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「成果報酬 営業」に関する裁判例(54)平成25年 3月 4日 東京地裁 平23(ワ)34542号 媒介手数料支払請求事件

「成果報酬 営業」に関する裁判例(54)平成25年 3月 4日 東京地裁 平23(ワ)34542号 媒介手数料支払請求事件

裁判年月日  平成25年 3月 4日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平23(ワ)34542号
事件名  媒介手数料支払請求事件
裁判結果  一部認容、一部棄却  文献番号  2013WLJPCA03048003

要旨
◆原告が、被告から委託を受けて不動産売買契約の媒介業務を行った、被告から委託を受けた仲介業者から再委託を受けて同契約の媒介業務を行った、被告との間で媒介手数料半額支払合意が成立した、被告のために媒介業務を行ったから商法上の報酬請求権が発生した、被告は媒介手数料を支払う意思もないのに原告らをして媒介業務をさせる不法行為をしたとして、媒介手数料の支払又は媒介手数料相当額の損害賠償を求めた事案において、本件で、原告らは仲介業者を通じて被告の設立発起人との間で媒介業務委託についての黙示の合意をし、原告らと被告の間では被告が原告らに対して売買代金額の1割5分相当額の媒介報酬を支払う旨の合意が成立したと認められるとして、請求を一部認容した事例

参照条文
民法104条
民法107条2項
民法643条
民法709条
商法512条
宅地建物取引業法34条の2第1項
宅地建物取引業法46条1項

裁判年月日  平成25年 3月 4日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平23(ワ)34542号
事件名  媒介手数料支払請求事件
裁判結果  一部認容、一部棄却  文献番号  2013WLJPCA03048003

東京都中央区〈以下省略〉
原告 株式会社アティック
同代表者代表取締役 A
同訴訟代理人弁護士 阿部能章
同 戸塚敬介
同訴訟復代理人弁護士 秋山陽介
東京都中央区〈以下省略〉
被告 株式会社レジデンシャルステージ
同代表者代表取締役 B
同訴訟代理人弁護士 浦勝則
同 千葉直人

 

 

主文

1  被告は,原告に対し,2350万5000円及びこれに対する平成23年11月10日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
2  原告のその余の請求を棄却する。
3  訴訟費用はこれを2分し,その1を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。
4  この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。

 

