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判例リスト「完全成果報酬|完全成功報酬 営業代行会社」(128)平成26年10月27日 東京地裁 平25(ワ)306号 損害賠償請求反訴事件

判例リスト「完全成果報酬|完全成功報酬 営業代行会社」(128)平成26年10月27日 東京地裁 平25(ワ)306号 損害賠償請求反訴事件

裁判年月日  平成26年10月27日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平25(ワ)306号
事件名  損害賠償請求反訴事件
文献番号  2014WLJPCA10278012

裁判年月日  平成26年10月27日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平25(ワ)306号
事件名  損害賠償請求反訴事件
文献番号  2014WLJPCA10278012

東京都中央区〈以下省略〉
反訴原告 株式会社X
同代表者代表取締役 A
同訴訟代理人弁護士 村上康聡
東京都港区〈以下省略〉
反訴被告 Y
同訴訟代理人弁護士 鈴木章浩
同訴訟復代理人弁護士 佐久間敦子

 

 

主文

1  反訴被告は,反訴原告に対し,1278万6694円及び平成25年1月16日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2  反訴原告のその余の請求を棄却する。
3  訴訟費用はこれを3分し,その2を反訴被告の負担とし,その余を反訴原告の負担とする。
4  この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。

 

事実及び理由

第1  請求
反訴被告は,反訴原告に対し,1924万6034円及びこれに対する平成25年1月16日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
本件は,反訴原告が,反訴原告の代表取締役であった反訴被告に対し,①反訴被告が,善管注意義務に違反して,他の取締役の合意を得ることなく,反訴原告と取引先との間の契約を無断で合意解約し,合意解約日の翌日から当該契約の期間終了日までの得べかりし利益相当額の損害を反訴原告に与えた,②反訴被告が,競業避止義務に反して,自ら又は第三者をして反訴原告と同種の事業を営み,反訴原告に損害を与えたと主張して,会社法423条1項又は不法行為に基づき,①及び②の損害額合計1419万6395円,平成23年7月22日から同年10月21日までに反訴被告が反訴原告から受領した役員報酬合計330万円,本件の弁護士費用174万9639円の合計1924万6034円の損害賠償金及び本反訴状送達の日の翌日である平成25年1月16日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
1  前提事実
(1)  当事者等
ア 反訴原告は,インターネットSEOサービス業務等を目的とする株式会社であり,取締役会非設置会社である。
(争いなし)
イ 反訴被告は,平成21年1月13日から平成23年10月1日まで反訴原告の代表取締役を務めた者である。
(甲1)
ウ for next株式会社(以下「f社」という。)は,平成22年6月11日に設立された,インターネットコンサルティング事業等を目的とする株式会社であり,その代表取締役はB(以下「B」という。)である。
(乙9)
(2)  反訴原告の取引先
反訴原告は,次の各社(次項以下では「株式会社」を省略する。)との間で取引があった。
ア グロービート・ジャパン株式会社
イ 株式会社ファクトリージャパン
ウ 株式会社プロトコーポレーション
エ 株式会社スキルエントリー
オ 株式会社イッティ
カ 株式会社グリーンネット
(争いなし)
(3)  反訴被告による会社設立
反訴被告は,反訴原告を退任した後である平成23年10月14日,インターネットコンサルティング事業等を目的とするa株式会社(以下「a社」という。)を設立し,同社の代表取締役に就任した。
(乙10)
(4)  契約の締結
別紙一覧表の「当事者」の間では,その「契約日」において,インターネット上の各種サービスを「目的」とし,これに対して「報酬」を支払う旨の各契約が締結された(以下,これらの各契約を別紙一覧表の番号によって「本件契約1」ないし「本件契約29」という。)。
(別紙一覧表末尾の各証拠)
(5)  本件合意解約
