【営業代行から学ぶ判例】crps 裁判例 lgbt 裁判例 nda 裁判例 nhk 裁判例 nhk 受信料 裁判例 pl法 裁判例 pta 裁判例 ptsd 裁判例 アメリカ 裁判例 検索 オーバーローン 財産分与 裁判例 クレーマー 裁判例 クレプトマニア 裁判例 サブリース 裁判例 ストーカー 裁判例 セクシャルハラスメント 裁判例 せクハラ 裁判例 タイムカード 裁判例 タイムスタンプ 裁判例 ドライブレコーダー 裁判例 ノンオペレーションチャージ 裁判例 ハーグ条約 裁判例 バイトテロ 裁判例 パタハラ 裁判例 パブリシティ権 裁判例 ハラスメント 裁判例 パワーハラスメント 裁判例 パワハラ 裁判例 ファクタリング 裁判例 プライバシー 裁判例 プライバシーの侵害 裁判例 プライバシー権 裁判例 ブラックバイト 裁判例 ベネッセ 裁判例 ベルシステム24 裁判例 マタニティハラスメント 裁判例 マタハラ 裁判例 マンション 騒音 裁判例 メンタルヘルス 裁判例 モラハラ 裁判例 モラルハラスメント 裁判例 リストラ 裁判例 リツイート 名誉毀損 裁判例 リフォーム 裁判例 遺言 解釈 裁判例 遺言 裁判例 遺言書 裁判例 遺言能力 裁判例 引き抜き 裁判例 営業秘密 裁判例 応召義務 裁判例 応用美術 裁判例 横浜地裁 裁判例 過失割合 裁判例 過労死 裁判例 介護事故 裁判例 会社法 裁判例 解雇 裁判例 外国人労働者 裁判例 学校 裁判例 学校教育法施行規則第48条 裁判例 学校事故 裁判例 環境権 裁判例 管理監督者 裁判例 器物損壊 裁判例 基本的人権 裁判例 寄与分 裁判例 偽装請負 裁判例 逆パワハラ 裁判例 休業損害 裁判例 休憩時間 裁判例 競業避止義務 裁判例 教育を受ける権利 裁判例 脅迫 裁判例 業務上横領 裁判例 近隣トラブル 裁判例 契約締結上の過失 裁判例 原状回復 裁判例 固定残業代 裁判例 雇い止め 裁判例 雇止め 裁判例 交通事故 過失割合 裁判例 交通事故 裁判例 交通事故 裁判例 検索 公共の福祉 裁判例 公序良俗違反 裁判例 公図 裁判例 厚生労働省 パワハラ 裁判例 行政訴訟 裁判例 行政法 裁判例 降格 裁判例 合併 裁判例 婚約破棄 裁判例 裁判員制度 裁判例 裁判所 知的財産 裁判例 裁判例 データ 裁判例 データベース 裁判例 データベース 無料 裁判例 とは 裁判例 とは 判例 裁判例 ニュース 裁判例 レポート 裁判例 安全配慮義務 裁判例 意味 裁判例 引用 裁判例 引用の仕方 裁判例 引用方法 裁判例 英語 裁判例 英語で 裁判例 英訳 裁判例 閲覧 裁判例 学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例 共有物分割 裁判例 刑事事件 裁判例 刑法 裁判例 憲法 裁判例 検査 裁判例 検索 裁判例 検索方法 裁判例 公開 裁判例 公知の事実 裁判例 広島 裁判例 国際私法 裁判例 最高裁 裁判例 最高裁判所 裁判例 最新 裁判例 裁判所 裁判例 雑誌 裁判例 事件番号 裁判例 射程 裁判例 書き方 裁判例 書籍 裁判例 商標 裁判例 消費税 裁判例 証拠説明書 裁判例 証拠提出 裁判例 情報 裁判例 全文 裁判例 速報 裁判例 探し方 裁判例 知財 裁判例 調べ方 裁判例 調査 裁判例 定義 裁判例 東京地裁 裁判例 同一労働同一賃金 裁判例 特許 裁判例 読み方 裁判例 入手方法 裁判例 判決 違い 裁判例 判決文 裁判例 判例 裁判例 判例 違い 裁判例 百選 裁判例 表記 裁判例 別紙 裁判例 本 裁判例 面白い 裁判例 労働 裁判例・学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例・審判例からみた 特別受益・寄与分 裁判例からみる消費税法 裁判例とは 裁量労働制 裁判例 財産分与 裁判例 産業医 裁判例 残業代未払い 裁判例 試用期間 解雇 裁判例 持ち帰り残業 裁判例 自己決定権 裁判例 自転車事故 裁判例 自由権 裁判例 手待ち時間 裁判例 受動喫煙 裁判例 重過失 裁判例 商法512条 裁判例 証拠説明書 記載例 裁判例 証拠説明書 裁判例 引用 情報公開 裁判例 職員会議 裁判例 振り込め詐欺 裁判例 身元保証 裁判例 人権侵害 裁判例 人種差別撤廃条約 裁判例 整理解雇 裁判例 生活保護 裁判例 生存権 裁判例 生命保険 裁判例 盛岡地裁 裁判例 製造物責任 裁判例 製造物責任法 裁判例 請負 裁判例 税務大学校 裁判例 接見交通権 裁判例 先使用権 裁判例 租税 裁判例 租税法 裁判例 相続 裁判例 相続税 裁判例 相続放棄 裁判例 騒音 裁判例 尊厳死 裁判例 損害賠償請求 裁判例 体罰 裁判例 退職勧奨 違法 裁判例 退職勧奨 裁判例 退職強要 裁判例 退職金 裁判例 大阪高裁 裁判例 大阪地裁 裁判例 大阪地方裁判所 裁判例 大麻 裁判例 第一法規 裁判例 男女差別 裁判例 男女差别 裁判例 知財高裁 裁判例 知的財産 裁判例 知的財産権 裁判例 中絶 慰謝料 裁判例 著作権 裁判例 長時間労働 裁判例 追突 裁判例 通勤災害 裁判例 通信の秘密 裁判例 貞操権 慰謝料 裁判例 転勤 裁判例 転籍 裁判例 電子契約 裁判例 電子署名 裁判例 同性婚 裁判例 独占禁止法 裁判例 内縁 裁判例 内定取り消し 裁判例 内定取消 裁判例 内部統制システム 裁判例 二次創作 裁判例 日本郵便 裁判例 熱中症 裁判例 能力不足 解雇 裁判例 脳死 裁判例 脳脊髄液減少症 裁判例 派遣 裁判例 判決 裁判例 違い 判決 判例 裁判例 判例 と 裁判例 判例 裁判例 とは 判例 裁判例 違い 秘密保持契約 裁判例 秘密録音 裁判例 非接触事故 裁判例 美容整形 裁判例 表現の自由 裁判例 表明保証 裁判例 評価損 裁判例 不正競争防止法 営業秘密 裁判例 不正競争防止法 裁判例 不貞 慰謝料 裁判例 不貞行為 慰謝料 裁判例 不貞行為 裁判例 不当解雇 裁判例 不動産 裁判例 浮気 慰謝料 裁判例 副業 裁判例 副業禁止 裁判例 分掌変更 裁判例 文書提出命令 裁判例 平和的生存権 裁判例 別居期間 裁判例 変形労働時間制 裁判例 弁護士会照会 裁判例 法の下の平等 裁判例 法人格否認の法理 裁判例 法務省 裁判例 忘れられる権利 裁判例 枕営業 裁判例 未払い残業代 裁判例 民事事件 裁判例 民事信託 裁判例 民事訴訟 裁判例 民泊 裁判例 民法 裁判例 無期転換 裁判例 無断欠勤 解雇 裁判例 名ばかり管理職 裁判例 名義株 裁判例 名古屋高裁 裁判例 名誉棄損 裁判例 名誉毀損 裁判例 免責不許可 裁判例 面会交流 裁判例 約款 裁判例 有給休暇 裁判例 有責配偶者 裁判例 予防接種 裁判例 離婚 裁判例 立ち退き料 裁判例 立退料 裁判例 類推解釈 裁判例 類推解釈の禁止 裁判例 礼金 裁判例 労災 裁判例 労災事故 裁判例 労働基準法 裁判例 労働基準法違反 裁判例 労働契約法20条 裁判例 労働裁判 裁判例 労働時間 裁判例 労働者性 裁判例 労働法 裁判例 和解 裁判例

「営業アウトソーシング」に関する裁判例(14)平成29年 8月31日 東京地裁 平27(ワ)15979号 損害賠償請求事件

「営業アウトソーシング」に関する裁判例(14)平成29年 8月31日 東京地裁 平27(ワ)15979号 損害賠償請求事件

