「営業 スタッフ」に関する裁判例(14)平成22年 8月31日 東京地裁 平21(ワ)17719号 解雇撤回等請求事件
「営業 スタッフ」に関する裁判例(14)平成22年 8月31日 東京地裁 平21(ワ)17719号 解雇撤回等請求事件
裁判年月日 平成22年 8月31日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平21(ワ)17719号
事件名 解雇撤回等請求事件
裁判結果 請求棄却 文献番号 2010WLJPCA08318011
要旨
◆年俸を定めてマネージャーとして採用された原告が、業務の懈怠、部下に対する不適切な対応、適格性欠如等を理由に解雇されたことに対して、解雇事由が存在しない、解雇は上司のパワーハラスメントによるものである等主張して、解雇無効を前提に地位確認等を請求した事案において、原告には業務の懈怠、顧客や部下に対する不適切な対応、適格性欠如などの就業規則上の解雇事由が存在するとして、請求を棄却した事例
参照条文
労働契約法16条
労働基準法89条
裁判年月日 平成22年 8月31日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平21(ワ)17719号
事件名 解雇撤回等請求事件
裁判結果 請求棄却 文献番号 2010WLJPCA08318011
埼玉県川越市〈以下省略〉
原告 X
東京都港区〈以下省略〉
被告 Y株式会社
代表者代表取締役 A
訴訟代理人弁護士 大澤英雄
主文
1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1 原告の請求
1 原告が被告に対し,雇用契約上の権利を有する地位にあることを確認する。
2 被告は,原告に対し,1643万7500円及びこれに対する平成21年6月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 当事者の主張等
1 事案の概要
本件は,被告を解雇された原告が,その解雇無効を主張して雇用契約上の地位確認を求め,また,不当な解雇やパワーハラスメントを受けたと主張して,不法行為に基づき,賃金相当等の損害賠償1643万7500円及びこれに対する平成21年6月13日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払いを求めている事案である。
2 前提となる事実(証拠の記載のあるもの以外は争いがない)
(1) 当事者等
ア 被告は,化学原材料,化学合成,化学薬品,試薬等の製造,販売等を目的とする株式会社である。
イ 原告(平成22年4月当時46歳)は,平成20年4月9日,被告との間で,年俸900万円(月額75万円),試用期間3か月などと定めて雇用契約を締結し,同年6月1日,ファーマビジネス事業部教育部営業マネージャーとして勤務を開始した。【乙5】
ウ その当時,原告の直属の上司(教育部マネージャー)はBであり,原告の部下として,C,Dが配属されていた。
ファーマビジネス事業部営業統轄ディレクターはEであり,同事業部編集制作部門統轄ディレクターはFであった。
(2) 雇用契約の終了
ア 被告の就業規則43条(解雇事由)には次の定めがある。【乙1】
① 職務に適さず著しく能率が低下し配置転換しても見込がないとき
② 出勤状態が著しく悪くまたは職務にはなはだしく怠惰なとき
③ 経営効率の向上に相反するとき
(中略)
⑧ その他解雇すべきやむを得ない事由があるとき
イ 被告は,平成20年12月19日,原告を解雇して,平成21年1月6日,別紙の解雇理由を提示した。
3 本件の争点及び原告の主張
(1) 解雇権濫用の有無(E部長の嫌がらせの有無)
ア 解雇理由第1,1①について
営業目標の設定,具体的営業活動の策定は,入社早々にBマネージャーに提出してF部長の承認を得ていた。
原告は,十分な営業活動をして,武田薬品,メルクセローノ社という大口契約を新規獲得して実績を上げた。営業活動以外にも,主体的に,チーム内業務調整や商品大型不具合対応をした。
原告の職場環境は,Bマネージャーの長期欠勤と退職,C社員の退職等があって,原告の負担の重い状況であった。
