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判例リスト「営業代行会社 完全成果報酬|完全成功報酬」(328)平成19年 3月16日 東京地裁 平16(ワ)27814号 不当利得返還等請求事件

判例リスト「営業代行会社 完全成果報酬|完全成功報酬」(328)平成19年 3月16日 東京地裁 平16(ワ)27814号 不当利得返還等請求事件

裁判年月日  平成19年 3月16日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平16(ワ)27814号
事件名  不当利得返還等請求事件
裁判結果  一部認容  文献番号  2007WLJPCA03168002

要旨
◆原告が、被告会社及び被告取締役2名に対し、被告会社に預託した本件株式買付代金相当額につき、不法行為に基づく損害賠償請求等をした事案において、被告会社及び被告代表取締役については、投資顧問業法におけるいわゆる絶対的禁止行為に違反して本件株式買付代金を預託させるという不法行為をしたと認められるが、被告会社の取締役に就任することを承諾していない被告取締役については不法行為責任を認めることはできないなどとして、被告会社及び被告代表取締役に対する損害賠償請求の一部を認容した事例

参照条文
民法709条
有価証券に係る投資顧問業の規制等に関する法律18条(平12法96改正前)
有価証券に係る投資顧問業の規制等に関する法律19条(平12法96改正前)

裁判年月日  平成19年 3月16日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平16(ワ)27814号
事件名  不当利得返還等請求事件
裁判結果  一部認容  文献番号  2007WLJPCA03168002

千葉県市川市〈以下省略〉
原告 X
同訴訟代理人弁護士 花輪弘幸
東京都中央区〈以下省略〉
被告 株式会社エム・エフ・シー
同代表者代表取締役 Y1
東京都武蔵野市〈以下省略〉
被告 Y1
東京都武蔵野市〈以下省略〉
被告 Y2
被告ら訴訟代理人弁護士 髙木清

 

 

主文

1  被告株式会社エム・エフ・シー及び被告Y1は,原告に対し,連帯して2776万5314円及びこれに対する平成12年9月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2  原告の被告会社エム・エフ・シー及び被告Y1に対するその余の請求並びに被告Y2に対する請求をいずれも棄却する。
3  訴訟費用は,原告と被告株式会社エム・エフ・シー及び被告Y1との間に生じたものは,これを10分しその3を原告の負担としその余を被告会社エム・エフ・シー及び被告Y1の負担とし,原告と被告Y2との間に生じたものは原告の負担とする。
4  この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。

 

 

