判例リスト「完全成果報酬|完全成功報酬 営業代行会社」(169)平成25年 6月25日 東京地裁 平24(ワ)28031号 請負代金等請求事件
判例リスト「完全成果報酬|完全成功報酬 営業代行会社」(169)平成25年 6月25日 東京地裁 平24(ワ)28031号 請負代金等請求事件
裁判年月日 平成25年 6月25日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平24(ワ)28031号
事件名 請負代金等請求事件
裁判結果 請求棄却 文献番号 2013WLJPCA06258018
要旨
◆原告が、被告の代理店の仲介により、被告との間で、携帯電話の業務に関する業務委託基本契約を締結し、同基本契約に基づき被告の発注した各業務に従事して業務を完了したが、被告が原告に対して本件各業務の報酬や経費を支払わないことにより、精神的損害を被った上、本件訴訟の提起を余儀なくされ、本来の仕事を行うことができなくなったことにより利益を喪失したとして、被告に対し、本件基本契約に基づく本件各業務の報酬額、同業務の経費及び被告の債務不履行に起因する逸失利益の支払を求めた事案において、原告と被告と間に本件基本契約が締結されたとの事実及び被告が原告に対し、本件各業務を発注したとの事実はいずれも認めることができないとして、原告の請求を棄却した事例
参照条文
民法415条
裁判年月日 平成25年 6月25日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件番号 平24(ワ)28031号
事件名 請負代金等請求事件
裁判結果 請求棄却 文献番号 2013WLJPCA06258018
東京都立川市〈以下省略〉
原告 X
東京都港区〈以下省略〉
被告 Y株式会社
同代表者代表取締役 A
同訴訟代理人弁護士 吉田直可
主文
1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1 請求
1 被告は,原告に対し,281万7000円及びこれに対する平成24年10月16日(本件訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 被告は,原告に対し,50万6451円及びこれに対する平成24年10月16日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 被告は,原告に対し,300万円を支払え。
第2 当事者の主張
1 請求原因
(1) 原告は,被告の代理店である株式会社aの仲介により,平成23年9月,被告との間で,携帯電話の業務に関する業務委託基本契約(以下「本件基本契約」という。)を締結した。
(2) 被告は,平成23年10月12日,原告に対し,本件基本契約に基づき,以下の内容を含む注文書により業務を発注し,原告はこれを受注した。
ア 業務名 携帯電話基地局の建設及び折衝業務
イ 業務内容 携帯電話基地局の用地探索,賃貸契約締結支援業務
ウ 納期 平成24年10月11日
エ 作業期間 平成23年10月12日から平成24年10月11日まで
オ 報酬・委託料 1時間あたり3000円
カ 支払条件 翌月末日に現金にて支払う
(3) 原告は,上記(2)の発注がされる前の平成23年10月8日から平成24年3月10日までほぼ毎日,被告の発注した以下の業務(以下「本件各業務」という。)に従事し,同月31日に業務を完了した。
ア 平成23年10月7日にa社からの連絡によりd株式会社から被告作成の「コンセプトシート」を受領した相模原市横山三丁目,同市鹿沼台二丁目,同市古淵二丁目における業務
イ 同月17日にa社からの連絡によりd社において「コンセプトシート」を受領した横須賀市汐入町四丁目及び横須賀市平作五丁目における業務
ウ 同月20日にa社から「コンセプトシート」を受領した綾瀬市寺尾北二丁目及び同市落合北六丁目における業務
エ 同年12月19日に株式会社bにおいて打ち合わせがあり「コンセプトシート」を受領したさいたま新都心駅前(2件),さいたま仲町,川口,さいたま新都心けやき広場,南銀座通り,すずらん通り,一番街通り,東京都北区赤羽駅前及び同区赤羽駅東口前における業務
