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判例リスト「営業代行会社 完全成果報酬|完全成功報酬」(305)平成19年11月28日 神戸地裁 平18(わ)213号 殺人、殺人未遂、現住建造物等放火、火炎びんの使用等の処罰に関する法律違反被告事件

判例リスト「営業代行会社 完全成果報酬|完全成功報酬」(305)平成19年11月28日 神戸地裁 平18(わ)213号 殺人、殺人未遂、現住建造物等放火、火炎びんの使用等の処罰に関する法律違反被告事件

裁判年月日  平成19年11月28日  裁判所名  神戸地裁  裁判区分  判決
事件番号  平18(わ)213号
事件名  殺人、殺人未遂、現住建造物等放火、火炎びんの使用等の処罰に関する法律違反被告事件
裁判結果  有罪  文献番号  2007WLJPCA11289016

要旨
◆被告人が共犯者らに依頼し、共謀の上、商売敵のテレホンクラブ2店舗に火炎瓶を投げ込んで放火し、客4名を死亡させ、客1名と店員3名に傷害を負わせた殺人、殺人未遂、現住建造物等放火、火炎瓶の使用等に関する法律違反の事案につき、他の共犯者らの供述から、共謀の事実を否認する被告人の主張を排斥し、被告人の認識内容に基づく実行行為がなされれば、店員や客が死亡する可能性があることは、被告人も容易に想像できるものであるとして、未必の殺意を認定したが、本件犯行の本来の目的は、営業妨害であり、本件犯行による死傷者の発生は被告人の本意ではないことなどから、未必の殺意の程度は高いとはいえないとして、被告人に無期懲役を言い渡した事例

出典
裁判所ウェブサイト

参照条文
刑法38条1項
刑法60条
刑法108条
刑法199条(平16法156改正前)
刑法203条
火炎びん処罰法2条1項

裁判年月日  平成19年11月28日  裁判所名  神戸地裁  裁判区分  判決
事件番号  平18(わ)213号
事件名  殺人、殺人未遂、現住建造物等放火、火炎びんの使用等の処罰に関する法律違反被告事件
裁判結果  有罪  文献番号  2007WLJPCA11289016

主文
被告人を無期懲役に処する。
未決勾留日数中170日をその刑に算入する。

理由
(犯罪事実)
被告人は,神戸市内でテレホンクラブを営んでいたものであるが,被告人が依頼し,分離前相被告人A1がこれを引き受け指示し,A2,A3及びA4がその指示を受けるなどして,上記A1ら4名と順次共謀の上,被告人の商売敵となる有限会社B1(代表取締役B2)が「B3」の名称で営む同市内複数のテレホンクラブ店舗の営業を妨害するため火炎びんを用いて放火することを企てるとともに,同店舗内にいる店員及び客が死亡するに至るかもしれないことを認識しながら,あえて,上記A2,A3及びA4が,
第1  平成12年3月2日午前5時5分ころ,神戸市a区b通c番地d所在のテレホンクラブ「B3e店」(管理者有限会社B1)付近に赴いた上,同店において,上記A3が清酒一升びんにガソリンを入れ,その口にタオル様の布を取り付けて点火装置を施した火炎びん1本に,所持していたライターで点火した上,これを営業中の同店内に投げ付けて発火炎上させ,同店の床面,板壁,可燃性備品及び天井等に燃え移らせて放火し,よって,Cが所有し,同店店員D1(当時37歳)及び同D2(当時21歳)ほか同店客7名が現にいる木造2階建建物1階部分(床面積152.95平方メートル)のうち約15平方メートルを焼失させ,もって,現に人がいる建造物を焼損し,かつ,火炎びんを使用して人の生命,身体及び財産に危険を生じさせ,上記D2に対し加療約9日間を要する顔面・右手Ⅱ度熱傷の傷害を負わせたにとどまり,同人らを殺害するに至らず,
第2  同日午前5時15分ころ,神戸市a区f通g丁目h番i号F1ビル2階及び3階に所在するテレホンクラブ「B3j店」(管理者有限会社B1)付近に赴いた上,同店において,上記A3及びA2がそれぞれ清酒一升びんにガソリンを入れ,その口にタオル様の布を取り付けて点火装置を施した火炎びん各1本に,所持していたライターで点火した上,これを営業中の同店内及びその入り口付近に投げ付けて発火炎上させ,同店の床面,階段,板壁,可燃性備品及び天井等に燃え移らせて放火し,よって,有限会社F2(代表取締役F3)が所有し,同店店長D3(当時27歳),同店店員D4(当時31歳),同店客E1(当時31歳),同E2(当時30歳),同E3(当時23歳),同E4(当時29歳)及び同E5(当時22歳)の7名が現にいる鉄骨造陸屋根地下1階付3階建建物(延床面積182.2平方メートル)の2階及び3階部分(面積合計約102平方メートル)を焼失させ,もって,現に人がいる建造物を焼損し,かつ,火炎びんを使用して人の生命,身体及び財産に危険を生じさせ,そのころ,上記E1,E2,E3及びE4を一酸化炭素中毒により死亡させて殺害し,上記E5に対し加療約40日間を要する顔,両上肢等熱傷(ⅡないしⅢ度)の傷害を,上記D4に対し加療約7日間を要する右手掌熱傷(Ⅱ度)の傷害を,上記D3に対し加療約3日間を要する右手指挫創等の傷害をそれぞれ負わせたにとどまり,同人らを殺害するに至らなかった。
(事実認定の補足説明)
第1  争点等
弁護人は,判示の火炎びんによる各放火行為(以下「本件犯行」という。)について,(1)被告人がA1と共謀した事実はなく,(2)A1と実行犯であるA2らとの間の共謀も証拠上疑わしいとして無罪を主張し,被告人も(1)についてこれに沿う供述をする。
そこで,当裁判所が,判示のとおり,被告人が,本件犯行について,A1と共謀し,その共謀に基づいてA2らが本件犯行を実行したと認定した理由を以下補足して説明する。
第2  前提となる事実
関係証拠によれば,以下の事実が認められる。
1  被告人と検察官が共犯者と主張するA5やA1らとの関係等
(1) 被告人は,昭和62年ころから神戸市内でテレホンクラブの経営を開始し,平成7年ころからは「G」という名称のテレホンクラブ数店舗を経営していた。