裁判年月日  平成29年 8月31日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平27(ワ)15979号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  棄却  上訴等  確定  文献番号  2017WLJPCA08318022

裁判年月日  平成29年 8月31日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平27(ワ)15979号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  棄却  上訴等  確定  文献番号  2017WLJPCA08318022

山梨県南アルプス市〈以下省略〉
原告 X
同訴訟代理人弁護士 井上康一
東京都千代田区〈以下省略〉
被告 国
同代表者法務大臣 A
同指定代理人 W1
同 W2
同 W3
同 W4
同 W5
同 W6

 

 

主文

1  原告の請求を棄却する。
2  訴訟費用は,原告の負担とする。

 

事実及び理由

第1  請求
被告は,原告に対し,1796万2500円及びうち300万円に対する平成22年11月15日から,うち1496万2500円に対する平成25年7月10日から,各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
本件は,甲府税務署長が平成20年3月11日付けで原告に対してした平成16年分ないし平成18年分(以下「本件各係争年分」という。)所得税の更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分(以下「本件更正処分等」という。)は職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と行った違法な課税処分であり,これにより本件更正処分等の取消訴訟の弁護士費用合計1796万2500円の損害を被った旨主張する原告が,被告に対し,国家賠償法(以下「国賠法」という。)1条1項に基づく損害賠償請求として上記弁護士費用合計1796万2500円,及びうち着手金300万円に対する支払日である平成22年11月15日から,うち成功報酬1496万2500円に対する支払日である平成25年7月10日から,各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
1  前提事実等(争いのない事実,後掲証拠又は弁論の全趣旨により容易に認めることができる事実)
(1)  当事者等
原告は,遅くとも平成15年1月1日当時から現在に至るまでの間,精密機械部品製造業を営む日本法人であるa株式会社(以下「a社」という。)の専務取締役(平成20年5月29日以降は代表取締役)であり,a社及びその関連会社の製品を東南アジアの日系企業に販売するためにシンガポール共和国(以下「シンガポール」という。)において設立されたb社(以下「b社」という。)の発行済株式総数7800株のうち,7799株を保有する同社の取締役である(甲2,甲4,甲25)。
甲府税務署長は,国税庁の地方機関の長として,国税の賦課,徴収という被告の公権力の行使に当たる公務員である。
(2)  外国子会社合算税制等
租税特別措置法(以下「措置法」という。)40条の4第1項(ただし,平成16年分及び平成17年分の所得税については平成17年法律第21号による改正前のもの,平成18年分の所得税については平成18年法律第10号による改正前のものをいう。以下同じ。)は,いわゆるタックス・ヘイブンに対応するため,同項各号に掲げる「居住者」に係る外国関係会社のうち特定外国子会社等(その本店又は主たる事務所の所在する国又は地域におけるその所得に対して課税される税の負担が25パーセント以下である外国関係会社)が適用対象留保金額(各事業年度において,その未処分所得の金額から留保したものとして,当該未処分所得の金額につき当該未処分所得の金額に係る税額及び利益の配当又は剰余金の分配の額に調整を加えた額)を有する場合,その適用対象留保金額のうち,課税対象留保金額(その者の有する当該特定外国子会社等の直接又は間接保有の株式等に対応するものとして計算した金額)に相当する金額を,その者の雑所得に係る収入金額とみなして当該各事業年度終了の日の翌日から2月を経過する日の属する年分のその者の雑所得の計算上,総収入金額に算入する旨規定する。
原告は同条項所定の「居住者」に,b社は居住者である原告に係る「外国関係会社」かつ「特定外国子会社等」にそれぞれ該当する。
外国子会社合算税制の適用除外要件を定めた措置法40条の4第3項及び第4項は,特定外国子会社等が,いわゆる「事業基準」及び「非関連者基準又は所在地国基準」に加えて(この二つの基準をb社が満たすことは当事者間に争いがない。),「特定外国子会社等が,その本店又は主たる事務所の所在する国又は地域においてその主たる事業を行うに必要と認められる事務所,店舗,工場その他の固定施設を有していること」(以下,この適用除外要件を「実体基準」という。)及び「その特定外国子会社等が,その本店又は主たる事務所の所在する国又は地域において,その事業の管理,支配及び運営を自ら行っていること」(以下,この適用除外要件を「管理支配基準」という。)という四つの基準の全てを満たす場合には,当該特定外国子会社等がその地に所在することに十分な経済合理性があるとして,外国子会社合算税制を適用しないこととする旨規定する。
(3)  原告の所得税確定申告
原告は,b社が上記外国子会社合算税制の適用除外要件を満たすことを前提として,本件各係争年分(平成16年分ないし平成18年分)の各所得税について,法定納期限内に確定申告をそれぞれ行った。
(4)  原告に対する税務調査
甲府税務署の国税調査官であったB(以下「B調査官」という。)及び立川税務署の国際税務専門官であったC(以下「C国際官」といい,B調査官と併せて「調査官ら」という。)は,平成19年9月14日,同年11月2日及び同年12月25日,a社の山梨工場に臨場し原告と面接するなどして税務調査を行った。
(5)  甲府税務署長による更正処分等
甲府税務署長は,平成20年3月11日,原告に対し,b社は外国子会社合算税制の適用除外要件を満たさないとして,本件更正処分等を行い(甲1〔枝番を含む。〕),本件各係争年分の所得税の更正・加算税賦課決定通知書を原告に送達した。
(6)  不服申立て手続の経緯と前件取消訴訟
原告が異議申立て及び審査請求を経て平成22年12月22日に本件更正処分等の取消しを求める訴えを提起したところ,東京地方裁判所は,平成24年10月11日,b社は実体基準及び管理支配基準を満たしていないとは認められないとして原告の請求を認容し,本件更正処分等を取り消す旨の判決を言い渡し,これに対して,被告が東京高等裁判所に控訴したが,控訴は棄却され,同判決は,上告がなく確定した(以下「前件取消訴訟」という。)。
2  争点及び争点に関する当事者の主張
(1)  争点1(本件更正処分等は国賠法1条1項の適用上違法なものか否か)
(原告の主張)
ア 課税処分をするに際し税務署長等が負うべき注意義務の内容
