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「成果報酬 営業」に関する裁判例(64)平成23年 3月11日 東京地裁 平22(ワ)9467号 業務委託料請求事件

「成果報酬 営業」に関する裁判例(64)平成23年 3月11日 東京地裁 平22(ワ)9467号 業務委託料請求事件

裁判年月日  平成23年 3月11日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平22(ワ)9467号
事件名  業務委託料請求事件
裁判結果  請求認容  文献番号  2011WLJPCA03118010

要旨
◆原告が、被告に対し、建築設計・監理業務委託契約に基づき、約定の報酬金の70%から既払金等を控除した残金282万3750円及びこれに対する遅延損害金の支払を求め、被告が、条件不成就、相殺等を主張して争っている事案において、「確認申請許可取得時」とは、その形式的文言にかかわらず、確認済証の取得に通常必要な相当期間経過後まで弁済期を猶予するとの不確定期限を定めた趣旨と解することが相当とし、期限到来を認めたうえで、被告の相殺の抗弁を排斥し、請求を全部認容した事例

参照条文
民法130条
民法135条

裁判年月日  平成23年 3月11日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平22(ワ)9467号
事件名  業務委託料請求事件
裁判結果  請求認容  文献番号  2011WLJPCA03118010

東京都港区〈以下省略〉
原告 株式会社ZAI
同代表者代表取締役 A
同訴訟代理人弁護士 井垣弘
同 松本創
東京都港区〈以下省略〉
被告 Y

 

 

主文

1  被告は,原告に対し,282万3750円及びこれに対する平成22年3月27日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
2  訴訟費用は被告の負担とする。
3  この判決は,仮に執行することができる。

 

