判例リスト「完全成功報酬|完全成果報酬 営業代行会社」(261)平成22年 1月21日 東京地裁 平20(ワ)32078号 損害賠償請求事件
判例リスト「完全成功報酬|完全成果報酬 営業代行会社」(261)平成22年 1月21日 東京地裁 平20(ワ)32078号 損害賠償請求事件
裁判年月日 平成22年 1月21日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平20(ワ)32078号
事件名 損害賠償請求事件
裁判結果 請求棄却 文献番号 2010WLJPCA01218006
要旨
◆被告Y1が賃借店舗で営んでいた弁当店事業を原告に譲渡する旨の原告と被告Y1との間の事業譲渡契約に関し、原告が、被告Y1に対し、本件事業譲渡契約の履行不能解除を原因とする既払金の返還を求めた事案において、本件事業譲渡契約の内容として、被告Y1が、訴外B(店舗の賃貸人)から店舗の賃借権譲渡の承諾を取得すべき合意又は事業譲渡契約の性質上当然の義務を含んでいたと認めることはできないとして、被告Y1の義務違反を否定し請求を棄却した事例
◆原告が、被告Sに対し、本件事業譲渡契約の媒介を目的とする仲介契約の条件不成就を原因とする既払金の返還を求めた事案において、原告主張の解除条件の合意を認めることはできないとして請求を棄却した事例
◆本件事業譲渡契約の契約過程において、真実は訴外Bから賃借権譲渡等の承諾を得る見込みがないのに、被告Y1及び訴外C(被告Sの会長であった者)において、それぞれ訴外D(原告の父であり、本件事業譲渡契約締結に当っては原告から代理権の授与を受けており、原告代理人として行動していた者)に対し、被告Y1は訴外Bとは長年懇意であり、賃貸借契約の譲渡について当然承諾を得られる旨の虚偽の説明をした共同不法行為があるとして、被告らに対して、損害賠償請求をした事案において、詐欺行為の前提としての本件店舗の賃借権譲渡の承諾を得られる見込みはなかった事実を認めるに足りないとして請求を棄却した事実
参照条文
民法415条
民法709条
民法719条
裁判年月日 平成22年 1月21日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平20(ワ)32078号
事件名 損害賠償請求事件
裁判結果 請求棄却 文献番号 2010WLJPCA01218006
埼玉県熊谷市〈以下省略〉
原告 X
同訴訟代理人弁護士 加園多大
同訴訟復代理人弁護士 加山綾一
東京都渋谷区〈以下省略〉
被告 Y1
同訴訟代理人弁護士 佐野真
東京都千代田区〈以下省略〉
被告 株式会社ストライク
同代表者代表取締役 A
同訴訟代理人弁護士 大村健
同 由木竜太
主文
1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1 請求
1 被告Y1は,原告に対し,400万円及びこれに対する平成20年11月16日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
2 被告株式会社ストライクは,原告に対し,105万円及びこれに対する平成20年7月14日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
3 被告らは,原告に対し,連帯して688万7726円及びこれに対する被告Y1にあっては平成20年11月16日から,被告株式会社ストライクにあっては同月18日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
本件は,被告Y1(以下「被告Y1」という。)が賃借店舗で営んでいた弁当店事業(以下「本件事業」という。)を原告に譲渡する旨の原告と被告Y1間の事業譲渡契約(以下「本件事業譲渡契約」という。)に関し,原告が,
