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判例リスト「完全成功報酬|完全成果報酬 営業代行会社」(286)平成20年 7月16日 東京地裁 平19(ワ)14715号 報酬金等請求事件

判例リスト「完全成功報酬|完全成果報酬 営業代行会社」(286)平成20年 7月16日 東京地裁 平19(ワ)14715号 報酬金等請求事件

裁判年月日  平成20年 7月16日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平19(ワ)14715号
事件名  報酬金等請求事件
裁判結果  一部認容  文献番号  2008WLJPCA07168005

要旨
◆投資顧問業等を営む原告が、被告からA社株式の買手の探索・紹介を委託されて株式を売却したとして、その報酬の支払を求めた事案につき、具体的な報酬額を除き、原告と被告との間で委託契約が締結されていた事実を認定した上で、業務の難易、期間及び労力その他の事情を斟酌して、譲渡価格の約0.86パーセントを相当な報酬額とするなどとして、請求が一部認容された事例

裁判年月日  平成20年 7月16日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平19(ワ)14715号
事件名  報酬金等請求事件
裁判結果  一部認容  文献番号  2008WLJPCA07168005

東京都港区〈以下省略〉
原告 アルフェックス・インベストメンツ株式会社
同代表者代表取締役 A
同訴訟代理人弁護士 星野隆宏
同 金子文子
同 栗原務
同 三浦修
同 木下真由美
同 和田宣喜
同 岡田裕貴
東京都文京区〈以下省略〉
被告 株式会社夢真ホールディングス
同代表者代表取締役 B
同訴訟代理人弁護士 大塚和成
同 熊谷真喜
同 西岡祐介
同 髙橋貴美子
同訴訟復代理人弁護士 坂本朋博

 

 

主文

1  被告は,原告に対し,金630万円及びこれに対する平成19年4月10日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
2  原告のその余の請求を棄却する。
3  訴訟費用は,これを3分し,その2を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。
4  この判決は,第1項に限り仮に執行することができる。

 

 

