【営業代行から学ぶ判例】crps 裁判例 lgbt 裁判例 nda 裁判例 nhk 裁判例 nhk 受信料 裁判例 pl法 裁判例 pta 裁判例 ptsd 裁判例 アメリカ 裁判例 検索 オーバーローン 財産分与 裁判例 クレーマー 裁判例 クレプトマニア 裁判例 サブリース 裁判例 ストーカー 裁判例 セクシャルハラスメント 裁判例 せクハラ 裁判例 タイムカード 裁判例 タイムスタンプ 裁判例 ドライブレコーダー 裁判例 ノンオペレーションチャージ 裁判例 ハーグ条約 裁判例 バイトテロ 裁判例 パタハラ 裁判例 パブリシティ権 裁判例 ハラスメント 裁判例 パワーハラスメント 裁判例 パワハラ 裁判例 ファクタリング 裁判例 プライバシー 裁判例 プライバシーの侵害 裁判例 プライバシー権 裁判例 ブラックバイト 裁判例 ベネッセ 裁判例 ベルシステム24 裁判例 マタニティハラスメント 裁判例 マタハラ 裁判例 マンション 騒音 裁判例 メンタルヘルス 裁判例 モラハラ 裁判例 モラルハラスメント 裁判例 リストラ 裁判例 リツイート 名誉毀損 裁判例 リフォーム 裁判例 遺言 解釈 裁判例 遺言 裁判例 遺言書 裁判例 遺言能力 裁判例 引き抜き 裁判例 営業秘密 裁判例 応召義務 裁判例 応用美術 裁判例 横浜地裁 裁判例 過失割合 裁判例 過労死 裁判例 介護事故 裁判例 会社法 裁判例 解雇 裁判例 外国人労働者 裁判例 学校 裁判例 学校教育法施行規則第48条 裁判例 学校事故 裁判例 環境権 裁判例 管理監督者 裁判例 器物損壊 裁判例 基本的人権 裁判例 寄与分 裁判例 偽装請負 裁判例 逆パワハラ 裁判例 休業損害 裁判例 休憩時間 裁判例 競業避止義務 裁判例 教育を受ける権利 裁判例 脅迫 裁判例 業務上横領 裁判例 近隣トラブル 裁判例 契約締結上の過失 裁判例 原状回復 裁判例 固定残業代 裁判例 雇い止め 裁判例 雇止め 裁判例 交通事故 過失割合 裁判例 交通事故 裁判例 交通事故 裁判例 検索 公共の福祉 裁判例 公序良俗違反 裁判例 公図 裁判例 厚生労働省 パワハラ 裁判例 行政訴訟 裁判例 行政法 裁判例 降格 裁判例 合併 裁判例 婚約破棄 裁判例 裁判員制度 裁判例 裁判所 知的財産 裁判例 裁判例 データ 裁判例 データベース 裁判例 データベース 無料 裁判例 とは 裁判例 とは 判例 裁判例 ニュース 裁判例 レポート 裁判例 安全配慮義務 裁判例 意味 裁判例 引用 裁判例 引用の仕方 裁判例 引用方法 裁判例 英語 裁判例 英語で 裁判例 英訳 裁判例 閲覧 裁判例 学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例 共有物分割 裁判例 刑事事件 裁判例 刑法 裁判例 憲法 裁判例 検査 裁判例 検索 裁判例 検索方法 裁判例 公開 裁判例 公知の事実 裁判例 広島 裁判例 国際私法 裁判例 最高裁 裁判例 最高裁判所 裁判例 最新 裁判例 裁判所 裁判例 雑誌 裁判例 事件番号 裁判例 射程 裁判例 書き方 裁判例 書籍 裁判例 商標 裁判例 消費税 裁判例 証拠説明書 裁判例 証拠提出 裁判例 情報 裁判例 全文 裁判例 速報 裁判例 探し方 裁判例 知財 裁判例 調べ方 裁判例 調査 裁判例 定義 裁判例 東京地裁 裁判例 同一労働同一賃金 裁判例 特許 裁判例 読み方 裁判例 入手方法 裁判例 判決 違い 裁判例 判決文 裁判例 判例 裁判例 