課税処分は公権力の行使により納税者に多大な負担を負わせるものであり,課税処分の取消訴訟においては,課税庁側が原告につき外国子会社合算税制の適用除外要件を充足しないことの主張立証をしなければならない責任を負っている。したがって,税務署長は,課税処分をするに当たり,処分時点までに的確な調査によって課税要件事実(積極要件に係るものに限らない。)の存否判断に十分で適切な資料を調査・収集する必要がある。これら証拠資料は,それのみによって税務署長が処分時点で当該課税処分が適法であることにつき高度の蓋然性があると認められる程度に立証されていると判断することができるものでなければならない。
具体的には,甲府税務署長やその命を受けた調査官らは,①b社が実体基準及び管理支配基準を満たしていないという評価を基礎づけるに足りる具体的な事実(評価根拠事実)を認定又は推認するのに十分な資料,②上記①の評価根拠事実の推認を妨げる間接事実が存在することが窺われる場合には,当該間接事実の存否及び内容を確認するのに十分な資料,③b社が実体基準及び管理支配基準を満たしていないという評価を障害する事実(評価障害事実)の存在を認定又は推認する資料が存在することが窺われる場合には当該評価障害事実の存否を確認するのに十分な資料,④上記③の資料による評価障害事実の推認を妨げる間接事実の存在を認定又は推認するのに十分な資料,を収集する必要があり,これらについて十分な調査を行うべき職務上の注意義務を負うというべきである。
イ 甲府税務署長等の注意義務違反
ところが,甲府税務署長の命を受けた調査官らは,原告が前件取消訴訟で適用除外要件を満すことを証する書証として提出した文書やそこに記載された情報の存在を認識し又は認識することができたにもかかわらず,その調査・収集を怠り,以下のとおり,不十分で不適切な資料に基づき,課税要件を満たさない違法な課税処分を行った。
(ア) 実体基準について
実体基準の要件としての固定施設を有しているというためには特定外国子会社等が正当な権原に基づき固定施設を使用していれば足りるから,調査官らは,b社がその主たる事業である受注発注の卸売業を営むために正当な権原に基づき使用する固定施設がないことについて高度の蓋然性があると認められる程度に立証されていることを確認するために十分で適切な証拠資料を調査・収集する必要があった。
原告は,平成19年9月14日の税務調査の際に,その場でb社に連絡してb社の看板の写真を携帯電話で撮影して電子メールで送らせその写真を印刷したものを調査官らに提出した上,b社の歴代営業担当者の名刺も提出した。また,原告らが調査官らに提出した固定資産明細には,携帯電話,モデム,コンピュータと記載されていた。さらに,原告は,調査官らに対し,b社はシンガポールで設立されたc社(以下「c社」という。)との間で業務委託契約を締結していて,同社にオフィススペースの賃借料を支払っていると説明するとともに,原告はMANAGEMENT AGREEMENT(業務委託契約書)の内容はあまり理解していないと伝えていた。
以上のとおり,税務調査の過程において,b社は入口に看板を掲げていて,b社には原告が連絡をすれば即時に看板の写真を撮影できる人員がいること,b社は営業担当者の名刺を作成していたこと,b社はコンピュータ等を所有していることが明らかになっていたから,調査官らは,固定資産明細にあるコンピュータ・モデム等がどこに保管されているのか及びb社とc社との間に具体的にどのような合意があったのかを確認したり,オフィススペースの写真及びレイアウト図の提出を求めたりするなど,c社の経営者であるD(以下「D」という。)及び原告に対し,面談,文書等による照会,b社の資料を提出するように促すなどして調査を尽くすべきであった。
ところが,調査官らは,b社の財務諸表に事務所等の資産計上や賃料の費用計上がないことを確認するだけで,b社のオフィススペースの賃借や使用に係る資料を収集しようとせず,この点に係る原告の説明を十分に聞き取ることもしなかった。
(イ) 管理支配基準について
管理支配基準を満たすためには,具体的には,事業を行うために必要な常勤役員及び従業員が存在していること,かつ,特定外国子会社等の株主総会及び取締役会の開催,役員としての職務執行並びに会計帳簿の作成及び保管等が行われている場所等を総合的に勘案し,特定外国子会社等の業務執行に関する意思決定及びその決定に基づく具体的な業務の執行が親会社等から独立して行われていると認められることが必要である。したがって,調査官らは,b社の常勤役員及び従業員の存在,重要な意思決定が行われた場所及び状況,役員としての職務執行,及び会計帳簿の作成・保管等が行われている場所その他の状況を確認するのに十分で適切な証拠資料を調査・収集する必要があった。
原告は,b社の従業員については歴代営業担当者の名刺を提出し具体的な担当者の名前やb社で行っている活動の内容を説明した上,B調査官にa社の営業担当者とb社とのメールのやり取りの状況を確認してもらった。また,原告は,常勤役員及び役員としての職務執行については,c社の経営者でありb社の発行済み株式総数7800株のうち1株を有する同社の取締役であるDの名前を挙げ,Dがb社の預金のサイン権を持っており日常業務全般をDが仕切っている旨説明した。
以上のとおり,税務調査において,b社には同社の営業に従事する従業員がいること及びb社には現地常勤役員としてb社の発行済み株式総数7800株のうち1株を有する同社の取締役であるDがいることが明らかになっていたから,調査官らは,b社専属の営業担当者に給与を直接支払っているのはc社であるがb社からc社へ支払われる業務委託費には人材派遣料も含まれており業務委託費を通じてb社が人件費を負担している旨の原告の説明を踏まえてb社とc社との間に具体的にどのような合意があったのか,Dがどのような権限をもって何を行っていたのか,原告とDとの間でどのような役割分担がされていたのか,Dと原告がb社から役員報酬を受け取っていなかった理由は何かを確認し,b社の営業担当者が顧客やa社の担当者とやり取りをしたメールやファクシミリ及びDがサインした銀行書類の提出を求めるなど,c社の経営者であるD及び原告に対し,面談,文書等による照会,b社の資料を提出するように促すなどして調査を尽くすべきであった。
ところが,調査官らは,①b社の現地常勤役員については,b社の損益計算書を収集し,Dが現地取締役として存在する旨及びb社各事業年度において役員報酬の支払がされなかった旨の原告の説明を聞き取っただけであった。また,②b社の従業員の状況については,b社の財務諸表及びb社の歴代営業担当者の名刺を収集し,b社から直接給与を支払っている従業員は存在しない旨,c社から派遣を受けたb社専属の営業担当者が存在する旨,同人らに給与を直接支払っているのはc社であるがb社からc社へ支払われる業務委託費には人材派遣料も含まれており業務委託費を通じてb社が人件費を負担している旨,営業担当者の昇給,残業等の人事管理はシンガポールで日常業務の運営を担当するb社の常勤取締役であるDが行っているので原告は知らない旨,同人らの業務日報は存在しない旨の原告の説明を聞き取っただけであった。また,③b社の株主総会及び取締役会の開催状況については,議事録及び取締役決定書並びに株主総会開催日及び取締役決定書の作成日の原告のシンガポール滞在状況に関する資料を収集し,これらに電話で参加した旨の原告の説明を聞き取っただけであった。