事実

第1  当事者の求めた裁判
1  請求の趣旨
(1)  被告は,原告に対し,金2205万円及びこれに対する平成19年4月10日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
(2)  訴訟費用は,被告の負担とする。
(3)  第1項につき仮執行宣言
2  請求の趣旨に対する答弁
(1)  原告の請求を棄却する。
(2)  訴訟費用は,原告の負担とする。
第2  当事者の主張
1  請求原因等
(1)(当事者)
原告は,有価証券その他の金融資産運用に関する投資顧問業等を営む株式会社であり,被告は,施工管理者の派遣事業を中核とする夢真グループの純粋持株会社である。
(2)(本件業務委託契約の成立)
被告の執行役員兼訴外勝村建設株式会社(以下「勝村建設」という。)の副社長であるC(以下「証人C」という。)は,平成19年2月初旬ころ,原告との間で,被告が原告に対し,被告が有する勝村建設株式(以下「本件株式」という。)につき,その買い手の探索,紹介を委託し,本件株式の譲渡が成立した場合,原告に譲渡価格の3パーセントの報酬を支払うことを約した(以下「本件業務委託契約」という。)。
(3)(権限の授与等)
ア 代理権の授与(イとは選択的)
上記(2)に先立ち,被告代表者代表取締役であるBは,証人Cに対し,本件業務委託契約締結について,代理権を与えた。
イ 追認
Bは,遅くとも平成13年4月9日までに,原告から2205万円の請求を受けた際,「500万円くらいの仕事だろ」などと主張し,報酬額の減額を要求したものの,本件業務委託契約については何ら異議を唱えず,本件業務委託契約を追認した。
(4)(仕事の完成)
原告は,本件株式の買い手を探索し,被告に対し,訴外さくらグローバルマネジメント株式会社(以下「さくらGM」という。)を紹介し,平成19年3月29日,被告とさくらGMとの間で,本件株式の譲渡契約が成立し,同月4月6日,被告は,代金7億円を受領した。
(5)(営業範囲の該当性)
原告は投資顧問事業を営む株式会社であり,株式の買取先を探索,紹介する業務は原告の営業の範囲内である。
(6)(相当な報酬)
報酬の相当額は,2205万円であり,その理由は,次のとおりである。
ア 本件株式の譲渡価格は,32億1000万円である。
すなわち,本件株式譲渡契約書において,本件株式の譲渡代金は7億円と明記されているが,その他,約束事項として,勝村建設は,被告に対して25億1000万円の借入金債務の返済を約束した。同債務の返済の可能性はその当時既になかったところ,同契約書に基づき,返済が実現したのであるから,同額も本件株式の譲渡価格というべきである。
イ M&Aアドバイザリー業務における報酬額については,いわゆるレーマン方式を採用するのが商慣習であり合理的であるところ,これによれば,譲渡価格が,「5億円以下の部分について5パーセント,5億円を超えて10億円以下の部分について4パーセント」とされているので,これを本件に当てはめると本件譲渡価格が7億円であるとしても,5億円×0.05+2億(7億-5億)円×0.04=3300万円となる。
ウ もっとも,レーマン方式で算定される報酬額は,相手方の検索,発見だけでなく,スキームの立案,スケジュールの管理,譲渡条件を巡る交渉等その他種々の費用が含まれているから,原告としても上記金額を全額請求するものではないが,相手方の探索,発見はその中核である。したがって,その割合は,30パーセントを下らない。したがって,少なくとも990万円は下らない。
エ 特に,本件では,次の事情があることから,加算されるべきである。
(ア) 被告の本件株式譲渡の動機は,勝村建設の財務状況の悪化による被告自体の財務状況の悪化,ひいては,被告自体の倒産の危機の回避にあったところ,本件株式の譲渡により回避することができた。
(イ) 被告は原告に依頼する以前に,訴外日興コーディアル証券株式会社(以下「日興証券」という。)らに対して,買い手の探索,紹介を依頼していたものの,買い手の探索・発見は難航していた。
オ 以上からすれば,本件における「相当な報酬」についても,少なくとも譲渡価額7億円の3パーセントである金2205万円(消費税を含む額)を下るものではない。
(7)よって,原告は,被告に対し,主位的に,本件業務委託契約に基づき,予備的に,商法512条に基づき,2205万円及びこれに対する本件株式の譲渡契約が成立した後の平成19年4月10日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める。
2  請求原因に対する認否等
(1)  請求原因(1)のうち,原告に関する記載については不知,被告に関する記載については認める。
(2)  同(2)は不知。
(3)  同(3)について
ア 同アについて否認する。報酬金額を2000万円以上とするような契約は,代表取締役の権限であり,証人Cに授権するはずがない。
イ 同イについて否認する。Bは,解決金として100万円程度を提示しただけで,追認はしていない。
(4)  同(4)は,被告は,平成19年3月29日,さくらGMとの間で,本件株式の譲渡契約を締結したことは認め,その余は不知ないし否認する。
(5)  同(5)は否認する。
原告が行ったのは,証人CにさくらGM他1社を紹介するとともに,それぞれについて会合の日程を調整したというものであり,この程度の業務は,紹介業務に該当せず,一般取引上,有償とは認められない。
したがって,原告の行為は,「その営業の範囲内において」する行為には該当しない。
(6)  同(6)は否認する。その理由は次のとおりである。
ア 本件株式の譲渡価格は,7億円であって32億1000万円ではない。
イ 原告の主張するレーマン方式は,我が国のM&A仲介料の相場よりも相当程度高額であり,そのような商慣習も,それに基づくことの合理性もない。現に,被告が直近に締結した成功報酬額は取引額の1.5パーセントである。
ウ M&Aアドバイザリー業務のうち,買い手の紹介業務(「ファインディング」と呼ばれる。)は,その中核部分ではない。また,この紹介業務に対する一般的な相場は,商慣習としてあるいは合理性のあるものとして,M&Aアドバイザリー業務の対価の10パーセントから20パーセント程度である。
不動産仲介の場合における相当な報酬の裁判例についても,単に,取引の機縁,端緒を与えたに過ぎない場合には,建設省告示の最高基準額の20パーセント前後(なお,売買価格の0.6パーセントから0.75パーセント)とされている。
エ 特に,本件では,次の事情があることから,減額されるべきである。
(ア) 原告は,被告が倒産の危機を回避できたと主張するが,そのような事実はなく,何ら証拠に基づかない憶測である。
(イ) さくらGMは,本件株式譲渡契約書上の約束事項として,勝村建設の被告に対する借入金債務を連帯保証したが,その保証債務の履行をしておらず,本件株式の譲渡対価の全額が支払われているものではなく,被告は多大な損害を被った。
(ウ) 原告と被告は,信頼関係がなく,また,契約で合意した場合よりも多額の報酬請求権が発生することになることは,明らかに不当である。
オ 以上からすれば,本件のM&Aアドバイザリー業務全体の対価は,7億円×0.15=1050万円となり,このうち原告の口利き行為に対する対価は,5パーセント程度が相当であり,1050万円×0.05=52万5000円となる。

