【営業代行から学ぶ判例】crps 裁判例 lgbt 裁判例 nda 裁判例 nhk 裁判例 nhk 受信料 裁判例 pl法 裁判例 pta 裁判例 ptsd 裁判例 アメリカ 裁判例 検索 オーバーローン 財産分与 裁判例 クレーマー 裁判例 クレプトマニア 裁判例 サブリース 裁判例 ストーカー 裁判例 セクシャルハラスメント 裁判例 せクハラ 裁判例 タイムカード 裁判例 タイムスタンプ 裁判例 ドライブレコーダー 裁判例 ノンオペレーションチャージ 裁判例 ハーグ条約 裁判例 バイトテロ 裁判例 パタハラ 裁判例 パブリシティ権 裁判例 ハラスメント 裁判例 パワーハラスメント 裁判例 パワハラ 裁判例 ファクタリング 裁判例 プライバシー 裁判例 プライバシーの侵害 裁判例 プライバシー権 裁判例 ブラックバイト 裁判例 ベネッセ 裁判例 ベルシステム24 裁判例 マタニティハラスメント 裁判例 マタハラ 裁判例 マンション 騒音 裁判例 メンタルヘルス 裁判例 モラハラ 裁判例 モラルハラスメント 裁判例 リストラ 裁判例 リツイート 名誉毀損 裁判例 リフォーム 裁判例 遺言 解釈 裁判例 遺言 裁判例 遺言書 裁判例 遺言能力 裁判例 引き抜き 裁判例 営業秘密 裁判例 応召義務 裁判例 応用美術 裁判例 横浜地裁 裁判例 過失割合 裁判例 過労死 裁判例 介護事故 裁判例 会社法 裁判例 解雇 裁判例 外国人労働者 裁判例 学校 裁判例 学校教育法施行規則第48条 裁判例 学校事故 裁判例 環境権 裁判例 管理監督者 裁判例 器物損壊 裁判例 基本的人権 裁判例 寄与分 裁判例 偽装請負 裁判例 逆パワハラ 裁判例 休業損害 裁判例 休憩時間 裁判例 競業避止義務 裁判例 教育を受ける権利 裁判例 脅迫 裁判例 業務上横領 裁判例 近隣トラブル 裁判例 契約締結上の過失 裁判例 原状回復 裁判例 固定残業代 裁判例 雇い止め 裁判例 雇止め 裁判例 交通事故 過失割合 裁判例 交通事故 裁判例 交通事故 裁判例 検索 公共の福祉 裁判例 公序良俗違反 裁判例 公図 裁判例 厚生労働省 パワハラ 裁判例 行政訴訟 裁判例 行政法 裁判例 降格 裁判例 合併 裁判例 婚約破棄 裁判例 裁判員制度 裁判例 裁判所 知的財産 裁判例 裁判例 データ 裁判例 データベース 裁判例 データベース 無料 裁判例 とは 裁判例 とは 判例 裁判例 ニュース 裁判例 レポート 裁判例 安全配慮義務 裁判例 意味 裁判例 引用 裁判例 引用の仕方 裁判例 引用方法 裁判例 英語 裁判例 英語で 裁判例 英訳 裁判例 閲覧 裁判例 学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例 共有物分割 裁判例 刑事事件 裁判例 刑法 裁判例 憲法 裁判例 検査 裁判例 検索 裁判例 検索方法 裁判例 公開 裁判例 公知の事実 裁判例 広島 裁判例 国際私法 裁判例 最高裁 裁判例 最高裁判所 裁判例 最新 裁判例 裁判所 裁判例 雑誌 裁判例 事件番号 裁判例 射程 裁判例 書き方 裁判例 書籍 裁判例 商標 裁判例 消費税 裁判例 証拠説明書 裁判例 証拠提出 裁判例 情報 裁判例 全文 裁判例 速報 裁判例 探し方 裁判例 知財 裁判例 調べ方 裁判例 調査 裁判例 定義 裁判例 東京地裁 裁判例 同一労働同一賃金 裁判例 特許 裁判例 読み方 裁判例 入手方法 裁判例 判決 違い 裁判例 判決文 裁判例 判例 裁判例 判例 違い 裁判例 百選 裁判例 表記 裁判例 別紙 裁判例 本 裁判例 面白い 裁判例 労働 裁判例・学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例・審判例からみた 特別受益・寄与分 裁判例からみる消費税法 裁判例とは 裁量労働制 裁判例 財産分与 裁判例 産業医 裁判例 残業代未払い 裁判例 試用期間 解雇 裁判例 持ち帰り残業 裁判例 自己決定権 裁判例 自転車事故 裁判例 自由権 裁判例 手待ち時間 裁判例 受動喫煙 裁判例 重過失 裁判例 商法512条 裁判例 証拠説明書 記載例 裁判例 証拠説明書 裁判例 引用 情報公開 裁判例 職員会議 裁判例 振り込め詐欺 裁判例 身元保証 裁判例 人権侵害 裁判例 人種差別撤廃条約 裁判例 整理解雇 裁判例 生活保護 裁判例 生存権 裁判例 生命保険 裁判例 盛岡地裁 裁判例 製造物責任 裁判例 製造物責任法 裁判例 請負 裁判例 税務大学校 裁判例 接見交通権 裁判例 先使用権 裁判例 租税 裁判例 租税法 裁判例 相続 裁判例 相続税 裁判例 相続放棄 裁判例 騒音 裁判例 尊厳死 裁判例 損害賠償請求 裁判例 体罰 裁判例 退職勧奨 違法 裁判例 退職勧奨 裁判例 退職強要 裁判例 退職金 裁判例 大阪高裁 裁判例 大阪地裁 裁判例 大阪地方裁判所 裁判例 大麻 裁判例 第一法規 裁判例 男女差別 裁判例 男女差别 裁判例 知財高裁 裁判例 知的財産 裁判例 知的財産権 裁判例 中絶 慰謝料 裁判例 著作権 裁判例 長時間労働 裁判例 追突 裁判例 通勤災害 裁判例 通信の秘密 裁判例 貞操権 慰謝料 裁判例 転勤 裁判例 転籍 裁判例 電子契約 裁判例 電子署名 裁判例 同性婚 裁判例 独占禁止法 裁判例 内縁 裁判例 内定取り消し 裁判例 内定取消 裁判例 内部統制システム 裁判例 二次創作 裁判例 日本郵便 裁判例 熱中症 裁判例 能力不足 解雇 裁判例 脳死 裁判例 脳脊髄液減少症 裁判例 派遣 裁判例 判決 裁判例 違い 判決 判例 裁判例 判例 と 裁判例 判例 裁判例 とは 判例 裁判例 違い 秘密保持契約 裁判例 秘密録音 裁判例 非接触事故 裁判例 美容整形 裁判例 表現の自由 裁判例 表明保証 裁判例 評価損 裁判例 不正競争防止法 営業秘密 裁判例 不正競争防止法 裁判例 不貞 慰謝料 裁判例 不貞行為 慰謝料 裁判例 不貞行為 裁判例 不当解雇 裁判例 不動産 裁判例 浮気 慰謝料 裁判例 副業 裁判例 副業禁止 裁判例 分掌変更 裁判例 文書提出命令 裁判例 平和的生存権 裁判例 別居期間 裁判例 変形労働時間制 裁判例 弁護士会照会 裁判例 法の下の平等 裁判例 法人格否認の法理 裁判例 法務省 裁判例 忘れられる権利 裁判例 枕営業 裁判例 未払い残業代 裁判例 民事事件 裁判例 民事信託 裁判例 民事訴訟 裁判例 民泊 裁判例 民法 裁判例 無期転換 裁判例 無断欠勤 解雇 裁判例 名ばかり管理職 裁判例 名義株 裁判例 名古屋高裁 裁判例 名誉棄損 裁判例 名誉毀損 裁判例 免責不許可 裁判例 面会交流 裁判例 約款 裁判例 有給休暇 裁判例 有責配偶者 裁判例 予防接種 裁判例 離婚 裁判例 立ち退き料 裁判例 立退料 裁判例 類推解釈 裁判例 類推解釈の禁止 裁判例 礼金 裁判例 労災 裁判例 労災事故 裁判例 労働基準法 裁判例 労働基準法違反 裁判例 労働契約法20条 裁判例 労働裁判 裁判例 労働時間 裁判例 労働者性 裁判例 労働法 裁判例 和解 裁判例

