【営業代行から学ぶ判例】crps 裁判例 lgbt 裁判例 nda 裁判例 nhk 裁判例 nhk 受信料 裁判例 pl法 裁判例 pta 裁判例 ptsd 裁判例 アメリカ 裁判例 検索 オーバーローン 財産分与 裁判例 クレーマー 裁判例 クレプトマニア 裁判例 サブリース 裁判例 ストーカー 裁判例 セクシャルハラスメント 裁判例 せクハラ 裁判例 タイムカード 裁判例 タイムスタンプ 裁判例 ドライブレコーダー 裁判例 ノンオペレーションチャージ 裁判例 ハーグ条約 裁判例 バイトテロ 裁判例 パタハラ 裁判例 パブリシティ権 裁判例 ハラスメント 裁判例 パワーハラスメント 裁判例 パワハラ 裁判例 ファクタリング 裁判例 プライバシー 裁判例 プライバシーの侵害 裁判例 プライバシー権 裁判例 ブラックバイト 裁判例 ベネッセ 裁判例 ベルシステム24 裁判例 マタニティハラスメント 裁判例 マタハラ 裁判例 マンション 騒音 裁判例 メンタルヘルス 裁判例 モラハラ 裁判例 モラルハラスメント 裁判例 リストラ 裁判例 リツイート 名誉毀損 裁判例 リフォーム 裁判例 遺言 解釈 裁判例 遺言 裁判例 遺言書 裁判例 遺言能力 裁判例 引き抜き 裁判例 営業秘密 裁判例 応召義務 裁判例 応用美術 裁判例 横浜地裁 裁判例 過失割合 裁判例 過労死 裁判例 介護事故 裁判例 会社法 裁判例 解雇 裁判例 外国人労働者 裁判例 学校 裁判例 学校教育法施行規則第48条 裁判例 学校事故 裁判例 環境権 裁判例 管理監督者 裁判例 器物損壊 裁判例 基本的人権 裁判例 寄与分 裁判例 偽装請負 裁判例 逆パワハラ 裁判例 休業損害 裁判例 休憩時間 裁判例 競業避止義務 裁判例 教育を受ける権利 裁判例 脅迫 裁判例 業務上横領 裁判例 近隣トラブル 裁判例 契約締結上の過失 裁判例 原状回復 裁判例 固定残業代 裁判例 雇い止め 裁判例 雇止め 裁判例 交通事故 過失割合 裁判例 交通事故 裁判例 交通事故 裁判例 検索 公共の福祉 裁判例 公序良俗違反 裁判例 公図 裁判例 厚生労働省 パワハラ 裁判例 行政訴訟 裁判例 行政法 裁判例 降格 裁判例 合併 裁判例 婚約破棄 裁判例 裁判員制度 裁判例 裁判所 知的財産 裁判例 裁判例 データ 裁判例 データベース 裁判例 データベース 無料 裁判例 とは 裁判例 とは 判例 裁判例 ニュース 裁判例 レポート 裁判例 安全配慮義務 裁判例 意味 裁判例 引用 裁判例 引用の仕方 裁判例 引用方法 裁判例 英語 裁判例 英語で 裁判例 英訳 裁判例 閲覧 裁判例 学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例 共有物分割 裁判例 刑事事件 裁判例 刑法 裁判例 憲法 裁判例 検査 裁判例 検索 裁判例 検索方法 裁判例 公開 裁判例 公知の事実 裁判例 広島 裁判例 国際私法 裁判例 最高裁 裁判例 最高裁判所 裁判例 最新 裁判例 裁判所 裁判例 雑誌 裁判例 事件番号 裁判例 射程 裁判例 書き方 裁判例 書籍 裁判例 商標 裁判例 消費税 裁判例 証拠説明書 裁判例 証拠提出 裁判例 情報 裁判例 全文 裁判例 速報 裁判例 探し方 裁判例 知財 裁判例 調べ方 裁判例 調査 裁判例 定義 裁判例 東京地裁 裁判例 同一労働同一賃金 裁判例 特許 裁判例 読み方 裁判例 入手方法 裁判例 判決 違い 裁判例 判決文 裁判例 判例 裁判例 判例 違い 裁判例 百選 裁判例 表記 裁判例 別紙 裁判例 本 裁判例 面白い 裁判例 労働 裁判例・学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例・審判例からみた 特別受益・寄与分 裁判例からみる消費税法 裁判例とは 裁量労働制 裁判例 財産分与 裁判例 産業医 裁判例 残業代未払い 裁判例 試用期間 解雇 裁判例 持ち帰り残業 裁判例 自己決定権 裁判例 自転車事故 裁判例 自由権 裁判例 手待ち時間 裁判例 受動喫煙 裁判例 重過失 裁判例 商法512条 裁判例 証拠説明書 記載例 裁判例 証拠説明書 裁判例 引用 情報公開 裁判例 職員会議 裁判例 振り込め詐欺 裁判例 身元保証 裁判例 人権侵害 裁判例 人種差別撤廃条約 裁判例 整理解雇 裁判例 生活保護 裁判例 生存権 裁判例 生命保険 裁判例 盛岡地裁 裁判例 製造物責任 裁判例 製造物責任法 裁判例 請負 裁判例 税務大学校 裁判例 接見交通権 裁判例 先使用権 裁判例 租税 裁判例 租税法 裁判例 相続 裁判例 相続税 裁判例 相続放棄 裁判例 騒音 裁判例 尊厳死 裁判例 損害賠償請求 裁判例 体罰 裁判例 退職勧奨 違法 裁判例 退職勧奨 裁判例 退職強要 裁判例 退職金 裁判例 大阪高裁 裁判例 大阪地裁 裁判例 大阪地方裁判所 裁判例 大麻 裁判例 第一法規 裁判例 男女差別 裁判例 男女差别 裁判例 知財高裁 裁判例 知的財産 裁判例 知的財産権 裁判例 中絶 慰謝料 裁判例 著作権 裁判例 長時間労働 裁判例 追突 裁判例 通勤災害 裁判例 通信の秘密 裁判例 貞操権 慰謝料 裁判例 転勤 裁判例 転籍 裁判例 電子契約 裁判例 電子署名 裁判例 