事実及び理由

第1  請求
1  被告は,原告に対し,4942万3500円及びこれに対する平成23年11月10日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
2  仮執行宣言
第2  事案の概要
1  本件事案の要旨及び争点
アムス・インターナショナル株式会社(以下「アムス」という。)は,被告に対し,別紙物件目録記載の不動産(以下「本件不動産」という。)を売却した(以下「本件売買契約」という。)。
本件は,原告が,①被告から直接委託を受けて本件売買契約の媒介業務を行った,②被告が委託した仲介業者からさらに委託を受けて本件売買契約の媒介業務を行ったので民法107条2項に基づき被告に直接請求しうる,③被告との間で媒介手数料の半額を支払う旨の合意が成立した,④仮に委託契約又は支払合意が存在しないとしても,原告が被告のために媒介業務を行ったから商法512条に基づく報酬請求権が発生している,⑤被告は真実原告に媒介手数料を支払う意思がないのに原告らをして媒介業務をさせるという不法行為をしたと主張して,媒介手数料又は媒介手数料相当額の損害賠償の支払いを求める事案である。
これに対し被告は,①原告被告間の媒介契約の成立,媒介手数料の半額相当額の支払合意の成立及び原告の主張する不法行為をいずれも否認し,②媒介契約における受託者に民法107条は適用されない,③原告は媒介行為を行っていないから商法512条に基づく請求権は発生しない,④被告は自ら委託した仲介業者に対して媒介報酬を支払っているから,原告の請求権も弁済により消滅していると主張してこれを争う。
2  前提事実(証拠を掲記した事実以外は当事者間に争いがないか,弁論の全趣旨から認定できる事実である。)
(1)  当事者等
ア 原告は,不動産の売買・仲介・賃貸・代理業務,デベロッパー業務,不動産賃貸業及び経営・管理に関するコンサルティング業務等を営む株式会社である(甲1)。
イ 被告は,不動産の所有及び管理,不動産の調査・測量及び開発,不動産の売買・賃貸及びその代理・仲介等を営む株式会社である(甲2)。
Bは,被告及び株式会社青山ヒルズ(以下「青山ヒルズ」という。)の代表取締役である(甲7)。
C(以下「C」という。)は,被告代表者Bの夫であり,被告及び青山ヒルズの設立発起人である(甲67,70)。
ウ D(以下「D会長」という。)及びE(以下「E社長」という。)は,アムスの代表取締役である(甲3)。
エ 株式会社ファンタジオ(以下「ファンタジオ」という。)は,宅地建物取引業の免許を有する株式会社である。F(以下「F」という。)は,ファンタジオの代表取締役である(甲4)。
都市エステート株式会社(以下「都市エステート」という。)は,不動産の仲介業を目的とする株式会社である。G(以下「G」という。)は,都市エステートの取締役である(甲5)。
オ 株式会社彩(以下「彩」という。)は,宅地建物取引業の免許を有する株式会社であり,被告から委託を受けて本件不動産の売買契約の媒介を行っていた。彩は,本件売買契約成立以前に,本件不動産の媒介行為を行わなくなった。
(2)  アムスは,平成23年8月29日当時,本件不動産を所有していた(甲8,9)。アムスと被告は,平成23年8月29日,本件不動産を16億3000万円(消費税込み)で売買する旨の本件売買契約を締結した。
売買価格合計16億3000万円(消費税込み)の内訳は,土地3億0700万円,建物12億6000万円,建物の消費税6300万円である(乙13)。
Cは,本件売買契約に関して,被告のために行動していた(証人C)。
本件売買契約の締結に先立ち,Cのために,本件不動産の内覧が,平成23年7月15日,同月25日,同年8月28日の合計3回実施された(以下順に「第1回内覧」,「第2回内覧」,「第3回内覧」という。)
(3)  宅地建物取引業者は,宅地又は建物の売買の媒介の契約を締結したときは,遅滞なく,法定事項を記載した書面を作成して記名押印し,依頼者にこれを交付しなければならないとされている(宅地建物取引業法34条の2第1項)。
(4)  宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買の媒介に関して受けることのできる報酬の額は,国土交通大臣の定めるところによるとされている(宅地建物取引業法46条1項)。
宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買の媒介に関して依頼者から受けることのできる報酬の額は,依頼者の一方につき,それぞれ,当該売買に係る代金の額が400万円を超える場合,その金額に100分の3.15を乗じて得た金額を合計した金額以内とされている(平成16年2月18日国土交通省告示第100号)。
通常,宅地建物取引業者は,不動産売買契約が成立した場合,委託者から売買代金額の3パーセントに6万円を加えた額(消費税別)の媒介手数料を受領している。
(5)  本訴訴状は,平成23年11月9日,被告に送達された(当裁判所に顕著)。
3  争点に関する各当事者の主張
(1)  原告とCとの間の直接の媒介契約の締結
(原告の主張)
原告,ファンタジオ及び都市エステート(以下「原告ら」という。)は,平成23年7月15日,彩とともに,Cから,直接,本件不動産の売買の媒介を委託され,これを受託した(以下「本件媒介契約」という。)。
本件媒介契約においては,媒介手数料について,不動産取引実務の慣例と異なる特段の合意をしていない。不動産取引実務の慣例における媒介手数料は,売買価格の3パーセントに6万円を加えた額(消費税別)である。
本件媒介契約においては,本件不動産を目的とする不動産売買契約が締結された場合には,その買主となった会社が,本件媒介契約におけるCの地位を承継することとし,同社が原告ら及び彩に対し,本件媒介契約に基づく媒介手数料を支払うものとされた。
本件媒介契約に基づく報酬債権は,不可分債権である。
本件不動産について,被告を買主とする売買契約が成立しているから,原告は,被告に対し,本件媒介契約に基づき,4942万3500円の媒介報酬請求権を有する。
(被告の主張)
被告は,株式会社ブラックヒルズインベストメント(以下「ブラックヒルズ」という。)との間で媒介契約を締結した。本件売買契約締結時における買主側仲介者はブラックヒルズのみであり,売主側仲介者はファンタジオのみである。
宅地建物取引業法の規定にもかかわらず,原告との媒介契約の契約書その他合意があったことを裏付ける客観的資料が存在しないことから,原告主張の本件媒介契約が存在しないことは明らかである。
(2)  原告らの彩からの復委託契約の締結
(原告の主張)
Cは,平成23年7月15日,彩との間で媒介委託契約を締結した。
仮に原告らがCと直接に本件媒介契約を締結していないとしても,彩は都市エステートに対し復委託をし,都市エステートは原告に対し復々委託を行い,原告はファンタジオに対して復々々委託を行った。