(1) 被告Y1に対し,本件事業譲渡契約の履行不能解除を原因とする既払金400万円の返還及びこれに対する訴状送達日の翌日である平成20年11月16日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求め(請求第1項),
(2) 被告株式会社ストライク(以下「被告ストライク」という。)に対し,本件事業譲渡契約の媒介を目的とする仲介契約の条件不成就を原因とする既払報酬金105万円の返還及びこれに対する平成20年7月14日(被告ストライクに対する請求日)から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求め(請求第2項),
(3) 被告らに対し,店舗の賃貸人訴外B(以下「訴外B」という。)から賃借権譲渡の承諾を得る見込みがないのに,被告Y1及び被告ストライク会長であった訴外C(以下「訴外C」という。)がそれぞれこれあるように装って本件事業譲渡契約を締結させた共同不法行為に基づく損害賠償金内金688万7726円及びこれに対する訴状送達日の各翌日(被告Y1は平成20年11月16日,被告ストライクは同月18日)から各支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の連帯支払をそれぞれ求め(請求第3項)
た事案である(なお,被告Y1は,本件事業譲渡契約の解除までに被告が立替負担した諸経費83万5837円,同被告及びその妻に対する未払賃料30万円及び原状回復費用67万8644円(合計181万4481円)を自働債権とする相殺の抗弁を主張している。)。
1 争いのない事実及び証拠上容易に認定できる前提事実(括弧内は,当該事実を認定した証拠等である。)
(1) 当事者等
ア(ア)原告は,訴外D(以下「訴外D」という。)の子であり,牛肉等の販売を業とする訴外コスモフーズ株式会社(以下「コスモフーズ」という。)の従業員である。
(イ)訴外Dは,コスモフーズの代表取締役であった者であり,本件事業譲渡契約締結に当たっては,原告から代理権の授与を受け,原告代理人として行動していた(甲9,証人D,弁論の全趣旨)。
イ 被告Y1は,東京都渋谷区〈以下省略〉所在の店舗(以下「本件店舗」という。)を訴外Bから賃借して「弁当店つかさ」の屋号で本件事業を営んでいた者である(乙2,弁論の全趣旨)。
ウ 被告ストライクは,企業の営業譲渡及び営業用資産の売買並びにそれらの仲介等を目的とする株式会社であり,中堅,中小企業のいわゆるM&Aに特化した業務を行い,過去にはコスモフーズとの間でM&A仲介契約(丙4)を締結したこともある。訴外Cは,当時被告ストライク会長の地位にあった者であるが,被告ストライクの取締役ではない(以上,丙3,弁論の全趣旨)。
(2) 本件事業譲渡契約の締結等
ア 訴外Dと被告Y1は,平成19年11月13日,被告ストライクの仲介で,本件店舗内の一切の設備,本件店舗の営業権及び賃借権(保証金100万円の返還請求権を含む。)及び事業の全部を代金700万円で譲渡することを内容とする本件事業譲渡契約を締結した。成立に争いがない事業譲渡契約書(甲1)には,概要次のような記載がある。
(ア) 本件事業譲渡契約締結と同時に手付金200万円を被告Y1に支払い,本件店舗引渡日の前日に残金500万円を支払う(第2条第1項)。
(イ) 本件店舗の引渡日は平成19年11月末日を目途として両者協議の上決定する(同条第2項)。
(ウ) 原告は,店舗引渡日までの間に,訴外Bと新たな賃貸借契約を締結する(第3条第1項前段)。
(エ) (ウ)の賃貸借契約の締結に至らない場合には本件事業譲渡契約は当然に失効するものとし,手付金は直ちに被告Y1から原告に返還する(同条第2項)。