「営業代行」に関する裁判例(34)平成20年 5月12日 東京高裁 平20(ラ)646号 新株発行差止等仮処分決定認可決定に対する保全抗告事件 〔ピコイ新株発行差止事件・保全抗告審〕

「営業代行」に関する裁判例(34)平成20年 5月12日 東京高裁 平20(ラ)646号 新株発行差止等仮処分決定認可決定に対する保全抗告事件 〔ピコイ新株発行差止事件・保全抗告審〕

要旨
◆株主無償割当てにより発行された新株予約権に基づく新株発行を差し止める旨の仮処分命令の申立てがなされた事案において、先行する新株予約権発行手続に会社法247条の差止事由がある場合には、それに引き続いて行われる新株発行手続にも同法210条の差止め事由があるというべきであり、新株予約権無償割当てであっても差別的取得条項が付されているため株主の地位に実質的変動をもたらすものである場合には同法247条が類推適用されるとしたうえで、本件新株予約権無償割当ては、専ら経営を担当している取締役の経営支配権を維持するためのものであり、株主平等原則の趣旨に反し、また、著しく不公正な方法によるものというべきであるとして、本件新株発行を差し止める旨の仮処分が認められた事例

新判例体系
民事法編 > 商法 > 会社法〔平成一七年法… > 第二編 株式会社 > 第二章 株式 > 第一節 総則 > 第一〇九条 > ○株主の平等 > (一)株主平等の原則と新株予約権の無償割当て
◆新株予約権無償割当てが現経営陣の経営支配権を維持するためのものである場合には、株主平等原則の趣旨に反し、著しく不公正な方法による新株発行に当たる。

 

裁判経過
異議審 平成20年 4月 3日 新潟地裁 決定 平20(モ)1016号
仮処分決定 平成20年 3月27日 新潟地裁 決定 平20(ヨ)18号

出典
判タ 1282号273頁
金商 1298号46頁

評釈
草野真人・判タ別冊 25号156頁(平20主判解)
温笑[とう]・ジュリ 1382号136頁
村田敏一・旬刊商事法務 1944号93頁
岩田合同法律事務所・新商事判例便覧 2837号(旬刊商事法務1846号)
山田剛志・金商 1358号2頁
鳥山恭一・金商 1326号9頁
清水俊彦・金商 1312号10頁
奈良輝久・金商 1312号2頁
鳥山恭一・早稲田法学 85巻3号853頁(2)
鳥山恭一・法セ 647号126頁
西岡祐介・銀行法務21 699号95頁
込山芳行・ビジネス法務 9巻10号122頁

参照条文
会社法109条1項
会社法210条
会社法247条

裁判年月日  平成20年 5月12日  裁判所名  東京高裁  裁判区分  決定
事件番号  平20(ラ)646号
事件名  新株発行差止等仮処分決定認可決定に対する保全抗告事件 〔ピコイ新株発行差止事件・保全抗告審〕
裁判結果  抗告棄却  上訴等  確定  文献番号  2008WLJPCA05126001

抗告人(債務者) 株式会社ピコイ
同代表者代表取締役 A
同代理人弁護士 風間士郎
同 山田剛志
同 華学昭博
同 山崎優
相手方(債権者) 弁護士法人なにわ共同法律事務所
同代表者代表社員 B
同代理人弁護士 野中信敬
同 安田修
同 久保田理子
同 橋本幸子

 

 

主文

1  本件抗告を棄却する。
2  抗告費用は抗告人の負担とする。

 

 