同性婚 裁判例 独占禁止法 裁判例 内縁 裁判例 内定取り消し 裁判例 内定取消 裁判例 内部統制システム 裁判例 二次創作 裁判例 日本郵便 裁判例 熱中症 裁判例 能力不足 解雇 裁判例 脳死 裁判例 脳脊髄液減少症 裁判例 派遣 裁判例 判決 裁判例 違い 判決 判例 裁判例 判例 と 裁判例 判例 裁判例 とは 判例 裁判例 違い 秘密保持契約 裁判例 秘密録音 裁判例 非接触事故 裁判例 美容整形 裁判例 表現の自由 裁判例 表明保証 裁判例 評価損 裁判例 不正競争防止法 営業秘密 裁判例 不正競争防止法 裁判例 不貞 慰謝料 裁判例 不貞行為 慰謝料 裁判例 不貞行為 裁判例 不当解雇 裁判例 不動産 裁判例 浮気 慰謝料 裁判例 副業 裁判例 副業禁止 裁判例 分掌変更 裁判例 文書提出命令 裁判例 平和的生存権 裁判例 別居期間 裁判例 変形労働時間制 裁判例 弁護士会照会 裁判例 法の下の平等 裁判例 法人格否認の法理 裁判例 法務省 裁判例 忘れられる権利 裁判例 枕営業 裁判例 未払い残業代 裁判例 民事事件 裁判例 民事信託 裁判例 民事訴訟 裁判例 民泊 裁判例 民法 裁判例 無期転換 裁判例 無断欠勤 解雇 裁判例 名ばかり管理職 裁判例 名義株 裁判例 名古屋高裁 裁判例 名誉棄損 裁判例 名誉毀損 裁判例 免責不許可 裁判例 面会交流 裁判例 約款 裁判例 有給休暇 裁判例 有責配偶者 裁判例 予防接種 裁判例 離婚 裁判例 立ち退き料 裁判例 立退料 裁判例 類推解釈 裁判例 類推解釈の禁止 裁判例 礼金 裁判例 労災 裁判例 労災事故 裁判例 労働基準法 裁判例 労働基準法違反 裁判例 労働契約法20条 裁判例 労働裁判 裁判例 労働時間 裁判例 労働者性 裁判例 労働法 裁判例 和解 裁判例

判例リスト「営業代行会社 完全成果報酬|完全成功報酬」(376)平成15年 3月18日 東京地裁 平14(刑わ)307号 競売入札妨害、贈賄、法人税法違反被告事件 〔業際研事件判決〕

判例リスト「営業代行会社 完全成果報酬|完全成功報酬」(376)平成15年 3月18日 東京地裁 平14(刑わ)307号 競売入札妨害、贈賄、法人税法違反被告事件 〔業際研事件判決〕

裁判年月日  平成15年 3月18日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平14(刑わ)307号・平14(合わ)71号・平14(特わ)1650号・平14(刑わ)555号・平14(刑わ)950号・平14(合わ)137号・平14(合わ)136号・平14(刑わ)1115号
事件名  競売入札妨害、贈賄、法人税法違反被告事件 〔業際研事件判決〕
裁判結果  有罪  上訴等  控訴  文献番号  2003WLJPCA03180004

要旨
◆元国会議員秘書による競売入札妨害、贈賄、法人税法違反の事案について、懲役二年六月の実刑判決が言い渡された事例

出典
裁判所ウェブサイト
判タ 1121号290頁

参照条文
刑法198条
刑法96条の3第1項
法人税法159条1項(平12法14改正前)
法人税法159条1項(平12法97改正前)

裁判年月日  平成15年 3月18日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平14(刑わ)307号・平14(合わ)71号・平14(特わ)1650号・平14(刑わ)555号・平14(刑わ)950号・平14(合わ)137号・平14(合わ)136号・平14(刑わ)1115号
事件名  競売入札妨害、贈賄、法人税法違反被告事件 〔業際研事件判決〕
裁判結果  有罪  上訴等  控訴  文献番号  2003WLJPCA03180004

主文
被告人Zを懲役二年六月に処する。
被告人株式会社業際都市開発研究所を罰金八〇〇万円に処する。

理由
【被告人らの経歴等】
被告人Z(以下「被告人」という)は、昭和四七年に茨城県選出国会議員の私設秘書となり、昭和五二年に別の山形県選出国会議員の公設秘書に転じ、同議員が国務大臣に就任した際には同大臣秘書官を務めるなどしていたが、平成六年四月に同議員が新党を結成した際その秘書を辞し、同年七月一一日秘書仲間らとともに被告人株式会社業際都市開発研究所(以下「被告会社」又は「業際研」という)を設立し、以後実質的経営者として同社の業務全般を統括していた。
被告会社は、東京都千代田区永田町所在の山王グランドビルヂングに事務所を置き、被告人が議員秘書時代に培った人脈を頼りに、建設、機械、電機等の関係業者と地方の行政機関等との間を仲介するなどして公共工事に関する情報収集や口利き等を行い、業者らと調査委託基本契約(以下「基本契約」という)を締結して月々の委託料を受け取るとともに、公共工事の受注に成功した際には別途報酬の支払を受けるなどしていた。
【第1 湖北水道企業団発注工事に係る各犯行】
(各犯行に至る経緯)
a(以下「a」という)は、平成三年一二月から茨城県石岡市長を務めるとともに、同市及び隣村の玉里村の水道事業経営事務を共同処理する特別地方公共団体であるB企業団(以下「企業団」という)の企業長を兼務していた。被告人は、aの従兄弟であるc(以下「c」という)と議員秘書時代から昵墾の間柄であり、平成七年五月ころ同人の紹介でaと知り合い、以後石岡市関係の公共工事の受注等につき業者間の調整に関与するようになった。