Cは,遅くとも平成23年8月22日までには,原告を含む上記4社が仲介業者グループを形成していることを知り,これを承諾した。
彩は単独ではCの申し出をアムスにつなぐことができなかったのであるから,彩が都市エステートに復委任をすることは彩にとってやむを得ない事由(民法104条)に該当する。したがって,仮にCの承諾がなくても,復委任が可能である。
よって,原告は,Cから共同仲介を受託した(民法107条2項参照)。
(被告の主張)
媒介契約上の受託者は民事仲立人であって,代理人ではないから,民法107条は適用されない。
仮に,原告がファンタジオ及び都市エステートとともに媒介行為を行っていたとしても,原告は,ファンタジオ同様売主側の仲介者であって,買主側の仲介者ではない。
(3)  媒介手数料半額相当の支払いの合意
(原告の主張)
Cは,平成23年8月22日及び同月25日,Fに対し,ブラックヒルズに媒介手数料の半分を支払い,残りの分配方法はファンタジオ側で決めるよう述べ,原告代表者は,ファンタジオFに対し,Cとの間で媒介手数料の支払合意及び折衝をする権限を授与していたから,原告とCとの間で,媒介手数料支払の合意が成立した。
また,Cは,同月29日,原告代表者に対し,本件売買契約に基づく媒介手数料(売買代金額の2分の1の3パーセント相当額)の支払義務があることを認めたから,原告とCとの間で,媒介手数料支払の合意が成立した。
少なくとも,消費税を除く不動産売買代金15億6700万円の1.5パーセントに相当する2350万5000円(消費税抜き)の報酬を請求しうる。
(被告の主張)
否認する。
(4)  商法512条に基づく請求
(原告の主張)
原告は,本件媒介契約に基づき,①秘密保持契約を締結し,②Cからの要求に応じてデューディリジェンスに必要な資料をアムスから入手してCに交付し,③本件不動産の内覧の場を設け,④買付証明書を青山ヒルズから受領してアムスに交付し,売買価格を調整の上アムス作成の青山ヒルズ宛不動産売渡承諾書をCに交付し,⑤被告の与信調査を行って被告の信用力に疑問を抱いていたアムスをして被告との売買契約の締結を真剣に検討せしめ,⑥競合する買受希望者とアムスとの接触を妨げるなどの媒介行為を行った。
仮に原告被告間で媒介手数料の合意が成立していないとしても,原告は,被告に対し,商法512条に基づき,本件媒介契約と同額の相当な媒介手数料を請求できる。
(被告の主張)
否認する。
原告は,本件不動産の売買金額について被告のために交渉したことはなく,契約条件の交渉においても売主,買主いずれの仲介者の立場としても活動していない。本件売買契約の売買代金額は,原告主張の媒介契約の成立日(平成23年7月15日)より前である同月1日にCが彩から本件不動産の物件情報を取得した時点で既に16億3000万円となっており,原告がCとの契約に基づき被告のために売買代金額に関してアムスと折衝を行ったことはない。
また,デューディリジェンス資料の開示及び買付証明書のアムスへの交付は,いずれも売主側の仲介者が行う行為である。
原告による被告のための媒介行為が存在しない以上,原告が被告に対して媒介手数料を請求することは許されない。
(5)  不法行為
(原告の主張)
Cは,真実は媒介手数料を支払う意思がないにもかかわらず,これを秘し,原告ほか仲介業者グループに対し,本件売買契約の媒介を委託するように装い,媒介業務の履行の提供を受けた。
具体的には,①Cは,第1回内覧及びアムスとの秘密保持契約締結の際,仲介業者グループに対し,「どの会社で本件不動産を購入するかは分からない」と述べ,②第2回内覧において原告らとの名刺交換を拒み,媒介を委託するように装いながら媒介委託契約の締結を拒む一方,デューディリジェンス資料の交付を受け,アムスの売渡承諾書の交付を受けた。また,Cは,原告からの協定書作成の求めに対して,平成23年9月7日までに回答する旨述べて協定書の作成を先延ばしにし,原告が受入不能な業務委託契約の締結を求めた。Cは,かかる言動を被告代表者たる立場でしたから,被告は,Cの不法行為について責任を負う。
原告の被った損害は,媒介手数料相当額である。
(被告の主張)
否認する。
(6)  弁済
(被告の主張)
不動産売買契約の媒介報酬は,売買代金額の3パーセントが上限であるところ(宅地建物取引業法46条1項),被告は,ブラックヒルズとの間の媒介契約に基づき,ブラックヒルズに対し,3パーセント相当額の媒介報酬を支払った。
仮に,複数の仲介業者が媒介報酬請求権を有する場合において,各請求権が不可分債権であると解すると,被告が既にブラックヒルズに対して弁済済みである以上,原告の請求権は被告との関係において消滅しており,ブラックヒルズに対する求償権が残存するにすぎない。
(原告の主張)
被告は,平成23年8月26日ころ,彩との間の媒介契約を解除しており,ブラックヒルズは何ら媒介業務を行っていないから,彩及びブラックヒルズは被告に対する媒介報酬請求権を有していない。
Cは,原告らに対し,一方的にブラックヒルズを仲介に入れると述べたもので,原告らの承諾を得ておらず,原告らとブラックヒルズとの間において,仲介者グループは形成されていないから,原告らの報酬請求権とブラックヒルズの債権は不可分債権の関係にはならない。
第3  当裁判所の判断
1  当事者間に争いのない事実,証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
(1)  本件不動産の状況
本件不動産は,全94戸の住戸を有していた。アムスは,本件不動産を一括してサブリースに供しており,本件不動産の一括賃借人が,各テナントを入居させ,賃料収入を得ていた。
アムスは,従前,本件不動産の1階及び地下1階のテナントから保証金を受領していたが,Cとの間の売買契約締結交渉より前に,これを同各テナントに返還していた。
(2)  Cの本件不動産購入意思の表明に至る事実経過
ア ファンタジオとアムスとの間の媒介契約
アムスは,平成22年8月ころ,ファンタジオに対し,本件不動産の売買に関する媒介業務を委託した。アムスは,そのころ,18億円での売却を希望していた(証人F)。
イ Fは,アムスに対し,本件不動産の売却希望価格18億円は高いとして,売却可能な最低価格を尋ねたところ,アムスは,売却可能最低価格を,売主側媒介手数料3000万円込みで16億3000万円と返答した。これを受けてファンタジオが作成した物件概要書(以下「本件物件概要書」という。)には,価格の覧に「24億円→16億3000万円(税込)」と記載されている(甲28の2,乙3,証人F)。
ウ 株式会社ランドアセット(以下「ランドアセット」という。)のH(以下「H」という。)は,平成23年6月8日,彩を含む複数の不動産業者に対し,本件物件概要書を送付した(甲28の2,29の2,30の2,31)。
エ 彩の担当者I(以下「I」という。)は,平成23年7月1日,Cに対し,本件物件概要書を添付したメールを送信した。同メールの件名には,「東新宿16億3000万円」などと記載されていた(乙3)。