 

 

理由

1  請求原因(1)について
原告に関する事実については,原告代表者本人尋問の結果,証拠(甲15)及び弁論の全趣旨により,これを認め,被告に関する事実については当事者間に争いがない。
2  請求原因(2)について
(1)  原告代表者本人尋問の結果及び証人Cの証言並びに証拠(甲1ないし3,14,15)によれば,次の事実を認めることができる。
被告は,平成18年7月18日,KC株式会社(従来の勝村建設株式会社を会社分割した結果,従来の負債処理等の処理・清算を行うことを目的とした会社)から,勝村建設(会社分割後の新会社を指す。)の全株式を購入した(甲1)。(もっとも,譲渡価格については訴訟上の和解により,平成19年3月末以降に,65億円で合意した(甲2)。)。
ところが,勝村建設の業績は予想以上に改善しなかったため,被告自体の資金計画にも悪影響を及ぼすようになっていった(甲3)。
被告の平成18年9月期決算は,経常損失が3億2429万8000円,当期純損失1億9062万1000円であった。
このため,被告は,早期に本件株式を売却する必要に迫られ,平成19年1月下旬ころから,日興証券他2社に対し,報酬として譲渡価格の3パーセントを支払うことを条件にして,本件株式の買い手の探索等を依頼した。
しかしながら,買い手の探索には困難をきたし,30社程度に声をかけたものの,関心をもったのは,1社に過ぎず,その1社も十分な調査審査期間を設けたいとの希望であったことから,早期売却の可能性がなかった。
証人Cは,平成19年2月ころ,昔からの知人であった原告代表者に連絡を取り,同月21日,原告代表者と会合をした上,本件株式の早急な売却の必要性を説明し,原告に本件株式の買い手の探索と紹介を依頼し,報酬についても相当額を支払う旨を約束した。
(2)  上記(1)の事実によれば,証人Cが,原告に対し,報酬額を除き,本件業務について委託したことを認めることができる。
もっとも,具体的な報酬額については,これを認めるに足りる証拠はない。
一方,被告は,原告と証人Cとの間において明確な合意が成立したことを裏付ける資料もないから,本件業務についての委託はないと主張するが,特に契約書が存在しないことによって,証人Cの証言の信用性がないものと評価できないので,被告の主張は理由がない。
よって,請求原因(2)のうち,具体的な報酬額の合意は認められないが,証人Cが,原告に対し,本件株式の買い手の探索と紹介業務を委託した事実は認めることができる。
3  請求原因(3)について
(1)  原告代表者本人尋問の結果及び証人Cの証言並びに証拠(甲3,5,14,15)によれば,次の事実を認めることができる。
証人Cは,平成19年2月ころ,原告から連絡を受け,本件株式の買い手として,さくらGM他1社の紹介を受け,原告により,同社らとの打ち合わせ日がそれぞれ設定され,さくらGMとは,平成19年2月24日,もう1社とは2月28日,それぞれ面会をした。
証人Cは,同年3月19日,原告から,コンサルティング業務委託契約書を作成したい旨の依頼を受けたことから,Bに対し,原告の紹介によりさくらGMとの間で契約の成立の見込みがあるので,原告との間で契約の締結及び報酬額の決定を相談した(甲5)。
証人Cは,譲渡価格の3パーセントを提案したが,これに対し,Bは,報酬額については1,2パーセントだろうと回答して,結局,報酬額について契約が成立したら考えると回答し,決まらなかったため,結局,原告の希望したコンサルティング業務委託契約書は作成されなかった。
Bは,平成19年3月29日,さくらGMとの間で,本件株式の譲渡契約を,代金7億円として成立させた。
(2)  証人Cは,平成19年2月,Bに対し,証人Cが証券会社での経験を有しており,その関係の知人がいることから,本件株式の買い手を探索しましょうかと尋ねたところ,同人から,その旨の承諾を得た,また,本件業務委託契約の締結について代理権を授与された旨の証言をするところ,同証言は,上記2(1)の事実及び上記(1)の事実に沿うものであり,信用することができる。
よって,請求原因(3)アの事実は認められる。