反訴被告は,反訴原告の取締役であったC(以下「C取締役」という。)の了解を得ることなく,本件契約1,3ないし14,16ないし19(以下,これらをまとめて「本件旧契約」という。)を合意解約(以下「本件合意解約」という。)した。
(争いなし。ただし,合意解約がなされた日については争いがある。)
(6)  本件新契約の締結
反訴原告の取引先とf社又はa社との間で,本件契約2,15,本件契約20ないし29(以下,これらをまとめて「本件新契約」という。)が締結されたが,その締結にあたって反訴原告の株主総会による承認はなされなかった。
(弁論の全趣旨)
(7)  競業避止等に関する覚書
反訴被告は,反訴原告の親会社であるb株式会社(以下「b社」という。)に従業員として勤務していた平成18年7月1日,b社との間で,「b社の事業に属する業務に関しては,同社を退職後,少なくとも,一般社員は1年間,役職者は2年間,事業責任者は3年間,同社における勤務上で得た同社固有のノウハウ,人脈,技術を利用した,同社と競合関係に立つ一切の業務行為を行わないものとする。」旨の秘密保持・競業避止等に関する覚書を締結した。
(乙5)
2  争点及びこれに関する当事者の主張
(1)  本件合意解約の違法性
(反訴原告の主張)
反訴被告は,反訴原告から取引先を奪うために,当該取引先に本件旧契約を合意解約するよう働きかけて,これを合意解約したものであり,かかる行為は取締役の善管注意義務に反するものである。
また,本件合意解約は,反訴原告にとって重要な業務執行に該当するものであるから,本来であれば取締役の過半数で決定しなければならなかったのに(会社法362条4項参照),反訴被告はもう1人の取締役であったC取締役の了解を得ることなく独断でこれを行ったものであり,かかる行為は善管注意義務に反するものである。
したがって,反訴被告による本件合意解約は違法である。
(反訴被告の主張)
反訴被告は,反訴原告の取引先から,反訴原告のサービスに満足できなくなったことなどを理由として,本件旧契約を合意解約したい旨の要望を受けてこれに応じたものであり,これに応じなければ,対顧客のイメージが悪くなることによる風評被害の方が多くなってしまう可能性すらあった。したがって,本件合意解約が善管注意義務に反するとはいえない。
また,本件合意解約は代表取締役に委ねられた通常業務の一環であるし,C取締役は名目的な取締役に過ぎなかったから,その了解を得なかったからといって善管注意義務に反するとはいえない。
したがって,本件合意解約は違法とはいえない。
(2)  本件新契約の締結の違法性
(反訴原告の主張)
反訴被告が,反訴原告の代表取締役に在任中,f社との間で本件契約2,15を締結させた行為は取締役の善管注意義務に反するとともに,第三者たるf社のために,反訴原告の株主総会の承認がないまま,その事業の部類に属する取引を行ったものであるから,競業避止義務に反するものである。
また,反訴被告は,反訴原告の代表取締役を退任後も,信義則上,競業避止義務を負うというべきところ,反訴原告の取引先との間で本件契約20ないし29を締結した行為は同義務に反するものである。
よって,反訴被告による本件新契約の締結等は違法である。
(反訴被告の主張)
当事者の選択によって本件契約2,15が締結された事実はあっても,反訴被告がこれらを締結させた事実はない。
また,反訴被告が反訴原告の取締役から退任した後に競業避止義務を負うことはない。反訴被告がf社を紹介したり,a社で契約を締結したのは,反訴被告から不当に営業をかけた結果ではなく,顧客側からの強い求めに応じてなされたものであって,自由競争の範囲を逸脱したものとはいえない。また,ファクトリージャパンがa社に依頼しようとしていたサービスは,反訴原告が提供していたサービスとは検索キーワードを異にする別のサービスであり,反訴被告が反訴原告の取引先を奪ったとはいえない。
よって,反訴被告による本件新契約の締結等が違法であるとはいえない。
(3)  損害額
(反訴原告の主張)
反訴被告による上記(1),(2)の各違法行為によって反訴原告が被った損害は,別紙一覧表の反訴原告欄のとおり合計1419万6395円となる。
この他に,反訴原告は,反訴被告に対し,平成23年7月から同年10月までの間に役員報酬として330万円を支給しているところ,上記(1),(2)の違法行為を行った反訴被告に対しては役員報酬を支給する前提を欠くから,反訴被告に支給した上記330万円も反訴原告が被った損害となる。
また,本件訴訟の弁護士費用としては,上記合計の1割である174万9639円が相当であり,これらを合計した1924万6034円が反訴原告の損害となる。
(反訴被告の主張)
