【営業代行から学ぶ判例】crps 裁判例 lgbt 裁判例 nda 裁判例 nhk 裁判例 nhk 受信料 裁判例 pl法 裁判例 pta 裁判例 ptsd 裁判例 アメリカ 裁判例 検索 オーバーローン 財産分与 裁判例 クレーマー 裁判例 クレプトマニア 裁判例 サブリース 裁判例 ストーカー 裁判例 セクシャルハラスメント 裁判例 せクハラ 裁判例 タイムカード 裁判例 タイムスタンプ 裁判例 ドライブレコーダー 裁判例 ノンオペレーションチャージ 裁判例 ハーグ条約 裁判例 バイトテロ 裁判例 パタハラ 裁判例 パブリシティ権 裁判例 ハラスメント 裁判例 パワーハラスメント 裁判例 パワハラ 裁判例 ファクタリング 裁判例 プライバシー 裁判例 プライバシーの侵害 裁判例 プライバシー権 裁判例 ブラックバイト 裁判例 ベネッセ 裁判例 ベルシステム24 裁判例 マタニティハラスメント 裁判例 マタハラ 裁判例 マンション 騒音 裁判例 メンタルヘルス 裁判例 モラハラ 裁判例 モラルハラスメント 裁判例 リストラ 裁判例 リツイート 名誉毀損 裁判例 リフォーム 裁判例 遺言 解釈 裁判例 遺言 裁判例 遺言書 裁判例 遺言能力 裁判例 引き抜き 裁判例 営業秘密 裁判例 応召義務 裁判例 応用美術 裁判例 横浜地裁 裁判例 過失割合 裁判例 過労死 裁判例 介護事故 裁判例 会社法 裁判例 解雇 裁判例 外国人労働者 裁判例 学校 裁判例 学校教育法施行規則第48条 裁判例 学校事故 裁判例 環境権 裁判例 管理監督者 裁判例 器物損壊 裁判例 基本的人権 裁判例 寄与分 裁判例 偽装請負 裁判例 逆パワハラ 裁判例 休業損害 裁判例 休憩時間 裁判例 競業避止義務 裁判例 教育を受ける権利 裁判例 脅迫 裁判例 業務上横領 裁判例 近隣トラブル 裁判例 契約締結上の過失 裁判例 原状回復 裁判例 固定残業代 裁判例 雇い止め 裁判例 雇止め 裁判例 交通事故 過失割合 裁判例 交通事故 裁判例 交通事故 裁判例 検索 公共の福祉 裁判例 公序良俗違反 裁判例 公図 裁判例 厚生労働省 パワハラ 裁判例 行政訴訟 裁判例 行政法 裁判例 降格 裁判例 合併 裁判例 婚約破棄 裁判例 裁判員制度 裁判例 裁判所 知的財産 裁判例 裁判例 データ 裁判例 データベース 裁判例 データベース 無料 裁判例 とは 裁判例 とは 判例 裁判例 ニュース 裁判例 レポート 裁判例 安全配慮義務 裁判例 意味 裁判例 引用 裁判例 引用の仕方 裁判例 引用方法 裁判例 英語 裁判例 英語で 裁判例 英訳 裁判例 閲覧 裁判例 学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例 共有物分割 裁判例 刑事事件 裁判例 刑法 裁判例 憲法 裁判例 検査 裁判例 検索 裁判例 検索方法 裁判例 公開 裁判例 公知の事実 裁判例 広島 裁判例 国際私法 裁判例 最高裁 裁判例 最高裁判所 裁判例 最新 裁判例 裁判所 裁判例 雑誌 裁判例 事件番号 裁判例 射程 裁判例 書き方 裁判例 書籍 裁判例 商標 裁判例 消費税 裁判例 証拠説明書 裁判例 証拠提出 裁判例 情報 裁判例 全文 裁判例 速報 裁判例 探し方 裁判例 知財 裁判例 調べ方 裁判例 調査 裁判例 定義 裁判例 東京地裁 裁判例 同一労働同一賃金 裁判例 特許 裁判例 読み方 裁判例 入手方法 裁判例 判決 違い 裁判例 判決文 裁判例 判例 裁判例 判例 違い 裁判例 百選 裁判例 表記 裁判例 別紙 裁判例 本 裁判例 面白い 裁判例 労働 裁判例・学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例・審判例からみた 特別受益・寄与分 裁判例からみる消費税法 裁判例とは 裁量労働制 裁判例 財産分与 裁判例 産業医 裁判例 残業代未払い 裁判例 試用期間 解雇 裁判例 持ち帰り残業 裁判例 自己決定権 裁判例 自転車事故 裁判例 自由権 裁判例 手待ち時間 裁判例 受動喫煙 裁判例 重過失 裁判例 商法512条 裁判例 証拠説明書 記載例 裁判例 証拠説明書 裁判例 引用 情報公開 裁判例 職員会議 裁判例 振り込め詐欺 裁判例 身元保証 裁判例 人権侵害 裁判例 人種差別撤廃条約 裁判例 整理解雇 裁判例 生活保護 裁判例 生存権 裁判例 生命保険 裁判例 盛岡地裁 裁判例 製造物責任 裁判例 製造物責任法 裁判例 請負 裁判例 税務大学校 裁判例 接見交通権 裁判例 先使用権 裁判例 租税 裁判例 租税法 裁判例 相続 裁判例 相続税 裁判例 相続放棄 裁判例 騒音 裁判例 尊厳死 裁判例 損害賠償請求 裁判例 体罰 裁判例 退職勧奨 違法 裁判例 退職勧奨 裁判例 退職強要 裁判例 退職金 裁判例 大阪高裁 裁判例 大阪地裁 裁判例 大阪地方裁判所 裁判例 大麻 裁判例 第一法規 裁判例 男女差別 裁判例 男女差别 裁判例 知財高裁 裁判例 知的財産 裁判例 知的財産権 裁判例 中絶 慰謝料 裁判例 著作権 裁判例 長時間労働 裁判例 追突 裁判例 通勤災害 裁判例 通信の秘密 裁判例 貞操権 慰謝料 裁判例 転勤 裁判例 転籍 裁判例 電子契約 裁判例 電子署名 裁判例 同性婚 裁判例 独占禁止法 裁判例 内縁 裁判例 内定取り消し 裁判例 内定取消 裁判例 内部統制システム 裁判例 二次創作 裁判例 日本郵便 裁判例 熱中症 裁判例 能力不足 解雇 裁判例 脳死 裁判例 脳脊髄液減少症 裁判例 派遣 裁判例 判決 裁判例 違い 判決 判例 裁判例 判例 と 裁判例 判例 裁判例 とは 判例 裁判例 違い 秘密保持契約 裁判例 秘密録音 裁判例 非接触事故 裁判例 美容整形 裁判例 表現の自由 裁判例 表明保証 裁判例 評価損 裁判例 不正競争防止法 営業秘密 裁判例 不正競争防止法 裁判例 不貞 慰謝料 裁判例 不貞行為 慰謝料 裁判例 不貞行為 裁判例 不当解雇 裁判例 不動産 裁判例 浮気 慰謝料 裁判例 副業 裁判例 副業禁止 裁判例 分掌変更 裁判例 文書提出命令 裁判例 平和的生存権 裁判例 別居期間 裁判例 変形労働時間制 裁判例 弁護士会照会 裁判例 法の下の平等 裁判例 法人格否認の法理 裁判例 法務省 裁判例 忘れられる権利 裁判例 枕営業 裁判例 未払い残業代 裁判例 民事事件 裁判例 民事信託 裁判例 民事訴訟 裁判例 民泊 裁判例 民法 裁判例 無期転換 裁判例 無断欠勤 解雇 裁判例 名ばかり管理職 裁判例 名義株 裁判例 名古屋高裁 裁判例 名誉棄損 裁判例 名誉毀損 裁判例 免責不許可 裁判例 面会交流 裁判例 約款 裁判例 有給休暇 裁判例 有責配偶者 裁判例 予防接種 裁判例 離婚 裁判例 立ち退き料 裁判例 立退料 裁判例 類推解釈 裁判例 類推解釈の禁止 裁判例 礼金 裁判例 労災 裁判例 労災事故 裁判例 労働基準法 裁判例 労働基準法違反 裁判例 労働契約法20条 裁判例 労働裁判 裁判例 労働時間 裁判例 労働者性 裁判例 労働法 裁判例 和解 裁判例

判例リスト「完全成果報酬|完全成功報酬 営業代行会社」(21)平成30年 5月18日 東京地裁 平29(ワ)18681号 損害賠償請求事件

判例リスト「完全成果報酬|完全成功報酬 営業代行会社」(21)平成30年 5月18日 東京地裁 平29(ワ)18681号 損害賠償請求事件

裁判年月日  平成30年 5月18日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平29(ワ)18681号
事件名  損害賠償請求事件
文献番号  2018WLJPCA05188004