(ウ) しかも,調査官らは,原告がDに協力を依頼し調査官らによる日程調整の連絡を待っていたにもかかわらず,Dからの聴取りの重要性を認識しつつ,一方的に調査を終了させた。また,原告は当時外国子会社合算税制については良く知らなかったのに,調査官らは,何が問題となっているのか等について十分な説明を行うことなく聴取りを行ったため,重要な点が曖昧なままであった。さらに,原告は税務調査を円滑かつ円満に終わらせるため,調査官らに対し,他にどのような資料を提出すればよいのかを尋ね,本件調査に進んで協力していたにもかかわらず,調査官らは,納税者が提出すべき資料について一切教示しなかったし,本件は租税回避事案であるという調査官らの憶測に反する事実や証拠を正当に考慮しようとしなかった。
(エ) 以上のように,甲府税務署長及びその命を受けた調査官らは,本件更正処分等の際の調査において,b社が実体基準及び管理支配基準を満たしていないという評価を基礎づけるに足りる事実を認定するのに十分な資料を収集したとは到底いえないだけでなく,Dの聴取りやb社の取引資料の収集によって,上記各基準が満たされてないという評価を障害する事実が存在することが窺われ,これを認定する資料を収集できることが十分想定でき,しかもその機会を得ようとすればそれが可能であったにもかかわらずあえてしなかったことが優に認定できる。そして,収集した資料に加え収集すべきであった資料に基づいて判断すれば,実体基準又は管理支配基準を満さないことにつき高度の蓋然性があると認められる程度に立証されていると合理的に判断することはできなかったはずであった。しかも本件更正処分等の適法性を基礎づけるのに必要な資料が収集されていなかったことは甲府税務署長の責めによる。そうすると,甲府税務署長は職務上尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と本件更正処分等を行ったといわざるを得ず,国賠法1条1項の適用上の違法性が認められる。
(被告の主張)
ア 課税処分をするに際し税務署長が負うべき注意義務の内容
所得税における課税処分は申告納税制度の下において申告納税を維持確立し公平かつ適切な課税を実現するための担保的手段として機能するものであること,調査の方法及び時期等具体的手続は法令等に規定されておらず時間的な制限もあるためいかなる資料をいかなる方法でどの範囲まで収集するかについては課税庁たる税務署長に広汎な裁量権があること,税務調査によって収集し得る証拠資料は納税者の協力の程度及び内容に大きく影響を受けること,税務調査に基づいて認定する所得の正確性は課税処分時までに収集し得た証拠資料の内容及び程度との関係において相関的に定まらざるを得ないことなどといった課税処分の特質を踏まえれば,税務署長等が負担すべき職務上の法的義務は,付与された所得認定の裁量の範囲内で,処分時までに収集し得た証拠資料に基づき,合理的な方法により所得を認定すべき義務であると解される。
かかる法的義務を前提にすれば,課税処分に係る税務署長等の職務行為が国賠法1条1項の適用上違法となるか否かは,課税要件事実を認定,判断する上において,税務署長等が職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と処分をしたと認められるか否か,具体的には,納税者の申告内容,帳簿書類の正確性・信頼性,業種業態の性質,税務調査の内容,納税者の協力の程度及び証拠資料収集の難易等の事情を総合的に考慮した上で,税務署長等として当然に要請される証拠資料の調査・収集を怠り,あるいは明らかに不合理な証拠評価によって事実を誤認する等,通常の税務職員としてはおよそ許容することができない職務上の法的義務違反があったか否かを基準として判断すべきである。
イ 甲府税務署長に注意義務違反がないこと
(ア) 実体基準及び管理支配基準について
適用除外要件のうち実体基準は,独立企業としての実体を備えているというためには所在地国において主たる事業を行うのに必要な事務所,店舗,工場その他の固定施設を有している必要があるとの考え方に基づき定められたものであり,物的な側面から独立企業としての実体があるかどうかを判断基準としたものと解されるところ,税務職員の税務調査等の権限は外国子会社の所在地国に及ぶものではないから,当該所在地国における「事務所,店舗,工場その他の固定施設」の状況について,納税者側から適時に適切な資料の提供がなければ,その他の方法で具体的に把握するのは困難が伴う。
また,適用除外要件のうち管理支配基準は,独立企業としての実体を備えているというためには事業の管理,支配及び運営という機能面から見て独立性を有している必要があるとの考え方に基づき定められたものであり,機能的な側面から独立企業としての実体があるかどうかを判断基準としたものと解されるところ,当該特定外国子会社等が独立企業としての実体を備えているかは実体基準の判断と同様,納税者側から適時に適切な資料の提供がなければ,容易に判断できるものではない。
以上のような適用除外要件の性質は,その適用を受ける場合には,当該居住者に係る確定申告書に適用除外要件の規定の適用がある旨を記載した書面を添付し,かつ,その適用があることを明らかにする書類その他の資料を保存しなければならない(措置法40条の4第6項)とされていることからも明らかである。
(イ) 証拠資料の調査・収集に注意義務違反はないこと
調査官らは,本件更正処分等に先立ち,b社の貸借対照表や損益計算書,固定資産明細,a社のホームページ,取締役会及び株主総会の議事録,原告の出帰国記録,b社のシンガポール法人税に関する納税通知書,送金依頼書,株式払込金保管証明書,a社が出資しているd社の企業調査報告書,c社の企業調査報告書,a社の財務諸表,a社が賃借している土地に関する固定資産税の名寄帳兼課税(補充)台帳,b社の仕入先を一覧にしてまとめた仕入分析,b社の販売先を一覧にしてまとめた販売分析,a社の法人税の確定申告書,b社の取引先について掲載されたホームページ,平成17年8月1日付けMANAGEMENT AGREEMENT(以下「本件業務委託契約書」といい,当該契約を「本件業務委託契約」という。),b社専属の営業担当者とa社の担当者との間で交わされたメール,a社からb社への請求書等の資料を調査・収集した上,更にb社専属の営業担当者の業務内容が分かる営業日報や取締役会のやり取りが分かるFAXやメール等の資料を調査・収集しようと試みた。
また,調査官らは,原告に対し,b社は看板があるか,b社は電話帳に掲載されているか,b社が在庫を保有するか,b社に従業員が存在するか,原告及びDがb社から役員報酬を受領しているか,b社専属の営業担当者がc社の従業員であるか,b社専属の営業担当者の採用・昇給・人事管理,原告のb社における職務権限,b社とc社の関係,b社が所有する資産,b社からa社に対する増資の経緯,実際にb社の取締役会が開催されていたのか,本件業務委託契約書の作成経緯,b社に独自の活動は存在するのか,Dは全てc社が受託する本件業務委託契約に基づき活動しているということではないか等について質問した。
以上のとおり,調査官らは,実体基準及び管理支配基準の充足を判断する上で必要と考えられる資料を多岐にわたって調査・収集し又はしようとしており,また,原告に対し,実体基準や管理支配基準に係る直接・間接の判断材料となる事項として,具体的な事業実体の存否,事業活動の程度を基礎づける事情,b社の組織内部の管理,支配,運営等に係る実態について,多岐に渡る質問を行い,原告からもそれに対する多岐に渡る回答を得ていた。