イ 解雇理由第1,1②~④について
E部長は,原告の上司ではないのに,原告に対し,差別的な嫌がらせ目的で,ほかに誰も求められていない業務日報等の提出を強要した。これは理不尽なパワーハラスメントである。原告は,このような嫌がらせにもきちんと対応して,すべて提出したが,E部長は,さらに追加訂正等の強要を重ねた。
ウ 解雇理由第1,2①~④について
教育部は,平成20年11月まで,営業部会議に出席していない。ところが被告は12月になって,いきなり原告に出席を強制したのであり不当である。また,原告は,上記会議の当日は,年次有給休暇を正式に取得している。
エ 解雇理由第1,2⑤~⑦について
原告は,指示された資料を12月11日に提出した。A社長がこれに基づき新たなデータの提出を指示したので,原告は,翌12日の午後10時ころまでに,これを完成させて提出している。
オ 解雇理由第2,1ないし3について
上記イのとおり,日報提出は業務ではなく,原告の上司でないE部長の嫌がらせであったので,原告はこれに反論した。なお,原告は,業務ではなくても,日報の提出を怠らなかった。また,座席移動について,原告は,業務効率の低下が懸念されたので,これに反対した。
原告が人事部のヒアリングを拒否したのは,原告に対する嫌がらせに,E部長だけでなく社長や人事部長も関与していることが分かったからである。すなわち,その拒否には正当な理由がある。
カ 解雇理由第3,1について
大鵬薬品に出入り禁止を言い渡されたことなどない。また,原告は,日本ベーリンガー・インゲルハイム社に勤務していたことがあるが,中途入社であるから,そのような事態が生じるのは当然というべきであり,原告を非難する理由にはならない。また,原告は,同社が被告の重要顧客であるか否かを知らなかった。
キ 解雇理由第3,2について
原告の書面作成能力が劣っていることはない。この点は,ビジネスセンスの問題であり,解雇理由になるものではない。
ク 解雇理由第3,3について
C社員は,挨拶もせず原告を無視したり,原告の業務指示に従わなかったり,平成20年10月に退職が決まってからは自分の業務さえ行わなくなったりしたことから,原告は,必要に応じて,「なぜ上司の指示に従わないのだ」という叱責を繰り返さざるを得なかった。これが上司の権限濫用であるとか威嚇であるなどと評価されるべきではない。
ケ 解雇理由第4について
原告は,無断欠勤や遅刻を1回もせず,休暇取得も年次有給休暇の範囲内であったこと,勤務時間中はもとより終業後も深夜まで,ときによっては昼食抜きで,自費でタクシーを利用するなどしながら,業務に真摯に取り組んだこと,不正行為をしたことがなく,また,教育部の業務遂行に必須のMR教育センター統括にかかる「教育研修管理者」の試問に合格して,被告の事業推進に大きく貢献したことなどに照らして,組織の一員としての適性を欠いていることはない。
(2) 原告の損害
ア 原告は,平成20年12月19日,被告の不当な解雇やパワーハラスメント(E部長の嫌がらせ)によって,①同月分賃金残額相当18万7500円,②平成21年1月から訴え提起の1年後である平成22年5月までの17か月分の賃金相当1275万円,③精神的苦痛に対する慰謝料500万円の損害を被った。
イ 原告は,解雇予告手当名目で150万円の支払いを受けた。したがって,上記アの①ないし③の合計額からこれを控除した1643万7500円が原告の損害である。
第3 本件の争点についての判断
1 争点(1)(解雇権濫用の有無等)について
(1) 前提となる事実,証拠(乙4,E証人のほか各所に記載したもの〔書証の枝番号の表記を省略〕)と弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められ,この認定に反する原告本人の供述部分は,そのまま採用することができない。
ア 原告は,かつて,被告のトップクラスの顧客である日本ベーリンガー・インゲルハイム社に派遣されてMRの教育研修を受けたことがあり,被告の営業担当として同社を訪問できない立場であったが,入社前,被告側にこのことを伝えなかった。そのため,被告は,同社を訪問できない原告を採用してしまうことになった。【乙88】。