これに対し,被告は,証人Cから,平成19年3月29日まで,原告の名も知らされなかった上,報酬額の相談も無かったと,また,報酬額を2000万円以上とするような高額の業務委託契約の締結は,社長決裁事項であり,執行役員である証人Cにそのような契約の締結権限を授与することはないと反論するが,原告の名を知らないことは代理権授与を直接否定する理由にならないと考えられる上,前述のとおり報酬額の合意は認められないので,その多寡は問題にならず,仮に問題にするとしても,被告の主張によっても被告代表者のみによって授権できる内容であり,特段の支障が見当たらない。その他,証人Cの被告における地位,委託した業務の内容,上記事実経過に照らして被告の主張は採用できない。
4  請求原因(4)について
平成19年3月29日,被告とさくらGMとの間で,本件株式の譲渡契約が成立したことは当事者間に争いがなく,上記3(1)の事実,証人Cの証言及び証拠(乙13)により,原告は,本件株式の買い手を探索し,被告に対し,さくらGMを紹介したこと,同月4月6日,被告は,代金7億円を受領したことが認められる。
よって,請求原因(4)は認められる。
5  請求原因(5)について
上記1のとおり,原告は,有価証券その他の金融資産運用に関する投資顧問業等を営む株式会社であり,上記4のとおり,本件株式の買い手を探索し,さくらGMを紹介したところ,同業務は,原告の営業の範囲であり,有償であると認める。
被告の反論は,買い手の探索,紹介は,見るべき労力をかけない限り,一般取引上無償であるという見解に基づくものであるが,採用できない。
6  請求原因(6)について
(1)  原告は,報酬額の算定のための取引額は,32億1000万円であると主張し,被告は,7億円であると反論する。
そこで検討するに,本件株式の譲渡価格は,証拠(乙13)によれば,本件株式譲渡契約書において,7億円と明記されているから,同額を採用する他ない。
これに反する原告の主張は譲渡価格ではないものを譲渡価格と主張するものであって採用できない。
(2)  原告は,報酬額についていわゆるレーマン方式によるのが通常であり慣習であると主張し,その主張に沿う文献(甲6)及びその方式を採用し同文献の率と同率ないしより高額な率を採用しているM&Aコンサルティング業者のホームページ(8ないし12)を提出する。
これに対し,被告は,レーマン方式は我が国では高率であると反論し,その主張に沿う陳述書(乙11)及び被告の過去の取引契約書(乙15)を提出する。
そこで検討するに,原告の提出する証拠によっても,その内容は統一されておらず,レーマン方式が,現在,通常ないし慣習となっているとは言い難い他,被告の反対証拠の存在に照らすと,原告の提出する証拠のみによって,レーマン方式が通常ないし慣習とは認めるに足りない。
一方,被告は,1.5パーセントが通常ないし慣習であると主張するようであるが,同様にこれを認めるに足りない。
むしろ,本件においては,上記2(1)のとおり,被告は日興証券に対し譲渡対価の3パーセントを報酬として約束していたのであるから,本件の場合も,同割合を一つの基準として採用するのが合理的であると認める。
(3)  次に当事者間において,この報酬は,買い手の探索,発見だけではなく,その他,資料の作成,条件を巡る交渉等の費用も含むことは争いのないところ,そのうち,買い手の探索,発見の報酬割合について,原告は,30パーセントであると主張し,それに沿う他業者のホームページの記載(甲13)を提出し,これに対し,被告は通常は10パーセントから20パーセントであり,本件の場合には5パーセントであると反論し,それに沿う契約書フォーム及び陳述書(乙11,12)を提出し,さらに,不動産取引においても,20パーセント程度であると付言する。
そこで検討するに,原告,被告いずれの主張も,その割合について,通常ないし慣習であるとの事実を認めるに足りないから,それらの証拠によって,直ちに報酬額を決定することができない。
したがって,本件における,業務の難易,期間,労力その他諸般の事情を斟酌して定める必要がある。