オ 平成24年2月7日にb社において打ち合わせたがあった際に受注した東京都大田区千鳥,東京都板橋区成増,戸田,戸田笹目北,与野,さいたま市日進(2件),大和田町,川越市一番街商店街及び住吉通り商店街における業務
(4) 本件各業務の報酬は,以下の合計281万7000円である。
ア(ア) 相模原市横山三丁目における業務(123時間)
小計36万9000円
(イ) 相模原市鹿沼台二丁目における業務(92時間)
小計27万6000円
(ウ) 相模原市古淵二丁目における業務(131時間)
小計39万3000円
イ(ア) 横須賀市汐入町四丁目における業務(138時間)
小計41万4000円
(イ) 横須賀市平作五丁目における業務(82時間)
小計24万6000円
ウ(ア) 綾瀬市寺尾北二丁目における業務(105時間)
小計31万5000円
(イ) 綾瀬市落合北六丁目における業務(100時間)
小計30万円
エ(ア) 東京都北区赤羽駅前における業務(24時間)
小計7万2000円
(イ) 東京都北区赤羽駅東口前における業務(38時間)
小計11万4000円
オ(ア) 東京都大田区千鳥における業務(11時間)
小計3000円
(イ) 東京都板橋区成増における業務(24時間)
小計7万2000円
(ウ) さいたま市日進における業務(6時間)
小計1万8000円
(エ) 川越市一番街商店街における業務(62時間)
小計18万6000円
カ 埼玉県のコンサルタント業務(上記(3)エのうち,さいたま新都心駅前(2件),さいたま仲町,川口,さいたま新都心けやき広場,南銀座通り,すずらん通り及び一番街通りにおける業務,上記(3)オのうち戸田,戸田笹目北,与野,大和田町及び住吉通り商店街における業務)(13時間) 小計3万9000円
(5) 本件各業務に関し,原告は,被告と代理店契約を締結しているa社から,交通費,ガソリン代,印紙代,日当等の経費は月額10万円と申し渡された。原告は,平成23年10月8日から平成24年3月10日まで本件各業務に従事したから,経費の額は合計50万6451円である。
(6) 被告が原告に対し本件各業務の報酬や経費を支払わないことにより,原告は精神的損害を被った上,本件訴訟の提起を余儀なくされ,本来の仕事を行うことができなくなったことにより利益を喪失した。その総額は300万円である。
(7) よって,原告は,被告に対し,本件基本契約に基づく本件各業務の報酬として281万7000円,同業務の経費として50万6451円,及び被告の債務不履行に起因する逸失利益の損害賠償として300万円の支払を求める。
(8) なお,原告は,平成25年1月17日付けで,上記(6)の損害を,逸失利益300万円のうち200万円及び被告の従業員Bの行為を原因として原告がc社を解雇されたとの不法行為の使用者責任に基づく損害賠償100万円に変更する旨の申立てをしたが,使用者責任に基づき上記損害賠償を求める請求は,原告の従前の請求と請求の基礎に同一性があるとは認められないところ,被告は,原告の上記訴えの変更に異議を述べている(同年3月1日付け意見書)。したがって,原告の上記訴えの変更は認められず,審理の対象となる請求は,上記(7)のとおりである(原告が期日に出頭しなかったことから陳述されていないものの,原告自身,同年2月27日付けで訴え変更を撤回する旨の書面を提出している。)
2 請求原因に対する認否
請求原因事実は全て否認ないし不知。
原告が被告から受注したと主張する本件各業務のうち,請求原因(3)アからウまでの業務は,被告がd社に携帯電話基地局に関する調査業務として,エ及びオの業務は,被告がb社に携帯電話基地局に関する調査業務として,それぞれ発注したものであり,いずれも原告に対し発注したものではない。d社及びb社は,被告から請け負った上記業務の一部をそれぞれa社に再委託した。なお,a社には,被告の代理人として本件基本契約のような携帯電話基地局の調査業務に関する業務委託契約を締結する権限はない。
したがって,原告と被告との間には契約関係がないから,被告は原告に対し,請負報酬及びそれに関する経費の立替金を支払うべき義務はなく,原告に対する支払をしないことが債務不履行になるものではない。