判例 違い 裁判例 百選 裁判例 表記 裁判例 別紙 裁判例 本 裁判例 面白い 裁判例 労働 裁判例・学説にみる交通事故物的損害 2-1 全損編 裁判例・審判例からみた 特別受益・寄与分 裁判例からみる消費税法 裁判例とは 裁量労働制 裁判例 財産分与 裁判例 産業医 裁判例 残業代未払い 裁判例 試用期間 解雇 裁判例 持ち帰り残業 裁判例 自己決定権 裁判例 自転車事故 裁判例 自由権 裁判例 手待ち時間 裁判例 受動喫煙 裁判例 重過失 裁判例 商法512条 裁判例 証拠説明書 記載例 裁判例 証拠説明書 裁判例 引用 情報公開 裁判例 職員会議 裁判例 振り込め詐欺 裁判例 身元保証 裁判例 人権侵害 裁判例 人種差別撤廃条約 裁判例 整理解雇 裁判例 生活保護 裁判例 生存権 裁判例 生命保険 裁判例 盛岡地裁 裁判例 製造物責任 裁判例 製造物責任法 裁判例 請負 裁判例 税務大学校 裁判例 接見交通権 裁判例 先使用権 裁判例 租税 裁判例 租税法 裁判例 相続 裁判例 相続税 裁判例 相続放棄 裁判例 騒音 裁判例 尊厳死 裁判例 損害賠償請求 裁判例 体罰 裁判例 退職勧奨 違法 裁判例 退職勧奨 裁判例 退職強要 裁判例 退職金 裁判例 大阪高裁 裁判例 大阪地裁 裁判例 大阪地方裁判所 裁判例 大麻 裁判例 第一法規 裁判例 男女差別 裁判例 男女差别 裁判例 知財高裁 裁判例 知的財産 裁判例 知的財産権 裁判例 中絶 慰謝料 裁判例 著作権 裁判例 長時間労働 裁判例 追突 裁判例 通勤災害 裁判例 通信の秘密 裁判例 貞操権 慰謝料 裁判例 転勤 裁判例 転籍 裁判例 電子契約 裁判例 電子署名 裁判例 同性婚 裁判例 独占禁止法 裁判例 内縁 裁判例 内定取り消し 裁判例 内定取消 裁判例 内部統制システム 裁判例 二次創作 裁判例 日本郵便 裁判例 熱中症 裁判例 能力不足 解雇 裁判例 脳死 裁判例 脳脊髄液減少症 裁判例 派遣 裁判例 判決 裁判例 違い 判決 判例 裁判例 判例 と 裁判例 判例 裁判例 とは 判例 裁判例 違い 秘密保持契約 裁判例 秘密録音 裁判例 非接触事故 裁判例 美容整形 裁判例 表現の自由 裁判例 表明保証 裁判例 評価損 裁判例 不正競争防止法 営業秘密 裁判例 不正競争防止法 裁判例 不貞 慰謝料 裁判例 不貞行為 慰謝料 裁判例 不貞行為 裁判例 不当解雇 裁判例 不動産 裁判例 浮気 慰謝料 裁判例 副業 裁判例 副業禁止 裁判例 分掌変更 裁判例 文書提出命令 裁判例 平和的生存権 裁判例 別居期間 裁判例 変形労働時間制 裁判例 弁護士会照会 裁判例 法の下の平等 裁判例 法人格否認の法理 裁判例 法務省 裁判例 忘れられる権利 裁判例 枕営業 裁判例 未払い残業代 裁判例 民事事件 裁判例 民事信託 裁判例 民事訴訟 裁判例 民泊 裁判例 民法 裁判例 無期転換 裁判例 無断欠勤 解雇 裁判例 名ばかり管理職 裁判例 名義株 裁判例 名古屋高裁 裁判例 名誉棄損 裁判例 名誉毀損 裁判例 免責不許可 裁判例 面会交流 裁判例 約款 裁判例 有給休暇 裁判例 有責配偶者 裁判例 予防接種 裁判例 離婚 裁判例 立ち退き料 裁判例 立退料 裁判例 類推解釈 裁判例 類推解釈の禁止 裁判例 礼金 裁判例 労災 裁判例 労災事故 裁判例 労働基準法 裁判例 労働基準法違反 裁判例 労働契約法20条 裁判例 労働裁判 裁判例 労働時間 裁判例 労働者性 裁判例 労働法 裁判例 和解 裁判例