(オ) 本件店舗の営業に関して生じた一切の債務は,その名義のいかんにかかわらず,引渡しの前日までに発生した分は被告Y1の負担とし,引渡日以降に発生した分は原告の負担とする(第5条)。
イ 原告は,被告Y1に対し,本件事業譲渡契約に基づき,同月15日,手付金200万円を支払った。
(3) 本件仲介契約の締結等
訴外Dと被告ストライクは,本件事業譲渡契約成立に先立ち,同契約締結の媒介を目的とするM&A仲介契約(成功報酬105万円。以下「本件仲介契約」という。)を締結した。
(4) 本件事業譲渡契約成立後の経過
ア 原告は,同年12月1日に,本件事業譲渡契約に基づき本件店舗の引渡しを受け,従来と同じ屋号で営業を開始した。同日時点で,原告と訴外Bとの間で新たな賃貸借契約は締結しておらず,本件店舗を目的とする賃貸借契約の譲渡につき訴外Bの承諾を受けていなかったが,訴外Dはこれらの事情を知っていた(後段につき,甲9,乙29,証人D)。
イ 原告は,被告ストライクに対し,同月3日,本件仲介契約の成功報酬として105万円を支払った。
ウ 原告は,被告Y1に対し,同月10日,本件事業譲渡契約内金として200万円を支払った。
エ 本件事業は,次第に訴外Dが実権を握るコスモフーズの意向に沿った営業形態に移行していったが,本件店舗に関する訴外Bとの交渉はまとまらずにいたところ,平成20年4月21日付内容証明郵便(甲6)により,訴外Bの代理人弁護士から,コスモフーズが本件店舗を無断転借している旨指摘されて,本件建物からの退去を求められた(甲6,甲9,証人D,弁論の全趣旨)。
オ 原告は,同年6月14日到達の内容証明郵便(甲7の1)により,被告Y1に対し,新たな賃貸借契約の締結が不能になった本件事業譲渡契約の履行不能を理由として,本件事業譲渡契約を解除する旨の意思表示をした。
カ 原告は,同年7月14日到達の内容証明郵便(甲8)により,被告ストライクに対し,本件事業譲渡契約が解除されたことを理由に既払報酬金105万円の返還を請求した。
2 争点
(1) 本件事業譲渡契約の内容として,(原告ではなく)被告Y1が,訴外Bから本件店舗の賃借権譲渡の承諾を取得すべき合意又は本件事業譲渡契約の性質上当然の義務を含んでいたかどうか。
(2) 本件仲介契約において,原告が訴外Bから本件店舗の賃借権譲渡の承諾を得られなかったことを解除条件とする旨の合意があったかどうか。
(3) 本件事業譲渡契約の締結過程において,真実は訴外Bから賃借権譲渡等の承諾を得る見込みがないのに,被告Y1及び訴外Cにおいて,それぞれ訴外Dに対し,被告Y1は訴外Bとは長年懇意であり,賃貸借契約の譲渡について当然承諾を得られる旨の虚偽の説明をした共同不法行為があったかどうか。
(4) 損害
第3 争点に対する判断
1 争点(1)について
事業譲渡契約書(甲1)には,原告主張に係る被告Y1の契約上の義務を定める文言はなく,証人Dの証言によれば,甲1以外に本件事業譲渡契約に関する覚書その他契約内容を証する書面は存在しないことが認められるから,原告代理人として本件事業譲渡契約を締結した訴外Dの原告主張に沿う供述(甲9,証人D)の評価が問題となる。
訴外Dは,その陳述書(甲9)において,①本件事業譲渡契約締結に先立ち,訴外Cから,家主である訴外Bとの関係では契約締結後に訴外Bの承諾を得る予定であり,被告Y1は訴外Bと長年の付合いでありいつでも家主の承諾を受けられる見込みであるが,賃借権譲渡は区切りの良い平成20年2月か3月にしたいと言っているなどとコスモフーズ従業員E(以下「訴外E」という。)から報告を受け,訴外C自身からも,一貫して訴外Bからの賃貸借契約の承諾は問題なく受けられると聞いていた旨,②平成19年11月13日に京王プラザホテル内所在の「樹林」で訴外D,訴外C及び被告Y1が面談し,事業譲渡契約書(甲1)に調印した際に,被告Y1から,それまでに訴外Cから受けていたのと同様に,訴外Bの承諾は問題なく取れ,区切りのよい(平成20年)2月か3月に被告Y1が承諾を取りたいなどと説明を受けた旨供述する。