裁判年月日  平成30年 5月18日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平29(ワ)18681号
事件名  損害賠償請求事件
文献番号  2018WLJPCA05188004

千葉県浦安市〈以下省略〉
原告 X
東京都中央区〈以下省略〉
被告 Y1
東京都中央区〈以下省略〉
被告 Y2
被告ら訴訟代理人弁護士 森元みのり
宮﨑智之

 

 

主文

1  原告の請求をいずれも棄却する。
2  訴訟費用は原告の負担とする。

 

事実及び理由

第1  請求
被告らは,原告に対し,各自237万5863円を支払え。
第2  事案の概要
本件は,原告が,夫から離婚を求める調停の申立てを受けたことから,弁護士である被告らと委任契約を締結し,原告の代理人として活動してもらったものの,十分な活動を行わず損害を被った旨主張し,被告らに対し,上記委任契約の債務不履行に基づき,上記損害の合計として各自237万5863円の支払を求める事案である。
1  前提事実
以下の事実は,当事者間に争いがないか,後掲証拠及び弁論の全趣旨により容易に認めることができる。
(1)  原告(昭和36年○月生)は,A(同年○月生。以下「A」という。)と,昭和62年3月に婚姻をし,原告の頭書肩書住所地(以下「本件マンション」という。)で同居していたが,平成23年2月11日,Aが本件マンションを出る形で別居が始まった。
(甲32,乙12)
(2)  Aは,平成25年4月25日,千葉家庭裁判所市川出張所(以下,単に「市川出張所」という。)に,原告を相手方として離婚を求める夫婦関係調整(離婚)調停(以下「本件離婚調停事件」という。)の申立てをした。
(3)  被告らは,いずれも東京弁護士会に所属する弁護士である。
被告Y1(以下「被告Y1」という。)はa法律事務所を主宰しており,被告Y2(以下「被告Y2」という。)は同法律事務所に所属しているところ,原告と被告Y1は,平成25年6月14日付けで,原告が被告Y1に少なくともAとの離婚事件について委任する旨の委任契約書(乙1。以下「本件契約書」といい,これに基づき原告と被告Y1との間に成立した委任契約を,以下「本件委任契約」という。)を取り交わした。
(4)  被告らは,原告の代理人として,平成25年6月25日頃,市川出張所にAを相手方とする婚姻費用分担調停事件の申立てをした(市川出張所同年(家イ)第586号。以下「本件婚費調停事件」という。)。
市川出張所は,平成26年1月24日,本件婚費調停事件について,調停に代わる審判をした。
(第2段落につき乙17)
(5)  Aは,平成26年1月17日,本件離婚調停事件の申立てを取り下げ,同年2月6日頃,千葉家庭裁判所に,原告との離婚を求める訴えを提起した(同裁判所同年(家ホ)第25号。以下「本件離婚訴訟」という。)。被告らは,本件離婚訴訟において,第1審の口頭弁論終結時まで,原告(本件離婚訴訟の被告)の訴訟代理人として訴訟追行をしたが,その頃,同訴訟代理人を辞任した。
(6)  本件離婚訴訟においては,離婚原因の有無のほか,財産分与についても争点となった。財産分与対象財産には,原告が居住する本件マンションが含まれており,当時,そのA持分は359分の319,原告持分は359分の40であった。
千葉家庭裁判所は,平成27年11月26日,本件離婚訴訟につき,離婚請求を認容し,財産分与につき,Aが,本件マンションの持分のうち359分の100を原告に移転し,かつ,37万0479円を原告に支払うものとするなどの内容の判決(以下「本件第1審判決」という。)を言い渡した。
(乙12,甲32)
(7)  原告は,本件第1審判決を不服として,訴訟代理人を選任することなく東京高等裁判所に控訴をした(同裁判所平成28年(ネ)第126号)。
東京高等裁判所は,平成28年9月14日,本件第1審判決のうち財産分与に係る判断につき,Aが,本件マンションの持分のうち359分の130を原告に移転し,かつ,4万2920円を原告に支払うものとする旨に変更する判決をした。
(甲21)
2  争点及び当事者の主張
(1)  本件委任契約の債務不履行の有無
(原告の主張)
ア 被告らによる本件委任契約の債務不履行の骨子は次のとおりであり,その主な具体的内容は次のイ以下のとおりである。
(ア) 原告は,被告らに本件婚費調停事件については委任していないのに,被告らは,その申立てをし,期日に出頭するなど,本件婚費調停事件において代理人として活動した。また,並行して行われた本件離婚調停事件において,原告の了解なしにその特有財産を明らかにした。
(イ) 本件離婚訴訟において,委任時の説明に反し,原告の特有財産立証のために必要な調査嘱託の申立てや求釈明を適切に行わず,離婚原因に係る証拠を適切に提出せず,また,本件マンションの評価額の鑑定に関し原告に不適切な説明をするといった不適切な訴訟追行ないし言動をした上,一方的に代理人を辞任した。
イ 原告は,Aが,本件離婚調停事件において,原告による暴力を離婚理由としていることに納得できず,被告Y1の法律相談を受けたところ,被告Y1から,離婚裁判では請求の理由が重要であるため離婚を回避できる,離婚するときには特有財産を主張することや慰謝料請求ができるとの説明を受け,本件委任契約を締結することとした。その後,被告Y2が担当になった旨の連絡を受けた。
しかし,被告Y1に相談に行く前に行った千葉県市川市の法律事務所での法律相談で,離婚調停や婚姻費用分担請求は,代理人を付けなくてもでき,そうするように勧められたことから,原告は,婚姻費用分担調停事件について被告らに委任するつもりはなかった。原告は,平成25年6月17日に送信したメール(乙2)でその趣旨の問合せをしたが,これに対し,被告らは何ら回答せず,かえって,原告に無断で本件婚費調停事件の申立てをしたのである。なお,その後,被告Y2が本件婚費調停事件に原告の代理人として出頭したことに原告が異議を述べなかったのは,その段階では異議を述べるに述べられなかったからである。
ウ 原告は,本件離婚調停事件において,準備書面のような書類が提出されることを知らず,期日において,調停委員から,原告名義財産の一覧表の誤記を指摘されたときに初めて,原告の財産が開示されていることを知った。その際,原告に無断で原告の特有財産も開示された。Aは,本件離婚調停事件に被告Y2が同行するようになった時点では,調停を取り下げて訴訟に移行すると主張していたのであるから,そもそも財産一覧表を提出する必要はなかったのである。
上記特有財産は,婚姻前に形成された当時の三菱銀行心斎橋支店の口座の預金と両親からの贈与金を,Aの勤務先のb証券株式会社(現商号・b1証券株式会社。以下「b証券」という。)に一旦預け,それを原資として,原告名義の有価証券の購入や新生銀行の預金としたものである。上記有価証券については,Aが本件離婚調停事件当時原告の特有財産であることを認めており,新生銀行の預金(形成過程については甲36参照)については,被告Y2が,原告の要求にもかかわらず,特有財産性の立証活動を怠ったものである。被告らは,金融機関における取引履歴の保存期間を問題とするが,原告は,金融機関に勤務していた時の経験上,10年以上前の取引履歴も保存されていることを知っており,文書提出命令によれば開示可能であることを示して同命令の申立てをするなどすべきであったのであって,原告は,そのために被告らに手続を委任したのである。
また,A名義の財産についての調査嘱託の申立ても希望したが,時期や統廃合後の金融機関名について明らかな間違いのある書面案を作成し,原告の指摘にもかかわらず,誤りを訂正しないまま提出し(乙7の3),裁判所への心証を悪くした。
