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判例リスト「営業代行会社 完全成功報酬|完全成果報酬」(401)平成12年 7月27日 東京地裁 平11(ワ)13742号 損害賠償請求事件

判例リスト「営業代行会社 完全成功報酬|完全成果報酬」(401)平成12年 7月27日 東京地裁 平11(ワ)13742号 損害賠償請求事件

裁判年月日  平成12年 7月27日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平11(ワ)13742号・平11(ワ)14370号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  本訴棄却、反訴一部認容  文献番号  2000WLJPCA07270005

要旨
◆マンションの一室を競売により取得した業者が、入居者を相手に、引渡命令の執行までの間、執行官保管の保全処分を得て、これを強制執行した行為が不法行為を構成しないとされた事例
◆前記の事案において、入居者が業者を相手に、損害賠償請求の訴えを提起した行為が不法行為に当たらないとされた事例
◆前記の事案において、入居者が債権回収目的の不正常な賃借権を主張し、政治力を臭わせつつ、立退料を要求するなどした行為が不法行為を構成するとされた事例

参照条文
民事執行法77条
民法709条

裁判年月日  平成12年 7月27日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平11(ワ)13742号・平11(ワ)14370号
事件名  損害賠償請求事件
裁判結果  本訴棄却、反訴一部認容  文献番号  2000WLJPCA07270005

本訴原告・反訴被告(以下「原告」という。) 内海憲志郎
右訴訟代理人弁護士 吉ヶ江治道
本訴被告・反訴原告(以下「被告」という。) 株式会社アトリウム
右代表者代表取締役 吉田道生
右訴訟代理人弁護士 大貫憲介
同 水野英樹
同 山口元一

 

主  文

一  原告の本訴請求を棄却する。
二  原告は、被告に対し、金一六七万八七〇〇円及びこれに対する平成一一年七月八日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
三  別紙動産目録記載の動産の所有権が原告に帰属しないことを確認する。
四  被告のその他の反訴請求を棄却する。
五  訴訟費用は、本訴反訴を通じてこれを五分し、その四を原告の負担とし、その他を被告の負担とする。
六  この判決の第二項は、仮に執行することができる。
七  ただし、原告が金一七〇万円の担保を供するときは、右仮執行を免れることができる。

 