「営業代行」に関する裁判例(24)平成24年 7月18日 東京地裁 平23(ワ)8093号 売買代金請求事件

「営業代行」に関する裁判例(24)平成24年 7月18日 東京地裁 平23(ワ)8093号 売買代金請求事件

要旨
◆原告が売り渡したマスクの未払代金の支払を求めたところ、被告が不良品の納品を理由とする損害賠償請求権及び営業代行手数料債権との相殺を主張して争った事案において、原告が被告を通じて訴外K社に納品したマスクには不良品が混在していたものの、これを理由に被告の信頼が毀損され営業上の損害を被ったとはいえないとして、訴外K社納品分に係る損害賠償請求権に基づく相殺主張を否定する一方、訴外M社に対する営業代行の手数料債権に基づく相殺主張を一部認めた上で、原告の訴外T社に対する納品に大量の不良品があったことにより被告は同社に対して損害補償金等を支払っているから、同損害に係る損害賠償請求権を自働債権とする相殺は認められるとして、請求を一部認容した事例

参照条文
民法415条
民法505条1項
民法555条

裁判年月日  平成24年 7月18日  裁判所名  東京地裁  裁判区分  判決
事件番号  平23(ワ)8093号
事件名  売買代金請求事件
裁判結果  一部認容、一部棄却  文献番号  2012WLJPCA07188011

東京都新宿区〈以下省略〉
原告 X株式会社
同代表者代表取締役 A
同訴訟代理人弁護士 浅見隆行
東京都新宿区〈以下省略〉
被告 Y株式会社
同代表者代表取締役 B
同訴訟代理人弁護士 山下俊之

 

 

主文

1  被告は,原告に対し,1554万3160円及びうち1029万円に対する平成21年12月11日から,うち525万3160円に対する同年11月6日から,各支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
2  原告のその余の請求を棄却する。
3  訴訟費用は,これを10分し,その3を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。
4  この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。

 