オ Cは,平成23年7月上旬ころ,彩に対し,本件不動産を購入したい旨伝え,媒介を委託した(乙37)。
Iは,そのころ,都市エステートのGに対し,Cが本件不動産の購入を希望していることを伝達し,Gは,原告代表者に対し,同様の内容を伝達し,原告代表者は,アムスと取引上の関係があると思われたFに同様の内容を伝達した(甲21)。
(3)  第1回内覧並びに原告らと彩との合意
ア 第1回内覧は,Fがアムスに申入れをすることによって平成23年7月15日に実現し,アムス担当者,C,I,F,原告代表者,G,Hが出席の上,2時間程度をかけて実施された(甲85,原告代表者)。F,原告代表者及びGは,第1回内覧において,Cに仲介者として挨拶をしたが,Cは何も述べず,名刺の授受もしなかった。原告代表者及びGは,第1回内覧において,建物内部には入らなかった(証人F)。
イ I,G,H,原告代表者及びFは,同日,第1回内覧の終了後,彩,都市エステート及びランドアセット,原告並びにファンタジオが共同して媒介業務を行うことについて話し合い,買主から取得する予定の売買代金額の3パーセント相当額の媒介手数料のうち,彩が1.5パーセントを取得し,原告,ファンタジオ及び都市エステートがその余を3等分してそれぞれ取得し,ランドアセットは都市エステートの取得分から手数料の分配を受ける旨合意した(以下「本件共同媒介合意」という。甲65,原告代表者)。
ウ Fは,同日ころ,E社長に対し,「今回は私の先に業者が数社いるが,売主の窓口を私がやり,纏めますから私にお任せ下さい」と述べ,E社長は,これを了承した(甲72の2)。
(4)  アムスと青山ヒルズは,平成23年7月18日,本件不動産の購入を検討することを目的として開示される情報について,秘密保持契約を締結した(甲10)。
(5)  デューディリジェンス資料の授受について
ア Cは,本件不動産の一括賃借人の本件不動産運用状況を知りたがっていた。
Cは,彩に対し,本件不動産に関するデューディリジェンス資料の提出を要求した。
イ Fは,平成23年7月から同年8月にかけて,アムスから,以下のとおり,本件不動産のデューディリジェンスに関する資料を受領し,これをIに対して交付した(甲21,65)。
7月21日 賃貸借契約副本及び入居者状況一覧表
7月22日 賃貸借契約書関係一式
7月25日 賃貸借契約書追加分
8月4日 平成23年7月28日ご質問に対する回答書
8月8日 追加質問に対する回答書
8月11日 平成23年7月末までの入金履歴データ
8月27日 1階,地下1階テナントとの賃貸借契約書
ウ Cは,平成23年7月28日,彩に対し,本件不動産の転貸借契約に関し,敷金のない部屋についての原状回復費の処理,定期借家の場合の賃料額の理由,保証を引き継げるか,契約書のない部分についての確認,契約条項の確認等を求めるメールを送信した(乙35,39の1)。
エ アムスは,ファンタジオに対し,本件不動産の1階及び地下1階のテナントについて,預り保証金がない旨記載した資料を開示していた(甲21,65)。
オ Cは,そのころ,Iから,本件不動産のデューディリジェンスに関する資料を受領したが,Iは,少なくとも平成23年8月中旬ころまで,アムスが本件不動産の1階及び地下1階テナントからの保証金を同テナントに返還していることを,Cに伝達していなかった。
(6)  第2回内覧
第2回内覧は,Fがアムスと交渉することによって平成23年7月25日に実現し,アムス担当者,C,I,F,原告代表者,G及びHが出席の上,概ね1時間程度の時間を掛けて実施された(証人F,原告代表者)。
第2回内覧において,CはF,原告代表者との名刺交換をしなかった(甲65,66,原告代表者)。原告代表者は,第2回内覧におけるCとの会話において,原告が売主側又は買主側であること,あるいは共同仲介人であることを明示した発言をしなかった(原告代表者)。
(7)  第2回内覧後ブラックヒルズ関与までの事実経過
ア 青山ヒルズは,平成23年8月8日,アムス宛に,購入価格を16億3000万円(消費税込み)とする本件不動産の買付証明書を交付した(甲12)。
イ アムスは,平成23年8月10日,青山ヒルズ宛に,売却価格を16億3000万円(消費税込み)とする本件不動産の不動産売渡承諾書を交付した(甲13)。同不動産売渡承諾書には,仲介会社としてファンタジオが記載されていた。
ウ Cは,京葉銀行に対して本件不動産の買受資金の融資を申し込んでいたが,平成23年8月中旬ころ,同銀行から融資を断られた。そこで,Cは,りそな銀行に対して融資を申し込むこととした。Cは,以前,りそな銀行から不動産取引に関連して融資を受けた際,ブラックヒルズに対して売買契約の媒介を委託したことがあった(乙37)。
エ Cは,平成23年8月20日,Iに対し,ブラックヒルズを本件不動産の売買契約の仲介業者に入れる旨伝えた(証人C)。
オ Cは,平成23年8月22日,I同席の場で,Fに対し,ブラックヒルズの従業員J(以下「J」という。)を紹介した。Cは,その際,Fに対し,ブラックヒルズを媒介業者に加える旨告知し,また,売買代金額3パーセント相当額の媒介手数料のうち,1.5パーセントをブラックヒルズに,1.5パーセントを彩に支払う旨述べた(証人F,証人J)。Fは,ブラックヒルズが仲介業者に加わることに異議を唱えなかったが,Iに対して,1.5パーセントの媒介手数料は,全額原告らで分配し,彩の取得分が無くなる旨述べた(証人F)。
また,Cは,同月20日又は22日に,Iに対し,彩が本件売買契約の媒介業務の実務から外れるよう依頼した(証人C)。
(8)  ブラックヒルズの関与後彩の排除に至るまでの事実経過
ア Fは,平成23年8月22日,C及びJに対し,従前Iに送付していたデータをメールで送信した(甲36)。
イ アムスは,平成23年8月24日以前,C側に対し,契約条件として手付金を5パーセント以上とすること,ローン特約条項をつけないこと,現況有姿での引き渡しとすること,9月9日までの決済とすることを要求していた。
C又はJは,平成23年8月24日,Fを通じて,Iに対し,今後彩から紙に印字された資料を交付することが不要である旨伝えた。また,Fは,同時に,Iに対し,アムスの上記要求を実現することが無理であると思われる旨を伝達した(甲36)。
ウ Iは,平成23年8月25日,Cに対し,支払約定書(甲79の1,79の2,乙43)をメールで送信した(甲38)。同支払約定書には,ブラックヒルズが,彩に対し,不動産売買契約に伴う役務の提供に対する手数料として,買主の売買代金全額決済による取引完了時に,2518万4250円を支払う旨記載されていた(甲79の1,79の2)。
エ Cは,平成23年8月26日,Iに対し,アムスから①契約締結日を8月29日とすること,②手付金を5000万円以上とすること,③融資特約をつけないこと,④違約金を3億2600万円とすることを求められており,厳しい条件なので,彩が違約金を保証することが可能かを問い合わせる旨のメールを送信した(甲41)。