理由

1  本件抗告の趣旨及び理由は、本件当審記録中の「保全抗告状」記載のとおりであり(ただし、抗告の趣旨に、原仮処分決定の取消しを付加する。)、これに対する相手方の答弁は、本件当審記録中の「答弁書」記載のとおりであるから、これらを引用する。
2  事案の概要
本件は、フリージアトレーディング株式会社(以下「FT」という。)から同社保有の抗告人の株式の信託譲渡を受けて、抗告人の株主となっている相手方が、平成20年3月15日に抗告人の取締役会決議に基づいてFT(相手方)及びその関係者に対する取得条項が付された新株予約権(以下「本件新株予約権」という。)の株主無償割当てによる発行が行われたことにつき、本件新株予約権の発行が株主平等原則に反し著しく不公正な発行に当たることを理由として、本件新株予約権に基づく新株の発行を仮に差し止める旨の仮処分命令申立てをした事案である。
原審裁判所は、平成20年3月27日、本件新株予約権無償割当ては抗告人の現経営陣の経営支配権を維持するためのものであり、株主平等原則に違反する著しく不公正な方法によるものであり、保全の必要性があるとして、相手方の本件仮処分命令申立てを認容する旨の原仮処分決定をしたので、抗告人は、これに対して保全異議を申し立て、原仮処分決定の取消しと本件仮処分命令申立ての却下を求めたところ、原審裁判所は、FTらのフリージアグループが抗告人の経営に関与することにより抗告人の企業価値の明白なき損があるとはいえず、本件新株予約権の発行に際しては相手方及びFTの意思をも考慮すべきであったことに照らすと、本件新株予約権無償割当ては専ら抗告人の現経営陣の経営支配権の維持のためのものであり、著しく不公正な方法によるものとして許されないとして、原仮処分決定を認可する旨の原決定をした。
そこで、抗告人がこれを不服として保全抗告をし、原決定及び原仮処分決定の取消しと本件仮処分命令申立ての却下を求めたものであり、その理由として、フリージアグループは濫用的株主、濫用的買収者であり、フリージアグループによる抗告人の経営権の取得が抗告人の企業価値のき損をもたらすから、本件新株予約権無償割当ては抗告人の現経営陣の保身でなく、不公正発行に当たらないと主張している。
3  疎明資料(認定事実中に括弧書きしたもの)及び審尋の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。
(1)  当事者等
ア  抗告人
(ア) 設立後の経緯
抗告人は、昭和47年1月28日、木材及び建物の保存工事(白蟻防除木材防腐工事)等を目的として、C(以下「C」という。)により設立された株式会社であり、同人が代表取締役社長に就任して経営していたところ、平成11年10月、和議手続開始の申立てをして倒産し、平成12年7月、和議開始決定を受け、同年10月、和議認可決定を受け、同年11月、同決定が確定し、平成17年3月、新潟県中小企業再生支援協議会の支援を得て、銀行融資を受け、和議債務を完済して、和議手続を終結したが、これに先立ち、同年2月1日付けで、Cが代表取締役(和議に至った責任者であるが、再建のためリーダーシップが必要との判断で留任していた。)を辞任して、代表権のない取締役会長に就任し、専務取締役であったA(以下「A」という。)が代表取締役社長に就任し、次いで、同年5月1日付けで、常務取締役であったD(以下「D」という。)が代表取締役専務に就任し、平成18年8月31日付けで、Cが取締役を辞任し、現在に至っている(甲1、22、乙2)。
(イ) 資本構成
平成20年3月25日現在、資本金の額は6億7365万円、発行可能株式総数1500株、発行済株式総数は512株である。株式市場に上場していない。
同年2月15日現在で、株式中議決権を有するものは421株であり(他に、自己株式3株、失権株17株があり、それ以外は議決権を有しない端株である。)、相手方の議決権数は147個である。相手方以外の大株主(括弧内は議決権数)は、株式会社ヴァーチュアス・エステイツ(65個。以下「ヴァーチュアス」という。)、ピコイ従業員持株会(42個)、E(23個)、トステム株式会社(20個)等である。また、ヴァーチュアスの前代表取締役であるF(以下「F」という。)が議決権4個、抗告人の創業者であるCの妻であるGが同2個を有している。その後も議決権の個数に変更はない(甲66の2)。
(ウ) 機関構成等
取締役会、監査役、監査役会、会計監査人をそれぞれ設置しているが、委員会設置会社ではない(甲21、22)。
株式の譲渡制限を設けておらず、会社法2条5号にいう公開会社に該当する。
平成19年1月31日現在の従業員数は252人であり、労働組合は結成されていない(甲1)。
(エ) 業績
平成19年1月期の売上高は約60億9236万円、経常利益は約2億1769万円、当期純損失は約1億2802万円である(甲1)。
イ  相手方
相手方は、後記のとおり、FTからその保有する抗告人株式の信託譲渡を受けて、抗告人の株式147株を保有する株主である。
ウ  FTら
(ア) FTの関連会社として、フリージア・マクロス株式会社(以下「FM」という。)、フリージアホーム株式会社(以下「FH」という。)及び光栄工業株式会社(以下「光栄工業」という。)が存在する。
平成19年3月31日時点において、FTがFHの発行済み株式総数の98.83%を保有し、FHがFMの発行済み株式総数の68.18%を保有し、FMが光栄工業の全株式を保有している。そして、FTの株式は、FM及び光栄工業の代表取締役会長であるH(以下「H」という。)が発行済み株式総数の60%を、FT及びFMの代表取締役社長でHの実弟であるI(以下「I」という。)が20%を、FHの代表取締役社長(FMの前代表取締役社長)であるJが20%をそれぞれ保有している。
FMは、東証2部上場会社で、上記役員構成及び株式保有により、FH、FT及び光栄工業を連結子会社(光栄工業は100%子会社)とし、4社は、フリージアグループ(会長H)と名乗って次のとおり企業活動を行っている。すなわち、フリージアグループの中で、FH、FM及び光栄工業が製造・供給事業を、FTが流通事業をそれぞれ担うものと位置づけられ、FHはログハウスの施工、配給、家具の配給、高級スウェーデン住宅の設計、施工、配給等を、FMはプラスチック押出機の製造、配給、土木試験機の製造、仕入れ、配給等を、光栄工業はATM等筐体の製造、配給等を、FTはパソコン、周辺機器、製品、パーツその他の仕入れ、輸入、販売、パソコン店、漫画喫茶店の直営等をそれぞれ行っている(甲26、27、55、乙8の2、19)。
(イ) FTは、平成18年1月23日、抗告人の株式40株をCから譲り受けて保有し、その後、同年4月ころに買増しして53.5株を保有し(甲1)、さらに、後記のとおり、抗告人から94株の第三者割当てを受けて、147.5株の抗告人株式を保有している。