エ 原告の特有財産の立証のため,原告は,Aに対する求釈明をするよう被告らに求めており,被告Y2は,準備書面(5)(甲10。以下,本件離婚訴訟において本件の原告が提出した準備書面については,単に「準備書面(5)」などと略称する。)としてこれを提出したが,この内容で提出することについて原告は了承していない。被告Y2は,準備書面(5)を修正したものを提出する旨原告に連絡しておきながら,修正したものを提出しなかった。
準備書面(5)の作成に先立ち,原告が被告Y2にAへの求釈明事項を連絡し(乙4の2),これに基づき,被告Y2がAの代理人に質問事項を送付した(乙4の3)。この内容に問題はなかったが,準備書面(5)には,乙第4号証の3に原告が意図しない加筆があり,この点が問題である。すなわち,この加筆により,三菱銀行心斎橋支店の口座を意味していた部分がb証券の口座を意味することに変わり,趣旨不明となってしまったため,原告は削除を求めたが(甲30),そのままにされた。また,上記心斎橋支店の口座の履歴についての調査嘱託は,被告らが調査期間と対象を誤って申し立てたため,該当なしと回答されてしまった。このような経緯で,原告の特有財産の立証が不可能となった。
オ 本件離婚訴訟において,原告は,Aの主張に対する反論をするよう求めたが,被告Y2は,必要がないとしてこれをしなかった。反論は,裁判所の指示でするものではなく,相手方の主張に対してするものである。また,被告Y2は,Aの暴力の証拠として原告が被告Y2に提供した写真について,その撮影時期を特定する証拠も,裁判所に提出しなかった。そのため,Aは,上記写真に写る原告のけがが,Aの頭が原告の顔面に当たったことに起因することは認めつつ,いつ撮影されたかが明らかではないと反論したのである。さらに,被告らは,本件委任契約締結当初,娘らの陳述書を提出することになると説明したので,原告及び娘らは,いつ「陳述書を書け。」と言われるかと長期間緊張を強いられたにもかかわらず,今になって,陳述書は不要であったなどと主張しており,無駄な精神的苦痛を長期間与えたものである。
本件第1審判決では,原告がAに暴力を振るった旨の認定はされていないが,これは,被告らの訴訟活動によるものではなく,Aの主張自体によるものである。被告らは,離婚原因に関し,必要な範囲での反論をしていない。
もっとも,原告は,離婚を望んでいなかったので,Aを中傷する主張は望んでいなかった。しかし,原告がAから暴力等を受けたことは事実であり,事実は事実として主張すべきであるとして,被告らにその旨伝えたのである。被告らは,暴力等を受けている原告がどのように関係修復を図ろうとしているかを主張すべきであった。
カ 原告は,本件マンションの取得を強く希望していたが,本件マンションは,A名義の住宅ローンの担保となっており,判決では原告が取得できる可能性は極めて低かった。そのため,和解離婚によりAの持分を買い取ることを見据え,資金調達を検討していたが,本件マンションをより取得しやすくするため,破綻原因がAにあることを立証して慰謝料を認めてもらい,特有財産を立証して原告の財産を増加させることが,本件委任契約において原告が被告に求めたことである。
しかし,被告Y2は,毎回,期日直前に準備書面案を原告に示したため,原告には,主張や証拠の希望を伝える猶予がなく,このことは,被告Y1に相談しても改善されなかった。結果的に,被告Y2は原告の主張を制限した。
キ 本件離婚訴訟において本件マンションの評価額を鑑定するということとなった際の平成26年12月26日,被告Y2は,原告に,予納金について,鑑定はAが申請したもので,実際の予納額は21万円であったのに,50万円を原告が予納すべき旨の誤った説明をした。被告らは,一般論として50万円という金額を説明した旨主張するが,被告Y2は,事案に即した具体的な説明をすべきであり,50万円との説明は誤りである。
また,平成27年3月9日には,被告Y2は,原告に,鑑定人が本件マンション内を確認する際には男性の立会人が必要であり,用意できなければ被告Y2が立ち会うが,その場合費用として5万4000円が必要となる旨説明した。しかし,実際には,男性の立会人など不要で,原告の娘が立ち会った。被告Y2は,この点でも誤った説明をして,原告に日当を支払わせようとしたのである。
ク 原告は,本件離婚訴訟の結審目前の段階で,被告らのこれまでの主張の不備について弁明してもらうため申出書を作成し,被告らを通じて裁判所に提出したが,被告Y2は,平成27年10月1日の結審当日,突然体調不良となって代替弁護士が期日に出頭し,被告らは辞任した。そのため,原告は,被告らに主張の不備を修正してもらう機会を失い,自ら控訴をして,本件第1審判決とは異なる判決を得た。
(被告らの主張)
ア 本件委任契約は,原告と被告Y1との間で締結されたもので,被告Y2は,被告Y1の履行補助者であり,本件委任契約の当事者ではないから,債務不履行責任を負わない。
イ 原告は,被告らに本件婚費調停事件に係る委任をしたことはない旨主張するが,本件委任契約書には婚姻費用分担事件が委任対象として明記されており,本件婚費調停事件申立てに当たっては手続代理委任状が必要で,原告は同委任状を作成しているのであるから,原告が被告らに本件婚費調停事件に係る委任をしていることは明らかである。
このことは,原告が,本件婚費調停事件の期日に被告らと共に出頭しており,審判後には,本件委任契約に定められたとおりの報酬を支払っていることからも明らかである。
ウ 原告は,被告らが原告に無断で特有財産を明らかにした旨主張するが,被告Y2は,原告に,財産一覧表の提出の必要性や全ての原告名義財産を開示する必要性を説明した上で,財産一覧表を提出したものである。同一覧表には,原告が特有財産と主張する財産も含まれているが,特有財産であっても開示した上,特有財産性を別途立証するものであり,隠せばいいというものではない。なお,本件離婚調停事件の段階では特有財産についての議論まで行われておらず,本件離婚調停事件において,Aが原告の特有財産と認めた財産はない。
また,原告の特有財産の主張を立証するため行った調査嘱託の申立てにおいて,対象期間,原告の氏名等に一部誤りがあったことは認めるが,いずれにしろ,昭和60年から平成8年にかけての履歴の調査であり,元々保存期間経過で開示されない可能性が極めて高かった上,現に,回答も,保管期間経過により調査できないというもので,上記誤りは結論に影響しない。調査嘱託に対し上記回答がされているのに,原告が要求するので,被告らは,2つの金融機関に対して文書提出命令の申立てをしたが,裁判所から必要性なしとして却下された。これらの経緯において,被告らの対応に不備はなかった。
エ 準備書面(5)の提出に係る経緯は次のとおりであり,被告らの対応に不備はない。
すなわち,平成27年2月頃,原告がAの勤務先に原告名義の取引に関し度重なる問合せをしていたことから,Aの代理人から質問事項の送付を求められた。そこで,原告からのメール(乙4の2)に基づき,被告Y2が,質問事項を同代理人にファクシミリにより送信した(乙4の3)ところ,同代理人から,本件離婚訴訟内で求釈明の申立てをするよう求められた。
その後の上記代理人とのやり取り等から,被告Y2としては,本件離婚訴訟内での求釈明の申立てには消極的であったが,原告が聞き入れないため,平成27年6月18日付けで準備書面(5)を作成し,提出した。その際,原告の上記メールを文章化しただけのものなので,原告に改めて確認を求めなかったところ,同月20日,原告から,準備書面(5)を修正したファイルが送付された。被告Y2は,既に提出したものと概ね変わらないため,修正版の提出は不要と考えていたが,原告が,Aが求釈明に回答しないのは修正版を提出しないためであると不合理な主張をするため,同年7月7日付けで,修正版を提出する旨伝えた。もっとも,同月14日に予定されていた原告本人尋問や裁判所から提出を求められていた書面の作成を先行して行うなどしたため,結果的に,修正版は提出されないままとなった。