事実及び理由

第一  当事者の求めた裁判
一  本訴について
1  原告
(一) 被告は、原告に対し、金八三〇万五〇〇〇円及びこれに対する平成一〇年一二月一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
(二) 訴訟費用は被告の負担とする。
(三) 仮執行宣言
2  被告
(一) 原告の請求を棄却する。
(二) 訴訟費用は原告の負担とする。
二  反訴について
1  被告
(一) 原告は、被告に対し、金三一九万三七〇〇円及びこれに対する平成一一年七月八日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
(二) 主文第三項と同旨
(三) 訴訟費用は原告の負担とする。
(四) 仮執行宣言
2  原告
(一) 被告の反訴請求を棄却する。
(二) 訴訟費用は被告の負担とする。
(三) 仮執行免脱宣言
第二  事案の概要
一  事案
本件は、原告が本訴において、被告が裁判所を欺いて保全の必要性があると誤信させて本件保全処分決定を得、これに基づき本件保全執行をしたことにより家財等に損害を被ったとして、被告に対し不法行為に基づく損害賠償を求めたところ、被告が反訴を提起し、原告の本訴提起が不法行為であり、また原告の違法な行為によって被告は本件保全執行をせざるを得なかったと主張して、本訴の応訴のための弁護士費用及び原告が本件保全執行に当たり引取りを拒否した動産の保管料等に係る損害賠償を求め、併せて、原告は右動産の所有権を放棄したとして、同動産が原告の所有権に属しないことの確認を求めた事案である。
二  争いのない事実等(証拠の摘示のない事実は、争いのない事実である。)
1  原告は、もと東京都目黒区中根一丁目七番一六号所在目黒タワーヒルズ(以下「本件マンション」という。)の四〇一号室(以下「本件居室」という。)に居住していた。
2  被告は、不動産競売手続において競売物件を落札し、それを他に転売することを主たる目的とする株式会社である。
3  本件居室は、東京地方裁判所平成七年(ケ)第三四四五号事件において競売に付され、被告は本件居室を落札し、平成一〇年一〇月一五日に本件居室の代金を納付してその所有権を取得した。
4  原告の本件居室に対する賃借権は、買受人である被告に対抗することができないものであった。
5  被告は、平成一〇年一〇月三〇日、原告及び小林桂真を相手方(占有者)として東京地方裁判所に保全処分命令の申立て(東京地方裁判所平成一〇年(ヲ)第七一三三九号。以下「本件保全処分申立て」という。)を行った。被告は、同申立てにおいて、引渡命令の執行までの間、原告の本件居室に対する占有を解いて東京地方裁判所の執行官に保管を命ずる旨の裁判を求め、申立ての理由として次のとおり主張した。
(一) 引渡困難行為
(1)  原告が主張する賃借権は、債権回収を目的とするものである。
また、差押後に小林が本件居室に居住している。原告は本件居室を事務所として使用して占有しており、現在も事務所用備品を本件居室内に置いたままにして占有するとともに、小林を居住させて占有している。
(2)  原告は、平成一〇年八月一九日、立退交渉に訪れた被告従業員に対し、本件居室の敷金二二〇〇万円を立退費用として支払えば、すぐに明け渡す、建物の価値を下げるために建物を壊して建物をなくしてやる旨を申し向けた。
(3)  また、一〇月二九日、右申立人代理人の大貫憲介弁護士が、自由民主党本部に相手方(本件の原告)の身分を問い合わせたところ、自由民主党総合政策調査会なる部署及び常任理事なる者は存在しないこと並びに相手方が自民党に籍のないことを確認した。
(二) 価格減少行為
相手方が本件居室の価格を減少させる行為を行うおそれは非常に高い。
(三) 相手方の行為は、民事執行法七七条の「不動産の価格を減少させ、若しくは引渡しを困難にする行為をし、又はこれらの行為をするおそれがあるとき」に該当する。(甲六)
6  東京地方裁判所は、同年一一月一六日、申立人の本件保全処分申立てを認め、引渡命令の執行までの間、原告の本件居室に対する占有を解いて東京地方裁判所の執行官に保管を命ずる旨の保全処分決定(以下「本件保全処分決定」という。)をした。
7  同年一一月二〇日に被告は、本件保全処分決定を債務名義として強制執行の申立てをした。これを受けて、東京地方裁判所執行官は、同年一二月一日午前一〇時四五分本件居室に臨んで執行に着手し、午後三時にこれを終了した(以下右の強制執行全体を「本件保全執行」という。)。