そこで検討する。
(1) 本交渉における最重要事項は,本件店舗の賃借権譲渡について訴外Bの承諾を受けることができるかどうか,その承諾を受ける責任の所在をどうするかであることは明らかであり,訴外D自身も,訴外Bの承諾等がとれなければ息子である原告が営業を継続することができず本件事業譲渡契約は全く意味のないものになるなどと述べている。ところで,甲9の体裁をみると,「家主の承諾をとる」とか,本件事業譲渡契約締結後に「Y1氏が」承諾をとる旨の重要な点が括弧に囲まれた形で記載されているところ,訴外Dが証人として口頭弁論期日において証言した際には,括弧内の発言内容のうち訴外Eから報告を受けたとされる部分については訴外Dが直接聞いておらず,訴外Eの報告内容を基礎に訴外Dが推測して理解した趣旨で括弧書で記載したものであり,訴外Cから直接話を聞いたとされる部分についても,陳述書に記載されているような具体的な話を訴外Cがしたわけではなく,事業譲渡をする以上当然そのようなものであると考えており,訴外Dから訴外Cに具体的に質すこともなかった旨それぞれ述べているのであり,訴外Dの供述内容自体が,重要な点において極めて曖昧なものにとどまってしまっている。また,訴外Eから報告を受けたとされる供述部分も,具体的な裏付けを欠くものとなってしまっている。
(2) そして,本件事業譲渡契約の締結過程をみても,証拠(甲1,甲9,丙1,丙3,証人D)によれば,①被告ストライクが被告Y1から本件事業譲渡案件の相談を受けたのは平成19年6月5日であること,②訴外D,訴外Cのどちらが主導したかは争いがあるものの,いずれにせよ,コスモフーズ経理課長を勤めていた訴外Eと訴外Cが中心に本件事業譲渡に関する具体的な交渉が進められ,その経過は訴外Eから訴外Dに伝えられており,本件店舗が賃借物件であることは訴外Dも承知していたこと,③同年11月初めころ,訴外Dは日吉駅で訴外Cと直接面談したが,その場で賃借権譲渡の承諾に関わる具体的な話は出ていなかったこと,④本件事業譲渡契約締結の数日前に,訴外Dは訴外Cをコスモフーズに呼び,その場で訴外Cが持参した事業譲渡契約書(甲1の譲受人欄が空欄となっているもの)に訴外Dが自ら原告名義の署名押印をした上,200万円を訴外Cに預けていたこと,⑤同月13日に「樹林」で訴外Cを交えて被告Y1と初めて面談し,その場で本件事業譲渡契約を締結した際,譲渡対象となる目的物件の範囲を確認し,賃借権譲渡の実行は翌年(平成20年)の2月か3月を見込んでいる旨の話題は出たものの,賃借権譲渡の承諾に関する具体的な会話があったかどうかは訴外D自身も明確に覚えていないと証言していること,⑥このような経緯で取り交わされた事業譲渡契約書(甲1)には,本件店舗の引渡日は平成19年11月末日を目途として両者協議の上決定する(第2条第2項),原告は,その引渡日までに訴外Bと新たな賃貸借契約を締結することとし(第3条第1項),同賃貸借契約の締結に至らない場合には本件事業譲渡契約は当然に失効するものとし,手付金(200万円)は直ちに被告Y1から原告に返還されるものとすること(同条第2項)が約定されていたこと,⑦同年11月末日の経過時までに訴外Bの承諾を得られていないことを承知の上で,同年12月1日に本件店舗の引渡しを受けて原告(ないし訴外D)において本件事業を承継し,被告Y1には残代金の一部を支払い,被告ストライクには約定報酬金を支払ったこと,以上の各事実が認められるのであるが,このような一連の経緯があり,訴外D自身も深く関与しているにもかかわらず,事業譲渡契約書(甲1)の文言が原告主張と整合していないことは,訴外Dの供述を評価する上で不利益にしん酌せざるを得ない。