オ 被告Y2は,原告から,Aによる暴力の証拠として写真を交付され,その後,撮影時期を明らかにするものとして写真のネガの交付も受けたが,同ネガによっても,幅のある期間内に撮影されたものであることしか分からないため,同ネガは証拠として提出せず,上記写真の証拠説明書に,撮影された大体の時期を記載するに留めた。原告の娘らの陳述書については,被告らにおいて提出する旨を説明したことはないし,提出の必要はなかった。
本件離婚訴訟において,原告は,離婚原因は存在せず婚姻関係は破綻していないと主張しつつ,他方で,Aの暴言,暴力やAを中傷する内容を書面に記載することを希望した。被告らは,原告の希望するままに主張の応酬を続ければ,裁判所に夫婦関係が破綻しているとの心証を抱かせる可能性が高いため,離婚原因に関する反論は控えた。裁判所からも,反論は求められなかった。
カ 本件マンションの評価額の鑑定に係る経緯は,次のとおりである。
本件離婚訴訟において,上記評価額については,原告とAの主張の差が270万円しかなく,裁判所から中間値での合意が打診されたところ,Aはこれを了承したが,原告は強く拒否した。そこで,被告Y2は,中間値での合意を拒否するなら鑑定を申し立てるしかなく,鑑定になれば一般的に費用が50万円程度かかる,この金額は鑑定を希望する原告が一旦予納する必要があることを説明した。もっとも,原告が予納も拒否したため,Aが鑑定申立てをし,鑑定費用を予納した。
平成27年3月6日,被告Y2に,本件離婚訴訟の担当書記官から,鑑定人が本件マンションに赴くに当たり代理人の同行を希望しているとの連絡があった。そこで,被告Y2は,そのことを原告にそのまま伝え,本件委任契約上,代理人が同行すれば日当5万4000円が発生すると伝えたところ,原告は,その支払を拒んだ。被告Y2は,原告の意向を踏まえて裁判所と交渉し,その過程で,男性であれば代理人でなくてもいいという話があり,これを原告に伝えたことはあるが,最終的に,原告の娘を立会人とすることでまとまった。被告Y2は,事実をそのまま伝達しただけであり,原告としても結局一切の出捐なく終わっている。被告Y2には,事実に反する内容を伝える動機が全くない。
キ 被告らは,本件離婚訴訟の第1審口頭弁論終結時に原告の訴訟代理人を辞任したが,これは,原告が被告の訴訟活動を非難する内容の「申出書」と題する書面を作成し,被告らを通じて裁判所に提出するよう要求したことで,これ以上原告との信頼関係を築くことは困難であると判断したためであり,やむを得ないことであった。
(2)  原告に生じた損害
(原告の主張)
被告らの債務不履行の結果,原告には,次のとおり合計237万5863円の損害が生じた。
ア 被告ら以外の弁護士への法律相談の相談料 1万8000円
原告は,被告らの説明が正しいかどうかを判断するため,法律相談に行き相談した。そのうち,市川浦安法律相談センターでの法律相談5回分として1万8000円を支払ったが,これは,被告らの債務不履行と相当因果関係のある損害である。
イ 上記アの法律相談のための交通費 2420円
ウ 書面等の確認のために千葉家庭裁判所に赴いた交通費 3060円
エ 紛議調停に要した交通費 1920円
原告は,平成27年11月24日,被告らを相手方として東京弁護士会に紛議調停を申し立て,その手続のために弁護士会館まで赴いた。
オ 上記ア,ウ及びエのために欠勤したことによる収入減 4万6800円
原告は,上記ア,ウ及びエのために,合計13日間,欠勤をしなければならなかった。これによる収入減は,1日当たり3600円(時給900円×4時間)で,合計4万6800円である。
カ 特有財産を証明できなかったことによる財産減少 110万4393円
被告らの債務不履行がなければ,原告の特有財産として,新生銀行預金107万8586円,有価証券73万0200円,本件マンション購入時頭金40万円の合計220万8786円が原告の特有財産と認められたはずである。したがって,この2分の1の額が被告らの債務不履行による原告の損害となる。
キ 本件婚費調停事件の成功報酬分 18万5024円
被告らが原告の意に反して申し立てた本件婚費調停事件に関して原告が支払った成功報酬分は,被告らの債務不履行による原告の損害である。
ク 未返還の郵券 7896円
本件婚費調停事件及び本件離婚訴訟のために被告らに預けた郵券のうち,7896円分が未使用であるのに未返還である。
ケ 治療費 6350円
被告らの債務不履行により,原告は心身に不調を来し,医療機関を受診した。その費用である。
コ 慰謝料 100万円
被告らの債務不履行により,原告は,訴訟上の不利益を被ると同時に,精神的に非常に大きな不安や苦痛,身体的不調が生じた。これによる精神的損害は100万円とみるのが相当である。
(被告らの主張)
原告の損害の主張は,全て否認ないし争う。
被告らが原告に対して負担すべき金銭債務はない。かえって,原告は,未返還郵券分を控除してもなお1万1588円の実費を滞納している。また,本件婚費調停事件の報酬を除き,一切の報酬を受領しておらず,今後も請求する意思はない。
第3  当裁判所の判断
1  前記第2の1の前提事実に加え,後掲証拠及び弁論の全趣旨を総合すれば,以下の事実を認めることができる。
(1)  原告(昭和36年○月生)とA(同年○月生)とは,昭和62年3月に婚姻をし,両者の間には,昭和63年及び平成2年にいずれも女児が出生した。そして,平成8年に購入した本件マンションで,家族4人で生活していた。
しかし,やがて,原告とAとの婚姻関係は悪化していき,Aは,平成22年,原告を相手方として,市川出張所に夫婦関係調整(離婚)調停の申立てをするに至ったが,この調停は,同年12月3日,不成立となった。
(乙12)
(2)  Aは,平成23年2月11日,本件マンションを出て原告と別居するようになり,平成25年4月25日,市川出張所に本件離婚調停事件の申立てをした。
原告は,平成25年6月12日の本件離婚調停事件の期日に一人で出頭したが,同期日における裁判官ないし調停委員の説明に納得できず,また,離婚したくないという思いもあったことから,千葉県市川市の法律事務所で法律相談を受けた。しかし,同法律相談の内容にも納得しかねたことから,同月14日,a法律事務所において被告Y1の法律相談を受けた。この際,原告は,「離婚に関する陳述書(相手方用)」を作成して被告Y1に交付した。これには,① Aの離婚条件は,財産分与について,本件マンションの売却益約2000万円からローン残約1000万円を控除した残額と預貯金を半分ずつ分ける,慰謝料として100万円の支払を求めるが,原告が非を認めるなら取り下げるなどというものであるが,申立て内容には全く納得していないので,離婚には同意できない,離婚が避け難いということであれば,本件マンションの売却は絶対に回避したいこと,② 本件離婚調停事件の前回期日では,調停委員から,預金の分与を放棄し,慰謝料を含めた財産分与の形で,本件マンションのローンを原告が肩代わりする代わりに本件マンションを取得することにしてはどうかと説明されたこと,③ 上記②の条件で離婚してもいいかと思う一面もあるが,申立て内容は全く納得できず,慰謝料についてどう考えればいいか分からない,などの記載がある。
原告は,同じ平成25年6月14日,本件委任契約書を作成し,被告Y1と本件委任契約を締結した。本件委任契約書には,「第1条(事件等の表示と受任の範囲)」の「①事件等の表示」欄に「離婚・婚姻費用分担」と記載されているほか,「第8条(特約)」には,「婚姻費用の報酬は,入金の都度10%+消費税を2年間支払うものとする。」と記載されている。
