」という。)
大阪市〈以下省略〉
同 X2(以下「原告X2」という。)
上記2名訴訟代理人弁護士 片岡利雄
同 山田直樹
東京都〈以下省略〉
被告 Y1(以下「被告Y1」という。)
同訴訟代理人弁護士 牛嶋勉
東京都〈以下省略〉
被告 アイティーエム証券株式会社(以下「被告会社」という。)
同代表者代表取締役 Y2
東京都〈以下省略〉
被告 Y2(以下「被告Y2」という。)
上記2名訴訟代理人弁護士 武田喜治
同 藤川元
埼玉県〈以下省略〉
被告 Y3(以下「被告Y3」という。)
同訴訟代理人弁護士 田邊勝己
同訴訟復代理人弁護士 寺島哲

 

 

主文

1  被告Y1は,原告X1に対し,金915万1000円及びこれに対する平成15年1月24日から支払済みまで,原告X2に対し,金457万5500円及びこれに対する平成15年3月27日から支払済みまでそれぞれ年5分の割合による金員を支払え。
2  原告らのその余の請求をいずれも棄却する。
3  訴訟費用は,原告らに生じた費用の8分の1と被告Y1に生じた費用の2分の1を被告Y1の負担とし,原告らに生じたその余の費用,被告Y1に生じた費用の2分の1と被告会社及び被告Y2並びに被告Y3に生じた費用を原告らの負担とする。
4  この判決は,第1項に限り仮に執行することができる。

 

事実及び理由

第1  請求の趣旨
1  被告らは,各自,原告X1に対し,金1837万2000円及びこれに対する平成15年1月24日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2  被告らは,各自,原告X2に対し,金918万1000円及びこれに対する平成15年3月27日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3  訴訟費用は被告らの負担とする。
4  仮執行宣言
第2  事案の概要
本件は,原告らが購入した被告会社販売の投資信託につき,投資対象である住倉工業株式会社(以下「住倉工業」という。)の株式が市場関係者の間で仕手株の介入する注意銘柄として知られており,住倉工業の業績も低迷していたにもかかわらず,被告Y1,被告Y3,被告Y2及び被告会社は,一体として,住倉工業の株価が近いうちに上がるなどと強調して原告らを勧誘し,さらに,原告らからの申込みの撤回を拒み,投資信託の資金を住倉工業の株式の買い支えの手段に利用したとして,断定的判断の提供,申込みの撤回拒否,虚偽表示,説明義務違反,相場操縦・不公正取引,投資信託運用における忠実義務違反の各不法行為又はこれら一連の不法行為(及び使用者責任)に基づき,原告X1は,取引損1670万2000円及び弁護士費用相当額167万円,原告X2は,取引損835万1000円及び弁護士費用相当額83万円の損害賠償並びにこれに対する償還金を受け取った日の翌日(原告X1については平成15年1月24日,原告X2については同年3月27日)から支払済みまでそれぞれ民法所定の年5分の割合による遅延損害金を請求した事案である。
1  前提事実(甲1,2,53,64の1ないし5,77の1ないし5,103,104の1・2,116,丙12,弁論の全趣旨)
(1)当事者
被告会社は,内閣総理大臣の登録を受けて証券業を営む株式会社である。
被告Y2は,被告会社の代表取締役である。
被告Y1は,本件当時,スイス籍法人モルガンスティープルトンインベストメント・アンド・セキュリティーズS.A.(以下「モルガン社」という。)の代表者であり,投資顧問業を営んでいた。モルガン社は,被告会社の株式を一定数保有していた。
被告Y3は,平成12年12月ころ,住倉工業の代表取締役であった。
(2)投資信託
原告らは,平成12年7月31日,被告会社に対して,口座設定申込書を提出し,同年8月14日,原告X1が2063万円を,原告X2が1031万5000円を,それぞれ送金した(甲103,104の1・2)。
そして,原告らは,同年12月12日,被告会社から,私募投資信託の「イースト・アジア・エクイティ・ファンドC」(以下「本件ファンド」という。)につき,上記送金額から手数料及び消費税を除いた2000万円(原告X1につき)及び1000万円(原告X2につき)によって,原告X1が2000口,原告X2が1000口を,それぞれ購入した(甲1,2)。
本件ファンドの管理会社は,イギリス領チャネル諸島ガーンジー籍法人ITMファンド・マネージャーズ・リミテッド(以下「ITMファンドマネージャーズ」という。),保管・受託銀行は,ガーンジー籍法人RBSIトラスティ・サービス・リミテッド(但し,平成14年7月にベアリング・リミテッドから変更),運用会社は,ロンドンに事務所のある日本法人キャピタル・アイティ投資顧問株式会社(以下「キャピタル社」という。),管理事務代行会社は,アンソンファンド・マネージャーズ・リミテッド,販売会社は,被告会社であった。副運用会社(運用アドバイザー)は,モルガン社であった。
本件ファンドの募集期間は,同年12月12日及び13日であり,同月14日,運用が開始された。
本件ファンドの資金は,その一部が住倉工業の転換社債に投資された。
本件ファンドの最初(平成13年2月6日)の運用報告書によれば,本件ファンドの成功報酬控除後の純資産額に占める住倉工業株の割合は約48%であった(甲64の1ないし5)。
本件ファンドの平成14年3月4日の運用報告書以降,住倉工業株は,本件ファンドの純資産とされなくなった。住倉工業は,平成14年5月10日に破産申立てをした(甲53,77の1ないし5)。
(3)本件ファンドの償還
本件ファンドは,平成15年1月31日に解散されることとなった(甲116)。
原告X1(2000口)は,同年1月23日,償還金として329万8000円を受領し,原告X2(1000口)は,同年3月26日,償還金として164万9000円を受領した。
2  主たる争点及びこれに対する当事者の主張
【原告らの主張】
(1)断定的判断の提供(平成13年法律第80号による改正前の証券取引法(以下,単に「証券取引法」という。)42条1項)及び申込みの撤回の拒否
ア 被告Y1及び被告Y2による断定的判断の提供
原告らは,平成12年7月ころ,ソフトバンクインベストメント株式会社(以下「ソフトバンクインベストメント」という。)大阪支店長のA(以下「A」という。)から,被告会社の大株主として被告Y1の紹介を受けた。
被告Y1は,原告らに対し,本件ファンドについて,「5億円の私募ファンドを被告会社に組ませる。」,「被告会社は『今100円台の会社だが,1年後のファンド満期時には,1株1万円も可能な大材料株があり,それをファンドの組入会社にする。』と言っている。」,「これまでに2回のファンド実績があり,大成功をおさめたが今回も1年間で5倍~10倍のリターンが見込める会社を選ぶ。次は3回目だから全く安心,失敗はない。」,「1株100円台の株を対象にするが,ファンド満期の1年後には1株2000円は十分見込める材料株,近い将来1万円も可能な会社を選定している。今はインサイダーになるので会社名は後日話す。」,「大口のファンド希望者が多く,被告会社は早い者勝ちにするので,申し込むのなら今日即断し,払い込みも早期にやってほしいと言っている。」などと言って,本件ファンドの有利性を強調して,本件ファンドの購入を勧めた。その後も,被告Y1が本件ファンドの購入をせき立てたため,原告らは,同年8月14日,2人で合計3000万円を被告会社に送金した。
また,被告Y1は,「被告会社は全く信頼できる会社なので本社を訪れ,被告Y2に確かめてほしい。」とも言い,被告会社の信頼性を強調した。
被告Y2は,同月29日,被告会社を訪問した原告X1に対し,「被告Y1が自分でファンドを組み立てると頑張っている。被告Y1の思うようにしたらいい。」,「このファンドは総額5億円なので,その金額に足りないときは当社の資金も活用させ,(以前に投資実績のあった)ニチリョクをはるかに上回るファンド結果を出す。」,「被告Y1の言うファンドについてのことはすべて登録業者である被告会社が責任を負うので,被告Y1の発言を信頼してほしい。」などと説明した。