Cは,彩の業務遂行能力について不信感を持っていたところ,平成23年8月26日,上記メールを送信する前に,J,F及びファンタジオの担当者K(以下「K」という。)に対し,上記内容のメールを彩に送信することについて相談する旨のメールを送信した(甲38)。
オ Fは,平成23年8月26日,Jに対し,同日時点で契約条件について残っている問題点として1階及び地下1階のテナントの保証金が返還されていることについてのメールを送信した。Fは,同メールにおいて,新賃貸借契約締結段階までに,買主側に保証金が支払われる交渉をファンタジオの責任において行う旨述べていた(甲37)。
カ 被告は,平成23年8月26日付けで,ブラックヒルズとの間で,本件不動産の売買に関する一般媒介契約を締結した(乙10の1)。
キ Fは,平成23年8月27日,Jに対し,本来はJ及びCには全く関係のないことではあるが,①中央三井信託・日建他からなるグループが,現在も,D会長に対し,同グループへの本件不動産の売却を働きかけていること,同グループが16億5000万円の買付書をアムスに提出していること,ファンタジオが原告及び都市エステートの情報収集によって同グループの働きかけを抑えていること,かかる状況を「水面下の情報と動き」と表現した上で原告代表者ほか一部の者にしか説明していないこと,②原告らは,彩の存在がアムスとCとの間の売買契約成立のリスクであると考えていること,③契約書・重要事項説明書の仲介欄に原告を入れることをCに了解して貰えるよう依頼すること,④ブラックヒルズから1.5パーセントの媒介手数料が支払われることを前提に,その支払先を彩から原告に変更して貰いたいこと等を記載したメールを送信した(甲40,乙2)。
Jは,Fに対して,同メールに対する返信をしなかった(証人F)。
ク Fは,同日,Cに対し,①今回の取引の最大のリスクはIであり,ファンタジオ及びファンタジオと彩との間にいる業者らの責任においてリスクは排除すべきだという結論に達していること,②ファンタジオの他,原告及び都市エステートが本件売買契約に関連して活動していること,③彩のリスク排除は第1回内覧の場でも挨拶した原告側で行うこと,④彩に対しては,仲介者全体の取纏めはFにすべてを一任したとの対応をするよう依頼する旨のメールを送信した(甲41)。
Cは,同日,Fに対し,Fからの上記メールの内容を了解し,彩を排除する方向で合意する旨のメールを返信し,彩を買主側仲介業者から外した(甲42,乙37)。
ケ E社長は,彩の名前を認識しておらず,彩が本件不動産の売買契約の仲介人から外れたことについて,買主側の仲介が外れたと認識していた(甲72の2)。
(9)  第3回内覧の事実経過
第3回内覧は,平成23年8月28日に,アムス担当者,C,J,F,原告代表者,Gが出席の上,概ね1時間半から2時間程度の時間をかけて実施された。(甲66,証人F)
(10)  本件売買契約締結当日の事実経過
ア Cとアムスは,平成23年8月29日までの時点において,手付金額及び瑕疵担保責任に関する事項について合意しておらず,本件売買契約が同日中に締結されるか否かは不確実な状況であった。
イ Fは,平成23年8月29日午前4時14分ころ,C及びJに対し,同日のアムスとの契約締結のための会合をセッティングしたことを通知すると共に,不動産売買契約書,重要事項説明書及び協議・協定書をメールで送信した(甲46,71の1から71の3まで)。
同「不動産売買契約書」には,仲介者としてファンタジオ,原告及びブラックヒルズが記載されていた(甲71の1)。
同「協議・協定書」には,売主側仲介者としてファンタジオが,双方仲介者として原告が,買主側仲介者としてブラックヒルズが,それぞれ記載されていた(甲71の3)。
ウ Iは,平成23年8月29日午前10時42分ころ,Fに対して,「売主側業者アティック」と記載したメールを送信した(乙38)。
エ アムスと被告は,平成23年8月29日昼ころから本件売買契約締結のための交渉を行い,同日夕方ころ,契約書に捺印した(甲65,乙36の1,37)。本件売買契約締結の場には,アムス側からE社長,担当者L,D会長,被告側からCのほか,F,K及びJが出席していた。原告代表者は,途中から出席した。Cは,本件売買契約締結の席上において,保証金がテナントに返還されていたことの資料に関し,Fを非難する旨の発言をした。
原告代表者は,Cに対し,保証金の積直しに協力する旨返答した(証人C,原告代表者)。
(11)  本件売買契約の契約書及び重要事項説明書の内容
ア ファンタジオ,原告,ブラックヒルズは,本件売買契約の契約書に,仲介者として記名押印している(甲15)。
イ ファンタジオは,売主側の仲介をする宅地建物取引業者として,ブラックヒルズは,買主側の仲介をする宅地建物取引業者として,それぞれ本件売買契約の平成23年8月29日付重要事項説明書に記名押印している(乙1)。
(12)  原告らと被告との間で,媒介委託契約書は作成されていない。なお,ファンタジオ程度の規模の不動産業者は,売買契約締結時に媒介委託契約書を作成する例がある(甲65)。
(13)  本件売買契約締結後の事実経過
ア 原告は,ファンタジオに対し,協定書案(以下「本件協定書案」という。甲19)を送付し,Fは,平成23年8月30日,Cに対し,被告が売買代金額の1.5パーセントの媒介手数料の支払義務を負うことを前提にその支払を留保するにあたって,本件協定書案のほか,約定報酬額を2471万1750円とする被告と原告との間の媒介契約書(甲17),同額の報酬の支払約定書(甲18)を添付したメールを送信した(甲49)。
本件協定書案には,①被告が,原告及びファンタジオに対し,本件売買契約の媒介業務の一部として,本件不動産の1階及び地下1階テナントに対して保証金の預入交渉及び保証金の預入等の業務を委託し,②平成23年9月20日までに保証金預入ができなかった場合,被告は,媒介手数料のうち,予定預入保証金合計額の支払を留保できること,③最終的な預入保証金額が予定保証金額を下回った場合,予定保証金合計額の範囲内で媒介手数料を減額できる旨記載されており,保証金の予定額は空欄となっていた(甲19)。
イ Cは,平成23年8月31日,本訴被告代理人に対し,ファンタジオからの本件協定書案について,原告と会ったのが初めてであり,原告からは役務の提供を受けていないことを前提に,売主側の仲介に手数料を支払う義務の有無,仲介の定義等を問い合わせた(乙32)。
ウ F,原告代表者及びCは,平成23年9月2日午後5時ころ,会談した。Cは,これに先立ち,Fに対し,媒介契約を売主側の業者との間で交わすのはおかしい旨述べるメールを送信しており,会談の場でも,同趣旨の発言をした(証人F,原告代表者)。