(甲3,4,37,乙1)
(3)  平成25年6月17日,原告は,被告Y1に宛ててメールを送信した。これには,同日中に着手金を送金する予定である旨のほか,上記(2)の本件離婚調停事件の期日の状況ないし調停委員からの指示内容,それに係る質問等が記載され,財産分与の関係で預金の分割に同意した場合には後にこれを変更することはできないのか,「変更できるのであれば 2回目の調停には 担当の弁護士先生には 付いてきて頂かないで 1回目の調停の際の『 別居二年(調停中を含め三年)で離婚が認められる可能性が高いので 単純にマンション売却益 預金 年金を二分の一で分けてしまうより 有利な条件で調停を成立させた方が得だ』という説明は 理解できたが 自分としては『有責者だと思っている夫』の都合(相当の別居期間)に合わせて 調停を進めることに 感情的にどうしても 納得できない 婚姻費用の分担もしてもらえると 弁護士さんには確認した ので そこもはっきりして欲しいという事にとどめて 帰ってこようかな? と思うんですが如何でしょうか」などとも記載されている。なお,原告は,同日,被告Y1の指定口座に着手金を送金した。
上記メールに対する返信は特にないまま,原告は,平成25年6月24日,被告ら及びa法律事務所所属のB弁護士(以下「B弁護士」という。)と面談をした。そして,翌25日,被告ら,B弁護士等a法律事務所所属弁護士は,原告作成の手続代理委任状を添付して,市川出張所に本件婚費調停事件の申立てをした。
(乙2,26)
(4)  原告は,平成25年9月11日,被告Y2及びB弁護士と共に本件婚費調停事件の期日に出頭した。同日は,本件離婚調停事件の期日も並行して行われており,このような期日は,同年10月及び11月のほか,平成26年1月17日にも行われ,いずれも,原告は,a法律事務所所属弁護士と共に出頭した。そして,同日の期日の頃,原告及びAは,市川出張所に対し,本件婚費調停事件につき,調停に代わる審判に服する旨の共同申出書を提出した。これを受け,市川出張所が,双方に上記審判案を送付して内容の確認を求めたため,被告Y2は,これを原告にメールで送信して確認を求め,その際,確認の上で審判が出されると不服申立てはできない旨を付記した。原告は,同審判案に特に意見を述べなかった。
市川出張所は,平成26年1月24日,本件婚費調停事件が申し立てられた平成25年6月以降,Aが原告に支払うべき婚費は月額7万円が相当である旨認定し,同年12月分までの未払い分を平成26年2月末日限り,同年1月分以降は毎月末日限り支払うべきものとする,上記審判案と同内容の調停に代わる審判をした。被告Y2がこの審判をメールで送信すると,原告は,「内容は確認いたしました ありがとうございました」などと記載したメールを返信した。そして,その後,原告は,本件委任契約書記載のとおり,本件婚費調停事件の報酬を被告Y1に支払った。
(甲37,乙17,22,23)
(5)  本件離婚調停事件については,財産分与について一定の資料のやり取り等がされることはあり,双方の財産一覧表も提出されたが,Aが,平成26年1月17日にその申立てを取り下げ,直後の同年2月6日頃,千葉家庭裁判所に本件離婚訴訟を提起した。
被告らは,本件離婚訴訟について原告の訴訟代理人となり,平成26年4月24日の口頭弁論期日に向けて,同年3月25日,被告Y2が原告に,準備書面(1)の案を送信した。この際,被告Y2は,メール本文に,「最終的には離婚するつもりであっても,こちらとしては時間をかけて争った方がいいかと存じますので 初めは離婚拒否の主張を致します。」,「訴訟が進行した段階でおそらく和解の話が出されるかと存じます。自宅マンションを取得することを希望するのでしたら,その段階で,ローンを一括返済し,マンションの名義をXさんに移転する内容での和解をすることを検討することになるかと思います。別居期間が3年を経過しており,お子さんたちも成人していらっしゃるので,判決になれば離婚が認められる可能性は高いかと存じます。判決になれば,Xさんがご自宅を取得することは難しいかと存じますので,マンションの取得を希望されるのであれば,どこかの段階で和解離婚をするのがXさんにとって,最善ではないかと考えております。」などと記載した。
(乙6の1,乙8,26)
(6)  本件離婚訴訟において,Aは,離婚原因として原告による暴力,暴言等を主張した。これに対し,被告Y2は,離婚を拒む原告の意向を踏まえ,Aの主張する原告による暴力,暴言等を否定するとともに,むしろAによる暴力,暴言等があり,仮に婚姻関係が破綻しているとしてもAは有責配偶者であると反論し,また,原告としては,婚姻関係修復のために努力している旨を準備書面(1)及び(2)において主張した。
この間の平成26年6月3日,被告Y2は,原告に,同日の期日の報告を含むメールを送信した。このメールで,被告Y2は,裁判官から和解の意向につき聞かれたが,今のところ離婚には応じられない旨を伝えたほか,Aの請求内容に財産分与の申立てがないため,仮に離婚が認められる場合に備えた財産分与及び年金分割の請求をすることの諾否について回答を求め,併せて,本件マンションを取得するためには,Aが譲歩しない限り1000万円程度が必要になるとして,念のため1000万円を同年10月ないし11月頃までに準備しておいてほしい旨を記載した。
(乙13の1,乙18,20)
(7)  その後,原告は,本件離婚訴訟において,Aの離婚請求認容に備えた予備的申立てとして,財産分与及び年金分割を求める申立てをした。
これに伴い,財産分与に関する主張立証が行われたが,原告は,本件マンションの購入代金について,440万円を自らの特有財産から支出したものと認識しており,Aが特有財産から支出したとする500万円については,婚姻後に形成された財形貯蓄を原資とするものでAの特有財産には当たらないと認識していた。原告がこの認識を被告Y2に伝えたところ,被告Y2は,平成26年9月22日,同年10月7日の期日に向けて提出予定の準備書面(3)の案を送付するメールの本文において,財産分与として本件マンションの名義変更を求めているが,ローンが残っている以上,かなり無理のある内容となっている,現実的には,本件マンションの取得には,資金を調達してローンを一括返済するより方法がないと思われる,本件マンションの頭金440万円の資料がほしい,既に渡された資料には,頭金として原告が440万円を負担したことと共に,Aが500万円以上を支出した旨も記載されており,原告に不利な面もあるため,婚姻前の口座から440万円を引き出している客観的資料があるとよいなどと記載した。また,被告Y2は,同年9月24日の原告へのメールにおいて,Aに係る上記頭金500万円の原資が夫婦共有財産であることの資料がないと,A支出の頭金は夫婦共有財産が原資であるが,原告支出の頭金は特有財産であるとの主張はしづらい旨を指摘し,併せて,このまま和解離婚に応じなければ,判決で離婚が認められる可能性が高く,控訴審まで続くことになる,そのメリットは,離婚請求棄却の可能性にかけるという点にあり,棄却されれば,Aにローンを支払ってもらい本件マンションに住み続けられる,デメリットは,離婚が認められ,本件マンションはA名義になる可能性が高いことである,和解離婚の場合は,メリットは,代償金が必要であるが本件マンションを取得できる点で,デメリットは,1000万円程度の支出をしなければならず,離婚が成立することである旨の説明を記載した。
(甲37,乙6の3,乙12,13の2,乙26)