事実及び理由

第1  請求
主文1項と同旨
第2  事案の概要
1  事案の要旨
本件は,原告が,被告に対し,建築設計・監理業務委託契約に基づき,約定報酬金の70%から既払金等を控除した残金282万3750円及びこれに対する訴状送達日の翌日(平成22年3月27日)から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求め,被告が,条件不成就,相殺等を主張して争っている事案である。
2  前提事実(認定事実は末尾に証拠を示す。)
(1)  原告は,都市計画及び建築の企画,設計及び監理等を目的とする株式会社であり,平成14年8月5日に有限会社在アソシエイツの組織変更により株式会社ザイとして設立され,さらに平成21年9月24日に現商号に商号変更した(乙2。以下,組織変更の前後を通じ単に「原告」という。)。
被告は,Planning Office Roadを屋号として,都市計画及び建築に関する営業,コンサルティング等を業とする個人である。
(2)  被告は,原告に対し,平成18年3月10日,さいたま市内のB邸新築工事の計画・設計・監理業務(以下「本件業務」という。)を次の約定で委託した(甲1。以下「本件委託契約」という。)。
ア 報酬 525万5000円(消費税込み)
イ 予定工期 平成18年3月10日から平成19年6月末日まで
ウ 支払条件 確認申請許可取得時 70%
完了時 30%
(3)  原告は,被告に対し,平成20年1月4日ころ,本件業務のうち計画・設計業務は完了済みとして,(2)アの報酬の70%に相当する367万5000円を請求した(甲2,乙4)。
(4)  被告は,原告に対し,平成21年9月30日ころ,本件委託契約に基づく報酬債務と水戸市短期入所施設建築設計・監理業務(以下「水戸案件」」という。)の紹介料55万1250円の報酬債権その他の債権を清算したい旨申し入れ,報酬金残金として30万円を支払った(乙1)。
(5)  原告は,被告に対し,本訴提起にあたり,(3)の報酬債権から(4)の30万円の一部弁済及び水戸案件紹介料55万1250円との相殺を認めた上で残金282万3750円及びこれに対する遅延損害金の支払を請求している。
3  争点
(1)  本件業務報酬の弁済に関する「確認申請許可取得時」の趣旨
(2)  「確認申請許可取得時」につき期限到来又は条件成就の成否
(3)  被告の給与・報酬債権の成否
(4)  被告の給与・報酬債権の時効消滅の成否
4  争点に関する当事者の主張
(1)  本件業務報酬の弁済に関する「確認申請許可取得時」との記載は条件か期限のいずれの趣旨か。
ア 被告の主張
本件委託契約には報酬70%の支払条件として「確認申請許可取得時」とあるところ,許可は下りていない。
イ 原告の認否
被告の主張のうち,確認申請の取下げにより確認済証が取得できなかったことは認め,その余は否認し,争う。
業界慣行及び注文主と原告との契約内容に照らせば「確認申請許可取得時」との記載は「確認申請時」又は「確認申請から相当期間経過後」との弁済期の猶予を定めた規定にすぎない。
(2)  「確認申請許可取得時」の期限到来又は条件成就はあったか。
ア 原告の主張
「確認申請許可取得時」を期限と解すれば,確認申請から相当期間経過後に支払うとの期限は到来している。
仮に「確認申請許可取得時」が条件と解されるとしても,注文主であるB(以下「B」という。)が被告との業務委託契約を解除して確認申請を取り下げた原因は被告にあるから,民法130条類推により,条件は成就したとみなされる。
イ 被告の認否
原告の主張は否認し,争う。
Bが被告との業務委託契約を解除して確認申請を取り下げた原因は,原告のスケジュール遅延にあり,許可取得の条件は成就していない。
(3)  (相殺の抗弁につき)被告の給与・報酬債権の成否
ア 被告の主張
(ア) 被告は,少なくとも平成11年ころから平成20年ころまで原告に従業員兼取締役として在籍していたから,毎月50万円の割合による給与債権又は役員報酬債権を有する。
(イ) 被告は,原告に対し,水戸案件以外に次の各業務の紹介又は受注活動につき報酬債権を有する。
a 品川区aマンション設計監理業務(以下「a案件」という。)紹介料 設計監理業務報酬額×10%
被告は,城南信用金庫から入手した情報に基づき原告のために営業活動をし,原告はこれによりa案件を受注した。
b bワールド 交通・環境調査造成計画検討出向業務(以下「b案件」という。)報酬 出向業務受託総金額×5%
c 東京ビジネスサービス株式会社(以下「東京ビジネス」という。)発注内装改修業務(北区西ヶ原C邸改修工事業務。以下「c案件」という。)紹介料 受注金額×3%
d dマンション設計監理業務(以下「d案件」という。)紹介料 設計監理業務報酬額×10%
被告は,原告の営業活動として,施主に対して設計監理業務の計画案・見積もりを提示し,これにより原告はd案件を受注した。
e 株式会社東邦・D社長代々木有効利用計画設計監理業務(以下「e案件」という。)紹介料 設計監理業務報酬額×10%
e案件は,d案件の継続として原告が受注した業務であり,d案件受注による成果である。
(ウ) 被告は,原告に対し,平成22年5月20日の第2回弁論準備手続期日において,本訴請求債権と(3)ア(ア)及び同(イ)の各債権とを対当額で相殺するとの意思表示をした。