第3 判断
1 請求原因(1)及び同(2)(本件基本契約の成立及び被告の原告に対する業務の発注)について
(1) 原告は,原告と被告との間で本件基本契約が締結されたことを証する証拠として「業務委託基本契約書」(甲3。以下「本件契約書」という。)を,被告が原告に業務を発注したことを証する証拠として「注文書」(甲4。以下「本件注文書」といい,本件契約書と併せて「本件契約書等」という。)を申請している。これに対し,被告は,被告が原告との間で本件基本契約を締結したこと,及び本件各業務の発注をしたことを否認すると共に,本件契約書等が偽造されたものであるとして,その成立の真正を争っているので,この点について検討する。
なお,原告は,第1回口頭弁論期日及び第1回弁論準備手続期日には出頭したものの,第2回弁論準備手続期日以降の全ての期日に出頭しなかったため,原告申請の書証は訴え提起時に証拠申請された甲第1号証から第13号証(枝番含む)を含めいずれも取調べがされておらず,原告が原本を証拠として申請する書証について原本の存在は確認できていない。以下,甲号証については,以上のような訴訟経過と共に弁論の全趣旨として認定判断の資料とする。
(2) 本件基本契約締結の経緯に関し,原告は,平成23年7月下旬,株式会社eのホームページにおいて被告の携帯電話基地局等の工事を扱っているa社の求人を見て,同社に応募し,同年8月8日に東京都足立区皿沼所在のa社において,同社代表者Cを含め3名と面接した上,a社が得ている被告の携帯電話の折衝業務を行うこととなり,雇用契約では賃金の水準が低いので,請負契約を締結することになったと主張する。
原告がa社の求人に応募して採用されたことからすれば,原告と請負契約を締結するのはa社であると解するのが自然であるところ,原告自身,a社から本件各業務に関するコンセプトシートを受領し,a社からの連絡によりd社(平成24年10月1日にd1社に商号変更〔弁論の全趣旨〕。以下,商号変更の前後を問わず「d社」と表記する。)に赴いてコンセプトシートを受領したこと,及び原告の請求する経費の根拠はa社とのやり取りであり,平成24年3月3日には被告ではなくa社の代表取締役であるCに交通費,経費及び報酬の前渡金を請求したことを自認しており,このことからは,原告がa社との契約に基づき,本件各業務を行ったものとうかがえる。
加えて,証拠によれば,①被告は,平成22年3月及び同年6月に,従前から被告との間で工事請負基本契約を締結していたd社との間で,電波状況の改善を目的とする無線基地局建設の付帯設備工事に関する覚書を締結し,これに基づき,平成23年5月から同年11月の間に請求原因(3)アからウまでの作業箇所における工事を発注したこと(乙34~40,67),②被告は,平成23年8月及び9月に,従前から被告との間で工事請負基本契約を締結していたb社との間で,電波状況の改善を目的とする無線基地局建設の付帯設備工事に関する覚書を締結し,これに基づき,平成23年5月から同年11月の間に請求原因(3)エ及びオの作業箇所における工事を発注したこと(乙45~50,67),③a社の専務取締役Iは,平成23年夏ころ,株式会社fの運営するサイトに掲載された求人情報に原告が応募し,従業員としては採用しなかったものの,a社の委託先として成功報酬を条件に携帯電話基地局の調査業務を委託するとの合意をした旨,原告には,被告がd社及びb社に委託し,両社がa社に再委託していた携帯電話基地局の調査業務の一部を委託した旨の陳述をしていること(乙1),④原告は,a社との上記合意に関連し,業務に関する連絡先としてa社から「@○○.biz」のドメイン名の付いたアドレスを付与され,これを利用していること(乙1,4),⑤原告は,平成23年12月31日,a社の代表者であるCに対し,a社から折衝業務を受けており,同年10月にd社経由で横須賀,綾瀬及び相模原における業務を,同年12月にb社経由で赤羽,さいたま,川越における業務を受託したことを内容とする電子メールを送信していること(乙5〔乙13と同じ〕),⑥平成24年3月から同年5月,a社のIやCに宛てて,a社に対し,「成功報酬型営業」に関する未払給与を請求する電子メール等,a社と原告との契約関係を前提とする電子メールを送信し,文書の送付を行っていること(乙16~21),⑦本件訴訟提起後の同年10月24日にもa社に対し和解金の支払を求める電子メールを送信していること(乙22)との事実が認められる。