反訴原告の主張は争う。
仮に反訴原告に損害が発生するとしても,別紙一覧表における「合意解約がなかった場合の契約終了日」の反訴被告欄のとおり本件契約が終了したはずであるから,これに基づいて損害額が計算されるべきである。
また,本件旧契約及び本件新契約は成功報酬制であり,報酬の上限額を常に請求できるわけではないから,その損害額は反訴原告の主張の7割で計算されるべきである。
第3  争点に関する当裁判所の判断
1  争点(1)(本件合意解約の違法性)について
(1)  反訴原告は,反訴被告が反訴原告から取引先を奪うために当該取引先に本件旧契約を合意解約するよう働きかけて本件合意解約を行った旨主張するが,これを認めるに足りる的確な証拠はない。
したがって,この点を理由とする反訴原告の請求には理由がない。
(2)  しかしながら,本件旧契約は,これを合意解約しなければ反訴原告において期間満了までの報酬を得ることができるのであるから,取引先から合意解約の申入れがあったとしても,反訴原告に落ち度があるなどの特段の事情がない限り,反訴原告の取締役としてはこれに応じるべきではないのであって,上記特段の事情がないにもかかわらず合意解約に応じることは取締役の善管注意義務に反するというべきである。
この点,反訴被告は,本件合意解約に応じたのは,①グロービート・ジャパンの担当者から,「反訴被告がいるから反訴原告と契約したが,反訴被告が平成23年9月末をもって辞めるということであれば,反訴原告との契約も終了させたい。」旨言われたこと(本件契約1について),② ファクトリージャパンの担当者から,同社及び関連会社であるスキルエントリーにおける契約の見直しのため,すべての契約を終了させたい旨の要望を受けたこと(本件契約3ないし10,19について),③ プロトコーポレーションの担当者から,SEOサービスの成果が出ていないこと,サービスの質が悪いことを理由に,すべての契約を解除したい旨の連絡を受けたこと(本件契約11ないし14,16ないし18)が理由である旨主張する。
しかしながら,担当者が交代したとしても,サービスの内容や質が低下するとは限らないし(①の点),契約の見直しをするというのは単なる取引先の都合にすぎないから(②の点),いずれも合意解約に応じるべき特段の事情に該当するとはいえない(なお,反訴被告は,その本人尋問において,本件契約1を合意解約した理由について,同社を担当していたDのコンサルティング力に対して同社から不満を告げられたからである旨供述するが(反訴被告本人調書7頁),その供述は,上記①及び以前の反訴被告の陳述(甲3)と異なるものである上,証人Dの供述内容とも相反するものであることからすれば,直ちに採用することはできない。)。また,取引先からサービス内容等に対して不満を告げられたとしても,まずはその不満を解消するよう努めるべきであると解されるところ,証拠(反訴被告本人)によっても,なおプロトコーポレーションの不満を解消するための手立てを講じる余地があったと考えられるから,合意解約に応じるべき特段の事情があったとまではいえない(③の点)。
その他に上記特段の事情があったことを認めるに足りる証拠はない。
したがって,反訴被告による本件合意解約は,善管注意義務に反する違法なものであったと認められる。
2  争点(2)(本件新契約の締結の違法性)について
(1)  本件契約2,15について
証拠(甲3,乙12,25,反訴被告本人)及び弁論の全趣旨によれば,反訴被告は,グロービート・ジャパン及びプロトコーポレーションと反訴原告との間の各契約を合意解約するにあたって,上記各社から他社を紹介してほしい旨依頼されて,同種の事業を営むf社を紹介し,その結果,グロービート・ジャパン及びプロトコーポレーションとf社との間に本件契約2,15が締結されたことが認められる。
そうすると,反訴原告の代表取締役であった反訴被告が,f社のために本件契約2,15を締結させた行為は反訴原告の利益を害するものであって,取締役の善管注意義務に反するものというべきであるから,かかる行為は違法であると認められる。
(2)  本件契約20ないし29について
ア 証拠(甲3,乙5,60,反訴原告代表者,反訴被告本人)及び弁論の全趣旨によれば,反訴被告は,反訴原告の親会社であったb社との間で,平成18年7月1日,取締役の退任後も2年間にわたって競業避止義務を負う旨の覚書を締結したこと,平成21年1月,反訴被告は,反訴原告の設立に伴って,b社の従業員から転籍して子会社である反訴原告の代表取締役へと就任したこと,その際に反訴原告と反訴被告との間で競業避止義務に関する新たな合意はなされていないものの,反訴被告は,反訴原告の取締役を退任後であっても競業避止義務を負う可能性があることを認識していたことが認められ,これらによれば,反訴被告は,反訴原告の取締役を退任した後であっても一定期間は,信義則上,競業避止義務を負っていると解することが相当である。