(2) A5は,かねてより競馬のノミ行為,野球賭博などによって生計を立てていたが,昭和63年ころ,被告人から借りた資金で日掛け金融を行っていたHの紹介で被告人と知り合い,以後,Hの立場を引き継ぎ,被告人から資金を借りて,日掛け金融を行うようになったほか,被告人から,野球賭博などの資金として多額の借入れをするようになった。
なお,A5は,Gの経営には関与していなかった。
(3) A1は,広島市を拠点として,表向きは金融会社などを経営しながら,一方で暴力団と関係を持ち,自らも配下の者を集めて暴力団同様の活動を行うグループを組織していたものであり,A2及びA4は,いずれも本件以前からA1のところに出入りするなどしてA1と親しく交際していたほか,互いに友人として交際していた。
(4) A3は,平成10年ころ,A2と知り合い,以後,同人の運転手をするなどしていた。
2  被告人らの国税対策等
(1) 被告人は,平成11年12月7日,k国税局から強制査察を受けたため,その対策(以下「国税対策」という。)として,Hから「税金に詳しい人」としてA1を紹介され,同人と面識を持つに至った。
(2) 同月10日,被告人は,A1からの助言に基づき,被告人の長女及びA5に指示して,I銀行e支店及びl信用金庫m支店から預金合計約3億8700万円を解約して引き出し,現金を段ボールに入れてA5が所有するマンションに運び込ませた。
(3) 同日,被告人は,A1から,「国税局に顔が利く人」を紹介すると言われ,A5を伴って上京し,Jに国税対策を依頼した。
また,被告人は,A1に対し,国税対策費用として200万円を渡した。
3  「B3」の店舗に対する汚物の散布等
(1) 平成10年7月,テレホンクラブ業界最大手の有限会社B1が経営する「B3」が神戸市内に進出して,かつてGのあった店舗に次々と出店し,順調に売上げを伸ばしていった。
これに対し,被告人が経営するGは,平成10年8月に約4400万円あった売上げが,同年9月には約3400万円となり,その後も月当たり約2500万円から約3500万円の間を推移していたが,平成11年11月には約2300万円に減少した。
なお,兵庫県のテレホンクラブに関する規制条例により,平成13年末でG各店は廃業せざるを得ない状況にあり,被告人は,このことを遅くとも平成11年秋には認識しており,規制地域外でテレホンクラブの営業をできないか検討し,実際に神戸市n区にテレホンクラブ営業用の土地を購入したが,同地でテレホンクラブを開業することはなかった。
(2) 平成11年12月11日,上記東京からの帰りの新幹線車内で,被告人と同行したA5,A1及びHとの間で,被告人がB3に対する不快感を口にしたことから,B3の店舗に汚物をまくこと(以下「汚物まき」という。)が話題になり,被告人も同調するなどしていた。
その後,A1は,被告人又はA5から,報酬の支払を条件に汚物まきに関する依頼を受け,A4にB3に対する汚物まきをさせることにし,同月20日ころ,A5の案内でA4の関係者が,B3の数店舗へ行き,そのA4の関係者に店舗内に入って下見をさせた上,平成12年1月ころ,被告人又はA5から,汚物まきの報酬の前金を受け取った(汚物まきに関し,A1に対する依頼者及び報酬の前金の交付者が被告人であるかA5であるかについては争いがあり,後に説示する。)。
また,その間,A1が,上記下見をしたA4らからB3の位置関係を示す地図を求められ,A5にその旨伝えたところ,被告人は,A5からその地図作製依頼の話を聞き(A5から伝えられた趣旨について汚物まきのためかA1のテレホンクラブ経営のためかについては争いがある。),以前被告人とともにテレホンクラブを経営していたMに依頼して,神戸から三宮にかけてのB3を含むテレホンクラブの位置が分かる地図を作成した上,A1にファックス送信した。
(3) 平成12年2月10日未明,A4らによってB3e店とB3o店にペンキに汚物を混ぜたものがまかれたり,消火器が噴射されたが,両店とも,それによって営業を休むことはなかった。
(4) A1は,汚物まきを行ったことをA5に伝えて報酬残金の支払を請求したが,A5は営業妨害の効果が上がらなかったとしてその支払を拒否し,再度営業妨害をするよう求めた。
4  Kp店における話合い等
(1) 同月25日,A5は,A1がLを伴って神戸に来た際,再度営業妨害をする下見のためB3j店を案内した。Lは,A1の依頼で,配電盤の位置確認などのためB3j店内に入り,店内の様子を探って電子手帳に書き留め,その内容をA1に説明した。その際,Lは,A1に電線が束になっている直径約10センチメートルの配線を見付けたなどと言っていた。
(2) 翌26日午後,被告人は,A5,A1及びLとKp店で会った。その際,被告人,A1及びA5が同じテーブル席に,被告人とA5が並んで,A1がその向かい側に座り,Lは一人離れた席に座った。
被告人とA1は,当初,国税対策に関する話をしていた。その後,A1からテーブル席に呼ばれたLが,前日,A1に説明する際使用した電子手帳に描かれた見取図のような図面を被告人及びA5に見せた上で,B3j店の階段や入り口,カウンターの位置,部屋の配置状況やその様子等を説明した(その後,本件犯行に関する謀議が被告人とA1との間でなされたかについては争いがあるので,後に説示する。)。
5  本件犯行の実行状況
(1) A1は,上記Kp店での会合の後,A4に連絡を取り,再度B3の店舗に対する営業妨害を実行し,確実に休店させるよう指示したところ,A4から,A2がその営業妨害を担当するとの報告を受けた。
(2) 同月29日,A2は,本件犯行についてA3に,二,三日営業停止させたい店があるので手伝ってほしいと依頼し,A3が承諾した。A2及びA3は,350ミリリットル入りジュースのびん2本を使って火炎びんを作り,農道で火炎びんの実験を行ったが,1本のびんは割れ,横約1メートル高さ約60センチメートルの炎が燃え上がったものの,もう1本はびんが割れなかったことから,大きなびんの方が割れやすいと考え,一升びんで火炎びんを作ることにした。