(ウ) FMは、平成5年6月ころ、技研興業株式会社(以下「技研興業」という。)の株主総会に当たって、議決権委任状獲得のために勧誘書と共に郵便為替(保有株式1株につき約1.8円相当で、総額350万円程度)の送付をしたことがあり、これにはHが関与していた(甲59、乙21)。
エ  ヴァーチュアス
(ア) ヴァーチュアスは、平成15年1月8日、Fが設立し、同人が代表取締役に就任していたが、平成18年8月1日、同人は代表取締役を退任、取締役を辞任し、Kが代表取締役に就任した(乙10)。
(イ) ヴァーチュアスは、平成19年3月から平成20年1月までの間に、抗告人の株式をG、株式会社ケミコートらから順次取得し、65.3株を保有するに至った(甲62、乙34)。なお、ヴァーチュアスは、FMの株式200万株(持株比率0.44%)を保有している(平成19年3月時点。甲26)。
オ  株式会社光德技建
建設業を営む株式会社光德技建の代表取締役に、平成18年3月31日から同年10月3日までFが、同日から同年12月29日までCが、平成19年3月22日から現在までHがそれぞれ就任している(乙34)。
(2)  株式会社ケミコートらによる臨時株主総会招集請求と株主総会における否決
抗告人の少数株主であった株式会社ケミコートほか2名は、平成18年2月17日付け内容証明郵便をもって、抗告人に対し、臨時株主総会の招集請求をし、同郵便及び同年3月1日付け通知書をもって、Aを代表取締役社長から解任し、創業者であるCが取締役会の主導権を握って次期代表取締役社長を選任することを目的として、抗告人の取締役としてFほか4名を選任し、抗告人取締役のうちAほか3名を解任する議案を提案した(乙3、4)。これに対し、抗告人は、平成18年4月17日の定時株主総会の決議事項に上記株主提案を追加して対応することとした(乙5)。FT(I)は、株式会社ケミコートの提案に同調したが、同日の定時株主総会において、上記株主提案はいずれも否決(賛成議決権数146個、反対議決権数175個(棄権1個)又は176個)された。なお、当時、抗告人は、フリージアグループを乗取り屋と喧伝していた(乙6、7の1・2)。
(3)  抗告人とフリージアグループとの業務提携及び資本提携
ア  経緯
(ア) 抗告人は、その白蟻防除木材防腐工事が構造的に減少する中で、フリージアグループとの業務提携をすることを検討し、平成18年6月ころ、A、D及び取締役L(平成17年4月就任。以下「L」という。)がIと面談して、上記業務提携を提案し、Hとも面会し、両者間で業務提携及び資本提携に向けて協議を重ねた(甲64の1・2、乙10、30)。
(イ) 資本提携は、フリージアグループが抗告人の株式の35%を保有して、株主総会の特別決議事項等の重要な決議に拒否権を持つためのものであり、Iは、同年8月ころ、Lに対し、FTが所有する抗告人の株式全部をA、D及びLの3名に委託し、特定の決議事項の場合を除き、その議決権の行使を一任する内容を骨子とする株式議決権信託を検討したことがあった(乙36)。
(ウ) Iは、同年10月16日、Lに対し、「当社子会社のフリージアホーム株式会社と事業提携の内容案」と題する書面をFAXで送信して、フリージアグループと抗告人との業務提携の具体的内容を提案した(甲64の1、乙11)。
同書面には、「1.フリージアログハウス等の提携事業(形態)」として、①斡旋業務、②営業代行(FHが指導)、③開拓営業代行、⑥直接工事、⑤メンテナンス事業の業務が記載され、それぞれのマージンの比率と具体的に行う業務内容が記載されていた。また、同書面の①ないし⑤の業務の記載の後には、注書きとして、当初はFHが抗告人の支店を拠点として、見学会を主催し顧客の獲得を支援して②の業務を行うこと、当初の6ないし8か月位は見学会の進め方や契約の仕方等を指導し、自力で抗告人が行う③へ移行すること、③の体制が整ったら④の事業も行い、より高い利益率を達成すること等が記載されており、「北海道は大きな市場です、御社との提携効果が最も大きいでしょう。北海道だけで年間30~40棟は5~7人の専属スタッフが居れば可能でしょう。」などと記載されていた。
(エ) 抗告人は、フリージアグループとの提携に、ログハウス事業の収益性、ベトナム人労働者の受入ルート等大きなメリットを期待し、フリージアグループとの業務提携及び資本提携をすることを決定した(乙10)。
イ  業務提携及び資本提携に関する基本契約の締結
FH、FT及び抗告人は、平成19年1月26日、要旨以下のとおりの業務提携及び資本提携に関する基本契約(以下「本件基本契約」という。)を締結した(甲6)。
(ア) FH、FT及び抗告人は、互助、互尊、互恵の精神に立つ対等のパートナーとして、当事者間相互の信頼関係を基盤とし、ログハウス事業及びその付帯事業において、双方の事業発展を促進するための包括的な契約を結ぶことを目的とする。FH、FT及び抗告人は、業務提携及び資本提携を締結するに当たり、信義に従い、誠実に交渉する。
(イ) ログハウス事業及びその付帯事業において、FHと抗告人はお互いに協力して顧客の開拓及び販売促進を行うものとする。
(ウ) 抗告人はFTに対して第三者割当増資を行うこととし、FTはこれを引き受けるものとする。その第三者割当ての払込みはFMの株式による現物出資とし、抗告人株式1株に対しFMの株式300万円相当を対価として行う。
(エ) FTは抗告人の発行する議決権付き株式総数の35%を上限として抗告人の株式を保有することができるものとし、上記第三者割当てはFTの持株比率が抗告人の議決権付き株式総数の35%となるよう発行することとする。
(オ) FT(その関係会社、役職員を含む。)が抗告人の議決権付き株式総数の35%を超えて抗告人の株式を保有した場合、抗告人においてその譲受けを無効とすることができ、その超過部分につき、FTは時価において、抗告人の指定する者に譲渡しなければならない。
(カ) 抗告人は、FTの持株比率が抗告人の議決権付き株式総数の35%未満とならないようにしなければならないものとする。したがって、新株発行や新株予約権等の抗告人の資本政策に関わることは、抗告人は事前にFTと協議して、その承諾をとるものとする。
(キ) 本業務提携を図るに際し、FTが取得する抗告人の議決権付き株式については、FTは抗告人と合意する第三者に別途協議して締結する「株式管理信託契約書」に基づき株式の信託を行う。
(ク) 次の各号に該当する事項については、抗告人は、FTと事前協議に基づく合意を得なければこれを行わない。
① 資本の変更に関すること(増資・減資、新株予約権発行、株式交換・株式移転、会社合併、会社分割、自己株式の処分)