企業団は、平成一〇年ころから、玉里新配水場ほか三か所において緊急対策事業に伴う電気計装・機械設備工事(以下「本件電気機械工事」という)を施工する計画を進めていたが、平成一一年二月二五日、指名業者を選定するとともに、同年三月一六日に指名競争入札を実施することを決定した。株式会社D製作所(以下「D製作所」という)の特約店であり、電機設備の施工請負等を業とするE株式会社(以下「E」という)の埼玉支店支店長f(以下「f」という)は、同年一月ころ、cに対し、本件電機機械工事の受注につきEのために口利きをするよう依頼し、同月下旬ころ、cは、a及び被告人と話し合って、同工事をEに受注させる方向で業者間調整をすることに決めた。
そこで、被告人は、fと会って、Eの受注に向け協力を約束するとともに、業際研と基本契約を結び、さらに受注に成功した際にはaへの謝礼も含めた成功報酬を支払って欲しいと要求した。これに対し、E側では、被告人の要求に応じれば贈賄に結びつきかねないと判断し、同年二月上旬ころ、同要求を断る旨回答した。被告人は、fに対し、Dグループの会社で業際研と基本契約を結べるところがあれば、そこが受注してEが下請に入ればよいなどと言って、他の契約先を探すよう強く促し、これを受けて、fは同月一二日、D製作所の関連会社であり、集塵装置等の工事請負等を業とするDプラント建設株式会社(以下「Dプラント」という)の関東支店副支店長g(以下「g」という)及び関東支店茨城営業所課長h(以下「h」という)を、被告人に引き合わせた。被告人は、gらに対し、希望すれば本件電気機械工事をDプラントが受注できるよう協力する旨話すとともに、Eにしたのと同様の成功報酬の支払等の要求をしたところ、gらは、これを了承し、被告人に受注に向けての協力を依頼した。
被告人は、aに対し、Dプラントを本件電気機械工事の指名業者に入れるよう要請したが、専門業種の相違から同社を指名業者に入れるのが無理であると分かったため、最終的に、a、c及び被告人の間で、電気機械器具の製造等を業とするD製作所が本件電気機械工事を受注し、E及びDプラントがその下請に入るとの方針を決定した。そして、被告人は、gに対し、上記方針を伝えるとともに、D製作所が本件電気機械工事を受注できた際には、従前の合意どおりDプラントが成功報酬を支払うよう要求し、その応諾を得た。そこで、fは、D製作所の茨城支店電機第一グループ部長代理i(以下「i」という)に対し、本件電気機械工事に関連してDプラントが業際研と契約を交わす旨を報告した。
iは、同年三月初めころから、本件電気機械工事の受注に向け、他の指名業者との間で調整を進めていたが、これに応じない業者があったため、その業者に対してD製作所がいわゆる「天の声」を得ていることを示して受注を断念させるとともに、予定価格に近い金額で落札して高い利益を上げるべく、被告人を通じてaから本件電気機械工事の予定価格に関する情報を聞き出そうと考えた。そして、同月一一日ころ、fを通じて被告人にその旨の依頼を行い、被告人からこれを伝えられたcが、翌一二日ころ、石岡市役所市長室に電話をかけ、aに対し、予定価格に関する情報を教えて欲しいと頼んだ。こうして、同情報の教示による後記1の競売入札妨害の犯行が行われるに至った。
被告人は、入札前日の同月一五日、hを業際研事務所に呼び出し、同人に対し、本件電気機械工事はD製作所の落札が確実であり、Dプラントもその下請に入れるだろう、このような業者間調整がうまくいったのは、被告人がaから予定価格に関する情報を聞き出したからであるなどと言った上、Dプラントにおいて、業際研と基本契約を締結するとともに、aへの謝礼も含めた成功報酬として下請受注金額の一〇パーセントを支払うよう要求した。hは、gの指示の下に成功報酬を下請受注金額の三パーセントとするよう被告人と交渉を続けるとともに、Dプラントの環境システム営業本部副本部長j(以下「j」という)に一連の経過を報告し、同人にも被告人との交渉に加わってもらった。そして、同年六月下旬ころ、Dプラント側から五〇〇万円の金額の提示がなされ、被告人もこれに同意した。被告人は、このうち二〇〇万円をaへ渡すことに決めた上、h及びjに対し、aが業際研事務所に来訪する同年七月三〇日までに五〇〇万円を支払うよう要求したが、Dプラント側の資金の捻出が遅れたため、aへの謝礼は業際研が立て替えて支払うこととなり、後記2の贈賄の犯行に至った。
(犯罪事実)
被告人は、
1  企業団企業長のa、その従兄弟のc、E埼玉支店支店長のf及びD製作所茨城支店電機第一グループ部長代理のiと共謀の上、企業団が平成一一年三月一六日を入札予定日として指名競争入札に付することを決定していた本件電気機械工事の指名競争入札に関し、同月一二日ころ、茨城県石岡市大字石岡〈番地略〉所在の石岡市役所市長室において、aがcに対し、同工事の設計金額が約九億一三〇〇万円で、予定価格を算出するための歩切率が3.2パーセント程度である旨を電話で内報し、cから被告人及びfを介してiに連絡させ、よって、同月一六日、同市田島〈番地略〉所在の企業団事務所会議室で行われた同工事の指名競争入札に際し、D製作所をして、上記内報を受けた数値に基づき予定価格八億八六〇〇万円に近接する八億八三〇〇万円で同工事を落札させ、もって、偽計を用いて公の入札の公正を害すべき行為をし