事実及び理由

第1  請求
被告らは,原告に対し,連帯して3759万1386円及びこれに対する平成12年9月2日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
第2  基礎的事実(後掲証拠により認められる事実のほかは当事者間に争いがない。)
1  当事者など
(1)  原告及びジェネリック株式会社
ア 原告は,株式会社折通の代表取締役である。同社は,平成元年12月4日に設立され広告業等を営んでいる。(以上につき,甲34,乙71)
イ 原告は,ジェネリック株式会社(以下「ジェネリック」という。)の取締役でもあった。
ジェネリックは,平成14年1月29日に,原告ほか12名が発起人となって設立された会社で(乙17),汚染処理装置等の開発を目的とし,原告は,設立時に同社の取締役に就き,平成14年5月1日に代表取締役に就任したが,設立当初から同社の代表取締役副社長を称していた(甲34)
ジェネリックの代表取締役には,当初,Aが就き,平成14年5月1日には,さらに,原告及びその弟であるB(以下「B」という。なお,Bは,平成13年11月7日,東京地方裁判所において破産宣告を受け,平成14年4月12日に免責が確定した。)が代表取締役に就任した(乙10,123)。その後,A,原告及びBは,平成15年3月31日に,代表取締役を辞任し,平成16年6月30日には,取締役を退任し,また,ジェネリックは,平成17年7月21日に,商号をジェネリック&ヘルメスインターナショナルキャピタル株式会社に変更し,同日,Cが代表取締役に就任した(乙165)。しかし,平成17年12月14日には,代表取締役がBに代わるとともに,商号がジェネリックに変更された(乙167,168)。
(2)  被告ら
ア 被告株式会社エム・エフ・シー(以下「被告会社」という。)は,昭和59年12月28日に設立された会社で(なお,平成18年9月12日に現在の商号に変更されるまでは,商号がエムケイ投資顧問株式会社であった。),証券投資に関するコンサルテーション等を目的とし,平成元年1月10日に,投資顧問業の登録を受けた。なお,被告会社は,平成13年1月22日には,いったん解散を決議したが,同年2月28日に,会社を継続することとなった。(以上につき,甲1,10の1から6,甲11の1から3,甲12,乙161及び本件記録)
イ 被告Y1(以下「被告Y1」という。)は,被告会社が設立されて以降代表取締役を務め,その妻である被告Y2(以下「被告Y2」という。)も,被告会社が設立されてから平成13年1月22日にいったん解散決議がされるまでは,被告会社の取締役として登記され,被告会社の決算報告書等には,平成9年ころから平成13年3月ころまでの間は,被告会社の株主であるとともに,役員報酬として年間80万円ないし135万円が支給されていたことが記載されている(甲1,10の1から6,甲11の1から3,甲12,乙95から107,111の2)。
被告Y1は,また,昭和51年2月16日に設立され,経営コンサルタント業等を営む株式会社ムラ・エンタープライゼスの取締役であり,平成9年6月30日から平成10年6月10日までは同社の代表取締役に就いていた(甲6から9)。
ウ 被告会社は,平成14年1月16日ころ,有価証券に係る投資顧問業の規制等に関する法律(以下「投資顧問業法」という。)に基づき,金融証券検査官の調査を受け(乙122),同年11月27日,投資顧問業35条違反(営業報告書の虚偽記載)を理由に,投資顧問業に係る全部の業務の停止6か月の行政処分を受け,同年12月27日,その申請により投資顧問業の登録が抹消された(甲12)。
2  原告の被告会社に対する株式買付代金の預託等
原告は,被告会社との間で,次のとおり,原告のために株式を買い付ける旨の預託契約を結んで,被告会社に対し,株式買付代金(以下「本件各株式買付代金」という。)として預託金を交付した。
(1)  原告は,平成12年6月28日,被告会社に対し,アスクプラニング株式4000株の買付代金として,339万1374円を預託した。
(2)  原告は,平成12年7月10日,被告会社との間で,原告が得た利益の30パーセントを被告会社に支払うことなどを内容とする証券投資成功報酬基本契約を結び(乙116の1),被告会社に対し,エスコム株式4000株の買付代金として,237万8940円を預託した。
(3)  原告は,平成12年7月10日,被告会社との間で,(2)と同旨の証券投資成功報酬基本契約を結び(乙119の1),被告会社に対し,エスコム株式1万株の買付代金として,603万1529円を預託した。