それにもかかわらず,前記前提事実,証拠(反訴被告本人)及び弁論の全趣旨によれば,反訴被告は,a社設立後に,反訴原告の取引先であったファクトリージャパン,イッティ及びグリーンネットからインターネットサービスの業務を依頼され,ファクトリージャパンについては,f社を紹介して,f社とファクトリージャパンとの間に本件契約20ないし26を締結させた後,f社からa社に当該業務を再委託させてこれを受託したこと,イッティ及びグリーンネットについては直接a社との間で本件契約27ないし29を締結したこと,これらについて反訴原告の株主総会の承認を得ていないことが認められる。以上によれば,a社又はf社が本件契約20ないし29を締結して反訴原告と同種の事業を営んだことは,反訴被告の信義則上の競業避止義務に反するものであって違法であると認められる。
イ これに対し,反訴被告は,① b社との間の競業避止義務を負う旨の合意が反訴原告にも及ぶとしても,職業選択の自由を侵害するものとして公序良俗に反し無効である,② 本件契約20ないし29はいずれも取引先からの強い要望によって締結されたものであって,社会通念上,自由競争の範囲を逸脱したものとはいえない,③ ファクトリージャパンがf社に依頼したサービスは,反訴原告が提供したサービスと検索キーワードを異にする別のサービスであることから,反訴被告の行為は違法ではない旨主張する。
しかしながら,取締役からの退任後も一定期間にわたって競業避止義務を負う旨の合意が公序良俗に反するものとはいえない(①の点)。また,反訴被告が競業行為を行った理由が取引先からの強い要望であったとしても,反訴被告の反訴原告における従前の立場,取引先と反訴原告との間の契約解約の経緯,f社又はa社と取引先との間の契約締結に至る理由等に照らすと,本件新契約の締結が自由競争の範囲内であるとは言い難いというべきである(②の点)。さらに,f社と反訴原告において提供するサービスが検索キーワードを異にするものであったとしても,f社がインターネットSEOサービスという反訴原告と同種の事業を営んだことには変わりがない(③の点)。
以上によれば,反訴被告の主張にはいずれも理由がない。
3  争点(3)(損害額)について
(1)  本件合意解約による損害について
ア 本件契約5,9,16以外の本件旧契約に関する損害について
(ア) 証拠(甲2,3,乙11ないし29,44,46,61,64ないし72,反訴原告代表者,反訴被告本人)及び弁論の全趣旨によれば,本件契約5,9,16を除くその余の本件旧契約については,その「期間」,「合意解約による契約終了日」,「合意契約がなかった場合の契約終了日」,「報酬」,「得べかりし報酬」,「原価」,「人件費」は別紙一覧表における反訴原告の主張のとおりであると認められ,これらによれば,その合意解約によって反訴原告に生じた「損害額」についても,反訴原告の主張のとおりであると認められる。
なお,本件契約1の「合意解約による契約終了日」については,グロービート・ジャパン作成の平成23年7月28日付け「契約解約の申出書」(乙44)に同月19日をもって契約を解約する旨の記載があるが,解約申入日よりも前に遡って契約を合意解約することはできないというべきであるから,上記認定のとおり,本件契約1は解約申入日である同月28日をもって合意解約されたというべきである。
(イ) 上記(ア)の認定に対し,反訴被告は,本件契約10は目黒区所在のヨガスタジオに関するリスティング広告を内容とするものであったところ,同スタジオは平成23年7月中に閉鎖されたから,それに伴って本件契約10も同月末をもって終了した旨主張する。しかしながら,証拠(反訴原告代表者)によれば,反訴原告はファクトリージャパンに対して本件契約10に関する平成23年9月分の報酬を請求し,同年10月には同社からその入金があったことが認められるから,同年7月以降も同契約は継続したというべきであり,反訴被告の主張には理由がない。
また,反訴被告は,プロトコーポレーションとの間の本件旧契約の一部については,同社から平成23年4月末までに解約希望が出されて遅くとも同年9月末以前に終了したものであり,その後は同年9月末までサービス延長の合意がなされたにすぎない旨主張する。しかしながら,証拠(乙46)によれば,同社から反訴原告に対して解約申入れがなされたのは同年7月26日であり,これを受けて同年9月30日にこれらが合意解約されたと認められるから,反訴被告の主張は採用できない。