Dからの聴取りについては,適用除外要件の充足を基礎づける事実につき説明すべきなのはDではなく原告であるし,調査官らは,上記のとおり,実体基準及び管理支配基準の充足を検討する上で必要と考えられる資料を多岐に渡って調査・収集し,原告からもこれらの基準に係る判断材料となる事項について多岐に渡る回答を得ていた上,Dから調査に応じる意向はない旨の回答を受けたため,Dの聴取りは実施しないと判断したものである。
その他本件更正処分等の際の調査で調査・収集できなかった資料があるとしても,調査・収集すべき資料が我が国の税務調査の権限の及ばない外国に所在する会社に関するものであり,適用除外要件を充足することを明らかにする書類が原告から積極的に提出されなかったという事情が認められ,また,原告やDから調査に対して積極的な協力を得られなかったという状況下においては,税務職員として当然に要請される証拠資料の収集を怠ったということはできない。
以上のように,甲府税務署長等は,所得認定の裁量の範囲内で処分時までに調査・収集し得た資料は収集しているから,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と本件更正処分等をしたとはいえない。
(ウ) 甲府税務署長の認定・判断に注意義務違反はないこと
甲府税務署長は,原告から提示のあった書類や調査官らに対する原告の回答等によれば,b社の財務諸表には固定施設の存在や使用を示す記載はなく,b社の貸借対照表等には器具設備の他に資産は計上されておらず,また,本件業務委託契約書にはc社との業務委託内容は賃貸料を含め全てを包含するものであるとの原告の回答を裏付ける記載がなかったことが確認されたため,b社が所在地国において「事務所,店舗,工場その他の固定施設」を有していたとは認められないと判断したものであり,この判断は明らかに不合理な判断とはいえない。
また,甲府税務署長は,税務調査で調査・収集した資料や聴取りによって,b社の業務の大半がc社に委託されていたこと,b社の取締役会が開催されたことについて疑義が生じたこと,b社の決算書には役員報酬の計上が認められず,b社からDに対する役員報酬は支払われていないこと,b社の取締役であるDはb社の業務委託先であるc社の代表取締役でもあったこと,b社には同社が給与を支払っている従業員は存在せず,b社専属の営業担当者の給与はc社が支払っていたこと及び当該営業担当者のメールアドレスはc社のものであったことが確認されたため,かかる状況下においては,Dやb社専属の営業担当者がbの業務を行っていたとしても,それは同人らがc社の役員ないし従業員の立場でb社から業務委託を受けたc社の業務として行っていたと考えられたことから,b社が所在地国において自ら事業の管理,支配を行っていたとは認められないと判断したものであり,この判断は明らかに不合理な判断とはいえない。
したがって,甲府税務署長が本件更正処分等においてb社が実体基準及び管理支配基準を満たさないと判断したことが明らかに不合理な証拠評価によって事実を誤認したとはいえないから,甲府税務署長が職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と本件更正処分等をしたとはいえない。
(2)  争点2(原告が被った損害額)
(原告の主張)
課税処分が国賠法1条1項の適用上違法と評価される場合,その課税処分の取消しを求めるために訴えの提起を余儀なくされ,その訴訟追行を弁護士に委任した者は,その訴訟追行のため支出を余儀なくされた弁護士費用のうち,事案の難易,請求額,認容された額その他諸般の事情を斟酌して相当と認められる範囲内の費用を,上記違法行為と相当因果関係に立つ損害として請求できるはずである。
原告は,平成22年11月1日,前件取消訴訟の追行を弁護士に委任し,同月15日,着手金として300万円を支払い,平成25年7月10日,成功報酬として1496万2500円を支払ったところ,前件取消訴訟は専門的で困難な事件であり,しかも翻訳や外国語の文書の検討が不可避であった上,前件取消訴訟の追行には多大な時間と労力を要したこと及び前件取消訴訟の請求額は高額で請求額が全額認容されていることなどを踏まえれば,上記合計1796万2500円全額が違法な本件更正処分等によって原告の被った損害といえる。
(被告の主張)
原告の主張は争う。原告及びDが調査官らに積極的に協力しなかった以上,前件取消訴訟に至った過程には,原告側の事情が相当影響しているというべきであるから,前件取消訴訟の弁護士費用全額が相当と認められる範囲内の費用ということはできない。
第3  争点に対する判断
1  認定事実
証拠(甲25,乙39,原告本人,証人B)及び次の各項記載の証拠並びに弁論の全趣旨によれば,前提事実を含め,以下の各事実が認められる。
(1)  前記前提事実(1)のとおり,原告は,遅くとも平成15年1月1日から現在に至るまでの間,a社の専務取締役(平成20年5月29日以降は代表取締役)であり,シンガポールにおいて設立されたb社の発行済株式総数7800株のうち,7799株を保有する同社の取締役である。
(2)  Dは,シンガポールで設立されたc社の経営者であり,同社のアウトソーシング事業部門は,シンガポールにおいて,事務所の設備の賃貸,総務や経理,営業事務のアウトソーシング及び営業社員の派遣などの日本企業のサポートを行っている。Dは,b社の発行済み株式総数7800株のうち1株を有する同社の取締役である(甲26,原告本人5,6頁)。
原告は,b社の業務実態について,Dと同程度に理解・把握していた(原告本人33,34,40,41頁)。
(3)  甲府税務署のB調査官は,平成19年9月4日,原告に対し,シンガポールの件で原告の所得税の税務調査を行う旨事前通知することとし,臨場調査を同月14日に行う旨伝えた(原告本人7,25頁)。
原告は,臨場調査がb社に関するものであることを理解した上で,その旨を知り合いであった税理士のE(以下「E税理士」という。)及びDに伝え,E税理士に立会いを求めた(原告本人7,26,36頁)。
E税理士は,原告に対し,言われたことには素直に答えるように,言われたものは素直に出すように助言した(原告本人8頁)。また,Dも,原告に対し,b社は実態があるから,言われたことに素直に応じて,言われたものを出せば大丈夫だと助言した(原告本人36,37頁)。
(4)  調査官らは,同年9月14日,a社の山梨工場に臨場し,原告及びE税理士に対し,税務調査(以下「第1回調査」という。)を行った。
C国際官は,第1回調査の際,原告及びE税理士に対し,外国子会社合算税制について,適用除外要件が実体基準及び管理支配基準であることも含めて簡単に説明をした(証人B・4,9頁,原告本人26ないし28頁)。これにより,原告は,外国子会社合算税制の適用及びb社がペーパーカンパニーであるか否かが問題になっていることを認識し,b社はペーパーカンパニーではないと答えた(原告本人27,28頁)。
C国際官は,その後,原告に対し,Dとの関係やb社の設立の経緯,事業内容,顧客,取引内容などについて質問した(原告本人10頁)。