イ 原告の認否
(ア) 被告の主張(3)ア(ア)は否認し,争う。
原告は,平成11年ころ非常勤営業社員となった被告に対し,平成14年4月までは給与を支払ってきたが,同年5月ころ,物件毎に設計監理業務報酬の10%相当の成果給を支払うとの合意に切り替えた。同年6月から平成16年9月までは被告の勤務実態がなかった。被告の成果給として認められるのは水戸案件紹介料のみである。
原告が被告を取締役として登記したのは,被告の営業上の便宜のためにすぎない。原告の役員の報酬は株主総会決議により定めるところ,被告の役員報酬に関する決議はない。
(イ) 被告の主張(3)ア(イ)aないし同eはいずれも否認し,争う。
a a案件について
被告が入手した情報に基づき,株式会社21テクノ(以下「21テクノ」という。)が地主に対して平成13年4月に設計案を提案した際,原告が関与したことはあったが,土壌汚染の問題等から受注に至らなかった。その後,平成16年に株式会社ユニホー(以下「ユニホー」という。)が地主に新たな計画案を提案し,原告は,ユニホー経由で遅くとも同年11月16日までに設計監理業務を受注し,平成17年12月に建物の完成・引渡しがあったもので,被告の営業活動に基づいて受注したわけではない。
b b案件について
b案件は,原告が被告に対して給与を支給していた平成12年ころの業務であり,給与以外の報酬の支払義務はない。
c c案件について
原告は,平成14年5月13日,東京ビジネスサービス株式会社が受注した内装改修業務等のc案件につき,工事監理等を受注したが,被告に給与を支払済みである。
d d案件について
原告は,平成12年,被告の紹介により工藤建設株式会社(以下「工藤建設」という。)の営業案件に協力する趣旨で設計案を提案したが,工藤建設は原告案を採用せず,施主に対して他社の設計案を提案した。施主は,その後,工藤建設に対する発注をやめ,原告に対して平成13年6月1日に直接発注したのであり,原告の受注は被告の営業活動に基づくものではない。仮に原告の受注が被告の営業活動に基づくとしても,既に給与として支払済みである。
e e案件について
被告主張のe案件はなく,原告が受注した豊島区雑司ヶ谷の案件と混同したものと思われるが,d案件を発注したD社長の妻の依頼で平成16年1月28日に原告が受注したもので,被告の特段の営業活動によるものではない。
(ウ) 被告の主張(3)ア(ウ)は争う。
(4)  被告の給与・成果報酬債権の時効消滅の成否
ア 原告の主張
(ア) 原告の成果給以外の給与債権は,平成14年5月以前に発生したものであり,2年の消滅時効が経過している。
(イ) 原告の給与(成果報酬)債権についても,次のとおり,それぞれ受注日から2年の消滅時効が経過している。
a 原告は,a案件を遅くとも平成16年11月16日に受注した。
b 原告は,c案件を平成14年5月13日に受注した。
c 原告は,d案件を平成13年6月1日に受注した。
(ウ) 被告は,原告に対し,平成22年6月17日の第3回弁論準備手続期日において,上記(ア)及び(イ)の各債権の消滅時効を援用するとの意思表示をした。
イ 被告の認否
原告の主張(ア)ないし(ウ)は否認し,争う。
第3  争点に対する判断
1  事実経過
争点に対する判断の前提として,前記前提事実に証拠(後記のもののほか,甲17,乙16,原告代表者,被告本人)及び弁論の全趣旨を総合すると,次の事実経過が認められる。
(1)  被告は,少なくとも平成11年5月ころから平成17年5月20日まで,原告の取締役として登記され,少なくとも平成14年ころまでは原告の営業活動等にも従事する一方,独自にコンサルタント業等の会社を経営し,収入も得ていた(乙2,3,9,10)。
原告は,平成14年に株式会社へ組織変更したが,その定款上,取締役の報酬等は株主総会の決議によって定めることとされていた(乙3,甲12)。
(2)  原告は,被告の預金口座に対し,平成13年1月に100万円,同年2月から3月まで3回にわたり約77万円ずつ,同年5月に40万円,同年6月に約134万円,同年7月から平成14年4月まで毎月20万円ずつを振込送金した(甲10,乙4)。
(3)  原告は,平成13年3月ころ,(仮称)北品川プロジェクトの計画概要書を作成し,同年4月ころには,21テクノと連名で同プロジェクトの分棟案を作成した(乙13,甲13)。
(4)  被告は,平成13年3月ころ,d案件につき,原告名義の施主あて見積書の作成等に関与した(乙14,15)。
(5)  東京ビジネスは,平成14年5月13日,原告に対し,北区西ヶ原C邸改修工事業務を報酬総額735万円で委託した(甲15。c案件)。
(6)  Dほか1名は,原告との間で,平成16年1月28日,東京都豊島区の(仮称)雑司が谷プロジェクト新築工事の設計,事前協議・申請,工事監理業務を報酬総額530万円(税別)で委託し,契約時に190万円,設計完了時に190万円,引渡時に150万円を支払うとの建築士業務委託契約を締結した(甲16。以下「f案件」という。)。
(7)  被告は,原告との間で,平成16年10月15日,茨城県新治村の(仮称)武蔵野種苗園研究農場茨城センター新築工事の設計,事前協議・申請,工事監理業務を報酬総額1400万円(税別)で委託し,契約時に200万円,設計完了時に735万円,引渡時に465万円を支払うとの建築士業務委託契約を締結した(乙11。以下「新治案件」という。)。