このように,被告会社の代表取締役である被告Y2が被告Y1の行為について責任を認める発言をしており,被告Y1の行為については,使用者責任が認められる。以下においても同様である。
イ 被告Y1による申込みの撤回の拒否及び断定的判断の提供
原告らは,平成12年10月6日に被告Y1から本件ファンドの設定先が住倉工業に決まったと聞いた後,住倉工業の実態を知り,同月18日,被告Y1に対し,電話で,住倉工業を調べてみたら上場廃止基準会社になっており,危険な会社だということが分かったので,本件ファンドをキャンセルしたいと申し出た。
被告Y1は,これに対し,実際には,本件ファンドの約定日は,同年12月12日であり,キャンセルが可能であったにもかかわらず,「被告会社から既に5億円を預かっている。被告会社も今更キャンセルは無理だと言っている。」旨述べて,返金することができない旨回答し,さらに,「被告会社のY2社長(被告Y2),住倉工業のY3社長(被告Y3)も年内500円を断言している。住倉工業の第三者割当増資にはミサワホームのBも入っており,材料も豊富だ。」などと強調した。
被告Y1は,この時点で,本件ファンドの投資対象である住倉工業の顧問に就任していた。
被告Y1は,その後も,同年11月6日,原告X1の長男に対し,「被告Y3や被告会社と相談の結果,明日の午後から(住倉工業の株式を)買いに入ることになった。ストップ高でなかなか買えなくなる。」と明言し,同月7日,住倉工業の株価が逆に下がったではないかと指摘する原告X1に対し,「安心していて下さい。年内は500円はもちろん,この11月末には300円は間違いありません。私は急遽ヨーロッパへ行き,住倉工業への30億円ファンドの設定の最終取り決めに行く。材料は豊富だ。」と明言した。
ウ 被告Y1及び被告Y3による断定的判断の提供
住倉工業の株価は,平成12年11月30日,同月1日に決まっていた転換社債28億円の発行が4億8000万円に減額になったことで,暴落し始めた。
それでもなお,被告Y1は,同年12月1日午後2時ころ,原告らに対し,住倉工業本社応接室において,「年内300円は変わりない。ファンドの方はニチリョク株をはるかに凌ぐ値上がりは確実である。来年春には1000円台もある。」との説明をした。
この際,被告Y3も同席し,住倉工業の業況について,「別に急を要する資金の使い先もないし,転換社債の発行中止(減額)は何ら支障がなく,会社経営はもちろんのこと,株価への影響も一切ない。」,「(デビットカード)業界では住倉工業に競争相手はない。トップシェアである。安心していてほしい。」などと説明した。
(2)説明義務違反及び虚偽表示(証券取引法42条1項,157条2号,証券会社の行為規制等に関する内閣府令4条1号)
ア 被告Y1,被告Y3及び被告Y2は,原告らに対し,本件ファンドの正式な買付けがされた平成12年12月12日まで,その集中投資の対象である転換社債の発行会社である住倉工業の信用リスクについて,十分に説明する義務があった。
住倉工業は,平成11年夏ころ,オランダに本社を置くグランスペック・インターナショナルVBという実態不明の会社に株式公開買付けによって株式を取得され,さらに,発行済株式総数の47%に当たる約9000株が同社の買付資金の借入先に代物弁済として渡ることなって以来,市場関係者の間で仕手筋の介入する注意銘柄として知られており,株価も乱高下していた。
また,住倉工業は,平成12年当時,デビットカード事業については,各子会社に対する不良債権を拡大させ,本業の機械事業でも不振が続いており,平成12年3月期の業績の悪化が顕著であった。そして,増資が中止されたり,社債発行価額が減額されたり,猶予期間付きの上場廃止銘柄に指定されたりしたこと,被告Y3自身も,住倉工業の経営に介入して,会社資金を不透明な形で流出させたことなどから,その信用リスクは,著しく高まっていた。
本件ファンドは,株式への転換が短中期的に投資家にとって魅力的なリターンをもたらすものと期待できる転換社債に集中投資するという方針のもとに,住倉工業の転換社債への集中投資を予定するものであった。
しかるに,被告Y1,被告Y3及び被告Y2は,前記(1)のとおり,本件ファンドの勧誘から償還に至るまで,本件ファンドの具体的な商品内容に即したリスクの高さ,とりわけ投資対象である住倉工業株式の信用リスク情報・株価操縦を疑われるような転換株式による売買を行うことの合理性について一切説明せず,住倉工業の株価が上昇するとの確たる根拠のない有利情報のみを提供していたのであり,このような行為は,説明義務違反及び証券取引法上の虚偽表示として,違法である。
イ また,被告会社も,本件ファンドのような高度のリスクを伴った投資信託を一般投資家に勧誘する場合には,販売会社として,投資対象となる転換社債の発行会社の信用リスクについて,十分に説明すべき義務を負っていた。
ウ 本件における被告らの行為は,いわゆる「私募債マフィア」の手口そのものであり,被告Y3が住倉工業の社長に就任した平成12年6月以降,事業実態が破綻していたにもかかわらず,本件ファンドを含めた一連の不透明な増資手法の下に,何も知らない一般投資家である原告らの投資資金を吸い上げたというものであり,違法性があることは明らかである。
(3)被告会社の忠実義務違反(投資信託及び投資法人に関する法律14条1項)
証券投資信託委託業者は,証券投資信託の受益者のため忠実に当該証券投資信託の信託財産の運用の指図その他の業務を遂行しなければならない。
被告会社が本件ファンドの集中投資の対象として,前記(2)のとおり,信用リスクが著しく高まっていた住倉工業を選択したことは,受益者の利益に反するものであった。
なお,本件ファンドの運用指図は,投資顧問会社であるキャピタル社に委託されているものの,運用の責任者は,管理会社であるITMファンドマネージャーズにほかならない。
ITMファンドマネージャーズは,被告会社の全額出資子会社の実体のないペーパーカンパニーであり,同社の法人格は否認されるべきである。
(4)相場操縦(証券取引法159条2項2号)及び不公正取引(証券取引法157条1号)
被告Y1は,平成12年10月31日の前場終了ころ,原告X1に対し,本件ファンドについて,電話で,「被告会社との協議による転換社債の価格を100円に決める関係で,今日の後場で100円前後で終わらせることになる。」と,相場操縦を予告し,実際,住倉工業の株価は,同日前場終了時には120円から130円で推移していたにもかかわらず,終値は98円となった。
住倉工業は,当時,市場関係者の間で仕手筋の介入する注意銘柄として知られており,本件ファンドの投資対象となった住倉工業の私募転換社債については,転換された株式取引の中には,株価を煽って高値で売り抜けるという株価操縦と思われる取引が目立っていた。
原告らが購入した本件ファンドの資金は,住倉工業の株式の根拠のない買い支えに利用されたのであり,被告らによる本件ファンドの推奨は,相場操縦に準じる不公正取引の一部であり,不法行為が成立する。
(5)被告会社の使用者責任の有無及び被告らの一連の共同不法行為
被告会社と被告Y1の間に雇用契約等の有償契約が締結されていたにしろ,被告Y1が被告会社の履行補助者に該当するにしろ,被告Y1は,本件ファンドを組んだ被告会社のために原告らに対する勧誘行為等をしていたのであり,被告会社の代表者である被告Y2もこれを認識していたのであるから,被告会社は,本件ファンドの募集業務を被告Y1に担当させていたものと評価すべきである。
したがって,被告会社は,被告Y1の原告らに対する勧誘行為につき,指揮監督をすべき立場にあったから,民法715条の適用においては,被告会社は,被告Y1の使用者といえる。
そして,被告Y3は,本件ファンドの投資対象である住倉工業の代表取締役として,被告Y2は,本件ファンドの販売会社である被告会社の代表取締役として,直接に又は被告会社の被用者かつ住倉工業の顧問である被告Y1を通じて,住倉工業の株式が大きく値上がりする旨繰り返し説明することによって,原告らに本件ファンドを購入させ,キャンセルを押しとどめ,株価の買い支えに利用し,結局,株価が下落したことにより,原告らに取引損等の損害を生じさせたものであるから,被告Y1,被告Y3及び被告Y2の一連の行為は,被告会社も含めた共同不法行為に該当する。