(争いのない事実、乙一)
三  本訴に関する当事者の主張
1  原告の主張
(一) 被告の不法行為
(1)  被告は、本件保全処分申立てをするに際し、次のような事実の捏造を行った。
(ア) 原告との立退交渉のため被告の従業員が本件居室を訪れたとの主張事実(「争いのない事実等」の5(一)(2) )
原告が、針生及び青山とともに被告を訪問したのであり、被告の従業員が本件居室を訪れたものではない。
(イ) 被告との立退交渉の際、原告が「立退費用として二二〇〇万円を支払え。」と発言したとの主張事実(「争いのない事実等」の5(一)(2) )
原告は被告に対し立退料などは要求していない。原告は、「保証金として二二〇〇万円を預けているから、どうしても出ていかなければならないのであれば、適法に償却した後の保証金を返してほしい。」と言っただけである。
(ウ) 右交渉の際、原告が「立退料を払わなければ建物を壊して建物の価値を下げてやる。」と発言したとの主張事実(「争いのない事実等」の5(一)(3) )
原告は、このような発言はしていない。
(2)  被告は、本件保全処分申立てをするに際し、次のような虚偽の主張をした。
(ア) 原告が本件居室及び八〇一号室を事務所として使用占有し、事務所用備品を残置しているとの主張事実(「争いのない事実等」の5(一)(1) )
原告は、本件居室を事務所としてではなく、自宅として使用していた。また、八〇一号室は、株式会社ヴェンチャーキャピタルの代表取締役松尾克之の妻の松尾潤子に転貸していた。
(イ) 小林が本件居室及び八〇一号室を占有しているとの主張事実(「争いのない事実等」の5(一)(1) )
小林は平成一〇年夏ころには本件マンションから出て行き、本件保全処分申立時には本件居室にも八〇一号室にも居住していなかった。
(ウ) 本件居室に関する原告の賃借権が債権回収目的であるとの主張事実(「争いのない事実等」の5(一)(1) )
原告が債権回収目的を有していたのは八〇一号室だけであり、本件居室についてはそのような目的を有していなかった。
(エ) 原告が自民党に籍を持たず、自民党に「自由民主党総合政策調査会」なる団体は存在しない旨の主張
原告は自民党の党員であり、また、「自由民主党総合政策調査会」は国会議員を代表とする現に存在する団体である。
(3)  被告は、本件保全処分申立てをするに際し、次の事実をことさら秘匿した。
(ア) 原告が、自分自身で被告と交渉しただけでなく、針生、青山、稲山を通じても本件居室又は八〇一号室の買取交渉をした事実。
(イ) 原告が被告の従業員と交渉をした後においても、針生、青山、稲山が原告のために被告と交渉を続けていた事実。
(4)  被告は、以上(1) から(3) までの操作をして事案の筋に対する裁判所の判断を誤らせることにより、裁判所をして本件保全処分決定をさせたのである。
(5)  因果関係
本件保全処分決定がされなければ本件保全執行はされず、本件保全執行がされなければ原告の所有財産の毀損又は汚損という損害は発生しなかった。
保全執行は、緊急事態の下で実施されるものであるため、通常の引越のように丁寧な梱包や運搬がされるものではない。したがって、本件居室に備置していた本件被害物品を前提とした場合、保全執行の実施によってこれらの物品に破損、汚損等が生じるのは一般的な事態である。したがって、被告の不法行為と原告の損害との間には相当因果関係がある。
(二) 原告の損害
原告は、本件保全執行によって次のとおり、合計八三〇万五〇〇〇円の損害を被った。この損害は、究極的には必要もない本件保全執行を行ったことによって発生したものである。
(1)  財産的損害
次の〈1〉から〈5〉まで、〈14〉から〈17〉までは、乱暴な執行によって汚損されたり毀損されたりして使いものにならなくなったものである。〈6〉、〈7〉、〈12〉、〈13〉は本件居室が閉鎖されて原告が中に入ることができなくなったため、死んでしまったり腐ってしまったりしたものである。〈8〉、〈9〉は、無理やり動かしたために壊れてしまったものであり、〈10〉、〈11〉は、中の物が腐って臭いがついてしまったために使用できなくなったものである。
〈1〉 ペルシャ絨毯一枚 二五〇万円
〈2〉 ペルシャ絨毯一枚  五〇万円
〈3〉 ベッド、マット    二万円
〈4〉 羽布団        五万円
〈5〉 和服、帯      四〇万円
〈6〉 熱帯魚一〇匹   二二五万円