以上の諸事情を総合すると,訴外Dが独自の情報収集により主観的にそのような理解をした余地はあるにしても,専ら訴外Dの供述に依拠して,被告Y1が訴外Bから本件店舗の賃借権譲渡の承諾を取得する旨の合意が本件事業譲渡契約に含まれていたとは認めるに足りず,その他本件全証拠によっても同合意があったと認めるに足りる証拠はない。そして,本件事業譲渡契約の態様それ自体から被告Y1において賃借権譲渡の承諾を得るべき義務の存在を推認することもまた困難であるといわざるを得ない。
2 争点(2)について
争点(1)で訴外Dの供述について指摘した諸点を考慮すると,専ら訴外Dの供述に依拠して原告主張に係る解除条件の合意を認めるに足りず,他に原告主張に係る解除条件の合意を認めるに足りる証拠はない。
3 争点(3)について
原告は,結果的に本件事業譲渡契約に伴う本件店舗の賃借権の譲渡につき訴外Bの承諾を得られなかったばかりか,訴外Bから本件店舗の明渡しを求められるに至ってしまったことや,事業承継後の本件店舗の従業員が,近隣の商店主から,過去に被告Y1が訴外Bから賃借権譲渡の承諾を取れなかったことがあると聞いた旨をコスモフーズ従業員を通じて訴外Dに報告されたことなどに依拠して,そもそも本件事業譲渡契約の前提となる本件店舗の賃借権譲渡の承諾を得られる見込みはなかった旨主張する。
しかしながら,原告指摘の諸点のみから本件店舗の賃借権譲渡の承諾を得られる見込みはなかった旨断じることができるかは疑問の余地がある上,証拠(乙1から3まで)及び弁論の全趣旨によれば,被告Y1は,本件事業譲渡契約締結の約半年前である平成19年5月2日に,本件店舗の賃借権を訴外F(以下「訴外F」という。)に譲渡し,その際には,訴外Bが賃貸物件の管理をさせている遠州商事ことGに訴外Fが火災保険契約締結の取次ぎを依頼する段階にまで至っていたが,訴外Fがその後間もなく事業撤退したことから,同月22日には訴外Bと本件店舗の賃貸借契約を改めて締結していることが認められるのであるから,訴外Bは,被告Y1が訴外Fに本件店舗の賃借権を譲渡することにつき承諾していたことを推認することができ,他に同推認を覆すに足りる証拠はない。そして,本件事業譲渡契約締結直後から,被告Y1を窓口に訴外B関係者に根回しを続けていたが,訴外Bが高齢であることなどから時間を要していたものの,賃借権を譲渡すること自体が交渉において問題視されていたわけではなく,原告が本件事業から撤退した後も被告Y1が引き続き本件店舗で営業を再開できていることが窺われるのであって,これら諸点を総合すると,本件全証拠によっても,詐欺行為の前提ととしての本件店舗の賃借権譲渡の承諾を得られる見込みはなかった事実を認めるに足りないから,同事実を前提とする被告Y1ないし訴外Cの詐欺行為の主張は理由がない。
4 まとめ
以上のとおり,原告主張に係る本件事業譲渡契約に基づく被告Y1の義務及び本件仲介契約における解除条件の合意はいずれも認められず,本件事業譲渡契約の締結過程をみても,訴外Dに対する被告Y1又は訴外Cの詐欺行為があったとはいずれも認められない。原告は,被告らの共同不法行為により①本件事業譲渡契約に基づき被告Y1に支払った手付金200万円及び譲渡代金内金200万円,②本件仲介契約に基づき被告ストライクに支払った報酬金105万円,③平成20年1月から平成20年7月までの間にコック(のべ2名)に支払った人件費等合計338万7726円,④原告が訴外Dに支払う旨合意した平成19年12月から平成20年6月までのコンサルタント料合計350万円の各損害を被った旨主張するけれども,これらの主張及び相殺の抗弁に係る被告Y1の主張について判断を加えるまでもなく,原告の主張はいずれも理由がないことに帰する。
第4 結論
よって,原告の被告らに対する各請求はいずれも理由がない。
(裁判官 髙原知明)
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