イ 被告のファーマビジネス事業部は,E部長が責任者を務める営業部門とF部長が責任者を務める編集制作部門に分かれており,そのうち教育部は,組織上は編集制作部門に属していたが,営業業務も行っていることから,教育部のBマネージャーは,営業に関する事項についてはE部長にレポートをする立場であった。したがって,教育部営業マネージャーであった原告は,E部長の部下に位置付けられており,その業務命令に従うべきであった。
E部長は,Bマネージャーが平成20年11月末に退職した後,そのポストを兼務して,原告の直属の上司になった。なお,原告は,同年10月にパワーハラスメントを受けていると言い出すまで,E部長が上司ではないなどとして反発したことはなかった。【甲25,乙70~78】
ウ E部長は,平成20年8月末ころ,G社員から,原告がC社員やG社員に対して怒鳴りつけたり罵倒したりするなど横暴な態度をとることがあり,C社員が退職したいと言っていると聞いた。そこで教育部社員と面談をして,原告について事情を聴いたところ,Bマネージャーは,下位の社員に対して高圧的な態度をとる傾向があるとか,女性であるD社員だけには気を遣い,社内打ち合わせに過剰な時間を割いているなどという評価を述べ(乙15によれば,原告は,この面談の後である10月16日,D社員と約5時間もかけて話をしたことが認められる),また,C社員は,意見の相違があると説明もせずに大声で一方的な指示をするとか,突然話を打ち切り席を外して打ち合わせを終了させてしまうなどの理不尽な態度をとるとか,的外れの指示が多く,営業活動には消極的であるなどと述べ,将来に希望が感じられないとして退職の意向を示した。
E部長は,9月初めころ,原告と面談をしたところ,原告は,C社員の態度が悪く挨拶もせずやる気が感じられず,強く叱責することがあるが,営業活動は順調であり新規の大型プロジェクトを受注できそうであるなどと述べた。これに対し,E部長は,チームワークの重要性やマネージャーとして最後まで責任を持つべきであることなどを伝えた。【乙86】
エ 原告は,8月29日ころ,大鵬薬品の担当者から,訪問時間の指定の仕方が理不尽という理由で,「来なくていい」と伝えられた(原告は,後日訪問しているから出入り禁止にはなっていないというが〔甲26,原告本人10ページ〕,このことによって上記のように伝えられた事実が覆るものではない)。【乙68】
オ E部長は,原告が期待に見合う成果を上げていないと考えて,9月中旬ころ,原告に対し,8月末に終了していた試用期間の延長の同意を求めたが,原告がこれを受け容れなかったので,被告は,その延長の扱いをしなかった。
E部長から見て,原告は,営業活動(クライアント訪問)に消極的であり,営業目標の設定や計画の策定ができていなかった。クライアントを訪問するといっても,多くは個人的に関係の深いメルクセローノ社であったが,その平成20年の総売上高は約40万円にすぎず,その代わりに,原告は,40回タクシーを利用して約7万5000円を使ったり,8回の接待等で約6万5000円を使ったりした。そのほかに,見積金額がコストを下回り赤字受注が発生したり,クライアントの依頼を失念したり,上記エのとおり大鵬薬品から「来なくていい」と伝えられるなどの失態があったため,E部長は,10月1日から,原告に対し,営業目標の設定,具体的な営業計画の策定を管理して遂行状況等を確認するために,書式を示して,日報,週報,月報の作成を指示した。
原告は,これをいったん拒否したが,従わなければ業務命令違反に当たるという注意を受けて,日報等を11月28日まで提出した。しかし,原告が提出した日報等は,納品予定等を書き写しただけのものであり,何のために何をしたかということなどを記載すべき業務日報と評価できるものではなかった(なお,提出されている日報によれば,原告が頻繁にメルクセローノ社を訪問していること,原告の業務終了がおおむね午後7時ころであり,日常的に深夜まで残業していたとはいえないことなどがうかがわれる)。【甲5,乙6~40,46,88,89,原告本人4~8ページ】
カ C社員は,10月末をもって退職することになったが,原告は,その代わりに積極的に営業活動をするような姿勢を見せなかった。