【被告らの主張】
(1)断定的判断の提供及び申込みの撤回の拒否
ア 被告Y1及び被告Y2による断定的判断の提供
[被告Y1]
被告Y1が原告らに対し,モルガン社及び被告会社の来歴を説明し,過去の投資信託の実績を紹介したところ,原告X1は,非常に高い関心を示した。
被告Y1は,1号ファンドに組み入れた銘柄が「ニチリョク」という会社で,組入れと前後して株価が6倍くらいになり,ファンドの基準価格も3倍くらいになり,約8か月で償還したという実績,2号ファンドは,運用中であるが,基準価格が2倍になっているという実績を説明しただけであり,原告らの主張する断定的判断の提供などしていない。原告らは,本件ファンドの投資先の株にしか興味がなかった。
当時は,本件ファンドの運用対象が決まっていない段階で,まだガーンジーに設立申請もしていない状況であり,「今はインサイダーになる。」などと言うはずがない。
被告Y1は,「ファンドのリスク説明は証券会社から直接聞いて下さい。」と言った。
[被告Y2及び被告会社]
平成12年8月30日(29日ではない。)に,原告らが被告会社を訪ね,被告Y2と面会した事実はあるが,このときの会話は,被告会社の設立の経緯・実績や投資された金銭の保管・管理の話が中心であり,被告会社の資金をファンドのために活用させるとか,本件ファンドについて被告会社が責任を負うとは言っていない。
被告Y2が原告らと会ったのは,この1回だけであり,本件につき,被告Y2及び被告会社が不法行為責任・使用者責任を負う理由はない。
イ 被告Y1による申込みの撤回の拒否及び断定的判断の提供
[被告Y1]
被告Y1は,投資信託の設定認可は早くて平成12年9月末ころになると言っていたが,原告X1は,銘柄名をいち早く聞きたいがために,勝手に資金を振り込んできたのであって,被告Y1が資金の払込みを強引に迫ったという事実はない。
被告Y1は,原告らに対し,本件ファンドの仕組みを説明したが,原告X1は,本件ファンドのことよりも,投資対象の銘柄を異常に聞きたがり,「いつ頃分かるんかね。」と繰り返していた。被告Y1は,「ガーンジーへの申請がいろいろ厳しくなって,1号ファンドのように1銘柄での運用はできないと思います。ファンドへの組入れは1銘柄50%でも難しいようなことを言ってきていますので,1号ファンドとは違って複数銘柄の運用が必要になると思います。」,「ファンドの認可が下りなければ何とも申し上げられません。」と答えるしかなかった。
原告X1が「大阪では他にどんなお客さんがいるのかね。」と質問してくるので,被告Y1は,「パチンコ関係の社長さんと,不動産関係の社長さん」を挙げただけであって,原告らのいうように,本件ファンドの値上がりを強調した事実はない。
住倉工業が上場廃止基準に触れるとして問題とされるようになったのは,平成12年12月4日以降であり,同月1日ころには問題となっていない。
原告X1は,平成12年11月30日付「覚書」(乙1)により,転換社債の割当先であった有限会社アドバンテージ・アルファを通じて,住倉工業の転換社債のみを投資対象とするファンドである匿名組合「アドバンテージ・アルファ1号ファンド」に本件ファンドに対するよりも多額の4000万円を出資した(乙2)。この時点においても,原告らが住倉工業に積極的に投資しようとしていたことは明らかであり,それ以前に本件ファンドをキャンセルしたいと申し出たという原告らの主張は作り話である。
ウ 被告Y1及び被告Y3による断定的判断の提供
[被告Y1]
被告Y1は,平成12年12月4日に住倉工業を訪ねたときに,被告Y3と住倉工業経理部長から,転換社債につき,被告Y1の8000万円を含む4億8000万円だけが払い込まれたことを初めて聞かされたのであって,同月1日に被告Y1又は被告Y3が転換社債の減額について説明したということはあり得ない。
原告X1は,上場廃止基準の問題については,3年間で一定の経常利益を上げればよいとの説明に納得し,「大したことではない」と承知していたが,同月20日前後から,住倉工業の資金繰りに関わるようになってきて,住倉工業の土地の抵当権を外すように要求したりした。
また,原告X1は,平成13年1月10日,被告Y3から,パチンコ関連会社とのM&Aの交渉の話を聞き,デビットカード業界の実情の説明を受けて,納得して帰った。
[被告Y3]
被告Y3は,原告X1と被告Y1を紹介され,2度,ごく短時間,雑談をしただけであり,原告X1から,ファンドに投資するとか,住倉工業の株式に投資するとか言われたこともない。
被告Y3は,平成12年春,メイン銀行や主幹事証券会社が撤退し,不審人物が出入りするようになり,破綻の危機に瀕していた住倉工業の役員らから懇願され,同年5月17日に7億円を投資し,同年6月30日の株主総会で社長に就任した。
被告Y3は,社長就任後,証券会社を主幹事に戻し,銀行とも交渉をはじめ,警視庁と一緒に不審者を排除しながら平成13年6月の株主総会を行うなど,以前の役員が付き合っていた上記不審人物らを排除しようと悪戦苦闘していた。
被告Y1は,被告Y3とは対立関係にあった。
原告X1には,被告Y1に紹介されて短時間会っただけで,被告Y1の意図は知らないし,会ったときに被告Y3が原告らに何らかの約束をしたということはない。
デビットカード事業は,平成13年には,株式会社東京決済情報センターについては,顧客が2000件を超え,株式会社キャブカードサービスについては,複数のタクシー会社で試験的運用を開始し,JCBとの提携交渉も進んでおり,有望な事業であった。
(2)説明義務違反及び虚偽表示
[被告Y1]
住倉工業は,本業は不振でも,デビットカード事業が郵政省で認可されたこともあり,期待できる事業分野を有していた。住倉工業は,破産宣告を受けたものの,8億3000万円の分配がされたのであり,同社を破産処理する必要があったか疑わしい。
本件ファンドの設定後,当初100円前後だった株価は,一時,276円の高値を付け,当初1万円だった基準価格は,2万円を超えるまでになっていた。
社債の減額は,引受人となる予定であった「あおぞらグループ」が払込みをしなかったことによるのであり,住倉工業に問題があったわけではない。
上場廃止の猶予期間入りについても,大阪証券取引所,東京証券取引所ともに,一定期間(3年)内に経常利益を,それぞれ1億円,3億円上げなければならないとの規定に合わせたものにすぎないし,それが問題になったのは,平成12年12月中旬以降のことである。
[被告会社]
本件ファンドは,外国籍少人数私募投信であり,いわば投資のプロが参加する投資信託である。原告らは,株に関する知識が豊富ないわゆる玄人で,一般投資家ではない。リスクは,原告において承知済みである。
(3)被告会社の忠実義務違反
[被告会社]
被告会社は,投資家からの買付け申込みを受けるにとどまり,資金運用の決定には全く関与していない。本件ファンドの資金を運用するのは,投資顧問会社であるキャピタル社である。
ITMファンドマネージャーズは,ガーンジー諸島に従業員のいる事務所を置いており,ペーパーカンパニーではない。
(4)相場操縦,不公正取引
[被告Y1]
被告Y1が株価操縦を予告したことはないし,そもそもそのような操縦をできるはずがない。
(5)被告会社の使用者責任及び被告らの共同不法行為
[被告会社]
被告Y1は,被告会社の被用者ではない。
被告会社と被告Y1との間には,使用関係は全くなく,被告会社は,被告Y1の言動について,いかなる場合でも責任を負うものではない。
[被告Y1]
被告Y1は,平成12年12月4日に被告Y3に住倉工業がどうなるのか自分の目で確認しないとリスクを負えない,財務状況等を把握するまで住倉工業に出入りさせていただきたいと申し入れたところ,被告Y3は,被告Y1の「顧問」という名刺を被告Y1に渡した。しかし,被告Y1は,顧問としての報酬は受けていない。
[被告Y2]
被告Y2は,前述のとおり,原告らと一度面会しただけであり,被告Y1の行為には関与していない。
[被告Y3]
被告Y3は,前述のとおり,被告Y1と対立する関係にあったのであり,被告Y1の行為には何ら関与していない。