(8)  また,原告は,別居時に原告名義の財産として存在した新生銀行の預金107万8586円についても,婚姻前に形成された原告の財産に由来するもので,原告の特有財産に当たるものと認識していた。すなわち,原告は,被告Y2に,婚姻前に当時の三菱銀行心斎橋支店の口座からb証券に開設した口座に入金した資金140万円が,当時の三和銀行及びゆうちょ銀行を経て,平成18年9月11日に新生銀行に入金されたものと説明した。しかし,被告Y2は,原告の上記説明は客観的裏付けを欠く旨の指摘を繰り返し,平成27年1月8日に同月20日の期日のために提出予定の準備書面(4)の案を送信したメールでは,b証券の元帳によれば,上記140万円の他にも頻繁に入出金があり,それを原告が把握していないとなると,夫婦共有財産が混同していることになり,そこから動かした資金による預金が特有財産とは認められない,主張しても認められる可能性は非常に低いがどうするか,準備書面(4)には,そのような事情から新生銀行の預金の特有財産性について特に言及はしていない旨の説明を記載した。また,このメールでは,本件マンションの頭金についても,三和銀行の原告名義の口座から400万円が不動産業者に振り込まれているが,その原資が原告の特有財産であるとは言い切れないとして,400万円全額が特有財産として考慮されることはおそらくないと思われる旨も記載されている。
(甲24,25,37,乙6の4)
(9)  本件マンションの評価額については,原告とAがそれぞれ査定をしたところ,両者の査定価格には270万円の開きがあった。千葉家庭裁判所は,平成26年12月11日の期日において,両者の査定価格での中間値での合意の可否を尋ねたが,原告は,自分の提出した査定価格は,業者が本件マンションを内覧した上で出されたものであり,A提出の査定価格より正確であるとの考えから,中間値での合意を拒否した。被告Y2は,本件マンションの評価額について合意しないと,原告が鑑定を申し立てて評価額を明らかにする必要がある,その場合,鑑定料としては50万円程度かかり,予納金の納付が必要である旨を説明し,上記中間値での合意を改めて勧めた。
しかし,原告は,中間値での合意をあくまで拒否し,かつ,予納金の負担を必要とする鑑定の申立ても拒否した。そのため,Aにおいて鑑定の申立てをし,予納金21万円を負担したことから,同申立てによる鑑定が採用され,鑑定人が選任された。そして,鑑定人が本件マンション内部を確認するに当たり,被告Y2は,千葉家庭裁判所からの連絡を受け,自ら立ち会う前提で,原告に対し,本件委任契約に基づき日当5万4000円が発生する旨を連絡した。これに対し,原告が上記日当負担を拒否したことから,被告Y2は,同裁判所と調整をし,最終的に原告の娘を立会人とすることになったが,その過程で,男性の立会人の検討も依頼したことがあった。
なお,上記鑑定の結果,本件マンションの評価額は2100万円と査定された。
(甲14,32,37,乙12,26)
(10)  以上のような経緯から,原告は,平成26年12月頃から,被告らに対する不信感を徐々に募らせていた。
原告は,被告Y2に対し,特有財産に係る立証のため更に調査をするよう求め,被告Y2は,本件離婚訴訟において,平成27年2月23日付けで,b証券本店営業部に,既に開示済みの分より前の昭和59年12月27日から平成7年3月31日までの原告の顧客勘定元帳の開示を求める調査嘱託の申立てをし,同年3月25日付けで,三菱東京UFJ銀行(現・三菱UFJ銀行)心斎橋支店及び塚口支店(ただし,心斎橋支店は旧三菱銀行,塚口支店は旧三和銀行の趣旨)に昭和62年1月1日から平成8年12月31日までの原告ないしその両親の取引履歴についての調査嘱託の申立てをした。もっとも,上記調査嘱託対象期間には原告の婚姻前の期間が含まれており,原告は,平成27年2月13日に被告Y2に送信したメールで,婚姻後改姓手続をしていない口座がある旨も伝えていたが,いずれの申立書においても,原告の旧姓は記載されていなかった。また,被告Y2は,同年3月14日に原告に送信したメールで,上記心斎橋支店の口座につき,昭和60年以降の取引履歴の請求をする件を承知した旨記載していた。
これに対し,b証券は,保存年限を過ぎており開示不能である旨回答し,三菱東京UFJ銀行心斎橋支店は該当なしである旨回答し,同銀行塚口支店は,原告の両親名義の普通預金口座の存在は確認できたが,いずれも調査可能期間の10年を経過しているため,取引履歴及び取引内容は調査不能である旨回答した。
(甲13,33,34,35の1及び2,甲37,乙3の1及び2)
(11)  原告は,b証券に対し,本件離婚訴訟における調査嘱託手続とは別に,直接,取引に係る確認を求める問合せを重ねていた。そのため,平成27年3月2日,Aの代理人が被告Y2に対し,Aにおいて,原告による上記問合せが,Aの勤務先であるb証券に対する営業妨害ではないかと困惑しており,代理人を介したやり取りにしてほしい旨を連絡した。
これを受け,被告Y2ないしB弁護士は,原告の意向を確認の上,平成27年4月2日,Aの代理人に対し,「①X氏とA氏が交際中であった昭和59年12月に,同僚分と併せて中国ファンド買付分を銀行からb証券の口座に送金した。送金のため口座を開設したがX氏は,A氏より後日手続きに必要と言われ,通帳と印鑑を渡したが,返却されていない。X氏自身はその後,銀行との取引が一切無いので,残金を引き出される等の問題があるとも思えなかったので,特に気に留めずにいたが,どの様な手続きの為に通帳等が必要であったのか。また,その後通帳等はどうしたのか。」などb証券に係る13点に上る質問事項を連絡した。
これに対し,Aらの代理人は,平成27年4月2日,本件離婚訴訟において求釈明するよう求め,原告もそれを望んだが,被告らは,同年5月1日,Aの代理人に対し,本件離婚訴訟に直接関連しない事項も含まれているため訴訟外での回答を求める旨連絡し,原告には,単に「求釈明は行っている」旨連絡した。しかし,Aの代理人は対応を変えず,原告も,本件離婚訴訟における求釈明を求めるとともに,b証券は平成7年4月1日より前の取引履歴を保存しているはずだという認識の下,求釈明がだめなら文書提出命令の申立てをしてほしい旨求めたため,被告Y2は,平成27年6月8日,原告に対し,本件離婚訴訟における争点は離婚原因であり,財産分与は予備的な主張であるところ,上記質問事項は,離婚とは関係なく,b証券の従業員としてのAに対する質問事項がほとんどと思われる,これらは,離婚の許否はもとより財産分与の額の増減に係る事情でもなく,求釈明してもAが答えなければそれまでで,裁判所には訴訟遅延行為ととられる可能性もあるなどと,求釈明をすることのデメリットを説明した上,それでも希望するなら求釈明をする旨伝え,文書提出命令については,希望するなら申し立てるが,調査嘱託の回答が出たため,財産分与に関する主張の早期整理を強く求められており,申立てが必要なものについて今週中に連絡してほしいなどと伝えた。
(甲37,乙4の1から5まで,乙26)
(12)  結局,原告が本件離婚訴訟内でのAに対する求釈明を求めたため,被告Y2は,平成27年7月14日の期日に予定されていた本人尋問の準備と並行して同年6月18日に準備書面(5)を作成し,原告に送信した。被告Y2としては,上記(11)でAの代理人に送付した質問事項を,より分かりやすい表現にするなどしたほかは,基本的にそのまま準備書面化したものとの認識で,原告による確認を待つ必要はないと考え,翌19日,そのまま裁判所に提出した。この準備書面(5)には,「1 原告と被告が交際中であった昭和59年12月に,被告は,中国ファンド買付分の金額を銀行からb証券の口座に送金し,中国ファンドの買付を原告に一任した。被告は,送金のため口座を開設したが,原告より後日手続きに必要と言われ,同口座の通帳と登録印鑑を渡したが,未だ返却されていない。被告自身はその後,銀行との取引が一切無いので,残金を引き出される等の問題があるとも思えなかったので,特に気に留めずにいたが,本件訴訟内において同口座の勘定元帳を確認したところ,被告の把握していない取引が多数なされていることが発覚した。原告において,どの様な手続きの為に通帳等が必要であったのか。また,その後通帳等はどうしたのか,明らかにされたい。」(下線部は当裁判所追記。以下「準備書面(5)追記部分」という。)などの求釈明事項が記載されている。