〈7〉 水草        四〇万円
〈8〉 水槽        二〇万円
〈9〉 エアーコンプレッサー 六万円
〈10〉 冷蔵庫(大)     二万円
〈11〉 冷蔵庫(小)   五〇〇〇円
〈12〉 生ハム        五万円
〈13〉 松茸        二〇万円
〈14〉 ガラス製食器    一〇万円
〈15〉 ガラス製置物(船) 一五万円
〈16〉 ガラス製スタンド  一〇万円
〈17〉 植木        三〇万円
小計   七三〇万五〇〇〇円
(2)  慰謝料       一〇〇万円
(3)  (1) と(2) との合計 八三〇万五〇〇〇円
2  原告の主張に対する被告の反論
被告による本件保全処分申立ては、次に述べるとおり正当な行為であり、何ら違法な点はない。
(一) 原告の主張(一)について
(1)  原告は、競売裁判所執行官に対し、本件居室を株式会社ヴェンチャー・キャピタルから、平成五年一二月二二日より期間五年、敷金二二〇〇万円で賃借していると主張した。
しかし、原告主張の賃借権は、債権回収目的の不正常なものであり、かつ、濫用的賃借権であることが明らかである。
(2)  原告は、平成一〇年八月一九日、被告の従業員である中野に対し、被告が原告に右敷金全額を支払うことが明渡しの条件であり、右要求に応じない場合には本件居室を壊してその価値を低下させる旨申し向けた。
(3)  その際、原告は、被告担当者の中野が販売価格は九〇〇〇万円であると述べたことについて、四〇一号室なら六〇〇〇万円位で原告に売り渡すよう申し向けた。
しかし、被告は即座にこの申出を断った。したがって、原告と被告とが本件居室の購入の交渉をしたことは全くない。
(4)  原告は当時、「自由民主党総合政策調査会常務理事組織委員長」の名刺を使用していたが、被告が同年一〇月二九日に自由民主党に確認したところ、同党には総合政策調査会なる部署はなく、原告も同党に在籍していないことが判明した。
(5)  東京地方裁判所は、原告の言動が引渡困難行為等に当たる旨認定して、本件保全処分決定をしたものである。
(二) 原告の主張(二)について
本件保全処分申立てが適法である以上、本件保全執行も適法である。
なお、執行官が本件保全執行当日以降に行った動産の処理は、通常行われる処理と何らの違いもなく、違法性は見当たらない。もとより、被告が執行官に違法行為を指示したことはない。
四  反訴に関する当事者の主張
1  被告の主張
(一) 不法行為
(1)  本訴提起
原告は、本訴請求に法的根拠がないことを知っていたか、容易に知ることができたのであるから、原告の本訴請求は違法である。
本件訴訟の経過によれば、原告にとっては、専ら被告を訴えること自体が目的でり、また、原告は執行妨害者として扱われたことに憤慨して提訴に及んだというべきである。
(2)  引渡困難行為、価格減少行為
(ア) 原告の行為は、前記三の2(一)の(1) から(4) までに記載したとおりである。
(イ) そのほか、原告は、本件保全執行当日の平成一〇年一二月一日、被告訴訟代理人に対し、「お宅はセゾングループだろう。今日の執行を取り止めなければ、堤に言ってやる。困ることになるぞ。」と申し向けた。
(ウ) 右の原告の行為は、違法なものであって、不法行為に該当する。
(二) 被告の損害
(1)  本訴に関する弁護士費用 一五一万五〇〇〇円
被告は、原告の本訴提起により、弁護士を依頼して応訴することを余儀なくされた。第二東京弁護士会の定める本訴請求の訴額に対する着手金の標準額は五〇万五〇〇〇円、成功報酬額は一〇一万円である。
(2)  本件保全執行に関する費用
(ア) 被告は、原告の引渡困難行為及び価格減少行為の予告により、本件保全処分申立て及び本件保全処分決定に基づく本件保全執行をせざるを得なかった。本件保全処分申立て及び本件保全執行の費用は、原告の不法行為により被告が被った損害である。
(イ) 被告は、本件保全執行の手続の諸費用及び右保全執行時において原告が受領を拒否した一部の動産の保管等について、次のとおりの出費を余儀なくされた。
〈1〉 立会費(三名)            一二万円
〈2〉 作業員(二〇名)           五六万円
〈3〉 トラック(四台)           一二万円
〈4〉 鍵や費用(解錠費・一か所)   二万五〇〇〇円
〈5〉 鍵や費用(鍵交換・二個)        二万円
〈6〉 保管代(コンテナ六基分)   六七万六二〇〇円