反訴被告は,本件契約1,3ないし7の原価(その内容は,下請業者に支払うべき報酬額である。)については,反訴原告の報酬額の5割が相当である旨主張するが,上記各契約については,下請業者から反訴原告に対する実際の請求金額(乙66ないし69)を基礎として原価を算定することが相当であるから,反訴被告の主張は採用できない。
イ 本件契約5,9,16に関する損害について
(ア) 反訴原告は,本件契約5の契約期間は12か月間であると主張し,SEOコンサルティング契約書(乙15)の本文もこれに沿うが,同契約書に添付されているSEOコンサルティング申込書によれば,契約期間は3か月又は6か月とされていることからすると,反訴被告の有利に解してこれを3か月と認めることが相当であり,これによれば,合意契約がなかった場合の契約終了日は平成23年9月29日になると認められる。そうすると,本件契約5に関する反訴原告の損害額は,別紙計算式のとおり,14万4946円となる。
(イ) 反訴原告は,本件契約9,16の「合意解約がなかった場合の契約終了日」については別紙一覧表の反訴原告欄のとおりであると主張する。しかしながら,仮に本件合意解約がなかったとしても,ファクトリージャパン及びプロトコーポレーションは上記各契約の更新を拒絶するものと推認され,それによってこれらの契約は本件合意解約日以前に終了するものと認められるから,本件合意解約によって反訴原告に損害が発生したとはいえない。
(2)  本件新契約の締結による損害について
本件新契約の締結によって反訴原告が被った損害については,これによってa社又はf社が得た利益をもって反訴原告の損害と推認することができる(会社法423条条2項参照)。
証拠(乙34ないし37,39,61,64,65,70,反訴原告代表者,反訴被告本人)及び弁論の全趣旨によれば,本件契約24ないし27,29については,その「期間」,「契約終了日」,「報酬」,「得べかりし報酬」,「原価」,「人件費」は別紙一覧表の反訴原告の主張のとおりであると認められ,これによれば,反訴原告が被った「損害額」についても反訴原告の主張のとおりであると認められる。
他方,証拠(乙30ないし33,38,61,64,65,70,反訴原告代表者,反訴被告本人)及び弁論の全趣旨によれば,本件契約20ないし23,28については,その「期間」,「契約終了日」,「報酬」,「得べかりし報酬」,「人件費」については別紙一覧表の反訴原告の主張のとおりであると認められるものの,その「原価」については報酬額の5割と認めることが相当であり(乙64,65,反訴被告本人,弁論の全趣旨),これによれば,反訴原告が被った「損害額」については別紙一覧表の裁判所欄に記載のとおりであると認められる。
(3)  まとめ
ア 上記(1)及び(2)による「損害額」の合計は,別紙一覧表の裁判所欄のとおり1162万4268円となる。
これに対し,反訴被告は,成功報酬制である本件旧契約及び本件新契約については,月額報酬の上限額を常に請求できるわけではないから,その損害額は月額報酬の上限額の7割で計算されるべきである旨主張する。
しかしながら,月額報酬の上限額は,日額報酬を単純に30倍又は31倍にしたものではなく,その倍額から何割かを減じたものであって,中にはその4割程度の場合もあり(乙71),各月のなかで成功報酬が発生しない日があったとしても,結果的にその報酬は月額報酬の上限に達することが多いと考えられるから(反訴原告代表者),反訴被告の主張は採用できない。
イ 本件と相当因果関係がある弁護士費用については,上記アの1割である116万2426円であると認める。
ウ 反訴原告は,平成23年7月から同年10月までに反訴被告が受領した取締役報酬330万も反訴原告の損害となる旨主張するが,これは反訴被告による職務執行の対価として支払われたものであるから,反訴被告による上記各違法行為との間に相当因果関係があるとはいえない。
4  よって,反訴原告の請求は,上記3(3)ア及びイの合計1278万6694円及びこれに対する本反訴状送達の日の翌日である平成25年1月16日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払の限度で理由があるからこれを認容し,その余は理由がないからこれを棄却し,主文のとおり判決する。
(裁判官 能登謙太郎)

 

〈以下省略〉

 

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