第3  争点に対する判断
1  認定事実
証拠(甲1,2,5,6,12ないし17,20,21,22の1・2,23ないし26,27の1ないし8,28の1ないし4,29,33,50の1ないし3,52の3,53ないし55,62,64ないし90の各1ないし5,91,92,95の1ないし3,96の1ないし14,97の1・2,98の1・2,99,100,102,103,104の1・2,105,111,112,116,117,118ないし120の各1,126の1ないし3,130,131の1・2,乙1ないし3,丙1ないし12,原告X1本人,被告Y1本人,被告Y3本人,被告会社代表者兼被告Y2本人)並びに弁論の全趣旨から以下の事実が認定できる。
(1)原告X1は,昭和12年生まれで最終学歴はa大学卒業で,職業は,信用調査会社に勤めた後,不動産販売会社に勤務し,昭和52年以降は,自ら株式会社b(以下「b社」という。)を設立し,宅地建物取引業に従事していた。原告X1は,b社の代表取締役は長男のC(以下「C」という。)に譲ったが,相談役として実質的な経営者の地位につき,平成12年当時も相談役であった。原告X1は,昭和47年ころから,株の現物取引を始め,平成12年初めころからは信用取引も行っていた。また,平成3年から平成11年ころまでの間,●●●議員を務めていた。平成12年当時は,63歳であった。
原告X2は,b社の取締役で,その経理を担当しており,平成12年当時は,57歳であった。原告X2は,株の取引等の経験はなかったが,投資については,すべて原告X1と相談していた(なお,被告会社に提出した口座設定申込書には,原告X2について,株式取引の経験にチェックがあるが,本人控えの方にはチェックがなく,被告会社が後日書き込みを入れたものとみられる。甲104の1・2。)。
原告X1と公認会計士のAとは,b社が脱税疑惑をかけられたときにAが追徴なくこれを解決させたことから,つきあいが始まった。平成8年4月26日,Aが代表者の株式会社c(以下「c社」という。)とb社は,顧問契約を締結し(甲105),Aは,b社の税務顧問を務めたほか,原告X1の株取引等の指導も行っていた。Aはソフトバンクインベストメントの大阪支店の支店長をしていたことから,原告X1に対し,未公開株などの有望な株式の情報提供をし,情報提供の見返りとして,株式の運用利益の2割相当額の支払を要求していた。原告X1は,Aに対して恩義を感じ信頼を寄せていた。
(2)本件ファンドは,いわゆる外国籍私募投信である。私募投信とは,平成9年の証券取引法の改正によって,国内においても認められたもので,特定または少数の投資家を対象に設定される投資信託で,2人から49人までの投資家を対象にする少人数私募と適格機関投資家のみを対象とするプロ私募とに分かれるところ,本件ファンドは,証券取引法2条3項2号に規定されるプロ私募である(甲20,96の8)。私募投信は,投資信託及び投資法人に関する法律の下で設定され,その運用については公正取引ルール等の行為規制が適用されるが,オーダーメード的な性格が強いことから,その運用やディスクロージャーに関する規制は公募投信よりも緩やかで,有価証券報告書や目論見書の作成交付は,義務づけられていない。
本件ファンドは,単一または複数のサブファンドから構成される複合型ユニット投信であり,被告会社が販売会社となって,ガーンジー諸島にマザーファンドを組成した。サブファンドの投資目的は,株式への投資を通じてキャピタルゲインと収益の両面で,高水準のリターンをユニット保有者のために達成することであり,投資方針は,当初12か月間における,株式への転換が短中期的に投資家にとって魅力的なリターンをもたらすものと期待できる日本またはアジアの会社が発行する転換社債に集中投資するというものであった。また,投資制限として,取得時点において当初12か月間における単一の会社の株式への投資は,サブファンドの純資産価額の50%を超えないものとされた。そして,本件ファンドは,募集期間が経過してから,1年間は,出資金の償還を請求する権利がなかった。本件ファンドは,1口1万円で,最低申込み価額は500万円とされていた(以上,甲22の2)。本件ファンドの集中投資先は,資金繰りには窮しているものの,有望な新規事業などで将来の発展性が見込まれ,企業価値の向上が期待できる会社が選ばれることになっていた。
本件ファンドのリスクとしては,集中リスクと分散化リスクがあった。すなわち,集中リスクとは,上記のとおり,サブファンドは取得時点で純資産の50%までを特定の発行者に投資している可能性があり,万一発行者が倒産するようなことがあると,サブファンドの価値の相当部分を喪失する可能性があることである。分散化リスクとは,本件ファンドが投資信託の運用の基本である分散投資の例外商品で,サブファンドの投資は基本的に分散化が行き届かない性格を有することから,社債の転換またはワラントの行使により取得された株式が市場に買い手が見つからず,株価が大幅に下落する前に処分できなかった場合に,サブファンドの資産価値が極端に目減りする可能性があることである。
本件ファンドの管理会社は,ITMファンドマネージャーズであり,被告会社の完全子会社であった(丙11)。被告Y1が代表を務めるモルガン社は,副運用会社という立場で本件ファンドに関与していた。副運用会社の役目は,ファンドに組み入れる投資予定の会社のレポートを作成し,管理会社及び運用会社に提出して運用助言をするというものであった。被告Y1は,自らが関わった被告会社による過去2つのファンドが成功していたことから,本件ファンドについてもサブファンドを組成して,自分の顧客を集めて投資をしようと考えていた。被告会社は,被告Y1の依頼を受けて,本件ファンドのマザーファンドの設定手続を行った。
(3)本件ファンドの中心的な投資対象とされた住倉工業は,東京証券取引所第2部に上場している会社であったが,平成元年ころから,主力の機械産業が破綻して,経営状態が悪化しており(甲53,102),粉飾に近い決算を繰り返しながら,企業維持を続けてきたが,平成11年ころから,いわゆる仕手筋グループに株式を取得され,暴力団組合員が出入りして,経営にも介入するようになってきた。そこで,住倉工業は,被告Y3に出資を依頼し,平成12年5月17日,被告Y3から7億円の出資を受けた。同年6月30日,被告Y3は,住倉工業の代表取締役社長に就任した。被告Y3は,住倉工業の建て直しのための新事業として,デビットカード事業に参入することにした。
(4)被告会社は,平成12年4月13日,本件ファンドのマザーファンドの設定のために,ガーンジー諸島に本件ファンドの設立申請書類を提出した。被告Y1は,同年7月ころ,本件ファンドのサブファンドを設定するための申請を行った。
被告Y1は,本件ファンドのサブファンドに投資を希望する顧客を探していた。これまでのファンドでは,関東の顧客が中心であったことから,関西方面でも新しい顧客を開拓しようと考え,ソフトバンクインベストメントの大阪支店長であったAに対し,関西方面の新しい顧客を紹介するよう依頼した。そこで,Aは,被告Y1に対し,原告X1のほか,不動産会社の社長やパチンコ会社の社長を紹介した。
原告X1は,平成12年6月ころ,Aから本件ファンドを紹介され,被告Y1に会って説明を聞いてほしいと頼まれ,ほかならぬAの紹介ということもあって,被告Y1と面会することにした。その際も,Aは,本件ファンドの運用利益があがればその2割相当額の支払を要求していた。
同年7月初旬ころ,原告X1,同X2及びCは,ソフトバンクインベストメントの大阪支店内において,Aとともに被告Y1と会った。その席で,被告Y1は,過去の被告会社によるファンドの実績や新しく総額5億円の本件ファンドが組成されることなどを説明した。その説明において,被告Y1は,1号ファンドが「ニチリョク」の株を組み入れたことで,高い利益を上げたこと,現在運用中の2号ファンドでも高い利益が上がっていること,本件ファンドでは複数の株式を対象にする予定で,過去の2つのファンドよりも高い利益が見込めること,過去2回のファンドが成功したので3回目の今回も必ず成功して高い利益を出すことなどを話した。