エ Fは,平成23年9月2日午後11時ころ,Cに対し,FがCにとって必要な資料を送付していること,仮にCがFからの同資料を見ていないとすれば,Cが選択した彩Iの業務上過失であること,ファンタジオら仲介者チームはCに買って貰うとの目的を果たすために尋常でない能力,時間,労力を果たしていること等を記載したメールを送信した(甲50)。
オ Cは,平成23年9月3日,Fに対し,仲介手数料は決済後には支払えないので,業務委託契約で着手金と成果報酬の2段階の支払を検討する旨のメールを送信した(甲51)。
カ Cは,平成23年9月8日,Fに対し,被告が原告及びファンタジオに対して本件不動産の保証金預入れに関する業務を委託する内容の業務委託契約書案を送付した(甲53)。同業務委託契約書案には,保証金予定額が合計5000万円,保証金預入期限が平成23年9月30日,業務委託料が預入期限内に預け入れられた保証金の50%と記載されていた(甲20)。
キ Cは,本件売買契約締結後,E社長に対し,決済日を平成23年9月15日から同月9日に早めること及び決済を行う部屋が狭いので仲介業者は呼ばないよう依頼した。
被告は,平成23年9月9日,J立会いの下で,アムスとの間で本件売買契約の決済を行った。被告は,ファンタジオ及び原告に対し,本件売買契約の決済がされることを知らせなかった(甲72の2)。
ク Cは,平成23年9月10日,原告代表者に対し,Fが業務委託契約を締結しようとしないことについて,遺憾に思っていること,媒介手数料を支払う理由がないので業務委託費で検討していることを前提に,「仲介者の方々の総意」を聞きたいとのメールを送信した(甲57)。
ケ 原告代表者は,平成23年9月12日,Cに対し,媒介報酬を請求するメールを送信したが,そのメールにおいて,彩が仲介より外れ,代わりにブラックヒルズが仲介に加わったこと,Cがブラックヒルズには1.5パーセントを支払うと聞いたので,Cに対して請求することを記載していた(甲58)。
(14)  報酬の支払い
ア 被告は,平成23年9月9日,ブラックヒルズに対し,報酬として4936万0500円を支払った(乙10の2)。
イ アムスは,平成23年9月9日,ファンタジオに対し,媒介手数料3000万円を支払った。ファンタジオは,このうち,1250万円を原告に,625万円を都市エステートに支払った。
(15)  原告らの業務内容
原告及び都市エステートは,被告以外の買受希望者がアムスに対して本件不動産の購入を働きかけていることについての情報収集を行った(甲40)。
(16)  原告代表者の陳述の内容
ア 原告代表者は,平成23年9月26日作成の陳述書において,本件売買契約締結の際,Cが,原告らに対し,本件不動産の1階及び地下1階テナントから保証金を取り付けるよう求め,そのために媒介手数料の支払を留保し,場合によっては媒介手数料を支払わない旨述べたところ,原告らがこれを拒否し,媒介手数料の支払日,額は後日協議することとなった旨述べていた(甲21)。
イ 原告代表者は,平成24年1月23日作成の陳述書において,本件売買契約締結の際,Cが原告から媒介契約書及び支払約定書への押印を求められたのに対し,社内的には媒介手数料としては支払えず,1.5パーセントをブラックヒルズに,その余を原告らに支払うと発言した旨述べていた(甲66)。
2  原告とCとの間の直接の媒介契約の成否について
原告は,第1回内覧において,Cから直接,媒介を委託された旨主張するが,原告代表者の述べるところによっても,第1回内覧の場でCが直接原告代表者に対して媒介を委託する旨の発言はなく,彩を通じて委託されたと認識しているというにすぎないのであるから(原告代表者),第1回内覧の場で本件媒介契約が成立したと認めることはできない。
3  原告らの彩からの復委託契約の成否
(1)  第2回内覧まで
原告代表者及びFは本件共同媒介合意をCに伝えておらず,G,H,I又はその他の者が本件共同媒介合意をCに伝えたと認めるに足りる証拠もないこと,第2回内覧においても,原告代表者は,Cに対し,買主側の仲介人であることや共同仲介人であることを明示していないことからすると,Cと原告らとの間に,第2回内覧までの時点において,媒介契約が成立したとは認められない。
(2)  Cによるファンタジオと彩の共同仲介の認識及び了承
ア ①Cは,Jが関与するようになった後も,Fと直接多数回メールのやり取りをしていること,②Cは,平成23年8月22日に,JをFに紹介した際,Fが買主から彩に支払われる媒介手数料を取得する旨述べているのを聞いていること,③C又は買主側仲介人であるJは,平成23年8月24日ころ,Fを通じて,今後彩からC又はJに対して印字された資料を交付することが不要である旨伝えているところ,ファンタジオが売主側の仲介人にすぎないとすれば,買主側が彩に対してファンタジオを通じてかかる内容を伝達するとは考え難いこと,④Cは,平成23年8月26日に,彩に対して高額な違約金の保証を求めることが可能か否かを問い合わせる前に,Fにその旨相談していること,⑤Cが,平成23年8月27日に,Fから彩に対する対応をFに一任することを求められ,これに応じていることからすると,Cは,遅くとも同日までに,少なくともファンタジオが,彩と共同して,買主のためにも媒介業務を行っていることを認識し,これを了承したものと認められる。
イ C及びJは,平成23年8月22日の会話において,買主側から支払われる手数料を彩とブラックヒルズで按分する旨の話がされたにすぎず,彩と原告らの間の分配の話はなかった旨述べる。
しかし,Cが買主側の仲介人が彩のみであってファンタジオが売主側の仲介人にすぎないと認識していたのであれば,買主から支払われる媒介手数料の分配は,買主と買主側仲介人内部の問題であって,売主側仲介人であるFに伝える必要はない。また,Cは,同日以前にブラックヒルズを買主側仲介業者として関与させることについてIの了承を得ていたと述べているところ,彩にとってブラックヒルズが買主側仲介人に加わることは報酬取得額に関わる事情であり,その場で彩とブラックヒルズ間の報酬分配の話をするのが自然であるのに,敢えてF同席の場でもかかる話をしているのであるから,Cは,遅くとも同日までの時点において,ファンタジオが買主から支払われる彩の報酬の分配について利害関係を有する者でもあることを認識していたものと認められる。そして,彩とファンタジオが買主から支払われる報酬を分配する関係にあり,かつ,当初期待されていた3パーセントの報酬が減額されるのであるから,Fがブラックヒルズを仲介人に入れることに異議を述べないとすれば,Iに対してその場で自らの報酬を確保するための発言をすることは合理的であり,その旨のFの証言は信用性が高いと認められる。
また,Cは,Fに対して情報を開示していたのは情報を広く共有すべきと考えていたにすぎない旨述べるが,彩に対する不信感を抱いていたとはいえ,買主側仲介人である彩よりも前にFに対して相談していることからすると,Cにとって,ファンタジオは彩よりも自らに近い関係の存在と認識していることは明らかであり,単なる情報共有のためにとどまるとは認めがたい。