(4)  これらの事情につき,上記2(1),3(1)の他,原告代表者本人尋問の結果及び証人Cの証言並びに証拠(甲15)によれば,次の事実を認めることができる。
原告は,平成19年2月ころ,証人Cから,本件株式の買い手をできるだけ早急に探索し,紹介するよう依頼を受け,直ちに,その作業に着手するとともに,知人で幅広い人脈を持つ,原告の顧問である訴外D(以下「D」という。)に協力を依頼した。
原告代表者,D他1名は,同月21日,証人Cと会い,同人から説明を受けた。
原告は,社内で,従業員2名を使って,買い手のリストアップを始め,13社に対し電話をして打診をした。また,Dも,別途,他社に電話で打診をした。
Dは,同月22日,さくらGMに電話をしたところ,同社から前向きな回答を得たことから,その旨,原告に連絡した。
また,原告は,別途,他1社についても前向きな回答を得たことから,その他,電話をして持ちかけた数社の中から絞り込みをし,さくらGM他1社を証人Cに紹介したところ,証人Cから是非話をしたい旨の回答を得た。
そのため,原告は,さくらGM及び他1社との面談の日程を調整し,さくらGMとは同月24日に,他1社とは,同月28日に,証人Cとの面談を設定した上,さくらGMとの面談ではDが,他1社との面談では原告従業員を同席させた。
原告は,さくらGM他1社の資料については,特段,作成したことはない。
また,原告は,さくらGM他1名に対し,本件株式の内容を説明するについての資料を作成したこともなく,これについては,証人Cが,日興証券が作成したものを流用していた。
原告は,同年4月9日,Bに対し,2205万円の請求をしたところ,Bから500万円ぐらいの仕事じゃないのかとの回答しか得られず,合意に至らなかった。
(5)  上記事実(上記2(1),3(1)の事実を含む。)に照らすと,本件株式の買い手の探索,紹介を,原告以外の者によって達成することは,非常に困難であったというべきである。もっとも,上記事実に照らすと,原告の業務にかける期間,労力はそれほど見るべきものがなかったというほかない。
しかしながら,原告の行った買い手の探索,紹介という業務は,本件株式譲渡契約成立にとって,不可欠のものであったと評価することができ,その性質上,その労力の量はそれほど重視すべきではないと評価できる。これを前提にして,その他,上記事実に照らすと,諸般の事情を考慮して,報酬金額としては,30パーセントを若干下回る割合となる600万円(譲渡価格の約0.86パーセント)をもって相当とし,それに消費税を加算した630万円の限度で認める。
(6)  もっともこれに対し,原告は,本件株式譲渡契約の成立によって被告は倒産の危機を回避できたことを指摘する。
しかしながら,原則として報酬額は契約の成否に対する寄与度で判断するのが相当であり,契約の成立が被告の利益に与えた寄与度で判断することは相当ではなく,これらのは,事情にしか過ぎないというべきであり,それほど考慮できない。
一方,被告は,本件株式譲渡契約上の約束事項について,さくらGMが不履行であることを報酬減額の要因として主張するが,そもそも,本件株式譲渡代金は支払われているほか,それら契約成立後の買い主の義務履行の有無によって,契約成否にかかる報酬額が増減されることは本来的に不合理というべきであるから,これらの事情も斟酌できない。
その他,被告の主張については,原告の紹介なくして被告がさくらGMを知ることはなかったこと,被告が他の業者に対しても買い手の探索を依頼していたが見つからなかったことを,それぞれ不合理に軽視するものであって,採用するに足りない。
7  結論
以上によれば,原告の本訴請求は,報酬額として630万円及びこれに対する平成19年4月10日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し,その余の請求については理由がないのでこれを棄却することとし,訴訟費用の負担について,民事訴訟法64条本文,61条本文を,仮執行の宣言について同法259条1項をそれぞれ適用して,主文のとおり判決する。
(裁判官 小西洋)

 

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