なお,A2は,平成2年12月20日,N百貨店社長宅に火炎びんを投げ付けたという火炎びんの使用等の処罰に関する法律違反で服役経験があるが,この事件の際には,実行行為は担当していなかった。
(3) 平成12年3月1日午前2時ころ,A2及びA3は,B3e店,B3o店及びB3j店を外から下見した。その際,B3j店については,外から内部の様子がうかがえないことから,A2の指示で,A3が店内に入って内部の様子を確認した。その後,即日B3を襲撃することを決定して,一升びんなどで7本の火炎びんを作ったが,B3店舗周辺に人がいたことなどから実行するには至らず,用意した火炎びんを海中に投棄した。
(4) 翌2日午前零時ころ,A2及びA3は,再び神戸に向かい,A4と合流した後,一升びんで火炎びんを6本作った上で,B3e店,B3o店及びB3j店の襲撃担当者や具体的な手順について話し合った。話合いの場で,B3e店の襲撃については,A3が火炎びんを最初に投げ,その後,A2が更に火炎びんを投げることが決まり,A4が車を運転することとなったが,A2が自分は自信がないと言い出し,結局,A3一人でB3e店に火炎びんを投げることとなった。
(5) B3e店は,JR東海道本線(JR神戸線)高架下2階建建物の1階部分にあり,店舗出入口は,店舗南西付近に1か所のみであり,これ以外に外部に通じる非常口はなかった。店内は,出入口付近にあるカウンターから見て「E(イー)字型」に幅65センチメートルないし幅83センチメートルの通路があり,合計25の客室があった。同店舗には2か所に2枚引きガラス窓(一方の大きさは,縦92センチメートル,横85センチメートル,もう一方は,縦60センチメートル,横85センチメートル)が設置されていたが,いずれの窓にも店外に格子状のアルミ枠が19本縦に設けられていた。
当時,店内には,入り口付近の受付カウンターに店員D1及び同D2の2名,客室内に7名の客がいた。店内の客室には,ソファーベッドが設置されている部屋があり,シャワー設備もあったことから,夜間簡易宿泊施設として利用する客もおり,当時仮眠中の客もいた。
(6) A3は,一升びんでできた火炎びんを1本持ちだして火を付け,B3e店の入り口から入り,同火炎びんを放り込んだところ,カウンター付近で火炎びんが破裂,炎上し,店内には黒煙が充満した。カウンター内にいた店員D1及び同D2は,一旦は火の中を走って店外へと脱出したが,D1は,店内にいる客を救出するため再び店内へと入り,客らを誘導するなどして救出するとともに,バケツに洗面所で水を汲みまくなどして消火活動を行ったことから,B3e店では死者は出なかったものの,D2が脱出する際,加療約9日間を要する顔面・右手熱傷の傷害を負った。
(7) 続いて,A2ら3名は,B3o店に向かったが,B3o店の前に車が止まっていたことから火炎びんを投てきするのをあきらめ,B3j店に向かった。
(8) B3j店は,鉄骨造陸屋根地下1階付3階建建物の2階及び3階部分にあり,店舗出入口のある2階へは,ビル西側に設けられた階段(一段目から北向きに上がり,途中の6段目と7段目で東方に90度曲がる)を上る必要があり,階段の幅は80センチメートル,傾斜角度は40.7から45.8度であって,出入口ドアが唯一の外部への出入口であった。2階店内は,北端で幅95センチメートル,南端で幅53センチメートルの南北通路があり,合計9の客室があり,通路及び客室等の床面はP(ピー)タイル張り,側面はクロス張りの構造であった。3階店内は,北側で幅58センチメートル,南側で幅54センチメートルの南北通路と幅56センチメートルの東西通路がT字型に交差しており,合計10の客室があった。なお,2階店内には窓が全くなく,3階店内には,西側面に1か所だけ上下幅72センチメートル,横幅76センチメートルの窓があった。なお,店内2階入り口付近に本来設置されていた消火器は,上記B3の店舗に対する汚物散布による襲撃事件の際に消火器が使われたことから,再度の襲撃に利用されることを恐れ北側の隅の方に移動されていた。
当時,店内には,2階の出入口受付カウンターに店長D3及び店員D4の2名,3階客室にはE5,E3,E2,E4,E1の客5名がいた。店内の客室には,ソファーベッドが設置されている部屋があり,シャワー設備もあったことから,夜間簡易宿泊施設として利用する客もおり,当時仮眠中の客もいた。
(9) B3j店に向かう途中の車内で,A2は,A3に対し,自分も火炎びんの投てきを手伝うと述べ,B3j店前に到着後,まずA3が,B3j店の階段を駆け上がって店の入り口まで行き,B3e店と同様の方法で,火を付けた火炎びんを店内に投げ込んだが,火炎びんは割れず,店内に火の付いた火炎びんが転がった。これを見た店員D4が,とっさに火炎びんを右手でつかんで,階段の踊り場まで行ったところ,階段の下の方でA2が用いたもう1本の火炎びんが爆発し,炎と黒煙が上がってきた。そこで,同店員は,このままでは自分が持っている火炎びんが炎上してしまうと思い,持っていた火炎びんを階下に向けて落としたところ,その火炎びんも破裂,炎上し,店内には黒煙が充満した。店員D4及び店長D3は,客を避難させるため3階へと向かったが,熱を帯びた煙の充満が早く,息をすることさえ困難な状況になったため,宿泊に利用していた客のE5の手を取るなどして誘導して共に,3階シャワー室の唯一の窓から脱出したが,残された客4名は逃げ遅れ一酸化炭素中毒により死亡した。また,生還した3名も,それぞれ加療約3日ないし40日間を要する熱傷の傷害を負った。
(10) A1は,上記Kp店での会合以降,上記犯行の実行日ころまでの間,A4と頻繁に連絡を取り合っていた上,上記犯行の前後にはA2から何回も電話連絡を受けていた。
6  本件犯行後の状況