原告X1は,当時信頼していたAからの話であるということや以前に「ニチリョク」の株で高い利益を上げた経験から,「ニチリョク」に集中投資した1号ファンドの成功例を聞いて,本件ファンドに強い関心を持った。そして,本件ファンドに組み入れられる銘柄によっては,本件ファンド以外にも,株取引により,より高い利益が得られると期待していた。もっとも,被告Y1は,インサイダーになってしまうので,今はまだ,組み入れられる銘柄は言えないと言った。
(5)平成12年7月28日,原告らと被告Y1は,同じソフトバンクインベストメントの大阪支店で,2回目の面会をした。
その面会においても,被告Y1は,本件ファンドについて,組み入れるのは株価100円台の会社だが,将来性のある会社を選ぶ,ただし,今回は一つの銘柄に集中投資はできず,複数の銘柄を組み入れるので,リスクが分散できる旨の説明をした。また,本件ファンドが近々ガーンジー諸島の認可が下りて成立する見通しであるといったことを伝えた。被告Y1は,本件ファンドは,平成12年8月には募集を始める予定であり,人数が決まっていて早い者勝ちだから,早く資金を入れないと受付が締め切られてしまうとも申し向けた。なお,平成12年7月の面会の際,被告Y1は,被告会社に関するパンフレットや過去のファンドの実績を示した図表のようなものを持参し,原告らに交付した(甲95の1ないし3)。その資料(甲95の3)には,企業審査助言者としてAが代表者のc社の名があり,原告らは,Aが本件ファンドに関与しているのであれば,被告Y1の話は信用に足るものと考えた。
原告らは,被告Y1がAからの紹介であり,その説明にも信憑性が感じられ,投資意欲を煽りたてられた。Aも本件ファンドに関与していることから,被告Y1のことを信用することにした。そして,なるべく早くに本件ファンドに資金を投資して,利益を確保しようと考え,同月31日,原告らは,被告会社に対し,口座設定申込書を作成し,送付した(甲103,104の1及び2)。
(6)平成12年8月12日ころ,原告X1は,被告Y1から本件ファンドの募集はすぐに締め切ってしまうので,資金を早く被告会社に送金するよう督促の電話を受けた。同月14日,原告X1は,2000万円,原告X2は,1000万円を被告会社に設定した口座にそれぞれ送金した(なお,原告X1の出資した2000万円には,D(以下「D」という。)が用意した1000万円が含まれていた。甲112。)。
被告会社は,まだ本件ファンドの設立の認可がガーンジー諸島の方から下りていなかったので,とりあえず,原告らから振り込まれた金銭は,預金として預かることとし,入金確認の通知を送付した。
しかし,被告会社から,入金確認の通知のほかは,何の連絡もなかったので,原告らは,若干不安になり,直接被告会社の本店を訪ねてみることにした。そこで,原告X1は,Aを通じて,被告Y1に連絡を取り,被告会社に対し面会を申し入れたところ,被告Y1から同月30日に面会の日が決まり,被告会社の地図が記載されたファックスが送信されてきた。そのファックスは,被告Y1の名義ではあったが,被告会社のFAX番号と被告会社の取締役E(以下「E」という。)の社内の電話番号が記載され,被告会社から送信されたものであった(甲97の2,132)。
同月30日,原告らはCとともに,東京にある被告会社の本社を訪ね,被告Y2と面会した。そこには,A,被告Y1及びEも同席していた。その席で,被告Y2は,被告会社がどのような会社かということ,過去のファンドの実績及び本件ファンドの概要についても,説明を行った。そして,本件ファンドについて,一般的なリスクは説明した上で,被告Y1のために設定したファンドなので,運用等も被告Y1に任せていること,被告Y1の言葉を信用してもよいという趣旨の発言をした。また,被告会社や本件ファンドに関連する資料を原告らに渡した(甲96の1ないし14)。
被告Y2の言葉を聞いた原告らは,被告Y1をすっかり信頼するようになり,本件ファンドに組み入れる株の銘柄がいつ,何に決まるのかを度々被告Y1に問い合わせるようになった。被告Y1は,なかなかガーンジー諸島の認可が下りずまだ本件ファンドが成立していないことやメディア発表がなされておらずインサイダーにあたるおそれもあることから,銘柄は明かさなかった。
(7)平成12年10月6日,原告X1は,被告Y1から,本件ファンドの集中投資先の銘柄に,住倉工業が含まれていることを聞かされた。そこで,原告X1は,証券会社に勤めていた友人のFに,住倉工業の経営状況等について情報収集を依頼したところ,住倉工業は,上場廃止基準に該当するおそれのある会社であると聞いた。住倉工業は,当時,仕手筋に株式の相当量が流出し,安定株主がおらず,株価が乱高下する状態であった。また,本業であった機械事業も破綻し,粉飾決算を繰り返すなどして,銀行からも融資を受けられない状態であったため(以上,甲55),同月2日,被告Y3と有限会社アドバンテージ・アルファに対する第三者割当増資を実施することにした。しかし,同月4日,東京証券取引所は,住倉工業の第三者割当増資が実行されると,割当による経営陣の介入や事業内容の大幅な変更などを視野に入れて調査した結果,別会社になる可能性が高いとして,「不適当な合併」にあたるとして,割当実行予定日であった同年11月8日から3年以内に新規上場と同様の審査を受けなければ上場廃止となる,いわゆる猶予銘柄となることを発表した(甲24)。
Fから上記のような話を聞いて,原告X1は,住倉工業に対して不安を抱き,本件ファンドの購入をキャンセルしようと考えた。そこで,同月18日,原告X1は,被告Y1に対し,住倉工業の安全性について,電話で問い質したところ,被告Y1は,被告会社からすでに5億円預かっており,本件ファンドの解約はもう無理だし,住倉工業はデビットカード事業という将来性の高い新規事業に取り組むので問題はない,これから株価もますます上がると答えた。5億円預かっているというのは,明らかに虚偽の事実であった。被告Y1は,住倉工業の転換社債にモルガン社として8000万円を出資する予定になっており(甲25,乙2),住倉工業の企業価値の向上のために奔走していた。被告Y1の話を聞いた原告X1は,その話を信用し,かえって住倉工業に好感を抱き,本件ファンドをキャンセルしなかった。原告X2は,本件ファンドをキャンセルすることを主張していたが,原告X1が説得してあきらめさせた。また,原告X1は,原告X2を納得させるため,被告会社にわざと電話をし,キャンセルができないことを確認した。
被告Y1の言葉を信用した原告X1は,本件ファンドとは別に住倉工業の株の買いを進めることとし,同年11月6日,7日には,4,5万株購入し,原告X1が代表を務める有限会社dの従業員にも,株を購入させた(甲126の1ないし3,127,129)。また,原告X1は,同年11月30日には,Aの勧めで,住倉工業の転換社債に全額投資するアドバンテージ・アルファ1号ファンドという匿名組合のファンドへ1000万円を出し,b社として,Aと合計4000万円の共同出資をした(乙1)。
一方,住倉工業は,上記東京証券取引所の発表を受け,予定していた上記第三者割当増資を中止し,同年11月1日,別途無担保転換社債を発行することとした。当初目標は28億円であったが,一部の割当先からの出資が得られなかったことから,目標額を下回り,同年12月1日付で4億8000万円分が発行された(甲50の3)。また,同月4日,発行を予定していたリード・インベストメントに対する新株引受権付社債の発行も中止された(甲26)。
(8)平成12年11月23日,本件ファンドの設立についてガーンジー諸島の許可がおり,同年12月11日,被告会社は,有価証券通知書を関東財務局に提出し,同月12日,13日が本件ファンドの募集期間とされ,同月14日,本件ファンドの運用が開始された。原告らは,同月12日,本件ファンドを買い付け,同月15日,改めて,被告会社から送られてきた本件ファンドの投資確認書及び外国証券の譲渡に関する確認書に押印をして,これらの書類を被告会社に返送した(丙1ないし4)。そして,予め入金されていた3000万円が本件ファンドに組み入れられ,原告X1は,手数料及び消費税を含めて2063万円(甲1),原告X2は,1031万5000円を出資したことになった(甲2)。