これらの質問に対しては,原告が事実関係を中心に説明し,Dとの関係についての質問に対しては,b社はシンガポールに住んでいるDが業務全般を行っており,Dが預金のサイン権を持っていることなどの説明がされた。また,C国際官は,原告に対し,b社の従業員の給与が支払われていないことを指摘したところ,原告は,b社から給料として支払ってはいないが,派遣元のc社に給料分も含めて支払っている,b社専属の営業担当者がいると回答し,3名の名刺を提示した。そこで,調査官らは,3名の営業日報の存否を確認したところ,原告は,営業日報は存在しないと回答した。また,調査官らが,原告が3名の採用や人事管理に関与しているかを確認したところ,原告は,3名の採用,昇給,残業,給与支払に関与していないと回答した。さらに,C国際官は,原告に対し,原告やDがb社から役員報酬をもらっているか質問したところ,原告は役員報酬を受け取っていないと答えた。(甲4,6,7,原告本人11頁)
C国際官は,その後,原告に対し,b社が電話帳に出ていないこと及びb社の看板が出ていないことを指摘した。これに対し,原告は,b社には入口に看板があるため,b社の当時の担当であったFに電話し,その場で看板の写真を撮って送ってもらい,その写真をC国際官に提出した(甲4,6,7,原告本人9,10頁)。
また,調査官らは,原告に対し,b社が在庫を有しているかを確認したところ,原告は,b社はなるべく在庫は持たないようにしている,あるとすると保税倉庫の中であると回答した。
さらに,C国際官は,原告に対し,b社が平成17年7月にa社に1600万円を出資した経緯についても質問をした(原告本人10頁)。これに対し,原告はDと相談した上で送金したという経緯を伝えた(原告本人10頁)。
また,C国際官は,原告に対し,b社の取締役会が開催されたとされている日に原告は我が国やタイ王国にいたことを指摘した。これに対し,原告は,開催日にシンガポールにいれば開催場所に出席していたが,そうでなければ電話で参加していたと回答した。
調査官らは,これらの説明を聞き,措置法40条の4の規定に従って適用除外要件に該当するか判断するとして,今後の調査への協力を依頼した(甲4,6,7)。
(5)  調査官らは,平成19年11月2日,甲府税務署において,原告及びE税理士に対し税務調査(以下「第2回調査」という。)を行った(原告本人11頁)。
調査官らは,原告に対し,最初に2,3の質問をした上で,第1回調査の内容について記載した聴取書案を提示し,書面の内容に誤りはないかどうか確認をした(甲4,7,原告本人29頁,証人B・4頁)。原告は,上記聴取書案の一部について修正を求めたところ,C国際官がこれに応じて訂正をしたので,原告は微妙にニュアンスが違うように感じることがあったものの,最終的には納得して聴取書(甲4)に署名捺印した(甲7,原告本人13,14,30,31頁)。
C国際官は,その後,原告に対し,a社の増資や,b社とc社との業務委託契約について質問した(甲11,原告本人14頁)。これに対し,原告は,b社とc社との間で締結された本件業務委託契約の内容は理解していないと回答した(甲11,原告本人17頁)。
また,C国際官は,原告に対し,b社の財務諸表によると,b社は事務所もなく,従業員もいないと指摘したところ,原告は,本件業務委託契約の内容は賃貸料を包含しており,家主と直接賃貸借契約をしていないからといって固定施設がないとはいえないと答えた。また,C国際官が,b社の従業員は専属ではなく,他社と兼務している者がいるのではないかと指摘したところ,原告は知らなかったと答えた(甲11)。
原告は,この際,調査官らに対し,何を書類として出せばよいかを尋ねたが,調査官らは自分で考えて出すように回答した(原告本人32頁)。しかし,原告は,その後,一度も自ら積極的には資料を提出せず,調査官らから言われた資料を提出するだけであった(原告本人32,35,36頁)。また,原告は,Dに対し,場合によってはDから説明してほしいと頼んだが,Dの来日予定を確認することはしなかった(原告本人37,38頁)。
(6)  調査官らは,同年12月25日,a社の山梨工場に臨場し,原告及びE税理士に対し税務調査(以下「第3回調査」という。)を行った(甲12〔枝番を含む。〕,原告本人19頁)
調査官らは,b社の仕入れ先であるa社の営業担当者であるG及びアシスタントであるHに,実際のb社との間のやり取りの内容を確認した(甲12〔枝番を含む。〕,原告本人19,20頁)。その際,Hは,B調査官に対し,b社との間のメールのやり取りを見せた(原告本人20頁,証人B・7,8頁)。
また,原告がDから聴取りをしてほしいと申し入れたため,調査官らは,原告に対し,Dの来日予定を連絡するよう依頼した(証人B・10頁)。
(7)  調査官らは,これらの調査の中で,b社の貸借対照表(乙4),損益計算書(乙4),固定資産明細(乙5),a社のホームページ(乙3),原告のパスポートの写し(乙11),原告の出帰国記録(乙11),b社のシンガポール法人税に関する納税通知書(乙17ないし19),送金依頼書(乙20),株式払込金保管証明書(乙21),a社が出資しているd社の企業調査報告書(乙22),c社の企業調査報告書(乙23),a社の財務諸表(乙24),a社が賃借している土地に関する固定資産税の名寄帳兼課税(補充)台帳(乙25),b社の仕入先を一覧にしてまとめた仕入分析(乙26ないし28),b社の販売先を一覧にしてまとめた販売分析(乙29ないし32),a社の法人税の確定申告書(乙33ないし36),b社の取引先について掲載されたホームページ(乙37,38),本件業務委託契約書(甲11),b社専属の営業担当者とa社の担当者との間で交わされたメール(乙3),a社からb社への請求書(乙3),株主総会議事録(乙9ないし10),取締役会議事録(乙6ないし8)などの書類の提出を受けた。
しかし,固定資産明細には,携帯電話,モデム,コンピュータとの記載があるものの,事務所・倉庫等の固定施設が存在することを示す科目はなかった(乙5)。また,貸借対照表及び損益計算書にも,固定施設の賃借による使用を示す賃借料等の科目はなかった(乙4,5)。さらに,本件業務委託契約書の中にも,固定施設の賃借による使用を窺わせる記載はなかった。本件業務委託契約上c社がb社に提供するとされたサービスは,①b社により要求されることのある又はb社の事業にとって必要とみなされる全ての財務上のサービス及び顧問サービス,②b社により要求されることのある又はb社の事業にとって必要とみなされる全ての経営管理上,業務上及びその他の営業活動上のサービス及び③相互に合意する全てのその他の経営管理及び顧問サービスである(甲2,11)。
また,b社の損益計算書には役員報酬の計上はなかった(乙4)。
b社専属の営業担当者とa社の担当者との間でb社の業務に関するメールのやり取りが認められるが,b社専属の営業担当者のメールアドレスはc社のものであった(乙3)。
(8)  C国際官は,平成20年2月,E税理士に対し,原告の本件各係争年分の所得税については,措置法40条の4に規定する外国子会社合算税制が適用されるとして,修正申告を慫慂した。
(9)  甲府税務署長は,同年3月11日,原告に対し,本件更正処分等を行い,本件各係争年分の所得税の更正・加算税賦課決定通知書を原告に送達した(甲1〔枝番を含む。〕,原告本人24頁。)。