(8)  ユニホーは,原告との間で,平成16年11月16日,東京都品川区の(仮称)ユニーブル御殿山南Ⅱ新築工事の設計,申請,住宅性能評価申請補助,工事監理等の業務を報酬総額1365万円(税込み)で委託し,報酬契約時から竣工1か月後まで5段階分割で支払うとの建築士業務委託契約を締結した(甲14。a案件)。
(9)  原告は,平成18年3月10日ころ,(仮称)さいたま市B邸(木造2階建)新築工事の設計・申請・工事監理等業務(本件業務)の見積書を作成し,宛名を空欄とした上で被告に交付した。被告は,原告に対し,同日ころ,本件業務の「工事金額」を525万円(税込み),予定工期を同日から平成19年6月末日,「支払条件」を「確認申請許可取得時」に70%,「完了時」に30%とする委託書を交付した(甲1。以下「本件委託書」という。)。委託当初は,平成18年6月に建築確認申請及び確認済証取得,同年7月に工事着工とのスケジュールを予定していた(乙6)。
(10)  有限会社川田は,原告との間で,平成18年8月25日,水戸市島田町短期入所施設新築工事の設計・申請・監理等業務を報酬総額551万2500円(税別)で委託し,契約時に150万円,設計完了時に300万円,竣工引渡時に101万2500円を支払うとの建築士業務委託契約を締結した(甲11。水戸案件)。
(11)  原告は,本件業務に関し,Bの委任を受け,平成18年10月24日,木造2階建て住宅を前提とした①建築基準法6条所定の建築主事あて建築物確認申請書,②同法15条所定の知事あて建築工事届及び③都市計画法53条1項所定の市長あて許可申請書をそれぞれ提出した(甲3の1ないし3の3,4の1,4の2)。
(12)  原告は,平成18年11月ころ,Bの家族の一部の意向を踏まえ,Bに対し,当初予定していた木造住宅から木造一部RC構造への構造変更を提案するとともに,同年12月に構造変更後の確認申請,平成19年1月中に確認取得及び工事着工,同年8月に竣工とのスケジュールを説明し,最終的にBの了承を得た(甲9)。その後,原告は,確認取得促進のため,従業員の中から専任担当を指名するなどした。
(13)  原告は,本件業務に関し,平成18年12月下旬ころ,構造を木造一部RC構造に変更した意匠図,構造図,設備図を作成し,株式会社田中工務店(以下「田中工務店」という。)にも交付した(甲7)。田中工務店は,原告に対し,平成19年1月12日及び同月19日の2回にわたり,図面に基づき個別箇所の仕様,形状等の不明事項につき詳細な質問書を送付し,原告から回答を得た(甲8)。
(14)  原告は,平成19年1月16日ころ,確認審査担当者から構造変更後の建築確認申請につき従前の木造確認申請の取下げなど修正箇所の指摘を受け,Bに対して関係書類への押印を求めた(甲9)。しかし,Bは,同月28日ころ,娘夫婦を通じ,原告に対し,Bと被告との間の業務委託解除の意向を伝え,その後,確認申請も取り下げた。
(15)  原告は,被告に対し,平成20年1月4日ころ,本件業務に関し,「設計完了時」分として367万5000円(税込み)の支払を請求した(甲2)。
(15)  被告は,原告に対し,平成21年9月30日ころ,本件業務の精算額を200万円とした上で,水戸案件紹介料55万1250円及びa案件・d案件・c案件の紹介料各40万円ずつを勘案して30万円を振り込むとの意見を記載した書面(乙1)を送付し,その後30万円を支払った。
(16)  原告は,被告に対し,平成21年10月8日,被告からのメールに対する返信として,新治案件以前は清算済みであり,本件業務報酬については時効完成前に清算に対する回答を得られない場合は法的処理をとらざるを得ない旨メールした(乙17)。
2  争点(1)(「確認申請許可取得時」の趣旨)について
以上の事実を前提として検討するに,確かに,本件委託契約上の「確認申請許可取得時」との文言だけをみれば,確認申請及び何らかの許可の取得を停止条件として支払うとの趣旨と解されないわけではない。
しかし,①本件委託書の文言自体,被告がその名義で作成したもので,原告の押印もなく,建築計画・設計・監理業務報酬を「工事金額」とするなど正確さを欠く表現が他にもある上,「許可」との文言も建築基準法上確認申請に対しては確認済証が交付されるのみであることに鑑みても,必ずしもその趣旨は明確ではない。そして,②原告は,通常,建築設計・監理業務の委託者に対し,建築設計・監理業務委託契約約款に基づく建築士業務委託契約書を提示し,他の特別業務が加わるなど特段の事情がない限り,契約時に相当額の着手金,設計完了時に設計料の残額,竣工引渡時に監理料を支払うとの合意をしてきたと認められるところ(甲11,16,乙11),③原告の営業を担当していた被告もかかる慣行を理解していたと推認されること,④被告から本件委託書の提示を受けた原告代表者は,「確認申請許可取得時」につき,通常は確認申請後数週間で確認済証が交付されるところ,被告の資金繰りに配慮してそれまで弁済を猶予するとの趣旨で理解した旨供述していること(原告代表者),⑤被告本人も,原告の認識と大きな違いはなく,確認済証が交付されない事態を想定して作成した文言ではない旨供述していること(被告本人)などを総合考慮すれば,本件委託契約上報酬の70%の「支払条件」とされる「確認申請許可取得時」とは,その形式的文言にかかわらず,確認申請後確認済証の取得に通常必要な相当期間経過後まで弁済期を猶予するとの不確定期限を定めた趣旨と解することが相当である。