原告X1は,同年11月30日午後に住倉工業の株価が暴落し始めたことから,被告Y1に電話で問い質したところ,被告Y1の紹介により,原告らは,翌12月1日に被告Y3と面会した。被告Y3は,住倉工業の事業の将来性について話をし,原告らはその話を聞いて安心したが,本件ファンドについては特に話題にはならなかった。
その後,原告X1は,住倉工業の株を他人にも紹介するため,住倉工業の財務状況に関心を持ち,同月27日,住倉工業が所有する浜松市中島2丁目481番の宅地の不動産登記簿を調べてみた。そして,原告X1は,上記宅地の公示価格が2億円以上あるのに極度額7000万円で根抵当権が設定され条件付地上権設定仮登記がついていたことを知ると,その根抵当権設定者等の債権者が評判の悪い金融会社であり,住倉工業の経営状態が健全ではないという悪評が広がると言って,Aを通じて被告Y3を説得し,借金を返済させて抵当権を外させた(甲99,100)。
(9)平成13年1月10日,原告らは,被告Y1の強気の言葉にもかかわらず,住倉工業の株価が一向に上がらないので,Dとともに,住倉工業の本社の応接室において,被告Y1及び被告Y3と面会をした。この席で,被告Y3は,原告らに対し,デビットカード事業の将来性や展望について話をしたり,雑談をするなどした。被告Y1も,デビットカード事業が有望であることやM&Aの予定があり,住倉工業の株価は今後上昇し,高い利益が得られることを強調していた。
しかし,その後,M&Aの発表などなく住倉工業の株価も低迷を続けた。
原告X1は,平成13年5月ころ,住倉工業の株価が一向に上がらず,Dからも不信の目を向けられたことから,原告訴訟代理人らを立てて,Aや被告Y1の責任を追及する書面を送付した(甲118の1,119の1,120の1)。そして,原告X1は,平成13年9月28日,Aに預けていた金銭について返金を受け,Aとの関係を清算した(甲111)。
(10)平成13年10月19日,原告X1は,住倉工業の株価操縦について証券取引等監視委員会に調査を依頼し,同年12月25日,被告Y1を証券取引法違反で東京地検特捜部に告訴した(甲17)。そのため,被告Y1は,特捜部から取調を受け,被告Y2も参考人として事情聴取された。被告Y1は,平成17年4月22日付で不起訴処分となった(甲117)。
平成14年2月13日,被告Y3は,総会屋に対する利益供与をしたとして,商法違反により逮捕(甲12),起訴され,同年8月29日,東京地方裁判所において,懲役1年執行猶予3年の判決を受けた(甲16)。また,住倉工業は,同年5月10日,東京地方裁判所に破産宣告を申し立て(甲53),同年6月3日,破産宣告決定を受けた。
平成14年12月30日付で,被告会社から,原告らに対し,平成15年1月末日をもって本件ファンドを解散する旨の通知が出され,本件ファンドは,平成15年1月31日,解散された(甲116)。本件ファンドは,平成13年4月から5月ころの運用では,基準価格の2割ほどの利益が出ていたこともあった(甲27の8,67の3,68の3)。しかし,その後は一貫して利益が出ず(甲64ないし90の各1ないし5),最終的には,8割以上の損失を出して精算され(甲90の3),原告らには,平成15年1月23日及び同年3月26日,その損失を差し引いた額が償還された。
2  被告Y1の責任について
(1)被告Y1の原告に対する,断定的判断の提供,申込み撤回の拒否,説明義務違反,虚偽表示等による不法行為の成否について(争点(1)ア,イ,ウ,(2)ア)
ア 被告Y1の被告会社との関係について,上記認定事実によれば,被告Y1は,被告Y2と被告Y1とは山一證券にともに勤務していたころからの知り合いであり(乙3,丙12),被告会社の過去2回の投資信託もモルガン社が実質的に投資対象を選定し運用したものであり,モルガン社は被告会社の約2割の株式を有していた(乙3,丙12)。本件ファンドも,その私募債という性格から,被告Y1が顧客を募っていたのであるが,被告Y1は,証券会社で本件ファンド販売会社である被告会社の従業員であるとか,実質的にみて被告会社から指揮支配される関係にあったとは認められない。被告Y1は,原告X1に対し,被告会社のファックスを利用し,被告会社名義のファックス文書を送付した事実は認められるが(甲132・前記1(6)),被告Y1と被告会社との関係からみれば,被告会社の出資者であるモルガン社の被告Y1からの依頼があれば,被告会社は被告Y1のファックス利用を拒否するような関係であったとはいえず,ファックス文書の記載のみからみれば,被告Y1の被告の従業員であるかの表現が見えるとしても被告会社の使用者とは認められない。
また,本件ファンドは,多数の一般投資家を対象とするものではないうえ,被告Y1は,証券会社の営業員でもないから,証券取引法42条1項の一般投資家を保護するための,証券会社の営業員の投資勧誘の在り方の規制を被告Y1の原告らに対する言動にそのまま適用できるとはいえない。
イ 確かに,前記認定事実(1(4)(5)(6))によれば,被告Y1は,原告らに対し,平成12年7,8月の段階で,本件ファンドに投資をすれば,確実に利益が上がるという断定的判断を提供したことが,認められる。すなわち,被告Y1は,平成12年7月の2度にわたる原告らとの面会において,原告らに対し,過去のファンドの実績,特に,過去のファンドがいずれも高い運用利益であったことを強調し,今は株価が低くとも将来性のある材料を選ぶとして,本件ファンドも過去のファンドと同じく高い利益が見込めることを伝えた。また,本件ファンドのリスクがほとんどないかのように説明して,本件ファンドの利益について断定的判断を提供し,本件ファンドの購入を強く勧めた。かかる被告Y1の説明を聞いたことで,原告らは,本件ファンドに投資すれば,高い利益を得られると信じたといえる。
上記認定事実(1(2))のとおり,本件ファンドは,もともと資金繰りに窮しているような信用性の低い会社に集中的に投資を行い,その運用益に期待して利益を上げる仕組みであるから,逆に投資対象の会社が破産をすれば,莫大な損害が生じるというハイリスクハイリターンな投資信託である。したがって,そのリスクを十分に説明せず,利益の話ばかりをしたことは,断定的判断の提供に当たる。本件ファンドのような私募投信は,上記認定事実のとおり,少人数のプロの投資家の出資を募って成立する特にハイリスクハイリターンな商品であり,原告らが株取引に明るく,投機的な商品に一定の理解があるとしても,リスクとなる事情の説明を行わず,利益の面のみを強調し,断定的な判断を提供することは,実態とは異なった説明をするものであって,問題がないとはいえない。
この点,被告Y1は,原告らとの面会に際して,断定的判断の提供などしていないと事実を否認し,原告らは本件ファンドの投資先の株にしか興味がなかったと主張して,本人尋問においても,これに沿う供述をしている。しかし,原告らが投資先の株に興味を示したとしても,それは,本件ファンドの投資先に選ばれた会社の株価が上昇しており,高い利益を上げているとの説明を受けたことの結果であり,株の現物取引による儲けをも期待したことは,不自然とはいえない。むしろ被告Y1が利益を期待させる説明をしたことを裏付ける事情である。
しかし,平成12年の7,8月の段階では,被告Y1に投資先の心づもりはあったにしろ,本件ファンドが認可されたのが約5か月後の同年12月であったことからすれば,投資先やその投資割合は確定していなかったと認められる。本件ファンドの仕組みの説明としては,原告らにパンフレット(甲95の1ないし3,96の1ないし14)の交付はされており,そこでは,本件ファンドの危険性について触れられている。原告は,これまでも株式取引の経験は豊富であり,大きな利益が期待できるものは,反面リスクも大きいことを理解することは,その経歴に照らして十分できたと認めることができる。パンフレットの交付だけではその意味がわからなかったといえない。