② 代表者の変更、第三者からの役員選任、多額の資金支出を伴う新規事業や定款所定事業以外への投資、業務提携、事業譲渡、業態変更
③ 第三者に対する出資や子会社設立、他の会社の買収等多額の資金支出に関わること
④ 定款変更
(ケ) 本業務及び資本提携を図るに際し、FH及びFT並びにその関連会社は抗告人に役員を派遣しない。
ウ  本件基本契約及び同日付け抗告人取締役会の株式募集決議に基づき、FTは、同年2月28日、FMの普通株式509万7000株(価額2億9051万6118円)を出資し(抗告人の持株比率1.13%)、抗告人の普通株式94株(1株309万0597円)の割当を受けて取得し(甲19)、抗告人の株式147.5株(持株比率35%)を保有することとなった。
エ  事業展開の状況
(ア) 抗告人は、平成19年8月1日、ログ事業部として札幌営業所を開設した(乙30)。
(イ) FHは、平成19年11月9日から同年12月20日にかけて、北海道新聞、朝日新聞、日刊スポーツ、読売新聞、道新スポーツ、日経新聞の各誌にFHのログハウス、スウェーデン住宅の広告を掲載したが、同広告には供給元としてFH、「現地提携先」又は「現地業務資本提携先」として抗告人北海道フリージア事業部を併記していた(甲38、39)。
(ウ) 抗告人は、平成19年11月19日以降、H及びFMのスタッフの支援を受けて、複数回にわたりログ事業部配給祭、体験会等を開催した(甲40、41、乙30)。
(エ) 平成19年11月から平成20年2月にかけて、Hに対し、抗告人のログ事業部従業員から頻繁に「業務日報」、「顧客管理表」及び進行中のプランの図面が送られており、Hは、これらの書面に対して指示を出すこともあった(甲41)。
(4)  相手方に対する株式管理信託
ア  経緯
(ア) Hは、平成18年11月ころ、20年来の付き合いのある相手方代表社員のB弁護士(以下「B」という。)に対し、FTがそれまでに取得した抗告人の株式と、FTと抗告人との業務提携及び資本提携に伴って抗告人から第三者割当てを受ける株式を相手方に信託譲渡したい旨の相談をし、相手方東京分室社員のM弁護士(以下「M」という。)とFT社長のIが担当となり、予定している上記提携の内容を踏まえて、FT、抗告人及び相手方間の株式管理信託契約の検討を進めることとなった(甲42)。
(イ) 抗告人代理人弁護士山田剛志(抗告人の補欠監査役。甲1。以下「山田」という。)は、平成19年1月22日、抗告人のL取締役に対し、「株式管理信託契約書(案1)」と題するファイルを電子メールに添付し、送付したところ、同案においては、抗告人の株主総会において相手方がFTの指図を得て議決権を行使する事項(以下「指図事項」という。)について、後記イ(ウ)①ないし⑤と同様の条項のほか、「代表取締役の変更、第三者からの役員選任」とされていた。(乙15の1)
(ウ) Lは、本件基本契約締結及び抗告人取締役会の株式募集決議後の同年2月2日、山田に対し、「株式管理信託契約書(案2)」と題するファイルを電子メールに添付し、送付したところ、同案においても、指図事項について、後記イ(ウ)⑧が加わったほかは、上記(イ)の案どおりとされていた(乙15の2)。
(エ) 山田は、同日、折り返し、Lに対し、「株式管理信託契約書(案3・ピコイ修正)」と題するファイルをL宛の電子メールに添付し、送付したところ、同案においても、指図事項について、上記(ウ)の案どおりとされていた(乙15の3)。
(オ) Lは、同年2月15日、Iに対し、Iからの指図事項中⑥を「役員の変更に関する事項」とする要請について、抗告人社内の役員登用人事にもFTの同意が必要となってしまうので、元の具体的な記述に戻すことを提案する電子メールを送付した(乙16)。
(カ) Iは、同年2月16日、Lに対し、上記(オ)の電子メールの返信の形式で次の内容の電子メール(以下「本件メール」という。)を送付した(乙16)。
「⑥については、役員の選任、解任も必要です。
ピコイの経営について、Lさん、Aさんが御健在のうちは安心ですが、その後の不安もあります。
経営者を選ぶ権利の全てを経営者が持つのは、健全なものではないでしょう?
上場会社であれば、株主の監視が効きますが、未上場の場合はお手盛りになってしまう傾向が強いのです。
Lさんの様に強い管理ができる人が居れば安心ですが。
私共は適切な人選に反対するはずがありません。
外から見てもおかしくない人事であれば、誰が反対するでしょうか?
何を心配されているのでしょうか?
代表や元会長の親族や利害関係者を役員にするとか、例えば大きな不正を行っているものを役員にする場合とかは反対せざるえないでしょう。
私共から役員の派遣は一切しない約束をしているのですから、心配することはありません。
安心してください、私共は現在のA・D・Lさんの経営体制を完全に支持し、協調していけると100%確信しています。」
イ  株式管理信託契約の締結
FT、抗告人及び相手方は、平成19年2月28日、FT側からIが、抗告人側からA、L、抗告人代理人弁護士風間士郎(抗告人社外監査役。甲22)が、相手方側からB、Mがそれぞれ立ち会い、本件基本契約に基づいて、FTが取得した抗告人株式147株に関し、要旨以下のとおりの株式管理信託契約(以下「本件管理信託契約」という。)を締結した(甲7)。
そして、同年3月13日及び同年4月18日、同株式について相手方に名義書換えが行われ、引渡しがされた(乙35)。
(ア) FTは、保有する抗告人の株式を相手方に対して信託譲渡し、抗告人の株主名簿の名義を相手方にした上、株券をすべて相手方に引き渡す。
(イ) 本件管理信託契約の契約期間は、締結日から2年とする(更新可)。
(ウ) 抗告人の株主総会において、以下の事項に関する議案の場合は、相手方はFTの指図を得て議決権を行使するものとし、それ以外の事項については、相手方は抗告人の意向に添い議決権を行使する。
① 定款変更
② 組織再編行為(合併、会社分割、株式交換・株式移転、事業譲渡)
③ 資本の変更(増資、減資、新株予約権発行、自己株式の取得・処分)
④ 多額の出資を伴う新規事業や定款所定事業以外への投資、業務提携、業態変更
⑤ 第三者への出資や子会社設立、他の会社の買収等多額の資金流出
⑥ 役員の変更に関する事項
⑦ 剰余金処分のうちの役員賞与総額及び役員報酬総枠の変更
⑧ その他特別決議・特殊決議事項、及び取締役会権限の範囲にもかかわらず株主総会の決議を求める事項
(5)  ヴァーチュアスによる臨時株主総会招集請求とその後の経緯
ア  ヴァーチュアスによる臨時株主総会の請求