以上のとおり,C及びJの証言は不自然で採用することができない。
(3)  Cによるファンタジオと原告・都市エステートの共同仲介の認識及び了承
ア Fが,平成23年8月27日,Cに対し,原告及び都市エステートの名称を挙げ,「仲介者全体の取纏め」という同一の立場にある仲介業者が複数存在することを前提とした文章を用いた上で,原告側で彩の排除を行うこと等を伝え,Cが,同日,これを了解していることからすると,Cは,同日時点において,ファンタジオ同様買主側の立場の仲介人として原告及び都市エステートが存在することを認識し,これを了承したものと認められる。
イ そして,Cが,買主側仲介人である彩を排除することについてFと合意したのみならず,仲介者全体の取纏めをFに一任したとの対応をすることにも了解を与えていることからすると,Cは,彩が買主側仲介人の地位を失った後も,ファンタジオを含む原告らが買主側の立場の共同仲介人として活動することについて了承していたものと認められる。
(4)  被告の主張について
ア 本件売買契約の重要事項説明書においては,ファンタジオが売主側の仲介業者として,ブラックヒルズが買主側の仲介業者として,それぞれ記名押印しているが,ブラックヒルズは買主側のみの仲介業者であるから,これを明示しても不自然ではなく,また,ファンタジオがアムスからも媒介の委託を受けていたことは明らかであるから,ブラックヒルズの記載に対応してファンタジオを売主側の仲介業者と記載することも不合理ではなく,同記載から直ちにファンタジオが売主側のみの仲介業者であるとは認められない。
イ Fは,Jに対し,原告が「水面下」で活動し,J及びCには全く関係のないことと記載したメールを送信しているが,前記認定のとおり,Cは,その後,原告を認識した上で原告らを買主側の共同仲介人とすることに了承を与えているのであるから,上記認定を左右しない。
ウ Iは,原告について「売主側業者」と記載したメールをFに送信しているが,同メールはIとFとの間のメールであって,直ちにC又は買主との関係を前提とした文章とは解しがたいこと,当該メールが送信されたのは,既にFが買主からの媒介手数料を彩が取得すべきでないと述べ,FとCが彩を排除する旨合意した後の平成23年8月29日であるから,彩としては買主側の仲介人が自己以外には存在しないことを前提とした立場を取る動機があるといえることからすると,同メールの記載から直ちに原告が売主側のみの業者であると認めるには足りない。
エ E社長は,彩を買主側の仲介人として認識していたものの,FがE社長に対して彩の存在を認識させるような言動をしていたと認めるに足りる証拠はないから,かかる事実も上記認定を左右する事情ではない。
オ Cは,本訴被告代理人に対し,原告に対する支払義務の存否等を問い合わせるメールを送信しているが(乙32),同メールが送信されたのは本件売買契約締結後であり,媒介手数料支払義務の存否について被告又はCと原告らとの間で紛争が生じた後に作成されたメールであるから,同メールから直ちに被告が原告らに対して支払合意をしていないとの合理的な疑いが生ずるものではない。
Cは,本件売買契約締結後に原告が売主側であることを前提とした発言をしているが,上記同様,かかる事実から被告が原告らに対して支払合意をしていないとの合理的な疑いが生ずるものではない。
カ ファンタジオは,アムスから受領した媒介手数料を,彩には支払っていないものの,ファンタジオがアムスからの報酬を受領したのは彩を排除することについてCとの間で合意した後であるから,かかる事実をもって彩が買主側のみの仲介人であるとはいえず,彩と原告らが共同仲介を行ったことと矛盾する事情であるとは認められない。
(5)  以上からすると,遅くとも平成23年8月27日までには,原告らは,ファンタジオを通じて,Cとの間で,原告らに対して媒介業務を委託する黙示の合意をしたものと認められる。
4  媒介手数料半額相当の支払合意について
(1)  Cが,平成23年8月22日,売買代金額3パーセント相当額の媒介手数料のうち,1.5パーセントをブラックヒルズに,1.5パーセントを彩に支払う旨述べ,I及びFが,これに異議を述べなかったことからすると,同日時点において,Cと彩及びファンタジオとの間で,本件不動産の買主が彩に対して売買代金額の1.5パーセント相当額の媒介報酬を支払う旨の合意が成立したものと認められる。
(2)  そして,前記認定のとおり,Cは,彩が買主側仲介人の地位を失った後も,原告らが買主側の立場の共同仲介人として活動することについて了承していたこと,Cが本件売買契約に関し,被告のために行動し,被告もCの行為の効力が被告に及ぶことを争っていないことからすると,上記合意は,原告ら及び被告の間において,被告が原告らに対して売買代金額の1.5パーセント相当額の媒介報酬を支払う旨の内容に変更されたものと認められる。
(3)  本件売買契約締結後,Cと原告及びファンタジオとの間で本件不動産の保証金預入業務を委託することを前提とした書面の授受が行われているものの,本件協定書案は,本件売買契約の媒介業務の一部として保証金預入等の業務を委託する内容となっていること,Cが,Fに対し,仲介手数料は決済後には支払えないので業務委託契約での支払を検討する旨のメールを送信していることからすると,保証金預入業務の委託契約に関する書面の授受は,媒介手数料の支払義務があることを前提に媒介業務を一部追加し,その支払名目を変更することの交渉であると理解できるから,(2)認定の媒介報酬支払い合意と矛盾する事情ではない。また,被告,原告及びファンタジオが本件協定書案その他の書類に押印していないことからすると,被告と原告らとの間で,業務委託契約の内容について合意が成立したと認めることはできないから,上記媒介報酬支払いの合意が業務委託契約に変更されたものと認めることもできない。
(4)  なお,Fは,Jに対し,原告ら及び彩に対して1.5パーセントの媒介報酬を支払う主体がブラックヒルズであると理解できる記載をしたメールを送信している(甲40)。
この点,買主から依頼を受けた仲介人が数人ある場合には,各自は特約等特段の事情のない限り,売買の媒介に尽力した度合いに応じて,報酬額を按分して請求できるものと解されるところ(最高裁昭和41年(オ)第1007号同43年4月2日第三小法廷判決・民集22巻4号803頁参照),前記認定のとおり,F,J及びCの間で,買主がブラックヒルズ及び彩が排除された後の共同仲介人である原告らに対してそれぞれ売買代金額の1.5パーセントの媒介手数料を支払う旨の合意が存在していること,原告らはブラックヒルズから復委託を受けたものではないこと,上記メールはCに送信されたものではないことからすると,原告らは,買主である被告に対して,直接,1.5パーセント媒介手数料の支払いを求めることができ,ブラックヒルズの請求権と原告らの請求権とは可分であるものと認められる。