2  Dプラント環境システム営業本部副本部長のj、同社関東支店副支店長のg及び同社関東支店茨城営業所課長のhと共謀の上、同年七月三〇日、東京都千代田区永田町〈番地、ビル名略〉の業際研事務所において、被告人が、企業団企業長として同団体を代表して業務を執行し、企業団が発注する各種公共工事に関し、指名競争入札参加者の指名、予定価格の決定及び請負契約の締結等の職務に従事していたaに対し、同人が前記1のとおり、本件電気機械工事の指名競争入札に関し、職務上知り得た企業団の秘密である同工事の設計金額及び歩切率の各概数をD製作所茨城支店電機第一グループ部長代理のiに内報して職務上不正な行為をしたことに対する謝礼の趣旨の下に、現金二〇〇万円を供与し、もって、aの職務に関し賄賂を供与し
たものである。
【第2 下妻市発注工事に係る各犯行】
(各犯行に至る経緯)
k(以下「k」という)は、平成七年一〇月に茨城県議会議員から同県下妻市長に転じ、以後その職にあったところ、平成六年ころ、かねてから昵墾にしていたcに被告人を紹介され、下妻市関係の公共工事について、被告人が国からの予算獲得等に力を貸す一方、kが被告人の口利きのあった業者に受注させる意向を示すなどして、両者は関係を深めていった。
下妻市では、平成八年ころから、市立図書館の建設工事を施工する計画が進められていたが、同工事は建築工事、機械設備工事及び電気設備工事に分割して発注され、いずれも平成一一年八月五日に指名競争入札が実施されることになった。
建築一式工事等の設計・管理・施工等を業とするL建設株式会社(以下「L建設」という)の関東支店では、その建築工事(以下「本件図書館建築工事」という)の受注を目指すこととし、同支店支店長m(以下「m」という)は、以前からL建設が業際研と基本契約を締結していたことから、平成一〇年二月ころ、被告人にその協力を依頼した。これを受けて、被告人は、そのころ、kに対し、本件図書館建築工事をL建設に受注させるよう申し入れて、同人の了承を得た。L建設は、平成一一年七月九日に本件図書館建築工事の予備指名業者に選定され、被告人を通じて聞き出したkの意向に従い、地元のN建材株式会社と特定建設工事共同企業体を結成して同工事の入札に参加することとなった。
L建設の現場営業担当者は、同月半ばから本件図書館建築工事の受注に向けて業者間調整を本格化したが、自分もkと話をしているとして調整に応じない業者があったため、L建設の関東支店次長o(以下「o」という)にこれを報告した。被告人は、oの依頼を受けて、同月末ころkと会って、いわゆる本命がL建設である旨を確認し、これをoに伝えた。さらに、oは、被告人を通じてkから本件図書館建築工事の予定価格を聞き出し、業者間での入札価格の調整等の用いようなどと考え、被告人にその旨依頼した。被告人は、同年八月初めころ、kに電話をかけて予定価格の教示を求めたが、kは、まだ決めていないから同月三日にcを下妻市役所市長室に聞きに寄越すようにと返答した。こうして、予定価格の教示による後記1の競売入札妨害の犯行が行われるに至った。
kの妻の弟であるp(以下「p」という)は、土木建築工事の請負等を業とするQ商工株式会社(以下「Q商工」という)との間で、下請工事の受注に成功した際に報酬の支払を受ける旨の契約を締結して、同社のために営業活動を行っていたが、被告人から本件図書館建築工事を知らされ、Q商工が杭打ち工事を下請受注することができるよう、被告人及びkに協力を求め、kは、同年七月末ころ、被告人に対し、Q商工をL建設の下請に入れる旨の意向を示した。
L建設は、pの接触を受け、同人がkの義弟であることから、Q商工に既成杭工事を下請発注することに決め、同年九月中旬ころから同年一〇月初めころにかけて、数回にわたり、pと価格交渉を行ったが、pの提示額がL建設の予算額を大幅に上回ったため合意に至らなかった。そこで、oは、同年九月下旬ころから、mの指示の下、被告人に対してkの意向を尋ねたり仲立ちを頼んだりして事態を打開しようとした。これを受けて、被告人は、oに対し、杭打ち工事の下請発注はkの意向であり、予定価格の教示まで受けた謝礼としてpが相応の利益を得るよう金額を上乗せしなければ話はまとまらないなどと告げる一方、同月下旬ころ、kと会った際、下請金額をどうするかと尋ね、その返答から、同人がpに利益が出るようにできるだけ下講金額を高くしてもらいたいと考えていることを了知した。m及びoは、同年一〇月下旬ころ、kへの謝礼分を勘案して予算額に上積みせざるを得ないと判断し、これを相当上回る八〇〇〇万円(税抜き)を上限に話をまとめるよう被告人に依頼した。被告人は、これをkに話してその了解を得、pも、kの説得を受けて八〇〇〇万円で受注することに同意した結果、後記2の贈賄の犯行が行われるに至った。
空調設備等の施工請負等を業とするR工業株式会社(以下「R工業」という)の東関東支店支店長s(以下「s」という)は、平成九年ころ下妻市立図書館の建設計画を知り、そのうちの機械設備工事(以下「本件図書館機械工事」という)の受注を目指すこととし、平成一〇年一一月に知人のt(以下「t」という)から被告人の紹介を受けて、同工事の受注につきkへの口添えを依頼するとともに、受注に成功した際には業際研と基本契約を締結すること及び業際研の推薦する業者を同工事の下請に入れることを約束した。