E部長は,10月14日ころ,原告から,被告が営業マネージャー要員を募集している理由を質問されたので,体調を崩していたBマネージャーやC社員の後任等の募集であると説明したが,原告は,自分が辞めさせられるのではないかと誤解して,日報に,E部長からパワーハラスメントを受けていると記載するようになった。
原告は,再三にわたり,E部長のパワーハラスメントについて説明を求められたが,これを行わず,そのころ,東京労働局にあっせんの申立てをした。被告は,パワーハラスメントの事実を否認しており,人事担当者等が出席して応じられないと述べたために,あっせんは終了した。【甲18,28,乙13,16,47,48,49,82,87,91】
キ 原告は,C社員からファイザー社の担当を引き継いでいたが,10月17日,同社から預かった資料が原告のデスクに置かれていたのを見て,事情の詳細を確認することなく,C社員に対し,もう社員ではないのか,ここを片付けろ,これは業務命令だ,マネージャーのいうことが聞けないのかなどと大声で怒鳴り付けた(原告本人4~6ページ等のとおり,原告はC社員の勤務態度等について批判的であるが,原告の供述以外に同社員の勤務態度等が悪かったことを裏付ける証拠は見当たらない)。
被告は,これを社内倫理規定違反に反する威嚇行為と判断して,顛末書の提出を求めたが,原告はこれに強く反発した。【甲21,33】
ク Bマネージャーは,11月末をもって退職することになったが,その前にE部長に対し,周囲の信頼を失っている原告の席を,E部長が常駐する3階に移動して,直接目の届く範囲で指導等をするのがよいと進言し,E部長は,これを了解して,原告に対し,座席の移動を命じた。原告は,これを拒否したが,従わなければ業務命令違反に当たるという注意を受けて,やっとこれに応じた。【甲17,乙70,85】
ケ 原告は,12月5日,E部長から,アステラス製薬の担当者とのやりとりについて,言葉遣いに礼儀が足りないという指摘を受けたが,これを受け容れなかった。【甲19,27,乙66】
コ E部長は,原告に対し,12月10日に予定してされていた営業会議において教育部の営業数値を発表するためにその準備をするよう指示しており,12月5日,メールで,教育部の今年度の売上着地予想,12月から1月にかけての顧客別行動計画についてプレゼンテーション資料を作成して報告するよう念を押した。ところが,原告は,会議当日の12月10日,始業時間の1時間前までに連絡せず(病気その他の事由により出勤することができないときは遅くとも当日の始業時間から1時間以内に所属上司に連絡しなければならない。就業規則16条1項),結局教育部の報告がないまま会議が終了した。翌日出勤した原告に対し,A社長自身が報告資料の提出を指示したが,原告は,これに対する十分な対応もしなかった。【甲30,乙55~64,92】
サ E部長は,11月から12月にかけて,原告に対し,目標達成のためのアクションプランの提出を求めた。しかし,原告が提出したものには,目標値,いつどのクライアントに対しどのようなアクション(プロジェクト受注,ニーズ把握,企画提案,企画書作成等)をするかなどという点について具体的な記載がなく,納品予定や編集制作の計画等を羅列したものにすぎなかった。これらをチェックしたA社長は,12月3日,E部長に対し,原告について,「あまりにもお粗末すぎます」,「もっと厳しい指導が必要だと思います」などという,かなりのマイナス評価をしたメールを送信した。【乙41~44,50~54】
シ 以上の経緯をふまえて,被告は,12月19日,原告に対し,解雇を通告した。A社長は,このとき,原告に対し,懲戒解雇も検討したが,原告の立場に配慮して普通解雇という形をとったこと,営業目標を立てて月の行動計画に反映させ,これを実行するという行動パターンが見られないこと,12月10日の営業部会議を当日になって欠席して報告資料の作成もせず,そのため,教育部の状況だけが会議で報告されないこと,E部長のハラスメントを受けたと言いながら,その内容を人事部に説明せず,労働局で手続をしたときも(それは労働者の権利だからかまわないが),具体的な説明をしていないことなどを告知した。【乙94】