〈7〉 梱包資材(ダンボール一五〇枚) 三万七五〇〇円
〈8〉 梱包資材(洋服用ダンボール三〇枚)   三万円
〈9〉 布団袋・エヤーキャップ         二万円
〈10〉 諸経費                 五万円
〈11〉 閉鎖工事費用(資材)          二万円
合計            一六七万八七〇〇円
(三) 所有権不存在確認
(1)  被告は、平成一〇年一二月一日、本件保全執行時において原告が受領を拒否した一部の動産の保管を執行官から委託された。右動産は、東京都江東区内の関東急送株式会社東雲倉庫内にコンテナ六基で保管された。
(2)  執行官は、原告に対し、平成一一年一月一九日までに右遣留動産を引き取るように催告した。
(3)  原告は、平成一〇年一二月九日に右遺留動産コンテナ六基のうちの二基分を、平成一一年一月一六日に一基分をそれぞれ引き取った。
原告は、残り三基分の動産(別紙動産目録記載の動産。以下「本件動産」という。)については、所有権を放棄する旨述べ、その後は現在に至るまで引き取りに来ない。
(4)  被告は原告に対し、平成一一年七月一三日付け「ご連絡」で、原告が平成一一年一月一六日に残りの三基分の家財道具(本件動産)については所有権を放棄する旨述べたので、これらは近日中に被告側で処分する旨の通知をするとともに、コンテナの保管料金未払分を至急支払うよう催告した。
これに対し、原告訴訟代理人は平成一一年七月一五日に、電話で「荷物を一週間以内に引き取る。倉庫代は検討する。」と述べた。
(5)  被告訴訟代理人は、平成一一年七月二一日の第一回口頭弁論期日終了直後、原告訴訟代理人に対し、万一本件動産の所有権を放棄していないならその引取日を教えてほしい旨述べた。
原告訴訟代理人は、引取日を後で電話する旨約したが、その後現在まで何の連絡もない。
(6)  以上のように、被告は原告に対し本件動産を引き取るよう再三要請したが、原告は右のとおり本件動産を引き取る意思がない。
(7)  以上の経過にかんがみれば、原告は本件動産の所有権を放棄したものとみなされるべきであるところ、原告は「捨てられては困る。」と述べて右所有権の放棄を争っている。
(8)  関東急送株式会社は平成一一年八月に倒産したので、本件動産は、別紙動産目録記載の倉庫にコンテナ二基分として保管されている。
2  被告の主張に対する原告の認否、反論
(一) 被告の主張(一)、(二)は争う。原告の主張は、前記三の1に述べたとおりである。
(二) 被告の主張(三)について
(1)  被告の主張(三)の(1) のうち、原告が動産の一部の受領を許否した事実は否認するが、その他の事実は認める。原告は、動産の受領を許否したわけではなく、事実上受領することができなかったのである。
(2)  同(三)の(2) の事実は認める。
(3)  同(三)の(3) のうち、前段の事実は認めるが、後段の事実は否認する。
(4)  同(三)の(4) のうち、前段の事実は認めるが、後段の事実は否認する。原告訴訟代理人は、荷物の引取りについてどうするか本人に聞いてみると述べただけである。
(5)  同(三)の(5) のうち、原告訴訟代理人が被告訴訟代理人に連絡しなかったことは認めるが、その他の事実は否認する。
被告訴訟代理人は、「引き取ってほしい。引き取るのならその時期を教えてほしい。」と述べたのであり、原告訴訟代理人は「引き取ったらどうかと本人に話してみる。」と答えただけである。原告訴訟代理人は被告訴訟代理人の要望を原告に伝えたが、原告は本件で問題になっている損害の件があるため、去就を決しかねて時間が経過してしまったのである。
(6)  同(6) の事実は否認する。
(7)  同(7) のうち、原告が本件動産の所有権を放棄したことを争っていることは認めるが、その他は争う。
第三  当裁判所の判断
一  本訴について
1  前記「争いのない事実等」に証拠(甲七、九、一〇、一七、乙四から六、九、一〇、原告、証人中野、同青山)を併せると、次の事実を認めることができる。甲一七及び原告の供述中のこの認定に反する部分は、他の右各証拠に照らし採用することができない。
(一) 被告担当者の中野は、被告が本件居室の所有権を取得した後本件居室を訪れた。その際には小林桂真がインターフォン越しに応対した。小林桂真とは、物件明細書において、本件差押後に本件居室の占有を開始した模様であるとされていた人物であった。