被告人は、kに対し、同年一二月ころから平成一一年一月ころにかけ、数回にわたり、本件図書館機械工事をR工業に受注させるよう申し入れて、同人の了承を得た。R工業は、同年七月九日に本件図書館機械工事の予備指名業者として選定され、地元の有限会社U工業とともに特定建設工事共同企業体を結成して同工事の入札に参加することとなった。sは、部下に指示して、同月下旬ころから業者間調整を進めたが、これに応じない業者があったため、その受注を断念させるべく、本件図書館機械工事の予定価格を聞き出そうと考え、同年八月四日、下妻市役所市長室を訪ねて、kから予定価格の概数が一億九六〇〇万円である旨の教示を受けた。sは、部下をして、受注調整に応じない指名業者に入札金額を指定して受注を諦めさせるなどした結果、同月五日、R・U特定建設工事共同企業体が、上記教示を受けた数値に基づき予定価格一億九六二二万円に近接する一億九六〇〇万円で本件図書館機械工事を落札した。
同月下旬ころ、被告人は、工事受注のお礼は前に約束した範囲でよいかと尋ねてきたsに対し、同年一一月施行の下妻市長選挙の資金援助の名目でkに対し謝礼をするよう提案した。sは、tと相談の上、kに謝礼として一〇〇万円を支払うことに決めたが、同年一〇月五日に予定されていた被告人とkとの会合までに現金を準備できなかったため、これを業際研が立て替えることとなり、後記3の贈賄の犯行に至った。
(犯罪事実)
被告人は、
1  茨城県下妻市長のk、知人のc及びL建設関東支店次長のoと共謀の上、下妻市が平成一一年八月五日を入札予定日として指名競争入札に対することを決定していた本件図書館建築工事の指名競争入札に関し、同月三日、茨城県下妻市大字大城町〈番地略〉所在の下妻市役所市長室において、kがcに対し、同工事の税抜きの予定価格が一一億五八六六円である等と教示し、cから被告人を介してoに連絡させ、よって、同月五日、上記下妻市役所三階大会議室で行われた同工事の指名競争入札に際し、L・N特定建設工事共同企業体をして、上記内報を受けた数値に基づき予定価格一一億五八六六万円に近接する一一億五七〇〇万円で同工事を落札させ、もって、偽計を用いて公の入札の公正を害すべき行為をし
2  L建設関東支店支店長のm及び同支店長次長のoと共謀の上、茨城県下妻市長として同市を代表して業務を執行し、同市が発注する各種公共工事に関し、指名競争入札参加者の指名、予定価格の決定及び請負契約の締結等に従事していたkが、前記1のとおり、本件図書館建築工事の指名競争入札に関し、職務上知り得た同市の秘密である同工事の予定価格をoに内報して職務上不正な行為をしたことに対する謝礼の趣旨の下に、L建設から、kの義弟であるpの関与するQ商工に対し、既成杭工事の下請代金として上記謝礼分を含めて八四〇〇万円(税込み)を支払うことを企て、m及びoにおいて、L建設及びQ商工の従業員を介して、上記既成杭工事下請受注の報酬名下に、pが管理する茨城県筑波郡谷和原村小絹〈番地略〉所在の株式会社常陽銀行谷和原支店の有限会社V工業代表取締役p名義の普通預金口座に、同年一〇月二九日に一五七万四二六五円、同年一一月三〇日に五二四万九二六五円、同年一二月二八日に五二万四二六五円の合計七三四万七七九五円を振込送金させ、もって、kの職務に関し賄賂を供与し
3  R工業東関東支店支店長のs及び知人のtと共謀の上、同年一〇月五日、前記業際研事務所において、被告人が、茨城県下妻市長として前記2の職務に従事していたkに対し、同人が本件図書館機械工事の指名競争入札に関し、職務上知り得た同市の秘密である同工事の予定価格の概数をsに内報して職務上不正な行為をしたことに対する謝礼の趣旨の下に、現金一〇〇万円を供与し、もって、kの職務に関し賄賂を供与し
たものである。
【第3 徳島県発注工事に係る各犯行】
(各犯行に至る経緯)
W(以下「W」という)は、平成五年一〇月から徳島県知事を務めていたが、前身の運輸省官僚の時代に議員秘書をしていた被告人と昵墾の間柄になり、平成五年及び平成九年の県知事選挙で資金提供等の応援を受けるなどした。被告人は、徳島県の地元業者で、土木建設工事の請負等を業とする株式会社X建設(以下「X」という)の取締役x(以下「x」という)と昭和五〇年代から付き合いがあり、業際研設立後間もなく同社と基本契約を締結し、その後、度々Wに働き掛けて、Xの開発に係る道路舗装用路盤材を県道舗装工事に採用してもらったり、県発注の道路工事等を同社が受注できるよう取り計らってもらったりしていた。
平成一一年に入ると、被告人は、徳島県発注の公共工事の受注について、それまでのように業者間調整を業者に委ねるのではなく、wの意向を反映させるシステムを構築し、それに業際研が介入して顧客の確実な受注を図れるような態勢を作ろうと考えた。そして、同年九月ころ、徳島県の公共工事に関わる業界幹部と会って、県知事のいわゆる「天の声」に基づく業者間調整を行うことにつき了解を取り付けた上、w及びその後援会事務所長のy(以下「y」という)に対し、yがwの意向を示す窓口となり、県の出納長と協議しながら本命業者を指名して、業者間調整を行うことにすれば、yは後援会関係者からの陳情を処理しやすくなるし、被告人も顧客が仕事を取りやすくなって、選挙の際には後援会を通じて資金提供もできるなどと話して、両名の賛同を得た。さらに、被告人は、yと上記業界幹部を引き合わせたり、業際研の顧客を頻繁に徳島県に同行しyに紹介するなどして、態勢を整えていった。