また,被告Y2は,準備書面(5)の作成に先立つ平成27年6月9日,Aへの損害賠償請求の可否等原告からの多数の質問に答えるメールを原告に送信し,このメールに対する更なる質問のメールにも答えていたが,原告の質問が途切れないため,同月10日,事務所への来所を勧めるメールを送信した。しかし,その後も原告からのメールによる質問は,b証券に対する文書提出命令のことも含めて続いた。
(甲10,11,37,乙6の5,乙10の1から4まで,乙26)
(13)  同じ頃,被告Y2は,財産一覧表についても原告とやり取りをしており,本件マンションに係る特有財産の記載につき,原告の指摘により誤りを修正したこともあった。また,平成27年6月25日には,新生銀行の預金の形成過程に係る説明を整理したメールも送信し,その際,自分としては特有財産と信じているが,これを開示したことが良かったのか疑問を感じている旨を記載した。並行して,原告は,準備書面(5)について,誤記があり訂正を求める旨を被告Y2に連絡した。
しかし,尋問期日に備えた打合せを予定していた日の前日である平成27年7月2日,原告は,被告Y2に対し,自分の依頼や主張への理解が乏しい理由が分からない,作成書類の間違いの多さの理由も分からない,このような状況での尋問の準備は無意味である,口頭で説明されても理解できないのでメール等の文章で説明してほしい,返答ない限り財産一覧表の提出には同意しないなどと記載したメールを送信した。これに対し,被告Y2は,その日の夜,原告の質問等に回答するメールを返信し,長文のメールを何通も送られても,迅速に返信するには限界がある,メールではどうしても認識に差異が生じたり誤解が生じたりするので,今後は基本的に電話か打合せで話をさせてほしい旨を付記した。
なお,被告Y2は,平成27年7月7日,b証券等に対する文書提出命令の申立書の案を送信する際,原告に対し,準備書面(5)に誤記があったとして,裁判所に訂正を申し入れる旨付記したが,同月10日,Aから,準備書面(5)による求釈明は,本件離婚訴訟との関連性が不明であることのほか,原告の憶測や単なるうわさ話に基づくものも多いことを理由に,回答できないとする準備書面が提出されたこともあり,結局,上記訂正の申入れはされなかった。
(甲9の1及び2,甲12,28,29,36,37,乙5,10の5,乙26)
(14)  平成27年7月14日,本件離婚訴訟において原告とAの各本人尋問が実施された。被告Y2は,原告の意向を受けて,これに先立つ同月9日付けで,b証券,三菱東京UFJ銀行心斎橋支店,同銀行塚口支店等の原告,その両親等の名義の口座に係る原告婚姻前後の期間を含む取引履歴について,文書提出命令申立書を提出した(以下,これによる文書提出命令の申立てを「本件文提申立て」という。)。これに対し,Aは,本件文提申立てを却下するよう求める意見書を提出し,千葉家庭裁判所は,事前に却下見込みである旨を被告Y2に伝えた上,平成27年10月1日の期日においてこれを正式に却下した。
本件文提申立てが却下されると聞いた原告は,平成27年9月25日付けで「申出書」と題する書面を作成し,その頃,これを千葉家庭裁判所に提出した。同書面には,被告らの代理人としての活動に対する強い不満が記載されている。
被告Y2は,これまでの経緯を踏まえ,口頭弁論が終結される予定であった平成27年10月1日の期日までは訴訟代理人として対応し,最終準備書面として準備書面(7)を,原告にも確認の上で作成,提出した。そして,被告らは,同期日後,本件離婚訴訟における原告の訴訟代理人を辞任し,現在,報酬請求権を放棄する旨の意思も表明している。
(甲7,37,乙6の7,乙9,19,26)
(15)  平成27年11月26日に言い渡された本件第1審判決は,原告とAとの婚姻関係の破綻を認め,これを否定する原告の主張については,別居期間が相当長期間に及んでいる上,別居後,互いに婚姻関係修復に向けて真摯に努力してきたとは認められないとして排斥し,また,Aによる暴言,暴力を理由にAが有責配偶者であるとする原告の主張については,認めるに足りる証拠がないとして排斥して,Aの離婚請求を認容する一方,婚姻関係破綻はいずれか一方の責めに帰すべき事由によるものとは認められないとして,慰謝料請求は棄却した。
財産分与については,まず,本件マンションにつき,鑑定の結果に基づき評価額を2100万円と認めた上,その購入価格が3590万円であるところ,400万円が原告名義の三和銀行の口座から不動産業者に送金されていること,その送金以前に原告の母親から200万円,婚姻前に開設されたb証券の原告名義口座から203万円余が上記三和銀行の口座に送金されていることのほか,本件マンションの原告の持分が359分の40であること,Aが本人尋問で原告も頭金を出したことを認めていることなどに照らして,上記購入価格のうち400万円は原告の特有財産から支出されたものと認めたが,原告が別途現金で支払ったとして特有財産性を主張する40万円については,認めるに足りる証拠がないとした。他方,Aが特有財産として主張していた計300万円(両親から購入時に援助を受けた200万円及び繰上げ返済のために援助を受けた100万円)については,認めるに足りる証拠がないとした。また,新生銀行の原告名義の預金については,原告の特有財産である旨の主張を認めるに足りる証拠がないとして,別居時の残高とされる107万8586円について財産分与対象財産と認定された。
このような認定判断を前提に,本件マンションの財産分与対象部分は評価額の88.86%(≒(3590万円-400万円)÷3590万円)相当部分であるとし,本件マンションを原告に取得させるのは相当ではなく,Aも取得を望んでいないとして,本件マンションのA持分のうち359分の100及び37万0479円をAから原告に分与させるものとした。
(甲32,乙12)
(16)  本件第1審判決に対し,原告が,訴訟代理人を選任することなく自ら控訴をした。控訴審においては,平成28年4月13日に口頭弁論が終結され,同年9月14日,判決が言い渡された。この判決では,控訴審における原告の新主張としては,婚姻関係破綻についてのAの有責性に関し,Aによる悪意の遺棄の主張が付加されたのみであり,判断の理由については,財産分与を除く部分は本件第1審判決をほぼ引用し,財産分与部分については,本件マンションに係る財産分与対象部分はA持分部分に限定されるとする点を本件第1審判決と異にするものの,その余はほぼ同旨の認定判断を示して,結論として,上記A持分のうち359分の130を原告に分与するとともに,Aが原告に4万2920円を支払うべきものとした。
(甲21)
2  争点(1)(本件委任契約の債務不履行の有無)について
(1)  原告は,本件婚費調停事件については被告らに委任していない旨主張し,同旨の陳述(甲37)をする。
しかし,上記1(2)から(4)までに認定したとおり,原告は,委任事項や報酬について婚姻費用に係る記載が明記された本件委任契約書を作成して本件委任契約を締結したものであり,本件婚費調停事件の申立てにおいては,原告作成の手続代理委任状が添付されていたもので,本件婚費調停事件の期日には,原告は,被告Y2やB弁護士と共に立ち会っており,さらに,そのような経緯を経て出された調停に代わる審判を受け入れ,その後,本件委任契約書記載のとおりに報酬を被告Y1に支払っているのである。