(二) 現況調査において原告が主張していた本件居室の賃借権の内容は、賃貸借期間は五年、賃料は月額一三万円で全額一括前払、保証金は二二〇〇万円で契約時に全額支払済み、賃借人は賃借権を他に譲渡し又は賃貸物件の全部若しくは一部を転貸することができる、というものであった。執行裁判所は、原告の主張する賃借権を、債権回収目的のものと判断し、物件明細書に「内海憲志郎主張の賃借権は、債権回収を目的とするものと認められる。」と記載していた。
(三) 原告は、本件居室を買い受けたいと考え、千葉県四街道市の不動産会社社長の稲山玲子に依頼して、平成一〇年七月中旬ころ、稲山から被告に対し原告の右買取りの意向を伝えた。そして、稲山は、被告に対し売却価格を提示するよう要請した。
またその間、原告は、被告がセゾングループの会社である旨聞き及び、かねて取引を通じて知っていた株式会社セゾンファンデックスの青山照久に対し、本件居室の買受けの希望を持っていることを伝え、被告に対し原告の人物紹介をしてくれるよう依頼した。そこで、青山は、七月下旬ころ被告担当者の中野に電話し、さらに八月四日ころ、上司の針生部長とともに被告を訪ね、中野とその上司の高橋常務に会い、原告の意向を伝え、また原告の人物紹介をした。これに対し、被告側は、被告においては物件の賃借人とはそのような売却交渉はしないのが原則となっているなどと応答した。その場においては、青山ないし針生から原告の買受希望価格が提示されたり、被告側から売却価格が示されたりしたことはなかった。
(四) 被告担当者の中野は、前記のように稲山から売却価格の提示の要請を受けたので、社内の決裁を得て、同年八月六日ころ、稲山に対し売却価格は九〇〇〇万円である旨を連絡した。その際、同月一九日に直接原告側と会って結論を出すことになったが、中野はその電話で稲山に対し、当日は価格の交渉ではなく代金の決済方法について具体的に提示してほしい旨要請した。
(五) 八月一九日に被告担当者の中野と原告及び稲山とが被告事務所で面談し、交渉を行った。その席上で、原告は中野に対し「自由民主党総合政策調査会 常務理事・組織委員長内海憲志郎」と記載された名刺を交付し、被告が提示した価格に対し、被告の競落価格を引合いに出すなどして様々な不満を述べた。これに対し中野は、提示した価格は現在一般の顧客で交渉が進んでいる件の価格からリフォーム費用相当額を差し引いた価格であって、多少の金額ならば幹部に話してみるが、そうでなければ明け渡してもらう方向で考えてもらいたいなどと応答した。原告は、面談の中で、本件居室ならば六〇〇〇万円、八〇一号室ならば七〇〇〇万円で買いたいとの希望を述べたが、被告としては到底折り合える金額ではなく、中野は原告の右希望金額に対しては明確に拒否した。
明渡しの要請に対し、原告は、「敷金として二二〇〇万円を入れているのだ。それを面倒みてくれるのであればすぐに明け渡す。三〇万とか五〇万円では話にならない。徹底的にやる。」などと述べた。これに対し中野が、「敷金の話は賃貸人としてほしい。被告は引渡費用の実費の一部を援助するだけだ。」などと述べたのに対し、原告は「その金が返ってこないなら、裁判でも何でも好きにやったらいい。こちらは建物の価格を下げなければならない。建物を壊すしかないだろうが、専門家に聞いてみる。」などと述べた。
なお、原告が中野に交付した名刺には、裏面に、「総合政策調査会」の所在地、電話番号等、自由民主党本部の所在地及び電話番号に加え、自らの事務所として本件居室の住所、電話番号、ファックス番号が記載されていた。
(六) 被告訴訟代理人の大貫憲介弁護士が同年一〇月二九日に自由民主党本部に電話して、同党本部の榊原喜広総務部長に問い合わせたところ、「自由民主党には、自由民主党総合政策調査会なるものは存在せず、自民党には常務理事なる役職も存在しない。自民党がそのような屋号を名乗ることを許したこともない。」という応答であった。
(七) このようなことから、被告は保全処分の申立てをすることにし、前記「争いのない事実等」の5から7までに記載のとおり、本件保全処分の申立てをし、本件保全処分決定を得、保全執行を申し立て、執行官によって本件保全執行が実施された。
2  右1に認定した事実によれば、被告が本件保全処分申立てに際し主張した事実(前記「争いのない事実等」の5(一)の(1) から(3) まで)のうち、「争いのない事実等」の5(一)の(2) の主張事実(ただし、平成一〇年八月一九日に被告従業員が立退交渉に原告を訪れたという点を除く。)及び(3) の主張事実(ただし、原告が自民党に籍がないという点を除く。)は、いずれも事実であり、「争いのない事実等」の5(一)の(1) の主張事実は、それが事実と判断するのが相当なものであったと認めることができる。