(1) A2は,B3j店を襲撃した際,下半身にやけどを負ったことから,本件犯行後直ちに広島に向かい,犯行当日である平成12年3月2日午前11時ころ,A1が手配した広島市内の病院に入院した。
同日,A5は,岡山で,A1に営業妨害の報酬の残金として600万円を渡した(これが被告人の指示によるものかについては争いがあるので,後に説示する。)。
(2) 同月5日,被告人は,A1の誘いで,A5及びA1らと,大津市内のOに行った。Oで,A1は,被告人に対し,B3の店舗襲撃の件でやけどを負ったA2に関する入院費用等が必要であるという理由で,国税対策の報酬の前払金の支払を要求した。翌6日,A5は,神戸駅付近で,A1に上記要求に係る金7000万円を渡した(被告人が上記報酬の前払の要求に応じ,A5を通じてそのお金をA1に渡したかについては争いがあるので,後に説示する。)。
また,A5は,平成12年7月から10月ころにかけて,4回に分けて,合計1300万円をA1に支払った。
(3) 同月23日,被告人は,A5のマンションに隠した現金3億8700万円について,盗難被害にあったとして,兵庫県q警察署に被害届を提出した。
7  燃焼実験の結果について
ガソリン1800ミリリットル入り火炎びん(一升びん)及びガソリン245ミリリットル入り火炎びん(清涼飲料水用びん)各1本を使用して行われた燃焼実験の結果によれば,一升びんの場合,着火後約6秒で約2.5メートルを超える炎が上がったのに対し,清涼飲料水用びんの場合,着火後約9秒で約1.5メートルの炎が上がり,いずれの場合も大量の黒煙が発生した。
第3  検討
1  本件犯行につき,Kp店での謀議を含め被告人とA1との共謀を基礎づける主要な証拠としては,A5の公判廷における供述がある。これに対し,A1は,汚物まきを含む一連のB3に対する営業妨害に関与した事実については,火炎びん投てきの指示の点を除き認めるものの,直接その依頼をしたのはA5であるとして,依頼者が被告人であるかどうかについてはあいまいな供述をしている上,Kp店における本件犯行の謀議の存在を否定する供述をしている。また,被告人は,B3に対する一連の営業妨害を含めA1との共謀を一切否定する供述をしている。そこで,以下,各供述の信用性を検討する。
2  A5供述の内容
A5は,公判廷において,要旨以下のとおり供述する。
(1) B3に対する汚物の散布等
ア 被告人は,平成11年12月11日,東京からの帰りの新幹線車内で,A1に対し,兵庫県のテレホンクラブの規制に関する条例の効力を止めてくれる先生は知らないかと聞いたり,B3がGの店の跡地で営業をし,Gの売上げが落ちて腹が立つ,客足が3分の1になってしまったなどと言い,B3に汚物やコールタール等をまく方法により,その営業を一定期間休止させることができないかという話をし,A1が1000万円くれるならするなどと答えていた。新幹線下車後,新神戸駅で被告人に営業妨害を依頼したのか確認したところ,被告人は依頼したと答えた。
イ 平成12年1月ころ,被告人及びA1と神戸市内の料亭「P」で食事をしたが,食事の後,被告人及びA1が二人だけで話をしていた。後日,被告人から,上記料亭でA1に営業妨害の報酬の一部として400万円を渡した旨聞いた。
ウ その後,A1から,営業妨害に関する進捗状況や,実際に実行しようとしたがバットを持っている者がいたことから中止したことなどの報告を受け,それを被告人に伝えていた。
なお,被告人がA1の依頼でテレホンクラブの地図を作製するに当たって,被告人に対し営業妨害の趣旨であることは伝えている。
また,同年2月10日午前,被告人から,B3の店が休んでいるかどうか様子を見てくるように依頼され,B3o店を見ながらその様子を携帯電話で被告人に伝えた。その後,被告人の依頼で,A1に対し,B3に汚物まきを本当に実行したのか否かを確認し,その結果を被告人に伝えたが,被告人は話が違うと言って,A1からの報酬残金の請求についても,実際にB3が休店していない以上は払えないし,前金400万円も返してもらうと言っていた。
(2) Kp店における話合い等
ア その後,Kp店における話合いの日までの間に,被告人は,A1との間で,Q2階のGj店のフロント奥の電話交換機が置かれている事務所の中で,話合いをする機会があった。その際,被告人は,B3にも,こういう電話交換の機械があり,その電話交換機を壊せばよいなどという話をしたが,その中で,電話交換機の値段は約1300万円ないし1500万円であること,B3なら,一番古いB3j店に電話交換の機械があるのではないか,それを壊せば,B3もしばらくの間は店を開けられないようになるなどと言った。
イ 同月26日,Kp店で,再度の営業妨害の方法について話合いがなされた。Lは,A1の求めに応じてB3j店の様子を説明し,階段の上の辺りに,導線のようなものがあったと言って,その導線のようなものを切ったらどうかと提案したが,この提案は採用されなかった。
A1の指示でLがテーブル席から離れると,A1は,被告人に,B3に対する新たな営業妨害の方法として何かいい方法がないか尋ね,被告人は,自分に意見を求めた。これに対し,上記のように被告人が電話交換機を壊す話をしていたことから,被告人の意向を忖度して,被告人及びA1に対し,電話交換の機械を壊すしかないと言った。これを受けて,A1は,被告人に電話交換機を壊す具体的な方法について尋ねたが,被告人が答えることはなかった。
そこで,A1は,被告人に対し,B3の店を閉めさせる方法として,(1)手りゅう弾を使う方法,(2)看板をけん銃で撃つ方法,(3)ダンプカーで店に突っ込む方法,(4)火炎びんを使う方法を提案し,選択を迫ったが,被告人は,そんなことを決めることはできないなどと言った。