よって,被告Y1の7,8月の言動をもって,違法があるとまではいえない。また,原告らの主張は,本件ファンドのハイリスクハイリターンの仕組みについて理解できなくて,損害を被ったというのではなく,むしろ,その投資先の評価を誤まらされた結果によるものであるから,投資先の決まっていないこの段階での被告Y1の言動に違法があるといえるとしても,原告らに生じた損害とは因果関係がない。
しかし,上記認定事実(1(7))によれば,被告Y1は,本件ファンドがまだ認可される前に,原告X1から撤回したいとの申し出があったときに,原告らの被告会社に送金済みであった本件ファンドへの投資のための金員は,まだ単なる預り金であり,返還できるものであったし,5億円をすでに預かっていたわけでもないのに,本件ファンドの解約はもう無理であると回答したのであり,これは,虚偽の事実を述べたものである。
さらに,被告Y1は,モルガン社として本件ファンドの運用アドバイザーという役目を担い,本件ファンドの投資対象として,住倉工業を選定するとのレポートを,運用会社であるキャピタル社に出し,実質的には本件ファンドの投資先の選定や運用に関わっていたことが認められる。被告Y1は,住倉工業の転換社債に8000万円を投資する予定であり,住倉工業の株価をつり上げ,本件ファンドの運用利益を高くすることについては,運用アドバイザーとしての利害関係以上の深い利害関係があった。
被告Y1は,その利益状況のもとで,住倉工業に対し,現実の経営状態に比して,過大な評価を与えて,住倉工業のデビットカード事業の将来性を高く評価していた(被告Y1本人)ものであるが,これは,前記認定(1(3))したとおり,仕手筋グループ等の介入により住倉工業の経営が既に危機的状況にあったとの客観的状況からすれば,極めて冷静さを欠くもので,誤りであったといわざるをえない。
被告Y1が,住倉工業について,デビットカード事業等によりあたかも株価が今後確実に上昇し,原告らに対し,必ず利益が出るとか,今後住倉工業の株価が確実に上昇するとか説明して,原告X1に本件ファンドを購入することを撤回しないように説得し,その本件ファンドを購入する気持ちを持ち続けさせたことは,故意または重大な過失によって被告Y1が虚偽の事実を述べたことによるものであり違法行為と認められる。
被告Y1は,証拠調べ終了後に被告Y2の本人兼被告会社代表者尋問の結果を弾劾する陳述書等(乙4ないし6)を提出し,自分の予想や期待が誤りではなく,現に本件ファンドが一時期2万円近い資産価値を有していたとも主張するが,本件ファンドの運用報告書(甲64ないし90の各1ないし5)によれば,資産価値は平成13年4月,5月ころ一時的にせいぜい約2割増しとはなったものの,それ以降は額面割れの状態が続き,全く好転することはなかったことが認められ,上記陳述書等の記載内容は,これらの事実と矛盾し,信用できない。
ウ よって,被告Y1について,原告らに対する本件ファンドの購入を勧誘するに際して,証券取引法上の証券会社の義務と同一の義務を負うものではないとしても,上記のように虚偽の事実を述べたことによって,原告らに,本件ファンドを購入するか否かについての判断を誤らせ,損害を与えたのであって,原告らに対する不法行為が成立する。
(2)被告Y1による相場操縦及び不公正取引について(争点(4))
被告Y1が,住倉工業の株価操縦を行ったとまで認めるに足りる証拠はない。また,原告らが投資した資金が住倉工業の株の買い支えに使われたということについても,これを認めるに足りる証拠はない。本件ファンドは,住倉工業の転換社債に投資するものであって,株式に直接投資するわけではない。
確かに,住倉工業の転換社債の発行価額は,平成12年11月1日を基準に100円と設定されていたところ(乙2,甲25),同年10月31日の住倉工業の終値が急に下がって98円となったことは(甲52の3),やや不自然であり,被告Y1による相場操縦を疑わせる事情といえないではないが,これだけでは,裏付けとしては不十分である。また,原告らは,被告Y1がいかなる方法によって,株価操縦を行ったかについての具体的な主張・立証はしていない。
不公正取引の点についても,原告らは,本件当時の住倉工業の経営状況やその背後にいたとされる仕手筋グループ等の存在を指摘し,被告Y1の関与を疑うのみで,被告Y1が具体的にいかなる不公正取引を行ったかについて,主張・立証が尽くされているとはいえない。
よって,本件においては,被告Y1による株価操縦や不公正取引の事実を認めることはできない。なお,仮に,被告Y1に証券取引法159条2項2号に違反する行為があったとしても,原告らは,その違反行為によって形成された住倉工業の株価を前提にして取引行為に入った結果,損害を被ったわけではない。この点についての原告らの主張は理由がない。
3  被告Y2及び被告会社の責任について
(1)被告Y2の断定的判断の提供及び説明義務について(争点(1)ア,(2)ア)
被告Y2は,原告らに面会したのは,平成12年8月30日の1回だけであり,この段階で,原告らはすでに被告会社に本件ファンドの購入資金を送金済みであった。上記認定事実(1(6))のとおり,被告Y2は,被告会社の概要や過去の被告会社のファンドの利益の出た実績については説明したが,本件ファンドについては,実質は被告Y1の組成するもので,被告Y2は,被告会社はその枠組みとなるマザーファンドの組成の手続を取ったことを説明したにすぎない。本件ファンドの投資先の選定や運用は,キャピタル社や被告Y1が行っていたのであり,被告Y2の関知しないところであったし,当時は,本件ファンドの投資先は決まっていたとは認められない段階であり,過去の実績を説明する以上に,原告らに対して,本件ファンドの運用利益についての断定的な判断を提供しようにもできなかったといえる。
被告Y2が被告Y1のことを信用してくれてもいい旨の発言をしていたからといって,本件ファンドの利益を確約するものとはいえないから,この発言をもって,断定的判断の提供ということはできない。
被告Y2について,本件ファンドの説明内容として虚偽の事実があったとは認められず,この点について違法があるとはいえない。
被告Y2は,原告らに対して1回だけ面会した8月30日の段階では,本件ファンドに組み入れるべき銘柄等について,説明することはそもそも不可能であったし,後日においても,後記のとおり,本件ファンドの性格からみて,被告会社として銘柄等の評価についてまで説明する義務はないといえる以上,被告Y2においても個人的な組み入れられる銘柄等についての説明義務を負うものではない。
(2)  被告会社の説明義務について(争点(2)イ)
被告会社は,本件ファンドの販売会社であるから,販売する商品である本件ファンドのリスクについて,説明する義務があったとはいえる。すなわち,投資信託の商品の販売者としては,商品を提供する以上,商品に関する説明義務を負うことは,契約上の当然に負うべき責任の内容といえる。特に,本件のような私募の投資信託は,ハイリスクハイリターンの商品であるから,そのリスクを投資家に理解させた上で,販売すべきものといえる。
しかし,本件ファンドは,私募投信でもプロの投資家を対象としているものであり,証券会社が広く顧客を勧誘して販売することは予定されておらず,公募投信に必要とされている有価証券報告書や目論見書の作成交付も義務づけられていない(前記1(2))ことからすると,投資先の評価は,プロ投資家が自己責任においてすべきこととされているということができ,販売会社である証券会社において,投資先の評価についてまで,積極的に説明すべき義務はないといわざるを得ない。被告会社において,原告らの判断を誤らせるような虚偽の事実を説明したと認めることのできる証拠もない。
確かに,本件ファンドがハイリスクハイリターンの商品であることの説明について,平成12年12月12日に至るまでには,原告らに対して,パンフレットが交付されてはいるが,被告会社の営業員が説明をした事実は認められないし,被告Y2との平成12年8月30日における面会だけでは証券会社としてのなすべき口頭での説明が十分できているかは,疑問の余地はある。しかし,本件については,被告会社の誰からも何の勧誘もしていない段階で,先に原告らが被告会社に購入資金を送金したという特殊な経過を辿っており,資金の送金後の,説明べき内容については,ややその程度が軽減されるといえる。仮に,軽減されないとしても,原告らの主張は,本件ファンドのハイリスクハイリターンの仕組みについて理解できなかったために,損害を被ったというものではなく,その投資先の評価を誤まらされた結果によるものであるから,その説明が不十分であった内容と原告らの損害とは因果関係がない。