事実及び理由

第1  請求
被告は,原告に対し,2367万4523円及びうち1186万5000円に対する平成21年12月11日から,うち1180万9523円に対する同年11月6日から,各支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
第2  事案の概要
本件は,原告が,被告に対し売り渡したマスクの未払代金及び遅延損害金の支払を求める事案である。
1  前提事実(証拠を掲げたもの以外は,当事者間に争いがない。)
(1)当事者
原告は,医薬品,医薬部外品等の輸出入及び販売などを目的とする株式会社であり,被告は,取引先企業の取扱商品における営業代行などを目的とする株式会社である。
(2)株式会社a社納品分
ア 被告は,株式会社a(以下「a社」という。)からの発注を受けて,平成21年9月15日,原告との間で,3層不織布マスク大人用5万箱及び3層不織布マスク女性・子供用5万箱(いずれも1箱に50枚入り)を,マスク1枚当たり7円で買う旨の売買契約を締結した。
イ 原告は,上記売買契約に基づき,平成21年10月15日に3層不織布マスク大人用5万箱を,同年11月11日に3層不織布マスク女性・子供用5万箱を,それぞれa社に納品した。
ウ 原告は,被告に対し,平成21年10月14日付けで,上記の納品に係る大人用マスクの売買代金1837万5000円(消費税込み)を同年11月10日までに支払うよう請求し,また,同日付けで,上記の納品に係る女性・子供用マスクの売買代金1837万5000円(消費税込み)を同年12月10日までに支払うよう請求した。
エ これに対し,被告は,大人用マスクの売買代金については1575万円のみを支払い,また,女性・子供用のマスクの売買代金については787万5000円のみを支払い,その余の1312万5000円の支払を拒絶した。
(3)b物産株式会社納品分
ア 被告は,b物産株式会社(以下「b物産」という。)からの発注を受けて,平成21年10月20日,原告との間で,3層不織布マスク大人用14万箱及び3層不織布マスク女性・子供用6万箱(いずれも1箱に50枚入り)を,マスク1枚当たり7円,代金は納品後3日以内に支払うとの約定で買う旨の売買契約を締結した(甲16,17)。
イ 原告は,上記売買契約に基づき,平成21年10月30日に3層不織布マスク大人用14万箱及び3層不織布マスク女性・子供用6万箱をb物産に納品した。
ウ 被告は,上記の納品に係るマスクの売買代金7350万円(消費税込み)のうち,6169万0477円のみを支払い,その余の1180万9523円の支払を拒絶した。
2  当事者の主張
(被告の主張)
ア a社納品分
(ア)原告がa社に納品したマスクについては,大量の不良品があり,また,原告は,不良品につきa社に対する迅速かつ誠実な対応をしなかった。これは,原告と被告との間の売買契約についての債務不履行(不完全履行)であり,被告は,かかる債務不履行により,a社に対する信用を失墜し,525万円相当の営業上の損害を被った。
そこで,被告は,上記の債務不履行による525万円の損害賠償請求権を自働債権とし,原告のa社納品分に係る売買代金債権を受働債権として対当額で相殺し,同額を売買代金から差し引いたものである。
(イ)被告は,原告のために株式会社c(以下「c社」という。)に対する営業活動を行い,その結果,c社は,平成21年8月28日,原告に対し,高機能サージカルマスク30万枚を1枚当たり100円で,3層不織布マスク600万枚を1枚当たり7円で発注するに至った。
原告と被告は,c社に対する営業代行手数料に関し,同日,高機能サージカルマスクにつき1枚5円と,同年9月7日,3層不織布マスクにつき1枚1円と合意した。
したがって,被告は,原告に対し,上記の営業代行手数料として787万5000円(消費税込み)の債権を有していたところ,これを自働債権とし,原告のa社納品分に係る売買代金債権を受働債権として対当額で相殺し,同額を売買代金から差し引いたものである。
イ b物産納品分
(ア)原告がb物産に納品したマスクについては,大量の不良品があった。これは,原告と被告との間の売買契約についての債務不履行(不完全履行)であり,被告は,かかる債務不履行により,次のとおり損害を被った。
a 次の(a)ないし(e)の損害 合計1180万9523円
(a)被告がb物産に売買代金を452万円値引きしたことによる同額の損害
(b)被告の信用失墜,販売機会喪失等による営業上の損害548万円
(c)不良品対応のため被告がb物産に倉庫料及び作業コスト代52万5000円(消費税込み)を支払ったことによる同額の損害
(d)不良品対応のため被告がb物産に販売先へのペナルティ分として拡販費106万4700円(消費税込み)を支払ったことによる同額の損害
(e)検品等の作業のために被告に発生した実費21万9823円の損害
b パルフェマスク販売の逸失利益 5768万円
被告は,b物産に対し,株式会社dから仕入れるパルフェマスクについて販売交渉を行っていた。しかし,原告がb物産に納品したマスクに大量の不良品が発生したため,被告は,b物産に対する信用を喪失し,その結果,パルフェマスクについての取引は正式契約に至らず,この取引が成立していれば得られたはずの利益5768万円を失った。