(4)  原告は,平成12年7月13日,被告会社との間で,(2)と同旨の証券投資成功報酬基本契約を結び(乙118の1),被告会社に対し,エスコム株式6000株の買付代金として,366万3642円を預託した。
(5)  原告は,平成12年7月24日,被告会社との間で,(2)と同旨の証券投資成功報酬基本契約を結び(乙117の1),被告会社に対し,エスコム株式1万株の買付代金として,502万4982円を預託した。
(6)  原告は,平成12年7月27日,被告会社との間で,(2)と同旨の証券投資成功報酬基本契約を結び(乙120の1),被告会社に対し,住友鋼管株式6000株の買付代金として,225万9949円を預託した。
(7)  原告は,平成12年9月1日,被告会社との間で,(2)と同旨の証券投資成功報酬基本契約を結び(乙121の1),被告会社に対し,住友鋼管株式1万4000株の買付代金として,501万4898円を預託した。
3  本件は,本件各株式買付代金及び平成12年5月26日ころパルテック株式3000株の買付代金(以下「パルテック株式買付代金」といい,本件各株式買付代金とあわせ,「本件全株式買付代金」という。)として被告会社に預託した982万6072円について,預託契約は投資顧問業法18条及び 19条に違反して無効であり,また,同法に違反して本件全株式買付代金を預託させたのは不法行為に該当するとして,被告会社に対しては,不当利得返還請求権に基づき利得金の返還又は不法行為による損害賠償金及びこれに対する商事法定利率による遅延損害金の支払を求め(選択的併合),被告Y1及び被告Y2に対しては,本件全株式買付代金を預託させるについて,故意又は重過失があり,また,被告らは共同不法行為の関係にあるとして,取締役の対第三者責任に基づき損害賠償金又は不法行為による損害賠償金及びこれに対する商事法定利率による遅延損害金の支払を求める(選択的併合)事案である。
これに対し,被告らは,これを争うとともに,被告会社は,予備的に,原告によって,ジェネリックへの投資を名目として金員を騙取されたとして,原告に対する損害賠償請求権等をもって相殺する旨主張している。
第3  主要な争点
1  本件各株式買付代金等に係る各預託契約は無効か否か(争点(1)。
(原告の主張)
ア 原告は,平成12年5月26日ころ,被告会社に対し,パルテック株式買付代金として,982万6072円を預託した。
イ 本件各株式買付代金等に係る各預託契約は,投資顧問業法18条及び 19条に違反して無効であり,これは被告会社が,これらの代金を受領後,エスコム株式や住友鋼管株式等を買い付けたか否か,原告の了解のもと,これを売却したか否かを問わない。
(被告会社の主張)
ア 原告の主張アは否認する。このとき現金授受があったものではなく,それ以前の株式取引の結果被告会社が保管していた金員である。
イ 被告会社は,平成12年6月28日の預託金によって,アスクプラニング株式4000株を買い付けた後,同年7月6日,これを売却して378万5402円を得て,同日これを原告に渡した。また,同年7月24日,109万4982円を原告に渡した。
ウ 原告の主張イは争う。被告会社が,これらの代金を受領後,エスコム株式や住友鋼管株式等を買い付け,原告の了承のもと,これを売却するなどして処理している。
エ 投資顧問業法18条及び 19条は,その投資顧問業に関せずに,かつ,友人,親戚等親しい者に対しての限られた範囲においては,事実上株式の取引に関与することや金員を預かる行為は許されており,これが業界の慣行であった。
オ なお,被告会社は,売却などした後の金員である1889万6555円の返金を保管しており,原告との間で,原告のために運用することに合意している。したがって,未だ履行期は到来していない。
2  原告の本件各株式買付代金の預託は不法原因給付に相当するか否か(争点(2))。
(被告会社の主張)
ア 原告は,日本冶金工業株式約500万株という多額の取引を,Dという借名で行っていたほか,証券会社の外務員との交際も深く,素人とはいえない存在であって,信用取引のため提供していた株券が暴落して,証券会社から追証を求められ,その処理について被告会社に助けを求めてきたものである。
イ このような経過に照らせば,原告の本件各株式買付代金の預託は不法原因給付に相当する。
(原告の主張)
被告会社及び被告Y1は,投資顧問業法によって,登録投資顧問業者が,証券取引や金員等の預託が禁止されていることなどについて,無知な原告に対し,何ら説明等をしなかった。