被告人は、同年一一月ころ、徳島県が県立文学館・書道美術館建築工事(以下「本件文学館建築工事」という)を計画していることを知り、手始めに同工事において上記方法による業者間調整を実施して業際研の顧客に受注させようと考え、同年一二月ころ、wの了解を得て活動を開始したが、その後、同工事については業界内で既に本命業者が決まっていたことを知り、介入すると混乱を招きかねないと判断してこれを断念した。しかし、元請受注はだめでも、せめて下請だけでも業際研の顧客に受注させたいと考え、平成一二年五月ころ、y及びwに話してその了解を得る一方、xに下請受注の話を持ちかけて、その賛同を得た。その後、被告人は、yの協力を得ながら、上記本命業者に働き掛けてxの下請受注につき了承を取り付けたが、同年六月九日に実施された本件文学館建築工事の入札で他の業者が落札したため、再度yの協力を得て、その落札業者からも上記下請受注につき了承を取り付けるに至った。
被告人は、Xが本件文学館建築工事を下請受注できる見込みであることなどの謝礼及び今後も業際研の業務につき有利便宜な取り計らいを得たいとの趣旨の下、wに現金を渡そうと考え、同月下旬ころ、xに対し、wへの謝礼等として一〇〇〇万円を拠出するよう要求し、その了承を得た上、業際研及びその関連会社の資金繰りを考慮し、wに渡す額をそのうちの三〇〇万円とすることに決めた。その後、同年七月一〇日、xから一〇〇〇万円が業際研事務所に届けられ、後記1の贈賄の犯行に及んだ。
同年一二月上旬、被告人は、yに対し、徳島県が将来発注する予定の公共工事を業際研の顧客が受注できるように取り計らってくれれば、翌年九月実施予定の県知事選挙でwを応援するための資金として、一〇〇〇万円程度を提供すると告げ、yからwにその旨報告された。被告人は、平成一三年一月ころから、業際研の顧客十数社に対し、徳島県発注の公共工事に参入するために県知事選挙におけるwの応援資金を拠出してほしいと呼び掛ける一方、顧客の会社名及び受注希望工事名等の一覧表を作成して、同年三月末ころこれをyに手渡した。そして、被告人は、同年五月一〇日にwが上京した折りに、一部の顧客から既に現金が集まり始めていたことなどから、直接wに対し、上記一覧表を示して業際研の顧客への取り計らいを依頼した上、資金提供を申し出ようと考え、後記2の贈賄の犯行に至った。
(犯罪事実)
被告人は、
1  X取締役のxと共謀の上、平成一二年八月八日、徳島県徳島市寺島本町西〈番地、ビル名略〉一階において、被告人が、徳島県知事として同県を代表するとともに、同県を統括して同県職員を指揮監督し、予算の執行、同県が発注する工事の契約に係る指名競争入札参加者の指名、予定価格の決定、請負契約の締結及び施工の監督等の職務に従事していたwに対し、同人が本件文学館建築工事の請負人に指示することにより、Xが下請負人として工事を受注できるよう有利便宜な取り計らいを受けたことなどに対する謝礼の趣旨及び同県が将来発注する予定の工事に関しても同様の取り計らいを受けたいなどの趣旨の下に、w後援会事務所長のyを介して、現金三〇〇万円を供与し、もって、wの職務に関し賄賂を供与し
2  平成一三年五月一〇日、東京都千代田区平河町〈番地略〉所在の割烹「○○」において、徳島県知事として前記職務に従事していたwに対し、徳島県が将来発注する予定のトンネル建設工事等に関し、業際研の顧客であるL建設ほか十数社が受注できるよう有利便宜な取り計らいを受けたいとの趣旨の下に、現金一〇〇〇万円を供与する旨を申し込み、wからその承諾を得、もって、wの職務に関し賄賂を約束したものである。
【第4 法人税ほ脱の各犯行】
(犯罪事実)
被告会社は、東京都千代田区永田町〈番地略〉に本店を置き、地方公共団体等が行う建設事業等の情報収集及び調査等を目的とする株式会社であり、被告人は、被告会社の実質的経営者としてその業務全般を統括していた者であるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、顧客からの業務受託報酬を除外するなどの方法により所得を秘匿した上、
1  平成一〇年四月一日から平成一一年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二九一一万三七四七円(別紙1の修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、同年五月三一日、東京都千代田区九段南〈番地略〉所轄麹町税務署において、同税務署長に対し、所得金額が零で、所得税額八四二円の還付を受けることとなる旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、被告会社の同事業年度における正規の法人税額九二八万二二〇〇円と同還付所得税額との合計九二八万三〇〇〇円(別紙3のほ脱税額計算書参照)を免れ