このような事実を考慮すれば,本件婚費調停事件については委任していないという原告の陳述を採用することはできない。原告は,平成25年6月17日に送信したメール(乙2)は,婚姻費用分担調停事件については委任するつもりがないものとして問合せをした趣旨である旨主張するが,同メールがそのような趣旨であるとは,社会通念上認め難い。他に本件婚費調停事件については委任していないという原告の上記主張を認めるに足りる証拠はない。
なお,原告は,本件離婚調停事件において特有財産(新生銀行の預金)を勝手に開示された旨も主張し,同旨の陳述(甲37)をするが,原告の陳述は,上記説示のとおり採用し得ない部分があるほか,本件離婚訴訟においては,上記1認定のとおり,被告Y2は提出書面について逐一原告に確認をしていることに照らしても,原告の上記陳述により上記主張の事実を認めることはできない。そもそも,別居時に存在した原告名義の財産である以上,開示すること自体は相当であったといえ,本件離婚調停事件で開示しなかったとしても,本件離婚訴訟で財産分与が問題となった時点で開示すべきものであったといえるのであるから,いずれの観点からも,原告の上記主張は採用することができない。
(2)  原告は,本件離婚訴訟において,被告らが原告の特有財産立証のために必要な手続を適正に行わなかった旨主張する。
しかし,原告が固執するb証券,三菱東京UFJ銀行心斎橋支店及び同銀行塚口支店への調査嘱託の申立て及び本件文提申立てについては,b証券及び同銀行塚口支店において,調査嘱託に対し,原告の婚姻前後の時期のものについては保存期間経過を理由に開示不能ないし調査不能と回答しているのであり,この回答は,口座名義や支店によって変わるものとは認め難い。原告は,文書提出命令が出されれば開示されたはずである旨の主張もするが,裁判所が同命令を出すには,前提として,文書の所持者とされる者が当該文書を所持していることを認定する必要があるところ,調査嘱託に対する回答が上記のようなものであるにもかかわらず,千葉家庭裁判所がそのような認定をする可能性があったとは認め難く,原告の上記主張は,前提を欠くものというべきである。
そうすると,b証券,三菱東京UFJ銀行等への調査嘱託や文書提出命令の申立てに関し原告が縷々述べる主張は,いずれも,本件離婚訴訟の結論に影響しない事項に関するものといえ,ひいて,これらの申立ての必要性が高かったとはいえず,被告らが上記申立てに関し消極的な対応や誤記のある書面の提出をしたからといって,本件委任契約の債務不履行と認めることはできない。もとより,被告Y2作成書面には複数の誤りが存在したことは被告らも自認するところであり,上記1認定の事実によれば,そのような誤りが生じたことについて被告Y2に弁解の余地がないものもあるといえるのであり,原告が被告らに対する不信感を募らせていったこともやむを得ない面があるとはいえる。この点は,被告らにおいて十分に反省すべきところではあるが,上記申立ての意義が上述のとおりであることからすれば,この点をもって本件委任契約の債務不履行(少なくとも,原告に何らかの賠償を要すべき損害を生じさせる債務不履行)と認めることはできない。
(3)  原告は,Aへの求釈明事項を準備書面化するに当たり,被告Y2が準備書面(5)追記部分を付加したことなどが問題である旨主張するが,上記1認定の事実によれば,仮に準備書面(5)追記部分の付加がなくても,Aの回答内容,すなわち原告の求釈明には応じない旨の回答は同じであったと推認される。また,準備書面(5)追記部分にある「同口座」は,日本語的には送金のために開設された三菱銀行心斎橋支店の口座を指すものと解され,その勘定元帳を確認したら原告の把握していない取引が多数行われていることが発覚したという事態はなかったことから,準備書面(5)追記部分は,事情を知らない者が読んだ場合には原告が指摘するように趣旨不明の付加といえる余地もある。しかし,通帳等の所在を問題とする口座が上記心斎橋支店の口座であることは,準備書面(5)追記部分付加後も文脈上理解可能であるといえる上,従前の経緯を知るAないしその代理人が趣旨を理解し得なかったとは認められず,いずれにしろ,少なくとも被告Y2において,意図的に趣旨不明にしたものではないと認められることからすれば,準備書面(5)追記部分の付加につき本件委任契約の債務不履行に当たるということはできない。他に準備書面(5)の作成,提出につき,上記債務不履行に当たる事実を認めるに足りる証拠はない。
(4)  原告は,本件離婚訴訟における離婚原因について,被告らが適切な主張立証をしなかった旨主張し,同旨の陳述(甲37)をする。
しかし,原告は,元々,Aの主張する離婚原因に当たる事実はなく,離婚には応じられないというのが基本的方針であった一方,本件マンション取得のため,Aの慰謝料支払義務が認められるような事実の主張立証を求めていたというのであり,このような原告の意向に沿った訴訟追行活動をすることはそもそも極めて困難を伴うものであったといえる。訴訟代理人たる弁護士の訴訟活動については,本人の意向を踏まえつつ一定の裁量が認められるべきものといえるが,本件における上記のような事情も考慮すれば,原告の上記陳述により,本件離婚訴訟における離婚原因に係る被告らの行為に債務不履行に当たるべきものがあったと認めることはできず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。
(5)  原告は,本件マンションの評価額の鑑定に際しての被告Y2の説明等について,誤りがあるなど不適切な点があった旨主張し,同旨の陳述(甲37)をする。
しかし,上記1認定の事実によれば,上記鑑定は,本来,財産分与の申立てをした原告から申請するのが実務的には一般的であり,被告Y2が,これを前提に,原告に予納金の負担が生ずる旨の説明をしたことに特に不合理な点はない。また,その金額についても,事案により様々であり,裁判所から示されない限り代理人には知り得ないものである一方,何らの目安的金額も示さずに依頼者に予納金の負担が生ずる旨の説明をするにとどめることが相当ともいえず,一般論的に50万円という金額を示したことが不合理ないし誤った説明であったということはできない。鑑定人内覧時の立会人の件についても,被告Y2があえて原告に日当を支払わせようとしたという原告の主張を裏付ける的確な証拠はなく,また,そのように推認する合理性があるともいえないのであり,上記立会人に係る被告Y2の説明内容についても,不合理ないし誤ったものであったということはできない。
(6)  原告は,被告らが突然原告の訴訟代理人を辞任したことも問題とするが,上記1認定の事実によれば,被告らが本件離婚訴訟の第1審口頭弁論終結を機に辞任したことはやむを得なかったといえ,この点をもって本件委任契約の債務不履行と認めることはできない。なお,上記1認定の事実によれば,本件第1審判決の財産分与に関する判断部分が控訴審で変更されたのは,原告の控訴審における訴訟活動の結果ではなく,控訴審が自ら上記判断部分の当否を再検討した結果であったとみるのが相当である。
(7)  以上のほか,原告は本件委任契約上の債務不履行に当たる事情として縷々主張するが,いずれも,前提となる事実を欠くか,独自の見解に基づくもの,あるいは,被告らないし被告Y2の言動の真意を正しく理解せずに主張するものといえ,いずれも採用することはできない。
3  以上によれば,その余の点について判断するまでもなく,原告の請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第12部
(裁判官 伊藤正晴)

 

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