したがって,被告会社の違法性の方が高く,不法原因給付には該当しない。
3  被告Y1及び被告Y2の対第三者責任の有無(争点(3))
(原告の主張)
ア 被告Y1は,被告会社の代表取締役として,投資顧問業法に反する行為をしてはならないところ,故意にこれに反したものである。
イ 被告Y2は,被告会社の設立以来,約16年間にわたり継続して取締役として登記され,また,役員報酬も取得していたのであるから,取締役であるという認識を有していたことは明らかで,監視義務を重過失によって懈怠した。
(被告Y1及び被告Y2の主張)
被告Y2は,家庭の主婦で,被告会社の取締役に就任することに事前にせよ事後にせよ承諾したことはなく,また,被告Y1とは不仲で,平成2年以降は京都に居住して別居状態であったから,取締役としての責任は生じない。
4  被告らの不法行為及び共同不法行為の成否(争点(4))
(原告の主張)
ア 投資顧問業法に反して,本件全株式買付代金に係る各預託契約を結んでこれを収受したのは,被告会社自身,又は,被告Y1が被告会社の代表取締役として,職務の執行として行ったものであるから,被告会社及び被告Y1には不法行為が成立し,被告会社及び被告Y1の不法行為は共同不法行為の関係に立つ。
イ また,被告Y2にも,監視義務の懈怠があるから不法行為が成立し,被告会社及び被告Y1の不法行為とは共同不法行為の関係に立つ。
(被告らの主張)
原告の主張は,いずれも否認し,争う。また,被告Y2は取締役ではなく,監視義務もない。
5  相殺の可否(争点(5))
(被告会社の主張)
(1) 原告に対する損害賠償請求権
ア 原告は,平成14年1月ころから同年4月ころにかけて,被告会社に対し,会社概要書,事業概要書その他の資料を持参して,確実なめどもないのに,ジェネリックは,近く磁力回転装置の特許の実施権を取得し,これを利用して,河川,池等からアオコを除去する画期的装置を開発し,莫大な利益を得る予定であること,これらの事業を評価して双葉電子,伊藤忠商事なども株式を引き受ける予定であり,ジェネリックにおいて増資を行う予定であることなどを申し向け,さらに,将来有望であり,利益が見込まれ,同株式は,無担保社債券で,新株引受権付きのものなどと説明して,ジェネリックの株主を募ってもらいたいと依頼し,被告会社は,これを信じて,自ら,又は,ムラ・エンタープライゼスに事務委託をして,1株7万円で出資者を募った。
イ その結果,17名(社)(株式総数は660株)が株主となり,うち3770万円を原告を通じジェネリックに交付し,これらの株主は,その後ジェネリックの株券を取得した。
ウ しかし,ジェネリック及び原告は,その後,上記磁力回転装置やアオコ除去装置の特許実施権を取得して,装置の開発,製造及び販売等を行うことのもないまま,平成16年3月ころには休業状態となって事実上業務を停止したことが判明し,ジェネリックの株式は無価値となった。
エ 被告会社は,出資した株主から,返金ないし賠償を求められ,10名(社)に対し,合計3740万円を支払った。
オ このように,原告は,被告会社を欺罔して出資者を募らせ,出資金を騙取し,被告会社は,その後,返金ないし賠償を余儀なくされたのだから,被告会社は,原告に対し,不法行為による損害賠償請求権として3740万円の債権を有する。
(2) 立替金請求債権
被告会社は,ジェネリックの株主を募るため,ビデオ作成費用及び印刷代金等として合計163万6634円を立替払した。
(3) 被告会社は,平成17年3月18日の第2回口頭弁論期日及び平成18年12月20日の第12回口頭弁論期日において,予備的に,原告に対し,原告の被告会社に対する本件請求につき,上記(1)及び(2)の債権をもって,対当額において相殺するとの意思表示をした。
(原告の主張)
ア 相殺に係る受動債権が不法行為に基づく損害賠償債権である限りにおいて,相殺は許されないから,主張自体失当である。
イ 被告会社の主張は否認する。
第3  争点についての判断
1  原告の被告らに対する請求のうち,まず,被告会社及び被告Y1の不法行為責任の有無及び共同不法行為の成否(争点(4)のうち被告会社及び被告Y1に関する部分)について検討する。
(1)  前記(第2,2)のとおり,原告が,被告会社との間で,原告のために株式を買い付ける旨の預託契約を結んで,本件各株式買付代金として各預託金を交付したこと,また,証拠(乙1から5,7から9,乙73)によれば,被告会社は,そのころ,原告のために,事務委託をしていた株式会社ムラ・エンタープライゼスを通じ(乙73),アスクプラニング,エスコム及び住友鋼管の各株式を購入したことが認められる。