2  平成一一年四月一日から平成一二年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が八〇五五万六九四九円(別紙2の修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、同年五月三〇日、上記麹町税務署において、同税務署長に対し、欠損金額が六六二万五六二八円で、所得税額四三九円の還付を受けることとなる旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、被告会社の同事業年度における正規の法人税額二三五二万六三〇〇円と同還付所得税額との合計二三五二万六七〇〇円(別紙3のほ脱税額計算書参照)を免れ
たものである。
【証拠の標目】〈省略〉
【法令の適用】
(被告人について)
罰条
判示第1の1、第2の1の各所為
いずれも刑法六〇条、九六条の三第一項
判示第1の2、第2の2、3、第3の1の各所為
いずれも刑法六〇条、一九八条
判示第3の2の所為
刑法一九八条
判示第4の1の所為
平成一二年法律第一四号による改正前の法人税法一五九条一項
判示第4の2の所為
平成一二年法律第九七号による改正前の法人税法一五九条一項
刑種の選択
判示第1ないし第4の各罪 いずれも懲役刑を選択
併合罪処理
刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(刑及び犯情の最も重い判示第4の2の罪の刑に法定の加重)
(被告会社について)
罰条
判示第4の1の事実
いずれも法人税法一六四条一項、平成一二年法律第一四号による改正前の法人税法一五九条一項、平成一三年法律第六号による改正前の法人税法一五九条二項
判示第4の2の事実
いずれも法人税法一六四条一項、平成一二年法律第九七号による改正前の法人税法一五九条一項、平成一三年法律第六号による改正前の法人税法一五九条二項
併合罪処理
刑法四五条前段、四八条二項
【量刑の事情】
1  本件は、業際研の実質的経営者であった被告人が、共犯者と共謀の上又は単独で、二つの地方公共団体において、公共工事の入札に関し、予定価格等を内報して落札を行い(判示第1の1、第2の1)、また、両団体を含む三つの地方公共団体において、各首長に対し、予定価格等の内報に対する謝礼、あるいは、公共工事の受注につき業際研の顧客が好意的な取り計らいを受けたことに対する謝礼などの趣旨の下に、賄賂を供与又は約束し(判示第1の2、第2の2、3、第3の1、2)、さらに、被告会社の業務に関し、所得を秘匿して二年分にわたり法人税を免れた(判示第4の1、2)という競売入札妨害二件、贈賄五件及び法人税法違反二件の事案である。
2  競売入札妨害の各犯行は、予定価格九億円弱及び一一億円強の大規模な公共工事について、発注元である企業団の企業長及び下妻市の市長が、予定価格等をいわゆる本命業者に内報するという、自由競争にとって致命的な偽計を用いた結果、その業者が上記各予定価格に極めて近い価格で工事を落札し、入札の公正を著しく害するに至ったものであり、その態様は悪質で、結果は重大である。被告人は、このような官・業両ぐるみの犯行において、業者から依頼を受け、首長との人脈を悪用して予定価格等内報の仲介役を務めたのであるから、その果たした役割は非常に重要である。
3  贈賄の各犯罪は、上記二件の競売入札妨害に関連して、各業者の担当者と共謀の上、予定価格等内報の謝礼の趣旨の下に、企業団企業長に現金二〇〇万円を供与し、下妻市長の義弟に七三四万円余を送金して供与したほか、下妻市発注の他の工事についても、業者の担当者らと共謀の上、予定価格概数内報の謝礼の趣旨の下に、下妻市長に現金一〇〇万円を供与し、さらに、徳島県発注の公共工事に関し、地元業者の役員と共謀の上、下請受注につき好意的な取り計らいを受けたことなどの謝礼等の趣旨の下に、徳島県知事に現金三〇〇万円を供与し、また、徳島県が将来発注する予定の公共工事に関し、業際研の顧客らが受注できるよう好意的な取り計らいを受けたいとの趣旨の下に、同県知事に現金一〇〇〇万円を供与する約束をしたというものである。先の四件は、公共工事の受注につき各首長が不正な職務行為をしたことなどの対価として賄賂が供与されており、また、後の一件も、業際研の顧客に有利な職務行為が将来行われることを期待して賄賂が約束されているのであって、各首長の職務行為の公正とこれに対する一般市民の信頼を著しく損なったことは疑いがない。賄賂の金額も、供与分が合計一三三四万円余、約束分が一〇〇〇万円で、総計二三三四万円余の多額に上る。被告人は、賄賂供与の各犯行において、共犯者に対し首長への謝礼の支払を要求した上、自らその額を決めるという非常に能動的・積極的な役割を果たしたほか(判示第1の2、第3の1)、謝礼の金額の決定につき首長と共犯者との間を仲介したり、謝礼の支払を提案したりするという重要な役割を果たしている(判示第2の2、3)。また、賄賂約束の犯行では、予め業際研の顧客らに資金拠出を呼び掛けた上で、自らが贈賄の主体として登場するに至っている(判示第3の2)。なお、同犯行の約三週間後には、約束した金額が集められ徳島県知事に届けられるばかりになっていたが、業際研事務所に税務当局の調査が入って同金員が発見されたため、約束の履行を断念せざるを得なくなったものである。