また,原告代表者は,Cに対し,ブラックヒルズが彩の代わりに仲介に加わった旨のメールを送信しているが(甲58),同メールは,同時に,Cがブラックヒルズに対しては1.5パーセントしか支払わないことを前提としており,前記認定事実に合致するところ,その後C,ブラックヒルズ及び原告らとの間で,買主がブラックヒルズに支払う手数料を売買代金額の3パーセント相当額を支払い,原告らがブラックヒルズから1.5パーセント相当額を受領する内容に変更する旨合意したと認めるに足りる証拠はないから,上記認定を左右しない。
(5)  さらに,Fは,報酬の支払先を原告にして欲しい旨Cに述べていること(証人F),Gは,原告が都市エステートを代表して本訴請求債権を請求債権とする保全事件を申し立てることを了承していること(甲25),その他弁論の全趣旨によれば,ファンタジオ及び都市エステートは,被告に対する報酬請求権を原告が行使することについて,同意しているものと認められる。
(6)  被告は,原告に報酬請求権が成立するためには,客観的にみて被告のためにする意思をもって媒介行為をしたことが必要である旨主張するところ,前記認定のとおり,原告は,GからCの本件不動産購入希望をFに伝えているほか,内覧の場に同席し,競合する買受希望者とアムスとの接触を妨げるなどの行為(甲40)をしており,これらは,買主のための媒介業務という性質を有するものであると認められる。なお,かかる媒介業務は,売主側の仲介業者としても行われるものであるが,前記認定のとおり,Cは,これらの行為が行われた後,原告が買主側の仲介業者でもあることについて了承を与えているのであるから,上記各業務が原告らとCとの間の黙示の媒介業務委託契約に基づく買主のための媒介業務であることを否定する事情であるとは認められない。
被告の指摘する判例(最高裁昭和46年(オ)第22号,同50年12月26日第二小法廷判決,民集29巻11号1890頁)は,売主又は買主の一方からのみ媒介の委託を受けた宅地建物取引業者の委託を受けない当事者に対する報酬請求権に関するもので,Cから原告に対する委託があると認められる本件に適切ではない。
(7)  被告は,原告代表者の供述が変遷している旨主張するところ,前記認定事実からすると,本件売買契約締結の場における原告への支払額及び時期についてのCとの合意内容については,平成23年9月時点では,原告ら及びCとの間で,業務委託契約締結の交渉が行われており,業務委託契約が締結されれば支払額及び時期を含めた当初の合意内容が変更されることとなるから,原告代表者の供述の内容が曖昧であったこともやむを得ないといえ,前記認定のとおり,本件売買契約締結以前の段階で報酬支払い合意が成立し,その後これを変更した事実を認めるに足りる証拠がないから,上記認定を左右しない。
5  商法512条に基づく請求について
前記認定からすると,原告らは,Cとの間で,原告らが取得すべき報酬額を売買代金額の1.5パーセント相当額とすることに合意しているのであるから,その媒介業務内容如何に関わらず,合意に基づく金額を超える報酬請求権を有するとは認められない。
6  不法行為について
(1)  Cが第1回内覧時において名刺交換をせず,アムスとの秘密保持契約の当事者は,最終的に本件不動産を購入した被告ではなく青山ヒルズであることが認められるものの,これらの事情から,直ちにCが原告に対して真実媒介手数料を支払う意思がないにもかかわらずこれを秘して媒介業務を提供させたとまで認めることはできない。
(2)  彩が,Cに対し,1.5パーセントの媒介手数料を彩に支払う主体がブラックヒルズであると理解できる支払約定書を送付していることからすれば,Cがブラックヒルズ及び彩に1.5パーセントずつ媒介手数料を支払う旨述べた後,被告がブラックヒルズに3パーセントの媒介手数料を支払っている事実をもって,Cが当初から彩らに対して媒介手数料を支払う意思がなかったものと推認することはできない。
(3)  本件売買契約においては,代金決済日は平成23年9月20日と予定されていたところ,実際に決済がされたのは同月9日であり,決済日の変更を被告はファンタジオに通知していないが,アムスが,同年8月24日以前は,同年9月9日の決済を求めていたことからすると,かかる事実のみから被告が不法行為を行ったと認めるには足りない。
(4)  Cが本件以前にりそな銀行から融資を受けた際,ブラックヒルズに業務を委託したことがあることのほか,JがCに対して送付しているメールの文章からすると,CとJが懇意にしていることが窺われるものの,かかる事実も被告が不法行為を行ったと認めるには足りない。
(5)  さらに,被告が彩との間では媒介委託契約書を作成せず,ブラックヒルズとの間では媒介委託契約書を作成しているものの,彩がCに対して支払約定書を送付した平成23年8月25日の時点では,原告の主張するところによってもCは彩のミスを前提として彩に対して支払義務を負うことに疑問を呈していたというのであり,これ以前に彩がCに対して契約書の作成を求めたと認めるに足りる証拠はないから,かかる事実も被告が不法行為を行ったと認めるには足りない。
(6)  以上のほか,C又は被告が不法行為責任を負うと認めるに足りる証拠はない。
7  ブラックヒルズに対する弁済について
(1)  Fは,原告らに対する売買代金額の1.5パーセント相当額の支払いをするのがブラックヒルズであることを前提としていると理解できるメールをJに送信しているが(甲40,乙2),前記認定のとおり,Cは,ブラックヒルズに対して売買代金額の1.5パーセント相当額の報酬を支払い,その余を彩及び原告らからなる共同仲介人らに支払う旨合意していたのであるから,少なくとも,ブラックヒルズの報酬請求権と原告らの報酬請求権は可分であると認められる。
(2)  被告は,ブラックヒルズに対して,売買代金額の3パーセント相当額の報酬を支払済みであるが,かかる事情がブラックヒルズの請求権と連帯若しくは不可分の関係にない原告らの請求権を消滅させる事情であるとは認められないから,被告の主張は理由がない。
8  まとめ
以上からすると,被告は,原告に対し,本件売買契約の代金額である16億3000万円のうち,土地代金3億0700万円,建物代金12億6000万円(消費税控除)の合計額である15億6700万円の1.5パーセントである2350万5000円の支払義務を負うものと認められる。
第4  結論
以上によれば,原告の本訴請求は,2350万5000円の限度で理由があるから認容することとし,その余は理由がないから棄却することとし,訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条,64条本文を,仮執行の宣言につき同法259条1項を,それぞれ適用して,主文のとおり判決する。
(裁判官 進藤光慶)

 

〈以下省略〉

 

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