これに対し,A1は,被告人にきちんと考えるように言った上でこれらの方法について順次説明したが,被告人は,手りゅう弾を使う方法については,人が死んでしまう,看板をけん銃で撃つ方法については,看板を壊したくらいでは客は来なくならないし,間違って人に当たったら死んでしまうなどと言い,ダンプカーで店に突っ込むという方法については,A1が,1軒ずつ行ったら時間が掛かるし,ダンプカーが1軒でつぶれてしまうこともあるなどと言って,これらの方法では実行できないということになった。
そして,最後に残った火炎びんを使う方法について,A1は,火炎びんのプロがいるなどと言った上で,電話交換機があるとすればカウンター付近にあるはずなので,火炎びんをそこに落として電話交換機を燃やすと説明し,A1が,火炎びんを使う方法で新たな営業妨害を行うことを被告人に確認すると,被告人がA1に任すなどと言って,B3の店舗に火炎びんを投げ込んで電話交換機を壊すことに決まった。
なお,その際,どのような大きさの火炎びんを何本投げ込むかなどについての話は出なかった。
ウ 同日以降,A1から,本件犯行の進捗状況について,バットを持っている人間がいたから行けなかった,人が多かったから行けなかった,人が少ない時を見計らって実行するなどと電話で報告を受け,それらを被告人に報告していた。
(3) 本件犯行後の状況
ア 本件犯行の当日である同年3月2日,A1が電話で,最悪の事態になりました,三,四人は死んだのではないか,木造だから燃えてしまうと思ってましたなどと言った。
そして,A1から被告人に連絡を取るように依頼され,被告人の携帯電話に電話をしたものの,つながらなかったことから,被告人の自宅に電話をしたところ,被告人の長女が電話に出た。そこで,被告人の長女に連絡を取るように依頼したところ,連絡が取れ,Qで被告人と会った。その際,被告人は,青い顔をしており,三,四人も人が死んで足が震えたなどと言っていた。
イ 同月5日,A1の誘いで,被告人及びA1らとOに赴いた際に,A1が被告人に,B3の店舗襲撃の件でやけどを負ったA2の入院費用等がかさむことを理由に,国税対策の報酬の前払名目で3億円を要求した。これに対し,被告人は,当初,金がないとして拒否したものの,最終的には,1億5000万円を支払うこと,そのうち金7000万円を直ちに支払うことを約束した。
そして,翌6日,被告人から,被告人が以前A5方マンションに隠匿した現金の中から,金7000万円を取り出して渡され,これをA1に渡した。
ウ さらに,同年5月か6月ころ,被告人がA1から要求され,被告人の指示により,更に2回に分けて合計金800万円を被告人から受け取り支払った。その後も,A1は被告人に残金の支払を要求したが,被告人はその要求を拒否し,A1に対して,A5に金を貸しているから,A5から金をもらうようになどと言った。そこで,自分(A5)が4回に分けて合計金1300万円を支払った。
3  A1供述の内容
A1は,公判廷において,要旨以下のとおり供述をする。
(1) Kp店における話合い等本件犯行の経緯
ア B3に対する営業妨害の実質上の依頼者が被告人であるか否かは定かでないが,直接依頼の話をしたのはA5であり,報酬の前金も被告人ではなく,A5から受け取っている。
イ 営業妨害が功を奏せず,報酬の残金が支払われることなく,A5から要求された新たな営業妨害についてLに相談したところ,Lは電話の配線を切る方法を提案し,平成12年2月25日,LがB3j店の下見をしたが,この時点では電話の配線を切る具体的な方法は決まっていなかった。
なお,自分はQに入ったことはないし,被告人から電話交換機に関する説明等を聞いたこともない。
ウ 同月26日,Kp店で,被告人と国税対策の話をした後,テレホンクラブの配線に関する質問を被告人にしたが,被告人は立腹した様子で答えることなく,すぐにKp店から出ていった。
なお,Kp店で火炎びんに関する話が出たことはなかったし,本件犯行が行われるまで,実行犯が火炎びんを使うことは知らなかった。
エ その後,A4にB3の電話線を切ることを依頼し,A4から,A2が引き受けたと聞いた。
(2) 本件犯行後の状況等
ア 同年3月2日,A5に対し,大変なことになってしまった,とんでもないことになってしまったなどと話をした。
イ 同月5日,Oにおいて,被告人に対し,B3の店舗襲撃の件でやけどを負ったA2の入院費用等がかさむことを理由に,国税対策の報酬半分の前払を要求し,最終的に被告人は前払を了承した。
4  被告人供述の内容
被告人は,公判廷において,要旨以下のとおり供述する。
(1) B3に対する汚物の散布等
ア Gの売上げが減少したのは,B3の影響ではなく,Gの店舗を統合したためであって,B3とは無関係の事情である。テレホンクラブの営業には将来性がないと漠然と感じており,テレホンクラブの売上げが減少しても気にならなかったばかりか,B3が進出したことで,当初返還される見込みの乏しかったG跡地の敷金が返還されており,B3の出店をむしろ歓迎していたのであって,B3のことを憎んだりしていなかったことから,A1に本件犯行を依頼する動機などない。
イ B3に対する営業妨害をA1に依頼したことはなく,前金を含めその報酬を支払ったことはない。したがって,A5に,B3の下見を依頼したことはないし,A1と料亭「P」に行ったこともないが,汚物まきの事件後,A5から営業妨害は広島の人間がやったことであると聞いたことはある。
ウ A1の依頼を受けてMに地図を作製させたのは,A1がテレホンクラブを経営するために地図が欲しいとA5が言っていたからである。
(2) Kp店における話合い等
ア A1については,Qのミーティングルームに同行したことはないが,A5については,Q内にあるGj店がオープンする際,電話交換機を見せて値段等を説明したことはある。
イ 平成12年2月26日,Kp店で,A1と国税対策の話をしていたところ,Lが自分たちのテーブルに来て,突然電子手帳を机の上に置き,テレホンクラブの店内の様子を説明してから,別のテーブルに帰っていった。自分には関係がないと思ったので,Lに対し,自分に説明する理由については特に何も質問しなかった。A1に,今の人何なんと尋ねたが,A1は笑って何も説明しなかった。その後,自分は約束があったので,すぐにKp店から一人で帰った。自分がKp店にいる間,B3に対する営業妨害の話など出ていない。