4  法人税法違反の各犯行についてみると、ほ脱額は二年分で合計約三二八〇万円と少なくなく、ほ脱率は一〇〇パーセントの最高割合となっている。所得秘匿の態様は、被告会社の成功報酬や仲介手数料などの売上の相当部分(その半分以上は、山形県の二つの公立病院の設備工事につき、被告人が受注調整に関与したことに対する業者らからの謝礼である。)を、現金で受領したり、簿外の業際研東北支社長名義の預金口座へ振り込ませたりして、公表計上せずに除外し、また、国会議員事務所の事務員の給与を肩代わりし、被告会社の従業員と偽って架空の給料手当を計上するなど、巧妙かつ悪質なものである。しかも、被告人は、税務当局の調査が及ぶや、上記支社長に指示して、上記預金口座に振込入金された報酬等を同人の所得として確定申告させるなど、罪証隠滅を図っており、事後の情状も芳しくない。加えて、本件ほ脱に関わる本税及び附帯税は、いずれも未納付の状態にある。
5 以上のとおり、被告人は、平成一一年から平成一三年にかけ、企業団、下妻市及び徳島県の三つの地方公共団体を舞台に、公共工事の受注調整に関与し、首長と業者の間に立って扇の要のごとく振る舞う中で、上記競売入札妨害及び贈賄の各犯行を重ねたほか、被告会社の業務に関し上記法人税ほ脱の各犯行にも及んだものである。被告人が国会議員秘書時代に培った人脈を悪用してこれらの犯行に及んだことにより、当該各地方公共団体の施政を混乱させたばかりでなく、国政全般に対する国民の不信感を醸成したのであって、犯行の影響は重大である。被告人が上記各犯行に及んだ動機は、業際研の顧客らの依頼に応じることにより成功報酬等を得るとともに、選挙資金を援助するなどして首長との関係を更に緊密にし、業際研の業務の維持・拡大を図ることなどにあったと認められ、身勝手で自己中心的なものとして酌量の余地に乏しい。実際にも、被告人は、依頼主の業者と基本契約を締結したり(判示第1の1、第2の3)、競売入札妨害を含む受注調整活動の成功報酬として三〇〇万円、一六〇〇万円といった金員を受領したり(判示第1の1、第2の1)、首長への謝礼等として業者に拠出させた金員の中から七〇〇万円を取り出し自己の用途に充てる(判示第3の1)などしており、本件各犯行に関連して多大の利益を取得したものである。
なお、弁護人は、業際研が、軌道上を隊列走行するバスにより輸送を行う新交通システムの研究・啓蒙活動を行うなど、社会的に有用な事業を業務内容としていた旨強調する。弁護人提出の関係証拠等によれば、業際研が、上記新交通システムの実用化に向け、全国各地の地方公共団体に積極約な働き掛けを行っていたと認められるが、そのことによって、本件各犯行の犯情の悪質性が減殺されるものではない。
6 以上に照らすと、被告人の刑責は相当に重く、また、被告会社の刑責も軽視し得ない。
7 他方、被告人らについて、以下のような斟酌すべき事情が存する。第1に、被告人は、競売入札妨害の各犯行では、業者の依頼に応じて首長との仲立ちを務めたに過ぎず、その刑責を、予定価格等を内報した首長やそれを受けて落札に至った業者の各刑責と同等にみることはできない。また、賄賂供与の各犯行では、前述のような役割を果たしたとはいえ、賄賂と直接的な対価関係に立つのは工事受注に好意的な取り計らいを受けたという業者の利益であって、この点で、被告人の刑責を業者のそれと同一視することはできない。そして、贈賄と対向する収賄側の首長の刑責が、被告人の刑責より相当重いことは、法定刑の違い等に照らしても明らかである。第2に、被告人は、本件各犯罪事実を捜査段階から認め、反省の言葉を述べている(法人税ほ脱については、被告会社代表者としても、事実を認めるなどしている)。第3に、事件後の多数回にわたる報道により、被告人も被告会社も多大な打撃を被るなど、相当程度の社会的制裁を受けている。第4に、被告人には前科前歴がなく、また、妻が出廷して被告人の更生に協力する旨を約している。
8 しかしながら、これらの斟酌すべき事情を十分考慮しても、前記の被告人の刑責の重さにかんがみると、被告人は懲役刑の実刑を免れず、また、被告会社は相応の罰金刑を受けるのはやむを得ない。
なお、弁護人は、前記第1の斟酌すべき事情に関連して、本件一連の事件で被告人とともに起訴された者のうち、これまで判決を受けた関係被告人は、競売入札妨害罪及び加重収賄罪に問われたa、収賄罪に問われたwを含め、いずれも執行猶予付き懲役刑に処されていることを指摘し、被告人にも執行猶予を付すべきである旨主張する。なるほど、個別の事案においては、前述のとおり、被告人の刑責を業者のそれと同等にみるわけにはいかず、また、首長の刑事に比べれば被告人の刑責は相当軽いといわざるを得ないが、被告人が、判示第1ないし第3のとおり、競売入札妨害二件、贈賄五件の各犯行を重ね、さらには、判示第4の法人税ほ脱の各犯行に及んだことを総合考慮すると、弁護人指摘の点は、被告人につき実刑が相当であるとの判断を妨げるものではない。
9  以上の次第で、被告人を主文の懲役刑に、被告会社を主文の罰金刑にそれぞれ処するのが相当であると判断した。
(裁判長裁判官・飯田喜信、裁判官・佐藤基、裁判官・木畑聡子)

別紙  1〜3〈省略〉
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