これらの事実によれば,原告と被告との間で本件基本契約が締結されたことはないこと,被告が直接原告に本件各業務を発注したものではないことは明らかである(なお,a社は,当初は,原告に対し直接に業務を発注していたが,原告が有限会社gに関与するようになった平成24年1月頃からは,g社に対し業務を発注するようになったものである〔乙1,8,11,12,25,26〕。いずれにしても,原告に対する本件各業務の発注は,被告から原告には行われていない。)。
(3) 原告は,被告の代理店であるa社の仲介により,本件基本契約を締結したと主張し,本件契約書等は被告から原告に郵送されたと主張しているが,本件契約書等が郵送されたとする時期までに,本件契約書等の当事者欄に記載されている被告モバイルネットワーク本部東京技術統括部基地局建設部部長のDを含め,被告の従業員と原告が面談等を行ったとの事実は主張されていない上,本件契約書等はいずれも差出人の記載のない茶封筒に入れられ普通郵便で郵送され,本件契約書等のほかには何ら文書等が同封されていなかった旨,本件発注書が郵送されてきたのは原告が本件各業務を開始した後である旨を主張している。
原告の主張する上記のような本件契約書等の作成の経緯,原告への送付の態様は,本件契約書等が原告と被告との法律関係を形成する重要な文書であることからすると不自然であるといわざるを得ない。
原告は,a社は被告の代理店であるから,代理で契約書を作成できるとも主張しているが,この主張は,被告が原告に対し本件契約書を郵送してきたとの主張と矛盾するものである上,a社は被告の携帯電話無線機の法人向け販売等に関する代理店業務を行っているものであり(甲2の1・2,乙1,2),それと異なる本件基本契約の締結に関する代理権を有していると認めるに足りる証拠はない。
以上のように,本件契約書等の作成等の経緯に関する原告の主張は不自然で矛盾を含んでおり,このことは,原告と被告との間に本件基本契約が成立しておらず,被告による原告への発注が存在しないとの上記認定を裏付けるものである。
(4) 次に,本件契約書等の体裁を見ると,被告についてはいずれも,モバイルネットワーク本部東京技術統括部基地局建設部部長の肩書でDの記名がされ,同人名下の捺印がされているが,その印影はD以外の者が容易に入手し得るいわゆる三文判によるものである上,Dが同人の印章として使用している印章によるものと認めるに足りる証拠はない。また,被告において上記のような肩書きを有するDが,本件契約書等の法律関係文書の作成において,いわゆる三文判による捺印を行ったとするのは不自然である。
このように,本件契約書等の被告作成名義部分が被告の意思に基づいて作成されたと認めるに足りる証拠はないから,これを本件基本契約の締結及び被告による本件各業務の発注の認定に係る証拠資料とすることはできない。それに留まらず,上述した本件契約書等の体裁及びDが本件契約書等を作成していないと陳述していること(乙66)からすれば,本件契約書等は被告の意思に基づいて作成されたとは認められないといわざるを得ず,これらの文書により本件基本契約が成立し,被告の発注が行われたと認めることはできないというべきである。
(5) 原告は,被告との間に契約関係が存在する根拠として,被告従業員であるEとFから電子メールで業務指示を受けていたと主張して,Eを送信者,送信日を平成24年1月6日とする電子メール(甲10の1)及びFを送信者,送信日を平成24年1月31日とする電子メール(甲10の2~5)を書証として申請している。
E及びFが被告従業員であることは当事者間に争いがないが,上記各電子メールは,いずれもb社のGを宛先とするものであり,原告はCC(Carbon Copy)として「@○○.biz」のドメイン名が付されたアドレスに送信を受けていたに留まるところ,上記(2)で認定したように,被告は,本件各業務の一部をb社に請け負わせ,a社はb社から当該業務の再委託を受けていたのであるから,上記電子メールは,a社と請負契約を締結して当該業務に関与していた被告に対し,他の関係者と同様に送付されたものと認めるのが合理的である。