(イ)被告は,上記(ア)aの債務不履行による1180万9523円の損害賠償請求権を自働債権とし,原告のb物産納品分に係る売買代金債権を受働債権として対当額で相殺し,同額を売買代金から差し引いたものである。
(ウ)被告は,上記(ア)bの債務不履行による5768万円の損害賠償請求権を自働債権とし,原告の本訴請求に係る売買代金債権を受働債権として,対当額で相殺する。
(原告の主張)
ア a社納品分
(ア)原告は,a社の顧客からのクレーム等に対して適切に対応しており,被告の信用が毀損される事態には至っていない。したがって,被告の主張に係る525万円の損害賠償請求権は発生していない。
(イ)原告は,c社から高機能サージカルマスク30万枚の発注を受け,原告と被告との間で被告の営業代行手数料を1枚につき5円とする合意は成立したが,営業代行手数料の支払については,商品の納品を条件としていた。しかるところ,高機能サージカルマスクについては,原告において納品ができなかったから,原告に営業代行手数料支払義務は生じない。また,c社に対する3層不織布マスクの営業代行手数料について,原告と被告との間で合意した金額は1枚当たり0.2円である。
したがって,原告が被告に対しc社に対する営業代行手数料として支払義務を負うのは126万円(0.2円/枚×600万枚に消費税を加えた金額)のみであり,被告は,上記営業代行手数料として661万5000円(消費税込み)を過大に売買代金から差し引いたことになる。なお,a社納品分に係る本件訴訟の請求金額は,被告が支払を拒絶した1312万5000円から上記126万円を控除した金額である。
イ b物産納品分
原告は,b物産からのクレームに対して適切に対応しており,被告の主張に係る原告に対する損害賠償請求権は発生していない。
また,被告のb物産に対するパルフェマスクの販売に係る営業活動は交渉がまとまる段階まで成熟したものではなく,原告が納品した3層不織布マスクに不良品が存在したことと,被告とb物産との間でパルフェマスクに係る取引が成立するに至らなかったこととの間に因果関係はない。
第3  当裁判所の判断
1  a社納品分に係る損害賠償請求権について
(1)証拠(甲11,乙29ないし30,32)及び弁論の全趣旨によれば,①平成21年10月26日,a社から被告に対し,原告が納品したマスクにガム状の物が付着していたとのクレームがあり,原告において,当該不良品を良品と交換したこと,②同年11月24日,a社羽束師店で原告の納品したマスクを購入した顧客が,マスクのノーズワイヤーのはみ出しによって顔に擦り傷を負うという事故が発生し,原告において,当該顧客に連絡を取り,良品のマスクと交換し,お詫びの粗品を提供するという対応を執ったこと,③同年12月14日,a社鴨島店において,原告の納品したマスクを購入した顧客から,マスクにノーズワイヤーが入っていないというクレームがあり,売り場にある原告の納品したマスク5箱を無作為で抽出して調べたところ,2箱でノーズワイヤーが短いマスクが発見されたため,原告において,当該不良品を良品のマスクと交換したこと,④平成23年5月頃,a社の店舗で原告の納品したマスクを購入した顧客から,マスクに虫が混入しているというクレームがあったことが認められる。
(2)上記認定事実によれば,原告がa社に納品したマスクに不良品が混在していたことは明らかである。しかしながら,a社に対する調査嘱託の結果によれば,原告の納品したマスクに不良品があったことを理由として,被告がa社に対して販売代金の値引きをしたことはないことが認められ,他方,原告の納品したマスクに不良品があったことを理由として,a社が被告との取引を拒絶したという事実は認められず,本件全証拠によっても,原告の納品したマスクに不良品があったために,被告のa社に対する信用が毀損され,被告が営業上の損害を被ったという事実は認められない。
(3)したがって,被告の主張するa社納品分に係る債務不履行による損害賠償請求権が発生したとは認められないから,これを自働債権とする被告の相殺の主張は,理由がないというべきである。
2  c社に対する営業代行手数料について
(1)原告がc社から高機能サージカルマスク30万枚の発注を受け,原告と被告との間で,被告の営業代行手数料を1枚につき5円とする合意が成立したことは当事者間に争いがないところ,原告は,c社に対する営業代行手数料の支払について,商品の納品を条件としており,高機能サージカルマスクについては納品ができなかったから,原告に営業代行手数料支払義務は生じない旨主張する。
しかしながら,一般に,被告のように商品の販売のために売主に代わって営業活動を行う事業者は,当該売主と買主との間で取引を成立させることによって報酬ないし手数料を得ることを目的としているものであるから,営業代行を行う事業者と売主との間に営業代行手数料について合意が成立している場合には,別段の合意がない限り,当該商品の販売に係る取引の成立,すなわち,買主による発注と売主による受注により,売主は営業代行手数料の支払義務を負うものと解するのが相当である。しかして,原告と被告との間において,営業代行手数料の支払につき商品の納品を条件とする合意があったことを認めるに足りる証拠はない。なお,原告と被告との間において,営業代行手数料の支払時期を商品の納品時期とする合意があったとしても,それは営業代行手数料の支払の期限を定めたものであって,商品の納品ができないことが確定した場合には,その時点で期限が到来するものであるから,かかる合意は,上記の商品の納品を条件とする合意とは区別されるべきものである。