なお,原告X1の本人尋問の結果によれば,原告X1は,被告Y1とのやりとりの結果,申込みを撤回しないことに決心し,その後,まだ,撤回したいという原告X2を納得させるために,被告会社に電話したと供述している。このことからすれば,原告X1は,原告X2を翻意させるために,被告会社に電話して本件ファンドを解約ができるかどうかを確認したということが認められ,被告会社に電話した時点では,被告会社に本気で本件ファンドの解約を申し出る意図はなく,申込みの撤回をしたとはいえない。
よって,原告らには,本件ファンドの購入することをやめたいと被告会社に申し出たとはいえないから,被告会社による撤回の申し出に対する拒否は認められない。
(3)被告会社の被告Y1の行為についての使用者責任について(争点(5))
原告らは,被告Y1の行為について,被告会社に使用者責任が成立すると主張するが,前記(2(1)ア)のとおり,被告会社が被告Y1を支配する関係は認められないことから,使用者責任は成立せず,原告らの主張に理由はない。
(4)被告会社の忠実義務違反について(争点(3))
上記認定事実(1(2))によれば,本件ファンドの投資対象として,副運用会社のモルガン社の助言を参考に,住倉工業を選択したのは,運用会社であるキャピタル社であって,被告会社は,本件ファンドの販売会社であるから,本件ファンドの投資対象を決定する立場になかったことが認められる。本件ファンドの仕組みからすれば,被告会社は,本件ファンドの投資家に対する販売窓口ではあるが,具体的な投資対象の選定には関わっているとはいえない。それに,キャピタル社は,被告会社とは資本関係にないことから(丙5,8),被告会社がキャピタル社の投資先の選定や運用指図に関与することができるかも疑問である。キャピタル社を運用会社に選定したのは,本件ファンドの管理会社であるITMファンドマネージャーズであるが,ITMファンドマネージャーズが,本件ファンドの実質的な運用者であったと認めるに足りる証拠もない。ITMファンドマネージャーズは被告会社の子会社である(丙11)からといって,キャピタル社が被告会社の支配下にあったともいえない。ITMファンドマネージャーズが経営の実態がないと認めうる証拠も,その法人格を否認すべき証拠もない。
(5)よって,原告らの被告Y2及び被告会社に対する請求は理由がない。
4  被告Y3の責任について(争点(1)ウ,(2)ア)
被告Y3は,本件ファンドの投資対象となった住倉工業の当時の代表者であるにすぎず,本件ファンドの組成や販売ついて関与する者ではない。被告Y3は,住倉工業が本件ファンドの投資対象とされるか否かには利害を有するとしても,さらに本件ファンドを原告らが購入するか否かについては極めて間接的な関係しかないといわざるを得ない。また,被告Y3が,平成12年12月12日以前に,そもそも住倉工業が本件ファンドの投資対象になっていたことを認識していたと認めることのできる証拠はない。被告Y3が住倉工業において何らかの違法行為をしたことがあった(甲53)としても,原告らにおいて本件訴訟で主張する違法行為と関係するものとは認められない。被告Y3が,原告らと面会したときに,原告らに対し,住倉工業のデビットカード事業の将来性を強調し,順調にいけば事業として成功を収める旨の説明をしたことは認められるとしても,一般的に会社代表者の自分の会社の将来性についての発言が客観的なものとは,必ずしもいえないことは明らかである。会社代表者の発言が甘く誤ったものであるかどうかも,投資家が投資するか否かの判断の中で考慮すべき一事情にすぎない。原告らの本件ファンドに関わる損害と被告Y3の発言との間には法的因果関係も認められず,不法行為は成立しない。
5  原告らは,被告らの行為が「私募債マフィアの手口」であるとも主張する。
原告の主張する私募債マフィアの定義は必ずしも明らかではないが,原告らは住倉工業の公正に形成されていない株価を公正に形成されたものと信じて取引に入ったわけではなく,原告らの主張する損害について被告らの連帯責任を基礎づける具体的な主張であるとは認められない。
以上のとおりであり,本件においては,被告らのうち被告Y1についてのみ不法行為責任を認めることができる。
6  原告らの損害について
(1)原告X1は,本件ファンドのような投資信託に投資をしたのは初めてであったが,若いころから株取引の経験があり,平成12年初めころからは信用取引も行っていた。それに,住倉工業についても,友人から情報を集めたり,資産状況を調査したりするなど高い関心を有しており,住倉工業の不動産に抵当権がついていると知るやこれを外すよう働きかけもした。さらに,本件ファンドとは別のファンドに出資して,積極的に住倉工業の転換社債への投資も行った。
原告X1は,●●●議員を長く務めた人物であり,株取引に明るく,上記認定事実における被告Y1の言動を前提にしても,本件ファンドの取引には,高いリスクがあることを理解できたといえる。原告X1は,本件ファンドがもたらす利益を最大化させるために,自分が代表を務める会社の従業員にも住倉工業の株を買わせるなど,積極的に,住倉工業の建て直しのための投資をさらに行っていたとすらいえる。
以上の事実からすれば,原告X1は,本件ファンドの取引について,適合性があったといえるだけでなく,本件ファンドの取引損のすべてを被告Y1に負担させるべきものとはいえないというべきである。
(2)他方,原告X2については,個人的な投資経験の有無については必ずしも明らかではないが,少なくとも,本件ファンドに関しては常に原告X1と行動を共にし出資するか否かについて個別的な行動は見られず,原告X2は,本件ファンドについては,実質的に原告X1と同一の立場にあったと評価できる。
(3)以上の事情によれば,被告Y1の不法行為に原因があるとはいえ,原告X1の友人のFからの情報もあったのに,原告らも安易に本件ファンドによる利益だけを期待して,積極的な投資を行ったと認められるから,本件ファンドの購入によって生じた損害については,原告らにも過失があったといえ,過失相殺をするのが相当である。そして,その過失割合は,上記(1)(2)の事情を総合勘案すると,本件ファンドの取引損の5割とするのが相当であるといえる。それによれば,原告X1の損害額は,本件ファンドの購入代金2000万円から償還金として受領した329万8000円を控除した1670万2000円の5割である835万1000円となり,これに被告Y1の不法行為と相当因果関係があると認められる弁護士費用額80万円を加算すると915万1000円となる。原告X2の損害額は,本件ファンドの購入代金1000万円から償還金として受領した164万9000円を控除した835万1000円の5割である417万5500円となり,これに相当因果関係があると認められる弁護士費用40万円を加算すると457万5500円となる。
7  結論
よって,本訴請求は,被告Y1に対して,原告X1について915万1000円及びこれに対する平成15年1月24日から,原告X2について457万5500円及びこれに対する平成15年3月27日からそれぞれ支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限りで理由があるからこれを認容し,その余の請求は理由がないからいずれも棄却することとし,訴訟費用の負担につき民訴法65条1項本文,64条本文,61条を,仮執行の宣言につき同法259条1項をそれぞれ適用して,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 稻葉重子 裁判官 鳥飼晃嗣 裁判官 島﨑卓二)

 

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