なお,原告は,平成12年5月26日ころ,被告会社に対し,パルテック株式買付代金も預託した旨主張し,被告会社の計算書(甲14の2)には,これに沿う記載があるが,このとき,原告が,被告会社に対し,現実に現金を交付したものと認めるに足りる証拠を欠く上,被告会社が,それ以前の株式取引により被告会社が保管していた金員である可能性も否定できないから,この点に関する原告の主張は採用できない。
(2)  ところで,投資顧問業法(平成12年法律第96号等による改正前のもの。以下同じ)は,いわゆる絶対的禁止行為として,18条において,投資顧問業者は,その行う投資顧問業に関して,当該顧客のために証券取引行為を行ってはならない旨を定め,また,19条において,投資顧問業者は,いかなる名目によるかを問わず,その行う投資顧問業に関して,顧客から金銭の預託を受けてはならない旨規定し,これに違反して,証券取引行為を行った者や顧客から金銭の預託を受けた者などは,1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処し,又はこれを併科する旨の罰則を設けている。そして,18条における当該顧客のために行う証券取引行為とは,顧客にかわって行う有価証券の売買の媒介,取次ぎ,代理等と解される。
(3)  そして,原告のために株式を買い付ける旨の預託契約を結んで,各預託金を受領し,そのころ,原告のために,アスクプラニング,エスコム及び住友鋼管の各株式を購入した被告会社の行為が,投資顧問業法18条及び 19条に該当するものであることは明らかである。
投資顧問業法は,有価証券に係る投資顧問業を営む者について登録制度を実施し,その事業に対し必要な規制を行うことにより,その業務の適正な運営を確保し,もって投資者の保護を図ることを目的とするものであり(1条),いわゆる絶対的禁止行為は,投資顧問業法制定以前にあったいくつかの投資顧問業者による詐欺事件の反省の上に,立法時に投資者保護の観点から盛り込まれたものであって(甲67),投資顧問業法が,いわゆる絶対的禁止行為に反する行為を刑罰をもって禁圧しようとしている趣旨に照らせば,被告会社が本件各株式買付代金に係る預託契約を結んで各預託金を受領したことは,いわゆる絶対的禁止行為の規定に故意に反した違法なものというほかなく,被告Y1が被告会社の代表取締役の職務執行としてこれを行った以上,原告に対する不法行為を構成するものというべきである。
そして,これは,被告会社が,これらの代金を受領後,原告の依頼に基づいた株式を買い付けたか否か,その後,原告の了承のもと,これらを売却して,その代金を原告に交付したか否か,残金の扱いについて原告と被告会社との間で,何らかの合意がされたか否かによって,左右されるものではない。
(4)  この点,被告会社は,投資顧問業法18条及び 19条は,その投資顧問業に関せずに,かつ,友人,親戚等親しい者に対しての限られた範囲においては,事実上株式の取引に関与することや金員を預かる行為は許されており,これが業界の慣行であった旨主張するが,投資顧問業法の目的,制定経緯及び罰則の内容等のほか原告との間の成功報酬の合意の事実(第2,2)等に照らすと,このような解釈をすることは到底できない。
なお,被告会社は,売却などした後の金員である1889万6555円を保管しており,これは,原告との間で,原告のために運用することに合意しているから,未だ返金債務の履行期は到来していない旨主張するが,この主張が,原告の主張する不法行為に基づく損害賠償請求権に対する抗弁となり得ないことは明らかであるから,それ自体採用できない。
(5)  そして,前記(3)の不法行為は,被告Y1が行ったものであるから,同時に,被告Y1の原告に対する不法行為を構成するものであって,被告会社及び被告Y1のこれらの不法行為は共同不法行為の関係に立ち,被告会社及び被告Y1は,連帯して損害賠償責任を負うものと解すべきである。
(6)  被告会社は,さらに,アスクプラニング株式について,平成12年7月6日,これを売却して378万5402円を得て,同日これを原告に渡し,また,同年7月24日,109万4982円を原告に渡した旨主張し,これに沿う被告Y1の陳述等や証拠(乙171の6,8,乙172の1等)があるが,これらによっても,被告会社が,アスクプラニング株式4000株の売却金について,原告に対し,現実に現金を交付したものと認めるには足らず(なお,この株式の預り証を回収したとする的確な証拠もない。),この主張は採用できない。