右の事情によれば、原告が不動産の価格を減少させ又は引渡しを困難にする行為をするおそれがあると判断するのが相当であるから、被告による本件保全処分申立ては何ら違法なものではなかったというべきである。
なお、原告が当時自民党に籍がなかったかどうかは、本件証拠上判然としないが、仮にその点が事実でなかったとしても、右の判断に影響はないというべきである。また、前記1に認定したとおり、前記「争いのない事実等」の5(一)の(2) の原告の発言がされたのは、被告従業員が立退交渉に原告を訪れた際ではないが、そのような些細な点は、保全処分の必要性の判断を左右しない。
3  原告は、被告による本件保全処分申立てが違法であったとして、種々主張する(前記第二の三の1(一))ので以下検討する。
(一) 原告の主張(前記第二の三1。以下同じ。)(一)(1) (ア)について
前示のとおり、この点は、保全処分の必要性の判断を左右しない。
(二) 原告の主張(一)(1) (イ)について
前記1に認定したとおり、原告は中野との面談において二二〇〇万円の立退料の支払を要求したと認めることができる。よって、原告の右主張は理由がない。
(三) 原告の主張(一)(1) (ウ)について
この点についても、前記1に認定したとおり、中野との面談において原告は「争いのない事実等」の5(一)(2) のような発言をしたものと認められる。原告の右主張は理由がない。
(四) 原告の主張(一)(2) (ア)について
そもそも、原告の主張するような本件居室の利用態様が、保全処分の必要性の判断を左右するものではない。また、前記1に認定のとおり、原告自身本件居室を事務所として名刺に記載して中野に交付していたのであるから、被告が本件保全処分申立てにおいて原告が本件居室を事務所として使用していたと主張することは何ら不相当なものではない。原告の右主張は理由がない。
なお、本件保全処分申立てにおいては、八〇一号室関係の事実は触れられていないから、この点についての原告の主張は、それ自体理由がない。
(五) 原告の主張(一)(2) (イ)について
前記1の認定事実によれば、本件保全処分申立時において小林も本件居室を占有していると判断することは何ら不相当なものではないということができる。原告の右主張は理由がない。
なお、本件保全処分申立てにおいては、八〇一号室関係の事実は触れられていないから、この点についての原告の主張は、それ自体理由がない。
(六) 原告の主張(一)(2) (ウ)について
前記1に認定した事実によれば、本件居室について原告が主張する賃借権が債権回収目的のものと判断することは何ら不相当なものではない。原告の右主張は理由がない。
(七) 原告の主張(一)(3) (ア)、(イ)について
前記1の認定事実によれば、原告と被告との交渉は、平成一〇年八月一九日の直接の面談において不成立に終わったと評価するのが相当であるから、原告の主張する点に関し被告に違法な行為があったということはできない。
(八) 以上のとおりであって、原告の右各主張はいずれも理由がなく、被告による本件保全処分申立てが違法なものということはできない。
4  以上によれば、その他の点について検討するまでもなく、原告の本訴請求は理由がない。
二  反訴について
1  本件の本訴提起が違法であることを理由とする損害賠償請求について
前記一の1に認定した事実に証拠(甲一七、原告)を併せると、原告の本訴請求に係る権利又は法律関係はその根拠を欠くものであるものの、原告がそのことを知りながら又は通常人であれば容易にそのことを知り得たのに敢えて本訴を提起したとはいうことができないし、その他本件の本訴提起が裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くということもできない。
よって、この点に関する被告の反訴請求は理由がない。
2  違法な引渡困難行為、価格減少行為を理由とする損害賠償請求について
(一) 前記一に説示したとおり、原告主張の賃借権は債権回収目的の不正常なものであると判断されるものであり、また、前記第二の三2(一)の(2) から(4) までの事実はそのとおり認めることができる。