ヴァーチュアスは、平成20年1月5日、抗告人に対し、内容証明郵便によって、A、D、N、O、Pの5名の取締役の解任と、F、G、Q、R(両名は平成18年3月31日に株式会社光德技建の監査役に就任。乙34)、S、T(両名はFの妻子)の6名の取締役選任を目的事項とする臨時株主総会招集を請求した。同書面の中で、ヴァーチュアスは、抗告人の業績が大きく低迷しており、人心を刷新して抗告人の活性化を図る必要があり、これらの取締役候補は新たな取締役を選ぶための一時的な任務につく取締役である旨述べている(甲3の1・2)。また、ヴァーチュァスは、同請求に伴い、FTに協議を申し入れた。
イ  抗告人の臨時株主総会招集通知
抗告人は、これを受けて、平成20年1月31日、同年3月3日に上記提案を決議事項とする臨時株主総会を招集することとし、基準日を同年2月15日とし、同日最終の株主名簿上の株主をもって議決権を行使できる株主と定めた(甲5)。抗告人取締役会は、同月16日付けで行われた同株主総会招集の通知において、引き続き現体制により業績回復、向上に邁進していくことが抗告人の利益になるので、株主提案に反対である旨の意見を付した(甲4)。
これに先立ち、抗告人は、H及びIに対し、提案株主との調整を協力要請した。
ウ  臨時株主総会の延期
FT(H、I)は、抗告人にその経営に関する提案をしたが、抗告人に拒否され、相手方(B、M)に相談したところ、相手方は、株主総会の延期又は続行をした上、関係者間で協議を行うことを勧告し、抗告人(代理人)に対し、双方が冷静に判断、対応するために、双方(代理人)間で協議を続行することとして、上記臨時株主総会を延会とすることを打診し、抗告人も、これに応じることとなった。
そして、同年3月3日、抗告人臨時株主総会が開催され、ヴァーチュアスから委任を受けて出席したFが提案理由の説明をした後、上記目的事項の議案上程前に、相手方(M)が延会の動議を提出し、Fはこれに反対したが、同株主総会を同年3月17日に延期する旨の決議がされた(甲25の1・2、42)。
エ  抗告人による仮処分命令申立て及びその取下げ
抗告人代理人は、上記協議を経ないで、同年3月5日付けで、相手方代表者に対し、相手方がウの株主総会においてイの議案に賛成の議決権を行使してはならないとの決定を求める仮処分命令申立書案を送付し、同月11日、大阪地方裁判所に対して、相手方を債務者として、同仮処分命令申立て(以下「別件仮処分申立て」という。)をし、これにFTが相手方に補助参加して、被保全権利が存在しないなどとして、却下を求めたところ、抗告人は、審尋が行われた同月14日、同申立てを取り下げた(甲9、10の1ないし3、11)。
オ  FTの指図
FTは、平成20年3月17日付けで、相手方に対して、上記臨時株主総会の議決権行使に関して、本件管理信託契約に基づき、議案(株主提案)にいずれも賛成するとの議決権行使をするように指図した(甲13)。
カ  臨時株主総会の開催不能
平成20年3月17日、抗告人株主総会が行われる予定であったが、抗告人従業員らが同月14日に労働組合を結成して、無期限ストライキに突入するとして、会場であった抗告人本社を封鎖したため、株主総会を開催することができなかった。なお、同ストライキは、株式総会が開催できないことが確定した後、同日中に解除された(甲15、16、25の1)。
(6)  本件新株予約権発行決議
抗告人取締役会は、平成20年3月15日、一部取得条項付新株予約権の株主無償割当てを行う旨の決議をし、同日付けで新株予約権割当ての効力が生じた。その要旨は以下のとおりである(乙24)。なお、抗告人取締役会は、ヴァーチュアス、Fらをカ(ア)該当の非適格者と認めず、本件新株予約権を発行する対象者としている(乙27)。
ア  割当ての方法及び割当先
新株予約権無償割当ての方法により、割当期日の最終の株主名簿に記載又は記録された株主(株式数425株)に対して、その有する抗告人株式1株につき3個の割合で本件新株予約権を割り当てる(株主に割り当てる新株予約権の数1275個)。
イ  本件新株予約権無償割当てが効力を生ずる日
平成20年3月15日
ウ  本件新株予約権の目的である株式の種類及び数
抗告人普通株式。本件新株予約権1個の行使により抗告人が交付する数(割当株式数)は1株とする。
エ  本件新株予約権の行使に際して出資される財産の価額
本件新株予約権の行使により抗告人がその普通株式を新たに交付する場合における株式1株当たりの払込金額は、1円とする。
オ  本件新株予約権を行使することができる期間(行使可能期間)
平成20年3月31日から同年4月4日まで
カ  本件新株予約権の取得事由及び取得の条件(取得条項)等
(ア) 抗告人は、取締役会決議に基づき、平成20年3月15日、以下に該当する者(以下「非適格者」という。)に対し、新株予約権に付した取得条項を行使し、非適格者に割り当てられた新株予約権を買い取ることとする。ただし、抗告人が取得した新株予約権は直ちに消却する。
a FT(及びFTから信託譲渡を受けている相手方)
b FTの関連者。関連者とは、実質的にFT等を支配し、FT等に支配され若しくはFT等と共同の支配下にある者として抗告人取締役会が認めた者、又はFT等と協調して行動する者として抗告人取締役会が認めた者をいう。
(イ) 上記(ア)の場合において、非適格者に対しては、その対価として、次のとおり計算した現金又はそれに相当する上場株式等の有価証券を交付する。
a 抗告人株式1株103万4245円(収益還元法(類似比較法)による評価額)
b 同509株5億2643万0705円
c 新株予約権行使による株式の増加509株→1343株
d FTへの対価9441万2784円
=526,430,705×(147/509-147/1,343)
e FM株式1株の価格28円(平成20年3月14日の終値)
f FTへのFM株式(単元株数千株)による支払337万2000株
94,412,784÷28=3,371,885
(ウ) 抗告人は、抗告人が上記(ア)bの関連者と認める者に対して、行使可能期間の初日の前日までに、新株予約権に付した取得条項を行使し、その対価として、上記(イ)と同一の金銭又は有価証券を交付することにより、当該新株予約権を取得することができる。
(エ) 以上により、抗告人が非適格者(持株数147株)から取得する新株予約権の数441個、その対価FM株式337万2000株となる。
キ  本件新株予約権の譲渡制限
譲渡による本件新株予約権の取得については、抗告人取締役会の承認を要する。
(7)  本件新株予約権無償割当ての影響
ア  持株比率及び議決権割合
(ア) 本件新株予約権無償割当てにおいては、基準日である平成20年3月15日における最終の株主名簿及び実質株主名簿に記載又は記録された株主に対して、その有する抗告人株式1株につき3個の割合で本件新株予約権が割り当てられる。しかし、相手方(及びその信託者であるFT)並びにその関連者とされた者(以下「相手方関係者」という。)については、非適格者として抗告人に取得条項を行使され、その対価は金銭ないし有価証券(抗告人は、抗告人が保有するFMの株式をもって対価とすることを予定していた。)であって抗告人株式ではない。