(7)  なお,不法行為に基づく損害賠償請求についても,民法708条が適用ないし類推適用されるものと解されるので,この点について付言する。
ア 前記(第2,1)の基礎的事実に加え,証拠(甲34,35,36,46,61,68,乙161,166,184,証人B,原告,被告代表者兼被告及び後掲証拠)によれば,原告は,平成10年6月ころ,知人の紹介で,E(以下「E」という。)と知り合い,その誘いにより,Eに対し,多額の金員を投資するようになったこと,その後,原告は,Eを介し,証券会社の社員の名前で,日本冶金工業の株式などの信用取引をするようになったが(乙124),日本冶金工業の株式が下落して追加保証金の支払いを求められるようになったり,証券会社の社員等に対する債権回収が困難となったりしたため,この対応に苦慮するようになったこと,原告は,平成12年3月ころまでには,株式取引について相当の知識や経験を有するようになったこと(乙166の別紙),原告は,知人の紹介により,平成12年4月ころ,被告Y1と知り合い,日本冶金工業の株式の処理等を委ねることになり,被告Y1は,その後,この株式を処理するなどしたこと,原告は,被告Y1に対する感謝の気持ちを持つとともに,損失を回復しようと,処理後の資金等を,本件各株式買付代金として,被告会社に預託することにしたことが認められる。
イ これらの事実によれば,原告は,Eを介し,日本冶金工業の株式などについて,多額の信用取引を行い,本件各株式買付代金を被告会社に預託するころには,株式取引について相当の知識や経験を有するようになっていたもので,株式取引について到底素人とはいえない存在であったものということができる。
しかし,被告会社は,登録をした投資顧問業者であって,投資顧問業法におけるいわゆる絶対的禁止行為の内容,立法事実及び罰則等を熟知していたものと認められるにもかかわらず,原告からの預託金を受け入れて証券取引を行ったほか,原告に対し,その根拠はともかく,1889万6555円の返還義務を負っていることを自認していることなどに照らせば,原告側における不法の程度に比し,被告会社側における違法性の方が高いものと評価することができるから,原告が被告会社及び被告Y1に対し,本件各株式買付代金相当額の損害賠償を請求することは許されるものと解するのが相当である。
(8)  したがって,原告は,被告会社及び被告Y1に対し,それぞれ,本件各株式買付代金合計額に相当する2776万5314円の損害賠償請求権を有することが認められる(なお,この損害賠償請求権に対する遅延損害金は年5分の割合によるものであって,この点は,被告会社に対する請求が,不当利得返還請求権に基づくものであっても,また,被告Y1に対する請求が,取締役としての損害賠償請求権に基づくものであっても,同様と解される)。
2  次に,原告の被告らに対する請求のうち,被告Y2の対第三者責任の有無(争点(3)のうち被告Y2に関する部分)及び被告Y2の不法行為の成否(争点(4)のうち被告Y2に関する部分)について検討する(なお,旧商法266条の3第1項の責任の法的性格は法定責任であって,不法行為責任との競合が認められるものと解される)。
(1)  前記(第2,1)の基礎的事実に加え,証拠(甲34,35,乙161,162,原告,被告代表者兼被告,被告Y2及び後掲証拠)によれば,次の事実が認められる。
ア 被告Y2は,昭和38年に結婚し,被告Y1との間に3人の女子をもうけたが,平成2年には,京都市に居住するようになって,それ以降被告Y1とは,事実上別居状態となった。被告Y2は,それ以降平成11年2月ころまで,継続的ではないものの,被告Y1から月に20万円ないし25万円程度の生活費を受領していた。
なお,住民票上の住所は訴状肩書地にあって,被告Y1と同一世帯となっている(甲29)。
また,被告Y2は,以前,被告会社の社会保険を使用したことがある。
イ 被告Y2は,被告Y1及び関係者から,被告会社の取締役に就任していることを聞いたことはなく,被告会社の取締役会議事録等に署名や捺印したこともなく,また,被告会社に赴いたこともない。
ウ 被告Y1及び被告Y2は,昭和62年4月16日,自宅として,東京都武蔵野市所在の土地及び建物を購入し,被告Y1につき持分10分の7,被告Y2につき持分10分の3の登記をした(甲30の1,2)。