3  争点(2)(本訴請求債権の期限到来又は条件成就の成否)について
そして,前記事実経過によれば,原告は,当初計画よりは遅れたとはいえ,遅くとも平成19年12月中に構造変更後の確認申請を終え,平成20年1月16日ころには審査担当者から構造変更等に伴う必要な補正の指示を受け,その補正がされれば確認済証の交付が見込まれる状態になっていたと推認されるところ,確認済証の交付が得られなかったのは,建物の注文主であるBが補正に協力せず,被告との業務委託契約を解除して確認申請を取り下げたためにすぎないから,遅くとも同年2月末までには確認申請後確認済証の取得に通常必要な相当期間は経過したものと認められる。
この点,被告は,Bが確認申請を取り下げた原因は,原告の提案した構造変更に伴う工期の遅れによる旨主張する。しかし,原告は被告に対する不信感が原因であるとして否認する上,前記事実経過のとおり,構造変更はBの家族の一員の意向を踏まえたものであり,Bとしても一度構造変更及びこれに伴う工期の延長は了承したと認められること,原告も確認促進のための専任担当を配置するなどしていたことなどに照らし,被告主張の事実をもって弁済期の到来を妨げる理由になるとは解されない。
したがって,本訴請求債権の弁済期経過に関する原告の主張は理由がある。
4  争点(3)(被告の給与・報酬債権の成否)について
ア  給与債権又は役員報酬債権について
被告は,平成14年5月以降,固定の給与又は役員報酬債権があると主張する。しかし,①原告は,同月以降は成果給に切り替える旨被告と合意したとして固定給を否認している上,②原告の定款上,役員報酬の要件とされる株主総会決議があったと認めるに足りる証拠がないこと,③被告は独自に会社を経営して収入も得ており,原告における勤務実態が非常勤の営業担当であったことに照らしても,本件全証拠によるも,被告の主張を認めるに足りない。
イ  業務報酬について
(ア) b案件について
平成12年ころのb案件につき,被告が同出向業務に従事したことは当事者間に争いがない。しかし,原告は,その対価は給与として支払済みである旨主張し,原告本人はこれに沿う供述をするところ,前記事実経過(1),(2)のとおり,被告は当時,原告の非常勤営業担当として勤務し,少なくとも平成13年1月から平成14年4月までは毎月相当額を受領していたこと,被告が本訴提起に至るまでb案件の報酬を請求した形跡がないことに照らしても,本件全証拠によるも,b案件につき業務報酬支払合意の存在及びその額を認めるに足りない。
この点に関する被告の主張には理由がない。
(イ) c案件について
前記事実経過(5)のとおり,原告が,平成14年5月13日,c案件を受注したことは認められる。しかし,仮にその受注がそれ以前の被告の営業活動によるものとしても,少なくとも同年4月までは毎月相当額を受領していたこと,被告が平成21年9月までc案件の報酬を請求した形跡がないことなどに照らしても,本件全証拠によるも,c案件につき業務報酬支払合意の存在及びその額を認めるに足りない。
この点に関する被告の主張にも理由がない。
(ウ) a案件について
前記事実経過(3),(8)のとおり,平成13年ころ,被告が入手した情報により,原告がテクノ21と共同で地主に対してa案件と同一土地の活用につき計画案を作成したこと,平成16年11月16日に原告がユニホーから当初のa案件を受注したことは認められる。
しかし,原告は,平成13年の当初計画案は土壌汚染の問題等により実現せず,平成16年の受注は事業主体及び設計案も変更して新たな提案した結果である旨主張し,原告代表者もこれに沿う供述をする上,平成13年当時は毎月相当額が支払われていたこと,平成16年の新規提案時に被告がa案件に関与していたと認めるに足りないことに照らしても,本件全証拠によるも,このような場合にまで成果報酬を支払う旨の合意があったと認めるに足りない。
この点に関する被告の主張にも理由がない。
(エ) d案件について
前記事実経過(4),(8)のとおり,平成12年ころ,d案件につき原告名義の提案書が作成されたこと,原告が平成13年6月に直接受注したことが認められるが,当時は毎月相当額の金員が振り込まれていたことに照らしても,本件全証拠によるも,その当時に原告と被告との間に別途の業務報酬合意があったと認めるに足りない。
この点に関する被告の主張にも理由がない。
(オ) e案件又はf案件について
被告主張のe案件については,本件全証拠によるも,その存在自体を認めることができない。そして,f案件(事実経過(6))についても,d案件の注文主の妻が原告の実績を評価して新たに発注した案件についてまで紹介料を支払うとの合意が原告と被告との間であったと認めるに足りない。
この点に関する被告の主張も理由がない。
(3) したがって,反対債権に関する被告の主張はいずれも理由がない。
5  以上によれば,原告の請求は理由があるから認容する。
(裁判官 押野純)

 

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