(10)  東京地方裁判所は,平成24年10月11日,本件更正処分等を取り消す旨の判決を言い渡した。これに対し,被告は,上記判決を不服として東京高等裁判所に控訴したが,被告の控訴は棄却され,同判決は,上告がなく確定した(前件取消訴訟)。原告は,前件取消訴訟において,実体基準及び管理支配基準に関する新たな資料(b社の現在の営業担当者とそのオフィススペースの写真,Dとその執務室の写真,b社の平成15年12月期ないし平成17年12月期の顧客別売上表,原告,D及びb社の営業担当者の各陳述書,シンガポール国内で倉庫業を営むMITSUI SOKOのb社宛の請求書等)を提出し,採用された(乙12)。
2  争点1(本件更正処分等は国賠法1条1項の適用上違法なものか否か)について
(1)  本件更正処分等の国賠法1条1項の適用上の違法性判断基準
税務署長がする所得税の更正処分等は,所得金額を過大に認定していたとしても,そのことから直ちに国賠法1条1項にいう違法があったとの評価を受けるものではなく,税務署長が資料を収集し,これに基づき課税要件事実を認定・判断する上において,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と更正処分等をしたと認め得るような事情がある場合に限り,違法の評価を受ける(最高裁判所平成5年3月11日第一小法廷判決・民集47巻4号2863頁)。
ところで,所得税法は,納税義務者が自ら納付すべき所得税の課税標準及び税額を計算し,自己の納税義務の具体的内容を確認した上,その結果を申告して,これを納税するという申告納税制度を採用し,納税義務者に課税標準である所得金額の基礎を正確に申告することを義務付けている(所得税法120条)上,外国子会社合算税制の適用除外要件を定めた措置法40条の4は,その第6項において,適用除外要件の規定の適用を受ける者は,確定申告書にこれらの規定の適用がある旨を記載した書面を添付し,かつ,その適用があることを明らかにする書類その他の資料を保存しなければならないと規定する。これは,適用除外要件は納税義務者に有利な課税要件事実である上,適用除外要件の規定の適用を受けるか否かにかかる具体的事実は納税義務者自身の最もよく知るところであり,また,適用除外要件の規定の適用があることを明らかにする資料を整えておくことはさして困難ではないからであると解される。他方,税務職員の質問検査権(平成23年法律第114号による改正前の所得税法234条)等の税務調査の権限は特定外国子会社等の所在地国に及ぶものではないから,税務職員による適用除外要件の充足の有無に関する資料の調査・収集には一定の限界があり,困難を伴うものといわざるを得ない。しかも,更正処分等には除斥期間という一定の時間的限界があり,税務署長は,以上のような困難を伴う税務調査を限られた時間内で限られた人的物的資源を用いて遂行しなければならない。
そうすると,税務署長が外国子会社合算税制の適用があるとして更正処分等をした場合,当該更正処分等がそれに係る税務調査が不十分であることを理由に職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と更正処分等をしたと認め得るような事情があるとして国賠法1条1項の適用上違法とされるのは,上記適用除外要件の充足の有無に関する資料の調査・収集における一定の限界を前提に,納税義務者の税務調査に対する協力状況などを始めとした諸状況に照らして,通常遂行することが期待される税務調査をすることなく更正処分等をした場合であるというべきである。納税義務者において,税務署長が行う調査に協力せず,保存が義務付けられている適用除外要件の適用があることを明らかにする書類その他の資料等によって,自己に有利な課税要件事実であって自身が最もよく知るところの適用除外要件に係る具体的事実につき明らかにしないということであれば,当該更正処分等に係る税務調査が不十分であるとして税務署長が職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と当該更正処分等をしたと認め得るような事情があるとはいえない。
これに対し,原告は,税務署長に後の課税処分取消訴訟において取り消されないような課税処分のみを行う義務を課すものではないとしながらも,前記原告の主張欄記載のとおり,税務署長は,課税処分に当たり,処分時点までに的確な調査によって課税要件事実の存否を判断するのに十分で適切な資料(積極要件に係るものに限らない)を調査・収集し,収集された証拠資料のみによって,税務署長が処分時点で当該課税処分が適法であることにつき高度の蓋然性があると認められる程度に立証されていると判断することができる状態となっている必要がある旨主張する。しかしながら,上記原告の主張は,要するに,外国子会社合算税制に係る課税要件事実の性質に由来する資料の調査・収集の限界や納税義務者による税務調査への協力の有無・程度等の諸事情を一切問題にすることなく,税務署長に対し,課税処分取消訴訟の受訴裁判所によって取り消されることがないような資料を当該課税処分時点において収集することを要求するものであり,課税処分が取消訴訟において取り消された場合には税務署長には国賠法上の違法があるというのと等しい点で失当であるといわざるを得ず,採用することができない。
(2)  本件における甲府税務署長の職務上の注意義務違反の有無
ア 証拠資料の調査・収集について
(ア) 前記認定事実によれば,甲府税務署長は,平成19年9月4日から同年12月25日にかけ,調査官らによる臨場調査を含む調査を行い,b社の具体的な事業活動の内容・程度並びにb社の組織内部の管理,支配,運営等の実態に関する各種資料の提供を受けるとともに,原告やE税理士,b社の仕入れ先であるa社の営業担当者であるG及びH等の原告関係者から,その反論・反証の機会を与えつつ事情を聴取し,上記事項に関して質問し回答を得ているのであって,実体基準及び管理支配基準の充足の有無の判断材料となる事項について多岐に渡る調査を行っているということができる。
他方,原告が前件取消訴訟において初めて提出した原告に有利な資料は,原告の陳述書を除けば,基本的に,シンガポール国内に所在する資料であり税務職員の調査権限が及ばず,原告からの適時かつ任意の提出を待たざるを得ない性質のものであるし,原告としても,これらの資料の内容からして,調査官らによる調査時において,短期間で提出することに特段困難な事情はなくその提出はいずれも可能であったものということができる。それにもかかわらず,原告は,第1回調査時において,調査では外国子会社合算税制の適用及びb社に実体があるか否かが問題となっていることを理解しながら,実体基準については,b社はペーパーカンパニーではない,本件業務委託契約の内容は賃貸料を包含しているなどと説明し,管理支配基準については,Dがb社の預金のサイン権を持っている,b社の従業員の給料は,c社に業務委託料として給料分も含めて支払っている,c社にはb社専属の営業担当者がいるなどと説明するだけで,調査官らから言われた資料を提出するなど受動的な対応に終始し,自ら積極的に資料を収集し提出することをしていない。そうすると,原告は調査官らの調査に協力せず,適用除外要件に係る具体的事情を明らかにしようとはしていなかったといわざるを得ない。