したがって、相手方関係者以外の株主が新株予約権を行使し、これに対応する株式が相手方関係者以外の株主に交付された場合には、相手方関係者の持株比率、議決権比率が大幅に希釈化される。
(イ) 仮に、相手方以外の株主のすべてが本件新株予約権を行使し、株式が交付されたときは(相手方以外の者が相手方関係者と認定されないことが前提となる。)、株式総数(自己株式除く。以下同じ)は1343株((発行済株式総数509株-(失権株数17株+端株数合計67株+相手方保有株式数147株))×4+失権株数17株+端株数合計67株+相手方保有株式数147株)に、議決権数は1243個((現状の議決権数421個-相手方保有議決権数147個)×4+相手方保有議決権数)に増加する。
一方、相手方の保有株式数は変わらないから、この場合の相手方の持株比率は従前の約28.9%(147/509)から約10.9%(147/1343)に、議決権割合は従前の約34.9%(147/421)から約11.8%(147/1243)に低下する。
イ  1株当たりの経済的価値
本件新株予約権無償割当ては、基準日(平成20年3月15日)時点の株主に対して、その有する抗告人株式1株につき3個の割合で本件新株予約権を割り当て、本件新株予約権1個の行使により1株が交付され、上記のとおり相手方の有する新株予約権が抗告人に取得され消却されることも考慮すると、結果的に株式総数は1343株に増加し、基準日時点の株主が保有する抗告人株式1株当たりの経済的価値は、単純に計算して、従前の約37.9パーセント(509/1343)に低下することになる。
ウ  株主提案の決議の可否予測
仮に、(5)の臨時株主総会が開催されてヴァーチュアスの株主提案の決議が行われたとすると、賛成議決権数228個(うちFT147個、ヴァーチュアス65個、F4個であり、FTとヴァーチュアスだけで過半数となる。)、反対議決権数180個で可決されたことが予測されたが、本件新株予約権無償割当て後に同株主提案の決議がされると、賛成議決権数519個、反対議決権数720個(736個からUの議決権数16個を除く。)で否決されることが予測される(乙27)。
(8)  抗告人取締役会の意見
抗告人取締役会は、「株式会社ピコイ第2回新株予約権に関する取締役会意見」と題する株主あて平成20年3月15日付け書面の中で、本件新株予約権に関して、要旨以下のとおり説明している(甲12)。
ア  抗告人は、FTによる株主権行使は抗告人の企業価値を損ね、株主価値をき損するものであると判断したため、株主に対して新株予約権を割り当てることとし、FTに対しては経済的損失を補てんするため、FTから現物出資を受けたFMの株式を対価として提供することとする。その結果、本件新株予約権無償割当てによって抗告人の財務関係やFT以外の株主に対する影響はほとんど生じないと考えている。本件新株予約権無償割当ての効果は、FTに対する第三者割当て増資以前の状態に戻す効果を有しており、それ以上の損失をFTに与えるものではない。
イ  3月3日開催の株主総会において、提案株主は自ら社長に就任すると言及しているが、株主提案に係る役員候補者には企業経営の経験もなく、建築業の経営能力もない。FTは上記株主提案に関し実質的な影響力を持ち、背後から提案株主を操ってきたものである。抗告人の役員及び幹部社員は、上記株主提案が可決された場合、退職することを決定した。その結果、既存の業務は壊滅的な打撃を受け、抗告人の信用はさらに失墜する。
ウ  FTは当初から抗告人の支配権取得又は乗取りを企図していたことは、臨時株主総会において延期に合意し、役員の解任議案に反対しなかったことからも明らかである。
(9)  Hの意見
Hは、平成20年4月1日付け陳述書(甲59)において、フリージアグループの抗告人への経営参加について、①銀行が2億円の当座貸越しを断ってきて困っているのであれば2億円の即刻無条件融資の設定を行うこと、②現況の抗告人の売上の範囲内であれば仕入れに関する無制限信用枠の設定をすること、③社員との事実に基づく本音の話し合いによる和解をすること、④役員の給料、経費の削減を行い、社員の昇給に当てる改善を行うこと、⑤将来さらなる改善をするための役員、社員相互間の話し合いの実施と信頼関係を醸成すること、⑥現場部門の待遇を見直すことやベトナム人研修生を現場の第一線に派遣すること等により、労務問題を解決すること、⑦ログハウス事業の育成を全面的にバックアップすること、⑧フリージアグループの木材、建材、大工道具、家電等の商材を抗告人に提供すること等を提案すると記載している。
4  当裁判所の判断
(1)  当裁判所も、本件新株予約権無償割当ては、株主平等の原則の趣旨に反し、著しく不公正な方法により行われる場合に該当するから、相手方の本件仮処分命令申立ては理由があるものと判断する。
その理由は、以下のとおりである。
(2)  まず、本件新株予約権無償割当てによる新株発行の差止請求をし得ることは、原仮処分決定の「事実及び理由」の「第3 当裁判所の判断」1及び2記載のとおりであるから、これを引用する。
(3)  被保全権利(会社法247条各号該当性)について
ア(ア)  会社法109条1項は、株式会社は株主をその有する株式の内容及び数に応じて平等に取り扱わなければならないとして、株主平等の原則を定めている。
新株予約権無償割当てが新株予約権者の差別的な取扱いを内容とするものであっても、これは株式の内容等に直接関係するものではないから、直ちに株主平等の原則に反するということはできない。しかし、株主は、株主としての資格に基づいて新株予約権の割当てを受けるところ、同法278条2項は、株主に割り当てる新株予約権の内容及び数又はその算定方法についての定めは、株主の有する株式の数に応じて新株予約権を割り当てることを内容とするものでなければならないと規定するなど、株主に割り当てる新株予約権の内容が同一であることを前提としているものと解されるのであって、同法109条1項に定める株主平等の原則の趣旨は、新株予約権無償割当ての場合についても及ぶというべきである。
(イ) 株主平等の原則は、個々の株主の利益を保護するため、会社に対し、株主をその有する株式の内容及び数に応じて平等に取り扱うことを義務付けるものであるが、個々の株主の利益は、一般的には、会社の存立、発展なしには考えられないものであるから、特定の株主による経営支配権の取得に伴い、会社の存立、発展が阻害されるおそれが生ずるなど、会社の企業価値がき損され、会社の利益ひいては株主の共同の利益が害されることになるような場合には、その防止のために当該株主を差別的に取り扱ったとしても、当該取扱いが衡平の理念に反し、相当性を欠くものでない限り、これを直ちに同原則の趣旨に反するものということはできない。