また,被告Y1及び被告Y2は,昭和63年7月25日,京都市下京区所在のマンション420号室を購入し,被告Y1及び被告Y2が,それぞれ持分2分の1の登記をし,さらに,平成元年3月30日,同マンション618号室(619号室と一体となったもの)を購入し,被告Y1につき持分84分の64,被告Y2につき持分84分の20の登記をしたが,同マンション420号室及び同618号室の被告Y1の各持分については,平成7年11月20日,被告Y2に対し,移転登記がされた(甲4,5)。被告Y1は,また,平成3年5月2日,上記マンション1018号を購入し,被告Y1につき持分86分の65,被告Y2につき持分86分の21の登記をしたが,これは,平成11年6月25日,競売開始が決定され,被告Y1が取締役に就いたことのあるクエスト株式会社が買い受けた(甲66,65)。
エ 原告は,本件訴訟についての被告Y2の同訴訟代理人に対する訴訟委任状の住所は,住民票上の住所が自署され(甲24の1),被告本人尋問のため当裁判所に出頭した際の出頭カードの住所も同様であるほか,別件訴訟の被告として,訴状副本等が上記住民票上の住所を送達先として被告Y2に送達されたが,その送達報告書には,平成17年1月6日長女がこれを受領したことが記載されている(甲62)ことなどから,平成2年には,京都市に居住するようになって,それ以降被告Y1とは,事実上別居状態となった旨の被告Y2の供述等は信用性を欠く旨主張するが,被告Y2の供述等に特に不自然な点はうかがえない上,電気及びガスの料金支払状況(乙159,160,163)等に照らせば,被告Y2の供述等を採用することができる(本件訴訟における住所の記載については,訴状における肩書地の記載に合わせたものと考えられるし,別件訴訟における送達関係については,正月に長女方に赴いた際に受領した旨の被告Y2の供述は特に不合理ともいいがたい)。
オ また,前記(第2,1(2))のとおり,被告会社の決算報告書等には,平成9年ころから平成13年3月ころまでの間は,被告会社の株主であるとともに,役員報酬として年間80万円ないし135万円が支給されていたことが記載されており,また,被告Y2が,以前,被告会社の社会保険を使用したことがあることが認められるものの,被告Y2には,被告会社の決算書等にこのような記載がされていることを認識していたものと認めるに足る証拠はないし,一時期被告Y1から生活費を受領したり,被告会社の社会保険を使用したり,被告Y1のマンションについての被告Y1の持分の移転を受けたなどの事実から,被告Y2が,被告会社の取締役への就任を承諾したことを推認することも困難である。
(2)  したがって,被告Y2が被告会社の取締役に就任することについて,事前にせよ,事後にせよ,承諾した事実を認めることはできないし,また,被告Y2が,被告会社との間において,取締役としての職責を果たさなくてもよいとの合意の下で取締役に選任された名目的取締役であると認めることもできない(なお,被告Y2が,不実の取締役就任の登記の出現に加功した事実も認められない。)から,これらを前提として被告Y2の損害賠償責任を主張する原告の請求は,その余の点について判断するまでもなく理由がない。
(3)  また,被告Y2は,被告会社の名目的取締役でさえないから監視義務を認めることはできず,したがって,不法行為責任は認められない。さらに,被告会社及び被告Y1による前記(第3,1(3)及び(5))の不法行為に該当する行為について,被告Y2がこれに関与した事実を認めるに足りる証拠はないから,被告Y2に共同不法行為責任を認めることもできず,その余の点について判断するまでもなく,原告の損害賠償請求は理由がない。
3  争点(5)(相殺の可否)について
被告会社は,不法行為に基づく損害賠償請求権及び立替金請求債権を自働債権として相殺する旨主張するが,原告の被告会社に対する受動債権は,不法行為に基づく損害賠償請求権であるから,相殺をもって原告に対抗することはできず,主張自体採用できない。
4  以上によれば,原告の被告らに対する請求は,被告会社及び被告Y1に対し,連帯して2776万5314円及びこれに対する不法行為の後である平成12年9月2日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し,被告会社及び被告Y1に対するその余の請求並びに被告Y2に対する請求はいずれも理由がないので棄却することとし,主文のとおり判決をする。
(裁判官 間部泰)

 

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