右の事実によれば、原告はその主張する賃借権が被告に対抗することができないものであることを知りながら、政治的な影響力があることを臭わせつつ、被告に対抗できず、かつ、不正常と判断される賃借権を盾に被告に対し義務のない多額の立退料を要求し、それに応じない場合には本件居室に対し物理的な損傷を加えることもあり得る旨告知したものであるから、原告の右行為は全体として違法なものというべきである。
(二) 被告は、この原告の違法な行為に対し、自己の権利を防衛すべく、本件保全処分申立てをし、本件保全処分決定を得、これに基づいて本件保全執行に及んだものであるから、この一連の手続に関し被告が負担した費用は原告の右不法行為と相当因果関係のある損害と認めるのが相当である。
証拠(乙六、七の1、2、八)によれば、右一連の手続の関係で少なくとも前記第二の四1(二)の(2) の費用合計一六七万八七〇〇円を要し、これを被告において負担している事実を認めることができる。
(三) そうすると、右の損害一六七万八七〇〇円とこれに対する不法行為後である反訴状送達の日の翌日である平成一一年七月八日以降の民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める被告の反訴請求は理由がある。
3  本件動産に係る所有権不存在確認請求について
(一) 前記第二の四1(三)(以下本(一)項では、「被告の主張」という。)の(1) について、証拠(乙一、六)によれば、原告は本件保全執行の当日一部の動産の受領を拒否したことが認められ、また、被告が当日右動産の保管を執行官から委託され、右動産を東京都江東区内の関東急送株式会社東雲倉庫内にコンテナ六基で保管したことは、当事者間に争いがない。
また、執行官が原告に対し平成一一年一月一九日までに右遺留動産を引き取るよう催告したこと(被告の主張(2) )、原告は平成一〇年一二月九日に右遺留動産コンテナ六基のうちの二基分を、平成一一年一月一六日に一基分をそれぞれ引き取ったこと(被告の主張(3) の前段)、被告が原告に対し、平成一一年七月一三日付け「ご連絡」で、原告が平成一一年一月一六日に残りの三基分の家財道具(本件動産)については所有権を放棄する旨述べたのでこれらは近日中に被告側で処分する旨通知するとともに、コンテナの保管料金未払分を至急支払うよう催告したこと(被告の主張(4) の前段)は、いずれも当事者間に争いがない。
さらに、弁論の全趣旨によれば、そのほかにも、被告訴訟代理人が原告訴訟代理人に対し本件動産の引取りを要請したが、原告はこれを現在まで引き取らず、現在も被告が保管料を負担して保管していることが認められる。
(二) 右(一)の事実によれば、現段階においては原告は本件動産を不要なものと判断しているものと推認することができる。
また、証拠(乙七の2、八)と弁論の全趣旨によれば、本件動産の保管については毎月合計六万六一五〇円を要し、これを被告が負担していること、原告は、平成一一年七月一三日付け書面(被告訴訟代理人から原告訴訟代理人宛の「ご連絡」)によって右の事実を告知され、これを認識していることが認められる。
そうすると、原告は、自らにとっては不要品である本件動産について、被告からの再三の引取催告にもかかわらず、また本来原告が負担しなければならない多額の保管料を被告が負担し続けていることを知りつつ、現在もこの状態を放置しているものであるから、原告のこの行為は権利濫用であるとの評価を免れず、現段階においては本件動産の所有権を被告に対し主張することはもはや信義則上許されないというべきである。
よって、本件動産の所有権が原告に帰属しないことの確認を求める被告の反訴請求は理由がある。
第四  結論
以上の次第で、原告の本訴請求を失当として棄却し、被告の反訴請求のうち、本件保全執行費用に関する損害賠償請求及び本件動産に関する所有権不存在確認請求をいずれも正当として認容し、その他の反訴請求を失当として棄却することとして、主文のとおり判決する。
(裁判官 岩田好二)

 

(別紙) 動産目録
埼玉県入間市南峯一〇二三番地二所在の大東運輸株式会社瑞穂営業所倉庫内の動産
収納コンテナ呼称 BIG TRUNK
収納コンテナ 番号・八六二七 封印番号・A三六五三八〇
番号・八五九〇 封印番号・A三六五三六六
コンテナサイズ(外寸) 間口二〇〇〇ミリメートル×奥行二〇五〇ミリメートル×高さ二二〇〇ミリメートル
収納内容積 七・五立方メートル
以上

 

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