(3) 本件犯行後の状況等
ア 同年3月2日,被告人の長女から,A5から連絡があったことについては聞いていない。同月1日夜に,A5に,今日は神戸にいないと携帯電話で伝えたが,同月2日は,A5とは一切連絡をとっておらず,旅行から帰った後は,家から出ていない。
イ 同月5日,Oで,A1から,B3の件で,友達がけがをしたからお金がいるという理由で,国税対策の成功報酬1億5000万円を前払してくれるように頼まれたが,国税対策の結果が出ていないので断った。その際,「そんなこと言われても,しょうがない。」と言ったかもしれず,A1がその発言を承諾の意味と取り違えたかもしれない。
ウ A1に,国税対策に関する前払金200万円以外は払ったことはない。
5  各供述の信用性についての検討
(1) A5供述の信用性について
ア A5供述のうち,被告人が新幹線車内でA1に直接営業妨害を1000万円の報酬で依頼したという点や被告人が料亭で営業妨害に関する報酬の前金を支払ったという点については,他の場面に関する説明に比してあいまいであり,供述の変遷も認められる上,営業妨害の依頼の点については,新幹線の車内でA5は被告人とA1に同席し,二人のやり取りを見聞きしながら,依頼の有無について分からず降車後確認している点で不自然であるし,営業妨害の報酬の前金の受渡しについても,他の報酬の残金等名目いかんを問わず営業妨害に関連する現金の受渡しを担当しているのがA5であることとそぐわないこと,加えて,一連の営業妨害への関与自体は認めているA1供述とも符合しないこと,共犯者としての責任を問われているA5が自己の関与を矮小化している可能性も否定できないことからすれば,その信用性には疑問を差し挟む余地がある。また,Kp店における謀議において,けん銃で看板を撃つ方法が採用されなかった理由の1つとして,死者が出る可能性を考慮したとする点についても,それ以上に危険を有すると思われる火炎びんを店内に投てきする方法について,死傷者等が出る可能性について検討された形跡がないことに照らして信用することはできない。
しかしながら,そもそも本件一連のB3に対する営業妨害については,直接利害関係を有するのは,B3と商売敵の関係にあるGを経営する被告人であり,その営業妨害の請負人であるA1に対する報酬の支払についても,被告人を抜きにしては成り立ち得ず,A5が被告人に断りを入れることなく独断でA1に依頼したとは考え難い。また,被告人の供述によっても,Kp店における会合でLからB3j店の内部について説明を受けた際や本件後A1から本件事件の実行犯のやけどに託けて国税対策の報酬前払を求められた際などA5の営業妨害への関与を察知する機会が何度かあり,そのようなA5に対し不審を抱くはずであるのに,被告人がA5に対し,営業妨害への関与について問い質したり咎め立てしたような形跡はない。これらの情況は,A1に対する一連の営業妨害の依頼者がA5ではなく被告人であることを示している。そして,A5の供述のうち,被告人の依頼により一連の営業妨害が行われ,本件犯行について被告人がA1との間で謀議を遂げたとする中核部分については,このような利害関係を有する被告人のA1に対する依頼によって営業妨害(汚物まき)が行われたものの,それが奏功せず,報酬の支払を巡って再度の営業妨害が行われることとなり,テレホンクラブについて知識経験を有する被告人から出た電話交換機を標的にしたらよい旨の発言を受け,A1の指示を受けたLがB3j店の下見をし,その下見に基づいて本件犯行の謀議がなされ,A1から出された電話交換機を標的に火炎びんを投てきする案を被告人が了承したことから,本件犯行が実行されたという本件犯行の経緯や,本件犯行後当日のうちに営業妨害に関する報酬残金の支払がなされ,本件が大惨事を招き実行犯がやけどを負ったことに託けたA1の要求により,犯行のわずか4日後に被告人が国税対策の報酬の前払名目で7000万円もの大金を支払う羽目になったこと等の供述全体の流れは,上記前提となる事実記載の本件前後の経過と符合する上,具体的で前後の脈絡も認められ,信用できる。特に,本件の核心部分であるKp店における謀議の内容については,A1がLにB3j店内部の状況について説明させた上で,本件犯行に関する実行方法として4つの具体的な方法を提案し,それらについて順次検討が加えられ,最終的な実行方法として火炎びん使用が決定された状況やその際の被告人やA1らの攻防について臨場感にあふれたものであって,まさに体験した者にしか供述できないほど迫真性に富んだものであり,その信用性は高いといえる。
イ これに対し,弁護人は,LがKp店で火炎びんに関する話が出ていない旨供述していること,Kp店は本件犯行に関する謀議の場所としてふさわしくないこと,Kp店における謀議に関するA5供述の出方が不自然であることなどからA5供述の信用性は認められないと主張する。
しかしながら,Lは,捜査段階では,Kp店での謀議の内容全体が聞こえなかったと供述していたのであり,この点に関する供述に変遷が認められるところ,この変遷について合理的に説明していないこと,Lは,A1から営業妨害の方法について相談を受けたり,その指示によりB3j店の下見をした上で,Kp店で被告人に対しB3j店の部屋の配置状況等を説明するなどしていたことから,L自身本件犯行に関与した嫌疑を掛けられており,Kp店における会合やその前段階においてA1から営業妨害の方法として火炎びん投てきの話を聞いていた場合には,本件犯行の共犯者に問われるはずであるから,自己の刑責・非難を免れるため事実と異なる供述をしていた可能性がある上,A1との従前の関係からすれば,A1を庇う趣旨の供述をする可能性もあることなどの事情に照らすと,L供述は信用することはできない。その他弁護人のA5供述の信用性の疑問点に関する各主張は,本件の核心部分に関するA5の供述の信用性を揺るがすものではない。