(2)被告は,原告と被告との間において,平成21年9月7日,c社に対する3層不織布マスクの営業代行手数料につき1枚1円とする合意が成立した旨主張し,被告の営業活動の責任者であるというC(以下「C」という。)は,その陳述書(乙37)においてこれに沿った陳述をし,証人として同旨の証言をする。
しかしながら,証拠(甲30)によれば,Cは,同月26日,原告代表者に対し,c社に対する3層不織布マスクの営業代行手数料の金額の決定を求める内容の電子メールを発信していることが認められ,この事実に照らし,Cの上記証言等は採用することができない。そして,他に上記営業代行手数料につき被告の主張に係る合意が成立したことを認めるに足りる証拠はない。
(3)そうすると,被告は,原告に対し,c社に対する高機能サージカルマスクの営業代行手数料として157万5000円(消費税込み)の債権を有していたと認められるから,営業代行手数料債権を自働債権とする被告の相殺の主張は,その限度で理由があるというべきである。
3  b物産納品分に係る損害賠償請求権ついて
(1)証拠(甲24,乙16ないし23,乙24の1ないし3,乙25ないし27,37,証人C)及び弁論の全趣旨によれば,①b物産は,平成21年11月4日,原告から納品されたマスクを大口の取引先に納品したところ,当該取引先から大量の不良品があるとのクレームと全品キャンセルの意向を伝えられたこと,②b物産は,同月5日から同月7日まで,原告の納品したマスクの取引先への出荷を停止し,原告と被告は,b物産の指示により,b物産の物流センターにおいて上記マスクの検査を実施したこと,③上記検査によって発見された不良品については,原告が代替のマスクを再度納品し,b物産は,取引先への出荷を再開したが,取引先から再び大量の不良品があるとのクレームを受け,その結果,b物産は,原告の納品したマスクを取引先に販売することはできないと判断して,全取引先との取引をキャンセルし,最終的には,原告の納品したマスクを東京都に寄附したこと,④このような状況の下で,被告は,b物産から損害の補償を請求され,同月20日,b物産に対し,合計633万5700円(その内訳は,単価補償として消費税込みで474万6000円,倉庫料及び作業コスト代として消費税込みで52万5000円,b物産の取引先への拡販費として消費税込みで106万4700円)を,振込手数料840円を被告が負担して銀行振込みの方法により支払ったこと,⑤被告は,原告の納品したマスクの検品やb物産の取引先へのお詫びのために社員を派遣し,交通費等の実費として9万9823円を支出したことが認められる。
(2)上記認定の事実によれば,被告がb物産に支払った633万5700円及び振込手数料840円並びにマスクの検品等のために支出した実費9万9823円は,原告と被告との間の売買契約に係る原告の債務不履行(不完全履行)により被告が被った損害と認められる。また,証拠(甲24,乙37)及び弁論の全趣旨によれば,被告は,マスクの検品等のためのスタッフ派遣費用として合計12万円の出張日当代を計上していることが認められるところ,その金額は合理性を欠くものとはいえないから,これも原告の債務不履行により被告が被った損害と認めるのが相当である。
他方,証拠(乙35,b物産に対する調査嘱託の結果)及び弁論の全趣旨によれば,①被告は,平成21年10月16日付けで,b物産に対してパルフェマスクの見積書を提出しているが,これは被告の通常の営業活動の一環として見積書が提出されたものにすぎないこと,②b物産は,原告の納品したマスクに不良品があったことを理由として,被告との間でパルフェマスクその他の商品の取引を拒絶したことはないことが認められる。このような事実に照らせば,原告の債務不履行により,上記認定の各損害のほかに,被告の信用失墜等による営業上の損害及びパルフェマスク販売の逸失利益の損害が発生したとは認められない。
(3)そうすると,被告は,原告に対し,原告の債務不履行による損害賠償請求権として655万6363円の債権を有していたと認められるから,b物産納品分に係る債務不履行による損害賠償請求権を自働債権とする被告の相殺の主張は,その限度で理由があるというべきである。
4  結論
以上によれば,a社納品分に係る売買代金の残金は1029万円,b物産納品分に係る売買代金の残金は525万3160円となるから,原告の請求は,これらの合計金額である1554万3160円及びうち1029万円に対する平成21年12月11日から,うち525万3160円に対する同年11月6日から,各支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があり,その余は理由がないというべきである。
よって,主文のとおり判決する。
(裁判官 増田稔)

 

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