(イ) 以上に対し,原告は,甲府税務署長はD及び原告に対し,面談,文書等による照会,b社の取引関連資料を提出するように促すなどの調査をすべきであった旨主張するが,適用除外要件に係る調査の限界や原告の調査に対する対応などの具体的状況に照らし,調査官らが実体基準及び管理支配基準の充足の有無の判断材料となる事項について多岐に渡る調査を行っているといえることは前述のとおりである。
また,原告は,当時外国子会社合算税制についてよく知らず,調査官らに対してどのような資料を提出すればよいのかを尋ねたにもかかわらず,調査官らは十分な説明を行わず,提出すべき資料について一切教示しなかったとも主張する。しかしながら,前記認定のとおり,原告は,第1回調査時において,外国子会社合算税制の適用及びb社に実体があるか否かが問題となっていることを理解していた上,E税理士という税務の専門家の協力を当初から得ていたのであるから,適用除外要件に係る具体的事情に係る必要な資料を自ら提出することが不可能であったとか困難であったとはいえない。
さらに,原告は調査官らにDへの照会を要請したことを指摘し,確かに,前記認定のとおり,原告が調査官らに対しDに対する聴取りをするよう要請したことが認められる。しかしながら,そもそも,調査は原告の所得税に関するものであり,原告は特定外国子会社であるb社の発行済み株式の99パーセント超を保有しかつ同社の取締役であって,前記認定のとおり同社の業務内容についてはDと同程度に理解していたのであるから,原告自ら解明することが可能な事項も相当程度あったというべきであるし,仮にDでなければ分からない事項があるのであれば,我が国に居住していないDには税務調査権限は及ばないのであるから,原告においてDへの事情聴取の機会を調整・実現すべきであり,それが困難であるとの事情もないのに,原告はDの来日予定を確認することすらしていない。
また,原告は,前件取消訴訟の第一審判決後に,被告が「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とシンガポール共和国政府との間の協定」(以下「日星租税条約」という。)26条の情報交換規定に基づき,シンガポール当局に対し情報提供要請を行い,b社に関する資料収集を行おうとしたことからも,本件調査における資料収集が不十分であったことは明らかである旨主張する。しかしながら,被告は,原告が前件取消訴訟の第一審段階になって初めて提出した原告に有利な資料の内容を踏まえて,日星租税条約26条に基づく情報提供要請が必要と判断したものであり,前記に認定判断した調査官らの調査の経緯や収集した資料の内容,程度に鑑みれば,本件更正処分等をする前提として,必ずしも上記情報提供要請を実施しなければならないとはいえない。
以上のとおりであって,原告が指摘する上記各点を捉えて,前項で説示した認定判断を覆すには足りず,適用除外要件の充足の有無に関する納税義務者の税務調査に対する協力状況などを始めとした諸状況に照らし,調査官らが通常遂行することが期待される税務調査をすることを怠ったということはできない。
(ウ) 以上からすると,甲府税務署長らが,適用除外要件の充足の有無に関する資料の調査・収集における一定の限界を前提に,納税義務者である原告の税務調査に対する協力状況などを始めとした諸状況に照らして,通常遂行することが期待される税務調査をすることなく更正処分等をしたということはできない。
イ 甲府税務署長の認定・判断について
(ア) まず,実体基準についての甲府税務署長の認定・判断についてみるに,調査により本件更正処分等時までに現に調査・収集された資料によれば,b社の貸借対照表等の財務諸表には器具備品の他に事務所・倉庫等の固定施設の存在や使用を示す記載がなく,さらに,本件業務委託契約書の中にも,c社との業務委託契約の内容は賃貸料を始め全てを包摂するものであるとの原告の回答を裏付けるに足りる記載その他の固定施設の賃借による使用を窺わせる記載は一切なかったことから,これらの事実関係の下において,甲府税務署長が,本件更正処分等の時点において,b社が所在地国であるシンガポールにおいて「事務所,店舗,工場その他の固定施設」を有しているとは認められないとして,b社が実体基準を満していないと認定・判断したことが合理性を欠くということはできない。
(イ) 次に管理支配基準についての甲府税務署長の認定・判断をみるに,調査により本件更正処分等時までに現に調査・収集された資料によれば,本件業務委託契約書の文言からは,b社の業務の大半がc社に委託されていることが読み取れること,b社の決算書には役員報酬の計上が認められず,b社の取締役である原告もDもb社から役員報酬を受け取っていないこと,Dはb社の業務委託先であるc社の代表者であったこと,Dはb社以外にも複数の会社の役員を兼務していたこと,b社には従業員に対する賃金の支払自体がなく,b社専属の営業担当者の給与はc社が支払っていること,当該営業担当者のメールアドレスがc社のものであったこと,b社の取締役会や株主総会が開催されたとされている日に原告が開催地国自体にいなかったことが複数回あったことなどから,これらの事実関係の下において,甲府税務署長が,Dやb社専属の営業担当者がb社の業務を行っていたとしても,それは同人らがc社の業務として行っていたものであると考え,本件更正処分等の時点において,b社がその所在地国であるシンガポールにおいて自ら事業の管理・支配を行っていたとは認められないとして,b社が管理支配基準を満していないと認定・判断したことが合理性を欠くということはできない。
(ウ) 結局,甲府税務署長は,本件更正処分等に当たり,現に調査・収集した証拠資料を総合勘案して合理的判断によりb社が外国子会社合算税制の適用除外要件を満さないと認定・判断したものということができる。
ウ その余の原告主張について
なお,原告は,調査官らが本件は租税回避事案であるという憶測や決めつけをしていてこれに反する事実や証拠を正当に考慮しようとしなかったとも主張するが,本件全証拠によっても,調査官らがそのような憶測や決めつけをしていてこれに反する事実や証拠を正当に考慮しようとしなかったことを認めることができない。
エ まとめ
以上からすれば,甲府税務署長等が,適用除外要件の充足の有無に関する資料の調査・収集における一定の限界を前提に,納税義務者の税務調査に対する協力状況などを始めとした諸状況に照らして,通常遂行することが期待される税務調査をすることなく本件更正処分等をしたとはいうことはできず,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と本件更正処分等をしたと認め得るような事情があるとはいえない。そして,甲府税務署長は現に調査・収集した証拠資料を総合勘案して合理的判断によりb社が外国子会社合算税制の適用除外要件を満たさないと認定・判断したといえるから,その時点において,甲府税務署長が職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と認定・判断をして本件更正処分等をしたということもできない。
3  結論
よって,原告の請求は,争点(2)について判断するまでもなく理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第49部
(裁判長裁判官 佐久間健吉 裁判官 松原経正 裁判官 葛西正成)

 

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