(2) A1供述の信用性について
ア まず,A1供述のうち,それ以前の営業妨害を含め本件犯行に対する被告人の関与を否定するかのような部分については,一方で,被告人の関与を肯定する部分があるなどあいまいである上,被告人にKp店でテレホンクラブの配線について質問し,Oにおいて本件の関係で金が必要であるなどとして国税対策の前払を要求するなど被告人が本件の依頼者であることを前提とするような行動を取っていることと整合しないこと,また,A1としては,被告人から7000万円を超える大金を受け取ったとの認識であり,名目はどうあれ,その実質は本件犯行に関する口止めの趣旨が含まれていることは明らかであることからすれば,それに従って事実を曲げて,被告人の関与を否定することも十分考えられ,信用できない。
イ さらに,Kp店での謀議を否定する部分については,本件犯行に対するA1自身の刑責に直接関わることから,そもそも信用性が低いといえる。また,他に,A1が被告人又はA5との間で再度の営業妨害の方法について話合いをした機会はなく,A1の供述によれば,本件の手口となる火炎びん投てきの方法はA1が実行犯に指示したものではなく,実行犯レベルで発案されたものであり,再度の営業妨害の具体的な方法についてはA1から提案したことはなく,依頼者との間で定まっていたものでもないということであるところ,当初の営業妨害については,依頼された「汚物まき」の方法を実行したが,不成功ということで報酬の支払を巡って依頼者との間でトラブルが生じていたにもかかわらず,その後依頼者との間で再度の営業妨害についての具体的な方法を詰めないまま,実行犯に任せている点において著しく不自然不合理である。その他,自らLにKp店でB3j店に関する説明をさせながら,その説明を要領を得ないものであったなどと供述する点など不自然な部分も多く,信用することはできない。
(3) 被告人供述の信用性について
ア 被告人供述のうち,Gの売上げは気にしていなかったとする点については,本件犯行当時,被告人の収入の大部分がテレホンクラブの営業に依存していたこと,被告人は兵庫県の条例によりGの当時の店舗での営業ができなくなることを聞いた後,神戸市n区にテレホンクラブ営業用の土地を取得するなどテレホンクラブの営業に固執していたことなどの客観的事実と矛盾する。
イ また,被告人は,新幹線車内で営業妨害の話があったことやA5からの話により営業妨害が広島の人間によって行われたことなどは認識していたことからすれば,Kp店でLがB3j店の様子を説明した際,それが新たな営業妨害に関連する事柄であり,A1はその依頼者が被告人であることを前提にLに説明させていることは容易に想像できるにもかかわらず,自分には関係がないなどしてLの説明を聞かなかったなどというのはいかにも不自然であるし,本件犯行の実行犯がやけどをしたということで,被告人が本件犯行の依頼者であることを前提に,A1から国税対策の報酬の前払を求められたが,自分には関係なく断ったとする点についても,A1及びA5の供述と矛盾するばかりか,その翌日,A1がOから広島に帰る途中の神戸駅で,A5がA1に7000万円を渡した理由を合理的に説明できていない。そして,仮に被告人が営業妨害の依頼者ではないということになれば,A5が独断で行ったことになるが,A5が被告人に無断でそのようなことをする点については,動機は見当たらず,被告人とA5との関係,当時のA5の置かれた状況等からして考え難く,被告人の供述によっても,被告人に無断で勝手なことをしたA5を厳しく問い質すなどしたり,A1にその旨弁明したりしたような形跡は全くない。
ウ その他,被告人供述は,A1が地図の送付を依頼した理由の点,LがKp店で被告人にB3j店の説明をした点,本件犯行を認識しながら本件当日A5と一切連絡を取っていないと供述する点,Oで国税対策の前払報酬を要求された点などについて,本件全体の流れを合理的に説明しているとはいえず,上記A1の供述とも符合しない部分も多い。
エ そうすると,被告人供述は信用することはできない。
(4) なお,弁護人は,本件についてA5が被告人から金を引き出すため被告人の依頼なく独断で行った犯行の可能性を主張するが,被告人の依頼がないにもかかわらず本件犯行を行ったところで被告人から成功報酬特にA1に約束した多額の現金が支払われるとは考えられないこと,上記のとおり,被告人が無断で行ったA5を厳しく問い質すなどの行動を取ったような形跡がないことからすると,弁護人の主張は理由がない。
6  結論
以上からすれば,A5の供述により被告人がA1との間で本件犯行に関する共謀を行ったことは明らかである。
また,A1が一連の営業妨害について,火炎びん投てきの点を除きA4ら実行犯に依頼ないし指示した旨供述していること,本件犯行がKp店における謀議の内容と符合する形で行われているという客観的状況に加え,A1とA4及びA2ら実行犯との関係や本件前後のA1とA2らとの連絡状況等の事情からすれば,A1と実行犯との間に本件犯行に関する共謀があったことも明らかである。
そして,上記認定事実によれば,被告人は,本件謀議に参加した上で火炎びんの使用による新たな営業妨害について承諾しており,実行犯がB3の電話交換機を火力を用いて破壊すること,そのために相当程度の大きさを有する火炎びんを通常出入口付近にある店舗のフロント付近に落とすことについては認識していたということになる。さらに,被告人はテレホンクラブの経営者であることに加え,以前B3e店と同じ場所で,また,B3j店についても同一建物の別フロアでそれぞれテレホンクラブを経営していたことからすれば,B3e店及びB3j店がいずれも上記のように狭隘な構造であること,B3e店については,出入口はフロント付近1か所のみであって,これ以外に外部に通じる非常口がないことについてはそれぞれ具体的に認識し,また,B3j店についても,少なくとも外観上2階店舗部分へ通じる狭隘な階段以外には出入口がなく窓等も少ないことについては認識していたことからすれば,B3各店舗に対し,被告人の認識内容に基づく実行行為がなされれば,各店舗の出入口付近がたちまち火の海になり,中にいる店員や客が容易に外に脱出することができない事態になり,逃げ遅れて火に焼かれたり,有毒ガスにまかれるなどして死亡する者が出る可能性については被告人にとっても容易に想像できるものであるといえる。