(2) 認定事実に基づく判断
ア 以上の事実によれば,被告が提示した解雇理由は,いずれも事実に基づくものであり,これによる解雇は相当ということができる。なお,解雇理由と認定事実は,「解雇理由第1,1」が「認定事実イ,オ,サ」と,「第1,2」が「コ」と,「第2」が「オ,カ,ク」と,「第3,1」が「ア,エ」と,「第3,2」が「ケ」と,「第3,3」が「ウ,キ」と,「第4」が「全体(とくにウ,シ)」とそれぞれ対応する。
イ 原告の解雇理由に対する主張は,おおむね事実を否認するものにすぎないが,次の諸点について検討しておく。
まず,原告は,「E部長は,原告に対し,差別的な嫌がらせ目的で,ほかに誰も求められていない業務日報等の提出を強要した。これは理不尽なパワーハラスメントである」などと主張する。しかし,認定事実によれば,E部長は,原告について,部下らに横暴な態度をとることがあること,クライアントから来なくていいと伝えられたこと,期待していただけの成果を上げておらず試用期間の延長も考慮したこと,営業活動に消極的であり,しかも訪問先が偏っており成果も上がらないことなどの問題点をふまえて,営業目標を立てて月の行動目標に反映させ,これを実行するという行動パターンを身に付けさせて,年俸900万円レベルの営業マネージャーとして機能させるために,日報等の提出を求めたということができるのであり,そこに差別的な嫌がらせ目的は認められない。
E部長は,原告に対し,たとえば,「先日,説明しましたが,12月は今年度最後の月でもあり,非常に重要な月になります。Xさんの11月の営業活動の成果や課題をできるだけ早く理解するために,また12月の営業目標と行動計画に速やかに合意し,Xさんの営業活動を日毎にリアルタイムで詳細に掌握し,速やかにフィードバックができるように,添付のレポートフォーマットを準備しました。以下の手順に従って,記入提出をお願いします。●11月の報告については,実際に活動した報告と実績を記入してください。12月から(来週以降)については,自分自身で目標を設定し,具体的なアクションプランを記入して下さい(以下略)」(平成20年12月1日,甲9)とか,「まず私からのメールを冷静に,注意深く読んでください。私はXさんが業務命令を無視しているなどとは言っていませんし,そのような記述すらしていません。私が指摘しているのは,Xさんが私の指示・命令に対して合理的でない理由や事情を並べ立てているばかりで,結果として私の指示・命令に従っていない状況が継続しているという事実です。指示・命令に従っていないわけですから,当然のことながら期待されている営業活動にも成果にもつながっていません。(中略)Xさん提出のアクションプランに記載されているものは全て『~の納品』,『~の解析』と言ったように編集・制作チームが行うアクションばかりです。私が一貫してお願いしているのは営業(セールス)の視点からのアクションプランを考えて,記載していただくことです。これは確認が必要とするような事ではなく,Xさんがマネージャーとして考えなければならないものです(以下略)」(12月9日,乙54)などと,懇切丁寧に具体的な問題点を挙げて,改善策等を指摘するなどしているのであり,これをパワーハラスメントという余地はない。
次に,原告は,平成20年12月10日の営業部会議を欠席したことについて,正式に年次有給休暇を取得したことを強調している。しかし,被告が問題にしているのは,欠席に当たって正式の手続をとったか否かではなく,Bマネージャーの退職後,原告は,教育部の営業スタッフの中心的役割を果たすことが当然期待されていたにもかかわらず,指示された資料の作成もせずに会議を欠席してしまうという自覚や意欲の欠如であると考えられる。このような点に考慮が至らず,表面的な反論に終始する原告の主張は,失当であることが明らかである。
2 以上のとおりであるから,そのほかの争点について判断するまでもなく,原告の請求はいずれも理由がない。したがって,主文のとおり判決する。
(裁判官 松田典浩)
〈以下省略〉
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