したがって,上記各電子メールは,原告と被告との間に直接の契約関係が存在することの根拠とはならない。
(6) また,原告は,被告との間に契約関係が存在する根拠として,被告の本社ビルで打ち合わせを行い,被告従業員ら及び被告の関連会社であるh株式会社の従業員らから名刺を受領したとして,甲第11号証の1から同号証の7までの名刺を証拠として申請している。
上記各名刺に記載された氏名の人物が被告従業員あるいは被告の関連会社であるh株式会社の従業員であり,いずれも上記各名刺に記載された部署に所属していたことは当事者間に争いがない。しかしながら,上記各名刺に記載された所属部署は,被告の「技術統括ネットワーク本部国際ネットワーク部」「ネットワーク本部基幹・国際ネットワーク部衛星ネットワーク課」「プラットフォーム運用本部運用企画部」やh社の「ネットワーク本部国際ネットワーク部」であり,関東圏の基地局設置業務である本件各業務に関する打ち合わせに関与したと推認するには疑問がある。加えて,原告は,これらの名刺を受領した被告本社における打ち合わせが行われた時期やその具体的な内容について一切主張していないこと,原告は,平成22年ころc社(以下「c社」という。)に勤務していたところ,被告はc社の専用回線を利用し,通信サービスを提供していること(乙29,30,弁論の全趣旨)からすると,原告が証拠として申請する上記各名刺が,本件基本契約や本件各業務に関連して原告に交付されたものであると認めることは困難である。
したがって,上記各名刺も,原告と被告との契約関係の存在を推認しうる資料とはならない。
(7) さらに,原告の主張や証拠申請する書証には,以下のような問題があり,これらはいずれも原告の主張する原告と被告との契約関係の存在を疑わせるものである。
ア 原告は,本件各業務の遂行に関し,ガソリン代,車両費,法務局で使用する収入印紙代,交通費,所有者情報を得るための費用及び地図代を立て替えていたが,平成23年11月に交通費及び経費等の前渡金10万円をd社の事務所において被告から受領したと主張するが,証拠(乙1,7)によれば同金員は,a社が原告に貸し付けた金員であり,経費等の前渡金ではないと認められる。
イ 原告は,平成24年3月3日にa社の代表取締役Cに交通費,経費,報酬の前渡金を請求した際,a社と原告との間には契約関係がないから「g社」に請求するように言われたので,g社の住所や電話番号等をa社に尋ねたにもかかわらず,返答を得られなかったと主張する。しかしながら,証拠(乙1,8~12,14)によれば,原告は,平成24年1月頃から,自ら「g社のX」であるとして,同社に関係していたのであり,同社の住所や電話番号を知っていたと推認されるから,そのような原告がa社に対しg社の住所や電話番号を尋ねるとは考えられない。
ウ 原告は,交通費や経緯について自らが負担している状況を被告従業員であるBに訴えるメールを送付したところ,Bから返信を得たとして,甲第12号証の電子メールを証拠として申請する。しかしながら,甲第12号証は電子メールを印刷したものとしては,送信者や宛先等の情報が何ら印刷されておらず,原告が他に証拠申請する電子メールと対比しても不自然なものである上,証拠(乙31,68)によると,Bにより,平成23年1月5日,同内容の電子メールが,その当時,原告が勤務していたc社のHに対し送信されていることが認められる。
(8) 以上で検討したところによれば,原告と被告と間に本件基本契約が締結されたとの事実及び被告が原告に対し,本件各業務を発注したとの事実はいずれも認めることができない。
2 よって,原告の請求は,その余の点を検討するまでもなく理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。
(裁判官 倉地真寿美)
*******
コメント ( 0 )
トラックバックは利用できません。
この記事へのコメントはありません。