(ウ) また、株主に割り当てられる新株予約権の内容に差別のある新株予約権無償割当てが、会社の企業価値ひいては株主の共同の利益を維持するためではなく、専ら経営を担当している取締役等又はこれを支持する特定の株主の経営支配権を維持するためのものである場合には、その新株予約権無償割当ては原則として著しく不公正な方法によるものと解される(以上、最高裁平成19年(許)第30号同年8月7日第二小法廷決定・民集61巻5号2215頁参照)。
イ  そこで、本件についてこれを検討するに、前記認定事実によれば、株主提案により退陣(解任)を求められた抗告人の現経営陣は、抗告人と業務提携及び資本提携をしている最大株主であるFT(相手方)に対して協力を求めることにより臨時株主総会で同株主提案を否決することを目論んだが、これが奏効しない見込みとなったため、相手方の議決権行使を制約する別件仮処分申立てをしたものの、これも認容の見込みがないため取り下げ、急遽、抗告人従業員らをして労働組合を結成させ(結成日、経緯に照らして、このように推認できる。)、臨時株主総会を開催不能とした上、本件新株予約権発行決議をして相手方の持株比率、議決権割合を大幅に希釈化する措置に出たものであり、これにより、今後、抗告人の現経営陣と対立することが見込まれるFTらが抗告人の経営支配権を掌握することを阻止しようとしたものと認められるから、本件新株予約権無償割当ては、抗告人の現経営陣の経営支配権を維持するためのものであるというべきである。
ウ  これに対し、抗告人は、フリージアグループは詐欺的に業務提携及び資本提携をして抗告人の株式を取得するなどしたもので、かつ、ヴァーチュアスと事実上一体の濫用的株主、濫用的買収者である、フリージアグループによる経営権の取得が抗告人の企業価値をき損するとして、上記ア(イ)にいう場合に当たり、同(ウ)にいう場合に当たらないと主張する。
(ア) しかしながら、まず、ヴァーチュアスとFが事実上一体であるということはできるが、ヴァーチュアスが抗告人の株式を取得、買増ししていたことや、同社が株主提案をしたことにFTらフリージアグループが関与したことはうかがわれず、他にも、FTらフリージアグループとヴァーチュアスが事実上一体であることをうかがわせるに足りる証拠はなく(なお、株式会社光德技建の代表取締役にFやHが前後して就任していることや、FTが相手方に対し株主提案に賛成することを指図したことなどから、直ちに上記のようにいうことはできない。)、抗告人においても、ヴァーチュアス及びFをFTの関連者と認めていないのであるから、フリージアグループがヴァーチュアスと事実上一体であることを前提とする抗告人の主張は理由がない。
(イ) 次に、フリージアグループが抗告人と業務提携及び資本提携をしてFTにおいて抗告人の株式を取得したのは、抗告人の側から、従前は抗告人において乗取り屋と認識していたというフリージアグループに提案して実現したものであり、その間に双方とも弁護士が関与し、十分に検討した上で、本件基本契約及び本件管理信託契約の締結に至ったものと認められるのであり、フリージアグループに詐欺的行為があったことはうかがわれない。抗告人は、本件メールを主な根拠として上記主張をするが、同主張が理由がないことは、原決定の「理由」の「第3 当裁判所の判断」3(2)(原決定8頁下から4行目から9頁12行目まで)記載のとおりであるから、これを引用する。
(ウ) また、抗告人は、Hがかって委任状獲得のため株主に郵便為替を送り付けたことなどを指摘してフリージアグループを濫用的株主、濫用的買収者と主張するが、抗告人指摘の点があったとしても、本件について判断するに当たって、フリージアグループを濫用的株主、濫用的買収者ということができないことは明らかであり、FTが抗告人の株式を取得するに当たって、不法な意図があったり、不法な行為をしたことが認められないことは上記認定説示のとおりであって、FTらフリージアグループをもって抗告人が主張するような濫用的株主、濫用的買収者ということはできない。
(エ) さらに、抗告人は、企業価値のき損について、フリージアグループが詐欺的手法で経営権を取得すると、抗告人の従業員が離散し、工務店のネットワークが機能しなくなり、抗告人の現状の事業は継続不可能となると主張する。
しかしながら、フリージアグループが詐欺的手法で経営権を取得するという前提事実が認められないことは、以上に認定説示したとおりであるから、抗告人の上記主張は、そもそも理由がない。
この点をおいて、判断するに、フリージアグループに業務の実体がないという事情やフリージアグループの経営者であるHに抗告人の合理的な経営を目指す意思がないなどの事情をうかがうことはできず、フリージアグループが抗告人の経営に関与することにより、抗告人の企業価値がき損されるおそれがあるような事態が生じると認めるに足りる証拠はない。甲14号証の従業員の陳述書は、現経営陣が別件仮処分申立てをした際に提出したものであり、現経営陣の一方的な見解を前提に作成されたものであると認められ、客観的な状況を把握した従業員の主体的な意見と認めることはできず、これをもって従業員が離散すると認めることはできない。
したがって、抗告人の上記主張は、いずれにしても理由がない。
(オ) 以上のとおりで、現経営陣が抗告人の経営支配権から排除され、これに代わってFTがその株主として経営支配権を取得し、フリージアグループが抗告人の経営に関与することになったとしても、抗告人の企業価値がき損されることになるということはできない。
エ  以上によれば、本件新株予約権無償割当ては、株主平等の原則の例外として許容される場合に該当せず、専ら経営を担当している取締役等(現経営陣)の経営支配権を維持するためのものであると認められるから、株主平等の原則の趣旨に反し、また、著しく不公正な方法によるものというべきである。
(4)  保全の必要性について
本件新株予約権無償割当ての効力は既に生じており、これに基づく新株が発行されると、相手方が著しい損害を被るおそれがあることは、前記3(7)認定のとおりであるから、保全の必要性が認められる。
5  よって、相手方の本件仮処分命今申立てを認容した原仮処分決定及びこれを認可した原決定はいずれも相当であり、本件抗告は理由がないからこれを棄却することとし、主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 大谷禎男 裁判官 杉山正己 西謙二)

 

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