そうすると,本件被害各店舗における店員及び客に対する被告人の未必の殺意を認めるのが相当である。
なお,本件公訴事実のうち,A5を共同正犯とする点については,証拠上認められる本件犯行におけるA5の動機,地位及び役割等に照らして認定することはできず,幇助犯にとどまるものと判断した。
(量刑の理由)
本件は,判示のとおり,被告人が共犯者らと共謀の上,未必の殺意をもって営業中のテレホンクラブ2店舗にそれぞれ火炎びんを投げ込んで放火し,一方の店舗内にいた店員ら9名のうち店員1名に傷害を負わせ,他方の店舗内にいた店員ら7名のうち客4名を死亡させるとともに店員2名及び客1名に傷害を負わせたという殺人,殺人未遂,現住建造物等放火,火炎びんの使用等の処罰に関する法律違反の事案である。
本件犯行は,被告人が,自己の商売敵のテレホンクラブが業績を順調に伸ばす一方で,自己の経営するテレホンクラブの業績が芳しくないことなどから,商売敵のテレホンクラブを逆恨みし,その営業を執ように妨害するため,報酬目当てのA1に被害店舗に対する火炎びん投てきを依頼するなどして行われたものであり,利欲的かつ自己中心的な動機に基づく陰湿な犯行で,酌量の余地は全くない。犯行態様も,実行犯において,火炎びんの実験を試み,入念に襲撃の対象となる店舗を下見するなど計画性が認められ,未明に,狭隘な構造を有する営業中のテレホンクラブ2軒の出入口付近にそれぞれ一升びんを使って作った火炎びんを投げ込むというたぐいまれに見る凶悪なものである。その結果,判示のとおり2店舗を焼損してうち1店舗をほぼ全焼させるにとどまらず,死者4名,負傷者4名を出す大惨事を招いている。特に,死亡した被害者らは,何らの落ち度もない20歳代から30歳代前半の前途ある若者であり,たまたま客としてB3j店を利用し仮眠中の者もいたと推察されるところ,突然暗闇の中で黒煙に襲われ,全く状況が分からないまま,必死に脱出を試みたものの,二人の被害者は通路で折り重なるように,残りの被害者はそれぞれ通路及びドアの開いた客室内でいずれも力尽き,家族等に最後の言葉を掛ける機会も与えられないまま,その生命を奪われたのであって,その際感じたであろう恐怖感,絶望感,喪失感などは察するに余りあり,本件犯行から約7年が経過した現時点においても,遺族の処罰感情が峻烈なのも当然である。
被告人は,商売敵のテレホンクラブに対する私怨を晴らす目的のため,全く無関係な被害者らの生命に対する危険性等を顧みることなく本件犯行を依頼して実行させており,目的のためには手段を選ばない被告人の人格態度はそれだけでも強い非難に値する上,本件犯行の謀議の際,犯行の元となる営業妨害の依頼者として,被害店舗内にいる従業員や客が死傷する危険性について認識を有しながら,あえて火炎びんの使用に最終的な同意を与えていることに照らせば,本件犯行の首謀者の一人としてその責任が極めて重大であることは明らかである。それにもかかわらず,被告人は,本件への関与を一貫して否定し,捜査・公判を通じて共犯者らに責任を転嫁するなど不合理な弁解に終始しており,そこには自己の責任回避に汲々とする態度しか見受けられず,反省の態度は全く認められない。
これらの事情からすれば,検察官が被告人に死刑を求めることもあながち理由がないとはいえない。
しかしながら,判示のように,本件犯行は,元々汚物まきの方法による営業妨害であったのが,功を奏せず,被告人が報酬残金の支払を渋るなどして報酬の支払を巡って被告人の依頼を受けた共犯者のA1との間でトラブルが生じ,A1の方がその方法をエスカレートさせて火炎びんの投てきという方法を発案し,これに被告人が応じたという経過が認められ,その本来の目的は,電話交換機の破壊による営業妨害であり,人的な損害を発生させることを直接目論んだ犯行ではないこと,本件謀議の際,その危険な手口・方法について被告人が発案したものではない上,使用される火炎びんの大きさや数などの実行方法に関する具体的な内容については話がなく,火炎びんとして火力が大きいことの明らかなガソリンを入れた清酒一升びんが犯行に使用されることについては被告人が事前に具体的に認識できていたとはいえないことなどからすれば,本件犯行による死傷者の発生は被告人の本意でないことはもとより,被告人が積極的に被害者の死亡を認容していたとは認められず,未必の殺意の程度が高いものとはいえない。また,被害店舗の防火体制の不備が8人の死傷という重大な結果の発生に相当程度寄与していると考えられることも被告人の責任を量定する上で考慮されなければならない。
さらに,被告人には職業安定法違反,競馬法違反や所得税法違反等の罪に関する前科はあるものの,粗暴事犯や放火事犯等人の生命,身体に向けられた犯罪やその危険性を招く犯罪による前科前歴はなく,そのような犯罪性向も認められない。
上記のような諸事情を考慮した上で,死刑が人命を永遠に奪い去る冷厳な極刑であり,真にやむを得ない場合にのみ適用すべき究極の刑罰であることにかんがみると,本件が被告人に検察官が求めるような死刑を科すべき事案であると評価することはできず,被告人には,被害者らの冥福を祈らせつつ生涯をもってその罪を償わせるのが相当であると判断し,被告人を無期懲役刑に処することとした。
(求刑 死刑)
(検察官藤井理,牧野展久,橋爪香苗各出席)
(裁判長裁判官 岡田信 裁判官 佐茂剛 裁判官 姥迫浩司)
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